JP2007106996A - ラップフィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】十分な柔軟性を有し、可塑剤の揮発や滲出、ブリードアウトが抑制され、粘着性の経時変化を制御し、適度な粘着性を保持したポリ乳酸系重合体組成物を主成分とするラップフィルムとその製造方法を提供すること。
【解決手段】ポリ乳酸系重合体を主成分とする組成物からなる基材層の少なくとも片面に、粘着剤からなる被膜層を0.1〜5g/m2 の被膜量で形成してなるラップフィルムであり、また、ポリ乳酸系重合体を主成分とする組成物からなる基材層の片面に、液状粘着剤からなる被膜層を、オフラインコーティングにより、または基材フィルム製造工程中のインラインコーティングにより形成するラップフィルムの製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、生分解性を有したラップフィルム、特に食品包装用ラップフィルムに関し、詳しくは、生分解性に加え、さらに柔軟性、粘着性、耐熱性、カット性、あるいは風合いなどにも優れた包装用ラップフィルム、特に食品包装用ラップフィルムに関するものである。
従来、プラスチック廃棄物は、主に焼却や埋め立てにより処理されてきたが、焼却による有害副産物の生成・排出や埋立地の減少、さらには不法投棄による環境汚染などの問題などが顕在化してきている。
このようなプラスチック廃棄物の処理問題について社会的に関心が高まるに連れて、酵素や微生物で分解される生分解性を有するプラスチックの研究開発が盛んに行われており、その中でも、脂肪族ポリエステルが注目されている。
最近、特に積極的な研究開発が行われている生分解性の脂肪族ポリエステルとして、ポリ乳酸が挙げられる。
ポリ乳酸は、トウモロコシや芋類などから得られるでんぷんなどを原料として乳酸を製造し、さらに化学合成により得られる重合体であり、脂肪族ポリエステルの中でも機械的物性や耐熱性、透明性に優れているため、フィルム、シート、テープ、繊維、ロープ、不織布あるいは容器などの各種成形品への具体的展開を目的として研究開発が行われている。
例えば、包装用ラップフィルムなどの用途分野においては、ポリ乳酸はそのままでは柔軟性が不十分なために、可塑剤の添加による柔軟化技術などが各種検討されている。
例えば、通常、塩化ビニル用として広く用いられているフタル酸エステルなどの可塑剤を用いるという提案が開示されている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、フタル酸エステルなど通常の可塑剤を添加して柔軟化した場合、添加直後は柔軟性を発現するものの、成形品を大気雰囲気下、特に高温の雰囲気下に放置して時間が経つと、可塑剤が揮発・滲出して柔軟性が著しく悪化したり、あるいは白化し透明性が悪化するという問題があった。さらには、水中、特に熱水中の雰囲気では可塑剤が抽出されて、やはり柔軟性が著しく悪化したり、あるいは透明性が悪化するという問題があった。
また、乳酸や線状の乳酸オリゴマーまたは環状の乳酸オリゴマーを可塑剤として使用するという提案が開示されている(例えば、特許文献2)。
しかしながら、このような乳酸や線状の乳酸オリゴマーまたは環状の乳酸オリゴマーを相当量含んだポリ乳酸は、成形時の熱安定性が悪く、また、通常の使用条件下において容易に加水分解されてしまうために、このような組成物からフィルムなどの成形品を製造しても比較的短期間に強度が低下して実用性に劣るという大きな欠点があった。
さらに、乳酸を主成分とする重合体と、ポリアルキレンエーテルとポリ乳酸のブロック共重合体とを含む組成物に関する提案が開示されている(例えば、特許文献3)。
しかしながら、該提案は、帯電防止性の付与を目的とした技術思想のものであり、制電剤として添加されるブロック共重合体に含まれるポリ乳酸成分の作用については、母材との化学的な親和性の向上による微分散化以外の示唆はなく、組成物の柔軟性や、成形品としたときの添加剤(可塑剤)の揮発や滲出、ブリードアウトの抑制といった点からは、いまだ不十分なものであった。
また、ポリ乳酸からなるフィルムが本来備える透明性や耐熱性に加えて、主に柔軟性などの特性を付与して、ゴミ袋や農業用マルチフィルムなどの用途へ適用する技術の検討や、さらには柔軟性や密着性などを付与することにより包装用ラップフィルムなどの用途へ適用するための技術も検討されている。
特に、包装用ラップフィルム用途に関しては、例えば、乳酸系脂肪族ポリエステルを主体とする樹脂と液状添加剤を含有する組成物からなる延伸フィルムに関する提案が開示されている(例えば、特許文献4)。
しかしながら、該特許文献4に記載の実施例に従って実際に延伸フィルムの製膜を試みたところ、製膜直後に限れば食品包装用ラップフィルムとして一定レベルの柔軟性を有するものの、室温にて数週間程度の使用あるいは保管した後には液状添加剤が容易に揮発したり滲出してしまい、被包装物に液状添加剤が付着したり、フィルムの柔軟性が全く損なわれてしまうなど、実用性に欠ける不十分なものであった。
一方、積層化によりポリ乳酸フィルムに対する機能性の付与を試みている提案もされている。
例えば、低融点ポリマーと高融点のポリ乳酸を2層に積層化し、ヒートシール性を付与するという提案が開示されている(例えば、特許文献5〜7)。
また、液状添加剤により柔軟化したポリ乳酸からなる層と脂肪族/芳香族共重合ポリエステル樹脂に液状添加剤を添加した層の積層化により、密着性とガスバリア性の高いラップフィルムについての提案がされている(例えば、特許文献8〜9)。
しかしながら、これら提案においては、組成物のガスバリア性は実用レベルを有しながら、添加剤やラクチドなどの揮発や滲出、ブリードアウトといった点からは未解決であり、いまだ不十分なものであった。
すなわち、従来からポリ乳酸に可塑剤を添加するなどして柔軟性を付与したり、積層化によってガスバリア性を向上させる試みなどはなされていたものの、十分な柔軟性を付与し、かつ可塑剤の揮発や滲出、ブリードアウト量を制御し、しかも粘着性の経時変化を制御した技術については、未だ達成されていないのが実情であった。
特開平4−335060号公報(段落0016〜0026) 特開平6−306264号公報(段落0012〜0022) 特開平8−253665号公報(段落0005〜0017) 特開2000−26623号公報(段落0005〜0044) 特開平8−323946号公報(段落0001〜0015) 特開2002−273845号公報(段落0001〜0006) 特開2003−80655号公報(段落0001〜0009) 特開2002−88230号公報(段落0003〜0005、0022) 特開2002−178473号公報(段落0005〜0007、0053)
本発明の課題は、従来技術の問題点を解消し、十分な柔軟性を有し、可塑剤の揮発や滲出、ブリードアウトが抑制され、粘着性の経時変化を制御し、適度な粘着性を保持したポリ乳酸系重合体組成物を主成分とするラップフィルムとその製造方法を提供することにある。
上述した目的を達成する本発明のラップフィルムは、以下の(1) の構成からなる。
(1)ポリ乳酸系重合体を主成分とする組成物からなる基材層の少なくとも片面に、粘着剤からなる被膜層を0.1〜5g/m2 の被膜量で形成してなることを特徴とするラップフィルム。
さらに、かかる本発明のラップフィルムにおいて、具体的により好ましくは、以下の(2) 〜(5) の構成を有するものである。
(2)前記粘着剤が、下記(I) 、(II)、(III) および(IV)からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分からなる粘着剤であることを特徴とする上記(1) のラップフィルム。
(I) 下記(イ)と(ロ)とのエステル、
(イ)脂肪族系アルコール、脂環族系アルコールおよびこれらの縮重合物からなる群より選択される少なくとも1種のアルコール成分、
(ロ)脂肪族カルボン酸、脂肪族多価カルボン酸および芳香族多価カルボン酸からなる群より選択される少なくとも1種のカルボン酸、
(II) 脂肪族ヒドロキシカルボン酸とアルコールおよび/または脂肪酸とのエステル、および/またはこれらの変性物、
(III) ポリオキシエチレンアルキルエーテルおよび/またはそのエステル、
(IV) 脂肪族ポリエステルのオリゴマー、ミネラルオイル、流動パラフィンおよび飽和炭化水素化合物よりなる群より選択される少なくとも1種よりなる低重合物、
(3)前記基材層が、ポリ乳酸系重合体(a)と、1分子中に分子量が1,500以上のポリ乳酸セグメント並びに、ポリエーテル系セグメントおよび/またはポリエステル系セグメントを有する可塑剤(b)とを含有する組成物であることを特徴とする上記(1) または(2) のラップフィルム。
(4)前記基材層が、ポリ乳酸系重合体(a)と可塑剤(b)との混合割合(重量%)がポリ乳酸系重合体(a)/可塑剤(b)=60/40〜95/5である組成物AからなるA層と、結晶性ポリ乳酸系重合体(a1)と可塑剤(b)との混合割合(重量%)が結晶性ポリ乳酸系重合体(a1)/可塑剤(b)=50/50〜95/5である組成物BからなるB層とからなる少なくとも2層以上の積層フィルムであることを特徴とする上記(3) のラップフィルム。
(5)ヘイズが10%未満であることを特徴とする上記(1) 〜(4) のいずれかのラップフィルム。
(6)23℃引張弾性率が0.1〜2.0GPaであることを特徴とする上記(1) 〜(5) のいずれかのラップフィルム。
(7)温度2℃、湿度90%での水蒸気透過率が100g/m・日・atmであることを特徴とする上記(1) 〜(6) のいずれかのラップフィルム。
また、本発明のラップフィルムの製造方法は、以下の(6) の構成からなる。
(8)ポリ乳酸系重合体を主成分とする組成物からなる基材層の片面に、液状粘着剤からなる被膜層を、オフラインコーティングにより、または基材フィルム製造工程中のインラインコーティングにより形成することを特徴とする上記(1) 〜(7) のいずれかに記載のラップフィルムの製造方法。
本発明によれば、生分解性性能を有し、かつ、十分な柔軟性、ガスバリア性および粘着性を有し、可塑剤などの揮発や滲出、ブリードアウトを抑制し、経時的での特性変化のないラップフィルム、すなわち、品質安定性や保存安定性に優れたラップフィルムを提供することができる。
さらに、本発明にかかるラップフィルムは、従来のプラスチックに対して自然環境中での生分解性が高く、使用後は、自然環境中で比較的容易に分解されるという利点を有する。本発明のラップフィルムは、産業界およびプラスチック廃棄物にかかる環境諸問題の解決に寄与するところが非常に大きい。
以下、本発明にかかるラップフィルムの好ましい実施の形態を説明する。
本発明のラップフィルムは、ポリ乳酸系重合体を主成分とする組成物からなる基材層の少なくとも片面に、粘着剤からなる被膜層を0.1〜5g/m2 の被膜量で形成してなるものであり、該粘着剤からなる被膜層を上述した特定範囲内の被膜量で形成することにより、包装容器等との粘着性が良好なラップフィルムが得られ、外気からの浸入およびラップ内からの浸出を遮断するのに大きな効果を発揮するものである。
粘着剤から形成される被膜層の被膜量が0.1g/m2 未満である場合には粘着効果を発現し難いので好ましくなく、また、5g/m2 を超える場合には粘着性は十分であるが、一般に、透明性が悪化したりフィルムにブロッキングが生じ、取り扱い性が悪化するので好ましくない。本発明者らの各種知見によれば、好ましくは、該被膜層の被膜量は、0.1〜3g/m2 の被膜量の範囲内である。
本発明において、「粘着剤」とは、粘着剤自身が粘着性を有することをいうものである。すなわち、「粘着」とは、包装容器などの被着物に粘着を付与することができ、また、被着物から剥離することができることをいい、接着などとは相違する概念である。
また、「粘着剤からなる被膜層」とは、基材層に粘着剤が積層された被膜層をいうものである。
本発明のラップフィルムを製造するに当たっては、ポリ乳酸系重合体を主成分とする組成物からなる基材層の片面に、液状粘着剤からなる被膜層を、オフラインコーティングにより、または基材フィルム製造工程中のインラインコーティングにより形成することが好ましい。
ここで、本発明において「液状粘着剤」とは、上述の粘着剤の中で液体状粘着剤のことであり、以下に記載をする各種の付与方法、すなわち、噴霧やコーティングなどによって付与することができる液体状の粘着剤をいい、通常は、30℃における粘度が10〜10万mPa・sであって、包装容器に粘着する性質やラップフィルム同士が粘着する性質を有するものをいう。
また、オフラインコーティングとは、製膜した後ロール状に巻き取ったフィルム、あるいは、シート状にカットしたフィルムを用い、製造工程とは別工程で粘着剤を塗工することをいい、インラインコーティングとは、製造工程中の、延伸前、延伸後、あるいは熱処理を施した後に、粘着剤を塗工することをいう。
該液状粘着剤を用いてオフラインで被膜層を基材層に形成する方法としては、刷毛塗り、噴霧、ロールコーター、グラビアロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、ローターダンプニング法あるいは浸漬法等の方法を使用することができる。
あるいは、インラインで被膜層を基材層に形成する方法としては、例えば、逐次2軸延伸フィルムの場合には、製造工程中のインラインで、縦延伸前あるいは横延伸前に形成するのが好ましいが、熱処理を行った後、被膜層を形成しても構わない。被膜層を形成する方法としては、オフラインで形成する場合と同様の方法を使用することができる。
被膜層は、容器、食品等の被粘着面側に配置されるようになるようにして、基材層の片面に形成することが好ましいが、両面に形成しても構わない。
被膜層を容器等の被粘着面側のみに形成する場合は、ブロッキング防止のために反対面(外面)に離型層を形成してもよい。
基材層に被膜層を形成することを目的に液状粘着剤を塗工した際に、該液状粘着剤をはじくことなどがなく、かつ、塗工性が良好であれば、塗工性改良処理を施さなくてもよいが、必要に応じて適宜に、被膜層を形成する前に、基材層の被膜層を形成する表面を、従来から行われている塗工性改良処理、例えば、空気中やその他の雰囲気下でのコロナ放電処理、火炎処理、あるいは紫外線処理等を施してもよい。
ここで、「塗工性改良処理」とは、基材層に粘着剤からなる被膜層を均一に塗工することを目的として行う処理のことであり、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理等があるものであり、これらの処理を行うことにより、基材層に粘着剤を塗工した場合、粘着剤のはじきなどがなく、均一に塗工でき、基材層に粘着剤からなる被膜層を均一に形成することができる。
該塗工性改良処理として、コロナ放電処理を行う場合、雰囲気ガスとしては、空気、炭酸ガス、または窒素/炭酸ガスの混合系のいずれでもよく、特に、炭酸ガスまたは窒素/炭酸ガスの混合ガス(体積比=95/5〜50/50)中でコロナ処理をすると、フィルム表面の濡れ張力が35mN/m以上に上がるので好ましい。特に、塗工性を良好にする点から、45mN/m以上にコロナ放電処理を行うのが好ましい。
本発明において、粘着剤は、下記(I) 、(II)、(III) および(IV)からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分からなる粘着剤であることが好ましい。
(I) 下記(イ)と(ロ)とのエステル、
(イ)脂肪族系アルコール、脂環族系アルコールおよびこれらの縮重合物からなる群より選択される少なくとも1種のアルコール成分、
(ロ)脂肪族カルボン酸、脂肪族多価カルボン酸および芳香族多価カルボン酸からなる群より選択される少なくとも1種のカルボン酸、
(II) 脂肪族ヒドロキシカルボン酸とアルコールおよび/または脂肪酸とのエステル、および/またはこれらの変性物、
(III) ポリオキシエチレンアルキルエーテルおよび/またはそのエステル、
(IV) 脂肪族ポリエステルのオリゴマー、ミネラルオイル、流動パラフィンおよび飽和炭化水素化合物よりなる群より選択される少なくとも1種よりなる低重合物、
1種よりなる低重合物、
更に詳しくは、例えば、アルコール成分として、グリセリン、ジグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン、デカグリセリン等のポリグリセリン類と、酸成分として、炭素数8〜22のカプリル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ベヘニン酸、エルカ酸等の脂肪族脂肪酸との、モノ、ジ、トリ等のポリエステル等より選ばれる少なくとも1種のエステル、またはソルビタンと上記脂肪酸とのエステル、またはエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、およびこれらの縮重合物と上記脂肪酸とのエステル、またはクエン酸、リンゴ酸、酒石酸等の脂肪族ヒドロキシカルボン酸と炭素数10以下の低級アルコールとのエステル、またはマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等の多価カルボン酸と脂肪族アルコールとのエステル、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエステル変性物がある。液状性と粘着性の点から、好ましくは、ポリグリセリンと脂肪族脂肪酸とのエステル、あるいは、ソルビタンと脂肪族脂肪酸とのエステルが好ましい。
また、ラップフィルムを水性用途に用いる場合は、水との親和性が良好な液状粘着剤を用いることは、温水と接触した場合に溶出しやすく、溶出した後は、粘着力が悪化するので好ましくなく、好ましくは親油性の液状粘着剤を用いることである。
また、ラップフィルムを油性用途に用いる場合は、油との親和性が良好な液状粘着剤は油と接触した場合に溶出しやすく、溶出した後は、粘着力が悪化するので好ましくない。
また、液状粘着剤の粘度としては、用いる液状粘着剤によって異なるが、乾燥した後の粘着性の点から、30℃における粘度は10〜10万mPa・sの範囲が好ましい。10mPa・s未満であると粘着が不足しやすく、逆に上限を超えると粘着が強すぎる場合がある。好ましくは100〜1万mPa・sの範囲である。
また、基材層は、好ましくは、ポリ乳酸系重合体(a)と、1分子中に分子量が1,500以上のポリ乳酸セグメント並びに、ポリエーテル系セグメントおよび/またはポリエステル系セグメントを有する可塑剤(b)とを含有する組成物からなるものであることが好ましい。
ラップフィルムとして、適度な粘着力を有していることが必要であることから、10〜100mN/cmの範囲の粘着力を有していることが好ましい。10mN/cm未満では容器等への粘着性が不足しフィルムが剥離してしまう。逆に上限を超えるとフィルムを巻出時にフィルム同士が粘着し取り出せなくなったりするので好ましくない。好ましくは15〜60mN/cmの範囲である。
また、経時後の粘着力においても、10〜100mN/cmの範囲であることが好ましく、より好ましくは、15〜60mN/cmの範囲である。経時での粘着力が変化すると、ラップフィルムとしての密着性等の実用性能あるいは使用感が悪化する場合がある。ここでいう経時後の粘着力とは、加速試験(温度40℃、湿度60%の環境下で7日間静置)後の粘着力である。さらには、初期の粘着力と経時後の引粘着力との差を初期の粘着力で除し得られる変化率として、35%以下であることが好ましく、より好ましくは25%以下であり、さらに好ましくは15%以下である。
被膜層には、ラップフィルムとしての特性が損なわれない範囲で、ガスバリア性改良剤、粘着付与剤を添加しても構わない。ガスバリア性改良材としては、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子化合物が挙げられる。粘着付与剤としては、粘着剤と選択的に相溶する粘着付与剤、例えば、脂肪族炭化水素樹脂、テルペル樹脂、クマロン・インデン樹脂、芳香族炭化水素樹脂、魯迅樹脂等が挙げられる。
ここで、ガスバリア性改良剤とは水蒸気透過性を低減するものをいい、粘着付与剤とは粘着性が向上するものをいう。
本発明において、被膜層の調整方法は、乾燥後の被膜量を0.1〜5g/m2 の範囲となるように形成する方法により、溶液濃度を調整することが好ましい。
被膜層の被膜量を上記範囲とする方法としては、例えばメタリングバーを用いる場合は、用いるメタリングバーの番手、溶液濃度、粘着剤の比重、溶液塗布後のフィルムの変形量によって調整することができる。具体的に、例えばメタリングバー(#6)、溶液濃度50%、粘着剤比重1.1、塗布後の延伸倍率3倍条件では、約5g/m2の被膜量となる。また、メタリングバーを用いる場合の好ましい溶液濃度としては、用いる液状粘着剤の溶解性によって異なるが、1〜80重量%である。また、塗布後に延伸する場合は、フィルムの変形量に伴い単位面積あたりの被膜量が変わるため、あらかじめ変形量に合わせた濃度にする必要がある。溶媒としては、用いる液状粘着剤の溶解性によって異なるが、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン、アセトン、アルコール類、水、植物油等が好ましいが、作業環境性、食品安全性の点からエチルアルコール、水、植物油が好ましい。被膜層中の被膜量を求める方法は、例えば処理前のフィルムの重量を測定し、続いてフィルムを23℃のエタノール50%水溶液に10分間浸した後、フィルムを乾燥後の重量を測定する。この処理前後の重量減少量を求めることで、単位面積あたりの被膜量を求めることができる。
乾燥の条件は、用いる溶媒および用いる液状粘着剤によって異なるが、粘着剤が揮発しない乾燥条件が好ましい。フィルム温度として50〜150℃で、乾燥時間は任意とすることができるが、好ましくは1〜60秒間である。
本発明のラップフィルムに用いる基材層は、ポリ乳酸系重合体を主成分とする組成物からなるものである。
ここで、ポリ乳酸系重合体とは、L−乳酸および/またはD−乳酸を主成分とし、重合体中の乳酸由来の成分が70重量%以上のものを示し、実質的にL−乳酸および/またはD−乳酸からなるホモポリ乳酸が好ましく用いられる。
ポリ乳酸系重合体を主成分とする組成物は、次のような方法で得ることができる。
すなわち、原料として、L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸(ラセミ体)を用いて、いったん環状2量体であるラクチドを生成させ、その後、開環重合を行う2段階のラクチド法と、当該原料を溶媒中で直接脱水縮合を行う一段階の直接重合法が知られており、本発明ではいずれの方法によるものでもよい。
本発明においてホモポリ乳酸を用いる場合は、いずれの製法によって得られたものであってもよいが、ラクチド法によって得られるポリマーの場合にはポリマー中に含有されるラクチドが成形時に気化して、例えば、溶融製膜時にはキャストドラム汚れやフィルム表面の平滑性悪化の原因となるため、溶融製膜以前の段階でポリマー中に含有されるラクチドの含有量を0.3重量%以下とすることが望ましい。また、直接重合法の場合にはラクチドに起因する問題が実質的にないため、製膜性の観点からはより好適である。本発明におけるポリ乳酸系重合体の重量平均分子量は、通常、少なくとも5万、好ましくは8万〜30万、さらに好ましくは10万〜20万である。平均分子量をかかる範囲とする場合には、フィルムとした場合の強度物性を優れたものとすることができる。
また、ポリ乳酸系重合体は、L−乳酸、D−乳酸のほかにエステル形成能を有するその他の単量体成分を共重合した共重合ポリ乳酸であってもよい。共重合可能な単量体成分としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸類の他、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の分子内に複数の水酸基を含有する化合物類またはそれらの誘導体、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸等の分子内に複数のカルボン酸基を含有する化合物類またはそれらの誘導体が挙げられる。なお、ポリ乳酸系重合体の共重合成分としては、生分解性を有する成分を選択することが好ましい。また、本発明の効果が損なわれない範囲で他の生分解性ポリマーを添加しても構わない。他の生分解性ポリマーとしては、例えば、酢酸セルロース、セルロース、でんぷん、ポリビニルアルコール、ポリアミノ酸等が挙げられる。
本発明のラップフィルムの基材層を構成する組成物は、ポリ乳酸系重合体(a)と、1分子中に分子量が1,500以上のポリ乳酸セグメントを一つ以上有し、ポリエーテル系および/またはポリエステル系セグメントを有する可塑剤(b)とを含有する組成物からなることが好ましい。この場合、可塑剤(b)の有するポリ乳酸セグメントが母材であるポリ乳酸系重合体(a)から形成される結晶中に取り込まれることで可塑剤の分子を母材につなぎ止める作用を生じ、この作用によって可塑剤の揮発や滲出、ブリードアウトを十分に抑制することができる。
また、可塑剤(b)中のポリ乳酸セグメントの分子量は、通常、10,000未満である。分子量が10,000以上の場合、可塑化効率が低くなり、実用的な柔軟性の付与が困難となる場合がある。
なお、可塑剤(b)の有するポリ乳酸セグメントは、L−乳酸由来の成分がその95重量%以上であるか、あるいはD−乳酸由来の成分がその95重量%以上であることが好ましく、L−乳酸由来の成分がその98重量%以上であるか、あるいはD−乳酸由来の成分がその98重量%以上であることがさらに好ましい。これらの可塑剤を添加した場合には可塑剤の揮発や滲出、ブリードアウトが特に抑制されたポリ乳酸系重合体からなるラップフィルムを得ることができる。
可塑剤(b)は、可塑剤のポリ乳酸セグメント成分の重量割合が、可塑剤全体の50重量%未満であることが好ましい。この場合、可塑剤の可塑化効率が比較的高いため、より少量の添加で所望の柔軟性を有する耐ブリード性組成物を得ることができる。また、可塑剤のポリ乳酸セグメント成分の重量割合は、可塑剤分子中の可塑化成分割合などの構成にもよるが、通常可塑剤全体の5重量%以上である。
本発明のラップフィルムは、好ましくは、基材層がポリ乳酸系重合体(a)と可塑剤(b)との混合割合で60〜95/40〜5である組成物AからなるA層と、結晶性ポリ乳酸系重合体(a1)と可塑剤(b)の混合割合が50〜95/50〜5である組成物BからなるB層とが、少なくとも2層以上の積層構造を形成してなる積層フィルムであることが好ましい。
ここで、「結晶性ポリ乳酸系重合体」とは、L−乳酸および/またはD−乳酸を主成分とし、重合体中の乳酸由来の成分が70重量%以上のものを示し、例えば、均一なホモポリ硫酸を用いる場合には、その光学純度が70%以上のホモポリ乳酸を含むポリ乳酸系重合体をいうものであり、また通常の「ポリ乳酸系重合体」とは、重合体中の乳酸由来の成分が70重量%以上のものを示すが、光学純度が70%未満のホモポリ乳酸を含む点において相違するものである。
基材層のA層を構成する可塑剤(b)の混合割合が、5未満であると柔軟性が不足し、逆に40を超えると柔らかすぎ、取り扱い性が悪化しやすいので好ましくない。柔軟性と取り扱い性を両立させる点から、好ましくは10〜40の範囲である。さらに好ましくは20〜40の範囲である。また、基材層のB層を構成する可塑剤(b)の混合割合は、5未満であると柔軟性が不足し、逆に50を超えるとガスバリア性が悪化しやすいので好ましくない。ガスバリア性と柔軟性を両立する点から、好ましくは10〜40重量%が好ましい。さらに好ましくは20〜40重量%である。
組成物Aのポリ乳酸系重合体(a)とは、前述のL−乳酸および/またはD―乳酸を主成分とし、重合体中の乳酸由来の成分が70重量%以上のものを示し、実質的にL−乳酸および/またはD―乳酸からなるホモポリ乳酸が好ましく用いられる。また、光学濃度の異なる2種以上のホモポリ乳酸を併用しても構わない。例えば、結晶性を有するホモポリ乳酸と非晶性のホモポリ乳酸を併用することも可能である。
組成物Bの結晶性ポリ乳酸系重合体(a1)とは、L−乳酸および/またはD―乳酸を主成分とし、重合体中の乳酸由来の成分が70重量%以上のものを示し、例えば、均一なホモポリ乳酸を用いる場合にはその光学純度が70%以上のホモポリ乳酸であることをいう。光学純度の異なる2種以上のホモポリ乳酸を併用してもよく、例えば、結晶性を有するホモポリ乳酸と非晶性のホモポリ乳酸を併用することも可能である。この場合、非晶性のホモポリ乳酸の割合は本発明の効果を損ねない範囲で決定すれば良い。また、通常、ホモポリ乳酸は光学純度が高いほど融点が高く、例えば、光学純度が98%以上のポリL−乳酸では融点が約170℃程度であるが、フィルムとした際に高い耐熱性を付与したい際には、使用するポリ乳酸重合体のうち少なくとも1種に光学純度が95%以上のホモポリ乳酸を含むことが好ましい。
基材層のA層の組成物Aの可塑剤(b)の混合割合が5重量%未満である場合、フィルムに柔軟性が劣り、容器または食品の形状への追従性や、容器または食品との密着性が悪化する場合がある。逆に40重量%を超えた場合、フィルムが柔らかすぎ、製膜および加工工程で伸びや緩みが生じ、取り扱い性、工程通過性、スリット加工性が悪化する場合がある。
また、基材層のB層の組成物Bの可塑剤(b)の混合割合が5重量%未満である場合、フィルムに柔軟性が劣り、容器または食品の形状への追従性や、容器または食品との粘着性が悪化する場合がある。逆に40重量%を超えた場合、ガスバリア性の悪化やフィルムが柔らかすぎ、製膜および加工工程で伸びや緩みが生じ、取り扱い性、工程通過性、スリット加工性が悪化する場合がある。
本発明のラップフィルムは、柔軟性、ガスバリア性および粘着性が少なくとも3層以上で機能分離することが好ましい。例えば、柔軟性を有するA層、ガスバリア性を有するB層および粘着性を有する被膜層(C層とする)を形成することにより、それぞれの機能を達成することが好ましい。
一般に、樹脂の柔軟化は、可塑化成分を共重合することにより行う方法、可塑剤添加により行う方法等が挙げられるが、ポリマーの融点や結晶性を低下させずに柔軟化が可能であることから可塑剤を添加する場合が多い。また、ガスバリア性は樹脂密度が大きいほど良好となる傾向となる。一方、可塑剤の働きは、ポリマー分子鎖相互間の分子間力を低下させ、分子鎖運動性を向上させるということから、可塑剤を添加すると樹脂結晶密度や結晶のパッキングが小さくなるため、可塑剤を添加した場合はガスバリア性が悪化させることが多い。そのため、樹脂結晶密度を十分向上させ、ガスバリア性を良好とするには組成物の結晶化を十分促進しておくことが好ましい。粘着性を付与するためには、母材に液状添加剤を添加しブリードアウトさせることで粘着性を付与する方法、粘着剤を塗工する方法が挙げられるが、粘着力を一定に保持する点から粘着剤をコーティングすることが必要である。
さらに、本発明のラップフィルムの層の構成は、組成物AからなるA層と、組成物BからなるB層が少なくとも2層以上であることが好ましく、好ましくはA/B/A、もしくはB/A/Bの構成を含む3層以上となる。層の構成が単層の場合は、上記したような柔軟性とガスバリア性を達成しに難くなる。A/B/A、もしくはB/A/Bのどちらの構成をとるかは、適宜決定することができるが、例えば、ガスバリア性を十分付与させるためには場合にはガスバリア性を有するB層を外層とする構成、すなわち、B/A/B構成をとることがより好ましい。フィルム構成としては、これに限られるものではなく、必要に応じて3層よりも多層である積層構成であってもよく、各層の積層厚み比も任意に設定できる。
本発明のラップフィルムは、柔軟性に優れており、23℃における初期引張弾性率が0.1〜2GPaとなることが好ましい。フィルムの初期引張弾性率が0.1GPa未満である場合、フィルム製膜および加工工程で伸びや弛みが発生し、取扱い性、工程通過性、スリット加工性が不良となる場合がある。また、ラップフィルムとして用いた場合に、容器などの物品や食品を包み込む前にフィルムが変形し効率よく包装できないなどの問題が発生する。また、2GPaを超える場合には、包装する物品や食品の形状に追随して変形せず、十分な粘着性が得られない場合がある。また、包装する際に過剰な力が必要となり、被包装物を傷めるなどの問題が発生する。初期引張弾性率のより好ましい範囲としては、0.1〜1.5GPaであり、さらに好ましくは0.15〜1.2GPa、特に好ましくは0.2〜1GPaである。なお、本発明において引張試験とは、23℃の雰囲気下でJIS K7161およびJIS K7127に準じて、テンシロン万能試験機を用い、引張速度300mm/分条件で行う試験を意味する。また、本発明において初期引張弾性率とは、上記引張試験で得られる応力−歪み曲線の最初の直線部分を用いて、直線上の2点間の応力の差を同じ2点間の歪みの差で除して求められる値である。
本発明のラップフィルムの初期引張弾性率は、少なくとも1方向で0.1〜2GPaであることが好ましく、さらに好ましくはフィルムの長手方向の初期引張弾性率が上記範囲であり、特に好ましくは各方向において上記範囲内にあるものである。
また、経時後の引張弾性率においても、少なくとも1方向で0.1〜2GPaであることが好ましく、さらに好ましくは、フィルムの長手方向の引張弾性率が上記範囲であり、特に好ましくは各方向において上記範囲内にあるものである。経時での弾性率が変化すると、ラップフィルムとしての柔軟性やカット性が変わり、実用性能あるいは使用感が悪化する場合がある。ここでいう経時後の引張弾性率とは、加速試験(温度40%、湿度60%の環境下で7日間静置)後の23℃における引張弾性率である。さらには、初期引張弾性率と経時後の引張弾性率との差を初期引張弾性率で除し得られる変化率として、30%以下であることが好ましく、より好ましくは20%以下であり、さらに好ましくは10%以下である。
本発明のラップフィルムにおいて、その全ヘイズは0%以上10%未満であることが好ましい。より好ましくは全ヘイズは0%以上8%未満、特に好ましくは0%以上6%未満である。全ヘイズが10%を超えると食品用途に用いた場合、食料品が見えにくいので好ましくない。一方、全ヘイズが小さいほど食料品が見えやすく、美麗性に優れるが、ラップフィルムの全ヘイズは、被膜層形成量で限定され、好ましい厚み1〜100μmにおける被膜層形成量の下限1g/m2 での全ヘイズの下限は1%程度である。
本発明のラップフィルムを包装用ラップフィルム等の包装材料として用いる場合には、外部から内容物へ臭いが移行したりあるいは内容物の臭いが外部へ移行するのを防いだり、内容物が乾燥するのを防ぐことが重要となる。この観点から、ガスバリア性の1つの指標である水蒸気透過率をJIS L1099(1993年制定)のウォータ法(A−2法)を元に、温度2℃、湿度90%に設定した恒温恒湿槽に静置し測定した値が100g/m・日・atm以下であることが好ましい。さらに好ましくは50g/m・日・atm以下であり、特に好ましくは30g/m・日・atm以下である。なお、水蒸気透過率の値が小さいほどガスバリア性が優れているため、水蒸気透過率の値の下限は小さいほど好ましいが、現実的には0.1g/m・日・atm以上である。
また、本発明のラップフィルムは、組成物中の母材であるポリ乳酸系重合体を配向させ、透明性を保持したまま結晶化を促進させることが可能となることから、延伸されていることが好ましい。
延伸倍率は、少なくとも一軸方向に1.1倍以上であることが好ましく、さらに好ましくは少なくとも一軸方向に1.1〜10倍である。さらに、組成物を用いた場合には配向結晶化と同時に可塑剤のポリ乳酸セグメントがこの結晶中に取り込まれることを促進することで、可塑剤の揮発や滲出、ブリードアウトをさらに抑制することができる。また、配向結晶化によりラップフィルムの強度物性も向上するため、柔軟性と強度を併せ持つラップフィルムを得ることができる。例えば、フィルムの延伸条件は、目的とする熱収縮特性、寸法安定性、強度、弾性率などに応じて、適宜調整し任意の方法で行うことができるが、例えば、延伸温度は、用いる樹脂のガラス転移温度以上、結晶化温度以下で行うことが、延伸性や透明性の点で好ましい。延伸倍率は、長手方向、幅方向にそれぞれ1.1倍〜10倍の範囲の任意とすることが好ましく、特に延伸倍率は長手方向、幅方向のどちらかを大きくしてもよく、同一であってもよい。なお、一軸方向の延伸倍率が10倍を超えると、延伸性が悪化してフィルムの破断が頻発し、安定した延伸性を得られないことがある。
また、延伸温度や延伸(変形)速度などの条件によっては不均一延伸となる場合もあり、一軸方向の好ましい延伸倍率は好ましくは2倍以上、さらに好ましくは2.5倍以上である。また、例えば、二軸延伸フィルムとする場合の延伸倍率としては、延伸前後のフィルムの面積割合である面積倍率として、好ましくは4倍以上、さらに好ましくは7倍以上である。
また、ラップフィルムにガスバリア性を付与する場合には、A層に加えB層も結晶化させておくことが好ましいが、この場合、透明性を維持したまま結晶化させておくためには、配向結晶化による微細結晶の生成現象を利用して延伸時に透明性と結晶化を両立させることが特に好ましい。延伸時に透明性を維持したまま結晶化させる(以下、「透明結晶化」と記載する)ことで微細結晶の生成を促して樹脂結晶密度を十分向上させ、よりガスバリア性に優れたものとなる。延伸時に透明結晶化させる方法は、A層組成物AのTg(A)(以下、Tg(A)と記載する)とB層組成物BのTg(B)(以下、Tg(A)と記載する)をできるだけ近い範囲に調節し、Tg(A)とTg(B)を超える範囲で延伸温度をできるだけ低温側に設定する(具体的には、延伸温度をTg(A)とTg(B)のうち高温側のガラス転移温度+30℃以下、さらに好ましくは+25℃以下、特に好ましくは+20℃以下に設定する)ことや、延伸時の透明結晶化が進みやすい結晶性樹脂組成物Bを選択する方法等が挙げられるが、これらの中でもTg(A)とTg(B)をできるだけ近い範囲に調節し、Tg(A)とTg(B)を超える範囲で延伸温度をできるだけ低温側に調節することが特に好ましい。
A層およびB層が十分に透明結晶化していることを判断する基準は、例えば、製膜後のフィルムのDSC昇温測定を行った際、第1回目の昇温時に結晶化ピークが観測されずに融解ピークのみ観測され、かつフィルムヘイズが10%以下であることを判断基準とすることができ、より簡易的には、製膜後のラップフィルムをTc(B)以上Tm(A)以下の任意の温度に設定したオーブン中に1時間以上放置し、放置前のフィルムヘイズ値をX%、放置後のフィルムヘイズ値をY%としたとき、|X−Y|の値が10%未満であることから判断できる。
なお、本発明のラップフィルムに、ポリ乳酸系重合体(a)と可塑剤(b)の組成物を用いる場合、延伸を伴わない場合も含めて、例えば、タルクなどの無機系あるいはエルカ酸アミドなどの有機系核剤を併用すると、延伸時の配向結晶化と同様に、可塑剤の有するポリ乳酸セグメントが母材であるポリ乳酸系重合体から形成される結晶中に取り込まれ可塑剤の分子を母材につなぎ止める作用を促進し、この効果によって可塑剤の揮発や滲出、ブリードアウトをさらに抑制できる場合がある。
ポリ乳酸系重合体(a)と可塑剤(b)の組成物は、所望の用途で必要な柔軟性や強度などの特性に合わせて適宜可塑剤(b)の添加量を決定すれば良いが、可塑剤のポリ乳酸セグメント成分を除いた可塑化成分の重量割合が、組成物全体の5重量%以上、30重量%以下であることが好ましい。この場合、柔軟性と強度物性などの機械的物性のバランスに優れたフィルムを得ることができる。
また、可塑剤(b)は、ポリエーテル系および/またはポリエステル系セグメントを有することが好ましい。ポリエーテル系および/またはポリエステル系セグメントを可塑剤(b)に導入することによって、本発明の目的である柔軟性をフィルムに付与することができる。ポリエーテル系の中でもポリアルキレンエーテルからなるセグメントを有することが好ましく、ポリエチレングリコールからなるセグメントを有することがさらに好ましい。可塑剤(b)が、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールあるいはポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール共重合体などのポリアルキレンエーテル、中でも特にポリエチレングリコールセグメントを有する場合、ポリ乳酸系重合体(a)との親和性が高いため可塑化効率に優れ、特に少量の可塑剤の添加で所望の柔軟性を有するポリ乳酸系共重合体(a)と可塑剤(b)の組成物を得ることができる。
なお、本発明の可塑剤(b)がポリアルキレンエーテルからなるセグメントを有する場合、成形時などで加熱する際にポリアルキレンエーテルセグメント部分が酸化や熱分解されやすい傾向があるため、後述するヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系などの酸化防止剤やリン系などの熱安定剤を併用することが好ましい。
なお、本発明の可塑剤(b)のポリ乳酸セグメント以外の成分としては、生分解性を有する成分を選択することが好ましい。
本発明の可塑剤(b)は、例えば、あらかじめ分子量が1,500以上のポリ乳酸オリゴマーをラクチド開環法あるいは乳酸縮合重合法などの常法により重合し、一つ以上の官能基を有する、可塑剤の主成分と成すポリエーテル系および/またはポリエステル系セグメントを有する化合物と適量反応させることで得ることができるが、可塑剤の主成分と成す化合物を重合開始剤としてラクチドの開環重合によりこれに付加する、あるいは可塑剤の主成分と成す化合物を重合開始剤とし乳酸の脱水縮合重合によりこれに付加しても良い。また、分子量が1,500以上のポリ乳酸オリゴマーと可塑剤の主成分と成す化合物の併存下で加熱混練などの処理により、ジカルボン酸無水物系化合物やジイソシアネート系化合物などの2官能性化合物を鎖連結剤として作用させて、両者を化学的に結合させても良い。
次に、一分子中に分子量が1,500以上のポリ乳酸セグメントを一つ以上有し、ポリエーテル系および/またはポリエステル系セグメントを有する可塑剤(b)のより具体的な例を説明する。
両末端に水酸基末端を有するポリエチレングリコール(PEG)を用意する。両末端に水酸基末端を有するポリエチレングリコール(PEG)の平均分子量(MPEG)は、通常、市販品などの場合、中和法などにより求めた水酸基価から計算される。両末端に水酸基末端を有するポリエチレングリコール(PEG)wB重量部に対し、ラクチドwA重量部を添加した系において、PEGの両水酸基末端にラクチドを開環付加重合させ十分に反応させると、実質的にPLA(A)−PEG(B)−PLA(A)型のブロック共重合体を得ることができる。この反応は、必要に応じてオクチル酸錫などの触媒併存下でおこなわれる。このブロック共重合体からなる可塑剤の一つのポリ乳酸セグメントの数平均分子量は、実質的に(1/2)×(wA/wB)×MPEGと求めることができる。
また、ポリ乳酸セグメント成分の可塑剤全体に対する重量割合は、実質的に100×wA/(wA+wB)%と求めることができる。さらに、ポリ乳酸セグメント成分を除いた可塑化成分の可塑剤全体に対する重量割合は、実質的に100×wB/(wA+wB)%と求めることができる。前記に例示した数値は、実際には平均値としての値となり生成した可塑剤の分子量やポリ乳酸部分のセグメント長などは一定の分布を有するが、前記した値のA−B−A型ブロック共重合体を主成分とする化合物を得ることができる。
可塑剤が未反応PEGや末端のポリ乳酸セグメント分子量が1,500に満たないPEGなどの未反応物や、ラクチドオリゴマーなどの副生成物、あるいは、不純物を多量に含む場合には、例えば、次の精製方法によりこれを除去することが好ましい。精製方法としては、可塑剤自体を水洗する方法、クロロホルムなどの適当な良溶媒に合成した可塑剤を均一溶解した後、水や水/メタノール混合溶液およびジエチルエーテルなど適当な貧溶媒を滴下する方法、あるいは、良溶媒溶液を、その100倍以上の体積の貧溶媒中に加えるなどして沈殿させ、遠心分離あるいはろ過などにより沈殿物を分離し溶媒を揮散させ、可塑剤を水に浸漬後50〜90℃に加熱し必要に応じて攪拌の後、可塑剤を含有する有機相を抽出し乾燥して水を除去する方法等が挙げられる。精製方法は上記に限られず、また、必要に応じて上記の操作を複数回繰り返しても良い。
上記した方法で、PLA(A)−PEG(B)−PLA(A)型のブロック共重合体の可塑剤を作成した場合、作成した可塑剤が有する一つのポリ乳酸セグメントの分子量は、次の方法で求めることができる。
すなわち、可塑剤の重クロロホルム溶液を用いて、1H−NMR測定により得られたチャートを基に、(1/2)×(IPLA×72)/(IPEG×44/4)×MPEGと算出する。ただし、IPEGは、PEG主鎖部のメチレン基の水素に由来するシグナル積分強度、IPLAは、PLA主鎖部のメチン基の水素に由来するシグナル積分強度である。可塑剤合成時のラクチドの反応率が十分に高くほぼ全てのラクチドがPEG末端部に開環付加する条件にて合成した場合は、多くの場合、1H−NMR測定により得られたチャートを基にした方法が好ましい。
なお、本発明における組成物からフィルムを得た後などに、可塑剤(b)のポリ乳酸セグメント分子量などの評価のために使用した可塑剤(b)を分離する方法としては、例えばクロロホルムなどの適当な良溶媒に組成物を均一溶解した後、水や水/メタノール混合溶液など適当なポリ乳酸系重合体(a)の貧溶媒に滴下して、ろ過などによりポリ乳酸系重合体(a)を主に含む沈殿物を除去し、ろ液の溶媒を揮散させて分離した可塑剤を得る方法などが挙げられるが、これに限られるものではなく、使用する可塑剤やポリ乳酸系重合体などに応じて適当な手法を選択し、あるいは組み合わせると良い。例えば、上述した方法により得られた、一分子中に分子量が1,500以上のポリ乳酸セグメントを一つ以上有するPLA(A)−PEG(B)−PLA(A)型のブロック共重合体を可塑剤(b)として使用すれば、従来技術ではなし得なかった、十分な柔軟性を有しなおかつ可塑剤の揮発や滲出、抽出(ブリードアウト)が抑制されたポリエステルフィルムを提供することにあたり十分な効果を得ることができる。
また、ポリ乳酸系重合体(a)に前述した可塑剤(b)を添加する方法としては、ポリ乳酸系重合体の溶融状態で可塑剤を所望の重量割合にて添加・溶融混練することで得ることができるが、ポリ乳酸系重合体の高重合度化、ラクチドをはじめとする未反応物あるいは低分子量物などの抑制などの観点から、ポリマーの重合反応終了後に可塑剤を添加・溶融混練することが好ましい。上述したポリ乳酸系重合体と可塑剤の添加・溶融混練としては、例えば、重縮合反応終了直後、溶融状態のポリ乳酸系重合体に可塑剤を添加し攪拌・溶融混練させる方法、ポリ乳酸系重合体のチップに可塑剤を添加・混合した後に反応缶あるいはエクストルーダなどで溶融混練する方法、エクストルーダ中でポリ乳酸系重合体に必要に応じて加熱するなどして液状とした可塑剤を連続的に添加し、溶融混練する方法、可塑剤を高濃度含有させたポリ乳酸系重合体のマスターチップとポリ乳酸系重合体のホモチップとを混合したブレンドチップをエクストルーダーなどで溶融混練する方法などにより行うことができる。
また、本発明のラップフィルムは、製造時、加工時、使用時の走行性や取扱い性の点で粒子を添加することができる。粒子の添加量としては0.01〜0.5重量%の範囲である。添加する粒子としては、ポリ乳酸系重合体を主成分とする組成物に不活性なものであれば特に限定されないが、無機粒子、有機粒子、架橋高分子粒子、重合系内で生成させる内部粒子などが挙げることができる。これらの粒子を2種以上を添加しても構わない。添加する粒子の平均粒径は0.001〜8μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.01〜2μmである。平均粒子径が8μmを越えるとフィルムの欠陥が生じやすく、密着性が悪化したりするので好ましくない。
無機粒子としては、特に限定されないが、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸リチウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、フッ化リチウムなどが挙げられる。
有機粒子としては、シュウ酸カルシウムやカルシウム、バリウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム等のテレフタル酸塩などが挙げられる。
架橋高分子粒子としては、ジビニルベンゼン、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸等のビニル系モノマーの単独または共重合体が挙げられる。その他ポリテトラフルオロエチレン、ベンゾグアナミン樹脂、熱硬化エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂などの有機微粒子も好ましく使用される。
重合系内で生成させる内部粒子としては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物などを反応系内に添加し、さらにリン化合物を添加する公知の方法で生成されるものも使用される。
本発明におけるポリ乳酸系重合体を主成分とする組成物には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲内であれば各種の添加剤が含まれていてもよい。例えば、難燃剤、酸化防止剤、耐侯剤、熱安定剤、滑剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、着色剤、末端封鎖剤、脂肪酸エステル、ワックス等の有機滑剤あるいはポリシロキサン等を配合することができる。
本発明のラップフィルムは、上述したポリ乳酸系重合体を主成分とする組成物を用い、無延伸フィルム、1軸延伸フィルムであっても2軸延伸フィルムであっても構わない。電子レンジ耐熱性の点から、2軸延伸化したフィルムが好ましい。2軸延伸フィルムとする場合、延伸方法は、チューブラー同時2軸延伸法、ステンター同時2軸延伸法、ステンター逐次2軸延伸法の何れであっても好ましいが、製造コスト、品質、チューブラー同時2軸延伸が好ましい。
次に、本発明の粘着性ラップフィルムの製造方法について説明するが、本発明はこれに限定されない。
本発明のラップフィルム基材は、例えば、ポリ乳酸系重合体を主成分とする組成物を必要に応じて乾燥した後、溶融押出機に供給し、スリット状のダイからシート状に押出し、静電印加などの方式によりキャスティングドラムに密着させ、冷却固化し、未延伸シートを得た後、かかる未延伸シートを延伸する方法や環状ダイから単層状、または多層状に押出し、水冷リング等により、所定の温度に急冷する。次に、所定の温度に加熱し、エアーを吹き込んでチューブラー延伸する方法等で製造することができる。延伸方式としては、逐次2軸延伸あるいはチューブラー延伸等の同時2軸延伸のいずれでもよいが、要するに該未延伸シートをフィルムの長手方向および幅方向に延伸、熱処理し、目的とする面配向係数のフィルムを得る方法が採用される。これらの方式の中でも、好ましくは製造コスト、品質、製品化収率の点で、チューブラー同時2軸延伸方式によるものが好ましい。
延伸倍率は、少なくとも1軸方向に1.1倍以上であることが好ましく、さらに好ましくは少なくとも1軸方向に1.1〜10倍である。さらに、組成物を用いた場合には配向結晶化と同時に可塑剤のポリ乳酸セグメントがこの結晶中に取り込まれることを促進することで、可塑剤の揮発や滲出、ブリードアウトをさらに抑制することができる。
また、配向結晶化によりラップフィルムの強度物性も向上するため、柔軟性と強度を併せ持つラップフィルムを得ることができる。例えば、フィルムの延伸条件は、目的とする熱収縮特性、寸法安定性、強度、弾性率などに応じて、適宜調整し任意の方法で行うことができるが、例えば、延伸温度は、用いる樹脂のガラス転移温度以上、結晶化温度以下で行うことが、延伸性や透明性の点で好ましい。延伸倍率は、長手方向、幅方向にそれぞれ1.1倍〜10倍の範囲の任意とすることが好ましく、特に延伸倍率は長手方向、幅方向のどちらかを大きくしてもよく、同一であってもよい。
なお、1軸方向の延伸倍率が10倍を超えると、延伸性が悪化してフィルムの破断が頻発し、安定した延伸性を得られないことがある。また、延伸温度や延伸(変形)速度などの条件によっては不均一延伸となる場合もあり、1軸方向の好ましい延伸倍率は好ましくは2倍以上、さらに好ましくは2.5倍以上である。また、例えば2軸延伸フィルムとする場合の延伸倍率としては、延伸前後のフィルムの面積割合である面積倍率として、好ましくは4倍以上、さらに好ましくは7倍以上である。
また、延伸速度は1,000%/分〜200,000%/分であることが望ましい。延伸温度は、ポリエステルのTg+20℃〜Tg+40℃の予熱を3〜20秒行い、Tg+25℃〜Tg+60℃の範囲であれば任意の温度とすることができる。さらに好ましくは80〜150℃の範囲で延伸する。さらに、2軸延伸の後にフィルムの熱処理を行うが、この熱処理は、オーブン中、あるいは、加熱されたロール上等、従来から知られている任意の方法で行なうことができる。熱処理温度は、フィルム温度として60℃以上、融点以下の任意の温度とすることができる。フィルムの熱処理温度の上限は通常、ポリ乳酸系重合体を主成分とする組成物の融点より5℃低い温度、すなわち165℃とすることが好ましい。また、熱処理時間は任意とすることができるが、好ましくは1〜60秒間行うのがよい。なお、かかる熱処理はフィルムをその長手方向および/または幅方向に弛緩させつつ行ってもよい。さらに、再延伸を各方向に対して1回以上行ってもよく、その後熱処理を行ってもよい。
基材に被膜層を形成する方法は、例えば、フィルム製造工程中のインラインで延伸前に形成するのが好ましいが、熱処理を行った後、被膜層を形成しても構わない。
逐次2軸延伸工程中のインラインで基材の横延伸前に被膜層をフィルムの片面に形成する場合は、縦延伸後の横延伸前に被膜層が形成されるが、この被膜層を形成する前に、被膜層を形成する表面を公知の塗工性改良処理、例えば、空気中やその他の雰囲気下でのコロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理等を施してもよい。
コロナ放電処理の場合、雰囲気ガスとしては、空気、炭酸ガス、または窒素/炭酸ガスの混合系のいずれでもよく、特に炭酸ガスまたは窒素/炭酸ガスの混合ガス(体積比=95/5〜50/50)中でコロナ処理すると、フィルム表面の濡れ張力が35mN/m以上に上がるので好ましい。塗工性を良好にする点から、45mN/m以上にコロナ放電処理を行うのが好ましい。
次に、塗工性改良処理された基材に被膜層の形成を、例えば、バーコーターを用いて行う。被膜層のコーティング量は、横延伸および熱処理後の形成量(被膜層の被膜量として、0.1〜5g/m2 )になるように、被膜層の溶液濃度を調整する。調整する溶液濃度は、所望の被膜量、用いる粘着剤の溶解性および使用するバーコーターにもよるが、1〜80重量%が好ましい。より均一な被膜層を形成する点では、フィルム表面での粘着剤のはじき等が発生しない範囲で低濃度とすることが好ましい。具体的には0.05〜30重量%が好ましく、0.05〜25重量%がさらに好ましく、0.05〜10重量%溶液の範囲が特に好ましい。溶液の乾燥は、工程中の横延伸の予熱、延伸および熱処理により行うことができる。横延伸および熱処理後にロール状に巻き取ることが好ましい。ロール状に巻き取った場合、ブロッキング防止のために被膜層形成の反対面に離型層を1〜15g/m2 の範囲で形成しても構わない。
本発明のラップフィルムは、被膜層の他に必要に応じて帯電防止剤、セラミックまたはガスバリア樹脂の各種形成を被膜層形成前あるいは被膜層形成後で施してもよく、その形成化合物、形成方法および厚みは、本発明の効果を損なわない範囲であれば、特に限定されない。
次に、本発明の効果を実施例により説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。まず、特性値の測定方法および評価方法を以下に示す。
本発明の特性値は、次の測定法による。
(1)融点(Tm)、結晶融解熱量Q(J/g)
Seiko Instrment(株)製熱分析装置DSCII型を用い、窒素雰囲気下、サンプル5mgを−50℃より20℃/分の昇温速度で昇温していった際の吸熱融解曲線のピーク温度を融点(Tm)、その融解面積を結晶融解熱量Q(J/g)とした。測定にあたり、n数は5とし、その平均値を融点Tm(℃)、結晶融解熱量Q(J/g)として求めたものである。
(2)粘度(mPa.s)
液状粘着剤について、(株)東京計器製B型粘度計B−8Lを用い、温度30℃で測定したときの粘度(mPa.s)を求めた。測定にあたり、n数は5とし、その平均値を粘度(mPa.s)として求めたものである。
(3)ヘイズ(%)
フィルムサンプルの透明性の指標として、予め厚みを測定したサンプルのヘイズをスガ試験機(株)製ヘイズメーターHGM−2DP型を用いて測定した。測定は1水準につき5回行い、5回の測定の平均値からヘイズ(%)を求め、次の基準で評価した。
○:ヘイズが0%以上1%未満の範囲のもの。
△:ヘイズが1%以上10%未満の範囲のもの。
×:ヘイズが10%以上のもの。
(4)弾性率(GPa)
JIS−Z1702−1976に準じ、幅10mm、長さ100mmの短冊状サンプルを引張速度300mm/分で測定し弾性率を求めた。測定にあたり、n数は5とし、その平均値を弾性率(GPa)として求めたものである。
○:弾性率が0.15〜1.2GPaの範囲のもの。
△:弾性率が0.1以上0.15GPa未満、
あるいは1.2を超え2.0GPa以下の範囲のもの。
×:弾性率が0.1GPa未満、または2GPaを超えるもの。
(5)粘着力(mN/cm)
サンプルを幅5cm×長10cmを2枚カットし、粘着剤の被膜層同士を貼り合わせ、サンプル長さの半分の面積(25cm2 )に荷重4.9Nを掛け温度23℃、相対湿度65%RHの雰囲気下で24時間放置後、引張試験機を用い、測定温度23℃、速度100mm/分で2枚のフィルムを180°方向に引き剥がしたときの力をサンプル幅で割った値を粘着力(mN/cm)とした。測定にあたり、n数は5とし、その平均値を粘着力(mN/cm)として求めたものである。
○:粘着力が15〜60mN/cmの範囲のもの。
△:粘着力が10以上15mN/cm未満、
あるいは60を超え100mN/cm以下の範囲のもの。
×:粘着力が10mN/cm未満、または100mN/cmを超えるもの。
(6)経時後の弾性率(GPa)および粘着力(mN/cm)
温度40℃、湿度60%の雰囲気下で7日間放置した後、上記(4)弾性率の測定条件および(5)粘着力の測定条件と同様にして、経時後の弾性率(GPa)および粘着力(mN/cm)を求めた。測定にあたり、n数はそれぞれ5とし、その平均値を経時後の弾性率(GPa)および粘着力(mN/cm)として求めたものである。
(7)水蒸気透過率(g/m・日・atm)
フィルムのガスバリア性をJIS L1099(1993年制定)のウォータ法(A−2法)を元に、以下の条件で評価を行った。内径60mmのアルミ製の容器内に純水を約20g入れ、フィルムサンプルを開放部に装着しパッキンとリングを取付け蝶ねじで固定する。この状態で重量を秤量し、その後温度2℃、湿度90%に設定した恒温恒湿槽に3日間(72時間)静置する。72時間後に再度重量を秤量し、重量変化から水蒸気透過率(g/m・日・atm)を算出する。
水蒸気透過率(g/m・日・atm)=
静置前後の重量変化量(g)/(サンプル面積(m)×3(日))
ここで、サンプル面積は容器の内径から2.83×10−3である。
○:水蒸気透過率が0g/m ・日・atm以上50g/m ・日・atm以下のもの。
△:水蒸気透過率が50g/m ・日・atmを超えて100g/m ・日・atm以下のもの。
×:水蒸気透過率が100g/m ・日・atmを超えるもの。
次に、本発明の効果を実施例により説明する。本実施例で用いたポリ乳酸系重合体、可塑剤は次の通りにして得たものである。
[結晶性ポリ乳酸系重合体(P1)]
L−ラクチド100重量部に対しオクチル酸錫を0.02重量部混合し、撹拌装置付きの反応容器中で窒素雰囲気中190℃で15分間重合し、さらに2軸混練押出機でペレット化した後、140℃の窒素雰囲気下で3時間固相重合してポリ乳酸系重合体P1を得た。P1のDSC測定を行ったところ、P1は結晶性を有し、結晶化温度は128℃、融点は172℃であった。
[ポリ乳酸系重合体(P2)]
L−ラクチド65重量部およびD−/L−ラクチド35重量部に対しオクチル酸錫を0.02重量部混合し、撹拌装置付きの反応容器中で窒素雰囲気中190℃で40分間重合し、さらに2軸混練押出し機にてペレット化してポリ乳酸系重合体P2を得た。P2のDSC測定を行ったところ、P2は結晶性を示さず、結晶化温度および融点は観測されなかった。
[可塑剤(S1)]
平均分子量2,000のポリプロピレングリコールの両末端にエチレンオキサイドを付加反応させて作成した、分子量10,000のポリプロピレングリコール・エチレングリコールブロック共重合体71重量部とL−ラクチド29重量部に対し、オクチル酸錫0.025重量部を混合し、撹拌装置付きの反応槽中で窒素雰囲気中190℃で60分間重合し、平均分子量2,000のポリ乳酸セグメントを有する、ポリプロピレングリコール・エチレングリコールとポリ乳酸のブロック共重合物S1を得た。
[可塑剤(S2)]
平均分子量10,000のポリエチレングリコール71重量部とL−ラクチド29重量部に対し、オクチル酸錫0.025重量部を混合し、撹拌装置付きの反応槽中で窒素雰囲気中190℃で60分間重合し、平均分子量2,000のポリ乳酸セグメントを有する、ポリエチレングリコールとポリ乳酸のブロック共重合物S2を得た。
実施例1
A層の組成物Aとして、結晶性ポリ乳酸系重合体(P1)20重量部、ポリ乳酸系重合体(P2)50重量部、可塑剤(S1)30重量部およびチバガイギー社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤“イルガノックス1010”0.3重量部の混合物を100℃で6時間、減圧下で乾燥した後、シリンダー温度200℃の二軸混練押出機に供して溶融混練し均質化した後にペレット化した。さらに減圧下、80℃で24時間乾燥し、以下の製膜に供した。B層の組成物Bとして、結晶性ポリ乳酸系重合体(P1)70重量部、可塑剤(S1)30重量部およびチバガイギー社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤“イルガノックス1010”0.3重量部の混合物を100℃で6時間、減圧下で乾燥し組成物Bとした。
上記組成物Aを溶融温度200℃に設定したスクリュー径50mmの単軸押出機Aに、組成物Bを溶融温度230℃に設定したスクリュー径30mmの単軸押出機Bにそれぞれ供給し、口金温度230℃に設定した三層Tダイ口金に導きフィルム状に押出し、5℃に冷却したキャスティングドラムに静電印加し未延伸フィルムを得た。このとき、押出機AとBの押し出し量をB/A/Bが1/18/1となるよう調整した。次に連続して85℃の加熱ロール間で長手方向に3.0倍延伸した後、得られた1軸延伸フィルムをクリップで把持してテンター内に導き、75℃の温度で加熱しつつ横方向に3.0倍延伸し、幅方向に固定した状態で140℃、20秒間の熱処理を行い、厚さ20μmの積層フィルムを得た。
次に、この積層フィルムにコロナ放電処理を施し、積層フィルムの濡れ張力を45mN/m以上にしてロール状に巻き取った。このようにして得られた積層フィルムに、液状粘着剤として、デカグリセリンモノラウレート(三菱化学フーズ製L−10D)を用い、水を加えて濃度25重量%水溶液として、この水溶液をメタリングバー(#3)を用いバーコーターで乾燥後被膜層の被膜量1g/m2 の被膜層を形成し、本発明のラップフィルムを得た。
比較例1
B層の組成物Bとして、結晶性ポリ乳酸系重合体(P1)70重量部、可塑剤(S1)25重量部、デカグリセリンラウレート(三菱化学フーズ製L−10D)5重量部および酸化防止剤0.3重量部の混合物を用いた以外、実施例1と同様にして20μmの積層フィルムを得た。粘着剤からなる被膜層は形成しなかった。
実施例2
A層の組成物Aの組成として、結晶性ポリ乳酸系重合体(P1)20重量部、ポリ乳酸系重合体(P2)50重量部、可塑剤(S1)30重量部および酸化防止剤0.3重量部の混合物を用いた以外、実施例1と同様にして1軸延伸フィルムを得た。得られた1軸延伸フィルムにコロナ放電処理を施し、液状粘着剤として、デカグリセリンモノオレエート(坂本薬品工業製MO−750)/テトラグリセリンペンタオレエート(坂本薬品工業製PO−310)=50/50を用い、水/流動パラフィン=50/50を加えて、濃度75重量%として、この溶液をメタリングバー(#6)を用いバーコーターで塗工した。次に液状粘着剤を塗工したフィルムをクリップで把持してテンター内に導き、75℃の温度で加熱しつつ横方向に3.0倍延伸し、幅方向に固定した状態で140℃、20秒間の熱処理を行い、厚み20μmの本発明のラップフィルムを得た。被膜層の被膜量は2g/m2 であった。
実施例3
A層の組成物Aとして、結晶性ポリ乳酸系重合体(P1)30重量部、ポリ乳酸系重合体(P2)45重量部、可塑剤(S2)25重量部および酸化防止剤0.3重量部の混合物、B層の組成物Bとして、ポリ乳酸系重合体(P1)70重量部、可塑剤(S2)30重量部および酸化防止剤0.3重量部の混合物、液状粘着剤として、ヘキサグリセリンモノラウレート(坂本薬品工業製ML−500)を用い、水を加えて濃度52重量%水溶液とし、メタリングバー(#3)を用いた以外、実施例2と同様にして厚み20μmの本発明のラップフィルムを得た。被膜層の被膜量は1.5g/m2 であった。
実施例4
A層の組成物Aとして、結晶性ポリ乳酸系重合体(P1)15重量部、ポリ乳酸系重合体(P2)45重量部、可塑剤(S1)40重量部および酸化防止剤0.3重量部の混合物、B層の組成物Bとして、結晶性ポリ乳酸系重合体(P1)75重量部、可塑剤(S1)25重量部および酸化防止剤0.3重量部の混合物、液状粘着剤として、ヘキサグリセリン(坂本薬品工業製ポリグリセリン#500)を用い、水を加えて濃度14.5重量%水溶液とした以外、実施例1と同様にし、被膜量0.5g/m2 の被膜層を形成して、本発明のラップフィルムを得た。
実施例5
A層の組成物Aとして、結晶性ポリ乳酸系重合体(P1)20重量部、ポリ乳酸系重合体(P2)50重量部、可塑剤(S2)30重量部および酸化防止剤0.3重量部の混合物、液状粘着剤として、エポキシ化大豆油(ダイセル化学製ダイマックS−300K)を用い、水を加えて濃度55重量%とし、メタリングバー(#1)を用いた以外、実施例2と同様にして厚み20μmの本発明のラップフィルムを得た。被膜層の被膜量は1g/m2 であった。
実施例6
B層の組成物Bとして、結晶性ポリ乳酸系重合体(P1)75重量部、25重量部、粒子(日本タルク(株)製SG−2000平均粒径1.0μm)5重量部および酸化防止剤0.3重量部の混合物、液状粘着剤として、ソルビタンモノオレエート(理研ビタミン製ポエムO−80V)を用い、水を加えて濃度55重量%水溶液とし、メタリングバー(#5)を用いた以外、実施例1と同様にして、被膜量4g/m2 の被膜層を形成し、本発明のラップフィルムを得た。
比較例2
A層の組成物Aとして、結晶性ポリ乳酸系重合体(P1)20重量部、ポリ乳酸系重合体(P2)50重量部、可塑剤(S2)30重量部および酸化防止剤0.3重量部の混合物、B層の組成物Bとして、結晶性ポリ乳酸系重合体(P1)70重量部、可塑剤(S2)30重量部酸化防止剤0.3重量部の混合物、液状粘着剤として、プロピレングリコールモノオレエート(理研ビタミン製リケマールPO−100V)を用い、水を加えて濃度3重量%水溶液とし、メタリングバー(#2)を用いた以外は実施例2と同様にして、積層フィルムを得た。被膜層の被膜量は0.03g/m2 であった。
比較例3
液状粘着剤として、デカグリセリンモノラウレート(三菱化学フーズ製L−10D)を用い、水を加えて濃度65重量%水溶液を用い、メタリングバー(#12)を用いた以外、実施例1と同様にし、被膜量10g/m2 の被膜層を形成して、積層フィルムを得た。
以上のラップフィルムの品質評価結果をまとめたのが表1である。
Figure 2007106996
略号の説明
P1 :高結晶性ポリ乳酸系重合体
P2 :ポリ乳酸系重合体
S1 :可塑剤1
S2 :可塑剤2
DGML :デカグリセリンモノラウレート
HGMO :ヘキサグリセリンオレエート
TGML :テトラグリセリンモノラウレート
HG :ヘキサグリセリン
EDO :エポキシ化大豆油
SMO :ソルビタンモノオレエート
PGMO :プロピレングリコールモノオレエート
IR :ヒンダードフェノール系酸化防止剤“イルガノックス1010”
表1の結果からわかるように、実施例1〜6で得られたラップフィルムは、透明性、柔軟性、ガスバリア性に優れ、経時での粘着力の変化がなく、適度な粘着性を有するフィルムであった。
一方、比較例1で得られたフィルムは、透明性、ガスバリア性に優れるものの、経時で柔軟性および粘着力が変化するフィルムであった。
また、比較例2で得られたフィルムは、透明性、柔軟性、ガスバリア性が優れるものの、粘着被膜層の被膜量が少なく、粘着性が劣るフィルムであった。
さらに、比較例3で得られたフィルムは、透明性、柔軟性、ガスバリア性が優れるものの、粘着力が強すぎ、取り扱い性が劣るフィルムであった。比較例1〜3で得られたフィルムは、何れもラップフィルムとしては好ましくなかった。
透明性、柔軟性、耐熱性、粘着性を必要とする農業用材料。建材用材料、工業材料、特に包装材料フィルムなどの用途に好適なフィルムとして用いることができる。

Claims (8)

  1. ポリ乳酸系重合体を主成分とする組成物からなる基材層の少なくとも片面に、粘着剤からなる被膜層を0.1〜5g/m2 の被膜量で形成してなることを特徴とするラップフィルム。
  2. 前記粘着剤が、下記(I) 、(II)、(III) および(IV)からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分からなる粘着剤であることを特徴とする請求項1記載のラップフィルム。
    (I) 下記(イ)と(ロ)とのエステル、
    (イ)脂肪族系アルコール、脂環族系アルコールおよびこれらの縮重合物からなる群より選択される少なくとも1種のアルコール成分、
    (ロ)脂肪族カルボン酸、脂肪族多価カルボン酸および芳香族多価カルボン酸からなる群より選択される少なくとも1種のカルボン酸、
    (II) 脂肪族ヒドロキシカルボン酸とアルコールおよび/または脂肪酸とのエステル、および/またはこれらの変性物、
    (III) ポリオキシエチレンアルキルエーテルおよび/またはそのエステル、
    (IV) 脂肪族ポリエステルのオリゴマー、ミネラルオイル、流動パラフィンおよび飽和炭化水素化合物よりなる群より選択される少なくとも1種よりなる低重合物、
  3. 前記基材層が、ポリ乳酸系重合体(a)と、1分子中に分子量が1,500以上のポリ乳酸セグメント並びに、ポリエーテル系セグメントおよび/またはポリエステル系セグメントを有する可塑剤(b)とを含有する組成物であることを特徴とする請求項1または2記載のラップフィルム。
  4. 前記基材層が、ポリ乳酸系重合体(a)と可塑剤(b)との混合割合(重量%)がポリ乳酸系重合体(a)/可塑剤(b)=60/40〜95/5である組成物AからなるA層と、結晶性ポリ乳酸系重合体(a1)と可塑剤(b)との混合割合(重量%)が結晶性ポリ乳酸系重合体(a1)/可塑剤(b)=50/50〜95/5である組成物BからなるB層とからなる少なくとも2層以上の積層フィルムであることを特徴とする請求項3記載のラップフィルム。
  5. ヘイズが10%未満であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のラップフィルム。
  6. 23℃引張弾性率が0.1〜2.0GPaであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のラップフィルム。
  7. 温度2℃、湿度90%での水蒸気透過率が100g/m・日・atmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のラップフィルム。
  8. ポリ乳酸系重合体を主成分とする組成物からなる基材層の片面に、液状粘着剤からなる被膜層を、オフラインコーティングにより、または基材フィルム製造工程中のインラインコーティングにより形成することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のラップフィルムの製造方法。
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