JP2009178274A - 吸収性物品 - Google Patents

Abstract

【課題】フィット性に優れると共に、経血等の排泄物の横漏れを確実に防止し得る吸収性物品を提供すること。
【解決手段】表面層と、裏面層と、縦長状の吸収体４と、一対の防漏壁５，５と、を備えた縦長状の吸収性物品１であって、一対の防漏壁５，５は、表面層から起立する基壁部５０と、基壁部５０の上端部近傍から幅方向外方に延出して形成されると共に複数の第１弾性部材５１ｂが吸収性物品１の長手方向に沿うように配設された第１延出部５１と、第１延出部５１よりも下方側に配置され、基壁部５０における上端部近傍から幅方向外方に延出すると共に複数の第２弾性部材５２ｂが吸収性物品１の長手方向に沿うように伸張状態で配設された第２延出部５２とを有しており、第２延出部５２の剛性は、第１延出部５１の剛性よりも大きく構成されている。
【選択図】図３

Description

本発明は、生理用ナプキン、使い捨ておむつ、失禁パッド等の防漏壁を備えた吸収性物品に関する。

従来、基壁部から両側に張り出した張り出し部を有するＴ字型の防漏壁を吸収体の側縁よりも外方に設けた吸収性物品が知られている（特許文献１参照）。特許文献１記載の吸収性物品は、Ｔ字型の防漏壁を着用者の身体に面で当接させて排泄物の漏れを防止しようとするものである。
しかし、特許文献１記載の吸収性物品においては、基壁部から内方へ張り出した張り出し部によって吸収性物品の吸収面が覆われてしまい、経血等の排泄物の吸収を阻害してしまうという問題があった。
一方、特許文献２には、基壁部及び該基壁部から外側に張り出す複数の張り出し部を有する防漏壁を有する吸収性物品が提案されている。
特許文献２記載の吸収性物品によれば、複数の張り出し部が外側に張り出すように形成されているため、張り出し部によって吸収面が覆われて液体の吸収を阻害することは防止できるが、複数の張り出し部それぞれが着用者の身体に当接しにくく、フィット性が十分とはいえないものであった。
特開平１−６８５０３号公報 特開２０００−１４０００９号公報

従って、本発明は、防漏壁を備えた吸収性物品において、フィット性に優れると共に、経血等の排泄物の横漏れを確実に防止し得る吸収性物品を提供することを目的とする。

本発明者らは、それぞれに弾性部材が配設された第１延出部及び第２延出部を有する防漏壁を備えた吸収性物品において、第１延出部の剛性と第２延出部の剛性とを異ならせ、且つ第１延出部に配設された弾性部材の張力と第２延出部に配設された弾性部材の張力とを異ならせることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。

（１） 表面シートを含む表面層と、裏面シートを含む裏面層と、これら両者間に配置された縦長状の吸収体を含む吸収層と、該吸収体の両側縁近傍に該吸収体の長手方向に沿って延びるように設けられた一対の防漏壁と、を備えた縦長状の吸収性物品であって、前記一対の防漏壁それぞれは、前記表面層から該吸収性物品の厚さ方向に起立する基壁部と、前記基壁部における起立方向の端部である上端部近傍から該吸収性物品の幅方向外方に延出すると共に第１弾性部材が該吸収性物品の長手方向に沿うように伸張状態で配設された第１延出部と、前記第１延出部よりも前記厚さ方向の下方側に配置され、前記基壁部における前記上端部近傍から前記幅方向外方に延出すると共に第２弾性部材が該吸収性物品の長手方向に沿うように伸張状態で配設された第２延出部と、を有しており、前記第２延出部の剛性は、前記第１延出部の剛性よりも大きく構成されている吸収性物品。

（２） 前記第１延出部の収縮力は、前記第２延出部の収縮力よりも大きくなるように構成されている（１）記載の吸収性物品。

（３） 前記第１延出部は、該第１延出部における前記長手方向の一方側である前方側に形成され前記表面層に接合される第１前方接合部と、該第１延出部における前記長手方向の他方側である後方側に形成され前記表面層に接合される第１後方接合部と、を有し、前記第２延出部は、該第２延出部における前記長手方向の一方側である前方側に形成され前記表面層に接合される第２前方接合部と、該第２延出部における前記長手方向の他方側である後方側に形成され前記表面層に接合される第２後方接合部と、を有し、前記第２前方接合部と前記第２後方接合部との距離は、前記第１前方接合部と前記第１後方接合部との距離よりも短くなるように構成されている（１）又は（２）記載の吸収性物品。

（４） 前記表面シートの肌当接面側に、該吸収性物品の長手方向に沿うように配置される縦長状のトップ吸収体を更に備える（１）から（３）のいずれかに記載の吸収性物品。

（５） 前記防漏壁は、シート部材と、前記第１弾性部材及び前記第２弾性部材とを有して構成され、前記シート部材は、該シート部材が折り返されて形成された２層構造を有しており、前記第１弾性部材及び前記第２弾性部材は、前記２層構造における層間に挟みこまれるように配置されており、前記第２延出部は、前記層間に前記第２弾性部材が配置された前記シート部材が折り重ねられて形成されている（１）〜（４）のいずれかに記載の吸収性物品。

（６） 前記第２弾性部材は、２層構造を有する前記シート部材が折り重ねられて形成された前記第２延出部における非肌当接面側に位置する前記シート部材の前記層間に配置されている（５）記載の吸収性物品。

（７） 前記第２延出部は、該第２延出部の幅が前記第１延出部の幅よりも広く形成されている（１）〜（６）のいずれかに記載の吸収性物品。

（８） 前記第２延出部は、前記第１延出部とは異なる色彩を有する（１）〜（７）のいずれかに記載の吸収性物品。

（９） 前記第２延出部における延出方向の端部である第２延出端が前記第１延出部における延出方向の端部である第１延出端よりも上方に位置する（１）〜（８）のいずれかに記載の吸収性物品。

（１０） 前記第２延出部における延出方向の端部である第２延出端には中空部が形成されている（１）〜（９）のいずれかに記載の吸収性物品。

本発明によれば、フィット性に優れると共に、経血等の排泄物の横漏れを確実に防止し得る吸収性物品を提供することができる。

以下、本発明の吸収性物品を、その好ましい一実施形態である第１実施形態に基づいて図面を参照しながら説明する。
第１実施形態は、本発明を生理用ナプキンに適用したものである。

第１実施形態の生理用ナプキン１は、図１〜図３に示すように縦長の形状を有しており、表面層としての液透過性の表面シート２と、裏面層としての液不透過性の裏面シート３と、これら両者間に介在配置される液保持性の吸収層としての吸収体４とを具備する。生理用ナプキン１の表面シート２側における長手方向の両側部には、一対の防漏壁５，５が配されている。一対の防漏壁５，５は、図３に示すように、吸収体４の側縁近傍において、表面層から生理用ナプキン１の厚さ方向に起立している。

表面層とは、生理用ナプキン１の着用時に着用者の肌に当接する側の面である肌当接面を構成する層であり、第１実施形態においては、表面層は、図３に示すように、表面シート２及びシート部材８を主体として構成されている。また、表面層には、表面シート２と吸収体４との間に配されるセカンドシート（図示せず）も含まれる。
裏面層とは、生理用ナプキン１の着用時に肌当接面と反対側に位置する面である非肌当接面を構成する層であり、第１実施形態においては、裏面層は裏面シート３を主体として構成されている。
吸収層は、吸収体４及び該吸収体４を被覆するコアラップ材（図示せず）等を含むものである。

生理用ナプキン１は、図２に示すように、その着用時に着用者の排泄部に対向する部位である排泄部対向部Ａと、着用時に排泄部対向部Ａよりも着用者の腹側に配される前方部Ｂと、着用時に排泄部対向部Ａよりも背側に配される後方部Ｃとを有している。

表面シート２は、図２及び図３に示すように、吸収体４の上面の全域を被覆している。裏面シート３は、吸収体４の下面の全域を被覆している。裏面シート３は、排泄部対向部Ａにおいて吸収体４の側縁から幅方向外方に延出して一対のウイング６，６の一部を形成している。また、排泄部対向部Ａにおいては、後述する一対の防漏壁５，５を形成するシート部材８が吸収体４の側縁それぞれから幅方向外方に延出して、一対のウイング６，６の一部を形成している。即ち、一対のウイング６，６は、吸収体４の側縁から延出したシート部材８と裏面シート３とが接合されて形成されている。表面シート２及び裏面シート３は、それぞれ吸収体４の前後端から延出し、その延出部分において互いに接合されている。

一対のウイング６，６における裏面シート３の下面側には、図３及び図４に示すように、それぞれウイング粘着部９，９が設けられている。また、生理用ナプキン１の本体部分（吸収体４が配されている領域）における裏面シート３の下面側には、本体粘着部１０が設けられている。本体粘着部１０は、生理用ナプキン１の長手方向に延びるように２列設けられている。
ウイング粘着部９及び本体粘着部１０は、裏面シート３の下面側にホットメルト粘着材を塗布することにより形成されている。

吸収体４の表面シート２側には、図３に示すように、吸収体４と表面シート２とが一体的に圧密化されて形成された防漏溝７が設けられている。上述した一対の防漏壁５，５は、図２に示すように、防漏溝７の幅方向外方に位置している。防漏溝７は、生理用ナプキン１の縦中心線（図示せず）にほぼ対称な形状となっている。本実施形態においては、防漏溝７は、前方部Ｂから後方部Ｃに亘って設けられた第１防漏溝７ａ及び後方部Ｃに設けられた第２防漏溝７ｂからなる。第１防漏溝７ａは、縦長の環状形状を有している。また、第１防漏溝７ａは、図２に示すように、排泄部対向部Ａにおいて、幅方向外方に凸状に湾曲した形状を有している。第２防漏溝７ｂは、第１防漏溝７ａの外方に設けられており、後方に向けて凸に湾曲した形状を有している。第２防漏溝７ｂの前端は、それぞれ第１防漏溝７ａの近傍に位置しているが、第１防漏溝７ａとは連結されていない。

生理用ナプキン１の両側部に沿うように配されている一対の防漏壁５，５は、図３及び図４に示すように、表面層から起立する基壁部５０と、基壁部５０における起立方向の端部である上端部５０ａ近傍から生理用ナプキン１の幅方向外方に延出して形成される第１延出部５１と、第１延出部５１よりも生理用ナプキン１の厚さ方向における下方側に配置され、基壁部５０における上端部５０ａ近傍から幅方向外方に延出する第２延出部５２とを有している。

第１実施形態においては、第２延出部５２は、図３及び図４に示すように、その幅が第１延出部５１の幅よりも広く構成されている。また、第２延出部５２における延出方向の端部である第２延出端５２ａは、第１延出部５１における延出方向の端部である第１延出端５１ａよりも上方に位置している。

一対の防漏壁５，５は、図３及び図４に示すように、シート部材８と、複数の第１弾性部材５１ｂ及び複数の第２弾性部材５２ｂとにより構成されている。また、シート部材８は、該シート部材８が折り返されて形成された２層構造を有しており、複数の第１弾性部材５１ｂ及び複数の第２弾性部材５２ｂは、２層構造における層間に挟みこまれるように配置されている。
具体的には、一対の防漏壁５，５は、１枚の帯状のシート部材８を、複数の第１弾性部材５１ｂ及び複数の第２弾性部材５２ｂが内包されるように幅方向に折り返すと共に、折り返されたシート部材８を、第１延出部５１、第２延出部５２及び基壁部５０を形成するように更に折り畳んで構成されている。

更に詳述すると、第１延出部５１は、折り返されたシート部材８における折り返し端側に形成されている。第１延出部５１には、複数の第１弾性部材５１ｂが２層構造を有するシート部材８における層間において、長手方向に沿うように、且つ幅方向に所定間隔をおいて伸張状態で配設されている。第１実施形態においては、第１弾性部材５１ｂは、３本配設されている。

第２延出部５２は、折り返された２層構造のシート部材８における第１延出部５１に連続して形成されている。第２延出部５２には、第１延出部５１と同様に、複数の第２弾性部材５２ｂが２層構造を有するシート部材８における層間に、長手方向に沿うように、且つ幅方向に所定間隔をおいて伸張状態で配設されている。第２延出部５２は、２層構造を有するシート部材８が更に折り重ねられると共に、折り重ねられた部分においてシート部材８が互いに接合されて形成されている。即ち、第２延出部５２は、図４に示すように、シート部材８が４層積層された４層構造を有している。
このように、第２延出部５２は、シート部材８が４層積層されていることにより、シート部材８が２層積層された第１延出部５１よりも剛性が大きくなるように構成されている。

第１実施形態においては、複数の第２弾性部材５２ｂは、折り重ねられた４層構造のシート部材８における下層に位置する２層の層間に３本配置されている。即ち、第１実施形態においては、複数の第２弾性部材５２ｂは、２層構造のシート部材８が更に折り重ねられて形成された第２延出部５２における非肌当接面側に位置する２層構造のシート部材８の層間に配置されている。また、第２延出部５２における延出方向の端部である第２延出端５２ａには、図４に示すように、中空部５２ｃが形成されている。

基壁部５０は、折り返された２層構造のシート部材８における折り返し端と反対側の端部側に、第２延出部５２に連続して形成される。基壁部５０には、基壁部５０と第２延出部５２との境界近傍、即ち、基壁部５０の上端部５０ａ近傍に、１本の基壁部弾性部材５０ｂが配置されている。
基壁部５０の基端は、図４に示すように、２層構造のシート部材８が吸収体４の側縁近傍において、表面シート２を介して裏面シート３と接合されている。シート部材８における折り返し端と反対側の端部は、吸収体４の幅方向外方に延出して裏面シート３と接合されている。

第１実施形態の生理用ナプキン１は、伸張状態でシート部材８に配設された複数の第１弾性部材５１ｂ及び複数の第２弾性部材５２ｂの力により、自然状態においては、長手方向において、肌当接面側に凹状に湾曲した形状を有する。尚、自然状態とは、生理用ナプキン１に重力以外の外力が働いていない状態をいう。

第１実施形態においては、第１弾性部材５１ｂは、第２弾性部材５２ｂよりも高い伸張率でシート部材８に配設されている。即ち、第１延出部５１の収縮力は、第２延出部５２の収縮力よりも大きくなされており、自然状態においては、第１延出部５１は、第２延出部５２に比して、より縮んだ状態となっている。
具体的には、第１弾性部材５１ｂは、好ましくは１１０〜２４０％に、更に好ましくは１２０〜２００％に伸張させた状態でシート部材８に配設される。また、第２弾性部材５２ｂは、好ましくは１０５〜２００％に、更に好ましくは１１５〜１８０％に伸張させた状態でシート部材８に配設される。
尚、第１実施形態においては、第２延出部５２の剛性が第１延出部５１の剛性よりも大きく構成されているため、第２弾性部材５２ｂと第１弾性部材５１ｂとの両者を同じ伸張率でシート部材８に配設した場合においても第１延出部５１の収縮力は、第２延出部５２の収縮力よりも大きくなされる。

第１延出部５１の幅は、着用者の身体とのフィット性を確保する観点から、好ましくは３〜２０ｍｍである。また、第２延出部５２の幅は、第１延出部５１よりも幅方向外方において第２延出部５２を着用者の身体と好適にフィットさせる観点から、好ましくは５〜３０ｍｍである。基壁部５０の高さ（基壁部５０を伸ばした状態の長さ）は、横漏れ防止効果を十分に得る観点から、好ましくは５〜３０ｍｍである。

一対の防漏壁５，５は、図２及び図５に示すように、生理用ナプキン１の前方部Ｂ及び後方部Ｃにおいて、第１延出部５１及び第２延出部５２それぞれの非肌当接面側が表面層に接合されている。具体的には、第１延出部５１は、前方部Ｂにおいて表面層と接合される第１前方接合部５３と、後方部Ｃにおいて表面層と接合される第１後方接合部５４とを有している。また、第２延出部５２は、前方部Ｂにおいて表面層に接合される第２前方接合部５５と、後方部Ｃにおいて表面層に接合される第２後方接合部５６とを有している。
そして、生理用ナプキン１の自然状態では、第１延出部５１は第１前方接合部５３と第１後方接合部５４との間で起立し、第２延出部５２は第２前方接合部５５と第２後方接合部５６との間で起立する。また、起立状態においては、排泄部対向部Ａにおける第１延出部５１の基端（基壁部５０と第１延出部５１との連結部）及び第２延出部５２の基端（基壁部５０と第２延出部５２との連結部）は、前方部Ｂ及び後方部Ｃにおける第１延出部５１の基端及び第２延出部５２の基端よりも生理用ナプキン１の幅方向外方に位置している。
第１実施形態においては、第２前方接合部５５と第２後方接合部５６との距離Ｌ２は、第１前方接合部５３と第１後方接合部５４との距離Ｌ１よりも短くなるように構成されている。
そのため、一対の防漏壁５，５においては、第２延出部５２が起立している部分の長さは、第１延出部５１が起立している部分の長さよりも短くなされている。
また、第２前方接合部５５は、図２に示すように、第１前方接合部５３に比して一対のウイング６，６の近傍にまで延びるように設けられている。

次に、第１実施形態の生理用ナプキン１の構成材料について説明する。
表面シート２としては、例えば有孔又は無孔の不織布や多孔性プラスティックシートを用いることができる。裏面シート３としては、例えば、疎水性の不織布、不透水性のプラスティックフィルム、不織布と不透水性プラスティックフィルムとのラミネートシートを用いることができる。また、裏面シート３として、耐水性の高いメルトブローン不織布や強度の強いスパンボンド不織布で挟んだＳＭＳ不織布を用いることもできる。

吸収体４としては、例えば、フラッフ状パルプやエアレイド不織布と、高吸収ポリマーとからなるものを用いることができる。
吸収体４に用いられるフラッフ状パルプとしては、例えば、化学パルプ、セルロース繊維、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維が挙げられる。エアレイド不織布としては、パルプと合成繊維とを熱融着させ、又はバインダーで固着させたものが挙げられる。高吸収ポリマーとしては、デンプン系、アクリル酸系、アミノ酸系の粒子状又は繊維状のポリマーが挙げられる。

シート部材８としては、撥水性又は疎水性を有するものが好ましく用いられ、具体的には、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、サーマルボンド不織布、メルトブローン不織布、ニードルパンチ不織布、エアースルー不織布等の各種不織布を用いることができる。不織布を構成する素材繊維としてはポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。

第１弾性部材５１ｂ、第２弾性部材５２ｂ及び基壁部弾性部材５０ｂとしては、細長く、伸び縮みする材料であればよく、天然ゴムからなる糸状ゴム、平ゴム等や、ウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体（ＥＶＡ）、ＰＥ等の熱可塑性エラストマーを用いることができる。更に具体的には、熱可塑性エラストマーとしては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−αオレフィン共重合体等を糸状に成形するか又はフィルムに成型し細幅にスリットしたものが挙げられる。

上述した構成を有する第１実施形態の生理用ナプキン１によれば、基壁部５０の上端部５０ａ近傍からそれぞれ幅方向外方に延出する第１延出部５１及び第２延出部５２を有するため、経血等の排泄物の横漏れを確実に防止できると共に、第２延出部５２の剛性を第１延出部５１の剛性よりも大きく構成することにより生理用ナプキン１の身体へのフィット性が向上する。
生理用ナプキン１の着用時には、防漏壁５において第２延出部５２よりも上方に配置され、第２延出部５２よりも幅が狭く構成されている第１延出部５１は、着用者の排泄部近傍に当接する。一方、第１延出部５１の下方に配置され、第１延出部５１よりも幅が広く構成されている第２延出部５２は、着用者の鼠径部に近い部分に当接する。
ここで、第１延出部５１は、その剛性を小さくすることにより、排泄部近傍において身体の細かな動きに対して柔軟に追従可能となると共に、第２延出部５２は、その剛性を第１延出部５１よりも大きく構成することにより、より強い力が加わる鼠径部近傍において、第２延出部５２が過剰に動いて排泄物の横漏れが生じることを防止できる。

また、第２延出部５２における第２延出端５２ａが第１延出部５１における第１延出端５１ａよりも上方に位置していることにより、生理用ナプキン１の着用時における第２延出部５２と着用者の身体との接触性がより向上し、第２延出部５２による排泄物の横漏れ防止効果が向上する。

また、第１延出部５１における収縮力を第２延出部５２における収縮力よりも大きく構成することにより、第１延出部５１が第２延出部５２よりも着用者の身体側に起立しやすくなり、生理用ナプキン１の着用時における第１延出部５１と着用者の身体とのフィット性が向上する。

また、第１延出部５１及び第２延出部５２は、前方部Ｂ及び後方部Ｃにおいて、それぞれが幅方向外方に延出した状態で、これらの非肌当接面側が表面層に接合されている。これにより、第１延出部５１及び第２延出部５２は、確実に生理用ナプキン１の幅方向外方に延出して、これらが幅方向内方に倒れて吸収層の表面を覆うことを防止できる。

また、第２前方接合部５５と第２後方接合部５６との距離Ｌ２が、第１前方接合部５３と第１後方接合部５４との距離Ｌ１よりも短くなるように構成されていることにより、第２延出部５２は、より生理用ナプキン１の幅方向外方に向けて延出しやすくなる。また、第１延出部５１における第１前方接合部５３及び第１後方接合部５４は、第２延出部５２に接合されているため、第２延出部５２が生理用ナプキン１の幅方向外方に向けて延出しやすくなることにより、第１延出部５１も生理用ナプキン１の幅方向外方に向けて延出しやすくなる。
また、第２前方接合部５５は、一対のウイング６，６の近傍にまで延びるように設けられているため、生理用ナプキン１の着用時に一対のウイング６，６を折り返す際の力が第２延出部５２に伝わりやすい。従って、第２延出部５２は、生理用ナプキン１の着用時により外側に開きやすくなり、また、着用後に生理用ナプキン１の幅方向外方から力を受けても倒れにくい。
また、一対の防漏壁５の起立状態においては、第１延出部５１の収縮力が第２延出部５２の収縮力よりも大きいため、第１延出部５１の収縮力が基壁部５０をほぼ直立に起立させ、更に排泄部対向部Ａにおける基壁部５０の基端は、第１前方接合部５３と第１後方接合部５４の幅方向内側の側縁よりも外側に位置しているため、基壁部５０の上端部５０ａ近傍は、第１前方接合部５３と第１後方接合部５４の幅方向内側の側縁よりも外側に位置することになる。このことにより防漏壁５は幅方向外側に膨出するような形状を維持しやすくなるため、吸収面が覆われることにより経血等の排泄物の吸収を阻害することを防止できる。

また、第１延出部５１を２層構造のシート部材８から構成すると共に、第２延出部５２を２層構造のシート部材８を更に折り返して４層構造として、第１延出部５１よりも剛性を大きく構成している。これにより、１枚のシート部材８を用いて第１実施形態の防漏壁５を形成することができ、生理用ナプキン１の生産性が向上する。
更に、複数の第２弾性部材５２ｂは、４層構造のシート部材８からなる第２延出部５２における非肌当接面側に位置する２層のシート部材８の層間に配置されている。つまり、第２延出部５２において肌当接面側に位置する２層のシート部材８の層間には第２弾性部材５２ｂは配設されていない。従って、第２延出部５２が着用者の身体に当接した際の肌触りが向上する。

また、第２延出部５２における第２延出端５２ａには中空部５２ｃが形成されているため、第２延出部５２と着用者の身体とのフィット性が更に向上する。

次に、本発明の吸収性物品の第２実施形態について図６〜図８を参照しながら説明する。第２実施形態については、上述した第１実施形態と異なる点を主に説明し、同様の点は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない点は、第１実施形態についての説明が適宜適用される。

第２実施形態の生理用ナプキン１は、表面シート２の肌当接面側に配置されるトップ吸収体４０を備えている点で第１実施形態と異なる他は、第１実施形態と同様の構成を有している。
トップ吸収体４０は縦長形状を有しており、図６〜図８に示すように、生理用ナプキン１の幅方向中央部における表面シート２の肌当接面側に、生理用ナプキン１の長手方向に沿うように配置されている。トップ吸収体４０は、その一方側の端部が生理用ナプキン１の前方部Ｂにおいて表面シート２に接合されて固定部４１を形成している。トップ吸収体４０における固定部と反対側の端部は自由端となっている。また、トップ吸収体４０における自由端側には、トップ吸収体４０を表面シート２に仮止め可能な仮止め部４２が設けられている。第２実施形態の生理用ナプキン１は、仮止め部４２を表面シート２の所望の部位に仮止めすることでトップ吸収体４０を着用者の排泄部に好適に当接させることが可能となっている。

第２実施形態の生理用ナプキン１によれば、第１実施形態と同様の効果を奏する他、表面シート２の肌当接面側に配置されたトップ吸収体４０が着用者の排泄部により密着するため、生理用ナプキン１による経血等の排泄物の吸収性がより向上する。

また、第２実施形態の生理用ナプキン１においては、表面シート２の肌当接面側にトップ吸収体４０を備えることにより、生理用ナプキン１における表面シート２と着用者の身体との間に距離が生じやすくなる。第２実施形態の生理用ナプキン１によれば、防漏壁５が基壁部５０とその上端部５０ａ近傍からそれぞれ幅方向外方に延出する第１延出部５１及び第２延出部５２を備えているため、表面シート２と着用者の身体との間に距離が生じた場合においても、第１延出部５１及び第２延出部５２が着用者の身体に好適に当接し、経血等の排泄物の横漏れを確実に防止できる。

本発明は、上述した実施形態に制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。

例えば、第２延出部５２は、第１延出部５１と異なる色彩を有するように構成してもよい。第２延出部５２の色彩と第１延出部５１との色彩を異ならせることにより、防漏壁５に経血等が付着した場合に、経血等が、第１延出部５１又は第２延出部５２の何れに付着したかを容易に判別でき、生理用ナプキン１の汚れのレベルを把握しやすくなる。
第２延出部５２の色彩と第１延出部５１との色彩を異ならせる方法としては、例えば、第２延出部５２に配置される複数の第２弾性部材５２ｂの色と第１延出部５１に配置される複数の第１弾性部材５１ｂの色とを異ならせることが挙げられる。

また、第１実施形態及び第２実施形態においては、第１弾性部材５１ｂの伸張率と第２弾性部材５２ｂの伸張率とを異ならせてシート部材８に配設することにより、第１延出部５１の収縮力を第２延出部５２の収縮力よりも大きくなしていたが、第１延出部５１に配設される第１弾性部材５１ｂの本数を第２延出部５２に配設される第２弾性部材５２ｂの本数よりも多くすることにより、第１延出部５１の収縮力を第２延出部５２の収縮力よりも大きくなしてもよい。また、第１延出部５１に配設される第１弾性部材５１ｂの太さを第２延出部５２に配設される第２弾性部材５２ｂの太さよりも太くすることにより、第１延出部５１の収縮力を第２延出部５２の収縮力よりも大きくなしてもよい。
また、第１実施形態及び第２実施形態においては、第２延出部５２は、第２前方接合部５５及び第２後方接合部５６において表面層に接合されていたが、更に一対のウイング６，６が設けられている排泄部対向部Ａにおいて表面層と接合される第２中央接合部（図示せず）を有していてもよい。第２延出部５２に第２中央接合部を設けることにより、生理用ナプキン１の着用時に一対のウイング６，６を折り返す際の力が第２延出部５２により伝わりやすくなる。そのため、第２延出部５２は、生理用ナプキン１の着用時により外側に開きやすくなり、また、着用後に生理用ナプキン１の幅方向外方から力を受けても倒れにくくなる。

また、第１実施形態及び第２実施形態においては、防漏壁５及びウイング６は、１枚のシート部材８により一体的に形成されているが、ウイング６は、防漏壁５を構成するシート部材８とは異なるシートから構成されていてもよい。

本発明の吸収性物品は、生理用ナプキンの他、失禁パッド、パンティライナー、使い捨ておむつ等であってもよい。

図１は、本発明の吸収性物品の第１実施形態としての生理用ナプキンの自然状態における斜視図である。 図２は、図１に示す生理用ナプキンを自然状態において、その表面シート側からみた平面図である。 図３は、図２におけるＸ−Ｘ線断面図である。 図４は、図３の部分拡大図である。 図５は、図２におけるＹ−Ｙ線断面図である。 図６は、本発明の吸収性物品の第２実施形態としての生理用ナプキン自然状態における斜視図である。 図７は、図６に示す生理用ナプキンを自然状態において、その表面シート側からみた平面図である。 図８は、図７におけるＸ−Ｘ線断面図である。

符号の説明

１ 生理用ナプキン
２ 表面シート
３ 裏面シート
４ 吸収体
５ 防漏壁
５０ 基壁部
５１ 第１延出部
５２ 第２延出部
５３ 第１前方接合部
５４ 第１後方接合部
５５ 第２前方接合部
５６ 第２後方接合部
６ ウイング
７ 防漏溝
８ シート部材
９ ウイング粘着部
１０ 本体粘着部

Claims (10)

1. 表面シートを含む表面層と、裏面シートを含む裏面層と、これら両者間に配置された縦長状の吸収体を含む吸収層と、該吸収体の両側縁近傍に該吸収体の長手方向に沿って延びるように設けられた一対の防漏壁と、を備えた縦長状の吸収性物品であって、
   前記一対の防漏壁それぞれは、
   前記表面層から該吸収性物品の厚さ方向に起立する基壁部と、
   前記基壁部における起立方向の端部である上端部近傍から該吸収性物品の幅方向外方に延出すると共に第１弾性部材が該吸収性物品の長手方向に沿うように伸張状態で配設された第１延出部と、
   前記第１延出部よりも前記厚さ方向の下方側に配置され、前記基壁部における前記上端部近傍から前記幅方向外方に延出すると共に第２弾性部材が該吸収性物品の長手方向に沿うように伸張状態で配設された第２延出部と、を有しており、
   前記第２延出部の剛性は、前記第１延出部の剛性よりも大きく構成されている吸収性物品。
2. 前記第１延出部の収縮力は、前記第２延出部の収縮力よりも大きくなるように構成されている請求項１記載の吸収性物品。
3. 前記第１延出部は、該第１延出部における前記長手方向の一方側である前方側に形成され前記表面層に接合される第１前方接合部と、該第１延出部における前記長手方向の他方側である後方側に形成され前記表面層に接合される第１後方接合部と、を有し、
   前記第２延出部は、該第２延出部における前記長手方向の一方側である前方側に形成され前記表面層に接合される第２前方接合部と、該第２延出部における前記長手方向の他方側である後方側に形成され前記表面層に接合される第２後方接合部と、を有し、
   前記第２前方接合部と前記第２後方接合部との距離は、前記第１前方接合部と前記第１後方接合部との距離よりも短くなるように構成されている請求項１又は２記載の吸収性物品。
4. 前記表面シートの肌当接面側に、該吸収性物品の長手方向に沿うように配置される縦長状のトップ吸収体を更に備える請求項１から３のいずれかに記載の吸収性物品。
5. 前記防漏壁は、シート部材と、前記第１弾性部材及び前記第２弾性部材とを有して構成され、
   前記シート部材は、該シート部材が折り返されて形成された２層構造を有しており、
   前記第１弾性部材及び前記第２弾性部材は、前記２層構造における層間に挟みこまれるように配置されており、
   前記第２延出部は、前記層間に前記第２弾性部材が配置された前記シート部材が折り重ねられて形成されている請求項１〜４のいずれかに記載の吸収性物品。
6. 前記第２弾性部材は、２層構造を有する前記シート部材が折り重ねられて形成された前記第２延出部における非肌当接面側に位置する前記シート部材の前記層間に配置されている請求項５記載の吸収性物品。
7. 前記第２延出部は、該第２延出部の幅が前記第１延出部の幅よりも広く形成されている請求項１〜６のいずれかに記載の吸収性物品。
8. 前記第２延出部は、前記第１延出部とは異なる色彩を有する請求項１〜７のいずれかに記載の吸収性物品。
9. 前記第２延出部における延出方向の端部である第２延出端が前記第１延出部における延出方向の端部である第１延出端よりも上方に位置する請求項１〜８のいずれかに記載の吸収性物品。
10. 前記第２延出部における延出方向の端部である第２延出端には中空部が形成されている請求項１〜９のいずれかに記載の吸収性物品。