JP2009183069A - 焼結磁石及びそれを用いた回転機 - Google Patents

焼結磁石及びそれを用いた回転機 Download PDF

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Abstract

【課題】
NdFeB磁石の中心部に層状に偏析した重希土類偏析層を有する焼結磁石を提供し重希土類元素の使用量を低減することが課題である。
【解決手段】
磁粉の磁場中圧縮成形体に重希土類元素を含むフッ素化合物溶液を真空含浸後、乾燥焼結させることにより、磁石厚さによらず磁石内部に重希土類偏析層を作製できる。その結果、重希土類使用量を削減でき、高保磁力,高磁束密度,高比抵抗などを満足させることができ、高耐熱,低損失(高効率)の磁気回路に使用できる。
【選択図】図2

Description

本発明は、重希土類元素の使用量を低減し高エネルギー積或いは高耐熱性を有する磁石、その製造方法及びそれらを用いた回転機に関するものである。
従来のフッ素化合物或いは酸フッ素化合物を含む希土類焼結磁石は、特許文献1で開示されている。従来技術では、処理に使用するフッ素化合物は粉末状或いは粉末と溶媒の混合物であり、磁石粉表面に沿って効率よくフッ素を含む相を形成することは困難である。
また、上記従来手法では、磁粉表面に処理に使用するフッ素化合物が点接触しており、本手法のように容易にフッ素を含む相が磁粉に面接触しないため、従来手法の方がより多くの処理原料と高温での熱処理を要する。
一方、特許文献2には、希土類フッ素化合物の微粉末(1から20μm)をNdFeB粉と混合している内容が開示されているが、磁石の粒内に板状に飛び飛びに成長している例はない。
また、非特許文献3には、DyF3やTbF3の微粉(1から5μm)を微小焼結磁石表面に塗布している磁石が開示されている。しかし、フッ素化合物の溶液処理ではなく、かつ、DyやFが焼結磁石に吸収されNdOFやNd酸化物が形成されるという記載があるが、酸フッ素化合物中の炭素や重希土類,軽希土類の濃度勾配などの異方性方向との関係に関する記載はない。
特開2003−282312号公報 米国特許US2005/0081959A1 IEEE TRANSACTIONS ON MAGNETICS,VOL.41 No.10(2005)3844頁から3846頁
従来発明は、NdFeB磁粉に層状にフッ素を含んだ相を形成するために、フッ素化合物などの粉砕粉を原料にしており、低粘度透明溶液の状態に関する記載がない。そのため、拡散に必要な熱処理温度が高く焼結磁石よりも低温で磁気特性が劣化する磁粉において磁気特性向上或いは希土類元素の低濃度化を達成させることは困難である。このため従来の手法では熱処理温度が高く、拡散に必要なフッ素化合物の使用量が多く、10mmを超える厚さの磁石への適用が困難である。本発明では、ゾル状態の該希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物がアルコールを主成分とした溶媒に分散されてなるものを処理液として使用し、磁場中配向後の仮成形体の磁粉と磁粉の隙間にフッ素化合物溶液を含浸させる工程を採用し、粉砕フッ素化合物粉を使用する場合よりもフッ素化合物が容易に焼結磁石内部に形成でき、フッ素化合物の使用量低減、塗布の均一性向上などが利点として挙げられ、低温度でフッ素或いは希土類元素の拡散が可能である焼結磁石及びそれを用いた回転機を提供する。
本発明は、鉄を主成分とする強磁性材料の結晶粒内部或いは粒界部の一部に、アルカリ金属元素,アルカリ土類金属元素或いは希土類元素を少なくとも1種含むフッ素化合物層又は酸フッ素化合物層が形成され、最表面に炭素を含有する酸フッ素化合物或いはフッ素化合物が層状に形成され、フッ素化合物層或いは酸フッ素化合物層が炭素の濃度勾配を有し、酸フッ素化合物層が、軽希土類元素及び重希土類元素をそれぞれ少なくとも1種ずつ含有し、かつ、重希土類元素の濃度が軽希土類元素濃度よりも低い焼結磁石を用いることを特徴とする。
本発明は、低温度でフッ素或いは希土類元素の拡散が可能な焼結磁石及びそれを用いた回転機を提供することができる。
前述のとおり本発明は、鉄を主成分とする強磁性材料の結晶粒内部或いは粒界部の一部に、アルカリ金属元素,アルカリ土類金属元素或いは希土類元素を少なくとも1種含むフッ素化合物層又は酸フッ素化合物層が形成され、最表面に炭素を含有する酸フッ素化合物或いはフッ素化合物が層状に形成され、フッ素化合物層或いは酸フッ素化合物層が炭素の濃度勾配を有し、酸フッ素化合物層が、軽希土類元素及び重希土類元素をそれぞれ少なくとも1種ずつ含有し、かつ、重希土類元素の濃度が軽希土類元素濃度よりも低い焼結磁石を用いることを特徴とする。
また、最表面の酸フッ素化合物或いはフッ素化合物の粒界付近に酸化物が形成されていることを特徴とし、フッ素化合物,前記酸フッ素化合物又は前記炭素を含む酸フッ素化合物が光透過性のある溶液を含浸することにより形成される希土類磁石を用いることを特徴とする。
また、本発明は、鉄及び希土類元素を主成分とする強磁性材料の結晶粒内部或いは粒界部の一部に、アルカリ金属元素,アルカリ土類金属元素或いは希土類元素を少なくとも1種含むフッ素化合物層又は酸フッ素化合物層が形成され、酸フッ素化合物層或いはフッ素化合物層が、炭素を含有し、酸フッ素化合物層或いはフッ素化合物層の最表面に存在する酸フッ素化合物或いはフッ素化合物の平均結晶粒径が、内部の前記酸フッ素化合物の平均結晶粒径よりも、大きい焼結磁石を用いることを特徴とする。
さらに、酸フッ素化合物層或いはフッ素化合物層の平均体積が、異方性に平行方向と垂直方向とで異なることを特徴とする。
また、焼結磁石の異方性に平行方向と垂直方向とでフッ素化合物層或いは酸フッ素化合物層の濃度,膜厚又は連続性に差があることを特徴とする。
また、焼結磁石の最表面が、酸素濃度よりもフッ素濃度が高い酸フッ素化合物或いはフッ素化合物で被覆され、焼結磁石の主相と酸フッ素化合物の界面が平均10nm以上10μm以下の凹凸を有していることを特徴とする。
さらに、本発明の回転機は、固定子鉄心と固定子巻線とを有する固定子と、固定子との間に空隙を介して、回転自在に配置された回転子とを有し、回転子は多数のスロットと、スロット内に埋設した少なくとも1つの永久磁石とを備えており、永久磁石は、界磁極を構成しており、永久磁石として、鉄を主成分とする強磁性材料の結晶粒内部或いは粒界部の一部に、アルカリ金属元素,アルカリ土類金属元素或いは希土類元素を少なくとも1種含むフッ素化合物層又は酸フッ素化合物層が形成され、最表面に炭素を含有する酸フッ素化合物或いはフッ素化合物が層状に形成され、フッ素化合物層或いは酸フッ素化合物層が炭素の濃度勾配を有し、酸フッ素化合物層が、軽希土類元素及び重希土類元素をそれぞれ少なくとも1種ずつ含有し、かつ、重希土類元素の濃度が前記軽希土類元素濃度よりも低い焼結磁石を用いることが好ましい。
以下、本発明の実施例に即して説明する。
本発明の実施例では、粉砕粉を含まず光透過性のあるフッ素化合物系溶液を使用する。
このような溶液を隙間のある低密度成形体に含浸させ、焼結させる。Nd2Fe14Bを主相とする焼結磁石ある作製する場合、磁粉の粒度分布を整えた後、磁界中で仮成形する。
この仮成形体には磁粉と磁粉の間に隙間があるため、隙間にフッ素化合物系溶液を含浸させることにより仮成形体の中心部までフッ素化合物溶液で塗布可能である。この時、フッ素化合物溶液は透明性の高いもの、光透過性のあるもの或いは低粘度な溶液が望ましく、このような溶液を使用することで、磁粉の微小な隙間にフッ素化合物溶液を浸入させることができる。含浸はフッ素化合物溶液に仮成形体の一部を接触させることで実施でき、仮成形体とフッ素化合物溶液の接触した面に沿ってフッ素化合物溶液が塗布され、塗布した面に1nmから1mmの隙間があればその隙間の磁粉面に沿ってフッ素化合物溶液が含浸される。含浸方向は仮成形体の連続隙間のある方向であり、仮成形条件や磁粉の形状に依存する。含浸させるためのフッ素化合物溶液接触面と非接触面の付近とでは塗布量が異なるために焼結後のフッ素化合物を構成する元素の一部に濃度差が認められる。また、前記溶液接触面と垂直方向の面とでは平均的にフッ素化合物の濃度分布に差がみられる。したがって仮成形時に磁界配向させる場合には、仮成形体の異方性に平行な面と垂直な面とではある面から含浸させようとした場合、含浸溶液との接触面とその接触面と並行な非接触面及び垂直面とではフッ素化合物の濃度や膜厚,連続性などに差が生じる。これは含浸が前記含浸溶液との接触面から壁面或いは連続隙間面に沿って進行するためであり、連続隙間の分布にも関係するため異方化させるための仮成形体で連続隙間の分布があれば、焼結後のフッ素化合物の濃度,構造,連続性,粒界相の厚さに異方性が認められるようになる。
フッ素化合物溶液はアルカリ金属元素,アルカリ土類元素或いは希土類元素を1種類以上含むフッ素化合物または酸素を一部含むフッ素酸素化合物(以下フッ酸化合物)からなる溶液であり、含浸処理は室温で可能である。この含浸された溶液を200℃から400℃の熱処理で溶媒を除去し、500℃から800℃の熱処理でフッ素化合物と磁粉間や粒界に酸素,希土類元素及びフッ素化合物構成元素が拡散する。磁粉には酸素が10から5000ppm含有し、他の不純物元素としてH,C,P,Si,Al等の軽元素或いは遷移金属元素などが含まれる。磁粉に含まれる酸素は、希土類酸化物やSi,Alなどの軽元素の酸化物としてばかりでなく、母相中や粒界に化学量論組成からずれた組成の酸素を含む相としても存在する。このような酸素を含んだ相は、磁粉の磁化を減少させ、磁化曲線の形にも影響する。すなわち、残留磁束密度の値の低下,異方性磁界の減少,減磁曲線の角型性の低下,保磁力の減少,不可逆減磁率の増加,熱減磁の増加,着磁特性の変動,耐食性劣化,機械特性低下などにつながり、磁石の信頼性が低下する。酸素はこのように多くの特性に影響するので、磁粉中に残留させないような工程が考えられてきた。含浸させて磁粉表面に成長した希土類フッ素化合物は一部溶媒を含んでいるが、REF3を400℃以下の熱処理で成長させ(REは希土類元素)、真空度1×10-3torr以下で400から800℃で加熱保持する。保持時間は30分である。この熱処理で磁粉の鉄原子や希土類元素、酸素がフッ素化合物に拡散し、REF3,REF2或いはRE(OF)中或いはこれらの粒界付近にみられるようになる。上記処理液を使用することにより、200から800℃の比較的低温度でフッ素化合物を磁性体内部に拡散させることが可能であり、含浸することで以下のような利点が得られる。1)処理に必要なフッ素化合物量を低減できる。
2)10mm以上の厚さの焼結磁石に適用できる。3)フッ素化合物の拡散温度が低温化できる。4)焼結後の拡散熱処理が不要である。これらの特徴より、厚板磁石において、残留磁束密度の増加,保磁力増加,減磁曲線の角型性向上,熱減磁特性向上,着磁性向上,異方性向上,耐食性向上,低損失化,機械強度向上などの効果が顕著になる。磁粉がNdFeB系の場合、Nd,Fe,B或いは添加元素,不純物元素が200℃以上の加熱温度でフッ素化合物内に拡散する。上記温度でフッ素化合物層内のフッ素濃度は場所により異なり、REF2,REF3(REは希土類元素)、或いはこれらの酸フッ素化合物が層状或いは板状に不連続に形成されるが、含浸する方向には連続したフッ素化合物が層状に形成され、含浸方向と垂直方向ではフッ素化合物の量が平均的に少ないか薄くなる。拡散の駆動力は、温度,応力(歪),濃度差,欠陥などであり電子顕微鏡などにより拡散した結果を確認できるがフッ素化合物粉砕粉を使用しない溶液を含浸させて使用することにより、室温で既に仮成形体の中央にフッ素化合物を形成でき、低温度で拡散させることが可能なため、フッ素化合物の使用量を少なくでき、特に高温にすると磁気特性が劣化するNdFeB磁石粉の場合有効である。NdFeB系磁粉には、主相にNd2Fe14Bの結晶構造と同等の相を含む磁粉を含んでおり、Al,Co,Cu,Tiなどの遷移金属が上記主相に含有してもよい。また、Bの一部をCとしてもよい。また主相以外にFe3BやNd2Fe233などの化合物或いは酸化物が含まれてもよい。フッ素化合物層は800℃以下の温度でNdFeB系磁粉よりも高い抵抗を示すため、フッ素化合物層の形成によりNdFeB焼結磁石の抵抗を増加させることができ、その結果損失を低減することが可能である。フッ素化合物層中にはフッ素化合物以外に磁気特性に影響が小さい室温付近で強磁性を示さない元素であれば不純物として含んでいても問題はない。高抵抗とする目的で窒素化合物や炭化物などの微粒子がフッ素化合物中に混合されていても良い。このようなフッ素化合物を含浸工程を経て作成された焼結磁石は、フッ素化合物の濃度分布や連続性が異方的になっており、重希土類元素の使用量を低減できるので、エネルギー積が高い焼結磁石を製造でき、高トルク回転機に適用可能である。
<実施例1>
NdFeB系粉末としてNd2Fe14B構造を主相とする磁粉を作成し、これらの磁粉表面にフッ素化合物を形成する。DyF3を磁粉表面に形成する場合、原料としてDy(CH3COO)3をH2Oで溶解させ、HFを添加する。HFの添加によりゼラチン状のDyF3・XH2O或いはDyF3・X(CH3COO)(Xは正数)が形成される。これを遠心分離し、溶媒を除去し、光透過性のある溶液とする。磁粉を金型に挿入し10kOeの磁場中で1t/cm2の荷重で仮成形体を作成する。仮成形体には連続した隙間が存在する。この仮成形体の底面のみ前記光透過性のある溶液に浸す。底面は磁場方向に平行な面である。
溶液は仮成形体の磁粉隙間に底面及び側面から浸み込み、磁粉表面に光透過性のある溶液が塗布される。次に前記光透過性のある溶液の溶媒を蒸発させ、加熱により水和水を蒸発させ、約1100℃で焼結する。焼結時にフッ素化合物を構成するDy,C,Fが磁粉の表面や粒界に沿って拡散し、磁粉を構成するNdやFeと交換するような相互拡散が生じる。特に粒界付近にはDyがNdと交換する拡散が進行し、粒界に沿ってDyの偏析した構造が形成される。粒界三重点には酸フッ素化合物やフッ素化合物が形成され、DyF3,DyF2,DyOFなどから構成されていることが判明した。このような焼結磁石はフッ素化合物を使用しない場合と比較して、保磁力が40%増加し保磁力増加による残留磁束密度の減少は2%、Hkの増加が10%であった。このフッ素化合物を含浸させた焼結磁石は高エネルギー積のためハイブリッド自動車回転機に適用できる。焼結磁石の着磁に必要な磁界は、母相がNdFeB系の場合20kOeであり、焼結磁石を回転子の外周側に配置し、回転子は磁性体或いは非磁性体シャフトの外周に電磁鋼板或いはアモルファスリングからなり、焼結磁石の磁極位置に従って電機子巻線にインバータからリアクトルを介し電流を供給することによって回転駆動する。上記焼結磁石を適用した回転機は、空調圧縮機などの羽根車を駆動するものを含み、回転数が10000rpm以上の高速機を含んでいる。
<実施例2>
NdFeB系粉末としてNd2Fe14B構造を主相とし、約1%のホウ化物や希土類リッチ相を有する平均粒径5μmの磁粉を作成し、これらの磁粉表面にフッ素化合物を形成する。DyF3を磁粉表面に形成する場合、原料としてDy(CH3COO)3をH2Oで溶解させ、HFを添加する。HFの添加によりゼラチン状のDyF3・XH2O或いはDyF3・X(CH3COO)(Xは正数)が形成される。これを遠心分離し、溶媒を除去し、光透過性のある溶液とする。磁粉を金型に挿入し10kOeの磁場中で1t/cm2の荷重で仮成形体を作成する。仮成形体の密度は約80%であり、仮成形体の底面から上面に連続した隙間が存在する。この仮成形体の底面のみ前記光透過性のある溶液に浸す。底面は磁場方向に平行な面である。溶液は仮成形体の磁粉隙間に底面及び側面から浸み込み始め、真空排気することで磁粉隙間の磁粉表面に光透過性のある溶液が含浸される。次に含浸した前記光透過性のある溶液の溶媒を連続隙間に沿って蒸発させ、加熱により水和水を蒸発させ、真空熱処理炉で約1100℃の温度に3時間保持して焼結する。焼結時にフッ素化合物を構成するDy,C,Fが磁粉の表面や粒界に沿って拡散し、磁粉を構成するNdやFeとDy,C,Fが交換するような相互拡散が生じる。特に粒界付近にはDyがNdと交換する拡散が進行し、粒界近傍に沿ってDyの偏析した構造が形成される。粒界三重点や粒界には酸フッ素化合物やフッ素化合物の粒が形成され、DyF3,DyF2,DyOF,NdOF,NdF2,NdF3などから構成されていることが判明した。このような焼結磁石はフッ素化合物を使用しない場合と比較して、保磁力が40%増加し保磁力増加による残留磁束密度の減少は2%、Hkの増加が10%であった。このフッ素化合物を含浸させた焼結磁石は高エネルギー積のためハイブリッド自動車回転機に適用できる。
<実施例3>
DyF系処理液は、酢酸Dyを水に溶解後、希釈したフッ化水素酸を徐々に添加させた。ゲル状沈殿のフッ素化合物に酸フッ素化合物や酸フッ素炭化物が混合した溶液に対して超音波攪拌器を用いて攪拌し、遠心分離後、メタノールを添加し、ゲル状のメタノール溶液を攪拌後、陰イオンを除去し透明化した。処理液は可視光において透過率が5%以上になるまで陰イオンを除去している。この溶液を仮成形体に含浸させる。仮成形体はNd2Fe14B磁粉を10kOeの磁場で5t/cm2の荷重を加えて作製した厚さ20mmのものであり、密度が平均80%である。仮成形体はこのように密度100%とはならないため仮成形体中に連続した隙間が存在する。この隙間に前記溶液を約0.1wt%含浸させる。仮成形体の磁場印加方向と垂直な面を底面にして溶液と接触させ、溶液が磁粉隙間に浸み込む。この時真空排気することで、溶液が隙間に沿って含浸され底面と反対側の面まで溶液が塗布される。この含浸仮成形体200℃で真空熱処理することにより塗布液の溶媒を蒸発させる。含浸した仮成形体を真空熱処理炉に入れて焼結温度1000℃まで真空加熱し焼結させ、密度99%の異方性焼結磁石を得た。含浸処理なしの焼結磁石と比較して、DyF系処理液の含浸処理をした焼結磁石は、磁石中央でも粒界付近にDyが偏析し粒界にFやNd及び酸素の多い特徴をもち、粒界付近のDyが保磁力を増大させ、保磁力25kOeかつ残留磁束密度1.5Tの特性を20℃で示す。DyやFの濃度は含浸の経路になって塗布された部分で高いため、濃度に差が認められ、含浸溶液に浸した面とその対面の方向では連続したフッ化物が形成されるのに対し、その垂直方向では不連続の部分もみられるため、平均的に含浸溶液の面と反対の面では高濃度で垂直方向では平均的に濃度が低い。これはSEM−EDXやTEM−EDXまたはEELS,EPMAで識別できる。このような特性の向上以外にもDyF系溶液の含浸処理と焼結により磁気特性の角型性向上,成形後の抵抗増加,保磁力の温度依存性低減,残留磁束密度の温度依存性低減,耐食性向上,機械的強度増加,熱伝導性向上,磁石の接着性向上のいずれかの効果が得られる。フッ素化合物はDyF系のDyF3以外にLiF,MgF2,CaF2,ScF3,VF2,VF3,CrF2,CrF3,MnF2,MnF3,FeF2,FeF3,CoF2,CoF3,NiF2,ZnF2,AlF3,GaF3,SrF2,YF3,ZrF3,NbF5,AgF,InF3,SnF2,SnF4,BaF2,LaF2,LaF3,CeF2,CeF3,PrF2,PrF3,NdF2,SmF2,SmF3,EuF2,EuF3,GdF3,TbF3,TbF4,DyF2,NdF3,HoF2,HoF3,ErF2,ErF3,TmF2,TmF3,YbF3,YbF2,LuF2,LuF3,PbF2,BiF3或いはこれらのフッ素化合物に酸素や炭素或いは遷移金属元素を含んだ化合物が含浸工程適用可能であり、可視光線の透過性のある溶液或いはCH基とフッ素の一部が結合した溶液を使用した含浸処理によって形成することができ、粒界や粒内に板状のフッ素化合物や酸フッ素化合物が認められた。
<実施例4>
DyF系処理液は、酢酸Dyを水に溶解後、希釈したフッ化水素酸を徐々に添加させた。ゲル状沈殿のフッ素化合物に酸フッ素化合物や酸フッ素炭化物が混合した溶液に対して超音波攪拌器を用いて攪拌し、遠心分離後、メタノールを添加し、ゲル状のメタノール溶液を攪拌後、陰イオンを除去し透明化した。処理液は可視光において透過率が10%以上になるまで陰イオンを除去している。この溶液を仮成形体に含浸させる。仮成形体はアスペクト比が平均2のNd2Fe14B磁粉を10kOeの磁場で5t/cm2の荷重を加えて作製した厚さ20mmのものであり、密度が平均70%である。仮成形体はこのように密度100%とはならないため仮成形体中に連続した隙間が存在する。この隙間に前記溶液を含浸させる。仮成形体の磁場印加方向と垂直な面を底面にして溶液と接触させ、溶液が磁粉隙間に浸み込む。この時真空排気することで、溶液が隙間に沿って含浸され底面と反対側の面まで溶液が塗布される。この含浸仮成形体200℃で真空熱処理することにより塗布液の溶媒を蒸発させる。含浸した仮成形体を真空熱処理炉に入れて焼結温度1000℃まで真空加熱し焼結させ、密度99%の異方性焼結磁石を得た。Dy及びFを含む相の連続性は異方性方向の方が高い。これは磁場配向によって磁粉が配向した方向に沿って含浸液が浸み込み易いためであり、仮成形体の磁場印加方向と含浸方向がほぼ一致するように溶液を配向方向に垂直な面に浸したためである。DyやFの平均の濃度も磁場印加方向に平行な方向の方が垂直な方向よりも高い。また、含浸処理なしの焼結磁石と比較して、DyF系処理液の含浸処理をした焼結磁石は、粒界の周囲500nm以内にDyが偏析し粒界にFやNd及び酸素の多い特徴をもち、粒界付近のDyが保磁力を増大させ、保磁力30kOeかつ残留磁束密度1.5Tの特性を20℃で示す。このような特性の向上以外にもDyF系溶液の含浸処理と焼結により磁気特性の角型性向上,成形後の抵抗増加,保磁力の温度依存性低減,残留磁束密度の温度依存性低減,耐食性向上,機械的強度増加,熱伝導性向上,磁石の接着性向上のいずれかの効果が得られる。フッ素化合物はDyF系のDyF3以外にLiF,MgF2,CaF2,ScF3,VF2,VF3,CrF2,CrF3,MnF2,MnF3,FeF2,FeF3,CoF2,CoF3,NiF2,ZnF2,AlF3,GaF3,SrF2,YF3,ZrF3,NbF5,AgF,InF3,SnF2,SnF4,BaF2,LaF2,LaF3,CeF2,CeF3,PrF2,PrF3,NdF2,SmF2,SmF3,EuF2,EuF3,GdF3,TbF3,TbF4,DyF2,NdF3,HoF2,HoF3,ErF2,ErF3,TmF2,TmF3,YbF3,YbF2,LuF2,LuF3,PbF2,BiF3或いはこれらのフッ素化合物に酸素や炭素或いは遷移金属元素を含んだ化合物が含浸工程適用可能であり、可視光線の透過性のある溶液或いはCH基とフッ素の一部が結合した溶液を使用した含浸処理によって形成することができ、粒界や粒内に板状のフッ素化合物や酸フッ素化合物が認められた。
<実施例5>
Figure 2009183069
希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜の形成処理液は以下のようにして作製した。
(1)水に溶解度の高い塩、例えばDyの場合は酢酸Dy4gを100mLの水に導入 し、振とう器または超音波攪拌器を用いて完全に溶解した。
(2)10%に希釈したフッ化水素酸をDyFx(X=1−3)が生成する化学反応の 当量分徐々に加えた。
(3)ゲル状沈殿のDyFx(X=1−3)が生成した溶液に対して超音波攪拌器を用 いて1時間以上攪拌した。
(4)4000〜6000r.p.mの回転数で遠心分離した後、上澄み液を取り除きほぼ 同量のメタノールを加えた。
(5)ゲル状のDyFクラスタを含むメタノール溶液を攪拌して完全に懸濁液にした後 、超音波攪拌器を用いて1時間以上攪拌した。
(6)(4)と(5)の操作を酢酸イオン、又は硝酸イオン等の陰イオンが検出されな くなるまで、3〜10回繰り返した。
(7)DyF系の場合、ほぼ透明なゾル状のDyFxとなった。処理液としてはDyFx が1g/5mLのメタノール溶液を用いた。
(8)上記溶液に表1の炭素を除く有機金属化合物を添加した。
その他の使用した希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜の形成処理液も上記とほぼ同様の工程で形成でき、表1で示すようなDy,Nd,La,Mgフッ素系処理液に種々の元素を添加しても、いずれの溶液の回折パターンもREnFm(REは希土類或いはアルカリ土類元素、n,mは正数)で示されるフッ素化合物や酸フッ素化合物或いは添加元素との化合物と一致しない。表1の添加元素の含有量の範囲であれば溶液の構造を大きく変えるものではない。溶液或いは溶液を乾燥させた膜の回折パターンは、半値幅が1度以上の回折ピークを含む複数のピークから構成されていた。これは添加元素とフッ素間或いは金属元素間の原子間距離がREnFmと異なり、結晶構造もREnFmと異なることを示している。半値幅が1度以上であることから、上記原子間距離が通常の金属結晶のように一定値ではなくある分布をもっている。このような分布ができるのは、上記金属元素或いはフッ素元素の原子の周囲に他の原子が配置しているためであり、その原子は水素,炭素,酸素が主であり、加熱など外部エネルギーを加えることでこれら水素,炭素,酸素などの原子は容易に移動し構造が変化し流動性も変化する。ゾル状およびゲル状のX線回折パターンは半値幅が1度より大きなピークから構成されているが、熱処理により構造変化がみられ、上記REnFm或いはREn(F,O)mの回折パターンの一部がみられるようになる。表1に示す添加元素も溶液中で長周期構造を持っていないと考えられる。このREnFmの回折ピークは上記ゾル或いはゲルの回折ピークよりも半値幅が狭い。溶液の流動性を高め塗布膜厚を均一にするためには、上記溶液の回折パターンに1度以上の半値幅をもつピークが少なくとも一つ見られることが重要である。このような1度以上の半値幅のピークとREnFmの回折パターン或いは酸フッ素化合物のピークが含まれても良い。REnFm或いは酸フッ素化合物の回折パターンのみ、または1度以下の回折パターンが溶液の回折パターンに主として観測される場合、溶液中にゾルやゲルではない固相が混合しているため流動性が悪く均一に塗布するのは困難である。
(1)Nd2Fe14B磁粉を密度80%に磁場中で圧縮成形した成形体(10×10× 10mm3)をDyF系コート膜形成処理中に浸漬し、そのブロックを2〜5torr の減圧下で溶媒のメタノール除去を行った。
(2)(1)の操作を1から5回繰り返し400℃から1100℃の温度範囲で0.5 −5時間熱処理した。
(3)(2)で表面コート膜を形成した異方性磁石の異方性方向に30kOe以上のパ ルス磁界を印加した。
この着磁成形体を直流M−Hループ測定器にて磁極間に成形体を着磁方向が磁界印加方向に一致するように挟み、磁極間に磁界を印加することで減磁曲線を測定した。着磁成形体に磁界を印加させる磁極のポールピースには、FeCo合金を使用し、磁化の値は同一形状の純Ni試料及び純Fe試料を用いて校正した。
この結果、希土類フッ化物コート膜を形成したNdFeB焼結体のブロックの保磁力は増加し無添加の場合よりもDyフッ化物或いはDyフッ酸化物が偏析した焼結磁石でそれぞれ30%及び20%保磁力が増加した。このように無添加溶液の塗布熱処理により増加した保磁力をさらに増加させるために表1のような添加元素を各フッ化物溶液中に有機金属化合物を用いて添加した。無添加溶液の場合の保磁力を基準にすると、表1に示す溶液中添加元素により、焼結磁石の保磁力はさらに増加し、これらの添加元素が保磁力の増大に寄与していることが判明した。保磁力増加率の結果を表1に示す。溶液に添加した元素の近傍は溶媒除去により短範囲構造が見られ、さらに熱処理することで成形体の磁粉表面に沿って溶液構成元素とともに拡散する。これらの添加元素は粒界付近に溶液構成元素の一部とともに偏析する傾向を示す。従って表1に示した添加元素はフッ素,酸素及び炭素の少なくとも1種の元素を伴って焼結磁石粒界に拡散し、粒界付近に留まる。焼結磁石ブロックには結晶粒の外周側から内部にフッ素及び表1で示す添加元素の少なくとも1種の元素の濃度勾配が認められる。焼結磁石ブロック最表面には表1の元素を含む酸フッ化物或いは表1の元素及び炭素を含む酸フッ化物、或いは表1の元素の少なくとも1種類の元素と焼結磁石の構成成分を少なくとも1種含む酸フッ素化物が形成される。このような最表面層は耐食性確保以外にも焼結磁石の磁気特性向上のために必要な層であり、電気抵抗も焼結磁石の主相よりは高い。表1の添加元素の溶液中含有量は溶液の光透過性を有する範囲にほぼ一致しており、さらに濃度を増加させても溶液を作製することは可能であり、保磁力を増加させることも可能であり、スラリー状の希土類元素を少なくとも1種類以上含むフッ化物,酸化物或いは酸フッ化物のいずれかに表1で示す元素を添加した場合でも無添加の場合よりも高い保磁力が得られるなど磁気特性向上が確認できた。添加元素濃度を表1の100倍以上にした場合、溶液を構成するフッ化物の構造が変化し、溶液中で添加元素の分布が不均一となり他の元素の拡散を阻害する傾向がみられる。表1で示す添加元素の役割は以下のいずれかである。1)粒界付近に偏析して界面エネルギーを低下させる。2)粒界の格子整合性を高める。3)粒界の欠陥を低減する。4)希土類元素などの粒界拡散を助長する。5)粒界付近の磁気異方性エネルギーを高める。6)フッ化物或いは酸フッ化物との界面を平滑化する。これらの結果、表1の添加元素を使用した溶液の含浸塗布,拡散熱処理により保磁力の増加,減磁曲線の角型性向上,残留磁束密度増加,エネルギー積増加,キュリー温度上昇,着磁磁界低減,保磁力や残留磁束密度の温度依存性低減,耐食性向上,比抵抗増加,熱減磁率低減のいずれかの効果が認められる。また表1に示す添加元素の濃度分布は結晶粒外周から内部に平均的に濃度が減少する傾向を示し、粒界部で高濃度となる傾向を示す。粒界の幅は粒界3重点付近と粒界3重点から離れた場所とでは異なる傾向をもち、粒界3重点付近の方が幅が広い傾向がある。表1で示す添加元素は、粒界相或いは粒界の端部、粒界から粒内に向かって粒内の外周(粒界側)のいずれかに偏析し易い。上記磁石の磁気特性向上を確認できた溶液中添加物は、表1のMg,Al,Si,Ca,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Sr,Zr,Nb,Mo,Pd,Ag,In,Sn,Hf,Ta,W,Ir,Pt,Au,Pb,Biや全ての遷移金属元素を含む原子番号18から86の中から選択された元素であり、これらの中の少なくとも1種の元素とフッ素について焼結磁石の結晶粒において濃度勾配が認められる。これらの添加元素は溶液を用いて含浸処理後加熱拡散させるため、あらかじめ焼結磁石に添加された元素の組成分布とは異なり、フッ素の偏析している粒界近傍で高濃度になり、フッ素の偏析が少ない粒界付近(粒界中心から平均1000nm以内の距離)ではあらかじめ添加した元素の偏析が見られる。添加元素濃度が溶液中で低濃度の場合は、粒界三重点付近の濃度勾配或いは濃度差となって確認できる。このように、溶液に添加元素を加え、磁石ブロックに含浸塗布後熱処理により焼結磁石の特性を向上させた時に、焼結磁石の特徴は以下の通りである。1)表1の元素或いは遷移金属元素を含む原子番号18から86の元素の濃度勾配または平均的濃度差が焼結磁石結晶粒の最表面から内部に向かってみられる。2)表1の元素或いは遷移金属元素を含む原子番号18から86の元素の粒界付近の偏析がフッ素を伴ってみられる部分が多い。3)粒界相でフッ素濃度が高く粒界相の外側でフッ素濃度が低く、フッ素濃度差が見られる付近に含浸溶液を構成する元素である表1の元素或いは原子番号18から86の元素の偏析が見られる。4)表1の添加元素或いは原子番号18から86の元素を含む溶液を構成する元素のうち少なくとも1種は結晶粒の表面から内部に向かって濃度勾配をもち、溶液から成長した磁石とフッ素含有膜との界面付近或いは界面より磁石からみて外側でフッ素濃度が最大であり、界面付近のフッ化物が酸素或いは炭素を含有し、高耐腐食性,高電気抵抗、或いは高磁気特性のいずれかに寄与している。このフッ素含有膜には表1で示す添加元素や原子番号18から86の元素の少なくとも1種または2種以上が検出され、磁石内部のフッ素の含浸路付近に上記添加元素が多く含まれ、保磁力の増加,減磁曲線の角型性向上,残留磁束密度増加,エネルギー積増加,キュリー温度上昇,着磁磁界低減,保磁力や残留磁束密度の温度依存性低減,耐食性向上,比抵抗増加,熱減磁率低減,磁気比熱の増加のいずれかの効果が認められる。上記添加元素の濃度差は透過電子顕微鏡のEDX(エネルギー分散X線)プロファイル、或いはEPMA分析,ICP分析などで焼結ブロックの結晶粒について分析することで確認できる。フッ素原子の近傍(フッ素原子の偏析位置から2000nm以内、好ましくは1000nm以内)に溶液中に添加された原子番号18から86の元素が偏析していることが透過電子顕微鏡のEDXやEELSにより分析できる。
このような組成分析により、200PaでDyF溶液を真空含浸させた仮成形体を焼結させた場合には含浸方向に連続したフッ素化合物の層が形成され、この連続したフッ素化合物層は粒界三重点で粒状の酸フッ素化合物を含んでいる。このような真空含浸処理によって形成されるフッ素化合物層或いは酸フッ素化合物層は含浸方向に焼結磁石の側面から反対側の側面まで連続した層となっている。したがって含浸方向とは垂直方向ではフッ素化合物の体積は少ない傾向をもつ。また連続したフッ素化合物層或いは酸フッ素化合物層にはNdがDyよりも多く、F,C,Oが検出され、Dyが粒界から粒内部に向けて拡散している。連続したフッ素化合物層或いは酸フッ素化合物層は、含浸方向に平行な方向では、含浸方向に垂直な方向よりも多い。
<実施例6>
R−Fe−B系(Rは希土類元素)焼結磁石に表面からG成分(Gは遷移金属元素及び希土類元素からそれぞれ1種以上選択される元素、または遷移金属元素及びアルカリ土類金属元素からそれぞれ1種以上選択される元素)及びフッ素原子を拡散させることによって得られ、次の式(1)または(2)
abcdefg (1)
(R・G)a+bcdefg (2)
(ここでRは希土類元素から選択される1種又は2種以上、Mはフッ素を含有する溶液を塗布する前に焼結磁石内に存在する希土類元素を除く2族から116族のCとBを除く元素、Gは遷移金属元素及び希土類元素からそれぞれ1種以上選択される元素、または遷移金属元素及びアルカリ土類金属元素からそれぞれ1種以上選択される元素であるが、RとGが同一元素を含有していても良く、RとGが同一元素を含有していない場合は式(1)で表され、RとGが同一元素を含有している場合は式(2)で表される。TはFe及びCoから選ばれる1種又は2種、AはB(ホウ素)及びC(炭素)から選ばれる1種又は2種以上、a−gは合金の原子%でa,bは式(1)の場合10≦a≦15,0.005≦b≦2であり、式(2)の場合は10.005≦a+b≦17であり、3≦d≦15,0.01≦e≦4,0.04≦f≦4,0.01≦g≦11、残部がcである。)
で示される組成を有する焼結磁石であって、その構成元素であるF及び遷移金属元素の少なくとも1種が磁石中心から磁石表面に向かって平均的に含有濃度が高くなるように分布し、かつ該焼結磁石中の(R,G)214A正方晶からなる主相結晶粒の周りを取り囲む結晶粒界部において、結晶粒界に含まれるG/(R+G)の濃度が主相結晶粒中G/(R+G)濃度よりも平均的に濃く、かつ磁石表面から少なくとも10μmの深さ領域において結晶粒界部にR及びGの酸フッ化物,フッ化物または炭酸フッ化物が存在し、磁石表層付近の保磁力が内部よりも高いことを特徴とする希土類永久磁石は、遷移金属元素の濃度勾配が焼結磁石の表面から中心に向かって認められることが特徴の一つであり、以下の手法の例によって製造することが可能である。
遷移金属元素である表1の元素Mを添加した(Dy0.90.1)Fx(X=1−3)希土類フッ化物コート膜の形成処理液は以下のようにして作製した。
(1)水に溶解度の高い塩、例えばDyの場合は酢酸Dy、または硝酸Dy4gを10 0mLの水に導入し、振とう器または超音波攪拌器を用いて完全に溶解した。
(2)10%に希釈したフッ化水素酸をDyFx(X=1−3)が生成する化学反応の 当量分徐々に加えた。
(3)ゲル状沈殿のDyFx(X=1−3)が生成した溶液に対して超音波攪拌器を用 いて1時間以上攪拌した。
(4)4000〜6000r.p.mの回転数で遠心分離した後、上澄み液を取り除きほぼ 同量のメタノールを加えた。
(5)ゲル状のDyFクラスタを含むメタノール溶液を攪拌して完全に懸濁液にした後 、超音波攪拌器を用いて1時間以上攪拌した。
(6)(4)と(5)の操作を酢酸イオン、又は硝酸イオン等の陰イオンが検出されな くなるまで、3〜10回繰り返した。
(7)DyF系の場合、ほぼ透明なゾル状のDyFxとなった。処理液としてはDyFx が1g/5mLのメタノール溶液を用いた。
(8)上記溶液に表1の炭素を除く有機金属化合物を添加した。
その他の使用した希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜の形成処理液も上記とほぼ同様の工程で形成でき、表1で示すようなDy,Nd,La,Mgフッ素系処理液に種々の元素を添加しても、いずれの溶液の回折パターンもREnFm(REは希土類或いはアルカリ土類元素、n,mは正数)或いはREnFmOpCr(REは希土類或いはアルカリ土類元素、Oは酸素、Cは炭素、Fはフッ素、n,m,p,rは正数)で示されるフッ素化合物や酸フッ素化合物或いは添加元素との化合物と一致しない。表1の添加元素の含有量の範囲であれば溶液の構造を大きく変えるものではない。溶液或いは溶液を乾燥させた膜の回折パターンは、半値幅が1度以上の複数ピークから構成されていた。これは添加元素とフッ素間或いは金属元素間の原子間距離がREnFmと異なり、結晶構造もREnFmと異なることを示している。半値幅が1度以上であることから、上記原子間距離が通常の金属結晶のように一定値ではなくある分布をもっている。このような分布ができるのは、上記金属元素或いはフッ素元素の原子の周囲に他の原子が上記化合物とは異なる配置をしているためであり、その原子は水素,炭素,酸素が主であり、加熱など外部エネルギーを加えることでこれら水素,炭素,酸素などの原子は容易に移動し構造が変化し流動性も変化する。ゾル状およびゲル状のX線回折パターンは半値幅が1度より大きなピークから構成されているが、熱処理により構造変化がみられ、上記REnFm或いはREn(F,O)mの回折パターンの一部がみられるようになる。表1に示す添加元素も溶液中で長周期構造を持っていない。このREnFmの回折ピークは上記ゾル或いはゲルの回折ピークよりも半値幅が狭い。溶液の流動性を高め塗布膜厚を均一にするためには、上記溶液の回折パターンに1度以上の半値幅をもつピークが少なくとも一つ見られることが重要である。このような1度以上の半値幅のピークとREnFmの回折パターン或いは酸フッ素化合物のピークが含まれても良い。REnFm或いは酸フッ素化合物の回折パターンのみ、または1度以下の回折パターンが溶液の回折パターンに主として観測される場合、溶液中にゾルやゲルではない固相が混合しているため流動性が悪くなるが保磁力の増加は認められる。以下の工程で仮成形体にフッ素化合物溶液を塗布した。
(1)NdFeBの磁場中成形体(10×10×10mm3)を室温で圧縮成形し、Dy F系コート膜形成処理中に浸漬し、そのブロックを2〜5torrの減圧下で溶媒の メタノール除去を行った。
(2)(1)の操作を1から5回繰り返し400℃から1100℃の温度範囲で0.5 −5時間熱処理した。
(3)(2)で表面コート膜を形成した異方性磁石の異方性方向に30kOe以上のパ ルス磁界を印加した。
この着磁成形体を直流M−Hループ測定器にて磁極間に成形体を着磁方向が磁界印加方向に一致するように挟み、磁極間に磁界を印加することで減磁曲線を測定した。着磁成形体に磁界を印加させる磁極のポールピースには、FeCo合金を使用し、磁化の値は同一形状の純Ni試料及び純Fe試料を用いて校正した。
この結果、希土類フッ化物コート膜を形成したNdFeB焼結体のブロックの保磁力は増加し無添加の場合の焼結磁石よりも遷移金属元素の添加処理液を使用することでさらに保磁力が増加した。このように無添加溶液の塗布熱処理により増加した保磁力がさらに増加することは、これらの添加元素が保磁力の増大に寄与していることを示している。溶液に添加した元素の近傍は溶媒除去により短範囲構造が見られ、さらに熱処理することで焼結磁石の粒界に沿って溶液構成元素とともに拡散する。これらの添加元素は粒界付近に溶液構成元素の一部とともに偏析する傾向を示す。高保磁力を示す焼結磁石の組成は、磁石外周部の含浸溶液に接触した面でフッ化物溶液を構成する元素の濃度が高く、前記面の反対側或いは垂直な面で低濃度となる傾向を示す。これは磁界中成形体の一面で含浸溶液に接触させて一回の含浸処理で成形体の外側から添加元素を含むフッ化物溶液を含浸塗布乾燥し、添加元素を含有し短範囲構造を有するフッ化物或いは酸フッ化物が成長するとともに粒界付近に沿って拡散が進行するためである。含浸溶液は磁粉表面の連続した隙間に沿って塗布され、連続したフッ素化合物の層が形成される。このような連続したフッ素化合物の層は含浸方向で連続となり、含浸方向と垂直の方向では必ずしも連続とはならない。
また焼結磁石ブロックには外周側から内部にフッ素及び表1で示す添加元素の少なくとも1種の元素の濃度勾配が認められる。表1の添加元素の溶液中含有量は溶液の光透過性を有する範囲にほぼ一致しており、さらに濃度を増加させても溶液を作製することは可能である。スラリー状の希土類元素を少なくとも1種類以上含むフッ化物,酸化物或いは酸フッ化物のいずれかに原子番号18から86の元素を添加した場合でも無添加の場合よりも高い保磁力が得られるなど磁気特性向上が確認できた。添加元素の役割は以下のいずれかである。1)粒界付近に偏析して界面エネルギーを低下させる。2)粒界の格子整合性を高める。3)粒界の欠陥を低減する。4)希土類元素などの粒界拡散を助長する。5)粒界付近の磁気異方性エネルギーを高める。6)フッ化物,酸フッ化物或いは炭酸フッ化物との界面を平滑化する。7)希土類元素の異方性を高める。8)酸素を母相から除去する。9)母相のキュリー温度を高める。これらの結果、保磁力の増加,減磁曲線の角型性向上,残留磁束密度増加,エネルギー積増加,キュリー温度上昇,着磁磁界低減,保磁力や残留磁束密度の温度依存性低減,耐食性向上,比抵抗増加,熱減磁率低減のいずれかの効果が認められる。また表1に示す添加元素を含む遷移金属元素の濃度分布は焼結磁石外周から内部に平均的に濃度が減少する傾向を示し、粒界部で高濃度となる傾向を示す。粒界の幅は粒界3重点付近と粒界3重点から離れた場所とでは異なる傾向をもち、粒界3重点付近の方が幅が広く高濃度になる傾向がある。遷移金属添加元素は、粒界相或いは粒界の端部、粒界から粒内に向かって粒内の外周(粒界側)のいずれかに偏析し易い。これらの添加元素は溶液を用いて処理後加熱拡散させるため、あらかじめ焼結磁石に添加された元素の組成分布とは異なり、フッ素或いは希土類元素の偏析している粒界近傍で高濃度になり、フッ素の偏析が少ない粒界ではあらかじめ添加した元素の偏析が見られ、磁石ブロック最表面から内部にかけて平均的な濃度勾配となって現れ、含浸溶液に浸された面で最も濃度が高く、反対面では前記面よりも濃度勾配は小さい。添加元素濃度が溶液中で低濃度の場合は、濃度勾配或いは濃度差となって確認できる。このように、溶液に添加元素を加え、磁石ブロックに塗布後熱処理により焼結磁石の特性を向上させた時に、焼結磁石の特徴は以下の通りである。1)遷移金属元素の濃度勾配または平均的濃度差が最表面から内部に向かってみられ、含浸溶液に浸された面と反対の面で濃度勾配に差がある。2)遷移金属元素の粒界付近の偏析がフッ素を伴ってみられ、フッ化物は焼結磁石の端部から端部まで連続的に形成されており、この層状フッ素化合物の平均的な量は含浸方向とその垂直方向とでは差がある。3)粒界相でフッ素濃度が高く粒界相の外側でフッ素濃度が低く、フッ素濃度差が見られる付近に遷移金属元素の偏析が見られ、かつ磁石ブロック表面から内部にかけて平均的な濃度勾配や濃度差がみられる。4)焼結磁石の最表面には遷移金属元素,フッ素及び炭素を含むフッ化物層或いは酸フッ化物層が成長する。
<実施例7>
R−Fe−B系(Rは希土類元素)焼結磁石に表面からG成分(Gは遷移金属元素及び希土類元素からそれぞれ1種以上選択される元素、または遷移金属元素及びアルカリ土類金属元素からそれぞれ1種以上選択される元素)及びフッ素原子を拡散させることによって得られ、次の式(1)または(2)
abcdefg (1)
(R・G)a+bcdefg (2)
(ここでRは希土類元素から選択される1種又は2種以上、Mはフッ素を含有する溶液を塗布する前に焼結磁石内に存在する希土類元素を除く2族から116族のCとBを除く元素、Gは遷移金属元素及び希土類元素からそれぞれ1種以上選択される元素、または遷移金属元素及びアルカリ土類金属元素からそれぞれ1種以上選択される元素であるが、RとGが同一元素を含有していても良く、RとGが同一元素を含有していない場合は式(1)で表され、RとGが同一元素を含有している場合は式(2)で表される。TはFe及びCoから選ばれる1種又は2種、AはB(ホウ素)及びC(炭素)から選ばれる1種又は2種以上、a−gは合金の原子%でa,bは式(1)の場合10≦a≦15,0.005≦b≦2であり、式(2)の場合は10.005≦a+b≦17であり、3≦d≦15,0.01≦e≦10,0.04≦f≦4,0.01≦g≦11、残部がcである。)
で示される組成を有する焼結磁石であって、その構成元素であるF及び半金属元素や遷移金属元素の少なくとも1種が磁石中心から磁石表面に向かって平均的に含有濃度が高くなるように分布し、かつ該焼結磁石中の(R,G)214A正方晶からなる主相結晶粒の周りを取り囲む結晶粒界部或いは焼結磁石最表面において、結晶粒界に含まれるG/(R+G)の濃度が主相結晶粒中G/(R+G)濃度よりも平均的に濃く、かつ磁石表面から少なくとも1μmの深さ領域において結晶粒界部にR及びGの酸フッ化物,フッ化物または炭酸フッ化物が存在し、磁石表層付近の保磁力が内部よりも高いことを特徴とする希土類永久磁石は、遷移金属元素の濃度勾配が焼結磁石の表面から中心に向かって認められることが特徴の一つであり、以下の手法の例によって製造することが可能である。
遷移金属元素を添加した希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜の形成処理液は以下のようにして作製した。
(1)水に溶解度の高い塩、例えばDyの場合は酢酸Dy、または硝酸Dy4gを10 0mLの水に導入し、振とう器または超音波攪拌器を用いて完全に溶解した。
(2)10%に希釈したフッ化水素酸をDyFx(X=1−3)が生成する化学反応の 当量分徐々に加えた。
(3)ゲル状沈殿のDyFx(X=1−3)が生成した溶液に対して超音波攪拌器を用 いて1時間以上攪拌した。
(4)4000〜6000r.p.mの回転数で遠心分離した後、上澄み液を取り除きほぼ 同量のメタノールを加えた。
(5)ゲル状のDyF系或いはDyFC系,DyFO系クラスタを含むメタノール溶液 を攪拌して完全に懸濁液にした後、超音波攪拌器を用いて1時間以上攪拌した。
(6)(4)と(5)の操作を酢酸イオン、又は硝酸イオン等の陰イオンが検出されな くなるまで、3〜10回繰り返した。
(7)DyF系の場合、ほぼ透明なゾル状のCやOを含むDyFxとなった。処理液と してはDyFxが1g/5mLのメタノール溶液を用いた。
(8)上記溶液に表1の炭素を除く有機金属化合物を添加した。
その他の使用した希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜の形成処理液も上記とほぼ同様の工程で形成でき、Dy,Nd,La,Mgなどの希土類元素或いはアルカリ土類元素を含むフッ素系処理液に種々の元素を添加しても、いずれの溶液の回折パターンもREnFm(REは希土類或いはアルカリ土類元素、n,mは正数)或いはREnFmOpCr(REは希土類或いはアルカリ土類元素、Oは酸素、Cは炭素、Fはフッ素、n,m,p,rは正数)で示されるフッ素化合物や酸フッ素化合物或いは添加元素との化合物と一致しない。これらの溶液或いは溶液を乾燥させた膜の回折パターンは、半値幅が1度以上の複数ピークを主ピークとするX線回折パターンが観測された。これは添加元素とフッ素間或いは金属元素間の原子間距離がREnFmと異なり、結晶構造もREnFmと異なることを示している。半値幅が1度以上であることから、上記原子間距離が通常の金属結晶のように一定値ではなくある分布をもっている。このような分布ができるのは、上記金属元素或いはフッ素元素の原子の周囲に他の原子が上記化合物とは異なる配置をしているためであり、その原子は水素,炭素、酸素が主であり、加熱など外部エネルギーを加えることでこれら水素,炭素,酸素などの原子は容易に移動し構造が変化し流動性も変化する。ゾル状およびゲル状のX線回折パターンは半値幅が1度より大きなピークを含む回折パターンから構成されているが、熱処理により構造変化がみられ、上記REnFm,REn(F,C,O)m(F,C,Oの比は任意)或いはREn(F,O)m(F、Oの比は任意)の回折パターンの一部がみられるようになる。これらの回折ピークは上記ゾル或いはゲルの回折ピークよりも半値幅が狭い。溶液の流動性を高め塗布膜厚を均一にするためには、上記溶液の回折パターンに1度以上の半値幅をもつピークが少なくとも一つ見られることが重要である。
(1)NdFeB粉を室温で磁場中成形した成形体(10×10×10mm3)をDyF 系コート膜形成処理中に浸漬し、その成形体を2〜5torrの減圧下で溶媒のメタ ノール除去を行った。
(2)(1)の操作を1から5回繰り返し400℃から1100℃の温度範囲で0.5 −5時間熱処理した。
(3)(2)で表面コート膜を形成した焼結磁石或いはNdFeB系磁粉の異方性方向 に30kOe以上のパルス磁界を印加した。
この着磁試料を直流M−Hループ測定器にて磁極間に成形体を着磁方向が磁界印加方向に一致するように挟み、磁極間に磁界を印加することで減磁曲線を測定した。着磁試料に磁界を印加させる磁極のポールピースには、FeCo合金を使用し、磁化の値は同一形状の純Ni試料及び純Fe試料を用いて校正した。
この結果、希土類フッ化物コート膜を形成したNdFeB焼結体のブロックの保磁力は増加し無添加の場合の焼結磁石よりも遷移金属元素の添加処理液を使用することでさらに保磁力或いは減磁曲線の角型性が増加した。このように無添加溶液の塗布熱処理により増加した保磁力や角型性がさらに増加することは、これらの添加元素が保磁力の増大に寄与していることを示している。溶液に添加した原子位置の近傍は溶媒除去により短範囲構造が見られ、さらに熱処理することで焼結磁石の粒界に沿って溶液構成元素とともに拡散する。これらの添加元素は粒界付近に溶液構成元素の一部とともに偏析する傾向を示す。高保磁力を示す焼結磁石の組成は、最表面に(Nd,Dy)(O,F)が生成し、この化合物の結晶粒径は磁石内部の酸フッ素化合物の粒径(0.01から0.5μm)よりも大きく0.5から5μmの径である。また含浸溶液に浸した面の方が酸フッ素化合物の粒径は大きく反対面では粒径が小さい傾向がある。上記最表面の(Nd,Dy)(O,F)には炭素の濃度勾配が存在し、(Nd,Dy)(O,F)の焼結磁石からみた外側でCが多い傾向をもち、最表面では(Nd,Dy)(O,F,C)という炭素を含む酸フッ素化合物が部分的に成長している。また、最表面の(Nd,Dy)(O,F)中のNd濃度はDy濃度よりも高濃度であり、Dyは焼結磁石の内部に拡散し焼結磁石の構成元素であるNdと相互拡散した結果、NdとDyの交換が生じたものと推定される。上記最表面の(Nd,Dy)(O,F)中の酸素量は磁粉の酸素濃度に依存しており、磁粉酸素濃度が低くなるほど小さくなる傾向を示し、局所的に(Nd,Dy)Fx(X=1〜3)となる。このような酸フッ素化合物やフッ素化合物の粒系は磁石内部の酸フッ素化合物やフッ素化合物の粒径よりも大きく、Ndの濃度がDyよりも高濃度であり、NdよりもF濃度が平均的に高く、Nd濃度は磁石内部の方が高濃度になっている。これは焼結磁石ブロックの外側に添加元素を含むフッ化物溶液を含浸塗布乾燥し、添加元素を含有し短範囲構造を有するフッ化物或いは酸フッ化物が成長するとともに粒界付近に沿って拡散が進行するためである。
すなわち、焼結磁石ブロックには含浸面となった外周側から内部にフッ素及び表1で示す遷移金属元素或いは半金属元素の添加元素の少なくとも1種の元素の濃度勾配或いは濃度差が認められ、含浸方向に平行方向と垂直方向とでは、磁石内部の(Nd,Dy)(O,F)層の連続性が異なり、含浸方向に平行な方向では連続性が高く、含浸方向と垂直方向では連続性がない部分がおおい。含浸方向が異方性の方向の場合、着磁方向と平行方向が(Nd,Dy)(O,F)層の連続性が高く、フッ素化合物の体積も多くなり(Nd,Dy)(O,F)層の膜厚も含浸方向に平行な方向の方(平均10nm)が垂直方向(平均7nm)よりも厚い傾向を示した。
<実施例8>
希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜の形成処理液は以下のようにして作製した。
(1)水に溶解度の高い塩、例えばNdの場合は酢酸Nd、または硝酸Nd4gを10 0mLの水に導入し、振とう器または超音波攪拌器を用いて完全に溶解した。
(2)10%に希釈したフッ化水素酸をNdFxy(X,Yは正数)が生成する化学反 応の当量分徐々に加えた。
(3)ゲル状沈殿のNdFxy(X,Yは正数)が生成した溶液に対して超音波攪拌器 を用いて1時間以上攪拌した。
(4)4000〜6000r.p.mの回転数で遠心分離した後、上澄み液を取り除きほぼ 同量のメタノールを加えた。
(5)ゲル状のNdFC系クラスタを含むメタノール溶液を攪拌して完全に懸濁液にし た後、超音波攪拌器を用いて1時間以上攪拌した。
(6)(4)と(5)の操作を酢酸イオン、又は硝酸イオン等の陰イオンが検出されな くなるまで、3〜10回繰り返した。
(7)NdFC系の場合、ほぼ透明なゾル状のNdFxy(X,Yは正数)となった。
処理液としてはNdFxy(X,Yは正数)が1g/5mLのメタノール溶液を 用いた。
(8)上記溶液に表1の炭素を除く有機金属化合物を添加した。
その他の使用した希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物を主成分とするコート膜の形成処理液も上記とほぼ同様の工程で形成でき、表1で示すようなDy,Nd,La,Mgフッ素系処理液,アルカリ土類元素或いは2族の元素に種々の元素を添加しても、いずれの溶液の回折パターンもREnFmCp(REは希土類或いはアルカリ土類元素、n,m,pは正数)で示されるフッ素化合物や酸フッ素化合物或いは添加元素との化合物と一致しない。表1の添加元素の含有量の範囲であれば溶液の構造を大きく変えるものではない。溶液或いは溶液を乾燥させた膜の回折パターンは、半値幅が1度以上の複数ピークから構成されていた。これは添加元素とフッ素間或いは金属元素間の原子間距離がREnFmCpと異なり、結晶構造もREnFmCpと異なることを示している。半値幅が1度以上であることから、上記原子間距離が通常の金属結晶のように一定値ではなくある分布をもっている。このような分布ができるのは、上記金属元素或いはフッ素元素の原子の周囲に他の原子が配置しているためであり、その原子は水素,炭素,酸素が主であり、加熱など外部エネルギーを加えることでこれら水素,炭素,酸素などの原子は容易に移動し構造が変化し流動性も変化する。ゾル状およびゲル状のX線回折パターンは半値幅が1度より大きなピークから構成されているが、熱処理により構造変化がみられ、上記REnFmCp或いはREn(F,O,C)m(ここでF,O,Cの比率は任意)の回折パターンの一部がみられるようになる。表1に示す添加元素もその大部分が溶液中で長周期構造を持っていないと考えられる。このREnFmCpの回折ピークは上記ゾル或いはゲルの回折ピークよりも半値幅が狭い。溶液の流動性を高め塗布膜厚を均一にするためには、上記溶液の回折パターンに1度以上の半値幅をもつピークが少なくとも一つ見られることが重要である。このような1度以上の半値幅のピークとREnFmCpの回折パターン或いは酸フッ素化合物のピークが含まれても良い。REnFmCp或いは酸フッ素化合物の回折パターンのみ、または1度以下の回折パターンが溶液の回折パターンに主として観測される場合、溶液中にゾルやゲルではない固相が混合しているため流動性が悪く均一に塗布するのは困難である。
(1)NdFeB焼結体のブロック(10×10×10mm3)をNdF系コート膜形成 処理中に浸漬し、そのブロックを2〜5torrの減圧下で溶媒のメタノール除去を 行った。
(2)(1)の操作を1から5回繰り返し400℃から1100℃の温度範囲で0.5 −5時間熱処理した。
(3)(2)で表面コート膜を形成した異方性磁石の異方性方向に30kOe以上のパ ルス磁界を印加した。
この着磁成形体を直流M−Hループ測定器にて磁極間に成形体を着磁方向が磁界印加方向に一致するように挟み、磁極間に磁界を印加することで減磁曲線を測定した。着磁成形体に磁界を印加させる磁極のポールピースには、FeCo合金を使用し、磁化の値は同一形状の純Ni試料及び純Fe試料を用いて校正した。
この結果、希土類フッ化物コート膜を形成し熱処理したNdFeB焼結体のブロックの保磁力は増加し無添加の場合Dy,Nd,La及びMg炭フッ化物或いは炭フッ酸化物が偏析した焼結磁石でそれぞれ40%,30%,25%及び20%保磁力が増加した。このように無添加溶液の塗布熱処理により増加した保磁力をさらに増加させるために表1のような添加元素を各フッ化物溶液中に有機金属化合物を用いて添加した。無添加溶液の場合の保磁力を基準にすると、焼結磁石の保磁力はさらに増加し、これらの添加元素が保磁力の増大に寄与していることが判明した。溶液に添加した元素の近傍は溶媒除去により短範囲構造が見られ、さらに熱処理することで焼結磁石の粒界或いは種々の欠陥に沿って溶液構成元素とともに拡散する。これらの添加元素は粒界付近に溶液構成元素の一部とともに偏析する傾向を示す。表1に示した添加元素はフッ素,酸素及び炭素の少なくとも1種の元素を伴って焼結磁石中に拡散し、その一部が粒界付近に留まる。高保磁力を示す焼結磁石の組成は、磁石外周部で炭フッ化物溶液を構成する元素の濃度が高く、磁石中心部で低濃度となる傾向を示す。これは焼結磁石ブロックの外側に添加元素を含む炭フッ化物溶液を塗布乾燥し、添加元素を含んだ短範囲構造を有するフッ化物,炭酸フッ化物,炭フッ化物或いは酸フッ化物が成長するとともに粒界,クラック部或いは欠陥付近に沿って拡散が進行するためである。焼結磁石の表面から内部にかけての濃度分布を図1から図6に示す。図1は遷移金属元素をフッ化物溶液に混合しない場合であり、表面はDyよりもフッ素が多く焼結磁石内部でフッ素含有量がDyよりも少なくなる。これは最表面付近にNdやDyを含むフッ化物や酸フッ化物が成長するためである。炭素の濃度勾配もみられ、焼結磁石表面付近には炭フッ化物或いは炭酸フッ化物が一部に成長している。また図2にはNdの濃度分布を示しており、最表面ではNd濃度はDyより少ないが、10μmを超えるとNdがDyよりも高濃度になっていることがわかる。CとFが1原子%を下回るとNd濃度の方がDy濃度よりも高い。遷移金属元素をMとして濃度分布を測定した結果を図3から6図に示す。遷移金属元素或いは希土類元素を除く2族から116族のCとBを除く元素Mは焼結磁石表面から内部に向かって減少する傾向を示し、炭素やフッ素と同様な傾向を示している。重希土類元素のDyとフッ素の比率は内部と表面で異なり、表面でフッ素が多い傾向を示している。図3は表面のフッ素とDyの濃度がほぼ等しくフッ素は内部でDyよりも濃度勾配が大きい焼結磁石である。炭素や表1の元素を含む遷移金属元素の濃度分布は外周から内部にかけて濃度減少がみられる。図4の濃度分布はDy濃度分布に極小がみられフッ化物と母相との間に反応層が形成される場合である。Dy濃度の極小部ではNdが多く検出されNdとDyの交換反応が生じたために図4のような濃度分布になる。フッ素,炭素,遷移金属元素は外周から内部にかけて濃度減少がみられるが、反応層の影響により極小或いは極大となる濃度分布となる場合もある。図5や図6ではF濃度に深さ方向で凹凸の分布がみられ、局所的にFの濃度が高い層が成長していると考えられる。図6では、F濃度が極小となる場所が存在し、Cの極大となる場所も存在することからフッ素化合物と炭素を含むフッ素化合物が偏在していることを示している。図3から図6のような濃度分布の傾向は焼結磁石だけではなくNdFeB系磁粉や希土類元素を含む粉で認められ磁気特性の向上が確認できる。焼結磁石ブロックには外周側から内部にかけて、フッ素及び表1で示す添加元素を含む3族から11族の金属元素或いは2族,12族から16族の元素の少なくとも1種の元素の濃度勾配或いは濃度差が認められる。これらの元素の溶液中含有量は溶液の光透過性を有する範囲にほぼ一致しており、さらに濃度を増加させても溶液を作製することは可能であり、保磁力を増加させることも可能であり、スラリー状の希土類元素を少なくとも1種類以上含むフッ化物,酸化物,炭フッ化物,炭酸フッ化物或いは酸フッ化物のいずれかに3族から11族の金属元素或いは2族,12族から16族のBを除く元素を添加した場合でも無添加の場合よりも高い保磁力が得られるなど磁気特性向上が確認できた。添加元素濃度を表1の1000倍以上にした場合、溶液を構成するフッ化物の構造が変化し、溶液中で添加元素の分布が不均一となり他の元素の拡散を阻害する傾向がみられ、添加元素が粒界に沿って磁石ブロック内部まで偏析させることが困難となるが局所的に保磁力の増加は認められる。3族から11族の金属元素或いは2族,12族から16族のBを除く添加元素の役割は以下のいずれかである。1)粒界付近に偏析して界面エネルギーを低下させる。2)粒界の格子整合性を高める。3)粒界の欠陥を低減する。4)希土類元素などの粒界拡散を助長する。5)粒界付近の磁気異方性エネルギーを高める。6)フッ化物或いは酸フッ化物との界面を平滑化する。7)最表面に耐食性の優れた上記添加元素を含有しフッ素濃度勾配を有する相が成長し、鉄と酸素を含むことにより保護膜としての安定性(密着性)が高まる。この最表面層の一部には双晶がみられる。これらの結果、添加元素を使用した溶液の塗布,拡散熱処理により保磁力の増加,減磁曲線の角型性向上,残留磁束密度増加,エネルギー積増加,キュリー温度上昇,着磁磁界低減,保磁力や残留磁束密度の温度依存性低減,耐食性向上,比抵抗増加,熱減磁率低減のいずれかの効果が認められる。また3族から11族の金属元素或いは2族,12族から16族のBを除く添加元素の濃度分布は焼結磁石外周から内部に平均的に濃度が減少する傾向を示し、粒界部や最表面で高濃度となる傾向を示す。粒界の幅は粒界3重点付近と粒界3重点から離れた場所とでは異なる傾向をもち、粒界3重点付近の方が幅が広く、平均の粒界幅は0.1から20nmであり、粒界幅の1倍から1000倍の距離内に添加元素の一部が偏析し、その偏析している添加元素の濃度が磁石表面から内部にかけて平均的に減少する傾向を示し、粒界相の一部にフッ素が存在している。また添加元素は、粒界相或いは粒界の端部、粒界から粒内に向かって粒内の外周(粒界側)のいずれかに偏析し易い。上記磁石の磁気特性向上を確認できた溶液中添加物は、表1のMg,Al,Si,Ca,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Sr,Zr,Nb,Mo,Pd,Ag,In,Sn,Hf,Ta,W,Ir,Pt,Au,Pb,Biや全ての遷移金属元素を含む原子番号18から86の中から選択された元素であり、これらの中の少なくとも1種の元素とフッ素について焼結磁石において磁石の外周から内部にかけて及び粒界から粒内にかけて平均的に濃度勾配が認められる。粒界付近と粒内の3族から11族の金属元素或いは2族,12族から16族のBを除く添加元素の濃度勾配または濃度差は、磁石外周から中央部にかけて平均的に変化し、磁石中心に近づくと小さくなる傾向を示すが、拡散が十分であれば、フッ素を含む粒界近傍で添加元素の偏析にともなう添加元素の濃度差が見られる。これらの添加元素は溶液を用いて処理後加熱拡散させるため、あらかじめ焼結磁石に添加された元素の組成分布とは異なり、フッ素の偏析している粒界近傍で高濃度になり、フッ素の偏析が少ない粒界付近ではあらかじめ添加した元素の偏析が見られ、磁石ブロック最表面から内部にかけて平均的な濃度勾配となって現れる。添加元素濃度が溶液中で低濃度の場合でも、磁石最表面と磁石中心部とでは濃度差がみられ、濃度勾配或いは粒界と粒内の濃度差となって確認できる。このように、溶液に添加元素を加え、磁石ブロックに塗布後熱処理により焼結磁石の特性を向上させた時の焼結磁石の特徴は以下の通りである。1)表1の元素或いは遷移金属元素を含む原子番号18から86の元素の濃度勾配または平均的濃度差が焼結磁石のフッ素を含む層との反応層を含んだ最表面から内部に向かってみられる。2)表1の元素或いは遷移金属元素を含む原子番号18から86の元素の粒界付近の偏析がフッ素或いは炭素,酸素を伴ってみられる部分が多い。3)粒界相でフッ素濃度が高く粒界相の外側(結晶粒外周部)でフッ素濃度が低く、フッ素濃度差が見られる粒界幅の1000倍以内に表1の元素或いは原子番号18から86の元素の偏析が見られ、かつ磁石ブロック表面から内部にかけて平均的な濃度勾配や濃度差がみられる。4)溶液を塗布された焼結磁石ブロック或いは磁石粉または強磁性粉の最外周でフッ素及び添加元素の濃度が最も高く、磁性体部の中の外側から内部に向かって添加元素の濃度勾配或いは濃度差が認められる。5)最表面にはフッ素,炭素,酸素,鉄、および表1の元素或いは原子番号18から86の元素を含有する厚さ1から10000nmの層が被覆率10%以上好ましくは50%以上で形成され耐蝕性向上と加工変質層の磁気特性回復などに寄与している。6)表1の添加元素或いは原子番号18から86の元素を含む溶液を構成する元素のうち少なくとも1種は表面から内部に向かって濃度勾配をもち、溶液から成長した磁石とフッ素含有膜との界面付近或いは界面より磁石からみて外側でフッ素濃度が最大であり、界面付近のフッ化物が酸素或いは炭素或いは原子番号18から86の元素を含有し、高耐腐食性,高電気抵抗、或いは高磁気特性のいずれかに寄与している。このフッ素含有膜には表1で示す添加元素や原子番号18から86の元素の少なくとも1種または2種以上が検出され、磁石内部のフッ素の拡散路付近に上記添加元素が多く含まれ、保磁力の増加,減磁曲線の角型性向上,残留磁束密度増加,エネルギー積増加,キュリー温度上昇,着磁磁界低減,保磁力や残留磁束密度の温度依存性低減,耐食性向上,比抵抗増加,熱減磁率低減,拡散温度低減,粒界幅の成長抑制,粒界部の非磁性層の成長抑制のいずれかの効果が認められる。上記添加元素の濃度差は透過電子顕微鏡のEDX(エネルギー分散X線)プロファイル、或いはEPMA分析,オージェ分析などで焼結ブロックを表面側から内部に切断した試料について分析することで確認できる。フッ素原子の近傍(フッ素原子の偏析位置から5000nm以内、好ましくは1000nm以内)に溶液中に添加された原子番号18から86の元素が偏析していることが透過電子顕微鏡のEDXやEELSにより分析できる。フッ素原子の近傍に偏析している添加元素とフッ素原子の偏析位置から2000nm以上離れた位置に存在する添加元素との比率は磁石表面から100μm以上内部の位置で1.01から1000であり好ましくは2以上である。磁石表面では前記比率は2以上である。前記添加元素は粒界に沿って連続的に偏析している部分と不連続に偏析している部分のどちらの状態も存在し、必ずしも粒界全体に偏析しているわけではないが、磁石の中心側では不連続になり易い。また添加元素の一部は偏析せずに母相に平均的に混入する。原子番号18から86の添加元素は焼結磁石の表面から内部にかけて母相内に拡散した割合或いはフッ素偏析位置近傍に偏析している濃度が減少する傾向があり、この濃度分布のために磁石内部よりも表面に近い方で保磁力が高い傾向を示す。前記磁気特性改善効果は、焼結磁石ブロックだけでなくNdFeB系磁性粉やSmCo系磁粉或いはFe系磁粉表面に表1で示す溶液を用いてフッ素及び添加元素を含む膜を形成しても、拡散熱処理により硬磁気特性の改善や磁粉電気抵抗の増加などの効果が得られる。また、NdFeB粉を磁場中仮成形後の仮成形体に3族から11族の金属元素或いは2族,12族から16族のCとBを除く元素を含有する溶液を含浸して磁粉表面の一部に添加物及びフッ素を含む膜を形成後焼結したり、3族から11族の金属元素或いは2族,12族から16族のCとBを除く元素を含む溶液を使用して表面処理したNdFeB系粉と未処理NdFeB系粉を混合後磁場中仮成形後、焼結させることで焼結磁石を作製することが可能である。このような焼結磁石ではフッ素や溶液中添加元素などの溶液構成成分の濃度分布は平均的に均一であるが、フッ素原子の拡散経路の近
傍で3族から11族の金属元素或いは2族,12族から16族のCとBを除く元素の濃度が平均的に高いことにより、磁気特性が向上する。このような3族から11族の金属元素或いは2族,12族から16族のCとBを除く元素を含む溶液から形成したフッ素を含む粒界相は、フッ素が平均で0.1から60原子%好ましくは1から20原子%偏析部で含有しており、添加元素の濃度により非磁性,強磁性或いは反強磁性的に振舞うことができ、強磁性粒と粒の磁気的な結合を強めたり弱めたりすることにより磁気特性を制御することが可能である。有機金属化合物を添加したフッ化物溶液を用いて溶液から硬質磁性材料を作成することが可能であり、組成として1〜20原子%の希土類元素、50〜95原子%のFe,Co,Ni,Mn,Crの少なくとも1元素、0.5〜15原子%のフッ素からなる20℃の保磁力0.5MA/mの磁性材料が得られる。上記組成の磁性材料に炭素や酸素及び3族から11族の金属元素或いは2族,12族から16族のCとBを除く元素が一部含有しても0.5MA/mは満足でき、各種磁気回路に適用でき溶液を使用するため加工工程は必ずしも必要ではない。
<実施例9>
Nd2Fe14Bを主相とするNdFeB圧縮成形体の表面に、100℃以上の温度で希土類フッ素化合物に成長可能なフッ素化合物DyF3クラスタ溶液を真空含浸塗布する。
塗布後の希土類フッ素化合物クラスタの平均膜厚は1〜10nmである。このようなクラスタはバルクフッ素化合物の結晶構造をもたず、フッ素と希土類元素Dyがある周期構造をもって結合している。NdFeB圧縮成形体は結晶粒径が平均1−20μmでありNd2Fe14Bを主相にした磁粉で構成され、上記含浸塗布後900℃の熱処理により焼結したNd2Fe14B磁石は、Dyが結晶粒界近傍に偏析し、保磁力増加,減磁曲線の角型性向上,磁石表面或いは粒界付近の高抵抗化,フッ素化合物による高キュリー点化,高強度化,高耐食性化,希土類使用量低減,着磁磁界低減などを確認できる。DyF3希土類フッ素化合物クラスタは含浸塗布乾燥過程で10nm以下1nm以上の粒子状に成長し、さらに加熱することで、前駆体或いは一部のフッ素化合物クラスタが焼結磁石の粒界や表面との反応や拡散が生じる。塗布乾燥加熱後のフッ素化合物粒子は、粒子同士が合体しない温度範囲であれば、粉砕プロセスを経ていないため、突起や鋭角のある表面になっておらず、粒子を透過電子顕微鏡で観察すると丸みを帯びた、卵形或いは円形に近く、粒子内或いは粒子表面にはクラックや、外形に不連続な凹凸は見られない。加熱によりこれらの粒子は焼結磁石表面で合体成長すると同時に、焼結磁石の粒界に沿って拡散或いは焼結磁石の構成元素と相互拡散を起こす。また、これらのクラスタ状の希土類フッ素化合物を磁粉の隙間に沿った表面に塗布するため、仮成形体内部の隙間のほぼ全面にDyF3が被覆され、塗布乾燥後焼結磁石表面の一部の結晶粒表面で希土類元素濃度が高い部分の一部はフッ化する。このフッ化相或いは酸素を含むフッ化相は母相と部分的に整合性を保ちながら成長し、このようなフッ化相或いは酸フッ化相の母相からみて外側にフッ素化合物相或いは酸フッ素化合物相が整合的に成長し、このフッ化相,フッ素化合物相或いは酸フッ素化合物相にDyが偏析することで保磁力が増加する。粒界に沿ってDyが濃縮された帯状の部分は幅0.1〜100nmの範囲が望ましく、この範囲であれば高残留磁束密度と高保磁力が満足できる。DyF2-3の前駆体を用い上記手法によってDyを粒界に沿って濃縮させた場合、得られる焼結磁石の磁気特性は残留磁束密度1.0から1.6T、保磁力20〜50kOeであり同等の磁気特性を有する希土類焼結磁石に含有するDy濃度は、従来のDy添加NdFeB系磁粉を用いる場合よりも低くできる。このようなDyFx(X=2−3)溶液を磁場中圧縮成形したNd2Fe14B粉仮成形体に真空含浸後焼結した場合、以下の組織的な特徴が認められる。1)異方性方向とそれに垂直な方向とでは酸フッ素Dy化合物の平均膜厚に差が認められ、含浸方向と異方性の方向が平行な場合は異方性方向に平行な方向で、酸フッ素Dy化合物の平均膜厚は厚く約10nmであるのに対し垂直方向では2〜7nmである。この場合異方性に平行方向では酸フッ素化合物のNdや酸素濃度が高く、層状酸フッ素Dy化合物の連続性が高い。また、焼結磁石の最表面には内部の酸フッ素化合物(Nd,Dy)(O,F)よりも大きな平均結晶粒径をもち、酸素よりもフッ素濃度が高い酸フッ素化合物(Nd,Dy)(O,F)或いはフッ素化合物(Nd,Dy)FX(X=1−3)で被覆され、焼結磁石のNd2Fe14Bと前記酸フッ素化合物(Nd,Dy)(O,F)の界面が平均10nm以上10μmの凹凸を有している。
<実施例10>
図7において、磁石モータの固定子2はティース4とコアバック5からなる固定子鉄心6と、ティース4間のスロット7内にはティース4を取り囲むように巻装された集中巻の電機子巻線8(三相巻線のU相巻線8a,V相巻線8b,W相巻線8cからなる)から構成される。ここで、磁石モータは4極6スロットであるから、スロットピッチは電気角で120度である。回転子はシャフト孔9あるいは回転子挿入孔10に挿入し、回転子シャフト100の内周側にフッ素の濃度勾配が図1から図6のいずれかを示す焼結磁石200を配置する。焼結磁石はアーク形状を有し、Dyなどの重希土類元素が粒界の一部に偏析することにより、耐熱性が保持されており、100℃から250℃で使用されるモータを製造できる。回転子内にアーク状磁石ではなく、複数の形状の磁石挿入部を形成して焼結磁石201を配置させた場合の回転子断面図を図8に示す。図8において、磁石モータの固定子2はティース4とコアバック5からなる固定子鉄心6と、ティース4間のスロット7内にはティース4を取り囲むように巻装された集中巻の電機子巻線8(三相巻線のU相巻線8a,V相巻線8b,W相巻線8cからなる)から構成され、磁石モータは4極6スロットであるから、スロットピッチは電気角で120度である。回転子はシャフト孔9あるいは回転子挿入孔10に挿入し、回転子シャフト100の内周側にフッ素の濃度勾配が図1から図6のいずれかを示す複数の形状の焼結磁石201を配置する焼結磁石は角とり加工を施した立方体形状を有し、Dyなどの重希土類元素が粒界の一部に偏析することにより、保磁力及び耐熱性,耐食性が保持されている。磁石配置からリラクタンストルクが発現でき、フッ素の偏析が焼結磁石201の粒界に連続して形成することにより、保磁力の増加及び比抵抗の増加が達成できることから、モータ損失を低減することが可能である。Dyの偏析により、偏析しない場合に比べDy使用量が削減でき、磁石の残留磁束密度が増加するためにトルク向上に繋がる。
<実施例11>
図9において、固定子に珪素鋼板(あるいは電磁鋼板)を使用し、珪素鋼板を打ち抜いた積層体を固定子鉄心6に用いた。回転子には外周側焼結磁石202及び内周側焼結磁石203を配置させた。焼結磁石202,203は磁場中で異方性を付加した異方性磁石であり、外周側焼結磁石202の方が磁石全体のフッ素含有量が高い。フッ素含有量が高くなることにより、粒界部のフッ素濃度が高く、希土類元素の粒界近傍への偏析も進行する。偏析により高保磁力と高残留磁束密度が両立でき、モータの温度特性が高温側でも保持される。焼結磁石201,203はどちらもフッ化物溶液処理工程を用いて作製でき、3次元形状も可能である。粒界におけるフッ素濃度が希土類元素濃度よりも原子比率で高い場合には、焼結磁石の渦電流損失が低減されるため、モータ損失の低減に寄与できる。磁石の着磁方向とは逆方向の磁界の大きさは、回転子の外周側で大きくなるためフッ素を多く含有する焼結磁石を外周側に配置することが有効である。
<実施例12>
回転子の1局ごとの断面構造を図10〜図13に示す。これらの図はリラクタンストルク及び磁石トルクを利用している回転子101であって、リラクタンストルクのために磁石を配置しない空間104が設けられている。磁石が挿入される位置はあらかじめ打ち抜きなどの方法で積層鋼板に穴が設けられており、それが磁石挿入孔102となる。この磁石挿入孔102に焼結磁石103を挿入することで磁石回転子を作製できる。焼結磁石103はフッ素が焼結磁石の粒界の一部に偏析した磁石であり、保磁力10kOe以上,残留磁束密度0.6〜1.5Tの特性を示している。図11では磁石挿入孔102の中に回転子の軸方向に垂直方向にフッ素濃度が異なる焼結磁石であり、高フッ素濃度の焼結磁石106と低フッ素濃度の焼結磁石105から構成されている。このような焼結磁石は、フッ素を含む溶液を磁石の片側の面に塗布後拡散させることにより作製可能である。フッ素濃度の比(最大/最小濃度比)は平均して2−10000であり、フッ素とともに金属元素を偏析させることにより、高フッ素濃度の焼結磁石106の保磁力が増加する。上記焼結磁石はフッ素濃度が高い高保磁力材とフッ素濃度が低い高残留磁束密度材から構成される結果、回転子は動作時の逆磁界に対する減磁耐力が高くかつ高トルク特性を実現でき、HEVモータなどに適している。図12は磁石挿入孔102の中に回転子の軸方向に垂直方向に成形された仮成形体をフッ素系含浸材で含浸後焼結した磁石であり、その焼結磁石は回転子の外周側に含浸焼結磁石106を、内周側に未含浸焼結磁石105を配置させるように同一金型を使用して作製した仮成形体に一部の表面からフッ素を含む溶液を含浸後、乾燥,焼結したものである。この回転子は動作時の逆磁界に対する減磁耐力が高くかつ高トルク特性を実現でき、HEVモータなどに適している。
図13は磁石挿入孔102の中に回転子の軸方向の垂直方向に異方化された成形体の外周側角部をフッ素系含浸材で含浸後焼結した磁石であり、その焼結磁石は回転子の外周側角部に含浸焼結磁石106を、それ以外に未含浸焼結磁石105を配置させるように同一金型を使用して作製した仮成形体に一部の表面からフッ素を含む溶液を含浸後、乾燥,焼結したものである。この回転子は動作時の逆磁界に対する減磁耐力が高く、フッ素系含浸液の使用量が少なく、低コストを実現でき、HEVモータなどに適している。なお、磁石の角からフッ素を含む溶液を含浸させる時に、Dyを含有した溶液を使用し、フッ素及びDyを焼結磁石の粒界近傍に偏析させ、保磁力を増加させることが可能であるが、溶液を磁石表面の一部(全表面積の50%−0.1%)に浸漬あるいは塗布することにより、任意の部分(円形,円弧状,矩形など)を高保磁力化することが可能であり、図13のような磁石の角の一部を高保磁力化でき減磁耐力を高めることが可能である。
焼結磁石断面の濃度分布の一例。 焼結磁石断面の濃度分布の一例。 焼結磁石断面の濃度分布の一例。 焼結磁石断面の濃度分布の一例。 焼結磁石断面の濃度分布の一例。 焼結磁石断面の濃度分布の一例。 磁石モータ断面の一例。 磁石モータ断面の一例。 磁石モータ断面の一例。 回転子の磁石配置の一例。 回転子の磁石配置の一例。 回転子の磁石配置の一例。 回転子の磁石配置の一例。

Claims (13)

  1. 鉄を主成分とする強磁性材料の結晶粒内部或いは粒界部の一部に、アルカリ金属元素,アルカリ土類金属元素或いは希土類元素を少なくとも1種含むフッ素化合物層又は酸フッ素化合物層が形成され、
    最表面に炭素を含有する酸フッ素化合物或いはフッ素化合物が層状に形成され、
    前記フッ素化合物層或いは酸フッ素化合物層が炭素の濃度勾配を有し、
    前記酸フッ素化合物層が、軽希土類元素及び重希土類元素をそれぞれ少なくとも1種ずつ含有し、かつ、
    前記重希土類元素の濃度が前記軽希土類元素濃度よりも低い焼結磁石を用いることを特徴とする回転機。
  2. 鉄及び希土類元素を主成分とする強磁性材料の結晶粒内部或いは粒界部の一部に、アルカリ金属元素,アルカリ土類金属元素或いは希土類元素を少なくとも1種含むフッ素化合物層又は酸フッ素化合物層が形成され、
    前記酸フッ素化合物層或いはフッ素化合物層が、炭素を含有し、
    前記酸フッ素化合物層或いはフッ素化合物層の最表面に存在する前記酸フッ素化合物或いはフッ素化合物の平均結晶粒径が、内部の前記酸フッ素化合物の平均結晶粒径よりも、大きい焼結磁石を用いることを特徴とする回転機。
  3. 前記酸フッ素化合物層或いはフッ素化合物層の平均体積が、異方性に平行方向と垂直方向とで異なることを特徴とする請求項2に記載の回転機。
  4. 前記焼結磁石の異方性に平行方向と垂直方向とでフッ素化合物層或いは酸フッ素化合物層の濃度,膜厚又は連続性に差があることを特徴とする請求項2に記載の回転機。
  5. 前記焼結磁石の最表面が、酸素濃度よりもフッ素濃度が高い酸フッ素化合物或いはフッ素化合物で被覆され、
    前記焼結磁石の主相と前記酸フッ素化合物の界面が平均10nm以上10μm以下の凹凸を有していることを特徴とする請求項2に記載の回転機。
  6. 最表面の前記酸フッ素化合物或いはフッ素化合物の粒界付近に酸化物が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転機。
  7. 前記フッ素化合物,前記酸フッ素化合物又は前記炭素を含む酸フッ素化合物が光透過性のある溶液を含浸することにより形成される希土類磁石を用いることを特徴とする請求項1に記載の回転機。
  8. 固定子鉄心と固定子巻線とを有する固定子と、
    前記固定子との間に空隙を介して、回転自在に配置された回転子とを有し、
    前記回転子は、多数のスロットと、前記スロット内に埋設した少なくとも1つの永久磁石とを備えており、
    該永久磁石は、界磁極を構成しており、
    前記永久磁石として、
    鉄を主成分とする強磁性材料の結晶粒内部或いは粒界部の一部に、アルカリ金属元素,アルカリ土類金属元素或いは希土類元素を少なくとも1種含むフッ素化合物層又は酸フッ素化合物層が形成され、
    最表面に炭素を含有する酸フッ素化合物或いはフッ素化合物が層状に形成され、
    前記フッ素化合物層或いは酸フッ素化合物層が炭素の濃度勾配を有し、
    前記酸フッ素化合物層が、軽希土類元素及び重希土類元素をそれぞれ少なくとも1種ずつ含有し、かつ、
    前記重希土類元素の濃度が前記軽希土類元素濃度よりも低い焼結磁石を用いることを特徴とする回転機。
  9. 前記酸フッ素化合物層或いはフッ素化合物層の平均体積が、異方性に平行方向と垂直方向とで異なることを特徴とする請求項8に記載の回転機。
  10. 前記焼結磁石の異方性に平行方向と垂直方向とでフッ素化合物層或いは酸フッ素化合物層の濃度,膜厚又は連続性に差があることを特徴とする請求項8に記載の回転機。
  11. 前記焼結磁石の最表面が、酸素濃度よりもフッ素濃度が高い酸フッ素化合物或いはフッ素化合物で被覆され、
    前記焼結磁石の主相と前記酸フッ素化合物の界面が平均10nm以上10μm以下の凹凸を有していることを特徴とする請求項8に記載の回転機。
  12. 最表面の前記酸フッ素化合物或いはフッ素化合物の粒界付近に酸化物が形成されていることを特徴とする請求項8に記載の回転機。
  13. 前記フッ素化合物,前記酸フッ素化合物又は前記炭素を含む酸フッ素化合物が光透過性のある溶液を含浸することにより形成される希土類磁石を用いることを特徴とする請求項8に記載の回転機。
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