JP2016160240A - キサンテンの製造方法 - Google Patents

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Fumiaki Iwasaki
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Abstract

【課題】医薬中間体として工業上有用なキサンテンを、3級アミン化合物存在下、トリクロロシランで還元した後、或いは酸解離定数(pKa)が1以下の強酸の存在下、トリアルキルシラン化合物でキサントンを還元した後、生成したシラン化合物を単離することなく加水分解するという簡便な方法により、高収率・高選択率で得ること。
【解決手段】キサントンをトリエチルアミン、トリイソプロピルアミン等の3級アミン化合物存在下、トリクロロシランで還元もしくは、トリフロロ酢酸、メタンスルホン酸等の酸解離定数(pKa)が1以下の強酸の存在下、トリエチルシラン、トリイソプロピルシラン等のトリアルキルシラン化合物で還元し、キサンテンを製造する方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、キサントンを還元してキサンテンを製造する新規な方法に関する。
キサンテンは、下記式
Figure 2016160240
で示される化合物であり、胃腸薬として広く使用されているプロパンテリン酸臭化物の中間体として極めて重要な化合物である。
従来のキサンテンの製造方法としては、下記式
Figure 2016160240
で示されるキサントンを様々な還元剤で還元する方法が数多く知られている。例えば、水酸化カリウム存在下、ヒドラジンでキサントンを還元する方法(特許文献1参照)や、ジボランでキサントンを還元する方法(非特許文献1参照)、リチウムアルミニウムハイドライドでキサントンを還元する方法(非特許文献2参照)等が知られている。
しかし、ヒドラジンは、アンモニアに似た強い刺激臭がある上に、引火性が高いといった問題があった。ジボランは、引火性が高い上に爆発性で毒性が高いといった問題があった。また、リチウムアルミニウムハイドライドは、禁水性の化合物であり水と反応すると激しく水素が発生し、引火、爆発の危険性があるといった問題があった。そのため、これら従来技術の還元剤を使用するときには、その取り扱いに最大限の注意を払う必要があった。このため、取り扱いが容易な還元剤を用いて、温和な条件下でキサンテンを製造できる方法の開発が強く望まれていた。
また、比較的取扱い易い還元剤であるジフェニルシランを使用してキサントンを還元する方法も知られている(非特許文献2参照)。
しかしながら、この方法においては、200℃を超える非常に高温での反応であること、及びキサンテンの収率が27.5%と低いため、より操作性がよく、収率を高くできる方法の開発が望まれていた。
中国特許出願公開103319447号明細書
ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー 28巻 10号 2935−2936頁 1963年(Journal of Organic Chemistry, 28(10), 2935-2936 (1963)) ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー 26巻 12号 4817−4820頁 1961年(Journal of Organic Chemistry, 26(12), 4187-4820 (1961))
以上の背景にあって、本発明は、キサントンを原料に還元してキサンテンを製造する方法において、比較的簡便な方法によりキサンテンを高収率で得る方法を目的とする。
かかる実情に鑑み、本発明者らは、キサントンのような電子供与性の酸素原子が組み込まれた芳香族系複素環化合物の還元について、様々な還元剤を試し、その最適条件を検討した。そして、トリクロロシラン、及びトリアルキルシラン化合物を還元剤として使用することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、トリクロロシラン、及びトリアルキルシラン化合物から選ばれる少なくとも1種の還元剤でキサントンを還元することを特徴とするキサンテンの製造方法である。
また、本発明においては、前記還元剤でキサントンを還元した際に生成するシラン化合物を加水分解することが好ましい。本発明においては、前記還元剤を使用することにより、一旦、キサンテンの9位の炭素原子にトリクロロシリル基、又はトリアルキルシリル基が置換した化合物を主成分とする中間体(キサンテンの9位の炭素原子にトリクロロシリル基、又はトリアルキルシリル基が置換した化合物を含む中間体)を得ることができる。そして、この中間体は、容易に加水分解することができ、キサンテンとすることができる。
本発明において、トリクロロシランを還元剤として使用した場合には、3級アミン化合物存在下、トリクロロシランでキサントンを還元することが好ましい。この場合には、キサントン1モルに対して、トリクロロシランを2〜10モルの範囲で使用することが好ましい。
また、本発明において、トリアルキルシラン化合物を還元剤として使用する場合には、 酸解離定数(pKa)が1以下の強酸の存在下、トリアルキルシラン化合物でキサントンを還元することが好ましい。この場合には、酸解離定数(pKa)が1以下の強酸として、メタンスルホン酸、及びトリフロロ酢酸から選ばれる少なくとも1種の酸を使用することが好ましい。さらに、これらの場合には、キサントン1モルに対して、トリアルキルシラン化合物を2〜10モルの範囲で使用することが好ましい。
本発明によれば、キサントンをトリクロロシラン、又はトリアルキルシラン化合物で還元する簡便な方法により、高収率でキサンテンを得ることができる。したがって、工業的に極めて有用である。
本発明は、トリクロロシラン、及びトリアルキルシラン化合物から選ばれる少なくとも1種の還元剤でキサントンを還元してキサンテンとする方法である。キサントンは、公知の方法で製造することができ、市販のものを使用することができる。本発明によれば、極めて簡便な操作でキサンテンを高収率で取得することができる。条件の最適化を図れば、温和な条件下で中間体を単離することなく、ワンステップの反応でキサンテンを高収率で取得できる。以下、本発明に用いられる化合物を、順を追って説明する。
(還元剤)
本発明において、キサントンを還元するために使用する還元剤は、トリクロロシラン、及びトリアルキルシラン化合物から選ばれる少なくとも1種の還元剤である。これら還元剤は、キサントン以外の化合物の還元には使用されているが、キサントンのような電子供与性の酸素原子が組み込まれた芳香族系複素環化合物の還元については全く知られていなかった。従って、これら還元剤がキサントンを原料としてキサンテンを製造する方法に適用できるかどうかは、本発明によって初めて明らかにされたものである。本発明においては、これら還元剤を使用した場合に、温和な条件の還元反応とすることができる。これら還元剤を使用した場合には、キサンテンの9位の炭素原子にトリクロロシリル基、又はトリアルキルシリル基が置換した化合物を主成分とする中間体(キサンテンの9位の炭素原子にトリクロロシリル基、又はトリアルキルシリル基が置換した化合物を含む中間体)が製造できる。この中間体は、容易に加水分解できるため、本発明によれば、高収率でキサンテンを得ることができる。
(トリクロロシラン)
本発明で使用するトリクロロシランとしては、工業原料および試薬として入手可能なものが何ら制限なく使用できる。
本発明で使用するトリクロロシランの量は、特に制限はないが、キサントン1モルを還元してシラン化合物に変換するためには、トリクロロシラン2モルが最低必要となり、量が多過ぎると後処理操作が煩雑となる傾向にあるため、通常、キサントン1モルに対して、2.0〜10.0モルの範囲であることが好ましく、2.0〜6.0モルの範囲であることがより好ましい。
(トリアルキルシラン化合物)
本発明に用いられるトリアルキルシラン化合物としては、工業原料あるいは試薬として入手可能なトリアルキルシラン化合物が何ら制限なく使用することができる。本発明に用いられるトリアルキルシラン化合物を具体的に例示すると、トリエチルシラン、トリイソプロピルシラン、トリ−n−ヘキシルシラン等を挙げることができる。これらのトリアルキルシランの中でも、特に高い還元力が期待できる、トリエチルシラン、トリイソプロピルシラン等が好適に使用される。本発明で使用するトリアルキルシランの量は、特に制限はないが、キサントン1モルを還元してシラン化合物に変換するためには、トリアルキルシラン2モルが最低必要となり、量が多過ぎると後処理操作が煩雑となる傾向にあるため、通常、キサントン1モルに対して、2.0〜10.0モルの範囲であることが好ましく、2.0〜6.0モルの範囲であることがより好ましい。
(還元反応の好適な例)
本発明においては、還元剤としてトリクロロシランを使用した場合には、3級アミン存在下で、トリクロロシランとキサントンとを接触させて、キサントンを還元することが好ましい。
一方、本発明においては、還元剤としてトリアルキルシラン化合物を使用した場合には、酸解離定数(pKa)が1以下の強酸の存在下で、トリアルキルシラン化合物とキサントンとを接触させて、キサントンを還元することが好ましい。
次に、これらの好適な例について具体的に説明する。
(トリクロロシランを使用した場合の好適な反応例)
還元剤としてトリクロロシランを使用した場合には、3級アミン存在下で還元反応を行うことが好ましい。この還元反応について説明する。なお、この場合、使用するトリクロロシラン、及びその使用量は、前記で説明した通りである。
(3級アミン)
本発明に用いられる3級アミンとしては、工業原料あるいは試薬として入手可能な3級アミンが何ら制限なく使用することができる。本発明に用いられる3級アミン化合物としては、脂肪族3級アミン化合物、及び/又は芳香族3級アミン化合物が挙げられる。具体的に例示すると、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、N,N−ジメチルエチルアミン、N,N−ジメチルエチルアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミン、N,N−ジエチルメチルアミン、N,N−ジエチルブチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルプロピレンジアミン等の脂肪族3級アミン化合物、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン等の芳香族3級アミン化合物等を挙げることができる。これらの3級アミンの中でも特に、高い収率が期待できるトリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、N,N−ジメチルエチルアミン、N,N−ジメチルエチルアミン、N,N−ジエチルメチルアミン、N,N−ジエチルブチルアミン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン等の脂肪族3級アミン化合物が好適に使用される。
本発明で使用する3級アミン化合物の量は、使用する還元剤の種類によって左右されるうえに、溶媒を兼ねて使用することができるため特に制限はないが、量が少な過ぎると還元反応が完結しない傾向にあり、量が多過ぎると後処理操作が煩雑となる傾向にあるため、通常、キサントンの濃度が0.05〜60質量%、好ましくは0.1〜30質量%となる量を使用することが好ましい。ただし、3級アミンを使用する場合においても、溶媒中で3級アミン存在下、キサントンをトリクロロシランで還元することもできる。そのため、溶媒を使用した場合には、キサントン1モルに対して1モル以上の量であることが好ましく、さらに1モル以上30モル以下であることが好ましい。
(溶媒:トリクロロシランを使用した場合)
本発明において、トリクロロシラン、及び3級アミンを使用する場合には、3級アミンを溶媒の代わりとすることもできるが、この反応系においても、溶媒中で還元反応を進めることができる。本発明で用いられる溶媒としては、反応を阻害しないものであれば、工業原料あるいは試薬として入手可能な溶媒が何等制限なく用いられる。本発明に用いられる溶媒としては、塩素化脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、及び/又はニトリル類が挙げられる。具体的に例示すると、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等の塩素化脂肪族炭化水素類、ベンゼン、クロロベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、アセトニトリル等のニトリル類を挙げることができる。これらの溶媒は、単独で使用してもよいし、混合して用いてもよい。混合して用いる場合、その混合比率に特に制限はない。これらの溶媒の中でも特に高い収率が期待できる、アセトニトリル等のニトリル類、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等の塩素化脂肪族炭化水素類が好適に使用される。
本発明で使用する溶媒の量は、特に制限はないが、量が少な過ぎると各成分を混合するための攪拌が十分とならない傾向にあり、量が多過ぎると、一バッチあたりの収量が低減する傾向にあるため、一般的には、キサントンの溶媒中の濃度が、0.1〜60質量%となる範囲であることが好ましく、さらには1〜30質量%の範囲であることが好ましい。
(反応条件:トリクロロシランを使用した場合)
3級アミン存在下、キサントンをトリクロロシランで還元するには、3級アミン、キサントン、及びトリクロロシランを接触させればよい。これら3成分を接触させるためには、3成分を混合すればよく、例えば、攪拌混合を行って還元反応を実施すればよい。
この場合、キサントンを還元する際の反応温度は、特に制限はないが、温度が高過ぎると還元反応を制御するのが困難となる傾向にあり、温度が低過ぎると反応時間が長くなる傾向にあるため、−10℃から用いる溶媒(又は3級アミン)の沸点までの範囲から適宜選択すればよい。その中でも、操作性を考慮すると、反応温度は、0〜80℃の範囲であることが好ましい。
本発明おいて、反応時間は、原料となるキサントンが完全に消費される時間まで行えばよい。そのため、この反応時間は、3級アミン化合物、およびそれらの量等によって最適時間が異なるため一概に限定できないが、通常、0.1〜30時間の範囲であることが好ましい。なお、この反応時間は、還元剤、キサントン、および3級アミン化合物の3成分全てが混合されてからの時間である。
本発明の方法は、常圧、減圧、加圧のいずれの状態でも実施可能である。また、本発明の方法は、酸素、大気等の酸素存在下だけでなく、窒素、アルゴン、二酸化炭素等の不活性気体雰囲気下でも実施することができる。
本発明において、3級アミン化合物存在下、キサントンをトリクロロシランによって還元してキサンテンとするには、キサントン、3級アミン化合物、及びトリクロロシランとを混合することにより実施できる。これら各成分の混合方法は、特に制限されるものではない。例えば、3成分を同時に反応装置に投入して混合してもよい。2成分を予め混合しておき、残りの成分を添加して混合してもよい。1成分中に同時に2成分を添加して混合してもよい。各成分は、溶媒で希釈して反応装置等へ供給することができる。その中でも、副生物をより低減し、キサンテンの収率をより高めるためには、不活性気体雰囲気下、キサントンを溶媒に溶解した溶液を攪拌しながら、必要に応じて溶媒で希釈した3級アミン化合物を加え、次いで、必要に応じて溶媒で希釈したトリクロロシランを加えて攪拌(混合)することが好ましい。
以上の方法により、トリクロロシランによりキサントンを還元して対応するシラン化合物(キサンテンの9位の炭素原子にトリクロロシリル基が結合した化合物を主成分とする中間体(キサンテンの9位の炭素原子にトリクロロシリル基が結合した化合物を含む中間体))を製造することができる。次に、トリアルキルシラン化合物を使用した場合の例について説明する。
(トリアルキルシラン化合物を使用した場合の好適な反応例)
還元剤としてトリアルキルシランを使用した場合には、酸解離定数(pKa)が1以下の強酸の存在下で還元反応を行うことが好ましい。この還元反応について説明する。なお、この場合、使用するトリアルキルシラン化合物、及びその使用量は、前記で説明した通りである。
(強酸)
本発明に用いられる、水溶液中の酸解離定数(pKa)が1以下の強酸は、トリクロロ酢酸等の常温で固体状のものも融点以上の温度で反応させることにより使用可能である。中でも、常温で液体状のものを、溶媒を兼ねて用いるのが好ましい。このような強酸としては、トリフロロ酢酸(pKa=0.23)、メタンスルホン酸(pKa=−1.8)、トリフロロメタンスルホン酸(pKa=−13)等が挙げられる。このうちトリフロロ酢酸またはメタンスルホン酸、特に、反応性の面からトルフロロ酢酸を用いるのが好ましい。
これらの強酸の使用量としては、特に制限はないが、あまり量が少ないと還元反応の収率の低下を招きあまり量が多いと後処理操作が煩雑となるため、通常、キサントンの濃度が0.05〜60重量%、好ましくは0.1〜30重量%となる量を使用することが好ましい。ただし、強酸を使用する場合においても、溶媒中で強酸存在下、キサントンをトリアルキルシラン化合物で還元することもできる。そのため、溶媒を使用した場合には、キサントン1モルに対して1モル以上の量であることが好ましく、さらに1モル以上30モル以下であることが好ましい。
(溶媒:トリアルキルシラン化合物を使用した場合))
本発明において、トリアルキルシラン化合物、及び強酸を使用する場合には、強酸を溶媒の代わりとすることもできるが、この反応系においても、溶媒中で還元反応を進めることができる。本発明の方法においては、溶媒中で実施することもできる。本発明で用いられる溶媒としては、反応を阻害しないものであれば、工業原料あるいは試薬として入手可能な溶媒が何等制限なく用いられる。本発明に用いられる溶媒としては、塩素化脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、及び/又はニトリル類が挙げられる。具体的に例示すると、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等の塩素化脂肪族炭化水素類、ベンゼン、クロロベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、アセトニトリル等のニトリル類を挙げることができる。これらの溶媒は、単独で使用してもよいし、混合して用いてもよい。混合して用いる場合、その混合比率に特に制限はない。これらの溶媒の中でも特に高い収率が期待できる、アセトニトリル等のニトリル類、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等の塩素化脂肪族炭化水素類が好適に使用され、さらに好ましくは、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等の塩素化脂肪族炭化水素類が使用される。
本発明で使用する溶媒の量は、特に制限はないが、量が少な過ぎると各成分を混合するための攪拌が十分とならない傾向にあり、量が多過ぎると、一バッチあたりの収量が低減する傾向にあるため、一般的には、キサントンの溶媒中の濃度が、0.1〜60重量%となる範囲であることが好ましく、さらには1〜30重量%の範囲であることが好ましい。
(反応条件:トリアルキルシラン化合物を使用した場合)
強酸存在下、キサントンをトリアルキルシラン化合物で還元するには、強酸、キサントン、及びトリアルキルシラン化合物を接触させればよい。これら3成分を接触させるためには、3成分を混合すればよく、例えば、攪拌混合を行って還元反応を実施すればよい。
この場合、キサントンを還元する際の反応温度は、特に制限はないが、温度が高過ぎると還元反応を制御するのが困難となる傾向にあり、温度が低過ぎると反応時間が長くなる傾向にあるため、−10℃から用いる溶媒(又は強酸)の沸点までの範囲から適宜選択すればよい。その中でも、操作性を考慮すると、反応温度は、0〜80℃の範囲であることが好ましい。
本発明おいて、反応時間は、原料となるキサントンが完全に消費される時間まで行えばよい。そのため、この反応時間は、用いる還元剤、酸の種類、およびそれらの量等によって最適時間が異なるため一概に限定できないが、通常、0.1〜30時間の範囲であることが好ましい。なお、この反応時間は、還元剤、キサントン、および強酸の3成分全てが混合されてからの時間である。
本発明の方法は、常圧、減圧、加圧のいずれの状態でも実施可能である。また、本発明の方法は、酸素、大気等の酸素存在下だけでなく、窒素、アルゴン、二酸化炭素等の不活性気体雰囲気下でも実施することができる。
本発明において、酸解離定数(pKa=1)が1以下の強酸の存在下、トリアルキルシラン化合物によって還元してキサンテンとするには、キサントン、酸解離定数(pKa=1)が1以下の強酸、及びトリアルキルシラン化合物とを混合することにより実施できる。これら各成分の混合方法は、特に制限されるものではない。例えば、3成分を同時に反応装置に投入して混合してもよい。2成分を予め混合しておき、残りの成分を添加して混合してもよい。1成分中に同時に2成分を添加して混合してもよい。各成分は、溶媒で希釈して反応装置等へ供給することができる。その中でも、副生物をより低減し、キサンテンの収率をより高めるためには、不活性気体雰囲気下、酸解離定数(pKa=1)が1以下の強酸を攪拌しながら、キサントンを溶媒に溶解した溶液を加え、次いで、必要に応じて溶媒で希釈したトリアルキルシラン化合物を加えて攪拌(混合)することが好ましい。
以上の方法により、トリアルキルシラン化合物によりキサントンを還元して対応するシラン化合物(キサンテンの9位の炭素原子にトリアルキルシリル基が結合した化合物を主成分とする中間体(キサンテンの9位の炭素原子にトリアルキルシリル基が結合した化合物を含む中間体))を製造することができる。次に、得られたシラン化合物の加水分解方法について説明する。
(加水分解の条件)
本発明において、トリクロロシラン、又はトリアルキルシラン化合物を還元剤として使用した場合に得られるシラン化合物(中間体)は、同様の方法で加水分解することにより、キサンテンとすることができる。そのため、両者をまとめて説明する。
本発明で生成したシラン化合物の加水分解は、いかなる方法で実施してもよい。例えば、上記方法によって得られた反応混合物と、塩基性水溶液、又は塩基性アルコール溶液とを接触させて混合溶液とし、必要であればさらに塩基を加えて混合溶液を中性、又は塩基性とすることで加水分解を行うことができる。反応混合物と、塩基性水溶液、又は塩基性アルコール溶液とを接触させるのは、混合してやればよく、例えば、攪拌混合してやればよい。
使用する塩基としては、工業原料および試薬として入手可能な塩基が何ら制限なく使用できる。これらの塩基を具体的に例示すると、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物類、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属炭酸塩類、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩類、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類水酸化物類、およびアンモニアを挙げることができる。これらの塩基の中でも特に加水分解速度が速い、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物類、およびアンモニアが好適にしようされる。
これらの塩基は、水もしくはメタノール、エタノール等のアルコール化合物に溶解させた形で使用することができる。
使用する塩基の量については、特に制限はないが、加水分解終了後の混合溶液を中性、又は塩基性にする必要がある。そのため、トリクロロシランを使用して得られたシラン化合物(中間体)を加水分解する場合には、トリクロロシラン1モルに対して3モル以上であることが好ましく、さらには3.0〜30モルであることが好ましい。また、トリアルキルシラン化合物を使用して得られたシラン化合物(中間体)を加水分解する場合には、酸解離定数(pKa)が1以下の強酸1モルに対して1モル以上であることが好ましく、さらには1.0〜30モルであるのが好ましい。
加水分解反応時の反応温度としては特に制限はないがあまり温度が低いと加水分解速度が著しく減少し、あまり温度が高いと副反応を促進するため、通常−10〜60℃、好ましくは0〜40℃の範囲から選択するのが良い。加水分解反応の反応時間としては、通常1〜40時間もあれば十分である。また、加水分解反応は、常圧、減圧、加圧のいずれの状態でも実施可能である。
(加水分解後のキサンテンの分離・精製)
以上のような操作を行い、中間体であるシラン化合物を加水分解してキサンテンを製造する。次いで、キサンテンは、以下の方法により単離することができる。例えば、先ず、加水分解終了後、加水分解後の反応混合物に、水と相溶しない有機溶媒を加えて有機相に反応生成物(キサントン)を抽出する。そして、必要であれば、水あるいは飽和炭酸水ナトリウム水溶液で該有機相を洗浄する。その後、得られた有機相を硫酸マグネシウム等の乾燥剤を用いて乾燥し、最後に有機溶媒を留去する(又は、有機溶媒中で結晶化させる)ことによって目的とするキサンテンを得ることができる。さらに、得られたキサンテンは、公知の方法、例えば、再結晶、シリカゲルカラムトグラフィーによって分離精製することにより、純度の高い精製されたキサンテンとすることができる。
以下、実施例を掲げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何等制限させるものではない。
実施例1
50mlの茄子型フラスコを窒素雰囲気下とし、トリ−n−プロピルアミン430mg(3mmol)(和光純薬試薬1級:3級アミン)およびキサントン(和光純薬試薬1級)588mg(3mmol)を加えて室温(23℃)下で攪拌した。この溶液に、トリクロロシラン1219mg(9mmol)を、滴下ロートを用いてゆっくり滴下した。
滴下後、反応溶液を60℃で2時間攪拌した。反応終了後、室温まで冷却し、水酸化カリウム5質量%メタノール溶液10mlをゆっくり加え、室温で1時間、攪拌した(シラン化合物の加水分解:反応混合物と塩基性の溶液との接触操作)。この混合溶液(反応混合物)は、塩基性であることを確認した。
得られた混合溶液(反応混合物)を、塩化メチレン(和光純薬試薬特級)30mlが入った分液ロートに投入し、水10mlを加えて水に溶解する成分を水相に抽出した。この操作をさらに2回実施した後、分液した塩化メチレン溶液(有機相)を、硫酸マグネシウムで乾燥した後、塩化メチレンを留去したところ、残渣として固体(粗体のキサンテン)を取得した。この粗体のキサンテンをシリカゲルカラムトグラフィーで精製したところ、キサンテン437mg(収率80%)を取得した。
実施例2
トリプロピルアミンに代えて、トリエチルアミン(和光純薬試薬特級)を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、キサンテン437mg(収率80%)を取得した。
実施例3
トリプロピルアミンに代えて、トリ−n−ブチルアミン(和光純薬試薬特級)を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、キサンテン448mg(収率82%)を取得した。
実施例4
5質量%水酸化カリウムメタノール溶液に代えて、水酸化カリウム5質量%水溶液を用いた以外は実施例1と同様の操作を行った、その結果、キサンテン465mg(収率85%)を取得した。
実施例5
5質量%水酸化カリウムメタノール溶液に代えて、水酸化ナトリウム5質量%水溶液を用いた以外は実施例1と同様の操作を行った、その結果、キサンテン453mg(収率83%)を取得した。
実施例6
溶媒としてアセトニトリル(和光純薬試薬特級)10mlを、あらかじめ50mlの茄子型フラスコに加えた以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果、キサンテン383mg(収率70%)を取得した。
実施例7
アセトニトリルに代えて、塩化メチレンを用いた以外は、実施例6と同様の操作を行った。その結果、キサンテン400mg(収率73%)を取得した。
実施例8
トリプロピルアミンに代えて、トリ−n−ブチルアミンを使用した以外は、実施例6と同様の操作を行った。その結果、キサンテン411mg(収率75%)を取得した。
実施例9
50mlの茄子型フラスコを窒素雰囲気下とし、トリフロロ酢酸(和光純薬試薬特級)10mおよびキサントン(和光純薬試薬1級)588mg(3mmol)を加えて室温で攪拌した。この溶液に、トリエチルシラン872mg(7.5mmol)を、滴下ロートを用いてゆっくり滴下した。
滴下後、反応溶液を室温で1時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を水酸化ナトリウム5質量%水溶液100mlの入った300mlのビーカーにゆっくり加え、室温で1時間、攪拌した(シラン化合物の加水分解:反応混合物と塩基性の溶液との接触操作)。この混合溶液(反応混合物)は、塩基性であることを確認した。
得られた混合溶液を、塩化メチレン(和光試薬特級)30mlで有機溶媒に溶解する成分を有機相に抽出した。この操作をさらに2回実施した後、分液した塩化メチレン溶液(有機相)を、硫酸マグネシウムで乾燥した後、塩化メチレンを留去したところ、残渣として固体(粗体のキサンテン)を取得した。この粗体のキサンテンをシリカゲルカラムトグラフィーで精製したところ、キサンテン492mg(収率90%)を取得した。
実施例10
トリエチルシランに代えて、トリイソプロピルシランを用いた以外は実施例9と同様の操作を行った。その結果、キサンテン490mg(収率90%)を取得した。
実施例11
トリエチルシランに代えて、トリ−n−ヘキシルシランを用いた以外は実施例9と同様の操作を行った。その結果、キサンテン425mg(収率78%)を取得した。
実施例12
トリフロロ酢酸に代えて、メタンスルホン酸を用いた以外は実施例9と同様の操作を行った。その結果、キサンテン410mg(収率75%)を取得した。
実施例13
水酸化ナトリウム5質量%水溶液に代えて、水酸化カリウム5質量%水溶液を用いた以外は実施例9と同様の操作を行った。その結果、キサンテン488mg(収率89%)を取得した。
実施例14
溶媒として塩化メチレン(和光純薬試薬特級)10mlを、あらかじめ50mlの茄子型フラスコに加えた以外は実施例9と同様の操作を行った。その結果、キサンテン450mg(収率82%)を取得した。

Claims (7)

  1. トリクロロシラン、及びトリアルキルシラン化合物から選ばれる少なくとも1種の還元剤でキサントンを還元することを特徴とするキサンテンの製造方法。
  2. 前記還元剤でキサントンを還元した際に生成するシラン化合物を加水分解することを特徴とする請求項1に記載のキサンテンを製造する方法。
  3. 3級アミン化合物存在下、トリクロロシランでキサントンを還元することを特徴とする請求項1又は2に記載のキサンテンを製造する方法。
  4. キサントン1モルに対して、トリクロロシランを2〜10モルの範囲で使用することを特徴とする請求項3に記載のキサンテンの製造方法。
  5. 酸解離定数(pKa)が1以下の強酸の存在下、トリアルキルシラン化合物でキサントンを還元することを特徴とする請求項1又は2に記載のキサンテンを製造する方法。
  6. 酸解離定数(pKa)が1以下の強酸として、メタンスルホン酸、及びトリフロロ酢酸から選ばれる少なくとも1種の酸を使用することを特徴とする請求項5に記載のキサンテンの製造方法。
  7. キサントン1モルに対して、トリアルキルシラン化合物を2〜10モルの範囲で使用することを特徴とする請求項5又は6に記載のキサンテンの製造方法。
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