JP2005126574A - ポリエステルフィルム - Google Patents

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岳史 神澤
Hiroshige Matsumoto
太成 松本
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Abstract

【課題】 十分な柔軟性を有しなおかつ加熱使用時の可塑剤等の揮発や滲出、抽出(ブリードアウト)等に起因する柔軟性変化などが抑制され、高温放置後も品質安定性、保存安定性等実用に充分耐える柔軟性を保持したポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】ポリ乳酸系重合体(A)を主成分とする組成物からなるポリエステルフィルムであって、該フィルムの23℃における初期引張弾性率(a)が少なくとも一方向で0.1〜2GPaであり、温度60℃の温水中で30分間処理した後の23℃における初期引張弾性率(b)と(a)が(式1)を満たすポリエステルフィルム。
|(a)−(b)|≦2−0.35×(a)・・・(式1)
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリ乳酸系重合体組成物からなるポリエステルフィルムに関し、さらに詳細には可塑剤などにより柔軟性が付与され、加熱使用時の可塑剤等の揮発や滲出、抽出(ブリードアウト)等に起因する柔軟性変化などを抑制することで、高温高湿下で放置後にも実用に充分耐える柔軟性を保持したポリエステルフィルムに関するものである。
従来、プラスチック廃棄物は主に焼却や埋め立てにより処理されてきたが、焼却による有害副産物の生成・排出や埋立地の減少、さらには不法投棄による環境汚染などの問題が顕在化してきている。このようなプラスチック廃棄物の処理問題について社会的に関心が高まるにつれて、酵素や微生物で分解される生分解性を有するプラスチックの研究開発が盛んに行われており、その中でも、脂肪族ポリエステルが注目されている。最近、特に積極的な研究開発が行われている生分解性の脂肪族ポリエステルとして、ポリ乳酸が挙げられる。
ポリ乳酸は、トウモロコシや芋類などから得られるでんぷんなどを原料として乳酸を製造しさらに化学合成により得られる重合体であり、脂肪族ポリエステルの中でも機械的物性や耐熱性、透明性に優れているため、フィルム、シート、テープ、繊維、ロープ、不織布、容器などの各種成形品への展開を目的とした研究開発が盛んに行われている。しかしながら、例えば包装用ラップフィルムなどの用途においては、ポリ乳酸はそのままでは柔軟性が不十分なために主に可塑剤の添加による柔軟化技術が各種検討されている。
例えば、通常塩化ビニル用として広く用いられているフタル酸エステルなどの可塑剤を用いる技術が開示されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、フタル酸エステルなど通常の可塑剤を添加して柔軟化した場合、添加直後は柔軟性を発現するものの、成形品を大気雰囲気下、特に高温の雰囲気下に放置して時間が経つと、可塑剤が揮発・滲出して柔軟性が著しく低下したり、あるいは透明性が低下するという問題があった。さらには水中、特に熱水中雰囲気では可塑剤が抽出されてやはり柔軟性が著しく低下したり、あるいは透明性が低下するという問題があった。
また、乳酸や線状の乳酸オリゴマーまたは環状の乳酸オリゴマーを可塑剤として使用する技術が開示されている(例えば、特許文献2〜3)。しかしながら、このような乳酸や線状の乳酸オリゴマーまたは環状の乳酸オリゴマーを相当量含んだポリ乳酸は成形時の熱安定性が低く、また通常の使用条件下において容易に加水分解されてしまうために、このような組成物からフィルムなどの成形品を製造しても比較的短期間に強度が落ちて実用性に劣るという大きな欠点があった。さらに、成形品として高温や多湿条件で使用したり、水や溶媒と接触して使用する場合には、可塑剤として成形品中に含有されるラクチドや乳酸オリゴマーが系外に揮発や滲出、抽出(ブリードアウト)するといった問題があった。
可塑剤や基質ポリマーの構造設計等を行うことで、可塑剤の抽出(ブリードアウト)や経時での物性変化を抑制する技術が開示されている(例えば、特許文献4〜8)。しかしながら、ブリードアウトや経時変化の抑制効果は室温付近でのみ発現するものであったり、高温で発現する場合であっても目視による観察程度の官能評価のみであり、高温放置後にも実用に充分耐える柔軟性を保持したフィルムの実用性ついて定量的に言及されているものは無かった。
さらに、ポリ乳酸とポリアルキレンエーテルの共重合体中に、ポリアルキレンエーテルを主成分とする可塑剤を混合した組成物に関する技術が開示されている(例えば、特許文献9)。しかしながら本技術においても、組成物の柔軟性は実用レベルながら、可塑剤やラクチドなどの揮発や滲出、抽出(ブリードアウト)、さらには加熱使用後の柔軟性保持といった観点からは未だ不十分な技術であった。
さらに、乳酸を主成分とする重合体と、ポリアルキレンエーテルとポリ乳酸のブロック共重合体とを含む組成物に関する技術が開示されている(例えば、特許文献10)。しかしながら本技術は帯電防止性の付与を目的とした技術であり、制電剤として添加されるブロック共重合体に含まれるポリ乳酸成分の作用については、母材(マトリックス)との化学的な親和性の向上による微分散化以外の示唆はなく、組成物の柔軟性や、成形品とした時の添加剤(可塑剤)の揮発や滲出、抽出(ブリードアウト)、さらには加熱使用後の柔軟性保持といった観点から実際に実施例などの追試を試みたが、不十分な技術であった。
以上のように、従来からポリ乳酸に可塑剤を添加するなどして柔軟性を付与する試みはなされていたものの、十分な柔軟性を付与しなおかつフィルムとして使用する際には可塑剤の揮発や滲出、抽出(ブリードアウト)、さらには高温高湿使用後も柔軟性を保持する技術については未だ達成されていないのが実状であった。
また、ポリ乳酸からなるフィルムが本来備える透明性や耐熱性に加えて、主に柔軟性などの特性を付与してゴミ袋や農業用マルチフィルムなどの用途へ適用する技術の検討や、さらには柔軟性や密着性などを付与することにより包装用ラップフィルムなどの用途へ適用するための技術も検討されている。
特に包装用ラップフィルム用途に関しては、例えば、乳酸系脂肪族ポリエステルを主体とする樹脂と液状添加剤を含有する組成物からなる延伸フィルムに関する技術が開示されている(例えば、特許文献11)。しかしながら、該特許文献3公報記載の実施例に従って実際に延伸フィルムの製膜を試みたところ、製膜直後に限れば食品包装用ラップフィルムとして一定レベルの柔軟性、を有するものの、室温にて数週間程度の使用あるいは保管した後には液状添加剤が容易に揮発したり滲出してしまい、被包装物に液状添加剤が付着したり、フィルムの柔軟性が全く損なわれてしまうなど、実用性に欠ける全く不十分な技術であった。以上のように、柔軟性に優れ、さらには高温放置後にも実用に充分耐える柔軟性を保持したポリ乳酸系重合体組成物よりなる包装用ラップフィルムは未だ達成されていなかった。
特開平4−335060号公報([0016]〜[0026]段落) 特開平6−306264号公報([0012]〜[0022]段落) 米国特許第5076983号(第4欄第37行〜第5欄第13行) 特開2002−60604号公報([0015]、[0033]〜[0059]段落) 特開2003−12834号公報([0023]、[0054]〜[0063]段落) 特開平7−118513号公報([0022]、[0042]〜[0061]段落) 特開2003−231798号公報([0017]、[0027]〜[0040]段落) 特開平11−181262号公報([0044]〜[0046]段落) 特開平8−199052号公報([0004]〜[0022]段落) 特開平8−253665号公報([0005]〜[0017]段落) 特開2000−26623号公報([0005]〜[0044]段落)
本発明の課題は、従来技術ではなしえなかった、十分な柔軟性を有しなおかつ高温高湿での使用後も可塑剤などの揮発や滲出、抽出(ブリードアウト)を抑制し、高温高湿放置後にも実用に充分耐える柔軟性を保持したポリエステルフィルム、さらには包装用ラップフィルムを提供することにある。
上記課題を解決するため本発明のポリエステルフィルムは、主として次の構成を有する。すなわち、
ポリ乳酸系重合体(A)を主成分とする組成物からなるポリエステルフィルムであって、該フィルムの23℃における初期引張弾性率(a)が少なくとも一方向で0.1〜2GPaであり、温度60℃の温水中で30分間処理した後の23℃における初期引張弾性率(b)と(a)が(式1)を満たすポリエステルフィルム。
|(a)−(b)|≦2−0.35×(a)・・・(式1)
である。
本発明のポリエステルフィルムは、従来技術ではなしえなかった、十分な柔軟性を有しなおかつ高温高湿での使用後も可塑剤などの揮発や滲出、抽出(ブリードアウト)を抑制し、高温高湿放置後にも実用に充分耐える柔軟性を保持されたポリエステルフィルム、すなわち品質安定性や保存安定性に優れたポリエステルフィルムであり、特に包装用ラップフィルムを初めとする柔軟フィルム分野において従来以上に幅広い利用が可能である。
さらに、本発明のポリエステルフィルムは、従来のプラスチックに対して自然環境中での生分解性が高く、使用後は自然環境中で比較的容易に分解されるという利点を有する。本発明の脂肪族ポリエステル樹脂は、産業界およびプラスチック廃棄物に係る環境問題の解決に寄与するところが非常に大きい。
本発明のポリエステルフィルムはポリ乳酸系重合体(A)を主成分とするが、ポリ乳酸系重合体(A)とは、L−乳酸および/またはD―乳酸を主成分とし、重合体中の乳酸由来の成分が70重量%以上のものを示し、実質的にL−乳酸および/またはD―乳酸からなるホモポリ乳酸が好ましく用いられる。また、本発明に用いられるポリ乳酸系重合体は結晶性を有することが好ましく、後述する一分子中に分子量が1,500以上のポリ乳酸セグメントを一つ以上有し、ポリエーテル系および/またはポリエステル系セグメントを有する可塑剤(B)とを含有する組成物とすることで、柔軟性を付与したうえで可塑剤の揮発や滲出、抽出(ブリードアウト)を十分に抑制できる。ポリ乳酸系重合体が結晶性を有するとは、該ポリ乳酸系重合体を加熱下で十分に結晶化させた後に、適当な温度範囲でDSC(示差走査熱量分析装置)測定を行った場合、ポリ乳酸成分に由来する結晶融解熱が観測されることを言う。ポリ乳酸系重合体(A)として、例えば均一なホモポリ乳酸を用いる場合にはその光学純度が70%以上のホモポリ乳酸を使用すればよい。あるいは、フィルムとして使用する際の用途によっては、必要な機能の付与あるいは向上を目的として、光学純度の異なる2種以上のホモポリ乳酸を併用してもよく、例えば、結晶性を有するホモポリ乳酸と非晶性のホモポリ乳酸を併用することも可能である。この場合、非晶性のホモポリ乳酸の割合は本発明の効果を損ねない範囲で決定すれば良い。また、通常、ホモポリ乳酸は光学純度が高いほど融点が高く、例えば光学純度が98%以上のポリL−乳酸では融点が約170℃程度であるが、フィルムとした際に高い耐熱性を付与したい際には、使用するポリ乳酸重合体のうち少なくとも1種に光学純度が95%以上のポリ乳酸を含むことが好ましい。
ポリ乳酸の製造方法には、L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸(ラセミ体)を原料として一旦環状2量体であるラクチドを生成せしめ、その後開環重合を行う2段階のラクチド法と、当該原料を溶媒中で直接脱水縮合を行う一段階の直接重合法が知られている。本発明においてホモポリ乳酸を用いる場合はいずれの製法によって得られたものであってもよいが、ラクチド法によって得られるポリマーの場合にはポリマー中に含有されるラクチドが成形時に気化して、例えば溶融製膜時にはキャストドラム汚れやフィルム表面の平滑性低下の原因となるため、溶融製膜以前の段階でポリマー中に含有されるラクチドの含有量を0.3重量%以下とすることが望ましい。また、直接重合法の場合にはラクチドに起因する問題が実質的にないため、製膜性の観点からはより好適である。本発明におけるポリ乳酸系重合体(A)の重量平均分子量は、通常少なくとも5万、好ましくは8万〜30万、さらに好ましくは10万〜20万である。平均分子量をかかる範囲とする場合には、フィルムとした場合の強度物性を優れたものとすることができる。
また、本発明におけるポリ乳酸系重合体(A)は、L−乳酸、D−乳酸のほかにエステル形成能を有するその他の単量体成分を共重合した共重合ポリ乳酸であってもよい。共重合可能な単量体成分としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸類の他、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の分子内に複数の水酸基を含有する化合物類またはそれらの誘導体、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸等の分子内に複数のカルボン酸基を含有する化合物類またはそれらの誘導体が挙げられる。なお、ポリ乳酸系重合体(A)の共重合成分としては、生分解性を有する成分を選択することが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは柔軟性に優れており、23℃における初期引張弾性率(a)が0.1〜2GPa以下となる。フィルムの初期引張弾性率が0.1GPa未満である場合、フィルム製膜および加工工程で伸びや弛みが発生し取扱い性、工程通過性、スリット加工性が不良となる。また、ラップフィルムとして用いた場合に、容器などの物品や食品を包み込む前にフィルムが変形し効率よく包装できないなどの問題が発生する。また2GPaを超える場合には、包装する物品や食品の形状に追随して変形せず、十分な密着性が得られない。また、包装する際に過剰な力が必要となり、被包装物を傷めるなどの問題が発生する。初期引張弾性率のより好ましい範囲としては、0.1〜1.5GPaであり、さらに好ましくは0.15〜1.2GPa、特に好ましくは0.2〜1GPaである。なお、本発明において引張試験とは、23℃の雰囲気下でJIS K7161およびJIS K7127に準じて、テンシロン万能試験機を用い、引張速度300mm/分条件で行う試験を意味する。また、本発明において初期引張弾性率とは、上記引張試験で得られる応力−歪み曲線の最初の直線部分を用いて、直線上の2点間の応力の差を同じ2点間の歪みの差で除し求められる値である。
本発明のポリエステルフィルムの初期引張弾性率は、少なくとも1方向で0.1〜2GPaであることが必要であり、好ましくはフィルムの長手方向の初期引張弾性率が上記範囲であり、さらに好ましくは各方向において上記範囲である。
本発明のポリエステルフィルムは、高温高湿下での使用後も優れた柔軟性を保持するため、高温高湿処理前後の初期引張弾性率が(式1)を満たす。
|(a)−(b)|≦2−0.35×(a)・・・(式1)
(a):高温高湿処理前の初期弾性率(0.1≦(a)≦2)
(b):高温高湿処理後の初期弾性率
ここで、本発明において高温高湿処理とは、60℃の温水中で30分間処理することを意味しているが、上記観点から60℃を超える温水中で30分間以上(例えば、90℃の温水中で30分間、90℃の温水中で60分間など)処理した条件でも(式1)を満たすことがより好ましい。なお、60℃の温水中で30分という処理条件は、本フィルムをラップフィルム等のフィルムとして室温以上でかつ非常に湿度の高い状況下での使用を考えて設定したもので、90℃の温水で30分以上という処理条件は、本フィルムをラップフィルム等のフィルムとして沸騰水に近い過酷な条件での使用を考えて設定したものである。高温高湿処理前後の初期引張弾性率は、上記(式1)に加え、下記に示す(式3)を同時に満たすことが好ましく、(式2)を同時に満たすことがさらに好ましく、(式4)を同時に満たすことが特に好ましい。
|(a)−(b)|≦1.5−0.35×(a)・・・(式3)
|(a)−(b)|≦1 −0.35×(a)・・・(式2)
|(a)−(b)|≦0.7−0.35×(a)・・・(式4)
(式1)の範囲を超えると処理前後の柔軟性が大きく変化してしまうため、品質安定性や保存安定性が不十分となり好ましくない。
ポリ乳酸は本来硬質な樹脂であるため、柔軟性を付与するためには一般的に可塑剤の添加や、柔軟化成分の共重合化、さらにはより柔軟な他のポリマーとのブレンドなどの手法が取られる。いずれの場合でも、添加する可塑剤や共重合化する柔軟化成分やあるいはブレンドする他のポリマーの主成分以外の第3成分として、微量な未反応物あるいは低分子量物が系内に混入する場合が多い。そのため、これらを溶融してフィルムと成した際には、多くの場合、上記未反応物あるいは低分子量物がそのままフィルム中に含有する。以上の低分子量物あるいは副生成物をあらかじめ低減、除去したり、成形時や加工時あるいはその後の低減、除去が高温高湿処理中に未反応物や低分子量体が系外に流出するの抑制し、処理前後の柔軟性の変化を抑えることができる。具体的に例を挙げると、ポリ乳酸系重合体などの原料類の合成時に触媒種や量、反応時間、温度等を調整する方法、原料から水あるいは有機溶媒等を用いて未反応物や低分子量体を除去する方法、原料使用時の乾燥温度や時間、真空度を調整して未反応物や低分子量体を除去する方法、溶融製膜時の押出温度、滞留時間を調整する方法、延伸温度、熱処理温度、処理時間を調整する方法、あるいは製膜後のフィルムに減圧処理や不活性ガス下での熱処理を施す方法、水あるいは有機溶媒を用いて抽出する方法などが挙げられる。好ましくは、原料を水あるいは有機溶媒を用いて抽出、洗浄する方法、溶融製膜時の押出温度をより低く、滞留時間より短く調整する方法が挙げられる。さらには、後述する、一分子中に分子量が1,500以上のポリ乳酸セグメントを一つ以上有し、ポリエーテル系および/またはポリエステル系セグメントを有する可塑剤(B)を用いた場合には、可塑剤(B)の有するポリ乳酸セグメントが母材であるポリ乳酸系重合体(A)から形成される結晶中に取り込まれることで可塑剤の分子を母材につなぎ止める作用を生じるため、系中の可塑剤の揮発や滲出、抽出(ブリードアウト)を十分に抑制することができ、処理前後の柔軟性の変化を抑えるには特に有用である。
さらに、可塑剤添加による柔軟化において、可塑剤添加量を大きくすればそれだけ柔軟性は大きくなるのが通常であるが、系中からの揮発や滲出、抽出(ブリードアウト)が大きい可塑剤を用いた場合には、高温高湿処理前後の柔軟性変化がそれだけ大きくなり、フィルムの品質安定性や保存安定性に対して好ましくない影響が出る。しかしながら本発明の発明者らは鋭意検討した結果、柔軟性の高い、すなわち可塑剤添加量が大きい場合においても充分柔軟性が保持される領域、すなわち上述の(式1)、好ましくは(式2)を満たす領域において高温高湿処理前後の柔軟性変化が小さく、品質安定性、保存安定性等の実用特性を充分に満たしうることを見出したものである。
本発明のポリエステルフィルムは、結晶性を有するポリ乳酸系重合体(A)と、一分子中に分子量が1,500以上のポリ乳酸セグメントを一つ以上有し、ポリエーテル系および/またはポリエステル系セグメントを有する可塑剤(B)とを含有する組成物(以下、「組成物(A/B)」と記載する)からなることが好ましい。この場合、可塑剤(B)の有するポリ乳酸セグメントが母材であるポリ乳酸系重合体(A)から形成される結晶中に取り込まれることで可塑剤の分子を母材につなぎ止める作用を生じ、この作用によって可塑剤の揮発や滲出、抽出(ブリードアウト)を十分に抑制することができる。また、可塑剤(B)中のポリ乳酸セグメントの分子量は通常、10,000未満である。分子量が10,000以上の場合、可塑化効率が低くなり、実用的な柔軟性の付与が困難となる場合がある。
なお、可塑剤(B)の有するポリ乳酸セグメントは、L−乳酸由来の成分がその95重量%以上であるか、あるいはD−乳酸由来の成分がその95重量%以上であることが好ましく、L−乳酸由来の成分がその98重量%以上であるか、あるいはD−乳酸由来の成分がその98重量%以上であることがさらに好ましい。これらの可塑剤を添加した場合には可塑剤の揮発や滲出、抽出(ブリードアウト)が特に抑制されたポリ乳酸系重合体からなるポリエステルフィルムを得ることができる。
本発明の可塑剤(B)は、可塑剤のポリ乳酸セグメント成分の重量割合が、可塑剤全体の50重量%未満であることが好ましい。この場合、可塑剤の可塑化効率が比較的高いため、より少量の添加で所望の柔軟性を有する耐ブリード性組成物を得ることができる。また、可塑剤のポリ乳酸セグメント成分の重量割合は、可塑剤分子中の可塑化成分割合などの構成にもよるが、通常可塑剤全体の5重量%以上である。
また、本発明のポリエステルフィルムは、母材であるポリ乳酸系重合体を配向させ、透明性を保持したまま結晶化を促進させることが可能となることから、延伸して用いることが好ましい。延伸倍率は、少なくとも一軸方向に1.1倍以上であることが好ましく、さらに好ましくは少なくとも一軸方向に1.1〜10倍である。さらに、組成物(A/B)を用いた場合には配向結晶化と同時に可塑剤のポリ乳酸セグメントがこの結晶中に取り込まれることを促進することで、可塑剤の揮発や滲出、抽出(ブリードアウト)をさらに抑制することができる。また、配向結晶化によりポリエステルフィルムの強度物性も向上するため、柔軟性と強度を併せ持つポリエステルフィルムを得ることができる。例えばフィルムの延伸条件は、目的とする熱収縮特性、寸法安定性、強度、弾性率などに応じて、適宜調整し任意の方法で行うことができるが、例えば延伸温度は、用いるポリエステルのガラス転移温度以上、結晶化温度以下で行うことが、延伸性や透明性の点で好ましい。延伸倍率は、長手方向、幅方向にそれぞれ1.1倍〜10倍の範囲の任意とすることが好ましく、特に延伸倍率は長手方向、幅方向のどちらかを大きくしてもよく、同一であってもよい。なお、一軸方向の延伸倍率が10倍を超えると、延伸性が低下してフィルムの破断が頻発し、安定した延伸性を得られないことがある。また、延伸温度や延伸(変形)速度などの条件によっては不均一延伸となる場合もあり、一軸方向の好ましい延伸倍率は好ましくは2倍以上、さらに好ましくは2.5倍以上である。また、例えば二軸延伸フィルムとする場合の延伸倍率としては、延伸前後のフィルムの面積割合である面積倍率として、好ましくは4倍以上、さらに好ましくは7倍以上である。
なお、本発明のポリエステルフィルムに組成物(A/B)を用いる場合、延伸を伴わない場合も含めて、例えばタルクなどの無機系あるいはエルカ酸アミドなどの有機系核剤を併用すると、延伸時の配向結晶化と同様に、可塑剤の有するポリ乳酸セグメントが母材であるポリ乳酸系重合体から形成される結晶中に取り込まれ可塑剤の分子を母材につなぎ止める作用を促進し、この効果によって可塑剤の揮発や滲出、抽出(ブリードアウト)をさらに抑制できる場合がある。
本発明の組成物(A/B)は、所望の用途で必要な柔軟性や強度などの特性に合わせて適宜可塑剤(B)の添加量を決定すれば良いが、可塑剤のポリ乳酸セグメント成分を除いた可塑化成分の重量割合が、組成物全体の5重量%以上、30重量%以下であることが好ましい。この場合、柔軟性と強度物性などの機械的物性のバランスに優れたフィルムを得ることができる。
また、本発明の可塑剤(B)は、ポリエーテル系および/またはポリエステル系セグメントを有することが好ましい。ポリエーテル系および/またはポリエステル系セグメントを可塑剤(B)に導入することによって、本発明の目的である柔軟性をフィルムに付与することができる。ポリエーテル系の中でもポリアルキレンエーテルからなるセグメントを有することが好ましく、ポリエチレングリコールからなるセグメントを有することがさらに好ましい。可塑剤(B)がポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールあるいはポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール共重合体などのポリアルキレンエーテル、中でも特にポリエチレングリコールセグメントを有する場合、ポリ乳酸系重合体(A)との親和性が高いため可塑化効率に優れ、特に少量の可塑剤の添加で所望の柔軟性を有する組成物(A/B)を得ることができる。なお、本発明の可塑剤(B)がポリアルキレンエーテルからなるセグメントを有する場合、成形時などで加熱する際にポリアルキレンエーテルセグメント部分が酸化や熱分解され易い傾向があるため、後述するヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系などの酸化防止剤やリン系などの熱安定剤を併用することが好ましい。
なお、本発明の可塑剤(B)のポリ乳酸セグメント以外の成分としては、生分解性を有する成分を選択することが好ましい。
また、本発明のポリエステルフィルムは、好ましい態様において90℃、30分間の乾熱処理後の重量変化率が2%以下となる。なお、本発明において乾熱処理とは、90℃に保った熱風オーブン中で30分間放置する処理のことをいう。処理後の重量変化率が2%を超えると、ポリエステルフィルムを加熱して使用する際には揮発物で周囲を汚染したり、フィルムの柔軟性が失われたりする場合がある。本発明のポリエステルフィルムは90℃、30分間の乾熱処理後の重量変化率が、さらに好ましくは1.0%以下となり、特に好ましくは0.5%以下となる。
さらに、本発明のポリエステルフィルムは、好ましい態様において90℃、30分間の温水処理後の重量変化率が2%以下となる。なお、本発明において温水処理とは、90℃に保った蒸留水中で30分間放置する処理のことをいう。処理後の重量変化率が2%を超えると、ポリエステルフィルムを温水と接して使用する際には流出物で周囲を汚染したり、フィルムの柔軟性が失われたりする等の問題が発生する場合がある。例えば、包装材として用い、食品を包装して水中で加熱使用する場合には内容物に移行したりする恐れがある。通常、可塑剤を含有するフィルムからの可塑剤のブリードアウトは高温であるほど生じやすい。さらに、可塑剤を含有するフィルムを温水に浸すような処理を行うと、可塑剤と母材との間に親和性が無いかあるいは親和性があっても小さい場合には可塑剤は簡単に系外へブリードアウトしてしまう。特に、可塑剤が親水性をもつ場合にはこの現象が顕著となる。しかしながら本発明の発明者らは鋭意検討した結果、90℃、30分間の温水処理という非常に過酷な条件下においても上記現象を抑制できることを見出したものである。
上記の観点から、本発明のポリエステルフィルムの90℃、30分間の温水処理後の重量変化率は、さらに好ましくは1%以下、特に好ましくは0.5%以下である。
なお、本発明のポリエステルフィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で上記した特定の可塑剤以外の成分を含有してもよい。例えば、公知の各種可塑剤、酸化防止剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤あるいは着色顔料等として無機微粒子や有機化合物を必要に応じて添加してもよい。公知の可塑剤としては、例えば、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジシクロヘキシルなどのフタル酸エステル系、アジピン酸ジ−1−ブチル、アジピン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−n−ブチル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシルなどの脂肪族二塩基酸エステル系、リン酸ジフェニル−2−エチルヘキシル、リン酸ジフェニルオクチルなどのリン酸エステル系、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、クエン酸トリブチルなどのヒドロキシ多価カルボン酸エステル系、アセチルリシノール酸メチル、ステアリン酸アミルなどの脂肪酸エステル系、グリセリントリアセテート、トリエチレングリコールジカプリレートなどの多価アルコールエステル系、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油脂肪酸ブチルエステル、エポキシステアリン酸オクチルなどのエポキシ系可塑剤、ポリプロピレングリコールセバシン酸エステルなどのポリエステル系可塑剤、ポリアルキレンエーテル系、エーテルエステル系、アクリレート系などが挙げられる。なお、安全性の面から、米食品衛生局(FDA)の認可がなされている可塑剤を用いることが好ましい。酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系などが例示される。着色顔料としてはカーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄などの無機顔料の他、シアニン系、スチレン系、フタロシアイン系、アンスラキノン系、ペリノン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、キノクリドン系、チオインディゴ系などの有機顔料等を使用することができる。また、成形品の易滑性や耐ブロッキング性の向上を目的として、無機微粒子を添加するする際には、例えば、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウムなどを用いることができる。その平均粒径は、特に限定されないが、0.01〜5μmが好ましく、より好ましくは0.05〜3μm、最も好ましくは0.08〜2μmである。
さらに、本発明のポリエステルフィルムは、溶融粘度を低減させたりあるいは生分解性を向上させるなどの目的で、本発明の効果を損なわない範囲でポリ乳酸系重合体(A)以外の脂肪族ポリエステルを含有しても良い。ポリ乳酸系重合体以外の脂肪族ポリエステルとしては、ポリグリコール酸、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート・3−ヒドロキシバリレート)、ポリカプロラクトン、あるいはエチレングリコール、1,4−ブタンジオールなどの脂肪族ジオールとコハク酸、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸よりなるポリエステル、ポリグリコール酸などの脂肪族ポリヒドロキシカルボン酸などが挙げられる。
なお、本発明のポリエステルフィルムに、ポリ乳酸系重合体(A)や一分子中に分子量が1,500以上のポリ乳酸セグメントを一つ以上有し、ポリエーテル系および/またはポリエステル系セグメントを有する可塑剤(B)以外の成分を含有させる場合は、生分解性を有する成分を選択することが好ましい。
本発明の可塑剤(B)は、例えば、あらかじめ分子量が1,500以上のポリ乳酸オリゴマーをラクチド開環法あるいは乳酸縮合重合法などの常法により重合し、一つ以上の官能基を有する、可塑剤の主成分と成すポリエーテル系および/またはポリエステル系セグメントを有する化合物と適量反応させることで得ることができるが、可塑剤の主成分と成す化合物を重合開始剤としてラクチドの開環重合によりこれに付加する、あるいは可塑剤の主成分と成す化合物を重合開始剤とし乳酸の脱水縮合重合によりこれに付加しても良い。また、分子量が1,500以上のポリ乳酸オリゴマーと可塑剤の主成分と成す化合物の併存下で加熱混練などの処理により、ジカルボン酸無水物系化合物やジイソシアネート系化合物などの2官能性化合物を鎖連結剤として作用させて、両者を化学的に結合させても良い。
次に、一分子中に分子量が1,500以上のポリ乳酸セグメントを一つ以上有し、ポリエーテル系および/またはポリエステル系セグメントを有する可塑剤(B)のより具体的な例を説明する。
両末端に水酸基末端を有するポリエチレングリコール(PEG)を用意する。両末端に水酸基末端を有するポリエチレングリコール(PEG)の平均分子量(MPEG)は、通常、市販品などの場合、中和法などにより求めた水酸基価から計算される。両末端に水酸基末端を有するポリエチレングリコール(PEG)wB重量部に対し、ラクチドwA重量部を添加した系において、PEGの両水酸基末端にラクチドを開環付加重合させ十分に反応させると、実質的にPLA(A)−PEG(B)−PLA(A)型のブロック共重合体を得ることができる。この反応は、必要に応じてオクチル酸錫などの触媒併存下でおこなわれる。このブロック共重合体からなる可塑剤の一つのポリ乳酸セグメントの数平均分子量は、実質的に(1/2)×(wA/wB)×MPEGと求めることができる。また、ポリ乳酸セグメント成分の可塑剤全体に対する重量割合は、実質的に100×wA/(wA+wB)%と求めることができる。さらに、ポリ乳酸セグメント成分を除いた可塑化成分の可塑剤全体に対する重量割合は、実質的に100×wB/(wA+wB)%と求めることができる。前記に例示した数値は、実際には平均値としての値となり生成した可塑剤の分子量やポリ乳酸部分のセグメント長などは一定の分布を有するが、前記した値のA−B−A型ブロック共重合体を主成分とする化合物を得ることができる。
可塑剤が未反応PEGや末端のポリ乳酸セグメント分子量が1,500に満たないPEGなどの未反応物や、ラクチドオリゴマーなどの副生成物、あるいは、不純物を多量に含む場合には、例えば次の精製方法によりこれを除去することが好ましい。精製方法としては、可塑剤自体を水洗する方法、クロロホルムなどの適当な良溶媒に合成した可塑剤を均一溶解した後、水や水/メタノール混合溶液およびジエチルエーテルなど適当な貧溶媒を滴下する方法、あるいは、大過剰の貧溶媒中に良溶媒溶液を加えるなどして沈殿させ、遠心分離あるいはろ過などにより沈殿物を分離し溶媒を揮散させ、可塑剤を水に浸漬後50〜90℃に加熱し必要に応じて攪拌の後、可塑剤を含有する有機相を抽出し乾燥して水を除去する方法等が挙げられる。精製方法は上記に限られず、また、必要に応じて上記の操作を複数回繰り返しても良い。上記において、貧溶媒の選択は特に重要となる。可塑剤自体の水洗や、良溶媒に溶解させた後、水あるいは水/メタノール混合溶媒等の親水性の高い溶媒と可塑剤を接触させる場合は、可塑剤中に含まれるラクチドの除去には非常に有用であるが、条件によっては精製と同時に可塑剤自体の加水分解を引き起こし、操作条件によっては若干のPEG含有量が大きくなる場合があり、操作に注意が必要である。一方、良溶媒に溶解させた後ジエチルエーテル等の疎水性の高い溶媒に溶解させる場合にはラクチドの除去だけでなくラクチドオリゴマー、未反応PEG等、系中からの揮発や滲出、抽出(ブリードアウト)により柔軟性変化の要因となりうる可塑剤中の副生成物および不純物をバランスよく除去することが可能となる。上記の観点から、高温高湿処理前後におけるフィルムの柔軟性変化の抑制には、可塑剤をクロロホルムに溶解させた後、ジエチルエーテル中に再沈させる精製方法が特に好ましい。
上記した方法で、PLA(A)−PEG(B)−PLA(A)型のブロック共重合体の可塑剤を作成した場合、作成した可塑剤が有する一つのポリ乳酸セグメントの分子量は、次の方法で求めることができる。すなわち、可塑剤の重クロロホルム溶液を用いて、1H−NMR測定により得られたチャートを基に、(1/2)×(IPLA×72)/(IPEG×44/4)×MPEGと算出する。ただし、IPEGは、PEG主鎖部のメチレン基の水素に由来するシグナル積分強度、IPLAは、PLA主鎖部のメチン基の水素に由来するシグナル積分強度である。可塑剤合成時のラクチドの反応率が十分に高くほぼ全てのラクチドがPEG末端部に開環付加する条件にて合成した場合は、多くの場合、1H−NMR測定により得られたチャートを基にした方法が好ましい。
なお、本発明における組成物(A/B)からフィルムを得た後などに、可塑剤(B)のポリ乳酸セグメント分子量などの評価のために使用した可塑剤(B)を分離する方法としては、例えばクロロホルムなどの適当な良溶媒に組成物(A/B)を均一溶解した後、水や水/メタノール混合溶液など適当なポリ乳酸系重合体(A)の貧溶媒に滴下してろ過などによりポリ乳酸系重合体(A)を主に含む沈殿物を除去し、ろ液の溶媒を揮散させて分離した可塑剤を得る方法などが挙げられるが、これに限られるものではなく、使用する可塑剤やポリ乳酸系重合体などに応じて適当な手法を選択し、あるいは組み合わせると良い。
例えば上述した方法により得られた、一分子中に分子量が1,500以上のポリ乳酸セグメントを一つ以上有するPLA(A)−PEG(B)−PLA(A)型のブロック共重合体を可塑剤(B)として使用すれば、従来技術ではなしえなかった、十分な柔軟性を有しなおかつ可塑剤の揮発や滲出、抽出(ブリードアウト)が抑制されたポリエステルフィルムを提供することにあたり十分な効果を得ることができる。
また、ポリ乳酸系重合体(A)に前述した可塑剤(B)を添加する方法としては、ポリ乳酸系重合体の溶融状態で可塑剤を所望の重量割合にて添加・溶融混練することで得ることができるが、ポリ乳酸系重合体の高重合度化、ラクチドをはじめとする未反応物あるいは低分子量物などの抑制などの観点から、ポリマーの重合反応終了後に可塑剤を添加・溶融混練することが好ましい。上述したポリ乳酸系重合体と可塑剤の添加・溶融混練としては、例えば、重縮合反応終了直後、溶融状態のポリ乳酸系重合体に可塑剤を添加し攪拌・溶融混練させる方法、ポリ乳酸系重合体のチップに可塑剤を添加・混合した後に反応缶あるいはエクストルーダなどで溶融混練する方法、エクストルーダ中でポリ乳酸系重合体に必要に応じて加熱するなどして液状とした可塑剤を連続的に添加し、溶融混練する方法、可塑剤を高濃度含有させたポリ乳酸系重合体のマスターチップとポリ乳酸系重合体のホモチップとを混合したブレンドチップをエクストルーダなどで溶融混練する方法などにより行うことができる。
本発明のポリエステルフィルムでは既存の溶融成形法により得ることができるが、特に高温高湿処理前後の柔軟性変化を抑制する方法を含めて、例として以下に説明する。
フィルムでは、インフレーション法、逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法などの既存の延伸フィルムの製造法により得ることが出来る。いずれの場合にも使用するポリ乳酸系重合体中(A)の未反応物あるいは低分子量物含有量を低減するため、90℃〜110℃にて真空乾燥し、真空度を10Torr以下の高真空とし、乾燥時間は6時間以上とすることが好ましい。また、さらに好ましい未反応物あるいは低分子量物除去の方法として、ポリ乳酸重合体を10倍体積量以上のアセトンに24時間以上浸漬したのち、アセトン溶液を分離してさらに真空乾燥する方法が挙げられる。用いる可塑剤(B)に含まれる未反応物や不純物を除去するため、(B)を良溶媒、例えば前記したようなクロロホルムに溶解させた後、良溶媒の10倍体積以上の貧溶媒中、例えば前記したようなジエチルエーテルに滴下し再沈させることが好ましい。この際、貧溶媒は未反応物や不純物に対しては溶解し、(B)に対しては溶解しないものを選択することが好ましい。逐次二軸延伸法や同時二軸延伸法でのフィルムの製造においては、ポリ乳酸系重合体組成物を公知の方法でスリット状の口金よりシート状に溶融押し出しすることができるが、押出し機やポリマー配管、口金などの温度は200℃以下が好ましく、190℃以下がさらに好ましく、180℃以下がより好ましい。また、ポリ乳酸重合体組成物が押出し機内で溶融されてから口金より吐出されるまでの滞留時間は20分以下であることが好ましく、10分以下であることがさらに好ましく、5分以下であることがより好ましい。押出されたシート状の溶融物はキャスティングドラムに密着させて冷却固化せしめて未延伸フィルムを得る。ポリ乳酸系重合体(A)に可塑剤(B)を添加する方法は、例えば、可塑剤を高濃度含有させたポリ乳酸系重合体のマスターチップとポリ乳酸系重合体のホモチップとを混合したブレンドチップをエクストルーダなど製膜機の押出系へ供して溶融混練しても良いが、組成物の熱劣化を最小限にし低分子量体や不純物含有量を低減するためには、二軸の押出機を使用するなどして押出機中で溶融したポリ乳酸系重合体に、必要に応じて加熱するなどして液状とした可塑剤を計量しつつ連続的に添加し、溶融混練する方法が好ましい。さらに二軸押出機の途中にペントポートを設け、ベントポートの減圧化により溶融時に発生する未反応物や不純物などの低分子量揮発成分を除去する方法がより好ましい。かかる方法で得た未延伸フィルムを連続して少なくとも一方向に延伸した後、必要に応じて1段目延伸方向と直交する方向に延伸する。延伸に引き続いてあるいは一旦巻き取った後、100℃以上のより高い温度で、10秒以上のより長時間熱処理しフィルム中の未反応物や不純物を除去することが好ましい。
さらに、フィルムに成形した後に、印刷性、ラミネート適性、コーティング適性などを向上させる目的で各種の表面処理を施しても良い。表面処理の方法としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、酸処理などが挙げられ、いずれの方法をも用いることができが、連続処理が可能であり、既存の製膜設備への装置設置が容易な点や処理の簡便さからコロナ放電処理が最も好ましいものとして例示できる。
本発明のフィルムの厚さは特に制限はなく、用途に応じて要求される性能、例えば、柔軟性、強度、透明性、生分解速度、価格などにより適宜な厚さにすればよいが、通常5μm以上、1mm以下であり、特に5μm以上、200μm以下の範囲が好んで選択される。また、包装用ラップフィルム、中でも食品包装用ラップフィルムとしては、5μm以上、25μm以下の範囲が好んで選択される。
本発明のフィルムは、フィルムヘイズ値が0.2〜5%であることが好ましい。フィルムヘイズ値は、実施例に記載の方法にて評価され、実際の測定値から比例計算によりフィルム厚さが10μmの場合に換算して得られる値を言う。特に包装用ラップフィルム、中でも食品包装用ラップフィルムの用途においては、フィルムヘイズ値が0.2〜5%であれば内容物を容易に見分けることができ、好適である。フィルムヘイズ値の好ましい範囲としては、0.2〜3%であり、さらに好ましい範囲は0.2〜1.5%である。また、実際の測定値においても10%以下であることが好ましい。さらに、ゴミ袋や農業用マルチフィルムなどむしろ一定の隠蔽性が必要とされたり、光線透過率が低いあるいは太陽光などの吸収率が高い方が好ましい用途においては、必要に応じて例えば着色顔料などを添加すると良い。
本発明のポリエステルフィルムは、実用的に十分な柔軟性を持ち、さらに高温高湿処理後にも実用に充分耐える柔軟性を保持されたポリエステルフィルムであるため、従来以上に広い分野での利用が可能である。例えば、フィルムやシートでは包装用ラップフィルムなどの包装材料、農業用フィルム、自動車塗膜保護シート、ごみ袋、堆肥袋などの産業資材、各種軟質塩化ビニルが用いられている工業材料用途などが挙げらる。
本発明のポリエステルフィルムは、上述した形態のなかでも体積比表面積が大きく、可塑剤の揮発や滲出、抽出(ブリードアウト)、さらには高温高湿環境下で使用する分野において特に有効である。例えば、包装用ラップフィルムとして使用する場合では、使用開始直後から実用上十分な柔軟性や透明性および強度物性を併せ持ち、使用時においては経時における可塑剤の揮発や滲出、抽出(ブリードアウト)が事実上ほとんどないために柔軟性や透明性は使用開始時の性能を使用期間の長期にわたって維持することができ、さらに、加熱使用時においても柔軟性が変化するといった問題がない。また可塑剤として生分解性を有するものを含有させた場合には、使用後は食品などの内容物とともに分別することなくそのままコンポスト化可能な包装用ラップフィルムを得ることができる。さらには経時安定性に富んでいるため製造後長期間経た後でも劣化することもなく当初の性能を発揮するフィルムを得ることができる。また、フィルム製膜など成形した後に行われる、成形品の各種後加工工程で種々の乾熱加工時や高温雰囲気中で処理した後においても、安定した柔軟性や透明性を有するフィルムとすることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。なお、実施例中の物性は次の方法で測定した値である。
(1)フィルムの初期引張弾性率(a)[GPa]
フィルムサンプルを長手方向150mm、幅方向10mmに切り出し、あらかじめ温度23℃、湿度65%RHの雰囲気下で24時間調湿した。この試料を23℃の雰囲気下でJIS K7161およびJIS K7127に準じて、テンシロン万能試験機UTC−100型(株式会社オリエンテック)を用い、初期長50mm、引張速度300mm/分条件で引張試験を行った。次いで引張試験で得られた応力−歪み曲線の最初の直線部分を用いて、直線上の2点間の応力の差を同じ2点間の歪みの差で除し、計5回の試験を行い、平均値を求め、これを初期引張弾性率とした。
(2)高温恒湿処理
(1)60℃の温水中で30分間の処理
あらかじめ、温度23℃、湿度65%RHの雰囲気下で1日調湿したフィルムサンプルを、温度60℃に保った蒸留水中に30分間放置した。
(2)90℃の温水中で30分間の処理
あらかじめ、温度23℃、湿度65%RHの雰囲気下で1日調湿したフィルムサンプルを、温度90℃に保った蒸留水中に30分間放置した。
(3)90℃の温水中で60分間の処理
あらかじめ、温度23℃、湿度65%RHの雰囲気下で1日調湿したフィルムサンプルを、温度90℃に保った蒸留水中に60分間放置した。
(3)高温高湿処理後のフィルム初期引張弾性率(b)[GPa]
(2)に示す条件で処理を行った後、再度処理前と同様の条件で調湿してから(1)と同様にして高温高湿後の初期引張弾性率(b)を測定した。
(4)高温高湿処理後の初期引張弾性率変化評価
高温高湿処理後の初期引張弾性率の変化は下記基準にて評価した。
A:(式1)に加え(式4)をさらに満たす
B:(式1)に加え(式2)をさらに満たす
C:(式1)に加え(式3)をさらに満たす
D:(式1)を満たす
×:(式1)を満たさない
(5)乾熱処理後の重量変化率[%]:
あらかじめ、温度23℃、湿度65%RHの雰囲気下で1日調湿したフィルムサンプルについて処理前の重量を測定し、90℃の熱風オーブン中で30分間処理した後に再度処理前と同様の条件で調湿してから重量を測定した。重量変化率は、処理前後での重量変化(減少)の処理前の重量に対する割合として算出した。
(6)温水処理後の重量変化率[%]:
あらかじめ、温度23℃、湿度65%RHの雰囲気下で1日調湿したフィルムサンプルについて処理前の重量を測定し、90℃の蒸留水中で30分間処理した後に再度処理前と同様の条件で調湿してから重量を測定した。重量変化率は、処理前後での重量変化(減少)の処理前の重量に対する割合として算出した。
(7)フィルムヘイズ値[%]
フィルムサンプルの透明性の指標として、あらかじめ厚みを測定したフィルムサンプルのヘイズ値をヘイズメーターHGM−2DP型(スガ試験機株式会社製)を用いて測定した。測定は1水準につき5回行い、5回の測定の平均値から厚み10μmのフィルムとした場合の換算値としてフィルムヘイズ値%を求めた。
本実施例で用いたポリ乳酸系重合体、可塑剤は次のとおりにして得られた。
<ポリ乳酸系重合体(P1)>
L−ラクチド100重量部に対しオクチル酸錫を0.1重量部、ラウリルアルコールを0.1重量部混合し、撹拌装置付きの反応容器中で窒素雰囲気中190℃で15分間重合し、さらに2軸混練押出し機にてチップ化した後、140℃の窒素雰囲気下で3時間固相重合してポリ乳酸系重合体P1を得た。P1についてDSC測定を行ったところ、P1は結晶性を有し、結晶化温度は128℃、融点は172℃であった。
<ポリ乳酸系重合体(P2)>
L−ラクチド65重量部およびDL−ラクチド35重量部に対しオクチル酸錫を0.1重量部、ラウリルアルコールを0.1重量部混合し、撹拌装置付きの反応容器中で窒素雰囲気中190℃で3時間重合し、さらに2軸混練押出し機にてチップ化してポリ乳酸系重合体P2を得た。P2についてDSC測定を行ったところ、P2は結晶性を示さず、結晶化温度および融点は観測されなかった。
<脂肪族ポリエステル(P3)>
昭和高分子社製PBSA系樹脂:“ビオノーレ”#3001を用いた。
<可塑剤(S1)>
平均分子量10,000のポリ(1,3−ブタンジオールアジペート)71重量部とL−ラクチド29重量部に対し、オクチル酸錫0.07重量部を混合し、撹拌装置付きの反応容器中で窒素雰囲気中190℃で60分間重合し、平均分子量2,000のポリ乳酸セグメントを有する、ポリ(1,3−ブタンジオールアジペート)とポリ乳酸のブロック共重合物S1を得た。
<可塑剤(S2)>
平均分子量2,000のポリプロピレングリコールの両末端にエチレンオキサイドを付加反応させて作成した、分子量10,000のポリプロピレングリコール・エチレングリコールブロック共重合体71重量部とL−ラクチド29重量部に対し、オクチル酸錫0.07重量部を混合し、撹拌装置付きの反応容器中で窒素雰囲気中190℃で60分間重合し、平均分子量2,000のポリ乳酸セグメントを有する、ポリプロピレングリコール・エチレングリコールとポリ乳酸のブロック共重合物S2を得た。
<可塑剤(S3)>
平均分子量10,000のポリエチレングリコール71重量部とL−ラクチド29重量部に対し、オクチル酸錫0.07重量部を混合し、撹拌装置付きの反応容器中で窒素雰囲気中190℃で60分間重合し、平均分子量2,000のポリ乳酸セグメントを有する、ポリエチレングリコールとポリ乳酸のブロック共重合物S3を得た。
<可塑剤(S3’)>
S3と同様の方法で平均分子量2,000のポリ乳酸セグメントを有する、ポリエチレングリコールとポリ乳酸のブロック共重合物を得た後、この化合物をクロロホルムに溶解し撹拌した後、クロロホルムの20倍体積のジエチルエーテル中に再沈させ析出した固体を分離し、さらに90℃の加熱窒素にて乾燥して水分率が1%となるまで乾燥してS3’を得た。
<可塑剤(S4)>
三洋化成工業(株)社製ポリエチレングリコール:“PEG−600”を用いた。
<可塑剤(S5)>
旭電化工業(株)社製エーテルエステル系可塑剤:“RS−1000”を用いた。
(実施例1)
ポリ乳酸系重合体(P1)57重量部と可塑剤(S1)43重量部、およびチバガイギー社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤“イルガノックス1010”0.3重量部の混合物を100℃で6時間、10torrの高真空下で乾燥した後、シリンダー温度200℃の二軸混練押出機に供して溶融混練し均質化した後にチップ化した組成物を得た。得られた組成物は透明であった。この組成物(チップ)をさらに10torrの高真空下、80℃で24時間乾燥し以下の製膜に供した。
上記のチップを溶融温度200℃に設定した一軸エクストルーダーにて溶融し、溶融ポリマーをTダイ口金に導いてシート状に押し出し、5℃に冷却したドラム上にキャストして厚さ200μmの未延伸フィルムを形成した。バッチ式のフィルム用二軸延伸装置により、この未延伸フィルムを用いて、延伸温度70℃、縦および横方向の延伸倍率をともに3.2倍、面積倍率として10倍となるように同時二軸延伸した後、140℃の雰囲気下で20秒加熱処理して二軸延伸フィルムに成形した。得られた二軸延伸フィルムは透明であった。二軸延伸フィルムの評価結果を表1に示す。
Figure 2005126574
(実施例2)
ポリ乳酸系重合体(P1)72重量部と可塑剤(S2)28重量部、およびチバガイギー社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤“イルガノックス1010”0.3重量部の混合物を100℃で6時間、10torrの高真空下で乾燥した後、シリンダー温度200℃の二軸混練押出機に供して溶融混練し均質化した後にチップ化した組成物を得た。得られた組成物は透明であった。この組成物(チップ)をさらに10torrの高真空下、80℃で24時間乾燥し以下の製膜に供した。
上記のチップを溶融温度200℃に設定した一軸エクストルーダーにて溶融し、溶融ポリマーをTダイ口金に導いてシート状に押し出し、5℃に冷却したドラム上にキャストして厚さ200μmの未延伸フィルムを形成した。バッチ式のフィルム用二軸延伸装置により、この未延伸フィルムを用いて、延伸温度60℃、縦および横方向の延伸倍率をともに3.2倍、面積倍率として10倍となるように同時二軸延伸した後、140℃の雰囲気下で20秒加熱処理して二軸延伸フィルムに成形した。得られた二軸延伸フィルムは透明であった。二軸延伸フィルムの評価結果を表1に示す。
(実施例3)
ポリ乳酸系重合体(P1)72重量部と可塑剤(S3)28重量部、およびチバガイギー社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤“イルガノックス1010”0.3重量部の混合物を100℃で6時間、10torrの高真空下で乾燥した後、シリンダー温度200℃の二軸混練押出機に供して溶融混練し均質化した後にチップ化した組成物を得た。得られた組成物は透明であった。この組成物(チップ)をさらに10torrの高真空下、80℃で24時間乾燥し以下の製膜に供した。
上記のチップを溶融温度200℃に設定した一軸エクストルーダーにて溶融し、溶融ポリマーをTダイ口金に導いてシート状に押し出し、5℃に冷却したドラム上にキャストして厚さ200μmの未延伸フィルムを形成した。
(実施例4)
ポリ乳酸系重合体(P1)72重量部と可塑剤(S3)28重量部、およびチバガイギー社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤“イルガノックス1010”0.3重量部の混合物を100℃で6時間、10torrの高真空下で乾燥した後、シリンダー温度200℃の二軸混練押出機に供して溶融混練し均質化した後にチップ化した組成物を得た。得られた組成物は透明であった。この組成物(チップ)をさらに10torrの高真空下、80℃で24時間乾燥し以下の製膜に供した。
上記のチップを溶融温度200℃に設定した一軸エクストルーダーにて溶融し、溶融ポリマーをTダイ口金に導いてシート状に押し出し、5℃に冷却したドラム上にキャストして厚さ200μmの未延伸フィルムを形成した。バッチ式のフィルム用二軸延伸装置により、この未延伸フィルムを用いて、延伸温度60℃、縦および横方向の延伸倍率をともに3.2倍、面積倍率として10倍となるように同時二軸延伸した後、140℃の雰囲気下で20秒加熱処理して二軸延伸フィルムに成形した。得られた二軸延伸フィルムは透明であった。二軸延伸フィルムの評価結果を表1に示す。
(実施例5)
ポリ乳酸系重合体(P1)72重量部と可塑剤(S3’)28重量部、およびチバガイギー社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤“イルガノックス1010”0.3重量部の混合物を100℃で6時間、10torrの高真空下で乾燥した後、シリンダー温度200℃の二軸混練押出機に供して溶融混練し均質化した後にチップ化した組成物を得た。得られた組成物は透明であった。この組成物(チップ)をさらに10torrの高真空下、80℃で24時間乾燥し以下の製膜に供した。
上記のチップを溶融温度200℃に設定した一軸エクストルーダーにて溶融し、溶融ポリマーをTダイ口金に導いてシート状に押し出し、5℃に冷却したドラム上にキャストして厚さ200μmの未延伸フィルムを形成した。バッチ式のフィルム用二軸延伸装置により、この未延伸フィルムを用いて、延伸温度60℃、縦および横方向の延伸倍率をともに3.2倍、面積倍率として10倍となるように同時二軸延伸した後、140℃の雰囲気下で20秒加熱処理して二軸延伸フィルムに成形した。得られた二軸延伸フィルムは透明であった。二軸延伸フィルムの評価結果を表1に示す。
(実施例6)
10torrの高真空下、100℃で6時間減圧乾燥したポリ乳酸系重合体(P1)17重量部および可塑剤(S3’)28重量部と、10torrの高真空下、50℃で48時間減圧乾燥したポリ乳酸系重合体(P2)55重量部と、チバガイギー社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤“イルガノックス1010”0.3重量部の混合物をシリンダー温度200℃の二軸混練押出機に供して溶融混練し均質化した後にチップ化した組成物を得た。得られた組成物は透明であった。この組成物(チップ)をさらに10torrの高真空下、80℃で24時間乾燥し以下の製膜に供した。
上記のチップを溶融温度200℃に設定した一軸エクストルーダーにて溶融し、溶融ポリマーをTダイ口金に導いてシート状に押し出し、5℃に冷却したドラム上にキャストして厚さ200μmの未延伸フィルムを形成した。バッチ式のフィルム用二軸延伸装置により、この未延伸フィルムを用いて、延伸温度60℃、縦および横方向の延伸倍率をともに3.2倍、面積倍率として10倍となるように同時二軸延伸した後、140℃の雰囲気下で20秒加熱処理して二軸延伸フィルムに成形した。得られた二軸延伸フィルムは透明であった。二軸延伸フィルムの評価結果を表1に示す。
(実施例7)
10torrの高真空下、100℃で6時間減圧乾燥したポリ乳酸系重合体(P1)79重量部および可塑剤(S3’)7重量部と、10torrの高真空下、50℃で48時間以上減圧乾燥したポリ乳酸系重合体(P2)14重量部と、チバガイギー社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤“イルガノックス1010”0.3重量部の混合物をシリンダー温度200℃の二軸混練押出機に供して溶融混練し均質化した後にチップ化した組成物を得た。得られた組成物は透明であった。この組成物(チップ)をさらに10torrの高真空下、70℃で24時間乾燥し以下の製膜に供した。
上記のチップを溶融温度190℃に設定した一軸エクストルーダーにて溶融し、溶融ポリマーをTダイ口金に導いてシート状に押し出し、5℃に冷却したドラム上にキャストして厚さ200μmの未延伸フィルムを形成した。バッチ式のフィルム用二軸延伸装置により、この未延伸フィルムを用いて、延伸温度65℃、縦および横方向の延伸倍率をともに3.2倍、面積倍率として10倍となるように同時二軸延伸した後、140℃の雰囲気下で20秒加熱処理して二軸延伸フィルムに成形した。得られた二軸延伸フィルムは透明であった。二軸延伸フィルムの評価結果を表1に示す。
(実施例8)
10torrの高真空下、100℃で6時間減圧乾燥したポリ乳酸系重合体(P1)59重量部および可塑剤(S3’)14重量部と、10torrの高真空下、50℃で48時間以上減圧乾燥したポリ乳酸系重合体(P2)27重量部と、チバガイギー社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤“イルガノックス1010”0.3重量部の混合物をシリンダー温度200℃の二軸混練押出機に供して溶融混練し均質化した後にチップ化した組成物を得た。得られた組成物は透明であった。この組成物(チップ)をさらに10torrの高真空下、70℃で24時間乾燥し以下の製膜に供した。
上記のチップを溶融温度190℃に設定した一軸エクストルーダーにて溶融し、溶融ポリマーをTダイ口金に導いてシート状に押し出し、5℃に冷却したドラム上にキャストして厚さ200μmの未延伸フィルムを形成した。バッチ式のフィルム用二軸延伸装置により、この未延伸フィルムを用いて、延伸温度65℃、縦および横方向の延伸倍率をともに3.2倍、面積倍率として10倍となるように同時二軸延伸した後、140℃の雰囲気下で20秒加熱処理して二軸延伸フィルムに成形した。得られた二軸延伸フィルムは透明であった。二軸延伸フィルムの評価結果を表1に示す。
(実施例9)
10torrの高真空下、100℃で6時間減圧乾燥したポリ乳酸系重合体(P1)15重量部および可塑剤(S3’)35重量部と、10torrの高真空下、50℃で48時間以上減圧乾燥したポリ乳酸系重合体(P2)50重量部と、チバガイギー社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤“イルガノックス1010”0.3重量部の混合物をシリンダー温度200℃の二軸混練押出機に供して溶融混練し均質化した後にチップ化した組成物を得た。得られた組成物は透明であった。この組成物(チップ)をさらに10torrの高真空下、70℃で24時間乾燥し以下の製膜に供した。
上記のチップを溶融温度190℃に設定した一軸エクストルーダーにて溶融し、溶融ポリマーをTダイ口金に導いてシート状に押し出し、5℃に冷却したドラム上にキャストして厚さ200μmの未延伸フィルムを形成した。バッチ式のフィルム用二軸延伸装置により、この未延伸フィルムを用いて、延伸温度50℃、縦および横方向の延伸倍率をともに3.2倍、面積倍率として10倍となるように同時二軸延伸した後、140℃の雰囲気下で20秒加熱処理して二軸延伸フィルムに成形した。得られた二軸延伸フィルムは透明であった。二軸延伸フィルムの評価結果を表1に示す。
(比較例1)
ポリ乳酸系重合体(P1)およびチバガイギー社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤“イルガノックス1010”0.3重量部の混合物を100℃で6時間、10torrの高真空下で乾燥した後、シリンダー温度200℃の二軸混練押出機に供して溶融混練し均質化した後にチップ化した組成物を得た。得られた組成物は透明であった。この組成物(チップ)をさらに10torrの高真空下、100℃で24時間乾燥し以下の製膜に供した。
上記のチップを溶融温度210℃に設定した一軸エクストルーダーにて溶融し、溶融ポリマーをTダイ口金に導いてシート状に押し出し、5℃に冷却したドラム上にキャストして厚さ200μmの未延伸フィルムを形成した。バッチ式のフィルム用二軸延伸装置により、この未延伸フィルムを用いて、延伸温度80℃、縦および横方向の延伸倍率をともに3.2倍、面積倍率として10倍となるように同時二軸延伸した後、140℃の雰囲気下で20秒加熱処理して二軸延伸フィルムに成形した。得られた二軸延伸フィルムは透明であった。二軸延伸フィルムの評価結果を表1に示す。
(比較例2)
ポリ乳酸系重合体(P1)80重量部と可塑剤(S4)20重量部、およびチバガイギー社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤“イルガノックス1010”0.3重量部の混合物を100℃で6時間、10torrの高真空下で乾燥した後、シリンダー温度200℃の二軸混練押出機に供して溶融混練し均質化した後にチップ化した組成物を得た。この組成物(チップ)をさらに10torrの高真空下、80℃で24時間乾燥し以下の製膜に供した。
上記のチップを溶融温度200℃に設定した一軸エクストルーダーにて溶融し、溶融ポリマーをTダイ口金に導いてシート状に押し出し、5℃に冷却したドラム上にキャストして厚さ200μmの未延伸フィルムを形成した。バッチ式のフィルム用二軸延伸装置により、この未延伸フィルムを用いて、延伸温度60℃、縦および横方向の延伸倍率をともに3.2倍、面積倍率として10倍となるように同時二軸延伸した後、140℃の雰囲気下で20秒加熱処理して二軸延伸フィルムに成形した。二軸延伸フィルムの評価結果を表1に示す。
(比較例3)
ポリ乳酸系重合体(P1)80重量部と可塑剤(S5)20重量部、およびチバガイギー社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤“イルガノックス1010”0.3重量部の混合物を100℃で6時間、10torrの高真空下で乾燥した後、シリンダー温度200℃の二軸混練押出機に供して溶融混練し均質化した後にチップ化した組成物を得た。この組成物(チップ)をさらに10torrの高真空下、80℃で24時間乾燥し以下の製膜に供した。
上記のチップを溶融温度200℃に設定した一軸エクストルーダーにて溶融し、溶融ポリマーをTダイ口金に導いてシート状に押し出し、5℃に冷却したドラム上にキャストして厚さ200μmの未延伸フィルムを形成した。バッチ式のフィルム用二軸延伸装置により、この未延伸フィルムを用いて、延伸温度60℃、縦および横方向の延伸倍率をともに3.2倍、面積倍率として10倍となるように同時二軸延伸した後、140℃の雰囲気下で20秒加熱処理して二軸延伸フィルムに成形した。二軸延伸フィルムの評価結果を表1に示す。
(比較例4)
10torrの高真空下、100℃で6時間減圧乾燥したポリ乳酸系重合体(P1)75重量部と、10torrの高真空下、50℃で48時間以上減圧乾燥脂肪族ポリエステル(P3)25重量部の混合物をシリンダー温度200℃の二軸混練押出機に供して溶融混練し均質化した後にチップ化した組成物を得た。得られた組成物は白濁していた。この組成物(チップ)をさらに10torrの高真空下、70℃で24時間乾燥し以下の製膜に供した。
上記のチップを溶融温度200℃に設定した一軸エクストルーダーにて溶融し、溶融ポリマーをTダイ口金に導いてシート状に押し出し、5℃に冷却したドラム上にキャストして厚さ200μmの未延伸フィルムを形成した。バッチ式のフィルム用二軸延伸装置により、この未延伸フィルムを用いて、延伸温度70℃、縦および横方向の延伸倍率をともに3.2倍、面積倍率として10倍となるように同時二軸延伸した後、140℃の雰囲気下で20秒加熱処理して二軸延伸フィルムに成形した。得られた二軸延伸フィルムは白濁していた。二軸延伸フィルムの評価結果を表1に示す。
本発明は、包装用ラップフィルムに限らず、その他包装材料、農業用フィルム、自動車塗膜保護シート、ごみ袋、堆肥袋などの産業資材用フィルム、各種軟質塩化ビニルが用いられている工業材料用フィルムなどに応用することができるが、その応用範囲が、これらに限られるものではない。

Claims (12)

  1. ポリ乳酸系重合体(A)を主成分とする組成物からなるポリエステルフィルムであって、該フィルムの23℃における初期引張弾性率(a)が少なくとも一方向で0.1〜2GPaであり、温度60℃の温水中で30分間処理した後の23℃における初期引張弾性率(b)と(a)が(式1)を満たすポリエステルフィルム。
    |(a)−(b)|≦2−0.35×(a)・・・(式1)
  2. ポリエステルフィルムが少なくとも一軸方向に1.1倍以上延伸して得られることを特徴とする請求項1に記載のポリエステルフィルム。
  3. さらに(式2)を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステルフィルム。
    |(a)−(b)|≦1−0.35×(a)・・・(式2)
  4. 90℃、30分間の乾熱処理後の重量変化率が2%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  5. 90℃、30分間の温水処理後の重量変化率が2%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  6. フィルムヘイズ値が0.2〜5%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  7. 組成物が、結晶性を有するポリ乳酸系重合体(A)と、一分子中に分子量が1,500以上のポリ乳酸セグメントを一つ以上有し、ポリエーテル系および/またはポリエステル系セグメントを有する可塑剤(B)とからなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  8. 可塑剤(B)のポリ乳酸セグメント成分の重量割合が、可塑剤全体の50重量%未満であることを特徴とする請求項7に記載のポリエステルフィルム。
  9. 可塑剤(B)のポリ乳酸セグメント成分を除いた可塑化成分の重量割合が、組成物全体の5重量%以上、30重量%以下であることを特徴とする請求項7または8に記載のポリエステルフィルム。
  10. 可塑剤(B)がポリアルキレンエーテルからなるセグメントを有することを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  11. ポリアルキレンエーテルがポリエチレングリコールであることを特徴とする請求項10に記載のポリエステルフィルム。
  12. 包装用ラップフィルムであることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
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JP2007092026A (ja) * 2005-08-31 2007-04-12 Tokyo Institute Of Technology 乳酸系ポリマーを含有する乳酸系樹脂組成物からなる、透明で耐熱性を有する成形体
JP2009185227A (ja) * 2008-02-08 2009-08-20 Toray Ind Inc ポリ乳酸系樹脂組成物からなるチップ状物

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