JP2009181876A - リチウムイオン二次電池用積層体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題を解決するための手段】正極、電解質、負極のそれぞれのグリーンシートを作製する工程と、各グリーンシートを積層して積層体を作製する工程と、この積層体を所定の縦横寸法に切断する工程と、所定の寸法に切断された積層体を焼成する工程を含むリチウムイオン二次電池用積層体の製造方法。この切断は、切断刃を積層体に表面に対し垂直に当てて押し切る。
【選択図】なし
Description
すなわち、上記本発明の第1の目的を達成する本発明の第1の構成は、正極、電解質、負極のそれぞれのグリーンシートを作製する工程と、正極、電解質、負極の該グリーンシートを積層して積層体を作製する工程と、該積層体を所定の縦横寸法に切断する工程と、該所定の寸法に切断された積層体を焼成する工程を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池用積層体の製造方法である。
本明細書において、「グリーンシート」とは、焼成前のガラスや無機酸化物等のセラミックスの主に粉体に有機バインダー、可塑剤、溶剤等を混合し混合スラリーとして、これを薄板状に成形した未焼成体を意味することができる。この成形は、ドクターブレードやカレンダ法、スピンコートやディップコーティングなどの塗布法、インクジェット、バブルジェット(登録商標)、オフセットなどの印刷法、ダイコーター法、スプレー法等により行うことができ、混合スラリーから薄板状のグリーンシートを作ることができる。一般的には前記混合スラリーを離型処理を施したPET等のフィルム上に成形し、乾燥後に剥離することにより作製するが、積層する相手のグリーンシートまたはセラミックス等の上にスラリーを直接成形しても良く、この方法によって作製された層もグリーンシートの概念に含んでもよい。この焼成前のグリーンシートは柔軟であり、任意の形状に切断することや、積層することも可能である。
本発明の製造方法によって製造されるリチウムイオン二次電池用積層体は、固体電解質、正極、負極のそれぞれを粉末のスラリーからなるグリーンシートに形成し、正極グリーンシートおよび負極グリーンシートを固体電解質のグリーンシートの両面に積層した後一括焼成することにより形成する積層体である。
正極グリーンシートに含まれる活物質の含有量の下限値は、少ないと単位体積当りの電池容量が少なくなってしまうため、40w%以上であることが好ましく、50wt%以上であることがより好ましく、60wt%以上であることが最も好ましい。
リチウムイオン伝導性無機物粉体としては、LiN、LISICON類、La0.55Li0.35TiO3、LiTi2P3O12、Li1+x+zMx(Ge1−yTiy)2−xSizP3−zO12(但し、0≦x≦0.8、0≦y≦1.0、0≦z≦0.6、M=Al、Gaから選ばれる一つ以上)等の結晶の粉体、またはこれらの結晶を析出させたガラスセラミックスの粉体が、リチウムイオン伝導度が高いという点で好ましい。
酸化物基準のmol%で、
Li2O 10〜25%、及び
Al2O3及び/又はGa2O3 0.5〜15%、及び
TiO2及び/又はGeO2 25〜50%、及び
SiO2 0〜15%、及び
P2O5 26〜40%
の各成分を含有するガラスを溶融、急冷することでガラスを得たのち、このガラスを熱処理し、結晶を析出させることによって得ることができる。
0wt%以下とすることが好ましく、40wt%以下とすることがより好ましく、30wt%以下とすることが最も好ましい。
有機系のバインダーとしては、プレス成形やラバープレス、押し出し成形、射出成形用の成形助剤として市販されている汎用のバインダーを用いることができる。具体的には、アクリル樹脂、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂、ブチルメタアクリレート、ビニル系の共重合物等を用いることができる。有機バインダーの含有量の下限値は、シート形状を維持させやすくするため、活物質粉体(正極グリーンシート、負極グリーンシートの場合)無機物粉体、有機バインダー、可塑剤、溶剤などからなる混合スラリーの量に対して1wt%以上とすることが好ましく、3wt%以上とすることがより好ましく、5wt%以上とすることが最も好ましい。
溶剤はリチウムイオン伝導性無機物粉体を均質に分散する為に用いてもよい。溶剤としてはPVA、IPA、ブタノール、トルエン、キシレン、アセトニトリル、NMPなど公知の材料を使用することができるが、環境の点でアルコールもしくは水が好ましい。さらに均質で緻密な固体電解質を得るために、リチウムイオン伝導性無機物粉体、有機バインダーと共に分散剤を適量添加することも可能であり、混合乾燥時の泡抜きを良好にするための界面活性剤などを適量添加することも可能である。
また、グリーンシートには、Liを含む無機化合物を同時に含有する事も可能である。これは、Liを含む無機化合物が焼結助剤(バインダー)として働き、ガラスセラミックス粒子を結合させる働きを持つ。
グリーンシートの成形はドクターブレード法、カレンダ法、スピンコートやディップコーティングなどの塗布法、インクジェット、バブルジェット、オフセットなどの印刷法、ダイコーター法、スプレー法等の公知の方法を用い、シート状に成形する。成形後のグリーンシートの厚みの下限値は、乾燥工程において内部の残溶媒量をできるだけ少なくし表面にクラックを生じさせないようにするため、200μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましく、100μm以下が最も好ましい。また、グリーンシートの厚みの下限値は安定したハンドリング性をもたせるため0.1μm以上が好ましく、0.5μm以上がよりこのましく、1μm以上が最も好ましい。さらに必要に応じて任意の形状に加工してもよい。焼成後の固体電解質、電極等を所望の厚みとするために、同種のグリーンシートを積層してもよい。また焼成後の固体電解質の緻密性をより向上させる為に、グリーンシートをロールプレスや一軸、等方加圧等により加圧しても良い。
非晶質の酸化物ガラス粉末の作製
原料として日本化学工業株式会社製のH3PO4、Al(PO3)3、Li2CO3、株式会社ニッチツ製SiO2、堺化学工業株式会社製のTiO2を使用し、これらを酸化物換算のmol%でP2O5を35.0%、Al2O3を7.5%、Li2Oを15.0%、TiO2を38.0%、SiO2を4.5%といった組成になるように秤量して均一に混合した後に、白金ポットに入れ、電気炉中1500℃の温度で撹拌しながら3時間加熱・熔解してガラス融液を得た。その後、ガラス融液をポットに取り付けた白金製のパイプから加熱しながら室温の流水中に滴下させることにより急冷し、酸化物ガラスを得た。
上記で作製した平均粒径0.5μmの酸化物ガラスを、アクリル系のバインダー、分散剤、消泡剤とともに水を溶剤として、分散・混合して電解質スラリーを調製した。スラリーは減圧して泡抜きをした後、ドクターブレードを用いて成形、乾燥させて厚み40μmの電解質グリーンシートを作製した。
正極活物質として、日本化学工業株式会社製のLiCoO2を用いた。平均粒径6μmのLiCoO2粉末と上記で作製した平均粒径0.5μmの酸化物ガラスを80:20wt%の割合で秤量し、アクリル系のバインダー、分散剤とともに水を溶剤として、分散・混合して正極スラリーを調製した。スラリーは減圧して泡抜きをした後、ドクターブレードを用いて成形、乾燥させて厚み50μmの正極グリーンシートを作製した。
負極活物質として、石原産業製のLi4Ti5O12を500℃にてアニールを行ってから用いた。平均粒径5μmのLi4Ti5O12粉末と上記で作製した平均粒径0.5μmの酸化物ガラスを80:20wt%の割合で秤量し、アクリル系のバインダー、分散剤とともに水を溶剤として、分散・混合して正極スラリーを調製した。スラリーは減圧して泡抜きをした後、連続式のロールコーターを用いて成形、乾燥させて厚み50μmの負極グリーンシートを作製した。
上記で作製した、正極、電解質、負極の各グリーンシートを、130mm角に切り出し、正極1枚、電解質2枚、負極1枚を重ね、ロールプレスを加熱したロールプレスにて貼り合わせた。貼り合わせた積層体を、神戸製鋼製のCIP(冷間等方圧加圧)を用いて室温にてプレスし、緻密化させた。
平らな剥離処理を施した樹脂盤の上に、上記で作製したグリーンシート積層体を貼り合わせるように置き、100℃に加熱した金属切断刃を用いて、グリーンシート積層体に垂直に押し切るように60mm角に切断した。切断したグリーンシート積層体を80℃の高温槽で24時間保持し、切断時に入った歪を取り除いた。上記積層体を、ジルコニア製のセッターに挟み、電気炉内にて400℃に加熱し、積層体内のバインダーや分散剤などの有機物を除去した。その後、900℃に急昇温を行い、5分間保持し、その後すぐに冷却することにより、形状に歪みの無い正極、電解質、負極を組み合わせた積層焼結体が作製できた。
上記で作製した積層体の正極側に、アルミニウムペーストを塗布後、乾燥・焼成することにより、正極集電体を取り付けた。負極側に、銅ペーストを印刷後、乾燥・焼き付けることにより負極集電体を取付けた。
実施例1にて作製したグリーンシート積層体を切断せずに130mm角のサイズのまま実施例1の条件にて焼成を行い、積層焼結体を作製した。作製した焼結体を、ダイヤモンド砥粒を固定した高速回転式のホイールカッターにて50mm角に切断したところ、チッピングが発生して割れてしまい、電池としての評価まではできなかった。
実施例1にて作製したグリーンシート積層体をライオン製ペーパーカッターLPC614Sを用いて、60mm角に剪断した。60mm角に切断した積層体を実施例1と同じ条件にて焼成を行なった。積層焼結体は得られたが、切断した辺が反っており、また電解質層と電極層が少し剥離しているため、再度周囲を切断加工しなければならない状態であり、形状に歪の無い積層体は得られなかった。
Claims (9)
- 正極、電解質、負極のそれぞれのグリーンシートを作製する工程と、正極、電解質、負極の該グリーンシートを積層して積層体を作製する工程と、該積層体を所定の縦横寸法に切断する工程と、該所定の寸法に切断された積層体を焼成する工程を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池用積層体の製造方法。
- 前記切断は、切断刃を該積層体の表面に対し垂直に当てて押し切ることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
- 前記切断に使用する切断刃は切断時に所定温度に加熱されていることを特徴とする請求項1または2記載の製造方法。
- 回転式の刃を用いて該回転式の刃の回転につれて刃の外縁が該積層体の表面上に順次接触するようにして進行しながら該積層体を順次切断することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
- 前記切断は、切断用の型を該積層体の表面に当てて該積層体を打ち抜くことを特徴とする請求項1記載の製造方法。
- 前記切断は、固定した切断刃を該積層体の表面に対し垂直に当てた状態で該積層体を該切断刃に沿って移動させるようにして該積層体を順次切断することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
- 前記切断は、回動中心の周りに回動する切断刃を、該積層体の表面に垂直に当てるようにして順次回動させることにより該積層体を順次切断することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
- 前記切断は、高圧の液体を該積層体の表面の垂直方向にジェット流として衝突させるようにして噴出させながら該高圧液体のジェット流を順次移動させることにより該積層体を順次切断することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
記載の製造方法。 - 切断した後に、該積層体を所定の温度に加熱してプレスすることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
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