JP2009240068A - ケース蓋固定構成を有するモータ - Google Patents
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Abstract
【課題】接着剤を用いることなく簡単な構成にして低コストで、モータケースとケース蓋のより強固な固定を可能にする。
【解決手段】金属製モータケースの開口部に樹脂製のケース蓋を嵌合して固定する。このケース蓋には、ケース蓋の周方向に等間隔に複数箇所設けた固定部の底部に、溝部或いは窪みを設ける。モータケース開口部側の曲げ倒し部を、モータケース開口部に嵌合したケース蓋の溝部或いは窪みに食い込ませることにより、モータケースとケース蓋を固定する。
【選択図】図2
【解決手段】金属製モータケースの開口部に樹脂製のケース蓋を嵌合して固定する。このケース蓋には、ケース蓋の周方向に等間隔に複数箇所設けた固定部の底部に、溝部或いは窪みを設ける。モータケース開口部側の曲げ倒し部を、モータケース開口部に嵌合したケース蓋の溝部或いは窪みに食い込ませることにより、モータケースとケース蓋を固定する。
【選択図】図2
Description
本発明は、金属製モータケースの開口部に樹脂製のケース蓋を嵌合して固定するモータのケース蓋固定構成に関する。
小型モータのハウジングは、有底中空筒状に形成した金属製モータケースの開口部に、樹脂製のケース蓋を嵌着することにより構成されている。従来の金属製モータケースと樹脂製ケース蓋を固定する構造の例が、特許文献1に開示されている。
図8は、従来の固定構造を例示する図である(特許文献1の第1図(c)参照)。図示のように、金属製モータケースの開口部に樹脂製のケース蓋を嵌合した後、パンチによりモータケース開口端部の数カ所を曲げ倒し(図中の曲げ倒し部)、それをケース蓋に押し当てる(密着)ことで固定していた。このように、モータケース開口端部を曲げ倒すことで十分強固に固定することができる。しかし、ケース蓋の体積が大きく形状が複雑化すると、温湿度の影響による寸法変化が生じ易く、特にケース蓋中心方向への寸法変化が生じると固定している部分に隙間が生じ、結果としてモータケースとケース蓋の固定が緩んでしまう不具合が生じる。また、この緩みを抑えるためにモータケースの曲げ倒し部の長さを長くして曲げ倒しを深くすると、ケース蓋の変形や破壊を招くことになる。
図9は、従来の固定構造の別の例を示す図である(特許文献1の第4図(b)参照)。パンチによりモータケース開口部端面の数カ所を曲げ倒すが(図中の爪片)、それをケース蓋に押し当て(密着)せずに、そこに接着剤を充填することにより固定している。ケース蓋を曲げ倒した爪片を接着剤により固定することにより、十分に強固な固定が可能となる。しかし、モータケースの金属、ケース蓋の樹脂、及び接着剤の膨張係数がそれぞれ異なるため、金属と樹脂と接着剤が融合しない限り、結果として温湿度の影響により接着箇所の剥がれからモータケースとケース蓋の固定が緩んでしまうことになる。また接着剤を使用することによるコストアップが生じる。
実開昭56−30553号公報
本発明は、係る問題点を解決して、接着剤を用いることなく簡単な構成にして低コストで、モータケースとケース蓋のより強固な固定を可能にすることを目的としている。
また、本発明は、温湿度の影響を受けて、樹脂製ケース蓋がモータケース中心方向への寸法変化が生じても、ケース蓋全体の変形を抑制して、モータケースとケース蓋の固定の緩みを防止することを目的としている。
本発明は、金属製モータケースの開口部に樹脂製のケース蓋を嵌合して固定するモータにおいて、前記ケース蓋には、ケース蓋の外周に複数箇所固定部を設け、モータケース開口部側の一部をケース蓋の固定部に食い込ませることによりモータケースとケース蓋を固定する。
また、モータケース開口部側の一部は曲げ倒し部であって、食い込んでいるのは曲げ倒し部の先端である。曲げ倒し部の先端の周方向の中央部分において、曲げ倒し部先端には、ケース蓋固定部と接触しない非接触部を有している。曲げ倒し部の先端が食い込んだ部分の樹脂は非接触部に逃げることができる。非接触部は、溝又は窪みにすることができる。
本発明によれば、モータケース開口部側の一部を食い込ませることによって、モータケースとケース蓋の固定の緩みを防止できる。
また、モータケース開口部側の一部を曲げ倒して、この曲げ倒し部の先端を食い込ませることによって、食い込ませる工程が容易となる。さらに、曲げ倒し部の先端を食い込ませる際に、曲げ倒し部先端にケース蓋固定部と接触しない非接触部を設けることによって、食い込む際の力が曲げ倒し部先端の全体がケース蓋固定部と接触している場合に比べて、接触面積を減らして食い込む際の力を集中させることができて、容易に食い込ませることができる。
また、食い込んだ部分のケース蓋の樹脂を非接触部に逃がすことによって、ケース蓋全体の変形防止となると共に、接着剤を使用しないことでコストダウンとなる。さらに、非接触部を溝又は窪みとすることによって曲げ倒したモータケースの端部がケース蓋に食い込みやすくなり、ケース蓋中心方向への寸法変化が生じても、曲げ倒したモータケースの食い込みにより変形が抑制され、結果としてモータケースとケース蓋の固定の緩みが防止できる。
以下、例示に基づき、本発明を説明する。図1は、本発明に基づき構成したモータケースとケース蓋の固定構造を備える小型モータの縦断面図である。本発明は、金属ケースに樹脂製のケース蓋を嵌合して固定するものであれば、如何なる外形状、界磁極数、或いは回転磁極数を有する小型モータにも適用可能である。図示のように、金属材料により有底中空筒状に形成したモータケースの内周面に、界磁極となるマグネットが取り付けられている。このモータケースの開口部にはケース蓋が嵌合して固定されている。ケース蓋の中央部には、シャフトのための軸受が収容される。シャフトの他端は、有底中空筒状のモータケースの底部中央に設けられた軸受によって支持されている。なお、シャフトは、図示省略しているが、少なくともいずれか一方の側から外部に延長して、それに結合された外部負荷を駆動することになる。
シャフトには、積層コアと、該積層コア上に巻いた巻線と、コミュテータとが通常に備えられて、小型モータの回転子を構成している。コミュテータに接触する一対のブラシは、その接続部材(図示省略)を介して外部端子(図示省略)に接続されて、外部との電気的接続が行われる。
図2(A)は、図1に示したモータケースとケース蓋の固定構造の詳細を示す図である。(B)は、(A)の曲げ倒し部付近の拡大図である。(C)は、(B)に示すA−Aラインで切断した断面図である。図示のように、有底筒状モータケースの開口部(円形、或いは四角形状のような多角形状)には、その周面全体にケース蓋受けが設けられている。このケース蓋受けは、モータケースの開口部内側に設けた段差により構成し、それ故、この段差より開口部側のモータケース厚みは薄くなっている。モータケースとケース蓋の固定は、モータケース開口部側の一部をケース蓋の固定部に食い込ませることによって行う。この際、モータケース開口部側の一部を曲げ倒して、その先端を食い込ませることによって行うこともできる。さらに、曲げ倒し部の先端を食い込ませる際に、曲げ倒し部先端にケース蓋固定部と接触しない非接触部を設けることもできる。こうすることによって、曲げ倒し部先端の全体がケース蓋固定部と接触している場合に比べて、接触面積を減らして食い込む際の力を集中させることができて、容易に食い込ませることができる。さらに、食い込んだ部分のケース蓋の樹脂を非接触部に逃がすことによって、ケース蓋全体の変形防止となる。さらに、非接触部を溝又は窪みとすることによって、曲げ倒したモータケースの端部がケース蓋に食い込みやすくなり、ケース蓋中心方向への寸法変化が生じても、曲げ倒したモータケースの食い込みにより変形が抑制され、結果としてモータケースとケース蓋の固定の緩みが防止できる。
モータケースとケース蓋の固定に際しては、ケース蓋受け(段差)にケース蓋が突き当たるまで押し込んだ後、モータケースの曲げ倒し部をケース蓋の固定部の底部に設けた溝部(図3参照)に食い込ませることにより固定される。例示の固定部は、ケース蓋外周部に設けた凹み部により構成している。ケース蓋受けはケース蓋を裏面から支持して、曲げ倒し部を曲げ倒した力が十分にケース蓋により受けられて、ケース蓋の破壊を招かないようにしている。
曲げ倒し部付近の拡大図である図2(B)に見られるように、曲げ倒し部の先端が樹脂製のケース蓋に食い込んでいることが分かる。また、A−A断面図である図2(C)に見られるように、曲げ倒し部の先端が樹脂製のケース蓋に食い込んでいて、この曲げ倒し部の先端の幅が溝部よりわずかに大であることが分かる。このような構成にすることによって、曲げ倒し部先端の(周方向の)左右両側が樹脂製ケース蓋に食い込むこととなる。このような構成の場合は、曲げ倒し部先端の(周方向の)中央部分が、ケース蓋固定部と接触しない非接触部となる。このような構成にすることによって、食い込んだ部分のケース蓋の樹脂が、曲げ倒し部先端の(周方向の)中央部分に逃げることとなる。
図3は、図2に示した凹み部を外側から見た斜視図であり、(A)は、ケース蓋の凹み部及びその底部の溝部を例示し、(B)は、その溝部にモータケースの曲げ倒し部を折り曲げて食い込ませた状態で示している。凹み部は、折り曲げ部を、それを折り曲げるための工具(切りカシメ用パンチ)と共に受け入れるためのスペースであり、ケース蓋外周部を、例えば略矩形状に切り欠いた形状に構成されている。溝部は、凹み部の底部を、さらに切り欠いた形状に構成される。このような凹み部及び溝部は、ケース蓋の周方向に等間隔に、例えば4箇所(好ましくは3〜5箇所)設けられる。これら凹み部及び溝部を有するケース蓋は一体に、樹脂成形により構成することができる。このようにして形成された溝部内に、モータケースの曲げ倒し部を折り曲げて、かつ食い込ませることにより、モータケースとケース蓋は固定される。
図4は、曲げ倒し部と溝部の関係を説明する図であり、(A)は、モータケース開口部端を示し、(B)は溝部に曲げ倒し部を食い込ませた状態を示している。図4(A)に示すように、曲げ倒し部に相当するモータケース部分が、工具(切りカシメパンチ)により、モータケース開口部端から、図中の点線部で切断されると同時に、矢印方向に折り曲げられて押し倒されることになる(いわゆる、切りカシメ技術)。この曲げ倒し部が食い込むことになる溝部の形状は、例えば、図4(B)に例示したような断面円弧形状である。なお、他の形状については、図5を参照して後述する。曲げ倒し部幅は、図2(C)を参照して説明したように、溝部幅よりもわずかに広くすることで、曲げ倒し部が折り曲げの際に変形することにより十分に食い込ませることができるが、図4(B)には、溝部幅よりも狭くした別の例を示している。このように、金属製の曲げ倒し部幅を、溝部幅よりもわずかに狭くし、若しくはそれに等しくすることでも、樹脂製ケース蓋に設けた溝部の内部に食い込ませることが可能になる。
図5は、図3(A)とは異なる溝形状を示す図である。樹脂製ケース蓋に設けた凹み部が有する溝形状は、(A)に示すように、溝の底部を平面形状とすることもできる。上述の断面円弧形状に代えて、底面を平面にしたものである。或いは、(B)に示すように、溝底面を平面にしつつも、溝の両側面をテーパー形状にすることもできる。このような形状によっても、上述した形状と同様に、曲げ倒し部を溝部に食い込ませて固定することが可能になる。
図6は、さらに別の溝形状を示す図である。(A)は、凹み部を有するケース蓋の斜視図であり、(B)及び(C)は、互いに異なる形状の断面図である。(B)に示すように、曲げ倒し部先端が窪みに入るように折り曲げる。この際、上述の例と同様に、曲げ倒し部の両サイドが、この窪みの両側に食い込むことになる。また、(C)に示すように、曲げ倒し部を受けるケース蓋上面を、ケース蓋の外周側から中心に向けて高くなるように傾斜させることもできる。
図7は、100℃×1h放置後のモータケース-ケース蓋固定部の緩み発生状況比較を示すグラフである。(A)は、本発明技術(図3の溝形状)による緩み発生状況を示す図であり、(B)は、図8に示す従来技術による緩み発生状況を示す図である。いずれのグラフにおいても、縦軸は、モータケース開口端部曲げ倒し深さ(図4(A)参照)を示している。本発明及び従来技術のそれぞれに基づき、曲げ倒し深さがそれぞれ異なる複数の試験モータを作成し、100℃の環境中に1時間放置後のモータケースとケース蓋の固定部の緩み発生状況を調べた。従来技術では、曲げ倒し深さを約1.4mm以上にしないと固定部の緩みが発生した。本発明技術では従来技術で発生していた固定部の緩みが改善され、曲げ倒し深さ約1.2mmでも、従来技術で発生していた緩みより小さく、また、曲げ倒し深さ約1.3mmにすることにより、緩みの発生は全く認められなかった。
Claims (5)
- 金属製モータケースの開口部に樹脂製のケース蓋を嵌合して固定するモータにおいて、
前記ケース蓋には、ケース蓋の外周に複数箇所固定部を設け、モータケース開口部側の一部をケース蓋の固定部に食い込ませることによりモータケースとケース蓋を固定することから成るモータ。 - 前記モータケース開口部側の一部は曲げ倒し部であって、食い込んでいるのは曲げ倒し部の先端である請求項1に記載のモータ。
- 前記曲げ倒し部の先端の周方向の中央部分において、曲げ倒し部先端には、ケース蓋固定部と接触しない非接触部を有している請求項2に記載のモータ。
- 前記曲げ倒し部の先端が食い込んだ部分の樹脂が非接触部に逃げている請求項3に記載のモータ。
- 前記非接触部は、溝又は窪みである請求項4に記載のモータ。
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A02 | Decision of refusal |
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