JP2004300052A - クロロ蟻酸ベンジルエステル類の製造方法 - Google Patents

クロロ蟻酸ベンジルエステル類の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ベンジルアルコール類からクロロ蟻酸ベンジルエステル類を好収率で製造しうる方法を提供する。
【解決手段】下記式(1)
Figure 2004300052

(式中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基を表す。)
で示される芳香族アミンの存在下に、下記式(2)
Figure 2004300052

(式中、Xは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子を表す。)
で示されるベンジルアルコール類及びホスゲンを反応させることにより、クロロ蟻酸ベンジルエステル類を製造する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベンジルアルコール類をクロロホルミル化することにより、クロロ蟻酸ベンジルエステル類を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、クロロ蟻酸ベンジルエステル類を製造する方法としては、例えば、ジオキサン中、ベンジルアルコール類とホスゲンを反応させる方法が知られている(非特許文献1参照)
【0003】
【非特許文献1】Journal of American Chemical Society、1952年、第74巻、第3818〜3821頁
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の方法では、クロロ蟻酸ベンジルエステル類の収率が、必ずしも満足できるものではなかった。そこで、本発明の目的は、ベンジルアルコール類からクロロ蟻酸ベンジルエステル類を好収率で製造しうる方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は鋭意研究を行った結果、ある種の芳香族アミンの存在下にベンジルアルコール類とホスゲンを反応させることにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、下記式(1)
【0007】
【化4】
Figure 2004300052
【0008】
(式中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基を表す。)
で示される芳香族アミンの存在下に、ベンジルアルコール類及びホスゲンを反応させることにより、クロロ蟻酸ベンジルエステル類を製造する方法を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる原料のベンジルアルコール類は、ベンジルアルコール、又はベンジルアルコールのフェニル基の水素原子1〜5個が有機基やニトロ基、ハロゲン原子などで置換されたものであり、典型的には、下記式(1)で示されるものを挙げることができる。
【0010】
【化5】
Figure 2004300052
【0011】
(式中、Xは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子を表す。)
【0012】
式(2)中、Xで表されるアルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基など、炭素数1〜10程度のアルキル基であることができ、Xで表されるアルコキシ基は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基など、炭素数1〜10程度のアルコキシ基であることができ、Xで表されるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であることができる。また、フェニル基上におけるXの置換位置は、ヒドロキシメチル基に対し、オルト位、メタ位、パラ位のいずれであってもよい。
【0013】
原料のベンジルアルコール類は、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。
【0014】
ベンジルアルコール類として、前記式(2)で示されるものを用いることにより、クロロ蟻酸ベンジルエステル類として、下記式(3)で示されるものを製造することができる。
【0015】
【化6】
Figure 2004300052
【0016】
(式中、Xは前記と同じ意味を表す。)
【0017】
ベンジルアルコール類との反応に使用するホスゲンの量は、ベンジルアルコール類1モルに対して、通常0.7モル以上であり、好ましくは0.9〜1.1モルである。ホスゲンはガス状のものを使用してもよいし、液状のものを使用してもよい。
【0018】
本発明では、ベンジルアルコール類とホスゲンの反応を、前記式(1)で示される芳香族アミンの存在下に行う。こうすることで、ベンジルアルコール類のクロロホルミル化反応が円滑に進行し、目的物のクロロ蟻酸ベンジルエステル類を好収率で得ることができる。
【0019】
芳香族アミンを示す前記式(1)中、R及びRで表されるアルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基など、炭素数1〜10程度のアルキル基であることができる。
【0020】
芳香族アミンの使用量は、ベンジルアルコール類1モルに対して、通常0.25モル以上であり、好ましくは0.5〜1モルである。芳香族アミンも必要に応じてそれらの2種以上を用いることができる。
【0021】
上記反応に使用することのできる反応溶媒としては、例えば、トルエンやキシレンのような芳香族炭化水素類、クロロベンゼンやジクロロベンゼンのような芳香族ハロゲン化炭化水素類、ヘキサンやヘプタンのような脂肪族炭化水素類、ジクロロメタンや1,2−ジクロロエタンのようなハロゲン化脂肪族炭化水素類、ジエチルエーテルやジオキサンのようなエーテル類、酢酸エチルや酢酸ブチルのようなエステル類などが挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。中でも、芳香族炭化水素類や芳香族ハロゲン化炭化水素類が、クロロ蟻酸ベンジルエステル類の収率の点や、取り扱い性の点で、好ましい。
【0022】
ベンジルアルコール類、ホスゲン及び芳香族アミンの供給方法については、適宜、選択することができるが、例えば、ベンジルアルコール類及び芳香族アミンを反応溶媒に溶解し、この中にホスゲンを導入してもよいし、芳香族アミンを反応溶媒に溶解し、この中にベンジルアルコール類及びホスゲンを併注してもよいし、ベンジルアルコール類を反応溶媒に溶解し、この中に芳香族アミン及びホスゲンを併注してもよい。
【0023】
反応は比較的低温で行うのが好ましく、通常−10〜10℃、好ましくは0〜5℃の範囲で行われる。反応時間は、各成分の量や反応温度などによるが、通常0.5〜10時間程度である。
【0024】
反応後の後処理操作については、適宜選択することができるが、例えば、反応液中に未反応ホスゲンが存在する場合は除害を行い、その後、水で洗浄するのが好ましい。得られたクロロ蟻酸ベンジルエステル類は、必要により、蒸留や晶析などの精製操作に付すことができる。
【0025】
【実施例】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0026】
実施例1
500mlフラスコに、トルエン200g、p−ニトロベンジルアルコール40g(0.26モル)、及びN,N−ジエチルアニリン21g(0.14モル)を入れ、攪拌下、0℃に冷却した。この中に、ホスゲン26g(0.26モル)を2時間かけて吹き込んだ後、5℃以下で1時間保持した。この反応液に、水61g及び20重量%塩酸6.6gを加えて2時間保持した後、油層と水層とに分液した。油層を水61gで洗浄して、クロロ蟻酸p−ニトロベンジルのトルエン溶液254gを得た。この溶液を液体クロマトグラフィーで分析した結果、クロロ蟻酸p−ニトロベンジルの濃度は21.5重量%であり、収率は97%であった。
【0027】
比較例1
500mlフラスコに、トルエン150g、p−ニトロベンジルアルコール30g(0.20モル)、及びピリジン8.5g(0.11モル)を入れ、攪拌下、0℃に冷却した。この中に、ホスゲン19g(0.20モル)を1.5時間かけて吹き込んだ後、5℃以下で2時間保持した。この反応液に、水46g及び20重量%塩酸5gを加えて2時間保持した後、油層と水層に分液し、油層としてクロロ蟻酸p−ニトロベンジルのトルエン溶液208gを得た。この溶液を液体クロマトグラフィーで分析した結果、クロロ蟻酸p−ニトロベンジルの濃度は10.5重量%であり、収率は52%であった。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、ベンジルアルコール類から好収率でクロロ蟻酸ベンジルエステル類を製造することができる。

Claims (3)

  1. 下記式(1)
    Figure 2004300052
    (式中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基を表す。)
    で示される芳香族アミンの存在下に、ベンジルアルコール類及びホスゲンを反応させることを特徴とするクロロ蟻酸ベンジルエステル類の製造方法。
  2. ベンジルアルコール類が下記式(2)
    Figure 2004300052
    (式中、Xは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子を表す。)
    で示されるものであり、クロロ蟻酸ベンジルエステル類が下記式(3)
    Figure 2004300052
    (式中、Xは前記と同じ意味を表す。)
    で示されるものである請求項1に記載の製造方法。
  3. 芳香族炭化水素溶媒又は芳香族ハロゲン化炭化水素溶媒中で反応を行う請求項1又は2に記載の製造方法。
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