JP2009283751A - 金属用研磨液、及び研磨方法 - Google Patents

金属用研磨液、及び研磨方法 Download PDF

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Tadashi Inaba
正 稲葉
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Susumu Yoshikawa
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Abstract

【課題】導体膜表面の局所的な腐食の発生を抑制し、かつ、迅速な導体膜の研磨速度が得られ、さらにディッシングが少なく、被研磨面の平坦性を向上させることが可能な金属用研磨液、及びそれを用いた研磨方法を提供する。
【解決手段】(a)アルキレンオキシ鎖の一端に、芳香環を有する炭化水素基を有し、他端に、ヒドロキシ基を有する非イオン性界面活性剤、(b)金属防食剤、(c)酸化剤、(d)有機酸、および、(e)砥粒を含有し、半導体デバイスの製造工程における主として銅又は銅合金からなる導体膜の化学的機械的研磨に用いられる金属用研磨液である。前記(b)金属防食剤は、テトラゾール又はその誘導体であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属用研磨液及びこれを用いた研磨方法に関し、特に半導体デバイス製造に好適な金属用研磨液、及びこれを用いた研磨方法に関する。
近年、半導体集積回路(以下、適宜「LSI」と称する。)で代表される半導体デバイスの開発においては、小型化・高速化のため、配線の微細化と積層化による高密度化・高集積化が求められている。このための技術としては、化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing、以下、適宜「CMP」と称する。)等の種々の技術が用いられてきている。CMPは、半導体デバイスの製造において、絶縁性薄膜(SiOなど)や配線に用いられる金属薄膜の研磨に用いられ、基板の平滑化や配線形成時の余分な金属薄膜の除去を行う方法である(例えば、特許文献1参照)。
CMPに用いる金属用研磨液は、一般には、砥粒(例えばアルミナ)と酸化剤(例えば過酸化水素)とを含むものである。CMPによる研磨のメカニズムとしては、酸化剤によって金属表面を酸化し、その酸化皮膜を砥粒で除去することで研磨していると考えられている(例えば、非特許文献1参照)。
しかしながら、このような固体砥粒を含む金属用研磨液を用いてCMPを行うと、研磨傷(スクラッチ)、研磨面全体が必要以上に研磨される現象(シニング)、研磨金属面が平面状ではなく、中央のみがより深く研磨されて皿状のくぼみを生ずる現象(ディッシング)、金属配線間の絶縁体が必要以上に研磨されたうえ、複数の配線金属面表面が皿状の凹部を形成する現象(エロージョン)などが発生することがある。
また、固体砥粒を含有する金属用研磨液の使用は、研磨後に半導体面に残留する研磨液を除去するために通常行なわれる洗浄工程において、その洗浄工程が複雑となり、さらにその洗浄後の液(廃液)を処理するには固体砥粒を沈降分離する必要があるなどコスト面での問題点が存在する。
さらに、酸化剤として過酸化水素のような強酸化剤を含んでいることから、研磨工程の間に銅、タングステン、アルミニウム等の導体膜を深刻に腐食させる問題点が存在する。
このような従来の固体砥粒における問題点を解決するために、例えば、砥粒を含まない研磨液とドライエッチングとの組み合わせによる金属表面研磨方法が開示されている(例えば、非特許文献2参照)。また、砥粒を含まない金属用研磨液として、例えば、過酸化水素/リンゴ酸/ベンゾトリアゾール/ポリアクリル酸アンモニウム及び水からなる金属用研磨液、及びそれを用いた研磨方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。これら文献に記載の研磨方法によれば、半導体基体の凸部の金属膜が選択的にCMPされ、凹部に金属膜が残されて所望の導体パターンが得られるものの、従来の固体砥粒を含むよりもはるかに機械的に柔らかい研磨パッドとの摩擦によってCMPが進むため、充分な研磨速度が得難いという問題点がある。
配線用の金属としては、従来からタングステン及びアルミニウムがインターコネクト構造体に汎用されてきた。しかしながら、更なる高性能化を目指し、これらの金属より配線抵抗の低い銅を用いたLSIが開発されるようになった。この銅を配線する方法としては、例えば、ダマシン法が知られている(例えば、特許文献3参照)。また、コンタクトホールと配線用溝とを同時に層間絶縁膜に形成し、両者に金属を埋め込むデュアルダマシン法が広く用いられるようになってきた。このような銅配線用のターゲット材としては、ファイブナイン以上の高純度銅ターゲット材が用いられてきた。しかしながら、近年は、更なる高密度化を目指す配線の微細化に伴って、銅配線の導電性や電子特性などの向上が必要となり、それに伴って高純度銅に第3成分を添加した銅合金を用いることも検討されはじめてきている。同時に、これらの高精細で高純度の材料を汚染させることなく高生産性を発揮し得る高速金属研磨手段が求められている。
また、最近は生産性向上のため、LSI製造時のウェハ径が大型化しており、直径200mm以上のものが汎用であり、300mm以上の大きさでの製造も開始され始めてきた。このようなウェハの大型化に伴い、ウェハ中心部と周辺部とでの研磨速度の差が生じ易くなり、研磨後における被研磨面の均一性を達成することが重要になってきている。
銅及び銅合金に対して機械的研磨手段を用いない化学研磨方法として、化学的溶解作用を利用した方法が知られている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、化学的溶解作用のみによる化学研磨方法は、凸部の金属膜が選択的に化学的機械的に研磨されるCMPに比べ、凹部の削れ込み、即ち、ディッシングなどの発生により、その平面性に大きな課題が残っている。
また、研磨パッドの劣化を抑える有機化合物を含有する化学機械研磨用水系分散体が開示されている(例えば、特許文献5参照)。しかしながら、この研磨用水系分散体によっても、配線部金属が過剰に研磨されて皿上に窪むディッシング現象に対する懸念が残る。
その他にも研磨面の平坦化を目的として、ウェハ表面を修正するのに有用なイミノ二酢酸とその塩から選ばれるキレート剤を含有する加工液(例えば、特許文献6参照)、α−アミノ酸を含有する化学機械研磨組成物(例えば、特許文献7参照)などが提案されている。
また、通常は、銅配線を高速研磨により実施した後、銅配線のバリア金属としてしばしば用いられるタンタルやその合金類と銅とを精密研磨して、配線近傍の平滑化を行うことが一般的である。このため、銅研磨の終了時において、銅が削れやすく、タンタルが削れにくいという、銅とタンタルとの研磨選択性(以下、適宜、銅/タンタル研磨選択性と称する。)を有する研磨液の実現が望まれているのが現状である。
さらに、従来の研磨液では、CMP研磨後に、銅配線に代表される導体膜表面の一部が局所的に腐食する問題が生じることがある。このような銅配線上の局所的腐食は、研磨液中の金属防食剤の量が少ないときに生じ易く、金属防食剤の量を増やすことで、ある程度の局所的腐食を抑えることができるものの、金属研磨速度が低下するという問題が生じる。このため、導体膜表面の局所的腐食を抑制しつつ、上記のような研磨選択性に優れる研磨液が切望されていた。
米国特許第4944836号公報 特開2001−127019号公報 特開平2−278822号公報 特開昭49−122432号公報 特開2001−279231号公報 特表2002−538284号公報 特表2003−507894号公報 ジャーナル・オブ・エレクトロケミカルソサエティ誌(Journal of Electrochemical Society)、1991年、第138巻、第11号、3460〜3464頁 ジャーナル・オブ・エレクトロケミカルソサエティ誌(Journal of Electrochemical Society)、2000年、第147巻、第10号、3907〜3913頁
本発明は、前記従来技術における問題点に鑑みてなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、導体膜表面の局所的な腐食の発生を抑制し、かつ、迅速な導体膜の研磨速度が得られ、さらにディッシングが少なく、被研磨面の平坦性を向上させることが可能な金属用研磨液、及びそれを用いた研磨方法を提供することにある。
本発明者は鋭意検討した結果、下記の金属用研磨液及びそれを用いた研磨方法により、前記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の金属用研磨液、及びそれを用いた研磨方法は、以下の通りである。
<1> (a)アルキレンオキシ鎖の一端に、芳香環を有する炭化水素基を有し、他端に、ヒドロキシ基を有する非イオン性界面活性剤、(b)金属防食剤、(c)酸化剤、(d)有機酸、および、(e)砥粒を含有し、半導体デバイスの製造工程における主として銅又は銅合金からなる導体膜の化学的機械的研磨に用いられる金属用研磨液である。
<2> 前記(b)金属防食剤が、分子内に少なくとも1つの窒素原子を含む環構造を有する複素芳香環化合物である前記<1>に記載の金属用研磨液である。
<3> 前記複素芳香環化合物が、テトラゾール又はその誘導体である前記<2>に記載の金属用研磨液である。
<4> 前記複素芳香環化合物が、下記一般式(II)で表される複素芳香環化合物である前記<2>又は前記<3>に記載の金属用研磨液である。
Figure 2009283751
一般式(II)中、XおよびXは、それぞれ独立に、少なくとも一つの窒素原子を含有する複素芳香環化合物を表し、Lは、2価の連結基を表す。
<5> 前記(e)砥粒が、平均一次粒子径が10nm〜40nmであり、且つ、会合度が3以下の、シリカ粒子又はアルミナ粒子である前記<1>〜前記<4>のいずれか1つに記載の金属用研磨液である。
<6> 前記複素芳香環化合物が、下記一般式(IV)で示されるベンゾトリアゾール誘導体である前記<2>に記載の金属用研磨液である。
Figure 2009283751
一般式(IV)中、Rは、親水基を置換基として有するアルキル基を表す。R、R、R、及びRは、それぞれ独立に水素原子、または1価の置換基を表す。
<7> 前記ベンゾトリアゾール誘導体が、1−(1,2−ジカルボキシエチル)ベンゾトリアゾール、1−(2,3ジヒドロキシプロピル)ベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(ヒドロキシジエチル)アミノメチル]−ベンゾトリアゾール、及び1−(ヒドロキシメチル)ベンゾトリアゾールより選択される1種類以上である前記<6>に記載の金属用研磨液である。
<8> (a)アルキレンオキシ鎖の一端に、芳香環を有する炭化水素基を有し、他端に、ヒドロキシ基を有する非イオン性界面活性剤、(b)金属防食剤、(c)酸化剤、(d)有機酸、および、(e)砥粒を含有する金属用研磨液を用いて半導体デバイス製造において、主として銅又は銅合金からなる導体膜を化学的機械的に研磨する研磨方法である。
本発明によれば、導体膜表面の局所的な腐食の発生を抑制し、かつ、迅速な導体膜の研磨速度が得られ、さらにディッシングが少なく、被研磨面の平坦性を向上させることが可能な金属用研磨液、及びそれを用いた研磨方法を提供することができる。
[金属用研磨液]
本発明の金属用研磨液は、(a)アルキレンオキシ鎖の一端に、芳香環を有する炭化水素基を有し、他端に、ヒドロキシ基を有する非イオン性界面活性剤、(b)金属防食剤、(c)酸化剤、(d)有機酸、および、(e)砥粒を含有し、半導体デバイスの製造工程における主として銅又は銅合金からなる導体膜の化学的機械的研磨に用いられる金属用研磨液である。
以下、本発明の金属用研磨液に含まれる前記(a)〜(e)の各構成成分、及び、さらに本発明の金属用研磨液に含み得るその他の成分について順次説明する。
<(a)アルキレンオキシ鎖の一端に、芳香環を有する炭化水素基を有し、他端に、ヒドロキシ基を有する非イオン性界面活性剤>
本発明の金属用研磨液の(a)成分である非イオン性界面活性剤は、アルキレンオキシ鎖の一端に、芳香環を有する炭化水素基を有し、他端に、ヒドロキシ基を有する。以下、(a)成分の非イオン性界面活性剤を、「特定界面活性剤」とも称する。
−アルキレンオキシ鎖−
前記特定界面活性剤のアルキレンオキシ鎖は、n個のアルキレンオキシ基の繰り返し単位からなるポリアルキレンオキシ鎖であることが好ましい。
前記アルキレンオキシ基の繰り返し単位数であるnは、1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、2〜10であることが更に好ましい。
前記特定界面活性剤におけるアルキレンオキシ基は、炭素数が1〜5であることが好ましく、炭素数が2〜5であることがより好ましく、炭素数が2〜3、すなわち、エチレンオキシ基、又はプロピレンオキシ基であることがさらに好ましい。
前記特定界面活性剤におけるアルキレンオキシ基は、特定界面活性剤の機能を損なわない範囲で、さらにヒドロキシ基を有してもよい。
また、前記アルキレンオキシ鎖は、異種のアルキレンオキシ基を複数組み合わせてアルキレンオキシ鎖としてもよいし、同一種のアルキレンオキシ基を組み合わせてアルキレンオキシ鎖としてもよい。好ましくは、同一種のアルキレンオキシ基を組み合わせて得られたアルキレンオキシ鎖である。
−ヒドロキシ基−
前記特定界面活性剤は、前記アルキレンオキシ鎖に結合するヒドロキシ基を有する。該ヒドロキシ基の他に、上述したように、前記アルキレンオキシ鎖を構成する前記アルキレンオキシ基が更にヒドロキシ基を有し得る。
前記特定界面活性剤が有するヒドロキシ基の数は、特に制限されるものではない。前記特定界面活性剤が有するヒドロキシ基の数は、1〜2であることが好ましい。より好ましくは、1であること、すなわち、前記アルキレンオキシ基がヒドロキシ基を有さず、前記アルキレンオキシ鎖の末端のみにヒドロキシ基がある態様がより好ましい。
−芳香環を有する炭化水素基−
前記特定界面活性剤は、前記アルキレンオキシ鎖に結合する芳香環を有する炭化水素基 を有する。以下、芳香環を有する炭化水素基を、「特定炭化水素基」とも称する。
前記特定炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基(α−ナフチル基、若しくはβ−ナフチル基)等のアリール基、及び、ベンジル基、1−フェニルエチル基(以下、「フェニルエチル基」と称する)、2−フェニルエチル基(以下、「フェネチル基」と称する)、4−フェニルブチル基等のアリール基で置換されたアルキル基等が挙げられる。
前記アリール基としてはフェニル基が好ましい。
前記アリール基を有するアルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、及びフェネチル基が好ましく、ベンジル基、及びフェニルエチル基がより好ましい。
前記特定炭化水素基は、該特定炭化水素基に含まれるベンゼン環が、さらに特定炭化水素基で置換されていてもよい。このとき、前記特定炭化水素基に含まれるベンゼン環が有する置換基の数は、1〜3であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。また、前記特定炭化水素基に含まれるベンゼン環が有する置換基(芳香環を有する炭化水素基)は、同じであっても、異なっていてもよい。
前記特定炭化水素基の炭素数は、置換基の炭素数を含めて、6〜40であることが好ましく、7〜27であることがより好ましく、7〜14であることが更に好ましい。
上記の中でも、特定炭化水素基は、ベンジル基、フェニルエチル基、フェネチル基、ベンジル基を置換基として有するフェニル基、フェニルエチル基を置換基として有するフェニル基、又はフェネチル基を置換基として有するフェニル基であることが好ましい。
前記特定界面活性剤の構成は、ヒドロキシ基を1つ有し、前記アルキレンオキシ鎖及び特定炭化水素基が下記組み合わせであることが好ましい。すなわち、
前記アルキレンオキシ鎖が、ポリプロピレンオキシ鎖またはポリエチレンオキシ鎖であり、前記特定炭化水素基が、置換または無置換のフェニル基である組み合わせである。
より好ましい組み合わせとしては、
前記アルキレンオキシ鎖が、ポリプロピレンオキシ鎖またはポリエチレンオキシ鎖であり、前記特定炭化水素基が、1つ〜3つのフェニルエチル基で置換されたフェニル基である組み合わせである。
さらに好ましい組み合わせとしては、
前記アルキレンオキシ鎖が、ポリプロピレンオキシ鎖であり、前記特定炭化水素基が、1つ〜3つのフェニルエチル基で置換されたフェニル基である組み合わせである。
特に好ましい組み合わせとしては、
前記アルキレンオキシ鎖が、ポリプロピレンオキシ鎖であり、前記特定炭化水素基が、1つ〜2つのフェニルエチル基で置換されたフェニル基である組み合わせである。
以下に前記特定界面活性剤の具体例P−1〜P−10を示すが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
Figure 2009283751
Figure 2009283751
上記P−1〜P−10の中でも、腐食防止の観点から、P−1、P−6、P−9、及びP−10が好ましく、P−6がより好ましい。
前記P−1〜P−10におけるnは、後述する特定界面活性剤の分子量の範囲を満たす整数から適宜選択される。
前記特定界面活性剤は、市販品を用いることができ、例えば、花王株式会社製 エマルゲンA−60、エマルゲンA−90、エマルゲンA−500、エマルゲンB−66、竹本油脂株式会社製 パイオニンD−6105−W、パイオニンD−6108−W、パイオニンD−6112、パイオニンD−6115、パイオニンD−6131、パイオニンD−6112−W、パイオニンD−6115−W、パイオニンD−6115−X、パイオニンD−6120、パイオニンD−6120−X、パイオニンD−6310、パイオニンD−6315、パイオニンD−6320、パイオニンD−6330、パイオニンD−6512、パイオニンD−6414、青木油脂工業株式会社製 ELEBASE CP−800Kが挙げられる。
前記特定界面活性剤は、複数種混合して使用することもできる。例えば、前記アルキレンオキシ鎖としてポリオキシプロピレン鎖を有する特定界面活性剤と、前記アルキレンオキシ鎖としてポリオキシエチレン鎖を有する特定界面活性剤とを混合して用いることができる。
前記特定界面活性剤の分子量は、150〜1,000であることが好ましく、200〜600であることがより好ましい。更に好ましくは、250〜500である。
前記特定界面活性剤の含有量は、腐食防止効果を効率良く発現する観点から、本発明の金属用研磨液の全質量に対して、0.0001質量%〜0.2質量%であることが好ましく、0.01質量%〜0.1質量%であることがより好ましい。
<(b)金属防食剤>
本発明の金属用研磨液は、(b)金属防食剤を含有する。
前記(b)金属防食剤は、導体膜を過酸化水素による腐食から保護することにより、導体膜表面の腐食、それに起因する導体膜欠陥の発生やエロージョンを抑制することができ、さらに、金属防食剤は導体膜表面の保護作用によって導体膜の過剰の研磨を抑制してディッシングの発生を抑制することができる。
本発明に用いうる金属防食剤としては、一般に用いられる金属防食剤を特に制限無く用いることができるが、前記特定界面活性剤と併用することを考慮すれば、分子内に少なくとも1つの窒素原子を含む環構造を有する複素芳香環化合物であることが好ましい。
このような分子内に少なくとも1つの窒素原子を含む環構造を有する複素芳香環化合物としては、5員の複素芳香環を有する化合物が挙げられ、好ましくはアゾール類である。
前記アゾール類の中にはイミダゾール、テトラゾール、トリアゾール、及びチアゾール等があり、イミダゾール、テトラゾール、及びトリアゾールが好ましい。
前記イミダゾールとしては、イミダゾール、ベンズイミダゾール、1−ビニルイミダゾール、1−フェニルイミダゾール、1−ブチルイミダゾール、1−ベンジルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−アミノベンゾイミダゾール、2−アミノ−4,5−ジシアノイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、4−イミダゾールカルボン酸、5−ニトロベンズイミダゾール、N−(n−ブチル)イミダゾール、が挙げられる。
前記テトラゾールとしては、5−アミノテトラゾール、5−メチルテトラゾール、テトラゾール5酢酸、テトラゾール1酢酸等が挙げられる。
前記トリアゾールとしては、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、トリルトリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3−トリアゾール4,5ジカルボン酸、1−メチルベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−ニトロ−1,2,4−トリアゾール、5−ニトロベンゾトリアゾール、が挙げられる。
上記の複素芳香環化合物の中でも、本発明の金属用研磨液中において、前記特定界面活性剤と併用され、導体膜表面の局所的な腐食の発生を抑制しつつ、研磨速度を低下させず、ディッシングを抑えるとの観点から、(b)金属防食剤は、後述する一般式(I)〜一般式(III)で示される複素芳香環化合物であることが好ましい。
まず、下記一般式(I)で示される複素芳香環化合物について、説明する。
Figure 2009283751
一般式(I)中、Xは、少なくとも一つの窒素原子を含有する複素芳香環基を表す。
Zは、水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい複素芳香環基、−NZ、または、−OZを表す。Z、Z及びZは、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいアリール基、または、置換基を有していてもよい複素芳香環を表す。
Yは、水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基、または、−C(=O)−Z’を表す。Z’は、Zと同一である。Y及びZは、互いに結合して環を形成してもよい。
一般式(I)中、Xは、少なくとも一つの窒素原子を含有する複素芳香環基(ヘテロ環基)を表す。複素芳香環基の環員数は特に限定されず、単環であっても縮合環を有する多環であってもよい。単環の場合の員数は、好ましくは3〜8であり、さらに好ましくは4〜7であり、特に好ましくは5〜6である。また、縮合環を有する場合の環数は、好ましくは2〜4であり、さらに好ましくは2である。複素芳香環は、芳香族または非芳香族のどちらでもよい。
一般式(I)におけるXで表される複素芳香環基には、炭素原子、水素原子、窒素原子以外に、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、リン原子、ケイ素原子、ホウ素原子を含んでいていてもよい。Xに含有される窒素原子の数は、通常1つ以上で、好ましくは2つ以上、より好ましくは3つ以上である。
上記一般式(I)中、Xで表される複素芳香環基としては、例えば、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピロリジン環、ピラゾリジン環、イミダゾリジン環、イソオキサゾリジン環、イソチアゾリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、インドリン環、イソインドリン環、ピリンジン環、インドリジン環、インドール環、インダゾール環、プリン環、キノリジン環、イソキノリン環、キノリン環、ナフチリジン環、フタラジン環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、プテリジン環、アクリジン環、ペリミジン環、フェナントロリン環、カルバゾール環、カルボリン環、フェナジン環、アンチリジン環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、トリアジン環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、テトラゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ベンゾフロキサン環、ナフトイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、テトラアザインデン環などが挙げられ、好ましくはテトラゾール環、1,2,4−トリアゾール環、1,2,3−トリアゾール環、ベンゾトリアゾールトリアゾール環などが挙げられ、より好ましくは、テトラゾール環、1,2,3−トリアゾール環である。
一般式(I)におけるXで表される複素芳香環基は、置換基を有していてもよい。上記複素芳香環基に導入しうる置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子)、アルキル基(直鎖、分岐または環状のアルキル基であり、ビシクロアルキル基のように多環アルキル基であってもよく、また、活性メチン基を含んでいてもよい。)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素芳香環基(置換する位置は問わない)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素芳香環オキシカルボニル基、カルバモイル基(置換基を有するカルバモイル基としては、例えば、N−ヒドロキシカルバモイル基、N−アシルカルバモイル基、N−スルホニルカルバモイル基、N−カルバモイルカルバモイル基、チオカルバモイル基、N−スルファモイルカルバモイル基)、カルバゾイル基、カルボキシ基またはその塩、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、カルボンイミドイル基(Carbonimidoyl基)、ホルミル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基またはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、複素芳香環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシまたはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル、アリール、または複素芳香環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、N−ヒドロキシウレイド基、イミド基、(アルコキシまたはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、N−(アルキルまたはアリール)スルホニルウレイド基、N−アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、ヒドロキシアミノ基、ニトロ基、四級化された窒素原子を含む複素芳香環基(例えば、ピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、イソシアノ基、イミノ基、メルカプト基、(アルキル、アリール、または複素芳香環)チオ基、(アルキル、アリール、または複素芳香環)ジチオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基(置換基を有するスルファモイル基としては、例えば、N−アシルスルファモイル基、N−スルホニルスルファモイル基)またはその塩、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基などが挙げられる。
これらの置換基の中でも、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、複素芳香環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素芳香環オキシカルボニル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素芳香環オキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、(アルキル、アリール、または複素芳香環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、N−ヒドロキシウレイド基が好ましく、アルキル基、アリール基、複素芳香環基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、(アルキル、アリール、または複素芳香環)アミノ基、ウレイド基がより好ましい。複数の置換基が導入される場合、それらは同じものであっても、互いに異なるものであってもよい。
一般式(I)中のYは、水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基、または−C(=O)−Z’を表す。
一般式(I)中、Yで表される脂肪族炭化水素基は、アルキル基、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む二重結合を有する不飽和脂肪族基を意味する)、アルキニル基である。
一般式(I)におけるYで表されるアルキル基は、特に限定されず、直鎖、分岐鎖、または環状でもよく、これらは置換基を有していてもよい。
一般式(I)におけるYで表される直鎖または分岐鎖のアルキル基としては、炭素数1〜30が好ましく、さらに炭素数1〜20が好ましく、特に炭素数1〜10が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、トリフルオロメチル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられ、好ましくはメチル基またはエチル基である。
一般式(I)におけるYで表される環状のアルキル基としては、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、またはトリシクロアルキル基などが挙げられる。シクロアルキル基としては、炭素数3〜30が好ましく、さらに炭素数4〜20が好ましく、特に炭素数5〜10が好ましい。具体的には、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基などが挙げられ、好ましくはシクロヘキシル基である。ビシクロアルキル基としては、炭素数3〜30が好ましく、さらに炭素数4〜20が好ましく、特に炭素数5〜12が好ましい。具体的には、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基などが挙げられる。アルキル基に導入しうる置換基としては、上記Xで表される複素芳香環基に導入しうる置換基として例示したものなどが挙げられる。複数の置換基が導入される場合、それらは同じものであっても、互いに異なるものであってもよい。
一般式(I)におけるYで表されるアルケニル基は、特に限定されず、直鎖、分岐鎖、または環状でもよく、これらは置換基を有していてもよい。直鎖または分岐鎖のアルケニル基としては、炭素数2〜30が好ましく、さらに炭素数2〜20が好ましく、特に炭素数2〜10が好ましい。具体的には、ビニル基、アリル基、プレニル基、ゲラニル基、オレイル基などが挙げられ、好ましくはビニル基またはアリル基である。シクロアルケニル基としては、炭素数3〜30が好ましく、さらに炭素数3〜20が好ましく、特に炭素数5〜10が好ましい。具体的には、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基などが挙げられる。ビシクロアルキル基としては、炭素数3〜30が好ましく、さらに炭素数3〜20が好ましく、特に炭素数5〜12が好ましい。具体的には、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル基などが挙げられる。アルケニル基に導入しうる置換基としては、上記Xで表される複素芳香環基に導入しうる置換基として例示したものなどが挙げられるが、中でも、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基等)、アリール基(フェニル基等)、ヒドロキシ基がより好ましい。複数の置換基が導入される場合、それらは同じものであっても、互いに異なるものであってもよい。
一般式(I)におけるYで表されるアルキニル基は、特に限定されず、直鎖、分岐鎖、または環状でもよく、炭素数2〜30が好ましく、さらに炭素数3〜20が好ましく、特に炭素数3〜10が好ましい。アルキニル基は置換基を有していてもよく、具体的には、上記Xで表される複素芳香環基に導入しうる置換基として例示したものなどが挙げられるが、中でも、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基等)、アリール基(フェニル基等)、ヒドロキシ基等がより好ましい。複数の置換基が導入される場合、それらは同じものであっても、互いに異なるものであってもよい。具体的には、エチニル基、プロパルギル基などが挙げられる。
一般式(I)におけるYで表されるアリール基は、芳香族性を有する環であれば特に制限されるものではないが、炭素数6〜30が好ましく、さらに炭素数6〜20が好ましく、特に炭素数6〜12が好ましい。アリール基は置換基を有していてもよく、具体的には、上記Xで表される複素芳香環基に導入しうる置換基として例示したものなどが挙げられるが、中でも、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基等)、アリール基(フェニル基等)、ヒドロキシ基等がより好ましい。複数の置換基が導入される場合、それらは同じものであっても、互いに異なるものであってもよい。アリール基の具体例としては、フェニル基、p−トリル基、ナフチル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基などが挙げられ、好ましくはフェニル基、p−トリル基、ナフチル基である。
Yで表される−C(=O)−Z’におけるZ’は、後述する一般式(I)におけるZの定義と同一である。
上記一般式(I)におけるYは、水素原子、又は−C(=O)−Z’であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
一般式(I)におけるZは、水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい複素芳香環基、−NZ、または、−OZを表し、Z、Z及びZは、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいアリール基、または、置換基を有していてもよい複素芳香環基を表す。Z、Zは、同一であっても異なっていてもよい。
一般式(I)におけるZは、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい複素芳香環基、−NZ、または、−OZであることが好ましく、−NZであることがより好ましい。さらに、−NZにおけるZ又はZの一方が、水素原子であることが好ましく、Z、Zが、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基であることが、特に好ましい。
前記一般式(I)中のZで表される脂肪族炭化水素基、アリール基、複素芳香環基、及びZ、Z、Zで表される脂肪族炭化水素基、アリール基、及びヘテロ基は、ヒドロキシ基、アミノ基、エーテル基、アミド基、スルホンアミド基、スルホンイミド基、カルボキシ基、スルホ基、4級アンモニウム基、イミダゾリウム基、及びホスホ基からなる群より選ばれた少なくとも一種の基で置換されていることが好ましく、特に研磨の際のスクラッチ数が少ないという観点からヒドロキシ基が好ましい。複数の置換基が導入される場合、それらは同じものであっても、互いに異なるものであってもよい。
Zで表される脂肪族炭化水素基は、前記Yで表される脂肪族炭化水素基と同義である。
Zで表されるアリール基は、前記Yで表されるアリール基と同義である。
Zで表される複素芳香環基は、環員数は特に限定されず、単環であっても縮合環を有する多環であってもよく、好ましくは単環である。単環の場合の員数は、好ましくは3〜10であり、さらに好ましくは4〜8であり、特に好ましくは5〜6である。また、縮合環を有する場合の環数は、好ましくは2〜6であり、さらに好ましくは2〜3である。複素芳香環は、芳香族または非芳香族のどちらでもよい。好適な適用として環員数5で、芳香族である複素芳香環基が挙げられる。
Zで表される複素芳香環基は、炭素原子、水素原子以外のヘテロ原子を一個以上有する。ヘテロ原子としては、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、リン原子、ケイ素原子、またはホウ素原子が挙げられる。
Zで表される複素芳香環基は、具体的に、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、キナゾリン環、シンノリン環、フタラジン環、キノキサリン環、ピロール環、インドール環、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピラゾール環、オキサゾール環、ベンズオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、イソチアゾール環、ベンズイソチアゾール環、チアジアゾール環、イソオキサゾール環、ベンズイソオキサゾール環、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、イミダゾリジン環、チアゾリン環などが挙げられ、好ましくはピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアジン環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環である。
Zで表される−NZ中のZ、Z、及び、−OZ中のZは、それぞれ独立に水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基、複素芳香環基である。該脂肪族炭化水素基の定義は、前記Yで表される脂肪族炭化水素基と同義である。該アリール基の定義は、前記Yで表されるアリール基と同義である。該複素芳香環基の定義は、前記Xで表される複素芳香環基と同義である。
一般式(I)で表される化合物の好ましい態様としては、研磨の際にスクラッチ数が少ないという観点から、Xが、テトラゾールまたはトリアゾールで、Yが、水素原子で、Zが、−NZであり、Zが、水素原子で、Zが、ヒドロキシ基で置換されている脂肪族炭化水素基である。
前記一般式(I)におけるY及びZは、互いに連結して環を形成してもよい。
以下に、一般式(I)で表される化合物のうち、好ましい具体例(A−1〜A−76)を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2009283751
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Figure 2009283751
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上記具体例A−1〜A−76の中でも、研磨速度と平坦性の観点から、A−15、A−17、A−18、A−19、A−27、A−45、A−47、A−48、A−49及びA−72が好ましく、A−15、A−19、A−45、及びA−48がより好ましい
なお、本発明の金属用研磨液は、研磨に使用する際の金属用研磨液(即ち、必要により希釈された研磨液、以下「使用液」と称する場合がある。)のみならず、金属用研磨液の濃縮液を含む。濃縮液とは、研磨に使用する際の研磨液(使用液)よりも、溶質の濃度が高く調製された研磨液を意味する。上記濃縮液は、研磨に使用する際に、水または水溶液で希釈して、研磨に使用されるものである。希釈倍率は、一般的には1〜20体積倍である。
本明細書において「濃縮」及び「濃縮液」とは、使用状態よりも「濃厚」及び「濃厚な液」を意味する慣用表現にしたがって用いており、蒸発などの物理的な濃縮操作を伴う一般的な用語の意味とは異なる用法で用いている。
一般式(I)で表される複素芳香環化合物は、市販品を使用してもよいし、公知の方法(例えば、J.Med.Chem.27巻、2号、125頁(1984年)等)を参考にして合成してもよい。
次に、下記一般式(II)で示される複素芳香環化合物について説明する。
Figure 2009283751
前記一般式(II)中、XおよびXは、各々独立に、少なくとも一つの窒素原子を含有する複素芳香環を表し、Lは、二価の連結基を表す。
前記一般式(II)中のXおよびXで表される「少なくとも一つの窒素原子を含有する複素芳香環」は、前記一般式(I)におけるXの説明において記載したものと同義であり、中でも、平坦性に優れる点で、テトラゾール、1,2,4−トリアゾール、1,2,3−トリアゾール、又はベンゾトリアゾールであることが好ましい。
前記一般式(II)中、Lで表される二価の連結基は、XとXとをつなぐことができる基であれば特に制限されないが、中でも、平坦性に優れる点で、ウレイド基、チオウレイド基、アミド基、エステル基、スルホンアミド基、スルホンウレイド基、ヒドロキシ基、エーテル基、アミノ基、カルボキシ基、スルホ基、および、複素芳香環基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基が含まれる二価の連結基が好ましい。
前記Lで表される連結基は、前記群より選ばれる少なくとも一つの基を、二つ以上有することができる。
前記Lで表される連結基は、さらに炭化水素基を含有することができる。
前記Lで表される連結基が含有することができる炭化水素基は特に制限されない。例えば、ジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、1,1,3−トリメチルへキシレン基のような、鎖状または分岐状のアルキレン基;シクロヘキシレン基のような脂環族炭化水素基;フェニレン基、トリレン基、キシリレン基のような芳香族炭化水素基;複素芳香環が挙げられる。
炭化水素基は、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子を、例えば、エーテル結合、スルフィド結合、−S−S−のようなポリスルフィド結合、第2級アミン、第3級アミンとして有することができる。
前記Lで表される連結基は、炭化水素基をそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせたものとすることができる。
前記Lで表される連結基は、炭化水素基の両末端にそれぞれ独立に、ウレイド基、チオウレイド基、アミド基、エステル基、スルホンアミド基、スルホンウレイド基、エーテル基を有し、ウレイド基、チオウレイド基、アミド基、エステル基、スルホンアミド基、スルホンウレイド基においてXまたはXと結合するのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
このような場合、ウレイド基はウレイレン基となり、チオウレイド基はチオウレイレン基となり、アミド基は−NHCO−となり、スルホンアミド基は−SONH―となり、スルホンウレイド基はスルホンウレイレン基となる。
また、前記Lで表される連結基は、エーテル基、ウレイド基、チオウレイド基、アミド基、エステル基、スルホンアミド基、スルホンウレイド基、エーテル基を介して2つの炭化水素基を結合させることができる。
また、前記Lで表される連結基における炭化水素基に、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、スルホ基、ウレイド基、チオウレイド基、アミド基、エステル基、スルホンアミド基、スルホンウレイド基が結合しているのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
一般式(II)中のLは、可能な限り更に置換基を有することができる。
導入可能な置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子)、アルキル基(直鎖、分岐又は環状のアルキル基であり、ビシクロアルキル基のように多環アルキル基であっても、活性メチン基を含んでもよい)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素芳香環基(置換する位置は問わない)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素芳香環オキシカルボニル基、カルバモイル基(置換基を有するカルバモイル基としては、例えば、N−ヒドロキシカルバモイル基、N−アシルカルバモイル基、N−スルホニルカルバモイル基、N−カルバモイルカルバモイル基、チオカルバモイル基、N−スルファモイルカルバモイル基)、カルバゾイル基、カルボキシ基又はその塩、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、カルボンイミドイル基、ホルミル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基若しくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、複素芳香環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシ若しくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル、アリール、又は複素芳香環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、N−ヒドロキシウレイド基、イミド基、(アルコキシ若しくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、N−(アルキル若しくはアリール)スルホニルウレイド基、N−アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、ヒドロキシアミノ基、ニトロ基、4級化された窒素原子を含む複素芳香環基(例えば、ピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、イソシアノ基、イミノ基、メルカプト基、(アルキル、アリール、又は複素芳香環)チオ基、(アルキル、アリール、又は複素芳香環)ジチオ基、(アルキル又はアリール)スルホニル基、(アルキル又はアリール)スルフィニル基、スルホ基、スルファモイル基(置換基を有するスルファモイル基としては、例えば、N−アシルスルファモイル基、N−スルホニルスルファモイル基)、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が挙げられる。
一般式(II)中のLで表される二価の連結基は、半導体デバイス製造工程における化学的機械的研磨において使用される金属用研磨液が基盤表面のディッシングを抑制し、研磨速度を高くすることができるという観点から、ウレイド基、チオウレイド基、アミド基、エステル基、スルホンアミド基、ヒドロキシ基、エーテル基、アミノ基、カルボキシ基、スルホ基、および、複素芳香環基が含有される連結基、および、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基などが置換した二価の連結基が好ましい。
一般式(II)中のLで表される二価の連結基としてより好ましくは、ウレイド基、アミド基、エーテル基、およびアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種が含有される連結基、および、ヒドロキシ基が置換した連結基が好ましい。
一般式(II)で表される複素芳香環化合物は、半導体デバイス製造工程における化学的機械的研磨において使用される金属用研磨液が基盤表面のディッシングを抑制し、研磨速度を高くすることができるという観点から、XおよびXは、テトラゾールもしくは1,2,3−トリアゾールを表し、Lで表される二価の連結基中に、ウレイド基、アミド基、ヒドロキシ基、エーテル基、および、アミノ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの基が含有されているのが好ましい。
以下に、前記一般式(II)で表される複素芳香環化合物の具体例を挙げる。
Figure 2009283751
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Figure 2009283751
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上記B−1〜B−68の中でも、研磨速度と平坦性の観点から、B−4、B−7、B−12、B−22、B−23、B−39、B−45、B−46、B−61、及びB−62が好ましく、B−12、B−23、B−39、B−45、及びB−46がより好ましい。
前記一般式(II)で表される複素芳香環化合物の製造方法としては、例えば、下記スキームで表される反応による製造方法が挙げられる。
Figure 2009283751
前記スキーム中、XおよびXは、前記一般式(II)におけるX、およびXと同義である。
は、単結合または二価の炭化水素基を示す。
及びA、並びにB及びBは、それぞれ独立に、互いに反応して、二価の連結基、例えば、ウレイド基、チオウレイド基、アミド基、エステル基、スルホンアミド基、スルホンウレイド基、エーテル基、アミノ基、又はスルホ基を形成することができる官能基を示す。
Lは、前記一般式(II)におけるLと同義であり、例えば、ウレイド基、チオウレイド基、アミド基、エステル基、スルホンアミド基、スルホンウレイド基、ヒドロキシ基、エーテル基、アミノ基、カルボキシ基、スルホ基、および、複素芳香環基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基が含まれる二価の連結基を表す。
ただし、XおよびXは、同じであっても異なっていてもよく、AおよびAは、同じであっても異なっていてもよく、BおよびBは、同じであっても異なっていてもよい。)
前記Rで示される炭化水素基は、上記と同義である。
前記A、及びAとしては、例えば、アミノ基、カルボキシ基、チオカルボキシ基、ヒドロキシ基、スルホ基、−NH−CO−O−R、−NH−CS−O−R、−NH−CO−NH−NH、−NH−CO−NH−OH、−CO−O−R、−CO−O−CO−R、−CO−Cl、−CO−NH−CO−O−R、−N=C=O、−N=C=S、−OCN、−SCN、−O−CO−OR等が挙げられる。
前記B、及びBとしては、例えば、アミノ基、カルボキシ基、チオカルボキシ基、ヒドロキシ基、スルホ基、−NH−CO−O−R、−NH−CS−O−R、−NH−CO−NH−NH、−NH−CO−NH−OH、−CO−O−R、−CO−O−CO−R、−CO−O−SO−R、−CO−Cl、−CO−NH−CO−O−R、−N=C=O、−N=C=S、−OCN、−SCN、−O−CO−OR等が挙げられる。
前記A、A、B、又はBで表される−NH−CO−O−、−NH−CS−O−、−CO−O−、−CO−NH−CO−O−、及び−O−CO−Oに結合しているRは炭化水素基であり、Rとしての炭化水素基は特に制限されない。例えば、メチル基、エチル基、エチル基、n−ブチル基等のようなアルキル基;フェニル基のような芳香族基が挙げられる。
及びA、並びにB及びBとの組合せとしては、例えば、A及びAが、それぞれ独立に、アミノ基であり、B及びBが、それぞれ独立に、−NH−CO−O−R、−N=C=O、−CO−O−R、−CO−O−CO−R、若しくは−CO−Clであるもの、又は、A及びAが−NH−CO−O−Rであり、B及びBが、それぞれ独立に、アミノ基、ヒドロキシ基であるもの等が挙げられる。
−(R)−Bで表される化合物としては、例えば、下記M−1〜M−24が挙げられる。
Figure 2009283751
Figure 2009283751
前記具体例M−1、M−2、M−4、M−5、及びM−18中、nは、1〜12の整数である。
なお、M−1〜M−24は、B−1〜B−68に示される2つ複素芳香環のを結ぶ連結基に対応しており、後述するN−1〜N−8等とともに反応させることで、B−1〜B−68を製造する際に使用することができる。
例えば、M−17はB−8を製造する際に使用することができる。同様に、M−18はB−15を、M−19はB−19を、M−20はB−33を、M−21はB−37を、M−22はB−38を、M−23はB−39を、M−24はB−18を製造する際に使用することができる。
−A、又はA−Xで表される化合物としては、例えば、下記N−1〜N−8が挙げられる。
Figure 2009283751
−Aと、A−Xと、B−(R)−Bとの反応としては、例えば、AおよびAのモル数と、BおよびBのモル数とが、当量となるような量のX−Aと、A−Xと、B−(R)−Bとを用い、これらをアセトニトリルやN−メチルピロリドンに代表される溶媒中で、0 〜100℃の条件下で、反応させる方法が挙げられる。
−Aと、A−Xと、B−(R)−Bとの反応には、例えば、酸(ルイス酸を含む)、塩基(ルイス塩基を含む)のような触媒や、ジシクロヘキシルカルボジイミドのような縮合剤を使用することができる。
また、X−Aと、A−Xと、B−(R)−Bとの反応後に、例えば加水分解反応などにより、置換基を変換させてもよい。
次に、下記一般式(III)で表される複素芳香環化合物について、説明する。下記一般式(III)で表される複素芳香環化合物は、ベンゾトリアゾール類であり、ベンゾトリアゾール及びその誘導体を含むものである。
Figure 2009283751
一般式(III)中、Rは、水素原子、または炭素数1〜10のアルキル基を表す。R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子または1価の置換基を表す。
一般式(III)において、Rがアルキル基を表す場合、さらに置換基を有していてもよく、アルキル基に導入可能な置換基としては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルキル基、アミノ基、スルホ基、及びアルコキシル基等を挙げることができる。
一般式(III)におけるRは、親水基を置換基として有するアルキル基であることがこのましく、置換基としての親水基は、好ましくは、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基であり、より好ましくはアミノ基である。さらにアミノ基は、置換または無置換のアルキル基を有していることが好ましい。アミノ基が有するアルキル基が有してもよい置換基は、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、スルホ基、及びアルコキシル基、等を挙げることができる。好ましくは、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基であり、より好ましくはヒドロキシル基である。
、R、R及びRである1価の置換基には、特に制限はないが、好ましくは、炭素数1〜8のアルキル基、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基、カルバモイル基、およびアミド基である。より好ましくは炭素数1〜5のアルキル基であり、特に好ましくはメチル基である。
以下に、一般式(III)で表される複素芳香環化合物の具体例〔I−1〜I−14〕を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2009283751
上記具体例I−1〜I−14の中でも、研磨速度と平坦性の観点から、I−1、I−3、I−5、I−6、I−7、I−9、I−11及びI−12が好ましく、I−1、I−3、I−9、I−11、I−12、がより好ましい。
また、前記一般式(III)で表されるベンゾトリアゾール誘導体として、特に、研磨速度と平坦性が良好である点で、1−(1,2−ジカルボキシエチル)ベンゾトリアゾール、1−(2,3ジヒドロキシプロピル)ベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(ヒドロキシジエチル)アミノメチル]−ベンゾトリアゾール、1−(ヒドロキシメチル)ベンゾトリアゾールが好ましい。
前記一般式(I)〜(II)で表される複素芳香環化合物、及び前記一般式(III)で表される複素芳香環化合物は、各々複数種を、併用して用いてもよいが、金属防食剤の機能を発揮する観点からは、同一種の複素芳香環化合物を用いることが好ましい。
本発明の金属用研磨液に含有される(b)金属防食剤は、前記一般式(I)〜(III)で表される複素芳香環化合物の中でも、前記一般式(I)又は前記一般式(II)で表される複素芳香環化合物が好ましく、前記一般式(I)又は前記一般式(II)で表されるテトラゾールがより好ましく、前記一般式(II)で表されるテトラゾールが更に好ましい。
一般式(I)〜一般式(III)で表される複素芳香環化合物の分子量は、好ましくは70〜300であり、より好ましくは90〜200である。分子量が300以下であることで、一般式(I)〜一般式(III)で表される複素芳香環化合物が溶け易くなり、分子量が70以上であることで、ディッシングの悪化を抑制することができる。
前記一般式(I)〜一般式(III)で表される複素芳香環化合物の含有量は、総量として、研磨に使用する際の金属用研磨液(使用液)1L中、1×10−8〜1×10−1molが好ましく、より好ましくは1×10−7〜1×10−2mol、更に好ましくは1×10−6〜1×10−3molである。一般式(I)〜一般式(III)で表される複素芳香環化合物の含有量がこの範囲であると、高研磨速度を維持できるという点で好ましい。
また、前記特定界面活性剤と、前記一般式(I)〜一般式(III)で表される複素芳香環化合物との量比(前記特定界面活性剤:一般式(I)〜一般式(III)で表される複素芳香環化合物;質量基準)は、10:1〜2:1が好ましく、300:1〜3:1がより好ましく、20:1〜10:3が更に好ましい。
前記複素芳香環化合物を半導体デバイス製造工程における化学的機械的研磨に用いられる本発明の金属用研磨液に含有させることによって、本発明の金属用研磨液を用いて被研磨体(ウェハ)を研磨する際に、銅配線上の局所的な腐食の発生を抑制しつつ、高い研磨速度と低ディッシングとを両立させることが可能なものとすることができる。
<(c)酸化剤>
本発明の金属用研磨液は、被研磨物の金属を酸化する(c)酸化剤を含有する。
(c)酸化剤としては、例えば、過酸化水素、ペルオキソ二硫酸、過酸化物、硝酸塩、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸塩、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、過硫酸塩、重クロム酸塩、過マンガン酸塩、オゾン水及び銀(II)塩、鉄(III)塩が挙げられる。
鉄(III)塩としては、例えば、硝酸鉄(III)、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、臭化鉄(III)など無機の鉄(III)塩の他、鉄(III)の有機錯塩が好ましく用いられる。
鉄(III)の有機錯塩を用いる場合、鉄(III)錯塩を構成する錯形成化合物としては、例えば、酢酸、クエン酸、シュウ酸、サリチル酸、ジエチルジチオカルバミン酸、コハク酸、酒石酸、グリコール酸、グリシン、アラニン、アスパラギン酸、チオグリコール酸、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1、2−エタンジチオール、マロン酸、グルタル酸、3−ヒドロキシ酪酸、プロピオン酸、フタル酸、イソフタル酸、3−ヒドロキシサリチル酸、3、5−ジヒドロキシサリチル酸、没食子酸、安息香酸、マレイン酸などやこれらの塩の他、アミノポリカルボン酸及びその塩が挙げられる。
アミノポリカルボン酸及びその塩としては、エチレンジアミン−N,N,N’、N’−四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、1,3−ジアミノプロパン−N,N,N’、N’−四酢酸、1,2−ジアミノプロパン−N,N,N’、N’−四酢酸、エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸(ラセミ体)、エチレンジアミンジコハク酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、N−(カルボキシメチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、メチルイミノジ酢酸、ニトリロ三酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、イミノジ酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミン1−N,N’−二酢酸、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N−ジ酢酸など及びその塩が挙げられる。対塩の種類は、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が好ましく、特にはアンモニウム塩が好ましい。
ペルオキソ二硫酸塩としては、一般的に銅を酸化するのに十分な酸化力を持つものが用いられ、その具体例としては過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等が挙げられる。これらの中でも、銅に対する酸化力が強いと共に、アンモニウムイオン、カリウムイオンの供給源となることから、過硫酸アンモニウムと過硫酸カリウムがより好ましい。
中でも、過酸化水素、ペルオキソ二硫酸、ヨウ素酸塩、次亜塩素酸塩、塩素酸塩、過硫酸塩、鉄(III)の有機錯塩が好ましく、鉄(III)の有機錯塩を用いる場合の好ましい錯形成化合物は、クエン酸、酒石酸、アミノポリカルボン酸(具体的には、エチレンジアミン−N,N,N’、N’−四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、1,3−ジアミノプロパン−N,N,N’、N’−四酢酸、エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸(ラセミ体)、エチレンジアミンジコハク酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、N−(カルボキシメチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、メチルイミノジ酢酸、ニトリロ三酢酸、イミノジ酢酸)を挙げることができる。
前記酸化剤の中でも、過酸化水素、ペルオキソ二硫酸、過硫酸塩、並びに鉄(III)のエチレンジアミン−N,N,N’、N’−四酢酸、1,3−ジアミノプロパン−N,N,N’、N’−四酢酸及びエチレンジアミンジコハク酸(SS体)の錯体が最も好ましい。
(c)酸化剤の添加量は、研磨に使用する際の金属用研磨液の1Lあたり、0.003mol〜8molの範囲とすることが好ましく、0.03mol〜6molの範囲とすることがより好ましく、0.1mol〜4molの範囲とすることが特に好ましい。即ち、酸化剤の添加量は、金属の酸化が充分で高いCMP速度を確保する点で0.003mol以上であることが好ましく、研磨面の荒れ防止の点から8mol以下であることが好ましい。
(c)酸化剤は、研磨液を使用して研磨を行う際に、酸化剤以外の他の成分を含む組成物に混合して使用することが好ましい。酸化剤を混合する時期としては、研磨液を使用する直前の1時間以内が好ましく、更に好ましくは5分以内、特に好ましくは、研磨装置にて研磨液を供給する直前に混合器を設け、被研磨面へ供給する直前5秒以内に混合することである。
<(d)有機酸>
本発明の金属用研磨液は、(d)有機酸を含有する。ここでいう有機酸は、金属の酸化剤ではなく、酸化の促進、pH調整、緩衝剤としての作用を有する。
(d)有機酸の例として、例えば、有機酸、アミノ酸が挙げられる。
(d)有機酸としては、水溶性のものが望ましい。以下の群から選ばれたものがより適している。
即ち、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2−メチル酪酸、n−ヘキサン酸、3,3−ジメチル酪酸、2−エチル酪酸、4−メチルペンタン酸、n−ヘプタン酸、2−メチルヘキサン酸、n−オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、イミノ二酢酸、アセドアミドイミノ二酢酸、ニトリロ三プロパン酸、ニトリロ三メチルホスホン酸、ジヒドロキシエチルグリシン、トリシン、及びそれらのアンモニウム塩やアルカリ金属塩等の塩、アンモニウム塩類、又はそれらの混合物等が挙げられる。
また、アミノ酸としては、水溶性のものが好ましい。以下の群から選ばれたものがより適している。
即ち、グリシン、L−アラニン、α−アラニン、β−アラニン、L−2−アミノ酪酸、L−ノルバリン、L−バリン、L−ロイシン、L−ノルロイシン、L−イソロイシン、L−アロイソロイシン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、サルコシン、L−オルニチン、L−リシン、タウリン、L−セリン、L−トレオニン、L−アロトレオニン、L−ホモセリン、L−チロシン、3,5−ジヨード−L−チロシン、β−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−L−アラニン、L−チロキシン、4−ヒドロキシ−L−プロリン、L−システィン、L−メチオニン、L−エチオニン、L−ランチオニン、L−シスタチオニン、L−シスチン、L−システィン酸、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、S−(カルボキシメチル)−L−システィン、4−アミノ酪酸、L−アスパラギン、L−グルタミン、アザセリン、L−アルギニン、L−カナバニン、L−シトルリン、δ−ヒドロキシ−L−リシン、クレアチン、L−キヌレニン、L−ヒスチジン、1−メチル−L−ヒスチジン、3−メチル−L−ヒスチジン、エルゴチオネイン、L−トリプトファン、アクチノマイシンC1、アパミン、アンギオテンシンI、アンギオテンシンII及びアンチパイン等が挙げられる。
本発明においては、上記の有機酸、又はアミノ酸の中でも、特に以下のアミノカルボン酸を用いることが好ましい。
即ち、グリシン、α−アラニン、イミノ二酢酸、メチルイミノ二酢酸、n−メチルグリシン、ニトリロ三プロパン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、β−アラニン、グリシルグリシン、ジヒドロキシエチルグリシン、アセドアミドイミノ二酢酸、トリシン等である。
本発明の金属用研磨液において、上記有機酸は単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
また、これらの有機酸は、常法に従って合成できるほか、市販品を使用してもよい。
(d)有機酸の添加量は、研磨に使用する際の金属用研磨液の1L中、0.005〜0.5molとすることが好ましく、0.01〜0.3molとすることがより好ましく、0.05〜0.3molとすることが特に好ましい。即ち、有機酸の添加量は、研磨速度向上の点で0.005mol以上が好ましく、ディッシングを悪化させない点で0.5mol以下が好ましい。
無機酸としては、硫酸、硝酸、ホウ酸、燐酸などが挙げられ、無機酸の中では硫酸、硝酸、燐酸が好ましい。
無機酸の添加量は、研磨に使用する際の金属用研磨液の1L中、0.005〜0.5molとすることが好ましく、0.03〜0.3molとすることがより好ましく、0.05〜0.3molとすることが特に好ましい。即ち、無機酸の添加量は、研磨速度向上の点で0.005mol以上が好ましく、ディッシングを悪化させない点で0.5mol以下が好ましい。
(e)砥粒
本発明の金属用研磨液は(e)砥粒を含有する。(e)砥粒を金属用研磨液中に含有することで、研磨効果に優れる。
好ましい砥粒としては、例えば、シリカ(沈降シリカ、フュームドシリカ、コロイダルシリカ、合成シリカ)、セリア、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ゲルマニア、酸化マンガン、炭化ケイ素、ポリスチレン、ポリアクリル、ポリテレフタレートなどが挙げられる。
また、砥粒は平均粒径5nm〜200nmが好ましく、特に平均粒径20nm〜70nmの砥粒を用いると本発明の効果が得られ、好ましい。
中でも、コロイダルシリカを用いると、被研磨体(ウェハ)を研磨する際に、本発明の効果である高い研磨速度と低ディッシングとをより効果的に両立させることができ、好ましい。特に、一次粒子径が10nm〜40nmであり、且つ、会合度(平均会合度)が3以下のコロイダルシリカが好適に用いられる。コロイダルシリカの一次粒子径は、20nm〜30nmであることがより好ましい。
本発明における粒子の一次粒子径とは動的光散乱法から得られた粒度分布において求められる平均粒子径を表す。
ここで、会合度とは、一次粒子が凝集してなる二次粒子の径を一次粒子の径で除した値(二次粒子の径/一次粒子の径)を意味する。会合度が1とは、単分散した一次粒子のみのものを意味する。
なお、二次粒子径は電子顕微鏡等で測定することができる。
また、本発明の金属用研磨液に含有させることができるコロイダルシリカは、表面の珪素原子の少なくとも一部がアルミニウム原子で修飾されているコロイダルシリカ(以下これを特定コロイダルシリカということがある。)であることが好ましい。このように、表面の珪素原子の少なくとも一部がアルミニウム原子で修飾されているコロイダルシリカを用いることにより、ディッシングのより一層の低減が可能となる。
特定コロイダルシリカを得る方法としては、例えば、コロイダルシリカの分散液にアルミン酸アンモニウム等のアルミン酸化合物を添加する方法を好適に用いることができ、より具体的には、アルミン酸アルカリ水溶液を添加して得られたシリカゾルを80〜250℃で0.5〜20時間加熱し、陽イオン交換樹脂又は陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂に接触させる方法、酸性珪酸液とアルミニウム化合物水溶液をSiO含有アルカリ水溶液又はアルカリ金属水酸化物水溶液に添加する方法、又はアルミニウム化合物が混在する酸性珪酸液をSiO含有アルカリ水溶液又はアルカリ金属水酸化物水溶液に添加する方法、これによって調製したアルミニウム化合物含有アルカリ性シリカゾルを陽イオン交換樹脂で処理して脱アルカリする方法が挙げられる。これらの方法は、例えば、特許第3463328号公報、特開昭63−123807号公報に詳細に記載され、この記載を本発明に適用することができる。
(e)砥粒の添加量としては、使用する際の金属用研磨液1L中に0.05〜20gの砥粒を含むことが好ましく、特に0.2〜5gの砥粒を含むと本発明の効果が顕著に得られ、好ましい。
また、(e)砥粒を含有しないか、濃度0.01質量%未満で(e)砥粒を含有する場合、好ましくはpH3.5以上、特にはpH4.0以上とすることにより、研磨速度とディッシングの特性が向上する。
(e)砥粒は、例えば、扶桑化学社製コロイダルシリカで、商品名:PL−1SL(一次粒子径:15nm、会合度:1)、PL−1(一次粒子径:15nm、会合度:2)、PL−2L(一次粒子径:20nm、会合度:1)、PL−2(一次粒子径:25nm、会合度:2)、PL−2H(一次粒子径:25nm、会合度:3)、PL−3L(一次粒子径:35nm、会合度:1)、PL−3(一次粒子径:35nm、会合度:2)、PL−3H(一次粒子径:35nm、会合度:3)等を用いることができる。
<他の成分>
本発明の金属用研磨液には、上述した(a)非イオン性界面活性剤(特定界面活性剤)、(b)金属防食剤、(c)酸化剤、(d)有機酸、(e)砥粒に加え、目的に応じて種々の化合物を添加することができる。以下、本発明の金属用研磨液に使用しうる成分について述べる。
〔界面活性剤、親水性ポリマー〕
本発明の金属用研磨液は、前記特定界面活性剤以外の他の界面活性剤及び親水性ポリマーから選択される1種以上を含有することができる。
前記他の界面活性剤、及び親水性ポリマーとしては、酸型が望ましく、塩構造をとる場合には、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等が挙げられ、特にアンモニウム塩およびカリウム塩が好ましい。
前記他の界面活性剤と親水性ポリマーは、いずれも被研磨面への接触角を低下させる作用を有しており、均一な研磨を促す作用を有する。用いられる前記他の界面活性剤、親水性ポリマーとしては、以下の群から選ばれたものが好適である。
陰イオン界面活性剤として、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩が挙げられ、カルボン酸塩として、石鹸、N−アシルアミノ酸塩、ポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド;スルホン酸塩として、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼン及びアルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、(アルキル)ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、(アルキル)ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、スルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルモノスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸;硫酸エステル塩として、硫酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩;リン酸エステル塩として、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテルリン酸塩を挙げることができる。
陽イオン界面活性剤として、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩;両性界面活性剤として、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン、レシチン、アルキルアミンオキサイドを挙げることができる。
非イオン界面活性剤として、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型、芳香環を含まないエーテル型が挙げられる。
芳香環を含まないエーテル型として、ポリオキシエチレンアルキルおよびアルキルフェニルエーテル、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルが挙げられ、エーテルエステル型として、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、エステル型として、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリンエステル、ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、プロピレングリコールエステル、ショ糖エステル、含窒素型として、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミド等が例示される。
その他に、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤などが挙げられる。
前記シリコン系界面活性剤としては、シロキサン直鎖を骨格とし、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンなどのポリオキシアルキレン基が付加した任意の化合物を用いることができる。具体的には、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシエチレンアルキルポリシロキサン・ポリオキシプロピレンアルキルポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体、メチルポリシロキサン・アルキルメチルポリシロキサン・ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体などが挙げられる。特に、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体が好ましい。
金属用研磨液に含まれるシリコン系界面活性剤のHLB値は、8以上が好ましい。HLB値が8以上であれば、シリコン由来の有機物残渣(異物)が残り難い。
より好ましくはHLB値9以上20未満であり、さらに好ましくはHLB値10以上16未満である。
親水性ポリマーとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルケニルエーテル、アルキルポリエチレングリコール、アルキルポリエチレングリコールアルキルエーテル、アルキルポリエチレングリコールアルケニルエーテル、アルケニルポリエチレングリコール、アルケニルポリエチレングリコールアルキルエーテル、アルケニルポリエチレングリコールアルケニルエーテル、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールアルケニルエーテル、アルキルポリプロピレングリコール、アルキルポリプロピレングリコールアルキルエーテル、アルキルポリプロピレングリコールアルケニルエーテル、アルケニルポリプロピレングリコール、アルケニルポリプロピレングリコールアルキルエーテル及びアルケニルポリプロピレングリコールアルケニルエーテル等のエーテル;アルギン酸、ペクチン酸、カルボキシメチルセルロース、カードラン及びプルラン等の多糖類;アミノ酸塩;ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリリシン、ポリリンゴ酸、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸アンモニウム塩、ポリメタクリル酸ナトリウム塩、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリフマル酸、ポリ(p−スチレンカルボン酸)、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、アミノポリアクリルアミド、ポリアクリル酸アンモニウム塩、ポリアクリル酸ナトリウム塩、ポリアミド酸、ポリアミド酸アンモニウム塩、ポリアミド酸ナトリウム塩及びポリグリオキシル酸等のポリカルボン酸及びその塩;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリアクロレイン等のビニル系ポリマー等が挙げられる。
但し、本発明の金属用研磨液を適用する基体が半導体集積回路用シリコン基板などの場合は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン化物等による汚染は望ましくないため、親水性ポリマーは酸型であることが望ましく、塩構造をとる場合には、アンモニウム塩が望ましい。基体がガラス基板等である場合はその限りではない。
上記例示化合物の中でも、親水性ポリマーとしては、ポリアクリル酸アンモニウム塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーがより好ましい。
これらの前記他の界面活性剤、及び親水性ポリマーは、重量平均分子量が500〜100,000の範囲にあるものが好ましく、特に、2,000〜50,000の範囲にあるものが好ましい。
前記他の界面活性剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。親水性ポリマーについても、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、目的に応じて、前記他の界面活性剤と親水性ポリマーとを併用することもできる。
前記他の界面活性剤、及び親水性ポリマーの添加量は、総量として、研磨に使用する際の金属用研磨液の1L中、0.001g〜1gとすることが好ましく、0.02g〜0.1gとすることがより好ましく0.005g〜0.05gとすることが特に好ましい。即ち、前記他の界面活性剤及び/又は親水性ポリマーの添加量は、充分な効果を得る上で、0.001g以上が好ましく、CMP速度の低下防止の点から10g以下が好ましい。
〔pH〕
本発明においては、研磨面への吸着性や反応性、研磨金属の溶解性、被研磨面の電気化学的性質、化合物官能基の解離状態、液としての安定性などにより、適時pHを設定することが好ましい。
本発明の金属用研磨液のpHは3〜10であることが好ましく、pH4〜9であることがより好ましい。この範囲において本発明の金属用研磨液は特に優れた効果を発揮する。なお、本発明の研磨液は水を含まない形態であってもよい。この場合、上記pHは、本発明の金属用研磨液を水に溶かした場合の値を表す。
[研磨方法]
本発明の研磨方法は、(a)アルキレンオキシ鎖の一端に、芳香環を有する炭化水素基を有し、他端に、ヒドロキシ基を有する非イオン性界面活性剤、(b)金属防食剤、(c)酸化剤、(d)有機酸、および、(e)砥粒を含有する金属用研磨液を用いて半導体デバイス製造において、主として銅又は銅合金からなる導体膜を化学的機械的に研磨する。
本発明の研磨方法で使用する金属用研磨液は、濃縮液であって使用する際に水を加えて希釈して使用液とする場合、又は、各成分が後述する水溶液の形態でこれらを混合し、必要により水を加え希釈して使用液とする場合、あるいは使用液として調製されている場合がある。
本発明の金属用研磨液では上記いずれの態様も適用できる。
本発明の研磨方法としては、研磨定盤上に貼付した研磨パッドに、本発明の金属用研磨液を供給しながら、前記基板の被研磨面を研磨パッドに20kPa以下の圧力で押圧した状態で、該研磨パッドと該被研磨面とを相対的に移動させて当該被研磨面を研磨することが好ましい態様である。
研磨する装置としては、被研磨面を有する半導体基板等を保持するホルダーと研磨パッドとを貼り付けた(回転数が変更可能なモータ等を取り付けてある)研磨定盤を有する一般的な研磨装置が使用できる。
研磨パッドとしては、一般的な不織布、発泡ポリウレタン、多孔質フッ素樹脂などが使用でき、特に制限がない。また、研磨用のパッドは、無発泡構造パッドでも発泡構造パッドでもよい。前者はプラスチック板のように硬質の合成樹脂バルク材をパッドに用いるものである。後者は更に独立発泡体(乾式発泡系)、連続発泡体(湿式発泡系)、2層複合体(積層系)の3つがあり、特には2層複合体(積層系)が好ましい。発泡は、均一でも不均一でもよい。
さらに、研磨パッドは、研磨に用いる砥粒(例えば、セリア、シリカ、アルミナ、樹脂など)を含有したものでもよい。
また、研磨パッドについては、それぞれに硬さは軟質のものと硬質のものがあり、どちらでもよく、積層系ではそれぞれの層に異なる硬さのものを用いることが好ましい。材質としては不織布、人工皮革、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート等が好ましい。また、研磨面と接触する面には、格子溝/穴/同心溝/らせん状溝などの加工を施してもよい。
研磨条件には制限はないが、研磨定盤の線速度は1m/s以上が望ましい。
被研磨面(被研磨膜)を有する半導体基板を研磨パッドに押圧した時の圧力(押しつけ圧力)は、20kPa以下であることが好ましく、さらに13kPa以下の低圧条件下にすることによって、高研磨速度を維持したままの状態で、研磨速度のウェハ面内均一性及びパターンの平坦性を向上させることが可能であるためより好ましい。
なお、押しつけ圧力が20kPaを超えると、平坦性が悪化する場合がある。
また、押しつけ圧力の下限としては、特に限定されないが、2kPa程度である。
研磨している間、研磨パッドには金属用研磨液をポンプ等で連続的に供給する。この供給量に制限はないが、研磨パッドの表面が常に研磨液で覆われていることが好ましい。研磨終了後の半導体基板は、流水中で良く洗浄した後、スピンドライヤ等を用いて半導体基板上に付着した水滴を払い落としてから乾燥させる。
本発明の研磨方法では、金属用研磨液を希釈する水溶液は、次に述べる水溶液と同じである。水溶液は、予め、酸化剤、酸、添加剤、界面活性剤のうち少なくとも1つ以上を含有した水で、水溶液中に含有した成分と希釈される金属用研磨液の成分を合計した成分が、金属用研磨液を使用して研磨する際の成分となるようにする。金属用研磨液を水溶液で希釈して使用する場合は、溶解しにくい成分を水溶液の形で配合することができ、より濃縮した金属用研磨液を調製することができる。
濃縮された金属用研磨液に水又は水溶液を加え希釈する方法としては、濃縮された金属用研磨液を供給する配管と水又は水溶液を供給する配管を途中で合流させて混合し、混合し希釈された金属用研磨液を研磨パッドに供給する方法がある。混合は、圧力を付した状態で狭い通路を通して液同士を衝突混合する方法、配管中にガラス管などの充填物を詰め液体の流れを分流分離、合流させることを繰り返し行う方法、配管中に動力で回転する羽根を設ける方法など通常に行われている方法を採用することができる。
導体膜の研磨中に、被研磨体へ供給される研磨液の流量としては、金属用研磨液の供給速度は、0.070〜0.30ml/(min・cm)の範囲であることが好ましく、十分な研磨速度を得るといった観点からは、0.1〜0.25ml/(min・cm)の範囲であることがより好ましい。
濃縮された金属用研磨液を水又は水溶液などにより希釈し、研磨する方法としては、金属用研磨液を供給する配管と水又は水溶液を供給する配管を独立に設け、それぞれから所定量の液を研磨パッドに供給し、研磨パッドと被研磨面の相対運動で混合しつつ研磨する方法が挙げられる。又は、1つの容器に、所定量の濃縮された金属用研磨液と水又は水溶液を入れ混合してから、研磨パッドにその混合した金属用研磨液を供給し、研磨をする方法も適用可能である。
本発明においては、金属用研磨液が含有すべき成分を少なくとも2つの構成成分に分けて、それらを使用する際に、水又は水溶液を加え希釈して研磨定盤上の研磨パッドに供給し、被研磨面と接触させて被研磨面と研磨パッドを相対運動させて研磨する方法も用いることができる。
例えば、酸化剤を1つの構成成分(A)とし、酸、添加剤、界面活性剤及び水を1つの構成成分(B)とし、それらを使用する際に水又は水溶液で構成成分(A)と構成成分(B)を希釈して使用する。
また、溶解度の低い添加剤を2つの構成成分(C)と(D)とに分け、酸化剤、添加剤及び界面活性剤を1つの構成成分(C)とし、酸、添加剤、界面活性剤及び水を1つの構成成分(D)とし、それらを使用する際に水又は水溶液を加え構成成分(C)と構成成分(D)とを希釈して使用する。
この例の場合、構成成分(C)と構成成分(D)と水又は水溶液をそれぞれ供給する3つの配管が必要であり、希釈混合は、3つの配管を、研磨パッドに供給する1つの配管に結合し、その配管内で混合する方法があり、この場合、2つの配管を結合してから他の1つの配管を結合することも可能である。
例えば、溶解しにくい添加剤を含む構成成分と他の構成成分とを混合し、混合経路を長くして溶解時間を確保してから、さらに水又は水溶液の配管を結合する方法である。
その他の混合方法は、上記したように直接に3つの配管をそれぞれ研磨パッドに導き、研磨パッドと被研磨面の相対運動により混合する方法、1つの容器に3つの構成成分を混合して、そこから研磨パッドに希釈された金属用研磨液を供給する方法が挙げられる。上記した研磨方法において、酸化剤を含む1つの構成成分を40℃以下にし、他の構成成分を室温から100℃の範囲に加温し、且つ1つの構成成分と他の構成成分又は水もしくは水溶液を加え希釈して使用する際に、混合した後に40℃以下とするようにすることもできる。温度が高いと溶解度が高くなるため、金属用研磨液の溶解度の低い原料の溶解度を上げるために好ましい方法である。
酸化剤を含まない他の成分を室温から100℃の範囲で加温して溶解させた原料は、温度が下がると溶液中に析出するため、温度が低下したその成分を用いる場合は、予め加温して析出したものを溶解させる必要がある。これには、加温し溶解した構成成分液を送液する手段と、析出物を含む液を攪拌しておき、送液し配管を加温して溶解させる手段を採用することができる。加温した成分が酸化剤を含む1つの構成成分の温度を40℃以上に高めると酸化剤が分解してくる恐れがあるので、加温した構成成分とこの加温した構成成分を冷却する酸化剤を含む1つの構成成分で混合した場合、40℃以下となるようにする。
また、本発明においては、上述したように金属用研磨液の成分を二分割以上に分割して、研磨面に供給してもよい。この場合、酸化剤を含む成分と酸を含有する成分とに分割して供給することが好ましい。また、金属用研磨液を濃縮液とし、希釈水を別にして研磨面に供給してもよい。
本発明の研磨方法により研磨される対象は、凹部を有する層間絶縁膜の表面に一面に形成されたバリア金属膜と、該バリア金属膜の表面に前記凹部が埋まるように形成された銅又は銅合金からなる導体膜と、を有する基板であるが、この基板は半導体基板であり、銅金属及び/又は銅合金からなる配線を持つLSIであることが好ましく、特に配線が銅合金であることが好ましい。
研磨対象である被加工体としては、支持体基板上に導電性材料膜が形成されたウェハ、支持体基板上に形成された配線上に設けられた層間絶縁膜に導電性材料膜が形成された積層体など、半導体デバイス製造工程において平坦化を必要とする全ての段階の材料を挙げることができる。
更には、銅合金の中でも銀を含有する銅合金が好ましい。銅合金に含有される銀含量は、40質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下であり、0.00001〜0.1質量%の範囲である銅合金において最も優れた効果を発揮する。
本発明においては、研磨する対象である半導体基板が、例えば、DRAMデバイス系ではハーフピッチで0.15μm以下が好ましく、0.10μm以下がより好ましく、0.08μm以下がさらに好ましい。一方、MPUデバイス系では0.12μm以下が好ましく、0.09μm以下がより好ましく、0.07μm以下の配線を持つLSIであることがさらに好ましい。これらのLSIに対して、本発明の金属用研磨液を用いることにより、特に優れた効果を発揮する。
(基板)
本発明に用いられる基板の例としては、8インチ、12インチ半導体用ウェハ製造工程、あるいは、マイクロマシン製造工程に用いられるものが挙げられる。その種類としては、半導体用シリコンウェハやSOIウェハ、半導体レーザなどに使用される化合物半導体のサファイヤ基板なども含まれる。他には、高分子のフィルム基板上に配線パターンを形成し、平坦化する用途にも用いられる。
本発明の金属用研磨液でCMPを行う対象ウェハは、直径が200mm以上であることが好ましく、特には300mm以上が好ましい。300mm以上である時に顕著に本発明の効果を発揮する。
(層間絶縁膜)
本発明における層間絶縁膜としては、誘電率が2.6以下の特性を有するものであることが好ましく、例えば、シリコン系被膜、有機系層間絶縁膜などを挙げることができ、特に炭素をドープしたシリカ系被膜を用いることが好ましい。
本発明における層間絶縁膜の厚さは、多層配線における配線の上部と下部、又は世代間(ノード)により適宜調整可能である。
(バリア金属膜)
バリア金属膜とは、半導体基板上に設けられる銅又は銅合金からなる導体膜(配線)と層間絶縁膜との間に、銅の拡散を防ぐための膜(層)である。
バリア層膜の材料としては、低抵抗のメタル材料であることが好ましく、具体的には、タンタル又はタンタル化合物、チタン又はチタン化合物、タングステン又はタングステン化合物、及びルテニウムから選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、TiN、TiW、Ta、TaN、W、WN、Ruを含むことがより好ましく、中でもTa、TaNが特に好ましい。
バリア金属膜の厚さとしては、20〜30nm程度とすることが好ましい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、及び「%」は質量基準である。
〔金属用研磨液の調製〕
<実施例1>
−組成1−
(a)非イオン性界面活性剤 0.050部
〔特定界面活性剤:P−1;竹本油脂株式会社製「パイオニンD−6414」〕
(b)金属防食剤〔金属防食剤:I−1〕 0.010部
(c)酸化剤〔過酸化水素水〕 1.0部
(d)有機酸〔グリシン〕 1.0部
(e)砥粒 0.50部
〔扶桑化学社製コロイダルシリカ:PL−3H;一次粒子径35nm、会合度3〕
全量が100部となるように、水に、上記組成1に示す(a)〜(e)の各成分を加えた後、撹拌・混合し、液性がpH7.0となるようにアンモニアガスで調整して、実施例1の金属用研磨液を得た。
<実施例2〜24、及び比較例1〜6>
前記組成1に示される(a)〜(e)の各成分を、下記表1に記載の組成の成分に変更した他は、実施例1と同様にして、実施例2〜24、及び比較例1〜6の金属用研磨液を調製し、下記に示す研磨試験を行った。
<研磨速度の評価>
研磨装置として荏原製作所社製装置「FREX−300」を使用し、下記の条件で、スラリーを供給しながら各ウェハに設けられた膜を研磨し、その研磨速度を算出した。
・基盤 :12inch銅膜付きシリコンウェハ
・テ−ブル回転数:104rpm
・ヘッド回転数 :105rpm
(加工線速度=1.0m/s)
・研磨圧力 :10.5kPa
・研磨パッド :ローム アンド ハース社製 品番IC−1400
(K−grv)+(A21)
・スラリー供給速度:200ml/分
研磨前後の電気抵抗から銅膜またはバリア膜の膜厚を測定し、研磨速度を計算した。具体的には、下記式を用いて計算した。
研磨速度(nm/min)=(研磨前の銅膜またはバリア膜の厚さ−研磨後の銅膜またはバリア膜の厚さ)/研磨時間
<ディッシングの評価>
研磨装置として荏原製作所社製装置「FREX−300」を使用し、下記の条件で、スラリーを供給しながらパターン形成された各ウェハに設けられた膜を研磨し、そのときの段差を測定した。
基盤:フォトリソグラフィー工程と反応性イオンエッチング工程によりシリコン酸化膜をパターニングして、幅0.09〜100μm、深さ600nmの配線用溝と接続孔を形成し、さらに、スッパタリング法により厚さ20nmのTa膜を形成し、続いてスッパタリング法により厚さ50nmの銅膜を形成後、メッキ法により合計厚さ1000nmの銅膜を形成した12inchウェハを使用した。
・テ−ブル回転数 :50rpm
・ヘッド回転数 :50rpm
・研磨圧力 :10.5kPa
・研磨パッド :ロデール・ニッタ株式会社製 品番IC−1400
・スラリー供給速度:200ml/分
<局所的腐食部分の評価>
AMAT社製SEM Vision G3FIBを用いて、ウェハを観察した際に、ウェハ状に、直径0.5μm〜1μmの凹みとして観察された腐食部分を、局所的腐食部分として認定し、CMP研磨後のウェハ当たりの局所的腐食部分の数をカウントした。
実用上の許容範囲は、局所的腐食部分の数が、100以下である。
Figure 2009283751
前記表1中、(a)非イオン性界面活性剤又は他の界面活性剤欄のP−1、P−6、及びP−10は前記特定界面活性剤の具体例として挙げたP−1、P−6、及びP−10の構造式を有し、それぞれ、竹本油脂株式会社製「パイオニンD−6414」、青木油脂工業株式会社製「ELEBASE CP−800K」、及び花王株式会社製「エマルゲンB−66」である。
また、(b)金属防食剤欄の「I−1」等、「A−15」等、及び「B−12」等は、
それぞれ一般式(III)で表される化合物、一般式(I)で表される化合物、及び一般式(II)で表される化合物として、列挙された化合物に相当する。なお、実施例7で用いたI−12の構造は、下記のとおりである。
Figure 2009283751
前記表1中、(a)非イオン性界面活性剤又は他の界面活性剤欄の「SDS」は、陰イオン性界面活性剤のドデシル硫酸ナトリウムであり、(c)酸化剤欄の「APS」は、ペルオキソ二硫酸アンモニウムであり、(d)有機酸欄の「DHEG」は、ジヒドロキシエチルグリシンである。
前記表1から、特定界面活性剤と複素芳香環化合物(金属防食剤)とを併用した実施例の金属用研磨液を用いた場合は、銅配線上の局所的な腐食箇所の数が少なく、かつ、銅の研磨速度が大きく、かつディッシングも小さいことがわかった。
特定界面活性剤を含まない比較例1の金属用研磨液は、実施例の金属用研磨液を用いた場合に比べて局所的腐食部分の数が多かった。同様に特定界面活性剤を含まない金属用研磨液であっても金属防食剤の量が多いもの(比較例3)は、局所的腐食部分を低減することができたが、研磨速度が落ちて研磨時間が長くなったため、ディッシングが大きく評価不能であった。金属防食剤を含まない比較例2の金属用研磨液は、研磨速度が向上したが、局所的腐食が多く評価することができなかった。また、金属防食剤を含くむ金属用研磨液であっても、特定界面活性剤を含まないもの(比較例4〜6)は、局所的な腐食部分の数が多かった。

Claims (8)

  1. (a)アルキレンオキシ鎖の一端に、芳香環を有する炭化水素基を有し、他端に、ヒドロキシ基を有する非イオン性界面活性剤、(b)金属防食剤、(c)酸化剤、(d)有機酸、および、(e)砥粒を含有し、半導体デバイスの製造工程における主として銅又は銅合金からなる導体膜の化学的機械的研磨に用いられる金属用研磨液。
  2. 前記(b)金属防食剤が、分子内に少なくとも1つの窒素原子を含む環構造を有する複素芳香環化合物である請求項1に記載の金属用研磨液。
  3. 前記複素芳香環化合物が、テトラゾール又はその誘導体である請求項2に記載の金属用研磨液。
  4. 前記複素芳香環化合物が、下記一般式(II)で表される複素芳香環化合物である請求項2又は請求項3に記載の金属用研磨液。
    Figure 2009283751

    〔一般式(II)中、XおよびXは、それぞれ独立に、少なくとも一つの窒素原子を含有する複素芳香環を表し、Lは、二価の連結基を表す。〕
  5. 前記(e)砥粒が、平均一次粒子径が10nm〜40nmであり、且つ、会合度が3以下の、シリカ粒子又はアルミナ粒子である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の金属用研磨液。
  6. 前記複素芳香環化合物が、下記一般式(IV)で示されるベンゾトリアゾール誘導体である請求項2に記載の金属用研磨液。
    Figure 2009283751

    〔一般式(IV)中、Rは、親水基を置換基として有するアルキル基を表す。R、R、R、及びRは、それぞれ独立に水素原子、または1価の置換基を表す。〕
  7. 前記ベンゾトリアゾール誘導体が、1−(1,2−ジカルボキシエチル)ベンゾトリアゾール、1−(2,3ジヒドロキシプロピル)ベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(ヒドロキシジエチル)アミノメチル]−ベンゾトリアゾール、及び1−(ヒドロキシメチル)ベンゾトリアゾールより選択される1種類以上である請求項6に記載の金属用研磨液。
  8. (a)アルキレンオキシ鎖の一端に、芳香環を有する炭化水素基を有し、他端に、ヒドロキシ基を有する非イオン性界面活性剤、(b)金属防食剤、(c)酸化剤、(d)有機酸、および、(e)砥粒を含有する金属用研磨液を用いて半導体デバイス製造において、主として銅又は銅合金からなる導体膜を化学的機械的に研磨する研磨方法。
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