JP2010037357A - 改質ふっ素樹脂組成物及び改質ふっ素樹脂成形体 - Google Patents

改質ふっ素樹脂組成物及び改質ふっ素樹脂成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】加熱後に引張特性、しゅう動特性などの機械特性が低下しない改質ふっ素樹脂組成物及び改質ふっ素樹脂成形体を提供する。
【解決手段】ベース樹脂と、該ベース樹脂に混和される粉末状の改質ふっ素樹脂とからなる改質ふっ素樹脂組成物において、前記改質ふっ素樹脂は、該改質ふっ素樹脂の融点近傍の温度で熱処理されたものからなる。
【選択図】なし

Description

本発明は、しゅう動部品、シール品、パッキン、ガスケット、半導体製造用容器・治具・配管などに用いられる耐熱性、耐摩耗性、耐クリープ性に優れた改質ふっ素樹脂組成物及び改質ふっ素樹脂成形体に関するものである。
ふっ素樹脂は、低摩擦性、耐熱性、電気特性、耐薬品性やクリーン性(非汚染性)に優れており、産業、民生用の各種用途に広く利用されている。
しかし、ふっ素樹脂はしゅう動環境下や高温での圧縮環境下で摩耗やクリープ変形が大きく、使用できないケースがあった。このため、従来、ふっ素樹脂に充てん剤を加えることにより、摩耗やクリープ変形を改善する対策がとられてきた。
ふっ素樹脂に充てん剤を加えて摩耗やクリープ変形を改善する場合、特に高耐摩耗性を付与するには、弾性率の高い充てん剤を加えるのが効果的である。しかし、弾性率の高い充てん剤を加えると、しゅう動する相手材を損傷したり、摩擦係数が上がることによってしゅう動時に発熱しやすくなるなどの問題が生じ、その利用範囲が限定されることが多いため、必ずしも満足のいくものではなかった。
このような問題を解決できる技術として、低酸素濃度雰囲気下、ふっ素樹脂の融点近傍で電離性放射線を照射した改質ふっ素樹脂が提案されている。この改質ふっ素樹脂を粉末状にしてベース樹脂(ふっ素樹脂)に混和した改質ふっ素樹脂組成物を用いることで、成形体に優れた耐摩耗性、耐クリープ性を付与でき、さらにふっ素樹脂本来の良好な特性も実現できる。
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、次のものがある。
特開2007−186676号公報 特開2004−331814号公報 特開2004−217758号公報
しかしながら、改質ふっ素樹脂の粉末には、改質ふっ素樹脂を粉砕する際の機械的歪が残留しており、改質ふっ素樹脂組成物を大気中で加熱した際に、機械的特性が低下してしまう場合がある。例えば、改質ふっ素樹脂組成物から改質ふっ素樹脂成形体を成形する際に、加熱温度が改質ふっ素樹脂の融点以上の温度になると、改質ふっ素樹脂に残留する機械的歪(残留歪)が開放されてしまい、結果としてベース樹脂(ふっ素樹脂)と改質ふっ素樹脂の界面に剥離(ボイド)が生じてしまう。そのため、改質ふっ素樹脂成形体の引張特性、曲げ特性、あるいはしゅう動特性などの機械特性が低下してしまうという問題がある。
改質ふっ素樹脂成形体に改質ふっ素樹脂組成物の融点以上の熱を加えることにより、ボイドを減少させることも考えられるが、改質ふっ素樹脂成形体が加熱によりゆがんだり、あるいは縮んだりしてしまう場合があり、ゆがみや縮みを抑制しながらボイドを除去するのは困難である。
そこで、本発明の目的は、加熱後に引張特性、しゅう動特性などの機械特性が低下しない改質ふっ素樹脂組成物及び改質ふっ素樹脂成形体を提供することにある。
本発明は上記目的を達成するため、ベース樹脂と、該ベース樹脂に混和される粉末状の改質ふっ素樹脂とからなる改質ふっ素樹脂組成物において、前記改質ふっ素樹脂は、該改質ふっ素樹脂の融点近傍の温度で熱処理されたものからなる改質ふっ素樹脂組成物を提供する。
前記改質ふっ素樹脂は、該改質ふっ素樹脂の融点を中心に±10℃の温度範囲で熱処理されたものである。
前記改質ふっ素樹脂は、前記ベース樹脂に対し5〜60質量部混和されている。
前記改質ふっ素樹脂は、最大粒径が200μm以下である。
前記改質ふっ素樹脂の粉末は、アスペクト比が2以下である。
本発明は、ベース樹脂と、該ベース樹脂に混和される粉末状の改質ふっ素樹脂とからなる改質ふっ素樹脂組成物において、前記改質ふっ素樹脂は、該改質ふっ素樹脂の融点近傍の温度で熱処理されたものからなる改質ふっ素樹脂組成物を用いて成形された改質ふっ素樹脂成形体を提供する。
本発明によれば、粉末状の改質ふっ素樹脂が融点近傍の温度で熱処理されていることにより、粉砕時の残留歪が緩和され、成形時などで印加される熱によって発生するボイドを抑制できるため、引張特性、しゅう動特性などの機械特性が低下しない改質ふっ素樹脂組成物及び改質ふっ素樹脂成形体を提供する。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。
(改質ふっ素樹脂組成物)
本実施形態に係る改質ふっ素樹脂組成物は、改質ふっ素樹脂を粉末状にすると共に、その融点を含む融点近傍の温度で熱処理し、その後粉末状にした熱処理改質ふっ素樹脂の粉末をベース樹脂中に混和したものである。
本実施形態では、ベース樹脂としてふっ素樹脂を用いた。ふっ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリテトラフルオロエチレン−フルオロアルコキシトリフルオロエチレン(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン(FEP)のいずれか一種類以上を用いるとよい。これらふっ素樹脂は、分子構造中に少量の第3成分を含んでいてもよい。
本実施形態では、ベース樹脂に用いるふっ素樹脂として、PTFEを用いた。PTFEは、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、ヘキサフルオロプロピレン、(パーフルオロアルキル)エチレン、あるいはクロロトリフルオロエチレンなどの共重合性モノマーに基づく重合単位を0.2モル%以下含有していてもよい。
改質ふっ素樹脂は、酸素分圧1333Pa(10torr)以下の不活性ガス雰囲気下で、ふっ素樹脂をその融点以上に加熱した状態で、電離性放射線を照射線量1kGy〜10MGyの範囲で照射することにより作製される。改質ふっ素樹脂の原料となるふっ素樹脂には、上述のベース樹脂に用いたふっ素樹脂と同じものを用いるとよい。
電離性放射線としては、例えば、γ線、電子線、X線、中性子線、あるいは高エネルギーイオンなどを用いるとよい。
電離性放射線の照射を行う際は、ふっ素樹脂をその融点以上に加熱しておく必要がある。ふっ素樹脂として、例えばPTFEを用いる場合には、融点である327℃以上の温度とする必要がある。また、ふっ素樹脂としてPFAを用いる場合には310℃以上、FEPを用いる場合には275℃以上と、融点よりも高い温度に加熱する。
ふっ素樹脂をその融点以上に加熱するのは、ふっ素樹脂を構成する主鎖の分子運動を活発化させることにより、分子間の架橋反応を効率よく促進させるためである。ただし、過度の加熱は逆に分子主鎖の切断や分解を招くようになるので、加熱温度はふっ素樹脂の融点よりも10〜30℃高い温度以下の温度範囲内に抑えるべきである。
このようにして改質した改質ふっ素樹脂は、耐摩耗性や耐クリープ性などに優れるという特徴を有する。しかし、この改質ふっ素樹脂を粉砕して粉末状とすると粉砕時の機械的歪(残留歪)が残留してしまい、これをそのままベース樹脂であるふっ素樹脂に混和すると、成形時などで印加される熱によって残留歪が開放されてボイドが発生してしまい、結果的に加熱後の引張特性、しゅう動特性などの機械特性が低下してしまう。
そこで、本発明者らは、改質ふっ素樹脂の機械的特性を最大限に発現させるために鋭意検討を行い、その結果、改質ふっ素樹脂の粉末をさらに熱処理することにより残留歪を緩和し、ボイドの発生を抑制できることを見出し、本発明に至った。
(改質ふっ素樹脂組成物の製造方法)
本実施形態に係る改質ふっ素樹脂組成物の製造方法を説明する。
まず、改質ふっ素樹脂の熱処理について説明する。
改質ふっ素樹脂を粉砕して粉末状とした後、改質ふっ素樹脂をその融点、或いはその融点を中心に±10℃の温度範囲で熱処理して熱処理改質ふっ素樹脂を得る。改質ふっ素樹脂の融点は、例えば、示差走査熱量計により測定(例えば、窒素雰囲気中、昇温速度10℃/分)するとよい。
熱処理温度を改質ふっ素樹脂の融点、或いはその融点を中心に±10℃の温度範囲とするのは、熱処理温度が改質ふっ素樹脂の融点−10℃より低い場合、熱処理効果が発現せず、改質ふっ素樹脂の融点+10℃を大幅に超える場合には、酸化劣化や分解が起こりやすくなるためである。
また、改質ふっ素樹脂の熱処理は、1時間以上行うことが望ましい。これは、熱処理時間が1時間未満と短い場合には、熱処理効果が十分発揮されないためである。
改質ふっ素樹脂の熱処理における雰囲気は特に限定しない。改質ふっ素樹脂の酸化を抑制する観点から、窒素などの不活性ガス雰囲気が好ましいが、空気中でも特に問題はない。
改質ふっ素樹脂を熱処理することにより、改質ふっ素樹脂の粉砕により残留した機械的歪(残留歪)が緩和され、成形時などで印加される熱によってボイドが発生するのを抑制できるため、引張、しゅう動などの応力への抵抗性が向上すると考えられる。
改質ふっ素樹脂を熱処理して熱処理改質ふっ素樹脂を得た後、その熱処理改質ふっ素樹脂を粉砕してさらに粉末状とするのが好ましい。
このとき、熱処理改質ふっ素樹脂の粉末の最大粒径は200μm以下であることが好ましい。より好ましくは、90μm以下がよい。これは、熱処理改質ふっ素樹脂の粉末の最大粒径が200μmを超えると、引張特性(引張強さや伸び)の低下が大きくなるためである。ここで、最大粒径とは、改質ふっ素樹脂の粉末の粒子径分布における最大値である。
また、熱処理改質ふっ素樹脂の粉末は、そのアスペクト比が2以下であるのが好ましい。これにより、得られる改質ふっ素樹脂成形体の成形圧方向とその垂直方向での特性の差を小さくすることができる。ここで、アスペクト比とは、熱処理改質ふっ素樹脂の粉末の長辺と、該長辺に垂直な方向における短辺との比(縦横比)で表されるものであり、例えば、シスメックス(株)社製のフロー粒子像分析装置により測定することができる。
熱処理改質ふっ素樹脂を粉末状とした後、その熱処理改質ふっ素樹脂の粉末をベース樹脂であるふっ素樹脂にミキサなどで混和する。
このとき、熱処理改質ふっ素樹脂の粉末は、ベース樹脂(ふっ素樹脂)に対して5〜60質量部混和されるのが望ましい。これは、熱処理改質ふっ素樹脂の粉末の混和量がベース樹脂に対して5質量部未満であると耐摩耗性の大幅な向上が期待できず、60質量部を超えると引張特性、特に伸びの低下が大きくなるためである。
本発明では特に言及しないが、他に補強剤、着色剤、酸化防止剤、固体潤滑材などを添加してもよい。
以上により、本実施形態に係る改質ふっ素樹脂組成物が得られる。
(改質ふっ素樹脂成形体)
本実施形態に係る改質ふっ素樹脂組成物を用いて改質ふっ素樹脂成形体を成形する際には、例えば、ホットホーミング法、あるいはフリーシンタ法などにより成形するとよい。ホットホーミング法、フリーシンタ法については公知であるため説明を省略する。これにより、本実施形態に係る改質ふっ素樹脂成形体が得られる。
以上説明したように、本実施形態に係る改質ふっ素樹脂組成物では、ベース樹脂と、該ベース樹脂に混和される粉末状の改質ふっ素樹脂とからなり、該改質ふっ素樹脂として、その融点近傍の温度で熱処理されたものを用いている。
これにより、改質ふっ素樹脂の粉砕時に残留する機械的歪(残留歪)が緩和され、成形時に印加された熱によって改質ふっ素樹脂に残留した機械的歪が開放されてボイドが発生するのを抑制することができる。よって、改質ふっ素樹脂組成物を加熱し成形して得られる改質ふっ素樹脂成形体の引張特性、しゅう動特性などの機械特性を従来よりも向上させることが可能となる。
すなわち、本発明によれば、改質ふっ素樹脂の優れた耐摩耗性、耐クリープ性に加えて、粉末状の改質ふっ素樹脂が融点近傍の温度で熱処理されていることにより、粉砕時が残留歪を緩和され、成形時などで印加される熱によって発生するボイドを抑制でき、引張特性、しゅう動特性などの機械特性が低下しない改質ふっ素樹脂組成物及び改質ふっ素樹脂成形体を提供することができる。
また、本実施形態に係る改質ふっ素樹脂組成物では、熱処理改質ふっ素樹脂の粉末が、ベース樹脂に対し5〜60質量部混和されている。これにより、耐摩耗性を向上させつつ、引張特性、特に伸びの低下を抑制できる。
さらに、本実施形態では、熱処理改質ふっ素樹脂の粉末の最大粒径を200μm以下としている。これにより、引張特性(引張強さや伸び)の低下を抑制できる。
また、本実施形態では、熱処理改質ふっ素樹脂の粉末のアスペクト比を2以下としている。これにより、得られる改質ふっ素樹脂成形体の成形圧方向とその垂直方向での特性の差を小さくすることができる。
さらに、本実施形態では、ベース樹脂としてふっ素樹脂を用い、そのふっ素樹脂に熱処理改質ふっ素樹脂の粉末を混和している。これにより、ふっ素樹脂本来の低摩擦性、耐熱性、電気特性、耐薬品性やクリーン性(非汚染性)に優れるといった特性に加え、改質ふっ素樹脂の耐摩耗性や耐クリープ性などに優れるという特性を付与し、さらに引張特性、曲げ特性、しゅう動特性などの機械特性を向上させた改質ふっ素樹脂成形体を得ることができる。そのため、この改質ふっ素樹脂組成形体を、しゅう動環境下や高温での圧縮環境下で用いることが可能となる。
本発明の改質ふっ素樹脂組成物(改質ふっ素樹脂成形体)の用途としては、産業機械、OA(Office Automation)機器などのしゅう動部品、半導体関連製造部品など幅広い用途が期待できる。
以下、本発明の実施例および比較例を説明する。
PTFEには旭硝子社製の商品名P−63Pを用いた。
改質PTFEは、上記PTFE(P−63P)を酸素分圧13.3Pa(10-1torr)の窒素(0.1MPa(760torr))雰囲気下、340℃の温度のもとで電子線(加速電圧1.5MeV)を120kGy照射することにより作製した。その後、これを石臼式摩砕機(増幸産業(株)社製;スーパーマスコロイダーMKZA10−15J)により粉砕し、平均粒径20μm、最大粒径90μmの改質ふっ素樹脂の粉末を得た。
この改質ふっ素樹脂の粉末を窒素雰囲気の下、325℃で1.5時間熱処理を行い、さらに高速衝撃式粉砕機(ホソカワミクロン(株)社製;コントラプレックス250CW)を用いて解粉し、熱処理改質ふっ素樹脂(改質PTFE−B)の粉末を作製した。この熱処理改質ふっ素樹脂の融点は、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製;Pyris1TGA)による窒素中、昇温速度10℃/分での測定により318℃であった。
同様にして、改質ふっ素樹脂の粉末を空気中で320℃で1.5時間熱処理を行った熱処理改質ふっ素樹脂(改質PTFE−A)、および窒素雰囲気中で315℃で1.5時間熱処理を行った熱処理改質ふっ素樹脂(改質PTFE−C)を作製し、さらに、比較のために熱処理を行わない改質ふっ素樹脂(改質PTFE−D)を作製した。
各樹脂材料を表1に示す割合で配合し、実施例1〜7および比較例1〜3の改質ふっ素樹脂組成物を作製した。樹脂材料の混合にはミキサを用い、10℃の雰囲気下で3分間行った。
Figure 2010037357
実施例1〜7および比較例1〜3の各改質ふっ素樹脂組成物を用いて面圧50MPaでφ80mm、高さ80mmに圧縮成形し、その後、360℃×4時間の条件で焼成することで改質ふっ素樹脂成形体を得た。この改質ふっ素樹脂成形体から円柱軸の直角方向に所定の厚さで切削加工することにより、試験片を切り出し、評価サンプルとした。なお、測定数は各試料3点とし、これらの算術平均を平均値として評価に用いた。評価は耐摩耗性および引張特性について行った。
(1)耐摩耗性
試験には、スラスト摩耗試験装置を使用し、JIS K7218に準じ、SUS304製の円筒リング(外径25.6mm、内径20.6mm)に試験片(外径25.6mm、内径20.6mm、厚さ1mm)を貼り合せ、相手材にはSUS304板(縦30mm、横30mm、厚さ5mm、平均粗さ0.2μm)を用いた。
ドライ中でのしゅう動特性評価としては、圧力0.4MPa、速度2m/secの条件で行った。50時間後の重量減少を測定し、比摩耗量(×10-8mm3/Nm)を算出すると共に、定常状態のトルク曲線から摩擦係数を求めた。
(2)引張特性
上記摩耗試験に用いた試験片と同様の厚さ1mmシートを用い、これを23℃に1昼夜放置後、JIS K7113に準拠し、引張速度200mm/分の条件で引張試験を行った。使用したダンベルは2(1/2)号形である。
評価結果を表1に併せて示す。
表1に示すように、本発明を適用した実施例1〜7では、いずれも比摩耗量が小さく耐摩耗性に優れ、かつ摩擦係数も低いレベルを保持している。また、引張強さおよび伸びも高い値を示している。
これに対し、熱処理改質ふっ素樹脂の混和量が5質量部未満の比較例1は高い引張特性を示すが、比摩耗量が大きく、耐摩耗性に劣り、特に、油中での耐摩耗性に劣る。
また、熱処理改質ふっ素樹脂の混和量が60質量部を超える比較例2では、耐摩耗性は高いレベルを維持しているが、引張強さおよび伸びが著しく低くなる。
さらに、熱処理していない改質ふっ素樹脂(改質PTFE−D)を用いた比較例3は、引張特性で特に伸びが著しく低下してしまう。
以上の評価結果から明らかなように、本発明によれば、優れた耐摩耗性、低摩擦性および高い引張特性を付与することが可能となり、ふっ素樹脂の応用範囲を広げる上で大きく貢献するものである。
以上、本発明の実施形態及び実施例を説明したが、上記に記載した実施形態及び実施例は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。

Claims (6)

  1. ベース樹脂と、該ベース樹脂に混和される粉末状の改質ふっ素樹脂とからなる改質ふっ素樹脂組成物において、前記改質ふっ素樹脂は、該改質ふっ素樹脂の融点近傍の温度で熱処理されたものからなることを特徴とする改質ふっ素樹脂組成物。
  2. 前記改質ふっ素樹脂は、該改質ふっ素樹脂の融点を中心に±10℃の温度範囲で熱処理されたものである請求項1記載の改質ふっ素樹脂組成物。
  3. 前記改質ふっ素樹脂は、前記ベース樹脂に対し5〜60質量部混和されている請求項1または2記載の改質ふっ素樹脂組成物。
  4. 前記改質ふっ素樹脂は、最大粒径が200μm以下である請求項1〜3いずれかに記載の改質ふっ素樹脂組成物。
  5. 前記改質ふっ素樹脂の粉末は、アスペクト比が2以下である請求項1〜4いずれかに記載の改質ふっ素樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5いずれかに記載の改質ふっ素樹脂組成物を用いて成形されたことを特徴とする改質ふっ素樹脂成形体。
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