JP2014001320A - ポリ乳酸樹脂組成物からなる延伸フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】相対結晶化度が高く、かつ、耐衝撃性及び耐ブリード性に優れるポリ乳酸樹脂組成物からなる延伸フィルム、その製造方法、及び該延伸フィルムからなる包装材に関すること。
【解決手段】ポリ乳酸樹脂及び下記式(I)で表されるエステル(A)を含む可塑剤を含有してなるポリ乳酸樹脂組成物からなる延伸フィルム。
R1O−(EO)m−CO−R2−COO−(EO)n−R3 (I)
(式中、R1は炭素数が1〜4のアルキル基、R2は炭素数が2〜4のアルキレン基、R3は炭素数が1〜4のアルキル基、EOはオキシエチレン基であり、m及びnは1〜3の数を示す)
【選択図】なし
【解決手段】ポリ乳酸樹脂及び下記式(I)で表されるエステル(A)を含む可塑剤を含有してなるポリ乳酸樹脂組成物からなる延伸フィルム。
R1O−(EO)m−CO−R2−COO−(EO)n−R3 (I)
(式中、R1は炭素数が1〜4のアルキル基、R2は炭素数が2〜4のアルキレン基、R3は炭素数が1〜4のアルキル基、EOはオキシエチレン基であり、m及びnは1〜3の数を示す)
【選択図】なし
Description
本発明は、ポリ乳酸樹脂組成物からなる延伸フィルムに関する。更に詳しくは、食品包装、日用品や家電製品の包装材料、工業用各種フィルム等に好適に使用し得るポリ乳酸樹脂組成物からなる延伸フィルム、その製造方法、及び該延伸フィルムからなる包装材に関する。
ポリ乳酸樹脂は、原料となるL−乳酸がトウモロコシ、芋等から抽出した糖分を用いて発酵法により生産されるため安価であること、原料が植物由来であるために二酸化炭素排出量が極めて少ないこと、また樹脂の特性として剛性が強く透明性が高いこと等の特徴により、現在その利用が期待されている。
例えば、特許文献1では、ポリ乳酸系樹脂(A)、分子構造中に少なくとも1つのベンゼン環を有し、分子量が200〜3000であるジカルボン酸エステルからなる可塑剤(B)及びカルボジイミド化合物(C)を含有し、少なくとも1方向に延伸されたフィルム層(a)を備えたラップフィルムが、密着性、柔軟性、カット性に優れるのみならず、可塑剤のブリードアウトや寸法変化等の経時変化が極めて少なく、さらには、ポリ乳酸樹脂の加水分解による物性変化も極めて少なく、食品包装用等に好適に使用可能であることが報告されている。
また、特許文献2には、ポリ乳酸樹脂と可塑剤と結晶核剤とを含有する樹脂組成物からシート又はフィルムを製造する方法として、押出成形法により押し出されたシート又はフィルムに対して特定の熱処理を行なうことにより、これらを相対結晶化度30%以上に結晶化させて、柔軟性、耐熱性、感温性が良好な成形品として製造する方法が記載されている。
従来技術に拠って、特定の可塑剤を配合して成分間の相溶性を高めた樹脂組成物を調製し、それを用いて、密着性や柔軟性、耐ブリード性等に優れる延伸フィルムを得ることや、あるいは、樹脂組成物から調製したシート又はフィルムに特定の熱処理を行って結晶化させることにより、柔軟性、耐熱性、感温性を良好なものとすることは可能である。しかしながら、その衝撃強度が十分ではない為、適用できる用途が限定されていた。
本発明は、相対結晶化度が高く、かつ、耐衝撃性及び耐ブリード性に優れるポリ乳酸樹脂組成物からなる延伸フィルム、その製造方法、及び該延伸フィルムからなる包装材に関する。
本発明は、下記〔1〕〜〔3〕に関する。
〔1〕 ポリ乳酸樹脂及び下記式(I)で表されるエステル(A)を含む可塑剤を含有してなるポリ乳酸樹脂組成物からなる延伸フィルム。
R1O−(EO)m−CO−R2−COO−(EO)n−R3 (I)
(式中、R1は炭素数が1〜4のアルキル基、R2は炭素数が2〜4のアルキレン基、R3は炭素数が1〜4のアルキル基、EOはオキシエチレン基であり、m及びnは1〜3の数を示す)
〔2〕 下記工程(1)〜(2)を含む、前記〔1〕記載の延伸フィルムの製造方法。
工程(1) ポリ乳酸樹脂及び式(I)で表されるエステル(A)を含む可塑剤を含有するポリ乳酸樹脂組成物を押出成形法によりダイから押出してシートを調製後、ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)未満に冷却して相対結晶化度80%未満のシートを得る工程
工程(2) 工程(1)で得られたシートを一軸又は二軸延伸して延伸フィルムを得る工程
〔3〕 前記〔1〕記載の延伸フィルムからなる包装材。
〔1〕 ポリ乳酸樹脂及び下記式(I)で表されるエステル(A)を含む可塑剤を含有してなるポリ乳酸樹脂組成物からなる延伸フィルム。
R1O−(EO)m−CO−R2−COO−(EO)n−R3 (I)
(式中、R1は炭素数が1〜4のアルキル基、R2は炭素数が2〜4のアルキレン基、R3は炭素数が1〜4のアルキル基、EOはオキシエチレン基であり、m及びnは1〜3の数を示す)
〔2〕 下記工程(1)〜(2)を含む、前記〔1〕記載の延伸フィルムの製造方法。
工程(1) ポリ乳酸樹脂及び式(I)で表されるエステル(A)を含む可塑剤を含有するポリ乳酸樹脂組成物を押出成形法によりダイから押出してシートを調製後、ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)未満に冷却して相対結晶化度80%未満のシートを得る工程
工程(2) 工程(1)で得られたシートを一軸又は二軸延伸して延伸フィルムを得る工程
〔3〕 前記〔1〕記載の延伸フィルムからなる包装材。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物からなる延伸フィルムは、相対結晶化度が高く、かつ、耐衝撃性及び耐ブリード性に優れるという優れた効果を奏する。
本発明の延伸フィルムは、ポリ乳酸樹脂及び下記式(I)で表されるエステル(A)を含む可塑剤を含有するポリ乳酸樹脂組成物からなる。
R1O−(EO)m−CO−R2−COO−(EO)n−R3 (I)
(式中、R1は炭素数が1〜4のアルキル基、R2は炭素数が2〜4のアルキレン基、R3は炭素数が1〜4のアルキル基、EOはオキシエチレン基であり、m及びnは1〜3の数を示す)
R1O−(EO)m−CO−R2−COO−(EO)n−R3 (I)
(式中、R1は炭素数が1〜4のアルキル基、R2は炭素数が2〜4のアルキレン基、R3は炭素数が1〜4のアルキル基、EOはオキシエチレン基であり、m及びnは1〜3の数を示す)
〔ポリ乳酸樹脂組成物〕
[ポリ乳酸樹脂]
ポリ乳酸樹脂としては、市販されているポリ乳酸樹脂(例えば、Nature Works社製:商品名 Nature Works PLA/NW3001D、NW4032D、トヨタ自動車社製:商品名 エコプラスチックU'z S−09、S−12、S−17等)の他、乳酸やラクチドから合成したポリ乳酸樹脂が挙げられる。強度や耐熱性の向上の観点から、光学純度90%以上のポリ乳酸樹脂が好ましく、例えば、比較的分子量が高く、また光学純度の高いNature Works社製ポリ乳酸樹脂(NW4032D等)が好ましい。
[ポリ乳酸樹脂]
ポリ乳酸樹脂としては、市販されているポリ乳酸樹脂(例えば、Nature Works社製:商品名 Nature Works PLA/NW3001D、NW4032D、トヨタ自動車社製:商品名 エコプラスチックU'z S−09、S−12、S−17等)の他、乳酸やラクチドから合成したポリ乳酸樹脂が挙げられる。強度や耐熱性の向上の観点から、光学純度90%以上のポリ乳酸樹脂が好ましく、例えば、比較的分子量が高く、また光学純度の高いNature Works社製ポリ乳酸樹脂(NW4032D等)が好ましい。
また、本発明において、ポリ乳酸樹脂として、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性の両立、耐熱性及び透明性の向上の観点から、ステレオコンプレックスポリ乳酸を用いてもよい。
ステレオコンプレックスポリ乳酸は、異なる異性体を主成分とする乳酸成分を用いて得られた2種類のポリ乳酸からなるポリ乳酸樹脂であり、ステレオコンプレックスポリ乳酸を構成する一方のポリ乳酸〔以降、ポリ乳酸(A)と記載する〕は、L体90〜100モル%、D体を含むその他の成分0〜10モル%を含有する。他方のポリ乳酸〔以降、ポリ乳酸(B)と記載する〕は、D体90〜100モル%、L体を含むその他の成分0〜10モル%を含有する。なお、L体及びD体以外のその他の成分としては、2個以上のエステル結合を形成可能な官能基を持つジカルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン等が挙げられ、また、未反応の前記官能基を分子内に2つ以上有するポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート等であってもよい。
ステレオコンプレックスポリ乳酸における、ポリ乳酸(A)とポリ乳酸(B)の質量比〔ポリ乳酸(A)/ポリ乳酸(B)〕は、10/90〜90/10が好ましく、20/80〜80/20がより好ましく、40/60〜60/40がさらに好ましい。
また、本発明におけるポリ乳酸樹脂は、ポリ乳酸樹脂以外の生分解性ポリエステル樹脂やポリプロピレン等の非生分解性樹脂とポリ乳酸樹脂とのブレンドによるポリマーアロイとして含有されていてもよい。
ポリ乳酸樹脂の含有量は、特に限定されないが、ポリ乳酸樹脂組成物中、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
[可塑剤]
本発明における可塑剤は、耐衝撃性向上の観点から、式(I)で表されるエステル(A)を含む。
R1O−(EO)m−CO−R2−COO−(EO)n−R3 (I)
(式中、R1は炭素数が1〜4のアルキル基、R2は炭素数が2〜4のアルキレン基、R3は炭素数が1〜4のアルキル基、EOはオキシエチレン基であり、m及びnは1〜3の数を示す)
本発明における可塑剤は、耐衝撃性向上の観点から、式(I)で表されるエステル(A)を含む。
R1O−(EO)m−CO−R2−COO−(EO)n−R3 (I)
(式中、R1は炭素数が1〜4のアルキル基、R2は炭素数が2〜4のアルキレン基、R3は炭素数が1〜4のアルキル基、EOはオキシエチレン基であり、m及びnは1〜3の数を示す)
一般的に、ポリエステル系可塑剤は、酸価や水酸基価が高いポリマー化合物が多い。かかる化合物がポリ乳酸樹脂等のポリエステル樹脂に配合されると、該化合物の酸基(例えば、カルボキシル基)や水酸基により、ポリエステル樹脂が分解されたり、ブリードして自身も分解したりするため、得られた樹脂組成物を加温して成形すると成形体の透明性等が低下しやすくなる。そこで、本発明では、前記式(I)で表される化合物を用いる。該化合物は、化合物の末端が封止(capping)されていることから、ポリ乳酸樹脂との反応性が低いためにポリ乳酸樹脂の分解が抑制される。また、分子内の各セグメントが適度な極性を持った鎖状構造をしているためにポリ乳酸樹脂と適度な相互作用が得られて相溶性が向上し、該化合物を配合したポリ乳酸樹脂組成物は可塑性及び延伸性が向上するとともに、二次加工処理(延伸)して得られた延伸フィルムは耐衝撃性に優れ、且つ可塑剤の耐ブリード性にも優れるものとなる。また、ポリ乳酸樹脂との相溶性及び可塑性が高いために延伸工程でのポリ乳酸樹脂分子の配向が均一に促進され、結晶性も向上する。
式(I)におけるR1及びR3は、それぞれ独立して、炭素数が1〜4のアルキル基を示す。R1及びR3は炭素数が1〜4であれば、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。アルキル基の炭素数としては、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ耐衝撃性を発現させる観点から、1〜4が好ましく、1〜2がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、iso−ブチル基が挙げられ、なかでも、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ耐衝撃性を発現させる観点から、メチル基及びエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
式(I)におけるR2は、炭素数が2〜4のアルキレン基を示し、直鎖のアルキレン基が好適例として挙げられる。具体的には、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基が挙げられ、なかでも、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ耐衝撃性を発現させる観点から、エチレン基、1,3−プロピレン基が好ましく、エチレン基がより好ましく、耐衝撃性を発現させる観点及び経済性の観点から、エチレン基、1,4−ブチレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。但し、全てのR2は同一でも異なっていてもよい。
m及びnはオキシエチレン基の繰り返し数を示す。m及びnは、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させる観点から、それぞれ独立して、1〜3の数である。
式(I)で表される化合物の平均分子量は、耐揮発性の観点から、好ましくは200以上、より好ましくは250以上、さらに好ましくは300以上である。そして、耐衝撃性の観点から、好ましくは2000以下、より好ましくは1500以下、さらに好ましくは1200以下である。なお、本明細書において、可塑剤の平均分子量は、JIS K0070に記載の方法で鹸化価を求め、次式より計算で求めることができる。
平均分子量=56108×2/鹸化価
平均分子量=56108×2/鹸化価
式(I)で表される化合物の具体例としては、R1及びR3がメチル基、R2がエチレン基であって、m及びnが3のエステル、R1及びR3がエチル基、R2がエチレン基であって、m及びnが3のエステル等が挙げられる。また、例えば、コハク酸、グルタル酸、2−メチルコハク酸、アジピン酸等の飽和ジカルボン酸と、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のポリエチレングリコールモノアルキルエーテルとのジエステルを挙げることができる。これらは1種単独で又は2種以上含有されていてもよい。なかでも、耐ブリード性や可塑化効率の向上の観点から、R1がメチル基又はエチル基、R2がエチレン基又は1,4−ブチレン基、R3がメチル基又はエチル基であって、m及びnが1〜3のエステル、例えば、コハク酸エステルが好ましく、R1がメチル基、R2がエチレン基、R3がメチル基であって、m及びnが3のエステル、即ち、コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルのジエステルがより好ましい。
式(I)で表される化合物は、市販品であっても公知の製造方法に従って合成したものを用いてもよく、例えば特開2006−176748号公報に開示されているような方法に従って製造することができる。
また、本発明における可塑剤は、耐ブリード性と耐衝撃性の観点から、式(I)で表されるエステル(A)以外に、脂肪族カルボン酸と少なくとも1つのベンゼン環を持つアルコールとからなるエステル(B)を含むことが好ましい。前記脂肪族カルボン酸としては、二価の脂肪族カルボン酸であることが好ましい。
前記二価の脂肪族カルボン酸としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、2−メチルコハク酸、アジピン酸等が挙げられる。耐ブリード性と耐衝撃性の観点から、アジピン酸が好ましい。
前記少なくとも1つのベンゼン環を持つアルコールとしては、ベンジルアルコール、1−フェニルエタノール等が挙げられる。耐ブリード性と耐衝撃性の観点から、ベンジルアルコールが好ましい。
エステル(B)は、前記二価の脂肪族カルボン酸と少なくとも1つのベンゼン環を持つアルコールとからなるものであれば、公知の製造方法に従って合成することができ、市販品であってもよい。
エステル(B)の具体例としては、アジピン酸1−[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]6−(フェニルメチル)エステル等が挙げられる。
なお、本発明における可塑剤は、前記エステル(A)及びエステル(B)以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の可塑剤、例えば、ジオクチルフタレート等のフタル酸エステルやコハク酸ジオクチル等のコハク酸エステル、ジオクチルアジペート等のアジピン酸エステルといった多価カルボン酸エステル、グリセリン等脂肪族ポリオールの脂肪酸エステル等を含有することができる。
ポリ乳酸樹脂組成物における可塑剤の含有量は、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、耐衝撃性の観点から、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上である。そして、耐ブリード性の観点から、好ましくは35質量部以下、より好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは25質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下である。また、耐衝撃性と耐ブリード性の観点から、0.1〜30質量部が好ましく、1〜25質量部がより好ましく、1〜20質量部がさらに好ましい。また、式(I)で表されるエステル(A)の全可塑剤中の含有量としては、耐ブリード性、耐衝撃性、二次加工性の向上の観点から、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。なお、全可塑剤とは、組成物に含有される式(I)で表されるエステル(A)と他の可塑剤を合わせたものを意味する。
また、ポリ乳酸樹脂組成物における式(I)で表されるエステル(A)の含有量は、耐衝撃性の観点から、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上である。そして、耐ブリード性の観点から、好ましくは35質量部以下、より好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは25質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下である。また、耐ブリード性と耐衝撃性の観点から、1〜30質量部が好ましく、1〜25質量部がより好ましく、1〜20質量部がさらに好ましい。
エステル(B)を併用する場合、ポリ乳酸樹脂組成物におけるエステル(B)の含有量は、耐衝撃性の観点から、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上である。そして、耐ブリード性の観点から、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下である。また、耐衝撃性と耐ブリード性の観点から、0.5〜30質量部が好ましく、1〜25質量部がより好ましく、5〜20質量部がさらに好ましい。さらに、エステル(A)とエステル(B)の質量比〔エステル(A)/エステル(B)〕は、耐ブリード性と耐衝撃性の観点から、5/95〜95/5が好ましく、40/60〜90/10がより好ましく、60/40〜80/20がさらに好ましい。エステル(A)とエステル(B)の総含有量は、耐ブリード性と耐衝撃性の観点から、1〜30質量部が好ましく、1〜25質量部がより好ましく、1〜20質量部がさらに好ましい。
本発明におけるポリ乳酸樹脂組成物は、前記ポリ乳酸樹脂及び式(I)で表されるエステル(A)以外に、結晶核剤、加水分解抑制剤、充填剤(無機充填剤、有機充填剤)、難燃剤、酸化防止剤、炭化水素系ワックス類やアニオン型界面活性剤である滑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、光安定剤、顔料、防カビ剤、抗菌剤、発泡剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。また同様に、本発明の効果を阻害しない範囲内で他の高分子材料や他の樹脂組成物を添加することも可能である。
本発明におけるポリ乳酸樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂及び式(I)で表されるエステル(A)を含有するものであれば特に限定なく調製することができ、例えば、ポリ乳酸樹脂及び式(I)で表されるエステル(A)、さらに必要により各種添加剤を含有する原料を、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて溶融混練して調製することができる。溶融混練後は、公知の方法に従って、溶融混練物を乾燥又は冷却させてもよい。また、原料は、予めヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等を用いて均一に混合した後に、溶融混練に供することも可能である。なお、ポリ乳酸樹脂組成物を調製する際にポリ乳酸樹脂の可塑化を促進させるため、超臨界ガスを存在させて溶融混合させてもよい。
溶融混練温度は、ポリ乳酸樹脂組成物の成形性及び劣化防止を向上する観点から、好ましくは170℃以上、より好ましくは175℃以上、さらに好ましくは180℃以上、そして、好ましくは240℃以下、より好ましくは220℃以下、さらに好ましくは210℃以下である。また、好ましくは170〜240℃、より好ましくは175〜220℃、さらに好ましくは180〜210℃である。溶融混練時間は、溶融混練温度、混練機の種類によって一概には決定できないが、15〜900秒間が好ましい。
得られた溶融混練物のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは30℃以上、より好ましくは35℃以上、そして、好ましくは60℃以下、より好ましくは55℃以下である。また、好ましくは30〜60℃、より好ましくは30〜55℃、さらに好ましくは35〜55℃である。
溶融混練物の冷結晶化温度(Tc)は、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、そして、好ましくは110℃以下、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは90℃以下である。また、好ましくは50〜110℃、より好ましくは50〜100℃、さらに好ましくは60〜90℃である。
溶融混練物の融点(Tm)は、成形体の耐熱性や加工性の観点から、好ましくは130℃以上、より好ましくは140℃以上、さらに好ましくは150℃以上、そして、好ましくは210℃以下、より好ましくは200℃以下、さらに好ましくは180℃以下である。また、好ましくは130〜210℃、より好ましくは140〜200℃、さらに好ましくは150〜180℃である。なお、本明細書において、ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)、冷結晶化温度(Tc)、融点(Tm)は、後述の実施例に記載の方法に従って、測定することができる。
かくして得られた溶融混練物は、延伸性等の二次加工性に優れることから、ポリ乳酸樹脂組成物からなる一次加工品(一次成形体ともいう)に成形される。一次加工品としては、シートやフィルムが挙げられるが、延伸フィルムへの加工性の観点から、シートが好ましい。なお、本明細書において「シート」とは厚さが0.1mm以上の平板状のものをいい、「フィルム」とは厚み0.1mm未満の平板状のものをいう。
シート状の一次加工品は、前記ポリ乳酸樹脂組成物を押出成形やプレス成形することによって調製することができる。
押出成形は、加熱した押出機に充填された前記ポリ乳酸樹脂組成物を溶融させた後にTダイから押出すことにより、シート状の成形体を得ることができる。本発明では、この成形体を直ぐに冷却ロールに接触させてポリ乳酸樹脂組成物のTg未満に冷却することで、非晶状態又は半結晶状態にし、その後、冷却ロールから引き離し、それらを巻き取りロールにて巻き取り、非晶状態又は半結晶状態のシート状の成形体としてもよい。なお、押出機に充填する際に、本発明におけるポリ乳酸樹脂組成物を構成する原料、例えば、ポリ乳酸樹脂及び式(I)で表される化合物、さらに必要により各種添加剤を含有する原料を充填して溶融混練後、押出し成形してもよい。なお、本明細書において、非晶状態及び半結晶状態とは、以下の式により求めた相対結晶化度が60%未満となる場合を非晶状態、相対結晶化度が60%以上、80%未満となる場合を半結晶状態とする。よって、非晶状態又は半結晶状態の一次加工品とは、相対結晶化度が80%未満の一次加工品を意味する。
相対結晶化度(%)={(ΔHm−ΔHcc)/ΔHm}×100
具体的には、相対結晶化度は、DSC装置(パーキンエルマー社製ダイアモンドDSC)を用い、1stRUNとして、昇温速度20℃/分で20℃から200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、降温速度−20℃/分で200℃から20℃まで降温し、20℃で1分間保持した後、さらに2ndRUNとして、昇温速度20℃/分で20℃から200℃まで昇温し、1stRUNに観測されるポリ乳酸樹脂の冷結晶化エンタルピーの絶対値ΔHcc、及び2ndRUNに観測される結晶融解エンタルピーΔHmを用いて求めることができる。
相対結晶化度(%)={(ΔHm−ΔHcc)/ΔHm}×100
具体的には、相対結晶化度は、DSC装置(パーキンエルマー社製ダイアモンドDSC)を用い、1stRUNとして、昇温速度20℃/分で20℃から200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、降温速度−20℃/分で200℃から20℃まで降温し、20℃で1分間保持した後、さらに2ndRUNとして、昇温速度20℃/分で20℃から200℃まで昇温し、1stRUNに観測されるポリ乳酸樹脂の冷結晶化エンタルピーの絶対値ΔHcc、及び2ndRUNに観測される結晶融解エンタルピーΔHmを用いて求めることができる。
押出機の温度は、ポリ乳酸樹脂組成物を均一に混合し、且つポリ乳酸樹脂の劣化を防止する観点から、好ましくは170℃以上、より好ましくは175℃以上、さらに好ましくは180℃以上であり、そして、好ましくは240℃以下、より好ましくは220℃以下、さらに好ましくは210℃以下である。また、170〜240℃が好ましく、175〜220℃がより好ましく、180〜210℃がさらに好ましい。なお、本発明において、押出機の温度とは押出機のバレル設定温度を意味する。
押出速度は特に限定されないが、非晶状態又は半結晶状態の一次加工品を得る観点から、1〜100m/分が好ましく、5〜80m/分がより好ましく、10〜50m/分がさらに好ましい。
また、冷却ロールの温度は、非晶状態又は半結晶状態の一次加工品を得る観点から、ポリ乳酸樹脂組成物のTg未満に設定することが好ましく、具体的には、40℃未満が好ましく、30℃以下がより好ましく、20℃以下がさらに好ましい。冷却ロールに接する時間としては、非晶状態又は半結晶状態の一次加工品を得る観点から、0.1〜50秒が好ましく、0.5〜10秒がより好ましく、0.8〜5秒がさらに好ましい。
プレス成形でシート状の一次加工品を成形する場合は、シート形状を有する枠で本発明におけるポリ乳酸樹脂組成物を囲みプレス成形して調製することができる。
プレス成形の温度と圧力としては、好ましくは170〜240℃の温度、5〜30MPaの圧力の条件下、より好ましくは175〜220℃の温度、10〜25MPaの圧力の条件下、さらに好ましくは180〜210℃の温度、10〜20MPaの圧力の条件下でプレスすることが好ましい。プレス時間は、プレスの温度と圧力によって一概には決定することができないが、1〜10分が好ましく、1〜7分がより好ましく、1〜5分がさらに好ましい。
また前記条件でプレスした後直ぐに、好ましくは0〜40℃の温度、5〜30MPaの圧力の条件下、より好ましくは10〜30℃の温度、10〜25MPaの圧力の条件下、さらに好ましくは10〜20℃の温度、10〜20MPaの圧力の条件下でプレスして冷却してもよい。この温度条件によるプレスにより、本発明におけるポリ乳酸樹脂組成物をそのTg未満に冷却して、非晶状態又は半結晶状態を維持することができる。プレス時間は、プレスの温度と圧力によって一概には決定することができないが、1〜10分が好ましく、1〜7分がより好ましく、1〜5分がさらに好ましい。
非晶状態又は半結晶状態のシート状の一次加工品を調製する場合、その厚さは均一な成形体(二次加工品)を得る観点から、0.1〜1.5mmが好ましく、0.1〜1.4mmがより好ましく、0.15〜1.2mmがさらに好ましい。
〔延伸フィルム〕
かくして得られた一次加工品をさらに加工処理することにより二次加工品(二次成形体ともいう)である本発明の延伸フィルムが得られる。前記一次加工品は延伸処理等の二次加工に供しても、式(I)で表される化合物がポリ乳酸樹脂を可塑化する効果が高く、かつポリ乳酸樹脂との親和性も高いことから、耐ブリード性に優れたものとなり、結晶核剤の配合がなくとも延伸処理によってポリ乳酸樹脂の結晶化が促進されるものである。
かくして得られた一次加工品をさらに加工処理することにより二次加工品(二次成形体ともいう)である本発明の延伸フィルムが得られる。前記一次加工品は延伸処理等の二次加工に供しても、式(I)で表される化合物がポリ乳酸樹脂を可塑化する効果が高く、かつポリ乳酸樹脂との親和性も高いことから、耐ブリード性に優れたものとなり、結晶核剤の配合がなくとも延伸処理によってポリ乳酸樹脂の結晶化が促進されるものである。
本発明の延伸フィルムは、特に限定なく公知の方法に従って成形することができるが、例えば、前記方法により調製したシート状の一次加工品、好ましくは非晶状態又は半結晶状態のシート状の一次加工品を、所望の厚みまで一軸又は二軸延伸して結晶化することにより得られる。二軸延伸では、同時延伸でも逐次延伸によっても延伸フィルム化することが可能である。
延伸時の温度としては、特に限定はないが、延伸フィルムの結晶化を促進する観点から、ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)以上、冷結晶化温度(Tc)以下の温度領域中が好ましい。具体的には、好ましくは45℃以上、より好ましくは50℃以上、さらに好ましくは55℃以上、そして、好ましくは80℃以下、より好ましくは75℃以下、さらに好ましくは70℃以下である。また、45〜80℃が好ましく、50〜75℃がより好ましく、55〜70℃がさらに好ましい。かかる温度範囲内で延伸することにより、例えば、前記方法により求めた相対結晶化度が好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上となるよう結晶化させた延伸フィルムとすることができる。
延伸倍率は縦方向に、好ましくは1.5〜6倍、より好ましくは2〜5倍、横方向に、好ましくは1.5〜6倍、より好ましくは2〜5倍の範囲で適宜選択される。さらに、フィルムの強度と厚み精度の観点から縦横それぞれ2倍以上であることが好ましい。また、縦方向の延伸倍率と横方向の延伸倍率の積、すなわち面積延伸倍率は、好ましくは2倍以上、より好ましくは4倍以上、さらに好ましくは6倍以上、さらに好ましくは8倍以上、そして、好ましくは50倍以下、より好ましくは36倍以下、さらに好ましくは20倍以下、さらに好ましくは16倍以下である。また、2〜50倍が好ましく、4〜36倍がより好ましく、6〜20倍がさらに好ましく、8〜16倍がさらに好ましい。
また、延伸速度は延伸に供されるシートの大きさや所望の延伸倍率によって適宜設定することができ、好ましくは10〜100000%/分、より好ましくは100〜10000%/分であり、例えば、1〜10mm/秒が挙げられる。これらの適正範囲は、樹脂組成物の組成や、未延伸(延伸前の)シートの熱履歴によって異なるので、フィルムの強度、伸びを考慮しながら適宜決められる。
なお、延伸後には、熱処理(熱固定)、具体的には、好ましくは80〜160℃、より好ましくは90〜150℃の温度下で、好ましくは3〜120秒、より好ましくは5〜60秒維持することができる。
また、延伸フィルムの一態様としては熱収縮フィルムとすることができる。熱収縮フィルムは、特に限定なく公知の方法に従って製造することができる。例えば、少なくとも一方向に、所望の厚みまで延伸して結晶化させた後に、実質、熱固定を行わないことにより得られる。延伸する方法としては、一軸又は二軸延伸を行うことができるが、二軸延伸する場合には同時延伸でも逐次延伸でもどちらでも良い。なかでも、逐次延伸の場合には、縦横の延伸倍率が大きく異なる熱収縮フィルムを作成することが可能であることより、シュリンクラベルとしてより良好な物性を示す延伸フィルムを得ることができる。
かくして得られた本発明の延伸フィルムの厚みは、透明性と剛性の観点から、0.01mm以上0.1mm未満が好ましく、0.02〜0.09mmがより好ましく、0.03〜0.08mmがさらに好ましい。
本発明の延伸フィルムは、一軸又は二軸延伸により結晶化されるため、機械的強度が増加して、延伸フィルムとしての良好な物性を示す。また、式(I)で表される化合物によるポリ乳酸樹脂の可塑化促進効果に優れ且つポリ乳酸樹脂との親和性が高いことから、耐ブリード性にも優れ、結晶性に優れるものである。
本発明はまた、本発明の延伸フィルムの製造方法を提供する。
製造方法としては、前記ポリ乳酸樹脂と式(I)で表される化合物を含有するポリ乳酸樹脂組成物を延伸する工程を含む方法であれば特に限定はなく、得られるフィルムの種類に応じて、適宜、工程を追加することができる。
具体的には、以下の工程を含む態様が挙げられる。
工程(1) ポリ乳酸樹脂及び式(I)で表されるエステル(A)を含む可塑剤を含有するポリ乳酸樹脂組成物を押出成形法によりダイから押出してシートを調製後、ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)未満に冷却して相対結晶化度80%未満のシートを得る工程
工程(2) 工程(1)で得られたシートを一軸又は二軸延伸して延伸フィルムを得る工程
工程(1) ポリ乳酸樹脂及び式(I)で表されるエステル(A)を含む可塑剤を含有するポリ乳酸樹脂組成物を押出成形法によりダイから押出してシートを調製後、ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)未満に冷却して相対結晶化度80%未満のシートを得る工程
工程(2) 工程(1)で得られたシートを一軸又は二軸延伸して延伸フィルムを得る工程
工程(1)は、相対結晶化度80%未満のシートを得る工程である。具体的には、ポリ乳酸樹脂と式(I)で表される化合物を含有するポリ乳酸樹脂組成物を、好ましくは170〜240℃、より好ましくは175〜220℃、さらに好ましくは180〜210℃で溶融混練した後、好ましくは170〜240℃、より好ましくは175〜220℃、さらに好ましくは180〜210℃に加熱した押出機にてダイから押出し、次いで、好ましくは40℃未満、より好ましくは30℃以下、さらに好ましくは20℃以下に設定した冷却ロールに、好ましくは0.1〜50秒、より好ましくは0.5〜10秒、さらに好ましくは0.8〜5秒接触させて冷却することにより、相対結晶化度80%未満のシートを調製することができる。また、用いる押出機の種類によっては、押出機内にポリ乳酸樹脂組成物の原料を充填し、そのまま溶融混練し、次いで押出し成形してもよい。また円形ダイが装着されたインフレーション成形機にてチューブ状に押し出し、次いで、好ましくは40℃未満、より好ましくは30℃以下、さらに好ましくは20℃以下に空冷することにより、相対結晶化度80%未満のシートを調製することができる。
工程(2)は、相対結晶化度80%未満のシートを一軸又は二軸延伸して結晶化させる工程である。延伸条件としては前記と同様に設定すればよく、前記シートを所望の厚み、好ましくは0.01mm以上0.1mm未満、より好ましくは0.02〜0.09mm、さらに好ましくは0.03〜0.08mmとなるよう一軸又は二軸延伸することにより結晶化を行うことができる。また、好ましくはポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)以上、冷結晶化温度(Tc)以下の温度領域中で、具体的には、好ましくは45〜80℃、より好ましくは50〜75℃、さらに好ましくは55〜70℃で一軸又は二軸延伸することにより、より効率的に結晶化を行うことができる。なお、延伸後には、熱処理(熱固定)を行なってもよい。
かくして得られた本発明の延伸フィルムは、相対結晶化度が好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上と結晶性の高いものであり、かつ、耐衝撃性及び耐ブリード性に優れることから、各種用途の包装材に好適用いられる。なかでも、日用品、化粧品、家電製品などの包装材料や工業用各種フィルム、パン、お菓子、野菜などの食品包装用フィルム、ラップ、袋等に好適に用いることができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
〔可塑剤の平均分子量〕
平均分子量は、JIS K0070に記載の方法で鹸化価を求め、次式より計算で求める。
平均分子量=56108×2/鹸化価
平均分子量は、JIS K0070に記載の方法で鹸化価を求め、次式より計算で求める。
平均分子量=56108×2/鹸化価
〔ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移点及び冷結晶化温度〕
JIS K7121に従い、試料をアルミパンに封入後、DSC装置(パーキンエルマー社製ダイアモンドDSC)を用い、25℃から200℃まで15℃/minで昇温させ、ガラス転移温度(℃)及び冷結晶化温度(℃)を測定する。
JIS K7121に従い、試料をアルミパンに封入後、DSC装置(パーキンエルマー社製ダイアモンドDSC)を用い、25℃から200℃まで15℃/minで昇温させ、ガラス転移温度(℃)及び冷結晶化温度(℃)を測定する。
〔ポリ乳酸樹脂組成物の融点〕
ポリ乳酸樹脂の融点は、JIS K7121に基づく示差走査熱量測定(DSC、パーキンエルマー社製、ダイアモンドDSC)の昇温法による結晶融解吸熱ピーク温度より求められる。融点の測定は、昇温速度10℃/分で20℃から250℃まで昇温して行う。
ポリ乳酸樹脂の融点は、JIS K7121に基づく示差走査熱量測定(DSC、パーキンエルマー社製、ダイアモンドDSC)の昇温法による結晶融解吸熱ピーク温度より求められる。融点の測定は、昇温速度10℃/分で20℃から250℃まで昇温して行う。
実施例1〜7及び比較例1〜5
ポリ乳酸樹脂組成物の調製
ポリ乳酸樹脂組成物として、表1に示す組成物原料を、二軸押出機(池貝鉄工社製、PCM−45)にて、回転数100r/min、溶融混練温度190℃で溶融混練し、ストランドカットを行い、ポリ乳酸樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットは、70℃減圧下で1日乾燥し、水分量を500ppm以下とした。
ポリ乳酸樹脂組成物の調製
ポリ乳酸樹脂組成物として、表1に示す組成物原料を、二軸押出機(池貝鉄工社製、PCM−45)にて、回転数100r/min、溶融混練温度190℃で溶融混練し、ストランドカットを行い、ポリ乳酸樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットは、70℃減圧下で1日乾燥し、水分量を500ppm以下とした。
このペレットをTダイ2軸押出機(日本製鋼所社製 TEX44αII)にて、回転数120r/min、温度200℃のバレルで溶融混練し、厚さ0.45mmのシート状組成物をTダイから押出し、実施例1〜5及び比較例1〜5については表面温度が20℃、実施例6については表面温度が35℃、実施例7については表面温度が50℃、にそれぞれ制御した冷却ロールに2秒間接触させ、表1に示す相対結晶化度の未延伸シート(延伸前シート)を得た(厚さ0.45mm)。
二軸延伸フィルムの調製
次いで、各組成物の延伸前シートについて、12cm×12cm(厚さ0.45mm)の正方形に切り出し、テーブルテンター試験機(岩本製作所社製)を用いて、延伸温度60℃、余熱時間45秒、延伸速度5mm/s、保持時間3分の条件で、表1に示す面積延伸倍率まで二軸同時延伸を行い(延伸範囲10cm×10cmの正方形)、表1に示す厚さの二軸延伸フィルムを作成した。
次いで、各組成物の延伸前シートについて、12cm×12cm(厚さ0.45mm)の正方形に切り出し、テーブルテンター試験機(岩本製作所社製)を用いて、延伸温度60℃、余熱時間45秒、延伸速度5mm/s、保持時間3分の条件で、表1に示す面積延伸倍率まで二軸同時延伸を行い(延伸範囲10cm×10cmの正方形)、表1に示す厚さの二軸延伸フィルムを作成した。
なお、表1における原料は以下の通りである。
<ポリ乳酸樹脂>
NW4032D:ポリ乳酸樹脂、ネイチャーワークスLLC社製、ポリ−L−乳酸、NatureWorks 4032D
<可塑剤>
A−1010:コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル化合物、式(I)におけるR1がメチル基、R2がエチレン基、R3がメチル基であって、m及びnが3のエステル化合物、花王社製、分子量410
SA(EO)3Et:コハク酸とトリエチレングリコールモノエチルエーテルとのジエステル化合物、式(I)におけるR1がエチル基、R2がエチレン基、R3がエチル基であって、m及びnが3のエステル化合物、花王社製、分子量438
DAIFATTY−101:アジピン酸とメチルジグリコール/ベンジルエステル等量混合物とのジエステル化合物、大八化学工業製、分子量338
リケマールPL−004:グリセリンジアセトモノラウレート、理研ビタミン社製、分子量310
ATBC:アセチルクエン酸トリブチル、協和発酵社製、分子量392
<ポリ乳酸樹脂>
NW4032D:ポリ乳酸樹脂、ネイチャーワークスLLC社製、ポリ−L−乳酸、NatureWorks 4032D
<可塑剤>
A−1010:コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル化合物、式(I)におけるR1がメチル基、R2がエチレン基、R3がメチル基であって、m及びnが3のエステル化合物、花王社製、分子量410
SA(EO)3Et:コハク酸とトリエチレングリコールモノエチルエーテルとのジエステル化合物、式(I)におけるR1がエチル基、R2がエチレン基、R3がエチル基であって、m及びnが3のエステル化合物、花王社製、分子量438
DAIFATTY−101:アジピン酸とメチルジグリコール/ベンジルエステル等量混合物とのジエステル化合物、大八化学工業製、分子量338
リケマールPL−004:グリセリンジアセトモノラウレート、理研ビタミン社製、分子量310
ATBC:アセチルクエン酸トリブチル、協和発酵社製、分子量392
得られた延伸フィルムの特性を、下記の試験例1〜3の方法に従って評価した。結果を表1に示す。
試験例1<結晶性の評価>
延伸前シート及び二軸延伸フィルムについて7.5mg精秤し、アルミパンに封入後、DSC装置(パーキンエルマー社製ダイアモンドDSC)を用い、1stRUNとして、昇温速度20℃/分で20℃から200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、降温速度−20℃/分で200℃から20℃まで降温し、20℃で1分間保持した後、さらに2ndRUNとして、昇温速度20℃/分で20℃から200℃まで昇温した。1stRUNに観測されるポリ乳酸樹脂の冷結晶化エンタルピーの絶対値ΔHcc、2ndRUNに観測される結晶融解エンタルピーΔHmを求め、得られた値から、下記式により相対結晶化度(%)を求めた。
相対結晶化度(%)={(ΔHm−ΔHcc)/ΔHm}×100
延伸前シート及び二軸延伸フィルムについて7.5mg精秤し、アルミパンに封入後、DSC装置(パーキンエルマー社製ダイアモンドDSC)を用い、1stRUNとして、昇温速度20℃/分で20℃から200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、降温速度−20℃/分で200℃から20℃まで降温し、20℃で1分間保持した後、さらに2ndRUNとして、昇温速度20℃/分で20℃から200℃まで昇温した。1stRUNに観測されるポリ乳酸樹脂の冷結晶化エンタルピーの絶対値ΔHcc、2ndRUNに観測される結晶融解エンタルピーΔHmを求め、得られた値から、下記式により相対結晶化度(%)を求めた。
相対結晶化度(%)={(ΔHm−ΔHcc)/ΔHm}×100
試験例2<耐衝撃性の評価>
二軸延伸フィルムについて、JIS P8134に基づいて、1インチ半球を使用して、衝撃強度(J/mm)を測定した。衝撃強度(J/mm)が高いほど耐衝撃性に優れることを示す。
二軸延伸フィルムについて、JIS P8134に基づいて、1インチ半球を使用して、衝撃強度(J/mm)を測定した。衝撃強度(J/mm)が高いほど耐衝撃性に優れることを示す。
試験例3<耐ブリード性の評価>
二軸延伸フィルムを70℃の恒温室に1週間放置し、その表面における可塑剤のブリードの有無について、目視及び手触り感により耐ブリード性を以下の3段階で評価した。
3:ブリードが認められない
2:わずかにブリードが認められる
1:明らかにブリードが認められる
二軸延伸フィルムを70℃の恒温室に1週間放置し、その表面における可塑剤のブリードの有無について、目視及び手触り感により耐ブリード性を以下の3段階で評価した。
3:ブリードが認められない
2:わずかにブリードが認められる
1:明らかにブリードが認められる
表1の結果から明らかなように、式(I)で示される可塑剤がポリ乳酸との相溶性に優れることからポリ乳酸樹脂の延伸性が顕著に向上したため、本発明の延伸フィルムは、高い結晶化度と優れた耐ブリード性を示し、かつ、耐衝撃性が向上したものであった。また、実施例3と実施例6、7の対比より、延伸前のシートの相対結晶化度が低い方が耐衝撃性に優れる延伸フィルムが得られることが分かった。
本発明の延伸フィルムは、透明性、耐ブリード性に優れ、さらにフィルム強度に優れることから、食品包装、日用品や家電製品の包装材料、工業用各種フィルム等、様々な用途に好適に使用することができる。
Claims (8)
- ポリ乳酸樹脂及び下記式(I)で表されるエステル(A)を含む可塑剤を含有してなるポリ乳酸樹脂組成物からなる延伸フィルム。
R1O−(EO)m−CO−R2−COO−(EO)n−R3 (I)
(式中、R1は炭素数が1〜4のアルキル基、R2は炭素数が2〜4のアルキレン基、R3は炭素数が1〜4のアルキル基、EOはオキシエチレン基であり、m及びnは1〜3の数を示す) - 可塑剤の含有量がポリ乳酸樹脂100質量部に対して0.1〜30質量部である請求項1記載の延伸フィルム。
- 相対結晶化度が80%未満であるポリ乳酸樹脂シートを延伸してなる請求項1又は2記載の延伸フィルム。
- 面積延伸倍率が2〜50倍である請求項1〜3いずれか記載の延伸フィルム。
- 可塑剤が、飽和脂肪酸と少なくとも1つのベンゼン環を持つアルコールとからなるエステル(B)をさらに含む請求項1〜4いずれか記載の延伸フィルム。
- 下記工程(1)〜(2)を含む、請求項1〜5いずれか記載の延伸フィルムの製造方法。
工程(1) ポリ乳酸樹脂及び式(I)で表されるエステル(A)を含む可塑剤を含有するポリ乳酸樹脂組成物を押出成形法によりダイから押出してシートを調製後、ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)未満に冷却して相対結晶化度80%未満のシートを得る工程
工程(2) 工程(1)で得られたシートを一軸又は二軸延伸して延伸フィルムを得る工程 - 延伸が、ポリ乳酸樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)以上、冷結晶化温度(Tc)以下の温度領域中で行なわれる、請求項6記載の製造方法。
- 請求項1〜5いずれか記載の延伸フィルムからなる包装材。
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