JP2013211257A - 非水電解質電池およびパック電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】抵抗増加が少なく、長寿命な非水電解質電池を提供する。
【解決手段】外装容器と、外装容器内に収納された活物質を含む正極と、外装容器内に収納され、正極と空間的に離間し、リチウム作用電位が0.4V(vs.Li/Li+)よりも貴な活物質を含む負極と、外装容器内に充填されたフッ素含有リチウム塩を含む非水電解質とを具備し、前記非水電解質はリン酸系化合物を含み、前記リン酸系化合物はAx3-xPO4、ここで、AはNa、Kから選ばれる少なくとも1つの元素で、xは0≦x≦3である、およびA’y(6-2y)(PO42、ここで、A’はMg、Caから選ばれる少なくとも1つの元素で、yは0≦y≦3である、からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする非水電解質電池。
【選択図】 図1

Description

本実施形態は、非水電解質電池およびパック電池に係わる。
リチウムイオンが負極と正極の間で移動することにより充放電される非水電解質電池は、高エネルギー密度電池として盛んに研究開発が進められている。活物質としてリチウム遷移金属複合酸化物を用い、活物質として炭素質物を用いる非水電解質電池は既に商用化されている。リチウム遷移金属複合酸化物は、遷移金属としてCo,Mn,Niなどを用いるのが一般的である。
近年、非水電解質電池において、炭素質物に比べてリチウム吸蔵放出電位が高い、例えばリチウムチタン複合酸化物(約1.5V vs.Li/Li+)を活物質として用いることが検討されている。リチウムチタン複合酸化物は、充放電に伴う体積変化が少ないためサイクル特性に優れる。また、原理的にリチウム金属が析出することがないため、大電流での充電が可能になる。
しかしながら、リチウムチタン複合酸化物は表面に吸着する水分が多く、かつ表面に水酸基が存在する。このため、主に水が非水電解液と反応して遊離酸を生成する。生成した遊離酸は正極の活物質を溶解させ、その溶解物質が負極表面に析出して表面抵抗を増大させる。その結果、電池性能、特に抵抗増大に伴う寿命性能を低下させる。
特許第3866740号公報 特開平9−199179号公報
本発明は、リチウム吸蔵放出電位が高い材料(例えばリチウムチタン複合酸化物)を活物質として含む負極およびフッ素含有リチウム塩を含む非水電解質を備え、抵抗に起因する寿命性能を向上した非水電解質電池を提供することを目的とする。
本発明の第1の側面によると、外装容器と、
前記外装容器内に収納された活物質を含む正極と、
前記外装容器内に収納され、前記正極と空間的に離間し、リチウム作用電位が0.4V(vs.Li/Li+)よりも貴な活物質を含む負極と、
前記外装容器内に充填されたフッ素含有リチウム塩を含む非水電解質と、
を具備し、
前記非水電解質は、リン酸系化合物を含み、前記リン酸系化合物はAx3-xPO4、ここで、AはNa、Kから選ばれる少なくとも1つの元素で、xは0≦x≦3である、およびA’y(6-2y)(PO42、ここで、A’はMg、Caから選ばれる少なくとも1つの元素で、yは0≦y≦3である、からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする非水電解質電池が提供される。
本発明の第2の側面によると、外装容器と、
前記外装容器内に収納された活物質を含む正極と、
前記外装容器内に収納され、前記正極と空間的に離間し、リチウム作用電位が0.4V(vs.Li/Li+)よりも貴な活物質を含む負極と、
前記外装容器内に充填されたフッ素含有リチウム塩を含む非水電解質と、
を具備し、
前記負極は、リン酸系化合物を含み、前記リン酸系化合物はAx3-xPO4、ここで、AはNa、Kから選ばれる少なくとも1つの元素で、xは0≦x≦3である、およびA’y(6-2y)(PO42、ここで、A’はMg、Caから選ばれる少なくとも1つの元素で、yは0≦y≦3である、からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする非水電解質電池が提供される。
実施形態に係る扁平型非水電解質電池の断面図である。 図1のA部の拡大断面図である。 実施形態に係る別の扁平型非水電解質電池を模式的に示す部分切欠斜視図である。 図3のB部の拡大断面図である。 実施形態に係る電池パックの分解斜視図である。 図5の電池パックの電気回路を示すブロック図である。
以下、実施形態に係る非水電解質電池を詳細に説明する。
実施形態に係る非水電解質電池は、外装容器と、外装容器内に収納された活物質を含む正極と、外装容器内に収納され、正極と空間的に離間する、リチウム作用電位が0.4V(vs.Li/Li+)よりも貴な活物質を含む負極と、外装容器内に充填されたフッ素含有リチウム塩を含む電解質とを具備する。非水電解質は、リン酸系化合物を含む。リン酸系化合物は、Ax3-xPO4、ここで、AはNa、Kから選ばれる少なくとも1つの元素で、xは0≦x≦3である、およびA’y(6-2y)(PO42、ここで、A’はMg、Caから選ばれる少なくとも1つの元素で、yは0≦y≦3である、からなる群から選択される少なくとも1つの化合物である。
別の実施形態に係る非水電解質電池は、前記リン酸系化合物が非水電解質の代わりに負極に含まれる。
非水電解質電池には、構成部材に由来するまたは製造工程で、不可避な水分がその内部に含まれる。水分は、非水電解液に含まれるフッ素含有リチウム塩、例えばLiBF4またはLiPF6と反応して遊離酸であるフッ酸を発生させる。フッ酸は、正極の活物質に作用して活物質の構成元素、例えば遷移金属元素を溶解する。溶解した遷移金属イオンは負極表面に移動・析出して抵抗増大をもたらす。電池寿命は、容量と抵抗の2つの要素に起因する。後者の抵抗に起因する寿命低下は、高出力電池において所定のパワーを維持する性能が低下することを意味する。
このような含有水分を除去する方法として、従来、例えば活性アルミナのような吸着材を添加し、水分を物理的に吸着する方法が知られている。しかしながら、水分の除去効果が低く、高温になると取り込んだ水分を再び放出する問題があった。
本発明者らは、電解質にAx3-xPO4、ここで、AはNa、Kから選ばれる少なくとも1つの元素で、xは0≦x≦3である、およびA’y(6-2y)(PO42、ここで、A’はMg、Caから選ばれる少なくとも1つの元素で、yは0≦y≦3である、からなる群から選択される少なくとも1つのリン酸系化合物を含有させることによって、抵抗に起因する寿命性能を向上できることを確認した。このような効果は、負極中に前記リン酸系化合物を含有させても同様に発現できる。
前記リン酸系化合物を非水電解質または負極に含有させることによる抵抗に起因する寿命性能を向上は、次の機構によるものと考えられる。すなわち、非水電解質に含有させたリン酸系化合物が前述した遊離酸であるフッ酸と主に反応して、フッ酸による正極の活物質の溶解を抑制する。その結果、溶解した活物質の構成元素、例えば遷移金属元素のイオンによる負極表面への移動・析出を抑制し、抵抗に起因する寿命性能を向上した非水電解質電池を得ることができる。
なお、正極および負極の電極のうち、負極にリン酸系化合物を含有させるのは、負極の活物質が水分を持ち込み易く、負極近傍で遊離酸であるフッ酸が多く生成するためである。
以下、非水電解質電池を構成する負極、非水電解液、正極、セパレータ、外装容器について詳細に説明する。
1)負極
負極は、集電体と、この集電体の一方または両方の面に形成され、活物質を含む負極層とを備える。
活物質は、リチウム吸蔵・放出電位が0.4V(vs.Li/Li+)より貴な活物質である。活物質の中で、リチウムチタン複合酸化物が好ましい。リチウムチタン複合酸化物は、1.5V(vs.Li/Li+)近傍でリチウムを吸蔵する。リチウムチタン複合酸化物以外には、例えばリチウム吸蔵・放出電位が1〜2V(vs.Li/Li+)のLixNb25またはLixNbO3のようなリチウム二オブ複合酸化物、リチウム吸蔵・放出電位が2〜3V(vs.Li/Li+)のLixMoO3のようなリチウムモリブデン複合酸化物、リチウム吸蔵・放出電位が1.8V(vs.Li/Li+)のLixFeS2のようなリチウム鉄複合硫化物が挙げられる。ここで、xは0≦x≦4あることが好ましい.
リチウムチタン複合酸化物は、例えば、Li4+xTi512(xは0≦x≦3)またはLi2+yTi37(yは0≦y≦3)で表わされるリチウムチタン酸化物、リチウムチタン酸化物の構成元素の一部を異種元素で置換したリチウムチタン複合酸化物などを挙げることができる。
また、TiO2、TiとP、V、Sn、Cu、Ni、CoおよびFeからなる群から選択される少なくとも1つの元素を含有するチタン複合酸化物なども活物質として用いることができる。これらの物質は、初回の充電時にリチウムを吸蔵してリチウムチタン複合酸化物となる。
TiO2は単斜晶系β型構造を有するものが好ましい。TiとP、V、Sn、Cu、Ni、CoおよびFeからなる群から選択される少なくとも1つの元素を含有する金属複合酸化物は、例えば、TiO2−P25、TiO2−V25、TiO2−P25−SnO2、TiO2−P25−MeO(MeはCu、Ni、CoおよびFeからなる群から選択される少なくとも1つの元素)などを挙げることができる。この金属複合酸化物は、結晶相とアモルファス相が共存もしくはアモルファス相単独で存在したミクロ構造であることが好ましい。ミクロ構造を有する金属複合酸化物はサイクル性能が大幅に向上することができる。中でも、リチウムチタン酸化物、TiとP、V、Sn、Cu、Ni、CoおよびFeからなる群から選択される少なくとも1つの元素を含有する金属複合酸化物が好ましい。
活物質の平均一次粒径は、1μm以下にすることが望ましい。但し、平均粒径が小さ過ぎると、非水電解液の分布が負極側に偏り、正極での電解質の枯渇を招く恐れがあるため、その下限値は0.001μmにすることが好ましい。
活物質は、その平均一次粒径が1μm以下で、かつN2吸着によるBET法での比表面積が5〜50m2/gの範囲であることが望ましい。このような活物質は、非水電解液の含浸性を高めることが可能となる。
前記比表面積を有する活物質は、非水電解液の含浸性を高める点で有利である。しかしながら、このような比表面積を有する活物質は水との親和力が高く、比表面積が大きいほど、多くの水分を電池内に持ち込むため、前述したように水分に起因する負極の抵抗増大を助長する。実施形態では、前述したように非水電解質または負極にリン酸系化合物を含ませるため、前記比表面積を有する活物質を用いても、水分に起因する負極の抵抗増大を抑制し、抵抗に起因する寿命性能を向上した非水電解質電池を得ることができる。
負極層の気孔率は、20〜50%の範囲にすることが望ましい。このような気孔率を有する負極層は、非水電解液との親和性に優れ、かつ高密度化が可能になる。より好ましい気孔率は、25〜40%である。
負極層の密度は、2g/cc以上にすることが望ましい。密度を2g/cc未満にすると、前述した気孔率を有する負極層を得ることが困難になる恐れがある。負極層のより好ましい密度は、2〜2.5g/ccである。
集電体は、アルミニウム箔またはアルミニウム合金箔であることが好ましい。集電体は、平均結晶粒径が50μm以下であることが好ましい。このような集電体は、強度を飛躍的に増大できるため、負極を高いプレス圧で高密度化することが可能となり、電池容量を増大させることができる。また、高温環境下(40℃以上)における過放電サイクルでの集電体の溶解・腐食劣化を防ぐことができるため、負極インピーダンスの上昇を抑制することができる。さらに、出力特性、急速充電、充放電サイクル特性も向上させることができる。より好ましい平均結晶粒径は、30μm以下であり、更に好ましくは5μm以下である。
平均結晶粒径は次のようにして求められる。集電体表面の組織を光学顕微鏡で組織観察し、1mm×1mm内に存在する結晶粒の数nを求める。このnを用いてS=1x106/n(μm2)から平均結晶粒子面積Sを求める。得られたSの値から下記(1)式により平均結晶粒子径d(μm)を算出する。
d=2(S/π)1/2 (1)
前記平均結晶粒子径の範囲が50μm以下の範囲にあるアルミニウム箔またはアルミニウム合金箔は、材料組成、不純物、加工条件、熱処理履歴ならび焼なましの加熱条件など多くの因子に複雑に影響され、前記結晶粒子径(直径)は、製造工程の中で、前記諸因子を組み合わせて調整される。
アルミニウム箔およびアルミニウム合金箔の厚さは、20μm以下、より好ましくは15μm以下である。アルミニウム箔の純度は99%以上が好ましい。アルミニウム合金としては、マグネシウム、亜鉛、ケイ素などの元素を含む合金が好ましい。一方、鉄、銅、ニッケル、クロムなどの遷移金属の含有量は1%以下にすることが好ましい。
導電剤は、負極層に前述した活物質と共に含まれ、集電性能を高め、かつ集電体との接触抵抗を低減する。導電剤は、例えば炭素材料、アルミニウム粉末などの金属粉末、TiOなどの導電性セラミックスを用いることができる。炭素材料は、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック、コークス、炭素繊維、黒鉛が挙げられる。より好ましい導電剤は、熱処理温度が800〜2000℃の平均粒子径10μm以下のコークス、黒鉛、TiOの粉末、平均粒子径1μm以下の炭素繊維である。前記炭素材料のN2吸着によるBET比表面積は、10m2/g以上であることが好ましい。
結着剤は、負極層にさらに含まれ、活物質と導電剤を結着させる。このような結着剤は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン、フッ素系ゴム、スチレンブタジエンゴム、コアシェルバインダーなどが挙げられる。
活物質、導電剤および結着剤の配合比は、活物質70質量%以上96質量%以下、導電剤2質量%以上28質量%以下、結着剤2質量%以上28質量%以下にすることが好ましい。導電剤量を2質量%未満にすると、負極層の集電性能が低下し、非水電解電池の大電流特性が低下する恐れがある。また、結着剤量を2質量%未満にすると、負極層と集電体の結着性が低下し、サイクル特性が低下する恐れがある。一方、高容量化の観点から、導電剤および結着剤は各々28質量%以下であることが好ましい。
負極は、例えば活物質、導電剤および結着剤を汎用されている溶媒に懸濁してスラリーを調製し、このスラリーを集電体に塗布し、乾燥し、負極層とした後、プレスを施すことにより作製される。スラリーの調製は、以下のように行う。まず、少量の溶媒に活物質、導電剤および結着剤を投入し、固形比率(溶媒に対する活物質、導電剤および結着剤の比率)が大きい状態で、プラネタリーミキサーなどで混練し、強い剪断力を掛けて固形分を均一に分散させる。この際、固形比率を低くすると、剪断力が小さくなり、凝集した活物質を十分に砕けなくなり、固形分が均一に分散されない。この工程は、活物質の粒子径が細かくなるほど重要であり、平均粒子径が1μm以下の粒子を扱う場合には、特に重要となる。固形比率が高い状態で十分に混練を行った後、溶媒を加えながら固形比率を徐々に低下させて、塗工が可能な粘度に調整する。塗工可能な粘度に調整したスラリーを更に、セラミックボールをメディアとしてビーズミルで十分に混合する。この工程により、活物質粒子のエッジが削り取られ、活物質粒子の表面が平滑化され、高密度充填が可能になり、細孔径分布を小孔径側にシフトさせることができ、所定の細孔径分布を有する負極が得られる。セラミックボールは、ガラス、アルミナ、ムライト、窒化ケイ素など種々の材質を用いることができる。中でも、耐摩耗性、耐衝撃性の観点から、ジルコニア製のボールが好ましい。ボールの直径は0.5〜5mmが好ましい。ボールの直径が0.5mm未満にすると、衝撃力が小さくなる。他方、ボールの直径が5mmを超えると、メディア同士の接触面積が少なくなり、混練能力が低下する。より好ましいボールの直径は、1〜3mmである。
得られたスラリーを集電体上に塗布し、乾燥した後、ロールプレス機などで圧延し、負極を完成させる。ロール温度は、40〜180℃とすることが好ましい。ロール温度を40℃未満にすると、プレス時に活物質よりも比重の軽い導電剤が負極層表面に浮き上がる。その結果、適度な細孔を有する高密度な負極層が得られず、電解液の含浸性が低下する恐れがある。また、電池性能も低下する。ロール温度が180℃を超えると、結着剤の結晶化が進行し、負極層の柔軟性が低下して折れたり、剥がれたり、する恐れがある。その結果、生産性が低下、出力特性や充放電サイクル特性などの電池性能が低下する。より好ましいロール温度は、90〜150℃である。
このような構成の負極において、別の実施形態では負極層にAx3-xPO4、ここで、AはNa、Kから選ばれる少なくとも1つの元素で、xは0≦x≦3である、およびA’y(6-2y)(PO42、ここで、A’はMg、Caから選ばれる少なくとも1つの元素で、yは0≦y≦3である、からなる群から選択される少なくとも1つのリン酸系化合物を含む。
リン酸系化合物による効果は、AまたはA’であるK、Na、Mg、Caの順である。リン酸系化合物は、負極層にその中の活物質に対して0.1〜5質量%含まれることが好ましい。リン酸系化合物の含有量を0.1質量%未満にすると、寿命の改善効果を十分に達成することが困難になる。他方、リン酸系化合物の含有量が5質量%を超えると、活物質の比率が低下して負極容量が低下する恐れがある。より好ましいリン酸系化合物は、活物質に対して0.5〜3質量%である。
2)非水電解液
非水電解液は、電解質であるフッ素含有リチウム塩を非水溶媒に溶解することにより調製される、常温(20℃)で液体の電解質である。
実施形態では、非水電解液にAx3-xPO4、ここで、AはNa、Kから選ばれる少なくとも1つの元素で、xは0≦x≦3である、およびA’y(6-2y)(PO42、ここで、A’はMg、Caから選ばれる少なくとも1つの元素で、yは0≦y≦3である、からなる群から選択される少なくとも1つのリン酸系化合物を含む。
前記リン酸系化合物は、非水電解液の調製当初において、非水電解液の総質量に対し、0.01質量%以上5質量%以下の量で含むことが好ましい。リン酸系化合物の含有量を0.01質量%未満にすると、抵抗増加の抑制効果を長期間得られなくなる恐れがある。他方、リン酸系化合物の含有量が5質量%を超えると、非水電解液自体の電導度が低下して、大電流性能が低下する恐れがある。より好ましいリン酸系化合物の含有量は、0.2質量%以上2質量%以下である。
電解質であるフッ素含有リチウム塩は、0.5mol/L以上2.5mol/L以下の濃度で非水溶媒に溶解する。
フッ素含有リチウム塩は、例えば六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム[LiN(CF3SO22]が挙げられる。フッ素含有リチウム塩は、単独または2種類以上の混合物で使用することができる。フッ素含有リチウム塩は、高電位でも酸化し難い性質を有するLiBF4またはLiPF6が最も好ましい。
非水溶媒は、例えばプロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ビニレンカーボネート等の環状カーボネート;ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)等の鎖状カーボネート;テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン(2MeTHF)、ジオキソラン(DOX)等の環状エーテル;ジメトキシエタン(DME)、ジエトエタン(DEE)等の鎖状エーテル;γ−ブチロラクトン(GBL)、アセトニトリル(AN)、スルホラン(SL)等の単独または混合溶媒を挙げることができる。
好ましい非水溶媒は、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)およびγ−ブチロラクトン(GBL)からなる群のうち、2つ以上を混合した混合溶媒である。さらに好ましい非水溶媒は、γ−ブチロラクトン(GBL)を必須とする混合溶媒である。これは、以下の理由によるものである。
(1)γ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートは沸点および引火点が高く、熱安定性に優れる。
(2)γ−ブチロラクトンは、鎖状カーボネートまたは環状カーボネートに比べて還元され易い。還元時に、不飽和炭化水素基を有するスルトン類と相まって、更に安定な保護皮膜を負極表面に形成できる。具体的には、γ−ブチロラクトン>>>エチレンカーボネート>プロピレンカーボネート>>ジメチルカーボネート>メチルエチルカーボネート>ジエチルカーボネートの順に還元され易く、この順に好適な溶媒となる。なお、>の数が多いほど、溶媒間の反応性に差があることを示している。
したがって、γ−ブチロラクトンを非水電解液中に含有すると、負極の活物質であるリチウムチタン複合酸化物の作動電位域において、γ−ブチロラクトン自身が僅かに分解し、リチウムチタン酸化物の表面に更に良好な皮膜が形成される。上述の混合溶媒についても、類似のことが言える。
負極表面により良質な保護皮膜を形成するためには、γ−ブチロラクトンの含有量を有機溶媒に対し40体積%以上95体積%以下とすることが好ましい。
γ−ブチロラクトンを含む非水電解液は、上述した優れた効果を示すものの、粘度が高いために、負極への含浸性が低下する。しかしながら、平均粒径が1μm以下の負極の活物質を用いると、γ−ブチロラクトンを含む非水電解液であっても、非水電解液の含浸を円滑に行うことが可能になる。その結果、生産性の向上、さらに出力特性および充放電サイクル特性の向上が可能となる。
3)正極
正極は、集電体と、集電体の一方または両方の面に形成され、活物質を含む正極層とを備える。
活物質は、酸化物、硫化物、ポリマー等が挙げられる。
酸化物は、例えばLiを吸蔵した二酸化マンガン(MnO2)、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、および、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLixMn24またはLixMnO2)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLixNiO2)、リチウムコバルト複合酸化物(LixCoO2)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLiNi1-yCoy2)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLiMnyCo1-y2)、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物(LixMn2-yNiy4)、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物(LixFePO4、LixFe1-yMnyPO4、LixCoPO4等)、硫酸鉄(Fe2(SO43)、バナジウム酸化物(例えばV25)、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物等が挙げられる。ここで、x、yはそれぞれ0≦x≦1、0≦y≦1であることが好ましい。
ポリマーは、例えばポリアニリンやポリピロール等の導電性ポリマー材料、ジスルフィド系ポリマー材料等が挙げられる。その他に、イオウ(S)、フッ化カーボン等も使用できる。
リチウムマンガン複合酸化物(LixMn24)、リチウムニッケル複合酸化物(LixNiO2)、リチウムコバルト複合酸化物(LixCoO2)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(LiNi1-yCoy2)、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物(LixMn2-yNiy4)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(LiMnyCo1-y2)、リチウムリン酸鉄(LixFePO4)、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物等の活物質は、高い正極電圧が得られるために好ましい。なお、x、yはそれぞれ0≦x≦1、0≦y≦1であることが好ましい。
リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物の組成は、LiaNibCocMnd2(但し、モル比a,b,cおよびdは0≦a≦1.1、0.1≦b≦0.5、0≦c≦0.9、0.1≦d≦0.5)であることが好ましい。
実施形態において、LiCoO2およびLiMn24に代表される前記リチウム遷移金属酸化物を活物質として用いた場合には、前記リン酸系化合物が極僅かに酸化分解反し、正極表面を汚染することがある。この場合、リチウム遷移金属複合酸化物粒子の表面の一部または全面にAl、Mg、Zr、B、Ti、Gaからなる群から選択される少なくとも1つの元素を酸化物の形態で被覆することによって、これらの影響を軽減でき、より長寿命の非水電解質電池が得られる。酸化物は、例えばAl23、MgO、ZrO2、B23、TiO2、Ga23などを挙げることができる。このような酸化物が存在する活物質は、前記リン酸系化合物を含む非水電解液であっても、その表面での非水電解液の酸化分解を抑制することができ、電池の長寿命化が可能になる。
Al、Mg、Zr、B、Ti、Gaからなる群から選択される少なくとも1つの元素の酸化物は、リチウム遷移金属複合酸化物に対して如何なる質量比であっても構わないが、リチウム遷移金属複合酸化物に対して0.1質量%以上15質量%以下、より好ましくは0.3質量%以上5質量%以下存在することが望ましい。前記酸化物の量を0.1質量%未満にすると、リチウム遷移金属複合酸化物は実質的に変化せず、酸化物を存在させる効果を十分に発揮できない。他方、前記酸化物の量が15質量%を越えると、リチウム遷移金属複合酸化物を活物質と含む正極を備えた非水電解質電池の容量が低下する恐れがある。
実施形態において、活物質は表面に前記酸化物が被覆されたリチウム遷移金属複合酸化物粒子と、表面に前記酸化物が被覆されないリチウム遷移金属複合酸化物粒子とを含んでもよい。
前記Al、Mg、Zr、B、Ti、Gaからなる群から選択される少なくとも1つの元素の酸化物のうち、MgO、ZrO2またはB23を用いることが特に好ましい。このようなリチウム遷移金属複合酸化物を正極の活物質として用いることによって、充電電圧をより高く(例えば、4.4V以上)まで増大でき、充放電サイクル特性を改善することができる。
リチウム遷移金属複合酸化物には、不可避的不純物等を含んでいてもよい。
前記酸化物をリチウム遷移金属複合酸化物粒子に被覆させるには、リチウム遷移金属複合酸化物粒子を、Al、Mg、Zr、B、Ti、Gaからなる群から選択される少なくとも1つの元素のイオンを含有する水溶液に含浸し、前記元素イオンを含浸したリチウム遷移金属複合酸化物粒子を焼成することにより得ることができる。含浸に用いる水溶液の形態は、焼成後にリチウム遷移金属複合酸化物の表面にAl、Mg、Zr、B、Ti、Gaからなる群から選択される少なくとも1つの元素の酸化物が付着できるものであれば特に限定されず、適当な形態のAl、Mg、Zr、B、Ti、Gaを含む水溶液を用いることができる。これらの金属(ホウ素を含む)の形態は、例えばAl、Mg、Zr、B、Ti、Ga(=M)のオキシ硝酸塩、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩、炭酸塩、水酸化物あるいは酸などが挙げられる。
特に好ましい実施形態において、酸化物としてMgO、ZrO2またはB23を用いる場合、MイオンはMgイオン、ZrイオンまたはBイオンであることがより好ましく、Mイオンを含む水溶液は例えばMg(NO32水溶液、ZrO(NO32水溶液、ZrCO4・ZrO2・8H2O水溶液、Zr(SO42水溶液またはH3BO3水溶液であることがより好ましい。中でも、Mg(NO32水溶液、ZrO(NO32水溶液またはH3BO3水溶液を用いるのが最も好ましい。Mイオン水溶液の濃度は、特に限定されないが、含浸工程において溶液の体積を小さくできることから、飽和溶液が好ましい。
実施形態において、Mイオンの水溶液中における形態は、M元素単体からなるイオンのみならず、他の元素と結合しているイオンの状態、例えばホウ素であればB(OH)4 -なども含む。
リチウム遷移金属複合酸化物をMイオン水溶液に含浸する際、リチウム遷移金属複合酸化物とMイオン水溶液との質量比は特に限定されるものではなく、製造しようとするリチウム遷移金属複合酸化物の組成に応じた質量比とすればよい。含浸時間は、含浸が充分に行われる時間であればよい。含浸温度も特に限定はされない。
リチウム遷移金属複合酸化物は、含浸後の粒子を焼成することにより得られる。この工程において、焼成温度および焼成時間は適宜選択することができるが、好ましくは400〜800℃で1〜5時間、特に好ましくは600℃で3時間である。焼成は、酸素気流下または大気中にて行ってもよい。含浸後の粒子は、そのまま焼成してもよいが、その粒子を焼成前に乾燥させて水分を除去することが好ましい。乾燥は、通常知られている方法により行うことができ、例えばオーブン、熱風乾燥などを単独または組み合わせて使用できる。乾燥は、酸素または空気などの雰囲気下で行うことが好ましい。
得られたリチウム遷移金属複合酸化物は、必要に応じて粉砕してもよい。
活物質の一次粒子径は、100nm以上1μm以下であると好ましい。活物質の一次粒子径を100nm以上にすると、工業生産上、扱い易くなる。他方、活物質の一次粒子径1μm以下にすると、リチウムイオンの固体内拡散を円滑に進行させることができる。
活物質の比表面積は、0.1m2/g以上10m2/g以下であることが好ましい。活物質の比表面積を0.1m2/g以上にすると、リチウムイオンの吸蔵・放出サイトを十分に確保できる。活物質の比表面積を10m2/g以下にすると、工業生産上、扱い易く、かつ良好な充放電サイクル性能を確保できる。
導電剤は、正極層に活物質と共に含まれ、集電性能を高め、かつ集電体との接触抵抗を低減する。このような導電剤は、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛等の炭素質物を挙げることができる。
結着剤は、正極層にさらに含まれ、活物質と導電剤を結着させる。このような結着剤は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン、フッ素系ゴム等が挙げられる。
活物質、導電剤および結着剤の配合比は、活物質80質量%以上95質量%以下、導電剤3質量%以上18質量%以下、結着剤2質量%以上17質量%以下にすることが好ましい。導電剤の量を3質量%以上にすることにより、前述した効果を発揮することができる。導電剤の量を18質量%以下にすることにより、高温保存下での導電剤表面での非水電解液の分解を低減することができる。結着剤の量を2質量%以上にすることにより十分な電極強度が得られる。結着剤の量を17質量%以下にすることにより、電極の絶縁体の配合量を減少させ、内部抵抗を減少できる。
集電体は、アルミニウム箔若しくはアルミニウム合金箔が好ましく、集電体と同様にその平均結晶粒径は50μm以下、より好ましくは30μm以下、更に好ましくは5μm以下である。前記平均結晶粒径を50μm以下にすることにより、アルミニウム箔またはアルミニウム合金箔の強度を飛躍的に増大させることができ、正極を高いプレス圧で高密度化することが可能になる。その結果、電池容量を増大させることができる。
平均結晶粒径が50μm以下のアルミニウム箔またはアルミニウム合金箔は、材料組織、不純物、加工条件、熱処理履歴、ならびに焼鈍条件など複数の因子に複雑に影響され、前記結晶粒径は製造工程の中で、前記諸因子を組合せて調整される。
アルミニウム箔およびアルミニウム合金箔の厚さは、例えば20μm以下、より好ましくは15μm以下であることが望ましい。アルミニウム箔の純度は、99%以上であること好ましい。アルミニウム合金は、マグネシウム、亜鉛、ケイ素、などの元素を含む合金が好ましい。一方、アルミニウム合金に含まれる鉄、銅、ニッケル、クロムなどの遷移金属の含有量は1%以下にすることが好ましい。
正極は、例えば活物質、導電剤および結着剤を適当な溶媒に懸濁してスラリーを調製し、このスラリーを集電体に塗布し、乾燥し、正極層とした後、プレスを施すことにより作製される。正極層は、活物質、導電剤および結着剤をペレット状に形成して用いてもよい。
4)セパレータ
セパレータは、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース、またはポリフッ化ビニリデンを含む多孔質フィルム、合成樹脂製不織布等を挙げることができる。中でも、セルロースを含むセパレータは低価格でリチウムイオンの透過性が高いために高い出力特性を有するために好ましい。
前記セルロースを含むセパレータは、前述のように有意な効果を有するものの、末端に水酸基を持ち、電池内に水分を持ち込み易い性質を有するため、水分に起因する負極の抵抗増大を助長する。実施形態では、前述したように非水電解質または負極にリン酸系化合物を含ませるため、セルロースを含むセパレータを用いても、水分に起因する負極の抵抗増大を抑制し、抵抗に起因する寿命性能を向上した非水電解質電池を得ることができる。
セパレータは、水銀圧入法による細孔メディアン径が0.15μm以上2.0μm以下であることが好ましい。細孔メディアン径を0.15μm未満にすると、セパレータの膜抵抗が大きくなり出力が低下する恐れがある。他方、細孔メディアン径が2.0μmを超えると、セパレータの収縮に伴うシャットダウンが均等に起こらず、安全性が低下する恐れがある。その上、毛細管現象による非水電解液の拡散が起こり難くなり、非水電解液の枯渇によるサイクル劣化を誘発する恐れがある。より好ましい細孔メディアン径は、0.18μm以上0.40μm以下である。
セパレータは、水銀圧入法による細孔モード径が0.12μm以上1.0μm以下であることが好ましい。細孔モード径を0.12μm未満にすると、セパレータの膜抵抗が大きくなり出力が低下する。さらに高温・高電圧環境下でセパレータが変質して細孔が潰れ、出力が低下する恐れがある。他方、細孔モード径が1.0μmを超えると、セパレータの収縮に伴うシャットダウンが均等に起こらず、安全性が低下する恐れがある。より好ましい細孔モード径は、0.18μm以上0.35μm以下である。
セパレータの気孔率は、45%以上75%以下であることが好ましい。気孔率を45%未満にすると、セパレータ中のイオンの絶対量が少なくなり出力が低下する恐れがある。気孔率が75%を超えると、セパレータの強度が低下するばかりか、前記シャットダウンが均等に起こらずに安全性が低下する恐れがある。より好ましい気孔率は、50%以上65%以下である。
5)外装容器
外装容器は、例えば肉厚0.2mm以下のラミネートフィルムまたは例えば肉厚1.0mm以下の金属製容器が挙げられる。金属製容器の肉厚は、0.5mm以下であることがより好ましい。
外装容器の形状は、例えば扁平型、角型、円筒型、コイン型、ボタン型、シート型、積層型等が挙げられる。外装容器の大きさは、携帯用電子機器等に積載される小型電池、二輪乃至四輪の自動車等に積載される大型電池に適用可能な寸法でもよい。
ラミネートフィルムは、金属層と金属層を被覆する樹脂層とからなる多層フィルムである。金属層は、軽量化のために、アルミニウム箔またはアルミニウム合金箔が好ましい。樹脂層は、金属層を補強するためのもので、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の高分子材料を用いることができる。ラミネートフィルムは、熱融着によりシールを行うことにより成形することができる。
金属製容器は、アルミニウムまたはアルミニウム合金等から作ることが好ましい。アルミニウム合金は、マグネシウム、亜鉛、ケイ素等の元素を含む合金が好ましい。アルミニウム合金に含まれる鉄、銅、ニッケル、クロム等の遷移金属の含有量は、1%以下にすることが好ましい。このようなアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属製容器は、高温環境下での長期信頼性、放熱性を飛躍的に向上させることが可能となる。
アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属製容器は、平均結晶粒径が50μm以下、より好ましくは30μm以下、更に好ましくは5μm以下であることが望ましい。平均結晶粒径を50μm以下にすることによって、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属製容器の強度を飛躍的に増大させることができ、容器をより薄肉化することが可能になる。その結果、軽量かつ高出力で長期信頼性に優れ、車載に適切な非水電解質電池を実現することができる。
次に、実施形態に係る非水電解質電池を図1、図2を参照してより具体的に説明する。図1は、実施形態に係る扁平型非水電解質二次電池の断面図、図2は図1のA部の拡大断面図を示す。なお、実施形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は発明の説明とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術を参酌して適宜、設計変更することができる。
扁平状の捲回電極群1は、2枚の樹脂フィルムの間に金属層を介在したラミネートフィルムからなる袋状外装容器2内に収納されている。扁平状の捲回電極群1は、外側から負極3、セパレータ4、正極5、セパレータ4の順で積層した積層物を渦巻状に捲回し、プレス成型することにより形成される。最外殻の負極3は、図2に示すように集電体3aの内面側の片面に前述したリチウムチタン複合酸化物を活物質として含む負極層3bを形成した構成を有し、その他の負極3は、集電体3aの両面に負極層3bを形成して構成されている。正極5は、集電体5aの両面に正極層3bを形成して構成されている。
捲回電極群1の外周端近傍において、負極端子6は最外殻の負極3の集電体3aに接続され、正極端子7は内側の正極5の集電体5aに接続されている。これらの負極端子6および正極端子7は、袋状外装容器2の開口部から外部に延出されている。例えば非水電解液は、袋状外装容器2の開口部から注入されている。袋状外装容器2の開口部を負極端子6および正極端子7を挟んでヒートシールすることにより捲回電極群1および非水電解液を完全密封している。
負極端子は、リチウム金属に対する電位が0.4V以上3V以下で電気的安定性と導電性とを備える材料から形成することができる。具体的には、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu、Si等の元素を含むアルミニウム合金、アルミニウムが挙げられる。接触抵抗を低減するために、集電体と同様の材料が好ましい。
正極端子は、リチウム金属に対する電位が3V以上5V以下で電気的安定性と導電性とを備える材料から形成することができる。具体的には、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu、Si等の元素を含むアルミニウム合金、アルミニウムが挙げられる。接触抵抗を低減するために、集電体と同様の材料が好ましい。
実施形態に係る非水電解質電池は、前述した図1および図2に示す構成のものに限らず、例えば図3および図4に示す構成にすることができる。図3は、実施形態に係る別の扁平型非水電解質二次電池を模式的に示す部分切欠斜視図で、図4は図3のB部の拡大断面図である。
積層型電極群11は、2枚の樹脂フィルムの間に金属層を介在したラミネートフィルムからなる袋状外装容器12内に収納されている。積層型電極群11は、図4に示すように正極13と負極14とをその間にセパレータ15を介在させながら交互に積層した構造を有する。正極13は複数枚存在し、それぞれが集電体13aと、集電体13aの両面に形成された正極層13bとを備える。負極14は複数枚存在し、それぞれが集電体14aと、集電体14aの両面に形成された負極層14bとを備える。各負極14の集電体14aは、一辺が正極13から突出している。突出した集電体14aは、帯状の負極端子16に電気的に接続されている。帯状の負極端子16の先端は、外装容器12から外部に引き出されている。また、図示しないが、正極13の集電体13aは、集電体14aの突出辺と反対側に位置する辺が負極14から突出している。負極14から突出した集電体13aは、帯状の正極端子17に電気的に接続されている。帯状の正極端子17の先端は、負極端子16とは反対側に位置し、外装部材11の辺から外部に引き出されている。
実施形態に係る電池パックは、非水電解質電池を複数備え、これら電池が電気的に直列、または並列、または直列および並列に接続される。
このような電池パックを図5および図6を参照して詳細に説明する。単電池には、図1に示す扁平型電池を使用することができる。
前述した図1に示す扁平型非水電解質電池から構成される複数の単電池21は、外部に延出した負極端子6および正極端子7が同じ向きに揃えられるように積層され、粘着テープ22で締結することにより組電池23を構成している。これらの単電池21は、図6に示すように互いに電気的に直列に接続されている。
プリント配線基板24は、負極端子6および正極端子7が延出する単電池21側面と対向して配置されている。プリント配線基板24には、図6に示すようにサーミスタ25、保護回路26および外部機器への通電用端子27が搭載されている。なお、組電池23と対向する保護回路基板24の面には組電池23の配線と不要な接続を回避するために絶縁板(図示せず)が取り付けられている。
正極側リード28は、組電池23の最下層に位置する正極端子7に接続され、その先端はプリント配線基板24の正極側コネクタ29に挿入されて電気的に接続されている。負極側リード30は、組電池23の最上層に位置する負極端子6に接続され、その先端はプリント配線基板24の負極側コネクタ31に挿入されて電気的に接続されている。これらのコネクタ29,31は、プリント配線基板24に形成された配線32,33を通して保護回路26に接続されている。
サーミスタ25は、単電池21の温度を検出し、その検出信号は保護回路26に送信される。保護回路26は、所定の条件で保護回路26と外部機器への通電用端子27との間のプラス側配線34aおよびマイナス側配線34bを遮断できる。所定の条件とは、例えばサーミスタ25の検出温度が所定温度以上になったときである。また、所定の条件とは単電池21の過充電、過放電、過電流等を検出したときである。この過充電等の検出は、個々の単電池21もしくは単電池21全体について行われる。個々の単電池21を検出する場合、電池電圧を検出してもよいし、正極電位もしくは負極電位を検出してもよい。後者の場合、個々の単電池21中に参照極として用いるリチウム電極が挿入される。図5および図6の場合、単電池21それぞれに電圧検出のための配線35を接続し、これら配線35を通して検出信号が保護回路26に送信される。
正極端子7および負極端子6が突出する側面を除く組電池23の三側面には、ゴムもしくは樹脂からなる保護シート36がそれぞれ配置されている。
組電池23は、各保護シート36およびプリント配線基板24と共に収納容器37内に収納される。すなわち、収納容器37の長辺方向の両方の内側面と短辺方向の内側面それぞれに保護シート36が配置され、短辺方向の反対側の内側面にプリント配線基板24が配置される。組電池23は、保護シート36およびプリント配線基板24で囲まれた空間内に位置する。蓋38は、収納容器37の上面に取り付けられている。
なお、組電池23の固定には粘着テープ22に代えて、熱収縮テープを用いてもよい。この場合、組電池の両側面に保護シートを配置し、熱収縮テープを周回させた後、熱収縮テープを熱収縮させて組電池を結束させる。
図5、図6では単電池21を直列接続した形態を示したが、電池容量を増大させるためには並列に接続してもよい。組み上がった電池パックを直列、並列に接続することもできる。
また、電池パックの態様は用途により適宜変更される。電池パックの用途としては、大電流特性でのサイクル特性が望まれるものが好ましい。具体的には、デジタルカメラの電源用や、二輪乃至四輪のハイブリッド電気自動車、二輪乃至四輪の電気自動車、アシスト自転車等の車載用が挙げられる。特に、車載用が好適である。
なお、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)およびγ−ブチロラクトン(GBL)からなる群のうち、少なくとも2種以上を混合した混合溶媒、またはγ−ブチロラクトン(GBL)を含む非水電解液は、高温特性が望まれる用途が好ましい。具体的には、上述の車載用が挙げられる。
以下、実施例を説明する。なお、本発明はその主旨を超えない限り、以下に記載される実施例に限定されるものでない。
(実施例1)
<正極の作製>
まず、活物質としてリチウムマンガン酸化物(LiMn24)粉末90質量%と、導電剤としてアセチレンブラック3質量%およびグラファイト3質量%と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン4質量%をN−メチルピロリドン(NMP)に加えて混合してスラリーを調製した。このスラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔からなる集電体の両面に塗布した後、乾燥し、プレスすることにより電極密度(正極層の密度)が3.0g/cm3の正極を作製した。
<負極の作製>
平均粒子径が0.84μm、BET比表面積が10.8m2/g、Li吸蔵電位が1.55V(vs.Li/Li+)であるスピネル型チタン酸リチウム(Li4Ti512)粉末を活物質として用意した。活物質の粒径は、レーザー回折式分布測定装置(島津SALD−300)を用いて測定した。すなわち、ビーカーに試料を約0.1gと界面活性剤と1〜2mLの蒸留水を添加して十分に攪拌した後、攪拌水槽に注入し、2秒間隔で64回光度分布を測定し、粒度分布データを解析する方法で活物質の粒径を測定した。
前記活物質90質量%と、導電剤としてグラファイト5質量%と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン5質量%とにN−メチルピロリドン(NMP)を固形分比率が62質量%になるように添加した。これをプラネタリーミキサーで混練し、NMPを加えながら固形比率を徐々に低下させて粘度が10.2cp(B型粘度計、50rpmでの値)のスラリーを調製した。このスラリーを、更に直径が1mmのジルコニア製ボールをメディアとしてビーズミルにて混合した。
得られたスラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔(純度99.3%、平均結晶粒径10μm)からなる集電体の両面に塗布した後、乾燥し、プレスすることにより電極密度(負極層の密度)が2.3g/cm3の負極を作製した。
<電極群の作製>
正極、厚さ25μmのポリエチレン製の多孔質フィルムからなるセパレータ、負極、セパレータの順番に積層した後、渦巻き状に捲回した。これを80℃で加熱プレスすることにより、高さ50mm、幅33mmで、厚さ3.3mmの偏平状電極群を作製した。得られた電極群をナイロン層/アルミニウム層/ポリエチレン層の3層構造で、厚さが0.1mmのラミネートフィルムからなるパックに収納し、80℃で24時間真空乾燥を施した。
<非水電解液の調製>
エチレンカーボネート(EC)、γ−ブチロラクトン(GBL)の混合溶媒(体積比率1:2)に電解質としてLiBF4を2.0mol/L溶解し、さらに混合溶媒および電解質の総質量に対して0.5質量%のH3PO4を添加して非水電解液を調製した。この非水電解液は、20℃の粘度が7.1cp(B型粘度計にて測定)であった。
電極群を収納したラミネートフィルムパック内に前記非水電解液を注入した後、初回充放電を行い、ガス抜き処理を施した後にパックをヒートシールにより完全密閉して非水電解質二次電池を製造した。この二次電池は、図1に示す構造を有し、幅が35mm、長さが65mm、厚さが3.6mmであった。
(比較例1、実施例2〜8)
非水電解液中のH3PO4の含有量を下記表1に示す量とした以外は、実施例1と同様な方法で非水電解質二次電池を製造した。
得られた実施例1〜8および比較例1の電池に対して、85%の充電量(SOC85%)の状態で60℃環境下に3ヶ月貯蔵する高温貯蔵試験を実施した。貯蔵後、電池の抵抗を測定し、抵抗増加率(=貯蔵後抵抗/貯蔵前抵抗)を求めた。その結果を下記表1に示す。
Figure 2013211257
前記表1から明らかなようにリチウム作用電位が0.4V(vs.Li/Li+)よりも貴な負極活物質(Li4Ti512)、およびリン酸系化合物を含む非水電解液を用いた実施例1〜8の非水電解質二次電池は、リン酸系化合物を含ない非水電解液を用いた比較例1に比べて抵抗増加の抑制効果が高いことがわかる。
(実施例11〜16)
非水電解液に含有するリン酸系化合物としてH3PO4の代わりに下記表2の化合物を用いた以外は、実施例1と同様な方法で非水電解質二次電池を製造した。
得られた実施例11〜16の電池に対して、実施例1と同様に高温貯蔵試験を実施し、抵抗増加率(=貯蔵後抵抗/貯蔵前抵抗)を求めた。その結果を下記表2に示す。なお、下記表2には前述した比較例1の結果を併記した。
Figure 2013211257
前記表2から明らかなように非水電解液に含有させたリン酸系化合物としてAx3-xPO4;A=Na,K,A’y(6-2y)(PO42;A’=Mg,Caを用いた実施例11〜16の非水電解質二次電池は、リン酸系化合物を含ない非水電解液を用いた比較例1に比べて抵抗増加の抑制効果が高いことがわかる。また、実施例11〜16の非水電解液二次電池はリン酸系化合物としてH3PO4を用いた実施例1(前記表1に記載)と同等またはそれ以上の抵抗増加の抑制効果を示すことがわかる。
(比較例21、実施例21)
非水電解液としてエチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(体積比率1:2)に1MのLiPF6(リチウム塩)を添加して調製したものを用いた以外、実施例1と同様な方法で非水電解液二次電池を製造した。
(比較例22、実施例22)
非水電解液としてエチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(体積比率1:2)に1MのLiBF4(リチウム塩)を添加して調製したものを用いた以外、実施例1と同様な方法で非水電解液二次電池を製造した。
(比較例23、実施例23)
負極の活物質として単斜晶系β型TiO2を用いた以外、実施例21と同様な方法で非水電解液二次電池を製造した。
(比較例24、25)
負極の活物質として平均粒径3.4μmの黒鉛を用いた以外、実施例1と同様な方法で非水電解液二次電池を製造した。
得られた実施例21〜23および比較例21〜25の電池に対して、実施例1と同様に高温貯蔵試験を実施し、抵抗増加率(=貯蔵後抵抗/貯蔵前抵抗)を求めた。その結果を下記表3に示す。
Figure 2013211257
前記表3から明らかなようにリチウム作用電位が0.4V(vs.Li/Li+)よりも貴な負極活物質(Li4Ti512、単斜晶系β型TiO2)、およびリン酸系化合物を含む非水電解液を用いた実施例21〜23の非水電解液二次電池は、同様な負極活物質および非水電解液を用い、非水電解液にリン酸系化合物を含ない比較例21〜23に比べて抵抗増加の抑制効果が高いことがわかる。
また、比較例25に示すようにリン酸系化合物を含む非水電解液を用いても、負極活物質としてリチウム作用電位が0.4V(vs.Li/Li+)よりも卑である黒鉛を用いた場合には、抵抗増加の抑制効果が確認できない。
(実施例31〜38)
負極に下記表4に示すリン酸系化合物を同表4に示す量で含有させた以外は、実施例1と同様な方法で非水電解液二次電池を製造した。
(実施例39、40)
負極に下記表4に示すリン酸系化合物を同表4に示す量で含有させ、負極活物質として単斜晶系β型TiO2を用い、非水電解液としてエチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(体積比率1:2)に1MのLiPF6に溶解させたもの用いた以外、実施例1と同様な方法で非水電解液二次電池を製造した。
得られた実施例31〜40の電池に対して、実施例1と同様に高温貯蔵試験を実施し、抵抗増加率(=貯蔵後抵抗/貯蔵前抵抗)を求めた。その結果を下記表4に示す。なお、下記表4には前述した比較例1の結果を併記した。
Figure 2013211257
前記表4から明らかなようにリチウム作用電位が0.4V(vs.Li/Li+)よりも貴な負極活物質(Li4Ti512、単斜晶系β型TiO2)、フッ素含有リチウム塩を含む非水電解液およびリン酸系化合物を含む負極を用いた実施例31〜40の非水電解液二次電池は、リン酸系化合物を含ない負極を用いた比較例1に比べて抵抗増加の抑制効果が高いことがわかる。
本発明のいつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の種々の形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…捲回電極群、2,12…外装容器、3,14…負極、3a、14a…集電体、3b,14b…負極層、4,15…セパレータ、5、13…正極、5a,13a…集電体、5b,13b…正極層、21…単電池、23…組電池、24…プリント配線基板、25…サーミスタ、26…保護回路、3…収納容器。

Claims (9)

  1. 外装容器と、
    前記外装容器内に収納された活物質を含む正極と、
    前記外装容器内に収納され、前記正極と空間的に離間し、リチウム作用電位が0.4V(vs.Li/Li+)よりも貴な活物質を含む負極と、
    前記外装容器内に充填されたフッ素含有リチウム塩を含む非水電解質と、
    を具備し、
    前記非水電解質は、リン酸系化合物を含み、前記リン酸系化合物はAx3-xPO4、ここで、AはNa、Kから選ばれる少なくとも1つの元素で、xは0≦x≦3である、およびA’y(6-2y)(PO42、ここで、A’はMg、Caから選ばれる少なくとも1つの元素で、yは0≦y≦3である、からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする非水電解質電池。
  2. 外装容器と、
    前記外装容器内に収納された活物質を含む正極と、
    前記外装容器内に収納され、前記正極と空間的に離間し、リチウム作用電位が0.4V(vs.Li/Li+)よりも貴な活物質を含む負極と、
    前記外装容器内に充填されたフッ素含有リチウム塩を含む非水電解質と、
    を具備し、
    前記負極は、リン酸系化合物を含み、前記リン酸系化合物はAx3-xPO4、ここで、AはNa、Kから選ばれる少なくとも1つの元素で、xは0≦x≦3である、およびA’y(6-2y)(PO42、ここで、A’はMg、Caから選ばれる少なくとも1つの元素で、yは0≦y≦3である、からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする非水電解質電池。
  3. 前記リン酸系化合物は、非水電解質の総質量に対して0.01質量%以上5質量%以下含まれることを特徴とする請求項1記載の非水電解質電池。
  4. 前記リン酸系化合物は、前記負極に対して、0.1質量%以上5質量%以下含まれることを特徴とする請求項2記載の非水電解質電池。
  5. 前記フッ素含有リチウム塩は、六フッ化リン酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、六フッ化砒素リチウム、トリフルオロメタスルホン酸リチウムおよびビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウムからなる群から選択される少なくとも1つのリチウム塩であることを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項記載の非水電解質電池。
  6. 前記活物質は、N2吸着によるBET法での比表面積が5〜50m2/gのリチウムチタン複合酸化物であることを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項記載の非水電解質電池。
  7. 前記正極と前記負極の間に介在するセパレータをさらに備え、前記セパレータがセルロースを含むことを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載の非水電解質電池。
  8. 前記正極の活物質は、MnまたはFeを含むリチウム遷移金属複合酸化物であることを特徴とする請求項1乃至7いずれか1項記載の非水電解質電池。
  9. 請求項1乃至8いずれか1項記載の非水電解質電池を複数備え、これら電池が電気的に直列、または並列、または直列および並列に接続されることを特徴とするパック電池。
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