JPH09180758A - 非水二次電池 - Google Patents

非水二次電池

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JPH09180758A
JPH09180758A JP7336533A JP33653395A JPH09180758A JP H09180758 A JPH09180758 A JP H09180758A JP 7336533 A JP7336533 A JP 7336533A JP 33653395 A JP33653395 A JP 33653395A JP H09180758 A JPH09180758 A JP H09180758A
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JP
Japan
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salt
positive electrode
secondary battery
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battery
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JP7336533A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Fujimoto
央 藤本
Mitsutoshi Tanaka
光利 田中
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 充放電サイクル特性の優れた非水電解リチウ
ムイオン二次電池を提供する。 【解決手段】 本発明の課題は、集電体に活物質を含む
電極合剤を塗布してなるシート状の正極及び負極及びリ
チウム塩を含む非水電解液からなる非水二次電池におい
て、該正極及び/または負極シート上、非水電解液中ま
たは電池缶内部の空間の何れかに塩類を含有させること
を特徴とする非水二次電池により達成された。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シート状の電極と
帯状セパレーターとを積層後、渦巻状に巻回した渦巻式
電極を電池缶内に挿入する円筒型非水二次電池に関す
る。
【0002】
【従来の技術】リチウム塩を含む非水電解質二次電池
は、一般に、リチウムイオン電池として従来の鉛電池や
ニッケルーカドミウム電池に変わる高容量型の電池とし
て近年開発が進んできた。しかしこれらのリチウムイオ
ン電池は、エネルギー密度は高いものの、充放電サイク
ル寿命が十分とは言えない。特に近年の電子機器の小
型、軽量化に伴う移動用電源の需要においては更なるサ
イクル寿命の向上が望まれている。サイクル性を向上さ
せる手段としては、例えば、特開平3−289065号
に記載のように電解液中に鉄塩又はガリウム塩を添加す
る方法。あるいは特開平4−62764号に記載のよう
にフッ素含有の電解液に金属塩を含有することが知られ
ている。しかしこれらの塩は長期のサイクルにおいて、
電極シート内あるいはセパレーターの空隙に電池内の有
機分解物とともに吸着したり沈殿して抵抗の増加を引き
起こすことがわかた。
【0003】また、他の塩類としては、特開平4−32
8278号において、安全な電流遮断のために、正極活
物質内に炭酸リチウムを含有させることが知られてい
る。しかし、該構成においては、確かに電流遮断には効
果が高いものの、高電流の充放電適正が低下したり、充
放電時の活物質の膨張収縮に伴う物理的強度の低下によ
って、長期のサイクル使用に充分は絶えられないことが
わかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の第1
の目的は、充放電サイクル特性の優れた非水電解リチウ
ムイオン二次電池を提供することにある。更に詳しく
は、電極シートの物理強度を低下させたり、充放電のサ
イクル伴う抵抗の増加を防止し、サイクル特性が良好な
非水電解リチウムイオン二次電池を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、集電体
に活物質を含む電極合剤を塗布してなるシート状の正極
及び負極及びリチウム塩を含む非水電解液からなる非水
二次電池において、該正極及び/または負極シート上、
非水電解液中または電池缶内部の空間の何れかに塩類を
含有させることを特徴とする非水二次電池により達成さ
れた。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい形態につ
いて説明するが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。 (1)集電体に活物質を含む電極合剤を塗布してなるシ
ート状の正極及び負極及びリチウム塩を含む非水電解液
からなる非水二次電池において、該正極及び/または負
極シート上、非水電解液中または電池缶内部の空間の何
れかに塩類を含有させることを特徴とする非水二次電
池。 (2)該塩類が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の
塩あるいは炭酸、シュウ酸、硝酸、酢酸、リン酸、及び
硼酸から選ばれる少なくとも1種の塩であることを特徴
とする項1に記載の非水二次電池。 (3)該塩類が、リチウム、ナトリウム、カリウム、セ
シウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、マンガ
ンより選ばれる炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、酢酸塩、
リン酸塩、及び硼酸塩の少なくとも1種であることを特
徴とする項2に記載の非水二次電池。 (4)該塩類が正極活物質の0.02重量%以上、10
重量%以下の量で活物質とは別に存在することを特徴と
する請求項1から3のいずれか1項に記載の非水二次電
池。 (5)該非水電解液中にLiBF4 が全支持塩量の1モ
ル%以上、50モル%以下存在することを特徴とする項
1から4のいずれか1項に記載の非水二次電池。 (6)該非水電解液中にジメチルカーボネートを全電解
質重量の5から80%含むことを特徴とする項1から5
のいずれか1項に記載の非水二次電池。 (7)該塩類を、正極合剤中に存在させたことを特徴と
する項1から6のいずれか1項に記載の非水二次電池。 (8)該塩類を、非水電解液中に存在させたことを特徴
とする項1から6のいずれか1項に記載の非水二次電
池。 (9)該正極シートが、正極活物質としてリチウム含有
遷移金属酸化物を含み、該リチウム含有遷移金属酸化物
は、リチウム化合物と遷移金属化合物(ここで遷移金属
とは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、M
o、Wから選ばれる少なくとも1種)のそれぞれの合計
のモル比が0.3〜2.2になるように混合して合成さ
れたものであることを特徴とする項1から8のいずれか
1項に記載の非水二次電池。 (10)該負極シートが、負極材料として次の一般式
(1)の化合物を含むことを特徴とする項1から9のい
ずれか1項に記載の非水二次電池。 SnM1 a t 一般式(1) 式中、M1 はAl,B,P、Si、Ge、周期律表第1
族元素、第2族元素、第3族元素、ハロゲン元素から選
ばれる2種以上の元素を表し、aは0.2以上、3以下
の数を、tは1以上、7以下の数を表す。
【0007】本発明の塩類は、正極活物質の0.02重
量%以上、10重量%以下の量で活物質とは個別に合剤
内に存在する場合、及び電解液中に溶解或は電極合剤と
一体化するように結着されることなく電極シート上部に
接触されるか、巻回群の外部で電解液と接触可能な電池
缶内部に存在させることが特に好ましい。本発明の塩類
を上記の様に、合剤シート内あるいは電池缶内部に存在
させることで、比較的大電流で使用した場合でも容量の
低下を引き起こしにくく、また他の塩を使用したり、あ
るいは活物質内に含有させた場合に比べて特に200サ
イクル以上の充放電を繰り返しても電池内部の抵抗増加
が極めて少ないことが判明した。
【0008】本発明に用いられる塩は、アルカリ金属又
はアルカリ土類金属の塩あるいはマンガン、鉄、コバル
ト、ニッケル、亜鉛、錫の塩が好ましい。アルカリ金属
としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム
が好ましい。アルカリ土類金属としては、マグネシウ
ム、カルシウム、バリウムが好ましい。これらの元素の
塩としては、炭酸、シュウ酸、硝酸、酢酸、リン酸、硼
酸、硫酸、亜硫酸、フタル酸の各塩が好ましく用いられ
る。より好ましいのは炭酸、シュウ酸、硝酸、酢酸、リ
ン酸、及び硼酸の各塩である。特に好ましいのは、ナト
リウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウ
ム、バリウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜
鉛、錫の炭酸、シュウ酸、硝酸、酢酸、リン酸、及び硼
酸の各塩を少なくとも1種用いることが好ましい。これ
らの塩の使用量は、電極シート1m2 当り2ミリモル以
上、500ミリモル以下である。好ましくは、5ミリモ
ル以上、250ミリモル以下、より好ましくは5ミリモ
ル以上、200ミリモル以下である。
【0009】更に、本発明の塩を電極シート内に含有さ
せる場合には、例えばカルボキシメチルセルロースのご
とき分散剤が、電極合剤に対して0.5重量%以上、5
重量%以下の量を使用することで、特に40℃以上の環
境下での充放電サイクル特性や、サイクル中の電極合剤
の物理特性にも優れることがわかった。
【0010】また、本発明の効果は、電解液中の組成で
も異なることがわかった。特に、電解質としては少なく
とも、全電解質重量の5%以上のジメチルカーボネート
を使用するのが好まし。本発明の塩含有薄膜層との組合
わせ効果は、低温時のサイクル特性のみならず、25℃
以上の高温サイクル時にも改善効果が見られた。さらに
は、支持塩として、LiBF4 を全電解質支持塩の1モ
ル%以上、50モル%以下を使用することでも、より好
ましいサイクル特性が得られることが判明した。しかも
これらの組合わせ効果は、上記塩類が正極合剤中あるい
は電解液中に置されているときに最も顕著な効果が得ら
れると言う、全く予期できない結果となった。
【0011】次に、本発明の非水二次電池に関する詳細
な構成内容を示す。本発明に用いられる正極及び負極
は、集電体上に正極活物質や負極材料を含む合剤層を塗
設したものである。正極や負極がシート状の場合は、合
剤層を集電体の両側に設けるのが好ましく、一方の面の
合剤層が複数層から構成されていても良い。合剤層は、
正極活物質や負極材料のように軽金属イオンの挿入放出
に係わる物質の他に、結着剤や導電材料などを含む。合
剤層の他に、活物質を含まない保護層、集電体上に設け
られる下塗り層、合剤層間に設けられる中間層等を有し
ていてもよい。これらの活物質を有さない層は、導電性
粒子や絶縁性粒子、結着剤を含むのが好ましい。
【0012】本発明で用いられる正極活物質は可逆的に
リチウムイオンを挿入・放出できる遷移金属酸化物でも
良いが、特にリチウム含有遷移金属酸化物が好ましい。
これらの正極活物質の具体例は、特開昭61−5262
号公報、米国特許第4、302、518号明細書、特開
昭63−299056号、特開平1−294364号、
特公平4−30146号、米国特許第5、240、79
4号、同5、153、081号、特開平4−328、2
58号、特開平5−54、889号等に記載されてい
る。本発明で用いられる好ましいリチウム含有遷移金属
酸化物正極活物質としては、リチウム含有Ti、V、C
r、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Wを含む酸
化物があげられる。またリチウム以外のアルカリ金属
(周期律表の第IA、第IIAの元素)、及びまたはA
l、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、S
i、P、Bなどを混合してもよい。混合量は遷移金属に
対して0〜30モル%が好ましい。
【0013】本発明で用いられるより好ましいリチウム
含有遷移金属酸化物正極活物質としては、リチウム化合
物/遷移金属化合物(ここで遷移金属とは、Ti、V、
Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Mo、Wから選ばれる
少なくとも1種)のそれぞれの合計のモル比が0.3〜
2.2になるように混合して合成することが好ましい。
本発明で用いられるとくに好ましいリチウム含有遷移金
属酸化物正極活物質としては、リチウム化合物/遷移金
属化合物(ここで遷移金属とは、V、Cr、Mn、F
e、Co、Niから選ばれる少なくとも1種)の合計の
モル比が0.3〜2.2になるように混合して合成する
ことが好ましい。本発明で用いられるとくに好ましいリ
チウム含有遷移金属酸化物正極活物質とは、Lix QO
y (ここでQは主として、その少なくとも一種がCo、
Mn、Ni、V、Feを含む遷移金属)、x=0.02
〜1.2、y=1.4〜3)であることが好ましい。Q
としては遷移金属以外にAl、Ga、In、Ge、S
n、Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなどを混合しても
よい。混合量は遷移金属に対して0〜30モル%が好ま
しい。
【0014】本発明で用いられる最も好ましいリチウム
含有遷移金属酸化物正極活物質としては、Lix CoO
2 、Lix NiO2 、Lix MnO2 、Lix Cog
1- g 2 、Lix Mn24 、Lix Cof 1-f
z (ここでx=0.02〜1.2、g=0.1〜0.
9、f=0.9〜0.98、z=2.01〜2.3)が
あげられる。本発明で用いられる最も好ましいリチウム
含有遷移金属酸化物正極活物質としては、Lix CoO
2 、Lix NiO2 、Lix MnO2 、Lix Cog
1- g 2 、Lix Mn24 、Lix Cof 1-f
z (ここでx=0.02〜1.2、g=0.1〜0.
9、f=0.9〜0.98、z=2.02〜2.3)が
あげられる。ここで、上記のx値は、充放電開始前の値
であり、充放電により増減する。
【0015】正極活物質は、リチウム化合物と遷移金属
化合物を混合、焼成する方法や溶液反応により合成する
ことができるが、特に焼成法が好ましい。本発明で用い
られる焼成温度は、本発明で用いられる混合された化合
物の一部が分解、溶融する温度であればよく、例えば2
50〜2000℃が好ましく、特に350〜1500℃
が好ましい。焼成に際しては250〜900℃で仮焼す
る事が好ましい。焼成時間としては1〜72時間が好ま
しく、更に好ましくは2〜20時間である。また、原料
の混合法は乾式でも湿式でもよい。また、焼成後に20
0℃〜900℃でアニールしてもよい。焼成ガス雰囲気
は特に限定されず酸化雰囲気、還元雰囲気いずれもとる
ことができる。たとえば空気中、あるいは酸素濃度を任
意の割合に調製したガス、あるいは水素、一酸化炭素、
窒素、アルゴン、ヘリウム、クリプトン、キセノン、二
酸化炭素等が挙げられる。
【0016】本発明の正極活物質の合成に際し、遷移金
属酸化物に化学的にリチウムイオンを挿入する方法とし
ては、リチウム金属、リチウム合金やブチルリチウムと
遷移金属酸化物と反応させることにより合成する方法が
好ましい。本発明で用いる正極活物質の平均粒子サイズ
は特に限定されないが、0.1〜50μmが好ましい。
0.5〜30μmの粒子の体積が95%以上であること
が好ましい。粒径3μm以下の粒子群の占める体積が全
体積の18%以下であり、かつ15μm以上25μm以
下の粒子群の占める体積が、全体積の18%以下である
ことが更に好ましい。比表面積としては特に限定されな
いが、BET法で0.01〜50m2 /gが好ましく、
特に0.2m2 /g〜1m2 /gが好ましい。また正極
活物質5gを蒸留水100mlに溶かした時の上澄み液
のpHとしては7以上12以下が好ましい。所定の粒子
サイズにするには、良く知られた粉砕機や分級機が用い
られる。例えば、乳鉢、ボールミル、振動ボールミル、
振動ミル、衛星ボールミル、遊星ボールミル、旋回気流
型ジェットミルや篩などが用いられる。焼成によって得
られた正極活物質は水、酸性水溶液、アルカリ性水溶
液、有機溶剤、含水有機溶剤にて洗浄した後使用しても
よい。
【0017】本発明においては、複数の異なった正極活
物質を併用してもよい。例えば、充放電時の膨張収縮挙
動が反対のものを用いることができる。放電時(リチウ
ムイオン挿入時)に膨張し、充電時(リチウムイオン放
出時)に収縮する正極活物質の好ましい例はスピネル型
リチウム含有マンガン酸化物であり、放電時(リチウム
イオン挿入時)に収縮し、充電時(リチウムイオン放出
時)に膨張する正極活物質の好ましい例はリチウム含有
コバルト酸化物である。スピネル型リチウム含有マンガ
ン酸化物の好ましい構造式としては、Li2-x Mn2
4 (0≦x≦2)であり、さらに好ましくはLi1-x
24 (0≦x≦1)である。リチウム含有コバルト
酸化物の好ましい例としてはLi1-x CoO2 (0≦x
≦1)である。
【0018】本発明で用いられる負極材料としては、軽
金属イオンを吸蔵・放出できる化合物であればよい。特
に、軽金属、軽金属合金、炭素質化合物、無機酸化物、
無機カルコゲナイド、金属錯体、有機高分子化合物が好
ましい。これらは単独でも、組み合わせて用いてもよ
い。例えば、軽金属と炭素質化合物、軽金属と無機酸化
物、軽金属と炭素質化合物と無機酸化物の組み合わせな
どが挙げられる。これらの負極材料は、高容量、高放電
電位、高安全性、高サイクル性の効果を与えるので好ま
しい。
【0019】軽金属としてはリチウムが好ましい。軽金
属合金としては、リチウムと合金を作る金属あるいはリ
チウムを含む合金が挙げられる。Al,Al−Mn、A
l−Mg、Al−Sn、Al−In、Al−Cdが特に
好ましい。炭素質化合物としては、天然黒鉛、人工黒
鉛、気相成長炭素、有機物の焼成された炭素などから選
ばれ、黒鉛構造を含んでいるものが好ましい。また、炭
素質化合物には、炭素以外にも、異種化合物、例えば
B,P,N,S,SiC,B4Cを0〜10重量%含ん
でもよい。
【0020】酸化物叉はカルコゲナイドを形成する元素
としては、遷移金属叉は周期律表13から15族の金
属、半金属元素が好ましい。
【0021】遷移金属化合物としては、特にV,Ti,
Fe,Mn,Co,Ni,Zn,W,Moの単独あるい
は複合酸化物、叉はカルコゲナイドが好ましい。更に好
ましい化合物として、特開平6−44,972号記載の
Lip Coq 1-q r (ここでp=0.1〜2.5、
q=0〜1、z=1.3〜4.5)を挙げる事が出来
る。
【0022】遷移金属以外の金属、半金属の化合物とし
ては、周期律表第13族〜15族の元素、Al,Ga,
Si,Sn,Ge,Pb,Sb,Biの単独あるいはそ
れらの2種以上の組み合わせからなる酸化物、カルコゲ
ナイドが選ばれる。例えば、Al2 3 、Ga2 3
SiO、SiO2 、GeO、GeO2 、SnO、SnO
2 、SnSiO3 、PbO、PbO2 、Pb2 3 、P
2 4 、Pb3 4 、Sb2 3 、Sb2 4 、Sb
2 5 、Bi2 3 、Bi2 4 、Bi2 5 、SnS
iO3 、GeS、GeS2 、SnS、SnS2 、Pb
S、PbS2 、Sb2 3 、Sb2 5 、SnSiS3
などが好ましい。又これらは、酸化リチウムとの複合酸
化物、例えばLi2 GeO3 、Li2 SnO2 であって
もよい。
【0023】上記の複合カルコゲン化合物、複合酸化物
は電池組み込み時に主として非晶質であることが好まし
い。ここで言う主として非晶質とはCuKα線を用いた
X線回折法で2θ値で20°から40°に頂点を有する
ブロードな散乱帯を有する物であり、結晶性の回折線を
有してもよい。好ましくは2θ値で40°以上70°以
下に見られる結晶性の回折線の内最も強い強度が、2θ
値で20°以上40°以下に見られるブロードな散乱帯
の頂点の回折線強度の500倍以下であることが好まし
く、さらに好ましくは100倍以下であり、特に好まし
くは5倍以下であり、最も好ましくは結晶性の回折線を
有さないことである。
【0024】上記の複合カルコゲン化合物、複合酸化物
は、遷移金属、周期律表13から15族元素からなる複
合化合物であり、B,Al,Ga,In,Tl,Si,
Ge,Sn,Pb,P,As,Sb,Biの中の2種以
上の元素を主体とする複合カルコゲン化合物、複合酸化
物がより好ましい。更に好ましくは複合酸化物である。
特に好ましいのは、B,Al,Si,Ge,Sn,Pの
中の2種以上の元素を主体とする複合酸化物である。こ
れらの複合カルコゲン化合物、複合酸化物は、主として
非晶質構造を修飾するために周期律表の1族から3族の
元素またはハロゲン元素を含んでもよい。また遷移金属
を含んでもよい。
【0025】上記の負極材料の中で、錫を主体とする非
晶質の複合酸化物が好ましく、次の一般式(1)または
(2)で表される。 SnM1 a t 一般式(1) 式中、M1 はAl,B,P、Si、Ge、周期律表第1
族元素、第2族元素、第3族元素、ハロゲン元素から選
ばれる2種以上の元素を表し、aは0.2以上、3以下
の数を、tは1以上、7以下の数を表す。
【0026】 Snx 1-x 1 a t 一般式(2) 式中、Tは遷移金属金属を表し、V,Ti,Fe,M
n,Co,Ni,Zn,W,Moを表す。xは0.1以
上、0.9以下の数を表す。M1 、a、tは一般式
(1)と同じである。
【0027】一般式(1)の化合物の中で、次の一般式
(3)の化合物がより好ましい。 SnM2 b t 一般式(3) 式中、M2 はAl,B,P、Ge、周期律表第1族元
素、第2族元素、第3族元素、ハロゲン元素から選ばれ
る2種以上の元素を表し、bは0.2以上、3以下の数
を、tは1以上、7以下の数を表す。
【0028】一般式(3)の化合物の中で、次の一般式
(4)の化合物が更に好ましい。 SnM3 c 4 d t 一般式(4) 式中、M3 はAl,B,P、Geの少なくとも1種を、
4 は周期律表第1族元素、第2族元素、第3族元素、
ハロゲン元素の少なくとも1種を表し、cは0.2以
上、2以下の数、dは0.01以上、1以下の数で、
0.2<c+d<3、tは1以上7以下の数を表す。
【0029】本発明においては、さらには次の一般式
(5)のSnおよびGeを主体とする非晶質酸化物が特
に好ましい。 SnGee 5 f 4 g t 一般式(5) 式中、M5 は、Al、P、Bから選ばれる少なくとも1
種を、M4 は一般式(4)と同様に周期律表第1族元
素、第2族元素、第3族元素、ハロゲン元素の少なくと
も1種以上の元素を表す。eは0.001 以上1以下の数
字。fは0.2以上2以下の数字、gは0.01以上1
以下の数字、tは1、3以上7以下の数字を表す。)で
示される非晶質酸化物であることが一層好ましい。
【0030】本発明の非晶質複合酸化物は、焼成法、溶
液法のいずれの方法も採用することができるが、焼成法
がより好ましい。焼成法では、一般式(1)に記載され
た元素の酸化物あるいは化合物をよく混合した後、焼成
して非晶質複合酸化物を得るのが好ましい。
【0031】焼成条件としては、昇温速度として昇温速
度毎分5℃以上200℃以下であることが好ましく、か
つ焼成温度としては500℃以上1500℃以下である
ことが好ましく、かつ焼成時間としては1時間以上10
0時間以下であることが好ましい。且つ、下降温速度と
しては毎分2℃以上107 ℃以下であることが好まし
い。本発明における昇温速度とは「焼成温度(℃表示)
の50%」から「焼成温度(℃表示)の80%」に達す
るまでの温度上昇の平均速度であり、本発明における降
温速度とは「焼成温度(℃表示)の80%」から「焼成
温度(℃表示)の50%」に達するまでの温度降下の平
均速度である。降温は焼成炉中で冷却してもよくまた焼
成炉外に取り出して、例えば水中に投入して冷却しても
よい。またセラミックスプロセッシング(技報堂出版1
987)217頁記載のgun法・Hammer−An
vil法・slap法・ガスアトマイズ法・プラズマス
プレー法・遠心急冷法・melt drag法などの超
急冷法を用いることもできる。またニューガラスハンド
ブック(丸善1991)172頁記載の単ローラー法、
双ローラ法を用いて冷却してもよい。焼成中に溶融する
材料の場合には、焼成中に原料を供給しつつ焼成物を連
続的に取り出してもよい。焼成中に溶融する材料の場合
には融液を攪拌することが好ましい。
【0032】焼成ガス雰囲気は好ましくは酸素含有率が
5体積%以下の雰囲気であり、さらに好ましくは不活性
ガス雰囲気である。不活性ガスとしては例えば窒素、ア
ルゴン、ヘリウム、クリプトン、キセノン等が挙げられ
る。最も好ましい不活性ガスは純アルゴンである。
【0033】本発明で示される化合物の平均粒子サイズ
は0.1〜60μmが好ましい。寄り詳しくは、平均粒
径が0.7〜25μmであり、かつ全体積の60%以上
が0.5〜30μmであることが好ましい。また、本発
明の負極活物質の粒径1μm以下の粒子群の占める体積
は全体積の30%以下であり、かつ粒径20μm以上の
粒子群の占める体積が全体積の25%以下であることが
好ましい。使用する材料の粒径は、負極の片面の合剤厚
みを越えないものであることはいうまでもない。所定の
粒子サイズにするには、良く知られた粉砕機や分級機が
用いられる。例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、
振動ボールミル、衛星ボールミル、遊星ボールミル、旋
回気流型ジェットミルや篩などが用いられる。粉砕時に
は水、あるいはメタノール等の有機溶媒を共存させた湿
式粉砕も必要に応じて行うことが出来る。所望の粒径と
するためには分級を行うことが好ましい。分級方法とし
ては特に限定はなく、篩、風力分級機などを必要に応じ
て用いることができる。分級は乾式、湿式ともに用いる
ことができる。平均粒径とは一次粒子のメジアン径のこ
とであり、レーザー回折式の粒度分布測定装置により測
定される。得られた負極材料は水、酸性水溶液、アルカ
リ性水溶液、有機溶剤、含水有機溶剤にて洗浄した後使
用してもよい。
【0034】本発明の負極材料の例を以下に示すが、本
発明はこれらに限定されるものではない。SnAl0.4
0.5 0.5 0.1 3.65、SnAl0.4 0.5 0.5
Na0.2 3.7 、SnAl0.4 0.3 0.5 Rb0.2
3.4 、SnAl0.4 0.5 0.5 Cs0.1 3.65、Sn
Al0.4 0.4 0.4 3.2 、SnAl0.3 0.5
0.2 2.7 、SnAl0.3 0.5 0.2 2.7 、SnA
0.4 0.5 0.3 Ba0.08Mg0.083.26、SnAl
0.4 0.4 0.4 Ba0.083.28、SnAl0.4 0.5
0.53.6 、SnAl0.4 0.5 0.5 Mg0.1 3.7
【0035】SnAl0.5 0.4 0.5 Mg0.1 0.2
3.65、SnB0.5 0.5 Li0.1 Mg0.1 0.2
3.05、SnB0.5 0.5 0.1 Mg0.1 0.2 3.05
SnB0. 5 0.5 0.05Mg0.050.1 3.03、SnB
0.5 0.5 0.05Mg0.1 0.23.03、SnAl0.4
0.5 0.5 Cs0.1 Mg0.1 0.2 3.65、SnB
0.50.5 Cs0.05Mg0.050.1 3.03、SnB0.5
0.5 Mg0.1 0.1 3.05、SnB0.5 0.5 Mg
0.1 0.2 3 、SnB0.5 0.5 Mg0.1 0.063.
07、SnB0.5 0.5 Mg0.1 0.143.03、SnPB
0.083.58、SnPK 0.1 3.55、SnPK0.05Mg
0.053.58、SnPCs0.1 3.55、SnPBa 0.08
0.083.54、SnPK0.1 Mg0.1 0.2 3.55、Sn
PK0.05Mg0.050.1 3.53、SnPCs0.1 Mg
0.1 0.2 3.55、SnPCs0.05Mg0.050.1
3.53
【0036】Sn1.1 Al0.4 0.2 0.6 Ba0.08
0.083.54、Sn1.1Al0.4 0.20.6 Li0.1
0.1 Ba0.1 0.1 3.65、Sn1.1 Al0.4 0.4
0.4 Ba0.083.34、Sn1.1 Al0.4 PCs0.05
4.23、Sn1.1 Al0.4 PK0.054.23、Sn1. 2 Al
0.5 0.3 0.4 Cs0.2 3.5 、Sn1.2 Al0.4
0.2 0.6 Ba0. 083.68、Sn1.2 Al0.4 0.2
0.6 Ba0.080.083.64、Sn1.2 Al 0.4 0.2
0.6 Mg0.04Ba0.043.68、Sn1.2 Al0.4 0.3
0.5 Ba 0.083.58、Sn1.3 Al0.3 0.3 0.4
Na0.2 3.3 、Sn1.3 Al0.20.4 0.4 Ca
0.2 3.4 、Sn1.3 Al0.4 0.4 0.4 Ba0.2
3.6 、Sn1.4 Al0.4 PK0.2 4.6 、Sn1.4 Al
0.2 Ba0.1 PK0.2 4.45、Sn1.4 Al0.2 Ba
0.2 PK0.2 4.6 、Sn1.4 Al0.4 Ba0.2 PK
0.2Ba0.1 0.2 4.9 、Sn1.4 Al0.4 PK0.3
4.65、Sn1.5 Al0.2 PK0.2 4.4 、Sn1.5
0.4 PK0.1 4.65、Sn1.5 Al0.4 PCs0.05
4.63、Sn1.5 Al0.4 PCs0.05Mg0.1 0.2
4.63
【0037】SnGe0・001 0.1 0.1
0.5 1、65、SnGe0、020.3 0.1 1、84、SnG
0、020.150.150.1 1、69、SnGe0、050.3
0.4 0.1 2、 5 、SnGe0、050.8
0.1 3、15、SnGe0、050.6 0.3 Mg0.1 0. 1
3、8 、SnGe0、050.5 0.5 Cs0.050.05
3、15、SnGe0、1 0.9 0.1 3、5 、SnGe0、1
0.7 0.2 0.1 Mg0.1 3、3 、SnGe0、1
0.5 0.5 Ba0.050.1 2、3 、SnGe0、1 0.5
0.5 Pb0.050.1 2、3 、SnGe0、1 0.5
0.5 Mg0.050.153、325 、SnGe0、1 0.5
0.5 Mg0.2 0.053、425 、SnGe0、1 0.5
0.5 Mg0.013、201 、SnGe0、1 0.5 0.5 Al
0. 05Mg0.1 0.1 3、425 、SnGe0、1 0.5
0.5 Mg0.1 Li0.1 3、35
【0038】SnSi0.5 Al0.1 0.2 0.1 Ca
0.4 3.1 、SnSi0.4 Al0.2 0. 4 2.7 、Sn
Si0.5 Al0.2 0.1 0.1 Mg0.1 2.8 、SnS
0.6 Al0.2 0.2 2.8、SnSi0.5 Al0.3
0.4 0.2 3.55、SnSi0.5 Al0.3 0.4 0.5
4.30、SnSi0.6 Al0.1 0.1 0.3 3.25、S
nSi0.6 Al0.1 0. 1 0.1 Ba0.2 2.95。Sn
Si0.6 Al0.1 0.1 0.1 Ca0.2 2.95、SnS
0.6 Al0.4 0.2 Mg0.1 3.2 、SnSi0.6
0.1 0.3 0. 1 3.05、SnSi0.6 Al0.2 Mg
0.2 2.7 、SnSi0.6 Al0.2 Ca0. 2 2.7 、S
nSi0.6 Al0.2 0.2 3 、SnSi0.6 0.2
0.2 3 、SnSi0.8 Al0.2 2.9 、SnSi0.8
Al0.3 0.2 0.2 3.85、SnSi0.8 0.2
2.9 、SnSi0.8 Ba0.22.8 、SnSi0.8 Mg
0.2 2.8 、SnSi0.8 Ca0.2 2.8 、SnSi
0.8 0.2 3.1
【0039】Sn0.9 Mn0.3 0.4 0.4 Ca0.1
0.1 2.95、Sn0.9 Fe0.3 0. 4 0.4 Ca0.1
Rb0.1 2.95、Sn0.8 Pb0.2 Ca0.1 0.9
3.35、Sn0.9 Mn0.1 Mg0.1 0.9 3.35、Sn
0.2 Mn0.8 Mg0.1 0.9 3.35、Sn0.7 Pb0.3
Ca0.1 0.9 3.35
【0040】上記焼成されて得られた化合物の化学式
は、測定方法として誘導結合プラズマ(ICP)発光分
光分析法、簡便法として、焼成前後の粉体の重量差から
算出できる。
【0041】本発明の負極材料への軽金属挿入量は、そ
の軽金属の析出電位に近似するまででよいが、例えば、
負極材料当たり50〜700モル%が好ましいが、特
に、100〜600モル%が好ましい。その放出量は挿
入量に対して多いほど好ましい。軽金属の挿入方法は、
電気化学的、化学的、熱的方法が好ましい。電気化学的
方法は、正極活物質に含まれる軽金属を電気化学的に挿
入する方法や軽金属あるいはその合金から直接電気化学
的に挿入する方法が好ましい。化学的方法は、軽金属と
の混合、接触あるいは、有機金属、例えば、ブチルリチ
ウム等と反応させる方法がある。電気化学的方法、化学
的方法が好ましい。該軽金属はリチウムあるいはリチウ
ムイオンが特に好ましい。
【0042】発明の負極材料には各種元素を含ませるこ
とができる。例えば、ランタノイド系金属(Hf、T
a、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg)や、電
子伝導性をあげる各種化合物(例えば、Sb、In、N
bの化合物)のドーパントを含んでもよい。添加する化
合物の量は0〜5モル%が好ましい。
【0043】本発明で用いられる酸化物の正極活物質あ
るいは負極材料の表面を、用いられる正極活物質や負極
材料と異なる化学式を持つ酸化物で被覆することができ
る。この表面酸化物は、酸性にもアルカリ性にも溶解す
る化合物を含む酸化物が好ましい。さらに、電子伝導性
の高い金属酸化物が好ましい。例えば、PbO2 、Fe
2 3 、SnO2 、In2 3 、ZnOなどやまたはこ
れらの酸化物にドーパント(例えば、酸化物では原子価
の異なる金属、ハロゲン元素など)を含ませることが好
ましい。特に好ましくは、SiO2 、SnO2 、Fe2
3 、ZnO、PbO2 である。
【0044】表面処理された金属酸化物の量は、該正極
活物質あるいは負極材料当たり、0.1〜10重量%が
好ましい。また、0.2〜5重量%が特に好ましく、
0.3〜3重量%が最も好ましい。
【0045】また、このほかに、正極活物質や負極材料
の表面を改質することができる。例えば、金属酸化物の
表面をエステル化剤により処理、キレート化剤で処理、
導電性高分子、ポリエチレンオキサイドなどにより処理
することが挙げられる。また、負極材料の表面を改質す
ることもできる。例えば、イオン導電性ポリマーやポリ
アセチレン層を設けるなどにより処理することが挙げら
れる。また、正極活物質や負極材料は水洗などの精製工
程を経てもよい。
【0046】電極合剤には、導電剤、結着剤、フィラ
ー、分散剤、イオン導電剤、圧力増強剤及びその他の各
種添加剤を用いることができる。導電剤は、構成された
電池において、化学変化を起こさない電子伝導性材料で
あれば何でもよい。通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状
黒鉛、土状黒鉛など)、人工黒鉛などのグラファイト
類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャン
ネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、
サーマルブラック、等のカーボンブラック類、炭素繊
維、金属繊維などの導電性繊維類、銅、ニッケル、アル
ミニウム、銀などの金属粉類、酸化亜鉛、チタン酸カリ
ウムなどの導電性ウィスカー類、酸化チタンなどの導電
性金属酸化物あるいはポリフェニレン誘導体などの有機
導電性材料などを単独又はこれらの混合物として含ませ
ることができる。これらの導電剤のなかで、アセチレン
ブラック、グラファイトとアセチレンブラックの併用が
特に好ましい。水分散の合剤を作成する場合には、導電
剤は予め水中に分散したものを用いるのが好ましい。導
電剤の添加量は、特に限定されないが、1〜50重量%
が好ましく、特に1〜30重量%が好ましい。カーボン
やグラファイトでは、2〜15重量%が特に好ましい。
【0047】結着剤としては、多糖類、熱可塑性樹脂及
びゴム弾性を有するポリマーを一種またはこれらの混合
物を用いることができる。好ましい例としては、でんぷ
ん、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、
ジアセチルセルロース、ポリビニルクロリド、ポリビニ
ルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ弗化
ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン
−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スル
ホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム、ポリブタジ
エン、フッ素ゴム及びポリエチレンオキシドを挙げるこ
とができる。また、多糖類のようにリチウムと反応する
ような官能基を含む化合物を用いるときは、例えば、イ
ソシアネート基のような化合物を添加してその官能基を
失活させることが好ましい。その結着剤の添加量は、特
に限定されないが、1〜50重量%が好ましく、特に2
〜30重量%が好ましい。合剤中における結着剤の分布
は、均一でも、不均一でもよい。本発明に於いて好まし
い結着剤剤は、分解温度が300℃以上のポリマーであ
る。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテト
ラフルオロエチレン(PTFE)、ポリふっ化ビニリデ
ン(PVDF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフル
オロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエ
チレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体
(PFA)、ふっ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピ
レン共重合体、ふっ化ビニリデン−クロロトリフルオロ
エチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン
共重合体(ETFE樹脂)、ポリクロロトリフルオロエ
チレン(PCTFE)、ふっ化ビニリデン−ペンタフル
オロプロピレン共重合体、プロピレン−テトラフルオロ
エチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチ
レン共重合体(ECTFE)、ふっ化ビニリデン−ヘキ
サフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合
体、ふっ化ビニリデン−パーフルオロメチルビニルエー
テル−テトラフルオロエチレン共重合体を挙げる事がで
きる。
【0048】フィラーは、構成された電池において、化
学変化を起こさない繊維状材料であれば何でも用いるこ
とができる。通常、ポリプロピレン、ポリエチレンなど
のオレフィン系ポリマー、ガラス、炭素などの繊維が用
いられる。フィラーの添加量は特に限定されないが、0
〜30重量%が好ましい。
【0049】イオン導電剤は、無機及び有機の固体電解
質として知られている物を用いることができ、詳細は電
解液の項に記載されている。圧力増強剤は、後述の内圧
を上げる化合物であり、炭酸塩が代表例である。
【0050】本発明の非水二次電池に用いられる正・負
極は、正極合剤あるいは負極合剤を集電体上に塗設して
作ることが出来る。正・負極は、正極活物質あるいは負
極材料を含む合剤層の他に、集電体と合剤層の密着や導
電性の改良等の目的で導入する下塗り層や、合剤層の機
械的保護や化学的保護の目的で導入する保護層などを有
してもよい。正極あるいは負極合剤には、それぞれ正極
活物質あるいは負極材料のほか、それぞれに導電剤、結
着剤、分散剤、フィラー、イオン導電剤、圧力増強剤や
各種添加剤を含むことができる。下塗り層や保護層は、
結着剤や導電剤粒子、導電性を持たない粒子などを含む
事ができる。
【0051】電解質は、一般に、溶媒と、その溶媒に溶
解するリチウム塩(アニオンとリチウムカチオン)とか
ら構成されている。溶媒としては、プロピレンカーボネ
−ト、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、
ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチル
エチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、ギ酸メチ
ル、酢酸メチル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒ
ドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチル
スルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、
ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリ
ル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエ
ステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、ス
ルホラン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピ
レンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、
エチルエーテル、1,3−プロパンサルトンなどの非プ
ロトン性有機溶媒を挙げることができ、これらの一種ま
たは二種以上を混合して使用する。これらの溶媒に溶解
するリチウム塩のカチオンとしては、例えば、ClO4
- 、BF4 - 、PF6 - 、CF3 SO3 - 、CF3 CO
2 - 、AsF6 - 、SbF6 - 、(CF3 SO2 2
- 、B10Cl10 2 - 、(1,2−ジメトキシエタン)2
ClO4 - 、低級脂肪族カルボン酸イオン、AlCl4
- 、Cl- 、Br- 、I- 、クロロボラン化合物のアニ
オン、四フェニルホウ酸イオンを挙げることができ、こ
れらの一種または二種以上を使用することができる。な
かでも環状カーボネート及び/または非環状カーボネー
トを含ませることが好ましい。例えば、ジエチルカーボ
ネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネ
ートを含ませることが好ましい。また、エチレンカーボ
ネート、プロピレンカーボネートを含ませることが好ま
しい。またエチレンカーボネートのほかに、プロピレン
カーボネート、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルカ
ーボネートあるいはジエチルカーボネートを適宜混合し
た電解液にLiCF3SO3 、LiClO4 、LiBF
4 および/あるいはLiPF6 を含む電解質が好まし
い。それらの支持塩では、LiPF6 を含ませることが
特に好ましい。
【0052】これら電解質を電池内に添加する量は、特
に限定されないが、正極活物質や負極材料の量や電池の
サイズによって必要量用いることができる。支持電解質
の濃度は、特に限定されないが、電解液1リットル当た
り0.2〜3モルが好ましい。
【0053】また、電解液の他に次の様な固体電解質も
併用することができる。固体電解質としては、無機固体
電解質と有機固体電解質に分けられる。無機固体電解質
には、Liの窒化物、ハロゲン化物、酸素酸塩などがよ
く知られている。なかでも、Li3 N、LiI、Li5
NI2 、Li3 N−LiI−LiOH、Li4 Si
4 、Li4 SiO4 −LiI−LiOH、x Li3
4 −(1-x)Li4 SiO4、Li2 SiS3 、硫化リン
化合物などが有効である。
【0054】有機固体電解質では、ポリエチレンオキサ
イド誘導体か該誘導体を含むポリマー、ポリプロピレン
オキサイド誘導体あるいは該誘導体を含むポリマー、イ
オン解離基を含むポリマー、イオン解離基を含むポリマ
ーと上記非プロトン性電解液の混合物、リン酸エステル
ポリマー、非プロトン性極性溶媒を含有させた高分子マ
トリックス材料が有効である。さらに、ポリアクリロニ
トリルを電解液に添加する方法もある。また、無機と有
機固体電解質を併用する方法も知られている。
【0055】また、放電や充放電特性を改良する目的
で、他の化合物を電解質に添加しても良い。例えば、ピ
リジン、トリエチルフォスファイト、トリエタノールア
ミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n−グライ
ム、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、
硫黄、キノンイミン染料、N−置換オキサゾリジノンと
N, N’−置換イミダリジノン、エチレングリコールジ
アルキルエーテル、第四級アンモニウム塩、ポリエチレ
ングリコール、ピロール、2−メトキシエタノール、A
lCl3 、導電性ポリマー電極活物質のモノマー、トリ
エチレンホスホルアミド、トリアルキルホスフィン、モ
ルホリン、カルボニル基を持つアリール化合物、12−
クラウン−4のようなクラウンエーテル類、ヘキサメチ
ルホスホリックトリアミドと4−アルキルモルホリン、
二環性の三級アミン、オイル、四級ホスホニウム塩、三
級スルホニウム塩などを挙げることができる。
【0056】また、電解液を不燃性にするために含ハロ
ゲン溶媒、例えば、四塩化炭素、三弗化塩化エチレンを
電解液に含ませることができる。また、高温保存に適性
をもたせるために電解液に炭酸ガスを含ませることがで
きる。
【0057】また、正極や負極の合剤には電解液あるい
は電解質を含ませることができる。例えば、前記イオン
導電性ポリマーやニトロメタン、電解液を含ませる方法
が知られている。
【0058】セパレーターとしては、大きなイオン透過
度を持ち、所定の機械的強度を持ち、絶縁性の微多孔性
薄膜が用いられる。また、80℃以上で孔を閉塞し、抵
抗をあげる機能を持つことが好ましい。耐有機溶剤性と
疎水性からポリプレピレンおよび/またはポリエチレン
などのオレフィン系ポリマーあるいはガラス繊維などか
らつくられたシートや不織布が用いられる。セパレータ
ーの孔径は、一般に電池用セパレーターとして用いられ
る範囲が用いられる。例えば、0.01〜10μmが用
いられる。セパレターの厚みは、一般に電池用セパレー
ターの範囲で用いられる。例えば、5〜300μmが用
いられる。セパレーターの製造は、ポリマーの合成後、
孔の作り方としては、乾式、延伸法でも溶液、溶媒除去
法あるいはそれらの組み合わせでもでもよい。
【0059】電極活物質の集電体としては、構成された
電池において化学変化を起こさない電子伝導体であれば
何でもよい。例えば、正極には、材料としてステンレス
鋼、ニッケル、アルミニウム、チタン、炭素などの他
に、アルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニ
ッケル、チタンあるいは銀を処理させたものが用いられ
る。特に、アルミニウムあるいはアルミニウム合金が好
ましい。負極には、材料としてステンレス鋼、ニッケ
ル、銅、チタン、アルミニウム、炭素などの他に、銅や
ステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンある
いは銀を処理させたもの、Al−Cd合金などが用いら
れる。特に、銅あるいは銅合金が好ましい。これらの材
料の表面を酸化することも用いられる。また、表面処理
により集電体表面に凹凸を付けることが望ましい。形状
は、フォイルの他、フィルム、シート、ネット、パンチ
されたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の成形
体などが用いられる。厚みは、特に限定されないが、1
〜500μmのものが用いられる。
【0060】電池の形状はシート、シリンダー、偏平、
角などいずれにも適用できる。正極活物質や負極材料の
合剤は、集電体の上に塗布(コート)、乾燥、圧縮され
て、主に用いられる。塗布方法は、一般的な方法を用い
ることができる。例えば、リバースロール法、ダイレク
トロール法、ブレード法、ナイフ法、エクストルージョ
ン法、カーテン法、グラビア法、バー法、ディップ法及
びスクイーズ法を挙げることができる。そのなかでもブ
レード法、ナイフ法及びエクストルージョン法が好まし
い。塗布は、0.1〜100m/分の速度で実施される
ことが好ましい。この際、合剤の溶液物性、乾燥性に合
わせて、上記塗布方法を選定することにより、良好な塗
布層の表面状態を得ることができる。塗布は、片面ずつ
逐時でも両面同時でもよい。また、塗布は連続でも間欠
でもストライプでもよい。その塗布層の厚み、長さや巾
は、電池の大きさにより決められるが、片面の塗布層の
厚みは、ドライ後の圧縮された状態で、1〜2000μ
mが特に好ましい。
【0061】シートの乾燥又は脱水方法としては、一般
に採用されている方法を利用することができる。特に、
熱風、真空、赤外線、遠赤外線、電子線及び低湿風を単
独あるいは組み合わせて用いることが好ましい。温度は
80〜350℃の範囲が好ましく、特に100〜250
℃の範囲が好ましい。含水量は、電池全体で2000p
pm以下が好ましく、正極合剤、負極合剤や電解質では
それぞれ500ppm以下にすることがサイクル性の点
で好ましい。シートのプレス法は、一般に採用されてい
る方法を用いることができるが、特に金型プレス法やカ
レンダープレス法が好ましい。プレス圧は、特に限定さ
れないが、0.2〜3t/cm2 が好ましい。カレンダ
ープレス法のプレス速度は、0.1〜50m/分が好ま
しい。プレス温度は、室温〜200℃が好ましい。正極
シートに対する負極シートとの幅の比率は、0.9〜
1.1が好ましい。特に、0.95〜1.0が好まし
い。正極活物質と負極材料の含有量比は、化合物種類や
合剤処方により異なるため、限定できないが、容量、サ
イクル性、安全性の観点で最適な値に設定できる。
【0062】該合剤シートとセパレーターを介して重ね
合わせた後、それらのシートは、巻いたり、折ったりし
て缶に挿入し、缶とシートを電気的に接続し、電解液を
注入し、封口板を用いて電池缶を形成する。このとき、
安全弁を封口板として用いることができる。安全弁の
他、従来から知られている種々の安全素子を備えつけて
も良い。例えば、過電流防止素子として、ヒューズ、バ
イメタル、PTC素子などが用いられる。また、安全弁
のほかに電池缶の内圧上昇の対策として、電池缶に切込
を入れる方法、ガスケット亀裂方法あるいは封口板亀裂
方法あるいはリード板との切断方法を利用することがで
きる。また、充電器に過充電や過放電対策を組み込んだ
保護回路を具備させるか、あるいは、独立に接続させて
もよい。また、過充電対策として、電池内圧の上昇によ
り電流を遮断する方式を具備することができる。このと
き、内圧を上げる化合物を合剤の中あるいは電解質の中
に含ませることができる。内圧を上げる化合物としては
Li2 CO3 、LiHCO3、Na2 CO3 、NaHC
3 、CaCO3 、MgCO3 などの炭酸塩などがあげ
られる。缶やリード板は、電気伝導性をもつ金属や合金
を用いることができる。例えば、鉄、ニッケル、チタ
ン、クロム、モリブデン、銅、アルミニウムなどの金属
あるいはそれらの合金が用いられる。キャップ、缶、シ
ート、リード板の溶接法は、公知の方法(例、直流又は
交流の電気溶接、レーザー溶接、超音波溶接)を用いる
ことができる。封口用シール剤は、アスファルトなどの
従来から知られている化合物や混合物を用いることがで
きる。
【0063】本発明の非水二次電池の用途には、特に限
定されないが、例えば、電子機器に搭載する場合、カラ
ーノートパソコン、白黒ノートパソコン、サブノートパ
ソコンペン入力パソコン、ポケット(パームトップ)パ
ソコン、ノート型ワープロ、ポケットワープロ、電子ブ
ックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ペ
ージャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携
帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビ
デオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポ
ータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、電子翻
訳機、自動車電話、トランシーバー、電動工具、電子手
帳、電卓、メモリーカード、テープレコーダー、ラジ
オ、バックアップ電源、メモリーカードなどが挙げられ
る。その他民生用として、自動車、電動車両、モータ
ー、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショ
ナー、アイロン、時計、ストロボ、カメラ、医療機器
(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機など)などが挙げ
られる。更に、各種軍需用、宇宙用として用いることが
できる。また、他の二次電池や太陽電池あるいは一次電
池と組み合わせることもできる。
【0064】本発明の好ましい組合せは、上記の化学材
料や電池構成部品の好ましいものを組み合わすことが好
ましいが、特に正極活物質として、Lix CoO2 、L
xMn2 4 (ここで0≦x≦1)を含み、導電剤と
してアセチレンブラックも共に含む。正極集電体はステ
ンレス鋼かアルミニウムから作られている、ネット、シ
ート、箔、ラスなどの形状をしている。負極材料とし
て、リチウム金属、リチウム合金(Li−Al)、炭素
質化合物、酸化物(LiCoVO4 、SnO2 、Sn
O、SiO、GeO2 、GeO、SnSiO3 、SnS
0.3 Al0.1 0. 2 0.3 3.2 )、硫化物(TiS
2 、SnS2 、SnS、GeS2 、GeS)などを含む
少なくとも1種の化合物を用いることが好ましい。負極
集電体はステンレス鋼か銅から作られている、ネット、
シート、箔、ラスなどの形状をしている。正極活物質あ
るいは負極材料とともに用いる合剤には、電子伝導剤と
してアセチレンブラック、黒鉛などの炭素材料を混合し
てもよい。結着剤はポリフッ化ビニリデン、ポリフルオ
ロエチレンなどの含フッ素熱可塑性化合物、アクリル酸
を含むポリマー、スチレンブタジエンゴム、エチレンプ
ロピレンターポリマーなどのエラストマーを単独あるい
は混合して用いることができる。また、電解液として、
エチレンカーボネート、さらに、ジエチルカーボネー
ト、ジメチルカルボネートなどの環状、非環状カーボネ
ートあるいは酢酸エチルなどのエステル化合物の組合
せ、支持電解質として、LiPF6を含み、さらに、L
iBF4 、LiCF3 SO3 などのリチウム塩を混合し
て用いることが好ましい。さらに、セパレーターとし
て、ポリプロピレンあるいはポリエチレンの単独または
それらの組合せが好ましい。電池の形態は、シリンダ
ー、偏平、角型のいづれでもよい。電池には、誤動作に
も安全を確保できる手段(例、内圧開放型安全弁、電流
遮断型安全弁、高温で抵抗を上げるセパレーター)を備
えることが好ましい。
【0065】
【実施例】以下に具体例をあげ、本発明をさらに詳しく
説明するが、発明の主旨を越えない限り、本発明は実施
例に限定されるものではない。 実施例1 負極活物質は、石油ピッチを用い、これに酸素架橋を1
0から20重量%導入した後、不活性ガス中にて100
0℃で焼成した。該活物質の真比重をピクノメーターに
て測定したところ、1.54g/cm3 であった。該活物
質をジェットミルにて平均粒子径20μmに粉砕した。
これを負極活物質として90重量%、結着剤としてフッ
化ビニリデン樹脂(PVDF)を10重量%混合し、負
極合剤を作製した。次に、この負極合剤をN−メチルピ
ロリドンにて分散させた。上記負極合剤の分散物を、厚
さ10μmの帯状の銅箔の両面にエクストルージョン法
にて塗布し、乾燥後カレンダープレス機により圧縮成型
して帯状負極を作製した。成型後の合剤厚さは両面共に
80μm、幅は41mm、長さは300mmとした。
【0066】正極として、正極活物質に市販のLiCo
2 を87重量%、鱗片状黒鉛を6重量%、アセチレン
ブラックを3重量%、更に結着剤としてポリテトラフル
オロエチレン水分散物を3重量%と分散剤としてCMC
を1重量%加え、水を媒体として混練して得られたスラ
リーを厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に上記負極
と同様の方法にて塗布したサンプルC−1を作成した。
続いて、上記同様のスラリーに炭酸水素ナトリウムを1
重量%加えて得られるスラリーを同様に厚さ20μmの
アルミニウム箔の両面に塗布したサンプルC−2を作成
した。次に、サンプルC−2で使用した炭酸水素ナトリ
ウムに変えて、表1で示した各種の塩を添加して同様に
サンプルを作成した。
【0067】上記正極及び負極をポリエチレン性のセパ
レーターを間に挟んで巻回し、電解液としてエチレンカ
ーボネートとジエチレンカーボネートを2:8の比で混
合し支持塩にLiPF6 を1モル%含有したものを使用
してシリンダー型の電池を作成した。各電池を10本づ
つ準備し、1300mA:4.10V、2時間のCC−
CV充電し、1300mAの定電流で2.8Vまで放電
する充放電サイクルを繰り返した。10サイクル目の放
電容量(以下初期容量と言う)に対する、250サイク
ル目の放電容量を百分率で計算した。結果を表1に示
す。
【0068】
【表1】
【0069】表1から明らかなように、塩類のないC−
1を使用した電池は十分なサイクル性能が得られず、こ
れに対して塩類を使用した電池は良好な性能を示すこと
がわかる。
【0070】実施例2 炭酸リチウムと炭酸コバルトをLi:O2 =1:1.1
になるように混合し、空気中で900℃、5時間焼成
し、LiCoO2 と炭酸リチウムの混合した活物質D−
1を作製した。該活物質には炭酸リチウムがLiCoO
2 に対して2重量%混合していた。次に実施例1のC−
2において炭酸リチウムがLiCoO2 に対して2重量
%になるように正極合剤中に添加したサンプルD−2を
作製した。実施例1と同様に各電池を10本づつ準備
し、サイクル特性を評価した。更に、1500mAの定
電流放電容量を、300mAの定電流放電時の容量と比
較(レート特性)した。その結果、サンプルD−1を使
用した電池のサイクル特性は81%であるのに対し、サ
ンプルD−2を使用した電池では94%と優れた性能を
示した。更にレート特性は、D−1の場合が79%であ
るのに対して、D−2では89%と高電流適正が優れて
いることがわかった。
【0071】実施例3 負極活物質として以下の合成を行った。ピロリン酸錫1
0.3g、一酸化錫6.7g、三酸化二硼素1.7g、
炭酸カリウム0.69g、酸化マグネシウム0.4g、
二酸化ゲルマニウム1.0gを乾式混合し、アルミナ製
るつぼに入れ、アルゴン雰囲気下15℃/分で1000
℃まで昇温した。1100℃で12時間焼成した後、1
0℃/分で室温にまで降温し、焼成炉より取り出して、
SnGe0.1 0.5 0.5 Mg0.1 0.1 3.35を得
た。該化合物を粗粉砕し、さらにジェットミルで粉砕
し、平均粒径7.0μmの粉末を得た(化合物1−
1)。これはCuKα線を用いたX線回折法において2
θ値で28°付近に頂点を有するブロードなピークを有
する物であり、2θ値で40°以上70°以下には結晶
性の回折線は見られなかった。上記化合物を負極活物質
として83重量%、鱗片状黒鉛を9重量%、アセチレン
ブラックを3重量%、結着剤としてフッ化ビニリデン樹
脂(PVDF)を4重量%混合し、負極合剤を作製し
た。次に、この負極合剤をカルボキシメチルセルロース
1重量%と共に、水を媒体として混練してスラリーを作
製した。上記負極合剤の分散物を、厚さ10μmの帯状
の銅箔の両面にエクストルージョン法にて塗布し、乾燥
後カレンダープレス機により圧縮成型して帯状負極を作
製した。成型後の合剤膜の厚さは両面共に36μm、幅
は55mm、長さは510mmとした。
【0072】正極として、正極活物質に市販のLiCo
2 を94重量%、アセチレンブラックを3重量%、結
着剤として2−エチルヘキシルアクリレート、アクリロ
ニトリル及びアクリル酸が8:1:0.5の共重合体を
2重量%混合し、負極同様カルボキシメチルセルース
1.5重量%と共に、水を媒体として混練してスラリー
を作製した。上記スラリーを厚さ20μmのアルミニウ
ム箔の両面に上記負極と同様の方法にて塗布したサンプ
ルE−1を作成した。続いて、上記同様のスラリーに炭
酸水素ナトリウムを表2で示す様に添加量を変化させた
スラリーを作製し、同様に厚さ20μmのアルミニウム
箔の両面に塗布した。
【0073】上記で作成した正極を実施例1と同様に巻
回し電池を作成し、同様にサイクル特性を評価した。結
果を表2に示す。
【0074】
【表2】
【0075】表2からわかるように、添加量が0.02
重量%以下の場合は、十分なサイクル改善効果が現れな
かった。一方10重量%以上の量ではサイクル性が適正
範囲の時より若干悪く、また、巻回時に合剤の剥離が一
部で観測されることが判明した。従って、添加量は本発
明に記載の範囲が好ましいことがわかる。
【0076】実施例4 実施例3で作成したE−3において、電解液を2入り薄
膜層を使用した電池の電解液として、エチレンカーボネ
ート/ジエチレンカーボネート/ジメチルカーボネート
を2:4:4で混合し、支持塩としてLiPF6 /Li
BF4 を95:5の割合で使用した。その結果、実施例
3で使用した電解液の時に比べて、200サイクル後の
容量残存率が98%以上とかなり良好な結果がえられ
た。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】集電体に活物質を含む電極合剤を塗布して
    なるシート状の正極及び負極及びリチウム塩を含む非水
    電解液からなる非水二次電池において、該正極及び/ま
    たは負極シート上、非水電解液中または電池缶内部の空
    間の何れかに塩類を含有させることを特徴とする非水二
    次電池。
  2. 【請求項2】該塩類が、アルカリ金属又はアルカリ土類
    金属の塩あるいは炭酸、シュウ酸、硝酸、酢酸、リン
    酸、及び硼酸から選ばれる少なくとも1種の塩であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の非水二次電池。
  3. 【請求項3】該塩類が、リチウム、ナトリウム、カリウ
    ム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、
    マンガンより選ばれる炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、酢
    酸塩、リン酸塩、及び硼酸塩の少なくとも1種であるこ
    とを特徴とする請求項2に記載の非水二次電池。
  4. 【請求項4】該塩類が正極活物質の0.02重量%以
    上、10重量%以下の量で活物質とは別に存在すること
    を特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の非
    水二次電池。
  5. 【請求項5】該非水電解液中にLiBF4 が全支持塩量
    の1モル%以上、50モル%以下存在することを特徴と
    する請求項1から4のいずれか1項に記載の非水二次電
    池。
  6. 【請求項6】該塩類を、正極合剤中に存在させたことを
    特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の非水
    二次電池。
  7. 【請求項7】該塩類を、非水電解液中に存在させたこと
    を特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の非
    水二次電池。
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