JP2013245736A - 電動車両用変速装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】変速のために電力を消費しない電動車両用変速装置を提供する。
【解決手段】入力軸11に回転連結された入力部材21の回転速度が接続開始回転速度以上になった場合には、入力部材21に伝達される回転トルクが出力部材25に伝達されるように構成されている遠心クラッチ20と、入力要素として作用するサンギヤ41、固定要素として作用するリングギヤ44、及び減速された回転速度で回転するキャリア43を有する遊星歯車機構40と、ハウジング10に固定された第一部材30aと、第一部材30aに対して逆回転方向には回転不能である第二部材30bを有する第一ワンウェイクラッチ30と、を有し、サンギヤ41が入力軸11に回転連結されとともに入力部材21に接続され、リングギヤ44が第二部材30bに接続されるとともに出力部材25に接続され、キャリア43が出力軸12に回転連結されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、電動車両に用いられる変速装置に関するものである。
電動自動車やシリーズ方式のハイブリッド自動車等の電動車両においては、回転数領域が広く、トルク特性の良好なモータで駆動される場合であっても、登坂特性や加速性能、最高速度特性を高次元で両立させるためには、変速機を用いることが好ましい。また、変速機を用いることは、走行時にモータの効率の良い回転領域を使用することができ、モータでの電力消費を抑えることができ、電動車両の課題の一つである航続距離の延長にも効果がある。
そこで、従来から特許文献1や特許文献2に示されるような電動車両用変速装置が提案されている。特許文献1に示される電動車両用変速装置は、プラネタリギヤ、ワンウェイクラッチ、コーンクラッチとから構成され、ソレノイドバルブでコーンクラッチを駆動する油圧を制御している。また、特許文献2に示される電動車両用変速装置は、プラネタリギヤ、2ウェイクラッチ、摩擦クラッチとから構成され、2ウェイクラッチを油圧で制御している。
特開昭59−226741号公報 特開2005−30430号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2に示される電動車両用変速装置は、油圧ポンプが必要であり、油圧ポンプの駆動により電力が消費され、当該油圧ポンプを制御するためのコントローラや制御バルブの駆動のために電力も消費してしまうことから、電動車両の航続距離が短くなってしまうという問題があった。また、油圧ポンプ、制御ソレノイド、制御回路等の要素部品が必要であり、電動車両用変速装置の構成が複雑となり、大型化し、質量が増加し、更にコストアップしてしまうという問題もある。更に、電動車両用変速装置の開発時において、制御バルブのチューニングが必要となり、開発工数が大きくなるという問題も生じる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、変速のために電力を消費しない電動車両用変速装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するためになされた、請求項1に係る発明によると、モータによって駆動輪が駆動される電動車両に用いられる変速装置であって、前記モータに回転連結される入力軸と、前記駆動輪に回転連結される出力軸と、前記入力軸及び前記出力軸が回転可能に軸支される本体と、前記入力軸に回転連結された入力部材と、前記入力部材に対して相対回転可能に配設された出力部材とを有し、前記入力部材の回転速度が接続開始回転速度以上になった場合には、前記入力部材に伝達される回転トルクが前記出力部材に伝達されるように構成されている遠心クラッチと、前記入力軸と前記出力軸の間に配設され、入力要素として作用する第一要素、固定要素として作用する第二要素、及び前記第一要素の回転に対して減速された回転速度で回転する第三要素を有する遊星歯車機構と、前記本体に固定された第一部材と、前記第一部材に対して正回転方向には回転可能であり、且つ、前記第一部材に対して逆回転方向には回転不能である第二部材を有する第一ワンウェイクラッチと、を有し、前記第一要素が前記入力軸に回転連結されとともに前記入力部材に接続され、前記第二要素が前記第二部材に接続されるとともに前記出力部材に接続され、前記第三要素が前記出力軸に回転連結されている。
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記遊星歯車機構は、シングルピニオン式であり、前記第一要素は、サンギヤであり、前記第二要素は、リングギヤであり、前記第三要素は、キャリアである。
請求項3に係る発明は、請求項1において、前記遊星歯車機構は、シングルピニオン式であり、前記第一要素は、リングギヤであり、前記第二要素は、サンギヤであり、前記第三要素は、キャリアである。
請求項4に係る発明は、請求項1において、前記遊星歯車機構は、ダブルピニオン式であり、前記第一要素は、サンギヤであり、前記第二要素は、キャリアであり、前記第三要素は、リングギヤである。
請求項5に係る発明は、請求項1〜請求項4のいずれかにおいて、前記入力軸と前記出力軸の間に設けられ、前記モータから前記入力軸に入力された前記電動車両が前進する方向の回転トルクは前記出力軸に伝達しないが、前記駆動輪から前記出力軸に入力された回転トルクを前記入力軸に伝達する第二ワンウェイクラッチを、有する。
請求項6に係る発明は、請求項5において、前記本体と前記第一部材の間に設けられ、前記第一部材と前記本体との相対回転を許容するフリー状態と、前記第一部材と前記本体の相対回転を許容しないロック状態とを切り替える切替クラッチを、有する。
請求項7に係る発明は、請求項6において、前進位置と後退位置間を移動し、前記切替クラッチと機械的要素で接続された操作部材を有し、前記操作部材を前記前進位置に移動させると前記切替クラッチが前記ロック状態となり、前記操作部材を前記後退位置に移動させると前記切替クラッチが前記フリー状態となるように構成されている。
請求項8に係る発明は、請求項1〜請求項7のいずれかにおいて、前記入力軸と前記出力軸との間に設けられ、前記入力軸側から入力された回転を減速する減速装置を有する。
請求項9に係る発明は、請求項8において、前記減速装置は、前記遠心クラッチと前記出力軸との間に設けられている。
請求項10に係る発明は、請求項1〜請求項9のいずれかにおいて、前記遠心クラッチは、前記入力部材の回転が伝達される摩擦部材を有し、前記入力部材の回転速度が前記接続開始回転速度以上になった場合には、前記摩擦部材が前記出力部材又は前記出力部材と一体回転する部材に接触するように構成されている。
請求項1に係る発明によると、入力要素として作用する第一要素が入力軸に回転連結されるとともに入力部材に接続され、固定要素として作用する第二要素が第二部材に接続されるとともに出力部材に接続され、第一要素に対して減速された回転速度で回転する第三要素が出力軸に回転連結されている。これにより、モータが正回転し、入力部材の回転速度が接続開始回転速度よりも低い場合には、遠心クラッチが切断状態であり、第一要素と第二要素が、相対回転可能な状態であるので、遊星歯車機構によって、入力軸に入力された回転トルクが、減速されることにより増幅されて出力軸に出力される。一方で、モータが正回転し、入力部材の回転速度が、接続終了回転速度より速くなると、入力部材に伝達される回転トルクが出力部材に伝達され、遠心クラッチの入力部材と出力部材が同期して接続し、遊星歯車機構の各要素が一体回転し、入力軸に入力された回転トルクが、遊星歯車機構によって減速されず、そのまま出力軸に出力される。このように、入力部材の回転速度、つまり、モータの回転速度によって、遠心クラッチが断接することにより、入力軸に入力された回転トルクが、遊星歯車機構によって減速され又は減速されない構造を実現したので、変速のために電力を消費しない電動車両用変速装置を提供することができる。
請求項2に係る発明によると、遊星歯車機構はシングルピニオン式であり、第一要素はサンギヤであり、第二要素はリングギヤであり、第三要素はキャリアである。これにより、モータが正回転し、入力部材の回転速度が接続開始回転速度よりも低い場合には、遠心クラッチが切断状態であり、サンギヤとリングギヤが、相対回転可能な状態であるので、サンギヤが正回転し、プラネタリギヤが逆回転し、キャリアが正回転して、入力軸に入力された回転トルクが、遊星歯車機構によって減速されることにより増幅されて出力軸に出力される。このように、モータが正回転し、入力部材の回転速度が接続開始回転速度よりも低い場合に、入力軸に入力された回転トルクが、遊星歯車機構によって増幅されて出力軸に出力される電動車両用変速装置の構造を提供することができる。
請求項3に係る発明によると、遊星歯車機構は、シングルピニオン式であり、第一要素は、リングギヤであり、第二要素は、サンギヤであり、第三要素は、キャリアである。これにより、モータが正回転し、入力部材の回転速度が接続開始回転速度よりも低い場合には、遠心クラッチが切断状態であり、リングギヤとサンギヤが、相対回転可能な状態であるので、リングギヤが正回転し、プラネタリギヤが逆回転し、キャリアが正回転して、入力軸に入力された回転トルクが、遊星歯車機構によって減速されることにより増幅されて出力軸に出力される。このように、モータが正回転し、入力部材の回転速度が接続開始回転速度よりも低い場合には、入力軸に入力された回転トルクが、遊星歯車機構によって減速されることにより増幅されて出力軸に出力される電動車両用変速装置の構造を提供することができる。
請求項4に係る発明によると、遊星歯車機構は、ダブルピニオン式であり、第一要素は、サンギヤであり、第二要素は、キャリアであり、第三要素は、リングギヤである。これにより、モータが正回転し、入力部材の回転速度が接続開始回転速度よりも低い場合には、遠心クラッチが切断状態であり、サンギヤとキャリアが、相対回転可能な状態であるので、サンギヤが正回転し、サンギヤと噛合するプラネタリギヤが逆回転し、リングギヤと噛合するプラネタリギヤが正回転し、キャリアが正回転して、入力軸に入力された回転トルクが、遊星歯車機構によって減速されることにより増幅されて出力軸に出力される。このように、モータが正回転し、入力部材の回転速度が接続開始回転速度よりも低い場合に、入力軸に入力された回転トルクが、遊星歯車機構によって減速されることにより増幅されて出力軸に出力される電動車両用変速装置の構造を提供することができる。
請求項5に係る発明によると、第二ワンウェイクラッチは、駆動輪から出力軸に入力された回転トルクを入力軸に伝達する。これにより、電動車両が減速した際に、第二ワンウェイクラッチによって、電動車両の運動エネルギーにより、駆動輪から出力軸に入力された回転トルクが入力軸に伝達される。このため、モータが回転され、当該モータによって発電することにより、電動車両の運動エネルギーを電力に回生させることができる。
請求項6に係る発明によると、切替クラッチは、第一ワンウェイクラッチの第一部材と本体との相対回転を許容するフリー状態に切り替えることができる。これにより、切替クラッチがフリー状態にある場合には、モータが逆回転したとしても、第一ワンウェイクラッチの第二部材が、本体に対して逆回転方向に回転することができるので、モータを逆回転することにより、電動車両を後退させることができる。
請求項7に係る発明によると、操作部材は、切替クラッチと機械的要素で接続されている。これにより、電力を使用することなく、切替クラッチのフリー状態とロック状態の切り替えることができる。このため、前進と後退を切り替えるために、バッテリの電力を消費することがないので、電動車両の航続距離を伸ばすことができる。
請求項8に係る発明によると、減速装置は、入力軸側から入力された回転を減速して、出力軸側に出力する。これにより、減速装置を適切な減速比に設定することにより、モータの効率の良い回転領域で、電動車両を走行させることができ、電動車両の航続距離を伸ばすことができる。
請求項9に係る発明によると、減速装置は、遠心クラッチと出力軸との間に設けられている。これにより、減速装置が遠心クラッチよりも入力軸側に無く出力軸側にあるので、遠心クラッチの入力部材に入力される回転トルクが、減速装置で増幅されて遠心クラッチに入力されることがない。このため、入力部材に入力される過大な回転トルクに起因する遠心クラッチの滑りを防止することができる。
請求項10に係る発明によると、遠心クラッチは、入力部材の回転が伝達される摩擦部材を有し、入力部材の回転速度が接続開始回転速度以上になった場合には、摩擦部材が出力部材又は出力部材と一体回転する部材に接触する。これにより、入力部材の回転速度が接続開始回転速度より速くなると、摩擦部材の出力部材への接触が開始し、入力部材と出力部材の回転差が徐々に小さくなる遷移領域に移行し、入力部材の回転速度が接続終了回転速度より速くなると、遠心クラッチの入力部材と出力部材の同期が完了し、低速側から高速側への変速が完了する。このように、低速側から高速側へ変速する際に、遷移領域において、入力部材と出力部材の回転差が徐々に小さくなるので、低速側から高速側へ変速する際の変速ショックを抑制することができる。また、変速ショックを抑制することができるので、電動車両用変速装置の低速側の減速比を大きく設定することができ、モータの効率の良い回転領域で、電動車両を走行させることができる。
第一の実施形態の電動車両用変速装置を表した模式図である。 電動車両用変速装置に用いられる遠心クラッチの詳細図である。 (A)遊星歯車機構を表した模式図である。(B)第一ワンウェイクラッチの動作を表した図である。(C)〜(F)第二ワンウェイクラッチの動作を表した図である。 切替クラッチの説明図である。 第一の実施形態の電動車両の各走行状態における遊星歯車機構の動作を示した説明図である。 モータジェネレータの回転速度と車両速度との関係を表したグラフである。 縦軸を各要素の回転速度とした遊星歯車機構の共線図である。 モータジェネレータの回転速度とモータジェネレータの回転トルクとの関係を表したグラフである。 第二の実施形態の電動車両用変速装置を表した模式図である。 第二の実施形態の電動車両の各走行状態における遊星歯車機構の動作を示した説明図である。 第三の実施形態の電動車両用変速装置を表した模式図である。 第三の実施形態の電動車両の各走行状態における遊星歯車機構の動作を示した説明図である。
(電動車両の説明)
本発明の実施形態を、図面を参照して以下に説明する。図1に示すように、電動車両EVは、モータジェネレータMG、インバータ1、バッテリ2、制御部3、変速装置100、駆動輪Wを有している。
モータジェネレータMGは、駆動輪Wに回転トルクを付与するモータとして作動するとともに、電動車両EVの運動エネルギーを電力に変換する発電機としても作動するものである。インバータ1は、モータジェネレータMG及びバッテリ2と電気的に接続されている。また、インバータ1は、制御部3と通信可能に接続されている。インバータ1は、制御部3からの制御信号に基づいて、バッテリ2から供給される直流電流を、昇圧するとともに交流電流に変換したうえでモータジェネレータMGに供給し、モータジェネレータMGで回転トルク発生させ、モータジェネレータMGをモータとして機能させる。また、インバータ1は、制御部3からの制御信号に基づいて、モータジェネレータMGを発電機として機能させ、モータジェネレータMGで発電された交流電流を、直流電流に変換するとともに、電圧を降下させて、バッテリ2を充電する。
(第一の実施形態の電動車両用変速装置の構造)
図1に示すように、第一の実施形態の電動車両用変速装置100は、ハウジング10、入力軸11、出力軸12、最終出力軸13、遠心クラッチ20、第一ワンウェイクラッチ30、遊星歯車機構40、第二ワンウェイクラッチ50、切替クラッチ60、減速装置RGを有している。
入力軸11は、モータジェネレータMGに回転連結している。なお、入力軸11とモータジェネレータMGとが、ギヤ等の機械要素によって回転連結される構成であっても差し支え無い。入力軸11と出力軸12は、同軸に配設され、入力軸11側から出力軸12側に、遠心クラッチ20、遊星歯車機構40、第二ワンウェイクラッチ50の順に配設されている。なお、入力軸11、出力軸12、最終出力軸13は、ハウジング10に回転可能に軸支されている。
[遠心クラッチ]
図1及び図2を用いて、遠心クラッチ20について説明する。図1や図2に示すように、遠心クラッチ20は、入力部材21、ウェート22、摩擦部材23、付勢部材24、出力部材25を有している。
入力部材21は、ブロック状又は板状であり、入力軸11に回転連結されている。図2に示すように、入力部材21には、複数のウェート22が揺動可能に取り付けられている。なお、ウェート22の揺動軸22aは、ウェート22の長手方向の端部に形成されている。ウェート22の外周側には、円筒形状の出力部材25が配設されている。言い換えると、出力部材25は、入力部材21に対して相対回転可能に配設されている。ウェート22の外側の面、つまり、ウェート22の出力部材25に対向する面は、出力部材25の内周面に対応する円弧面となっている。当該円弧面に、摩擦部材23が取り付けられている。つまり、摩擦部材23は、出力部材25の内周面と所定距離離間して対向し、出力部材25の内周面と対応した形状となっている。このような構成により、摩擦部材23は、ウェート22を介して入力部材21の回転が伝達される。なお、摩擦部材23は、出力部材25との間で摩擦力を発生させるものであり、クラッチシューと呼ばれ、摩擦係数の大きな材料で構成されている。
ウェート22の揺動軸22aと反対側の端部と、入力部材21はコイルスプリング等の付勢部材24で連結されている。このような構造により、ウェート22は、入力部材21の中心、つまり、入力軸11側に付勢されている。入力軸11(入力部材21)の回転速度が、「接続開始回転速度」より低い低回転速度の場合には、摩擦部材23と出力部材25の内周面は接触しないようになっていて、入力軸11と出力部材25は相互に回転可能な状態となっている。
入力軸11(入力部材21)の回転速度が、「接続開始回転速度」以上になると、ウェート22自身に作用する遠心力により、付勢部材24の付勢力に抗して、ウェート22が外側、つまり、出力部材25の内周面側に移動し、摩擦部材23が出力部材25の内周面に接触する。すると、入力部材21(入力軸11)から出力部材25への回転トルクの伝達が開始される。そして、入力軸11の回転速度が、「接続終了回転速度」より速い高回転速度になると、入力部材21(入力軸11)と出力部材25の回転速度差が無くなり、入力部材21と出力部材25が一体回転する。
[遊星歯車機構]
次に、図1及び図3の(A)を用いて、遊星歯車機構40について説明する。なお、図3の(A)において、各ギヤは、便宜的に円で表現している。また、以下の説明において、電動車両EVが進行する方向の、モータジェネレータMG、入力軸11、出力軸12、最終出力軸13、及び駆動輪Wの回転方向を正回転とし、これと反対方向の回転を逆回転とする。図1や図3の(A)に示すように、遊星歯車機構40は、入力軸11と出力軸12との間に設けられ、サンギヤ41、プラネタリギヤ42、キャリア43、及びリングギヤ44とから構成されている、シングルピニオン式の遊星歯車機構である。
サンギヤ41は、入力軸11に回転連結されるともに、遠心クラッチ20の入力部材21に接続され、入力軸11及び入力部材21と一体回転する。プラネタリギヤ42は、サンギヤ41の周囲に複数配設され、サンギヤ41と噛合している。キャリア43は、複数のプラネタリギヤ42を回転可能(自転可能)に軸支し、出力軸12に回転連結され、出力軸12と一体回転する。リングギヤ44は、リング状であり、その内周側にインナーギヤ44aが形成されている。インナーギヤ44aは、複数のプラネタリギヤ42と噛合している。リングギヤ44と遠心クラッチ20の出力部材25は接続され、これらは一体回転する。
[第一ワンウェイクラッチ]
図1や図3の(B)に示すように、第一ワンウェイクラッチ30は、円環状の第一部材30aと、この第一部材30aの内周側に配設される第二部材30bを有している。第一ワンウェイクラッチ30は、図3の(B)に示すように、第二部材30bの第一部材30aに対する正回転方向への相対回転を許容し(フリー状態)、第二部材30bの第一部材30aに対する逆回転方向への相対回転を許容しない(ロック状態)ように構成されている。言い換えると、第二部材30bに正回転方向の回転トルクが伝達された場合には、第二部材30bは第一部材30aに対して正回転方向に回転可能な状態(フリー状態)にあり、第二部材30bに逆回転方向の回転トルクが伝達された場合には、第二部材30bは第一部材30aに対して逆回転方向に回転しない(ロック状態)。第二部材30bは、リングギヤ44及び出力部材25と接続し、これらと一体回転する。
[切替クラッチ]
以下に、図4を用いて、切替クラッチ60について説明する。切替クラッチ60は、第一ワンウェイクラッチ30の第一部材30aとハウジング10の相対回転を許容するフリー状態と、第一部材30aとハウジング10の相対回転を許容しないロック状態とを切り替えるものである。切替クラッチ60は、ハウジング61、複数のアウタープレート62、複数のインナープレート63、押圧部材64、付勢部材65、切替レバー66を有している。
ハウジング61は、円筒形状の円筒部61aと、円筒部61a端部から円筒部61aの内周側に延設された壁部61bを有している。本実施形態では、切替クラッチ60のハウジング61は、ハウジング10に取り付けられているが、ハウジング10を切替クラッチ60のハウジング61として構成しても差し支え無い。
ハウジング61の円筒部61aの内周には、複数の円環状のアウタープレート62が、円筒部61aの軸線方向に移動可能であって、且つ、円筒部61a周方向に移動不能に取り付けられている。第一ワンウェイクラッチ30の第一部材30aの外周には、複数の円環状のインナープレート63が、第一部材30aの軸線方向に移動可能であって、且つ、第一部材30a周方向に移動不能に取り付けられている。なお、アウタープレート62とインナープレート63は、交互に配設されて、互いに対向している。また、壁部61bと反対側の端部のアウタープレート62は、円筒部61aに軸線方向移動不能に取り付けられている。
壁部61b側のアウタープレート62と壁部61bとの間には、前記アウタープレート62と当接する押圧部材64が、円筒部61aの軸線方向に移動可能に取り付けられている。押圧部材64と壁部61bとの間には、コイルスプリング等の付勢部材65が配設されている。付勢部材65によって押圧部材64がアウタープレート62側に付勢され、押圧部材64がアウタープレート62を押圧している。アウタープレート62とインナープレート63が相互に押し付けられると、アウタープレート62とインナープレート63との間には摩擦力が生じ、第一ワンウェイクラッチ30の第一部材30aがハウジング10に対して回動不能な状態となる。
切替レバー66は、本体66aと、レバー66bとから構成されている。レバー66bの途中部分は、本体66aの揺動軸66cに、揺動可能に取り付けられている。レバー66bは、前進位置Dと後退位置R間を揺動し、前進位置D及び後退位置Rで位置決めされて固定されるように構成されている。レバー66bの基端と、押圧部材64はケーブル67によって連結されている。
レバー66bが、前進位置Dにある状態では、押圧部材64は、ケーブル67によって、壁部61b側に引っ張られておらず、付勢部材65の付勢力によって、壁部61b側のアウタープレート62を押圧している。このように、レバー66bが、前進位置Dにある状態では、第一ワンウェイクラッチ30の第一部材30aがハウジング10に対して回動不能な状態にある。レバー66bを後退位置Rに揺動させると、押圧部材64が、壁部61b側、つまり、壁部側61bのアウタープレート62から離間する方向に移動し、アウタープレート62とインナープレート63が相互に押し付けられている状態が解除される。このように、レバー66bが、後退位置Rにある状態では、第一ワンウェイクラッチ30の第一部材30aがハウジング10に対して回動可能な状態となる。
[第二ワンウェイクラッチ]
図1や図3の(C)〜(F)に示すように、第二ワンウェイクラッチ50は、円環状の第三部材50aと、この第三部材50aの内周側に配設される第四部材50bを有している。そして、第二ワンウェイクラッチ50は、第四部材50bの第三部材50aに対する正回転方向への相対回転を許容し(フリー状態)、第四部材50bの第三部材50aに対する逆回転方向への相対回転を許容しない(ロック状態)ように構成されている。第三部材50aは、出力軸12(キャリア43)と回転連結し、第四部材50bは入力軸11(サンギヤ41)と回転連結している。このように、入力軸11と出力軸12の間に設けられた第二ワンウェイクラッチ50は、モータジェネレータMGから入力軸11に入力された電動車両EVが前進する方向の回転トルクは出力軸12に伝達しないが、駆動輪Wから出力軸12に入力された回転トルクは入力軸11に伝達する。
図3の(C)に示すように、入力軸11(サンギヤ41)に正回転方向の回転トルクが伝達されると、キャリア43は、回転速度がサンギヤ41の回転速度よりも低く減速されて正回転する。この状態では、第四部材50bが第三部材50aよりも高速回転している。この状態では、第二ワンウェイクラッチ50は、第四部材50bが第三部材50aに対して正回転方向に回転できるフリー状態であるので、第二ワンウェイクラッチ50によって、入力軸11(サンギヤ41)と出力軸12(キャリア43)の相対的な回転が阻害されない。
図3の(D)に示すように、出力軸12(キャリア43)に正回転方向の回転トルクが伝達されると、第二ワンウェイクラッチ50は、第四部材50bの第三部材50aに対する逆回転方向への回転を許容しないロック状態となるので、出力軸12及び入力軸11が一体回転する。
図3の(E)に示すように、入力軸11(サンギヤ41)に逆回転方向の回転トルクが伝達されると、第二ワンウェイクラッチ50は、第四部材50bの第三部材50aに対する逆回転方向への回転を許容しないロック状態となるので、入力軸11と出力軸12は、逆回転方向に一体回転する。
[減速装置]
減速装置RGは、出力軸12に入力された回転トルクを減速して、最終出力軸13に出力するものであり、複数のギヤによって構成されている。減速装置RGは、出力軸12と最終出力軸13との間に設けられている。言い換えると、減速装置RGは、遠心クラッチ20と最終出力軸13との間に設けられている。最終出力軸13は、駆動輪Wに回転連結している。
(第一の実施形態の電動車両用変速装置の動作)
次に、図5〜図7を用いて、第一の実施形態の電動車両用変速装置100の動作について説明する。なお、図7において、縦軸は、各回転要素の回転速度に対応している。図7において、Sはサンギヤ41の回転速度、Cはキャリア43の回転速度、Rはリングギヤ44の回転速度を表している。つまり、Sは入力軸11、つまり、モータジェネレータMGの回転速度を表し、Cは出力軸12の回転速度を表している。なお、SとCの縦線の間隔を1とすると、CとRの縦線の間隔は遊星歯車機構40のギヤ比λ(サンギヤ41とインナーギヤ44aとの歯数比(サンギヤ41の歯数/インナーギヤ44aの歯数))となっている。
[低速時]
レバー66b(図4示)が前進位置Dにある状態で、モータジェネレータMGが正回転し、モータジェネレータMG(入力軸11)が、遠心クラッチ20の「接続開始回転速度」より低い低回転速度にある場合には、入力部材21と出力部材25が相互に回転可能なので、サンギヤ41とリングギヤ44は相互に回転可能な状態となっている。この状態では、図5の(A)に示すように、サンギヤ41が正回転し、プラネタリギヤ42が逆回転し、キャリア43はサンギヤ41の回転速度に対して減速して正回転する。なお、第一ワンウェイクラッチ30によって、リングギヤ44の逆回転方向の回転は阻止されるので(ロック状態)、リングギヤ44(第一ワンウェイクラッチ30)がキャリア43の正回転に伴う反力を受ける。また、出力軸12(キャリア43)の回転速度は入力軸11(サンギヤ41)の回転速度よりも低いので、図3の(C)に示すように、第二ワンウェイクラッチ50において、第四部材50bは第三部材50aに対して回転可能な状態にある(フリー状態)。
このように、レバー66bが、前進位置Dにある状態で、モータジェネレータMGが正回転し、モータジェネレータMGが低回転速度にある場合には、図6の(1)や図7の(1)に示すように、入力軸11の回転トルクが、遊星歯車機構40によって減速されることにより増幅されて、出力軸12に伝達される。
[遷移時]
モータジェネレータMG(入力軸11)の回転速度が、「接続開始回転速度」より速くなると、遠心クラッチ20において、摩擦部材23の出力部材25への接触が開始し、リングギヤ44の回転速度が徐々に上昇し、入力部材21(入力軸11、サンギヤ41)と出力部材25(リングギヤ44)の回転差が徐々に小さくなる遷移領域(図6及び図7の(2))に移行する。
[高速時]
モータジェネレータMG(入力軸11)の回転速度が、「接続終了回転速度」より速くなると、遠心クラッチ20の入力部材21と出力部材25の同期が完了して、図5の(B)に示すように、サンギヤ41、キャリア43、及びリングギヤ44が一体回転し、出力軸12の回転速度が入力軸11の回転速度と同一となる高速領域に移行する(図6及び図7の(3))。なお、第一ワンウェイクラッチ30は、キャリア43が正回転する方向への回転を阻害しない(フリー状態)。
[回生時]
図示しないアクセルペダルが離されると、駆動輪Wからの正回転方向の回転トルク(逆駆動トルク)が、減速装置RGを介して、出力軸12に伝達される。この際には、第二ワンウェイクラッチ50がロック状態となるので(図3の(D)示)、出力軸12(キャリア43)と入力軸11(サンギヤ41)とが一体回転し(図5の(C)示)、モータジェネレータMGが正回転方向に回転される。すると、モータジェネレータMGが発電機として作動して、モータジェネレータMGで発電された電力は、インバータ1を介して、バッテリ2に充電される。この際に、モータジェネレータMGは、負方向の回転トルクを発生し、電動車両EVに回生制動力が付与される。なお、第一ワンウェイクラッチ30は、キャリア43が正回転する方向への回転を阻害しない(フリー状態)。
もし仮に、第二ワンウェイクラッチ50が無い場合には、図3の(D)や図5の(C)に示すように、出力軸12に正回転方向の回転トルクが入力されると、出力軸12と回転連結されたキャリア43に正回転方向の回転トルクが伝達される。しかし、図3の(B)に示すように、リングギヤ44は、第一ワンウェイクラッチ30によって正回転方向には回転可能であるので、リングギヤ44が正回転方向に回転して空回りして、駆動輪Wからの回転トルクが入力軸11に伝達されない。
本実施形態では、第二ワンウェイクラッチ50を設けたので、回生時には、第二ワンウェイクラッチ50によって出力軸12と入力軸11が一体回転し、遠心クラッチ20の状態に関わらず、電動車両EVが高速領域〜低速領域、そして、停止する直前まで、モータジェネレータMGにおいて、電動車両EVの運動エネルギーを電力に回生させることができる。
[下り坂停止時]
電動車両EVが下り坂で停止した場合には、駆動輪Wからの正回転方向の回転トルクが、減速装置RGを介して、出力軸12(キャリア43)に伝達される。この際に、図3の(D)に示すように、第二ワンウェイクラッチ50がロック状態となるので、駆動輪Wからの正回転方向の回転トルクが、入力軸11を介して、モータジェネレータMGに伝達される。この際に、制御部3は、インバータ1に制御信号を出力することにより、モータジェネレータMGにおいて逆回転方向の回転トルクを発生させることにより、出力軸12の正回転方向の回転を阻止し、下り坂において電動車両EVが停止した際における、電動車両EVのずり下がりを防止する。
[登り坂停止時]
電動車両EVが登り坂で停止した場合には、駆動輪Wからの逆回転方向の回転トルクが、減速装置RGを介して、出力軸12(キャリア43)に伝達される。この際に、制御部3は、インバータ1に制御信号を出力することにより、モータジェネレータMGにおいて正回転方向の回転トルクを発生させることにより、サンギヤ41、キャリア43に正回転方向の回転トルクを伝達させて(図3の(F)示)、出力軸12の逆回転方向の回転を阻止し、登り坂において電動車両EVが停止した際における、電動車両EVのずり下がりを防止する。
[後退時]
レバー66b(図4示)が後退位置Rにある状態で、モータジェネレータMG(入力軸11)が逆回転すると、図3の(E)に示すように、第二ワンウェイクラッチ50がロック状態となり、入力軸11と出力軸12が一体回転し、モータジェネレータMGの逆回転方向の回転トルクが、入力軸11、第二ワンウェイクラッチ50、出力軸12、減速装置RG、最終出力軸13を介して、駆動輪Wに伝達され、電動車両EVが後退する。
第二ワンウェイクラッチ50がロック状態にあるので、リングギヤ44もまたサンギヤ41及びキャリア43とともに逆回転方向に一体回転する。上述したように、レバー66bが後退位置Rにある状態では、第一ワンウェイクラッチ30は、ハウジング10に対して回転可能な状態にあるので、リングギヤ44は、ハウジング10に対して逆回転方向に回転することができる。
(電動車両用変速装置の変速による効果)
図8に示すように、モータジェネレータMGのモータとしての効率が良い領域は、駆動可能な領域に対して、モータジェネレータMGの回転が中程度であって、モータジェネレータMGの回転速度が中程度である領域である。言い換えると、モータジェネレータMGの回転トルクが低すぎても高すぎても、モータジェネレータMGのモータとしての効率が悪化する。また、モータジェネレータMGの回転速度が低すぎても高すぎても、モータジェネレータMGのモータとしての効率が悪化する。
図6において、低速V1は、変速装置100、200、300を有する電動車両EVの(1)低速領域での車両速度であり、高速V2は、上記電動車両EVの(3)高速領域での車両速度である。図6のBの直線は、変速装置が無い電動車両の車両速度とモータジェネレータMGの回転速度の関係を表した線である。
変速装置が無い電動車両が、図6に示す低速V1で走行した場合には、モータジェネレータMGの回転が減速されない。このため、図8のV1−Bで示すように、モータジェネレータMGの回転数が低くなりすぎ、モータジェネレータMGがモータとしての効率が悪い領域で駆動する。
一方で、本実施形態のように、変速装置100を有する電動車両EVでは、図6に示す低速V1で走行した際に、変速装置100でモータジェネレータMGの回転が減速される。このため、図8のV1−Aに示すように、モータジェネレータMGの回転が、変速装置を有さない電動車両と比較して高くなり、モータジェネレータMGがモータとしての効率が良い領域で駆動する。
また、図6のBの直線に示すように、変速装置が無い電動車両では、低速V1時の加速性能を確保する必要が有ることから、変速装置が有る車両EV(図6のA示)に比べて、モータジェネレータMGと最終出力軸13との減速比を大きく設定する必要が有る。このため、変速装置が無い電動車両が、図6に示す高速V2で走行すると、図8のV2−Bで示すように、モータジェネレータMGの回転が高くなりすぎ、モータジェネレータMGがモータとしての効率が悪い領域で駆動する。
一方で、本実施形態のように、変速装置100を有する電動車両EVでは、図6に示す低速V1では、変速装置100によってモータジェネレータMGの回転トルクが増幅されるので、上記した減速比(線Aにおける高速領域での傾き)を小さく設定することができる。このため、変速装置100、200、300を有する電動車両EVが、図6に示す高速V2で走行した際には、図8のV2−Aで示すように、モータジェネレータMGの回転が、変速装置を有さない電動車両と比較して低くなり、モータジェネレータMGがモータとしての効率が良い領域で駆動する。
このように、本実施形態では、モータジェネレータMGがモータとしての効率が良い領域で駆動するので、モータジェネレータMGでの消費電力を減らし、電動車両EVの航続距離を伸ばすことが可能となる。
(第二の実施形態の電動車両用変速装置の構造)
以下、図9を用いて、第二の実施形態の電動車両用変速装置200について、第一の実施形態の電動車両用変速装置100と異なる点について説明する。なお、第二の実施形態の電動車両用変速装置200を構成する各要素のうち、第一の実施形態の電動車両用変速装置100と同じ構造の部分については、同一の番号を付して、その説明を省略する。
第二の実施形態の電動車両用変速装置200では、サンギヤ41は、遠心クラッチ20の出力部材25及び第一ワンウェイクラッチ30の第二部材30bに接続されている。キャリア43は、第二ワンウェイクラッチ50の第三部材50aに接続されている。リングギヤ44は、入力軸11に回転連結されるとともに、第二ワンウェイクラッチ50の第四部材50bに接続されている。第二ワンウェイクラッチ50の第三部材50aは、出力軸12に回転連結されている。第二ワンウェイクラッチ50の第四部材50bは、入力軸11に回転連結されている。
(第二の実施形態の電動車両用変速装置の動作)
次に、第二の実施形態の電動車両用変速装置200の動作について説明する。
[低速時]
レバー66b(図4示)が前進位置Dにある状態で、モータジェネレータMGが正回転し、モータジェネレータMG(入力軸11)が、遠心クラッチ20の「接続開始回転速度」より低い低回転速度にある場合には、入力部材21と出力部材25が相互に回転可能な状態にあり、サンギヤ41とリングギヤ44は相互に回転可能な状態となっている。この状態では、図10の(A)に示すように、リングギヤ44が正回転し、プラネタリギヤ42が正回転し、キャリア43はリングギヤ44の回転速度に対して減速して正回転する。なお、第一ワンウェイクラッチ30によって、サンギヤ41の逆回転方向の回転は阻止されるので(ロック状態)、サンギヤ41(第一ワンウェイクラッチ30)がキャリア43の正回転に伴う反力を受ける。また、出力軸12(キャリア43)の回転速度は、入力軸11(リングギヤ44)の回転速度よりも低いので、第二ワンウェイクラッチ50において、第四部材50bは第三部材50aに対して回転可能な状態にある(フリー状態)。
このように、レバー66bが、前進位置Dにある状態で、モータジェネレータMGが正回転し、モータジェネレータMGが低回転速度にある場合には、図6の(1)に示すように、入力軸11の回転トルクが、遊星歯車機構40によって減速されることにより増幅されて、出力軸12に伝達される。
[遷移時]
モータジェネレータMG(入力軸11)の回転速度が、「接続開始回転速度」より速くなると、遠心クラッチ20において、摩擦部材23の出力部材25への接触が開始し、入力部材21(入力軸11、リングギヤ44)と出力部材25(サンギヤ41)の回転差が徐々に小さくなる遷移領域(図6の(2))に移行する。
[高速時]
モータジェネレータMG(入力軸11)の回転速度が、「接続終了回転速度」より速くなると、遠心クラッチ20の入力部材21と出力部材25の同期が完了して、図10の(B)に示すように、サンギヤ41、キャリア43、及びリングギヤ44が一体回転し、出力軸12の回転速度が入力軸11の回転速度と同一となる高速領域に移行する(図6の(3))。なお、第一ワンウェイクラッチ30は、サンギヤ41が正回転する方向への回転を阻害しない(フリー状態)。
[回生時]
図示しないアクセルペダルが離されると、駆動輪Wからの正回転方向の回転トルク(逆駆動トルク)が、減速装置RGを介して、出力軸12に伝達される。この際には、第二ワンウェイクラッチ50がロック状態となるので、出力軸12(キャリア43)と入力軸11(サンギヤ41)とが一体回転し、モータジェネレータMGが正回転方向に回転される。すると、モータジェネレータMGが発電機として作動して、モータジェネレータMGで発電された電力は、インバータ1を介して、バッテリ2に充電される。この際に、モータジェネレータMGは、負方向の回転トルクを発生し、電動車両EVに回生制動力が付与される(回生時)。なお、第一ワンウェイクラッチ30は、サンギヤ41が正回転する方向への回転を阻害しない(フリー状態)。
もし仮に、第二ワンウェイクラッチ50が無い場合には、図10の(C)に示すように、出力軸12に正回転方向の回転トルクが入力されると、出力軸12と回転連結されたキャリア43に正回転方向の回転トルクが伝達される。しかし、サンギヤ41は、第一ワンウェイクラッチ30によって正回転方向には回転可能であるので、サンギヤ41が正回転方向に回転して空回りして、駆動輪Wからの回転トルクが入力軸11に伝達されない。
[下り坂停止時]
電動車両EVが下り坂で停止した場合には、駆動輪Wからの正回転方向の回転トルクが、減速装置RGを介して、出力軸12(キャリア43)に伝達される。この際に、第二ワンウェイクラッチ50がロック状態となるので、駆動輪Wからの正回転方向の回転トルクが、入力軸11を介して、モータジェネレータMGに伝達される。この際に、制御部3は、インバータ1に制御信号を出力することにより、モータジェネレータMGにおいて逆回転方向の回転トルクを発生させることにより、出力軸12の正回転方向の回転を阻止し、下り坂において電動車両EVが停止した際における、電動車両EVのずり下がりを防止する。
[登り坂停止時]
電動車両EVが登り坂で停止した場合には、駆動輪Wからの逆回転方向の回転トルクが、減速装置RGを介して、出力軸12(キャリア43)に伝達される。この際に、制御部3は、インバータ1に制御信号を出力することにより、モータジェネレータMGにおいて正回転方向の回転トルクを発生させることにより、リングギヤ44に正回転方向の回転トルクを伝達させて、出力軸12の逆回転方向の回転を阻止し、登り坂において電動車両EVが停止した際における、電動車両EVのずり下がりを防止する。
[後退時]
レバー66b(図4示)が後退位置Rにある状態で、モータジェネレータMG(入力軸11)が逆回転すると、第二ワンウェイクラッチ50がロック状態となり、入力軸11と出力軸12が一体回転し、モータジェネレータMGの逆回転方向の回転トルクが、入力軸11、第二ワンウェイクラッチ50、出力軸12、減速装置RG、最終出力軸13を介して、駆動輪Wに伝達され、電動車両EVが後退する。
第二ワンウェイクラッチ50がロック状態にあるので、サンギヤ41もまた、リングギヤ44及びキャリア43とともに逆回転方向に一体回転する。レバー66bが後退位置Rにある状態では、第一ワンウェイクラッチ30は、ハウジング10に対して回転可能な状態にあるので、第二部材30bに接続するサンギヤ41は、逆回転方向に回転することができる。
(第三の実施形態の電動車両用変速装置の構造)
以下、図11を用いて、第三の実施形態の電動車両用変速装置300について、第一の実施形態の電動車両用変速装置100と異なる点について説明する。なお、第三の実施形態の電動車両用変速装置300を構成する各要素のうち、第一の実施形態の電動車両用変速装置100と同じ構造の部分については、同一の番号を付して、その説明を省略する。
第三の実施形態の電動車両用変速装置300では、図11に示すように、遊星歯車機構40は、サンギヤ41と噛合する第一プラネタリギヤ42−1と、第一プラネタリギヤ42−1とリングギヤ44のインナーギヤ44aと噛合する第二プラネタリギヤ42−2を有するダブルピニオン式の遊星歯車機構である。キャリア43は、第一プラネタリギヤ42−1と第二プラネタリギヤ42−2を回転可能(自転可能)に軸支している。
サンギヤ41は、入力軸11に回転連結されるとともに、遠心クラッチ20の入力部材21に接続されている。キャリア43は、第一ワンウェイクラッチ30の第二部材30bに接続されている。リングギヤ44は、出力軸12に回転連結されている。第二ワンウェイクラッチ50の第三部材50aは、出力軸12(リングギヤ44)に回転連結されている。第二ワンウェイクラッチ50の第四部材50bは、入力軸11に回転連結されている。
(第三の実施形態の電動車両用変速装置の動作)
次に、第三の実施形態の電動車両用変速装置300の動作について説明する。
[低速時]
レバー66b(図4示)が前進位置Dにある状態で、モータジェネレータMGが正回転し、モータジェネレータMG(入力軸11)が、遠心クラッチ20の「接続開始回転速度」より低い低回転速度にある場合には、入力部材21と出力部材25が相互に回転可能な状態であり、サンギヤ41とキャリア43は相互に回転可能な状態となっている。この状態では、図12の(A)に示すように、キャリア43の逆回転方向の回転が、第一ワンウェイクラッチ30によって、阻止される(ロック状態)。そして、サンギヤ41が正回転方向に回転し、第一プラネタリギヤ42−1は、サンギヤ41の周囲を公転すること無く、逆回転方向に自転し、第二プラネタリギヤ42−2は、サンギヤ41の周囲を公転すること無く、正回転方向に自転する。そして、リングギヤ44が正回転方向に回転する。キャリア43(第一ワンウェイクラッチ30)は、リングギヤ44の正回転方向の回転に伴う反力を受ける。リングギヤ44の回転速度は入力軸11の回転速度よりも低いので、第二ワンウェイクラッチ50において、第四部材50bは第三部材50aに対して回転可能な状態にある(フリー状態)。
このように、レバー66bが、前進位置Dにある状態で、モータジェネレータMGが正回転し、モータジェネレータMGが低回転速度にある場合には、図6の(1)に示すように、入力軸11の回転トルクが、遊星歯車機構40によって減速されることにより増幅されて、出力軸12に伝達される。
[遷移時]
そして、モータジェネレータMG(入力軸11)の回転速度が、「接続開始回転速度」より速くなると、遠心クラッチ20において、摩擦部材23の出力部材25への接触が開始し、入力部材21(入力軸11、サンギヤ41)と出力部材25(キャリア43)の回転差が徐々に小さくなる遷移領域(図6の(2))に移行する。
[高速時]
次に、モータジェネレータMG(入力軸11)の回転速度が、「接続終了回転速度」より速くなると、遠心クラッチ20の入力部材21と出力部材25の同期が完了して、図12の(B)に示すように、サンギヤ41、キャリア43、及びリングギヤ44が一体回転し、出力軸12の回転速度が入力軸11の回転速度と同一となる高速領域に移行する(図6の(3))。なお、第一ワンウェイクラッチ30は、キャリア43が正回転する方向への回転を阻害しない(フリー状態)。
[回生時]
図示しないアクセルペダルが離されると、駆動輪Wからの正回転方向の回転トルク(逆駆動トルク)が、減速装置RGを介して、出力軸12に伝達される。この際には、第二ワンウェイクラッチ50がロック状態となるので、出力軸12(リングギヤ44)と入力軸11(サンギヤ41)とが一体回転し、モータジェネレータMGが正回転方向に回転される。すると、モータジェネレータMGが発電機として作動して、モータジェネレータMGで発電された電力は、インバータ1を介して、バッテリ2に充電される。この際に、モータジェネレータMGは、負方向の回転トルクを発生し、電動車両EVに回生制動力が付与される(回生時)。なお、第一ワンウェイクラッチ30は、キャリア43が正回転する方向への回転を阻害しない(フリー状態)。
もし仮に、第二ワンウェイクラッチ50が無い場合には、出力軸12に正回転方向の回転トルクが入力されると、出力軸12と回転連結されたリングギヤ44に正回転方向の回転トルクが伝達され、プラネタリギヤ42−1、42−2が回転する。キャリア43は、第一ワンウェイクラッチ30によって正回転方向には回転可能であるので、プラネタリギヤ42−1、42−2が回転に伴い、キャリア43が正回転方向に回転して空回りして、駆動輪Wからの回転トルクが入力軸11に伝達されない。
[下り坂停止時]
電動車両EVが下り坂で停止した場合には、駆動輪Wからの正回転方向の回転トルクが、減速装置RGを介して、出力軸12(リングギヤ44)に伝達される。この際に、第二ワンウェイクラッチ50がロック状態となるので、駆動輪Wからの正回転方向の回転トルクが、入力軸11を介して、モータジェネレータMGに伝達される。この際に、制御部3は、インバータ1に制御信号を出力することにより、モータジェネレータMGにおいて逆回転方向の回転トルクを発生させることにより、出力軸12の正回転方向の回転を阻止し、下り坂において電動車両EVが停止した際における、電動車両EVのずり下がりを防止する。
[登り坂停止時]
電動車両EVが登り坂で停止した場合には、駆動輪Wからの逆回転方向の回転トルクが、減速装置RGを介して、出力軸12(リングギヤ44)に伝達される。この際に、制御部3は、インバータ1に制御信号を出力することにより、モータジェネレータMGにおいて正回転方向の回転トルクを発生させることにより、リングギヤ44に正回転方向の回転トルクを伝達させて、出力軸12の逆回転方向の回転を阻止し、登り坂において電動車両EVが停止した際における、電動車両EVのずり下がりを防止する。
[後退時]
レバー66b(図4示)が後退位置Rにある状態で、モータジェネレータMG(入力軸11)が逆回転すると、第二ワンウェイクラッチ50がロック状態となり、入力軸11と出力軸12が一体回転し、モータジェネレータMGの逆回転方向の回転トルクが、入力軸11、第二ワンウェイクラッチ50、出力軸12、減速装置RG、最終出力軸13を介して、駆動輪Wに伝達され、電動車両EVが後退する。
第二ワンウェイクラッチ50がロック状態にあるので、キャリア43もまた、サンギヤ41及びリングギヤ44とともに逆回転方向に一体回転する。上述したように、レバー66bが後退位置Rにある状態では、第一ワンウェイクラッチ30は、ハウジング10に対して回転可能な状態にあるので、第二部材30bに接続するキャリア43は、逆回転方向に回転することができる。
(本実施形態の効果)
上述した説明から明らかなように、図1、図9、図11に示すように、本実施形態の電動車両用変速装置100、200、300は、遊星歯車機構40のうち、入力要素として作用する第一要素が入力軸11に回転連結されるとともに遠心クラッチ20の入力部材21に接続され、固定要素として作用する第二要素が第一ワンウェイクラッチ30の第二部材30bに接続されるとともに遠心クラッチ20の出力部材25に接続され、第一要素に対して減速された回転速度で回転する第三要素が最終出力軸13(出力軸)に回転連結されている。これにより、モータジェネレータMG(モータ)が正回転し、入力部材21の回転速度が「接続開始回転速度」よりも低い場合には、遠心クラッチ20が切断状態であり、第一要素と第二要素が、相対回転可能な状態であるので、遊星歯車機構40によって、入力軸11に入力された回転トルクが、減速されることにより増幅されて出力軸12に出力される。
一方で、モータジェネレータMGが正回転し、入力部材21の回転速度が、「接続終了回転速度」より速くなると、入力部材21に伝達される回転トルクが出力部材25に伝達され、遠心クラッチ20の入力部材21と出力部材25が同期して接続し、遊星歯車機構40の各要素が一体回転し、入力軸11に入力された回転トルクが、遊星歯車機構40によって減速されず、そのまま出力軸12に出力される。このように、入力部材21の回転速度、つまり、モータジェネレータMGの回転速度によって、遠心クラッチ20が断接することにより、入力軸11に入力された回転トルクが、遊星歯車機構40によって減速され又は減速されない構造を実現したので、変速のために電力を消費しない電動車両用変速装置100、200、300を提供することができる。
上述したように、遠心クラッチ20が断接することにより、入力軸11に入力された回転トルクが、遊星歯車機構40によって減速され又は減速されない構造の電動車両用変速装置100、200、300を実現したので、変速を実現するための油圧ポンプ、制御ソレノイド、制御回路等の要素部品が不要となり、電動車両用変速装置の構成を単純化することができ、電動車両用変速装置を小型化、軽量化することができ、さらには、コストダウンが可能となる。また、電動車両用変速装置の開発時において、制御バルブのチューニングが不要となり、開発工数を低減させることができる。
また、図1に示すように、第一の実施形態の電動車両用変速装置100では、遊星歯車機構40を構成する各要素のうち、入力要素として作用する第一要素はサンギヤ41であり、固定要素として作用する第二要素はリングギヤ44であり、前記第一要素の回転に対して減速された回転速度で回転する第三要素はキャリア43である。
これにより、モータジェネレータMG(モータ)が正回転し、入力部材21の回転速度が「接続開始回転速度」よりも低い場合には、遠心クラッチ20が切断状態であり、サンギヤ41とリングギヤ44が、相対回転可能な状態であるので、図5の(A)に示すように、サンギヤ41が正回転し、プラネタリギヤ42が逆回転し、キャリア43が正回転して、入力軸11に入力された回転トルクが、遊星歯車機構40によって減速されることにより増幅されて出力軸12に出力される。このように、モータジェネレータMGが正回転し、入力部材21の回転速度が「接続開始回転速度」よりも低い場合に、入力軸11に入力された回転トルクが、遊星歯車機構40によって増幅されて出力軸12に出力される電動車両用変速装置100を提供することができる。
また、図9に示すように、第二の実施形態の電動車両用変速装置200では、遊星歯車機構40を構成する各要素のうち、入力要素として作用する第一要素はリングギヤ44であり、固定要素として作用する第二要素はサンギヤ41であり、前記第一要素の回転に対して減速された回転速度で回転する第三要素はキャリア43である。
これにより、モータジェネレータMG(モータ)が正回転し、入力部材21の回転速度が「接続開始回転速度」よりも低い場合には、遠心クラッチ20が切断状態であり、リングギヤ44とサンギヤ41が、相対回転可能な状態であるので、図10の(A)に示すように、リングギヤ44が正回転し、プラネタリギヤ42が正回転し、キャリア43が正回転して、入力軸11に入力された回転トルクが、遊星歯車機構40によって減速されることにより増幅されて出力軸12に出力される。このように、モータジェネレータMGが正回転し、入力部材21の回転速度が「接続開始回転速度」よりも低い場合に、入力軸11に入力された回転トルクが、遊星歯車機構40によって減速されることにより増幅されて出力軸に出力される電動車両用変速装置200を提供することができる。
また、図11に示すように、第三の実施形態の電動車両用変速装置300では、入力要素として作用する第一要素はサンギヤ41であり、固定要素として作用する第二要素はキャリア43であり、前記第一要素の回転に対して減速された回転速度で回転する第三要素はリングギヤ44である。
これにより、モータジェネレータMG(モータ)が正回転し、入力部材21の回転速度が「接続開始回転速度」よりも低い場合には、遠心クラッチ20が切断状態であり、サンギヤ41とキャリア43が、相対回転可能な状態であるので、サンギヤ41が正回転し、サンギヤ41と噛合する第一プラネタリギヤ42−1が逆回転し、リングギヤ44と噛合する第二プラネタリギヤ42−2が正回転し、キャリア43が正回転して、入力軸11に入力された回転トルクが、遊星歯車機構40によって減速されることにより増幅されて出力軸12に出力される。このように、モータジェネレータMGが正回転し、入力部材21の回転速度が「接続開始回転速度」よりも低い場合に、入力軸11に入力された回転トルクが、遊星歯車機構40によって減速されることにより増幅されて出力軸に出力される電動車両用変速装置300を提供することができる。
また、図1、図9、図11に示す第二ワンウェイクラッチ50は、駆動輪Wから出力軸12に入力された回転トルクを入力軸11に伝達する。これにより、電動車両EVが減速した際に、第二ワンウェイクラッチ50によって、電動車両EVの運動エネルギーにより、駆動輪Wから出力軸12に入力された回転トルクが入力軸11に伝達される。このため、モータジェネレータMGが回転され、当該モータジェネレータMGによって発電することにより、電動車両EVの運動エネルギーを電力に回生させることができる。
また、図1、図9、図11に示す切替クラッチ60は、第一ワンウェイクラッチ30の第一部材30aとハウジング10(本体)との相対回転を許容するフリー状態に切り替えることができる。これにより、切替クラッチ60がフリー状態にある場合には、モータジェネレータMG(モータ)が逆回転したとしても、第一ワンウェイクラッチ30の第二部材30bが、ハウジング10に対して逆回転方向に回転することができるので、モータジェネレータMGを逆回転することにより、電動車両EVを後退させることができる。
図4に示すように、レバー66b(操作部材)は、切替クラッチ60の押圧部材64と、機械的要素であるケーブル67で接続されている。これにより、電力を使用することなく、切替クラッチ60のフリー状態とロック状態の切り替えることができる。このため、前進と後退を切り替えるために、バッテリ2の電力を消費することがないので、電動車両EVの航続距離を伸ばすことができる。
また、図1、図9、図11に示す減速装置RGは、入力軸11側から入力された回転を減速して、出力軸12側に出力する。これにより、減速装置RGを適切な減速比に設定することにより、モータジェネレータMG(モータ)の効率の良い回転領域で、電動車両EVを走行させることができ、電動車両EVの航続距離を伸ばすことができる。
また、図1、図9、図11に示すように、減速装置RGは、遠心クラッチ20と最終出力軸13(出力軸)との間に設けられている。これにより、減速装置RGが遠心クラッチ20よりも入力軸11側に無く最終出力軸13側にあるので、遠心クラッチ20の入力部材21に入力される回転トルクが、減速装置RGで増幅されて遠心クラッチ20に入力されることがない。このため、入力部材21に入力される過大な回転トルクに起因する遠心クラッチ20の滑りを防止することができる。
また、図2に示すように、遠心クラッチ20は、入力部材21の回転が伝達される摩擦部材23を有し、入力部材21の回転速度が「接続開始回転速度」以上になった場合には、摩擦部材23が出力部材25に接触する。これにより、入力部材21の回転速度が「接続開始回転速度」より速くなると、摩擦部材23の出力部材25への接触が開始し、入力部材21と出力部材25の回転差が徐々に小さくなる遷移領域に移行し、入力部材21の回転速度が「接続終了回転速度」より速くなると、遠心クラッチ20の入力部材21と出力部材25の同期が完了し、低速側から高速側への変速が完了する。このように、低速側から高速側へ変速する際に、遷移領域において、入力部材21と出力部材25の回転差が徐々に小さくなるので、低速側から高速側へ変速する際の変速ショックを抑制することができる。また、変速ショックを抑制することができるので、電動車両用変速装置100、200、300の低速側の減速比を大きく設定することができ、モータジェネレータMGのモータとしての効率の良い回転領域で、電動車両EVを走行させることができる。
(別の実施形態)
なお、以上説明した実施形態では、動力としてモータジェネレータMGのみを有する電動車両EVについて、本発明の電動車両用変速装置100、200、300を説明した。しかし、動力としてモータジェネレータMGに加えて、エンジンを有する電動車両EV(ハイブリッド車両)にも、本発明の電動車両用変速装置100、200、300の技術的思想が適用可能なことは言うまでもない。
また、以上説明した実施形態では、モータ及び発電機の両方の機能を有するモータジェネレータMGを用いた電動車両EVについて、本発明の電動車両用変速装置100、200、300を説明した。しかし、モータジェネレータMGの代わりに、駆動輪Wに回転トルクを付与するモータを有する電動車両EVにも、本発明の電動車両用変速装置100、200、300の技術的思想が適用可能なことは言うまでもない。
また、以上説明した実施形態では、リングギヤ44には、その内周側にインナーギヤ44aが形成されている。しかし、インナーギヤ44aに代わりに、その外周側にアウターギヤが形成され、キャリア43に自転可能に軸支されたプラネタリギヤが前記アウターギヤ及びサンギヤ41に噛合する実施形態であっても差し支え無い。
また、以上説明した実施形態では、遠心クラッチ20は、入力部材21に揺動可能に取り付けられたウェート22の外周面に摩擦部材23が形成された構成である。しかし、遠心クラッチ20は、この構成に限定されず、入力部材21と一体回転するクラッチディスクと、当該クラッチディスクと離接可能に対向し、出力部材25一体回転するクラッチディスクを有し、入力部材21にカム状のウェートが設けられ、入力部材21が回転した際に、入力部材21に取り付けられたウェートが、いずれか一方のクラッチディスクを押圧して、入力部材21に伝達される回転トルクが出力部材25に伝達されるように構成されている遠心クラッチであっても差し支え無い。
以上説明した実施形態では、摩擦部材23は、ウェート22に取り付けられ、出力部材25の内周面と接触するように構成されている。しかし、入力部材21の回転速度が「接続開始回転速度」以上になった場合に、遠心力により、摩擦部材23が出力部材25と一体回転する部材に接触するように構成されている遠心クラッチ20であっても差し支え無い。
また、以上説明した実施形態では、電動車両EVは、後退走行を有する4輪以上の車両である。しかし、電動車両EVが、後退走行を有さない二輪車である場合には、切替クラッチ60は不要である。
また、以上説明した実施形態では、レバー66bと、押圧部材64はケーブル67によって連結されている。しかし、レバー66bと押圧部材64が、ギヤ等の機械的要素で接続されていても差し支え無い。或いは、電気や油圧により、押圧部材64を移動させる実施形態であっても差し支え無い。
以上説明した実施形態では、最終出力軸13は、駆動輪Wに接続している。しかし、最終出力軸13に回転連結するデファレンシャルによって、駆動力が左右に駆動輪Wに分割される電動車両EVであっても差し支え無い。
10…ハウジング(本体)、11…入力軸、12…出力軸、13…最終出力軸(出力軸)
20…遠心クラッチ、21…入力部材、23…摩擦部材、25…出力部材
30…第一ワンウェイクラッチ、30a…第一部材、30b…第二部材
40…遊星歯車機構、41…サンギヤ(第一要素、第二要素、第三要素)、42…プラネタリギヤ、43…キャリア(第一要素、第二要素、第三要素)、44…リングギヤ(第一要素、第二要素、第三要素)
50…第二ワンウェイクラッチ、60…切替クラッチ、66…レバー(操作部材)
100…第一の実施形態の電動車両用変速装置
200…第二の実施形態の電動車両用変速装置
300…第三の実施形態の電動車両用変速装置
EV…電動車両、MG…モータジェネレータ(モータ)、RG…減速ギヤ、W…駆動輪

Claims (10)

  1. モータによって駆動輪が駆動される電動車両に用いられる変速装置であって、
    前記モータに回転連結される入力軸と、
    前記駆動輪に回転連結される出力軸と、
    前記入力軸及び前記出力軸が回転可能に軸支される本体と、
    前記入力軸に回転連結された入力部材と、前記入力部材に対して相対回転可能に配設された出力部材とを有し、前記入力部材の回転速度が接続開始回転速度以上になった場合には、前記入力部材に伝達される回転トルクが前記出力部材に伝達されるように構成されている遠心クラッチと、
    前記入力軸と前記出力軸の間に配設され、入力要素として作用する第一要素、固定要素として作用する第二要素、及び前記第一要素の回転に対して減速された回転速度で回転する第三要素を有する遊星歯車機構と、
    前記本体に固定された第一部材と、前記第一部材に対して正回転方向には回転可能であり、且つ、前記第一部材に対して逆回転方向には回転不能である第二部材を有する第一ワンウェイクラッチと、を有し、
    前記第一要素が前記入力軸に回転連結されとともに前記入力部材に接続され、
    前記第二要素が前記第二部材に接続されるとともに前記出力部材に接続され、
    前記第三要素が前記出力軸に回転連結されている電動車両用変速装置。
  2. 請求項1において、
    前記遊星歯車機構は、シングルピニオン式であり、
    前記第一要素は、サンギヤであり、
    前記第二要素は、リングギヤであり、
    前記第三要素は、キャリアである電動車両用変速装置。
  3. 請求項1において、
    前記遊星歯車機構は、シングルピニオン式であり、
    前記第一要素は、リングギヤであり、
    前記第二要素は、サンギヤであり、
    前記第三要素は、キャリアである電動車両用変速装置。
  4. 請求項1において、
    前記遊星歯車機構は、ダブルピニオン式であり、
    前記第一要素は、サンギヤであり、
    前記第二要素は、キャリアであり、
    前記第三要素は、リングギヤである電動車両用変速装置。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかにおいて、
    前記入力軸と前記出力軸の間に設けられ、前記モータから前記入力軸に入力された前記電動車両が前進する方向の回転トルクは前記出力軸に伝達しないが、前記駆動輪から前記出力軸に入力された回転トルクを前記入力軸に伝達する第二ワンウェイクラッチを、有する電動車両用変速装置。
  6. 請求項5において、
    前記本体と前記第一部材の間に設けられ、前記第一部材と前記本体との相対回転を許容するフリー状態と、前記第一部材と前記本体の相対回転を許容しないロック状態とを切り替える切替クラッチを、有する電動車両用変速装置。
  7. 請求項6において、
    前進位置と後退位置間を移動し、前記切替クラッチと機械的要素で接続された操作部材を有し、
    前記操作部材を前記前進位置に移動させると前記切替クラッチが前記ロック状態となり、
    前記操作部材を前記後退位置に移動させると前記切替クラッチが前記フリー状態となるように構成されている電動車両用変速装置。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれかにおいて、
    前記入力軸と前記出力軸との間に設けられ、前記入力軸側から入力された回転を減速する減速装置を有する電動車両用変速装置。
  9. 請求項8において、
    前記減速装置は、前記遠心クラッチと前記出力軸との間に設けられている電動車両用変速装置。
  10. 請求項1〜請求項9のいずれかにおいて、
    前記遠心クラッチは、前記入力部材の回転が伝達される摩擦部材を有し、前記入力部材の回転速度が前記接続開始回転速度以上になった場合には、前記摩擦部材が前記出力部材又は前記出力部材と一体回転する部材に接触するように構成されている電動車両用変速装置。
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