JP2009185227A - ポリ乳酸系樹脂組成物からなるチップ状物 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形加工性が良好であり、さらには成形時のフィルムのロール離れが良く、製膜したフィルムもブロッキングせず、かつ、柔軟性及び透明性の良好なポリ乳酸系樹脂を主体とする組成物からなるチップ状物を提供する。
【解決手段】ポリ乳酸系樹脂65%重量以上94%重量以下、可塑剤を5重量%以上30重量%以下と、有機滑剤を0.1重量%以上5重量%以下含んだチップ状物であって、メルトフローレートが0.1g/10min以上15g/10min以下とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、可塑剤により柔軟化したポリ乳酸系樹脂を主体とするポリ乳酸系樹脂組成物からなるチップ状物に関するものであり、詳しくは、成形加工性が良好であり、ブロッキング防止性と透明性がともに良好な生分解性を有するポリ乳酸系樹脂組成物からなるチップ状物に関するものである。
従来、プラスチック廃棄物は主に焼却や埋め立てにより処理されてきたが、焼却による有害副産物の生成・排出や埋立地の減少、さらには不法投棄による環境汚染などの問題が顕在化してきている。
このようなプラスチック廃棄物の処理問題に対して関心が高まるにつれて、酵素や微生物で分解される生分解性を有するプラスチックの研究開発が盛んに行われている。近年、生分解性素材として脂肪族ポリエステルの素材が注目されており、その中でも特にポリ乳酸に対する技術開発が進められている。
ポリ乳酸は、トウモロコシや芋類などから得られるでんぷんなどを原料とし、生成された乳酸をさらに化学合成して高分子化した重合体である。ポリ乳酸は、脂肪族ポリエステルの中でも機械的物性や耐熱性、透明性に優れているため、フィルム、シート、テープ、繊維、ロープ、不織布、容器などの各種成形品への展開を目的とした研究開発が盛んに行われている。しかしながら、例えば食品包装用ラップフィルムなどの用途においては、ポリ乳酸はそのままでは柔軟性などの特性が不十分なために、柔軟性やブロッキング防止性などの必要特性を付与する技術が検討されているものの、そのチップ状物に関する技術は開示されていないのが現状である。
例えば特許文献1は、ポリ乳酸系重合体を主体に可塑剤を含有し、柔軟性に優れ、オリゴマー成分および可塑剤の揮発や滲出などの問題がない物品や食品の包装用フィルムに関するものである。しかし、有機滑剤の添加や、メルトフローレートの範囲に関する記述はなく、ブロッキングを防止できる示唆がない。
特許文献2は、ポリ乳酸樹脂、天然由来の有機充填剤およびエステル系可塑剤を配合した樹脂組成からなる射出成形品に関する特許である。該文献中に可塑剤を高濃度含有させたポリ乳酸系重合体のチップに関する記載はあるが、このチップでは有効な滑剤を含まないために製膜時にブロッキングしやすい問題が発生した。
また特許文献3は、ポリ乳酸系樹脂において表面へのブリードアウトを抑制し、優れた柔軟性を付与する為の可塑剤を用い、フィルム、シート、成型品など応用製品を提供するものである。この文献の実施例中には、ポリ乳酸とポリプロピレングリコールポリカーボネート化合物Aを添加し2軸混練押出機を用いて溶融混合し混合物チップを得ている。しかし、このチップを使用しても良好な製膜ができず、欠点のないフィルムを得ることは難しかった。
さらに特許文献4には、ポリ乳酸系樹脂と、可塑剤と、防曇剤とを含有する樹脂組成物をフィルム状に成形し、フィルム表面への可塑剤のブリードが抑えられ、ブロッキングすることがない農業用ポリ乳酸フィルムを提案しているが、本発明の意図するチップ状に関する記述はない。
上記のように、従来技術ではチップ状物同士が融着しやすく、かつ、フィルムの成形時における金属ロールロール離れがわるく、さらに製膜したフィルムもブロッキングする問題があり、柔軟性及び透明性も良好な生分解性のポリ乳酸フィルムを得ることが困難であった。
特開2005−105150号公報 特開2005−139280号公報 特開2006−199799号公報 特表2006−45290号公報
本発明は、上記問題点を解消するためになされたもので、成形加工性が良好であり、さらには成形時のフィルムのロール離れが良く、製膜したフィルムもブロッキングせず、かつ、柔軟性及び透明性の良好なポリ乳酸系樹脂を主体とするポリ乳酸系樹脂組成物からなるチップ状物を提供することを目的としてなされたものである。
本発明は、上記した従来技術の状況に鑑み、次のような手段を採用するものである。すなわち、
ポリ乳酸系樹脂65%重量以上94%重量以下、可塑剤5重量%以上30重量%以下、有機滑剤0.1重量%以上5重量%以下を含む組成物からなり、メルトフローレートが0.1g/10min以上15g/10min以下であることを特徴とする、ポリ乳酸系樹脂系組成物からなるチップ状物により、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成した。
本発明によれば、可塑剤の配合により柔軟性が付与され、滑剤の作用によりチップ状物同士が融着することや、フィルムの成形時における金属ロールへの粘着がなくロール離れが良好であり、また、製膜したフィルムもブロッキングせず、かつ、柔軟性及び透明性も良好な生分解性のポリ乳酸フィルムが得られるものである。
本発明に用いるポリ乳酸系樹脂は、L−乳酸および/またはD―乳酸を主成分とし、乳酸由来の成分が70重量%以上100重量%以下のものをいい、実質的にL−乳酸および/またはD―乳酸からなるホモポリ乳酸が好ましく用いられる。
また、本発明に用いるポリ乳酸系樹脂は、L−乳酸、D−乳酸のほかにエステル形成能を有するその他の単量体成分を共重合した共重合ポリ乳酸であってもよい。共重合可能な単量体成分としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸類の他、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の分子内に複数の水酸基を含有する化合物類またはそれらの誘導体、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸等の分子内に複数のカルボン酸基を含有する化合物類またはそれらの誘導体が挙げられる。なお、上記した共重合成分の中でも、用途に応じて生分解性を有する成分を選択することが好ましい。
本発明に用いられるポリ乳酸系樹脂は、乳酸のみからなる重合体のみならず、上記のようなエステル形成能を有するその他の単量体成分を共重合した共重合ポリ乳酸も含まれ、重量平均分子量は、特に制限されるものではないが、フィルム強度や成形加工性などの観点から、1万〜100万程度が適当であり、特に、3万〜50万程度が好ましい。
本発明のチップ状物は、前述のポリ乳酸系樹脂を65重量%以上94重量%以下含む組成物からなる。本発明のチップ状物となる組成物が、ポリ乳酸系樹脂を65重量%未満しか含まない場合は、本発明が目的とする、植物由来原料の実用化技術としては不十分である。また、チップ状物となる組成物がポリ乳酸系樹脂を94重量%超含む場合は、ポリ乳酸系樹脂フィルムとした際に十分な柔軟性が得られない。チップ状物を構成するポリ乳酸系樹脂などを含む組成物を、以下ポリ乳酸系樹脂組成物という。
一方、本発明においてポリ乳酸系樹脂に混合される可塑剤としては、ポリ乳酸系樹脂に好適に使用することできる可塑剤であれば、特に限定されるものではないが、例えば有機可塑剤として、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどの脂肪族アルコール系可塑剤、アセチルクエン酸トリブチル、グリセリンモノラウリルジアセテート、トリアセチン、セバシン酸などの脂肪族エステル系可塑剤、エステルの変性物としてエポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等が挙げられる。好ましくは、ポリグリセリン酢酸エステル系可塑剤やアセチル化モノグリセライド系可塑剤が挙げられる。
さらに、可塑剤のブリードアウト抑制やポリ乳酸系樹脂組成物からなるチップ状物としてのブロッキング抑制などの観点から、本発明に使用する可塑剤は、例えば数平均分子量1,000以上のポリエチレングリコールなど、常温で固体状であることが好ましい。同様の観点から、本発明に使用する可塑剤は、可塑化成分としてポリエーテル系セグメントおよび/またはポリエステル系セグメントを含有し、かつ一分子中に数平均分子量が1,200以上10,0000以下のポリ乳酸セグメントを一つ以上有するブロック共重合体であることがさらに好ましい。
また、本発明で好ましく用いられる上記ブロック共重合体の可塑剤は、可塑剤一分子中のポリエーテル系および/またはポリエステル系セグメントの数平均分子量が、7000以上20000未満であることが好ましい。可塑剤一分子中のポリエーテル系および/またはポリエステル系セグメントの数平均分子量を7000以上20000未満とすることで、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物からなるチップ状物を用いて製膜したポリ乳酸系樹脂フィルムに所望の柔軟性を持たせ、尚かつ、ポリ乳酸系樹脂組成物およびそれからなるチップ状物としたときの170℃におけるメルトフローレートを15g/10min以下として製膜を安定させることができる点からも好ましい。
次に、一分子中に数平均分子量が1,200以上10,000以下のポリ乳酸セグメントを一つ以上有し、さらにポリエーテル系および/またはポリエステル系セグメントを有する上述のブロック共重合可塑剤のより具体的な例を説明する。
両末端に水酸基末端を有するポリエチレングリコール(以下PEGとする)を用意する。両末端に水酸基末端を有するPEGの数平均分子量(MPEG)は、通常、市販品などの場合、中和法などにより求めた水酸基価から計算される。両末端に水酸基末端を有するPEG:w質量部に対し、ラクチド:w質量部を添加した系において、PEGの両水酸基末端にラクチドを開環付加重合させ十分に反応させると、実質的にPLA(A)−PEG(B)−PLA(A)型のブロック共重合体を得ることができる(ここでPLAはポリ乳酸を示す)。この反応は、必要に応じてオクチル酸錫などの触媒併存下でおこなわれる。このブロック共重合体からなる可塑剤の一つのポリ乳酸セグメントの数平均分子量は、実質的に(1/2)×(w/w)×MPEGと求めることができる。また、ポリ乳酸セグメント成分の可塑剤全体に対する質量割合は、実質的に100×w/(w+w)%と求めることができる。さらに、ポリ乳酸セグメント成分を除いた可塑剤成分の可塑剤全体に対する質量割合は、実質的に100×w/(w+w)%と求めることができる。
可塑剤が、未反応PEGや、末端のポリ乳酸セグメント分子量が1,200に満たないPEGとの反応物や、ラクチドオリゴマーなどの副生成物、あるいは、不純物などを多量に含む場合には、例えば次の精製方法によりこれらを除去することが好ましい。クロロホルムなどの適当な良溶媒に、合成した可塑剤を均一溶解した後、水/メタノール混合溶液やジエチルエーテルなど適当な貧溶媒を滴下する。あるいは、大過剰の貧溶媒中に良溶媒溶液を加えるなどして沈殿させ、遠心分離あるいはろ過などにより沈殿物を分離した後に溶媒を揮散させる。可塑剤を水に浸漬後50〜90℃に加熱し必要に応じて攪拌の後、可塑剤を含有する有機相を抽出し乾燥して水を除去する。精製方法は上記に限られず、また、必要に応じて上記の操作を複数回繰り返しても良い。ラクチドオリゴマーなどの副生成物等を除去することは、ポリ乳酸系樹脂が低粘度化することを防ぐことができ、ポリ乳酸系樹脂組成物からなるチップ状物の170℃におけるメルトフローレートを15g/10min以下とするためにも好ましい。
上記した方法で、PLA(A)−PEG(B)−PLA(A)型のブロック共重合体の可塑剤を作成した場合、作成した可塑剤が有する一つのポリ乳酸セグメントの分子量は、次の方法で求めることができる。すなわち、可塑剤の重クロロホルム溶液を用いて、H−NMR測定により得られたチャートを基に、{IPLA×(ポリ乳酸モノマー単位の分子量)/(ポリ乳酸セグメントの数)}/{IPEG×(PEGモノマー単位の分子量)/(化学的に等価なプロトンの数)}×MPEGに従って算出することができる。つまり、PLA(A)−PEG(B)−PLA(A)型のブロック共重合体の可塑剤を作成した場合は、{IPLA×72/2}/{IPEG×44/4}×MPEGである。ただし、IPEGは、PEG主鎖部のメチレン基の水素に由来するシグナル積分強度、IPLAは、PLA主鎖部のメチン基の水素に由来するシグナル積分強度である。可塑剤合成時のラクチドの反応率が十分に高く、ほぼ全てのラクチドがPEG末端部に開環付加する条件にて合成した場合は、多くの場合、H−NMR測定により得られたチャートを基にした上記方法により、可塑剤が有する一つのポリ乳酸セグメントの分子量を求めることが好ましい。
なお、本発明におけるポリ乳酸系樹脂組成物からなるチップ状物から、可塑剤中のポリ乳酸セグメント分子量などの評価のために、使用した可塑剤を分離する方法としては、例えばクロロホルムなどの適当な良溶媒にポリエステルを均一溶解した後、水や水/メタノール混合溶液など適当な貧溶媒に滴下してろ過などによりポリ乳酸系樹脂を主に含む沈殿物を除去し、ろ液の溶媒を揮散させて分離した可塑剤を得る再沈殿法などが挙げられるが、これに限られるものではなく、使用する可塑剤やポリ乳酸系樹脂などに応じて適当な手法を選択し、あるいは組み合わせることができる。
分子量評価のためにチップ状物から分離された可塑剤は、THF(テトラヒドロフラン)などの溶液に溶解させ、GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィ)などを用いて可塑剤の数平均分子量(以後Mとする)を測定し、H−NMR測定などにより、ポリ乳酸セグメント、ポリエーテル系セグメントおよび/またはポリエステル系セグメントを特定する。これらの測定結果を用いることで、分子量評価のためにポリ乳酸系樹脂組成物からなるチップ状物から分離された可塑剤が有する一つのポリ乳酸セグメントの分子量は、次のように求めることができる。すなわち、H―NMR測定により得られたチャートを基に、M×{1/(ポリ乳酸セグメントの数)}×{IPLA×(PLAモノマー単位の分子量=72)}/[(IPEPE×UMPEPE/NPEPE)+{IPLA×(PLAモノマー単位の分子量=72)}]と算出する。ただし、IPEPEはポリエーテル系セグメントおよび/またはポリエステル系セグメントに由来するH―NMR測定でのシグナル積分強度、UMPEPEは、ポリエーテル系セグメントおよび/またはポリエステル系セグメントのモノマー単位の分子量、NPEPEはポリエーテル系セグメントおよび/またはポリエステル系セグメントのうち、シグナル積分強度を与える化学的に等価なプロトンの数である。
例えば上述した方法により得られた、一分子中に数平均分子量が1,200以上10,000未満のポリ乳酸セグメントを一つ以上有するPLA(A)−PEG(B)−PLA(A)型のブロック共重合体を可塑剤として使用すれば、従来技術ではなしえなかった、十分な柔軟性を有しなおかつ可塑剤の揮発や滲出、抽出(ブリードアウト)が抑制されたポリ乳酸系樹脂フィルムを得るためのチップ状物を提供することができる。
また、ポリ乳酸系樹脂に前述した可塑剤を添加する方法としては、ポリ乳酸系樹脂の溶融状態で可塑剤を所望の質量割合にて添加・溶融混練することで得ることができるが、ポリ乳酸系樹脂の高重合度化、ラクチドなどの残存低分子量物の抑制などの観点から、ポリ乳酸系樹脂の重合反応終了後に可塑剤を添加・溶融混練することが好ましい。ポリ乳酸系樹脂の重合反応終了後に可塑剤を添加・溶融混練する方法は、ポリ乳酸系樹脂中に残存低分子量物を減らすことができるために好ましい。上述したポリ乳酸系樹脂と可塑剤の添加・溶融混練としては、例えば、重縮合反応終了直後、溶融状態のポリ乳酸系樹脂に可塑剤を添加し攪拌・溶融混練させる方法、ポリ乳酸系樹脂のチップに可塑剤を添加・混合した後に反応缶あるいはエクストルーダなどで溶融混練する方法、エクストルーダでポリ乳酸系樹脂に可塑剤を連続的に添加し、溶融混練する方法、可塑剤を高濃度含有させたポリ乳酸系樹脂のマスターチップとポリ乳酸系樹脂のホモチップとを混合しエクストルーダなどで溶融混練する方法などにより行うことができる。
可塑剤の配合量については、ポリ乳酸系樹脂組成物100重量%に対して可塑剤5〜30重量%、好ましくは10〜25重量%の割合である。可塑剤の配合量が5重量%未満では可塑化効果が十分でなく、30重量%を超えるとポリ乳酸系樹脂組成物からなるチップ状物およびそれから得られるフィルムの粘着性が過大になるため加工性が悪くなり好ましくない。
一方、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物からなるチップ状物においては、成形時にフィルムが金属ロールに粘着することや、フィルム同士がブロッキングするのを防ぐために、組成物(チップ状物)中に無機粒子、有機粒子、架橋高分子粒子などを含有させることもできる。
無機粒子としては、特に限定されないが、シリカ等の酸化ケイ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の各種炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の各種硫酸塩、カオリン、タルク等の各種複合酸化物、リン酸リチウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム等の各種リン酸塩、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム等の各種酸化物、フッ化リチウム等の各種塩等からなる微粒子を使用することができる。
また有機粒子としては、シュウ酸カルシウムや、カルシウム、バリウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム等のテレフタル酸塩などからなる微粒子が使用される。
架橋高分子粒子としては、ジビニルベンゼン、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸のビニル系モノマーの単独または共重合体からなる微粒子が挙げられる。その他、ポリテトラフルオロエチレン、ベンゾグアナミン樹脂、熱硬化エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂などの有機微粒子も好ましく使用される。
これら微粒子の配合量は、チップ状物を構成するポリ乳酸系樹脂組成物100重量%に対して0.05〜2重量%、好ましくは0.1〜1.5重量%である。配合量が0.05重量%未満では、ポリ乳酸系樹脂組成物からなるチップ状物を用いた溶融フィルムの加工ロールへの粘着とフィルム同士のブロッキングを改善する効果が乏しく、2重量%を超えるとポリ乳酸系樹脂組成物からなるチップ状物を用いたフィルムの透明性を損ないやすい。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物からなるチップ状物は、ポリ乳酸系樹脂組成物100重量%に対して有機滑剤を0.1重量%以上5重量%以下含むことが必要であり、好ましくは0.5重量%以上3重量%以下である。有機滑剤が0.1重量%未満の場合、チップ状物の取り扱い性に劣り特に乾燥時にブロッキングが起こりやすい。また、有機滑剤が5重量%超の場合、有機滑剤のブリードアウトが起こりやすく、やはり乾燥時にブロッキングが起こりやすく、また溶融粘度の低下や加工性の悪化、あるいはフィルムとした際のブリードアウトやヘイズアップなどの外観不良の問題も発生し易い。
有機滑剤としては、例えば、流動パラフィン、天然パラフィン、合成パラフィン、ポリエチレンなどの脂肪族炭化水素系、ステアリン酸、ラウリル酸、ヒドロキシステアリン酸、硬性ひまし油などの脂肪酸系、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド系、ステアリン酸アルミ、ステアリン酸鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩、グリセリン脂肪酸エステル、ルビタン脂肪酸エステルなどの多価アルコールの脂肪酸(部分)エステル系、ステアリン酸ブチルエステル、モンタンワックスなどの長鎖エステルワックスなどの長鎖脂肪酸エステル系などが挙げられる。中でも、ポリ乳酸との適度な相溶性から少量で効果の得られやすい、ステアリン酸アミドやエチレンビスステアリン酸アミドが好ましい。
また、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物からなるチップ状物は、170℃におけるメルトフローレート(JIS−K7210に準拠して測定)が15g/10min以下であることが必要であり、好ましくは11g/10min以下である。メルトフローレートが15g/10minを越えると、フィルムが柔らかすぎて製膜が不安定になりやすく、特にインフレーション法においてはバブルが内部に吹き込むエアー量の増減に敏感に反応し、製膜が不安定になったり、上吹きのインフレーション法の場合、ポリマー垂れてしまい、製膜が不可能であったりする。また170℃におけるメルトフローレートは、押出が可能な程度で低いほど好ましいが、現在の技術水準によれば下限としては0.1g/10min程度と考えられる。
さらに、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物からなるチップ状物の結晶融解熱量ΔHplaは5J/g以上60J/g以下であることが好ましい。この結晶融解熱量は示差走査熱量計を使用して測定された値である。結晶融解熱量が5J/g未満であると、フィルムの結晶化が不十分となり、上記したような優れた易引裂き性、耐溶剤性を付与することができなくなる。一方、60J/gを超えると、樹脂の結晶性向上による非晶領域の低下にともない、可塑剤を保持できなくなって可塑剤のブリードアウトが生じやすくなる。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物からなるチップ状物は、使用するポリ乳酸樹脂を60〜110℃にて6時間以上乾燥するなどして、水分量が1000ppm以下のポリ乳酸系樹脂組成物からなるチップ状物を用いることが好ましい。水分量が1000ppmを超える場合は溶融混練中の加水分解が起こって分子量が低下する場合がある。より好ましくは水分量は600ppm以下である。また水分量は少ないほど好ましいが、水分量を50ppm未満にするには長時間の乾燥が必要であり、長時間の乾燥によりチップ状物の劣化を生じる場合があるので、水分量の下限は50ppm程度が好ましい。
本発明において用いられるポリ乳酸系樹脂組成物からなるチップ状物には、本発明の効果を損ねない範囲内で、他の成分を添加することもできる。このような添加成分としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダートアミン系光安定剤、帯電防止剤、熱安定剤、造核剤、粘着付与剤、顔料、染料、種々の重合体(例えばEVA樹脂)などを挙げることができる。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物からなるチップ状物は、一般的な方法で作製することができる。具体的には、所望の原材料をヘンシェルミキサーやリボンミキサーで乾式混合し、単軸や2軸の押出し機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロールなどの公知の溶融混練機に供給して溶融混練することができる。例えば、先ず各樹脂組成物をタンブラーにいれて10分〜20分攪拌混合する。次いで、単軸或いは2軸押出機等により140〜210℃の温度で溶融混練を行い、例えばガット状に押出した後水浴にて冷却固化して一定長さにカットするなどしてポリ乳酸系樹脂組成物のペレットにし、ポリ乳酸系樹脂組成物からなるチップ状物を作製することができる。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物からなるチップ状物の形状としては、例えば球形、回転楕円形、俵形、サイコロ形などが挙げられ特にこれに制限されるモノではないが、一般的に断面のアスペクト比が1:1〜10:1以内の形状のチップ状物であることが好ましい。
一方、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物からなるチップ状物を使用してポリ乳酸系樹脂フィルムを製造するに当たっては、公知のTダイキャスト法、インフレーション法、チューブラー法などの既存の方法を採用することができる。柔軟性のフィルムを安定に経済的に製造するためには、特にインフレーション法が好ましい。
本発明においてインフレーション法により製造する場合は、例えば、前述のような方法により調整したポリ乳酸系樹脂組成物からなるチップ状物をベント孔付き2軸押出機にて加熱溶融させて環状ダイスに押出し、環状ダイスから押出して内部には乾燥エアーを供給して風船状(バブル)に形成し、さらにエアーリングにより均一に空冷固化させ、ニップロールでフラットに折りたたみながら所定の引き取り速度で引き取った後、必要に応じて両端、または片方の端を切り開いて巻き取れば良い。
また、ポリ乳酸系樹脂組成物からなるチップ状物の押出温度は通常150〜240℃の範囲であるが、良好なロール巻姿や巻出し性を付与するために厚さの誤差を抑制し、また適度な熱収縮率を付与するためには環状ダイスの温度が重要であり、好ましくは環状ダイスの温度は150〜190℃、さらに好ましくは、150〜170℃の範囲である。
さらに、フィルムに成形した後に、印刷性、ラミネート適性、コーティング適性などを向上させる目的で各種の表面処理を施しても良い。表面処理の方法としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、酸処理などが挙げられ、いずれの方法をも用いることができるが、連続処理が可能であり、既存の製膜設備への装置設置が容易な点や処理の簡便さからコロナ放電処理が最も好ましいものとして例示できる。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるものではない。
[特性の測定ならびに評価方法]
(1)ポリ乳酸系樹脂組成物からなるチップ状物のメルトフローレート値[g/10min]
チップ状物サンプルを乾燥するなどして、水分率を700ppm以下にした後に、JIS−K7120 B法に準拠して、メルトインデクサで荷重2.16kg、温度170℃にてメルトフローレート値を測定した。
(2)フィルムの柔軟性
フィルムサンプルを長手方向150mm、幅方向10mmに切り出し、あらかじめ温度23℃、湿度65%RHの雰囲気下で24時間調湿した。この試料を23℃の雰囲気下でJIS K7161およびJIS K7127に準じて、テンシロン万能試験機UTC−100型(株式会社オリエンテック製)を用い、初期長50mm、引張速度300mm/分条件で引張試験を行い長手方向の引張弾性率を測定した。
測定は計5回行い、平均値を求めてこれを引張弾性率とし、次の基準で評価した。
◎ : 引張弾性率が0.1GPa以上1.0GPa未満の範囲
○ : 引張弾性率が1.0GPa以上1.5GPa未満の範囲
△ : 引張弾性率が1.5GPa以上2.0GPa未満の範囲
× : 引張弾性率が2.0GPa以上
(3)各原料の水分率測定[ppm]
カールフィッシャー水分計MKC−510N(京都電子工業株式会社)を使用して、カールフィッシャー法(電量滴定法)により測定した。測定時の加熱条件は、150℃とした。
(4)結晶融解熱量
チップサンプルを30℃で12時間減圧乾燥した後、4.0mg秤量して試料とした。
パーキンエルマー社製DSC7示差走査型熱量計を用い、窒素ガス流通下、20℃/分の昇温速度で−50℃から200℃まで昇温しDSC曲線を得た。DSC曲線のチャートに現れた結晶化ピークおよび融解ピークの面積から試料1g当たりの結晶化熱量および融解熱量(J/g)を計測した。
(5)乾燥時チップ状物のブロッキング性
チップ状物を温度100℃、露点−25℃の除湿熱風にて、所定の時間乾燥した後取り出してすぐに状態を確認し、次の基準で評価した。
◎ : ブロッキングは認められなかった。
○ : 10粒以下のサイズにブロッキングしたものがあったが手で容易にほぐれた。
△ : 10粒以上のサイズにブロッキングしたものがあったが手で容易にほぐれた。
× : 10粒以上のサイズにブロッキングしたものが発生しかつ強固に固着していた。
(6)インフレーション製膜性
インフレーション製膜性を次ぎの基準で評価した。
○ : バブル状に吹き上げ可能で製膜は12時間破れることなく安定していた。
△ : バブル状に吹き上げはできたが若干不安定であり、12時間製膜して1〜5回破れた。
× : バブル状に吹き上げはできたが不安定であり、12時間製膜して6回以上破れたかまたは製膜不可だった。
(7)乾燥時チップ状物のブリードアウト性
チップ状物を温度100℃、露点−25℃の除湿熱風にて、10時間乾燥した。取り出してすぐに状態を確認し、次の基準で評価した
○ : ブリートは認められなかった。
△ : チップの表面に若干ブリードしていたがチップ同士が粘着するほどではなかった。 × : チップの表面に出てチップ同士の粘着が認められた。
[使用したポリ乳酸系樹脂]
ポリ乳酸P1
D体含有量=12.0wt%、メルトフローレート=3g/10min、
水分量=490ppm、Tm=無し、重量平均分子量=200,000
ポリ乳酸P2
D体含有量=1.4wt%、メルトフローレート=2g/10min、
水分量=360ppm、Tm=166℃、重量平均分子量=220,000
ポリ乳酸P3
D体含有量=1.4wt%、メルトフローレート=30g/10min
水分量=450ppm、Tm=166℃、重量平均分子量=110,000
ポリ乳酸P4
D体含有量=4.0wt%、メルトフローレート=2g/10min
水分量=380ppm、Tm=153℃、重量平均分子量=220,000
[可塑剤の製造方法]
可塑剤S1
数平均分子量8000のポリエチレングリコール62重量%とL−ラクチド38重量%とオクチル酸スズ0.025重量%を混合し、窒素雰囲気下150℃で3時間重合することで、ポリエチレングリコールの両末端に数平均分子量2500のポリ乳酸セグメントを有する可塑剤S1を得た。水分量を測定すると、1650ppmであった。
可塑剤S2
数平均分子量10000のポリエチレングリコール62重量%とL−ラクチド38重量%とオクチル酸スズ0.025重量%を混合し、窒素雰囲気下150℃で3時間重合することで、ポリエチレングリコールの両末端に数平均分子量2400のポリ乳酸セグメントを有する可塑剤S2を得た。水分量を測定すると、1380ppmであった。
可塑剤S3
数平均分子量6000のポリエチレングリコール62重量%とL−ラクチド38重量%とオクチル酸スズ0.025重量%を混合し、窒素雰囲気下150℃で3時間重合することで、ポリエチレングリコールの両末端に数平均分子量2300のポリ乳酸セグメントを有する可塑剤S3を得た。水分量を測定すると、1500ppmであった。
可塑剤S4
数平均分子量8000のポリエチレングリコール。水分量を測定すると、1700ppmであった。
可塑剤S5
クエン酸アセチトルトリブチル(森村商事社製、 “シトロフレックスA−4”)
[使用した添加剤]
有機滑剤SL1
ステアリン酸アミド(日本油脂社製、“アルフロー S−10”)
添加剤A1
カルボジイミド変性イソシアネート(日清紡社製、“カルボジライト LA−1”)
ポリエステルPA1
ポリブチレンサクシネート・アジペート系樹脂(昭和高分子社製、“ビオノーレ #3001)
[ポリ乳酸系樹脂組成物の作成]
(実施例1)
ポリ乳酸P1を54重量%、ポリ乳酸P2を20重量%、可塑剤S1を25重量%、有機滑剤SL1を1.0重量%の混合物をシリンダー温度190℃のスクリュー径44mmの真空ベント付き2軸押出機に供し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練し均質化しガット状に押出した後水浴にて冷却固化してカットすることで樹脂組成物のチップを得た。
この樹脂組成物チップを温度100℃、露点−25℃の除湿熱風にて10時間乾燥した。得られた樹脂組成物チップの評価結果を表1に示した。
この樹脂組成物チップを押出機シリンダ温度190℃のスクリュー径65mmの一軸押出機に供給し、直径250mm、リップクリアランス1.3mm、温度165℃のスパイラル型環状ダイスより、ブロー比:3.4にてバルブ状に上向きに押出し、冷却リングにより空冷し、ダイス上方のニップロールで折りたたみながら20m/分にて、引き取り、両端部をエッジカッターにて切断して2枚に切り開き、それぞれワインダーにてフィルムを巻き取った。吐出量の調整により最終厚みが20μmのフィルムを得た。
得られたフィルムの評価結果を表1に示した。
(実施例2)
ポリ乳酸P1を64重量%、ポリ乳酸P2を10重量%、可塑剤S1を25重量%、有機滑剤SL1を1.0重量%の混合物をシリンダー温度190℃のスクリュー径44mmの真空ベント付き2軸押出機に供し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練し均質化してガット状に押出した後水浴にて冷却固化してカットすることで樹脂組成物チップを得た。
以下、実施例1と同様に製膜、フィルム評価を行い、結果を表1に示した。
(実施例3)
ポリ乳酸P1を54重量%、ポリ乳酸P2を20重量%、可塑剤S1を25重量%、有機滑剤SL1を1.0重量%の混合物をシリンダー温度190℃のスクリュー径44mmの真空ベント付き2軸押出機に、供し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練し均質化してガット状に押出した後水浴にて冷却固化してカットすることで樹脂組成物チップを得た。この樹脂組成物チップを温度100℃、露点−25℃の除湿熱風にて5時間乾燥した。
以下、実施例1と同様に製膜、フィルム評価を行い、結果を表1に示した。
(実施例4)
ポリ乳酸P1を54重量%、ポリ乳酸P2を20重量%、可塑剤S5を25重量%、有機滑剤SL1を1.0重量%の混合物をシリンダー温度190℃のスクリュー径44mmの真空ベント付き2軸押出機に供し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練し均質化してガット状に押出した後水浴にて冷却固化してカットすることで樹脂組成物チップを得た。
以下、実施例1と同様に製膜、フィルム評価を行い、結果を表1に示した。
(実施例5)
ポリ乳酸P1を64重量%、ポリ乳酸P2を10重量%、可塑剤S5を25重量%、有機滑剤SL1を1.0重量%の混合物をシリンダー温度190℃のスクリュー径44mmの真空ベント付き2軸押出機に供し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練し均質化してガット状に押出した後水浴にて冷却固化してカットすることで樹脂組成物チップを得た。この樹脂組成物チップを温度100℃、露点−25℃の除湿熱風にて5時間乾燥した。
以下、実施例1と同様に製膜、フィルム評価を行い、結果を表1に示した。
(実施例6)
ポリ乳酸P1を69重量%、ポリ乳酸P2を20重量%、可塑剤S1を10重量%、有機滑剤SL1を1.0重量%の混合物をシリンダー温度190℃のスクリュー径44mmの真空ベント付き2軸押出機に供し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練し均質化してガット状に押出した後水浴にて冷却固化してカットすることで樹脂組成物チップを得た。
以下、実施例1と同様に製膜、フィルム評価を行い、結果を表1に示した。
(実施例7)
ポリ乳酸P1を55重量%、ポリ乳酸P2を16重量%、可塑剤S4を29重量%、有機滑剤SL1を1.0重量%の混合物をシリンダー温度190℃のスクリュー径44mmの真空ベント付き2軸押出機に供し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練し均質化してガット状に押出した後水浴にて冷却固化してカットすることで樹脂組成物チップを得た。
以下、実施例1と同様に製膜、フィルム評価を行い、結果を表1に示した。
(実施例8)
ポリ乳酸P1を55重量%、ポリ乳酸P2を16重量%、可塑剤S2を29重量%、有機滑剤SL1を1.0重量%の混合物をシリンダー温度190℃のスクリュー径44mmの真空ベント付き2軸押出機に供し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練し均質化してガット状に押出した後水浴にて冷却固化してカットすることで樹脂組成物チップを得た。
この樹脂組成物チップを70重量%、ポリエステルPA1を30重量%の混合物として押出機に供したこと以外は、実施例1と同様に製膜、フィルム評価を行い、結果を表1に示した。
(実施例9)
ポリ乳酸P1を44重量%、ポリ乳酸P2を12重量%、ポリ乳酸P4を20重量%、可塑剤S1を22重量%、有機滑剤SL1を1.0重量%、添加剤A1を1.0重量%の混合物をシリンダー温度190℃のスクリュー径44mmの真空ベント付き2軸押出機に供し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練し均質化してガット状に押出した後水浴にて冷却固化してカットすることで樹脂組成物チップを得た。
以下、実施例1と同様に製膜、フィルム評価を行い、結果を表1に示した。
(比較例1)
ポリ乳酸P1を45重量%、ポリ乳酸P2を20重量%、可塑剤S1を25重量%、有機滑剤SL1を10重量%の混合物をシリンダー温度190℃のスクリュー径44mmの真空ベント付き2軸押出機に供し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練し均質化してガット状に押出した後水浴にて冷却固化してカットすることで樹脂組成物チップを得た。
以下、実施例1と同様に製膜を試みたが環状ダイスよりバルブ状に上向きに押出して引き取ることができず製膜不可であった。結果を表2に示した。
(比較例2)
ポリ乳酸P1を74重量%、ポリ乳酸P2を22重量%、可塑剤S1を3重量%、有機滑剤SL1を1.0重量%の混合物をシリンダー温度190℃のスクリュー径44mmの真空ベント付き2軸押出機に供し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練し均質化してガット状に押出した後水浴にて冷却固化してカットすることで樹脂組成物チップを得た。
以下、実施例1と同様に製膜、フィルム評価を行い、結果を表2に示した。
(比較例3)
ポリ乳酸P1を55重量%、ポリ乳酸P2を20重量%、可塑剤S1を25重量%の混合物をシリンダー温度190℃のスクリュー径44mmの真空ベント付き2軸押出機に供し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練し均質化してガット状に押出した後水浴にて冷却固化してカットすることで樹脂組成物チップを得た。
この樹脂組成物チップを温度100℃、露点−25℃の除湿熱風にて10時間乾燥したところ、10粒以上のサイズに強固にブロッキングしたものが発生したため、これらをふるいにて除去した後に製膜に供した。製膜、フィルム評価の結果を表2に示した。
(比較例4)
ポリ乳酸P1を34重量%、ポリ乳酸P2を10重量%、可塑剤S1を55重量%、有機滑剤SL1を1.0重量%の混合物をシリンダー温度190℃のスクリュー径44mmの真空ベント付き2軸押出機に供し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練を試みたが、溶融粘度が低すぎて安定したガット状に押し出すことができなかった。
(比較例5)
ポリ乳酸P1を54重量%、ポリ乳酸P3を16重量%、可塑剤S3を29重量%、有機滑剤SL1を1.0重量%の混合物をシリンダー温度190℃のスクリュー径44mmの真空ベント付き2軸押出機に供し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練し均質化してガット状に押出した後水浴にて冷却固化してカットすることで樹脂組成物チップを得た。以下、実施例1と同様に製膜を試みたが環状ダイスよりバルブ状に上向きに押出して引き取ることができず製膜不可であった。結果を表2に示した。
Figure 2009185227
Figure 2009185227
本発明の積層フィルムは、農業用フィルム、食品包装用フィルム、その他の包装用フィルム、ストレッチフィルム、保護用フィルムなどに使用することができる。さらに、使用目的により、本発明の積層フィルムを他のフィルムと複合化して使用することもできる。

Claims (7)

  1. ポリ乳酸系樹脂65%重量以上94%重量以下、可塑剤5重量%以上30重量%以下、有機滑剤0.1重量%以上5重量%以下を含む組成物からなり、メルトフローレートが0.1g/10min以上15g/10min以下であることを特徴とする、ポリ乳酸系樹脂系組成物からなるチップ状物。
  2. 可塑剤が常温で固体状であることを特徴とする、請求項1に記載のポリ乳酸系樹脂組成物からなるチップ状物。
  3. 可塑剤が、ポリエーテル系セグメントおよび/またはポリエステル系セグメントを含有し、かつ一分子中に数分子量が1,200以上10,0000以下のポリ乳酸セグメントを一つ以上有するブロック共重合体であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリ乳酸系樹脂組成物からなるチップ状物。
  4. 示差走査熱量測定による結晶融解熱量ΔHplaが、5J/g以上60J/g以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂組成物からなるチップ状物。
  5. 水分率が1000ppm以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂組成物からなるチップ状物。
  6. インフレーション製膜法に用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂組成物からなるチップ状物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のチップ状物からなるフィルム。
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