JP2020007442A - フッ素樹脂粉体の製造方法 - Google Patents

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【課題】フッ素樹脂粉体の平均粒径を小さくすることと、フッ素樹脂粉体の粒度分布を狭くすることとを両立することができるフッ素樹脂粉体の製造方法を提供する。【解決手段】フッ素樹脂を粉砕して粉砕片を形成する工程(S1)と、前記(S1)工程の後、前記粉砕片を加熱し、フッ素樹脂粉体を生成する工程(S2)とを含み、前記(S1)工程では、前記粉砕片に残留応力が残る粉砕方法によりフッ素樹脂を粉砕し、前記(S2)工程では、前記フッ素樹脂の融点以上に加熱する。【選択図】図1

Description

本発明は、フッ素樹脂粉体の製造方法に関するものである。
従来、粉末状のフッ素樹脂(フッ素樹脂粉体)は、低摩擦特性、非粘着性、耐熱性、耐薬品性等の優れた特性を有している。そのため、摺動体等の機械部品などに用いられている。
このようなフッ素樹脂粉体の製造方法として、例えば、特許文献1には、フッ素樹脂のシートまたはブロック等を機械的に粉砕して、所定粒径のフッ素樹脂粉体を得る方法が記載されている。
特開平10−316761号公報
しかし、本発明者の検討によれば、フッ素樹脂の粉砕方法を適切に選択しても、フッ素樹脂粉体の平均粒径を小さくすることと、フッ素樹脂粉体の粒度分布を狭くすることとの両立が難しいことがわかった。
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、フッ素樹脂粉体の平均粒径を小さくすることと、フッ素樹脂粉体の粒度分布を狭くすることとを両立することができるフッ素樹脂粉体の製造方法を提供することを目的とする。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
[1](a)フッ素樹脂を粉砕して粉砕片を形成する工程と、(b)前記(a)工程の後、前記粉砕片を加熱し、フッ素樹脂粉体を生成する工程とを含み、前記(a)工程では、前記粉砕片に残留応力が残る粉砕方法によりフッ素樹脂を粉砕し、前記(b)工程では、前記粉砕片を前記フッ素樹脂の融点以上に加熱する、フッ素樹脂粉体の製造方法。
[2][1]記載のフッ素樹脂粉体の製造方法において、前記粉砕方法は、主にせん断力により粉砕する方法である。
[3][1]記載のフッ素樹脂粉体の製造方法において、前記粉砕方法は、臼式法、ローラミル法またはボールミル法のいずれかである。
本発明によれば、フッ素樹脂粉体の平均粒径を小さくすることと、フッ素樹脂粉体の粒度分布を狭くすることとを両立することができる。
本発明の一実施の形態に係るフッ素樹脂粉体の製造工程を示すプロセスフロー図である。 図1に示す粉砕工程後のフッ素樹脂粉体のSEM像である。 図2に示すフッ素樹脂粉体の粒度分布を示すグラフである。 図1に示す熱処理工程後のフッ素樹脂粉体のSEM像である。 図4に示すフッ素樹脂粉体の粒度分布を示すグラフである。 図1に示す熱処理工程において、熱処理の異なる温度で熱処理をしたフッ素樹脂粉体のSEM像である。 本発明で得られるフッ素樹脂粉体を用いた保護膜の一例を示す模式図である。 従来例のフッ素樹脂粉体を用いた保護膜の一例を示す模式図である。
(検討事項)
まず、実施の形態を説明する前に、本発明者が検討した事項について説明する。
図8には、従来例のフッ素樹脂粉体100を用いた保護膜(保護部材、コーティング膜)200を示す。保護膜200は、金属等からなる基材1上に形成されている。保護膜200は、フッ素樹脂粉体100とコーティング剤2とからなる。この保護膜200は、基材1と親和性の高い樹脂(図示せず)を基材1上に塗布した後、フッ素樹脂粉体100を分散させたコーティング剤2を塗布し、焼成することによって形成される。このように、基材1上に保護膜200を形成することで、基材1のみの場合に比べて、非粘着、低摩擦性を付与することができる。
また、図示しないが、基材上に形成する保護膜の他の例としては、メッキ膜(金属メッキ膜)が挙げられる。このメッキ膜は、基材上にフッ素樹脂粉体を分散させた金属メッキ層を被覆することによって形成される。この場合は、金属メッキ層の特性(例えば耐食性)とフッ素樹脂の特性(例えば自己潤滑性、撥水性、非粘着性)とを両立することができる。
ここで、フッ素樹脂粉体の製造方法について検討する。前述したように、フッ素樹脂粉体100は、フッ素樹脂のシートまたはブロック等を機械的に粉砕して製造することが一般的である。フッ素樹脂の粉砕方法として、例えば、衝撃による粉砕(ジェットミル法等)、せん断力による粉砕(臼式法、ローラミル等)、またはこれらの組み合わせ(ボールミル法等)がある。
まず、ジェットミル法とは、高圧ガスをノズルから噴出させ、生じたジェット気流によって原材料を加速させ、加速した粒子同士の衝突等によって原材料を粉砕する方法である。ジェットミル法は、粉砕対象物の硬度が高い場合に有効である。ただし、フッ素樹脂は、高い弾性を有するため、一定の平均粒径以下(約40μm以下)になると、粉体同士の衝突の際に生じる運動エネルギーが塑性変形を引き起こすエネルギー、すなわち、粉体の破壊に必要なエネルギーより小さくなる。そのため、ジェットミル法では、例えば40μm以下の平均粒径を有するフッ素樹脂粉体を得ることが難しい。図8に示すように、例えば40μm以上の平均粒径を有するフッ素樹脂粉体100を含む保護膜200を基材1上に形成すると、表面の粗い保護膜200となってしまう。この場合は、保護膜200の摩擦係数が大きくなる。そのため、フッ素樹脂粉体100が保護膜200から剥離し易く、保護膜200による耐摩耗性が低下してしまうという問題がある。
次に、臼式法とは、上下に配置された一対の砥石のうちの一方を回転させ、原材料が一対の砥石間を通過する際に原材料に対して発生するせん断力によって原材料を粉砕する方法である。また、ローラミル法とは、鉄盤上でローラを旋転させて、原材料が鉄盤とローラとの間を通過する際に原材料に対して発生するせん断力によって原材料を粉砕する方法である。臼式法およびローラミル法では、原材料の塑性変形領域を超えたものが破断し、粉砕される。この際、原材料の弾性変形領域を超えて材料が引き伸ばされるため、例えばジェットミル法に比べて平均粒径の小さい(40μm以下)粒子が生成されやすい。一方で、原材料の弾性変形領域を超えて材料が引き伸ばされるため、アスペクト比の大きい(非球状の)粒子が生成されやすい。アスペクト比の大きい粒子が多いということは、粒度分布(粒径分布)が広くなる。そのため、臼式法およびローラミル法では、粒度分布の狭いフッ素樹脂粉体を得ることが難しい。図8に示すように、粒度分布の広いフッ素樹脂粉体100を含む保護膜200を基材1上に形成すると、表面の粗い保護膜200となってしまう。前述したように、この場合は、保護膜200による耐摩耗性が低下してしまうという問題がある。
次に、ボールミル法とは、原材料と硬質のボールとを容器に入れて、その容器を回転させることによって、原材料をボールによりすりつぶして粉砕する方法である。この方法は、衝撃とせん断との両方による粉砕が起こるが、せん断による粉砕の影響が大きく、臼式法およびローラミル法と同様にアスペクト比の大きい粒子が生成されやすい。そのため、ボールミル法では、粒度分布の狭いフッ素樹脂粉体を得ることが難しい。従って、前述の図8に示すように、粒度分布の広いフッ素樹脂粉体100を含む保護膜200を基材1上に形成すると、表面の粗い保護膜200となってしまう。
以上より、フッ素樹脂の粉砕方法を適切に選択しても、フッ素樹脂粉体の平均粒径を小さくすることと、フッ素樹脂粉体の粒度分布を狭くすることとの両立が難しいことがわかった。そのため、フッ素樹脂粉体の製造方法を工夫することにより、フッ素樹脂粉体の平均粒径を小さくすることと、フッ素樹脂粉体の粒度分布を狭くすることとを両立することが望まれる。
(実施の形態)
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、実施の形態を示す各図中において、同一または同様の部分は同一または類似の記号または参照番号で示し、説明は原則として繰り返さない。
図1に示すように、本実施の形態のフッ素樹脂粉体の製造方法は、フッ素樹脂の粉砕工程(S1)と、粉砕工程(S1)によって粉砕したフッ素樹脂(以下、フッ素樹脂の粉砕片と称する)の熱処理工程(S2)とを含んでいる。
フッ素樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等を用いることができる。これらのうちの2種類以上のフッ素樹脂を併用することもできる。前述の保護膜に用いるフッ素樹脂粉体としては、ポリテトラフルオロエチレンが最も好適である。
そして、粉砕工程(S1)では、粉砕片に残留応力が残る粉砕方法によりフッ素樹脂を粉砕する。ここで、残留応力とは、外力を除去した後でも物体内に存在する応力のことである。粉砕片に残留応力が残る粉砕方法としては、主にせん断力を用いた粉砕法である臼式法、ローラミル法またはボールミル法が好ましい。残留応力が残ったフッ素樹脂の粉砕片の形状は、アスペクト比の大きい形状、具体的には、鱗片や捻状となる。なお、フッ素樹脂を臼式法により粉砕する場合には、あらかじめフッ素樹脂を例えば平均粒径1〜2mmの粉体にしておくことが好ましい。
また、熱処理工程(S2)では、フッ素樹脂の粉砕片を、このフッ素樹脂の融点以上に加熱し、フッ素樹脂粉体を生成する。例えば、フッ素樹脂としてポリテトラフルオロエチレン(融点327℃)を採用した場合には、加熱温度は340±10℃が好ましい。また、加熱時間は、15分以上であり、60分以下であることが好ましい。加熱時間が15分未満であると、温度が不均一となり、後述する熱による応力解放が十分に進行しない可能性がある。また、加熱時間が60分を超えると、フッ素樹脂を構成する炭素鎖が切断される分解反応が進行し、フッ素樹脂の特性が劣化するおそれがある。また、熱処理工程(S2)における加熱雰囲気は特に限定されず、フッ素樹脂の粉砕片の加熱は、例えば大気中で行うことができる。
以下、本実施の形態のフッ素樹脂粉体の製造方法の効果について説明する。
本実施の形態では、図1に示すフッ素樹脂の粉砕工程(S1)において、粉砕片に残留応力が残る粉砕方法によりフッ素樹脂を粉砕している。具体的に、臼式法等の主にせん断力を用いた粉砕法においては、原材料の弾性変形範囲(弾性変形領域)を超えて引き伸ばされ、その後、原材料の塑性変形範囲(塑性変形領域)を超えることにより破断し、粉砕される。ここで、外力によって原材料に変形が生じた後、外力を取り除くと原材料は元の形状に戻ろうとする。しかし、塑性変形領域では、原材料に変形が残り、元の形状まで戻ることができない。そのため、原材料の内部には、元の形状に戻ろうとする応力(残留応力)が生じることになる。その結果、フッ素樹脂を主にせん断力を用いた粉砕法によって粉砕することで、アスペクト比の大きな形状(非球状)を有する(すなわち残留応力が残った)フッ素樹脂の粉砕片を生成することができる。
次に、本実施の形態では、図1に示すフッ素樹脂の熱処理工程(S2)において、粉砕片を熱処理してフッ素樹脂粉体を生成している。フッ素樹脂の粉砕片を、このフッ素樹脂の融点以上に加熱することで、フッ素樹脂を構成する分子鎖が動けるようになり、フッ素樹脂の粉砕片に残っていた残留応力が解放される。これにより、非球状であったフッ素樹脂の粉砕片が球状または球状に近い形状に変化する。
具体的には、粉砕工程(S1)において、臼式法等の主にせん断力を用いた粉砕法によりフッ素樹脂を粉砕した場合には、フッ素樹脂が引き延ばされて粉砕片となっている。そのため、フッ素樹脂の粉砕片に残った残留応力が解放されると、引き延ばされた粉砕片が縮み上がることによって球状化する。その結果、フッ素樹脂の粉砕片よりも平均粒径が小さく、かつ、粒度分布の狭いフッ素樹脂粉体を生成することができる。
以上より、本実施の形態では、粉砕工程のみによって生成したフッ素樹脂粉体に比べて、より小さい平均粒径を有し、かつ、粒度分布の狭いフッ素樹脂粉体を得ることができる。
また、後述の実施例でも示されるように、本実施の形態では、粉砕工程を複数回行うことなく、粉砕工程1回および熱処理工程1回で、例えばジェットミル法で得られる平均粒径よりも小さい平均粒径(20μm以下)を有し、かつ、粒度分布の狭いフッ素樹脂粉体を得ることができる。
<フッ素樹脂粉体を用いた保護膜>
図7は、本発明の一実施の形態に係るフッ素樹脂粉体を用いた保護膜(保護部材、コーティング膜)を示す模式図である。図7に示すように、保護膜3は、金属等からなる基材1上に形成されている。保護膜3は、フッ素樹脂粉体10とコーティング剤2とからなる。この保護膜3は、基材1と親和性の高い樹脂(図示せず)を基材1上に塗布した後、フッ素樹脂粉体10を分散させたコーティング剤2を塗布し、焼成することによって形成される。このように、基材1上に保護膜3を形成することで、基材1のみの場合に比べて、耐摩耗性(摩擦特性)を高めることができる。これにより、例えば機械部品等の基材1の耐久性を高めることができる。
特に、図7に示すように、40μm以下(より好ましくは20μm以下)の平均粒径を有し、かつ、粒度分布の狭いフッ素樹脂粉体10を含む保護膜3を基材1上に形成すると、表面の滑らかな保護膜3となる。こうすることで、保護膜3は摩擦係数を小さく抑えることを可能にし、例えば機械部品等の基材1の非粘着性や潤滑性をさらに高めることができる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1、比較例1〜比較例3の構成>
実施例1、比較例1〜比較例3で用いた原材料は、架橋フッ素樹脂粉体(平均粒径約1〜2mm)である。
架橋フッ素樹脂粉体は、例えば以下の方法により製造することができる。まず、フッ素樹脂の成形体(例えばシート)に対して、無酸素雰囲気中または約500ppm以下の濃度の低酸素雰囲気中で、かつ、フッ素樹脂の融点以上(好ましくは融点よりも10〜30℃高い温度)に加熱された状態で電子線等の電離性放射線(照射線量1kGy〜10MGy)を照射し、フッ素樹脂を架橋する(架橋処理)。その後、架橋したフッ素樹脂の成形体をカットミル法等により機械的に粉砕し、架橋フッ素樹脂粉体(平均粒径1〜2mm)を得ることができる。なお、フッ素樹脂粉体に対して、同様の架橋処理を行い、架橋フッ素樹脂粉体を得てもよい。
実施例1、比較例1および比較例2では、フッ素樹脂として、テトラフルオロエチレン(融点327℃)を採用した。この場合、架橋処理における加熱温度は、例えば340℃である。
なお、実施例1、比較例1〜比較例3では、原材料として架橋フッ素樹脂を用いているが、これに限定されるものではなく未架橋のフッ素樹脂を用いてもよい。
<実施例1、比較例1〜比較例3の製造方法>
実施例1、比較例1〜比較例3は以下の方法で作製した。各条件は一例である。
(S1)粉砕工程
架橋フッ素樹脂粉体(平均粒径1〜2mm)を臼式法により粉砕し、フッ素樹脂の粉砕片を得た。ここで得られたフッ素樹脂の粉砕片を比較例1とした。なお、臼式法は、水を使用しない乾式でも、水を使用する湿式でもよい。
(S2)熱処理工程
(S1)工程の後、フッ素樹脂の粉砕片を30分間加熱した。この際の加熱温度は、実施例1では330℃、比較例2では300℃、また、比較例3では360℃とした。
<実施例1および比較例1の結果>
実施例1および比較例1の結果について、図2〜図5にまとめた。図2は、(S1)粉砕工程によって得られたフッ素樹脂の粉砕片(比較例1)のSEM像である。図3は、図2に示すフッ素樹脂の粉砕片(比較例1)の粒度分布である。図4は、(S2)熱処理工程によって得られたフッ素樹脂粉体(実施例1)のSEM像である。図5は、図4に示すフッ素樹脂粉体(実施例1)の粒度分布である。
まず、比較例1のフッ素樹脂の粉砕片の形状について説明する。(S1)粉砕工程は、主にせん断力を用いた粉砕方法である臼式法を用いて行っている。そのため、図2に示すように、(S1)粉砕工程で得られたフッ素樹脂の粉砕片(比較例1、すなわち実施例1の(S2)熱処理工程前)は、アスペクト比の大きい形状(非球状、具体的には鱗片状や捻状)である。前述したように、このフッ素樹脂の粉砕片には、残留応力が残っていると考えられる。
次に、比較例1のフッ素樹脂の粉砕片の粒度分布について説明する。図3に示すように、比較例1において、粒径の累積分布において50vol%になる点の粒径(D50%)は、21.8μm、粒径の累積分布において90vol%になる点の粒径(D90%)は、43.4μmである。ここで、平均粒径は、粒子の累積分布において50vol%を示すときの粒径、すなわちD50%を指すそして、D90%は、全粒子の中でのほぼ最大粒径を表している。比較例1の結果は、例えば臼式法による粉砕工程のみによってフッ素樹脂粉体を得た場合に相当する。すなわち、粉砕工程のみでは、フッ素樹脂粉体は平均粒径20μm以上となり、かつ、粒度分布も比較的広いといえる。
続いて、実施例1のフッ素樹脂粉体の形状について説明する。実施例1において、(S1)粉砕工程で得られたフッ素樹脂の粉砕片に対して、(S2)熱処理工程を施した結果を、図4に示す。図4に示すように、(S2)熱処理工程後のフッ素樹脂粉体は、アスペクト比の小さい形状(具体的には、球状)である。前述したように、熱処理によって残留応力が解放され、引き延ばされた粉砕片が収縮することによって球状化したものと考えられる。
次に、実施例1のフッ素樹脂粉体の粒度分布について説明する。図5に示すように、実施例1において、粒径の累積分布において50vol%になる点の粒径(D50%)は、17.0μm、粒径の累積分布において90vol%になる点の粒径(D90%)は、36.2μmである。実施例1の結果は、(S2)熱処理工程によって、平均粒径が20μm以下となり、かつ、粒度分布も狭くなったことを示している。
<実施例1および比較例1〜比較例3の比較結果>
実施例1および比較例1〜3の比較結果について、図6にまとめた。図6は、実施例1および比較例1〜3のSEM(走査型電子顕微鏡)像である。比較例1のSEM像を図6中aと、比較例2のSEM像を図6中bと、実施例1のSEM像を図6中cと、比較例3のSEM像を図6中dとしている。
ここでは、(S2)熱処理工程における加熱温度について検討する。前述したように、比較例1は未加熱、すなわち熱処理を行っていないもの、比較例2は300℃にて30分加熱したもの、実施例1は330℃にて30分加熱したもの、比較例3は360℃にて30分加熱したものである。
図6中aに示すように、比較例1のフッ素樹脂粉体(粉砕片)の形状は鱗状であって、平均粒径は21.8μmである(図3参照)。図6中bに示すように、比較例2のフッ素樹脂粉体の形状は鱗状であって、平均粒径は21.8μmである。すなわち、比較例2は、比較例1に比べて変化がみられない。図6中cに示すように、実施例1のフッ素樹脂粉体の形状は球状であって、平均粒径は17.0μmである(図5参照)。図6中dに示すように、比較例3のフッ素樹脂粉体は、明らかに溶融している。そのため、フッ素樹脂粉体は一体化しており、粒径は測定することができなかった。
前述のように、比較例2は、フッ素樹脂の融点(327℃)よりも約30℃低い温度で加熱している。そのため、応力解放が行われず、(S2)熱処理工程の前後でフッ素樹脂粉体の形状に変化がないものと考えられる。その結果、フッ素樹脂の融点よりも十分低い温度で熱処理を行っても、平均粒径は小さくならず、また、粒度分布も狭くならないことがわかった。
また、比較例3は、フッ素樹脂の融点(327℃)よりも約30℃高い温度で加熱している。そのため、フッ素樹脂粉体が溶融してしまい、フッ素樹脂粉体としての意味をなさない結果となった。
以上の結果より、(S2)熱処理工程における加熱温度は、340±10℃が好ましいということがわかった。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
1 基材
2 コーティング剤
3,200 保護膜
10,100 フッ素樹脂粉体

Claims (3)

  1. (a)フッ素樹脂を粉砕して粉砕片を形成する工程と、
    (b)前記(a)工程の後、前記粉砕片を加熱し、フッ素樹脂粉体を生成する工程と、
    を含み、
    前記(a)工程では、前記粉砕片に残留応力が残る粉砕方法によりフッ素樹脂を粉砕し、
    前記(b)工程では、前記フッ素樹脂の融点以上に加熱する、フッ素樹脂粉体の製造方法。
  2. 請求項1記載のフッ素樹脂粉体の製造方法において、
    前記粉砕方法は、主にせん断力により粉砕する方法である、フッ素樹脂粉体の製造方法。
  3. 請求項2記載のフッ素樹脂粉体の製造方法において、
    前記粉砕方法は、臼式法、ローラミル法またはボールミル法のいずれかである、フッ素樹脂粉体の製造方法。
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