JP2010036194A - 鋳造型の表面処理方法およびそれを用いた鋳造型 - Google Patents

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Abstract

【課題】 鋳造型を用いて製品を成形加工する鋳造成形において、成形材料の鋳造型への焼き付きを抑制し、製品の離型抵抗を低減する離型効果をより一層長く持続させる。
【解決手段】鋳造型の表面をカーボンナノコイル、カーボンナノチューブ、カーボンナノフィラメントからなる群から選ばれる少なくとも1種のナノカーボン類を含む炭素膜で被覆し、さらにその表面にフラーレン類を塗布する表面処理方法。鋳造型のキャビティ面等のアルミニウム等の成形材料の溶湯が接触する面に対してこの表面処理方法を行うと、成形材料の溶湯が型に焼き付きが抑制され、製品の離型抵抗が低減されて、離型効果が向上する。従来の炭素膜よりも離型効果がより一層長寿命化する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、鋳造型の表面処理方法と、その表面処理方法によって表面に炭素膜を形成した鋳造型に関する。
鋳造型を用いて製品を成形加工する鋳造成形技術は、一定の形状、一定の品質の製品を大量に生産できる技術であり、様々な材料を用いた製品の製造に利用されている。鋳造成形工程においては、一般に鋳造型の成形面に離型剤が塗布され、成形した製品を鋳造型から取り外す際に製品が鋳造型から型離れし易いようにされる。しかしながら、成形加工を繰り返すと、鋳造型に材料が焼き付いたり、鋳造型から製品が型離れしにくくなる。
例えば、アルミニウム合金などをダイカスト鋳造法で鋳造成形する場合には、アルミニウム溶湯を金属のキャビティ内に高速、高圧で充填する。これによって鋳造型がアルミニウム溶湯と接触する部分に溶湯の焼き付きが生じたり、製品を鋳造型から取り出す際の離型抵抗が大きくなったりする。
鋳造型の表面を炭素膜で被覆することで上記の問題に対処できる。炭素膜によって溶湯と鋳造型の基材が直接接触することが防止され、鋳造型への溶湯の焼き付きや離型抵抗の増大を抑制できる。例えば、特許文献1では、アルミニウムダイカスト用の鋳造型の表面にフラーレンを主成分とする炭素材料を擦り付けて塗布し、鋳造型の表面にフラーレンを主成分とする炭素膜を形成することで離型抵抗を小さくし、焼き付きを抑制している。
特開2007−144499号公報
特許文献1の技術によって鋳造型の表面に形成されたフラーレンを主成分とする炭素膜は、鋳造成形工程を行う度毎に塗布する必要はないものの、ある程度の鋳造回数を経ると離型抵抗低減の効果が失われる。離型抵抗低減の効果が失われると、鋳造型を再度フラーレンを主成分とする炭素膜で被覆し、鋳造型の離型効果を回復させるためのメンテナンス作業を行う必要が生じる。生産効率向上の観点から、メンテナンス作業の頻度はより少ない方が好ましく、離型抵抗低減効果、焼き付き防止といった離型効果のより一層の長寿命化が求められている。
そこで、本発明では、鋳造型の表面を被覆するカーボンナノコイル、カーボンナノチューブおよびカーボンナノフィラメントからなる群から選ばれる少なくとも1種のナノカーボン類を含む炭素膜(以下、ナノカーボン炭素膜と呼ぶ)の表面に、フラーレン類を塗布することを特徴とする鋳造型の表面処理方法を提供する。
本発明の表面処理方法を用いて鋳造型の表面処理を行うと、鋳造型の表面を被覆するナノカーボン炭素膜の表面にフラーレン類が塗布され、ナノカーボン炭素膜の間隙や凹凸にフラーレン類が入り込む。これによって、鋳造型の表面に形成された炭素膜では、炭素膜の表面側のフラーレン類含有量が鋳造型側のフラーレン類含有量より多くなる。すなわち、炭素膜の表面近傍においてはフラーレン類が多く含有されている。
上記のようにナノカーボン炭素膜の表面近傍にフラーレン類が含まれた炭素膜によって鋳造型の表面を被覆し、この鋳造型を用いて鋳造成形を行うと、離型効果を長く持続させることが可能となる。
また、本発明の表面処理方法は、カーボンナノコイル、カーボンナノチューブおよびカーボンナノフィラメントからなる群から選ばれる少なくとも1種のナノカーボン類を含む炭素膜を鋳造型の表面に形成するナノカーボン炭素膜形成工程と、ナノカーボン炭素膜の表面にフラーレン類を塗布するフラーレン類塗布工程とを含む鋳造型の表面処理方法であるということもできる。すなわち、本発明の表面処理方法は、フラーレン類塗布工程の前に、ナノカーボン類を含む炭素膜を鋳造型の表面に形成する工程を含んでいてもよい。
本発明によれば、離型効果がより長寿命化した炭素膜を鋳造型の表面に形成することができる。離型効果の長寿命化によって、鋳造型のメンテナンスが軽減でき、鋳造成形工程において生産効率を向上させることが可能となる。
本発明の表面処理方法では、ナノカーボン炭素膜によって予め表面が被覆されている鋳造型を入手し、その鋳造型にさらにフラーレン類を塗布してもよい。また、鋳造型にナノカーボン類を含む炭素膜を形成する工程と、ナノカーボン類を含む炭素膜の表面にフラーレン類を塗布する工程を含んでいてもよい。
本発明の表面処理方法によって形成される炭素膜は、カーボンナノコイル、カーボンナノチューブおよびカーボンナノフィラメントからなる群から選ばれる少なくとも1種のナノカーボン類と、フラーレン類を含む。本発明の表面処理方法によって形成される炭素膜は、必ずしも炭素のみによって構成されている必要はない。
フラーレンとは、閉殻構造を有する炭素クラスタであり、通常は炭素数が60〜130の偶数である。具体例としては、C60、C70、C76、C78、C80、C82、C84、C86、C88、C90,C92、C94、C96およびこれらよりも多くの炭素を有する高次の炭素クラスタが挙げられる。本発明におけるフラーレン類は、上記のフラーレンのほか、フラーレン分子にほかの分子や官能基を化学的に修飾したフラーレン誘導体を含む。フラーレン類の塗布工程においては、上記のフラーレン類と他の物質を混合したものを用いて、フラーレン類の塗布を行ってもよい。
以下に説明する実施例の主要な特徴を以下に列記する。
(特徴1)フラーレン類塗布工程では、ナノカーボン炭素膜にフラーレン類の粉末を直接塗布する。
(特徴2)ナノカーボン炭素膜形成工程では、ナノカーボン炭素膜を形成するとともに、ナノカーボン炭素膜と被処理基材との間に窒化層や浸硫層を形成する。
(離型抵抗計測試験)
実施例1および比較例1〜3によって鋼材表面に炭素膜を形成し、自動引張試験装置LubテスターU(メックインターナショナル製)を用いて、処理表面の離型抵抗を計測した。LubテスターUは、図1(b)に示すように、試験台1上にリング体2を載せてアルミニウム溶湯をリング体2内に流し込み、アルミニウムを凝固させた後、図1(c)に示すように重し3を載せて、リング体2を引っ張りながら摩擦抵抗を測定する装置である。試験台1はSKD61(合金工具鋼鋼材:JIS G4404)製で、寸法は200mm×200mm×30mmであり、この試験台1に下記に示す表面処理を実施した。
(実施例1)
ナノカーボン炭素膜形成工程:
上記の試験台1の表面に、下記の方法によってナノカーボン炭素膜を形成した。尚、下記の方法は、特開2008−105082に開示された、カーボンナノコイル、カーボンナノチューブ、カーボンフィラメント等のナノカーボン類を含む炭素膜(ナノカーボン炭素膜)をSKD61製の鋼材に形成する方法である。
試験台1を雰囲気炉に入れ、真空ポンプで減圧して空気をパージした後に窒素ガス(N)を流通させ、N雰囲気とした。次に、図2に示す処理プロファイルに従って、反応ガス(硫化水素(HS)ガス、アセチレン(C)ガス、アンモニア(NH)ガス)を流通させながら、0.5hで480℃まで昇温した。昇温開始から0.5h後に480℃に到達した時点では硫化水素ガスの供給を停止し、さらに0.5h後には、アセチレンガスの供給を停止した。アンモニアガス流通下、480℃でさらに4.5h保持した後、アンモニアガスの供給を停止し、窒素ガスに切り替え、降温を開始した。これによって、試験台1の表面にナノカーボン炭素膜が形成され、試験台1の基材とナノカーボン炭素膜との間に窒化層および浸硫層が形成される。
フラーレン類塗布工程:
ナノカーボン炭素膜形成工程を行った試験台1に対して、実施例1では、さらにフラーレン類塗布工程を実施する。尚、実施例1では、ナノカーボン炭素膜の表面上にフラーレン類の塗布を行った。
試験台1を一旦300℃に加熱した後、フラーレンC60の粉末(フロンティアカーボン社製 nanom purple ST)を付着させた布を用いて、試験台1の表面に形成されたナノカーボン炭素膜の上にフラーレンC60粉末を塗布した。布にフラーレン粉末を十分に付着させて、10〜300g/cm程度の圧力で均すようにしながらナノカーボン炭素膜表面全体にフラーレン粉末を塗布した。尚、布を用いてフラーレン粉末を塗布している間、試験台1の温度は300℃未満〜100℃程度となっていた。この方法を用いると、フラーレン塗布量は試験台の塗布表面に対して1mg/cm程度となる。
(比較例1)
実施例1と同じ材質、同じ形状、同じ大きさの試験台1に対して、実施例1のフラーレン類塗布工程のみを行った。
(比較例2)
実施例1と同じ材質、同じ形状、同じ大きさの試験台1に対して、実施例1のナノカーボン炭素膜形成工程のみを行い、フラーレン類塗布工程は行わなかった。
(比較例3)
実施例1と同じ材質、同じ形状、同じ大きさの試験台1に対して、実施例1におけるナノカーボン炭素膜形成工程とフラーレン類塗布工程の順序を入れ替えた表面処理を行った。すなわち、はじめに試験台1に対して実施例1のフラーレン類塗布工程を実施して、フラーレン類炭素膜を形成した。次に、フラーレン類炭素膜を形成した試験台1に対して、実施例1のナノカーボン炭素膜形成工程を実施し、フラーレン類炭素膜の表面にナノカーボン炭素膜を形成した。
離型抵抗計測試験:
実施例1および比較例1〜3によって表面処理が行われた試験台1の離型抵抗を、自動引張試験装置を用いて測定した。リング体2はSKD61製であり、試験台1との接触面において内径70mm、外径90mmであり、リング体2の高さは50mmである。リング体2の内径は、試験台1との接触面から高さ方向に向かってやや広がっている。アルミニウム溶湯には、ADC12(アルミニウム合金ダイカスト JIS H5302)を用いた。図1(a)に示すように試験台1に形成された炭素膜上に、従来より用いられているシリコンエマルジョン系離型剤を塗布し、図1(b)に示すようにリング体2を載せて、リング体2の内部に650℃のアルミニウム溶湯(ADC12)を90cc注ぎ、40秒間放冷し、固化させた。さらに、図1(c)に示すように9kgの鉄製重し3を載せ、プッシュプル4を用いて一定速度50mm/sでリング体2を矢印の方向に引っ張りながら離型荷重を計測した。実施例1および比較例1〜3の表面処理を行った試験台を用い、上記の離型抵抗計測試験を繰り返し、離型荷重の変化を調べた。結果を図3に示す。
図3では、離型荷重を縦軸とし、離型抵抗計測試験の実施回数を鋳込み回数として横軸に示した。比較例1〜3の表面処理を行った試験台においては、ある程度の鋳込み回数に対しては、ほぼ一定に5〜8kgf程度の離型荷重を維持できるが、ある鋳込み回数に達すると急激に離型荷重が20kgfを超えて著しく増大した。一方、実施例1の表面処理を行った試験台においては、鋳込み回数が50回を超えても、比較例1〜3のように離型荷重が著しく増大する現象が生じず、5〜8kgf程度の低い離型荷重が維持された。
離型荷重が著しく増大するまでの鋳込み回数が多いほど、離型効果の寿命が長いといえる。図3の結果より、実施例1のように、ナノカーボン炭素膜形成工程を先に行い、フラーレン類塗布工程を後に行う表面処理方法によって形成される炭素膜は、いずれか一方の工程のみ行う表面処理方法や、2つの工程の順序を入れ替えて行う表面処理方法で形成された炭素膜と比較して、離型効果をより一層長寿命化することができることがわかった。
また、比較例1と実施例1とは、鋳込み回数が少ない間(5回程度まで)は、離型荷重はほぼ同程度となっており、比較例2や比較例3よりもやや低かった。比較例1および実施例1はフラーレン類が最表面層に被覆されているため、このフラーレン類に由来して離型抵抗が低減されているためであると推察される。さらに比較例2は、鋳込み回数が少ない範囲での離型荷重は比較例1よりもやや大きいが、離型荷重が著しく増大するまでの鋳込み回数が、比較例1の場合の2倍以上となっている。これは、比較例2で形成されたナノカーボン炭素膜は、比較例1でフラーレン類を塗布して形成された炭素膜よりも剥離しにくいためであると推察される。
図4は実施例1によって炭素膜を形成した試験台1のSEM像であり、図5(a)(b)は比較例2によって炭素膜を形成した試験台1のSEM像である。いずれも、離型抵抗計測試験を行う前の状態で撮影している。図5(b)は図5(a)の一部を拡大した写真であり、写真中の右下領域の線分は2μmの長さを示している。これより、比較例2によってナノカーボン炭素膜形成工程を行うことで、試験台1の上に繊維状のナノカーボン類を含むナノカーボン炭素膜が形成されていることがわかる。図4は、図5(a)のナノカーボン炭素膜に対してフラーレン塗布工程をさらに実施したものに相当する。図4と図5(a)とを比較すると、図4に示す実施例1の炭素膜では表面の凹凸が少なくなっている。すなわち、ナノカーボン炭素膜の表面にフラーレン類を塗布することで、ナノカーボン炭素膜の凹凸が埋められて、炭素膜表面が滑らかになったことを示している。
図3の離型抵抗計測試験の結果と、図4、図5(a)(b)のSEM像の結果を併せて考えると、実施例1においては、試験台表面に形成されたナノカーボン炭素膜の隙間にフラーレン類が入り込み、表面の凹凸を緩和するとともに、離型抵抗を小さくする効果が高いフラーレン類が試験台表面から剥離しにくいナノカーボン炭素膜によって捕捉されたため、より低い離型荷重が、より長い鋳込み回数に対して維持されたものと推察される。
(焼き付き試験)
実施例2および比較例4においては、図6に示すようなアルミニウム鋳造品用のダイカスト金型の成形面に表面処理を行い、アルミニウム鋳造品のダイカスト鋳造成形工程における焼き付き試験を行った。ダイカスト金型はSKD61製の自動車用トランスアクスルのハウジング用の金型を用い、鋳造するアルミニウム合金にはADC12を用いた。図6に示すように、焼き付き試験に用いるダイカスト金型は、固定型11と可動型12とによって構成されている。固定型11と可動型12とを合わせて型締めしたときに固定型11と可動型12との間にできる空間がキャビティ13であり、キャビティ13は固定型11のキャビティ面21と可動型12のキャビティ面22によって囲まれている。固定型11には溶湯注入路14、プランジャ15、溶湯投入口16が設置されている。可動型12には鋳造成形後の製品を取り出す鋳抜きピン17と、プレート18が設置されている。可動型11と固定型12のキャビティ面21、22に、下記に示す実施例2および比較例4の表面処理を行った。
(実施例2)
SKD61製の自動車用トランスアクスルのハウジング用のダイカスト金型である固定型11および可動型12のキャビティ面21、22に対して、実施例1と同様に、ナノカーボン炭素膜形成工程を行い、次いでフラーレン類塗布工程を実施した。
(比較例4)
実施例2と同じ材質、同じ形状、同じ大きさの固定型11および可動型12のキャビティ面21、22に対して、実施例1のナノカーボン炭素膜形成工程のみを行い、フラーレン類塗布工程は行わなかった。
焼き付き試験:
実施例2および比較例4で表面処理を行った自動車用トランスアクスルのハウジング用ダイカスト金型を用いて、アルミニウム鋳造品のダイカスト鋳造成形を繰り返し実施し、ダイカスト金型にアルミニウム溶湯による焼き付きが生じているかどうかを調べた。
固定型11および可動型12のキャビティ面21、22に、従来より用いられているシリコンエマルジョン系離型剤を塗布し、固定型11と可動型12を型締め圧2000tで型締めした。図6の状態でアルミニウム溶湯(ADC12)を溶湯投入口16から溶湯注入路14へ投入し、キャビティ13に670℃のアルミニウム溶湯を鋳造圧46MPa、射出速度3m/sでプランジャ15によって注入し、鋳造成形を行った。固定型11と可動型12とを開いた後、鋳抜きピン17(SKD61製)をキャビティ面22から突出させる方向に作動させ、アルミニウム鋳造品を取り出した。上記の離型剤処理塗布から鋳造品の取り出しまでを焼き付き試験1ショットとし、繰り返した。
焼き付き試験を繰り返した後、固定型11のキャビティ面21および可動型12のキャビティ面22の総表面積に対して、アルミニウム溶湯の焼き付きが生じた部分の表面積を調べ、表1に示した。表1における焼き付き面積は、比較例4で生じた焼き付きが生じた表面積を1として換算した割合を示している。
表1に示すように、実施例2で表面処理を行ったダイカスト金型を用いた場合、ショット数は比較例4の2倍になっているにも関わらず、焼き付き表面積は比較例の0.2倍と小さくなっていた。すなわち、本発明に係る表面処理方法を行って炭素膜を形成した鋳造型を用いると、アルミニウムの鋳造成形において鋳造型に生ずるアルミニウム溶湯の焼き付きを大幅に削減することができた。
上記のとおり、本発明の鋳造型の表面処理方法を行うと、離型抵抗を低減する効果が長く持続し、溶湯の焼き付きが抑制される。これは、剥離しにくいナノカーボン炭素膜で被覆された鋳造型の表面に、離型抵抗を小さくする効果が高いフラーレン類を塗布することで、ナノカーボン炭素膜の隙間にフラーレン類が入り込み、表面の凹凸を緩和するとともに、フラーレン類がナノカーボン炭素膜によって捕捉されるためであると推察される。離型効果の長寿命化によって、鋳造型の離型効果を回復させるためのメンテナンス作業が軽減でき、鋳造型を用いた鋳造成形工程において生産効率を向上させることが可能となる。
尚、本発明におけるナノカーボン炭素膜を形成する方法は、上記の実施例に記載した雰囲気炉を用いる方法に限定されない。また、フラーレン類を塗布する方法は、上記の実施例に記載したフラーレン類の粉末をナノカーボン炭素膜に直接塗布する方法に限定されない。
実施例および比較例で用いた離型抵抗計測試験装置を説明する図。図1(a)は離型剤塗布を示しており、図1(b)は溶湯の鋳込みを示しており、図1(c)は引張による離型荷重測定を示している。 実施例および比較例のナノカーボン炭素膜形成工程の処理プロファイル。 実施例および比較例の離型抵抗計測試験結果を示す図。 実施例で形成された炭素膜表面のSEM像。 図5(a)は比較例で形成された炭素膜表面のSEM像であり、図5(b)は図5(a)の一部を拡大スケールで撮影したSEM像である。 実施例および比較例で用いたダイカスト装置の金型。
符号の説明
1 試験台
2 リング体
3 重し
4 プッシュプル
5 溶湯
6 離型剤
11 固定型
12 可動型
13 キャビティ
14 溶湯注入路
15 プランジャ
16 溶湯投入口
17 鋳抜きピン
18 プレート
21、22 キャビティ面

Claims (3)

  1. 鋳造型の表面を被覆するカーボンナノコイル、カーボンナノチューブおよびカーボンナノフィラメントからなる群から選ばれる少なくとも1種のナノカーボン類を含む炭素膜の表面に、フラーレン類を塗布することを特徴とする鋳造型の表面処理方法。
  2. カーボンナノコイル、カーボンナノチューブおよびカーボンナノフィラメントからなる群から選ばれる少なくとも1種のナノカーボン類を含む炭素膜を鋳造型の表面に形成するナノカーボン炭素膜形成工程と、
    前記炭素膜の表面にフラーレン類を塗布するフラーレン類塗布工程を含む鋳造型の表面処理方法。
  3. カーボンナノコイル、カーボンナノチューブおよびカーボンナノフィラメントからなる群から選ばれる少なくとも1種のナノカーボン類を含む炭素膜で表面が被覆されている鋳造型であって、
    前記炭素膜にはフラーレン類が含まれており、前記炭素膜の表面側のフラーレン類含有量が、前記鋳造型側のフラーレン類含有量より多くなっていることを特徴とする鋳造型。
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