JP5305606B2 - 金属用研磨液及び研磨方法 - Google Patents
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Description
CMPの一般的な方法は、円形の研磨定盤(プラテン)上に研磨パッドを貼り付け、研磨パッド表面を研磨液で浸して、パッドに基板(ウエハ)の表面を押しつけ、その裏面から所定の圧力(研磨圧力)を加えた状態で、研磨定盤及び基板の双方を回転させ、発生する機械的摩擦により基板の表面を平坦化するものである。
CMPに用いる金属用研磨溶液は、一般には砥粒(例えば、アルミナ、シリカ)と酸化剤(例えば、過酸化水素、過硫酸)とを含むものであって、酸化剤によって金属表面を酸化し、その酸化皮膜を砥粒で除去することで研磨していると考えられている。
このような従来の固体砥粒における問題点を解決するために、砥粒を含まず、過酸化水素/リンゴ酸/ベンゾトリアゾール/ポリアクリル酸アンモニウム及び水からなる研磨液が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法によれば、半導体基体の凸部の金属膜が選択的にCMPされ、凹部に金属膜が残されて所望の導体パターンが得られるものの、従来の固体砥粒を含むよりもはるかに機械的に柔らかい研磨パッドとの摩擦によってCMPが進むため、十分な研磨速度が得難いという問題点を有している。
銅及び銅合金に対して機械的研磨手段をもたない化学研磨方法としては、溶解作用のみによる化学研磨方法も知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、凸部の金属膜が選択的に化学的機械的に研磨されるCMPに比べ、ディッシングなどの発生による問題が発生しやすく平坦性の確保が課題となっている。
その他にも研磨面の段差平坦化を目的として、研磨パッドの劣化を抑える化学機械研磨用水系分散体(例えば、特許文献3参照。)や、ウエハ表面を修正するのに有用なイミノニ酢酸とその塩から選ばれるキレート剤を含有する加工液(例えば、特許文献4参照。)、α−アミノ酸を含有する化学機械研磨組成物(例えば、特許文献5参照。)などが提案されている。
これらの技術により、銅配線における研磨性能の向上が見られる。通常は、銅配線を高速研磨により実施した後、銅配線のバリア金属としてしばしば用いられるタンタルやその合金類と銅とを精密研磨して、配線近傍の平滑化を行うことが一般的である。このため、銅研磨の終了時において、銅が削れやすく、タンタルが削れにくいという、銅とタンタルとの研磨選択性(以下、適宜、銅/タンタル研磨選択性と称する。)を有する研磨液の実現が望まれているのが現状である。
そこで、本発明の目的は、迅速な研磨速度、及び、良好な銅/タンタル研磨選択性を有し、更に、ディッシングが少なく平坦性を向上させることが可能な金属用研磨液及び研磨方法を提供することにある。
本発明は下記の通りである。
すなわち、本発明の金属用研磨液は、半導体集積回路用基板の製造工程における化学的機械的平坦化に用いられ、下記に記載の(A−1)、(A−3)、(A−11)〜(A−13)、(A−15)、及び(A−17)〜(A−21)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、有機酸とを含有することを特徴とする。
前記(A−1)、(A−3)、(A−11)〜(A−13)、(A−15)、及び(A−17)〜(A−21)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が、(A−1)、(A−12)、(A−15)、(A−17)、及び(A−19)〜(A−21)であることが好ましい。
また、このことから、LSIにおける、コロージョン、スクラッチ、シニング、エロージョンなどの研磨の局部的な不均一に伴う欠陥の発生が低レベルに維持することが可能となる。
まず、本発明の研磨液を構成する成分である一般式(I)で表される化合物について説明する。
本発明における一般式(I)で表される化合物(以下、「特定ベンゾトリアゾール誘導体」と称する。)は、下記一般式(I)で表される化合物である。
上記アリール基は、置換基を有していてもよく、また、無置換であってもよいが、無置換である方が好ましい。
これら置換基を置換基Qとする。
なお、これらの置換基は、ここに挙げられた置換基により更に置換されていてもよい。
上記ヘテロ環基は、置換基を有していてもよく、また、無置換であってもよいが、無置換である方が好ましい。
また、前記Ra〜Rdがハロゲン基を部分構造として含む置換基の場合、該置換基としては、上記ハロゲン基を少なくとも1つ有するアルキル基、アリール基などが挙げられる。中でも、ハロゲン化アルキル基が好ましく、特に、クロロメチル基がより好ましい。
R1がカルボキシ基を部分構造として含むアルキル基である場合、該アルキル基としては、前記Ra〜Rdに導入しうるカルボキシ基を部分構造として含むアルキル基と同様のものが挙げられる。中でも、カルボキシアルキル基が好ましく、特に、1,2−ジカルボキシエチル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、2−アミノカルボキシエチル基がより好ましい。
例えば、前記具体例(A−1)は、ベンゾトリアゾールをソジウムハドライトで処理した後、3−クロロプロピル−1,2−ジアセテートと反応させ、得られた化合物をアルカリ化水分解することで得られる。この時、目的の2位置換ベンゾトリアゾール誘導体に、後述する(B−1)で表される1位置換ベンゾトリアゾール誘導体が混入するため、アルカリ化水分解の前、及び/又は、後にシリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製を行うことが好ましい。同様に、前記具体例(A−2)〜(A−9)も合成することができる。
なお、下記の1位置換のベンゾトリアゾール誘導体(B−1)、(B−3a)、(B−3b)、(B−11a)、(B−11b)、(B−12)、(B−13a)、(B−13b)、(B−15)、(B−17)、(B−18a)、及び(B−18b)に付されている番号は、それぞれ、前記具体例の番号に対応する。
なお、本発明の効果を損なわない程度であれば、特定ベンゾトリアゾール誘導体を合成する際に混入する1位置換のベンゾトリアゾール誘導体が、本発明の金属用研磨液中に含有されていてもよい。
本発明の研磨液は、構成成分として、特定ベンゾトリアゾール誘導体の少なくとも1種、更に、必要に応じて、酸化剤、及び溶媒/分散媒を含有する他は、その処方に特に制限はなく、本発明の効果を損なわない限りにおいては、公知の研磨液に用いられる化合物を目的に応じて選択して用いることができる。
一般に、金属用研磨液には、酸化剤、不動態膜形成剤、有機酸、砥粒が含まれるが、本発明においては必ずしも砥粒を入れなくてもよい。本発明の研磨液は、更に他の成分を含有してもよく、好ましい成分としては、例えば、界面活性剤、水溶性ポリマー、及び各種添加剤を挙げることができる。
研磨液には、各成分を2種以上添加してもよい。
本明細書において「濃縮」及び「濃縮液」とは、使用状態よりも「濃厚」及び「濃厚な液」を意味する慣用表現にしたがって用いており、蒸発などの物理的な濃縮操作を伴う一般的な用語の意味とは異なる用法で用いている。
本発明の研磨液は、研磨対象の金属を酸化できる化合物(酸化剤)を含有する。酸化剤としては、例えば、過酸化水素、過酸化物、硝酸塩、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸塩、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、過硫酸塩、重クロム酸塩、過マンガン酸塩、オゾン水、銀(II)塩、及び鉄(III)塩が挙げられる。
中でも、過酸化水素、硝酸、過ヨウ素酸カリウム、次亜塩素酸、及びオゾン水が好ましい。
鉄(III)の有機錯塩を用いる場合、鉄(III)錯塩を構成する錯形成化合物としては、例えば、酢酸、クエン酸、シュウ酸、サリチル酸、ジエチルジチオカルバミン酸、コハク酸、酒石酸、グリコール酸、グリシン、アラニン、アスパラギン酸、チオグリコール酸、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−エタンジチオール、マロン酸、グルタル酸、3−ヒドロキシ酪酸、プロピオン酸、フタル酸、イソフタル酸、3−ヒドロキシサリチル酸、3,5−ジヒドロキシサリチル酸、没食子酸、安息香酸、マレイン酸などやこれらの塩の他、アミノポリカルボン酸及びその塩が挙げられる。
これらの中でも、過酸化水素、硝酸、過ヨウ化酸カリウム、次亜塩素酸、及びオゾン水が好ましく、特に過酸化水素が好ましい。
本発明の研磨液には、有機酸を含有する。ここでいう有機酸とは、金属を酸化するための酸化剤とは構造が異なる化合物であり、前述の酸化剤として機能する酸を包含するものではない。
有機酸としては、以下の群から選ばれたものが適している。ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2−メチル酪酸、n−ヘキサン酸、3,3−ジメチル酪酸、2−エチル酪酸、4−メチルペンタン酸、n−ヘプタン酸、2−メチルヘキサン酸、n−オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、及びアミノ酸類(アミノ酸類には、1級、2級、3級のアミノ酸及びアミノポリカルボン酸類が包含され、本発明においては水溶性のものが好ましい。例えばグリシン、L−アラニン、β−アラニン、L−2−アミノ酪酸、L−ノルバリン、L−バリン、L−ロイシン、L−ノルロイシン、L−イソロイシン、L−アロイソロイシン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、サルコシン、L−オルニチン、L−リシン、タウリン、L−セリン、L−トレオニン、L−アロトレオニン、L−ホモセリン、L−チロシン、3,5−ジヨード−L−チロシン、β−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−L−アラニン、L−チロキシン、4−ヒドロキシ−L−プロリン、L−システィン、L−メチオニン、L−エチオニン、L−ランチオニン、L−シスタチオニン、L−シスチン、L−システィン酸、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、S−(カルボキシメチル)−L−システィン、4−アミノ酪酸、L−アスパラギン、L−グルタミン、アザセリン、L−アルギニン、L−カナバニン、L−シトルリン、δ−ヒドロキシ−L−リシン、クレアチン、L−キヌレニン、L−ヒスチジン、1−メチル−L−ヒスチジン、3−メチル−L−ヒスチジン、エルゴチオネイン、L−トリプトファン、アクチノマイシンC1、アパミン、アンギオテンシンI、アンギオテンシンII及びアンチパインが挙げられる。)、以下に示す一般式(1)で表される化合物、一般式(2)で表される化合物及びそれらのアンモニウム塩やアルカリ金属塩等が挙げられる。
R2及びR3としてのシクロアルキル基は、好ましくは炭素数5〜15であり、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基を挙げることができる。
R2及びR3としてのアルケニル基は、好ましくは炭素数2〜9であり、例えば、ビニル基、プロペニル基、アリル基を挙げることができる。
R2及びR3としてのアルキニル基は、好ましくは炭素数2〜9であり、例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基を挙げることができる。
R7及びR8としてのシクロアルキル基は、好ましくは炭素数5〜15であり、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基を挙げることができる。
R7及びR8としてのアルケニル基は、好ましくは炭素数2〜9であり、例えば、ビニル基、プロペニル基、アリル基を挙げることができる。
R7及びR8としてのアルキニル基は、好ましくは炭素数2〜9であり、例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基を挙げることができる。
一般式(2)において、R9は水素原子でないことが好ましい。
本発明の研磨液は更に無機酸を含有することができる。ここでの酸は、酸化の促進、pH調整、緩衝剤としての作用を有する。無機酸としては、過塩素酸、硫酸、硝酸、ホウ酸などが挙げられ、無機酸の中では硝酸が好ましい。
酸の添加量は、研磨に使用する際の金属用研磨液の1L中、0.0005〜0.5molとすることが好ましく、0.005mol〜0.3molとすることがより好ましく、0.01mol〜0.1molとすることが特に好ましい。即ち、酸の添加量は、エッチングの抑制の点から0.5mol以下が好ましく、充分な効果を得る上で0.0005mol以上が好ましい。
また、本発明における研磨液には、前述の特定ベンゾトリアゾール誘導体以外に、金属表面に不動態膜を形成し、研磨速度を制御する不動態膜形成剤としての機能を有する化合物、具体的には、芳香環を有する化合物(以下、適宜、「芳香環化合物」と称する。)を併用してもよい。
具体的には、特開2006−261333号公報の段落番号〔0016〕に記載の複素環化合物を用いることができる。
テトラゾール誘導体において、好ましくはカルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシ基又はカルボキシ基の少なくとも1つで置換されたアルキル基を置換基として含有することを特徴としたテトラゾール誘導体である。より好ましくは、少なくとも1つのカルボキシ基又はアミノ基を含有することを特徴としたテトラゾール誘導体である。例えば5−カルボキシー1H−テトラゾール、1H−テトラゾール−5−酢酸、1H−テトラゾールー5−プロピオン酸、5−アミノ−1H−テトラゾールである。
本発明の研磨液は、混入する多価金属イオンなどの悪影響を低減させるために、必要に応じてキレート剤(すなわち、硬水軟化剤)を含有することが好ましい。
キレート剤としては、カルシウムやマグネシウムの沈澱防止剤である汎用の硬水軟化剤やその類縁化合物であり、例えば、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、N,N,N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N’,N’−テトラメチレンスルホン酸、トランスシクロヘキサンジアミン四酢酸、1,2−ジアミノプロパン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸、エチレンジアミンジ琥珀酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、N,N’−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N’−ジ酢酸、1,2−ジヒドロキシベンゼン−4,6−ジスルホン酸等が挙げられる。
キレート剤の添加量は混入する多価金属イオンなどの金属イオンを封鎖するのに充分な量であればよく、例えば、研磨に使用する際の研磨液(使用液)の1L中、0.0003mol〜0.07molになるように添加する。
また、本発明の研磨液には以下の添加剤を用いることが好ましい。
すなわち、例えば、アンモニア;ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、プロピレンジアミン等のアルキルアミンや、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム及びキトサン等のアミン;ジチゾン、クプロイン(2,2′−ビキノリン)、ネオクプロイン(2,9−ジメチル−1,10−フェナントロリン)、バソクプロイン(2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)及びキュペラゾン(ビスシクロヘキサノンオキサリルヒドラゾン)等のイミン;ノニルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、トリアジンチオール、トリアジンジチオール、トリアジントリチオール等のメルカプタン、その他、アントラニル酸、アミノトルイル酸、キナルジン酸などが挙げられる。
これらの中でも、キトサン、エチレンジアミンテトラ酢酸、L−トリプトファン、キュペラゾン、トリアジンジチオールが高いCMP速度と低いエッチング速度を両立する上で好ましい。
本発明の研磨液は、界面活性剤及び/又は親水性ポリマーを含有することが好ましい。界面活性剤と親水性ポリマーは、いずれも被研磨面の接触角を低下させる作用を有して、均一な研磨を促す作用を有する。用いられる界面活性剤及び/又は親水性ポリマーとしては、以下の群から選ばれたものが好適である。
両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン、レシチン、アルキルアミンオキサイドを挙げることができる。
非イオン界面活性剤としては、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型が挙げられ、より具体的には、エーテル型として、ポリオキシエチレンアルキル及びアルキルフェニルエーテル、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル;、エーテルエステル型として、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル;エステル型として、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリンエステル、ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、プロピレングリコールエステル、ショ糖エステル;含窒素型として、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミド等が例示される。
また、フッ素系界面活性剤を用いることもできる。
研磨する対象がガラス基板等である場合はその限りではない。
界面活性剤及び親水性ポリマーは、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の研磨液は、必要に応じて、pH調整のためにアルカリ剤、更にはpHの変動抑制の点から緩衝剤を含有することができる。
このアルカリ剤や緩衝材としては、特開2006−261333号の段落番号〔0049〕〜〔0053〕に記載のものを使用することができる。
また、研磨に使用する際の研磨液(使用液)のpHは2〜14が好ましく、3〜12がより好ましく、3.5〜8が最も好ましい。
この範囲において本発明の金属液は特に優れた効果を発揮する。
本発明の研磨液は砥粒を含有していてもよい。この砥粒としては、特開2006−261333号の段落番号〔0042〕に記載のものを使用することができ、その添加量も同様である。
本発明の研磨液は、半導体集積回路用基板の製造工程において、銅配線を形成するために余分な銅膜を化学的機械的研磨する際に使用される研磨液であることが好ましい。
本発明の研磨液を用いることで、平坦化に優れた銅配線を有する半導体集積回路用基板を得ることができる。
本発明の研磨液が研磨する対象は、銅配線を有する半導体集積回路用基板を得るためのウエハであり、銅膜を有する。この銅膜(銅配線)を構成する材料は、銅金属及び/又は銅合金であることが好ましく、特には銅合金が好ましい。更には、銅合金の中でも銀を含有する銅合金が好ましい。銅合金に含有される銀含量は、40質量%以下が好ましく、特には10質量%以下、更には1質量%以下が好ましく、0.00001〜0.1質量%の範囲である銅合金において最も優れた効果を発揮する。
本発明においては、研磨後に得られる半導体集積回路用基板が、例えば、DRAMデバイス系では、ハーフピッチで0.15μm以下であり、更に0.10μm以下であり、特に0.08μm以下である配線を有するものであることが好ましい。一方、MPUデバイス系では、0.12μm以下であり、更に0.09μm以下であり、特に0.07μm以下である配線を有するものであることが好ましい。
このような配線の太さを有するウエハ(研磨対象)に対して、本発明の研磨液は特に優れた効果を発揮する。
本発明においては、研磨対象であるウエハは、銅金属及び/又は銅合金からなる銅配線と層間絶縁膜又は基板との間に、銅の拡散を防ぐためのバリア層を有することが好ましい。バリア層としては低抵抗のメタル材料がよく、特に、TiN、TiW、Ta、TaN、W、WNが好ましく、中でもTa、TaNが特に好ましい。
また、層間絶縁膜としては、例えば、SiO2が挙げられる。
本発明の研磨液を用いて、半導体集積回路用基板の製造工程における銅膜の化学的機械的研磨を行う方法は、特に限定されない。
例えば、被研磨面を有する研磨対象であるウエハを保持するホルダーと、研磨パッドを貼り付けた(回転数が変更可能なモータ等を取り付けてある)研磨定盤と、を有する一般的な研磨装置を使用して、本発明の研磨液を研磨定盤上の研磨パッドに供給し、被研磨面と接触させて被研磨面と研磨パッドを相対運動させることで研磨するのが好ましい態様として挙げられる。
本発明の研磨液を用いた研磨方法では、本発明の研磨液の使用における好ましい態様について、いずれの場合も適用できる。
被研磨面(被研磨膜)を有するウエハ(研磨対象)の研磨パッドへの押しつけ圧力は、5〜500g/cm2であることが好ましく、研磨速度のウエハ面内均一性及びパターンの平坦性を満足するためには、12〜240g/cm2であることがより好ましい。
この研磨液の供給速度は、研磨速度のウエハ面内均一性及びパターンの平坦性を満足するため、10〜1000ml/minが好ましく、170〜800ml/minであることがより好ましい。
研磨終了後のウエハは、流水中で良く洗浄した後、スピンドライヤ等を用いて研磨面上に付着した水滴を払い落としてから乾燥させる。
このように、濃縮液を水溶液で希釈して使用する場合には、溶解しにくい成分を水溶液の形で後から配合することができることから、より濃縮した濃縮液を調製することができる。
例えば、酸化剤を構成成分(A)とし、有機酸、添加剤、界面活性剤、及び水を構成成分(B)とし、それらを使用する際に水又は水溶液で、構成成分(A)及び構成成分(B)を希釈して使用することができる。
また、溶解度の低い添加剤を2つの構成成分(A)と(B)に分け、例えば、酸化剤、添加剤、及び界面活性剤を構成成分(A)とし、有機酸、添加剤、界面活性剤、及び水を構成成分(B)とし、それらを使用する際に水又は水溶液を加え、構成成分(A)及び構成成分(B)を希釈して使用する。
その他の混合方法は、上記したように直接に3つの配管をそれぞれ研磨パッドに導き、研磨パッドと被研磨面の相対運動により混合する方法や、1つの容器に3つの構成成分を混合して、そこから研磨パッドに希釈された研磨液(使用液)を供給する方法がある。
<特定ベンゾトリアゾール誘導体(A−1)の合成>
50ml(0.6mol)の3−クロロプロパン−1,2−ジオールと140ml(1.5mol)の無水酢酸の混合物に、氷冷下130ml(1.6mol)のピリジンを滴下した。滴下終了後、反応液を室温で2時間攪拌後、水、酢酸エチルを加え抽出した。有機層を濃縮して3−クロロプロピル−1,2−ジアセテートを116g(0.6mol)得た。4.6g(0.12mol)のソジウムハイドライド(オイル分散物)をヘキサン洗浄後、1−メチルピロリジン−2−オン100mlに懸濁し、氷冷下、12.5g(0.10mol)のベンゾトリアゾールを加える。更に、25g(0.13mol)の3−クロロプロピル−1,2−ジアセテートを加えた後、80℃〜120℃で過熱攪拌する。反応液を水/酢酸エチルで抽出後、有機層を濃縮した。有機層に水酸化ナトリウム・水・イソプロパノールを加え、室温で攪拌した。これに酢酸エチルを加え有機層を抽出・濃縮することで、前記(A−1)と前記(B−1)の混合物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル)で分離・精製することで、(A−1)を3.9g(0.02mol:20%)、(B−1)を7.7g(0.04mol:40%)得た。なお、この方法と同様にして、前記(A−2)〜前記(A−9)も合成することができる。
得られた特定ベンゾトリアゾール誘導体(A−1)の元素分析値は、以下の通りであった。
元素分析値 C9H11N3O2=193.2として
計算値 C 56.0 N 21.8 (%)
実測値 C 55.8 N 21.9 (%)
10g(0.08mol)のベンゾトリアゾールと9.6g(0.24mol)の水酸化ナトリウムを水・イソプロパノールの混合溶媒に加え攪拌、これに13ml(0.16mol)のホルマリンを加え、過熱攪拌した。これに酢酸エチルを加え有機層を抽出・濃縮することで、前記(A−12)と前記(B−12)の混合物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル)で分離・精製することで、(A−12)を2.7g(0.018mol:22%)、(B−12)を4.9g(0.033mol:41%)得た。なお、同様にして、前記(A−10)〜前記(A−11)も合成することができる。
得られた特定ベンゾトリアゾール誘導体(A−12)の元素分析値は、以下の通りであった。
元素分析値 C7H7N3O=149.15として
計算値 C 56.4 N 28.2 (%)
実測値 C 56.1 N 27.9 (%)
10g(0.08mol)のベンゾトリアゾールと19g(0.48mol)の水酸化ナトリウムを水・イソプロパノールの混合溶媒に加え攪拌、これに19g(0.16mol)のマレイン酸を加え、過熱攪拌した。これをアルミナカラムクロマトグラフィーで分離・精製することで、(A−15)を3.4g(0.014mol:18%)、(B−15)を6.4g(0.027mol:34%)得た。なお、同様にして、前記(A−13)〜前記(A−14)も合成することができる。
得られた特定ベンゾトリアゾール誘導体(A−15)の元素分析値は以下の通りであった。
元素分析値 C10H9N3O4=235.2として
計算値 C 51.1 N 17.9 (%)
実測値 C 52.1 N 17.4 (%)
10g(0.08mol)のベンゾトリアゾールと16.8g(0.16mol)のN,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミンを水・イソプロパノールの混合溶媒に加え攪拌、これに20ml(0.24mol)のホルマリンを加え、加熱攪拌した。これに酢酸エチルを加え有機層を抽出・濃縮することで、前記(A−17)と前記(B−17)の混合物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル)で分離・精製することで、(A−17)を4.7g(0.02mol:25%)、(B−17)を8.5g(0.036mol:45%)得た。なお、同様にして、前記(A−18)〜前記(A−19)も合成することができる。
得られた特定ベンゾトリアゾール誘導体(A−17)の元素分析値は、以下の通りであった。
元素分析値 C11H16N4O2=236.27として
計算値 C 55.9 N 23.7 (%)
実測値 C 56.1 N 27.9 (%)
下記に示す組成の研磨液を調製し、実施例1の研磨液を得た。この研磨液を、下記の方法により研磨試験を行って評価した。
・過酸化水素(酸化剤) ・・・5g
・特定ベンゾトリアゾール誘導体(A−1) ・・・12g
・一般式(1)で表される化合物:具体例1−4(有機酸) ・・・0.4g
・コロイダルシリカ(砥粒) ・・・11g
・純水 ・・・全量が1000mlとなる量
研磨液のpHは、アンモニア水と硝酸とを用いることにより、6.6に調整した。
なお、上記過酸化水素、特定ベンゾトリアゾール誘導体、有機酸、及びコロイダルシリカの質量は、これらの成分自体の質量を示す。
・研磨パッド:IC1400XY+K Groove(ロームアンドハース社)
・研磨機:LGP−612(LapmaSterSFT社)
・押さえ圧力:140hPa
・研磨液供給速度:200ml/min
・銅ブランケットウエハ:厚さ1.4μmの銅膜を形成したウエハ(φ200mm)
・タンタルブランケットウエハ:厚さ1μmのタンタル膜を形成したウエハ(φ200mm)
・パターンウエハ:atdf社製CMP854パターンウエハ(φ200mm)
・研磨パッド/ウエハの回転数:95/120rpm
・定盤温調:20℃
・金属用研磨液の供給時の温度:25℃
・研磨速度:銅ブランケットウエハ面上の49箇所と、タンタルブランケットウエハ面上の49箇所に対し、金属膜のCMP前後での膜厚さを電気抵抗値から換算して、それぞれの平均研磨速度を求めた。また、求められた研磨速度を、下記の式に導入し、銅とタンタルの研磨速度比(銅/タンタル研磨速度比)を算出した。
(銅/タンタル研磨速度比)=(銅の平均研磨速度)/(タンタルの平均研磨速度)
上記研磨液を用いてCMPを行って得られた銅研磨速度、銅/タンタル研磨速度比、及びディッシングを下記表1に示す。
実施例1の研磨液の組成において、特定ベンゾトリアゾール誘導体(A−1)を下記表1に示す特定ベンゾトリアゾール誘導体にそれぞれ代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜11の研磨液を作製した。
得られた研磨液を用いて、実施例1と同様の方法で、銅研磨速度、銅/タンタル研磨速度比、及びディッシングを求めた。これらの結果を表1に併記する。
実施例1の研磨液の組成において、有機酸1−4を下記表1に示す有機酸にそれぞれ代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例12〜14の研磨液を作製した。
得られた研磨液を用いて、実施例1と同様の方法で、銅研磨速度、銅/タンタル研磨速度比、及びディッシングを求めた。これらの結果を表1に併記する。
実施例1の研磨液の組成において、特定ベンゾトリアゾール誘導体(A−1)を合成する際に副生される前記(B−1)を0.1g加えた以外は、実施例1と同様にして、実施例15の研磨液を作製した。
得られた研磨液を用いて、実施例1と同様の方法で、銅研磨速度、銅/タンタル研磨速度比、及びディッシングを求めた。これらの結果を表1に示す。
実施例12の研磨液の組成において、特定ベンゾトリアゾール誘導体(A−1)を下記表1に示す化合物にそれぞれ代えた以外は、実施例12と同様にして、比較例1〜3の研磨液を作製した。
得られた研磨液を用いて、実施例1と同様の方法で、銅研磨速度、銅/タンタル研磨速度比、及びディッシングを求めた。これらの結果を表1に併記する。
また、実施例15の研磨液のように、特定ベンゾトリアゾール誘導体と1位置換のベンゾトリアゾール誘導体とを当量で含有する場合であっても、良好な研磨性能が得られることが明らかとなった。
このような結果から、本発明の研磨液は、主として銅膜(銅配線)の研磨に用いられることが好ましい。
Claims (5)
- 半導体集積回路用基板の製造工程における化学的機械的平坦化に用いられ、下記に記載の(A−1)、(A−3)、(A−11)〜(A−13)、(A−15)、及び(A−17)〜(A−21)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、有機酸とを含有することを特徴とする金属用研磨液。
- 前記(A−1)、(A−3)、(A−11)〜(A−13)、(A−15)、及び(A−17)〜(A−21)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が、(A−1)、(A−12)、(A−15)、(A−17)、及び(A−19)〜(A−21)である請求項1に記載の金属用研磨液。
- 前記有機酸が、α−アミノ酸又は下記一般式(1)で表される化合物である請求項1又は請求項2に記載の金属用研磨液。
一般式(1)中、R1は、単結合、アルキレン基、又はフェニレン基を表す。R2及びR3は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、又はアリール基を表す。R4及びR5は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルキル基、又はアシル基を表す。但し、R1が単結合のとき、R4及びR5の少なくともいずれかは水素原子ではない。 - 銅金属及び/又は銅合金からなる銅配線の研磨に用いられることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の金属用研磨液。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の金属用研磨液を用いて、半導体デバイス製造において、化学的機械的に研磨することで銅配線を形成することを特徴とする研磨方法。
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