JP4626137B2 - ポリ乳酸系樹脂延伸フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

ポリ乳酸系樹脂延伸フィルムおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、可塑剤により柔軟化したポリ乳酸系樹脂延伸フィルムに関する。さらに詳しくは、柔軟性、透明性、耐熱性および密着性に優れた性質を有するポリ乳酸系樹脂延伸フィルムおよびその製造法に関するものであり、特に食品包装用ラップフィルムとして有用なフィルムおよびその製造方法に関するものである。
従来、プラスチック廃棄物は主に焼却や埋め立てにより処理されてきたが、焼却による有害副産物の生成・排出や埋立地の減少、さらには不法投棄による環境汚染などの問題が顕在化してきている。
このようなプラスチック廃棄物の処理問題について社会的に関心が高まるにつれて、酵素や微生物で分解される生分解性を有するプラスチックの研究開発が盛んに行われており、その中でも、脂肪族ポリエステルが注目されている。最近、特に積極的な研究開発が行われている生分解性の脂肪族ポリエステルとして、ポリ乳酸が挙げられる。
ポリ乳酸は、トウモロコシや芋類などから得られるでんぷんなどを原料として乳酸を製造しさらに化学合成により得られる重合体であり、脂肪族ポリエステルの中でも機械的物性や耐熱性、透明性に優れているため、フィルム、シート、テープ、繊維、ロープ、不織布、容器などの各種成形品への展開を目的とした研究開発が盛んに行われている。しかしながら、例えば食品包装用ラップフィルムなどの用途においては、ポリ乳酸はそのままでは柔軟性などの特性が不十分なために、可塑剤の添加などにより柔軟性や密着性などの必要特性を付与する技術が検討されている。
例えば、必要に応じて可塑剤を添加した乳酸系ポリマーから得られた基材フィルムの片面に粘着剤層を設けてなる分解性粘着フィルムに関する技術が開示されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、該特許文献1記載の技術では主に金属板の表面保護フィルムなどの用途を目的としており、例えば食品包装用ラップフィルムとしては柔軟性が不足していたり、粘着剤が被着体に転写する場合があるなどの問題があった。
また、ポリ乳酸系樹脂を主成分とし可塑剤の添加により柔軟性を付与された、水蒸気透過度50〜300g/m2・24hr、厚さ10〜500μmの食品包装用フィルムに関する技術も知られている(例えば、特許文献2)。しかしながら、該特許文献2記載の技術によるフィルムは、従来2軸延伸ポリスチレンフィルムなどが主に使用されている青果物等の鮮度保持用途を主目的とするものであり、食品包装用ラップフィルムなどとして使用するには、密着性が全く不足する技術であった。
また、乳酸系脂肪族ポリエステルを主体とする樹脂と液状添加剤を含有する組成物からなる延伸フィルムに関する技術が開示されている(例えば、特許文献3)。しかしながら、該特許文献3公報記載の実施例に従って実際に延伸フィルムの製膜を試みたところ、食品包装用ラップフィルムとしては一定レベルの柔軟性、透明性、耐熱性を有するものの、密着性が不十分なフィルムしか得られなかった。該公報記載の技術内容は、フィルム自身の密着性付与に関しては液状添加剤を基材樹脂に含有させる点、すなわち、フィルムを構成する組成物の選択に関する技術内容に終始している一方で、同様に重要である製膜条件のポイント、すなわち、フィルムの高次構造形成およびこれに伴うフィルム物性制御の観点からは技術的な示唆は全くなく、柔軟性、透明性、耐熱性に加えて密着性に優れた性質を有するポリ乳酸系樹脂延伸フィルムを提供する技術としては不十分なものであった。
以上のように、従来から種々の検討がなされているものの、柔軟性、透明性、耐熱性および密着性に優れた性質を有するポリ乳酸系樹脂延伸フィルムについては、未だ達成されていないのが実状であった。
特開平6−330001号公報 特開平7−257660号公報 特開2000−26623号公報
本発明が解決しようとする課題は、ロール巻き付きなどの製膜プロセスにおけるトラブルがなく、また、製膜後もブロッキングなどの問題のない、柔軟性、透明性、耐熱性に加えて密着性に優れた性質を有するポリ乳酸系樹脂延伸フィルムおよびその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため本発明のポリ乳酸系樹脂延伸フィルムは、以下の構成である。 少なくともフィルム表層部Aが、結晶性を有するポリ乳酸系樹脂a:100重量部と常温で液状の可塑剤p:5〜50重量部を含有する樹脂組成物a’からなり、
樹脂組成物a’が、さらに、一分子中に分子量が1,500以上のポリ乳酸セグメントを一つ以上有し、かつポリエーテル系および/またはポリエステル系セグメントを有する可塑剤qを含有する組成物であって、
ポリ乳酸系樹脂a:100重量部に対して可塑剤q:5〜50重量部を含有し、
表層部Aが少なくとも一方向(1軸)に延伸されてなり、
耐熱性が120℃〜230[℃]、引張弾性率が100〜1500[MPa]、密着力が5〜30[N/cm2]であることを特徴とするポリ乳酸系樹脂延伸フィルムである。
このような構成とすることにより、特に食品包装用ラップフィルムとして有用なフィルムである。
また、このようなフィルムを製造するための本発明のポリ乳酸系樹脂延伸フィルムの製造方法は、以下である。
単層ダイあるいは多層ダイの少なくとも表層部に、樹脂組成物a’を配して押出し、少なくとも一方向(1軸)に延伸した後、(a’の融点−25)〜(a’の融点−5)[℃]の温度で熱処理することを特徴とするポリ乳酸系樹脂延伸フィルムの製造方法である。なおここで、樹脂組成物a’は、結晶性を有するポリ乳酸系樹脂a:100重量部と可塑剤p:5〜50重量部を含有し、さらに一分子中に分子量が1,500以上のポリ乳酸セグメントを一つ以上有し、かつポリエーテル系および/またはポリエステル系セグメントを有する可塑剤qを、ポリ乳酸系樹脂a:100重量部に対して5〜50重量部を含有する。
本発明により、ロール巻き付きなどの製膜プロセスにおけるトラブルがなく、また、製膜後もブロッキングなどの問題のない、柔軟性、透明性、耐熱性に加えて密着性に優れた性質を有するポリ乳酸系樹脂延伸フィルムおよびその製造方法が提供される。
該フィルムは、その特長を生かして種々の用途に好適に使用できるが、特に食品包装用ラップフィルムとして好適に用いることができる。
次に、本発明のポリ乳酸系樹脂延伸フィルムおよびその製造方法について更に説明する。
本発明で使用するポリ乳酸系樹脂とは、L−乳酸および/またはD―乳酸を主成分とし、重合体中の乳酸由来の成分が70重量%以上のものをいい、特に実質的にL−乳酸および/またはD―乳酸からなるホモポリ乳酸が好ましく用いられる。 ポリ乳酸の製造方法には、L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸(ラセミ体)を原料としていったん環状2量体であるラクチドを生成せしめ、その後開環重合を行う2段階のラクチド法と、当該原料を溶媒中で直接脱水縮合を行う一段階の直接重合法が知られている。本発明においてホモポリ乳酸を用いる場合はいずれの製法によって得られたものであってもよいが、ラクチド法によって得られるポリマーの場合にはポリマー中に含有される環状2量体が成形時に気化して、例えば溶融製膜時にはキャストドラム汚れやフィルム表面の平滑性低下の原因となるため、成形時あるいは溶融製膜以前の段階でポリマー中に含有される環状2量体の含有量を0.3重量%以下とすることが望ましい。また、直接重合法の場合には環状2量体に起因する問題が実質的にないため、成形性あるいは製膜性の観点からはより好適である。本発明に使用するポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量は、通常、好ましくは少なくとも5万、より好ましくは8万〜30万、最も好ましくは10万〜20万である。平均分子量をかかる範囲とする場合には、フィルムに使用した場合の強度物性を優れたものとすることができる。
また、本発明に使用するポリ乳酸系樹脂は、L−乳酸、D−乳酸のほかにエステル形成能を有するその他の単量体成分を共重合した共重合ポリ乳酸であってもよい。共重合可能な単量体成分としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸類の他、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の分子内に複数の水酸基を含有する化合物類またはそれらの誘導体、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸等の分子内に複数のカルボン酸基を含有する化合物類またはそれらの誘導体が挙げられる。なお、本発明に使用するポリ乳酸系樹脂の共重合成分としては、生分解性を有する成分を選択することが好ましい。
本発明で使用するポリ乳酸系樹脂は、本発明の効果が損なわれない範囲で前述したホモポリ乳酸、共重合ポリ乳酸以外の成分を含有しても良い。例えば、ポリ乳酸以外の公知の生分解性樹脂、酸化防止剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、防曇剤、帯電防止剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤あるいは着色顔料等として無機微粒子や有機化合物を必要に応じて添加してもよい。ポリ乳酸以外の生分解性樹脂としては、ポリグリコール酸、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート・3−ヒドロキシバリレート)、ポリカプロラクトン、あるいはエチレングリコール、1,4−ブタンジオールなどの脂肪族ジオールとコハク酸、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸よりなる脂肪族ポリエステル、さらにはポリ(ブチレンサクシネート・テレフタレート)、ポリ(ブチレンアジペート・テレフタレート)などの脂肪族ポリエステルと芳香族ポリエステルの共重合体、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、ラクトン系などが例示される。防曇剤および/または帯電防止剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、クエン酸モノステアリル、アルキルスルホン酸塩などが例示される。着色顔料としてはカーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄などの無機顔料の他、シアニン系、スチレン系、フタロシアイン系、アンスラキノン系、ペリノン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、キノクリドン系、チオインディゴ系などの有機顔料等を使用することができる。また、フィルムに使用した場合の易滑性や耐ブロッキング性の向上を目的として、無機微粒子を添加する際には、特に限定されるものではないが、例えば、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウムなどを用いることができる。更にその平均粒径は、特に限定されないが、0.01〜5μmが好ましく、より好ましくは0.05〜3μm、最も好ましくは0.08〜2μmである。
本発明のポリ乳酸系樹脂延伸フィルムは、単層または複数の異なる樹脂組成物からなる多層のいずれの構成でもかまわないが、少なくともフィルム表層部Aが、結晶性を有するポリ乳酸系樹脂a:100重量部と常温で液状の可塑剤p:5〜50重量部を含有する樹脂組成物a’からなるものである。
ポリ乳酸系樹脂aは結晶性を有することが必要であるが、ここで言う結晶とはポリL−乳酸結晶、ポリD−乳酸結晶、あるいはポリL−乳酸とポリD−乳酸からなるステレオコンプレックス結晶を示す。ここで言う結晶性を有するとはこれらの結晶が単独または複数種形成できる性質を有していることを言う。ポリ乳酸系樹脂aが結晶性を有しない場合、製膜時の加熱ロールへの粘着や製膜後のブロッキングなどにより工程安定性を損ねたり、さらには例えば得られたフィルムを食品包装用ラップフィルムとして使用すると熱湯に触れたり電子レンジで加熱するなどの処理に際してフィルムが被包装物に融着してしまうなどの問題がある。上述した結晶性を有するポリ乳酸系樹脂であればポリ乳酸系樹脂aとして表層部Aに用いることができるが、フィルムの耐熱性の観点から、ポリ乳酸系樹脂aは融点が150℃以上のポリL−乳酸、ポリD−乳酸、あるいはこれらの混合物からなることが好ましく、ポリL−乳酸または/およびポリD−乳酸の融点が160℃以上であればさらに好ましい。なお、通常ポリL−乳酸あるいは、ポリD−乳酸を単独で使用する場合は、その光学純度が高い程融点が高くなり、例えば融点が170℃程度のポリL−乳酸あるいはポリD−乳酸としては、光学純度が98%以上のものを選択すると良い。さらに、ステレオコンプレックス形成性を有するポリL−乳酸/ポリD−乳酸の混合物を用いた場合、230℃を上限として170℃を超える融点を有するポリ乳酸系樹脂が得られるが、用途によりこのような樹脂を選択しても良い。
さらに、表層部Aは少なくとも一方向(1軸)に延伸されている必要がある。結晶化や配向が進んでいない、いわゆる未延伸フィルムや押出シートでは、経時的に柔軟性が低下したり、加熱時に大きく進行する結晶化のため、透明性が低下するなど外観や形態が変化する等の問題が生じる。かかる問題を解決するためには表層部Aは少なくとも一方向に延伸されている必要があり、二方向(二軸)に延伸されていることが好ましい。
本発明のフィルムは、樹脂組成物a’からなる表層部Aに加えて、ポリ乳酸系樹脂b:100重量部に対し可塑剤p’:10〜200重量部を含有する樹脂組成物b’からなる内層部Bを、A/B/A型に積層してなることが好ましい。ただし、本発明において、A/B/A型の構成をとっているとは、表層部Aが内層部Bの両外層側に存在することを示すものであり、必ずしもA層とB層が接している必要はない。内層部Bを設ける場合、その構成成分であるポリ乳酸系樹脂bは結晶性でも非晶性でもよいが、高い柔軟性が求められる用途には非晶性または融点が150℃未満の低い結晶性の樹脂を用いかつ可塑剤p’の含有量を高めることが好ましい。通常、可塑剤を樹脂に混合して使用する場合には可塑剤分子は樹脂の非晶部分にのみ混和した状態で存在するため、可塑剤p’の含有量を高めて高い柔軟性を付与するにあたり同時に可塑剤のブリードアウトを高いレベルで抑制するためには、特に非晶性ポリ乳酸系樹脂を用いることが好ましい。また、高い柔軟性に加えて高い耐熱性を同時に確保するためには、融点150℃以上の結晶性ホモポリ乳酸と非晶性ポリ乳酸系樹脂を混合して用いることが好ましい。ポリ乳酸系樹脂bが結晶性を持つ場合は、表層部Aと同様に加熱時の透明性の低下および外観や形態の変化を抑制する観点から、内層部Bについても少なくとも一方向に延伸されていることが好ましく、二方向(二軸)に延伸されていることがさらに好ましい。
本発明のフィルムにおいて、A/B/A型に積層してなる場合には、樹脂組成物a’と樹脂組成物b’の柔軟性(ガラス転移点)や耐熱性(融点、結晶性)などの特性に応じて、また使用する用途に応じてその厚み構成を決定すれば良いが、フィルムに十分な耐熱性を付与する観点から表層部Aの一層分の厚みがフィルム全体の厚みの5%以上であることが好ましく、10%以上であることが好ましい。A/B/A型に積層してなる場合における表層部Aは、内層部Bからの可塑剤p’のブリードアウトに対してバリヤ層としての機能も有するが、特に、高い柔軟性を付与したい場合など、樹脂組成物b’の可塑剤p’含有量が比較的多く可塑剤p’のフィルム表面へのブリードアウトが懸念される場合には、表層部Aの一層分の厚みがフィルム全体の厚みの15%以上であることが好ましい。
前述のように、主としてフィルムに密着性と耐熱性を付与するための層Aと、主としてフィルムに柔軟性を付与するための層Bを設ける場合、本発明の目的とする柔軟性、透明性、耐熱性および密着性に優れた性質を有するポリ乳酸系樹脂延伸フィルムを得るにあたり、より高いレベルでバランスの取れた特性を付与することができるため好ましい。
本発明で使用する可塑剤pおよびp’は、ポリ乳酸系樹脂に添加することによりガラス転移温度の低下や剛性の低下を導くものであればよいが、可塑剤pについてはさらに常温で液状であるものを使用する必要がある。
本発明では、可塑剤pが適度にフィルム表面にブリードすることが優れた密着性付与のために必要であるが、例えば食品包装用ラップフィルムとして使用する際には、フィルム表面の可塑剤がフィルム基材表面と被包装物の表面との間の微少な隙間を埋める作用により密着力が発生する。そのため、可塑剤pとして常温で固体状の化合物を使用した場合は、フィルムに十分な密着性を付与することができなくなってしまう。
上述した限りにおいて、可塑剤p’は可塑剤pと同一でも異なっていても良いが、可塑剤pおよびp’の具体例としては、例えばエステル系誘導体やエーテル系誘導体が挙げられ、より具体的には、エーテルエステル誘導体、グリセリン誘導体、フタル酸誘導体、グリコール酸誘導体、クエン酸誘導体、アジピン酸誘導体、エポキシ系可塑剤などが例示されるが、これら複数種以上の可塑剤のブレンドも含む。特に、過度のブリードアウトを抑制し透明性を維持し、可塑化効率を高めるため、フィルムに添加されるすべての可塑剤の溶解性パラメータ:SPが16〜23(MJ/m31/2であることが好ましく、17〜21(MJ/m31/2であることがより好ましい。なお、溶解性パラメータの計算方法は、P.Small、J.Appl.Chem.,3,71(1953)に示された手法で計算できる。また、かかる可塑剤の中でも、フィルム全体の生分解性をキープする観点から生分解性可塑剤であることが好ましい。
また、ラップフィルムなどの食品包装用途への適性や、一時的にせよコンポスト・農地への未分解物の残留の可能性を考慮すると、FDAやポリオレフィン等衛生協議会などから食品衛生上問題なしと認定された可塑剤であることが好ましい。かかる可塑剤としては、たとえばトリアセチン、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化亜麻仁油脂肪酸ブチル、アジピン酸系脂肪族ポリエステル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルリシノール酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アジピン酸ジアルキルエステル、ビス(アルキルジグリコール)アジペートまたはポリエチレングリコール等が挙げられる。
可塑剤pの分子量としては、特に限定されないが、常温で液状でありなおかつフィルム表面への適度なブリードアウト性を有する化合物としては、通常200〜1000、好ましくは300〜800の範囲である。また、可塑剤p’の分子量としては、高い柔軟性や透明性の付与に加えて可塑剤のブリードアウト抑制の観点から、300〜10000の範囲が好ましく、400〜5000の範囲がさらに好ましい。また、可塑剤p’がポリエチレングリコールである場合は、分子量を300〜30000とすることが好ましく、600〜20000とすることがさらに好ましい。なお、pまたはp’が複数種の可塑剤のブレンドである場合は、ここでいう分子量とは個々の可塑剤についての値を述べるものであり、それぞれ上記分子量範囲であることが好ましい。
可塑剤の添加量は、可塑剤の種類や用いるポリ乳酸系樹脂の種類により異なる。表層部Aは、ポリ乳酸系樹脂a:100重量部に対し5〜50重量部の可塑剤pを含有する樹脂組成物a’からなる。可塑剤pがポリ乳酸系樹脂a:100重量部に対し5重量部未満ではフィルムの密着性が不足する場合があり、また50重量部を越えると可塑剤が過度にフィルム表面にブリードアウトしてべとついたり、フィルム品質の経時安定性を損ねたり、ブロッキングなどが問題になる場合がある。
また、内層部Bを設ける場合は、内層部Bを構成する樹脂組成物b’はポリ乳酸系樹脂b:100重量部に対し可塑剤p’:10〜200重量部を含有することが好ましく、可塑剤p’:10〜100重量部を含有することがさらに好ましい。樹脂組成物b’として上記の組成を適用すると、柔軟性、透明性、耐熱性および密着性に優れた性質を有するポリ乳酸系樹脂延伸フィルムを得るにあたり、より高いレベルでバランスの取れた特性を付与することができる。
また、通常、常温で固体状であるためフィルム表面へのブリードアウトはむしろ非常に小さく、なおかつ透明性を維持し可塑化効率に優れる可塑剤として、一分子中に分子量が1,500以上のポリ乳酸セグメントを一つ以上有し、ポリエーテル系および/またはポリエステル系セグメントを有する可塑剤qが挙げられる。本発明のフィルムは、前述した樹脂組成物a’および/またはb’が可塑剤qを含有することが好ましい。樹脂組成物a’および/またはb’が可塑剤qを含有することで、過度のブリードアウトが抑制され経時安定性に優れた柔軟なフィルムを得ることができる。
なお、樹脂組成物a’が可塑剤pに加えて、さらに可塑剤qを含有する場合、ポリ乳酸系樹脂a:100重量部に対して可塑剤q:5〜50重量部を含有することが好ましい。可塑剤qの割合を上記の範囲とすると、フィルム表面のブリードアウトが特に抑制されなおかつ実用上十分な柔軟性や密着性を兼ね備えた、フィルム品質の経時安定性に優れ、ブロッキングなどの問題のないフィルムを得ることができる。
可塑剤qは、ポリエーテル系および/またはポリエステル系セグメントを有し、これらは比較的ポリ乳酸との親和性が高いが、中でも可塑化効率が高くなるためポリエーテル系のセグメントを有することが好ましく、ポリエーテル系の中でもポリアルキレンエーテルからなるセグメントを有することがさらに好ましく、ポリエチレングリコールからなるセグメントを有することがより好ましい。
可塑剤qが、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールあるいはポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール共重合体などのポリアルキレンエーテル、特に、ポリエチレングリコールからなるセグメントを有する場合、ポリ乳酸系重合体との親和性が特に高いため、可塑剤の可塑化効率に優れ、少量の可塑剤の添加で所望の柔軟性をフィルムに付与することができる。また、可塑剤qがポリアルキレンエーテル、特に、ポリエチレングリコールからなるセグメントを有する場合、このセグメントの平均分子量は1,000以上であることが好ましく、2,000以上であることがさらに好ましい。平均分子量を1,000以上とする場合には、可塑剤qの揮発を特に抑制することができる。さらに、この平均分子量は通常高くとも500,000以下であり、20,000以下であることが好ましい。平均分子量が50,000以下の場合、ポリ乳酸系重合体との親和性が高く、また可塑化効率が特に優れる。本発明で使用する可塑剤qが、ポリアルキレンエーテルからなるセグメントを有する場合、成形時などで加熱する際にポリアルキレンエーテルセグメント部分が酸化や熱分解され易い傾向があるため、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系などの酸化防止剤やリン系などの熱安定剤を併用することが好ましい。
さらに、可塑剤qの有するポリ乳酸セグメントは1,500以上であるが、このポリ乳酸セグメントが母材であるポリ乳酸系樹脂から形成される結晶中に取り込まれることで可塑剤qの分子を母材につなぎ止める作用を生じ、可塑剤qのブリードアウトが高いレベルで抑制される。また、可塑剤qの有するポリ乳酸セグメントは20,000以下であることが好ましく、20,000を超える場合、可塑剤の可塑化効率が低くなり過ぎる場合がある。
分子中に分子量が1,500以上のポリ乳酸セグメントを一つ以上有し、ポリエーテル系および/またはポリエステル系セグメントを有する可塑剤qは、例えば、あらかじめ分子量が1,500以上のポリ乳酸オリゴマーをラクチド開環法あるいは乳酸縮合重合法などの常法により重合し、一つ以上の官能基を有する、可塑剤の主成分と成すポリエーテル系および/またはポリエステル系セグメントを有する化合物と適量反応させることで得ることができる。また、可塑剤の主成分と成す化合物を重合開始剤としてラクチドの開環重合により付加する、あるいは、可塑剤の主成分である化合物を重合開始剤とし、乳酸の脱水縮合重合により付加しても良い。また、分子量が1,500以上のポリ乳酸オリゴマーと可塑剤の主成分と成す化合物の併存下で加熱混練などの処理により、ジカルボン酸無水物系化合物やジイソシアネート系化合物などの2官能性化合物を鎖連結剤として作用させて、両者を化学的に結合させても良い。
可塑剤qを作成する方法のより具体的な例を説明する。
両末端に水酸基末端を有するポリエチレングリコール(PEG)を用意する。両末端に水酸基末端を有するポリエチレングリコール(PEG)の平均分子量(MPEG)は、通常、市販品などの場合、中和法などにより求めた水酸基価から計算される。両末端に水酸基末端を有するポリエチレングリコール(PEG)wB重量部に対し、ラクチドwA重量部を添加した系において、PEGの両水酸基末端にラクチドを開環付加重合させ十分に反応させると、実質的にPLA(A)−PEG(B)−PLA(A)型のブロック共重合体を得ることができる。この反応は、必要に応じてオクチル酸錫などの触媒併存下でおこなわれる。反応を十分完了させた場合、このブロック共重合体からなる可塑剤の一つのポリ乳酸セグメントの数平均分子量は、実質的に(1/2)×(wA/wB)×MPEGと求めることができる。また、ポリ乳酸セグメント成分の可塑剤全体に対する重量割合は、実質的に100×wA/(wA+wB)%と求めることができる。さらに、ポリ乳酸セグメント成分を除いた可塑化成分の可塑剤全体に対する重量割合は、実質的に100×wB/(wA+wB)%と求めることができる。
未反応PEGや末端のポリ乳酸セグメント分子量が1,500に満たないPEGなどとの未反応物や、ラクチドオリゴマーなどの副生成物、あるいは、不純物を除去する必要がある場合は、次の精製方法を適用することができる。
クロロホルムなどの適当な良溶媒に、合成した可塑剤を均一溶解した後、水/メタノール混合溶液やジエチルエーテルなど適当な貧溶媒を滴下する。
あるいは、大過剰の貧溶媒中に良溶媒溶液を加えるなどして沈殿させ、遠心分離あるいはろ過などにより沈殿物を分離した後に溶媒を揮散させる。
精製方法は上記に限られず、また、必要に応じて上記の操作を複数回繰り返しても良い。
上記した方法で、PLA(A)−PEG(B)−PLA(A)型のブロック共重合体の可塑剤を作成した場合、作成した可塑剤が有する一つのポリ乳酸セグメントの分子量は、下記の方法で求めることができる。
可塑剤の重クロロホルム溶液を用いて、1H−NMR測定により得られたチャートを基に、
(1/2)×(IPLA×72)/(IPEG×44/4)×MPEG
と算出する。ただし、IPEGは、PEG主鎖部のメチレン基の水素に由来するシグナル積分強度、IPLAは、PLA主鎖部のメチン基の水素に由来するシグナル積分強度である。可塑剤合成時のラクチドの反応率が十分に高くほぼ全てのラクチドがPEG末端部に開環付加する条件にて合成した場合は、多くの場合、1H−NMR測定により得られたチャートを基にした方法が好ましい。
さらに、可塑剤の添加量は用途に応じた柔軟性が得られる量であれば良いが、フィルムの引張弾性率が100〜1500[MPa]となるように可塑剤の種類や添加量を決定する必要がある。引張弾性率が1500[MPa]を超えると柔軟性が不十分であり、包装用フィルムなどの用途で使用する際に使い勝手が悪い、あるいは食品包装用ラップフィルムとして使用する際にはフィルムが被包装物の形状に追随して十分に変形できないために十分な密着性が得られないなどの問題がある。また、引張弾性率が100[MPa]未満であると、巻物状のフィルムの解除性が悪化してしまったり、フィルムの腰が不足するため製膜および加工プロセス上においても不具合を生じやすくなる。
本発明のポリ乳酸系樹脂延伸フィルムの耐熱性は120〜230[℃]であるが、本発明で言う耐熱性とは、実施例に記載の方法にて評価される値を言う。耐熱性が120[℃]未満であると、製膜時の加熱ロールへの粘着や製膜後のブロッキングなどにより工程安定性を損ねたり、さらには例えば得られたフィルムを食品包装用ラップフィルムとして使用すると熱湯に触れたり電子レンジで加熱するなどの処理に際してフィルムが被包装物に融着してしまうなどの問題がある。
また、本発明のフィルムはポリ乳酸系樹脂を主たる構成成分とするが、ポリ乳酸系樹脂の融点は通常230[℃]が上限であり、本発明のフィルムの耐熱性の上限値もこれに準ずるものである。
本発明のポリ乳酸系樹脂延伸フィルムの密着力は5〜30[N/cm2]であり、例えば食品包装用ラップフィルムとして使用する際には、機能性や使い勝手の面から好ましくは5〜20[N/cm2]、さらに好ましくは5〜10[N/cm2]である。なお、本発明で言う密着力とは、実施例に記載の方法にて評価される値を言う。
密着力が、5[N/cm2]未満の場合、例えば得られたフィルムを食品包装用ラップフィルムとして使用すると密着力不足により自然に剥がれてしまう場合があり使い勝手が悪いなど実用上の問題点がある。また、密着力が30[N/cm2]を超える場合、ブロッキングにより巻き取りロールからの解除性が悪化したり、製膜工程で加熱ロールへ粘着してしまうなどの問題点がある。
また、本発明のフィルムは、優れた透明性を有しているが、透明性の指標としては特に厚み100ミクロン換算のフィルムヘイズ値が30%以下のものが好ましく用いられる。
本発明のポリ乳酸系樹脂延伸フィルムの全体の厚みは、特に限定されないが、通常包装用などの用途では1〜250ミクロン、好ましくは5〜100ミクロン、さらに好ましくは8〜40ミクロンであり、特に食品包装用ラップフィルムなどの用途に用いる場合には、8〜25ミクロンが好ましい。
次に、本発明のポリ乳酸系樹脂延伸フィルムの製造方法について説明する。
本発明のポリ乳酸系樹脂延伸フィルムの製造方法は、単層ダイあるいは多層ダイの少なくとも表層部に、結晶性を有するポリ乳酸系樹脂a:100重量部と可塑剤p:5〜50重量部を含有する樹脂組成物a’を配して押出し、少なくとも1軸方向に延伸した後、(a’の融点−25)〜(a’の融点−5)[℃]の温度で熱処理することを特徴とする。
本発明のポリ乳酸系樹脂延伸フィルムの製造方法としては、インフレーション法、逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法などの既存の延伸フィルムの製造方法を用いることができるが、単層ダイあるいは多層ダイの少なくとも表層部に、結晶性を有するポリ乳酸系樹脂a:100重量部と可塑剤p:5〜50重量部を含有する樹脂組成物a’を配して押出す必要がある。表層部の主たる構成成分であるポリ乳酸系樹脂aが結晶性を有しない場合、製膜時の加熱ロールへの粘着や製膜後のブロッキングなどにより工程安定性を損ねてしまうなどの問題がある。また、可塑剤pがa:100重量部に対し5重量部未満では得られるフィルムの密着性が不足する場合があり、また50重量部を越えると可塑剤が過度にフィルム表面にブリードアウトして、フィルム表面がべとついたりブロッキングが起こるなどの問題になる場合がある。可塑剤をポリ乳酸系樹脂に所定量含有させる手法としては、例えば、ポリ乳酸系樹脂のチップに可塑剤を添加・混合した後に反応缶あるいはエクストルーダなどで溶融混練・チップ化した後、製膜に供する方法、可塑剤を高濃度含有させた樹脂組成物のマスターチップとポリ乳酸系樹脂のホモチップとを混合したブレンドチップをエクストルーダなどで溶融混練し引き続いて製膜する方法、などにより行うことができるが、樹脂組成物の熱劣化を最小限にするには、2軸のエクストルダーを使用して押出し機中で溶融したポリ乳酸系樹脂に可塑剤を計量しつつ連続的に添加し引き続いて製膜する方法が好ましい。
本発明のポリ乳酸系樹脂延伸フィルムの製造方法では、かかる方法で得られた未延伸フィルムを連続して少なくとも一方向(1軸)、好ましくは二方向(2軸)に延伸した後、(a’の融点−25)〜(a’の融点−5)[℃]の温度で熱処理する必要がある。延伸を全く行わないと、引き続き行う熱処理工程においてフィルムが変形、融解して工程中に付着したり、加熱時に大きく進行する結晶化のためフィルムが白く濁るなどの問題点がある。また、延伸した後の熱処理を行わない、あるいはその温度が(a’の融点−25)[℃]未満である場合、得られるフィルムに十分な密着性を付与することができない。さらに熱処理の温度が(a’の融点−5)[℃]を超えると、熱処理工程においてフィルムが破れたりあるいは変形、融解したり、得られたフィルムの機械物性が低く実用レベルに達しない場合がある。
本発明のポリ乳酸系樹脂延伸フィルムの製造方法では、既存の方法と比較して特に延伸後に行う熱処理の温度にその特徴がある。少なくともフィルム表層部に、可塑剤を添加したポリ乳酸系樹脂からなる樹脂組成物を用いることは既知であるが、さらに上述したような温度で延伸後の熱処理を行うことで初めて、柔軟性に加えて、特に優れた密着性を付与することに成功し、この効果を初めて見出したものである。
本発明の方法によって優れた密着性が付与される理由は全て明らかとなっているわけではないが、従来の方法に比べて、フィルム表層部を構成する樹脂組成物a’の融点により近い温度領域で熱処理することにより、フィルム表層部に存在する微細サイズの結晶や比較的規則性の低い結晶を融解させて適度な配向緩和を誘起することによりフィルム表面の弾性率が十分低下しているものと考えられる。この効果により、例えば、本発明の製造方法により得られるフィルムを食品包装用ラップフィルムとして用いた場合には、接触する物体表面の微細な凹凸にフィルム表面自身が十分追随して変形し隙間なく密着するため、従来のフィルムに比較して優れた密着性を有しているものと思われる。
さらに、本発明のポリ乳酸系樹脂延伸フィルムの製造方法では、フィルム表層部を構成する樹脂組成物がその主たる構成成分として結晶性を有するポリ乳酸系樹脂を含有することで、得られるフィルムは優れた耐熱性を有し、また使用する可塑剤の種類や量を選択することで柔軟性や透明性に加えて十分な耐ブリードアウト性が付与されるものであり、フィルムの加熱ロールへの粘着、巻付きや変形、融着、あるいは製膜後のブロッキングなどのない、工程安定性を兼ね備えた製造方法が提供される。
本発明のポリ乳酸系樹脂延伸フィルムは、柔軟性、透明性、耐熱性に加えて密着性に優れた性質を有する従来にないフィルムであり、その特長を生かして種々の用途に好適に使用できるが、例えば、食品包装用ラップフィルムなどの包装材料や従来軟質塩化ビニルや塩化ビニリデン樹脂製フィルムが用いられている工業材料用途に用いるとその機能を十分に発揮できる。
さらに、全ての原料に生分解性の材料を選択し、なかでも可塑剤としてFDAやポリオレフィン等衛生協議会などから食品衛生上問題なしと認定された安全性の高い化合物を選択することで、例えば、食品包装用ラップフィルムとして使用する場合では、使用時は塩化ビニリデン製の従来品と同等の安全性・機能性を有しながら、使用後は食品などの内容物とともに分別することなくそのままコンポスト化可能な食品包装用ラップフィルムを得ることができるなど、特に好適である。
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されない。なお、実施例中の各物性は次の方法で測定した値である。
(1)製膜原料の融点[℃]:
十分に乾燥させた試料を約5mg精秤し、所定のサンプルパンに詰めて、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量分析装置(DSC)RDC220により、−50[℃]から200[℃]まで20[℃/分]で昇温し(ファーストラン)、200[℃]で5分間保持した後、−20[℃/分]で−50[℃]まで降温し、−50[℃]で5分間保持した後、−50[℃]から200[℃]まで20[℃/分]で昇温(セカンドラン)した。セカンドランのサーモグラフの結晶融解ピークにおける温度を試料の融点[℃]として求めた。
(2)引張弾性率[MPa]:
評価用のフィルム片は幅10[mm]、長さ150[mm]とし、あらかじめ温度23[℃]、湿度65[%RH]の雰囲気下で1日以上調湿した。このフィルム片を用い、つかみ具間距離を50[mm]、引張り速度を300[mm/分]として、テンシロン万能試験機UTC−100型(株式会社オリエンテック)を用いて引張り試験を行い引張弾性率を測定した。測定は1水準につき5回行い、5回の試験の平均値を求めてこれを引張弾性率とした。
(3)ヘイズ[%]:
フィルムサンプルの透明性の指標として、あらかじめ厚みを測定したフィルムサンプルのヘイズ値をヘイズメーターHGM−2DP型(スガ試験機株式会社製)を用いて測定した。測定は1水準につき5回行い、5回の測定の平均値から厚み100ミクロン換算のフィルムヘイズ値としてヘイズ[%]を求めた。
(4)耐熱性[℃]:
枠内サイズが150[mm]角であるアルミ製フレーム枠に、評価用のフィルムをシワがないように緊張状態で貼り付け、文具用のダブルクリップを複数用いてフィルムをフレームに固定し、庫内を一定温度に保った熱風式オーブンに5分間放置した後に取り出してフィルムの状態を観察した。熱風式オーブンの設定温度を5[℃]刻みで変更してこのような試験を繰り返し、フィルムに穴が空いたりフィルムがフレームに融着するなどの変化が認められなかった最も高い温度を耐熱性を示す温度として求めた。
(5)密着力[N/cm2]:
幅10[mm]、長さ100[mm]のフィルム片2つを一組として作成し、あらかじめ温度23[℃]、湿度65[%RH]の雰囲気下で1日以上調湿した。引き続いて、同様の雰囲気下において、片方のフィルム片の端から長さ方向に10[mm]の部分と、もう一方のフィルム片の端から長さ方向に10[mm]の部分とを、それぞれのフィルム片が長さ方向を等しくする向きに重ね合わせ、重ね合わせた部分に50[g/cm2]の荷重をかけて1分間放置し、密着力測定用のサンプルを作成した。密着力の測定にはテンシロン万能試験機UTC−100型(株式会社オリエンテック)を用いた。前述した測定用のサンプルを、その重ね合わせ部分がつかみ具間のほぼ真中になるようにセットし、つかみ具間距離を50[mm]、引張り速度を300[mm/分]として引張り試験を行い、重ね合わせ部分が剥離する直前の応力を測定した。なお、フィルム片の引張り強度が比較的低く、重ね合わせ部分が剥離する前にそれ以外の部分が破断してしまう場合には、全体を2重に重ね合わせたフィルム片2つを一組として使用し、上述した方法と同様にして測定を行った。測定は1水準につき5回行い、5回の試験の平均値を求めてこれを密着力とした。
以下に、実施例中で用いたポリ乳酸系樹脂および可塑剤を示す。
ポリ乳酸系樹脂1(PLA1):重量平均分子量約20万のL−ポリ乳酸(光学純度98%以上、融点170℃)を用いた。原料は120℃で5時間、真空乾燥機で乾燥し、水分を十分に除去して使用した。
ポリ乳酸系樹脂2(PLA2):重量平均分子量約18万のDL−ポリ乳酸(光学純度92%、融点140℃)を用いた。原料は80℃で12時間、真空乾燥機で乾燥し、水分を十分に除去して使用した。
ポリ乳酸系樹脂3(PLA3):重量平均分子量約16万のDL−ポリ乳酸(光学純度78%、非晶性)を用いた。原料は50℃で24時間、真空乾燥機で乾燥し、水分を十分に除去して使用した。
可塑剤1(p1):ビス(ブチルジグリコール)アジペート(大八化学工業(株)製、“BXA”) 、分子量435、SP値17.8
可塑剤2(p2):アセチルクエン酸トリブチル( 森村商事(株)製、“シトロフレックスA−4”)、分子量402、SP値18.5
可塑剤3(p3):エポキシ化亜麻仁油脂肪酸ブチルエステル(旭電化工業(株)製、“D−178”)、分子量365、SP値18.7
可塑剤4(p4):ポリエチレングリコール(三洋化成工業(株)製、“PEG−4000S”)、分子量4000、SP値17.3
可塑剤5(p5):エーテルエステル系可塑剤(旭電化工業(株)製、“RS−1000”)、分子量550、SP値19.9
可塑剤6(p6):グリセリルトリアセテート(大八化学工業(株)製、“トリアセチン”)、分子量218、SP値20.3
可塑剤7(q7):次の方法により得た、ポリエチレングリコールとポリ乳酸のブロック共重合物を使用した。すなわち、平均分子量10,000のポリエチレングリコール71重量部とL−ラクチド29重量部に対し、オクチル酸錫0.025重量部を混合し、撹拌装置付きの反応容器中で窒素雰囲気中190℃で60分間重合し、両末端に平均分子量2,000のポリ乳酸セグメントを有する、ポリエチレングリコールとポリ乳酸のブロック共重合物q7を得た。
比較例11
樹脂aとしてPLA1(分子量20万、融点170℃)を二軸エクストルダーで220℃で溶融しつつ、可塑剤pとしてp1(常温で液状)をPLA1:100重量部あたり15重量部となるように連続的に計量・供給し、表1に示す割合のPLA1とp1からなる混合物を溶融・混練して樹脂組成物a’とし、引き続いてギヤポンプにて計量して温度210℃のTダイ口金(単層構造)からシート状に押し出した後、15℃に冷却したドラム上にキャストして未延伸フィルムを作成した。連続して65℃の加熱ロール間で長手方向に3倍延伸して、しかる後にテンター方式の延伸装置により70℃で幅方向に設定倍率3.5倍で延伸した後、緊張下で152℃で熱処理して得られたフィルムを巻き取った。得られたフィルムの厚さは10ミクロンであった。
延伸ロールなどへの粘着や製膜途中でのブロッキングなどのトラブルもなく製膜性は良好であった。得られたフィルムの各種物性を表1に示す。
Figure 0004626137
比較例12、13、14、21
可塑剤pとしてp1に代えてそれぞれ表1に示す可塑剤を使用し、また、樹脂組成物a’として表1に示す組成比とし、延伸後の熱処理温度をそれぞれ表1に示した温度に変更した以外は比較例11と同様に製膜実験を行ってフィルムを得た。得られたフィルム厚みはいずれも10ミクロンであった。
いずれの比較例においても、延伸ロールなどへの粘着や製膜途中でのブロッキングなどのトラブルもなく製膜性は良好であった。得られたフィルムの各種物性を表1に示す。また、比較例12について製膜後6ヵ月での引張り弾性率を測定したところ、830[MPa]であった。
(実施例12)
可塑剤pとしてp1に代えてp2を使用し、さらに可塑剤qとしてq7を使用し、樹脂組成物a’として表1に示す組成比とし、延伸後の熱処理温度を表1に示した温度に変更した以外は比較例11と同様に製膜実験を行ってフィルムを得た。得られたフィルム厚みは10ミクロンであった。
延伸ロールなどへの粘着や製膜途中でのブロッキングなどのトラブルもなく製膜性は良好であった。得られたフィルムの各種物性を表1に示す。また、製膜後6ヵ月での引張り弾性率を測定したところ、610[MPa]であり、比較例12に比較して経時変化の割合が少なかった。
比較例15
樹脂aとしてPLA1(分子量20万、融点170℃)を二軸エクストルダーで220℃で溶融しつつ、可塑剤pとしてp3(常温で液状)をPLA1:100重量部あたり10重量部となるように連続的に計量・供給し、表1に示す割合のPLA1とp3からなる混合物を溶融・混練して樹脂組成物a’としてガット状に押し出し、ガットを液体窒素中に導いて十分に急冷・固化した後、チップ化した。このチップを、減圧下、80℃で24時間以上乾燥し以下の製膜に供した。
樹脂bとしてPLA2(分子量18万、融点140℃)を二軸エクストルダーで210℃で溶融しつつ、可塑剤p’としてp3(常温で液状)をPLA2:100重量部あたり25重量部となるように連続的に計量・供給し、表1に示す割合のPLA2とp3からなる混合物を溶融・混練して樹脂組成物bとし、引き続いてギヤポンプにて計量して層B用のポリマー流を形成し、また、あらかじめ作成した樹脂組成物a’のチップを溶融温度220℃にて一軸エクストルーダーにて押し出して層A用のポリマー流を形成した。これらふたつのポリマー流を合流せしめA/B/A型の積層構造(積層比10/80/10)を形成した後、温度210℃のTダイ口金(2種3層構造)からシート状に押し出し、15℃に冷却したドラム上にキャストして未延伸フィルムを作成した。連続して65℃の加熱ロール間で長手方向に3倍延伸して、しかる後にテンター方式の延伸装置により70℃で幅方向に設定倍率3.5倍で延伸した後、緊張下で155℃で熱処理して得られたフィルムを巻き取った。得られたフィルムの厚さは12ミクロンであった。
延伸ロールなどへの粘着や製膜途中でのブロッキングなどのトラブルもなく製膜性は良好であった。得られたフィルムの各種物性を表1に示す。また、製膜後6ヵ月での引張り弾性率を測定したところ、810[MPa]であった。
比較例16、17、18、20
可塑剤p、樹脂b、可塑剤p’、および樹脂組成物a’と樹脂組成物b’の組成比を表1に示したとおり変更し、延伸後の熱処理温度をそれぞれ表1に示した温度に変更した以外は比較例15と同様に製膜実験を行ってフィルムを得た。得られたフィルム厚みはいずれも12ミクロンであった。
いずれの比較例においても、延伸ロールなどへの粘着や製膜途中でのブロッキングなどのトラブルもなく製膜性は良好であった。得られたフィルムの各種物性を表1に示す。
実施例13
可塑剤qとしてq7を使用し、可塑剤p’および樹脂組成物a’と樹脂組成物b’の組成比を表1に示したとおりに変更した以外は比較例15と同様に製膜実験を行ってフィルムを得た。得られたフィルム厚みはいずれも12ミクロンであった。
いずれの実施例においても延伸ロールなどへの粘着や製膜途中でのブロッキングなどのトラブルもなく製膜性は良好であった。得られたフィルムの各種物性を表1に示す。また、製膜後6ヵ月での引張り弾性率を測定したところ、実施例13では522[MPa]であり、比較例15に比較して経時変化の割合が少なかった。
比較例19
樹脂a、可塑剤p、および樹脂組成物a’の組成比を表1に示したとおり変更し、延伸後の熱処理温度をそれぞれ表1に示した温度に変更した以外は比較例11と同様に製膜実験を行ってフィルムを得た。得られたフィルム厚みは30ミクロンであった。
延伸ロールなどへの粘着や製膜途中でのブロッキングなどのトラブルもなく製膜性は良好であった。得られたフィルムの各種物性を表1に示す。
(比較例1)
樹脂aとしてPLA1(分子量20万、融点170℃)を一軸エクストルダーで220℃で溶融・押出しして温度210℃のTダイ口金(単層構造)からシート状に押し出した後、25℃に冷却したドラム上にキャストして未延伸フィルムを作成した。連続して80℃の加熱ロール間で長手方向に3倍延伸して、しかる後にテンター方式の延伸装置により85℃で幅方向に設定倍率3.5倍で延伸した後、緊張下で150℃で熱処理して得られたフィルムを巻き取った。得られたフィルムの厚さは15ミクロンであった。
延伸ロールなどへの粘着や製膜途中でのブロッキングなどのトラブルもなく製膜性は良好であった。得られたフィルムの各種物性を表1に示す。
(比較例2)
表1に示したとおり、p2の添加量を高め、樹脂組成物a’の組成を変更し、延伸後の熱処理温度を変更した以外は、比較例12と同様にして製膜実験を行ってフィルムを得た。得られたフィルム厚みは10ミクロンであった。
製膜試験においては、フィルムからブリードアウトした可塑剤による延伸ロール汚れが目立ち、頻繁にロールを清掃する必要があった。また、得られたフィルムは表面のべとつきがあり、フィルムの腰も足りないため扱いにくいものだった。得られたフィルムの各種物性を表1に示す。
(比較例3)
可塑剤pとしてp1に代えてp4を使用し、また、樹脂組成物a’として表1に示す組成比とし、延伸後の熱処理温度をそれぞれ表1に示した温度に変更した以外は比較例11と同様に製膜実験を行ってフィルムを得た。得られたフィルム厚みは18ミクロンであった。
延伸ロールなどへの粘着や製膜途中でのブロッキングなどのトラブルもなく製膜性は良好であった。得られたフィルムの各種物性を表1に示す。
(比較例4)
樹脂aとしてPLA3を使用した以外は、比較例12と同様にして製膜実験を試みたが、加熱された延伸ロールにフィルムが粘着した末に巻き付いてしまい製膜を断念した。
(比較例5)
作成した未延伸フィルムを延伸することなく熱処理を行ったこと、および熱処理温度を表1に示したとおり変更した以外は、比較例12と同様にして製膜実験を行ってフィルムを得た。得られたフィルム厚みは150ミクロンであった。
製膜試験においては、熱処理時に若干フィルムの変形・たるみが認められ、製膜安定性は低いものだった。
(比較例6)
表1に示したとおり熱処理温度を変更した以外は、比較例12と同様にして製膜実験を行ってフィルムを得た。得られたフィルム厚みは10ミクロンであった。
延伸ロールなどへの粘着や製膜途中でのブロッキングなどのトラブルもなく製膜性は良好であった。得られたフィルムの各種物性を表1に示す。
(比較例7)
表1に示したとおり熱処理温度を変更した以外は、比較例20と同様にして製膜実験を行ってフィルムを得た。得られたフィルム厚みは12ミクロンであった。
延伸ロールなどへの粘着や製膜途中でのブロッキングなどのトラブルもなく製膜性は良好であった。得られたフィルムの各種物性を表1に示す。
(比較例8)
表1に示したとおり熱処理温度を変更した以外は、比較例21と同様にして製膜実験を行ってフィルムを得た。得られたフィルム厚みは10ミクロンであった。
延伸ロールなどへの粘着や製膜途中でのブロッキングなどのトラブルもなく製膜性は良好であった。得られたフィルムの各種物性を表1に示す。
本発明は、食品包装用ラップフィルムに限らず、ストレッチフィルムなどの包装材料や、農業用フィルム、ラベル用フィルム、テープ用フィルム、基材保護用フィルム、自動車塗膜保護シートなどにも応用することができるが、その応用範囲が、これらに限られるものではない。

Claims (7)

  1. 少なくともフィルム表層部Aが、結晶性を有するポリ乳酸系樹脂a:100重量部と常温で液状の可塑剤p:5〜50重量部を含有する樹脂組成物a’からなり、
    樹脂組成物a’が、さらに、一分子中に分子量が1,500以上のポリ乳酸セグメントを一つ以上有し、かつポリエーテル系および/またはポリエステル系セグメントを有する可塑剤qを含有する組成物であって、
    ポリ乳酸系樹脂a:100重量部に対して可塑剤q:5〜50重量部を含有し、
    表層部Aが少なくとも一方向(1軸)に延伸されてなり、
    耐熱性が120〜230[℃]、引張弾性率が100〜1500[MPa]、密着力が5〜30[N/cm2]であることを特徴とするポリ乳酸系樹脂延伸フィルム。
  2. 樹脂組成物a’からなる表層部Aに加えて、ポリ乳酸系樹脂b:100重量部に対し可塑剤p’:10〜200重量部を含有する樹脂組成物b’からなる内層部Bを、A/B/A型に積層してなることを特徴とする請求項1記載のポリ乳酸系樹脂延伸フィルム。
  3. 可塑剤pが、トリアセチン、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化亜麻仁油脂肪酸ブチル、アジピン酸系脂肪族ポリエステル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルリシノール酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アジピン酸ジアルキルエステル、ビス(アルキルジグリコール)アジペートまたはポリエチレングリコールから選ばれる1種または2種以上の化合物からなることを特徴とする請求項1または2記載のポリ乳酸系樹脂延伸フィルム。
  4. 可塑剤p’が、トリアセチン、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化亜麻仁油脂肪酸ブチル、アジピン酸系脂肪族ポリエステル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルリシノール酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アジピン酸ジアルキルエステル、ビス(アルキルジグリコール)アジペート、ポリエチレングリコール、または、前記可塑剤qから選ばれる1種または2種以上の化合物からなることを特徴とする請求項2又は3のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂延伸フィルム。
  5. 可塑剤qがポリエチレングリコールからなるセグメントを有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂延伸フィルム。
  6. 食品包装用ラップフィルムとして用いられることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂延伸フィルム。
  7. 単層ダイあるいは多層ダイの少なくとも表層部に、樹脂組成物a’を配して押出し、少なくとも一方向(1軸)に延伸した後、(a’の融点−25)〜(a’の融点−5)[℃]の温度で熱処理することを特徴とするポリ乳酸系樹脂延伸フィルムの製造方法。
    なお樹脂組成物a’は、結晶性を有するポリ乳酸系樹脂a:100重量部と可塑剤p:5〜50重量部を含有し、さらに一分子中に分子量が1,500以上のポリ乳酸セグメントを一つ以上有し、かつポリエーテル系および/またはポリエステル系セグメントを有する可塑剤qを、ポリ乳酸系樹脂a:100重量部に対して5〜50重量部を含有する。
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