JP2009193857A - 固体電解質グリーンシートの製造方法、固体電解質の製造方法、及びリチウム電池の製造方法 - Google Patents

固体電解質グリーンシートの製造方法、固体電解質の製造方法、及びリチウム電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】リチウムイオン伝導性及び安全性を向上できる固体電解質グリーンシートの製造方法、固体電解質の製造方法、及びリチウム電池の製造方法を提供すること。
【解決手段】固体電解質グリーンシートの製造方法は、リチウムイオン伝導性粉末と有機バインダとを、リチウムイオン伝導性粉末/有機バインダ(質量比)が1.2以上で、溶媒と混合することでスラリーを作製し、このスラリーを支持体上に配置し、乾燥する工程を有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、固体電解質グリーンシート、固体電解質、及びリチウム電池の製造方法に関する。
近年、リチウム電池は、携帯電話やノートPCといった携帯用情報機器の電源として汎用されている。これらの用途に使用される電池には、高い安全性とともに、高いエネルギー密度及び優れたサイクル特性が求められる。
これらの要請に応えるリチウム電池の電解質として、高分子に有機電解液が含浸されたゲルポリマー電解質が開発された。かかるゲルポリマー電解質は、ゲル状ゆえに漏液しにくいため、電池の安全性を向上できるためである。ただし、ゲルポリマー電解質は依然として可燃性の有機電解液を含んでいることから、安全性の更なる向上が望まれるし、環境への悪影響を無視できない。
そこで、環境への負荷が少なく且つ安全性に優れる材料として、固体電解質が着目されている。固体電解質は有機溶媒を含んでおらず、漏液及び発火するおそれがないため、固体電解質を用いた電池(固体電池)は、極めて優れた安全性を有する。
例えば特許文献1には、アルミナ、シリカ、アルミン酸リチウム等の無機酸化物を含有する固体電解質を用いた固体電池が開示されている。また、例えば特許文献2には、硫化物ガラス等の固体無機物質を加圧によってペレット化した全固体電解質を用いたリチウムイオン二次電池が開示されている。
特開平6−140052号公報 特開2004−348972号公報
しかし、従来の固体電池は、固体電解質層のリチウムイオン伝導性が不充分であるために、出力が小さかった。また、正極に水や空気を用いた電池では、正極側に存在する水分が固体電解質層を通過して負極に到達し、負極を構成するリチウム金属と接触するおそれがある。
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、リチウムイオン伝導性及び安全性を向上できる固体電解質グリーンシートの製造方法、固体電解質の製造方法、及びリチウム電池の製造方法を提供することを第1の目的とする。また、緻密でリチウムイオン伝導度の高い固体電解質を得るためには、固体電解質を得るためのグリーンシートを緻密に作製することが必要であり、本発明はグリーンシートを緻密化できるグリーンシートの製造方法を提供することを第2の目的とする。
本発明者らは、固体電解質層に形成される空隙を低下することで、リチウムイオン伝導性が向上するとともに、負極への水分の移行が阻害されることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) 熱処理後にリチウムイオン伝導性を呈する酸化物ガラスの粉末、リチウムイオン伝導性を有する無機粉末、又はその両方(以下これらを、「リチウムイオン伝導性粉末」という)を含む固体電解質グリーンシートの製造方法であって、
前記リチウムイオン伝導性粉末と有機バインダとを、リチウムイオン伝導性粉末/有機バインダ(質量比)が1.2以上で、溶媒と混合することでスラリーを作製し、
前記スラリーを支持体上に配置し、乾燥する工程を有する製造方法。
(2) 前記有機バインダは、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロース誘導体、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、及びそれらの共重合体からなる群より選ばれる1種以上である(1)記載の製造方法。
(3) 前記溶媒は、25℃における誘電率が10.0以上である(1)又は(2)記載の製造方法。
(4) 前記溶媒は、水、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、酢酸、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、及びアセトンからなる群より選ばれる1種以上を含む(1)から(3)いずれか記載の製造方法。
(5) 前記リチウムイオン伝導性粉末は、10μm以下の平均粒子径を有する(1)から(4)いずれか記載の製造方法。
(6) 前記スラリーにおける前記リチウムイオン伝導性粉末の含有量を、前記スラリー全体の50質量%以上とする(1)から(5)いずれか記載の製造方法。
(7) 前記スラリーから凝集体を除去する工程を有する(1)から(6)いずれか記載の製造方法。
(8) 前記凝集体の除去は、前記スラリーを濾過することで行う(7)記載の製造方法。
(9) 前記スラリーから気泡を除去する工程を有する(1)から(8)いずれか記載の製造方法。
(10) 前記気泡の除去は、標準大気圧以下の減圧条件下で行う(9)記載の製造方法。
(11) 前記酸化物ガラスの粉末は、Li1+x+y(Ge1−yTi2ーxSi3−z12(式中、MはAl及びGaからなる群より選ばれる1種以上であり、0≦x≦0.8、0≦y≦1.0、0≦z≦0.6である)で示される結晶を含む(1)から(10)いずれか記載の製造方法。
(12) 前記熱処理後にリチウムイオン伝導性を呈する酸化物ガラス粉末は、
酸化物基準のmol%で、
LiO 10〜25%、及び
Al及び/又はGa 0.5〜15%、及び
TiO及び/又はGeO 25〜50%、及び
SiO 0〜15%、及び
26〜40%
の各成分を含有する(1)から(11)いずれか記載の製造方法。
(13) (1)から(12)いずれか記載の製造方法で製造された固体電解質グリーンシートを焼成する工程を有する固体電解質の製造方法。
(14) リチウム電池の製造方法であって、
(1)から(12)いずれか記載の製造方法で製造された固体電解質グリーンシート又は(13)記載の製造方法で製造された固体電解質の少なくとも一面に、リチウムイオンを吸蔵及び放出する活物質を含む電極グリーンシートが積層された積層体を作製し、
前記積層体を焼成する工程を有する製造方法。
本発明によれば、支持体上に配置されるスラリーを、リチウムイオン伝導性粉末と有機バインダとを所定の質量比で溶媒と混合することで作製したので、緻密なグリーンシートが得られ、かかるグリーンシートを焼成して得られる固体電解質に形成される空隙が低減される。これにより、リチウムイオン伝導性を向上できるとともに、負極への水分の移行が阻害されるために安全性を向上できる。
以下、本発明の実施形態を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<固体電解質グリーンシートの製造方法>
本実施形態にかかる固体電解質グリーンシートの製造方法は、スラリーを作製する工程と、このスラリーを用いて固体電解質グリーンシートを作製する工程と、を有する。
〔材料〕
まず、本発明で用いる材料について説明する。なお、本明細書において、「グリーンシート」とは、薄板状に成形されたガラス粉末、結晶(セラミックス又はガラスセラミックス)粉末の未焼成体を指し、具体的には、ガラス粉末、結晶(セラミックス又はガラスセラミックス)粉末と、有機バインダ、可塑剤、溶媒等との混合スラリーをドクターブレードやカレンダ法、スピンコートやディップコーティング等の塗布法、インクジェット、バブルジェット(登録商標)、及びオフセット等の印刷法、ダイコーター法、スプレー法等で薄板状に成形したものをいう。また、「グリーンシート」には、他のグリーンシート又は他のグリーンシートの焼成体に混合スラリーが塗布されたものも包含される。
また、グリーンシートは、焼成において均一に加熱され、気孔率が20vol%以下の緻密な焼結体を製造しやすい点で、均一な厚みを有するよう形成することが好ましい。そこで、グリーンシートの厚みの変動は、グリーンシートの厚みの分布の平均値に対して+10%以上−10%以下であることが好ましい。また、原料を充分に混合することでグリーンシートの組成を均一にし、焼成前にロールプレスや一軸、等方加圧等で加圧して緻密化しておくことが好ましい。そこで原料の混合は、例えばボールミルで1時間以上行うことが好ましい。
[スラリー]
本実施形態で使用されるスラリーは、リチウムイオン伝導性粉末と有機バインダとを所定の質量比で溶媒と混合することで作製される。各成分について以下説明する。
(リチウムイオン伝導性粉末)
リチウムイオン伝導性粉末は、熱処理によってリチウムイオン伝導性を発現する酸化物ガラスの粉末、リチウムイオン伝導性を有する無機粉末、又は両方である。
酸化物ガラスは、酸化物基準のmol%表示で、
LiO 10〜25%、及び
Al及び/又はGa 0.5〜15%、及び
TiO及び/又はGeO 25〜50%、及び
SiO 0〜15%、及び
26〜40%
を含有するものであることがより好ましい。
無機粉末の原料である無機物は、熱処理によりLi1+x+y(Ge1−yTi2ーxSi3−z12(式中、MはAl及びGaからなる群より選ばれる1種以上であり、0≦x≦0.8、0≦y≦1.0、0≦z≦0.6である)で示される結晶が析出してガラスセラミックスであることが好ましく、かかるガラスセラミックスは高いリチウムイオン伝導性を発現する。なお、その他の無機物としては、上記結晶を有するセラミックスが挙げられる。
ここで、ガラスセラミックスとは、ガラスを熱処理してガラス相を析出させることで得られる材料であり、具体的には非晶質固体及び結晶からなる。かかるガラスセラミックスは、イオン伝導を妨げる空孔や結晶粒界をほとんど有しないため、イオン伝導性及び化学的安定性に優れる点で好ましい。なお、ガラスセラミックスには、全ガラス相が結晶相に相転移した材料、つまり、材料中の結晶量(結晶化度)が100質量%のものも包含される。
リチウムイオン伝導性粉末は、以上の酸化物ガラス又は無機物を、ボールミル、ジェットミル等を用いて粉砕することで作製される。また、上記のガラスセラミックス粉末を酸化物ガラスとともにグリーンシートに含めてもよい。
有機バインダと混合する際のリチウムイオン伝導性粉末の平均粒子径は、高い充填率が得られる点で、10μm以下であることが好ましく、より好ましくは5μm以下、最も好ましくは3μm以下である。また、リチウムイオン伝導性粉末の平均粒子径の下限値は、均一分散性を向上できる点で、0.01μm以上であることが好ましく、より好ましくは0.05μm以上、最も好ましくは0.1μm以上である。ここで、「平均粒子径」とは、レーザー回折法によって測定したときのD50(累積50%径)値(体積基準)であり、例えば、粒度分布測定装置「LS100Q」(ベックマン・コールター社製)、又はサブミクロン粒子アナライザ「N5」(ベックマン・コールター社製)を用いて測定できる。これらの装置は、被測定物の粒子径に応じて適宜選択されてよく、具体的には最大粒子径が3μm未満の場合にはサブミクロン粒子アナライザ「N5」のみを用いて測定すればよい。
また、リチウムイオン伝導性粉末の最大粒子径(粒子径の最大値)の上限値は、高い充填率が得られる点で、20μm以下が好ましく、より好ましくは12μm以下、最も好ましくは9μm以下である。最大粒子径の下限値は、均一分散性を向上できる点で、0.001μm以上が好ましく、より好ましくは0.005μm以上、最も好ましくは0.01μm以上である。
有機バインダと混合する際のリチウムイオン伝導性粉末の含有量の下限値は、焼成後の空隙を低減できる点で、スラリー全体に対して50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは55質量%以上、最も好ましくは60質量%以上である。また、乾燥後の固体電解質グリーンシート中のリチウムイオン伝導性粉末の含有量の下限値は、50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは55質量%以上、最も好ましくは60質量%以上である。
リチウムイオン伝導性粉末の含有量の上限値は、グリーンシートの形状保持性を向上できる点で、混合スラリー全体に対して97質量%以下であることが好ましく、より好ましくは94質量%以下、最も好ましくは90質量%以下である。また、乾燥後の固体電解質グリーンシート中のリチウムイオン伝導性粉末の含有量の上限値は、97質量%以下であることが好ましく、より好ましくは94質量%以下、最も好ましくは90質量%以下である。
リチウムイオン伝導性粉末は、高容量且つ高出力のリチウム電池を容易に製造できる点で、後述の焼成と同条件での熱処理後、25℃において1×10−4Scm−1以上のイオン伝導度を有することが好ましく、より好ましくは5×10−4Scm−1以上、最も好ましくは1×10−3Scm−1以上である。なお、リチウムイオン伝導性とは、リチウムイオン伝導度が25℃において1×10−8Scm−1以上の値を示す性質を指す。
(有機バインダ)
有機バインダとしては、プレス成形やラバープレス、押出成形、射出成形用の成形助剤として汎用されている市販のバインダが使用できる。具体的には、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロース誘導体、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、及びそれらの共重合体からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。これらの他に、粉末の分散性を高める分散剤や、乾燥時の泡抜きを良好にするための界面活性剤等を適量添加することが好ましい。
有機バインダの含有量は、上述したリチウムイオン伝導性粉末/有機バインダ(質量比)の範囲を達成できる限りにおいて特に限定されない。ただし、有機バインダの含有量の下限は、シート形状の維持能を向上できる点で、混合スラリー全量に対して1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることが最も好ましい。また、乾燥後のグリーンシート中の含有量の下限値は、3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、7質量%以上であることが最も好ましい。
また、有機バインダの含有量の上限は、脱脂後の空隙を充分に低減できる点で、混合スラリー全量に対して24質量%以下であることが好ましく、21質量%以下であることがより好ましく、18質量%以下であることが最も好ましい。また、乾燥後のグリーンシート中の含有量の上限値は、40質量%以下であることが好ましく、35質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることが最も好ましい。
(溶媒)
溶媒は、上記のリチウムイオン伝導性粉末及び有機バインダの分散性を向上するために用いられる。かかる溶媒は、分散性を向上できる点で、25℃における誘電率が10.0以上であることが好ましく、より好ましくは15以上、最も好ましくは20以上である。具体的には、溶媒は、水、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、酢酸、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、及びアセトンからなる群より選ばれる1種以上を含むことが好ましい。その中でも、環境負荷を軽減でき且つ分散性に優れる点でアルコール又は水が好ましく、水が最も好ましい。また、乾燥時における残留水分を低減するために、25℃での誘電率が10.0以下であるトルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル等を少量添加してもよい。溶媒として水を用いない場合には、炭素数6以上のいわゆる高級アルコールであるラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール等を少量添加してもよい。更に、より均質で緻密な固体電解質を得るために、適量の分散剤を併用してもよく、乾燥する際の泡抜き効率を向上するために、適量の界面活性剤を併用してもよい。
(その他)
固体電解質グリーンシートは、ガラスセラミックス粒子同士を結合する焼結助剤として機能するLi含有無機化合物を更に含んでいてもよい。中でも、LiPO、LiPO、LiI、LiN、LiO、Li、LiFは、焼結時に軟化し溶融して、リチウムイオン伝導性粉末の隙間を充填する結果、リチウムイオン伝導性粉末同士を強固に結合できる点で好ましい。
また、固体電解質グリーンシートは、リチウムイオンの拡散を促進してリチウムイオン伝導性を向上できる点で、誘電性が高い絶縁性の結晶又はガラスを少量含有することが好ましい。例えば、BaTiO、SrTiO、Nb、LaTiOが挙げられる。
(スラリーの作製)
スラリーは、リチウムイオン伝導性粉末及び有機バインダを溶媒と混合することで得られる。このとき、リチウムイオン伝導性粉末/有機バインダ(質量比)を1.2以上とすることが好ましく、より好ましくは1.5、最も好ましくは2.0とする。これにより、固体電解質に形成される空隙が低減されるため、リチウムイオン伝導性を向上できるとともに、負極への水分の移行が阻害されるために安全性を向上できる。質量比の下限は、また、質量比の上限は、後述の支持体上へのスラリーの配置を均質且つ容易に行うことができる点で、23であることが好ましく、より好ましくは19、最も好ましくは13である。
(凝集体の除去)
スラリーに凝集体が存在し、スラリーの支持体への均一な配置が困難になる場合がある。そこで、スラリーから凝集体を除去する工程を行うことが好ましい。これにより、混合物への凝集体の残存が抑制されるため、スラリーの支持体への均一配置が容易になる。凝集体の除去は、スラリーの撹拌、粉砕、濾過等で行うことができるが、容易且つ迅速な点で、スラリーを濾過することで行うことが好ましい。
(気泡の除去)
また、スラリーに気泡が残存し、この気泡のために後述の焼成後の固体電解質の空隙率が増加する場合がある。そこで、スラリーから気泡を除去する工程を行うことが好ましい。これにより、固体電解質の空隙率を大幅に低減できる。気泡の除去は、加熱脱気法や真空脱気法等で行うことができるが、スラリー組成への悪影響を抑制できる点で、標準大気圧以下の減圧条件下で行うことが好ましい。更には、スラリーへ消泡剤を添加し自転/公転式のミキサーを使用することで、より微細な気泡を除去することもできる。なお、本明細書における「除去」とは、必ずしも完全なる消失を要求するものではなく、量が低下すればよい。
(支持体への配置)
作製したスラリーを支持体上に配置し、乾燥することで、固体電解質グリーンシートが作製される。支持体は、通常、離型処理が施されたPET等製の薄フィルムであり、乾燥後に支持体を除去する。ただし、焼成後の固体電解質層の厚みを調節するために、支持体として固体電解質グリーンシートを用いてシート同士を重畳してもよいし、支持体として後述の固体電解質を用いてもよい。かかる成形は、前述のように、ドクターブレードやカレンダ法等の公知の方法で行えばよい。
成形後のグリーンシートの厚みの上限値は、後述の乾燥工程におけるクラック発生を抑制できる点で、200μm以下であることが好ましく、より好ましくは150μm以下、最も好ましくは100μm以下である。また、下限値は、優れた操作性を確保できる点で、0.1μm以上であることが好ましく、より好ましくは0.5μm以上、最も好ましくは1.0μm以上である。
このようにして得られる固体電解質シートは、必要に応じて、任意の形状に加工してもよいし、焼成後の固体電解質層の緻密性を向上するために、固体電解質シートをロールプレス、一軸又は等方加圧等で加圧してもよい。
<固体電解質の製造方法>
上述の固体電解質グリーンシートを焼成することで、固体電解質が製造される。かかる固体電解質を固体電解質グリーンシートに代用又は併用することで、後述の積層後の焼成における収縮率が抑制され、収縮に伴う不具合をより確実に抑制できる。焼成の手順については後述する。
<リチウム電池の製造方法>
本実施形態に係るリチウム電池の製造方法は、(i)作製した固体電解質に正極、負極を取り付けた後、必要に応じ集電体を取り付けることや、(ii)固体電解質又は固体電解質グリーンシートの少なくとも一面に、リチウムイオンを吸蔵及び放出する活物質を含む電極グリーンシートを積層して積層体を作製し、この積層体を焼成し、必要に応じて集電体を取り付けることによって得ることができる。
前者は、固体電解質に、例えば正極、負極の各々の電極活物質、イオン伝導助剤、電子伝導助剤等を含む電極スラリーを塗布した後に乾燥又は焼結することや、イオン伝導性ポリマーで電極活物質等が結着された電極シートを貼り付けることや、合金や金属を貼り付ける方法等の公知の方法で行うことができる。後者の態様については、以下に説明する。
<積層体の作製>
この手順では、固体電解質グリーンシート又は固体電解質層の少なくとも一面に、電極グリーンシートが積層された積層体を作製する。即ち、固体電解質グリーンシート又は固体電解質層の両面に電極グリーンシートを配置し焼成してもよいし、固体電解質グリーンシート又は固体電解質層の一面のみに一方の電極グリーンシートを配置し、焼成後に他方の電極を配置してもよい。
積層体には、集電体グリーンシートは含まれず、焼成後の焼結積層体に集電体を取り付けることが好ましい。これにより、焼成の条件(例えば、温度、雰囲気)の許容範囲が広がり、工業的生産が飛躍的に容易になるし、集電体の素材の選択肢が大幅に多くなり、汎用性を向上できる。ただし、積層体は、集電体グリーンシートを含んでもよい。
[電極グリーンシート]
電極グリーンシートは、リチウムイオンを吸蔵及び放出する活物質を含有し、その他、有機バインダや溶剤等、固体電解質グリーンシートと同様の成分も含有してもよい。電極グリーンシートには、正極グリーンシート及び負極グリーンシートが包含される。
正極グリーンシートに含まれる活物質としては、例えば、マンガン、コバルト、ニッケル、バナジウム、ニオブ、モリブデン、及びチタンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む遷移金属酸化物等が使用できる。
正極活物質の含有量の下限値は、過少だと焼成後の密度が低く、収縮が大きいため、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることが最も好ましい。
また、正極活物質の含有量の上限値は、過剰だと可撓性が減少して取り扱いが困難になるため、97質量%であることが好ましく、94質量%であることがより好ましく、90質量%以下であることが最も好ましい。
多くの正極活物質は、電子伝導性及びイオン伝導性に乏しいため、導電性の炭素、黒鉛、炭素繊維、金属粉末、金属繊維等の電子伝導助剤を併用することが好ましく、イオン伝導性のガラスセラミックス等のイオン伝導助剤を併用することが好ましい。これらの電子伝導助剤及びイオン伝導助剤の添加量は、正極材料に対して、3〜35質量%であることが好ましく、より好ましくは4〜30質量%、最も好ましは5〜25質量%である。
以上の成分を含むスラリーにおける正極活物質の含有量は、塗布性に優れる点で、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが最も好ましい。
負極グリーンシートに含まれる活物質としては、金属リチウムやリチウム−アルミニウム合金、リチウム−インジウム合金等の合金、チタンやバナジウム等の遷移金属酸化物及び黒鉛等のカーボン系材料が好ましい。活物質の含有量の下限値は、過少だと焼成後の密度が低く、収縮が大きいため、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることが最も好ましい。また、活物質の含有量の上限値は、過剰だと可撓性が減少して取り扱いが困難になるため、97質量%であることが好ましく、94質量%であることがより好ましく、90質量%以下であることが最も好ましい。
負極活物質の電子伝導性が乏しい場合、導電性の炭素、黒鉛、炭素繊維、金属粉末、金属繊維等の電子伝導助剤を併用することが好ましく、イオン伝導性のガラスセラミックス等のイオン伝導助剤を併用することが好ましい。これらの電子伝導助剤及びイオン伝導助剤の添加量は、負極材料に対して、3〜35質量%であることが好ましく、より好ましくは4〜30質量%、最も好ましくは5〜25質量%である。
以上の成分を含むスラリーにおける負極活物質の含有量は、塗布性に優れる点で、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが最も好ましい。
また、これらの電極グリーンシートは、固体電解質に含有されるものと同じ酸化物ガラスの粉末を含有することが好ましい。これにより、電解質層及び電極層におけるイオンの移動機構が統一されるため、電解質層及び電極層の間のイオン移動が円滑になされ、電池の出力及び容量を向上できる。
混合スラリーにおける酸化物ガラスの粉末の含有量の下限は、リチウムイオン伝導性を確実に付与できる点で、混合スラリー全量に対して1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることが最も好ましい。また、乾燥後の電極グリーンシート中の酸化物ガラスの粉末の含有量の下限は、3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが最も好ましい。
混合スラリーにおける酸化物ガラスの粉末の含有量の上限は、過剰になると活物質の量が相対的に少なくなって電池容量が不足しやすくなるため、混合スラリー全量に対して50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることが最も好ましい。また、乾燥後の電極グリーンシート中の酸化物ガラスの粉末の含有量の上限は、70質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることが最も好ましい。
全グリーンシート又は層を重畳した後、所定の積層圧での積層を行う。かかる積層圧の下限は、安定な積層構造が得られる点で、1MPa以上であることが好ましく、より好ましくは3MPa以上、最も好ましくは5MPa以上である。また、積層圧の上限は、各グリーンシート又は層が破損しにくい点で、1000MPa以下であることが好ましく、より好ましくは800MPa以下、最も好ましくは600MPa以下である。
このように作製された積層体において、固体電解質グリーンシート11の厚みT3の上限は、収縮による不具合が生じにくい点で、積層体10の厚みTtの50%以下であることが好ましく、より好ましくは40%以下、最も好ましくは30%以下である。また、厚みT3の下限は、電解質としての機能を充分に確保できる点で、積層体10の厚みTtの0.1%以上であることが好ましく、より好ましくは0.3%以上、最も好ましくは0.5%以上である。
<焼成>
続いて、積層体を焼成する。この手順は、一般に、脱脂工程及び焼結工程を含む。これらの工程は、ガス炉、マイクロ波炉、電気炉等の中で、空気交換しつつ行うことが好ましい。
[脱脂]
積層体を、比較的低温で加熱して、有機バインダの除去を行う。これにより、各グリーンシート及び層に含まれていた有機バインダ等が分解され、ガス化して積層体から排出されるため、有機物を除去できる。加熱温度の下限は、有機物を充分に除去できる点で、360℃以上であることが好ましく、より好ましくは380℃以上、最も好ましくは400℃以上である。また、加熱温度の上限は、金属材料の酸化を抑制できる点で、700℃以下であることが好ましく、より好ましくは680℃以下、最も好ましくは660℃以下である。
[焼結]
脱脂工程の後の積層体を、脱脂工程における温度よりも高い所定温度で焼成する。これにより、酸化物ガラスや活物質が焼き固められる。所定温度の下限は、各層を充分に緻密化できる点で、750℃以上であることが好ましく、より好ましくは800℃以上、最も好ましくは850℃以上である。また、所定温度の上限は、材料の強度低下を抑制できる点で、1100℃以下であることが好ましく、より好ましくは1080℃以下、最も好ましくは1060℃以下である。
このような焼成の後に形成された焼結積層体の固体電解質層は、高容量且つ高出力のリチウム電池を容易に製造できる点で、25℃において1×10−5Scm−1以上のイオン伝導度を有することが好ましく、より好ましくは5×10−5Scm−1以上、最も好ましくは1×10−4Scm−1以上である。
<集電体の取付け>
続いて、焼結積層体の電極層に集電体を取り付ける。通常、集電体粉末、有機バインダ等を含む集電体スラリーを電極層に塗布し、塗布物を焼成する。
集電体の粉末としては、電子伝導性を有する金属材料が使用される。具体的には、アルミニウム、銅、ニッケル、パラジウム、金及び白金からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
集電体スラリーは、熱融着性を有するガラスフリットを含んでいてもよい。ガラスフリットの軟化点は400〜700℃程度であればよく、ガラスフリットの含有量は、集電体粉末100質量部当たり0.5〜15質量部であればよい。その他の使用する材料や、焼成の手順は、上述と同様でよい。
その後、電気を外部へ出力するために、集電体にリードを設けることで、リチウム電池が製造されることになる。リードの素材やリードの設置手順は、従来周知の通りである。
なお、負極層の形成、集電体の取付け、及びリードの接続の順序は、適宜変更してよく、上述又は以下の実施例の順序に限定されるものではない。
<実施例1>
原料として、HPO、Al(PO、LiCO、SiO、及びTiOを用い、これらの原料を、酸化物換算のmol%で、P33.8%、Al7.6%、LiO14.5%、SiO2.8%、TiO41.3%の組成になるように秤量し、均一に混合した。混合物を白金ポット内に入れ、電気炉中1450℃で3時間に亘り、撹拌を行いながら加熱溶解を行った。得られたガラス融液を流水中に滴下することで、フレーク状のガラスを得た。このガラスをジェットミルで粉砕することで、平均粒子径1.5μmのガラス粒子を得て、このガラス粒子をエタノールによる湿式ボールミルで微粉砕し、得たスラリーを噴霧乾燥することで、平均粒子径0.3μm、最大粒子径1.8μmのガラス微粒子を得た。
このガラス微粒子と、有機バインダとしての水溶性アクリル酸アンモニウム系共重合体とを、ガラス微粒子/アクリル酸アンモニウム系共重合体(質量比)が3.2で、溶媒としての水と、ボールミルを用いて混合することでスラリーを作製した。
かかるスラリーを、ドクターブレード法で離型処理を施したPETフィルム上に厚み75μmで成形し、80℃にて一次乾燥を、更に90℃で二次乾燥を行うことで、厚み40μmのシート状物を得た。PETフィルムを剥離した後のシート状物4枚を重畳し、温水間等方圧プレス装置(WIP、日機装社製)を用い、圧媒温度を70℃として98.1MPaで5分間に亘り加圧を行うことで、緻密なグリーンシートを作製した。なお、重畳及び積層は、任意の工程である。
得られたグリーンシートを450℃で脱脂を行い、1000℃にて3時間に亘り焼成することで、固体電解質を得た。この固体電解質についてインピーダンス測定を行って求めた25℃でのイオン伝導度は、2.3×10−4Scm−1であった。また、気孔率は4.8%で、水分透過量は0.287mg/cm・24h(60℃×90%RH)であった。
本明細書において気孔率とは、単位体積中に含まれる空孔の割合であり、次式で表される。
気孔率(%)=(真密度−嵩密度)/真密度×100
式中、真密度とは、アルキメデス法等の方法で測定できる物質そのものの密度である。また、嵩密度とは、物体の重さを見掛けの体積で割った密度であり、空孔も含まれた密度である。
また、水分透過量とは、一般的には、固体電解質の片側の空間を湿度0%の乾燥空気の循環とし、もう片側の空間を湿度100%の空気としたときの、単位時間、単位面積当たりに湿度100%の空間から乾燥空気の空間へと移動する水分(水蒸気も含む)の量をいい、単位はg/m・dayである。しかし、この定義に則った測定は、労力及びコストを要するため、本明細書では次に述べる簡易な測定方法によって得られる値を水分透過量とする。
水分透過量の測定は以下の方法で行った。まず、容積20cmのガラス製サンプル瓶の中に、乾燥させたLiTFSIを吸湿剤として1000mg入れ、面積3.14cmの板状の固体電解質で蓋をし、隙間をエポキシ系の接着剤でシールして評価用サンプルセルとした。次に、このサンプルセルを秤量後、温度60℃、湿度90%RHの恒温恒湿槽に入れ、24時間保持した後、再度評価用サンプルセルを秤量した。試験前後のサンプルセルの重量差を求め、この値を固体電解質の面積で除した値を水分透過量とした。水分透過量の単位は、mg/cm・24h(60℃×90%RH)である。
[比較例1]
実施例1の途中で得たガラス微粒子と、有機バインダとしての水溶性アクリル酸アンモニウム系共重合体とを、ガラス微粒子/アクリル酸アンモニウム系共重合体(質量比)が1.1で、溶媒としての水と、ボールミルを用いて混合することでスラリーを作製した。
かかるスラリーを、ドクターブレード法で離型処理を施したPETフィルム上に厚み75μmで成形し、80℃にて一次乾燥を、更に90℃で二次乾燥を行うことで、厚み31μmのシート状物を得た。PETフィルムを剥離した後のシート状物4枚を重畳し、温水間等方圧プレス装置(WIP、日機装社製)を用い、圧媒温度を70℃として98.1MPaで5分間に亘り加圧を行うことで、緻密なグリーンシートを作製した。なお、重畳及び積層は、任意の工程である。
得られたグリーンシートを450℃で脱脂を行い、1000℃にて3時間に亘り焼成することで、固体電解質を得た。この固体電解質についてインピーダンス測定を行って求めた25℃でのイオン伝導度は、7.2×10−5Scm−1であった。ここで、気孔率は21.5%で、水分透過量は59.331mg/cm・24h(60℃×90%RH)であった。
[比較例2]
実施例1の途中で得たガラス微粒子を、有機バインダとしてのポリビニルブチラール(PVB)と、ガラス微粒子/PVB(質量比)が1.1で、溶媒としてトルエンのみを用いて、ボールミルを用いて混合することでスラリーを作製した。このスラリーは凝集が著しく、実施例1と同様の手順でPETフィルム上に塗布したところ、バーコード状の模様を形成し均一厚みのグリーンシートを得ることができなかった。
<実施例2>
(正極の作製)
実施例1で得たフレーク状のガラスを1010℃で12時間に亘り熱処理し、主結晶相がLi1+x+zAlTi2−xSi3−z12(0≦x≦0.4、y=0、0<z≦0.6)で、イオン伝導度が6.8×10−4Scm−1のフレーク状固体電解質を得た。このフレーク状固体電解質をジェットミル及び湿式ボールミルを用いて粉砕し、平均粒子径0.2μmの粉末状固体電解質を得た。この粉末状固体電解質と、市販の平均粒子径5μmのLiCoO粉末とを、粉末状固体電解質:LiCoO(質量比)=2:9となるようにボールミルで混合した。得られた複合体と、水に分散させたアクリル樹脂とに分散剤を添加し、ボールミルにて48時間に亘り撹拌することで、スラリーを調製した。このとき、スラリーに含まれる複合体の含有量を67.1質量%とし、アクリル樹脂の含有量を12.5質量%とした。ドクターブレード法にて離型処理を施したPETフィルム上に、スラリーを厚み45μmにて正極グリーンシートを成形し、80℃で一次乾燥し、更に95℃で二次乾燥を行った。得られた正極グリーンシートを、PETフィルムを剥離した後に2枚重畳し、CIP(等方加圧装置)を用いて196.1MPaで10分間加圧することで、緻密な正極グリーンシート積層体を得た。この正極グリーンシート積層体を780℃で熱処理し、薄板状の正極を得た。
(負極の作製)
市販の平均粒子径7.5μmのLi4/3Ti5/3を、上記の粉末状固体電解質と、粉末状固体電解質:Li4/3Ti5/3(質量比)=1:4となるようにボールミルで混合した。ここで得られた複合体と、水に分散させたアクリル樹脂とに分散剤を添加し、ボールミルにて48時間に亘り撹拌することで、スラリーを調製した。このとき、スラリーに含まれる複合体の含有量を65.5質量%とし、アクリル樹脂の含有量を13.7質量%とした。ドクターブレード法にて離型処理を施したPETフィルム上に、スラリーを厚み48μmにて成形し、80℃で一次乾燥し、更に95℃で二次乾燥した。得られた負極グリーンシートを、PETフィルムを剥離した後に2枚重畳し、CIP(等方加圧装置)を用いて196.1MPaで10分間加圧することで、緻密な負極グリーンシート積層体を得た。この負極グリーンシート積層体を650℃で熱処理し、薄板状の負極を得た。
(接着性を有する固体電解質の作製)
ここで、溶媒としてのアセトニトリルに、ポリエチレンオキサイド及びポリプロピレンオキサイドの重合体と、LiTFSIとを加え、二軸ミキサーを用いて24時間かけて溶解し、撹拌した。ドクターブレード法にて離型処理を施したPETフィルム上に、溶解液を厚み7μmにて成形し、70℃で一次乾燥し、更に80℃で二次乾燥し、更に露点−60℃の雰囲気にて25℃で三次乾燥を行った。得られたシートについてインピーダンス測定を行ったところ、イオン伝導度が1.2×10−5Scm−1であったことから、イオン伝導性及び接着性を有する固体電解質が得られたことが確認された。
(全固体リチウムイオン二次電池の作製)
上記で得られた、実施例1の薄板状の固体電解質、接着性固体電解質、正極、及び負極を積層し、0.1MPaで加圧しながら露点−60℃の雰囲気にて90℃で24時間に亘り保持した。これにより作製した積層体の正極側に、金属アルミニウムをスパッタで蒸着することで正極集電体を設けた。負極側には銅をスパッタで蒸着することで、負極集電体を設けた。更に、正極集電体にアルミニウム箔を正極リードとして接続し、負極集電体に銅箔を負極リードとして接続した後、内側を絶縁コートしたアルミニウム製のラミネートフィルムで封入することで、リチウムイオン二次電池を作製した。作製した電池は、平均電圧2.5Vで放電し、充放電可能な電池であった。
<実施例3>
(正極の配置)
実施例1で得た平均粒子径0.3μmの、熱処理することでイオン伝導性が呈する酸化物ガラス粉末を、市販の平均粒子径5μmのLiCoO粉末と、酸化物ガラス粉末:LiCoO(質量比)=20:80で、ボールミルにて混合した。得られた複合体と、水に分散させたアクリル樹脂とに分散剤を添加し、ボールミルにて48時間に亘り撹拌することでスラリーを調製した。このとき、スラリーに含まれる複合体の含有量を65.4質量%とし、アクリル樹脂の含有量を13.6質量%とした。実施例1で得た固体電解質上に、ドクターブレード法にてスラリーを厚み85μmにて成形し、80℃で一次乾燥し、更に95℃で二次乾燥し、800℃で熱処理した。これにより、薄板状の固体電解質上に正極が形成された。
(負極の配置)
市販の平均粒子径7.5μmのLi4/3Ti5/3粉末を、湿式ボールミルにて、平均粒子径が1.1μmになるまで粉砕し、上記の酸化物ガラス粉末と、酸化物ガラス粉末:Li4/3Ti5/3(質量比)=25:75でなるようにボールミルで混合した。得られた複合体と、水に分散させたアクリル樹脂とに分散剤を添加し、ボールミルにて48時間に亘り撹拌することでスラリーを調製した。このとき、スラリーに含まれる複合体の含有量を62.3質量%とし、アクリル樹脂の含有量を16.5質量%とした。このスラリーを上記の薄板状の固体電解質上にドクターブレード法にて厚み80μmにて成形し、80℃で一次乾燥し、更に95℃で二次乾燥し、670℃で熱処理した。これにより、薄板状の固体電解質上に負極が形成された。
(全固体リチウムイオン二次電池の作製)
このようにして作製した積層体の正極に、アルミペーストを塗布した後、乾燥及び焼成することで、正極集電体を設けた。負極には銅ペーストを塗布し、乾燥及び焼成することで、負極集電体を設けた。更に、正極集電体にアルミニウム箔を正極リードとして接続し、負極集電体に胴箔を負極リードとして接続した後、内側を絶縁コートしたアルミ製のラミネートフィルムに封入することで、リチウムイオン二次電池を作製した。この電池は、平均電圧2.5Vで放電し、充放電可能な電池であった。

Claims (14)

  1. 熱処理後にリチウムイオン伝導性を呈する酸化物ガラスの粉末、リチウムイオン伝導性を有する無機粉末、又はその両方(以下これらを、「リチウムイオン伝導性粉末」という)を含む固体電解質グリーンシートの製造方法であって、
    前記リチウムイオン伝導性粉末と有機バインダとを、リチウムイオン伝導性粉末/有機バインダ(質量比)が1.2以上で、溶媒と混合することでスラリーを作製し、
    前記スラリーを支持体上に配置し、乾燥する工程を有する製造方法。
  2. 前記有機バインダは、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロース誘導体、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、及びそれらの共重合体からなる群より選ばれる1種以上である請求項1記載の製造方法。
  3. 前記溶媒は、25℃における誘電率が10.0以上である請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 前記溶媒は、水、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、酢酸、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、及びアセトンからなる群より選ばれる1種以上を含む請求項1から3いずれか記載の製造方法。
  5. 前記リチウムイオン伝導性粉末は、10μm以下の平均粒子径を有する請求項1から4いずれか記載の製造方法。
  6. 前記スラリーにおける前記リチウムイオン伝導性粉末の含有量を、前記スラリー全体の50質量%以上とする請求項1から5いずれか記載の製造方法。
  7. 前記スラリーから凝集体を除去する工程を有する請求項1から6いずれか記載の製造方法。
  8. 前記凝集体の除去は、前記スラリーを濾過することで行う請求項7記載の製造方法。
  9. 前記スラリーから気泡を除去する工程を有する請求項1から8いずれか記載の製造方法。
  10. 前記気泡の除去は、標準大気圧以下の減圧条件下で行う請求項9記載の製造方法。
  11. 前記酸化物ガラスの粉末は、Li1+x+y(Ge1−yTi2ーxSi3−z12(式中、MはAl及びGaからなる群より選ばれる1種以上であり、0≦x≦0.8、0≦y≦1.0、0≦z≦0.6である)で示される結晶を含む請求項1から10いずれか記載の製造方法。
  12. 前記熱処理後にリチウムイオン伝導性を呈する酸化物ガラス粉末は、
    酸化物基準のmol%で、
    LiO 10〜25%、及び
    Al及び/又はGa 0.5〜15%、及び
    TiO及び/又はGeO 25〜50%、及び
    SiO 0〜15%、及び
    26〜40%
    の各成分を含有する請求項1から11いずれか記載の製造方法。
  13. 請求項1から12いずれか記載の製造方法で製造された固体電解質グリーンシートを焼成する工程を有する固体電解質の製造方法。
  14. リチウム電池の製造方法であって、
    請求項1から12いずれか記載の製造方法で製造された固体電解質グリーンシート又は請求項13記載の製造方法で製造された固体電解質の少なくとも一面に、リチウムイオンを吸蔵及び放出する活物質を含む電極グリーンシートが積層された積層体を作製し、
    前記積層体を焼成する工程を有する製造方法。
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