JP2009260304A - 金属用研磨液、及び研磨方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】迅速なCMP速度が得られ、且つディッシングが少なく、被研磨面の平坦性を向上させることができる金属用研磨液、及び研磨方法を提供する。
【解決手段】(a)平均一次粒子径が10〜25nmの範囲であり、且つ、平均二次粒子径が50〜70nmの範囲であるコロイダルシリカ粒子、(b)金属防食剤、(c)界面活性剤、または水溶性高分子化合物から選ばれた1種以上の化合物、(d)酸化剤、および(e)有機酸を含み、半導体デバイスの製造工程における銅又は銅合金からなる導体膜の化学的機械的研磨に用いられることを特徴とする金属用研磨液。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属用研磨液及びこれを用いた研磨方法に関し、特に半導体デバイス製造に好適な金属用研磨液、及びこれを用いた研磨方法に関する。
近年、半導体集積回路(以下、適宜「LSI」と称する。)で代表される半導体デバイスの開発においては、小型化・高速化のため、配線の微細化と積層化による高密度化・高集積化が求められている。このための技術としては、化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing、以下、適宜「CMP」と称する。)等の種々の技術が用いられてきている。CMPは、半導体デバイスの製造において、絶縁性薄膜(SiOなど)や配線に用いられる金属薄膜の研磨に用いられ、基板の平滑化や配線形成時の余分な金属薄膜の除去を行う方法である(例えば、特許文献1参照)。
CMPに用いる金属用研磨液は、一般には、砥粒(例えばアルミナ)と酸化剤(例えば過酸化水素)とを含むものである。CMPによる研磨のメカニズムとしては、酸化剤によって金属表面を酸化し、その酸化皮膜を砥粒で除去することで研磨していると考えられている(例えば、非特許文献1参照)。
しかしながら、このような固体砥粒を含む金属用研磨液を用いてCMPを行うと、研磨傷(スクラッチ)、研磨面全体が必要以上に研磨される現象(シニング)、研磨金属面が平面状ではなく、中央のみがより深く研磨されて皿状のくぼみを生ずる現象(ディッシング)、金属配線間の絶縁体が必要以上に研磨されたうえ、複数の配線金属面表面が皿状の凹部を形成する現象(エロージョン)などが発生することがある。
また、固体砥粒を含有する金属用研磨液の使用は、研磨後に半導体面に残留する研磨液を除去するために通常行なわれる洗浄工程において、その洗浄工程が複雑となり、さらにその洗浄後の液(廃液)を処理するには固体砥粒を沈降分離する必要があるなどコスト面での問題点が存在する。
このような従来の固体砥粒における問題点を解決するために、例えば、砥粒を含まない研磨液とドライエッチングとの組み合わせによる金属表面研磨方法が開示されている(例えば、非特許文献2参照)。また、砥粒を含まない金属用研磨液として、例えば、過酸化水素/リンゴ酸/ベンゾトリアゾール/ポリアクリル酸アンモニウム及び水からなる金属用研磨液、及びそれを用いた研磨方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。これら文献に記載の研磨方法によれば、半導体基体の凸部の金属膜が選択的にCMPされ、凹部に金属膜が残されて所望の導体パターンが得られるものの、従来の固体砥粒を含むよりもはるかに機械的に柔らかい研磨パッドとの摩擦によってCMPが進むため、充分な研磨速度が得難いという問題点がある。
配線用の金属としては、従来からタングステン及びアルミニウムがインターコネクト構造体に汎用されてきた。しかしながら、更なる高性能化を目指し、これらの金属より配線抵抗の低い銅を用いたLSIが開発されるようになった。この銅を配線する方法としては、例えば、ダマシン法が知られている(例えば、特許文献3参照)。また、コンタクトホールと配線用溝とを同時に層間絶縁膜に形成し、両者に金属を埋め込むデュアルダマシン法が広く用いられるようになってきた。このような銅配線用のターゲット材としては、ファイブナイン以上の高純度銅ターゲット材が用いられてきた。しかしながら、近年は、更なる高密度化を目指す配線の微細化に伴って、銅配線の導電性や電子特性などの向上が必要となり、それに伴って高純度銅に第3成分を添加した銅合金を用いることも検討されはじめてきている。同時に、これらの高精細で高純度の材料を汚染させることなく高生産性を発揮し得る高速金属研磨手段が求められている。
また、最近は生産性向上のため、LSI製造時のウエハ径が大型化しており、直径200mm以上のものが汎用であり、300mm以上の大きさでの製造も開始され始めてきた。このようなウエハの大型化に伴い、ウエハ中心部と周辺部とでの研磨速度の差が生じ易くなり、研磨後における被研磨面の均一性を達成することが重要になってきている。
銅及び銅合金に対して機械的研磨手段を用いない化学研磨方法として、化学的溶解作用を利用した方法が知られている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、化学的溶解作用のみによる化学研磨方法は、凸部の金属膜が選択的に化学的機械的に研磨されるCMPに比べ、凹部の削れ込み、即ち、ディッシングなどの発生により、その平面性に大きな課題が残っている。
また、研磨パッドの劣化を抑える有機化合物を含有する化学機械研磨用水系分散体が開示されている(例えば、特許文献5参照)。しかしながら、この研磨用水系分散体によっても、配線部金属が過剰に研磨されて皿上に窪むディッシング現象に対する懸念が残る。
その他にも研磨面の平坦化を目的として、ウエハ表面を修正するのに有用なイミノ二酢酸とその塩から選ばれるキレート剤を含有する加工液(例えば、特許文献6参照)、α−アミノ酸を含有する化学機械研磨組成物(例えば、特許文献7参照)などが提案されている。
また、通常は、銅配線を高速研磨により実施した後、銅配線のバリア金属としてしばしば用いられるタンタルやその合金類と銅とを精密研磨して、配線近傍の平滑化を行うことが一般的である。このため、銅研磨の終了時において、銅が削れやすく、タンタルが削れにくいという、銅とタンタルとの研磨選択性(以下、適宜、銅/タンタル研磨選択性と称する。)を有する研磨液の実現が望まれているのが現状である。
しかしながら、従来の研磨方法では、第二の研磨工程で導体膜がウエハ上に残らないように過剰な時間の研磨を行う。このため、第二の研磨工程後の被研磨面には、配線溝に対応する箇所の導体膜の表面がバリア金属膜の表面に比べて内側へ後退する現象、所謂ディッシングが発生する。
米国特許第4944836号公報 特開2001−127019号公報 特開平2−278822号公報 特開昭49−122432号公報 特開2001−279231号公報 特表2002−538284号公報 特表2003−507894号公報
ジャーナル・オブ・エレクトロケミカルソサエティ誌(Journal of Electrochemical Society)、1991年、第138巻、第11号、3460〜3464頁 ジャーナル・オブ・エレクトロケミカルソサエティ誌(Journal of Electrochemical Society)、2000年、第147巻、第10号、3907〜3913頁
本発明は、前記従来技術における問題点に鑑みてなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、迅速なCMP速度が得られ、且つディッシングが少なく、被研磨面の平坦性を向上させることが可能な金属用研磨液、及びそれを用いた研磨方法を提供することにある。
本発明者は鋭意検討した結果、下記の金属用研磨液及びそれを用いた研磨方法により、前記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の金属用研磨液、及びそれを用いた研磨方法は、以下の通りである。
<1> (a)平均1次粒子径が10〜25nmの範囲であり、且つ、平均2次粒子径が50〜70nmの範囲であるコロイダルシリカ粒子
(b)金属防食剤
(c)界面活性剤、または水溶性高分子化合物から選ばれた1種以上の化合物
(d)酸化剤
(e)有機酸
を含み、半導体デバイスの製造工程における銅又は銅合金からなる導体膜の化学的機械的研磨に用いられることを特徴とする金属用研磨液。
<2> 前記(b)金属防食剤が、下記一般式(I)で示されるベンゾトリアゾール誘導体である<1>に記載の金属用研磨液。
Figure 2009260304
一般式(I)中、Rは、水素原子、または炭素数1〜10のアルキル基を表す。R、R、R、及びRは、それぞれ独立に水素原子、または1価の置換基を表す。
<3> 前記ベンゾトリアゾール誘導体が、1−(1,2−ジカルボキシエチル)ベンゾトリアゾール、1−(2,3ジヒドロキシプロピル)ベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(ヒドロキシジエチル)アミノメチル]−ベンゾトリアゾール、1−(ヒドロキシメチル)ベンゾトリアゾールより選択される1種類以上を含有する<2>に記載の金属用研磨液。
<4> 前記(c)界面活性剤が、ポリオキシエチレン基を有したカルボン酸系界面活性剤、スルホン酸系界面活性剤、リン酸エステル系界面活性剤、硫酸エステル系界面活性剤、およびR−C≡C−R(R、及びRは置換基を有するアルキル基を表す)の群から選択される1種類以上を含み、半導体デバイスの製造工程において、バリア金属膜が露出するまで銅又は銅合金からなる導体膜を研磨する第二の研磨工程で用いることを特徴とする<1>から<3>のいずれか1項に記載の金属用研磨液。
<5>(a)平均1次粒子径が10〜25nmの範囲であり、且つ、平均2次粒子径が50〜70nmの範囲であるコロイダルシリカ粒子
(b)金属防食剤
(c)界面活性剤、または水溶性高分子化合物から選ばれた1種以上の化合物
(d)酸化剤
(e)有機酸
を含む金属用研磨液を用いて、半導体デバイス製造において主として銅または銅合金からなる導体膜を化学的機械的に研磨することを特徴とする研磨方法。
本発明では、コロイダルシリカを砥粒として用い、金属防食剤、界面活性剤もしくは水溶性高分子化合物、酸化剤、および有機酸を併用することによって、高い研磨速度が得られ、且つディッシングが小さい金属用研磨液が得られた。これはコロイダルシリカの1次粒子サイズと、凝集した2次粒子サイズとを一定の範囲に制御することによって、研磨速度とディッシングを制御することができ、研磨液の能を引き上げたためと推定される。
本発明によれば、迅速なCMP速度が得られ、且つディッシングが少なく、被研磨面の平坦性を向上させることが可能な金属用研磨液、及びそれを用いた研磨方法を提供することができる。
以下、本発明の具体的態様について説明する。
[金属用研磨液]
本発明の金属用研磨液は、半導体デバイスの製造工程において、主として銅、又は銅合金からなる導体膜の化学的機械的研磨に用いる金属用研磨液であって、(a)平均1次粒子径が10〜25nmであり、且つ、平均2次粒子径が50〜70nmであるコロイダルシリカ粒子(以下、「特定コロイダルシリカ」と称することがある。)、(b)金属防食剤、(c)界面活性剤または水溶性高分子化合物、(d)酸化剤、および(e)有機酸を含有することを特徴とする。
以下、本発明の金属用研磨液に含まれる各構成成分について順次説明する。
(a)特定コロイダルシリカ
本発明に用いられる(a)特定コロイダルシリカの平均1次粒子径は、電子顕微鏡(日立ハイテクノロジー社製 走査型電子顕微鏡 S4800)で撮影した写真を用いて、粒子全体の形状を把握した後、1次粒子の粒径が確認できる方向から粒子を観察し、任意に選択した100個以上の粒子においてその粒径を測定し、平均することから求めた。
(a)特定コロイダルシリカの平均1次粒子径は10nm〜25nmの範囲であることを要し、15nm〜25nmの範囲であることが好ましく、20nm〜25nmの範囲であることがより好ましい。
コロイダルシリカの平均1次粒子径が10nmに満たない場合には、導体膜の研磨速度は低い値を示す。また、30nmを超えた場合においては、ディッシングが悪化する。
本発明に用いられる(a)特定コロイダルシリカの平均2次粒子径は、例えば、動的光散乱法により測定される純水中に分散したコロイダルシリカの平均粒子径(2次粒子径)を意味する。本発明においては、動的光散乱法による平均粒径測定は、動的光散乱式粒径分布測定装置(堀場製作所製 LB500)を用いて行い、この装置により測定した値を採用している。
(a)特定コロイダルシリカの平均2次粒子径は50nm〜70nmであることを要し、55nm〜65nmであることが好ましく、60nm〜65nmであることがより好ましい。
(a)特定コロイダルシリカとして、前記した平均1次粒子径を有し、且つ、平均2次粒子径を上記範囲に制御したものを選択することで、ディッシングが効果的に抑制されるという利点が得られる。
(a)特定コロイダルシリカとしては、市販品も用いることができ、例えば、扶桑化学社製コロイダルシリカで、商品名:PL−1H(1次粒子径:15nm,2次粒子径:55nm)、PL−2(1次粒子径:25nm,2次粒子径:50nm)、PL−2H(1次粒子径:25nm,2次粒子径:60nm)、などが、本発明に規定される(a)特定コロイダルシリカ粒子の粒径を有し、これらを本発明に適用できる。
このような1次粒子径、2次粒子径のいずれをも満足させる特定コロイダルシリカは、市販品として、この範囲にあるものを選択するほか、常法に従って調製することができる。
本発明で用いる(a)特定コロイダルシリカは、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
本発明で用いる(a)特定コロイダルシリカの添加量は、研磨に使用する際の金属用研磨液(即ち、水または水溶液で希釈する場合は希釈後の金属用研磨液)中に、0.005〜5質量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.008〜2質量%の範囲である。
(b)金属防食剤
金属防食剤は、導体膜を過酸化水素による腐食から保護することにより、導体膜表面の腐食、それに起因する導体膜欠陥の発生やエロージョンを抑制することができ、さらに、金属防食剤は導体膜表面の保護作用によって導体膜の過剰の研磨を抑制してディッシングの発生を抑制することができる。
本発明に用いうる(b)金属防食剤としては、下記一般式(I)で示されるベンゾトリアゾール類(ベンゾトリアゾール及びその誘導体)が、好ましく挙げられる。
Figure 2009260304
(一般式(I)中、Rは、水素原子、または炭素数1〜10のアルキル基を表す。R、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子または1価の置換基を表す。)
一般式(I)において、Rがアルキル基を表す場合、さらに置換基を有していてもよく、アルキル基に導入可能な置換基としては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルキル基、アミノ基、スルホ基、及びアルコキシル基、等を挙げることができる。好ましくは、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基であり、より好ましくはアミノ基である。さらにアミノ基は、置換または無置換のアルキル基を有していることが好ましい。アミノ基が有するアルキル基が有してもよい置換基は、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、スルホ基、及びアルコキシル基、等を挙げることができる。好ましくは、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基であり、より好ましくはヒドロキシル基である。
が、水素原子である場合も好ましい。
、R、R及びRである1価の置換基には、特に制限はないが、好ましくは、炭素数1〜8のアルキル基、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基、カルバモイル基、およびアミド基である。より好ましくは炭素数1〜5のアルキル基であり、特に好ましくはメチル基である。
、R、R及びRが、水素原子である場合も好ましい。
以下に、一般式(I)で表される化合物の具体例〔例示化合物(I−1)〜(I−15)〕を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2009260304
前記ベンゾトリアゾール誘導体として、特に研磨速度と平坦性が良好である点で、1−(1,2−ジカルボキシエチル)ベンゾトリアゾール、1−(2,3ジヒドロキシプロピル)ベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(ヒドロキシジエチル)アミノメチル]−ベンゾトリアゾール、1−(ヒドロキシメチル)ベンゾトリアゾールが好ましい。
また、本発明に用いられる金属防食剤としては、前記一般式(I)で表されるベンゾトリアゾール誘導体の他、例えば、導体膜を過酸化水素による腐食から保護することができる窒素を含むヘテロ環化合物を用いることもできる。
本発明において金属防食剤として好適なヘテロ環化合物としては、好ましくは5員のヘテロ環化合物が挙げられ、より好ましくはアゾール類である。アゾール類の中にはイミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾールがあり、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾールが好ましい。ここでいうテトラゾールとは、前記一般式(I)で表されるテトラゾール以外のテトラゾール類をも包含するものである。
イミダゾールとしては、イミダゾール、ベンズイミダゾール、1−ビニルイミダゾール、1−フェニルイミダゾール、1−ブチルイミダゾール、1−ベンジルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−アミノベンゾイミダゾール、2−アミノ−4,5−ジシアノイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、4−イミダゾールカルボン酸、5−ニトロベンズイミダゾール、N−(n−ブチル)イミダゾール、が挙げられる。
トリアゾールとしては、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、トリルトリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3−トリアゾール−4,5ジカルボン酸、1−メチルベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−ニトロ−1,2,4−トリアゾール、5−ニトロベンゾトリアゾール、が挙げられる。
テトラゾールとしては、5−アミノテトラゾール、5−メチルテトラゾール、テトラゾール5酢酸、テトラゾール1酢酸、が挙げられる。
また、下記一般式(II)で表される化合物を、本発明の金属防食剤に併用することができる。
Figure 2009260304
一般式(II)中、XおよびXは、少なくとも一つの窒素原子を含有するヘテロ環を表し、Lは二価の連結基を表す。
一般式(II)のXおよびXで表される含窒素ヘテロ環としては、例えば、ピロール環、ピラン環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピロリジン環、ピラゾリジン環、イミダゾリジン環、イソオキサゾリジン環、イソチアゾリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、インドリン環、イソインドリン環、ピリンジン環、インドリジン環、インドール環、インダゾール環、プリン環、キノリジン環、イソキノリン環、キノリン環、ナフチリジン環、フタラジン環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、プテリジン環、アクリジン環、ペリミジン環、フェナントロリン環、カルバゾール環、カルボリン環、フェナジン環、アンチリジン環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、トリアジン環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、テトラゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ベンゾフロキサン環、ナフトイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、テトラアザインデン環等が挙げられ、好ましくはテトラゾール環、1,2,4−トリアゾール環、1,2,3−トリアゾール環、および、ベンゾトリアゾール環であり、より好ましくは、テトラゾール環、および1,2,3−トリアゾール環である。
また、XおよびXは同じであっても、異なっていても良い。
一般式(II)のLで表される二価の連結基としては、炭素数1〜15の範囲であればよく、アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,1,3−トリメチルへキシレン基等)、アリーレン基(例えば、p−フェニレン基、m−フェニレン基、ナフタレン基等)、ヘテロ環基(例えば、ピリジン環連結基、トリアジン環連結基、トリアゾール環連結基、チアジアゾール環連結基等)、ウレイド基、アミド基、エステル基、カルボネート基、カルバメート基、スルホンアミド基、チオウレイド基、エーテル基、チオエーテル基、および、アミノ基等が挙げられる。また、これらの基が二つ以上連結して構成される二価の連結基であってもよい。
Lで表される二価の連結基としては、例えば、以下に示す連結基等が挙げられる。
Figure 2009260304
また、一般式(II)中の連結基Lには、本発明の効果を損なわない限りにおいて、さらに置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子)、アルキル基(直鎖、分岐又は環状のアルキル基であり、ビシクロアルキル基のように多環アルキル基であっても、活性メチン基を含んでもよい)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基(置換基を有するカルバモイル基としては、例えば、N−ヒドロキシカルバモイル基、N−アシルカルバモイル基、N−スルホニルカルバモイル基、N−カルバモイルカルバモイル基、チオカルバモイル基、N−スルファモイルカルバモイル基)、カルバゾイル基、カルボキシ基又はその塩、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、カルボンイミドイル基、ホルミル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基若しくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシ若しくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル、アリール、又はヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、N−ヒドロキシウレイド基、イミド基、(アルコキシ若しくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、N−(アルキル若しくはアリール)スルホニルウレイド基、N−アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、ヒドロキシアミノ基、ニトロ基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えば、ピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、イソシアノ基、イミノ基、メルカプト基、(アルキル、アリール、又はヘテロ環)チオ基、(アルキル、アリール、又はヘテロ環)ジチオ基、(アルキル又はアリール)スルホニル基、(アルキル又はアリール)スルフィニル基、スルホ基、スルファモイル基(置換基を有するスルファモイル基としては、例えば、N−アシルスルファモイル基、N−スルホニルスルファモイル基)、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が挙げられる。
これらの中で、特にLで表される二価の連結基中にウレイド基、アミド基、エステル基、カルボネート基、カルバメート基、スルホンアミド基、エーテル基、チオエーテル基、および、ヘテロ環基が含有される連結基、および、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基などが置換した二価の連結基が好ましい。さらに好ましくは、ウレイド基、アミド基、エーテル基、および、アミノ基が含有される連結基、および、ヒドロキシル基が置換した連結基である。
これらが連結基の化合物を、本発明の金属防食剤に併用すると研磨速度と平坦性とが、さらに良好である。
以下に本発明の一般式(II)で表される化合物の具体例〔例示化合物(II−1)〜(II−20)〕を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2009260304
Figure 2009260304
Figure 2009260304
前記一般式(II)中、XおよびXで表されるヘテロ環が、テトラゾール、1,2,4−トリアゾール、1,2,3−トリアゾール、もしくは、ベンゾトリアゾールであると、研磨速度と平坦性とが良好で特に好ましい。
本発明で用いる金属防食剤は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。また、これら化合物は、常法に従って合成できるほか、前述の如く市販品を使用してもよい。
本発明で用いる金属防食剤の添加量は、いずれの態様をとるものであっても、総量として、研磨に使用する際の金属用研磨液(即ち、水または水溶液で希釈する場合は希釈後の金属用研磨液)1L中、0.000001〜1.0molの範囲が好ましく、より好ましくは0.000005〜0.5molの範囲、更に好ましくは0.00001〜0.05molの範囲である。
(c)界面活性剤、または水溶性高分子化合物
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤が好ましい。アニオン性界面活性剤としては、カルボン酸系、スルホン酸系、リン酸エステル系、硫酸エステル系及びそれらの混合系界面活性剤が好ましく、特にカルボン酸系及び硫酸エステル系界面活性剤が好ましい。また、置換基としてはポリオキシエチレン基が特に好ましい。
カルボン酸系界面活性剤としては、−CONR−基(Rは、H、またはメチル基を表す。)を有するものが好ましい。例えば、N−アシルアミノ酸塩(例えば、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン、ラウロイルサルコシンカリウム、オレイルサルコシン、ラウロイルメチルアラニンナトリウム)、が挙げられる。
スルホン酸系界面活性剤としては、フェニル基、−CONR−基(Rは、H、または炭素数1〜3のアルキル基を表す。)、及び−COO−基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を有するものが好ましい。例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ジ(あるいはモノ)アルキルスルホコハク酸(例えば、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、炭素数12〜14のアルキルエーテル−ポリオキシエチレン4付加体のスルホコハク酸二ナトリウム)、などが挙げられる。
リン酸エステル系界面活性剤としては、ポリオキシエチレン基、またはフェニル基を有するものが好ましい。例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸(例えば、ジ−(ポリオキシエチレン10付加体)のラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ジ(ポリオキシエチレン2付加体−炭素数12〜15のアルキルエーテルリン酸)、などが挙げられる。
硫酸エステル系界面活性剤としては、ポリオキシエチレン基、または−CONR−基(Rは、Hまたはメチル基を表す。)を有するものが好ましい。例えば、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン)、などが挙げられる。
これらのアニオン性界面活性剤は、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩)、アンモニウム塩、及びアミン塩(例えば、トリエタノールアミン塩)を形成していてもよい。好ましくはアミン塩であり、特に好ましくはトリエタノールアミン塩である。
また、分子内に三重結合を有する界面活性剤を併用することが好ましい。好ましくは、R−C≡C−R(R、及びRは、置換基を有するアルキル基表す)で表されるものである。例えば、ジイソブチルジメチルブチンジオールポリオキシエチレングリコールエーテル、などが挙げられる。
界面活性剤の含有量としては、研磨に使用する際の金属用研磨液に対し、0.005質量%から0.5質量%が好ましく、0.05〜0.3質量%がより好ましい。含有量が0.005質量%未満ではディッシングを充分に低減することができない。また、0.5質量%を越えると、導体膜の研磨速度が低下する。
水溶性高分子化合物としては、多糖類、又は重量平均分子量20000〜400000のポリビニルアルコールが望ましい。この場合、多糖類としては、例えば澱粉、アミロペクチン、グリコゲン等の貯蔵多糖類、セルロース、ペクチン、ヘミセルロース等の構造多糖類、プルラン、エルシナン等の細胞外多糖類等のうち少なくとも1種が望ましい。これらのうち、研磨速度を充分に抑制する観点からプルランが特に望ましい。水溶性高分子化合物の含有量は、研磨速度の低下を充分に抑制するという観点から研磨に使用する際の金属用研磨液に対し、0.0005質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましい。
上記した界面活性剤、および水溶性高分子化合物は、いずれか単独で用いても良いし、併用することもできる。
(d)酸化剤
本発明の金属用研磨液は、被研磨物の金属を酸化する酸化剤を含有する。
(d)酸化剤としては、例えば、過酸化水素、過酸化物、硝酸塩、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸塩、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、過硫酸塩、重クロム酸塩、過マンガン酸塩、オゾン水及び銀(II)塩、鉄(III)塩が挙げられる。
鉄(III)塩としては、例えば、硝酸鉄(III)、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、臭化鉄(III)など無機の鉄(III)塩の他、鉄(III)の有機錯塩が好ましく用いられる。
鉄(III)の有機錯塩を用いる場合、鉄(III)錯塩を構成する錯形成化合物としては、例えば、酢酸、クエン酸、シュウ酸、サリチル酸、ジエチルジチオカルバミン酸、コハク酸、酒石酸、グリコール酸、グリシン、アラニン、アスパラギン酸、チオグリコール酸、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1、2−エタンジチオール、マロン酸、グルタル酸、3−ヒドロキシ酪酸、プロピオン酸、フタル酸、イソフタル酸、3−ヒドロキシサリチル酸、3、5−ジヒドロキシサリチル酸、没食子酸、安息香酸、マレイン酸などやこれらの塩の他、アミノポリカルボン酸及びその塩が挙げられる。
アミノポリカルボン酸及びその塩としては、エチレンジアミン−N,N,N’、N’−四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、1,3−ジアミノプロパン−N,N,N’、N’−四酢酸、1,2−ジアミノプロパン−N,N,N’、N’−四酢酸、エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸(ラセミ体)、エチレンジアミンジコハク酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、N−(カルボキシメチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、メチルイミノジ酢酸、ニトリロ三酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、イミノジ酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミン1−N,N’−二酢酸、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N−ジ酢酸など及びその塩が挙げられる。対塩の種類は、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が好ましく、特にはアンモニウム塩が好ましい。
中でも、過酸化水素、ヨウ素酸塩、次亜塩素酸塩、塩素酸塩、過硫酸塩、鉄(III)の有機錯塩が好ましく、鉄(III)の有機錯塩を用いる場合の好ましい錯形成化合物は、クエン酸、酒石酸、アミノポリカルボン酸(具体的には、エチレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、1,3−ジアミノプロパン−N,N,N’,N’−四酢酸、エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸(ラセミ体)、エチレンジアミンジコハク酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、N−(カルボキシメチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、メチルイミノジ酢酸、ニトリロ三酢酸、イミノジ酢酸)を挙げることができる。
前記酸化剤の中でも、過酸化水素、過硫酸塩、並びに鉄(III)のエチレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸、1,3−ジアミノプロパン−N,N,N’、N’−四酢酸及びエチレンジアミンジコハク酸(SS体)の錯体が最も好ましい。
酸化剤の添加量は、研磨に使用する際の金属用研磨液の1Lあたり、0.003mol〜8molの範囲とすることが好ましく、0.03mol〜6molの範囲とすることがより好ましく、0.1mol〜4molの範囲とすることが特に好ましい。即ち、酸化剤の添加量は、金属の酸化が充分で高いCMP速度を確保する点で0.003mol以上であることが好ましく、研磨面の荒れ防止の点から8mol以下であることが好ましい。
酸化剤は、研磨液を使用して研磨を行う際に、酸化剤以外の他の成分を含む組成物に混合して使用することが好ましい。酸化剤を混合する時期としては、研磨液を使用する直前の1時間以内が好ましく、更に好ましくは5分以内、特に好ましくは、研磨装置にて研磨液を供給する直前に混合器を設け、被研磨面へ供給する直前5秒以内に混合することである。
(e)有機酸
本発明に係る金属用研磨液は、更に少なくとも1種の有機酸を含有することが好ましい。ここでいう有機酸は、金属の酸化剤ではなく、酸化の促進、pH調整、緩衝剤としての作用を有する。
有機酸の例として、例えば、有機酸、アミノ酸が挙げられる。
有機酸としては、水溶性のものが望ましい。以下の群から選ばれたものがより適している。
即ち、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2−メチル酪酸、n−ヘキサン酸、3,3−ジメチル酪酸、2−エチル酪酸、4−メチルペンタン酸、n−ヘプタン酸、2−メチルヘキサン酸、n−オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、イミノ二酢酸、アセドアミドイミノ二酢酸、ニトリロ三プロパン酸、ニトリロ三メチルホスホン酸、ジヒドロキシエチルグリシン、トリシン、及びそれらのアンモニウム塩やアルカリ金属塩等の塩、アンモニウム塩類、又はそれらの混合物等が挙げられる。
また、アミノ酸としては、水溶性のものが好ましい。以下の群から選ばれたものがより適している。
即ち、グリシン、L−アラニン、β−アラニン、L−2−アミノ酪酸、L−ノルバリン、L−バリン、L−ロイシン、L−ノルロイシン、L−イソロイシン、L−アロイソロイシン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、サルコシン、L−オルニチン、L−リシン、タウリン、L−セリン、L−トレオニン、L−アロトレオニン、L−ホモセリン、L−チロシン、3,5−ジヨード−L−チロシン、β−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−L−アラニン、L−チロキシン、4−ヒドロキシ−L−プロリン、L−システィン、L−メチオニン、L−エチオニン、L−ランチオニン、L−シスタチオニン、L−シスチン、L−システィン酸、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、S−(カルボキシメチル)−L−システィン、4−アミノ酪酸、L−アスパラギン、L−グルタミン、アザセリン、L−アルギニン、L−カナバニン、L−シトルリン、δ−ヒドロキシ−L−リシン、クレアチン、L−キヌレニン、L−ヒスチジン、1−メチル−L−ヒスチジン、3−メチル−L−ヒスチジン、エルゴチオネイン、L−トリプトファン、アクチノマイシンC1、アパミン、アンギオテンシンI、アンギオテンシンII及びアンチパイン等が挙げられる。
本発明においては、上記の有機酸、又はアミノ酸の中でも、特に以下のアミノカルボン酸を用いることが好ましい。
即ち、グリシン、イミノ二酢酸、メチルイミノ二酢酸、n−メチルグリシン、ニトリロ三プロパン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、β−アラニン、グリシルグリシン、ジヒドロキシエチルグリシン、アセドアミドイミノ二酢酸、トリシン等である。
本発明の金属用研磨液において、上記有機酸は単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
また、これらの有機酸は、常法に従って合成できるほか、市販品を使用してもよい。
有機酸の添加量は、研磨に使用する際の金属用研磨液の1L中、0.005〜0.5molとすることが好ましく、0.01〜0.3molとすることがより好ましく、0.05〜0.3molとすることが特に好ましい。即ち、有機酸の添加量は、研磨速度向上の点で0.005mol以上が好ましく、ディッシングを悪化させない点で0.5mol以下が好ましい。
〔pH〕
本発明においては、研磨面への吸着性や反応性、研磨金属の溶解性、被研磨面の電気化学的性質、化合物官能基の解離状態、液としての安定性などにより、適時pHを設定することが好ましい。
本発明の金属用研磨液のpHは3〜10であることが好ましく、pH4〜9であることが好ましく、より好ましくはpH6〜8の範囲である。この範囲において本発明の金属用研磨液は、特に優れた効果を発揮する。なお、本発明の研磨液は水を含まない形態であってもよい。この場合、上記pHは、本発明の金属用研磨液を、研磨に使用する状態での水に溶かした場合の値を表す。
[研磨方法]
本発明の研磨方法は、半導体デバイスの製造工程において、銅又は銅合金からなる導体膜を有する基板を、本発明の金属用研磨液を用いて、化学的機械的に研磨することを特徴とする。
本発明の研磨方法で使用する金属用研磨液は、濃縮液であって使用する際に水を加えて希釈して使用液とする場合、又は、各成分が後述する水溶液の形態でこれらを混合し、必要により水を加え希釈して使用液とする場合、あるいは使用液として調製されている場合がある。本発明における金属用研磨液としては、特に制限されないが、本発明では上記いずれの態様も適用できる。
本発明の研磨方法としては、研磨定盤上に貼付した研磨パッドに、前記金属用研磨液を供給しながら、前記基板の被研磨面を研磨パッドに20kPa以下の圧力で押圧した状態で、該研磨パッドと該被研磨面とを相対的に移動させて当該被研磨面を研磨することが好ましい態様である。
研磨する装置としては、被研磨面を有する半導体基板等を保持するホルダーと研磨パッドとを貼り付けた(回転数が変更可能なモータ等を取り付けてある)研磨定盤を有する一般的な研磨装置が使用できる。
研磨パッドとしては、一般的な不織布、発泡ポリウレタン、多孔質フッ素樹脂などが使用でき、特に制限がない。また、研磨用のパッドは、無発泡構造パッドでも発泡構造パッドでもよい。前者はプラスチック板のように硬質の合成樹脂バルク材をパッドに用いるものである。後者は更に独立発泡体(乾式発泡系)、連続発泡体(湿式発泡系)、2層複合体(積層系)の3つがあり、特には2層複合体(積層系)が好ましい。発泡は、均一でも不均一でもよい。
さらに、研磨パッドは、研磨に用いる砥粒を含有したものでもよい。
また、研磨パッドについては、それぞれに硬さは軟質のものと硬質のものがあり、どちらでもよく、積層系ではそれぞれの層に異なる硬さのものを用いることが好ましい。材質としては不織布、人工皮革、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート等が好ましい。また、研磨面と接触する面には、格子溝/穴/同心溝/らせん状溝などの加工を施してもよい。
研磨条件には制限はないが、研磨定盤の線速度は1m/s以上が望ましい。
被研磨面(被研磨膜)を有する半導体基板を研磨パッドに押圧した時の圧力(押しつけ圧力)は、20kPa以下であることが好ましく、さらに13kPa以下の低圧条件下にすることによって、高研磨速度を維持したままの状態で、研磨速度のウエハ面内均一性、及びパターンの平坦性を向上させることが可能であるためより好ましい。なお、押しつけ圧力が20kPaを超えると、平坦性が悪化する場合がある。また、押しつけ圧力の下限としては、特に限定されないが、2kPa程度である。
研磨している間、研磨パッドには金属用研磨液をポンプ等で連続的に供給する。この供給量に制限はないが、研磨パッドの表面が常に研磨液で覆われていることが好ましい。研磨終了後の半導体基板は、流水中で良く洗浄した後、スピンドライヤ等を用いて半導体基板上に付着した水滴を払い落としてから乾燥させる。
本発明の研磨方法では、金属用研磨液を希釈する水溶液は、次に述べる水溶液と同じである。水溶液は、予め、酸化剤、酸、添加剤、界面活性剤のうち少なくとも1つ以上を含有した水で、水溶液中に含有した成分と希釈される金属用研磨液の成分を合計した成分が、金属用研磨液を使用して研磨する際の成分となるようにする。金属用研磨液を水溶液で希釈して使用する場合は、溶解しにくい成分を水溶液の形で配合することができ、より濃縮した金属用研磨液を調製することができる。
濃縮された金属用研磨液に水又は水溶液を加え希釈する方法としては、濃縮された金属用研磨液を供給する配管と水又は水溶液を供給する配管を途中で合流させて混合し、混合し希釈された金属用研磨液を研磨パッドに供給する方法がある。混合は、圧力を付した状態で狭い通路を通して液同士を衝突混合する方法、配管中にガラス管などの充填物を詰め液体の流れを分流分離、合流させることを繰り返し行う方法、配管中に動力で回転する羽根を設ける方法など通常に行われている方法を採用することができる。
導体膜の研磨中に、被研磨体へ供給される研磨液の流量としては、金属用研磨液の供給速度は、0.070〜0.30ml/(min・cm)の範囲であることが好ましく、十分な研磨速度を得るといった観点からは、0.1〜0.25ml/(min・cm)の範囲であることがより好ましい。
濃縮された金属用研磨液を水又は水溶液などにより希釈して、研磨する方法としては、金属用研磨液を供給する配管と、水又は水溶液を供給する配管を独立に設け、それぞれから所定量の液を研磨パッドに供給し、研磨パッドと被研磨面の相対運動で混合しつつ研磨する方法が挙げられる。又は、1つの容器に、所定量の濃縮された金属用研磨液と水又は水溶液を入れ混合してから、研磨パッドにその混合した金属用研磨液を供給し、研磨をする方法も適用可能である。
本発明においては、金属用研磨液が含有すべき成分を少なくとも2つの構成成分に分けて、それらを使用する際に、水又は水溶液を加えつつ希釈して研磨定盤上の研磨パッドに供給し、被研磨面と接触させて被研磨面と研磨パッドを相対運動させて研磨する方法も用いることができる。
例えば、酸化剤を1つの構成成分(A)とし、酸、添加剤、界面活性剤及び水を1つの構成成分(B)とし、それらを使用する際に水又は水溶液で構成成分(A)と構成成分(B)とを希釈して使用する。
また、溶解度の低い添加剤を2つの構成成分(C)と(D)とに分け、酸化剤、添加剤及び界面活性剤を1つの構成成分(C)とし、酸、添加剤、界面活性剤及び水を1つの構成成分(D)とし、それらを使用する際に水又は水溶液を加え構成成分(C)と構成成分(D)とを希釈して使用する。
この例の場合、構成成分(C)と構成成分(D)と水又は水溶液をそれぞれ供給する3つの配管が必要であり、希釈混合は、3つの配管を、研磨パッドに供給する1つの配管に結合し、その配管内で混合する方法があり、この場合、2つの配管を結合してから他の1つの配管を結合することも可能である。
例えば、溶解しにくい添加剤を含む構成成分と他の構成成分とを混合し、混合経路を長くして溶解時間を確保してから、さらに水又は水溶液の配管を結合する方法である。
その他の混合方法は、上記したように直接に3つの配管をそれぞれ研磨パッドに導き、研磨パッドと被研磨面の相対運動により混合する方法、1つの容器に3つの構成成分を混合して、そこから研磨パッドに希釈された金属用研磨液を供給する方法が挙げられる。上記した研磨方法において、酸化剤を含む1つの構成成分を40℃以下にし、他の構成成分を室温から100℃の範囲に加温し、且つ1つの構成成分と他の構成成分又は水もしくは水溶液を加え希釈して使用する際に、混合した後に40℃以下とするようにすることもできる。温度が高いと溶解度が高くなるため、金属用研磨液の溶解度の低い原料の溶解度を上げるために好ましい方法である。
酸化剤を含まない他の成分を室温から100℃の範囲で加温して溶解させた原料は、温度が下がると溶液中に析出するため、温度が低下したその成分を用いる場合は、予め加温して析出したものを溶解させる必要がある。これには、加温し溶解した構成成分液を送液する手段と、析出物を含む液を攪拌しておき、送液し配管を加温して溶解させる手段を採用することができる。加温した成分が酸化剤を含む1つの構成成分の温度を40℃以上に高めると酸化剤が分解してくる恐れがあるので、加温した構成成分とこの加温した構成成分を冷却する酸化剤を含む1つの構成成分で混合した場合、40℃以下となるようにする。
また、本発明においては、上述したように金属用研磨液の成分を二分割以上に分割して、研磨面に供給してもよい。この場合、酸化剤を含む成分と酸を含有する成分とに分割して供給することが好ましい。また、金属用研磨液を濃縮液とし、希釈水を別にして研磨面に供給してもよい。
本発明の研磨方法により研磨される対象は、凹部を有する層間絶縁膜の表面に一面に形成されたバリア金属膜と、該バリア金属膜の表面に前記凹部が埋まるように形成された銅又は銅合金からなる導体膜と、を有する基板であるが、この基板は半導体基板であり、銅金属及び/又は銅合金からなる配線を持つLSIであることが好ましく、特に配線が銅合金であることが好ましい。
研磨対象である被加工体としては、支持体基板上に導電性材料膜が形成されたウエハ、支持体基板上に形成された配線上に設けられた層間絶縁膜に導電性材料膜が形成された積層体など、半導体デバイス製造工程において平坦化を必要とする全ての段階の材料を挙げることができる。
更には、銅合金の中でも銀を含有する銅合金が好ましい。銅合金に含有される銀含量は、40質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下であり、0.00001〜0.1質量%の範囲である銅合金において最も優れた効果を発揮する。
本発明においては、研磨する対象である半導体基板が、例えば、DRAMデバイス系ではハーフピッチで0.15μm以下が好ましく、0.10μm以下がより好ましく、0.08μm以下がさらに好ましい。一方、MPUデバイス系では0.12μm以下が好ましく、0.09μm以下がより好ましく、0.07μm以下の配線を持つLSIであることがさらに好ましい。これらのLSIに対して、本発明の金属用研磨液を用いることにより、特に優れた効果を発揮する。
(基板)
本発明に用いられる基板の例としては、8インチ、12インチ半導体用ウエハ製造工程、あるいは、マイクロマシン製造工程に用いられるものが挙げられる。その種類としては、半導体用シリコンウエハやSOIウエハ、半導体レーザなどに使用される化合物半導体のサファイヤ基板なども含まれる。他には、高分子のフィルム基板上に配線パターンを形成し、平坦化する用途にも用いられる。
本発明の金属用研磨液でCMPを行う対象ウエハは、直径が200mm以上であることが好ましく、特には300mm以上が好ましい。300mm以上である時に顕著に本発明の効果を発揮する。
(層間絶縁膜)
本発明に使用できる層間絶縁膜としては、誘電率が2.6以下の特性を有するものであることが好ましく、例えば、シリコン系被膜、有機系層間絶縁膜などを挙げることができ、特に炭素をドープしたシリカ系被膜を用いることが好ましい。本発明における層間絶縁膜の厚さは、多層配線における配線の上部と下部、又は世代間(ノード)により適宜調整可能である。
(バリア金属膜)
バリア金属膜とは、半導体基板上に設けられる銅又は銅合金からなる導体膜(配線)と層間絶縁膜との間に、銅の拡散を防ぐための膜(層)である。
バリア層膜の材料としては、低抵抗のメタル材料であることが好ましく、具体的には、タンタル又はタンタル化合物、チタン又はチタン化合物、タングステン又はタングステン化合物、及びルテニウムから選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、TiN、TiW、Ta、TaN、W、WN、Ruを含むことがより好ましく、中でもTa、TaNが特に好ましい。
バリア金属膜の厚さとしては、20〜30nm程度とすることが好ましい。
以下、実施例により本発明を説明する。本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、「wt%」は「質量%」を示す。
〔金属用研磨液の調整〕
<実施例1>
(a)特定コロイダルシリカ 0.010wt%
(扶桑化学社製:PL−2H)
(b)金属防食剤 0.050wt%
1−(1,2−ジカルボキシエチル)ベンゾチアゾール
(c)界面活性剤(あるいは水溶性高分子化合物) 0.1wt%
品名 ポリオキシエチレンアルキルエーテル
(d)酸化剤(過酸化水素水) 1.0wt%
(e)有機酸(グリシン) 1.0wt%
全量が100%となるように水に、上記(a)〜(e)を加えた後、混合・撹拌して、pH6.0となるようにアンモニアガスで調整した。
<実施例2〜12、比較例1〜7>
実施例1の組成を表1に記載のようにコロイダルシリカの粒径、金属防食剤、界面活性剤、または水溶性高分子化合物、酸化剤、および有機酸を変更し、他は実施例1と同様にして、実施例2〜12、および比較例1〜7の金属用研磨液を調整し、下記に示す研磨試験を行った。なお、pHは実施例1と同様とした。
表1で用いた酸化剤:APSは、ペルオキソ二硫酸アンモニウムである。
研磨試験の結果は、表1にまとめた。
Figure 2009260304
<研磨速度の評価>
研磨装置として荏原製作所製装置「FREX−300」を使用し、下記の条件で、スラリーを供給しながら各ウエハに設けられた膜を研磨し、その研磨速度を算出した。
・基板 :12inch銅膜付きシリコンウエハ
・テ−ブル回転数:104rpm
・ヘッド回転数 :105rpm
(加工線速度=1.0m/s)
・研磨圧力 :10.5kPa
・研磨パッド :ローム アンド ハース社製 品番IC−1400
(K−grv)+(A21)
・スラリー供給速度:200ml/分
研磨前後の電気抵抗から銅膜またはバリア膜の膜厚を測定し、研磨速度を計算した。具体的には、下記式を用いて計算した。
研磨速度(nm/分)=(研磨前の銅膜またはバリア膜の厚さ−研磨後の銅膜またはバリア膜の厚さ)/研磨時間
<ディッシングの評価>
研磨装置として荏原製作所製装置「FREX−300」を使用し、下記の条件で、スラリーを供給しながらパターン形成された各ウエハに設けられた膜を研磨し、そのときの段差を測定した。
基板:フォトリソグラフィー工程と反応性イオンエッチング工程によりシリコン酸化膜をパターニングして、幅0.09〜100μm、深さ600nmの配線用溝と接続孔を形成し、さらに、スッパタリング法により厚さ20nmのTa膜を形成し、続いてスッパタリング法により厚さ50nmの銅膜を形成後、メッキ法により合計厚さ1000nmの銅膜を形成した12inchウエハを使用した。
・テ−ブル回転数 :50rpm
・ヘッド回転数 :50rpm
・研磨圧力 :10.5kPa
・研磨パッド :ロデール・ニッタ株式会社製 品番IC−1400
・スラリー供給速度:200ml/分
表1から、本発明の平均1次粒子径、および平均2次粒子径を制御したコロイダルシリカを、金属防食剤、界面活性剤もしくは水溶性高分子化合物、酸化剤、及び有機酸と併用した実施例は、銅の研磨速度が大きく、またディッシングも小さいことがわかり、有用な金属用研磨液であることがわかる。これに対し本発明の要件を欠いた比較例は、大きな研磨速度が得られても、ディッシングが大きく、研磨面の平坦性向上が悪いことがわかる。

Claims (5)

  1. (a)平均1次粒子径が10〜25nmの範囲であり、且つ、平均2次粒子径が50〜70nmの範囲であるコロイダルシリカ粒子
    (b)金属防食剤
    (c)界面活性剤、または水溶性高分子化合物から選ばれた1種以上の化合物
    (d)酸化剤
    (e)有機酸
    を含み、半導体デバイスの製造工程における銅又は銅合金からなる導体膜の化学的機械的研磨に用いられることを特徴とする金属用研磨液。
  2. 前記(b)金属防食剤が、下記一般式(I)で示されるベンゾトリアゾール誘導体である請求項1に記載の金属用研磨液。
    Figure 2009260304

    一般式(I)中、Rは、水素原子、または炭素数1〜10のアルキル基を表す。R、R、R、及びRは、それぞれ独立に水素原子、または1価の置換基を表す。
  3. 前記ベンゾトリアゾール誘導体が、1−(1,2−ジカルボキシエチル)ベンゾトリアゾール、1−(2,3ジヒドロキシプロピル)ベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(ヒドロキシジエチル)アミノメチル]−ベンゾトリアゾール、1−(ヒドロキシメチル)ベンゾトリアゾールより選択される1種類以上を含有する請求項2に記載の金属用研磨液。
  4. 前記(c)界面活性剤が、ポリオキシエチレン基を有したカルボン酸系界面活性剤、スルホン酸系界面活性剤、リン酸エステル系界面活性剤、硫酸エステル系界面活性剤、およびR−C≡C−R(R、及びRは置換基を有するアルキル基を表す)の群から選択される1種類以上を含み、半導体デバイスの製造工程において、バリア金属膜が露出するまで銅又は銅合金からなる導体膜を研磨する第二の研磨工程で用いることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の金属用研磨液。
  5. (a)平均1次粒子径が10〜25nmの範囲であり、且つ、平均2次粒子径が50〜70nmの範囲であるコロイダルシリカ粒子
    (b)金属防食剤
    (c)界面活性剤、または水溶性高分子化合物から選ばれた1種以上の化合物
    (d)酸化剤
    (e)有機酸
    を含む金属用研磨液を用いて、半導体デバイス製造において主として銅または銅合金からなる導体膜を化学的機械的に研磨することを特徴とする研磨方法。
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