JP5371033B2 - 3官能ニトリルオキシドおよびその製造方法 - Google Patents

3官能ニトリルオキシドおよびその製造方法 Download PDF

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本発明は、分子内にニトリルオキシド基を3つ有する3官能ニトリルオキシドおよびその製造方法に関する。
近年、アジドとアルキンとを用いたクリックケミストリーが医薬候補化合物の合成、マテリアル創製、バイオプローブなどの分野で活用されている(非特許文献1および非特許文献2参照)。しかし、アジド化合物には、毒性・爆発性があり、特に2以上のアジド基を有する多官能性アジドは、爆発性が極めて高く取り扱いが困難である。
一方、窒素原子および酸素原子を含むアレン型の1,3−双極子であるニトリルオキシドは、非常に反応性が高く、また、下記に示されるように、無触媒でアルキンに加えてアルケンとも反応し、芳香族であるイソオキサゾールやイソオキサゾリンを容易に与えることから、ニトリルオキシドとアルキンまたはアルケンとを用いた反応は、より汎用性の高い新規なクリック反応として期待される(たとえば非特許文献3参照)。
Figure 0005371033
従来、分子内にニトリルオキシド基を2つ有する2官能ニトリルオキシドは公知である(特許文献1)。
特開平11−180943号公報 M.G.Finnら,化学と工業,Vol.60−10,p976−980(2007) H.C.Kolb et.,Angew.Chem.Int.Ed.,40,p2004−2021(2001) Y.Iwakura et.,Polymer Journal,Vol.2,No.1,p36−42(1971)
一般に、ニトリルオキシドは、反応性が高いために、二量化等の反応を起こしやすく不安定であり、特に分子内に複数のニトリルオキシド基を有する多官能性ニトリルオキシドはこの傾向が顕著である。
本発明は、比較的良好な安定性を示す、分子内に3つのニトリルオキシド基を有する3官能ニトリルオキシドおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、特定の構造を有する3官能ニトリルオキシドによれば上記課題が解決されることを見出した。すなわち、本発明は以下のとおりである。
本発明は、下記一般式(1):
Figure 0005371033
(上記一般式(1)中、R1、R2およびR3は、各々独立して水素原子、アルキル基またはアルコキシ基を表す。また、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は、各々独立してアルキル基またはアルコキシ基を表す。)で示される3官能ニトリルオキシドを提供する。一般式(1)におけるR1、R2およびR3は、各々独立してアルキル基またはアルコキシ基であることが好ましい。
また、本発明は、下記一般式(2):
Figure 0005371033
(上記一般式(2)中、R1、R2およびR3は、各々独立して水素原子、アルキル基またはアルコキシ基を表す。また、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は、各々独立してアルキル基またはアルコキシ基を表す。)で示されるトリホルミル体から、下記一般式(3):
Figure 0005371033
(上記一般式(3)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は前記と同じ意味を表す。)で示されるオキシム体を調製する工程と、該オキシム体から、下記一般式(1):
Figure 0005371033
(上記一般式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は前記と同じ意味を表す。)で示される3官能ニトリルオキシドを調製する工程と、を備える3官能ニトリルオキシドの製造方法を提供する。一般式(1)におけるR1、R2およびR3は、各々独立してアルキル基またはアルコキシ基であることが好ましい。
本発明により、比較的安定性の良好な3官能ニトリルオキシドが提供される。本発明の3官能ニトリルオキシドは、たとえば高分子架橋剤などとして使用できるほか、多官能性アルキンや多官能性アルケンとの環化重付加反応(クリック反応)により簡便にポリイソオキサゾールやポリイソオキサゾリンを合成し得ることから、かかる高分子材料の製造中間体などとして好適に適用することが可能である。
本発明が提供するニトリルオキシドは、下記一般式(1):
Figure 0005371033
で示される、分子内にニトリルオキシド基を3つ有する3官能ニトリルオキシド(以下、ニトリルオキシド(1)とも称する。)である。上記一般式(1)に示されるように、ニトリルオキシド(1)が有する3つのニトリルオキシド基は、同じベンゼン環にエーテル結合を介して結合された3つのベンゼン環のそれぞれに、該エーテル結合に対してパラ位となるような位置で結合されている。そして、各ニトリルオキシド基の両オルト位に、アルキル基またはアルコキシ基である置換基(R4〜R9)が導入されている。かかる構造(特に、各ニトリルオキシド基の両オルト位に、アルキル基またはアルコキシ基である置換基を導入した構造)により、本発明のニトリルオキシド(1)は、3つのニトリルオキシド基を有するにも関わらず、比較的良好な安定性を示し、たとえば、単体で150℃程度に加熱しても分解しない。
一般式(1)におけるR1、R2およびR3は、各々独立して水素原子、アルキル基またはアルコキシ基である。目的物であるニトリルオキシドの単離のし易さを考慮すると、R1、R2およびR3は、アルキル基またはアルコキシ基であることが好ましい。上記アルキル基としては、特に制限されないが、たとえば炭素数1〜20程度の直鎖状または分岐状のアルキル基を挙げることができ、好ましくは炭素数1〜4程度の直鎖状または分岐状のアルキル基であり、より好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基である。また、上記アルコキシ基としては、特に制限されないが、たとえば炭素数1〜20程度の直鎖状または分岐状のアルコキシ基を挙げることができ、好ましくは炭素数1〜4程度の直鎖状または分岐状のアルコキシ基であり、より好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基である。
一般式(1)におけるR4、R5、R6、R7、R8およびR9は、各々独立してアルキル基またはアルコキシ基を表す。各ニトリルオキシド基の両オルト位に、アルキル基やアルコキシ基などの置換基が導入されていると、オルト位がHやF、OHなどの場合と比較してニトリルオキシド(1)の安定性がより向上する。
上記アルキル基としては、特に制限されないが、たとえば炭素数1〜20程度の直鎖状または分岐状のアルキル基を挙げることができ、好ましくは炭素数1〜4程度の直鎖状または分岐状のアルキル基であり、より好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基である。また、上記アルコキシ基としては、特に制限されないが、たとえば炭素数1〜20程度の直鎖状または分岐状のアルコキシ基を挙げることができ、好ましくは炭素数1〜4程度の直鎖状または分岐状のアルコキシ基であり、より好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基である。
ニトリルオキシド(1)は、下記スキームに示されるルートで合成することができる。すなわち、対応する1,3,5−トリス(3,5−ジ置換−4−ホルミルフェノキシメチル)−ベンゼンまたは1,3,5−トリス(3,5−ジ置換−4−ホルミルフェノキシメチル)−2,4,6−トリ置換ベンゼン(2)(以下、単にトリホルミル体(2)と称することがある。)から、対応する1,3,5−トリス(3,5−ジ置換−4−ヒドロキサモイルフェノキシメチル)−ベンゼンまたは1,3,5−トリス(3,5−ジ置換−4−ヒドロキサモイルフェノキシメチル)−2,4,6−トリ置換ベンゼン(3)(以下、単にオキシム体(3)と称することがある。)を調製し(反応a)、ついで、オキシム体(3)をニトリルオキシド(1)に変換する(反応b)方法である。なお、下記スキームにおけるR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は、前記と同じ意味を表す。
Figure 0005371033
トリホルミル体(2)をオキシム体(3)に誘導する方法(反応a)としては、特に制限されないが、トリホルミル体(2)をヒドロキシルアミンまたはその塩および塩基で処理する方法が好ましく用いられる。ヒドロキシルアミン塩としては、たとえば、塩酸ヒドロキシルアミン、硫酸ヒドロキシルアミン、リン酸ヒドロキシルアミンなどを用いることができる。ヒドロキシルアミンまたはその塩の使用量は、理論的にはトリホルミル体(2)1モルに対して3モルであるが、反応の状況などに応じて適宜増減させてもよい。具体的には、ヒドロキシルアミンまたはその塩の使用量は、トリホルミル体(2)1モルに対して3〜15モルであり、好ましくは3〜4.5モルである。
上記塩基としては、たとえば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩などが挙げられる。塩基の使用量は、トリホルミル体(2)1モルに対して3〜15モルであり、好ましくは3〜4.5モルである。
上記反応aは、通常溶媒中にて行なわれる。使用可能な溶媒としては、特に制限されるものではなく、たとえば、メタノール、エタノール等のアルコール;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル;酢酸エチル等のエステル;水、およびこれらの混合溶媒などが挙げられる。
反応温度は、通常0〜100℃程度であり、好ましくは、10〜50℃程度の範囲である。
反応終了後は、常法に従って後処理操作を行なうことにより、オキシム体(3)を単離することができる。単離されたオキシム体(3)は、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の通常の精製手段により精製されてもよい。また、単離されたオキシム体(3)は、精製することなく、次工程に使用することもできる。あるいは、後処理操作の一部または全部を行なうことなく、次工程に供されてもよい。
上記反応bにより、オキシム体(3)からニトリルオキシド(1)を得る方法としては、たとえば、オキシム体(3)を塩基および臭素で処理する方法が好ましく用いられる。より具体的には、塩基を含有する水溶液に、オキシム体(3)を加え、ついでこの溶液に臭素を添加することにより、反応を行なう方法が好適である。上記塩基としては、オキシム体(3)が有する水酸基から水素を引き抜くことができる程度の塩基性を有する限り特に制限されないが、たとえば、NaOH、KOH、LiOH、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリn−プロピルアミン、トリブチルアミンなどを用いることができる。塩基の使用量は、オキシム体(3)1モルに対して2.7〜9モルであり、好ましくは3〜6モルである。また、臭素の使用量は、オキシム体(3)1モルに対して通常2.7〜9モルであり、好ましくは3〜6モルである。臭素の代わりに、N−ブロモこはく酸イミド(NBS)、2,4,4,6−テトラブロモ−2,5−シクロヘキサジエノン(TBCO)等の臭素化剤、N−クロロこはく酸イミド(NCS)、塩素等の塩素化剤、ヨウ素等のヨウ素化剤が用いられてもよい。
反応に用いる溶媒としては、水のほか、たとえば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、クロロホルム等のハロゲン化脂肪族炭化水素、;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル;酢酸エチル等のエステルおよびこれらの混合溶媒などを用いることができる。
反応温度は、通常0〜200℃程度であり、好ましくは、10〜100℃程度の範囲である。オキシム体(3)を塩基および臭素で処理することにより、オキシム体(3)のヒドロヘキサモイル基が臭素化されて(ヒドロキシイミノ)ブロモメチル基に変換され、これが塩基により脱臭化水素されてニトリルオキシド基に誘導されると考えられる。
反応終了後は、常法に従って後処理操作を行なうことにより、ニトリルオキシド(1)を単離することができる。単離されたニトリルオキシド(1)は、たとえば、再結晶(再沈殿)などの精製手段により精製することも可能である。
上記トリホルミル体(2)は、たとえば、下記スキームに示される方法により調製することができる。すなわち、対応する3置換ベンゼン(4)(ただし、R1、R2およびR3は、水素原子であってもよい。)の2,4,6−位をクロロメチル化またはブロモメチル化して、ハロメチル体(5)を調製し(下記スキームにおいてXはClまたはBrを表す。)、ついで、このハロメチル体(5)と3当量の3,5−ジ置換−4−ホルミルフェノールとを反応させる方法である。なお、下記スキームにおけるR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は、前記と同じ意味を表す。
Figure 0005371033
3置換ベンゼン(4)におけるR1、R2およびR3は、上記したように、好ましくはアルキル基またはアルコキシ基であり、3置換ベンゼン(4)の具体例を挙げれば、たとえば、1,3,5−トリメチルベンゼン(メシチレン)、1,3,5−トリエチルベンゼン、1,3,5−トリメトキシベンゼン、1,3,5−トリエトキシベンゼンなどである。3置換ベンゼン(4)として、2種以上の化合物が用いられてもよい。3置換ベンゼン(4)のクロロメチル化またはブロモメチル化は、たとえばKilway,K.V.;Siegel,J.S.,J.Am.Chem.Soc.,Vol.114,No.1,p255−261(1992)に記載の方法に従って行なうことができる。
ハロメチル体(5)のエーテル化に用いられる3,5−ジ置換−4−ホルミルフェノールとしては、3,5−ジメチル−4−ホルミルフェノール、3,5−ジエチル−4−ホルミルフェノール、3,5−ジメトキシ−4−ホルミルフェノール、3,5−ジエトキシ−4−ホルミルフェノールなどの3,5−ジアルキル−4−ホルミルフェノールおよび3,5−ジアルコキシ−4−ホルミルフェノールが挙げられる。3,5−ジ置換−4−ホルミルフェノールとして、2種以上の化合物が用いられてもよい。ハロメチル体(5)のエーテル化は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の塩基を用いて行なうことができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(製造例1:1,3,5−トリス(クロロメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼンの合成)
Figure 0005371033
Kilway,K.V.;Siegel,J.S.,J.Am.Chem.Soc.,Vol.114,No.1,p255−261(1992)に従って、1,3,5−トリス(クロロメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼンを合成した。まず、メシチレン1.4mL(10ミリモル)およびクロロメチルメチルエーテル6.8mL(900ミリモル)を含有するジクロロメタン溶液(30mL)を0℃に冷却した。次に、四塩化スズ10.5mL(900ミリモル)を、ジクロロメタン溶液にゆっくりと加え、0℃で2時間攪拌した。その後、反応混合液に水30mLを加えて反応を停止させた後、分液した。水層をジクロロメタン30mLで2回抽出した後、有機層と抽出液とを合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムを濾別後、溶媒を減圧下に留去した。得られた粗生成物をエタノールから再結晶することにより、無色板状結晶として、1,3,5−トリス(クロロメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン2.60gを得た(収率98%)。
1,3,5−トリス(クロロメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼンの1H−NMRデータは次のとおりである。
1H-NMR(CDCl3,400MHz,TMS)δ(ppm):4.70(s,6H)、2.51(s,9H)。
(製造例2:1,3,5−トリス(3,5−ジメトキシ−4−ホルミルフェノキシメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼンの合成)
Figure 0005371033
1,3,5−トリス(クロロメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン100mg(0.376ミリモル)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(3mL)に、3,5−ジメトキシ−4−ホルミルフェノール206mg(1.13ミリモル)と炭酸カリウム208mg(1.51ミリモル)とを加え、80℃で1日攪拌した。その後、室温まで冷却し、反応混合液に水10mLを加えて反応を停止させた後、分液した。水層をクロロホルム10mLで3回抽出した後、有機層と抽出液とを合わせ、水5mLで2回、飽和食塩水5mLで2回洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムを濾別後、溶媒を減圧下に留去することにより、白色固体として、1,3,5−トリス(3,5−ジメトキシ−4−ホルミルフェノキシメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼンの粗生成物300mgを得た。得られた粗生成物をクロロホルムとヘキサンの混合溶媒から再結晶することにより、純粋な1,3,5−トリス(3,5−ジメトキシ−4−ホルミルフェノキシメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン200mgを得た(収率75%)。
1,3,5−トリス(3,5−ジメトキシ−4−ホルミルフェノキシメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼンの1H−NMRデータは次のとおりである。
1H-NMR(CDCl3,400MHz,TMS)δ(ppm):10.4(s,3H)、6.18(s,6H)、5.19(s,6H)、3.90(s,18H)、2.48(s,9H)。
<実施例1>
(1)1,3,5−トリス(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキサモイルフェノキシメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼンの合成
Figure 0005371033
1,3,5−トリス(3,5−ジメトキシ−4−ホルミルフェノキシメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン100mg(0.14ミリモル)のエタノール溶液(0.5mL)に、ヒドロキシルアミン塩酸塩33mg(0.47ミリモル)と水酸化ナトリウム43mg(1.1ミリモル)とを溶かした水溶液(0.5mL)を加え、室温で1日攪拌した。その後、溶媒を減圧下に留去することにより、1,3,5−トリス(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキサモイルフェノキシメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼンの粗生成物100mgを得た。この粗生成物を精製することなく、そのまま次工程に用いた。
(2)1,3,5−トリス(3,5−ジメトキシ−4−(ニトリル−N−オキシド)フェノキシメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼンの合成
Figure 0005371033
1,3,5−トリス(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキサモイルフェノキシメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼンの粗生成物100mg(0.14ミリモル)を、1Mの水酸化ナトリウム水溶液に加え、ついで、臭素201mg(1.26ミリモル)を該水溶液に加えて、室温で1日攪拌した。その後、水5mLを加えて反応を停止させた後、分液した。水層をクロロホルム10mLで2回抽出した後、有機層と抽出液とを合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムを濾別後、溶媒を減圧下に留去することにより、1,3,5−トリス(3,5−ジメトキシ−4−(ニトリル−N−オキシド)フェノキシメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼンの粗生成物140mgを得た。ジエチルエーテル30mLに対して、極少量のクロロホルムに溶解させた粗生成物を滴下することにより目的物を再沈殿させた。この懸濁液を濾過することにより、純粋な白色固体として、1,3,5−トリス(3,5−ジメトキシ−4−(ニトリル−N−オキシド)フェノキシメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン135mgを得た(収率99%)。
1,3,5−トリス(3,5−ジメトキシ−4−(ニトリル−N−オキシド)フェノキシメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼンの1H−NMRデータは次のとおりである。
1H-NMR(CDCl3,400MHz,TMS)δ(ppm):6.17(s,6H)、5.12(s,6H)、3.89(s,18H)、2.45(s,9H)。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明により提供される3官能ニトリルオキシドは、たとえば室温から80℃程度の温度で、重合性不飽和結合(炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合など)を有する高分子と、副生成物を発生させることなく、無触媒でも架橋反応することから、たとえば高分子架橋剤などとして使用できる。また、多官能性アルキンや多官能性アルケンとの環化重付加反応(クリック反応)により簡便にポリイソオキサゾールやポリイソオキサゾリンを合成し得ることから、かかる高分子材料の製造中間体などとして好適に適用することが可能である。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1):
    Figure 0005371033
    (上記一般式(1)中、R1、R2およびR3は、各々独立して水素原子、アルキル基またはアルコキシ基を表す。また、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は、各々独立してアルキル基またはアルコキシ基を表す。)
    で示される3官能ニトリルオキシド。
  2. 前記一般式(1)におけるR1、R2およびR3は、各々独立してアルキル基またはアルコキシ基である請求項1に記載の3官能ニトリルオキシド。
  3. 下記一般式(2):
    Figure 0005371033
    (上記一般式(2)中、R1、R2およびR3は、各々独立して水素原子、アルキル基またはアルコキシ基を表す。また、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は、各々独立してアルキル基またはアルコキシ基を表す。)
    で示されるトリホルミル体から、下記一般式(3):
    Figure 0005371033
    (上記一般式(3)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は前記と同じ意味を表す。)
    で示されるオキシム体を調製する工程と、
    前記オキシム体から、下記一般式(1):
    Figure 0005371033
    (上記一般式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は前記と同じ意味を表す。)
    で示される3官能ニトリルオキシドを調製する工程と、
    を備える3官能ニトリルオキシドの製造方法。
  4. 前記一般式(1)におけるR1、R2およびR3は、各々独立してアルキル基またはアルコキシ基である請求項3に記載の3官能ニトリルオキシドの製造方法。
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