JP2022100189A - キノロンイソインドリン誘導体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】少量の触媒量で可能な、キノロンイソインドリン誘導体の製造方法を提供する。【解決手段】パラジウム含有触媒及び酸素含有塩基化合物存在下、イソインドリンボロン酸誘導体とキノロン誘導体とを接触させることにより、下記式(3)のキノロンイソインドリン誘導体を製造する方法である。JPEG2022100189000036.jpg69131【選択図】なし
Description
本発明は、キノロンイソインドリン誘導体の製造方法に関する。
キノロンイソインドリン誘導体は、例えば、ガレノキサシン等の種々の医薬品の最終合成中間体として用いられる重要な化合物である。その製造方法として、パラジウム含有触媒及び塩基化合物存在下において、ジオール化合物を含む保護体とキノロンブロミド誘導体とを接触させる方法が報告されている(特許文献1、特許文献2参照)。
特許文献1には、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド及び炭酸ナトリウム存在下、(R)-5-ブロモ-2-(2,2-ジメチルプロパノイル)-1-メチル-イソインドリンと4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランとの反応より得られるジオール化合物を含む保護体と、7-ブロモ-1-シクロプロピル-8-ジフルオロメトキシ-1,4-ジヒドロ-4-オキソキノリン-3-カルボン酸エチルエステルと、を接触させる方法が報告されている。また、特許文献2には、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド、及び炭酸水素ナトリウム存在下で同様の反応が実施されることが報告されている。
しかしながら、本発明者の見積もりによれば、特許文献1に記載の方法では、イソインドリン誘導体である(R)-5-ブロモ-2-(2,2-ジメチルプロパノール)-1-メチル-イソインドリン1モルに対して、パラジウム含有触媒であるビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリドを、1.7モル%使用している。また、特許文献2に記載の方法では、該パラジウム含有触媒を0.6モル%使用している。
このように、特許文献1及び2に記載の製造方法によると、高価な触媒であるパラジウム含有触媒を多量に使用するものであるため、製造コストの上昇を招く虞があった。そのため、少量の触媒量であっても反応が十分に進行する反応系の開発が望まれていた。
少量の触媒量であっても、十分に反応を進行させることにより、コストダウンを図れるだけでなく、製造条件の幅も広がり、かつ触媒そのものの除去が容易となり、生産効率を高めることができる。
本発明の目的は、以上の課題を解決したキノロンイソインドリン誘導体の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、キノロンイソインドリン誘導体の製造工程において、特定の配位子を有する、プレフォームドパラジウム触媒を用いることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の一実施形態に係る、キノロンイソインドリン誘導体の製造方法は、パラジウム含有触媒及び酸素含有塩基化合物存在下、下記式(1)で表されるイソインドリンボロン酸誘導体と、下記式(2)で表されるキノロン誘導体と、を接触させることにより、下記式(3)で表されるキノロンイソインドリン誘導体を製造することを含む。ここで、前記パラジウム含有触媒は、酸素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子を含む配位子がパラジウム原子に予め配位しているプレフォームドパラジウム触媒である。
前記式(1)において、R1及びR3は、それぞれ、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アラルキル基、又はジアルキルアミノアルキル基である。また、R2は、水素原子、又はアミノ基保護基である。また、R4は、水素原子、アルキル基、又はアラルキル基であり、互いに結合して環を形成してもよい。
前記式(2)において、R5は、水素原子、又はカルボン酸保護基である。また、R6は、アルキル基、シクロアルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、アリール基、又は複素環基である。また、R7は、水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、又はアラルキル基である。また、Xは、ハロゲン原子、アルキルスルホニル基、ハロアルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基である。
前記式(3)において、R1、R2及びR3は、前記式(1)のものと同義である。また、R5、R6及びR7は、前記式(2)のものと同義である。
前記式(1)で表されるイソインドリンボロン酸誘導体と前記式(2)で表されるキノロン誘導体との接触は、難水溶性溶媒と水とを含む混合溶媒中で実施することが好ましい。
前記難水溶性溶媒は、芳香族炭化水素溶媒を含むことが好ましい。また、前記芳香族炭化水素溶媒は、トルエン、キシレン、及びメシチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
前記式(2)で表されるキノロン誘導体1モルに対して、前記プレフォームドパラジウム触媒を、前記パラジウム原子基準において0.00000010モル以上1.0モル以下使用することが好ましい。
また、前記プレフォームドパラジウム触媒及び前記酸素含有塩基化合物存在下、下記式(4)で表されるハロゲノイソインドリン誘導体と、下記式(5A)で表されるジボロン誘導体と、を接触させることにより、前記式(1)で表されるイソインドリンボロン酸誘導体を製造した後、得られた前記式(1)で表されるイソインドリンボロン酸誘導体と前記式(2)で表されるキノロン誘導体とを接触させることが好ましい。
前記プレフォームドパラジウム触媒は、ジクロロビス[ジ-tert-ブチル(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン]パラジウム(II)、クロロ[η2-P,C-トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト](トリシクロヘキシルホスフィノ)パラジウム(II)、ビス[(ジシクロヘキシル)(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン]塩化パラジウム(II)、(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)[2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(II)メタンスルホン酸塩、ジ-μ-クロロビス[5-クロロ-2-[(4-クロロフェニル)(ヒドロキシイミノ)メチル]フェニル]パラジウム(II)ダイマー、ジ-μ-クロロビス[5-ヒドロキシ-2-[1-(ヒドロキシイミノ)エチル]フェニル]パラジウム(II)ダイマー、及び(μ-クロロ){κ2-P,C-ジイソプロピルホスフィノ(2-フェニルフェノキシ)}パラジウム(II)ダイマーからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
前記式(4)において、R1、R2及びR3は、前記式(1)のものと同義である。また、X’は、ハロゲン原子である。
前記式(5A)において、R4は、前記式(1)におけるものと同義である。ただし、同一のホウ素原子に結合する-OR4におけるR4は、互いに結合して環を形成してもよい。
本発明によれば、酸素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子を含む配位子がパラジウム原子に予め配位している、プレフォームドパラジウム触媒を用いることにより、少量の触媒量であっても、反応を十分に進行できる。そのため、コストダウンを図れるだけでなく、製造条件の幅も広がり、かつ触媒そのものの除去が容易となり、生産効率を高めることができる。特に、従来技術よりも少ない触媒量とすることにより、キノロンイソインドリン誘導体のコストを大幅に低減することも可能である。
以下、本発明に係る一実施形態について詳細に説明する。本発明の一実施形態に係るキノロンイソインドリン誘導体の製造方法は、パラジウム含有触媒及び酸素含有塩基化合物存在下、前記式(1)で表されるイソインドリンボロン酸誘導体と、前記式(2)で表されるキノロン誘導体と、を接触させることにより、前記式(3)で表されるキノロンイソインドリン誘導体を製造することを含む。
<イソインドリンボロン酸誘導体>
イソインドリンボロン酸誘導体は、下記式(1)で表される化合物である。
イソインドリンボロン酸誘導体は、下記式(1)で表される化合物である。
上記式(1)において、R1及びR3は、それぞれ、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アラルキル基、又はジアルキルアミノアルキル基である。R2は、水素原子、又はアミノ基保護基である。R4は、水素原子、アルキル基、又はアラルキル基であり、互いに結合して環を形成してもよい。
式(1)において、R1及びR3は、好ましくは、水素原子であり、炭素数1~20のアルキル基であり、炭素数1~20のアルコキシ基であり、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子であり、炭素数6~20のアリール基であり、炭素数7~30のアラルキル基であり、炭素数3~20のジアルキルアミノアルキル基である。なお、前記アリール基及びアラルキル基は、置換基を有していてもよく、この置換基は、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、ハロゲン原子、炭素数7~30のアラルキル基、アルキルアミノ基が挙げられる。また、R1及びR3は、同一の基であっても、異なる基であってもよい。
R2は、ハロゲン原子とホウ素原子との交換反応が促進するようにアミノ基をジボロン誘導体から保護するものである。また、R2は、イソインドリンボロン酸誘導体を製造中間体として用いて医薬品等を製造する過程で経るカップリング反応を促進する役割を果たす。
R2がアミノ基保護基である場合、R2は、ベンジル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、ベンジルオキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基(Boc)、フルオレニルメチルオキシカルボニル基、ホルミル基、アセチル基、又はピバロイル基である。
R2は、好ましくは、トリチル基、又はt-ブトキシカルボニル基である。トリチル基は、アミノ基から切り離しやすく、化合物の結晶性を向上させる点で、特に好ましい。また、トリチル基を有する場合は、安価、かつHPLCなどで検出しやすい点でも、好ましい。
R4は、好ましくは、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数7~30のアラルキル基が好ましい。R4は、それぞれ、同一の基であっても、異なる基であってもよい。
また、R4は、互いに結合して環を形成することも好ましい。環を形成する場合には、下記式(1’)で表されるイソインドリンボロン酸誘導体となる。
前記式(1’)において、R4’は、好ましくは、炭素数1~6のアルキレン基、又は炭素数6~14のアリーレン基である。該アリーレン基は、置換基を有していてもよく、該置換基は、メチル基、メトキシ基、ハロゲン原子(F,Cl,Br,I)、ニトロ基、ジメチルアミノ基が好適である。R4’は、より好ましくは、下記化学式(5Aaa)~(5Aae)のいずれかで表される2価の基である。
そして、特に好適なイソインドリンボロン酸誘導体は、ホウ素を有する基が5位となる基であり、下記式で示される化合物が好ましい。
このような化合物の中でも、特に有用な化合物としては、下記式(1Aa)、(1Ab)、(1Ba)、又は(1Bb)で表されるイソインドリンボロン酸誘導体が挙げられる。この中でも、下記式(1Ab)で表されるイソインドリンボロン酸誘導体が特に好適である。
<イソインドリンボロン酸誘導体の製造方法>
前記式(1)で表されるイソインドリンボロン酸誘導体は、公知の化合物である。そのため、該イソインドリンボロン酸誘導体は、特に制限されるものではなく、特許文献1、又は2に記載の方法で製造することができる。中でも、後述する第2の製造方法で使用する特定のプレフォームドパラジウム触媒、及び酸素含有塩基性化合物を使用して製造することが好ましい。同一の触媒系とすることにより、それらの除去が容易となる。
前記式(1)で表されるイソインドリンボロン酸誘導体は、公知の化合物である。そのため、該イソインドリンボロン酸誘導体は、特に制限されるものではなく、特許文献1、又は2に記載の方法で製造することができる。中でも、後述する第2の製造方法で使用する特定のプレフォームドパラジウム触媒、及び酸素含有塩基性化合物を使用して製造することが好ましい。同一の触媒系とすることにより、それらの除去が容易となる。
<好適なイソインドリンボロン酸誘導体の製造方法>
具体的には、以下の方法でイソインドリンボロン酸誘導体を製造することが好ましい(以下、この好適な製造方法を単に「第1の製造方法」とする場合もある)。
具体的には、以下の方法でイソインドリンボロン酸誘導体を製造することが好ましい(以下、この好適な製造方法を単に「第1の製造方法」とする場合もある)。
[第1の製造方法]
第1の製造方法は、パラジウム含有触媒及び下記に詳述する酸素含有塩基化合物存在下、上記式(4)で表されるハロゲノイソインドリン誘導体とジボロン誘導体とを接触させる方法である。中でも、該パラジウム含有触媒は、下記に詳述する、特定のプレフォームドパラジウム触媒(酸素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子を含む配位子がパラジウム原子に予め配位しているパラジウム含有触媒)を使用することが好ましい。
第1の製造方法は、パラジウム含有触媒及び下記に詳述する酸素含有塩基化合物存在下、上記式(4)で表されるハロゲノイソインドリン誘導体とジボロン誘導体とを接触させる方法である。中でも、該パラジウム含有触媒は、下記に詳述する、特定のプレフォームドパラジウム触媒(酸素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子を含む配位子がパラジウム原子に予め配位しているパラジウム含有触媒)を使用することが好ましい。
<第1の製造方法;ハロゲノイソインドリン誘導体>
ハロゲノイソインドリン誘導体は、第1の製造方法における基質である。ハロゲノイソインドリン誘導体は、下記式(4)で表される化合物である。
ハロゲノイソインドリン誘導体は、第1の製造方法における基質である。ハロゲノイソインドリン誘導体は、下記式(4)で表される化合物である。
式(4)において、R1、R2及びR3は、前記式(1)のものと同義である。X’は、ハロゲン原子であり、具体的には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子が挙げられる。中でも、反応性と安定性とを考慮すると、X’は、臭素原子であることが好ましい。また、X’は、ハロゲノイソインドリン誘導体において1つ存在する。ハロゲノイソインドリン誘導体及び生成するイソインドリンボロン酸誘導体の有効性を考慮すると、5位の位置にXが存在することが好ましい。好適な化合物は、下記式(4A)、(4B)で示されるハロゲノイソインドリン誘導体である。なお、これら化合物は、公知の化合物である。
<第1の製造方法;ジボロン誘導体>
ジボロン誘導体は、第1の製造方法において、基質であるハロゲノイソインドリン誘導体と反応してイソインドリンボロン酸誘導体を生成する。ジボロン誘導体は、ホウ素を含むホウ素化合物であり、ハロゲノイソインドリン誘導体のハロゲン原子をホウ素原子に置き換えるホウ素化剤として機能する。ジボロン誘導体は、下記式(5A)で表される化合物である。
ジボロン誘導体は、第1の製造方法において、基質であるハロゲノイソインドリン誘導体と反応してイソインドリンボロン酸誘導体を生成する。ジボロン誘導体は、ホウ素を含むホウ素化合物であり、ハロゲノイソインドリン誘導体のハロゲン原子をホウ素原子に置き換えるホウ素化剤として機能する。ジボロン誘導体は、下記式(5A)で表される化合物である。
上記式(5A)において、R4は、前記式(1)におけるものと同義である。また、同一のホウ素原子に結合する-OR4におけるR4は、互いに結合して環を形成してもよい。この環を形成する場合には、R4は、前記式(1’)におけるR4’と同義のものである。当然のことながら、好適なR4、及びR4’ともに、前記で説明したのと同じ基である。
式(5A)で表される、特に好適なジボロン誘導体としては、下記式(5Aa)で表されるビスピナコールボロン酸誘導体((Bpin)2)、又は(5Ab)表されるビスボロン酸(BBA)である。得られるイソインドリンボロン酸誘導体の有用性、及びイソインドリンボロン酸誘導体自体の安定性を考慮すると、R4が互いに結合して環を形成するジボロン誘導体は、下記式(5Aa)で表される化合物であることが好ましい。
すなわち、式(5Aa)で表されるビスピナコールボロン酸誘導体は、より好ましくは、ビス(ピナコラート)ジボロン(式(5Aa)においてR4’が前記(5Aaa)で表される2価の基である化合物)、2,2’-ビ-1,3,2-ジオキサボリナン(式(5Aa)においてR4’が前記(5Aab)で表される2価の基である化合物)、ビス(ネオペンチルグリコラト)ジボロン(式(5Aa)においてR4’が前記(5Aac)で表される2価の基である化合物)、ビス(ヘキシレングリコラート)ジボロン(式(5Aa)においてR4’が前記(5Aad)で表される2価の基である化合物)、又はビス(カテコラト)ジボロン(式(5Aa)においてR4’が前記(5Aae)で表される2価の基である化合物)である。
ジボロン誘導体の使用量は、特に限定されるものではない。ハロゲノイソインドリン誘導体1モルに対するジボロン誘導体の使用量は、好ましくは、0.10モル以上10モル以下であり、より好ましくは、1.0モル以上5.0モル以下である。
<第1の製造方法;パラジウム含有触媒>
ハロゲノイソインドリン誘導体とジボロン誘導体との接触は、パラジウム含有触媒下で行われる。パラジウム含有触媒には、例えば、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)を使用することができる。
ハロゲノイソインドリン誘導体とジボロン誘導体との接触は、パラジウム含有触媒下で行われる。パラジウム含有触媒には、例えば、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)を使用することができる。
このパラジウム含有触媒は、特に制限されるものではないが、下記に詳述する、酸素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子を含む配位子がパラジウム原子に予め配位しているプレフォームドパラジウム触媒を使用することが好ましい。
パラジウム含有触媒の使用量は、少ないほど好ましい。本実施形態においては、ハロゲノイソインドリン誘導体1モルに対して、パラジウム含有触媒を、好ましくは、パラジウム原子基準において0.000010モル以上3.0モル以下使用し、より好ましくは、パラジウム原子基準において0.000030モル以上0.20モル以下使用する。
ここで、「パラジウム原子基準において」とは、1つの化合物中に含まれるパラジウム原子の数を基準とした量であることをいう。すなわち、パラジウム含有触媒がN個(N=1、2、・・)のパラジウム原子を含む化合物である場合、ハロゲノイソインドリン誘導体1モルに対して、パラジウム含有触媒を、好ましくは、0.00001/Nモル以上3/Nモル以下使用し、より好ましくは、0.00003/Nモル以上0.2/Nモル以下使用する。なお、下記に詳述するプレフォームドパラジウム触媒の量も、同様の基準を採用する。
<第1の製造方法;酸素含有塩基化合物>
ハロゲノイソインドリン誘導体とジボロン誘導体との接触は、パラジウム含有触媒に加えて、酸素含有塩基化合物の存在下で行われる。
ハロゲノイソインドリン誘導体とジボロン誘導体との接触は、パラジウム含有触媒に加えて、酸素含有塩基化合物の存在下で行われる。
酸素含有塩基化合物は、酸素原子を含む塩基化合物であればよい。酸素含有塩基化合物は、好ましくは、ピバリン酸ナトリウム、ピバリン酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、テトラホウ酸ナトリウム、テトラホウ酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸1水素2ナトリウム、リン酸1水素2カリウム、リン酸2水素1ナトリウム、リン酸2水素1カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属を含む化合物が挙げられる。また、酸素含有塩基化合物は、好ましくは、酢酸テトラメチルアンモニウム(TMAOAc)、及び酢酸テトラ-n-ブチルアンモニウムがさらに挙げられる。
より好ましくは、酸素含有塩基化合物は、酢酸カリウム、及びTMAOAcからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。酢酸カリウムは、溶解性、及び適度な塩基性に優れるため、特に好ましい。また、TMAOAcは、酢酸カリウムと同様に、溶解性に優れ、適度な塩基性を有している上、反応で脱離し、本反応を阻害することが知られているハロゲン原子を不溶性のTMAX(X:ハロゲン原子)として反応系外へと取り出すことができるため、特に好ましい。
酸素含有塩基化合物の使用量は、特に制限されるものではない。ハロゲノイソインドリン誘導体1モルに対して、酸素含有塩基化合物を、好ましくは、1.0モル以上10モル以下使用し、より好ましくは、2.0モル以上5.0モル以下使用する。
<第1の製造方法;イソインドリンボロン酸誘導体の製造法>
上述したように、第1の製造方法では、パラジウム含有触媒及び酸素含有塩基化合物の存在下、ハロゲノイソインドリン誘導体とジボロン誘導体とを接触させ、これらを反応させてイソインドリンボロン酸誘導体を得る。本実施形態においては、ハロゲノイソインドリン誘導体とジボロン誘導体とを接触させる際は、溶媒中で実施することが好ましい。
上述したように、第1の製造方法では、パラジウム含有触媒及び酸素含有塩基化合物の存在下、ハロゲノイソインドリン誘導体とジボロン誘導体とを接触させ、これらを反応させてイソインドリンボロン酸誘導体を得る。本実施形態においては、ハロゲノイソインドリン誘導体とジボロン誘導体とを接触させる際は、溶媒中で実施することが好ましい。
<第1の製造方法;溶媒>
溶媒としては、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系の溶媒;メタノール(MeOH)、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール等のアルコール系の溶媒;テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-メチルTHF)、1,4-ジオキサン、tert-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルセロソルブ等のエ-テル系の溶媒;塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系の溶媒;トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系の溶媒;アセトン等のケトン系の溶媒;等を挙げることができる。これら溶媒は、単独で、又はこれらの混合溶媒として用いることができる。
溶媒としては、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系の溶媒;メタノール(MeOH)、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール等のアルコール系の溶媒;テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-メチルTHF)、1,4-ジオキサン、tert-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルセロソルブ等のエ-テル系の溶媒;塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系の溶媒;トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系の溶媒;アセトン等のケトン系の溶媒;等を挙げることができる。これら溶媒は、単独で、又はこれらの混合溶媒として用いることができる。
溶媒は、好ましくは、1,4-ジオキサン、又は、THF若しくは2-メチルTHFとメタノールとの混合溶媒である。1,4-ジオキサンは、酸素含有塩基化合物として好適である酢酸カリウムの溶解力に優れるため、特に好ましい。
また、ジボロン誘導体としてBBAを用いる場合、ハロゲノイソインドリン誘導体とBBAとの反応を促進するために、溶媒としてメタノールを含むことが特に好ましい。さらに、溶媒としてメタノールを用いる場合、反応に用いる原料を溶解するために、溶解力に優れたTHF及び2-メチルTHFからなる群から選ばれる少なくとも1種をさらに含む混合溶媒とすることがより好ましい。メタノールと、THF又は2-メチルTHFとの混合溶媒を使用する場合には、メタノール1mLに対して、THF又は2-メチルTHFを1~10mL使用することが好ましく、2~5mL使用することがさらに好ましい。
溶媒の使用量は、特に制限されるものではない。ハロゲノイソインドリン誘導体1gに対して、溶媒を、好ましくは、0.5~100mL使用し、より好ましくは、1~50mL使用する。なお、溶媒として混合溶媒を使用する場合には、混合溶媒の全量が前記範囲を満足すれば良い。
<第1の製造方法;その他配合成分;ジオール化合物>
本実施形態においては、ハロゲノイソインドリン誘導体とジボロン誘導体とを接触させる際は、パラジウム含有触媒及び酸素含有塩基化合物存在下、及び任意の成分である溶媒中で実施することに加えて、ジオール化合物をさらに配合することが好ましい。中でも、BBAをジボロン誘導体として使用する場合、反応系内に、さらに、ジオール化合物を存在させて、ハロゲンイソインドリン誘導体とBBAとを接触させることが好ましい。
本実施形態においては、ハロゲノイソインドリン誘導体とジボロン誘導体とを接触させる際は、パラジウム含有触媒及び酸素含有塩基化合物存在下、及び任意の成分である溶媒中で実施することに加えて、ジオール化合物をさらに配合することが好ましい。中でも、BBAをジボロン誘導体として使用する場合、反応系内に、さらに、ジオール化合物を存在させて、ハロゲンイソインドリン誘導体とBBAとを接触させることが好ましい。
ジオール化合物は、分子内に2つの水酸基を有する化合物である。好適なジオール化合物は、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ベンゼンに2つの水酸基を有する化合物(例えば、1,2-ヒドロキシベンゼン、1,4-ヒドロキシベンゼン、若しくはヒドロキノン)、又はピナコールである。ジボロン誘導体としてBBAを使用する場合、ジオール化合物としては、エチレングリコールを使用することが特に好ましい。ジオール化合物はBBAに作用して安定なジボロン誘導体になるものと推定される。その中でも、エチレングリコールは、BBAに作用し易く、エチレングリコールボロン等の安定性の高い化合物に変わるためと推測される。
ジオール化合物をさらに加えることにより、パラジウム含有触媒の使用量を大幅に減らすことができるとともに、ジボロン誘導体の使用量を低減することができる。これに加えて、ジオール化合物をさらに加えることにより、反応速度を速めることがさらにでき、その結果、反応時間を短縮することができる。具体的には、ハロゲノイソインドリン誘導体1モルに対して、パラジウム含有触媒が0.000010モル以上0.00050モル以下であっても、反応時間を短く、かつ収率よくイソインドリンボロン酸誘導体を製造できる。
ジオール化合物の使用量は、特に制限されるものではない。ハロゲノイソインドリン誘導体1モルに対して、ジオール化合物を、好ましくは、0.1モル以上10モル以下使用し、より好ましくは、1.0モル以上5.0モル以下使用する。また、ジボロン誘導体1モルに対して、ジオール化合物を、好ましくは、0.1モル以上20モル以下使用し、より好ましくは、1モル以上10モル以下使用する。
(第1の製造方法;各成分を接触させる(混合する)方法)
各成分を接触させる方法は、特に制限されるものではない。例えば、撹拌機構を備えた反応容器内に、各成分を投入して混合してよい。各成分を混合することにより、パラジウム含有触媒及び酸素含有塩基化合物存在下、ハロゲノイソインドリン誘導体とジボロン誘導体とを接触させることができる。各成分を反応容器内に投入する手順は、特に制限されない。例えば、溶媒中にハロゲノイソインドリン誘導体を溶解させた後、この溶解液にジボロン誘導体、パラジウム含有触媒及び酸素含有塩基化合物を添加してもよい。これらを添加する際に、ジオール化合物を添加してもよい。
各成分を接触させる方法は、特に制限されるものではない。例えば、撹拌機構を備えた反応容器内に、各成分を投入して混合してよい。各成分を混合することにより、パラジウム含有触媒及び酸素含有塩基化合物存在下、ハロゲノイソインドリン誘導体とジボロン誘導体とを接触させることができる。各成分を反応容器内に投入する手順は、特に制限されない。例えば、溶媒中にハロゲノイソインドリン誘導体を溶解させた後、この溶解液にジボロン誘導体、パラジウム含有触媒及び酸素含有塩基化合物を添加してもよい。これらを添加する際に、ジオール化合物を添加してもよい。
(第1の製造方法;反応温度)
反応は、パラジウム含有触媒及び酸素含有塩基化合物存在下、任意の成分である溶媒中、ハロゲノイソインドリン誘導体とジボロン誘導体と任意の成分であるジオール化合物とを混合(接触)させることにより実施できる。これら各成分を攪拌混合する際の反応温度は、0℃以上150℃以下であることが好ましく、25℃以上120℃以下であることがより好ましい。ジボロン誘導体として(Bpin)2を用いる場合、反応温度は、60℃以上100℃以下であることが特に好ましい。また、ジボロン誘導体としてBBAを用いる場合、反応温度は、30℃以上50℃以下であることが特に好ましい。
反応は、パラジウム含有触媒及び酸素含有塩基化合物存在下、任意の成分である溶媒中、ハロゲノイソインドリン誘導体とジボロン誘導体と任意の成分であるジオール化合物とを混合(接触)させることにより実施できる。これら各成分を攪拌混合する際の反応温度は、0℃以上150℃以下であることが好ましく、25℃以上120℃以下であることがより好ましい。ジボロン誘導体として(Bpin)2を用いる場合、反応温度は、60℃以上100℃以下であることが特に好ましい。また、ジボロン誘導体としてBBAを用いる場合、反応温度は、30℃以上50℃以下であることが特に好ましい。
(第1の製造方法;反応時間)
反応時間は、イソインドリンボロン酸誘導体への転化率を確認し、反応が完結する時間に適宜決定すればよいが、通常、0.1時間以上76時間以下であればよく、好ましくは0.5時間以上48時間以下である。また、ジオール化合物をさらに加えた場合、反応時間は、0.1時間以上10時間以下とすることもできる。
反応時間は、イソインドリンボロン酸誘導体への転化率を確認し、反応が完結する時間に適宜決定すればよいが、通常、0.1時間以上76時間以下であればよく、好ましくは0.5時間以上48時間以下である。また、ジオール化合物をさらに加えた場合、反応時間は、0.1時間以上10時間以下とすることもできる。
(第1の製造方法;雰囲気)
反応雰囲気は、特に制限されない。上記反応は、例えば、不活性ガス(例えば、窒素やアルゴン等)の雰囲気下で行ってよい。
反応雰囲気は、特に制限されない。上記反応は、例えば、不活性ガス(例えば、窒素やアルゴン等)の雰囲気下で行ってよい。
<第1の製造方法;反応終了後の後処理工程>
反応終了後は、以下の方法でイソインドリンボロン酸誘導体を精製することが好ましい。まず、反応液を希釈し、pH調整を行った後、水層を抽出し、有機層を混合して洗浄する。そして、有機層を減圧濃縮することによりイソインドリンボロン酸誘導体の固体が得られる。反応液の希釈には、例えば、酢酸エチルや水を用いてよい。pHの調整には、例えば、飽和重曹水を用いてよい。洗浄には、例えば、飽和食塩水を用いてよい。
反応終了後は、以下の方法でイソインドリンボロン酸誘導体を精製することが好ましい。まず、反応液を希釈し、pH調整を行った後、水層を抽出し、有機層を混合して洗浄する。そして、有機層を減圧濃縮することによりイソインドリンボロン酸誘導体の固体が得られる。反応液の希釈には、例えば、酢酸エチルや水を用いてよい。pHの調整には、例えば、飽和重曹水を用いてよい。洗浄には、例えば、飽和食塩水を用いてよい。
イソインドリンボロン酸誘導体が合成されていることは、例えば、核磁気共鳴(NMR)分光分析、赤外(IR)分光分析、及び融点測定により確認できる。また、イソインドリンボロン酸誘導体の収率は、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析することにより求めることができる。
以上のような方法に従えば、イソインドリンボロン酸誘導体を製造できる。
次に、下記式(1)で表されるイソインドリンボロン酸誘導体から下記式(3)で表されるキノロンイソインドリン誘導体を製造する方法(以下、「第2の製造方法」とも称する。)と、を含む。
次に、下記式(1)で表されるイソインドリンボロン酸誘導体から下記式(3)で表されるキノロンイソインドリン誘導体を製造する方法(以下、「第2の製造方法」とも称する。)と、を含む。
[第2の製造方法]
第2の製造方法は、以下の反応式で示すことができる。
第2の製造方法は、以下の反応式で示すことができる。
<イソインドリンボロン酸誘導体の使用量>
イソインドリンボロン酸誘導体の使用量は、特に制限されるものではないが、後述するキノロン誘導体の使用量と同程度かそれよりも多いことが好ましい。他の基質であるキノロン誘導体を全て消費させるためである。具体的には、キノロン誘導体1モルに対してイソインドリンボロン酸誘導体を、好ましくは、1.0モル以上3.0モル以下使用し、より好ましくは、1.0モル以上2.0モル以下使用する。
イソインドリンボロン酸誘導体の使用量は、特に制限されるものではないが、後述するキノロン誘導体の使用量と同程度かそれよりも多いことが好ましい。他の基質であるキノロン誘導体を全て消費させるためである。具体的には、キノロン誘導体1モルに対してイソインドリンボロン酸誘導体を、好ましくは、1.0モル以上3.0モル以下使用し、より好ましくは、1.0モル以上2.0モル以下使用する。
イソインドリンボロン酸誘導体は、前記第1の製造方法に記載した方法で合成したものを用いてもよく、その他の公知の方法で合成したものを用いてもよい。ただし、第2の製造方法の合成目的であるキノロンイソインドリン誘導体の純度を高めるためには、純度の高いイソインドリンボロン酸誘導体を基質として用いることが好ましい。そのためには、第1の製造方法で製造したイソインドリンボロン酸誘導体を用いることが好適である。
なお、第2の製造方法で使用するイソインドリンボロン酸誘導体は、例えば、第1の製造方法で製造したものを単離精製して使用することができる。また、第1の製造方法に従えば、高い収率でイソインドリンボロン酸誘導体を得ることができるため、精製することなく、溶媒等を留去しただけで使用することもできる。このような場合、この第2の製造方法に悪影響を与えないためにも、第1の製造方法及び第2の製造方法のパラジウム含有触媒は、同じものを使用することが好ましい。
<第2の製造方法;キノロン誘導体>
キノロン誘導体は、イソインドリンボロン酸誘導体と同様に、第2の製造方法における一基質である。キノロン誘導体は、下記式(2)で表される化合物である。
キノロン誘導体は、イソインドリンボロン酸誘導体と同様に、第2の製造方法における一基質である。キノロン誘導体は、下記式(2)で表される化合物である。
式(2)において、R5は、水素原子、又はカルボン酸保護基である。また、R6は、アルキル基、シクロアルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、アリール基、又は複素環基である。また、R7は、水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、又はアラルキル基である。また、Xは、ハロゲン原子、アルキルスルホニル基、ハロアルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基である。
カルボン酸保護基としては、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基等が挙げられる。カルボン酸保護基は、好ましくは、炭素数1~4のアルキル基、炭素数7~30のアラルキル基、又は炭素数2~4のアルケニル基である。カルボン酸保護基は、より好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、トリチル基、又はアリル基であり、この中でも、メチル基、及びエチル基が特に好ましい。
R6は、好ましくは、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~8のシクロアルキル基、炭素数1~8のハロアルキル基、炭素数2~4のアルケニル基、炭素数6~20のアリール基、又は窒素原子を含む複素環基である。R6は、より好ましくは、シクロプロピル環である。
R7は、好ましくは、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~8のハロアルキル基、又は炭素数7~30のアラルキル基である。ハロアルキル基におけるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子から選ばれるものであり、好ましくは、フッ素原子である。また、ハロアルキル基におけるハロゲン原子の数は、1つに限られず、2つ以上でもよく、好ましくは、2つである。また、R7は、より好ましくは、メチル基である。以上を換言すれば、R7は、ジフルオロメチル基が特に好適である。
Xは、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子、炭素数1~20のアルキルスルホニル基、炭素数1~20のハロアルキルスルホニル基、又は炭素数6~20のアリールスルホニル基である。Xは、より好ましくは、臭素原子、メシル基、クロロメシル基、ベンゼンスルホニル基、又はp-トルエンスルホニル基であり、この中でも、臭素原子が特に好ましい。
キノロン誘導体の使用量は、特に制限されるものではないが、上述したように、キノロン誘導体を全て反応させるために、他の基質であるイソインドリンボロン酸誘導体と同程度かそれよりも少ない量としてよい。
<第2の製造方法;プレフォームドパラジウム触媒>
イソインドリンボロン酸誘導体とキノロン誘導体との接触は、パラジウム含有触媒下で行われる。このパラジウム含有触媒は、酸素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子を含む配位子がパラジウム原子に予め配位しているものである。以下、かかるパラジウム含有触媒を、「プレフォームドパラジウム触媒」とも称する。
イソインドリンボロン酸誘導体とキノロン誘導体との接触は、パラジウム含有触媒下で行われる。このパラジウム含有触媒は、酸素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子を含む配位子がパラジウム原子に予め配位しているものである。以下、かかるパラジウム含有触媒を、「プレフォームドパラジウム触媒」とも称する。
ここで、「予め」とは、イソインドリンボロン酸誘導体とキノロン誘導体との反応系外であることをいい、一例として、イソインドリンボロン酸誘導体とキノロン誘導体とが反応する前であることを含む。また、「プレフォームド」とは、酸素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子を含む配位子がパラジウム原子に予め配位している状態をいい、かかる状態にあること、あるいはかかる状態とすることを「プレフォームドされた」とも称する。
第2の製造方法で用いるプレフォームドパラジウム触媒の種類としては、例えば、下記式(6B)~(6H)で表される化合物が挙げられる。これら化合物において、配位子は、パラジウム原子(Pd)以外の部分(Clは除いてもよい。)を指す。
ジクロロビス[ジ-tert-ブチル(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン]パラジウム(II)(以下、「(AtaPhos)2PdCl2」とも称する。)
クロロ[η2-P,C-トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト](トリシクロヘキシルホスフィノ)パラジウム(II)(以下、「SamCat」)
ビス[(ジシクロヘキシル)(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン]塩化パラジウム(II)(以下、「(A-caPhos)2PdCl2」)
(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)[2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(II)メタンスルホン酸塩(XPhos Pd G3)
ジ-μ-クロロビス[5-クロロ-2-[(4-クロロフェニル)(ヒドロキシイミノ)メチル]フェニル]パラジウム(II)ダイマー(以下、「Najera Catalyst I」)
ジ-μ-クロロビス[5-ヒドロキシ-2-[1-(ヒドロキシイミノ)エチル]フェニル]パラジウム(II)ダイマー(以下、「Najera Catalyst II」)
(μ-クロロ){κ2-P,C-ジイソプロピルホスフィノ(2-フェニルフェノキシ)}パラジウム(II)ダイマー(以下、「Cat.A」)
前記式(6F)、(6G)及び(6H)において、波線と数字の2は、式で示したものが倍存在することを指す。すなわち、式(6F)、(6G)及び(6H)で表されるパラジウム含有触媒は、1つの化合物中に2つのパラジウム原子が含まれるダイマー型の化合物である。これに対して、式(6B)~(6E)で表されるパラジウム含有触媒は、1つの化合物中に1つのパラジウム原子が含まれるモノマー型の化合物である。なお、パラジウム含有触媒は、1個又は2個のパラジウム原子を含む化合物に限定されるものではなく、3個以上のパラジウム原子を含む化合物でもよい。
プレフォームドパラジウム触媒の使用量は、少ないほど好ましい。キノロン誘導体1モルに対して、プレフォームドパラジウム触媒を、好ましくは、パラジウム原子基準において、0.00000010モル以上1.0モル以下使用し、より好ましくは、0.000030モル以上0.01モル以下使用し、さらに好ましくは0.000050モル以上0.0003モル以下使用する。このプレフォームドパラジウム触媒の使用量は、前記の通り、パラジウム原子を基準とした使用量である。
上述したプレフォームドパラジウム触媒は、単独で用いてもよく、2種以上のものを混合して用いてもよい。なお、混合して用いる場合は、全量が上記範囲を満足すればよい。
このように、プレフォームドパラジウム触媒を用いることで、少量の触媒量であっても、反応を十分に進行できる。そのため、コストダウンを図れるだけでなく、製造条件の幅も広がり、かつ触媒そのものの除去が容易となり、生産効率を高めることができる。
<第2の製造方法;酸素含有塩基化合物>
イソインドリンボロン酸誘導体とキノロン誘導体との接触は、プレフォームドパラジウム触媒に加えて、酸素含有塩基化合物存在下で行われる。酸素含有塩基化合物は、上述した第1の製造方法で製造されたものを用いてよい。
イソインドリンボロン酸誘導体とキノロン誘導体との接触は、プレフォームドパラジウム触媒に加えて、酸素含有塩基化合物存在下で行われる。酸素含有塩基化合物は、上述した第1の製造方法で製造されたものを用いてよい。
なお、酸素含有塩基化合物の使用量は、特に制限されるものではないが、キノロン誘導体1モルに対して、好ましくは、0.10モル以上10モル以下使用し、より好ましくは、1.0モル以上5.0モル以下使用する。
<キノロンインドリン誘導体の製造法>
上述したように、第2の製造方法では、プレフォームドパラジウム触媒及び酸素含有塩基化合物の存在下、イソインドリンボロン酸誘導体とキノロン誘導体とを接触させ、これらを反応させてキノロンイソインドリン誘導体を得る。本実施形態においては、イソインドリンボロン酸誘導体とキノロン誘導体とを接触させる際は、溶媒中で実施することが好ましい。
上述したように、第2の製造方法では、プレフォームドパラジウム触媒及び酸素含有塩基化合物の存在下、イソインドリンボロン酸誘導体とキノロン誘導体とを接触させ、これらを反応させてキノロンイソインドリン誘導体を得る。本実施形態においては、イソインドリンボロン酸誘導体とキノロン誘導体とを接触させる際は、溶媒中で実施することが好ましい。
<第2の製造方法;溶媒>
溶媒としては、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系の溶媒;MeOH、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール等のアルコール系の溶媒;THF、2-メチルTHF、1,4-ジオキサン、tert-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルセロソルブ等のエ-テル系の溶媒;塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系の溶媒;トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系の溶媒;アセトン等のケトン系の溶媒等;水等を挙げることができる。これら溶媒は、単独で、又はこれらの混合溶媒として用いることができる。
溶媒としては、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系の溶媒;MeOH、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール等のアルコール系の溶媒;THF、2-メチルTHF、1,4-ジオキサン、tert-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルセロソルブ等のエ-テル系の溶媒;塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系の溶媒;トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系の溶媒;アセトン等のケトン系の溶媒等;水等を挙げることができる。これら溶媒は、単独で、又はこれらの混合溶媒として用いることができる。
溶媒は、好ましくは、難水溶性溶媒及び水の2層系の混合溶媒である。ここで、「難水溶性」とは、温度20℃の水1Lに対する溶解度が0.5mg以下の溶媒を意味する。難水溶性溶媒及び水の2層系の混合溶媒は、反応の過程でキノロン誘導体から脱離した後に再びキノロン誘導体に結合すること等によって本反応を阻害するとされているハロゲン原子を分離して反応系から取り出しやすくできる点で好ましい。すなわち、難水溶性溶媒と水とを含む混合溶媒を用いることで、キノロン誘導体から外れたハロゲン原子を、該溶媒と混じりにくい水に吸収させることによってハロゲン原子を反応系から分離できると考えられるためである。
難水溶性溶媒としては難水溶性有機溶媒が好ましい。難水溶性有機溶媒は、好ましくは、トルエン、キシレン及びメシチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種の芳香族炭化水素系の溶媒である。この中でも、トルエンは、安価である点で特に好適である。
難水溶性溶媒と水との混合溶媒を使用する場合には、水1mLに対して、難水溶性溶媒を1~20mL使用することが好ましく、2~10mL使用することがより好ましい。
また、溶媒の使用量は、特に制限されるものではない。キノロン誘導体1gに対して、溶媒を、好ましくは、1.0~100mL使用し、より好ましくは、3.0~30mL使用する。なお、溶媒として混合溶媒を使用する場合には、混合溶媒の全量が前記範囲を満足すれば良い。
(第2の製造方法;各成分を接触させる(混合する)方法)
各成分を接触させる方法は、特に制限されるものではない。例えば、撹拌機構を備えた反応容器内に、各成分を投入して混合してよい。各成分を混合することにより、プレフォームドパラジウム触媒及び酸素含有塩基化合物存在下、イソインドリンボロン酸誘導体とキノロン誘導体とを接触させることができる。各成分を反応容器内に投入する手順は、特に制限されない。
各成分を接触させる方法は、特に制限されるものではない。例えば、撹拌機構を備えた反応容器内に、各成分を投入して混合してよい。各成分を混合することにより、プレフォームドパラジウム触媒及び酸素含有塩基化合物存在下、イソインドリンボロン酸誘導体とキノロン誘導体とを接触させることができる。各成分を反応容器内に投入する手順は、特に制限されない。
(第2の製造方法;反応温度)
上記各成分を攪拌混合する際の反応温度は、特に制限されるものではないが、0℃以上150℃以下であることが好ましく、25℃以上120℃以下であることがより好ましい。
上記各成分を攪拌混合する際の反応温度は、特に制限されるものではないが、0℃以上150℃以下であることが好ましく、25℃以上120℃以下であることがより好ましい。
(第2の製造方法;反応時間)
反応時間は、キノロンインドリン誘導体への転化率を確認し、反応が完結する時間に適宜決定すればよいが、通常、1時間以上76時間以下であればよく、好ましくは2時間以上48時間以下である。
反応時間は、キノロンインドリン誘導体への転化率を確認し、反応が完結する時間に適宜決定すればよいが、通常、1時間以上76時間以下であればよく、好ましくは2時間以上48時間以下である。
(第2の製造方法;雰囲気)
反応雰囲気は、特に制限されない。上記反応は、例えば、不活性ガス(例えば、窒素やアルゴン等)の雰囲気下で行ってよい。
反応雰囲気は、特に制限されない。上記反応は、例えば、不活性ガス(例えば、窒素やアルゴン等)の雰囲気下で行ってよい。
<第2の製造方法;反応終了後の後処理工程>
反応終了後は、以下の方法でキノロンイソインドリン誘導体を精製することが好ましい。例えば、反応液を酢酸エチル及び水に希釈し、水層を酢酸エチルで抽出し、有機層を混合し、水で洗浄し、硫酸マグネシウム上脱水後、減圧濃縮処理を行う。次に、得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、キノロンイソインドリン誘導体を得る。シリカゲルカラムクロマトグラフィーの溶媒としては、例えば、n-ヘキサン(Hex)と酢酸エチル(EA)との混合溶媒を用いてよい。n-ヘキサンと酢酸エチルとの比は、目的物の溶出に合わせて適宜調整してよい。
反応終了後は、以下の方法でキノロンイソインドリン誘導体を精製することが好ましい。例えば、反応液を酢酸エチル及び水に希釈し、水層を酢酸エチルで抽出し、有機層を混合し、水で洗浄し、硫酸マグネシウム上脱水後、減圧濃縮処理を行う。次に、得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、キノロンイソインドリン誘導体を得る。シリカゲルカラムクロマトグラフィーの溶媒としては、例えば、n-ヘキサン(Hex)と酢酸エチル(EA)との混合溶媒を用いてよい。n-ヘキサンと酢酸エチルとの比は、目的物の溶出に合わせて適宜調整してよい。
キノロンイソインドリン誘導体が合成されていることは、例えば、核磁気共鳴(NMR)分光分析、赤外(IR)分光分析、及び融点測定により確認できる。また、キノロンイソインドリン誘導体の収率は、例えば、HPLCで分析することにより求めることができる。
以下に実施例を挙げて、本発明を詳細に説明する。なお、下記に示す実施例は、例示的な具体例であって、本発明は、これらにより限定されるものではない。また、以下に示す例において、製造例1は、上述した第1の製造方法に係る例、すなわち第2の製造方法における一基質を製造する例であり、実施例1~10は、上述した第2の製造方法に係る実施例である。
<製造例1;第1の製造方法>
以下の方法で、上記式(4)で表されるハロゲノイソインドリン誘導体として下記反応式(4A)に示すN-トリチル-ブロモイソインドリン誘導体を使用して、下記反応式(1Ab)で表されるN-トリチル-フリーボロン酸誘導体を合成した。
以下の方法で、上記式(4)で表されるハロゲノイソインドリン誘導体として下記反応式(4A)に示すN-トリチル-ブロモイソインドリン誘導体を使用して、下記反応式(1Ab)で表されるN-トリチル-フリーボロン酸誘導体を合成した。
窒素雰囲気下、式(4A)に示すN-トリチル-ブロモイソインドリン誘導体(8.00g、17.61mmol、1.0equiv)のTHF(56.0mL、7.0v/w)及びMeOH(24.0mL、3.0v/w)の混合溶液に、TMAOAc(4.69g、35.21mmol、2.0equiv)、エチレングリコール(3.28g、52.84mmоl、3.0eq)、及びBBA(1.97mg、22.00mmol、1.25equiv)を加え、40℃で5時間攪拌した。ここで、「v/w」は、式(4A)に示すN-トリチル-ブロモイソインドリン誘導体1gに対するTHF及びMeOHそれぞれの体積(mL)を示す。
反応液を、水(250mL)、及び酢酸エチル(250mL)に希釈した後、飽和重曹水にてpH調整を行った(pH:5.5→6.5)。水層を酢酸エチル(100mL)で抽出した後、有機層を混合し、飽和食塩水(200mL)で洗浄した。有機層をHPLC分析することにより、式(1Ab)で表されるN-トリチル-フリーボロン酸が検出された(6.93g、アッセイ収率94%)。有機層を減圧濃縮することにより、式(1Ab)で表されるN-トリチル-フリーボロン酸の固体を得た(固体の重量:7.3g)。
(HPLC分析)
HPLCの測定条件は下記のとおりとした。
装置:ACQUITY UPLC(登録商標) H-CLASS PLUS (Waters)
サンプル濃度:0.5%THF
サンプル注入量:5μL
検出器:紫外可視吸光光度計(検出波長:210nm)
流速:1.0mL/分
カラム温度:30℃
移動相:70~100% アセトニトリル(0~15分)。
充填剤:X-Bridge C18.5μm、4.6×150mm。
HPLCの測定条件は下記のとおりとした。
装置:ACQUITY UPLC(登録商標) H-CLASS PLUS (Waters)
サンプル濃度:0.5%THF
サンプル注入量:5μL
検出器:紫外可視吸光光度計(検出波長:210nm)
流速:1.0mL/分
カラム温度:30℃
移動相:70~100% アセトニトリル(0~15分)。
充填剤:X-Bridge C18.5μm、4.6×150mm。
また、各対象成分の保持時間は下記表1の通りとした。
式(1Ab)で表されるN-トリチル-フリーボロン酸誘導体の1H-NMRの分析結果は、以下の通りである。
1H-NMR(CDCl3)δ:6.60~7.80(m,18H)、4.10~4.80(m, 3H)、1.40(d,J=6.3Hz,3H)。
1H-NMR(CDCl3)δ:6.60~7.80(m,18H)、4.10~4.80(m, 3H)、1.40(d,J=6.3Hz,3H)。
<実施例1;第2の製造方法>
(キノロンイソインドリン誘導体の合成)
以下の方法で、上記式(1)で表されるイソインドリンボロン酸誘導体として下記反応式(1Ab)に示すN-トリチル-フリーボロン酸誘導体、及び上記式(2)で表されるキノロン誘導体として下記反応式(2A)に示すキノロンブロム誘導体(7-ブロモ-1-シクロプロピル-8-ジフルオロメトキシ-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-3-キノリンカルボン酸エチルエステル)を使用して、式(3A)で表されるキノロンイソインドリン誘導体を合成した。
(キノロンイソインドリン誘導体の合成)
以下の方法で、上記式(1)で表されるイソインドリンボロン酸誘導体として下記反応式(1Ab)に示すN-トリチル-フリーボロン酸誘導体、及び上記式(2)で表されるキノロン誘導体として下記反応式(2A)に示すキノロンブロム誘導体(7-ブロモ-1-シクロプロピル-8-ジフルオロメトキシ-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-3-キノリンカルボン酸エチルエステル)を使用して、式(3A)で表されるキノロンイソインドリン誘導体を合成した。
窒素雰囲気下、製造例1で得た式(1Ab)に示すN-トリチル-フリーボロン酸誘導体(0.70g、1.67mmol、1.4equiv)、7-ブロモ-1-シクロプロピル-8-ジフルオロメトキシ-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-3-キノリンカルボン酸エチルエステル、(0.50g、1.24mmol)、炭酸カリウム(0.35g、2.53mmol、2.0equiv.)、ビス[(ジシクロヘキシル)(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン]塩化パラジウム(II)((AtaPhos)2PdCl2(10mg、0.014mmol、1mol%))のトルエン(10mL、20v/w)及び水(2mL、4.0v/w)の混合液を90℃で7時間攪拌した。ここで、「v/w」は、7-ブロモ-1-シクロプロピル-8-ジフルオロメトキシ-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-3-キノリンカルボン酸エチルエステル1gに対するトルエン及び水のそれぞれの体積(mL)を示す。以下、同様の説明は省略する場合がある。
有機層をHPCL分析した結果、アッセイ収率及び転化率は、ともに100%であった。
反応液を、酢酸エチル(20mL)及び水(20mL)に希釈した後、水層を酢酸エチル(10mL)で抽出した。有機層を混合し、水(10mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上脱水後減圧濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトで精製(シリカ10g、溶出溶媒:Hex/EA=5:1(精製開始時)→1:1(目的物溶出開始時))することにより、上記式(3A)に示すキノロンイソインドリン誘導体を得た(0.77g、88.5%、HPLC純度:98.87%)。
(副生成物について)
上記式(3A)に示すキノロンイソインドリン誘導体を合成する際、式(1Ab)に示すN-トリチル-フリーボロン酸誘導体からホウ素原子及びこのホウ素原子に結合する2つのヒドロキシル基がともに外れた化合物(以下、「脱ボロン体」とも称する。下記式(1Aba)参照。)、又はこの脱ボロン体同士が互いに結合した化合物(以下、「ホモカップリング体」とも称する。下記式(1Abb)参照。)等の副生成物が、不純物として生成される場合がある。実施例1では、目的物である式(3A)に示すキノロンイソインドリン誘導体の収率に加えて、これら副生成物の収率も確認した。実施例1では、脱ボロン体が0.05%であり、ホモカップリング体が0%であった。なお、後述する実施例2以降の実施例においても同様の確認を行った。
上記式(3A)に示すキノロンイソインドリン誘導体を合成する際、式(1Ab)に示すN-トリチル-フリーボロン酸誘導体からホウ素原子及びこのホウ素原子に結合する2つのヒドロキシル基がともに外れた化合物(以下、「脱ボロン体」とも称する。下記式(1Aba)参照。)、又はこの脱ボロン体同士が互いに結合した化合物(以下、「ホモカップリング体」とも称する。下記式(1Abb)参照。)等の副生成物が、不純物として生成される場合がある。実施例1では、目的物である式(3A)に示すキノロンイソインドリン誘導体の収率に加えて、これら副生成物の収率も確認した。実施例1では、脱ボロン体が0.05%であり、ホモカップリング体が0%であった。なお、後述する実施例2以降の実施例においても同様の確認を行った。
(機器分析)
上記式(3A)に示すキノロンイソインドリン誘導体について得られたIR分光及びNMR分光の分析結果は、以下のとおりであった。
IR(KBr)cm-1: 1740, 1620。
NMR(CDCl3)δ:1.33(s、9H)、1.35(s、12H)、1.46(d、J=6.0Hz,3H),4.93(d、J=12Hz,1H),5.00(d、J=12Hz,1H),5.46(q、J=6.0Hz,1H),7.25(d、J=7.0Hz,1H),7.71(s、1H)、7.75(d、J=7.0Hz,1H)。
上記式(3A)に示すキノロンイソインドリン誘導体について得られたIR分光及びNMR分光の分析結果は、以下のとおりであった。
IR(KBr)cm-1: 1740, 1620。
NMR(CDCl3)δ:1.33(s、9H)、1.35(s、12H)、1.46(d、J=6.0Hz,3H),4.93(d、J=12Hz,1H),5.00(d、J=12Hz,1H),5.46(q、J=6.0Hz,1H),7.25(d、J=7.0Hz,1H),7.71(s、1H)、7.75(d、J=7.0Hz,1H)。
(HPLC分析)
HPLCの測定条件は下記のとおりとした。
装置:ACQUITY UPLC(登録商標) H-CLASS PLUS (Waters)
サンプル濃度:0.5%THF
サンプル注入量:5μL
検出器:紫外可視吸光光度計(検出波長:254nm)
流速:1.0mL/分
カラム温度:30℃
移動相:70~100~100% アセトニトリル(0~15~20分)。
充填剤:X-Bridge C18.5μm、4.6×150mm。
HPLCの測定条件は下記のとおりとした。
装置:ACQUITY UPLC(登録商標) H-CLASS PLUS (Waters)
サンプル濃度:0.5%THF
サンプル注入量:5μL
検出器:紫外可視吸光光度計(検出波長:254nm)
流速:1.0mL/分
カラム温度:30℃
移動相:70~100~100% アセトニトリル(0~15~20分)。
充填剤:X-Bridge C18.5μm、4.6×150mm。
また、各対象成分の保持時間は下記表2の通りとした。
<実施例2>
実施例1において、ビス[(ジシクロヘキシル)(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン]塩化パラジウム(II)((AtaPhos)2PdCl2)の量を、10mgから1mg(0.0014mmol、0.1mol%)へと変更したこと、トルエンの量を10mLから5mL(10v/w)に変更したこと、水の量を2mLから1mL(2.0v/w)へ変更したこと、及び反応時間を7時間から5時間へと変更したこと以外は、実施例1に記載したのと同様の方法で、上記式(3A)に示すキノロンイソインドリン誘導体を得た(アッセイ収率:98.41%、脱ボロン体:0.28%、ホモカップリング体:0%)。
実施例1において、ビス[(ジシクロヘキシル)(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン]塩化パラジウム(II)((AtaPhos)2PdCl2)の量を、10mgから1mg(0.0014mmol、0.1mol%)へと変更したこと、トルエンの量を10mLから5mL(10v/w)に変更したこと、水の量を2mLから1mL(2.0v/w)へ変更したこと、及び反応時間を7時間から5時間へと変更したこと以外は、実施例1に記載したのと同様の方法で、上記式(3A)に示すキノロンイソインドリン誘導体を得た(アッセイ収率:98.41%、脱ボロン体:0.28%、ホモカップリング体:0%)。
<実施例3>
実施例1において、式(1Ab)に示すN-トリチル-フリーボロン酸誘導体の量を、0.7gから1.4g(3.39mol、1.2equiv.)へ変更したこと、7-ブロモ-1-シクロプロピル-8-ジフルオロメトキシ-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-3-キノリンカルボン酸エチルエステルの量を0.50gから1.12g(2.78mol)へ変更したこと、炭酸カリウムの量を、0.35gから0.77g(5.57mol、2.0equiv.)へ変更したこと、及びビス[(ジシクロヘキシル)(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン]塩化パラジウム(II)((AtaPhos)2PdCl2)の量を、10mgから1mg(0.0014mmol、0.05mol%)へと変更したこと以外は、実施例1に記載したのと同様の方法で、上記式(3A)に示すキノロンイソインドリン誘導体を得た(アッセイ収率:100%、脱ボロン体:0.27%、ホモカップリング体:0%)。
実施例1において、式(1Ab)に示すN-トリチル-フリーボロン酸誘導体の量を、0.7gから1.4g(3.39mol、1.2equiv.)へ変更したこと、7-ブロモ-1-シクロプロピル-8-ジフルオロメトキシ-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-3-キノリンカルボン酸エチルエステルの量を0.50gから1.12g(2.78mol)へ変更したこと、炭酸カリウムの量を、0.35gから0.77g(5.57mol、2.0equiv.)へ変更したこと、及びビス[(ジシクロヘキシル)(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン]塩化パラジウム(II)((AtaPhos)2PdCl2)の量を、10mgから1mg(0.0014mmol、0.05mol%)へと変更したこと以外は、実施例1に記載したのと同様の方法で、上記式(3A)に示すキノロンイソインドリン誘導体を得た(アッセイ収率:100%、脱ボロン体:0.27%、ホモカップリング体:0%)。
<実施例4>
実施例1において、式(1Ab)に示すN-トリチル-フリーボロン酸誘導体の量を、0.7gから3.80g(9.06mol、1.14equiv.)へ変更したこと、7-ブロモ-1-シクロプロピル-8-ジフルオロメトキシ-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-3-キノリンカルボン酸エチルエステルの量を0.50gから3.2g(7.96mol)へ変更したこと、炭酸カリウムの量を、0.35gから2.2g(15.92mol、2.0equiv.)へ変更したこと、ビス[(ジシクロヘキシル)(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン]塩化パラジウム(II)((AtaPhos)2PdCl2)の量を、10mgから0.6mg(0.0008mmol、0.01mol%)へと変更したこと、トルエンの量を10mLから30mL(9.4v/w)に変更したこと、水の量を2mLから6mL(1.9v/w)へ変更したこと、及び反応温度を90℃から86℃へ変更したこと以外は、実施例1に記載したのと同様の方法で、上記式(3A)に示すキノロンイソインドリン誘導体を得た(アッセイ収率:100%、脱ボロン体:0.33%、ホモカップリング体:0%)。
実施例1において、式(1Ab)に示すN-トリチル-フリーボロン酸誘導体の量を、0.7gから3.80g(9.06mol、1.14equiv.)へ変更したこと、7-ブロモ-1-シクロプロピル-8-ジフルオロメトキシ-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-3-キノリンカルボン酸エチルエステルの量を0.50gから3.2g(7.96mol)へ変更したこと、炭酸カリウムの量を、0.35gから2.2g(15.92mol、2.0equiv.)へ変更したこと、ビス[(ジシクロヘキシル)(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン]塩化パラジウム(II)((AtaPhos)2PdCl2)の量を、10mgから0.6mg(0.0008mmol、0.01mol%)へと変更したこと、トルエンの量を10mLから30mL(9.4v/w)に変更したこと、水の量を2mLから6mL(1.9v/w)へ変更したこと、及び反応温度を90℃から86℃へ変更したこと以外は、実施例1に記載したのと同様の方法で、上記式(3A)に示すキノロンイソインドリン誘導体を得た(アッセイ収率:100%、脱ボロン体:0.33%、ホモカップリング体:0%)。
<実施例5>
実施例3において、ビス[(ジシクロヘキシル)(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン]塩化パラジウム(II)((AtaPhos)2PdCl2)の代わりに、1.5mg(0.0014mmol、0.05mol%)のクロロ[η2-P,C-トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト](トリシクロヘキシルホスフィノ)パラジウム(II)(SamCat)を用いたこと以外は、実施例3に記載したのと同様の方法で反応を行った。有機層をHPLC分析した結果、上記式(3A)に示すキノロンイソインドリン誘導体が含まれていた(0.291g、単体収率:15%、脱ボロン体:12.85%、ホモカップリング体:0%)。
実施例3において、ビス[(ジシクロヘキシル)(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン]塩化パラジウム(II)((AtaPhos)2PdCl2)の代わりに、1.5mg(0.0014mmol、0.05mol%)のクロロ[η2-P,C-トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト](トリシクロヘキシルホスフィノ)パラジウム(II)(SamCat)を用いたこと以外は、実施例3に記載したのと同様の方法で反応を行った。有機層をHPLC分析した結果、上記式(3A)に示すキノロンイソインドリン誘導体が含まれていた(0.291g、単体収率:15%、脱ボロン体:12.85%、ホモカップリング体:0%)。
<実施例6>
実施例5において、クロロ[η2-P,C-トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト](トリシクロヘキシルホスフィノ)パラジウム(II)(SamCat)の代わりに、1.1mg(0.0014mmol、0.05mol%)のビス[(ジシクロヘキシル)(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン]塩化パラジウム(II)((A-caPhos)2PdCl2)を用いたこと以外は、実施例5に記載したのと同様の方法で、上記式(3A)に示すキノロンイソインドリン誘導体を得た(1.774g、単体収率:91.6%、脱ボロン体:5.91%、ホモカップリング体:0%)。
実施例5において、クロロ[η2-P,C-トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト](トリシクロヘキシルホスフィノ)パラジウム(II)(SamCat)の代わりに、1.1mg(0.0014mmol、0.05mol%)のビス[(ジシクロヘキシル)(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン]塩化パラジウム(II)((A-caPhos)2PdCl2)を用いたこと以外は、実施例5に記載したのと同様の方法で、上記式(3A)に示すキノロンイソインドリン誘導体を得た(1.774g、単体収率:91.6%、脱ボロン体:5.91%、ホモカップリング体:0%)。
<実施例7>
実施例5において、クロロ[η2-P,C-トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト](トリシクロヘキシルホスフィノ)パラジウム(II)(SamCat)の代わりに、1.2mg(0.0014mmol、0.05mol%)の(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)[2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(II)メタンスルホン酸塩(XPhos Pd G3)へと変更したこと以外は、実施例5に記載したのと同様の方法で、上記式(3A)に示すキノロンイソインドリン誘導体を得た(1.904g、単体収率:98.3%、脱ボロン体:4.49%、ホモカップリング体:0%)。
実施例5において、クロロ[η2-P,C-トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト](トリシクロヘキシルホスフィノ)パラジウム(II)(SamCat)の代わりに、1.2mg(0.0014mmol、0.05mol%)の(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)[2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(II)メタンスルホン酸塩(XPhos Pd G3)へと変更したこと以外は、実施例5に記載したのと同様の方法で、上記式(3A)に示すキノロンイソインドリン誘導体を得た(1.904g、単体収率:98.3%、脱ボロン体:4.49%、ホモカップリング体:0%)。
<実施例8>
実施例5において、クロロ[η2-P,C-トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト](トリシクロヘキシルホスフィノ)パラジウム(II)(SamCat)の代わりに、1.1mg(0.0014mmol、0.05mol%)のジ-μ-クロロビス[5-クロロ-2-[(4-クロロフェニル)(ヒドロキシイミノ)メチル]フェニル]パラジウム(II)ダイマー(Najera Catalyst I)を用いたこと以外は、実施例5に記載したのと同様の方法で、上記式(3A)に示すキノロンイソインドリン誘導体を得た(0.810g、単体収率:41.8%、脱ボロン体:22.18%、ホモカップリング体:0%)。
実施例5において、クロロ[η2-P,C-トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト](トリシクロヘキシルホスフィノ)パラジウム(II)(SamCat)の代わりに、1.1mg(0.0014mmol、0.05mol%)のジ-μ-クロロビス[5-クロロ-2-[(4-クロロフェニル)(ヒドロキシイミノ)メチル]フェニル]パラジウム(II)ダイマー(Najera Catalyst I)を用いたこと以外は、実施例5に記載したのと同様の方法で、上記式(3A)に示すキノロンイソインドリン誘導体を得た(0.810g、単体収率:41.8%、脱ボロン体:22.18%、ホモカップリング体:0%)。
<実施例9>
実施例5において、クロロ[η2-P,C-トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト](トリシクロヘキシルホスフィノ)パラジウム(II)(SamCat)の代わりに、0.8mg(0.0014mmol、0.05mol%)のジ-μ-クロロビス[5-ヒドロキシ-2-[1-(ヒドロキシイミノ)エチル]フェニル]パラジウム(II)ダイマー(Najera Catalyst II)を用いたこと以外は、実施例5に記載したのと同様の方法で、上記式(3A)に示すキノロンイソインドリン誘導体を得た(0.767g、単体収率:39.6%、脱ボロン体:17.54%、ホモカップリング体:0%)。
実施例5において、クロロ[η2-P,C-トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト](トリシクロヘキシルホスフィノ)パラジウム(II)(SamCat)の代わりに、0.8mg(0.0014mmol、0.05mol%)のジ-μ-クロロビス[5-ヒドロキシ-2-[1-(ヒドロキシイミノ)エチル]フェニル]パラジウム(II)ダイマー(Najera Catalyst II)を用いたこと以外は、実施例5に記載したのと同様の方法で、上記式(3A)に示すキノロンイソインドリン誘導体を得た(0.767g、単体収率:39.6%、脱ボロン体:17.54%、ホモカップリング体:0%)。
<実施例10>
実施例5において、クロロ[η2-P,C-トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト](トリシクロヘキシルホスフィノ)パラジウム(II)(SamCat)の代わりに、0.6mg(0.0014mmol、0.05mol%)の(μ-クロロ){κ2-P,C-ジイソプロピルホスフィノ(2-フェニルフェノキシ)}パラジウム(II)ダイマー(Cat.A)を用いたこと以外は、実施例5に記載したのと同様の方法で、上記式(3A)に示すキノロンイソインドリン誘導体を得た(0.29g、単体収率:15%、脱ボロン体:13.94%、ホモカップリング体:0%)。
実施例5において、クロロ[η2-P,C-トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト](トリシクロヘキシルホスフィノ)パラジウム(II)(SamCat)の代わりに、0.6mg(0.0014mmol、0.05mol%)の(μ-クロロ){κ2-P,C-ジイソプロピルホスフィノ(2-フェニルフェノキシ)}パラジウム(II)ダイマー(Cat.A)を用いたこと以外は、実施例5に記載したのと同様の方法で、上記式(3A)に示すキノロンイソインドリン誘導体を得た(0.29g、単体収率:15%、脱ボロン体:13.94%、ホモカップリング体:0%)。
なお、プレフォームドパラジウム触媒であるCat.Aは、Green Chem.,2011、13、169-170に記載の方法を用いて合成した。
実施例1~10に係る製造方法及び測定結果を下記表3にまとめる。
表3から明らかなように、プレフォームドパラジウム触媒を用いた実施例1~10では、パラジウム含有触媒の使用量を、特許文献1に開示された方法で使用されているパラジウム含有触媒の使用量(例えば、1.7モル%、0.6%)より少なくしても、キノロンイソインドリン誘導体を得ることができた。
中でも、プレフォームドパラジウム触媒として(AtaPhos)2PdCl2を用いた実施例1~4では、特に、高い収率でキノロンイソインドリン誘導体を得ることができた。また、プレフォームドパラジウム触媒として(AtaPhos)2PdCl2を用いた実施例1~4では、その他のプレフォームドパラジウム触媒を用いた実施例5~10よりも、副生成物(脱ボロン体)の生成量を大幅に少なくすることができた。このことから、目的物の収率を上げ、副生成物の生成を低減できる点で、プレフォームドパラジウム触媒の中でも(AtaPhos)2PdCl2を用いることが特に好ましいといえる。
このように、パラジウム含有触媒としてプレフォームドパラジウム触媒を用いると、少量の触媒量であっても反応が十分に進行させることができる。また、表3に示すように製造条件の幅を広げることができる。
Claims (7)
- パラジウム含有触媒及び酸素含有塩基化合物存在下、下記式(1)で表されるイソインドリンボロン酸誘導体と、下記式(2)で表されるキノロン誘導体と、を接触させることにより、下記式(3)で表されるキノロンイソインドリン誘導体を製造することを含む、キノロンイソインドリン誘導体の製造方法であって、
前記パラジウム含有触媒は、酸素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子を含む配位子がパラジウム原子に予め配位しているプレフォームドパラジウム触媒である、キノロンイソインドリン誘導体の製造方法:
R1及びR3は、それぞれ、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アラルキル基、又はジアルキルアミノアルキル基であり、
R2は、水素原子、又はアミノ基保護基であり、
R4は、水素原子、アルキル基、又はアラルキル基であり、また、R4は、互いに結合して環を形成してもよく、
R5は、水素原子、又はカルボン酸保護基であり、
R6は、アルキル基、シクロアルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、アリール基、又は複素環基であり、
R7は、水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、又はアラルキル基であり、
Xは、ハロゲン原子、アルキルスルホニル基、ハロアルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基であり、
R1、R2及びR3は、前記式(1)のものと同義であり、
R5、R6及びR7は、前記式(2)のものと同義である。 - 難水溶性溶媒と水とを含む混合溶媒中、
前記式(1)で表されるイソインドリンボロン酸誘導体と、前記式(2)で表されるキノロン誘導体と、を接触させる、
請求項1に記載のキノロンイソインドリン誘導体の製造方法。 - 前記難水溶性溶媒は、芳香族炭化水素溶媒を含む、
請求項2に記載のキノロンイソインドリン誘導体の製造方法。 - 前記芳香族炭化水素溶媒は、トルエン、キシレン、及びメシチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、
請求項3に記載のキノロンイソインドリン誘導体の製造方法。 - 前記式(2)で表されるキノロン誘導体1モルに対して、前記プレフォームドパラジウム触媒を、前記パラジウム原子基準において0.00000010モル以上1.0モル以下使用する、
請求項1~4のいずれか1項に記載のキノロンイソインドリン誘導体の製造方法。 - 前記プレフォームドパラジウム触媒は、ジクロロビス[ジ-tert-ブチル(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン]パラジウム(II)、クロロ[η2-P,C-トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト](トリシクロヘキシルホスフィノ)パラジウム(II)、ビス[(ジシクロヘキシル)(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン]塩化パラジウム(II)、(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)[2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(II)メタンスルホン酸塩、ジ-μ-クロロビス[5-クロロ-2-[(4-クロロフェニル)(ヒドロキシイミノ)メチル]フェニル]パラジウム(II)ダイマー、ジ-μ-クロロビス[5-ヒドロキシ-2-[1-(ヒドロキシイミノ)エチル]フェニル]パラジウム(II)ダイマー、及び(μ-クロロ){κ2-P,C-ジイソプロピルホスフィノ(2-フェニルフェノキシ)}パラジウム(II)ダイマーからなる群から選ばれる少なくとも1種である、
請求項1~5のいずれか1項に記載のキノロンイソインドリン誘導体の製造方法。 - 前記プレフォームドパラジウム触媒及び前記酸素含有塩基化合物存在下、
下記式(4)で表されるハロゲノイソインドリン誘導体と、下記式(5A)で表されるジボロン誘導体と、を接触させることにより、前記式(1)で表されるイソインドリンボロン酸誘導体を製造した後、
得られた前記式(1)で表されるイソインドリンボロン酸誘導体と前記式(2)で表されるキノロン誘導体とを接触させる、
請求項1~6のいずれか1項に記載のキノロンイソインドリン誘導体の製造方法:
R1、R2及びR3は、前記式(1)のものと同義であり、
X’は、ハロゲン原子であり、
R4は、前記式(1)におけるものと同義であり、ただし、同一のホウ素原子に結合する-OR4におけるR4は、互いに結合して環を形成してもよい。
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