上記課題を解決するためになされた第1の発明は、飽和濃度制御と中間濃度制御の両方の画像形成パラメータを制御する標準制御と、前記飽和濃度制御の画像形成パラメータのみを制御する簡易制御とが実行可能な画像形成プロセス制御装置であって、画像形成プロセス手段に形成させた飽和濃度用及び中間濃度用の基準パターン画像の濃度値を検出する画像検出手段と、この画像検出手段により検出された濃度値を記憶すると共に前記濃度値に基づいて前記画像形成パラメータを制御する制御手段とを有し、前記制御手段は、前記画像形成プロセス手段により実行された画像形成回数が規定値を超えたとき、前記標準制御と前記簡易制御のいずれかを実行可能とし、このとき、前記画像検出手段により検出された前記飽和濃度用の基準パターン画像の濃度値の変化値または前回までに実行された前記簡易制御の連続実行回数の回数値がそれぞれの許容値を超えたと判定された場合に、前記標準制御を実行させ、前記飽和濃度用の基準パターン画像の濃度値の変化値および前回までに実行された前記簡易制御の連続実行回数がそれぞれの前記許容値を超えていないと判定された場合には、前記簡易制御を実行させる構成とする。
この発明によれば、高品位な画像を確保する上で頻繁に調整が必要とされる画像パラメータの制御が簡単な判定条件にて標準制御と簡易制御とが選択実行されるため、高品位な画像を容易に確保することができる。しかも、時間を要する標準制御に代わって短時間で済む簡易制御が実行されるため、画像形成処理の生産性の低下を抑えることができる。さらに、画像形成パラメータ制御の実行条件及び標準制御と簡易制御とを選択するための判定条件を適切に設定することで、環境変動を検出するセンサ類を用いることなく、適切なタイミングで標準制御及び簡易制御を実行させることができるため、製造コストの増大を避けることができる。
この場合、前記の画像パラメータは、例えば画像濃度に関連するものとして、レーザの露光量、現像器のトナー濃度、転写電圧、及び現像電圧などがあり、このうち、比較的頻繁に変動する画像パラメータとしては、現像器のトナー濃度がある。
この発明によれば、画像形成回数が、画像形成装置が一般的に備えるセンサ類を用いて簡単に取得することができるものであり、また画像検出手段の検出結果の変化状況や簡易制御の実行状況も容易に取得することができるものであるため、制御手順を簡素化することができる。
この場合、前記の画像形成回数としては、記録媒体の出力枚数が好適である。このとき、記録紙(記録媒体)のサイズや、1枚の記録紙上に形成した画像中の線画部のドット数などに基づいて、実際の画像形成量が反映されるように換算された出力枚数を用いるようにすると良い。
また、画像検出手段の検出結果の変化状況は、画像検出手段の検出値の変化量により把握することができ、その検出値の変化量を所定のしきい値と比較して変化度合いの大小を判定し、変化が大である場合には標準制御が実行されるようにする。また過去の簡易制御の実行状況は、簡易制御の実行回数を計数することで取得することができ、その簡易制御の実行回数を所定のしきい値と比較して簡易制御が所定回数を超えて繰り返し実施されている場合には次に標準制御が実行されるようにする。
この発明によれば、画像形成プロセス手段に形成させる基準パターン画像数を削減することができるため、制御に要する時間を短縮して、画像形成処理の生産性の低下を抑制することができる。
この場合、比較的頻繁に変動する画像パラメータに関連する基準パターン画像としては、べた黒(濃度100%)による飽和濃度の基準パターン画像があり、この飽和濃度検出用の基準パターン画像の検出結果に基づいて、現像器のトナー濃度を制御する制御情報を取得することができる。
なお、比較的頻繁に変動しない画像パラメータに関連する基準パターン画像としては、中間濃度の基準パターン画像があり、この中間濃度の基準パターン画像の検出結果に基づいて、露光手段の光量を制御する制御情報を取得することができる。この中間濃度の基準パターン画像は、適切な制御情報を取得するために多数の基準パターン画像を形成する必要があり、簡易制御においてこの中間濃度検出用の基準パターン画像の形成を省略することで、制御所要時間を大幅に短縮することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明によるモノクロ画像形成装置の一例を示す模式図である。このモノクロ画像形成装置は、画像形成プロセス手段として、感光体ドラム1の周囲に、図示しない帯電器により均一に帯電した感光体ドラム1の作像面に対して露光用の光束を走査して静電潜像を形成するLSU(レーザ・スキャニング・ユニット)2と、感光体ドラム1の作像面上の静電潜像をトナーで現像する現像ローラ3を備えた現像器4と、感光体ドラム1の作像面上に形成されたトナー像を記録紙上に転写する転写ガイド板5と、感光体ドラム1の作像面を清掃するクリーニングブレード6とが設けられており、給紙部7の記録紙(記録媒体)が感光体ドラム1と転写ガイド板5との間に送り込まれてトナー像が記録紙に転写された後、定着器8を経て排紙部9に排出される。
図2は、図1に示したモノクロ画像形成装置における画像形成プロセス制御部の概略構成を示すブロック図である。図3は、図1に示したモノクロ画像形成装置におけるパッチ画像の濃度検出状況を示している。
図2に示す画像形成プロセス制御部(画像形成プロセス制御装置)では、画像濃度制御時に、CPU12からの出力指示に応じてパッチデータ生成部13にてパッチ画像(基準パターン画像)のデータが生成され、そのデータがLSU2に送られてパッチ画像の書き込みが行われ、これにより感光体ドラム1上にパッチ画像が作像される。
このパッチ画像の作像は感光体ドラム1を回転させながら行われ、図3に示すように感光体ドラム1上に複数のパッチ画像Pが順次作像され、これらのパッチ画像Pの濃度が画像濃度センサ(画像検出手段)11で順次検出され、その出力信号がCPU12に入力される。また現像器4内の2成分現像剤のトナー濃度がトナー濃度センサ16で検出され、その出力信号がCPU12に入力される。
CPU(制御手段)12では、画像濃度センサ11の出力値に基づいて、画像パラメータ、すなわちトナー濃度制御値及びPWM制御値が算出され、これにより取得したトナー濃度制御値及びトナー濃度センサ16の出力値に基づいて、現像器4へのトナー補給動作が制御され、またPWM制御値に基づいてLSU2でのレーザの露光動作が制御される。なおCPU12は、ROM14に格納されたプログラム及び目標値などの制御情報を用いて所要の制御を行い、その制御に要する補正テーブルなどのデータがRAM15に適宜に記憶される。
またCPU12では、所要のプログラムにより、排紙部9に排出される記録紙を検知する排紙センサ17の検出信号に基づいて印字枚数を計数する枚数カウンタが構成されている。この枚数カウンタでは、用紙サイズに応じた換算枚数が計数され、例えばA4以下の用紙サイズでは1枚につき1カウントとするのに対し、A4を超える用紙サイズでは1枚につき2カウントとする。
図4は、図1に示したモノクロ画像形成装置における画像濃度制御時のパッチ画像の作像状況を示している。画像濃度制御は、印字枚数カウンタが規定枚数に到達した場合に行われ、後述するように、パッチ画像の検出濃度の変化状況及び過去の簡易制御の実行状況に応じて、標準制御と簡易制御とのいずれかが選択的に実行される。
(A)は標準制御時を示し、トナー濃度制御値を取得する際の基準となる飽和濃度検出用のパッチ画像と、PWM制御値を取得する際の基準となる中間濃度検出用のパッチ画像とが、矢印で示す向きに順次並んだ状態で感光体ドラム1上に作像される。(B)は簡易制御時を示し、中間濃度検出用のパッチ画像が省略され、飽和濃度検出用のパッチ画像のみが作像される。
飽和濃度検出用としては、べた黒(濃度100%)のパッチ画像PKが1つ作像され、このパッチ画像の濃度が、CPU12にて所定の目標値と比較されて、十分な画像濃度が得られるように現像器4へのトナー補給動作に関するトナー濃度制御値が求められる。なお、パッチ画像PKを複数作像して平均値を取得するようにしても良い。
中間濃度検出用としては、所定の中間濃度の組合せによる1対のパッチ画像からなるパッチ画像群GK1・GK2・GK3・GK4・GK5・GK6が、LSU2でのレーザの点灯パルス幅を段階的に変化させて複数作像され、これらの光量の異なる複数のパッチ画像の濃度が、CPU12にて所定の目標値と比較されて、適切な濃度(階調)が得られるようにレーザの点灯パルス幅を調整するためのPWM制御値が求められる。
これらのパッチ画像は、連続印字中に画像濃度制御の実行指示があると、ページごとの画像の間に挿入するように感光体ドラム1上に作像される。
図5は、図1に示したモノクロ画像形成装置における連続印字時の動作手順を示すフロー図である。ここでは、印字が行われると、CPU12において枚数カウンタが1増分され(ステップ101)、ついで枚数カウンタの計数値が第1のしきい値(170)に到達したか否かが判定され(ステップ102)、ここで枚数カウンタの計数値が第1のしきい値に到達していれば、画像濃度制御が実行される(ステップ103)。そして枚数カウンタが初期化されると共に、メモリに記憶された前回濃度値(Ddark old)が今回の制御で取得した濃度値(Ddark new)に更新される(ステップ104)。
図6は、図1に示したモノクロ画像形成装置における非印字時の動作手順を示すフロー図である。ここでは、まず枚数カウンタの計数値が第2のしきい値(105)に達しているか否かが判定され(ステップ201)、ここで枚数カウンタの計数値が第2のしきい値に達していれば、画像濃度制御が実行される(ステップ202)。そして枚数カウンタが初期化されると共に、メモリに記憶された前回濃度値(Ddark old)が今回の制御で取得した濃度値(Ddark new)に更新される(ステップ203)。
このように非印字時には、印字時に用いられる第1のしきい値(170)より小さい第2のしきい値(105)に基づいて画像濃度制御の必要性が判定される。
このフローは、スタンバイ状態にて操作表示パネルの初期化(クリア)が発生した時、及びスタンバイ状態で操作表示パネルの操作などの所定の解除要因がない状態が所定時間継続することにより省電力モード(スリープモード)へ移行する前に実行され、これらの動作を通知する信号に応じて開始される。
図7は、図5及び図6に示した画像濃度制御の手順を示すフロー図である。図5の画像濃度制御(ステップ103)及び図6の画像濃度制御(ステップ202)では、まず図4に示したように飽和濃度検出用のパッチ画像が印字され(ステップ301)、ついで画像濃度センサ11による飽和濃度検出用のパッチ画像の読取りが行われて、その読取値が最新の濃度値(Ddark new)としてメモリに格納され、さらにこの最新の濃度値に基づいてトナー濃度制御値が算出される(ステップ302)。
次に標準制御判定値設定が行われ(ステップ303)、ここで設定された標準制御の要否判定値(BK Full)が1か否かが判定され(ステップ304)、標準制御の要否判定値が1であれば、図4(A)に示したように中間濃度検出用のパッチ画像が印字され(ステップ305)、ついで画像濃度センサ11による中間濃度検出用のパッチ画像の読取りが行われ、その読取値に基づいてPWM制御値が算出される(ステップ306)。
他方、標準制御の要否判定値(BK Full)が1か否かの判定(ステップ304)で、標準制御の要否判定値が1でなければ、中間濃度検出用のパッチ画像の印字及び読取の動作(ステップ305・306)は省略される。
このように飽和濃度検出用のパッチ画像の印字及び読取の動作が終了した段階で、標準制御の要否判定値(BK Full)に基づいて標準制御の要否が判定され、この要否判定により標準制御が必要と判定された場合には、中間濃度検出用のパッチ画像の印字及び読取が続けて行われて標準制御となり、要否判定により標準制御が不要と判定された場合には、中間濃度検出用のパッチ画像の印字及び読取の動作が省略されて簡易制御となる。
図8は、図7に示した標準制御判定値設定の手順を示すフロー図である。図7の標準制御判定値設定(ステップ303)では、まず前回の画像濃度制御時に取得してメモリに記憶された飽和濃度検出用のパッチ画像の濃度値(Ddark old)を読み出し(ステップ401)、今回の制御(図7のステップ302)で取得した濃度値(Ddark new)と比較して濃度の変化量を算出して、その変化量がしきい値Kに達しているか否かが判定され(ステップ402)、ここで濃度の変化量がしきい値Kに達し、濃度変化が大と判定されると、標準制御の要否判定値(BK Full)が1に設定される(ステップ403)。
ここで、濃度変化の大小を判定するしきい値Kは、例えば濃度値を0〜255の256段階とした場合、10とすると良い。
他方、濃度の変化量がしきい値Kに達しているか否かの判定(ステップ402)で、濃度の変化量がしきい値Kに達していない場合には、次に簡易制御の実行回数カウンタの計数値(CT SHRT)がしきい値Mに達しているか否かが判定され(ステップ404)、ここで簡易制御の実行回数カウンタの計数値(CT SHRT)がしきい値Mに達している場合には、標準制御の要否判定値(BK Full)が1に設定されると共に、簡易制御の実行回数カウンタが初期化される(ステップ405)。
ここで、簡易制御の実行回数カウンタに関するしきい値Mは、設定範囲を2〜7とし、初期設定値を5として、ユーザもしくはサービスマンにより適宜に変更可能とすると良い。
他方、簡易制御の実行回数カウンタの計数値(CT SHRT)がしきい値Mに達しているか否かの判定(ステップ404)で、簡易制御の実行回数カウンタの計数値(CT SHRT)がしきい値Mに達していない場合には、簡易制御の実行回数カウンタが1増分され(ステップ406)、ついで標準制御の要否判定値(BK Full)が0に設定される(ステップ407)。
このように濃度変化が大きい場合には、標準制御の要否判定値(BK Full)が1に設定され、次の画像濃度制御時に標準制御が行われるようにする。また簡易制御の実行回数が規定回数に達した場合にも、標準制御の要否判定値(BK Full)が1に設定され、次の画像濃度制御時に標準制御が行われるようにする。そして簡易制御の実行回数が規定回数に達していない場合には、簡易制御の実行回数カウンタが1増分され、また標準制御の要否判定値(BK Full)が0に設定され、次の画像濃度制御時には簡易制御が行われる。
ここで、簡易制御の実行回数カウンタの計数値(CT SHRT)に関するしきい値Mを例えば5とすると、簡易制御が5回続くと次は標準制御が行われることになる。
図9は、図1に示したモノクロ画像形成装置での制御のタイミング図である。(A)に示す標準制御では、画像データKに基づく印字を終了させて画像制御が開始されると、飽和濃度検出用のパッチ画像が印字され、ついで中間濃度検出用のパッチ画像が印字され、画像制御が終了すると画像データKに基づく印字が再開される。(B)に示す簡易制御では、中間濃度検出用パッチの印字が省略され、その分だけ画像データKに基づく印字の再開のタイミングが早くなる。
図10は、本発明によるカラー画像形成装置の一例を示す模式図である。このカラー画像形成装置は、画像形成プロセス手段として、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及び黒(K)の各色ごとの複数のプロセスユニット21a〜21dが中間転写ベルト25に沿って配列されており、これらのプロセスユニット21a〜21dの各感光体ドラム22a〜22dに対してLSU26にて書き込みが行われた後に現像器23a〜23dにより現像されることで、各感光体ドラム22a〜22d上に各色ごとのトナー像が作像され、この各色ごとのトナー像が中間転写ベルト25に順次転写されて合成されることでカラー画像が得られるようになっており、給紙部27の記録紙が中間転写ベルト25と2次転写ローラ28との間に送り込まれてカラーのトナー像が記録紙に転写された後、定着器29を経て排紙部30に排出される。
図11は、図10に示したカラー画像形成装置における画像形成プロセス制御部の概略構成を示すブロック図である。図12は、図10に示したカラー画像形成装置におけるパッチ画像の濃度検出状況を示している。
図11に示す画像形成プロセス制御部(画像形成プロセス制御装置)では、画像濃度制御時に、CPU32からの出力指示に応じてパッチデータ生成部33にてパッチ画像(基準パターン画像)のデータが生成され、そのデータがLSU26に送られてパッチ画像の書き込みが行われ、これにより各プロセスユニット21a〜21dにおいて各色ごとのパッチ画像が作像される。
このパッチ画像の作像は中間転写ベルト25を走行させながら行われ、図12に示すように中間転写ベルト25上に複数のパッチ画像Pが順次作像され、これらのパッチ画像Pの濃度が画像濃度センサ(画像検出手段)31で順次検出され、その出力信号がCPU32に入力される。また現像器23a〜23d内の2成分現像剤のトナー濃度がトナー濃度センサ36で検出され、その出力信号がCPU32に入力される。
CPU(制御手段)32では、画像濃度センサ31の出力値に基づいて、前記と同様に画像パラメータ、すなわちトナー濃度制御値及びPWM制御値が算出され、これにより取得したトナー濃度制御値及びトナー濃度センサ36の出力値に基づいて、現像器23a〜23dへのトナー補給動作が制御され、またPWM制御値に基づいてLSU26でのレーザの露光動作が制御される。なおCPU32は、ROM34に格納されたプログラム及び目標値などの制御情報を用いて所要の制御を行い、その制御に要する補正テーブルなどのデータがRAM35に適宜に記憶される。
またCPU32では、所要のプログラムにより、排紙部30に排出される記録紙を検知する排紙センサ37の検出信号及びカラー印字とモノクロ印字とを識別する信号に基づいて、カラー印字枚数及びモノクロ印字枚数をそれぞれ計数するカラー枚数カウンタ及びモノクロ枚数カウンタが構成されている。これらの枚数カウンタでは、用紙サイズに応じた換算枚数が計数され、例えばA4以下の用紙サイズでは1枚につき1カウントとするのに対し、A4を超える用紙サイズでは1枚につき2カウントとする。
図13は、図10に示したカラー画像形成装置におけるカラー画像濃度制御時のパッチ画像の作像状況を示している。カラー画像濃度制御は、カラー印字枚数カウンタが規定枚数に到達した場合に行われ、後述するように、パッチ画像の検出濃度の変化状況や過去の簡易制御の実行状況に応じて、標準制御と簡易制御とのいずれかが選択的に実行される。
(A)は標準制御時を示し、トナー濃度制御値を取得する際の基準となる飽和濃度検出用のパッチ画像と、PWM制御値を取得する際の基準となる中間濃度検出用のパッチ画像とが、プロセスユニット21a〜21dにて作像されて、矢印で示す向きに順次並んだ状態で中間転写ベルト25に転写される。(B)は簡易制御時を示し、中間濃度検出用のパッチ画像が省略され、飽和濃度検出用のパッチ画像のみが作像される。
飽和濃度検出用としては、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及び黒(K)の各色ごとに、べた黒(濃度100%)のパッチ画像PC・PM・PY・PKが作像され、これらのパッチ画像の濃度が、CPU32にて所定の目標値と比較されて、十分な画像濃度が得られるように現像器23a〜23dへのトナー補給動作に関するトナー濃度制御値が求められる。なおここでは、パッチ画像の作像速度を高めるために、黒(K)のパッチ画像PKがプロセスユニット21a〜21dの配列順番とは異なる順番で作像される。
中間濃度検出用としては、まずイエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の各色ごとに、所定の中間濃度の組合せによる複数のパッチ画像からなるパッチ画像群GY1・GM1・GC1が作像される。ついで黒色(K)のトナーにより、所定の中間濃度の組合せによる1対のパッチ画像からなるパッチ画像群GK1・GK2・GK3が、LSU2でのレーザの点灯パルス幅を段階的に変化させて複数作像される。ついでシアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の各色ごとに、LSU2でのレーザの点灯パルス幅を段階的に変化させた複数のパッチ画像からなるパッチ画像群GY2・GM2・GC2が作像される。なおここでは、パッチ画像の作像速度を高めるために、前のパッチ画像群GY1・GM1・GC1とは色の順番を入れ替えて作像される。ついで黒色(K)のトナーにより、所定の中間濃度の組合せによる1対のパッチ画像からなるパッチ画像群GK4・GK5・GK6が、LSU26でのレーザの点灯パルス幅を段階的に変化させて複数作像される。
このようにして得られた濃度値や光量の異なる複数のパッチ画像の濃度が、CPU12にて所定の目標値と比較されて、適切な濃度(階調)が得られるようにレーザの点灯パルス幅を調整するためのPWM制御値が求められる。なお、パッチ画像の間の非画像部では比較のために作像面の生地濃度が検出される。
図14は、図10に示したカラー画像形成装置におけるモノクロ画像濃度制御時のパッチ画像の作像状況を示している。モノクロ画像濃度制御は、モノクロ印字枚数カウンタが規定枚数に到達した場合に行われ、後述するように、パッチ画像の検出濃度の変化状況や過去の簡易制御の実行状況に応じて、標準制御と簡易制御とのいずれかが選択的に実行される。
(A)は標準制御時を示し、トナー濃度制御値を取得する際の基準となる飽和濃度検出用のパッチ画像と、PWM制御値を取得する際の基準となる中間濃度検出用のパッチ画像とが、黒のプロセスユニット21dにて作像されて、矢印で示す向きに順次並んだ状態で中間転写ベルト25上に転写される。(B)は簡易制御時を示し、中間濃度検出用のパッチ画像が省略され、飽和濃度検出用のパッチ画像のみが作像される。
飽和濃度検出用としては、べた黒(濃度100%)のパッチ画像PKが1つ作像され、このパッチ画像の濃度が、CPU32にて所定の目標値と比較されて、十分な画像濃度が得られるように黒の現像器23dへのトナー補給動作に関するトナー濃度制御値が求められる。なお、パッチ画像を複数作像して平均値を取得するようにしても良い。
中間濃度検出用としては、所定の中間濃度の組合せによる1対のパッチ画像からなるパッチ画像群GK1・GK2・GK3・GK4・GK5・GK6が、LSU26でのレーザの点灯パルス幅を段階的に変化させて複数作像され、これらの光量の異なる複数のパッチ画像の濃度が、CPU32にて所定の目標値と比較されて、適切な濃度(階調)が得られるようにレーザの点灯パルス幅を調整するためのPWM制御値が求められる。
これらのパッチ画像は、連続印字中に画像濃度制御の実行指示があると、ページごとの画像の間に挿入するようにプロセスユニット21dにて作像されて中間転写ベルト25上に転写される。
図15は、図10に示したカラー画像形成装置における連続印字時の動作手順を示すフロー図である。ここでは、カラー印字が行われると、カラー枚数カウンタが1増分され(ステップ501)、ついでカラー枚数カウンタの計数値がカラー用の第1のしきい値(105)に到達したか否かが判定され(ステップ502)、ここでカラー枚数カウンタの計数値がカラー用の第1のしきい値に到達していれば、カラー画像濃度制御が実行される(ステップ503)。そしてカラー枚数カウンタ及びモノクロ枚数カウンタが初期化されると共に、メモリに記憶された前回濃度値(Ddark old)が今回の制御で取得した濃度値(Ddark new)に更新される(ステップ504)。
また、カラー印字またはモノクロ印字が行われると、モノクロ枚数カウンタが1増分され(ステップ505)、ついでモノクロ枚数カウンタの計数値がモノクロ用の第1のしきい値(170)に到達したか否かが判定され(ステップ506)、ここでモノクロ枚数カウンタの計数値がモノクロ用の第1のしきい値に到達していれば、次にカラー枚数カウンタの計数値がカラー用の第2のしきい値(70)に到達したか否かが判定され(ステップ507)、ここでカラー枚数カウンタの計数値がカラー用の第2のしきい値に到達していれば、カラー画像濃度制御が実行される(ステップ503)。
他方、カラー枚数カウンタの計数値がカラー用の第2のしきい値(70)に到達したか否かの判定(ステップ507)で、カラー枚数カウンタの計数値がカラー用の第2のしきい値に到達していなければ、モノクロ画像濃度制御が実行される(ステップ508)。そしてモノクロ枚数カウンタが初期化されると共に、メモリに記憶された前回濃度値(Ddark old)が今回の制御で取得した濃度値(Ddark new)に更新される(ステップ509)。
このように連続印字時には、カラー用の第1のしきい値(105)に基づいてカラー画像濃度制御の必要性が判定される。またモノクロ用の第1のしきい値(170)に基づいてモノクロ画像濃度制御の必要性が判定される。さらにカラー印字枚数がカラー用の第1のしきい値(105)に達していない場合でも、モノクロ印字枚数がモノクロ用の第1のしきい値(170)に達しており、且つカラー印字枚数がカラー用の第2のしきい値(70)に達していればカラー画像濃度制御が実施される。
図16は、図10に示したカラー画像形成装置における非印字時の動作手順を示すフロー図である。ここでは、まずカラー枚数カウンタの計数値がカラー用の第3のしきい値(94)に達しているか否かが判定され(ステップ601)、ここでカラー枚数カウンタの計数値がカラー用の第3のしきい値に達していれば、カラー画像濃度制御が実行される(ステップ602)。そしてカラー枚数カウンタ及びモノクロ枚数カウンタが初期化されると共に、メモリに記憶された前回濃度値(Ddark old)が今回の制御で取得した濃度値(Ddark new)に更新される(ステップ603)。
他方、カラー枚数カウンタの計数値がカラー用の第3のしきい値に到達したか否かの判定(ステップ601)で、カラー枚数カウンタの計数値がカラー用の第3のしきい値に達していなければ、次にモノクロ枚数カウンタの計数値がモノクロ用の第2のしきい値(105)に達しているか否かが判定され(ステップ604)、ここでモノクロ枚数カウンタの計数値がモノクロ用の第2のしきい値に達していれば、次にカラー枚数カウンタの計数値がカラー用の第2のしきい値(70)に達しているか否かが判定され(ステップ605)、ここでカラー枚数カウンタの計数値がカラー用の第2のしきい値に到達していれば、カラー画像濃度制御が実行される(ステップ602)。
他方、カラー枚数カウンタの計数値がカラー用の第2のしきい値(70)に到達したか否かの判定(ステップ605)で、カラー枚数カウンタの計数値がカラー用の第2のしきい値に到達していなければ、モノクロ画像濃度制御が実行される(ステップ606)。そしてモノクロ枚数カウンタが初期化されると共に、メモリに記憶された前回濃度値(Ddark old)が今回の制御で取得した濃度値(Ddark new)に更新される(ステップ607)。
このように非印字時には、カラー印字時に用いられるカラー用の第1のしきい値(105)より小さい第3のしきい値(94)に基づいてカラー画像濃度制御の必要性が判定される。またモノクロ印字時に用いられる第1のしきい値(170)より小さい第2のしきい値(105)に基づいてモノクロ画像濃度制御の必要性が判定される。さらにカラー印字枚数がカラー用の第3のしきい値(94)に達しない場合でも、モノクロ印字枚数がモノクロ用の第2のしきい値(105)に達しており、且つカラー印字枚数がカラー用の第2のしきい値(70)に達していればカラー画像濃度制御が実施される。
このフローは、スタンバイ状態にて操作表示パネルの初期化(クリア)が発生した時、及びスタンバイ状態で操作表示パネルの操作などの所定の解除要因がない状態が所定時間継続することにより省電力モード(スリープモード)へ移行する前に実行され、これらの動作を通知する信号に応じて開始される。
図17は、図15及び図16に示したカラー画像濃度制御及びモノクロ画像濃度制御の手順を示すフロー図である。図15のカラー画像濃度制御(ステップ503)及び図16のカラー画像濃度制御(ステップ602)では、図17(A)に示すように、まず図13に示した飽和濃度検出用のパッチ画像が印字され(ステップ701)、ついで画像濃度センサ31による飽和濃度検出用のパッチ画像の読取りが行われて、その読取値が最新の濃度値(Ddark new)としてメモリに格納され、さらにこの最新の濃度値に基づいてトナー濃度制御値が算出される(ステップ702)。
次に標準制御判定値設定が行われ(ステップ703)、ここで設定されたカラー標準制御の要否判定値(4C Full)が1か否かが判定され(ステップ704)、カラー標準制御の要否判定値(4C Full)が1であれば、図13(A)に示したように中間濃度検出用パッチが印字され(ステップ705)、ついで画像濃度センサ31による中間濃度検出用パッチの読取りが行われ、その読取値に基づいてPWM制御値が算出される(ステップ706)。
他方、カラー標準制御の要否判定値(4C Full)が1か否かの判定(ステップ704)で、カラー標準制御の要否判定値(4C Full)が1でなければ、中間濃度検出用パッチの印字及び読取の動作(ステップ705・706)は省略される。
また、図15のモノクロ画像濃度制御(ステップ508)及び図16のモノクロ画像濃度制御(ステップ606)では、図17(B)に示すように、まず図14に示した飽和濃度検出用のパッチ画像が印字され(ステップ801)、ついで画像濃度センサ31による飽和濃度検出用のパッチ画像の読取りが行われて、その読取値が最新の濃度値(Ddark new)としてメモリに格納され、こさらにの最新の濃度値に基づいてトナー濃度制御値が算出される(ステップ802)。
次にモノクロ標準制御判定値設定が行われ(ステップ803)、ここで設定されたモノクロ標準制御の要否判定値(BK Full)が1か否かが判定され(ステップ804)、モノクロ標準制御の要否判定値(BK Full)が1であれば、図14(A)に示したように中間濃度検出用のパッチ画像が印字され(ステップ805)、ついで画像濃度センサ31による中間濃度検出用のパッチ画像の読取りが行われ、その読取値に基づいてPWM制御値が算出される(ステップ806)。
他方、モノクロ標準制御の要否判定値(BK Full)が1か否かの判定(ステップ804)で、モノクロ標準制御の要否判定値(BK Full)が1でなければ、中間濃度検出用パッチの印字及び読取の動作(ステップ805・806)は省略される。
このように飽和濃度検出用のパッチ画像の印字及び読取の動作が終了した段階で、カラー標準制御の要否判定値(4C Full)及びモノクロ標準制御の要否判定値(BK Full)に基づいてカラー標準制御及びモノクロ標準制御の要否が判定され、この要否判定により標準制御が必要と判定された場合には、中間濃度検出用のパッチ画像の印字及び読取が続けて行われて標準制御となり、要否判定により標準制御が不要と判定された場合には、中間濃度検出用のパッチ画像の印字及び読取の動作が省略されて簡易制御となる。
図18は、図17に示したカラー標準制御判定値設定の手順を示すフロー図である。図17のカラー標準制御判定値設定(ステップ703)では、まず前回の画像濃度制御時に取得してメモリに記憶された飽和濃度検出用のパッチ画像の濃度値(Ddark old)を読み出し(ステップ901)、今回の制御(図17のステップ702)で取得した濃度値(Ddark new)と比較して濃度の変化量を算出して、その変化量がしきい値Kに達しているか否かが判定され(ステップ902)、この濃度値の変化量がしきい値Kに達している場合には、カラー標準制御の要否判定値(4C Full)が1に設定される(ステップ903)。
ここで、濃度変化の大小を判定するしきい値Kは、例えば濃度値を0〜255の256段階とした場合、20とすると良い。
他方、濃度の変化量がしきい値Kに達しているか否かの判定(ステップ902)で、濃度の変化量がしきい値Kに達していない場合には、次にカラー簡易制御の実行回数カウンタの計数値(CT 4C SHRT)がしきい値Nに達しているか否かが判定され(ステップ904)、カラー簡易制御の実行回数カウンタの計数値(CT 4C SHRT)がしきい値Nに達している場合には、カラー標準制御の要否判定値(4C Full)が1に設定されると共に、カラー簡易制御の実行回数カウンタが初期化される(ステップ905)。
ここで、カラー簡易制御の実行回数カウンタに関するしきい値Nは、設定範囲を2〜5とし、初期設定値を2として、ユーザもしくはサービスマンにより適宜に変更可能とすると良い。
他方、カラー簡易制御の実行回数カウンタの計数値(CT 4C SHRT)がしきい値Nに達しているか否かの判定(ステップ904)で、カラー簡易制御の実行回数カウンタの計数値(CT 4C SHRT)がしきい値Nに達していない場合には、カラー簡易制御の実行回数カウンタが1増分され(ステップ906)、ついでカラー標準制御の要否判定値(4C Full)が0に設定される(ステップ907)。
このように濃度変化が大きい場合には、カラー標準制御の要否判定値(4C Full)が1に設定され、次の画像濃度制御時に標準制御が行われるようにする。また簡易制御の実行回数が規定回数に達した場合にも、カラー標準制御の要否判定値(4C Full)が1に設定され、次の画像濃度制御時に標準制御が行われるようにする。そして簡易制御の実行回数が規定回数に達していない場合には、簡易制御の実行回数カウンタが1増分され、またカラー標準制御の要否判定値(4C Full)が0に設定され、次の画像濃度制御時には簡易制御が行われる。
ここで、カラー簡易制御の実行回数カウンタの計数値(CT SHRT)に関するしきい値Nを例えば2とすると、簡易制御が2回続くと次は標準制御が行われることになる。
図19は、図17に示したモノクロ標準制御判定値設定の手順を示すフロー図である。図17のモノクロ標準制御判定値設定(ステップ803)では、前記図8に示したモノクロ画像形成装置での標準制御判定値設定の手順と同様であり、濃度変化が大きい場合には(ステップ1002)、モノクロ標準制御の要否判定値(BK Full)が1に設定され(ステップ1003)、次の画像濃度制御時に標準制御が行われるようにする。またモノクロ簡易制御の実行回数カウンタの計数値(CT BK SHRT)がしきい値Mに達した場合にも(ステップ1004)、モノクロ標準制御の要否判定値(BK Full)が1に設定され(ステップ1005)、次の画像濃度制御時に標準制御が行われるようにする。そしてモノクロ簡易制御の実行回数が規定回数に達していない場合には(ステップ1004)、モノクロ簡易制御の実行回数カウンタの計数値(CT BK SHRT)が1増分され(ステップ1006)、また標準制御の要否判定値(BK Full)が0に設定され(ステップ1007)、次の画像濃度制御時には簡易制御が行われる。
図20は、図10に示したカラー画像形成装置での制御のタイミング図である。(A)に示すカラー標準制御では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の画像データY〜Cまたは黒(K)の画像データKに基づく印字を終了させて画像制御が開始されると、飽和濃度検出用のパッチ画像が印字され、ついで中間濃度検出用のパッチ画像が印字され、画像制御が終了すると画像データY〜Cまたは画像データKに基づく印字が再開される。(B)に示すカラー簡易制御では、中間濃度検出用のパッチ画像の印字が省略され、その分だけ画像データY〜Cまたは画像データKに基づく印字の再開のタイミングが早くなる。
(C)に示すモノクロ標準制御では、黒(K)の画像データKに基づく印字を終了させて画像制御が開始されると、飽和濃度検出用のパッチ画像が印字され、ついで中間濃度検出用のパッチ画像が印字され、画像制御が終了すると画像データKに基づく印字が再開される。(D)に示すモノクロ簡易制御では、中間濃度検出用のパッチ画像の印字が省略され、その分だけ画像データKに基づく印字の再開のタイミングが早くなる。
図21は、本発明による制御による効果を説明するものである。(A)に示す従来の制御では、カラー印字においては規定枚数(105枚)ごとにカラー画像濃度制御が実行され、またモノクロ印字においては規定枚数(170枚)ごとにモノクロ画像濃度制御が実行される。
これに対して、(B)に示す本発明による制御では、従来の制御と同様に、規定枚数ごとにカラー画像濃度制御及びモノクロ画像濃度制御が実行されるが、カラー簡易制御の実行回数カウンタに関するしきい値N及びモノクロ簡易制御の実行回数カウンタに関するしきい値Mの設定値に応じて、時間を要する標準制御が、カラー印字ではN+1回に1回の割合でしか実行されず、モノクロ印字ではM+1回に1回の割合でしか実行されないため、画像形成処理の生産性を向上させることができる。