JP2009170428A - 非水二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】電池の安全性、生産性を確保しつつ、より大電流での使用に耐え、より広い温度範囲での使用に耐えうる非水二次電池を得ること。
【解決手段】リチウムを吸蔵放出できる正極と負極およびリチウム塩を含む非水電解質を電池容器に収納してなる非水二次電池であって、該正極および/または負極を構成する合剤中の空隙率が10%以上、45%以下であり、該非水電解質として、合計15体積%以上90体積%未満のジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルからなる群から選ばれる少なくとも1種のエステル類および10体積%以上55体積%未満のエチレンカーボネートを少なくとも含有する混合溶媒に、濃度が0.6M以上1.5M以下となるようにLiPF6及びLiBF4を溶解した非水電解質を用いることを特徴とする非水二次電池。
【選択図】 なし
Description
非水二次電池の生産性、特に製造得率の悪い原因は電池内に内部短絡が発生することによる不良の寄与が大きい。セパレーター破壊による内部短絡の発生は、電池の充放電に伴って活物質が膨張、収縮するため、電極合剤が膨張、収縮することにによって起こる。これは、合剤中に一定の空間を確保することによって防止することができる。しかしこの方法によると、集電体・合剤間あるいは合剤中の活物質・導電剤間の導通が悪くなるため、電池の内部抵抗が上昇し、より大電流、低温での使用時において十分な放電容量を得ることができないという問題が生じた。
また、セパレーター破壊による内部短絡の発生は、電極表面の突起状の凹凸、電極の搬送から電池組立までの工程中に生じる電極表面の傷、部分的な脱落等による凹凸が原因となって、電池巻回時にセパレーターを直接破壊したり、巻回時の微妙な摺動や、圧力のむらと結びついてセパレーターを破壊することによっても生じているものと推定される。そこで本発明者らは、特願平7−174861号明細書に示したように、正極あるいは負極の両方、あるいはいずれかに保護層を設けることが有効であり、保護層の設置は製造得率を向上させるとともに、安全性をも向上させていることを見いだした。しかし、これらの保護層の設置によっても正極、負極の極板間距離が拡がるので電池の内部抵抗が上昇し、より大電流、低温での使用時において十分な放電容量を得ることができないという問題があった。
(1)リチウムを吸蔵放出できる正極と負極およびリチウム塩を含む非水電解質を電池容器に収納してなる非水二次電池であって、該正極および/または負極を構成する合剤中の空隙率が10%以上、45%以下であり、該非水電解質として、合計15体積%以上90体積%未満のジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルからなる群から選ばれる少なくとも1種のエステル類および10体積%以上55体積%未満のエチレンカーボネートを少なくとも含有する混合溶媒に、濃度が0.6M以上1.5M以下となるようにLiPF6及びLiBF4を溶解した非水電解質を用いることを特徴とする非水二次電池。
(2)該非水電解質がジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルからなる群から選ばれる少なくとも1種のエステル類およびエチレンカーボネート並びに、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、ジエチルカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とする上記(1)に記載の非水二次電池。
(3)該負極を構成する活物質が、周期律表第1族元素、第2族元素、第3族元素及びハロゲン元素の少なくとも1種を含む複合酸化物及び/又は複合カルコゲナイドを主体とすることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の非水二次電池。
(4)該正極を構成する合剤中の空隙率が18%以上35%以下であることを特徴とする上記(1)から(3)の何れかに記載の非水二次電池。
(5)該負極を構成する合剤中の空隙率が18%以上35%以下であることを特徴とする上記(1)から(4)の何れかに記載の非水二次電池。
(7)該非水電解質がジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルからなる群から選ばれる少なくとも1種のエステル類を合計30体積%以上90体積%未満含有することを特徴とする上記(1)から(6)の何れかに記載の非水二次電池。
(8)該非水電解質を構成する溶媒中にジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種のエステル類を含有することを特徴とする上記(1)から(7)の何れかに記載の非水二次電池。
(9)正極を構成する活物質が、リチウム含有遷移金属酸化物であることを特徴とする上記(1)から(8)の何れかに記載の非水二次電池。
本発明の非水電解質に用いられる混合溶媒は合計15体積%以上90体積%未満のジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、メトキシ酢酸メチル及びメトキシ酢酸エチルからなる群から選ばれる少なくとも1種のエステル類および10体積%以上55体積%未満のエチレンカーボネートを少なくとも含有する混合溶媒であり、好ましくは該非水電解質がジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルからなる群から選ばれる少なくとも1種のエステル類およびエチレンカーボネート並びに、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、ジエチルカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有するものである。これらを使用すると、正極および/または負極合剤中に10%以上、45%以下の空間を設けた場合に、生産性、安全性を確保しながら大放電電流、低温で十分な容量を得られることを見いだした。
またさらに生産性、安全性を良好にさせるべく正極および/または負極に保護層を設けた場合にも、大放電電流、低温下で十分な容量を確保できることを見いだした。これらは電解質の誘電率を大きく、低温下での液粘度を低くできることにより、高負荷での使用時、低温下での使用時、特に活物質・集電体間の導通が十分でない場合や、正極・負極の極板間が拡がった場合において、電解質中のリチウムイオンの移動、電子の授受が円滑に行われるためと推定される。
本発明において、電解質のリチウム塩濃度は0.6M以上1.5M以下である。
これら電解質を電池内に添加する量は特に限定されないが、正極活物質や負極活物質の量や電池のサイズによって必要量用いることができる。
本発明において、保護層は少なくとも1層からなり、同種または異種の複数層により構成されていてもよい。またこれらの保護層は実質的に導電性であっても絶縁性であってもよい。保護層の厚みは1μm以上40μm以下が好ましく、より好ましくは2μm以上30μm以下である。これらの保護層は、少なくとも水不溶性の粒子を含む。これらの粒子は導電性、絶縁性のいずれでもよく、有機、無機いずれのものでもよい。これらの粒子はアルカリ金属特にリチウムとの反応性が低いものが好ましい。これらの粒子の平均粒径は0.01μm以上20μm以下が好ましく、0.1μm以上15μm以下がより好ましい。
絶縁性の有機粒子としては、架橋されたラッテクスまたはフッ素樹脂の粉状体が好ましく、分解したり、皮膜を形成しないものが好ましい。より好ましいのはテフロンの微粉末である。
絶縁性の無機粒子としては金属、非金属元素の炭化物、珪化物、窒化物、硫化物、酸化物を挙げることができる。炭化物、珪化物、窒化物の中では、SiC、窒化アルミニウム(AlN)、BN、BPが絶縁性が高くかつ化学的に安定で好ましく、特にBeO、Be、BNを焼結助剤として用いたSiCが特に好ましい。
カルコゲナイドの中では、酸化物が好ましく、酸化あるいは還元されにくい酸化物が好ましい。これらの酸化物としては、Al2O3、BaO、BeO、CaO、K2O、Na2O、InO、MgO、SiO2、SrO、ZrO4、TiO2が好ましい。これらの酸化物は単独であっても、複合酸化物であってもよい。
保護層は、正極、負極のいずれか一方に塗設しても、正極、負極の両者に塗設してもよい。また正極や負極が、集電体の両側に合剤を塗設して形成されている場合、保護層はその両側に塗設してもよいし、片面だけに塗設する形態であってもよい。ただし、セパレーターを介して対向する正極と負極のいずれか一方には塗設されている必要がある。
保護層の塗布方式は、集電体上にリチウムを可逆的に吸蔵放出可能な材料を含む合剤を塗設した後に、保護層を順次塗設する逐次方式でもよいし、合剤層と保護層を同時に塗設する同時塗布方式であってもよい。
正極あるいは負極合剤には、それぞれ正極活物質あるいは負極材料のほか、それぞれに導電剤、結着剤、分散剤、フィラー、イオン導電剤、圧力増強剤や各種添加剤を含むことができる。下塗り層や保護層は、結着剤や導電剤粒子、導電性を持たない粒子などを含む事ができる。
本発明で用いられる正極活物質は、軽金属イオンを吸蔵・放出できる化合物であればよいが、特に、遷移金属酸化物や遷移金属カルコゲナイドから選ばれる。特に遷移金属酸化物が好ましく、更にリチウムを含む遷移金属酸化物が特に好ましい。
リチウム化合物や遷移金属化合物の他に、一般に、Ca2+のようにイオン伝導性を高める化合物、あるいは、P、B、Siを含むような非晶質網目形成剤(例えば、P2 O5 、Li3 PO4 、H3 BO3 、B2 O3 、SiO2 など)と混合して焼成しても良い。また、Na、K、Mgなどのアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンおよび/またはSi、Sn、Al、Ga、Ge、Ce、In、Biなどを含む化合物と混合して焼成しても良い。リチウムを含む遷移金属酸化物は、例えば、リチウム化合物、遷移金属化合物の混合物を焼成することにより合成することができる。
Lix CoO2 、Lix NiO2 、Lix Coa Ni1-a O2 、Lix CobV1-b Oz 、Lix Cob Fe1-b Oz 、Lix Mn2 O4 、Lix MnO2 、Lix Mn2 O3 、Lix Mnb Co2-b Oz 、Lix Mnb Ni2-b Oz 、Lix Mnb V2-b Oz 、Lix Mnb Fe1-b Oz 、Lix Coc B1-c O2 (ここでx=0.02〜2.2、a=0.1〜0.9、b=0.8〜0.98、c=0.85〜0.99、z=1.5〜5)があげられる。
焼成の為の詳細は、特開平6ー60、867号公報の段落〔0035〕、特開平7ー14、579号公報等に記載されており、これらの方法を用いることができる。焼成によって得られた正極活物質は水、酸性水溶液、アルカリ性水溶液、有機溶剤にて洗浄した後使用してもよい。
更に、遷移金属酸化物に化学的にリチウムイオンを挿入する方法としては、リチウム金属、リチウム合金やブチルリチウムと遷移金属酸化物と反応させることにより合成する方法であっても良い。
本発明の正極活物質を焼成によって得る場合、焼成温度としては500〜1500℃であることが好ましく、さらに好ましくは700〜1200℃であり、特に好ましくは750〜1000℃である。焼成時間としては4〜30時間が好ましく、さらに好ましくは6〜20時間であり、特に好ましくは6〜15時間である。
炭素質化合物としては、天然黒鉛、人工黒鉛、気相成長炭素、有機物の焼成された炭素などから選ばれ、黒鉛構造を含んでいるものが好ましい。また、炭素質化合物には、炭素以外にも、異種化合物、例えばB,P,N,S,SiC,B4Cを0〜10重量%含んでもよい。
酸化物叉はカルコゲナイドを形成する元素としては、遷移金属叉は周期律表13から15族の金属、半金属元素が好ましい。
遷移金属化合物としては、特にV,Ti,Fe,Mn,Co,Ni,Zn,W,Moの単独あるいは複合酸化物、叉はカルコゲナイドが好ましい。更に好ましい化合物として、特開平6−44,972号公報記載のLipCoqV1-qOr(ここでp=0.1〜2.5、q=0〜1、r=1.3〜4.5)を挙げる事が出来る。
例えば、Al2O3、Ga2O3、SiO、SiO2、GeO、GeO2、SnO、SnO2、SnSiO3、PbO、PbO2、Pb2O3、Pb2O4、Pb2O4、Sb2O3、Sb2O4、Sb2O5、Bi2O3、Bi2O4、Bi2O5、SnSiO3、GeS、GeS2、SnS、SnS2、PbS、PbS2、Sb2S3、Sb2S5、SnSiS3などが好ましい。又これらは、酸化リチウムとの複合酸化物、例えばLi2GeO3、Li2SnO2であってもよい。
特に好ましいのは、B,Al,Si,Ge,Sn,Pの中の2種以上の元素を主体とする複合酸化物である。
これらの複合カルコゲン化合物、複合酸化物は、主として非晶質構造を修飾するために周期律表の1族から3族の元素またはハロゲン元素を含んでもよい。また遷移金属を含んでもよい。
SnM1 aOt 一般式(1)
式中、M1 はAl,B,P、Si、Ge、周期律表第1族元素、第2族元素、第3族元素、ハロゲン元素から選ばれる2種以上の元素を表し、aは0.2以上、2以下の数を、tは1以上、6以下の数を表す。
SnXT1-XM1 aOt 一般式(2)
式中、Tは遷移金属金属を表し、V,Ti,Fe,Mn,Co,Ni,Zn,W,Moを表す。xは0.1以上、0.9以下の数を表す。M1、a、tは一般式(1)と同じである。
SnM2 bOt 一般式(3)
式中、M2 はAl,B,P、Ge、周期律表第1族元素、第2族元素、第3族元素、ハロゲン元素から選ばれる2種以上の元素を表し、bは0.2以上、2以下の数を、tは1以上、6以下の数を表す。一般式(3)の化合物の中で、次の一般式(4)の化合物が更に好ましい。
SnM3 cM4 dOt 一般式(4)
式中、M3はAl,B,P、Geの少なくとも1種を、M4は周期律表第1族元素、第2族元素、第3族元素、ハロゲン元素の少なくとも1種を表し、cは0.2以上、2以下の数、dは0.01以上、1以下の数で、0.2<c+d<2、tは1以上6以下の数を表す。
焼成条件としては、昇温速度として昇温速度毎分5℃以上200℃以下であることが好ましく、かつ焼成温度としては500℃以上1500℃以下であることが好ましく、かつ焼成時間としては1時間以上100時間以下であることが好ましい。且つ、下降温速度としては毎分2℃以上107 ℃以下であることが好ましい。
本発明における昇温速度とは「焼成温度(℃表示)の50%」から「焼成温度(℃表示)の80%」に達するまでの温度上昇の平均速度であり、本発明における降温速度とは「焼成温度(℃表示)の80%」から「焼成温度(℃表示)の50%」に達するまでの温度降下の平均速度である。
降温は焼成炉中で冷却してもよくまた焼成炉外に取り出して、例えば水中に投入して冷却してもよい。またセラミックスプロセッシング(技報堂出版1987)217頁記載のgun法・Hammer−Anvil法・slap法・ガスアトマイズ法・プラズマスプレー法・遠心急冷法・melt drag法などの超急冷法を用いることもできる。またニューガラスハンドブック(丸善1991)172頁記載の単ローラー法、双ローラ法を用いて冷却してもよい。焼成中に溶融する材料の場合には、焼成中に原料を供給しつつ焼成物を連続的に取り出してもよい。焼成中に溶融する材料の場合には融液を撹拌することが好ましい。
所定の粒子サイズにするには、良く知られた粉砕機や分級機が用いられる。例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、衛星ボールミル、遊星ボールミル、旋回気流型ジェットミルや篩などが用いられる。粉砕時には水、あるいはメタノール等の有機溶媒を共存させた湿式粉砕も必要に応じて行うことが出来る。所望の粒径とするためには分級を行うことが好ましい。分級方法としては特に限定はなく、篩、風力分級機などを必要に応じて用いることができる。分級は乾式、湿式ともに用いることができる。
平均粒径とは一次粒子のメジアン径のことであり、レーザー回折式の粒度分布測定装置により測定される。
SnAl0.4B0.5P0.5K0.1O3.65、SnAl0.4B0.5P0.5Na0.2O3.7、SnAl0.4B0.3P0.5Rb0.2O3.4、SnAl0.4B0.5P0.5Cs0.1O3.65、SnAl0.4B0.5P0.5K0.1Ge0.05O3.85、SnAl0.4B0.5P0.5K0.1Mg0.1Ge0.02O3.83、SnAl0.4B0.4P0.4O3.2、SnAl0.3B0.5P0.2O2.7、SnAl0.3B0.5P0.2O2.7、SnAl0.4B0.5P0.3Ba0.08Mg0.08O3.26、SnAl0.4B0.4P0.4Ba0.08O3.28、SnAl0.4B0.5P0.5O3.6、SnAl0.4B0.5P0.5Mg0.1O3.7
本発明の負極材料への軽金属挿入量は、その軽金属の析出電位に近似するまででよいが、例えば、負極材料当たり50〜700モル%が好ましいが、特に、100〜600モル%が好ましい。その放出量は挿入量に対して多いほど好ましい。軽金属の挿入方法は、電気化学的、化学的、熱的方法が好ましい。電気化学的方法は、正極活物質に含まれる軽金属を電気化学的に挿入する方法や軽金属あるいはその合金から直接電気化学的に挿入する方法が好ましい。化学的方法は、軽金属との混合、接触あるいは、有機金属、例えば、ブチルリチウム等と反応させる方法がある。電気化学的方法、化学的方法が好ましい。該軽金属はリチウムあるいはリチウムイオンが特に好ましい。
表面処理された金属酸化物の量は、該正極活物質あるいは負極材料当たり、0.1〜10重量%が好ましい。また、0.2〜5重量%が特に好ましく、0.3〜3重量%が最も好ましい。
また、負極材料の表面を改質することもできる。例えば、イオン導電性ポリマ−やポリアセチレン層を設けるなどにより処理することが挙げられる。また、正極活物質や負極材料は水洗などの精製工程を経てもよい。
導電剤は、構成された電池において、化学変化を起こさない電子伝導性材料であれば何でもよい。通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛など)、人工黒鉛などのグラファイト類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、等のカ−ボンブラック類、炭素繊維、金属繊維などの導電性繊維類、銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉類、酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー類、酸化チタンなどの導電性金属酸化物あるいはポリフェニレン誘導体などの有機導電性材料などを単独又はこれらの混合物として含ませることができる。これらの導電剤のなかで、アセチレンブラック、グラファイトとアセチレンブラックの併用が特に好ましい。水分散の合剤を作成する場合には、導電剤は予め水中に分散したものを用いるのが好ましい。
導電剤の添加量は、特に限定されないが、1〜50重量%が好ましく、特に1〜30重量%が好ましい。カーボンやグラファイトでは、2〜15重量%が特に好ましい。
イオン導電剤は、無機及び有機の固体電解質として知られている物を用いることができ、詳細は電解液の項に記載されている。圧力増強剤は、後述の内圧を上げる化合物であり、炭酸塩が代表例である。
電解質としては前記の電解液の他に次の様な固体電解質も併用することができる。固体電解質としては、無機固体電解質と有機固体電解質に分けられる。
無機固体電解質には、Liの窒化物、ハロゲン化物、酸素酸塩などがよく知られている。なかでも、Li3N、LiI、Li5NI2、Li3N−LiI−LiOH、Li4SiO4、Li4SiO4−LiI−LiOH、x Li3PO4−(1-x)Li4SiO4、Li2SiS3、硫化リン化合物などが有効である。
また、無機と有機固体電解質を併用する方法も知られている。また、放電や充放電特性を改良する目的で、他の化合物を電解質に添加しても良い。例えば、ピリジン、トリエチルフォスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n−グライム、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N−置換オキサゾリジノンとN, N'−置換イミダリジノン、エチレングリコールジアルキルエーテル、第四級アンモニウム塩、ポリエチレングリコ−ル、ピロール、2−メトキシエタノール、AlCl3、導電性ポリマー電極活物質のモノマー、トリエチレンホスホルアミド、トリアルキルホスフィン、モルホリン、カルボニル基を持つアリール化合物、12−クラウン−4のようなクラウンエーテル類、ヘキサメチルホスホリックトリアミドと4−アルキルモルホリン、二環性の三級アミン、オイル、四級ホスホニウム塩、三級スルホニウム塩などを挙げることができる。
また、正極や負極の合剤には電解液あるいは電解質を含ませることができる。例えば、前記イオン導電性ポリマーやニトロメタン、電解液を含ませる方法が知られている。
セパレ−タ−としては、大きなイオン透過度を持ち、所定の機械的強度を持ち、絶縁性の微多孔性薄膜が用いられる。また、80℃以上で孔を閉塞し、抵抗をあげる機能を持つことが好ましい。耐有機溶剤性と疎水性からポリプレピレンおよび/またはポリエチレンなどのオレフィン系ポリマーあるいはガラス繊維などからつくられたシートや不織布が用いられる。セパレーターの孔径は、一般に電池用セパレーターとして用いられる範囲が用いられる。例えば、0.01〜10μmが用いられる。セパレターの厚みは、一般に電池用セパレーターの範囲で用いられる。例えば、5〜300μmが用いられる。セパレーターの製造は、ポリマーの合成後、孔の作り方としては、乾式、延伸法でも溶液、溶媒除去法あるいはそれらの組み合わせでもでもよい。
電池の形状がコインやボタンのときは、正極活物質や負極材料の合剤はペレットの形状に圧縮されて主に用いられる。そのペレットの厚みや直径は電池の大きさにより決められる。また、電池の形状がシート、シリンダー、角のとき、正極活物質や負極材料の合剤は、集電体の上に塗布(コート)、乾燥、圧縮されて、主に用いられる。塗布方法は、一般的な方法を用いることができる。例えば、リバースロール法、ダイレクトロール法、ブレード法、ナイフ法、エクストルージョン法、カーテン法、グラビア法、バー法、ディップ法及びスクイーズ法を挙げることができる。そのなかでもブレード法、ナイフ法及びエクストルージョン法が好ましい。塗布は、0.1〜100m/分の速度で実施されることが好ましい。この際、合剤の溶液物性、乾燥性に合わせて、上記塗布方法を選定することにより、良好な塗布層の表面状態を得ることができる。塗布は、片面ずつ逐時でも両面同時でもよい。また、塗布は連続でも間欠でもストライプでもよい。その塗布層の厚み、長さや巾は、電池の大きさにより決められるが、片面の塗布層の厚みは、ドライ後の圧縮された状態で、1〜2000μmが好ましい。10〜500μmがより好ましく、特に20〜250μmが好ましい。
ペレットやシートのプレス法は、一般に採用されている方法を用いることができるが、特に金型プレス法やカレンダープレス法が好ましい。プレス圧は、特に限定されないが、0.2〜3t/cm2 が好ましい。合剤内に一定の空間を確保することにより、充放電に伴う活物質の膨張、収縮による合剤の膨張、収縮を防止することができる。このとき合剤膨張によるセパレーター破壊によって生じる内部短絡の発生を防止することができるので安全性、生産性の上で好ましい。従ってプレスによる合剤の圧縮は過度にならないことが好ましい。一方で合剤の圧縮が極度に不足すると、集電体・合剤間、あるいは合剤中の活物質間の導通がもはや不可能となるので好ましくない。好ましい合剤中の好ましい空隙率は構成する物質により異なるが、通常10%以上45%以下であり、18%以上35%以下がより好ましい。合剤の空隙率は水銀圧入法にて測定することができ、例えばポアサイザー9310型(島津製作所製商品名)を使用して測定することができる。
カレンダープレス法のプレス速度は、0.1〜50m/分が好ましい。プレス温度は、室温〜200℃が好ましい。正極シートに対する負極シートとの幅の比率は、0.9〜1.1が好ましい。特に、0.95〜1.0が好ましい。正極活物質と負極材料の含有量比は、化合物種類や合剤処方により異なるため、限定できないが、容量、サイクル性、安全性の観点で最適な値に設定できる。
缶やリード板は、電気伝導性をもつ金属や合金を用いることができる。例えば、鉄、ニッケル、チタン、クロム、モリブデン、銅、アルミニウムなどの金属あるいはそれらの合金が用いられる。キャップ、缶、シート、リード板の溶接法は、公知の方法(例、直流又は交流の電気溶接、レーザー溶接、超音波溶接)を用いることができる。封口用シール剤は、アスファルトなどの従来から知られている化合物や混合物を用いることができる。
(負極材料)
負極材料1:SnGe0.1B0.5P0.58Mg0.1K0.1O3.35
負極材料2:SnAl0.5B0.4P0.5Mg0.1F0.2O3.65
負極材料3:Sn1.0Si0.8P0.2O3.1
負極材料4:Sn0.9Al0.5P0.5B0.5K0.1O3.7
負極材料5:SnSi0.6Al0.3B0.3P0.2O3.6
負極材料6:SnAl0.4B0.5P0.5Cs0.1O3.65
(負極材料の合成例)
負極材料1;一酸化錫6.7g、ピロリン酸錫10.3g、三酸化二硼素1.7g、炭酸カリウム0.7g、酸化マグネシウム0.4g、二酸化ゲルマニウム1.0gを乾式混合し、アルミナ製るつぼに入れ、アルゴン雰囲気下15℃/分で1000℃まで昇温し、1100℃で12時間焼成した後、10℃/分で室温にまで降温し焼成炉より取り出したものを集め、ジェットミルで粉砕したものである。平均粒径4.5μm、CuKα線を用いたX線回折法において2θ値で28°付近に頂点を有するブロードなピークを有し、2θ値で40°以上70°以下には結晶性の回折線は見られなかった。
負極材料2から6も、上記と同様に化学量論量の原料を混合、焼成、粉砕し、上記の化合物を得た。
(正極活物質)
正極活物質1:LiCoO2
正極活物質2:LiMn2O4
正極活物質3:LiNiO2
負極材料1を80重量%、鱗片状黒鉛15重量%、結着剤としてポリフッ化ビニリデン4重量%を混合し、分散剤としてカルボキシメチルセルロース1重量%を加え、水を媒体として混練してスラリーを作製した。該スラリーを厚さ18μmの銅箔の両面にエクストルージョン法により塗布し、乾燥後カレンダープレス機により圧縮成形し、所定の幅、長さに切断して帯状の負極シートを作製した。これを負極シート1とする。負極シート1の厚みは80μm、負極合剤中の空隙率は22%であった。
正極活物質1を94重量%、アセチレンブラック3重量%を混合し、結着剤として2−エチルヘキシルアクリレートとアクリル酸とアクリロニトリルの共重合体の水分散物(固形分濃度50重量%)を固形分として2重量%、分散剤としてカルボキシメチルセルロース1重量%を加え、水を媒体として混練してスラリーを作製した。該スラリーを厚さ18μmのアルミニウム箔の両面にエクストルージョン法により塗布し、乾燥後カレンダープレス機により圧縮成形し、所定の幅、長さに切断して帯状の正極シートを作製した。これを正極シート1とする。正極シート1の厚みは260μm、正極合剤中の空隙率は21%であった。
さらに、脱水乾燥済み正極シート(8)、微多孔性ポリプロピレンフィルムセパレーター、脱水乾燥済み負極シート(9)、およびセパレーター(10)の順で積層し、これを巻き込み機で渦巻き状に巻回した。
この巻回体を負極端子を兼ねる、ニッケルメッキを施した鉄製の有底円筒型電池缶(11)に収納した。さらに、電解質として、表1に示した電解質1を電池缶に注入した。正極端子を有する電池蓋(12)をガスケット(13)を介してかしめて円筒型電池を作製した。なお、正極端子(12)は正極シート(8)と、電池缶(11)は負極シート(9)とあらかじめリード端子により接続した。図1に得られた円筒型電池の断面を示した。なお(14)は安全弁である。以上のようにしてできた電池を電池番号1とする。 充放電条件は充電電圧4.1V、放電電圧2.8V、充電電流1mA/cm2、放電電流1mA/cm2あるいは5mA/cm2として、充放電試験をおこなった。充電時の環境温度は25℃、放電時の環境温度は25℃、0℃の2条件でおこなった。
とする。結果を表4の1に示す。放電容量比A、Bとも良好であり、大電流あるいは低温での使用時においても良好な特性が得られることがわかる。
α−Al2O3(平均粒径1μm)80重量%、鱗片状黒鉛10重量%、結着剤としてポリフッ化ビニリデン4重量%を混合し、分散剤としてカルボキシメチルセルロース1重量%を加え、水を媒体として混練してスラリーを作製し、これを負極シート1と同様の塗布シート上に塗設して保護層を形成した。これを保護層1とする。実施例1と同様の方法で電極シートを作製し、円筒型電池を作製した。これを電池番号2とする。実施例1と同様の充放電試験を行った。さらに、同様な電池を300個作製し、1mA/cm2で4.1Vまで充電した後、60℃にて3週間の保存試験を行った。このとき開路電圧の低下率が0.8V以上であったものの本数の割合を不良発生率とする。それぞれの結果を表4の1に示す。放電容量比A、Bともに良好である上に、不良発生率が極めて小さい。
α−Al2O3(平均粒径1μm)95重量%、結着剤としてポリフッ化ビニリデン4重量%を混合し、分散剤としてカルボキシメチルセルロース1重量%を加え、水を媒体として混練してスラリーを作製し、これを正極シート1と同様の塗布シート上に塗設して保護層を形成した。これを保護層2とする。実施例1と同様の方法で電極シートを作製し、円筒型電池を作製した。これを電池番号3とする。試験結果を表4の1に示す。放電容量比、不良発生率ともに極めて良好である。
負極シート1及び正極シート1作製時にカレンダープレス機プレス圧を調整して、負極合剤及び正極合剤中の空隙率を夫々22%及び31%とした。実施例1と同様の方法で電極シートを作製し、円筒型電池を作製した。これを電池番号4とする。試験結果を表4の1に示す。放電容量比、不良発生率ともに極めて良好である。
表1に示す負極材料、表2に示す正極活物質、表3に示す電解質を使用し、表4の1〜表4の3に示す空隙率に調整して実施例1と同様に電池番号5〜25を作製した。ここで保護層3は保護層2におけるα−Al2O3(平均粒径1μm)のかわりにTiO2粉末(平均粒径1μm)を使用したものである。試験結果を表4の1〜表4の3に示す。放電容量比、不良発生率ともに極めて良好である。
表1に示す負極材料、表2に示す正極活物質、表3の1〜表3の2に示す電解質を使用し、表4の3に示す空隙率に調整して実施例1と同様に電池番号26〜33を作製した。試験結果を表4の3に示す。全般に放電容量比A、Bが劣り、大電流あるいは低温のもとで十分な放電容量を得ることができない。またその傾向が製造得率、安全性を向上させるため、保護層を付与した場合、合剤中の空隙率を上げた場合に著しい。
9 負極シート
10 セパレーター
11 電池缶
12 電池蓋
13 ガスケット
14 安全弁
Claims (9)
- リチウムを吸蔵放出できる正極と負極およびリチウム塩を含む非水電解質を電池容器に収納してなる非水二次電池であって、該正極および/または負極を構成する合剤中の空隙率が10%以上、45%以下であり、該非水電解質として、合計15体積%以上90体積%未満のジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルからなる群から選ばれる少なくとも1種のエステル類および10体積%以上55体積%未満のエチレンカーボネートを少なくとも含有する混合溶媒に、濃度が0.6M以上1.5M以下となるようにLiPF6及びLiBF4を溶解した非水電解質を用いることを特徴とする非水二次電池。
- 該非水電解質がジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルからなる群から選ばれる少なくとも1種のエステル類およびエチレンカーボネート並びに、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、ジエチルカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の非水二次電池。
- 該負極を構成する活物質が、周期律表第1族元素、第2族元素、第3族元素及びハロゲン元素の少なくとも1種を含む複合酸化物及び/又は複合カルコゲナイドを主体とすることを特徴とする請求項1または2に記載の非水二次電池。
- 該正極を構成する合剤中の空隙率が18%以上35%以下であることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の非水二次電池。
- 該負極を構成する合剤中の空隙率が18%以上35%以下であることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の非水二次電池。
- 該非水電解質を構成する溶媒中にエチレンカーボネートを10体積%以上30体積%未満含有することを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の非水二次電池。
- 該非水電解質がジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルからなる群から選ばれる少なくとも1種のエステル類を合計30体積%以上90体積%未満含有することを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の非水二次電池。
- 該非水電解質を構成する溶媒中にジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種のエステル類を含有することを特徴とする請求項1から7の何れかに記載の非水二次電池。
- 正極を構成する活物質が、リチウム含有遷移金属酸化物であることを特徴とする請求項1から8の何れかに記載の非水二次電池。
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