JP2009282443A - 画像形成装置、画像形成装置の制御方法、および画像形成装置の制御プログラム - Google Patents

画像形成装置、画像形成装置の制御方法、および画像形成装置の制御プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】トナーの消費を抑制することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、現像ローラの駆動量と実行したプリントジョブのトナー消費量とから、滞留トナー量を演算する。滞留トナー量がしきい値を超えると、トナーの排出が行なわれる。画像安定化終了時に用いられるしきい値は、プリントジョブ終了時に用いられるしきい値よりも大きい。画像安定化を行なうことで、現像器内の滞留トナー量が一時的に増加しても、それによりトナーの排出がすぐに行われることが防止される。
【選択図】図11

Description

この発明は、画像形成装置、画像形成装置の制御方法、および画像形成装置の制御プログラムに関し、特に、滞留トナーの排出を行なう画像形成装置、画像形成装置の制御方法、および画像形成装置の制御プログラムに関する。
電子写真式の画像形成装置(MFP(Multi Function Peripheral)、ファクシミリ装置、複写機、プリンタなど)には、トナーにより現像を行なう現像器が設けられている。
下記特許文献1には、トナーの劣化による画像品質の低下を抑制するために、現像ローラの回転数と、感光体ドラム上に作像された画像のドット数とをカウントする画像形成装置が開示されている。予め決められた現像ローラの回転数における画像のドット数が所定のしきい値より小さい場合には、現像剤を現像する(滞留トナーを吐出す)処理を実行するものである。
特開2004−125829号公報
滞留トナーが所定量を超えた時点で滞留トナーの排出を行なう画像形成装置においては、無駄にトナーを消費してしまう場合があるという問題があった。その理由は、以下のとおりである。
滞留トナーが所定量を超えた時点の直後にプリントされる画像のドットカウント値が高い場合(トナーの消費量が多い画像である場合)、その画像をプリントすることで滞留トナー量が所定値以下となる可能性がある。しかしながらこのような場合でも、従来の画像形成装置では、滞留トナーが所定量を超えた時点で滞留トナーを排出してしまうことで、吐出す必要のない滞留トナーを無駄に吐出させてしまうことがある。
また画像形成装置では、画像を適正な状態に保つために画像安定化が実行される。これは、現像器を用いてパターンを印字し、それを検出することで画像の位置合わせや濃度調整を行なうものである。
画像安定化を行なうことで、滞留トナー量は増加する。電源ON時の画像安定化処理が実行される度毎に滞留トナーの吐出しを行なうと、プリントを行なわなくてもトナーを消費してしまうという問題がある。
また、プリントを中断して画像安定化を行なった場合、その直後のプリントにおいてトナー消費量が多い画像のプリントが続く可能性がある。このような場合には、画像安定化処理後に滞留トナーを排出する必要はない。
この発明はそのような問題点を解決するためになされたものであり、トナーの消費を抑制することが可能な画像形成装置、画像形成装置の制御方法、および画像形成装置の制御プログラムを提供することを目的としている。
上記目的を達成するためこの発明のある局面に従うと、画像形成装置は、トナーを収容し、トナーを用いて現像を行なう現像器と、トナーを用いてプリントを実行するプリント実行手段と、トナーを用いて画像安定化処理を実行する画像安定化処理実行手段と、現像器内の滞留トナー量を取得する取得手段と、プリント終了後に、取得手段が取得した滞留トナー量と第1の基準とを用いてトナー排出処理を行ない、画像安定化処理終了後に、取得手段が取得した滞留トナー量と第2の基準とを用いてトナー排出処理を行なうトナー排出手段とを備える。
好ましくは取得手段は、現像ローラの駆動量と、プリントジョブのトナー消費に関する情報とを取得することで、現像器内の滞留トナー量を取得する。
好ましくはトナー排出手段は、プリント終了時には、滞留トナー量が第1の基準であるしきい値を超えているかを判断することでトナー排出処理を行ない、画像安定化処理終了時には、滞留トナー量が第2の基準であるしきい値を超えているかを判断することでトナー排出処理を行なう。
好ましくは画像形成装置は、プリントジョブを実行する前に、そのプリントジョブによって消費されるトナーの量を判定する判定手段と、取得手段で取得した滞留トナー量と判定手段の判定結果とに基づいて、プリントジョブの実行を保留する保留手段とをさらに備える。
好ましくは取得手段は、現像ローラの駆動量に対して消費すべき基準トナー量と、実際に消費したトナー量との差を求め、消費すべき基準トナー量に満たない量を滞留トナー量として取得する。
好ましくは画像形成装置は、複数のプリントジョブが登録されている場合において滞留トナー量が少ないときには、トナー消費量の少ない画像を優先的にプリントするようにジョブの実行順序を制御する制御手段をさらに備える。
好ましくは画像形成装置は、複数のプリントジョブが登録されている場合において滞留トナー量が多いときには、トナー消費量の多い画像を優先的にプリントするようにジョブの実行順序を制御する制御手段をさらに備える。
好ましくは現像器は、複数色のそれぞれに対応するトナーを収容した複数の現像器を含み、複数の現像器のそれぞれにおいて滞留トナーの量を管理する。
好ましくは画像形成装置は、トトナー排出手段によって滞留トナー量が第1の基準または第2の基準であるしきい値を超えたと判断された場合に、後続のプリントジョブのトナー消費量を判定する判定手段と、判定手段の判定結果に基づいて、トナー排出手段でのトナー排出を保留する保留手段とを備える。
この発明の他の局面に従うと、トナーを収容し、トナーを用いて現像を行なう現像器を備えた画像形成装置の制御方法は、トナーを用いてプリントを実行するプリント実行ステップと、トナーを用いて画像安定化処理を実行する画像安定化処理実行ステップと、現像器内の滞留トナー量を取得する取得ステップと、プリント終了後に、取得ステップで取得した滞留トナー量と第1の基準とを用いてトナー排出処理を行ない、画像安定化処理終了後に、取得ステップで取得した滞留トナー量と第2の基準とを用いてトナー排出処理を行なうトナー排出ステップとを備える。
この発明のさらに他の局面に従うと、トナーを収容し、トナーを用いて現像を行なう現像器を備えた画像形成装置の制御プログラムは、トナーを用いてプリントを実行するプリント実行ステップと、トナーを用いて画像安定化処理を実行する画像安定化処理実行ステップと、現像器内の滞留トナー量を取得する取得ステップと、プリント終了後に、取得ステップで取得した滞留トナー量と第1の基準とを用いてトナー排出処理を行ない、画像安定化処理終了後に、取得ステップで取得した滞留トナー量と第2の基準とを用いてトナー排出処理を行なうトナー排出ステップとをコンピュータに実行させる。
これらの発明に従うと、トナーの消費を抑制することが可能な画像形成装置、画像形成装置の制御方法、および画像形成装置の制御プログラムを提供することが可能となる。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の中央断面の概略を示す図である。ここでは画像形成装置は、タンデムフルカラープリンタであるものとする。
先ず画像形成装置の作像部の構成を説明する。画像形成装置1には、YMCK(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)それぞれに対応するカートリッジ28a、28b、28c、28dが内蔵されている。各カートリッジ28a、28b、28c、28dには、感光体3a、3b、3c、3dを帯電する帯電部5a、5b、5c、5dと、画像パターンを露光する露光部6a、6b、6c、6dと、トナーを現像する現像器4a、4b、4c、4dとが内蔵されている。
画像形成装置は、感光体3a、3b、3c、3d上に形成された4色のトナー像を重ねて画像形成する中間転写ベルト2と、中間転写ベルト2上に形成されたトナー像を記録媒体(メディア)上に転写する2次転写ローラ11と、転写残トナーを中間転写ベルト2から分離する中間転写ベルトクリーナ(ブレード)7と、分離した転写残トナーを収納する廃トナーBOX15と、カートリッジ28a、28b、28c、28dに対し、攪拌羽26a、26b、26c、26dを動作させることで、トナーを補給させるトナーボトル25a、25b、25c、25dとを備えている。
次に、記録媒体の搬送部の構成を説明する。画像形成装置は、記録媒体収納部16から記録媒体を給紙する給紙ローラ8と、給紙された記録媒体を一旦停止させるタイミングローラ10と、中間転写ベルト2に画像形成されたトナー像を記録媒体上に転写する2次転写ローラ11と、記録媒体上に転写されたトナー像を定着する定着ローラ12(加圧ローラ12aと加熱ローラ12bとから構成)と、定着後の記録媒体を排出もしくは両面搬送経路へ搬送する排紙ローラ13と、両面搬送経路を経由して記録媒体をタイミングローラ10まで搬送する両面経路搬送ローラ14a、14bとを備えている。
通紙経路であって2次転写ローラ11と定着ローラ12との間には、2次転写ローラ11が近接する転写部と定着ローラ12とが用紙に形成するループが一定に達したか否かを判定する用紙検知センサ(定着ループセンサ、またはループ検知センサ)27が設けられている。
なお、給紙ローラ8は、標準カセットの給紙ローラであり、通紙経路にはマルチ手差し給紙ローラ9も設けられている。
画像形成装置内には、モータ類として、カラーPCモータ17と、メインモータ18と、定着モータ19と、カラー現像モータ20と、現像モータ21と、両面経路搬送モータ22と、トナー補給モータ(イエロー、マゼンダ用)23と、トナー補給モータ(シアン、ブラック用)24とが設けられている。
また通紙経路には、用紙検知センサ29〜31と、用紙材質検知センサ32とが設けられている。用紙材質検知センサ32は、無くてもよい。
図2は、画像形成装置1の構成を示すブロック図である。画像形成装置は、エンジン部200を備えている。エンジン部200は、給紙搬送制御部201、記憶媒体制御部203、I/F制御部205、定着制御部207、画像形成制御部209、およびトナー補給制御部211を備えている(これら制御部は、CPUによって構成される)。
給紙搬送制御部201は、搬送モータ等各種負荷301および用紙検出センサ等303と接続されており、用紙の給紙や搬送を制御する。
記憶媒体制御部203は、各色トナーカートリッジ(トナーボトル)25a〜25d内の記憶媒体であるEEPROM(不揮発メモリ)と接続されており、CPUで計測したデータなどを記憶することが出来る。また、記憶媒体制御部203は、RAM207およびROM309とも接続されている。
I/F制御部205は、コントローラ部100と接続されており、各種情報をやり取りしている。コントローラ部100には、操作パネル305が接続されている。ユーザはこの操作パネル305から各種設定をすることができる。
定着制御部207は、ヒータ、定着モータ等311と接続しており、定着処理を行なう各種装置を制御する。
画像形成制御部209は、現像器(現像部)、感光体、ポリゴンモータ、各種センサ、圧接離間クラッチ、および中間搬送モータ等の部材313と接続されており、現像および転写などの処理を行なう各種装置を制御する。また、画像形成制御部209は、機内を冷却するために設けられた冷却ファン315に接続される。画像形成制御部209が、冷却ファン315を制御することで、機内の温度上昇が抑えられる。
トナー補給制御部211は、トナー補給モータ23および24と接続されている。トナー補給制御部211は、プリント指示に従い、各色トナーを補給できるよう各種装置を制御する。
またI/F制御部205には、ネットワークなどの通信回線を通じて外部機器と通信を行なうための通信部317が接続されている。
図3は、感光体3の周囲の構成を示す断面図である。この感光体3は、感光体3a、3b、3c、3dのうちのいずれかである。感光体3の周囲には、帯電部5、現像器(現像部)4、イレーサ51、およびクリーナ53が配置されている。
現像器4内のトナーは現像されることで消費され、消費した分がトナーボトル(トナーカートリッジ)25a、25b、25c、25dから補給される。画像を出力することで現像器内のトナーは入れ替わっていく。消費するトナーが少ない画像を連続して出力し続けた場合、トナーの入れ替わりはわずかしか行なわれない。結果として、同じトナーが現像器4中に存在する時間が長くなる。
長期にわたって滞留したトナーは、感光体3や現像ブレード等と摺擦されて劣化する。劣化したトナーは、荷電性、流動性が低下する。劣化したトナーが現像に用いられると、画像濃度の低下や種々の画像品位の低下に繋がる。
これを防止するために本実施の形態の画像形成装置では、消費するトナーが少ない画像(低CW比の画像)のプリントが連続し、現像器内で滞留するトナーの量が増えた場合、トナーを強制的に現像(排出)する。そして、新しいトナーをトナーボトルから供給する。こうすることで、現像器内の滞留トナーの量を一定以下に保つ。
なお、CW比とは、Color/White比率であり、用紙面積に対する画像面積の割合である。
滞留トナー量は以下のように求められる。
滞留トナー量=(現像ローラの累積回転量/基準回転量)×3%
−積算CW比% ・・・(式1)
基準回転量とは、A4用紙1ページをプリントした時の現像ローラの回転量である。本実施の形態における画像形成装置では、A4用紙1ページあたりのCW比が3%以上である場合、画像品位の低下に繋がるようなトナーの滞留(劣化)が発生しないものとして計算を行なっている。よって、この3%との差分が滞留トナーとなる。
すなわち、一定の現像駆動量に対する消費すべき基準トナー量((現像ローラの累積回転量/基準回転量)×3%)と、実際に消費したトナー量(積算CW比)との差が求められ、消費すべき基準トナー量に満たない量が滞留トナー量として測定される。
CW比とは、用紙面積に対する画像面積の割合であるが、例えばA4(297×210mm)で600dpi(1インチ=25.4mm)の場合、用紙面積は、
(297×210)/(25.4/600) dot
であり、CW比3%の画像では
{(297×210)/(25.4/600)}×0.03 dot
が画像面積となる。
画像形成装置は、画像を形成するすべての画素(ドット)の累計をもってCW比を計算するわけではなく、画素の濃淡や、その画素の周囲の画素の分布状況に応じて補正を行ないCW比を計算している。
また本実施の形態でのCW比とは、プリントする画像サイズに対するCW比ではなく、用紙サイズ(A4サイズ)に対するCW比(画像を形成するドット数/A4サイズのドット数)である。
また、上記(式1)における積算CW比とは、各プリント画像の上記CW比の累積値である。
滞留トナー量はマイナスになることはないので、(式1)で求めた値が0以下の場合、滞留トナー量は「0」とする。
コントローラ部は、エンジン部へのプリント指示に先立ち、画像のCW比を計数する。エンジン部は、コントローラ部からプリント指示があると、プリント動作を開始すると共に現像ローラの回転量を計数する。これにより上記(式1)の「現像ローラの累積回転量」が算出される。
さらにエンジン部は、コントローラ部から通知されるCW比を累積加算し、上記(式1)の「積算CW比」を求める。エンジン部は、プリントが1枚終了するたびに、上記(式1)により滞留トナー量を求める。エンジン部は、滞留トナー量が第1のしきい値を超えた場合はプリントを中断し、滞留トナーの排出を行なう。
またプリントジョブ(Job)の終了時に、滞留トナー量が第2のしきい値を超えていた場合も滞留トナーの排出を行なう。
第1のしきい値は、画像品位が低下しない限界のしきい値である。第2のしきい値は、第1のしきい値の約1/5程度のしきい値である。第2のしきい値は、第1のしきい値によるプリントの中断が発生しないように、ジョブの終了時に滞留トナーがある程度溜まっていたらその排出を行なうためのしきい値である。
滞留トナーの排出を行なったときには、「現像ローラの累積回転量」と「積算CW比」とはクリアされる。
滞留トナー量は、プリントする画像のCW比に応じて増加、減少する。滞留トナー量は、「0」以下にはならないので、本実施の形態では、プリントジョブの順番を入れ替えることで、滞留トナー量を抑えることとしている。
図4は、滞留トナー量が「0」の状態から複数のジョブをプリントした場合の滞留トナー量の推移を示す図である。
ここでは2つのジョブ(低CW比ジョブと高CW比ジョブ)を連続して実行した場合の、滞留トナー量の変化について説明している。横軸に時間が、縦軸に滞留トナー量が示されている。ここでは低CW比ジョブとは、CW比が3%未満のジョブであり、高CW比ジョブとは、CW比が3%以上のジョブである。低CW比ジョブを実行すると、トナーの消費が少ないため滞留トナー量は増加し、逆に、高CW比ジョブを実行すると、トナーの消費が多いため滞留トナー量は減少する。
(1)の実線は、低CW比ジョブを実行した後に高CW比ジョブを実行する場合の滞留トナー量の変化を、(2)の点線は、高CW比ジョブを実行した後に低CW比ジョブを実行する場合の滞留トナー量の変化を示している。
(1)の処理を行なっても(2)の処理を行なっても、CW比自体の累積は同じである。
(2)の処理を行なう場合、滞留トナー量が0の状態で高CW比ジョブのプリントを行なうため、最初は滞留トナー量は増加せず0のままである。後半の低CW比ジョブのプリントで、滞留トナー量が増加する。
(1)の処理を行なう場合、最初に低CW比ジョブのプリントを行なうため、滞留トナー量が増加する。後半の高CW比ジョブのプリントで、滞留トナー量が減少する。
結果として、(1)の処理を行なう方が、(2)の処理を行なうよりも最終的な滞留トナー量を減らすことが可能となる。そこで本実施の形態においては、複数ジョブのトータルのCW比が同じであっても、プリントの順を入れ替えることで最終的な滞留トナー量を減らすように画像形成装置を制御することとしている。
より詳しくはコントローラ部は、プリントに先立ちそのジョブ全体の積算CW比を求め、滞留トナー量に応じてジョブの順番を入れ替える。
滞留トナー量が少ない状態において、次に実行される予定のジョブが高CW比ジョブであるときを想定する。そのジョブのプリントを行なうと、滞留トナー量が0以下になる場合は、他の低CW比のジョブのプリントが優先的に実行される。
逆に滞留トナー量が多い状態において、次に実行される予定のジョブが低CW比ジョブであるときを想定する。そのジョブのプリントを行なうと、滞留トナーが第2のしきい値を超えてしまい、滞留トナーの排出が行なわれる場合は、他の高CW比のジョブのプリントが優先的に実行される。
図4の例では、最初、滞留トナー量は0である。ここで高CW比ジョブを実行すると、滞留トナー量が計算上0以下となってしまう(実際の滞留トナー量は0以下にはならないので、計算上0以下の場合、0として記録される)。そこで、高CW比ジョブの実行は一旦待機状態となり、他の低CW比ジョブの実行が行なわれる。その後、待機状態であった高CW比ジョブの実行が行なわれる。すなわち、本実施の形態における画像形成装置では、(2)の点線での処理ではなく、(1)の実線で示される処理が実行される。これにより、最終的な滞留トナー量を減少させることができる。
図5は、画像形成装置が管理するジョブ管理テーブルを示す図である。
登録が古いジョブから新しいジョブに向かって、ジョブの番号が振られる。ここではジョブ1が最も古く、ジョブ5が最も新しいもの(最終に登録されたジョブ)である。ジョブの実行は、原則として古いものから行なわれる。すなわち、ジョブ1が実行の候補ジョブとされている。
候補ジョブであるジョブ1を実行する前に、現在の滞留トナー量とジョブ1のCW比とから、ジョブ1を実行した後の滞留トナー量の予想値が算出される。このとき、滞留トナーの予想値が0以下である場合、または第2のしきい値を超える場合、ジョブ1の実行は一旦留保され、候補ジョブは次のジョブであるジョブ2とされる。ジョブ2に関しても上記ジョブ1と同様の処理が行なわれる。
また、ジョブ1を実行した後の滞留トナー量の予想値が0以上であり、かつ第2のしきい値以下である場合、ジョブ1の実行が行なわれる。
図6は、画像形成装置が実行する1枚の画像のプリントを行なったときの滞留トナー量の算出処理を示すフローチャートである。
図を参照してステップS101で、現像ローラの駆動量(回転量)が算出される。現像ローラの駆動量が多くなるほどに、トナーは劣化してゆく。ステップS101では、このような劣化の量を測定するものである。
ステップS103で、プリントした画像のCW比の計数が行なわれる。CW比が大きい画像がプリントされると、それだけトナーが排出されて新しいトナーが現像器に導入されるため、現像器内のトナーの劣化度合いは小さくなる。ステップS103では、このようなトナーの排出量を測定するものである。
ステップS105において、現像ローラの駆動量と画像のCW比とに基づいて、上記(式1)により滞留トナー量が算出される。なお、プリントジョブが複数枚のプリントジョブである場合、上記ステップS101〜ステップS105の処理が繰り返される。
図7は、滞留トナーの排出処理を示すフローチャートである。
図を参照してステップS201において、所定のタイミングであるかを判定する。所定のタイミングとは、1枚の画像のプリントを行なったとき、または1つのジョブを終了したときである。
ステップS201でYESであれば、ステップS203において、図6の処理で計算された滞留トナー量が、所定値より大きいかを判定する。ここで「所定値」としては、1枚の画像のプリント終了時であれば、第1のしきい値が用いられる。また、プリントジョブの終了時であれば、第2のしきい値が用いられる。
ステップS203でYESであれば、ステップS205で滞留トナーの排出が行なわれる。また、滞留トナー量がクリアされる。その後、処理を終了する。
ステップS203でNOである場合、ステップS201からの処理が実行される。
図8は、ジョブの順序入れ替え処理を示すフローチャートである。
図5で説明したように、最初の(最も古い)プリントジョブが、プリント候補ジョブとして登録されているものとする。
ステップS301において、候補ジョブの平均CW比(CW_ave)が求められる。あるジョブの平均CW比とは、そのジョブでプリントされる画像が1枚であれば、その画像のCW比であり、そのジョブでプリントされる画像が複数枚であればそれら画像の平均のCW比である。
ステップS303において、候補ジョブは低CW比のジョブであるかが判定される。具体的には、候補ジョブのCW_aveが3%未満であるかを判定する。YES(CW_aveが3%未満)の場合は、基本的にこの候補ジョブの終了後に、滞留トナー量は増加する。そこで、ステップS315において、候補ジョブの終了後に滞留トナーの排出が行なわれるかを判定する。具体的には、
(3%−CW_ave)×ジョブのページ数+現在の滞留トナー量>第2のしきい値
の関係を満たすかを判定する。
すなわち、現在の滞留トナー量とCW_aveとから、候補ジョブ終了後の滞留トナー量を予測する。候補ジョブ終了後の滞留トナー量が第2のしきい値を超え、滞留トナーの排出が行なわれると予測される場合(S315でYES)は、ステップS307でこの候補ジョブのプリントを保留する。
一方、候補ジョブ終了後の滞留トナー量が第2のしきい値以下となり、滞留トナーの排出が行なわれないと予測される場合(S315でNO)は、ステップS313でこの候補ジョブのプリントを実行する。
ステップS303でNO(CW_aveが3%以上)の場合は、基本的にこの候補ジョブの終了後に滞留トナー量は減少する。そこで、ステップS305において、候補ジョブの終了後に滞留トナー量が0以下になるかを判定する。具体的には、
(CW_ave−3%)×ジョブのページ数>現在の滞留トナー量
の関係を満たすかを判定する。
すなわち、現在の滞留トナー量とCW_aveとから、候補ジョブ終了後の滞留トナー量を予測する。候補ジョブ終了後の滞留トナー量が0以下になる場合(S305でYES)は、ステップS307でこの候補ジョブのプリントを保留する。
一方、候補ジョブ終了後の滞留トナー量が0以上になると予測される場合(S305でNO)は、ステップS313でこの候補ジョブのプリントを実行する。
ステップS307で候補ジョブの保留が行なわれた場合、ステップS309で、現在の候補ジョブが最終ジョブかどうかを判定する。最終ジョブとは、図5に示されるように最新のジョブである。最終ジョブでない場合(S309でNO)は、ステップS317で次の順番のジョブをプリント候補ジョブとして登録し、ステップS301からの処理を実行する。
ステップS307で保留したジョブが最終ジョブの場合(S309でYES)は、ステップS311で最も古い保留ジョブを候補ジョブとし、ステップS313でそのジョブのプリントを行なう。
最終ジョブが保留されたということは、すべてのジョブが保留されたことを意味する。この場合、ジョブの順番を入れ替えても最終的な滞留トナー量は変わらない。このため順番の入れ替えを行なわないものである。
ジョブが保留された後に、後続のジョブが保留されずにプリントされた場合、滞留トナー量は変化する。そのため、次に、先に保留したジョブのプリントを行なうことができる可能性がある。極力ジョブの順を変えないために、ジョブ保留後に他のジョブのプリントが実施された場合は、再度保留したジョブのプリントが可能かどうかの判断を行なうことが望ましい。具体的には、図8のステップS313でプリントが実行された後は、最も古いジョブを候補ジョブとしてステップS301からの処理を行なうことが望ましい。
以上のように本実施の形態によると画像形成装置は、滞留トナー量に応じてプリントする画像の順序を入れ替える。より詳しくは複数の印刷ジョブが滞っている場合において、滞留トナー量が多い場合(図8のS305でNO)は、高CW比画像のプリントを優先させ、滞留トナー量が少ない場合(図8のS305でNO)は、低CW比画像のプリントを優先させる。
滞留トナー量が多い場合は、高CW比画像の処理を優先させることになるため、滞留トナー量は一旦減少し、滞留トナー吐出しが抑制(延期)される。その後の低CW比画像のプリントを行なうことで、滞留トナーの吐出し条件に合致する場合もあるが、一時的な滞留トナー量の増加による滞留トナーの吐出しは抑止される。
滞留トナー量が少ない場合は、低CW比画像の処理を優先させることになるため、滞留トナー量は一旦増加するが、その後の高CW比画像のプリントで滞留トナー量は減少する可能性がある。滞留トナー量は0以下になることはないので、先に高CW比画像をプリントした場合や、順番を入れ替えない場合と比較して、最終的な滞留トナー量を減少させることができる可能性が高くなる。
[変形例1]
なお、図8では古いジョブから新しいジョブへ順に候補ジョブとしていき、候補ジョブが条件を満たすかを判定した。例えばステップS305の判断においては、条件に合致するジョブ(S305でNOと判断されるジョブ)が古いものから実行される。これに代えて、登録されている全てのジョブについて条件に合致するか否かを判定し、条件に合致するジョブのうち、最も滞留トナーを減らすことができるものを優先して実行するようにしてもよい。すなわちそのジョブの終了後に滞留トナー量が0以下とならないジョブのうち、CW比が最も大きいジョブを優先させるものである。これにより、現像器内の滞留トナーの量を減らすことができ、画像品質の向上を図ることができる。
[変形例2]
滞留トナー量は各色の現像器ごとに記録し、滞留トナー量が多くなった現像器においてトナーの排出を行なうこととしてもよい。
[変形例3]
上記実施の形態では、現像モータの回転量(現像ローラの駆動量)を取得し、それに対するCW比から滞留トナー量を求めているが、現像器のトナーの状態に関する情報として他の情報を取得してもよい。例えば、感光体の回転量など、現像ローラの回転量に比例する情報を取得してもよいし、プリント枚数に対するCW比などを取得することで滞留トナー量を求めることとしてもよい。
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態における画像形成装置の基本的な構成は、第1の実施の形態における画像形成装置のそれと同じであるためここでの説明は繰り返さない。ここでは、第2の実施の形態における画像形成装置が第1の実施の形態における画像形成装置と異なる点について説明する。
第2の実施の形態における画像形成装置では、第1のしきい値を用いた1枚のプリント毎の滞留トナー排出の判定は、図7のフローチャートで行われる。第2のしきい値を用いたジョブの切れ目における滞留トナー排出の判定は、図9のフローチャートにより行なわれる。
図9は、第2の実施の形態における画像形成装置が実行する、ジョブの切れ目における滞留トナー排出の判定処理を示すフローチャートである。
ステップS401において、ある1つのジョブが実行された後(すなわちジョブの切れ目において)、ステップS403で滞留トナーの吐出し条件が成立しているかを判断する。すなわち、その時点における滞留トナーが第2のしきい値を超えているかを判断する。
ステップS403でYESであれば、ステップS405において、次に実行するジョブのCW比、およびそのジョブで発生する滞留トナーの量を算出する。ステップS407において、次に実行するジョブは低CW比のジョブであるかを判定する。NOであれば(つまり高CW比のジョブであれば)、そのジョブを実行することにより滞留トナーを減少させることができる。そこで、ステップS409において現在の滞留トナー量に、次のジョブで生じる滞留トナー量を加えたトナー量が、第2のしきい値を超えるかを判定する。ここでは次のジョブは高CW比のジョブであるため、次のジョブで生じる滞留トナー量の値は、マイナスになる。
ステップS409でYESであれば、次のジョブを実行しても滞留トナー量が第2のしきい値を超えることを示すので、ステップS411で現時点で滞留トナーの吐出しを行なう。また、滞留トナー量をクリアする。
ステップS409でNOであれば、次のジョブを実行することで滞留トナー量を第2のしきい値以下とすることができるので、現時点では滞留トナーの吐出しを行なわずに処理を終了する。
ステップS403でNOであれば、現時点では滞留トナーが第2のしきい値を超えていないため滞留トナーの吐出しを行なわずに終了する。
また、ステップS407でYESであれば、次に実行するジョブは低CW比のジョブであり、そのジョブを実行しても滞留トナーを減少させることができないため、ステップS411に移行し、現時点で滞留トナーの吐出しを行なう。また、滞留トナー量をクリアする。
以上のように、第2の実施の形態によると画像形成装置は、ジョブ終了時点で、滞留トナー量が第2のしきい値を超える場合において、次に実行するジョブが高CW比のジョブであってそのジョブの実行により滞留トナー量が第2のしきい値を超えなくなるときは、滞留トナーの吐出しを抑制することができる。
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態における画像形成装置の基本的な構成は、第1の実施の形態における画像形成装置のそれと同じであるためここでの説明は繰り返さない。ここでは、第3の実施の形態における画像形成装置が第1の実施の形態における画像形成装置と異なる点について説明する。
本実施の形態における画像形成装置は、ジョブの切れ目において残っているジョブ全体のCW比を計数する。全ジョブ終了時点で滞留トナー量が第2のしきい値以下であると予測される場合は、ジョブの切れ目での第2のしきい値による滞留トナーの排出を行なわないように制御が行なわれる。全ジョブを実行することで、滞留トナー量を第2のしきい値以下とすることができるため、ジョブの切れ目で滞留トナーの排出を行なう必要性が少ないためである。
図10は、第3の実施の形態における画像形成装置が実行する、ジョブの切れ目における滞留トナー排出の判定処理を示すフローチャートである。
ステップS701において、ある1つのジョブが実行された後(すなわちジョブの切れ目において)、ステップS703で滞留トナーの吐出し条件が成立しているかを判断する。すなわち、その時点における滞留トナーが第2のしきい値を超えているかを判断する。
ステップS703でYESであれば、ステップS705において、その時点において登録されている全てのジョブそれぞれの平均CW比、および全てのジョブを実行することで最終的に発生する滞留トナーの量を算出する。ステップS707において、現在の滞留トナー量に、全てのジョブで生じる滞留トナー量を加えたトナー量が、第2のしきい値を超えるかを判定する。
ステップS707でYESであれば、全てのジョブを実行しても滞留トナー量が第2のしきい値を超えることを示すので、ステップS709で現時点で滞留トナーの吐出しを行なう。また、滞留トナー量をクリアする。
ステップS707でNOであれば、全てのジョブを実行することで最終的な滞留トナー量を第2のしきい値以下とすることができるので、現時点では滞留トナーの吐出しを行なわずに処理を終了する。
ステップS703でNOであれば、現時点では滞留トナーが第2のしきい値を超えていないため滞留トナーの吐出しを行なわずに終了する。
以上のように第3の実施の形態によると画像形成装置は、ジョブの終了時点で滞留トナー量が第2のしきい値を超える場合において、その時点で登録されている全ジョブの実行により第2のしきい値を超えなくなるときは、最終的な滞留トナー量を抑えることができる。また、滞留トナー吐き出しによるトナー消費を抑えることができる。
[第4の実施の形態]
本発明の第4の実施の形態における画像形成装置の基本的な構成は、第1の実施の形態における画像形成装置のそれと同じであるためここでの説明は繰り返さない。ここでは、第4の実施の形態における画像形成装置が第1の実施の形態における画像形成装置と異なる点について説明する。
本実施の形態における画像形成装置は、図7のフローチャートのステップS201において、画像安定化処理終了時またはプリントジョブの終了時に所定のタイミングである(S201でYES)とする。ステップS203においては、滞留トナーを排出するかどうかを判断するための所定値(滞留トナー量のしきい値)が複数用いられる。
すなわち、プリントジョブ終了時の滞留トナー排出条件と、画像安定化処理終了時の滞留トナー排出条件とが異なる。画像安定化処理終了時に用いられるしきい値(第3のしきい値)は、プリントジョブ終了時に用いられるしきい値(第2のしきい値)よりも大きい。
これにより、画像安定化終了時には滞留トナーの吐出しが行われにくくなり、滞留トナー吐出しが抑制(延期)される。その後のプリントで、滞留トナーの吐出し条件に合致する可能性もあるが、画像安定化に伴う一時的な滞留トナー量の増加による滞留トナーの吐出しは抑止される。
なお、画像安定化終了時に用いられるしきい値(第3のしきい値)を、プリントジョブ実行中の1枚の画像のプリント終了時に用いられるしきい値(第1のしきい値)よりも大きくすることとしてもよい。また、第1および第3のしきい値を同じ値としてもよい。
本実施の形態における画像形成装置のコントローラ部は、エンジン部へのプリント指示に先立ち、プリントする画像のCW比を計数する。コントローラ部からプリント指示があると、エンジン部は、プリント動作を開始すると共に現像ローラの回転量を計数する。これにより、上記(式1)の現像ローラの累積回転量が算出される。
またエンジン部は、コントローラ部から通知されるCW比を累積加算し、積算CW比を求める。エンジン部は、プリントが1枚終了するたびに、上記(式1)により滞留トナー量を求める。プリントジョブの終了時にエンジン部は、滞留トナー量が第2のしきい値を超えていた場合、滞留トナーの排出を行なう。ここで第2のしきい値は、40%であるものとするが、これに限るものではない。なお「40%」とは、「A4用紙1ページをベタ画像とする量の残留トナーの量」を100%としたときの「40%」である。
画像安定化処理時には、中間転写ベルトにパターンが描かれる。描かれるパターンのCW比は3%以下であるため、画像安定化処理を実施すると滞留トナー量は増加する。プリント動作終了時だけでなく、画像安定化処理終了後も滞留トナー量が求められ、滞留トナー量が第3のしきい値を超えていた場合は、滞留トナーの排出が行なわれる。ここで第3のしきい値は、200%であるものとするが、これに限るものではない。なお「200%」とは、「A4用紙1ページをベタ画像とする量の残留トナーの量」を100%としたときの「200%」である。
なお、画像安定化時に中間転写ベルトに描くパターンは予め決まっているので、そのCW比はエンジンに固定値として記憶させておいてもよい。この場合、CW比はコントローラからは通知されない。
滞留トナーの排出が行なわれた場合は、現像ローラの累積回転量と積算CW比とはクリアされる。
第3のしきい値は、画像品位の低下が発生する滞留トナー量以下の値であり、かつ第2のしきい値よりも大きい。また第3のしきい値は、1度の画像安定化処理で蓄積される滞留トナー量よりも大きい。
図11は、画像安定化処理を実行した後にプリントジョブを実行した場合の滞留トナー量の推移を示す図である。
ここでは画像安定化処理を実行した後に高CW比のプリントジョブが実行される場合の、滞留トナー量の変化について説明している。横軸に時間が、縦軸に滞留トナー量が示されている。一点鎖線により従来技術での処理を行なった場合が、実線により本実施の形態における処理を行なった場合が示されている。
画像安定化処理によって蓄積される滞留トナー量は、第2のしきい値以上となる。従来の技術においては、画像安定化処理終了時(A)において、滞留トナーの排出が行なわれていた。
しかし、滞留トナー量が第2のしきい値を超えた場合、即座に画像品位が低下するわけではない。画像安定化処理終了時(A)には第2のしきい値以上の滞留トナーが蓄積されることになるが、その後のプリントで高CW比の画像がプリントされる場合も想定されるので、本実施の形態では、画像安定化処理終了時は第2のしきい値による滞留トナーの排出は行なわない。これにより、無駄なトナー消費を抑えることができる。
画像安定化処理の次に、トナー消費量の多い高CW比のプリントジョブが実行されると、従来技術においては、そのジョブの終了時(B)において滞留トナー量は、画像安定化処理終了(A)の時点でトナー排出が行なわれているため0のままである。これに対して本実施の形態では画像安定化処理終了時(A)においてトナー排出を行なわなくとも、そのジョブの終了時(B)において滞留トナー量を第2のしきい値以下とすることができる可能性がある。
その後、低CW比のプリントジョブが複数実行されると、従来技術においては、ジョブの終了時に滞留トナー量が第2のしきい値となった時点(D)で、滞留トナーが排出される。その後、高CW比のプリントジョブが実行されても滞留トナー量は、0のままである。
本実施の形態によると、ジョブの終了時(B)に続いて、低CW比のプリントジョブが複数実行されると、それらのジョブの終了時に滞留トナー量が第2のしきい値となった時点(C)で、滞留トナーが排出される。その後、低CW比のプリントジョブが実行されると、滞留トナー量は増加し、高CW比のプリントジョブが実行されると滞留トナー量は減少する。
画像安定化処理終了後に第2のしきい値によるトナー排出を行わない理由について、さらに説明する。
画像安定化処理は電源ON時に実施される。その後、モノクロプリントのみが行なわれて電源がOFFされる場合が想定される。モノクロプリントではカラーのトナーは消費しないので、仮に第2のしきい値でトナー排出を行なうと、カラープリントを行なわないのにも関わらず、カラートナーを消費してしまう。よって、画像安定化処理のみでは滞留トナーの排出は極力行なわないようにするものである。
画像安定化処理終了後は滞留トナー量が多いので、図8のフローチャートにより、複数のジョブがある場合は、高CW比のプリントジョブが優先的に出力される。また、図9や図10のフローチャートでの処理を実行することにより、将来的に滞留トナーが減少する場合に、トナーの排出を保留することができる。
上述の例のように、例えば電源ON、モノクロプリント、電源OFFを繰返すと、カラートナーにおける滞留トナー量は増加してゆき、いずれ第3のしきい値を超えることになる。この場合は、その後の画像品位の劣化を招くので滞留トナーの排出が行なわれる。
図12は、第4の実施の形態における滞留トナー排出制御の処理を示すフローチャートである。
ステップS501において、画像安定化処理終了時またはプリントジョブの終了時のいずれであるかが判定される。プリントジョブの終了時であれば、ステップS503で滞留トナー排出のためのしきい値として第2のしきい値が設定される。一方、画像安定化処理の終了時であれば、ステップS509で滞留トナー排出のためのしきい値として第3のしきい値が設定される。
ステップS505において、滞留トナー量が滞留トナー排出のためのしきい値を超えているか判定された場合(S505でYES)、YESであるときにステップS507で、滞留トナーが排出される。
[第4の実施の形態における効果]
以上説明したように第4の実施の形態によると、プリントジョブ終了時の滞留トナー排出条件と画像安定化処理終了時の滞留トナー排出条件とを変えることで、CW比の低い画像安定化処理の実行に伴う滞留トナー吐出しによるトナー消費を最小限に抑えることができるという効果がある。
[第5の実施の形態]
本発明の第5の実施の形態におけるプリントシステムは、ネットワークに接続される複数の画像形成装置と、プリントサーバとにより構成される。画像形成装置は、第1〜4の実施の形態における画像形成装置であってもよいし、従来の画像形成装置であってもよい。
プリントサーバは、クライアントPCからジョブを入力すると、画像の出力先(すなわち画像をプリントする画像形成装置)を決定する。この際、各画像形成装置の滞留トナー量が均一になるように出力先の決定が行なわれる。
すなわち、他の画像形成装置と比較して滞留トナー量が多い画像形成装置では、高CW比画像のプリントを行なわせるようにし、滞留トナー量が少ない画像形成装置では、低CW比画像のプリントを行なうようにする。
図13は、画像形成装置が接続されるネットワークを示す図である。
画像形成装置である各プリンタ405a〜405dは、ネットワークに接続されている。プリントサーバ401は、クライアントPC403からのプリントジョブを各プリンタ405a〜405dに振り分ける。
プリントサーバ401は、CPU401aと、記憶部401bと、通信部401cとを備える。プリントサーバ401は、各プリンタにおける滞留トナー量を管理している。
プリントサーバ401は、プリントに先立ち、ジョブ全体の平均CW比を求める。平均CW比が3%以上である場合、最も滞留トナー量の多いプリンタに対してプリント指示を行なう。平均CW比が3%未満の場合、最も滞留トナー量の少ないプリンタに対してプリント指示を行なう。
各プリンタにおいてエンジン部は、コントローラ(プリントサーバ)からプリント指示があるとプリント動作を開始すると共に、現像ローラの回転量を計数する。これにより、上記(式1)の現像ローラの累積回転量が算出される。
またエンジン部は、コントローラ(プリントサーバ)から通知されるCW比を累積加算し、積算CW比を求める。エンジン部は、プリントが1枚終了するたびに、上記(式1)により滞留トナー量を求める。1枚のプリントが終了した時点で、滞留トナー量が第1のしきい値を超えた場合はプリントが中断され、滞留トナーの排出が行なわれる。
またプリントジョブの終了時に、滞留トナー量が第2のしきい値を超えていた場合も滞留トナーの排出が行なわれる。
第1のしきい値は画像品位が低下しない限界のしきい値である。第2のしきい値は第1のしきい値の約1/5程度のしきい値であり、第1のしきい値によるプリントの中断が発生しないように、ジョブの終了時に滞留トナーがある程度たまっていたら排出を行なうためのものである。
滞留トナーの排出を行なった場合は、現像ローラの累積回転量と積算CW比とはクリアされる。ジョブの終了時にプリンタは、現在の滞留トナー量をプリントサーバ401に通知する。
図14は、プリントサーバが実行するジョブの振分け処理を示すフローチャートである。
図を参照して、クライアントPCよりプリントジョブを受信したときに、ステップS601でそのジョブの平均CW比の値を算出する。ステップS603で、平均CW比の値が3%以上であれば、ステップS605でそのジョブを最も滞留トナー量が多いプリンタに送信し、プリントを実行させる。一方、ステップS603で、平均CW比の値が3%未満であれば、ステップS607でそのジョブを最も滞留トナー量が少ないプリンタに送信し、プリントを実行させる。
[第5の実施の形態における効果]
以上のように第5の実施の形態によると、滞留トナー量が多い画像形成装置では、高CW比画像のプリントが優先して行なわれるため、滞留トナー量は減少する。滞留トナー量が少ない画像形成装置では、低CW比画像のプリントが優先して行なわれるため、滞留トナー量は増加する。しかしながら、結果として各画像形成装置の滞留トナーの排出頻度は低下し、無駄なトナー消費が抑制される。
[第6の実施の形態]
本発明の第6の実施の形態におけるプリントシステムの基本的な構成は、第5の実施の形態におけるプリントシステムのそれと同じであるためここでの説明は繰り返さない。ここでは、第6の実施の形態におけるプリントシステムが第5の実施の形態におけるプリントシステムと異なる点について説明する。
第6の実施の形態においては、プリントサーバは各プリンタの各色(Y、M、C、K)ごとの滞留トナー量を管理する。プリントジョブにおける各色のトナー消費量に基づいて、そのプリントジョブをどのプリンタで実行するかが決定される。
より詳しくは、プリントサーバはプリントジョブの実行に先立ち、下式によりYMCK各色毎にそのジョブ全体を実行することで生じる滞留トナー量を求める。
滞留トナー量=(3%−CW_ave)×ジョブのページ数
(平均CW比が3%を超える場合、滞留トナー量はマイナスとなる)
次に、上記で求めたジョブ全体(各色毎)の滞留トナー量を、各プリンタの現在の滞留トナー量(各色毎)に加算する。これにより、そのジョブを各プリンタでプリントした後の滞留トナー量が求められる。
その際、そのジョブのプリントが終了した時点における、すべてのプリンタの滞留トナー量が記憶される。1つのプリンタにつき4色の滞留トナー量があるため、その最大値が記憶される。
たとえば、3台のプリンタがジョブ振分けの対象である場合を想定する(各プリンタをNo.1、No.2、No.3と呼ぶ)。
図15は、あるジョブを実行することにより生じる滞留トナー量と、No.1〜No.3の各プリンタにおける現在の滞留トナー量を示す図である。
(A)に示されるように、あるジョブを実行することによって滞留トナー量は、Yで10、Mで3、Cで−5、Kで2の量が変化するものとする。また、No.1のプリンタではYMCKそれぞれの現在の滞留トナー量が、3、0、0、6であるものとする。No.2のプリンタではYMCKそれぞれの現在の滞留トナー量が、0、5、5、9であるものとする。No.3のプリンタではYMCKそれぞれの現在の滞留トナー量が、2、8、8、4であるものとする。なお滞留トナー量は、「A4用紙1ページをベタ画像とする量の残留トナーの量」を100%としたときの滞留トナーの割合を示し、単位は「%」である。
図16は、図15(A)のジョブをNo.1〜3の各プリンタで実行した場合の各プリンタの残留トナー量の変化を示す図である。
図16(A)に示されるように、図15(A)のジョブをNo.1のプリンタでプリントすると、No.1のプリンタではYMCKそれぞれの滞留トナー量が、13、3、0、8となる(Cでは−5となるが、マイナスの場合は0と計算される)。
このとき、滞留トナーが最大となるのは、No.1のYである(その量をA%(=13%)とする)。
図16(B)に示されるように、図15(A)のジョブをNo.2のプリンタでプリントすると、No.2のプリンタではYMCKそれぞれの滞留トナー量が、10、8、0、11となる。
このとき、滞留トナーが最大となるのは、No.2のKである(その量をB%(=11%)とする)。
図16(C)に示されるように、図15(A)のジョブをNo.3のプリンタでプリントすると、No.3のプリンタではYMCKそれぞれの滞留トナー量が、12、11、3、6となる。
このとき、滞留トナーが最大となるのは、No.3のYである(その量をC%(=12%)とする)。
すべてのプリンタに対し、プリント後の最大滞留トナー量(A%、B%、C%)が求められた後、最大滞留トナー量(A%、B%、C%)が比較される。最大滞留トナー量が最も小さくなるプリンタに対して、ジョブのプリント指示が行なわれる。
この場合、No.2でプリントすると、全体での最大値を最も抑えることができるため、No.2でジョブのプリントが行なわれる。
なお、最大滞留トナー量が同じプリンタが複数ある場合は、それらの中から、最小滞留トナー量が最大となるプリンタを選択することが望ましい。
[第6の実施の形態における効果]
以上のように第6の実施の形態によると、各色ごとの滞留トナー量に基づいて、ジョブを実行する画像形成装置が選択される。これにより、各画像形成装置の滞留トナーの排出頻度を低下させることができ、無駄なトナー消費が抑制される。
[その他]
上述の実施の形態における処理は、ソフトウエアによって行なっても、ハードウエア回路を用いて行なってもよい。
また、上述の実施の形態における処理を実行するプログラムを提供することもできるし、そのプログラムをCD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、メモリカードなどの記録媒体に記録してユーザに提供することにしてもよい。また、プログラムはインターネットなどの通信回線を介して、装置にダウンロードするようにしてもよい。
さらに、上述の各実施の形態の処理を、組み合わせて行なうこととしてもよい。
なお、上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の中央断面の概略を示す図である。 画像形成装置1の構成を示すブロック図である。 感光体3の周囲の構成を示す断面図である。 滞留トナー量が「0」の状態から複数のジョブをプリントした場合の滞留トナー量の推移を示す図である。 画像形成装置が管理するジョブ管理テーブルを示す図である。 画像形成装置が実行する1枚の画像のプリントを行なったときの滞留トナー量の算出処理を示すフローチャートである。 滞留トナーの排出処理を示すフローチャートである。 ジョブの順序入れ替え処理を示すフローチャートである。 第2の実施の形態における画像形成装置が実行する、ジョブの切れ目における滞留トナー排出の判定処理を示すフローチャートである。 第3の実施の形態における画像形成装置が実行する、ジョブの切れ目における滞留トナー排出の判定処理を示すフローチャートである。 画像安定化を実行した後にプリントジョブを実行した場合の滞留トナー量の推移を示す図である。 第4の実施の形態における滞留トナー排出制御の処理を示すフローチャートである。 画像形成装置が接続されるネットワークを示す図である。 プリントサーバが実行するジョブの振分け処理を示すフローチャートである。 あるジョブを実行することにより生じる滞留トナー量と、No.1〜No.3の各プリンタにおける現在の滞留トナー量を示す図である。 図15(A)のジョブをNo.1〜3の各プリンタで実行した場合の各プリンタの残留トナー量の変化を示す図である。
符号の説明
1 フルカラー画像形成装置
2 中間転写ベルト
3a 感光体(イエロー)
3b 感光体(マゼンダ)
3c 感光体(シアン)
3d 感光体(ブラック)
4a 現像部(イエロー)
4b 現像部(マゼンダ)
4c 現像部(シアン)
4d 現像部(ブラック)
11 2次転写ローラ
13 排紙ローラ
23,24 トナー補給モータ
25a〜25d トナーボトル(トナーカートリッジ)
200 エンジン部
203 記憶媒体制御部
307 RAM

Claims (11)

  1. トナーを収容し、トナーを用いて現像を行なう現像器と、
    前記トナーを用いてプリントを実行するプリント実行手段と、
    前記トナーを用いて画像安定化処理を実行する画像安定化処理実行手段と、
    前記現像器内の滞留トナー量を取得する取得手段と、
    プリント終了後に、前記取得手段が取得した滞留トナー量と第1の基準とを用いてトナー排出処理を行ない、画像安定化処理終了後に、前記取得手段が取得した滞留トナー量と第2の基準とを用いてトナー排出処理を行なうトナー排出手段とを備えた、画像形成装置。
  2. 前記取得手段は、現像ローラの駆動量と、プリントジョブのトナー消費に関する情報とを取得することで、前記現像器内の滞留トナー量を取得する、請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記トナー排出手段は、プリント終了時には、滞留トナー量が前記第1の基準であるしきい値を超えているかを判断することでトナー排出処理を行ない、画像安定化処理終了時には、滞留トナー量が前記第2の基準であるしきい値を超えているかを判断することでトナー排出処理を行なう、請求項1または2に記載の画像形成装置。
  4. プリントジョブを実行する前に、そのプリントジョブによって消費されるトナーの量を判定する判定手段と、
    前記取得手段で取得した滞留トナー量と前記判定手段の判定結果とに基づいて、前記プリントジョブの実行を保留する保留手段とをさらに備えた、請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
  5. 前記取得手段は、現像ローラの駆動量に対して消費すべき基準トナー量と、実際に消費したトナー量との差を求め、消費すべき基準トナー量に満たない量を滞留トナー量として取得する、請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置。
  6. 複数のプリントジョブが登録されている場合において滞留トナー量が少ないときには、トナー消費量の少ない画像を優先的にプリントするようにジョブの実行順序を制御する制御手段をさらに備えた、請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置。
  7. 複数のプリントジョブが登録されている場合において滞留トナー量が多いときには、トナー消費量の多い画像を優先的にプリントするようにジョブの実行順序を制御する制御手段をさらに備えた、請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置。
  8. 前記現像器は、複数色のそれぞれに対応するトナーを収容した複数の現像器を含み、
    前記複数の現像器のそれぞれにおいて滞留トナーの量を管理する、請求項1から7のいずれかに記載の画像形成装置。
  9. 前記トナー排出手段によって滞留トナー量が第1の基準または第2の基準であるしきい値を超えたと判断された場合に、後続のプリントジョブのトナー消費量を判定する判定手段と、
    前記判定手段の判定結果に基づいて、前記トナー排出手段でのトナー排出を保留する保留手段とを備えた、請求項1から8のいずれかに記載の画像形成装置。
  10. トナーを収容し、トナーを用いて現像を行なう現像器を備えた画像形成装置の制御方法であって、
    前記トナーを用いてプリントを実行するプリント実行ステップと、
    前記トナーを用いて画像安定化処理を実行する画像安定化処理実行ステップと、
    前記現像器内の滞留トナー量を取得する取得ステップと、
    プリント終了後に、前記取得ステップで取得した滞留トナー量と第1の基準とを用いてトナー排出処理を行ない、画像安定化処理終了後に、前記取得ステップで取得した滞留トナー量と第2の基準とを用いてトナー排出処理を行なうトナー排出ステップとを備えた、画像形成装置の制御方法。
  11. トナーを収容し、トナーを用いて現像を行なう現像器を備えた画像形成装置の制御プログラムであって、
    前記トナーを用いてプリントを実行するプリント実行ステップと、
    前記トナーを用いて画像安定化処理を実行する画像安定化処理実行ステップと、
    前記現像器内の滞留トナー量を取得する取得ステップと、
    プリント終了後に、前記取得ステップで取得した滞留トナー量と第1の基準とを用いてトナー排出処理を行ない、画像安定化処理終了後に、前記取得ステップで取得した滞留トナー量と第2の基準とを用いてトナー排出処理を行なうトナー排出ステップとをコンピュータに実行させる、画像形成装置の制御プログラム。
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