JP2010052585A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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【課題】サイドウォール部に配置される文字、図形、記号等の表示媒体の視認性を向上させるとともに、サイドウォール部へのクラックの発生を有効に抑制することができる空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】トレッド部1と、このトレッド部1のそれぞれの側部に連続して半径方向内方へ延びる一対のサイドウォール部2と、これらの各サイドウォール部2の半径方向内方に連続するビード部3とを具え、少なくとも一方のサイドウォール部2の外表面に、一定幅の円環状リッジ装飾体4を設けるとともに、このリッジ装飾体4内に表示媒体5を配設し、少なくとも表示媒体5を配設したリッジ装飾体領域は、半径方向に相互に隣接する四本以上の環状または渦巻状のリッジ群6からなり、隣接するリッジ群6のそれぞれのリッジ7がタイヤ半径方向線分に対して相互に異なる向きに傾斜してなることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、空気入りタイヤ、特に、少なくとも一方のサイドウォール部の表面に形成される、文字、記号等の各々からなる各個の表示媒体の視認性を向上させた空気入りタイヤに関するものである。
空気入りタイヤのサイドウォール部に表示される文字、図形、記号等の表示媒体の視認性を高めるため、例えば図6および図7に示すような、サイドウォール部のリッジ装飾体内に、その表示媒体を、例えば凸凹加工によって配設して、リッジ装飾体をあたかも背景として用いる結果として、リッジ装飾体内の表示媒体の視認性を高めることは従来から広く行われている。
しかるに、この種のリッジ装飾体では一般に、リッジ装飾体を形成するリッジが延在する向きに応じた光の反射の影響を受けることになり、リッジの側面が光の入射方向に対向する領域では光の反射によって明るくなる一方、リッジの延在方向が光の入射方向と同じになる領域ではリッジの側面は光が反射せずに暗くなることから、図6,7に例示するリッジ装飾体に、図8,9のそれぞれに示すように光が入射された場合には、図8,9に明暗をもって示すように、相互の明暗差が大きくなりすぎるが故に、リッジ装飾体全体としての視認性が低下し、この結果として、リッジ装飾体内の表示媒体の視認性もまた低くなるという問題があった。
また、タイヤの外観の視認性を高めるためには偏平感の演出が効果的であり、例えば、図10に示すように、サイドウォール部外表面でのリッジ装飾体のリッジの、山部および谷部のそれぞれよりも高く、凸状の周方向成分を設けた場合に、その部分が、タイヤの負荷転動に伴う、周方向剪断力の入力によって、サイドウォール部のクラックの核と成り易く、サイドウォール部の耐久性が低下するおそれがあった。
そこで、本発明は、特に、サイドウォール部に配置される文字、図形、記号等の表示媒体の視認性を向上させるとともに、サイドウォール部へのクラックの発生を有効に抑制することができる空気入りタイヤを提供する。
この発明にかかる空気入りタイヤは、トレッド部と、このトレッド部のそれぞれの側部に連続して半径方向内方へ延びる一対のサイドウォール部と、これらの各サイドウォール部の半径方向内方に連続するビード部とを具え、少なくとも一方のサイドウォール部の外表面に、一定幅の円環状リッジ装飾体を設けるとともに、このリッジ装飾体内に表示媒体を配設してなるものであって、少なくとも表示媒体を配設したリッジ装飾体領域は、半径方向に相互に隣接する四本以上の環状または渦巻状のリッジ群からなり、隣接するリッジ群のそれぞれのリッジがタイヤ半径方向線分に対して相互に異なる向きに傾斜してなることを特徴とするものである。
このようなタイヤにおいてより好ましくは、リッジ装飾体内に配設される表示媒体を、複数のリッジ群を跨いで位置する。
また好ましくは、それぞれのリッジ群の半径方向幅を相互に等しくする。
ここで、半径方向幅とは、タイヤが生産され、使用される地域に有効な産業規格であって、日本ではJATMA(日本自動車タイヤ協会) YEAR BOOK、欧州では、ETRTO(European Tyre and Rim Technical Organisation) STANDARD MANUAL、米国ではTRA(THE TIRE and RIM ASSOCIATION INC.) YEAR BOOK等の規格に規定されたリムに、タイヤを組付けて、JATMA等の規格で、最高空気圧を充填した状態の下での半径方向の幅をいうものとする。
そしてまた好ましくは、それぞれのリッジ群のリッジの、タイヤ半径方向線分に対する傾斜角度を相互に等しくする。
ところで、相互に隣接するリッジ群の、それぞれのリッジは互いに連続させて形成することが好ましい。
また好ましくは、各リッジ群の、それぞれのリッジの配設ピッチを0.5〜3.0mmの範囲とする。
好ましくは、各リッジ群の、それぞれのリッジのタイヤ半径方向に対する角度を20〜70°の範囲とする。
本発明では、少なくとも表示媒体を配設したリッジ装飾体領域は、リッジ装飾体を、半径方向に相互に隣接する四本以上の環状または渦巻状のリッジ群からなり、隣接するリッジ群のそれぞれのリッジをタイヤ半径方向線分に対して相互に異なる向きに傾斜させることにより、それぞれのリッジ群のリッジを、光の入射方向に対し、各種の方向を延在させて、光の反射する角度を相互に相違させることになり、リッジ装飾体全体の外観明暗差を小さくして、リッジ装飾体全体の視認性を高めることができる。その結果として、このリッジ群のリッジが、サイドウォール部の周方向成分となるため、リッジ高さよりも高い周方向成分、例えば凸状の周方向成分を設けることなく、リッジ装飾体全体の視認性を高めることができ、クラックの核となる成分がなくなることで、サイドウォール部の耐久性の低減を抑えることができる。
また、例えば、リッジ装飾体を、半径方向幅が相互に等しい三本のリッジ群で形成する場合には、それらのリッジ群は、タイヤ半径方向に対して傾斜する方向が同じ二本のリッジ群と、これらと異なる傾斜方向の一本のリッジ群からなることになり、多くの場合、その面積比が約2:1になることから、リッジ装飾体全体としての視認性にばらつきが生じるおそれがあるが、本発明のように、四本以上のそれぞれのリッジ群のリッジを、タイヤ半径方向に対して相互に異なる向きに傾斜させることにより、リッジ装飾体全体としての常に優れた視認性を確保することができる。
以下に、図面を参照しながら本発明の空気入りタイヤを詳細に説明する。
図1は、本発明の空気入りタイヤの一の実施形態を示す側面図であり、図2(a)は、図1の要部拡大側面図であり、図2(b)は、図2(a)のA−A線に沿う拡大端面図であり、図2(c)は、図2(a)のB−B線に沿う拡大端面図である。
図中の1はトレッド部を、2はトレッド部1のそれぞれの側部に連続して半径方向内方へ延びる一対のサイドウォール部を、そして3はサイドウォール部2の半径方向内方に連続するビード部をそれぞれ示す。
このタイヤは、一方または双方のサイドウォール部2の外表面にはリッジ装飾体4を設け、このリッジ装飾体4は、例えば、16.0〜48.0mmの半径方向幅で、その外表面の15〜30%の範囲で、全体として一定幅の縁環状をなす。
そしてこの空気入りタイヤでは、少なくとも表示媒体5を配設したリッジ装飾体4領域は、半径方向に相互に隣接する、図では六本の環状のリッジ群6からなり、隣接するリッジ群6のそれぞれのリッジ7がタイヤ半径方向線分に対して相互に異なる向きに傾斜する。
この場合、好ましくは、それぞれのリッジ群6の半径方向幅を相互に等しくして、相互に隣接するリッジ群6のリッジ7の、タイヤ半径方向線分に対する傾斜角度を等しい。また図では、それぞれのリッジ7を、リッジ間の相対角度が90°未満で互いに連続させる。
図示のタイヤでは、リッジ装飾体4のリッジ群6は、例えば幅を0.5〜3.0mmの範囲とし、リッジ群6のリッジ7は、タイヤ半径方向線分に対して20〜70°の範囲で直線状に傾斜し、サイドウォール部外表面から0.4mm窪んだ位置から0.3mm突出する。そして、このリッジ装飾体4には、サイドウォール部外表面から0.2mm突出させて表示媒体5の縁部5aとし、表示媒体5の内部は、その縁部5aから0.25mm窪んで配置する。
この空気入りタイヤでより好ましくは、リッジ装飾体4内に配設される表示媒体5を、複数のリッジ群6に跨がらせて配置する。
この構成により、各リッジ群6で効果的に分散された反射光による、あたかも明暗差の少ない背景上に、表示媒体5を配置することができ、その結果、表示媒体5の視認性の低下を抑制できる。
好ましくは、それぞれのリッジ群6の半径方向幅を相互に等しくすることにより、リッジ装飾体4の全体で、入射光に対する反射光を効果的に分散して明暗差の低減を図ることができる。
また好ましくは、それぞれのリッジ群6の相互間でリッジ7の、タイヤ半径方向線分に対する傾斜角度を相互に等しくすることで、光の入射方向のいかんにかかわらず、いずれかのリッジ群6のリッジ7が反射することで、様々な光の向きに対して反射することができ、視認性を向上させることができる。
そしてまた好ましくは、相互に隣接するリッジ群6の、それぞれのリッジ7を互いに連続させ、これにより、タイヤ加硫モールドのモールド加工工数を、リッジが不連続である場合に比して低減させる。
ところで、各リッジ群6の、それぞれのリッジ7の配設ピッチを0.5〜3.0mmの範囲としたときは、各リッジ7を反射する光が密集して、あたかも反射面を作り出すかのように、効果的にリッジ群6の明度を確保することができる。
すなわち、それが0.5mm未満では、モールド加工の際に、隣接する各リッジ7が底部で干渉するおそれがあり、一方、3.0mmを超えると、各リッジ間の距離が大きくなり光を効果的に反射することができず、明度が劣る傾向がある。
また好ましくは、各リッジ群6の、それぞれのリッジ7のタイヤ半径方向に対する角度を20〜70°の範囲としたときは、入射する光を反射して、効果的にリッジ群6の明度を確保することができる。
また、リッジ7が隣接するリッジ群6のリッジ7に対して連続して折り返す場合には、隣り合うリッジ群6同士が効果的に反射の有無を判別することができる。
すなわち、その角度が20°未満では、入射する光を反射する角度範囲が小さく、隣接するリッジ群6との明暗差が劣り、一方、70°を超えると、隣接するリッジ群6との反射角度が小さくなり、リッジ群6の明暗差を保てない傾向がある。
以上、図1および2に示すところについて説明したが、本発明のタイヤに設けられるリッジ装飾体4は、図3に示すように、リッジ装飾体4を円環状の十二本のリッジ群6で形成したり、図4に示すようなリッジ装飾体4のリッジ群6を渦巻状に、半径方向外方から内方に向けて次第に狭くした略三角状として配置して、装飾性を高めたり、図5に示すように、リッジ装飾体4を六本のリッジ群6で形成し、これらリッジ群6を曲線状のリッジ7で形成することもできる。
次に、図1に示すような構造を有し、サイズが205/55 R16の表1に示すような諸元の実施例タイヤ1〜4、および比較例タイヤを試作した。
晴天時(入射光の角度45〜135°)に、屋外で、タイヤ単体を路面上で転動させ、視認者のフィーリングで視認性を評価し、その結果を表2に示す。
表2の結果から、実施例タイヤ1〜4は、比較例タイヤに対し、視認性が向上した。
本発明の空気入りタイヤの一の実施形態を示す側面図である。 (a)は、図1の要部拡大側面図であり、(b)は、(a)のA−A線に沿う拡大端面図であり、(c)は、(a)のB−B線に沿う拡大端面図である。 本発明の空気入りタイヤの他の実施形態を示す要部拡大側面図である。 (a)は、本発明の空気入りタイヤの他の実施形態を示す要部拡大側面図であり、(b)は、(a)のB−B線に沿う拡大端面図である。 本発明の空気入りタイヤの他の実施形態を示す要部拡大側面図である。 従来の空気入りタイヤを示す要部拡大側面図である。 従来の空気入りタイヤを示す要部拡大側面図である。 図6の空気入りタイヤに、光が入射された場合を示す側面図である。 図7の空気入りタイヤに、光が入射された場合を示す側面図である。 (a)は、従来の空気入りタイヤを示す要部拡大側面図であり、(b)は、B−B線に沿う拡大端面図である。
符号の説明
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 リッジ装飾体
5 表示媒体
5a 縁部
6 リッジ群
7 リッジ

Claims (7)

  1. トレッド部と、このトレッド部のそれぞれの側部に連続して半径方向内方へ延びる一対のサイドウォール部と、これらの各サイドウォール部の半径方向内方に連続するビード部とを具え、少なくとも一方のサイドウォール部の外表面に、一定幅の円環状リッジ装飾体を設けるとともに、このリッジ装飾体内に表示媒体を配設してなる空気入りタイヤにおいて、
    少なくとも表示媒体を配設したリッジ装飾体領域は、半径方向に相互に隣接する四本以上の環状または渦巻状のリッジ群からなり、隣接するリッジ群のそれぞれのリッジがタイヤ半径方向線分に対して相互に異なる向きに傾斜してなることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. リッジ装飾体内に配設される表示媒体を、複数のリッジ群を跨いで位置させてなる請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. それぞれのリッジ群の半径方向幅を相互に等しくしてなる請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. それぞれのリッジ群のリッジの、タイヤ半径方向線分に対する傾斜角度を相互に等しくしてなる請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 相互に隣接するリッジ群の、それぞれのリッジを互いに連続させてなる請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 各リッジ群の、それぞれのリッジの配設ピッチが0.5〜3.0mmの範囲である請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  7. 各リッジ群の、それぞれのリッジのタイヤ半径方向に対する角度が20〜70°の範囲である請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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