JP2010037288A - 3官能ニトリルオキシドおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】比較的良好な安定性を示す、分子内に3つのニトリルオキシド基を有する3官能ニトリルオキシドおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】下記一般式(1):
Figure 2010037288

で示される3官能ニトリルオキシドおよび対応するトリホルミル体からオキシム体を経て調製する該3官能ニトリルオキシドの製造方法。一般式(1)におけるRは、各々独立して水素原子、アルキル基またはアルコキシ基であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、分子内にニトリルオキシド基を3つ有する3官能ニトリルオキシドおよびその製造方法に関する。
近年、アジドとアルキンとを用いたクリックケミストリーが医薬候補化合物の合成、マテリアル創製、バイオプローブなどの分野で活用されている(非特許文献1および非特許文献2参照)。しかし、アジド化合物には、毒性・爆発性があり、特に2以上のアジド基を有する多官能性アジドは、爆発性が極めて高く取り扱いが困難である。
一方、窒素原子および酸素原子を含むアレン型の1,3−双極子であるニトリルオキシドは、非常に反応性が高く、また、下記に示されるように、無触媒でアルキンに加えてアルケンとも反応し、芳香族であるイソオキサゾールやイソオキサゾリンを容易に与えることから、ニトリルオキシドとアルキンまたはアルケンとを用いた反応は、より汎用性の高い新規なクリック反応として期待される(たとえば非特許文献3参照)。
Figure 2010037288
従来、分子内にニトリルオキシド基を2つ有する2官能ニトリルオキシドは公知である(特許文献1)。
特開平11−180943号公報 M.G.Finnら,化学と工業,Vol.60−10,p976−980(2007) H.C.Kolb et.,Angew.Chem.Int.Ed.,40,p2004−2021(2001) Y.Iwakura et.,Polymer Journal,Vol.2,No.1,p36−42(1971)
一般に、ニトリルオキシドは、反応性が高いために、二量化等の反応を起こしやすく不安定であり、特に分子内に複数のニトリルオキシド基を有する多官能性ニトリルオキシドはこの傾向が顕著である。
本発明は、比較的良好な安定性を示す、分子内に3つのニトリルオキシド基を有する3官能ニトリルオキシドおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、特定の構造を有する3官能ニトリルオキシドによれば上記課題が解決されることを見出した。すなわち、本発明は以下のとおりである。
本発明は、下記一般式(1):
Figure 2010037288
(上記一般式(1)中、Rは、各々独立して水素原子、アルキル基またはアルコキシ基を表す。)で示される3官能ニトリルオキシドを提供する。一般式(1)におけるRは、各々独立してアルキル基またはアルコキシ基であることが好ましい。
また、本発明は、下記一般式(2):
Figure 2010037288
(上記一般式(2)中、Rは、各々独立して水素原子、アルキル基またはアルコキシ基を表す。)で示されるトリホルミル体から、下記一般式(3):
Figure 2010037288
(上記一般式(3)中、Rは前記と同じ意味を表す。)で示されるオキシム体を調製する工程と、該オキシム体から、下記一般式(1):
Figure 2010037288
(上記一般式(1)中、Rは前記と同じ意味を表す。)で示される3官能ニトリルオキシドを調製する工程と、を備える3官能ニトリルオキシドの製造方法を提供する。一般式(1)におけるRは、各々独立してアルキル基またはアルコキシ基であることが好ましい。
本発明により、比較的安定性の良好な3官能ニトリルオキシドが提供される。本発明の3官能ニトリルオキシドは、たとえば高分子架橋剤などとして使用できるほか、多官能性アルキンや多官能性アルケンとの環化重付加反応(クリック反応)により簡便にポリイソオキサゾールやポリイソオキサゾリンを合成し得ることから、かかる高分子材料の製造中間体などとして好適に適用することが可能である。
本発明が提供するニトリルオキシドは、下記一般式(1):
Figure 2010037288
で示される、分子内にニトリルオキシド基を3つ有する3官能ニトリルオキシド(以下、ニトリルオキシド(1)とも称する。)である。上記一般式(1)に示されるように、ニトリルオキシド(1)が有する3つのニトリルオキシド基は、同じベンゼン環上に、互いにメタ位の関係で配置固定されているため、分子内でのニトリルオキシド同士の反応が生じにくい構造となっており、比較的良好な安定性を示す。
一般式(1)におけるRは、各々独立して水素原子、アルキル基またはアルコキシ基である。各ニトリルオキシド基の間(ニトリルオキシド基のオルト位)に、アルキル基やアルコキシ基などの置換基が導入されていると、RがHやF、OHなどの場合と比較してニトリルオキシド(1)の安定性がより向上する。
上記アルキル基としては、特に制限されないが、たとえば炭素数1〜20程度の直鎖状または分岐状のアルキル基を挙げることができ、好ましくは炭素数1〜4程度の直鎖状または分岐状のアルキル基であり、より好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基である。
また、上記アルコキシ基としては、特に制限されないが、たとえば炭素数1〜20程度の直鎖状または分岐状のアルコキシ基を挙げることができ、好ましくは炭素数1〜4程度の直鎖状または分岐状のアルコキシ基であり、より好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基である。
ニトリルオキシド(1)は、下記スキームに示されるルートで合成することができる。すなわち、対応する1,3,5−トリホルミルベンゼンまたは1,3,5−トリホルミル−2,4,6−トリアルキル(またはトリアルコキシ)ベンゼン(2)(以下、単にトリホルミル体(2)と称することがある。)から、対応する1,3,5−トリヒドロキサモイルベンゼンまたは1,3,5−トリヒドロキサモイル−2,4,6−トリアルキル(またはトリアルコキシ)ベンゼン(3)(以下、単にオキシム体(3)と称することがある。)を調製し(反応a)、ついで、オキシム体(3)をニトリルオキシド(1)に変換する(反応b)方法である。なお、下記スキームにおけるRは、前記と同じ意味を表す。
Figure 2010037288
トリホルミル体(2)をオキシム体(3)に誘導する方法(反応a)としては、特に制限されないが、トリホルミル体(2)をヒドロキシルアミンまたはその塩および塩基で処理する方法が好ましく用いられる。ヒドロキシルアミン塩としては、たとえば、塩酸ヒドロキシルアミン、硫酸ヒドロキシルアミン、リン酸ヒドロキシルアミンなどを用いることができる。ヒドロキシルアミンまたはその塩の使用量は、理論的にはトリホルミル体(2)1モルに対して3モルであるが、反応の状況などに応じて適宜増減させてもよい。具体的には、ヒドロキシルアミンまたはその塩の使用量は、トリホルミル体(2)1モルに対して3〜15モルであり、好ましくは3〜4.5モルである。
上記塩基としては、たとえば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩などが挙げられる。塩基の使用量は、トリホルミル体(2)1モルに対して3〜15モルであり、好ましくは3〜4.5モルである。
上記反応aは、通常溶媒中にて行なわれる。使用可能な溶媒としては、特に制限されるものではなく、たとえば、メタノール、エタノール等のアルコール;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル;酢酸エチル等のエステル;水、およびこれらの混合溶媒などが挙げられる。
反応温度は、通常0〜100℃程度であり、好ましくは、10〜50℃程度の範囲である。
反応終了後は、常法に従って後処理操作を行なうことにより、オキシム体(3)を単離することができる。単離されたオキシム体(3)は、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の通常の精製手段により精製されてもよい。また、単離されたオキシム体(3)は、精製することなく、次工程に使用することもできる。あるいは、後処理操作の一部または全部を行なうことなく、次工程に供されてもよい。
上記反応bにより、オキシム体(3)からニトリルオキシド(1)を得る方法としては、たとえば、オキシム体(3)を塩基および塩素化剤、臭素化剤またはヨウ素化剤で処理する方法が好ましく用いられる。より具体的には、オキシム体(3)を溶媒中に溶解または懸濁させ、該溶液または懸濁液に、塩基を加え、ついで塩素化剤、臭素化剤またはヨウ素化剤を添加して反応を行なう方法が好適である。上記塩基としては、オキシム体(3)が有する水酸基から水素を引き抜くことができる程度の塩基性を有する限り特に制限されないが、たとえば、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリn−プロピルアミン、トリブチルアミンなどを用いることができる。また、用いる塩基は、オキシム体(3)が水溶性であることに鑑みると、ある程度の水溶性を示す塩基を用いることが好ましい。塩基の使用量は、オキシム体(3)1モルに対して2.7〜9モルであり、好ましくは3〜6モルである。
上記塩素化剤としては、たとえば、N−クロロこはく酸イミド(NCS)、塩素が挙げられ、なかでもNCSが好ましく用いられる。臭素化剤としては、たとえば、N−ブロモこはく酸イミド(NBS)、臭素、2,4,4,6−テトラブロモ−2,5−シクロヘキサジエノン(TBCO)が挙げられ、なかでもNBS、臭素が好ましく用いられる。ヨウ素化剤としては、たとえば、N−ヨードこはく酸イミド(NIS)、ICl(一塩化ヨウ素)、ヨウ素が挙げられ、なかでもNISが好ましく用いられる。オキシム体(3)のモル数に対する塩素化剤、臭素化剤またはヨウ素化剤が含有する塩素化反応、臭素化反応またはヨウ素化反応に寄与し得る塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子のモル数は理論的には1であるが、反応の状況などに応じて適宜増減させてもよい。具体的には、塩素化剤としてNCSが用いられる場合、その使用量は、オキシム体(3)1モルに対して通常2.7〜9モルであり、好ましくは3〜6モルである。
上記溶媒としては、特に制限されるものではなく、たとえば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、クロロホルム等のハロゲン化脂肪族炭化水素、;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル;酢酸エチル等のエステル;水、およびこれらの混合溶媒などが挙げられる。
反応温度は、通常0〜200℃程度であり、好ましくは、10〜100℃程度の範囲である。反応温度が200℃を超えると、逆反応が顕著になる傾向がある。オキシム体(3)を塩基および塩素化剤、臭素化剤またはヨウ素化剤で処理することにより、オキシム体(3)のヒドロヘキサモイル基が塩素化、臭素化またはヨウ素化されて(ヒドロキシイミノ)クロロメチル基、(ヒドロキシイミノ)ブロモメチル基または(ヒドロキシイミノ)ヨードメチル基に変換され、これが塩基により脱塩化水素、脱臭化水素または脱ヨウ化水素されてニトリルオキシド基に誘導されると考えられる。
反応終了後は、常法に従って後処理操作を行なうことにより、ニトリルオキシド(1)を単離することができる。単離されたニトリルオキシド(1)は、たとえば、再結晶(再沈殿)などの精製手段により精製することも可能である。
また、オキシム体(3)からニトリルオキシド(1)を調製する方法として、オキシム体(3)を次亜塩素酸ナトリウムで処理する方法を用いてもよい。
上記トリホルミル体(2)は、たとえば、下記スキームに示される方法により調製することができる。下記スキームにおけるRは、前記と同じ意味を表す。
Figure 2010037288
(i)のルートは、メシチレンを出発原料とし、クロロメチル化、アセトキシ化、ヒドロキシル化を順次行ない、得られたトリヒドロキシメチル体を、たとえば重クロム酸ピリジニウム(PDC)等を用いて酸化する方法である。メシチレンのクロロメチル化は、たとえばKilway,K.V.;Siegel,J.S.,J.Am.Chem.Soc.,Vol.114,No.1,p255−261(1992)に記載の方法に従って行なうことができる。また、上記トリヒドロキシメチル体は、米国特許第3,022,355号明細書に記載の方法によっても得ることができる。
(ii)のルートは、シアノ基を還元する方法であり、J.Narasimha Moorthy et.,J.Org.Chem.,66,p7013−7019(2001)に記載されている。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(製造例1:1,3,5−トリス(クロロメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼンの合成)
Figure 2010037288
Kilway,K.V.;Siegel,J.S.,J.Am.Chem.Soc.,Vol.114,No.1,p255−261(1992)に従って、1,3,5−トリス(クロロメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼンを合成した。まず、メシチレン1.4mL(10ミリモル)およびクロロメチルメチルエーテル6.8mL(900ミリモル)を含有するジクロロメタン溶液(30mL)を0℃に冷却した。次に、四塩化スズ10.5mL(900ミリモル)を、ジクロロメタン溶液にゆっくりと加え、0℃で2時間攪拌した。その後、反応混合液に水30mLを加えて反応を停止させた後、分液した。水層をジクロロメタン30mLで2回抽出した後、有機層と抽出液とを合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムを濾別後、溶媒を減圧下に留去した。得られた粗生成物をエタノールから再結晶することにより、無色板状結晶として、1,3,5−トリス(クロロメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン2.60gを得た(収率98%)。
1,3,5−トリス(クロロメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼンの1H−NMRデータは次のとおりである。
1H-NMR(CDCl3,400MHz,TMS)δ(ppm):4.70(s,6H)、2.51(s,9H)。
(製造例2:1,3,5−トリス(アセトキシメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼンの合成)
Figure 2010037288
1,3,5−トリス(クロロメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン5.3g(200ミリモル)の酢酸溶液(40mL)に、酢酸ナトリウム・3水塩10.9g(800ミリモル)を加え、1日還流加熱した。その後、室温まで冷却し、反応混合物に水40mLを加えると白色沈殿が生じた。この沈殿を含む液を濾過し、濾過物を水で繰り返し洗浄後、一晩真空乾燥することにより、白色固体として、1,3,5−トリス(アセトキシメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン6.7gを得た(収率99%)。
1,3,5−トリス(アセトキシメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼンの1H−NMRデータは次のとおりである。
1H-NMR(CDCl3,400MHz,TMS)δ(ppm):5.24(s,6H)、2.43(s,9H)、2.07(s,9H)。
(製造例3:1,3,5−トリス(ヒドロキシメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼンの合成)
Figure 2010037288
1,3,5−トリス(アセトキシメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン1.0g(2.97ミリモル)のメタノール溶液(15mL)に、炭酸カリウム41.1mg(0.30ミリモル)を加え、13時間室温で撹拌した。その後、溶媒を除去することにより、粗生成物として、白色固体である1,3,5−トリス(ヒドロキシメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン670mgを得た(収率99%)。この粗生成物を精製することなく、そのまま次工程に用いた。
(製造例4:1,3,5−トリホルミル−2,4,6−トリメチルベンゼンの合成)
Figure 2010037288
1,3,5−トリス(ヒドロキシメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼンの粗生成物670mg(2.97ミリモル)のクロロホルム懸濁液(30mL)に、セライト(Celite)5.6gを加えた後、重クロム酸ピリジニウム(PDC)5.6g(15ミリモル)を加え、室温で1日撹拌した。その後、反応混合物をセライト濾過し、溶媒を減圧下に留去することにより、粗生成物として、1,3,5−トリホルミル−2,4,6−トリメチルベンゼン472mgを得た(収率78%)。
1,3,5−トリホルミル−2,4,6−トリメチルベンゼンの1H−NMRデータは次のとおりである。
1H-NMR(CDCl3,400MHz,TMS)δ(ppm):10.60(s,3H)、2.65(s,9H)。
<実施例1>
(1)1,3,5−トリヒドロキサモイル−2,4,6−トリメチルベンゼンの合成
Figure 2010037288
1,3,5−トリホルミル−2,4,6−トリメチルベンゼンの粗生成物472mg(2.31ミリモル)のエタノール溶液(7.5mL)に、塩酸ヒドロキシルアミン682mg(9.81ミリモル)および水酸化ナトリウム892mg(22ミリモル)を溶解した水溶液(7.5mL)を加え、室温で1時間撹拌した。その後、溶媒を減圧下に留去することにより、粗生成物として、1,3,5−トリヒドロキサモイル−2,4,6−トリメチルベンゼンを得た。収率はほぼ100%であった。
1,3,5−トリヒドロキサモイル−2,4,6−トリメチルベンゼンの1H−NMRデータは次のとおりである。
1H-NMR(CDCl3,400MHz,TMS)δ(ppm):8.26(s,3H)、2.32(s,9H)。
(2)1,3,5−トリス(ニトリル−N−オキシド)−2,4,6−トリメチルベンゼンの合成
Figure 2010037288
1,3,5−トリヒドロキサモイル−2,4,6−トリメチルベンゼンの粗生成物(2.31ミリモル)のクロロホルム懸濁液(30mL)に、トリエチルアミン1.86mL(13ミリモル)を加えた後、N−クロロこはく酸イミド(NCS)1.31g(9.8ミリモル)を加え、室温で3.5時間撹拌した。その後、反応混合液に水15mLを加えて反応を停止させた後、分液した。水層をクロロホルム15mLで2回抽出した後、有機層と抽出液とを合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムを濾別後、セライト(Celite)濾過し、溶媒を減圧下に留去することにより、1,3,5−トリス(ニトリル−N−オキシド)−2,4,6−トリメチルベンゼンの粗生成物562mgを得た。ジエチルエーテル30mLに対して、極少量のクロロホルムに溶解させた粗生成物を滴下することにより、NCSから副生するこはく酸イミド(スクシンイミド)等の副生物を除去するために再沈殿させた。この懸濁液を濾過し、母液を濃縮することにより、白色固体として、1,3,5−トリス(ニトリル−N−オキシド)−2,4,6−トリメチルベンゼン363mgを得た(収率64%)。
1,3,5−トリス(ニトリル−N−オキシド)−2,4,6−トリメチルベンゼンの1H−NMRデータは次のとおりである。
1H-NMR(CDCl3,400MHz,TMS)δ(ppm):2.76(s,9H)。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明により提供される3官能ニトリルオキシドは、たとえば高分子架橋剤などとして使用できるほか、多官能性アルキンや多官能性アルケンとの環化重付加反応(クリック反応)により簡便にポリイソオキサゾールやポリイソオキサゾリンを合成し得ることから、かかる高分子材料の製造中間体などとして好適に適用することが可能である。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1):
    Figure 2010037288
    (上記一般式(1)中、Rは、各々独立して水素原子、アルキル基またはアルコキシ基を表す。)
    で示される3官能ニトリルオキシド。
  2. 前記一般式(1)におけるRは、各々独立してアルキル基またはアルコキシ基である請求項1に記載の3官能ニトリルオキシド。
  3. 下記一般式(2):
    Figure 2010037288
    (上記一般式(2)中、Rは、各々独立して水素原子、アルキル基またはアルコキシ基を表す。)
    で示されるトリホルミル体から、下記一般式(3):
    Figure 2010037288
    (上記一般式(3)中、Rは前記と同じ意味を表す。)
    で示されるオキシム体を調製する工程と、
    前記オキシム体から、下記一般式(1):
    Figure 2010037288
    (上記一般式(1)中、Rは前記と同じ意味を表す。)
    で示される3官能ニトリルオキシドを調製する工程と、
    を備える3官能ニトリルオキシドの製造方法。
  4. 前記一般式(1)におけるRは、各々独立してアルキル基またはアルコキシ基である請求項3に記載の3官能ニトリルオキシドの製造方法。
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