JP2009262872A - 車両用のインホイールモータ - Google Patents

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Abstract

【課題】車両の前進時および後進時に、共にオイルポンプからオイルを吐出することの可能なインホイールモータを提供することを目的とするものである。
【解決手段】タイヤ4Aが取り付けられ、かつ、円筒部4Cを有するホイール4Bと、円筒部4C内に設けられたケーシング6と、ケーシング6の内部に設けられた電動モータ5と、電動モータ5の動力により回転されるオイルポンプ8と、オイルポンプ8から吐出されたオイルを使用する被供給部Aとを有する、車両用のインホイールモータにおいて、電動モータ5からオイルポンプ8に至る動力伝達経路に、車両を前進させるために電動モータ5が正回転する場合、および車両を後進させるために電動モータ5が逆回転する場合の両方で、オイルポンプ8の回転方向を同じとする回転方向制御機構17,20,25が設けられている。
【選択図】図1

Description

この発明は、車両用のインホイールモータに関するものであり、特に、電動モータによりオイルポンプを駆動する構成の、車両用のインホイールモータに関するものである。
一般に、車両の車輪は懸架装置を介在させて車体により支持されている。一方、車輪に動力を伝達する動力源として電動モータを用いる車両が知られており、その電動モータを、前記車輪と共に懸架装置を介在させて車体により支持する構成が知られている。このように、車輪および電動モータを、共に懸架装置を介在させて車体により支持する場合に、その電動モータはインホイールモータと呼ばれている。このようなインホイールモータの一例が、特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載されたインホイールモータは、モータハウジングに電動モータが取り付けられており、その電動モータのモータ軸にはピニオンが形成されている。また、モータハウジング内には円盤状のディスクが設けられており、そのディスクが軸受により支持されて回転可能に構成されている。このディスクには内歯ギヤが形成されており、ピニオンが内歯ギヤに噛合されている。また、ディスクにはボス部が突出して形成されており、ボス部にホイール取付盤がスプライン嵌合されている。さらにモータハウジング内には潤滑油が溜められており、ディスクの一部が潤滑油に浸っている。そして、電動モータの動力をホイール取付盤に伝達する際に、ディスクの回転により潤滑油が掻き上げられ、前記軸受、およびピニオンギヤと内歯ギヤとの噛み合い部分に潤滑油が供給されて、潤滑および冷却される。なお、インホイールモータにおける冷却装置は、特許文献2にも記載されている。
特開2006−282158号公報 特開平5−169985号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたインホイールモータでは、車両の前進時と後進時とで電動モータの回転方向が逆になると、ディスクの回転方向も逆となる。このため、車両の前進時と後進時とで、被潤滑部に対して供給されるオイル量が変化し、被潤滑部を効率的に潤滑および冷却できない可能性があった。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、車両の前進時および後進時に、共にオイルポンプからオイルを吐出して被供給部に供給することの可能なインホイールモータを提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、車輪の一部を構成し、かつ、円筒部を有するホイールと、前記円筒部内に設けられた中空のケーシングと、このケーシングの内部に設けられ、かつ、前記ホイールに動力伝達可能に接続された電動モータと、この電動モータの動力により回転されて前記ケーシング内のオイルを吸入および吐出するオイルポンプと、このオイルポンプから吐出されたオイルが供給される被供給部とを有する、車両用のインホイールモータにおいて、前記電動モータから前記オイルポンプに至る動力伝達経路に、車両を前進させるために前記電動モータが第1の方向に回転する場合、および前記車両を後進させるために前記電動モータが第1の方向とは逆の第2の方向に回転する場合の両方で、前記オイルポンプの回転方向を同じとする回転方向制御機構が設けられていることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の構成に加えて、前記電動モータから前記オイルポンプに至る動力伝達経路には、並列に配置された第1の動力伝達経路と第2の動力伝達経路とが含まれており、前記車両を前進させる場合に前記電動モータの動力が一方の動力伝達経路を経由して前記オイルポンプに伝達され、かつ、前記車両を後進させる場合に前記電動モータの動力が他方の動力伝達経路を経由して前記オイルポンプに伝達される構成であるとともに、前記回転方向制御機構は、前記第1の動力伝達経路に設けられた第1の制御機構と、前記第2の動力伝達経路に設けられた第2の制御機構とを有しており、前記第1の制御機構は、前記電動モータが第1の方向に回転する場合に係合されて前記電動モータの動力を前記オイルポンプに伝達する一方、前記電動モータが第2の方向に回転する場合は解放される一方向クラッチを含み、前記第2の制御機構は、前記電動モータが第2の方向に回転する場合に前記電動モータの動力を前記オイルポンプに伝達する伝動装置を含むことを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項1または2の構成に加えて、前記回転方向制御機構は、前記車両を後進させるために前記電動モータが回転する場合における前記オイルポンプの回転数が、前車両を前進させるために前記電動モータが回転する場合における前記オイルポンプの回転数よりも高くなる構成であることを特徴とするものである。
請求項4の発明は、請求項3の構成に加えて、前記伝動装置は、差動回転可能な入力要素および反力要素および出力要素を有しており、前記入力要素が前記伝動装置に動力伝達可能に接続され、前記出力要素が前記オイルポンプに動力伝達可能に接続されているとともに、前記反力要素に制動力を与えるブレーキが設けられており、前記ブレーキにより前記反力要素に制動力が与えられて、前記入力要素のトルクが前記出力要素に伝達される構成であることを特徴とするものである。
請求項5の発明は、請求項4の構成に加えて、前記入力要素および前記出力要素および反力要素が歯車を有しており、歯車同士の噛み合いにより生じる力を、前記ブレーキを係合させる力に変換する変換機構が設けられていることを特徴とするものである。
請求項1の発明によれば、電動モータの動力でオイルポンプを回転する際に、車両が前進する場合および後進する場合のいずれにおいても、オイルポンプの回転方向が同じとなり、オイルポンプからオイルを吐出して被供給部に供給することができる。したがって、被供給部に供給されるオイル量の変化を抑制できる。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同様の効果を得られる他に、電動モータが第1の方向に回転すると一方向クラッチが係合されて、電動モータの動力が第1の動力伝達経路を経由してオイルポンプに伝達される。これに対して、電動モータが第2の方向に回転すると一方向クラッチが解放され、かつ、電動モータの動力が第2の動力伝達経路を経由してオイルポンプに伝達される。
請求項3の発明によれば、請求項1または2の発明と同様の効果を得られる他に、車両を後進させる際のオイルポンプの回転数が、車両を前進させる際のオイルポンプの回転数よりも高くなる。したがって、車両が後進する際に被供給部に供給されるオイル量を、車両が前進する際に被供給部に供給されるオイル量よりも、相対的に多くする(増加する)ことができる。
請求項4の発明によれば、請求項3の発明と同様の効果を得られる他に、ブレーキにより反力要素に制動力を与えると、電動モータの動力が入力要素および出力要素を経由して、オイルポンプに伝達される。
請求項5の発明によれば、請求項4の発明と同様の効果を得られる他に、歯車機構を構成する歯車同士の噛み合いにより生じるスラスト力が、ブレーキの係合力に変換されるため、ブレーキを係合させるアクチュエータを専用で設けずに済む。
この発明に係るインホイールモータは、車両の車輪に用いることができる。車輪は前輪または後輪のいずれでもよい。ここで、車輪を支持する懸架装置が、ストラット形式またはダブルウィッシュボーン形式またはスイングアーム形式またはマルチリンク形式のいずれであっても、この発明を適用可能である。すなわち、左右の車輪が独立して上下方向に動作する、独立懸架装置を用いることが可能である。この発明におけるインホイールモータは、車両の前輪または後輪のいずれにも適用可能である。この発明において、電動モータは、電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを兼備したモータジェネレータを用いることが可能である。この発明におけるケーシングは、電動モータを収納し、かつ、潤滑油としてオイルを溜める機能を有している。
この発明において、オイルポンプは、ケーシングの内部または外部のいずれに配置されていてもよい。この発明で用いるオイルポンプは、容積式のオイルポンプであり、ロータの回転によって容積が変化する回転式、またはピストンの往復運動によって容積が変化する往復式のいずれでもよい。回転式のオイルポンプには、歯車ポンプ、ベーンポンプ、ねじポンプが含まれる。往復式のオイルポンプには、アキシャルピストンポンプ、ラジアルピストンポンプが含まれる。この発明において、被供給部はケーシングの内部または外部に設けられており、例えば、オイル(潤滑油)により冷却または潤滑される被潤滑部が含まれる。被潤滑部とは、歯車同士の噛み合い部分、ローラ同士の接触部分、軸受における転動体の転動部分、電動モータのステータなどを意味する。すなわち、被潤滑部は、摩擦力または噛み合い力により、発熱または温度上昇または焼き付きが生じる要素、さらには、通電により温度が上昇する要素が含まれる。またこの発明において、被供給部には、上記の被潤滑部の他に、オイルが通過する油路が含まれる。また、被供給部には、前記通路に設けられ、かつ、オイルの流れる方向または油圧または流量のうち、少なくとも1つを制御するバルブが含まれる。また、オイル必要部には、オイルを一時的に保持するタンクが含まれる。さらに、被供給部には、オイルが供給され、かつ、動作部材を動作させる油圧を発生させる油圧室が含まれる。この発明における伝動装置には、歯車同士の噛み合い力により動力伝達をおこなう歯車伝動装置、および、作動油のせん断力により動力伝達をおこなうトラクション伝動装置が含まれる。
(具体例1)
つぎに、この発明に係るインホイールモータの具体例を、図面に基づいて説明する。図1は、車両用のインホイールモータの構成を示す概略的な断面図、図2は車両の概念図である。車両1の車体2の下方にはホイルハウス3が形成されており、そのホイルハウス3内に車輪4が配置されている。この車輪4は、車両1の前輪または後輪のいずれであってもよい。また、車両1は前輪駆動車、または後輪駆動車あるいは四輪駆動車のいずれでもよい。以下、便宜上、1個の車輪4についてその構成を説明する。この車輪4は、路面に接地するタイヤ4Aと、このタイヤ4Aが取り付けられたホイール4Bとを有している。タイヤ4Aはゴム状弾性体を主体として構成され、ホイール4Bは金属材料を主体として構成されている。さらに、車輪4と動力伝達可能に接続された電動モータ5が設けられており、その電動モータ5がケーシング6の内部に配置されている。前記ホイール4Bは円筒部4Cを有しており、その円筒部4Cの内側の空間に、ケーシング6および電動モータ5が配置されている。このケーシング6と、車体2とを上下方向に相対移動可能な状態で接続する懸架装置7が設けられている。この懸架装置7は、車体2とケーシング6とを接続するアーム、およびアームと車体2との間に介在されたスプリングなどにより構成された公知のものである。この懸架装置7は、ストラット形式またはダブルウィッシュボーン形式またはスイングアーム形式またはマルチリンク形式のいずれでもよい。また、ケーシング6の内部には、電動モータ5により駆動されるオイルポンプ8が設けられている。以下、電動モータ5の構成およびオイルポンプ8の構成について具体的に説明する。
前記電動モータ5としては、直流モータまたは交流モータを用いることが可能であり、例えば、三相交流型のモータジェネレータを用いることが可能である。このため、電動モータ5では、電力が供給されて電動機として駆動される力行制御と、運動エネルギを電力に変換する回生制御とをおこなうことができる。この電動モータ5は、ステータ9およびロータ10を有している。このステータ9はケーシング6に固定されており、このステータ9は回転不可能である。また、ロータ10は回転可能に構成されている。前記車体2には、電源11およびインバータ12が設けられており、その電源11と電動モータ5とがインバータ12を介在させて電気回路により接続されている。つまり、電源11と電動モータ5との間で電力の授受をおこなうことができる。この電源11としては、例えば二次電池を用いることができる。二次電池は、充電および放電をおこなうことが可能な電池であり、二次電池としてはバッテリまたはキャパシタを用いることができる。また、二次電池に加えて、燃料電池を設けることも可能である。燃料電池は、水素と酸素とを反応させて起電力を生じさせる発電機である。
つぎに、電動モータ5のロータ10から、車輪4に至る動力伝達経路の構成を説明する。ロータ10には回転軸13が動力伝達可能に接続されており、その回転軸13がホイール4Bに動力伝達可能に接続されている。より具体的には、ロータ10および回転軸13が、同軸上に配置されている。なお、電動モータ5から車輪4に至る動力伝達経路に減速機(図示せず)を設けることも可能である。この減速機は、電動モータ5の回転数よりも車輪4の回転数を低くするための装置であり、電動モータ5の回転数と車輪4の回転数との間の変速比を変更可能な変速機でもよい。さらに、ケーシング6内には、回転軸13を回転可能に支持する軸受14が設けられている。一方、ケーシング6の内部(底部)には潤滑油(オイル)が溜められており、そのオイルをケーシング6内の被潤滑部Aに供給するために、前記オイルポンプ8が設けられている。このオイルポンプ8は、アウタロータ15およびインナロータ16を有している。この具体例1に示すオイルポンプ8は、インナロータ16の正回転により容積が変化してオイルが吸入および吐出される構成である。なお、インナロータ16が逆回転すると、オイルの吸入および吐出はおこなわれない。このオイルポンプ8のオイル吸入口は、油路を介してケーシング6内のオイル溜めに接続されている。また、オイルポンプ8のオイル吐出口から吐出されたオイルを、被潤滑部Aに導く油路が設けられている。上記の被潤滑部Aについては後述する。また、「正回転」および「逆回転」の意味も後述する。
さらに、電動モータ5の動力を、オイルポンプ8のインナロータ16に伝達する機構について説明する。ここでは、回転軸13および車輪4が同一方向に回転する構成であるものとして説明する。この電動モータ5の動力をインナロータ16に伝達するために、第1の動力伝達経路および第2の動力伝達経路が並列に配置されている。第1の動力伝達経路には一方向クラッチ17が設けられている。この一方向クラッチ17は、内輪18および外輪19と、内輪18と外輪19との間に介在された係合部材(図示せず)とを有している。この係合部材は、スプラグまたはボールである。内輪18が回転軸13と一体回転する構成であり、外輪19がインナロータ16と一体回転する構成である。そして、車両1を前進させる駆動力を生じさせるために、電動モータ5の動力を回転軸13に伝達すると、一方向クラッチ17が係合されて、回転軸13のトルクがインナロータ16に伝達されるように、一方向クラッチ17の係合方向および解放方向が決定されている。これに対して、車両1を後進させる駆動力を生じさせる場合、電動モータ5のロータ10の回転方向は、車両1を前進させる場合とは逆になる。このように、車両1を後進させる駆動力を生じさせるように電動モータ5を駆動すると、一方向クラッチ17が解放される構成である。
つぎに、第2の動力伝達経路の構成を説明すると、この第2の動力伝達経路は、遊星機構により構成されている。この遊星機構は、相互に差動回転可能な3個の回転要素を有する伝動機構であり、ここでは、遊星機構として遊星歯車機構、より具体的にはシングルピニオン型の遊星歯車機構20が用いられている。また、回転軸13の回転中心となる軸線に沿った方向で、前記オイルポンプ8と電動モータ5との間に遊星歯車機構20が配置されている。この遊星歯車機構20は、サンギヤ21と、サンギヤ21の周囲を取り囲むように配置されたリングギヤ22と、サンギヤ21およびリングギヤ22に噛合されたピニオンギヤ23を自転および公転可能に支持したキャリヤ24とを、3個の回転要素として有している。サンギヤ21は回転軸13と一体回転するように設けられており、リングギヤ22が外輪19と一体回転するように連結されている。
さらに、キャリヤ24を選択的に停止させるブレーキ25が設けられている。また、ブレーキ25の係合および解放を制御するアクチュエータ26が設けられている。このブレーキ25は、油圧により係合および解放が制御される油圧式ブレーキ、または電磁力により係合および解放が制御される電磁式ブレーキ、空気圧により係合および解放が制御される空気圧式ブレーキのいずれでもよい。例えば、ブレーキ25として油圧式ブレーキを用いる場合、アクチュエータ26は油圧制御回路、バルブなどにより構成され、ケーシング6内には、ブレーキ25に与える押圧力を制御する油圧室が設けられる。そして、アクチュエータ26により油圧室の油圧を制御すると、ブレーキ25が係合および解放される。なお、ブレーキ25として油圧式ブレーキを用いる場合、湿式ブレーキまたは乾式ブレーキを用いることができる。湿式ブレーキとは、オイルにより潤滑および冷却がされる構成のブレーキである。この具体例1では、遊星歯車機構20および軸受14および電動モータ5およびブレーキ(湿式ブレーキ)25などが、オイルにより潤滑および冷却される被潤滑部Aに相当する。
一方、車両1には電子制御装置27が設けられており、車両1に設けられている各種のスイッチおよびセンサの信号が、電子制御装置27に入力される。この電子制御装置27に入力される信号により、車速、シフトポジション、車両1における加速要求、車両1における制動要求、電動モータ5の回転数、電動モータ5のトルク、電源11の電力などが検知される。上記のシフトポジションにより、車両1を前進させる要求の有無、および車両1を後進させる要求の有無、および車両1を停止させる要求の有無が判断される。ドライブ(D)ポジションが選択されており、車両1を前進させる要求がある場合、電源11から電動モータ5に電力が供給されて電動モータ5が正方向に回転されるとともに、ブレーキ25が解放される。この場合、車速およびアクセル開度などに基づいて車両1における要求駆動力が求められ、その要求駆動力に基づいて、電動モータ5のトルクおよび回転数が制御される。なお、車両1が惰力走行する場合、車両1の運動エネルギを電動モータ5に伝達して発電をおこない、発生した電力を電源11の二次電池に充電することもできる。
つぎに、電動モータ5に電力が供給される場合における、遊星歯車機構20の回転要素の回転状態を、図3の共線図に基づいて説明する。図3において、「正」は回転要素が正回転することを意味し、「逆」は回転要素が逆回転することを意味している。なお、正回転とは、車両1を前進させる向きの駆動力が発生する車輪4の回転方向であり、逆回転とは、車両1を後進させる向きの駆動力が発生する車輪4の回転方向である。まず、車両1を前進させる要求がある場合は、図3に実線で示すように、電動モータ5が電動機として駆動され、かつ、ブレーキ25が解放されて、回転軸13およびサンギヤ21が正回転する。つまり、電動モータ5のトルクが回転軸13を経由して車輪4に伝達されて、駆動力が発生する。また、一方向クラッチ17が係合されて、サンギヤ21およびリングギヤ22およびキャリヤ24が、共に同一回転数で正回転する。このように、電動モータ5のトルクによりオイルポンプ8のインナロータ16が正回転されて、オイルポンプ8によりオイルの吸入および吐出がおこなわれる。このオイルポンプ8から吐出されたオイルが被潤滑部Aに供給されて、その被潤滑部Aが冷却および潤滑される。
これに対して、車両1を後進させる要求がある場合における回転要素の状態を、図3に破線で示す。車両1を後進させる場合は、電動モータ5が逆回転され、ブレーキ25が係合されてキャリヤ24が停止される。このように、電動モータ5のトルクにより車輪4が逆回転されて、駆動力が発生する。また、遊星歯車機構20においては、サンギヤ21が入力要素であり、キャリヤ24が反力要素となり、出力要素であるリングギヤ22が正回転する。このリングギヤ22のトルクにより、オイルポンプ8のインナロータ16が正回転されて、オイルポンプ8によりオイルの吸入および吐出がおこなわれて、被潤滑部Aが潤滑および冷却される。このように、電動モータ5が正回転する場合、または逆回転する場合のいずれにおいても、オイルポンプ8のインナロータ16が同一方向(正方向)に回転されて、オイルポンプ8でオイルの吸入および吐出がおこなわれる。したがって、被潤滑部Aに供給されるオイル量が、車両1の前進時と後進時とで異なる(変化する)ことを抑制でき、潤滑性能および冷却性能の低下を回避できる。
ここで、具体例1において説明された構成と、この発明の構成との対応関係を説明すると、遊星歯車機構20およびブレーキ25および一方向クラッチ17が、この発明における回転方向制御機構に相当する。より具体的には、回転軸13および一方向クラッチ17が、この発明における第1の動力伝達経路に相当し、一方向クラッチ17が、この発明における第1の制御機構に相当し、回転軸13および遊星歯車機構20が、この発明における第2の動力伝達経路に相当し、遊星歯車機構20およびブレーキ25が、この発明における第2の制御機構に相当し、遊星歯車機構20が、この発明の伝動装置および歯車機構に相当する。また、サンギヤ21が、この発明の入力要素に相当し、キャリヤ24が、この発明の反力要素に相当し、リングギヤ22が、この発明の出力要素に相当する。さらに、「電動モータ5が正回転する」が、この発明における「電動モータが第1の方向に回転する」に相当し、「電動モータ5が逆回転する」が、この発明における「電動モータが第2の方向に回転する」に相当する。さらに、被潤滑部Aが、この発明における被供給部に相当する。
(具体例2)
つぎに、オイルポンプ8を駆動する機構の具体例2を、図4に基づいて説明する。具体例2において、具体例1と同じ構成部分については、具体例1と同じ符号を付してある。この具体例2においても、インナロータ16が正回転するとオイルの吸入および吐出がおこなわれ、インナロータ16が逆回転すると、オイルの吸入および吐出はおこなわれない。この具体例2では、ブレーキ25を係合および解放させるためのアクチュエータが設けられていない点で、具体例1と異なる。この具体例2においては、ブレーキ25として、多板ブレーキまたは単板ブレーキが用いられている。この多板ブレーキおよび単板ブレーキは、環状のプレートおよび環状のディスクを軸線に沿った方向に交互に配置したものである。そして、ブレーキ25に、軸線に沿った方向の押圧力が増加すると係合され、軸線に沿った方向の押圧力が低下すると解放される構成である。また、前記リングギヤ22が環状部材28の内周に形成されており、遊星歯車機構20を構成する各ギヤは「はすば歯車」により構成されている。環状部材28は、金属材料により構成されている。このため、車両1を後進させる向きで電動モータ7が回転されると、各ギヤ同士の噛み合い力により、環状部材28を軸線に沿った方向に押し付ける押圧力(スラスト力)が発生する。
この図4では、環状部材28を左方向に向けて押圧する押圧力が増加するように、各ギヤの「歯すじ」のねじれ方向が決定されている。また、前記外輪19と一体回転するコネクティングドラム29が設けられており、このコネクティングドラム29および環状部材28は、一体回転し、かつ、軸線に沿った方向に相対移動可能な構成、例えばスプライン結合、キー結合により連結されている。このため、リングギヤ22と外輪19との間でコネクティングドラム29を介して動力伝達をおこなうことが可能である。コネクティングドラム29は軸線に沿った方向には動作しない構成である。そして、上記のように、環状部材28が、図4で左方向に向けて押圧されると、その押圧力がブレーキ25に伝達されて係合され、その押圧力が低下するとブレーキ25が解放される。つまり、環状部材28は、ギヤ同士の噛み合いにより生じる力を、ブレーキ25を係合させる向きの押圧力に変換する機構である。
この具体例2において、車両1を前進させる要求があると、図3の共線図に実線で示すように、電動モータ5が正回転して一方向クラッチ17が係合されて、遊星歯車機構20の回転要素が一体的に回転する。なお、電動モータ5が正回転すると、各ギヤ同士の噛み合い力により環状部材28に加えられるスラスト力は、図4で右方向に向けたものとなりブレーキ25が解放される。これに対して、車両1を後進させる要求により電動モータ5が逆回転されると、電動モータ5のトルクがサンギヤ21およびピニオンギヤ23を経由してリングギヤ22に伝達される。このとき、オイルポンプ8ではオイルの吐出負荷に基づいた抵抗力が、リングギヤ22で生じる。このため、各ギヤの噛み合い力により、環状部材28を図4で左方向に向けて押圧するスラスト力が生じる。すると、ブレーキ25が係合されて図3に破線で示すように、キャリヤ24が停止して反力要素となる。
このように、具体例2においても、サンギヤ21が入力要素となり、リングギヤ22が出力要素となる。つまり、具体例2においても、具体例1と同様に、電動モータ5が正回転または逆回転する場合のいずれにおいても、オイルポンプ8のインナロータ16の回転方向が同じとなり、冷却性能および潤滑性能の低下を回避できる。また、具体例2においては、ブレーキ25を係合および解放させるために格別のアクチュエータを設けずに済み、インホイールモータが大型化することを回避できる。なお、「格別のアクチュエータ」とは、油圧、電磁力など、人為的にエネルギを用いて押圧力を発生させる押圧力発生機構を意味する。さらに、この具体例2においては、リングギヤ22および環状部材28が、この発明の変換機構に相当し、回転軸13および遊星歯車機構20およびコネクティングドラム29が、この発明における第2の動力伝達経路に相当する。具体例2におけるその他の構成と、この発明の構成との対応関係は、具体例1の構成と、この発明の構成との対応関係と同じである。
(具体例3)
つぎに、電動モータからオイルポンプに至る動力伝達経路の他の具体例3を、図5に基づいて説明する。この具体例3においては、一方向クラッチ17の他に、別の一方向クラッチ34が設けられている。一方向クラッチ17は、内輪18および外輪19を有している。また、一方向クラッチ34は、内輪35および外輪19を有している。つまり、外輪19は、一方向クラッチ17および一方向クラッチ34で共用化されている。内輪18は回転軸13と一体回転する構成である。リングギヤ22にはコネクティングドラム39が動力伝達可能に連結され、そのコネクティングドラム39が車輪4と動力伝達可能に連結されている。このコネクティングドラム39と内輪35とが一体回転する構成である。また、コネクティングドラム39は円筒形状を有しており、そのコネクティングドラム39内にオイルポンプ8および一方向クラッチ17,34が配置されている。一方向クラッチ17は、内輪18が逆方向に回転すると係合され、かつ、内輪18が正方向に回転すると解放される構成である。これに対して、一方向クラッチ34は、内輪35が逆方向に回転すると係合され、かつ、内輪35が正方向に回転すると解放される構成である。さらに具体例3では、キャリヤ24が公転しないようにケーシング6に固定されている。この具体例3において、オイルポンプ8は、インナロータ16が逆回転するとオイルの吸入および吐出がおこなわれる構成である。その他の構成部分は具体例1の構成と同じである。
この具体例3における回転要素の状態を、図6の共線図に示す。車両1を前進させる要求が生じた場合は、図6に実線で示すように、電動モータ5のロータ10が逆回転される。すると、キャリヤ24が反力要素となりリングギヤ22が正方向に回転し、リングギヤ22のトルクがコネクティングドラム39を経由して車輪4に伝達されて駆動力が発生する。また、内輪18が逆回転して一方向クラッチ17が係合され、インナロータ16が逆回転してオイルポンプ8によりオイルの吸入および吐出がおこなわれる。したがって、この具体例3においても、被潤滑部Aにオイルを供給することができる。なお、電動モータ5のロータ10が逆回転すると、内輪35は正回転するため一方向クラッチ34は解放される。
これに対して、車両1が後進する要求がある場合、図6に破線で示すように電動モータ5のロータ10が正回転される。すると、キャリヤ24が反力要素となりリングギヤ22が逆方向に回転し、リングギヤ22のトルクが車輪4に伝達されて駆動力が発生する。また、内輪35が逆回転して一方向クラッチ34が係合され、インナロータ16が逆回転してオイルポンプ8によりオイルの吸入および吐出がおこなわれる。なお、電動モータ5のロータ10が正回転すると、内輪18も正回転するため一方向クラッチ17は解放される。このように、具体例3においても、電動モータ5のロータ10が正回転する場合、または逆回転する場合のいずれにおいても、オイルポンプ8のインナロータ16の回転方向は同一(逆回転)となり、具体例1と同様の効果を得られる。
この具体例3で説明した構成と、この発明の構成との対応関係を説明すると、回転軸13およびコネクティングドラム39および遊星歯車機構20により、この発明における動力伝達経路が構成されている。また、回転軸13および一方向クラッチ17により、この発明における第1の動力伝達経路が構成されている。また、回転軸13および遊星歯車機構20および一方向クラッチ34により、この発明における第2の動力伝達経路が構成されている。さらに、一方向クラッチ17,34が、この発明における回転方向制御機構に相当する。また、具体例3においては、「電動モータ5が逆回転する」が、この発明における「電動モータが第1の方向に回転する」に相当し、「電動モータ5が正回転する」が、この発明における「電動モータが第2の方向に回転する」に相当する。
(具体例4)
つぎに、具体例4を図7に基づいて説明する。この具体例4においては、電動モータ5のロータ10に出力軸30が動力伝達可能に接続されており、その出力軸30とロータ10とが同軸上に配置されている。また、出力軸30と回転軸13とが偏心して配置されている。出力軸30には2個のドライブギヤ31,32が形成されている。また、回転軸13にはドリブンギヤ33が形成されており、ドライブギヤ32とドリブンギヤ33とが噛合されている。また、具体例4では2個の一方向クラッチ17,34が並列に配置されている。一方向クラッチ17は、内輪18および外輪19を有している。また、一方向クラッチ34は、内輪35および外輪19を有している。つまり、外輪19は、一方向クラッチ17および一方向クラッチ34で共用化されている。一方向クラッチ34の内輪35と一体回転するドリブンギヤ36が設けられ、ドリブンギヤ36およびドライブギヤ31に噛合するピニオンギヤ37が設けられている。このピニオンギヤ37はキャリヤ38により自転可能に支持され、かつ、キャリヤ38はケーシング6に固定されており、ピニオンギヤ37は公転不可能である。
このように、電動モータ5からオイルポンプ8に至る動力伝達経路に、一方向クラッチ17,34が並列に設けられている。この具体例4では、ロータ10が正回転した場合に、オイルポンプ8でオイルの吸入および吐出がおこなわれる構成である。また、インナロータ16が逆回転すると、オイルの吸入および吐出はおこなわれない。そして、内輪18が正回転すると、一方向クラッチ17が係合されるように、一方向クラッチ17の係合および解放の向きが決定されている。また、内輪35が正回転すると一方向クラッチ34が解放されるように、一方向クラッチ34の係合および解放方向が決定されている。
そして、具体例4では車両1を前進させる要求が生じると、電動モータ5が逆回転して車輪4が正方向に回転する。このとき、内輪18が正回転して一方向クラッチ17が係合される。このようにして、電動モータ5のトルクが、回転軸13を経由してインナロータ16に伝達されて、ロータが正方向に回転し、オイルポンプ8でオイルの吸入および吐出がおこなわれる。なお、電動モータ5が逆回転する場合、内輪35が逆回転するため一方向クラッチ34は解放される。これに対して、車両1を後進させる要求が生じると、電動モータ5が正回転して車輪4が逆方向に回転する。このとき、内輪18が逆回転するため、一方向クラッチ17が解放されるとともに、内輪35が正回転して一方向クラッチ34が係合される。このようにして、インナロータ16が正回転しオイルポンプ8でオイルの吸入および吐出がおこなわれる。したがって、具体例1と同様の効果を得られる。また、具体例4においては、車両1が前進する場合に、被潤滑部Aで必要とするオイル量に基づいて、オイルポンプ8の容量が決定されている。ここで、オイルポンプ8の容量とは、インナロータ16が1回転する間に吐出されるオイル量である。さらに具体例4においては、ドライブギヤ31からドリブンギヤ37に至る経路のギヤ比を設計することにより、電動モータ5の所定回転数におけるオイルポンプ8のオイル吐出量を決定することができる。
この具体例4で説明した構成と、この発明の構成との対応関係を説明すると、出力軸30およびドライブギヤ32およびドリブンギヤ33および回転軸13および一方向クラッチ17により、この発明における第1の動力伝達経路が構成されている。また、出力軸30およびドライブギヤ31およびピニオンギヤ37およびドリブンギヤ36および一方向クラッチ34により、この発明における第2の動力伝達経路が構成されている。さらに、一方向クラッチ17,34が、この発明における回転方向制御機構に相当する。また、具体例3においては、「電動モータ7が逆回転する」が、この発明における「電動モータが第1の方向に回転する」に相当し、「電動モータ7が正回転する」が、この発明における「電動モータが第2の方向に回転する」に相当し一方向クラッチ17,34が、この発明における回転方向制御機構に相当する。具体例3におけるその他の構成と、この発明の構成との対応関係は、具体例1の構成とこの発明の構成との対応関係と同じである。
(具体例5)
つぎに、具体例5について説明する。この具体例5は、電動モータ5のトルクが伝達される車輪4が、前輪または後輪のいずれか一方であり、他方の車輪にはエンジントルクが伝達される構成の車両を対象としている。このエンジンは、燃料を燃焼させて熱エネルギを発生させ、その熱エネルギを運動エネルギに変換して出力する動力装置である。このエンジンとしては、内燃機関、具体的にはガソリンエンジンまたはディーゼルエンジンまたはLPGエンジンを用いることができる。つまり、具体例5は、動力の発生原理が異なる2種類の駆動力源を搭載した車両、すなわち、ハイブリッド車を対象とするものである。この具体例5の基本的な構成は、具体例4と同じであるので、具体例5についても、図5を用いて説明する。これに対して、具体例5と具体例4とを比較すると、一方向クラッチ17,34の構成が異なる。すなわち、具体例5では、一方向クラッチ17は、ロータ18が正回転すると係合され、かつ、ロータ18が逆回転すると解放される構成である。また、一方向クラッチ34は、内輪35が正回転すると係合され、かつ、内輪35が逆回転すると解放される構成である。また、具体例5においては、サンギヤ21の回転数の方がリングギヤ22の回転数よりも高くなる構成である。
この具体例5における回転要素の状態を、図6に基づいて説明する。まず、車両1を前進させる要求が発生して、電動モータ5のロータ10が逆回転すると、ロータ10のトルクは具体例4と同様にして車輪4に伝達される。また、図6に実線で示すように、ロータ10が逆回転すると、一方向クラッチ17が解放され、リングギヤ21は正回転するため、一方向クラッチ34が係合されて、オイルポンプ8のインナロータ16が正方向に回転する。したがって、オイルポンプ8によりオイルの吸入および吐出がおこなわれて、被潤滑部Aにオイルが供給される。ここで、オイルポンプ8のインナロータ16の回転数は、電動モータ5のロータ10の回転数よりも低い。なお、車両1を前進させる要求がある場合、エンジントルクを車輪に伝達することが可能である。
これに対して、車両1を後進させる要求がある場合は、電動モータ5を電動機として駆動させる制御をおこない、エンジントルクは前輪には伝達されない。具体的には、電動モータ5のロータ10が破線で示すように正回転されてキャリヤ24が反力要素となり、リングギヤ22が逆方向に回転する。また、回転軸13およびロータ18が正回転して一方向クラッチ17が係合される。したがって、インナロータ16が正方向に回転し、オイルポンプ8によりオイルの吸入および吐出がおこなわれて、被潤滑部Aにオイルが供給される。さらに、リングギヤ21が逆方向に回転すると、一方向クラッチ34が解放される。このように、具体例5においても、車両1を前進させる場合、または車両1を後進させる場合で、共にオイルポンプ8のインナロータ16の回転方向は同一(正回転)であり、かつ、共にオイルの吸入および吐出がおこなわれる。したがって、具体例1と同様の効果を得られる。
また、具体例5においては、車両1を後進させる場合、オイルポンプ8のインナロータ16の回転数は、電動モータ5のロータ10の回転数と同一である。車両1を前進させる場合は、エンジントルクを車輪に伝達する一方、車両1を後進させる要求がある場合は、エンジントルクを車輪に伝達しないため、車両1の後進時の方が電動モータ5の負荷が大きく、電動モータ5の発熱量は、車両1の後進時の方が、車両1の前進時よりも多くなる。そして、具体例5では、車両1の前進時と後進時とで、電動モータ5のロータ10の回転数が同じ(変化しない)であるとすれば、車両1の後進時におけるオイルポンプ8の回転数の方が、車両1の前進時におけるオイルポンプ8の回転数の方が高くなる。このため、オイルポンプ8から吐出されるオイル量は、車両1の後進時におけるオイルの吐出量の方が、車両1の前進時におけるオイルの吐出量よりも相対的に多くなる。したがって、電動モータ5の発熱量が、相対的に多くなる車両1の後進時において、電動モータ5を冷却するために供給されるオイル量を相対的に増加させることで、電動モータ5を冷却する効果を高めることができる。具体例5で説明した構成と、この発明の構成との対応関係は、具体例4の構成と、この発明の構成との対応関係と同じである。上記の各具体例は、オイルポンプから吐出されたオイルが供給される被供給部が、ケーシングの内部に設けられている例であるが、この発明は、ケーシングの外部に被供給部が設けられている車両にも適用できる。例えば、車体側に被供給部が設けられており、オイルポンプの吐出口と、車体に設けられた被供給部とを、ホースおよびパイプにより構成された配管で接続する構成が挙げられる。
この発明におけるインホイールモータの具体例1の構成を示す概略図である。 この発明におけるインホイールモータを有する車両の概念図である。 この発明のインホイールモータの具体例1および具体例2において、各回転要素の状態を示す共線図の一例である。 この発明におけるインホイールモータの具体例2の構成を示す概略図である。 この発明におけるインホイールモータの具体例3および具体例5の構成を示す概略図である。 この発明のインホイールモータの具体例3および具体例5において、各回転要素の状態を示す共線図の一例である。 この発明におけるインホイールモータの具体例4の構成を示す概略図である。
符号の説明
4…車輪、 4B…ホイール、4C…円筒部、 5…電動モータ、 6…ケーシング、 8…オイルポンプ、 13…回転軸、 17,34…一方向クラッチ、 20…遊星歯車機構、 25…ブレーキ、 28…環状部材、 30…出力軸、 31,32…ドライブギヤ、 33,37…ドリブンギヤ、 37…ピニオンギヤ、 39…コネクティングドラム、 A…被潤滑部。

Claims (5)

  1. 車輪の一部を構成し、かつ、円筒部を有するホイールと、前記円筒部内に設けられた中空のケーシングと、このケーシングの内部に設けられ、かつ、前記ホイールに動力伝達可能に接続された電動モータと、この電動モータの動力により回転されて前記ケーシング内のオイルを吸入および吐出するオイルポンプと、このオイルポンプから吐出されたオイルが供給される被供給部とを有する、車両用のインホイールモータにおいて、
    前記電動モータから前記オイルポンプに至る動力伝達経路に、車両を前進させるために前記電動モータが第1の方向に回転する場合、および前記車両を後進させるために前記電動モータが第1の方向とは逆の第2の方向に回転する場合の両方で、前記オイルポンプの回転方向を同じとする回転方向制御機構が設けられていることを特徴とする車両用のインホイールモータ。
  2. 前記電動モータから前記オイルポンプに至る動力伝達経路には、並列に配置された第1の動力伝達経路と第2の動力伝達経路とが含まれており、前記車両を前進させる場合に前記電動モータの動力が一方の動力伝達経路を経由して前記オイルポンプに伝達され、かつ、前記車両を後進させる場合に前記電動モータの動力が他方の動力伝達経路を経由して前記オイルポンプに伝達される構成であるとともに、
    前記回転方向制御機構は、前記第1の動力伝達経路に設けられた第1の制御機構と、前記第2の動力伝達経路に設けられた第2の制御機構とを有しており、
    前記第1の制御機構は、前記電動モータが第1の方向に回転する場合に係合されて前記電動モータの動力を前記オイルポンプに伝達する一方、前記電動モータが第2の方向に回転する場合は解放される一方向クラッチを含み、
    前記第2の制御機構は、前記電動モータが第2の方向に回転する場合に前記電動モータの動力を前記オイルポンプに伝達する伝動装置を含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両用のインホイールモータ。
  3. 前記回転方向制御機構は、前記車両を後進させるために前記電動モータが回転する場合における前記オイルポンプの回転数が、前車両を前進させるために前記電動モータが回転する場合における前記オイルポンプの回転数よりも高くなる構成であることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用のインホイールモータ。
  4. 前記伝動装置は、差動回転可能な入力要素および反力要素および出力要素を有しており、前記入力要素が前記伝動装置に動力伝達可能に接続され、前記出力要素が前記オイルポンプに動力伝達可能に接続されているとともに、前記反力要素に制動力を与えるブレーキが設けられており、前記ブレーキにより前記反力要素に制動力が与えられて、前記入力要素のトルクが前記出力要素に伝達される構成であることを特徴とする請求項3に記載の車両用のインホイールモータ。
  5. 前記入力要素および前記出力要素および反力要素が歯車を有しており、歯車同士の噛み合いにより生じる力を、前記ブレーキを係合させる力に変換する変換機構が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の車両用のインホイールモータ。
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