JP2009212319A - 多数個取り配線基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】分割後に配線基板となる複数の製品部pを縦横に連続して有する製品エリアaと、裏面4に開口し、隣接する製品部pを区画する切断予定面cと交差して形成され、表面3に露出せず、内壁面に未焼成のメタライズ層9を有する裏面側凹部7と、裏面側凹部7がない位置の切断予定面cを交差して形成され、隣接する製品部pの配線層(導体)12間を導通するメッキ用結線14と、を備えたベースグリーンシートbgに対し、該シートbgの表面3側と裏面4側から各製品部pを区画する切断予定面cに沿って、第1ブレーク溝v1と第2ブレーク溝v2とを個別に形成する工程を含み、第2ブレーク溝v2の最深部は、メッキ用結線14よりも裏面4側に位置している、多数個取り配線基板1の製造方法。
【選択図】図8
Description
しかも、上下一対のブレーク溝の深さが、前記のように単位配線基板の枠部分の厚みの40〜60%にも達すると、焼成前において、複数のグリーンシートを積層した積層体が、不用意な外力によって破損し易くなる、という問題もあった。
即ち、本発明の多数個取り配線基板の製造方法(請求項1)は、複数のグリーンシートを積層してなり、且つ表面および裏面を有し、分割後に配線基板となる複数の製品部を縦横に連続して有する製品エリアと、裏面に開口し、隣接する製品部を区画する切断予定面と交差して形成され、表面に露出せず且つ内壁面に未焼成のメタライズ層を有する裏面側凹部と、かかる裏面側凹部がない位置の切断予定面を交差して形成され、且つ隣接する製品部の導体間を導通するメッキ用結線と、を備えたベースグリーンシートに対し、該ベースグリーンシートの表面側および裏面側から各製品部を区画する切断予定面に沿って、それぞれの深さがベースグリーンシートの厚みの10%以上であり、且つ各深さの合計が30%以上となる第1ブレーク溝および第2ブレーク溝を個別に形成する工程を含み、このうち、裏面側から形成される第2ブレーク溝の最深部は、上記メッキ結線よりも裏面側に位置している、ことを特徴とする。
また、前記第1・第2ブレーク溝の深さの合計の上限は、前記ベースグリーンシートの厚みの60%未満が推奨される。これによって、ベースグリーンシートの不用意な破損を予防することができる。望ましい上記深さの合計値の範囲は、30〜55%である。
尚、前記グリーンシートは、アルミナなどの高焼成セラミック粉末を含むものや、ガラス−セラミックなどの低温焼成セラミック粉末を含むものである。
更に、前記配線基板は、例えば、水晶振動子やSAWフィルタなどをキャビティの底面に実装する箱形形状のパッケージタイプの形態や、配線層を内蔵する平板形状や、配線層を内蔵し且つ表面に開口するキャビティを有する形態を含む。
これによれば、第1・第2ブレーク溝の各最深部とメッキ用結線との間の距離が、それぞれ0.05mm以上であるため、かかる第1・第2ブレーク溝によって、隣接する製品部同士および製品部と耳部との間において、引き回して配線されるメッキ用結線の断線を確実に防ぐことが可能となる。
尚、前記距離が、0.05mm未満になると、製造工程での第1・第2ブレーク溝を形成する際に、刃物の挿入深さの制御が著しく困難となり、製造効率の低下を招き易くなるため、かかる範囲を除外した。
これによれば、裏面側凹部に形成されたメタライズ層に対して、焼成後に施される電解メッキ工程において、裏面側凹部の開口部と共に第1ブレーク溝の最深部を介しても、メッキ液を流動化できるので、上記メタライズ層の表面に、NiおよびAuメッキ層を比較的均一な厚みで確実に被覆することが可能となる。
これによれば、耳部のメッキ用電極に所定の電極棒を接触させて、電解Niメッキおよび電解Auメッキを施すことで、前記メッキ用結線を介して、裏面側凹部のメタライズ層の表面に、NiおよびAuメッキ層を確実に被覆可能となる。
これによれば、前記裏面側凹部のメタライズ層などの表面に、NiおよびAuメッキ層が被覆され、且つ複数の前記グリーンシートが複数のセラミック層となり、且つ製品エリアにおける複数の配線基板同士間を区画する第1・第2ブレーク溝が適正な深さで、切断面に割り欠けなどの異形が生じにくい多数個取り配線基板を提供することが可能となる。
図1は、本発明によって製造される一形態の多数個取り配線基板1の平面図、図2は、その底面図、図3は、図1,図2中のX−X線の矢視に沿った部分垂直断面図、図4は、図1,図2中のY−Y線の矢視に沿った部分垂直断面図である。
多数個取り配線基板1は、図1乃至図4に示すように、複数のセラミック層s1〜s4を積層してなり、平面視が長方形(矩形)を呈する表面3および裏面4を有する基板本体2と、該基板本体2の四辺の内側に沿って配設され、平面視が矩形枠を呈する耳部mと、該耳部mの内側に配設され、分割後にパッケージ(配線基板)となる複数の製品部pを縦横に連続して有する製品エリアaと、を備えている。前記セラミック層s1〜s4は、アルミナなどの高温焼成セラミックからなる。尚、表面3と裏面4とは、基板本体2、個々の製品部p、耳部m、および後述するベースグリーンシート(bg)について、以下で共通して用いる。
更に、図1乃至図4に示すように、前記製品エリアaにおいて、隣接する製品部p,p間、および製品エリアaと耳部mとの間は、基板本体2の表面3側から進入する第1ブレーク溝v1、基板本体2の裏面4側から進入する第2ブレーク溝v2、およびこれらの最深部間を接続する仮想の切断予定面cによって区画されている。尚、第1・第2ブレーク溝v1、v2の内角は、それぞれ22度以上で且つ30度未満である。
更に、図2,図4に示すように、基板本体2の裏面4には、縦横に交差する第2ブレーク溝v2および切断予定面cに沿って、平面視が長円形の裏面側凹部7が複数個形成され、かかる裏面側凹部7の天井面8および内壁面には、全体がほぼ長円筒形を呈するメタライズ層9が形成されている。尚、該メタライズ層9や前記表面電極fは、WまたはMoからなる基体の表面に、図示しないNiメッキ層およびAuメッキ層が被覆されている。
また、図3に示すように、メタライズ層9の側面から、隣接する製品部pごとのセラミック層s3,s4間に延びた配線層10は、セラミック層s3を貫通するビア導体vを介して、キャビティ5の底面5bに形成された表面電極fと接続されている。尚、上記ビア導体vおよび配線層10は、WまたはMoからなる。
加えて、前記裏面側凹部7の天井面8および内壁面に形成されたメタライズ層9と、前記耳部mのメッキ用電極6との間は、図示しない接続配線を介して、導通可能とされている。尚、前記耳部mの内周辺に沿って位置するメタライズ層9も、上記と同様にしてメッキ用電極6と導通されている。
一方、図4に示すように、前記裏面側凹部7,7間の切断予定面c付近では、隣接する製品部pごとのセラミック層s3,s4間に形成された配線層(導体)12,12間を、メッキ用結線14が接続している。前記第2ブレーク溝v2の最深部は、該メッキ用結線14よりも裏面4側に位置している。
尚、上記配線層12やメッキ用結線14もWまたはMoからなる。また、配線層12は、前記メタライズ層9や、耳部mのメッキ用電極6とも導通可能である。
予め、アルミナ粉末、有機バインダ、および溶剤などを適量ずつ配合して、セラミックスラリーを作り、ドクターブレード法によって、図5の部分断面図に示すように、大版サイズの4枚のグリーンシートg1〜g4を製作した。
次に、追って前記セラミック層s1,s2となるグリーンシートg1,g2には、図5に示すように、平面視が矩形の貫通孔h1を、平面視で格子状の配置となるように、縦・横方向に沿って、打ち抜き加工により形成した。このうち、第2層のセラミック層s2となるグリーンシートg2には、更に、隣接する貫通孔h1,h1間に、平面視が長円形の貫通孔h2を縦・横方向に沿って形成した。
更に、追って第3層および最下層のセラミック層s3,s4となるグリーンシートg3,g4には、図5に示すように、平面視で前記貫通孔h2と同じ位置に貫通孔h2を縦・横方向に沿って形成した。このうち、グリーンシートg3には、複数の貫通孔h2に囲まれた内側ごとの位置に4個のビアホールh3を形成した。
尚、図示しないグリーンシートg1〜g4の外側面には、打ち抜き加工によって、断面がほぼ半円形の凹溝6aを複数個形成した。
尚、グリーンシートg3,g4間において、図6の前後方向にずれた位置には、図示しない未焼成の配線層12およびメッキ用結線14を上記と同様に形成した。
尚、グリーンシートg1〜g4ごとの凹溝6aの内壁面にも、前記同様の導電性ペーストを吸引・塗布して、未焼成の部分メッキ用電極を形成した。
次に、図6中の矢印で示すように、前記グリーンシートg1〜g4を厚み方向に沿って、前記貫通孔h1、貫通孔h2、メタライズ層9a、および凹溝6aがそれぞれ個別に連続するように、積層し且つ圧着した。
その結果、図7に示すように、グリーンシートg1〜g4が積層され、表面3および裏面4を有するベースグリーンシートbgが形成された。該ベースグリーンシートbgでは、前記貫通孔h1,h1が連続したことで形成された側面5aと、グリーンシートg3の表面であった底面5bとからなる複数のキャビティ5が形成され、該キャビティ5を有する製品部pが縦・横方向に沿って複数個配列されることで、前記製品エリアaが形成された。
尚、前記配線層12およびメッキ用結線14も、メタライズ層9や配線層10と導通可能となった。更に、ベースグリーンシートbgにおける製品エリアaの外側には、未焼成の前記耳部mが形成され、その外側面に複数の前記部分メッキ用電極によって形成された未焼成の前記メッキ用電極6は、メタライズ層9、配線層10,12、メッキ用結線14などと導通可能となった。
図8中で下向きの実線の矢印で示すように、ベースグリーンシートbgの製品エリアaにおいて、隣接する製品部p,p間を区画する切断予定面cに沿って、上方から第1刃物B1を、隣接するキャビティ5,5間に挟まれたグリーンシートg1,g2の幅方向の中間位置に対し、垂直に挿入して断面ほぼV字形の第1ブレーク溝v1を形成した。
図8,図9に示すように、第1ブレーク溝v1の深さd1は、ベースグリーンシートbgの厚みtの10%以上、具体的には、18%であった。
また、前記第1刃物B1の刃先部分をメタライズ層6に挿入した際、第1刃物B1の刃先部分を最上層のグリーンシートg1の厚み方向に沿って挿入および通過させた際、その刃身が左右に振れることなく、スムースに挿入・通過した。
更に、該第1刃物B1の刃先部分は、第2層のグリーンシートg2の表面付近に位置する裏面側凹部7の天井面8と、メタライズ層9の前記天井部分9bとを通過した。即ち、図8に示すように、第1ブレーク溝v1の最深部は、裏面側凹部7の天井面8よりも裏面4側に達していた。
図8に示すように、第2ブレーク溝v2の深さd2も、ベースグリーンシートbgの厚みtの10%以上、具体的には、14%であり、その最深部は、裏面側凹部7の天井面8には達していない。同時に、図9に示すように、第2ブレーク溝v2の最深部は、メッキ用結線14よりも裏面4側に位置していた。しかも、第1・第2ブレーク溝v1,v2の最深部と、メッキ用結線14との距離w1,w2は、何れも0.05mm以上であった。
尚、図8中の破線の矢印は、前記第1・第2刃物B1,B2をそれぞれ抜き出した際の方向を示す。
次いで、前記第1・第2ブレーク溝v1,v2が形成されたベースグリーンシートbgを、所定の温度帯において焼成した。その結果、前記グリーンシートg1〜g4は、前記セラミック層s1〜s4となり、且つこれらが一体に積層された前記基板本体2となった。
そして、基板本体2の耳部mに形成された複数のメッキ用電極6ごとに、図示しない電極棒を接触させた状態で、かかる基板本体2を所定のメッキ液槽に順次浸漬して、電解Niメッキおよび電解Auメッキを施した。この際、第1ブレーク溝v1の最深部が、前記裏面側凹部7の天井面8よりも裏面4側に達していたため、上記の各メッキ液が裏面側凹部7内において、比較的均一に流動化された。このため、裏面側凹部7内に位置するメタライズ層9の表面全体に対し、電解Niメッキおよび電解Auメッキを、比較的均一で且つ確実に施すことができた。
以上のような多数個取り配線基板1の製造方法によれば、第1・第2ブレーク溝v1,v2の深さd1,d2が前記範囲内にあり、且つそれらの最深部がメッキ用結線14と所定の距離w1,w2を保っていたため、焼成間までの工程でベースグリーンシートbgが不用意に破損せず、且つ焼成後の切断時に個々の配線基板の側面に露出する切断面が、割り欠けなどを含む異形となりにくくなった。しかも、第2ブレーク溝v2の最深部は、隣接する製品部pの配線層12,12間を導通するメッキ用結線14に達しないため、該メッキ用結線14の断線を確実に防止できた。従って、形状および寸法精度に優れ、前記メタライズ層9などの表面に良好なメッキ処理が施された複数の配線基板を、確実且つ効率良く提供することが可能となった。
例えば、前記グリーンシートは、ムライトや窒化アルミニウムなどの高温焼成セラミック、あるいはガラス−セラミックなどの低温焼成セラミックを含むものとしても良い。このうち、低温焼成セラミックを含む場合、前記導電性ペーストは、CuまたはAg粉末を含むものが用いられる。
また、積層すべきグリーンシートは、2,3層や5層以上であっても良い。
更に、前記裏面側凹部は、断面が円形で且つ全体がほぼ円柱形の形態としても良く、その内側に形成されるメタライズ層は、ほぼ相似形の円筒形状となる。
また、前記製品部は、平面視がほぼ正方形を呈する形態としても良い。
更に、前記製品部は、表面に開口し且つその底面に電子部品を実装するキャビティ、および裏面を有し、表面におけるキャビティの開口部を除いたほぼ全面に封止用メタライズ形成されている箱形のパッケージの形態としても良い。
加えて、前記製品部は、表面に開口するキャビティを有するほぼ板形状、あるいはキャビティを有しない平板形状の配線基板の形態としても良い。
3……………表面
4……………裏面
6……………メッキ用電極
7……………裏面側凹部
8……………裏面側凹部の天井面
9……………裏面側凹部のメタライズ層
12…………配線層(導体)
14…………メッキ用結線
g1〜g4…グリーンシート
bg…………ベースグリーンシート
a……………製品エリア
p……………製品部
m……………耳部
c……………切断予定面
v1,v2…第1・第2ブレーク溝
t……………ベースグリーンシートの厚み
d1,d2…第1・第2ブレーク溝の深さ
w1,w2…距離
Claims (5)
- 複数のグリーンシートを積層してなり、且つ表面および裏面を有し、分割後に配線基板となる複数の製品部を縦横に連続して有する製品エリアと、裏面に開口し、隣接する製品部を区画する切断予定面と交差して形成され、表面に露出せず且つ内壁面に未焼成のメタライズ層を有する裏面側凹部と、かかる裏面側凹部がない位置の切断予定面を交差して形成され、且つ隣接する製品部の導体間を導通するメッキ用結線と、を備えたベースグリーンシートに対し、
上記ベースグリーンシートの表面側および裏面側から各製品部を区画する切断予定面に沿って、それぞれの深さがベースグリーンシートの厚みの10%以上であり、且つ各深さの合計が30%以上となる第1ブレーク溝および第2ブレーク溝を個別に形成する工程を含み、このうち、裏面側から形成される第2ブレーク溝の最深部は、上記メッキ用結線よりも裏面側に位置している、
ことを特徴とする多数個取り配線基板の製造方法。 - 前記第1ブレーク溝および第2ブレーク溝の各最深部と、前記メッキ用結線との間の距離は、少なくとも0.05mm以上である、
請求項1に記載の多数個取り配線基板の製造方法。 - 前記第1ブレーク溝の最深部は、前記裏面側凹部の天井面よりも裏面側に達している、
請求項1または2に記載の多数個取り配線基板の製造方法。 - 前記製品エリアの少なくとも一辺には、前記複数のグリーンシートからなり、外側面に前記メッキ用結線および前記裏面側凹部のメタライズ層と導通するメッキ用電極を形成した耳部が配設されている、
請求項1乃至3の何れか一項に記載の多数個取り配線基板の製造方法。 - 前記第1ブレーク溝および第2ブレーク溝を形成する工程の後に、前記裏面側凹部のメタライズ層の表面にメッキ層を形成する工程と、これらが形成された前記ベースグリーンシートを焼成する工程と、を行う、
請求項1乃至4の何れか一項に記載の多数個取り配線基板の製造方法。
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