JP2009249798A - 炭素繊維前駆体繊維の製造方法 - Google Patents
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Abstract
炭素繊維の低コスト化のために、特定の分子量分布を有することで紡糸速度を高めることができる炭素繊維前駆体繊維製造用PAN系重合体を用い、残存アクリロニトリル量の少なく、かつ、ゲルの生成を抑制した異物の少ない、安定して炭素繊維前駆体繊維を製造できる方法を提案する。
【解決手段】
アクリル酸、メタクリル酸およびイタコン酸からなる群より選ばれる少なくとも一種の酸単量体を共重合した重量平均分子量MwとZ平均分子量Mzとの比であるMz/Mwが2以上であるポリアクリロニトリル系重合体が溶媒に溶解してなるとともに、アクリロニトリルの含有比率が0.001〜0.1重量%であって、かつ、次の[a]〜[c]から選ばれる少なくとも一種の要件を満たす紡糸溶液を紡糸して凝固糸を得て後、水洗して炭素繊維前駆体繊維となす炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
[a]ポリアクリロニトリル系重合体において、酸単量体に由来したカルボン酸基の水素イオンが、アンモニウムイオンおよびナトリウムイオンからなる群より選ばれる少なくとも1種のイオンにより含有カルボキシル基の0〜0.3等量置換される。
[b]紡糸溶液に、アルキル化剤を紡糸溶液の重量当たり0.01〜3重量%含む。
[c]紡糸溶液に、沸点が200℃以上である有機カルボン酸を紡糸溶液の重量当たり0.01〜3重量%含む。
【選択図】 なし
Description
[a]ポリアクリロニトリル系重合体において、酸単量体に由来したカルボン酸基の水素イオンが、アンモニウムイオンおよびナトリウムイオンからなる群より選ばれる少なくとも1種のイオンにより含有カルボキシル基の0〜0.3等量置換される。
[b]紡糸溶液に、アルキル化剤を紡糸溶液の重量当たり0.01〜3重量%含む。
[c]紡糸溶液に、沸点が200℃以上である有機カルボン酸を紡糸溶液の重量当たり0.01〜3重量%含む。
0.01≦A/B×1000≦0.06
フィルター濾材には、フィルター面に垂直な軸に沿って線径や充填率が均一なものもあるが、線径や充填率の異なる層が複数積層されてなるものが多い。濾過保証層とは、フィルター濾材を構成する層のうち、最も細かい開孔径を有する層、すなわち最も濾過精度の高い層のことを指す。濾過精度が同等である濾過保証層が断続的に複数層ある場合は、全て積算した値を用いる。濾過保証層の目付については、かかる濾過保証層の1m2 当たりにおける質量(g)、すなわちg/m2 として示される。濾過保証層は、金属繊維の接触部分で結晶化を促す焼結という工程を経ることで構造を固定し、機械的強度を持たせてあるのが一般的である。濾過保証層が焼結によって作製された場合であっても、焼結前後での重量および面積の変化は無視できる程度なので、濾過保証層目付Aは焼結により変化しないため焼結前の値を用いる。焼結後の濾過保証層部分だけ取り出して測定した値を用いても構わないが、焼結前後の濾過保証層目付が異なる場合は、焼結前の値を優先して用いる。濾過抵抗係数Cは単位時間当たりの通気量から計算することが出来る、フィルター濾材の流体の通過させにくさを示す値である。
すなわち、濾過精度が高いフィルター濾材を用いる場合は、濾過速度を落として剪断速度を低下させることが好ましい。かかる関係式より濾過速度が遅いときには、濾過面積が大きくなりすぎて過剰仕様となることが多く、かかる関係式より濾過速度が速い場合には、濾圧が高まることが多い。
本発明のこの乾燥させた凝固糸の単繊維繊度は、0.4〜2.3dtexであることが好ましく、より好ましくは0.4〜1.8dtexであり、さらに好ましくは0.4〜0.9dtexである。乾燥させた凝固糸の単繊維繊度は、凝固時の凝固糸を構成する単繊維の繊維径に対応しており、単繊維径が大きいほど凝固時に凝固糸の表層部と中心部の凝固状態差が大きくなり、焼成して炭素繊維とした場合にもそれに起因した物性差が見られ、物性が低下することが多い。また、前記した要件[a]〜[c]のいずれかを具備した場合、PAN系重合体の親水性が低下し、凝固状態差を促進することもあるが、乾燥させた凝固糸の単繊維繊度が小さいほどPAN系重合体の親水性低下の影響が小さくなるため好ましい。乾燥させた凝固糸の単繊維繊度が2.3dtexを超える場合には、単繊維径が大きいほど凝固時に凝固糸の表層部と中心部の凝固状態差が大きくなり、焼成して炭素繊維とした場合にもそれに起因した物性差が見られ、物性が低下することが多い。また、乾燥させた凝固糸の単繊維繊度が0.4dtex未満では、前駆体繊維としての前駆体繊維の単繊維繊度が0.4dtex未満となり、これを焼成して炭素繊維とした場合には、繊維強化複合材料とするときマトリックス樹脂が含浸されにくくなり、炭素繊維の物性が発現されず、製造コストの割には炭素繊維強化複合材料としての物性が低下する。
<各種分子量:Mz、Mw、Mn>
測定しようとする重合体が0.1重量%でジメチルホルムアミド(0.01N−臭化リチウム添加)に溶解した検体溶液を作製する。作製した検体溶液について、GPC装置を用いて、次の条件で測定したGPC曲線から分子量の分布曲線を求め、Mz、MwおよびMnを算出する。測定は3回行い、Mz、Mw、Mnの値を平均して用いた。
・カラム :極性有機溶媒系GPC用カラム
・流速 :0.5ml/分
・温度 :75℃
・試料濾過 :メンブレンフィルター(0.45μmカット)
・注入量 :200μl
・検出器 :示差屈折率検出器
Mwは、分子量が異なる分子量既知の単分散ポリスチレンを少なくとも6種類用いて、溶出時間―分子量の検量線を作成し、その検量線上において、該当する溶出時間に対応するポリスチレン換算の分子量を読み取ることにより求める。
<紡糸溶液中のANの含有比率>
紡糸溶液1.0gに4.0gのメタノールを加えPAN系重合体溶液中のANを抽出した。得られたメタノール溶液をガスクロマトグラフィーによる分析によって検量線から対応するAN濃度を測定することにより求めた。
ガスクロマトグラフィー条件
装置 :GC−2014(島津製作所製)
カラム :キャピラリーカラムDB−1(島津GLC製)
サンプル注入量:0.4μL
<ゲル生成量>
直径1cm、長さ5cmの配管を経て、直径1cmのカスケードミニリングが充填された直径6cm、長さ10cmの円筒容器底中央から50℃に保持された重合体溶液を充填する。その後、300cm3の容器を120℃まで約1時間で昇温する。昇温終了後、1cc/分で送液し、その後円筒容器出口側に配置された28cm2の円形32μm開孔径の平織PETスクリーン紗で24時間濾過する。さらに、DMSOを10cc/分で送液し、配管内のゲルおよび重合体溶液を24時間洗浄し、スクリーン紗で濾す。ゲルの付着したスクリーン紗を乾燥させ、波長354nmの光を当てながら、肉眼で輝点を数えた。
<炭素繊維束の引張強度および弾性率>
JIS R7601(1986)「樹脂含浸ストランド試験法」に従って求める。測定する炭素繊維の樹脂含浸ストランドは、3、4−エポキシシクロヘキシルメチル−3、4−エポキシシクロヘキシル−カルボキシレート(100重量部)/3フッ化ホウ素モノエチルアミン(3重量部)/アセトン(4重量部)を、炭素繊維または黒鉛化繊維に含浸させ、130℃の温度で30分硬化させて作製する。また、炭素繊維のストランドの測定本数は6本とし、各測定結果の平均値を引張強度とする。本実施例では、3、4−エポキシシクロヘキシルメチル−3、4−エポキシシクロヘキシル−カルボキシレートとして、ユニオンカーバイド(株)製“ベークライト”(登録商標)ERL4221を用いた。
[実施例1]
AN100重量部、イタコン酸1重量部、連鎖移動剤としてオクチルメルカプタン0.003重量部、およびジメチルスルホキシド360重量部を混合し、それを還流管と攪拌翼を備えた反応容器に入れた。反応容器内の空間部を酸素濃度が100ppmになるまで窒素置換した後、重合開始剤としてAIBN0.003重量部を投入し、撹拌しながら下記の条件の熱処理を行った。
(1)60℃の温度で3.5時間保持
次に、その反応容器中に、ジメチルスルホキシド10重量部、重合開始剤としてAIBN0.4重量部、および連鎖移動剤としてオクチルメルカプタン0.1重量部を計量導入した後、さらに撹拌しながら下記の条件の熱処理を行い、残存する未反応単量体を溶液重合法により重合してPAN系重合体溶液を得た。
(2)60℃の温度で4時間保持
(3)60℃から80℃へ昇温(昇温速度10℃/時間)
(4)80℃の温度で6時間保持
燐酸トリメチルをジメチルスルホキシド50重量%溶液として、重合体溶液中に加え、このPAN系重合体溶液を攪拌しながら80℃、0.1kPaに減圧して6時間処理した。重合体濃度が20重量%となるように調製した後、重合体中のイタコン酸のカルボキシル基に対して0.8等量になるようにアンモニアガスを吹き込み中和した後、さらにスタティックミキサーで混合し、45℃における粘度が45Pa・sの紡糸溶液を得た。PAN系重合体は、Mwが46万、Mz/Mwが3.4であった。また、紡糸溶液中の燐酸トリメチルの含有比率は0.1重量%であり、紡糸溶液中のAN含有比率は0.01重量%であった。
[実施例2]
燐酸トリメチルのジメチルスルホキシド1重量%溶液に代えて、クエン酸のジメチルスルホキシド33重量%溶液を用い、紡糸溶液中のクエン酸の含有比率を0.25重量%とした以外は実施例1と同様にして炭素繊維束を得た。得られた紡糸溶液は、耐熱耐圧ガラス瓶に入れ、栓をして120℃のオーブン中で15時間処理すると、全体がゲル化した。また、ゲル生成量の試験におけるゲルの生成量は16個と非常に少なかった。また、水洗しているときの糸条は白濁しており、緻密性は低かったものの、製糸工程・焼成工程ともに工程通過性は良好であり、得られた炭素繊維前駆体繊維と炭素繊維束の品位は良好であった。
[実施例3]
燐酸トリメチルの添加を行わないとともに、アンモニアガスでの中和も行わなかった以外は実施例1と同様にして炭素繊維束を得た。得られた紡糸溶液は、耐熱耐圧ガラス瓶に入れ、栓をして120℃のオーブン中で13時間処理すると、全体がゲル化した。また、ゲル生成量の試験におけるゲルの生成量は30個と少なかった。また、水洗しているときの糸条は白濁しており、緻密性は低かったものの、製糸工程・焼成工程ともに工程通過性は良好であり、得られた炭素繊維前駆体繊維と炭素繊維束の品位は良好であった。
[実施例4]
紡糸ドラフト率を20に変更し、加圧水蒸気延伸をしなかった以外は実施例3と同様にして炭素繊維束を得た。乾燥させた凝固糸単繊維繊度は2.1dtexであり、水洗しているときの糸条は透明であり、アンモニアガスによる中和がなくても緻密性は高かった。製糸工程・焼成工程ともに工程通過性は良好であり、得られた炭素繊維前駆体繊維と炭素繊維束の品位は良好であった。
[比較例1]
燐酸トリメチルの添加をしなかった以外は実施例1と同様にして紡糸溶液を得た。得られた紡糸溶液は、耐熱耐圧ガラス瓶に入れ、栓をして120℃のオーブン中で6時間処理すると、粘度低下がほとんど起こらずに、全体がゲル化した。また、ゲル生成量の試験におけるゲルの生成量は数えられないほど非常に多かった。また、得られた紡糸溶液を用いて実施例1と同様にして炭素繊維束を得ようとしたが、製糸工程で口金から吐出不良や糸切れが多発してサンプリングできなかった。
[実施例5]
紡糸溶液中のANの含有比率が0.08重量%となるように減圧圧力を1kPaに変更するとともに、重合体中のイタコン酸のカルボキシル基に対して0.3等量になるようにアンモニアガスを吹き込み中和した以外は実施例3と同様にして炭素繊維束を得た。得られた紡糸溶液は、耐熱耐圧ガラス瓶に入れ、栓をして120℃のオーブン中で16時間処理すると、全体がゲル化した。また、ゲル生成量の試験におけるゲルの生成量は25個と非常に少なかった。また、製糸工程・焼成工程ともに工程通過性は良好であり、得られた炭素繊維前駆体繊維と炭素繊維束の品位は良好であった。
[比較例2]
AN100重量部、イタコン酸1重量部、ラジカル開始剤としてAIBN0.4重量部、および連鎖移動剤としてオクチルメルカプタン0.1重量部をジメチルスルホキシド370重量部に均一に溶解し、それを還流管と攪拌翼を備えた反応容器に入れた。反応容器内の空間部を窒素置換した後、撹拌しながら重合条件Aの熱処理を行い、溶液重合法により重合して、PAN系重合体溶液を得た。
(1)30℃から60℃へ昇温(昇温速度10℃/時間)
(2)60℃の温度で4時間保持
(3)60℃から80℃へ昇温(昇温速度10℃/時間)
(4)80℃の温度で6時間保持
PAN系重合体は、Mwが35万、Mz/Mwが1.8であった。PAN系重合体溶液を、上記のようにして得たものに変更した以外は、比較例1と同様にして紡糸溶液を得た。得られた紡糸溶液は45℃における粘度が55Pa・sであった。得られた紡糸溶液は、耐熱耐圧ガラス瓶に入れ、栓をして120℃のオーブン中で6時間処理すると、全体がゲル化し、重合体の分子量分布が変わってもゲル化の速度は同等だった。また、ゲル生成量の試験におけるゲルの生成量は数えられないほど非常に多かった。また、得られた紡糸溶液を用いて実施例1と同様にして炭素繊維束を得ようとしたが、製糸工程で口金から吐出不良や糸切れが多発してサンプリングできなかった。
[比較例3]
紡糸溶液中のANの含有比率が0.4重量%となるように減圧の圧力を1kPa、かつ、減圧の処理時間を1時間に変更した以外は比較例2と同様にして紡糸溶液を得た。
[比較例4]
AN100重量部、イタコン酸1重量部、およびラジカル開始剤としてAIBN0.2重量部をジメチルスルホキシド460重量部に均一に溶解し、それを還流管と攪拌翼を備えた反応容器に入れた。反応容器内の空間部を窒素置換した後、撹拌しながら前記の重合条件Aの熱処理を行い、溶液重合法により重合して、PAN系重合体溶液を得た。PAN系重合体溶液を上記のようにして得たものに変更するとともに、重合体濃度が15重量%となるように調製した以外は、比較例1と同様にして紡糸溶液を得た。得られた紡糸溶液は、耐熱耐圧ガラス瓶に入れ、栓をして120℃のオーブン中で6時間処理すると、全体がゲル化し、重合体の分子量分布が変わってもゲル化の速度は同等だった。また、ゲル生成量の試験におけるゲルの生成量は数えられないほど非常に多かった。また、得られた紡糸溶液を用いて実施例1と同様にして炭素繊維束を得ようとしたが、製糸工程で口金から吐出不良や糸切れが多発してサンプリングできなかった。
[実施例6]
AN100重量部、イタコン酸0.3重量部、ラジカル開始剤として2,2’−アゾビスイソブチルニトリル(以下、AIBNと略記)0.01重量部、およびジメチルスルホキシド200重量部を混合し、それを還流管と攪拌翼を備えた反応容器に入れた。反応容器内の空間部を酸素濃度が1000ppmになるまで窒素置換した後、撹拌しながら下記の条件Bの熱処理を行い、溶液重合法により重合して、PAN系重合体の一次溶液を得た。
(1)30℃から61℃へ昇温(昇温速度120℃/時間)
(2)61℃の温度で100分間保持
次に、その反応容器中に、イタコン酸0.7重量部、ジメチルスルホキシド10重量部、重合開始剤としてAIBN 0.4重量部、および連鎖移動剤としてオクチルメルカプタン0.1重量部を計量導入した後、さらに撹拌しながら下記の条件の熱処理を行い、残存する未反応単量体を溶液重合法により重合してPAN系重合体の二次溶液を得た。
(2)61℃の温度で4時間保持
(3)61℃から80℃へ昇温(昇温速度10℃/時間)
(4)80℃の温度で6時間保持
PAN系重合体溶液を上記のようにして得た二次溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして炭素繊維束を得た。得られた紡糸溶液は、耐熱耐圧ガラス瓶に入れ、栓をして120℃のオーブン中で20時間処理すると、全体がゲル化した。また、ゲル生成量の試験におけるゲルの生成量は6個と非常に少なかった。また、製糸工程・焼成工程ともに工程通過性は良好であり、得られた炭素繊維前駆体繊維と炭素繊維束の品位は良好であった。
[実施例7]
AN100重量部、イタコン酸1重量部、およびジメチルスルホキシド130重量部を混合し、それを還流管と攪拌翼を備えた反応容器に入れた。反応容器内の空間部を酸素濃度が100ppmになるまで窒素置換した後、ラジカル開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.002重量部を投入し、撹拌しながら下記の重合条件Dの熱処理を行い、溶液重合法により重合してPAN系重合体の一次溶液を得た。
重合条件D
・ 65℃の温度で2時間保持
・ 65℃から30℃へ降温(降温速度120℃/時間)
得られた一次溶液を水に注いで重合体を沈殿させ、それを80℃の温水で2時間洗浄後、70℃の温度で4時間乾燥して、乾燥重合体を得た。得られた乾燥重合体のMz、MwおよびMnは、それぞれ680万、500万および330万であり、一次溶液の溶媒に対する重合体濃度は、2.1重量%であった。
重合条件E
(1)30℃から60℃へ昇温(昇温速度10℃/時間)
(2)60℃の温度で4時間保持
(3)60℃から80℃へ昇温(昇温速度10℃/時間)
(4)80℃の温度で6時間保持
PAN系重合体溶液を、以上のように得た二次溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして炭素繊維束を得た。得られた紡糸溶液は、耐熱耐圧ガラス瓶に入れ、栓をして120℃のオーブン中で20時間処理すると、全体がゲル化した。また、ゲル生成量の試験におけるゲルの生成量は8個と非常に少なかった。また、製糸工程・焼成工程ともに工程通過性は良好であり、得られた炭素繊維前駆体繊維と炭素繊維束の品位は良好であった。
[実施例8]
強制ゲル化処理した後の紡糸溶液を、口金から吐出する前に、フィルター濾材に、平均線径2μmのSUS316L製金属繊維を用いて不織布に形成した濾過保証層目付400g/m2、充填率20%の濾過保証層に、平均線径5μmのSUS316L製金属繊維を用いて形成した不織布を重ねたのちに焼結し、さらに平均線径20μmのSUS316L製金属繊維を用いて形成した不織布を積層したものであって、濾過抵抗係数は20×10−5cm−1としたものを用いて濾過し、その後、平均線径20μmのSUS316製金属繊維を経糸に、平均線径13μmのSUS316製金属繊維を緯糸に用いて綾畳織のメッシュとしたのちに焼結し、濾過保証層目付220g/m2、充填率85%としたものであり、濾過抵抗係数7×10−5cm−1としたフィルター濾材にて再度濾過した以外は実施例7と同様にして炭素繊維束を得た。製糸工程・焼成工程ともに工程通過性は良好であり、得られた炭素繊維前駆体繊維と炭素繊維束の品位は極めて良好であった。
Claims (6)
- アクリル酸、メタクリル酸およびイタコン酸からなる群より選ばれる少なくとも一種の酸単量体を共重合した重量平均分子量MwとZ平均分子量Mzとの比であるMz/Mwが2以上であるポリアクリロニトリル系重合体が溶媒に溶解してなるとともに、アクリロニトリルの含有比率が0.001〜0.1重量%であって、かつ、次の[a]〜[c]から選ばれる少なくとも一種の要件を満たす紡糸溶液を紡糸して凝固糸を得、その後水洗して炭素繊維前駆体繊維となす炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
[a]ポリアクリロニトリル系重合体において、酸単量体に由来したカルボン酸基の水素イオンが、アンモニウムイオンおよびナトリウムイオンからなる群より選ばれる少なくとも1種のイオンにより含有カルボキシル基の0〜0.3等量置換される。
[b]紡糸溶液に、アルキル化剤を紡糸溶液の重量当たり0.01〜3重量%含む。
[c]紡糸溶液に、沸点が200℃以上である有機カルボン酸を紡糸溶液の重量当たり0.01〜3重量%含む。 - 前記アルキル化剤が燐酸トリメチルである、請求項1に記載の炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
- 前記有機カルボン酸がクエン酸である請求項1記載の炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
- 前記ポリアクリロニトリル系重合体は、Mwが10万〜100万であり、Mz/Mwが2.5〜10である、請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
- 紡糸が湿式紡糸または乾湿式紡糸である請求項1〜4のいずれかに記載の炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
- 紡糸が乾湿式紡糸であり、凝固糸は乾燥時の単繊維繊度が0.4〜2.3dtexである請求項1〜4のいずれかに記載の炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
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