以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
以下の説明では、画像形成装置がタンデム方式のカラープリンタ(以下、プリンタと略す)である例を示すが、画像形成装置はプリンタに限定されない。画像形成装置は、複写機、ファクシミリ、およびそれらの機能を複合した機器であるMFP(Multi Function Peripheral)などであってもよい。
図1を参照して、本実施の形態にかかるプリンタ1は、作像部と、プリント媒体である用紙の搬送部とを含む。
作像部は、プリンタ1内部の略中央部に配される、内側から複数のローラで懸架された、中間転写体である環状の中間転写ベルト2を含む。中間転写ベルト2に沿って、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)の各色に対応したカートリッジ28a,28b,28c,28dが配される。これらを代表させてカートリッジ28と称する。カートリッジ28は、静電記録方式でトナー像を形成するトナー像形成機構として、各々、感光体3a,3b,3c,3dと、帯電部5a,5b,5c,5dと、露光部6a,6b,6c,6dと、現像部4a,4b,4c,4dと、クリーナブレード9a,9b,9c,9dとを含む。これらを代表させて、感光体3、帯電部5、露光部6、現像部4およびクリーナブレード9と称する。
現像部4は、各々、図示しない現像ローラや供給ローラを含む。また、現像部4は、各々、図示しないトナーを充填するスペースを含む。現像部4が稼動して供給ローラが回転することで、上記スペース内のトナーが現像ローラに供給される。現像ローラは感光体3に対応する位置に配置され、供給されたトナーを担持して感光体3と対向する位置まで搬送する。感光体3表面が露光されていることで、現像ローラ上のトナーは感光体3と対向する位置において感光体3の露光された部分に移動する。これにより、感光体3上にトナー像が形成される。
感光体3は、中間転写ベルト2上に形成されたトナー画像を転写する。帯電部5は、感光体3の表面を一様に帯電させる。露光部6は、感光体3上に各色の画像パターンを露光して、順次形成する。現像部4は、感光体3にトナーを供給して感光体3にトナー画像を現像する。クリーナブレード9は感光体3に当接されて、感光体3上の残トナーを掻き取る。この機構については後述する。
作像部は、さらに、中間転写ベルトクリーナ7と、廃トナーボックス15と、トナーボトル25a,25b,25c,25dと、二次転写ローラ11とを含む。
中間転写ベルトクリーナ7は中間転写ベルト2周囲に配置され、中間転写ベルト2上に残留した残トナーを中間転写ベルト2から分離する。廃トナーボックス15は分離した残トナーを収容するために用いられる。トナーボトル25a,25b,25c,25dは、各々、攪拌羽26a,26b,26c,26dを内蔵し、攪拌羽を動作させることで対応するカートリッジ28にトナーを補給する。二次転写ローラ11は、中間転写ベルト2を内側から懸架するローラと中間転写ベルト2を挟んで対を成し、中間転写ベルト2上に転写されたトナー画像を、搬送された用紙上に転写する。
搬送部は、給紙ローラ8と、搬送ローラ30と、タイミングローラ10と、上述の二次転写ローラ11と、一対の定着ローラ12a,12b(これらを代表させて定着ローラ12とする)と、排紙ローラ13と、両面経路搬送ローラ14a,14bと、用紙検出センサ27とを含む。
給紙ローラ8は、プリンタ1内部の下部に配される、用紙を収納するカセットである収納部16から、用紙を給紙する。搬送ローラ30は、給紙ローラ8によって供給された用紙を搬送する。タイミングローラ10は、搬送ローラ30によって搬送されてきた用紙をいったん停止させる。定着ローラ12は、搬送される用紙を挟んで配され、用紙上に転写されたトナー像を加熱して定着させる。排紙ローラ13は、定着後の用紙を排出または両面搬送経路29へ搬送する。両面経路搬送ローラ14a,14bは、排紙ローラ13によって搬送された定着後の用紙を、両面搬送経路29を経由してタイミングローラ10まで搬送する。用紙検出センサ27は、搬送路の、用紙が二次転写ローラ11を通過した直後の位置に配され、用紙の先端が当該位置を通過したことおよび/または用紙の後端が通過したことを検出する。
図2(A)に示されるように、各色の感光体3a,3b,3c,3dと二次転写ローラ11とタイミングローラ10とはメインモータ18に連結される。メインモータ18は、これらローラを図中矢印で表わされる右回りに回転駆動する。カートリッジ28に含まれる各現像部4のうちのカラー用の現像部4a,4b,4cは現像モータ20に連結され、モノクロ用の現像部4dは現像モータ21に連結される。現像モータ20はカラー用の現像部4a,4b,4cを駆動し、現像モータ21はモノクロ用の現像部4dを駆動する。または、図2(B)に示されるように、プリンタ1に現像モータ20が含まれず、カートリッジ28に含まれる各現像部4はいずれも現像モータ21に連結されてもよい。この場合、現像モータ20は、正転することでモノクロ用の現像部4dのみを駆動し、逆転することですべての現像部4a,4b,4c,4dを駆動する。
図2(A)または図2(B)の構成のため、メインモータ18に直列的に連結されている感光体3a,3b,3c,3dはメインモータ18によってすべて回転駆動される。そのため、モノクロプリント時であっても、カラー用の感光体3a,3b,3cもモノクロ用の感光体3dと共に回転駆動される。現像部4dは、カラー用の現像部4a,4b,4cとは別の現像モータ21に連結されていること(図2(A))、または現像モータ21が逆転すること(図2(B))で、現像部4a,4b,4cとは別に回転駆動可能である。
トナーボトル25a,25bはトナー補給モータ23に、トナーボトル25c,25dはトナー補給モータ24に連結され、モータの回転駆動によって攪拌羽26a,26b,26c,26dが動作する。定着ローラ12は定着モータ19に連結され、定着モータ19の回転駆動によって回転する。両面経路搬送ローラ14a,14bは両面経路搬送モータ22に連結され、両面経路搬送モータ22の回転駆動によって回転する。
図3に示されるように、感光体3はクリーナブレード9に当接された状態でメインモータ18の駆動によって回転する。これによって、感光体3表面の残トナーがクリーナブレード9に掻き取られる。掻き取られた残トナーは、図示しない廃棄トナー回収経路に排出され、一部が、図中に点線で示される、クリーナブレード9と感光体3との当接部分90、詳しくは、感光体3と接しているクリーナブレード9のエッジ部にトナー溜まりを構成する。クリーナブレード9と感光体3との間にトナー溜まりを構成するトナーが介在することで、該トナーが潤滑剤として機能し、感光体3の回転に伴うクリーナブレード9と感光体3との間の摩擦が抑えられる。
プリンタ1には、さらに、全体を制御するエンジン部100と、エンジン部100からの制御信号に従って画像処理を行なうコントローラ部200とが含まれる。図4を参照して、エンジン部100は、CPU(Central Processing Unit)を含む制御部101と、エンジン部100に付属している不揮発性のメモリ102と、カートリッジ28などに付属している不揮発性のメモリと通信するためのユニット通信部103と、メインモータ18などの各種負荷と通信するための負荷通信部104とを含む。コントローラ部200は、CPUを含む制御部201と、コントローラ部200に付属している不揮発性のメモリ202とを含む。
メモリ102,202は、各々、制御部101,201で実行されるプログラムを記憶する。制御部101,201は、メモリ102,202から必要なプログラムを読み出してCPUが実行することで、プリンタ1全体を制御する。
カートリッジ28などに付属しているメモリには消耗品の情報などが記憶されており、ユニット通信部103は制御部101の制御信号に従って消耗品の情報などをメモリから読み出して制御部101に渡す。また、負荷通信部104は、制御部101で生成された制御信号を、制御対象の負荷に対して送信する。
さらに図4を参照して、コントローラ部200の制御部201は、算出部211を含む。算出部211は、制御部201のCPUが上記プログラムを実行することで主にCPUに形成される機能であるが、CPU以外の他の構成によって実現されてもよい。
算出部211は、プリント対象の画像データから印字率を算出する。印字率とは、用紙の印字面積に対する画像面積の割合を指す。具体的には、プリント対象の画像を構成するドット数を、プリント用紙の印字面積に対応するドット数で除して得られる。算出部211は、プリント対象の画像データから画像面積(画像を形成するドット数)を抽出する。また、算出部211は、予め、用紙のサイズごとに、印字面積(印字面積に対応するドット数)を記憶している。算出部211は、抽出された画像を形成するドット数を、指定された用紙のサイズについて記憶されている印字面積に対応するドット数で除することで印字率を算出する。好ましくは、算出部211は、プリント対象の画像データからトナー色ごとの画像面積を抽出し、トナー色ごとに印字率を算出する。算出部211は、算出した印字率を、プリント指示と共にエンジン部100に出力する。
エンジン部100の制御部101は、図5に示されるように、回転計数部111、印字率積算部112、滞留トナー量算出部113、潤滑剤用トナー量算出部114、および供給制御部115を含む。これらは、制御部101のCPUが上記プログラムを実行することで主にCPUに形成される機能であるが、CPU以外の他の構成によって実現されてもよい。
回転計数部111はカウンタを含み、タイミングローラ10や二次転写ローラ11などである現像ローラの回転量を計数し、該カウンタを用いて回転量を積算する。現像ローラの回転量は、現像部4の画像形成のための駆動量とも言える。印字率積算部112はカウンタを含み、該カウンタを用いてコントローラ部200からプリント指示と共に入力される印字率を積算する。好ましくは、回転計数部111は、各色に対応するカウンタを含み、色ごとに現像ローラの回転量を計数する。少なくとも、回転計数部111は、モノクロプリント用のカウンタとカラープリント用のカウンタとを含み、プリントモードごとに現像ローラの回転量を計数する。
滞留トナー量算出部113は、現像ローラの回転量と積算された印字率とに基づいて、たとえば以下の式を用いて滞留トナー量を算出する:
滞留トナー量=((現像ローラの積算回転量/基準回転量)×X%−積算印字率)×1%あたりのトナー量、
なお、「基準回転量」とは、指定サイズの用紙を1ページプリントするときの現像ローラの回転量を指し、滞留トナー量算出部113にサイズごとに予め記憶されている。上記「1%あたりのトナー量」もまた、単位トナー量として滞留トナー量算出部113に予め記憶されている。
上式において、現像ローラの積算回転量を基準回転量で除することで、プリントページ数が算出されている。上記「X%」は、形成される画像の品位の低下につながるトナーの滞留が発生する限界を指し、好ましくは3%程度とする。X%を3%とする場合、1ページあたりの印字率が3%以上である場合には、画像品位の低下につながるような量のトナーの滞留は発生しない。すなわち、1ページあたりの印字率X%(たとえば3%)に相当する基準となるトナー量と、印字率から得られる実際に消費されたトナー量との差分が滞留トナー量として算出される。滞留トナー量算出部113はカウンタを含み、算出した滞留トナー量を該カウンタを用いて積算する。好ましくは、滞留トナー量算出部113は、上述のトナー色ごとに算出された印字率を用いて滞留トナー量を算出し、トナー色ごとに滞留トナー量を積算する。
潤滑剤用トナー量算出部114は、後述する、モノクロプリント1枚ごとのカラー用感光体3a,3b,3cに対して潤滑剤として必要なトナーの単位量を予め記憶しておき、モノクロプリントでの現像ローラの回転量と該単位量とに基づいて、潤滑剤として必要なトナー量を算出する。潤滑剤用トナー量算出部114はカウンタを含み、算出した潤滑剤として必要なトナー量を該カウンタを用いて積算する。
供給制御部115は、カートリッジ28内に所定量のトナーが滞留すると、現像部4に対して当該所定量の滞留トナーを消費する現像動作を行なわせるように制御信号を出力する。該制御信号に従って現像部4は現像動作を行ない、カートリッジ28内の滞留トナーが現像されることでカートリッジ28外に排出されることになる。この動作を以降の説明において「排出動作」と称する。
供給制御部115は、予め、1回の排出動作で排出する滞留トナーの量、および1回の供給動作で潤滑剤として供給するトナーの量をしきい値として記憶している。供給制御部115は、これら記憶しているトナーの量を、それぞれ、滞留トナー量算出部113のカウンタのカウント値、および滞留トナー量算出部113のカウンタのカウント値と比較することで、滞留トナーを排出するタイミング、および潤滑剤としてトナーを供給するタイミングを判断する。該動作を行なうタイミングと判断すると、供給制御部115は、図示しない必要な動作機構に対して、しきい値として記憶している上記量のトナーを排出するよう制御信号を出力する。好ましくは、滞留トナー量算出部113がトナー色ごとのカウンタを含んでトナー色ごとに滞留トナー量を蓄積している場合には、トナー色ごとにしきい値と比較し、滞留トナーを排出するタイミングを判断して制御信号を出力する。なお、以降の説明においては、滞留トナーを排出する動作を「第1の供給動作」、潤滑剤としてトナーを供給する動作を「第2の供給動作」とも称する。供給制御部115は、第1の供給動作を実行すると滞留トナー量算出部113のカウンタをリセットし、第2の供給動作を実行すると潤滑剤用トナー量算出部114のカウンタをリセットする。
具体的には、供給制御部115は、1回の排出動作で排出する滞留トナーの量をしきい値として記憶しておき、滞留トナー量算出部113でのカウント値である、滞留トナー量の積算値が上記しきい値に達した場合に、プリント動作を中断して、非画像形成期間に上記積算値である量の滞留トナーを排出させる。ここでの「非画像形成期間」は、プリント動作がいったん停止された期間であってもよいし、画像形成動作の間隔を通常の間隔よりも広げることでできる画像形成動作間の期間であってもよい。なお、好ましくは、上記しきい値を第1のしきい値とし、滞留トナー量算出部113はさらに第1のしきい値の1/5程度の第2のしきい値を記憶し、1つのプリント指示に対応した一連のプリント動作であるジョブの終了時における滞留トナー量の積算値が第2のしきい値に達している場合に、第2のしきい値として記憶する量のトナーを排出させる。この場合、第1のしきい値として記憶されるトナー量は画像品位を低下させない限界の滞留トナー量と言え、第2のしきい値として記憶されるトナー量は、第1のしきい値との比較でのトナーの排出によってプリント動作の中断を抑えるための、予防的な滞留トナー量と言える。第2のしきい値は第1のしきい値の1/5程度に限定されず、プリンタ1の平均印字率に応じて可変であってもよい。なぜなら、平均印字率の高いプリンタでは、一時的に印字率の低いプリントが連続してジョブ終了後に滞留トナー量が第2のしきい値を超えることがあっても、次のジョブの印字率は高い可能性が高いため、該ジョブのプリント中に滞留トナーがプリント用として消費される可能性が高い。そのため、このような場合には、第2のしきい値を上げておくことで、一時的に印字率の低いプリントが連続した場合のトナーの排出を抑えることができ、その結果として、プリント用以外のトナー消費を抑えるのに有効となるからである。第2のしきい値の変更はユーザによる操作で可能とする構成であってもよいし、供給制御部115がメモリ102に記憶されているプリント履歴に基づいて自動的に変更する構成であってもよい。すなわち、供給制御部115において図6に示されるような動作が実行されて、第2のしきい値が設定されてもよい。図6を参照して、プリンタ1の図示しない操作部や、図示しない接続された他の装置からの所定の操作信号を受信することによってユーザ設定がなされたことが検出されると(ステップS1でYES)、ステップS2で供給制御部115は、指定された値を第2のしきい値として設定する。ユーザ設定がなされていない場合には、供給制御部115は、メモリ102に記憶されているプリント履歴を用いて平均印字率を算出し、平均印字率に応じたしきい値を第2のしきい値として設定する。すなわち、算出された平均印字率が5%未満である場合には(ステップS3で「<5%」)、ステップS4で供給制御部115は、第1のしきい値の1/5の値を第2のしきい値として設定する。算出された平均印字率が5%以上でありかつ7%未満である場合には(ステップS3で「5%≦平均印字率<7%」)、ステップS5で供給制御部115は、第1のしきい値の1/3の値を第2のしきい値として設定する。算出された平均印字率が7%以上である場合には(ステップS3で「>7%」)、ステップS6で供給制御部115は、第1のしきい値の1/2の値を第2のしきい値として設定する。第2のしきい値を平均印字率に応じて設定することで、当該プリンタの通常の使い方に基づいて、不要なトナーの排出動作を抑えることができ、プリント用以外のトナー消費を抑えることができる。なお、第2のしきい値を自動的に変更するタイミングとしては、たとえば、カートリッジ28の交換時などが該当する。
上述のように、プリント時、中間転写ベルト2と感光体3とが当接される。上述のように、感光体3a,3b,3c,3dは、カラープリント時もモノクロプリント時も、メインモータ18によって回転駆動される。カラープリント時、カラー用の現像部4a,4b,4cが現像モータ20によって、モノクロ用の現像部4dが現像モータ21によって駆動されて、感光体3a,3b,3c,3d上にトナー画像が作像される。モノクロプリント時、モノクロ用の現像部4dが現像モータ21によって駆動されて、モノクロ用の3d上のみにトナー画像が作像される。モノクロプリント時に使用しないカラー用の現像部4a,4b,4cを駆動させると、カラー用カートリッジ28,28b,28c内のトナーが図示しない現像ブレード等と摺擦され劣化する。そのため、カラー用の現像部4a,4b,4cは駆動されない。一方、モノクロプリント時に使用されないカラー用の感光体3a,3b,3cには、カラー用カートリッジ28,28b,28c内のトナーが供給されない。そのため、感光体3a,3b,3cとクリーナブレード9a,9b,9cとのそれぞれの当接部90にはトナー溜まりが構成されない。その結果、感光体3a,3b,3cは、トナーを介在させずに直接クリーナブレード9a,9b,9cと接触して回転する。供給制御部115は、モノクロプリント時の感光体3a,3b,3cとクリーナブレード9a,9b,9cとの摩擦負荷を抑えて、クリーナブレードの削れや回転トルクの増大などを防止するために、所定のタイミングで感光体3a,3b,3cに対してプリントに用いないトナーを供給する供給動作を実行させる。供給されたトナーは当接部90にトナー溜まりを構成し、潤滑剤として機能する。
供給制御部115は、1回の供給動作で潤滑剤として供給するトナーの量をしきい値として記憶し、潤滑剤用トナー量算出部114でのカウント値である、潤滑剤として必要なトナー量の積算値が上記しきい値に達した場合に、プリント動作を中断して、非画像形成期間に上記積算値である量のトナーを潤滑剤として供給させる。
潤滑剤としてのトナーは、モノクロプリント100枚実行ごとに40mg程度のトナーをカラー用の感光体3a,3b,3cのそれぞれに供給することが適切であると、本願出願人の実験によって確認されている。そのため、潤滑剤用トナー量算出部114が記憶している、モノクロプリント1枚ごとの潤滑剤として必要なトナー量の単位量としては、たとえば、0.4mg程度が挙げられる。なお、クリーナブレード9と感光体3との当接部分90の形状によっては、トナー溜まりとして保持されるトナー量を増加させることもできる。
潤滑剤としてのトナーの供給は、上のように、モノクロプリント100枚実行ごとに40mg程度供給する方法が挙げられる。1枚プリントごとに0.4mgずつ供給するよりも、100枚プリントごとにまとめて40mg供給する方が安定した供給が可能となる。また、トナー供給のためにカートリッジ28a,28b,28cを駆動させる回数を抑えることができる。供給制御部115は、所定プリント枚数あたりの潤滑剤として必要なトナー量(ここでは、100枚プリントごとの、40mg)を上記しきい値として記憶する。
さらに、供給制御部115は、第1の供給動作を実行した場合には、該動作によって排出されたトナー量を潤滑剤用トナー量算出部114のカウンタから減じる。また、第2の供給動作を実行した場合には、該動作によって供給されたトナー量を滞留トナー量算出部113のカウンタから減じる。
図7を用いて、プリンタ1での動作の流れを説明する。図7のフローチャートに示される動作は、プリンタ1の図示しない操作部や、図示しない接続された他の装置からプリント指示がなされることによって開始される動作であって、エンジン部100の制御部101およびコントローラ部200の制御部201が、各々、メモリ102,202から必要なプログラムを読み出してCPUで実行し、図4,図5に示された各部を制御することで実現される。
図7を参照して、コントローラ部200は、ステップS10で算出部211でプリント対象の画像データから印字率を算出した後、ステップS20でプリント指示と共に印字率をエンジン部100に対して出力する。ステップS20でプリント指示と共に出力された印字率は、印字率積算部112で蓄積される。
エンジン部100の制御部101で制御されることで、ステップS30でプリント動作が行なわれる。プリント動作が開始すると、所定の間隔ごと、たとえば1枚プリントごとに、ステップS40で回転計数部111は現像ローラの回転量を計数し、ステップS50で滞留トナー量算出部113が、計数された現像ローラの回転量と積算された印字率とに基づいて、図8に示される動作を実行し、滞留トナー量を算出する。すなわち、図8を参照して、滞留トナー量算出部113は、ステップS501で上述の式を用いて1ページ当たりの滞留トナー量を算出し、その値が正の場合には(ステップS503でYES)、すなわち、トナーの所定量以上の滞留がある場合には、ステップS505で、カウンタにカウントされている滞留トナー量に算出されたトナー量を加える。そうでない場合(ステップS503でNO)、すなわち、トナーが所定量以上滞留することなくプリントに用いられる場合には、ステップS507で、カウンタにカウントされている滞留トナー量から算出されたトナー量を減じる。
次に、ステップS60で潤滑剤用トナー量算出部114は図9(A)または図9(B)に示される動作を実行し、潤滑剤として必要なトナー量を算出する。すなわち、図9(A)を参照して、潤滑剤用トナー量算出部114は、プリントモードがモノクロプリントである場合には(ステップS601でYES)、ステップS603でカウンタにカウントされている滞留トナー量にモノクロプリント1枚ごとの潤滑剤として必要なトナー量の単位量を加える。図9では、上述の例のようにモノクロプリント100枚実行ごとに40mg程度のトナーをカラー用の感光体3a,3b,3cのそれぞれに供給するものとして、上記単位量を0.4mgとしている。さらに、図9(B)に示されるように、カラープリントである場合には(ステップS601でNO)、カラー用の感光体3a,3b,3c上の残トナーを考慮して、ステップS605でカウンタにカウントされている滞留トナー量からモノクロプリント1枚ごとの潤滑剤として必要なトナー量の単位量を減じてもよい。
供給制御部115は、図10に示されるように、ステップS50で算出された滞留トナー量としきい値とを比較する処理、およびステップS60で算出された潤滑剤として必要なトナー量としきい値とを比較する処理を実行し、滞留トナーを排出する第1の供給動作、または潤滑剤としてトナーを供給する第2の供給動作の要否を判断する。すなわち、図10を参照して、供給制御部115は、ステップS50で算出された滞留トナー量と印字動作中の排出動作で排出する滞留トナーの量である上述の第1のしきい値とを比較し、算出された滞留トナー量が、第1のしきい値に達していると判断されると(ステップS701でYES)、滞留トナーをプリント動作を中断して強制的に排出する第1の動作を実行するタイミングと判断し、ステップS703で実施要求をセットする。算出された滞留トナー量が第1のしきい値に達していない場合であっても(ステップS701でNO)、算出された滞留トナー量と、ジョブ終了後の排出動作で排出する滞留トナーの量である上述の第2のしきい値とを比較し、算出された滞留トナー量が第1のしきい値よりも小さい第2のしきい値には達していると判断されると(ステップS705でYES)、一連のジョブが終了した後に滞留トナーを排出する動作を実行すると判断し、ステップS707で実施要求をセットする。算出された滞留トナー量が第1のしきい値にも第2のしきい値にも達していないと判断された場合には(ステップS701でNO、かつS705でNO)、ステップS709で、ジョブが終了した後に滞留トナーを排出する動作の実施要求をリセットする。
供給制御部115は、さらに、ステップS60で算出された潤滑剤として必要なトナーの積算量と、しきい値として記憶されている1回の供給動作で潤滑剤として供給するトナー量である40mgとを比較し、算出された潤滑剤として必要なトナーの積算量がしきい値である40mgに達していると判断されると(ステップS711でYES)、潤滑剤としてトナーをカラー用の感光体3a,3b,3cのそれぞれに供給する第2の動作を実行するタイミングと判断し、ステップS713で実施要求をセットする。
以上の判断の結果、いずれかの供給動作の実施要求がセットされている場合(ステップS70でYES)、ステップS80で供給制御部115は、図11に示される動作を実行して、必要な供給動作を実行させる。すなわち、図11を参照して、上述の判断によって第1の供給動作の実施要求がセットされている場合(ステップS801でYES)、ステップS803で供給制御部115は第1の供給動作として、実行中のプリント動作を中断し、第1のしきい値として記憶されている量の滞留トナーを排出する動作を実行するための制御信号を必要な負荷に対して出力させる。この結果、カートリッジ28内の滞留トナーが所定量カートリッジ28外に排出される。その後、ステップS805で供給制御部115は滞留トナー量算出部113のカウンタをリセットし、ステップS807で排出したトナー量に応じて潤滑剤用トナー量算出部114のカウンタを減じる。同様に、上述の判断によって第2の供給動作の実施要求がセットされている場合(ステップS809でYES)、ステップS811で供給制御部115は第2の供給動作として、しきい値として記憶されている量(上の例では40mg)のトナーを潤滑剤としてカラー用の感光体3a,3b,3cのそれぞれに供給する動作を実行するための制御信号を必要な負荷に対して出力させる。この結果、潤滑剤として上記量のトナーがカラー用の感光体3a,3b,3cのそれぞれに供給される。その後、ステップS813で供給制御部115は潤滑剤用トナー量算出部114のカウンタをリセットし、ステップS815で供給したトナー量に応じて滞留トナー量算出部113のカウンタを減じる。
以上の動作がプリンタ1で行なわれることで、カートリッジ28内の滞留トナーから潤滑剤としてトナーが供給されてもなお滞留トナーが所定量に達した場合に、滞留トナーが強制的にカートリッジ28外に排出される。また、強制的に排出された滞留トナーを潤滑剤として用いてもなおさらに潤滑剤が必要となった場合に、潤滑剤としてカートリッジ28内のトナーが供給される。すなわち、滞留トナーの強制的な排出動作と、潤滑剤としてのトナーの供給とが重複して行なわれることはない。そのため、カートリッジ28内のトナーの滞留を抑えつつ、また、感光体3の回転に伴うクリーナブレード9と感光体3との間の摩擦を潤滑剤としてのトナーの供給で抑えつつ、プリント用以外のトナーの消費を抑えることができる。
さらに、ジョブ終了時にも図11と同様のトナー供給動作が実行される。このようにすることで、一連のジョブが終了した後に滞留トナーを排出する動作の実施要求がセットされている場合、すなわち、ジョブの終了時における滞留トナー量の積算値が上記第2のしきい値に達している場合に、ジョブが終了したタイミングで滞留トナーの排出動作が実行される。これにより、次回以降のプリント動作中に滞留トナーの排出動作によるプリント動作の中断を抑えることができる。
なお、上述の例は、エンジン部100の制御部101が潤滑剤用トナー量算出部114を備えて、モノクロプリントでの現像ローラの回転量と該単位量とに基づいて、潤滑剤として必要なトナー量を算出し、カウンタを用いて積算する例が挙げられている。他の例として、制御部101に潤滑剤用トナー量算出部114が含まれず、供給制御部115が、回転計数部111で計数されている現像ローラの回転量にモノクロプリント1枚ごとの潤滑剤として必要なトナー量の単位量を乗じることで潤滑剤用トナー量に換算して、潤滑剤としてトナーを供給するタイミングの判断に用いてもよい。この場合、供給制御部115は所定の換算式を予め記憶しておき、滞留トナーの強制的な排出動作である上記第1の供給動作が実行されると、上記ステップS807で、排出されたトナー量をプリント枚数に換算して回転計数部111での計数から減じる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。