JP2009282084A - アルカリ現像可能なネガ型感光性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有するポリヒドロキシアミド:100質量部、(B)下記一般式(II)で表されるエステル化合物:1〜50質量部、(C)光塩基発生剤:2〜30質量部、を含むことを特徴とするネガ型感光性樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
感光性ポリベンゾオキサゾールの一つに、ポリ(o−ヒドロキシアミド)、光酸発生剤、および架橋性化合物もしくは溶解抑止剤の混合物が提案されている(非特許文献3,4)。
しかしこのようにして形成されたパターンには光酸発生剤が残存し、熱硬化してポリマーを耐熱性のあるポリベンゾオキサゾール骨格に変換する工程において酸が発生する可能性が有る。
一般的に、表面保護膜や層間絶縁膜は銅、アルミニウム等の金属と接するため、この酸により信頼性試験若しくは使用中に金属が腐蝕するという問題もあると考えられる。
1.(A)下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有するポリヒドロキシアミド:100質量部、(B)下記一般式(II)で表されるエステル化合物:1〜50質量部、(C)光塩基発生剤:2〜30質量部、を含むことを特徴とするネガ型感光性樹脂組成物。
3.(B)上記一般式(II)で表されるエステル化合物におけるqが、2〜4であることを特徴とする上記1又は2に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
4.(C)光塩基発生剤が、活性光線の照射によりα位に少なくとも一つの置換基を有する2級アミンを発生する化合物であることを特徴とする、上記1〜3のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
5.上記2級アミンが、環状構造を有することを特徴とする上記4に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
11.上記10に記載の製造方法により得られる硬化レリーフパターンを有する半導体装置。
露光現像後に耐熱性のあるポリベンズオキサゾール骨格を有する硬化レリーフパターンを形成する際に酸を発生させないため、レリーフパターンの下地となるメタルが腐蝕するという問題がない感光性樹脂組成物を提供することができる。
本発明のネガ型感光性樹脂組成物を構成する各成分について、以下具体的に説明する。
(A)ポリヒドロキシアミド
ネガ型感光性樹脂組成物のベースポリマーであるポリヒドロキシアミドは、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有する。
X1は、2個以上30個以下の炭素原子を有する4価の有機基であることが好ましい。X2、Y1、およびY2はそれぞれ独立に2個以上30個以下の炭素原子を有する2価の有機基であることが好ましい。
mは2〜200の範囲が好ましく、2〜100の範囲がより好ましく、3〜50の範囲が最も好ましい。
ポリヒドロキシアミド構造中における上記のジヒドロキシジアミド単位の割合が高いほど現像液として使用するアルカリ性水溶液への溶解性が向上するので、m/(m+n)の値は0.5以上である事が好ましく、0.7以上であることがより好ましく、0.8以上である事が最も好ましい。
このうち芳香族ジアミンとしては、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルケトン、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、3,4’−ジアミノジフェニルケトン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4−メチル−2,4−ビス(4−アミノフェニル)−1−ペンテン、4−メチル−2,4−ビス(4−アミノフェニル)−2−ペンテン、1,4−ビス(α,α−ジメチル−4−アミノベンジル)ベンゼン、イミノ−ジ−p−フェニレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、4−メチル−2,4−ビス(4−アミノフェニル)ペンタン、5(または6)−アミノ−1−(4−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、ビス(p−アミノフェニル)ホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノアゾベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニル尿素、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ベンゾフェノン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−ビス[4−(α,α−ジメチル−4−アミノベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(α,α−ジメチル−4−アミノベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、フェニルインダンジアミン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、o−トルイジンスルホン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルフィド、1,4−(4−アミノフェノキシフェニル)ベンゼン、1,3−(4−アミノフェノキシフェニル)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−ジ−(3−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、及び4,4’−ジアミノベンズアニリド等、ならびにこれら芳香族ジアミンの芳香核の水素原子が、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、メチル基、メトキシ基、シアノ基、及びフェニル基からなる群より選ばれた少なくとも一種の基または原子によって置換された化合物が挙げられる。
または別法としてテトラカルボン酸二無水物とビスアミノフェノールもしくはジアミンを反応させて、生成するカルボン酸残基を、モノアルコールまたはモノアミンにより、エステル化またはアミド化することもできる。
エステル化合物としては、下記一般式(II)表されるエステル化合物が用いられる。
中でも、Zが電子吸引基であるものが好ましい。電子吸引基としては、具体的にはフッ素、塩素、臭素、CF3、シアノ基、ニトロ基が挙げられる。中でも、ニトロ基、シアノ基、フッ素であるものが好ましい。また感度の観点から上記一般式(II)で表されるエステル化合物のqが2以上4以下であるものが好ましい。
q=3のものとしては下式で示されるもの、が挙げられる。
(C)光塩基発生剤としては、活性光線の照射により塩基を発生する化合物を用いることができる。例えばベンジルカルバメート、ベンジルスルホンアミド、ベンジル四級アンモニウム塩、オキシムエステル、ニフェジピン、α−アミノアセトフェノン、イミン、イミニウム塩、トリフェニルスルホニウム化合物、コバルトアミン過塩素酸塩等コバルトアミン錯体、が挙げられる。中でも、α位に少なくとも一つの置換基を有する2級アミンを発生する化合物であることが好ましい。α位に少なくとも一つの置換基を有する2級アミンを発生する化合物を用いることにより、発生するアミンが、ポリアミド酸や他の添加剤に求核攻撃することを抑制することができる。その結果、副反応の生成を抑えて効率的に部分的イミド化を促進することができる。塩基性度を高める観点から、α位の置換基は、電子供与性基であることが好ましい。なお、電子供与基とは置換基定数のσpが負のものを言う。置換基定数は化学便覧基礎編 改訂3版(昭和59年6月25日発行)p365に記載されている。
上記、有していてもよい置換基としては、本発明の趣旨に反しない限りいかなるものを用いてもよい。
上記の置換基を有しても良いニトロフェニル基としては、R7−Hの化合物が波長230〜450nmに吸収極大を有するものであることが好ましい。波長365nmのi線を利用して後述するレリーフパターンの形成を行うためには、310〜390nmに吸収極大を有するものをであることが好ましく、330〜370nmに吸収極大を有するものであることがさらに好ましい。
この場合において、R8、R9のどちらか少なくとも一方は、水素とする。オルト−ニトロベンジル構造を有することにより、光照射によるベンジル位の水素引き抜きが起こり、続いてニトロソアルデヒド及び二酸化炭素の脱離が起こることにより塩基を効率よく発生させることができるためである。
(C)光塩基発生剤の添加量は、(A)ポリヒドロキシアミド100質量部に対して、2〜30質量部、好ましくは5〜25質量部、さらに好ましくは10〜20質量部である。ここで(C)光塩基発生剤の添加量が2質量部以上では感度、熱硬化性が良好で、30質量部以下では熱硬化後の物性が良好である。
ネガ型感光性樹脂組成物には、必要に応じて、種々の化合物を添加する事ができる。
界面活性剤としては、ポリプロピレングリコール、もしくはポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリグリコール類、またはその誘導体からなる非イオン系界面活性剤があげられる。また、フロラード(登録商標)(住友3M社製)、メガファック(登録商標)(大日本インキ化学工業社製)、またはルミフロン(登録商標)((旭硝子社製)等のフッ素系界面活性剤が挙げられる。さらに、KP341(信越化学工業社製:商品名)、DBE(チッソ社製:商品名)、またはグラノール(共栄社化学社製:商品名)等の有機シロキサン界面活性剤が挙げられる。該界面活性剤の添加により、塗布時のウエハーエッジでの塗膜の不均一塗布現象をより発生しにくくすることができる。
接着助剤としては、アルキルイミダゾリン、酪酸、アルキル酸、ポリヒドロキシスチレン、ポリビニルメチルエーテル、t−ブチルノボラック、エポキシポリマー、およびシランカップリング剤が挙げられる。
接着助剤を加える場合の添加量は、(A)ポリヒドロキシアミド100質量部に対し、0〜30質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。添加量が30質量部以内であれば、熱硬化後の膜の耐熱性が良好である。
また、より低温で熱硬化させポリベンゾオキサゾール骨格に変換させるために熱酸発生剤を加える事もできる。熱酸発生剤としてはメタンスルホニルクロリド、p−トルエンスルホニルクロリド等が推奨される。
ネガ型感光性樹脂組成物に、溶媒を添加してワニス状にし、ネガ型感光性樹脂組成物の溶液として使用することが好ましい。このような溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルイミダゾリノン、テトラメチルウレア、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネートが挙げられる。これらを単独または混合して溶媒として使用することができる。これらの溶媒のうち、非アミド系溶媒がフォトレジストなどへの影響が少ない点から好ましい。具体的なより好ましい例としては、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、を挙げることができる。
溶媒の添加量は、(A)ポリヒドロキシアミド100質量部に対し、100〜1000質量部が好ましい。溶媒の添加量は、上記の範囲内で塗布装置、及び塗布厚みに適した粘度に設定することが、硬化レリーフパターンの製造を容易にすることができるので好ましい。
次に、硬化レリーフパターンの製造方法について、以下具体的に説明する。
(1)ネガ型感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を基板上に形成する工程。
第一に、ネガ型感光性樹脂組成物の溶液を、例えばシリコンウエハー、セラミック基板、アルミ基板等の基板に、スピンコーターを用いた回転塗布、又はダイコーター、もしくはロールコーター等のコーターにより塗布する。もしくは、インクジェットノズルやディスペンサーを用いて、所定の場所に塗布することも可能である。これをオーブンやホットプレートを用いて50〜140℃で乾燥して溶媒を除去する(以下、「プリベーク」という)。
第二に、感光性樹脂層をマスクを介して活性光線により露光する。具体的には、コンタクトアライナーやステッパを用いて化学線による露光を行うか、光線、電子線またはイオン線を直接照射する。活性光線としては、g線、h線、i線、KrFレーザーを用いることもできる。
(3)120〜190℃で加熱する工程。
第三に、基板ごと120〜190℃で加熱する。この加熱する工程では、加熱手段として、例えばホットプレート、赤外線、電磁誘導を利用できる。中でも、加わる温度と時間の制御の精度からポットプレート上で120〜190℃の温度で5〜180秒加熱を行う事が推奨される。
第四に、未露光部をアルカリ性水溶液で溶出または除去する。引き続き、好ましくはリンス液によるリンスを行うことで所望のレリーフパターンを得る。現像方法としてはスプレー、パドル、ディップ、または超音波等の方式が可能である。リンス液は蒸留水、または脱イオン水等が使用できる。
ネガ型感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を現像するために用いられる現像液は、アルカリ可溶性ポリマーを溶解除去するものであり、アルカリ化合物を溶解したアルカリ性水溶液であることが必要である。アルカリ性水溶液中に溶解されるアルカリ化合物は、無機アルカリ化合物、または有機アルカリ化合物のいずれであってもよい。
該無機アルカリ化合物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、及びアンモニア、が挙げられる。
さらに、必要に応じて、上記アルカリ性水溶液に、メタノール、エタノール、プロパノール、またはエチレングリコール等の水溶性有機溶媒、界面活性剤、保存安定剤、及び樹脂の溶解抑止剤等を適量添加することができる。
第5に、得られたレリーフパターンを加熱処理して、ポリベンゾオキサゾール構造を有する樹脂からなる耐熱性硬化レリーフパターンを形成する。加熱装置としては、オーブン炉、ホットプレート、縦型炉、ベルトコンベアー炉、圧力オーブンを使用する事ができ、加熱方法としては、熱風、赤外線、電磁誘導による加熱方法が推奨される。温度は200〜450℃が好ましく、250〜400℃がさらに好ましい。加熱時間は15分〜8時間が好ましく、1時間〜4時間がさらに好ましい。雰囲気は窒素、アルゴン等不活性ガス中が好ましい。
半導体装置は、硬化レリーフパターンを、表面保護膜、層間絶縁膜、再配線用絶縁膜、フリップチップ装置用保護膜、あるいはバンプ構造を有する装置の保護膜として、公知の半導体装置の製造方法と組み合わせることで製造することができる。
また、本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、多層回路の層間絶縁、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、または液晶配向膜等の用途にも有用である。
<ポリヒドロキシアミドの合成>
[参考例1]
100mlフラスコに4,4’−オキシビス安息香酸8.75g(33.9mmol)と、塩化チオニル20ml(274mmol)、塩化メチレン20ml、ジメチルホルムアミド(以下「DMF」とも記す)数滴を加えてオイルバス温度90℃で3時間還流した。その後、減圧にして塩化チオニル及び塩化メチレンを取り除き、粗生成物を得た。粗生成物をヘキサンで再結晶して、減圧乾燥することで白色の結晶4,4’−オキシジベンゾイルクロリド(以下OBBCとも記載する)を得た。
100ml二口フラスコに、NMP22.4gを入れ、2,2−ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン4.18g(11.4mmol)と無水塩化リチウム1.04g(24.6mmol)を常温、窒素雰囲気下で加え撹拌しながら完全に溶解させた。 次に0℃で30分かけ参考例1と同様な方法で作ったOBBC3.30g(11.2mmol)を加え、24時間常温で攪拌した。そのポリマー溶液を水1600ml、メタノール200mlの混合溶液に撹拌しながら滴下し、吸引ろ過後、減圧下40℃で乾燥し、白色の固体ポリヒドロキシアミド(P−2)を得た。この結晶の赤外吸収スペクトル(KBr法、cm−1)では3425、1651にそれぞれOHとC=Oの特性吸収を確認した。プロトンNMRケミカルシフト(300MHz、CDCl3溶液;ppm)は10.2(s、2H)、9.51(s、2H)、8.02、8.04(d、4H)、7.93(s、1H)、7.18、7.20(d、4H)、7.00(s、4H)であり、ポリヒドロキシアミドと同定された。収率は97%であった。
THFを展開液としてGPCで測定した数平均分子量は9,700、重量平均分子量は20,800であった。
[参考例3]
200mlの三口フラスコに80mlのTHFを入れ、2.48g(20.8mmol)のp−シアノフェノールと2.0g(9.47mmol)のコルク酸(ヘキサン−1,6−ジカルボン酸)クロリドを加え磁気撹拌し均一溶液とした。この溶液を窒素雰囲気のもと0℃に保ちながら、20mlのTHFに2.88g(28.4mmol)のトリエチルアミンを溶解した溶液を15分かけて滴下した。その後、室温で20時間攪拌を続けた。析出した固体をロ別したのち、得られた溶液のTHFを加熱することなくエバポレータにて留去した。得られた液を水にあけ、白色の固体を得た。
容量比で3:5の酢酸エチルとn−ヘキサンの混合液にて再結晶を行うことにより、3.31gの結晶を得た。
その結晶のプロトンNMR(300MHz、CDCl3溶液;ppm)のケミカルシフトは次の通りであった。
7.70、7.68(d、4H)7.26、7.24(d、4H)、1.74−1.83(m、:4H)、1.46−1.51(m、:4H)。この分析から得られたエステルはコルク酸ビス(p−シアノフェニル)と同定された。収率は93%であった。
200mlの三口フラスコに40mlのTHFを入れ、そこに5.92g(42.6mmol)のp−ニトロフェノールと3.00g(19.4mmol)のコハク酸クロリドを加え磁気撹拌し均一溶液とした。
この溶液を0〜3℃に冷却し、30mlのTHFに5.88g(58.1mmol)トリエチルアミンを15分かけて滴下した。
次に、0〜3℃に保ちながら30分間攪拌した。その後、室温で17時間攪拌を続けた。
析出した塩をロ別した後、THFをエバポレータにて留去し、得られたペースト状の残留を500mlの水に投じ、黄土色の固体を得た。
酢酸エチルにて再結晶を行うことにより、粒状の結晶を5.78g得た。
その結晶のプロトンNMR(300MHz、CDCl3溶液;ppm)のケミカルシフトは次の通りであった。
8.29−8.32(d、4H)7.43−7.46(d、4H)3.07(t、:4H)。IRスペクトルはカルボニルの特性吸収が1751cm−1に観測された。この結果からこの結晶はコハク酸ビス(p−ニトロフェニル)と同定された。元素分析の理論値はC:53.34、H:3.36、N:7.78であるのに対し実測値はC:53.62、H:3.52、N:7.52であった。
200mlの三口フラスコに80mlのTHFを入れ、4.35g(31.3mmol)のp−ニトロフェノールと3.0g(14.2mmol)のコルク酸クロリドを投入し磁気撹拌し均一溶液とした。
この溶液を窒素雰囲気のもと0℃に保ちながら、20mlのTHFに4.31g(42.6mmol)のトリエチルアミンを溶解した溶液を滴下した。
その後、室温で20時間攪拌を続け、析出した固体をロ別した。
その後、得られた溶液のTHFを室温でエバポレータにて留去した。
得られた液を500mlの水にあけ、白色の粉末を得た。
容量比で1:4の酢酸エチルとn−ヘキサンの混合液にて再結晶を行うことにより、5.80gの結晶を得た。
その結晶の赤外吸収スペクトルは1751、1535、1342、864cm−1に吸収を示した。
プロトンNMRケミカルシフト(300MHz、CDCl3溶液;ppm)は8.22−8.27(d、4H)、7.29−7.24(d、4H)、2.59−2.64(t、4H)、1.78−1.83(m、4H)、1.48−1.53(m、4H)融点は114.5℃で、得られたエステルはコルク酸ビス(p−ニトロフェニル)と確認された。収率は98%であった。
上記参考例1にて得られたポリヒドロキシアミド(P−1)7g、酢酸p−ニトロフェニル(東京化成社製)2g、光塩基発生剤としてDNCDP 1質量部をシクロペンタノン40gに溶解し、ネガ型感光性樹脂組成物を調整した。なお、DNCDPはA.Mochizuki、T.Teranishi,and M.Ueda、 Macromolecule、1995、28、p365に準じて収率75%で合成した。融点は139.2℃であった。
この組成物をスピンコーター(MIKASA 1H−D7)にて6インチシリコンウエハーに1500rpmで10秒間スピン塗布し、ホットプレートにて80℃、60秒間プリベークを行い、膜厚1.1μmの塗膜を形成した。膜厚はフィルム膜厚測定装置(Veeco Instruments Inc.社製Dektak3system)にて測定した。
この塗膜に、テストパターン付きレクチルを通してi線(365nm)の露光波長を有するコンタクト露光機(ミカサ社製マスクアライメント装置 M−1S)を用いて、露光量500mJ/cm2で露光した。さらに、160℃、10秒にて露光後ベーク(PEB)を行った。これをアルカリ現像液(AZエレクトロニックマテリアルズ社製デベロッパー、2.38%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液)を用い、23℃、60秒の条件下で現像し、純水にてリンスを行い、ネガ型のレリーフパターンを形成した。8μmのライン/スペースパターンが解像された。現像後の膜厚は1.1μmとなった。
上記参考例2にて得られたポリヒドロキシアミド(P−2)6g、酢酸p−ニトロフェニル(東京化成社製)2.5g、光塩基発生剤としてDNCDP1.5gをシクロペンタノン40gに溶解し、ネガ型感光性樹脂組成物の溶液を調整した。
上記実施例のネガ型感光性樹脂組成物の溶液をスピンコーター(MIKASA 1H−D7)にて6インチシリコンウエハーに1500rpmで10秒間スピン塗布し、ホットプレートにて80℃、60秒間プリベークを行い、膜厚1.2μmの塗膜を形成した。
この塗膜に、i線(365nm)の露光波長を有する実施例1と同じコンタクト露光機を用いて、露光量500mJ/cm2で露光し160℃で10秒間PEBを行い実施例1と同じ条件で43秒現像を行って6μmのライン/スペースパターンが解像されたネガ型のレリーフパターンを形成した。
上記参考例2にて得られたポリヒドロキシアミド(P−2)8g、上記参考例5にて得られたコルク酸ビス(p−ニトロフェニル)0.5g、光塩基発生剤としてDNCDP1.5gを41gのシクロペンタノンに溶解し、ネガ型感光性樹脂組成物の溶液を調整した。この溶液をシリコンウェハーに回転数5000ppmで15秒間スピンコートした後この塗膜に傷をつけ、80℃のホットプレートで30秒間プリベークを実施した。傷の位置の段差から塗膜の膜厚は1.1μmと測定された。
次に黒い遮光フィルムでウェハーの半分を覆いi線の紫外線で300mJ/cm2の露光を行った。このウェハーの露光部、未露光部をそれぞれ、傷が入るように多数に割断し、100℃から180℃まで10℃刻みでそれぞれ10秒間ホットプレート上でPEBを行った。ここで得られたそれぞれのウェハーの切片を実施例1の2.38%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用い、23℃で未露光部がちょうど除去されるまで現像し、膜厚を測定する事により露光部、未露光部の膜の現像速度を求めた。その結果を図1に示す。次に同様に複数の切片を用い140℃の温度で種々の時間PEBを実施した。得られた切片を上と同じ条件でアルカリ現像し露光部、未露光部の溶解速度を求めた。その結果を図2に示す。
次にこの塗膜を用いてステッパで露光時間をかえてi線を照射した。その後140℃で10秒間PEBを行い実施例1で用いたものと同じ2.38質量%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で50秒間現像を行った。
各露光量での現像後の膜厚を段差計で測定し露光前の膜厚を基準とした相対膜厚を求め露光量に対して片対数プロットをした。その結果を図3に示す。
上記参考例2にて得られたポリヒドロキシアミド(P−2)8g、上記参考例3で得られたコルク酸ビス(p−シアノフェニル)0.5g、光塩基発生剤としてDNCDP1.5gを42.9gのシクロペンタノンに溶解し、ネガ型感光性樹脂組成物を調整した。この溶液をシリコンウェハーに回転数5000ppmで15秒間スピンコートした後この塗膜に傷をつけ、80℃のホットプレートで30秒間プリベークを実施した。傷の位置の段差から塗膜の膜厚は1.1μmと測定された。
次に黒い遮光フィルムでウェハーの半分を覆いi線の紫外線で300mJ/cm2の露光を行った。160℃で10秒間ホットプレート上でPEBを行った。次に実施例1の2.38%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用い、室温で82秒間現像し、膜厚を測定したところ、露光部の膜の現像速度は1Å/秒以下、未露光部の現像速度は131Å/秒であった。
上記参考例2にて得られたポリヒドロキシアミド(P−2)8g、上記参考例4にて得られたコハク酸ビス(p−ニトロフェニル)0.5g、光塩基発生剤としてDNCDP 1.5gを42.9gのシクロペンタノンに溶解し、ネガ型感光性樹脂組成物を調整した。
この溶液をシリコンウェハーに回転数1500ppmで15秒間スピンコートした後この塗膜に傷をつけ、80℃のホットプレートで30秒間プリベークを実施した。傷の位置の段差から塗膜の膜厚は2.1μmと測定された。
次に黒い遮光フィルムでウェハーの半分を覆いi線の紫外線で300mJ/cm2の露光を行った。150℃で10秒間ホットプレート上でPEBを行った。
次に実施例1で用いたものと同じ2.38質量%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用い、室温で86秒間現像し、膜厚を測定したところ、露光部の膜の現像速度は1Å/秒以下、未露光部の現像速度は238Å/秒であった。
またマスクを介してまったく同じ条件で塗布、プリベーク、露光、PEB、現像を行い8μmのライン/スペースパターンが良好に解像された。
実施例3で調製した溶液をシリコンウェハーに3000rpmで15秒間スピン塗布した。ホットプレート上で80℃で30秒間プリベークを行い塗膜を得た。この膜の厚みは1.9μmであった。
次にマスクを介してi線で300mJ/cm2の露光を行い、140℃で10秒間PEBを行った。実施例1で用いたものと同じ2.38質量%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で50秒間現像を行ったところ、8μmのライン/スペースが良好に解像した。
次にこのパターンが形成されたウェハーを窒素雰囲気下350℃で1時間加熱処理した。得られた膜の赤外吸収スペクトルを測定したところ、ポリヒドロキシアミドのアミドに由来する1651cm−1のピークは消失し1049cm−1のピークが生じた。
このことからポリベンゾオキサゾール膜に変換した事が確認された。
[実施例7]
0.2μmの厚みにアルミニウムをスパッタしたシリコンウェハーおよび1μmの厚みに銅をスパッタしたシリコンウェハー上に、実施例4で作成したネガ型感光性樹脂組成物を滴下し、バーコーターで塗布した。
その後100℃のホットプレート上で2分間プリベークを行った。PLA−501F(キヤノン社製露光機)を用いg,h,i線の混合光で150秒露光した。照度は350nmで4mW/cm2であった。その後、150℃で10秒PEBを行った。塗布膜厚は3μmであった。いずれの塗布面も無色の鏡面状であった。このウェハーを2分割し一方を250℃のホットプレート上で1時間加熱をした。
これらのウェハーをPCT(Pressure Cooker Test)装置(タバイエスペック社製 HAST CHAMBER EHS-221M)を用いて、121℃、2気圧の飽和水蒸気雰囲気に24時間放置した。
その結果、銅面のシリコンウエハーでは、250℃で加熱したものは、しなかったものに較べて塗布膜に覆われた部分がやや黄変したが鏡面状は保たれていた。アルミニウム面に関しては、250℃で加熱しなかったもの、したもの共に塗布膜の覆われた部分は無色の鏡面状のままであった。この結果から、実施例4で作成したネガ型感光性樹脂組成物は、下地となるメタルが腐蝕するという問題がないことがわかる。
[比較例1]
ネガ型感光性樹脂組成物中、DNCDPの代わりに光酸発生剤である(5−プロピルスルフォニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン−2−(メチルフェニル)アセトニトリル)(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 CG11397)を用いた以外は、実施例7と同様に行った。この結果、250℃で加熱しなかったものの塗布膜に覆われた部分の銅面は褐色に変色した。また250℃で加熱したものは銅面は黒褐色になり、鏡面状ではなくなった。アルミニウム面に関しては250℃で加熱しなかったもの、したもの共に塗布膜の覆われた部分は鏡面状ではなかった。
Claims (11)
- (A)下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有するポリヒドロキシアミド:100質量部、(B)下記一般式(II)で表されるエステル化合物:1〜50質量部、(C)光塩基発生剤:2〜30質量部、を含むことを特徴とするネガ型感光性樹脂組成物。
(式中、Xは1〜4価の炭素数1〜8の脂肪族基、Zは水素または電子吸引基、pは1〜5の整数、qは1〜4の整数である。) - (B)上記一般式(II)で表されるエステル化合物におけるZが、電子吸引基であることを特徴とする請求項1に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
- (B)上記一般式(II)で表されるエステル化合物におけるqが、2〜4であることを特徴とする請求項1又は2に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
- (C)光塩基発生剤が、活性光線の照射によりα位に少なくとも一つの置換基を有する2級アミンを発生する化合物であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
- 上記2級アミンが、環状構造を有することを特徴とする請求項4に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
- 上記2級アミンが、下記一般式(III)で表される化合物であることを特徴とする請求項4に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
- (C)光塩基発生剤が、下記一般式(IV)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
- 上記一般式(IV)で表される化合物が下記一般式(V)で表される化合物であることを特徴とする請求項7に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
- 上記一般式(IV)で表される化合物が下記一般式(VI)で表される化合物であることを特徴とする請求項7に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
- (1)請求項1〜9のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を基板上に形成する工程、(2)マスクを介して活性光線で露光する工程、(3)120〜190℃で加熱する工程、(4)未露光部をアルカリ性水溶液で溶出または除去する工程、(5)得られたレリーフパターンを加熱処理する工程を含むことを特徴とする、硬化レリーフパターンの製造方法。
- 請求項10に記載の製造方法により得られる硬化レリーフパターンを有する半導体装置。
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