JP2009166310A - 固形筆記体及びそれを用いた固形筆記体セット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 (イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体とから少なくともなる可逆熱変色性組成物を賦形性ワックスに分散状態に保持、成形してなる固形筆記体であって、前記筆記体の針入度が1〜30である固形筆記体、前記固形筆記体と摩擦体とからなる固形筆記体セット。
【選択図】 なし
Description
前記固形筆記体は、温度変化により変色する筆跡を形成できるものの、該固形筆記体が硬すぎると筆記面に転移する可逆熱変色性組成物が少なくなり、明瞭な色変化を示さなくなる。また、固形筆記体が軟らかすぎると筆記時に折れたり、或いは、筆記面に可逆熱変色性組成物と賦形性ワックスが過剰に転移するため、筆跡を摩擦により変色させる場合は筆記面の空白部分を汚染したり、十分な摩擦熱を発生させることができないため、色変化を発現させ難いことがあった。
更には、前記可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を賦形性ワックスに分散状態に保持、成形してなること、非変色性染料又は顔料を含んでなること、摩擦部材を設けてなること等を要件とする。
更には、前記固形筆記体と、摩擦体とからなる固形筆記体セットを要件とする。
前記賦形剤として具体的には、融点40〜120℃のパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム、酸化パラフィンワックス、酸化ペトロラクタム等の石油系ワックス、酸化ポリエチレンワックス、モンタン酸ワックス、エチレン酢酸ビニル共重合ワックス、エチレンアクリル共重合ワックス、ビニールエーテルワックス等の合成ワックス、セラック、カルナバワックス、カスターワックス、牛脂硬化油等の動植物系ワックス、ベヘン酸ベヘニル、ベベン酸ステアリル、パルミチン酸ステアリル、ミリスチン酸ステアリル、ラウリン酸ステアリル、ステアリン酸ステアリル、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ステアロン、ベヘン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、リグノモリン酸、セロチン酸等のエステル類、高級アルコール類、ケトン類、脂肪酸類、パーム油、流動パラフィン、ポリブテン、ポリブタジエン、スチレンオリゴマー等の油脂脂肪酸、液状炭化水素類が挙げられる。
なお、鉛筆芯やシャープペンシル用芯等の鉛芯の場合は、タルク、マイカ、カオリン、クレー、沈降性硫酸バリウム、炭酸カルシウム、窒化ホウ素、チタン酸カリウムウィスカー等の体質材を強度の向上や書き味を調整する目的で配合される。
図2において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全に消色した状態に達する温度t4(以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは消色し始める温度t3(以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは発色し始める温度t2(以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全に発色した状態に達する温度t1(以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
また、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス幅ΔHと記す)であり、このΔH値が大きい程、変色前後の各状態の保持が容易である。
ここで、t4とt3の差、或いは、t2とt1の差(Δt)が変色の鋭敏性を示す尺度である。
ここで、変色状態が常温域で保持でき、且つ、筆跡の摩擦による変色性を容易とするために何故完全消色温度(t4)が45〜95℃、且つ、発色開始温度(t2)が−30〜0℃以下であるかを説明すると、発色状態から消色開始温度(t3)を経て完全消色温度(t4)に達しない状態で加温を止めると、再び第一の状態に復する現象を生じること、及び、消色状態から発色開始温度(t2)を経て完全発色温度(t1)に達しない状態で冷却を中止しても発色を生じた状態が維持されることから、完全消色温度(t4)が常温域を越える45℃以上であれば、発色状態は通常の使用状態において維持されることになり、発色開始温度(t2)が常温域を下回る−30〜0℃の温度であれば消色状態は通常の使用において維持される。
更に、摩擦により筆跡を消去する場合、完全消色温度(t4)が95℃以下であれば、筆記面に形成された筆跡上を摩擦部材による数回の摩擦による摩擦熱で十分に変色できる。
完全消色温度(t4)が95℃を越える温度の場合、摩擦部材による摩擦で得られる摩擦熱が完全消色温度に達し難くなるため、容易に変色し難くなり、摩擦回数が増加したり、或いは、荷重をかけ過ぎて摩擦する傾向にあるため、筆記面を傷めてしまう虞がある。
よって、前記温度設定は筆記面に変色状態の筆跡を選択して択一的に視認させる熱消去性筆記具には重要な要件であり、利便性と実用性を満足させることができる。
前述の完全消色温度(t4)の温度設定において、発色状態が通常の使用状態において維持されるためにはより高い温度であることが好ましく、しかも、摩擦による摩擦熱が完全消色温度(t4)を越えるようにするためには低い温度であることが好ましい。
よって、完全消色温度(t4)は、好ましくは50〜90℃、より好ましくは60〜80℃である。
更に、前述の発色開始温度(t2)の温度設定において、消色状態が通常の使用状態において維持されるためにはより低い温度であることが好ましく、−30〜−3℃が好適であり、−30〜−5℃がより好適である。
なお、筆記体に分散された状態の可逆熱変色性組成物を予め発色状態にするためには冷却手段としては汎用の冷凍庫にて冷却することが好ましいが、冷凍庫の冷却能力を考慮すると、−30℃迄が限度であり、従って、完全発色温度(t1)は−30℃以上である。
本発明においてヒステシス幅(ΔH)は50℃乃至80℃の範囲であり、好ましくは55乃至80℃、更に好ましくは60乃至80℃である。
本発明の(イ)成分、即ち電子供与性呈色性有機化合物としては、ジフェニルメタンフタリド類、フェニルインドリルフタリド類、インドリルフタリド類、ジフェニルメタンアザフタリド類、フェニルインドリルアザフタリド類、フルオラン類、スチリノキノリン類、ジアザローダミンラクトン類等を挙げることができ、以下にこれらの化合物を例示する。
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,6−ジフェニルアミノフルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3,6−ジ−n−ブトキシフルオラン、2−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−メチルアニリノ)−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−キシリジノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−(3−メトキシ−4−ドデコキシスチリル)キノリン、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジエチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(N−エチル−N−i−アミルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−フェニル、3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド等を挙げることができる。
更には、蛍光性の黄色〜赤色の発色を発現させるのに有効な、ピリジン系、キナゾリン系、ビスキナゾリン系化合物等を挙げることができる。
活性プロトンを有する化合物を例示すると、フェノール性水酸基を有する化合物としては、モノフェノール類からポリフェノール類があり、さらにその置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノール等、フェノール−アルデヒド縮合樹脂等を挙げることができる。又、前記フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩であってもよい。
フェノール、o−クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−ステアリルフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン等がある。
前記フェノール性水酸基を有する化合物が最も有効な熱変色特性を発現させることができるが、芳香族カルボン酸及び炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びそれらの金属塩、1、2、3−トリアゾール及びその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
前記(ハ)成分として好ましくは、色濃度−温度曲線に関し、大きなヒステリシス特性(温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線が、温度を低温側から高温側へ変化させる場合と、高温側から低温側へ変化させる場合で異なる)を示して変色する、色彩記憶性を示す可逆熱変色性組成物を形成できる5℃以上50℃未満のΔT値(融点−曇点)を示すカルボン酸エステル化合物、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコール又はフェノールのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコール又はエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコール又は分岐脂肪族アルコールのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等が用いられる。
具体的には、酢酸n−ペンタデシル、酪酸n−トリデシル、酪酸n−ペンタデシル、カプロン酸n−ウンデシル、カプロン酸n−トリデシル、カプロン酸n−ペンタデシル、カプリル酸n−ノニル、カプリル酸n−ウンデシル、カプリル酸n−トリデシル、カプリル酸n−ペンタデシル、カプリン酸n−ヘプチル、カプリン酸n−ノニル、カプリン酸n−ウンデシル、カプリン酸n−トリデシル、カプリン酸n−ペンタデシル、ラウリン酸n−ペンチル、ラウリン酸n−ヘプチル、ラウリン酸n−ノニル、ラウリン酸n−ウンデシル、ラウリン酸n−トリデシル、ラウリン酸n−ペンタデシル、ミリスチン酸n−ペンチル、ミリスチン酸n−ヘプチル、ミリスチン酸n−ノニル、ミリスチン酸n−ウンデシル、ミリスチン酸n−トリデシル、ミリスチン酸n−ペンタデシル、パルミチン酸n−ペンチル、パルミチン酸n−ヘプチル、パルミチン酸n−ノニル、パルミチン酸n−ウンデシル、パルミチン酸n−トリデシル、パルミチン酸n−ペンタデシル、ステアリン酸n−ノニル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸n−トリデシル、ステアリン酸n−ペンタデシル、エイコサン酸n−ノニル、エイコサン酸n−ウンデシル、エイコサン酸n−トリデシル、エイコサン酸n−ペンタデシル、ベヘニン酸n−ノニル、ベヘニン酸n−ウンデシル、ベヘニン酸n−トリデシル、ベヘニン酸n−ペンタデシル等を挙げることができる。
また、総炭素数が12乃至24のアリールアルキルケトン類、例えば、n−オクタデカノフェノン、n−ヘプタデカノフェノン、n−ヘキサデカノフェノン、n−ペンタデカノフェノン、n−テトラデカノフェノン、4−n−ドデカアセトフェノン、n−トリデカノフェノン、4−n−ウンデカノアセトフェノン、n−ラウロフェノン、4−n−デカノアセトフェノン、n−ウンデカノフェノン、4−n−ノニルアセトフェノン、n−デカノフェノン、4−n−オクチルアセトフェノン、n−ノナノフェノン、4−n−ヘプチルアセトフェノン、n−オクタノフェノン、4−n−ヘキシルアセトフェノン、4−n−シクロヘキシルアセトフェノン、4−tert−ブチルプロピオフェノン、n−ヘプタフェノン、4−n−ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル−n−ブチルケトン、4−n−ブチルアセトフェノン、n−ヘキサノフェノン、4−イソブチルアセトフェノン、1−アセトナフトン、2−アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等を挙げることができる。
また、前記式(2)中のRは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示すが、好ましくは炭素数10〜24のアルキル基、更に好ましくは炭素数12〜22のアルキル基である。
前記化合物としては、オクタン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ノナン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、デカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ウンデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ドデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、トリデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、テトラデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ペンタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘキサデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘプタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、オクタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、オクタン酸1,1−ジフェニルメチル、ノナン酸1,1−ジフェニルメチル、デカン酸1,1−ジフェニルメチル、ウンデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ドデカン酸1,1−ジフェニルメチル、トリデカン酸1,1−ジフェニルメチル、テトラデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ペンタデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ヘキサデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ヘプタデカン酸1,1−ジフェニルメチル、オクタデカン酸1,1−ジフェニルメチル等を挙げることができる。
又、各成分は各々二種以上の混合であってもよい。
前記マイクロカプセルは、平均粒子径が0.5〜50μm、好ましくは1〜30μm、より好ましくは2〜20μmの範囲が実用性を満たす。
前記マイクロカプセルは最大外径の平均値が50μmを越えると分散安定性に欠けることがあり、また、最大外径の平均値が0.5μm未満では高濃度の発色性を示し難くなる。
また、前記マイクロカプセルは、内包物:壁膜=7:1〜1:1(質量比)、好ましくは6:1〜1:1(質量比)の範囲が有効であり、内包物の比率が前記範囲より小になると発色時の色濃度及び鮮明性の低下を免れず、内包物の比率が前記範囲より大になると、壁膜の厚みが肉薄となり過ぎ、圧力や熱に対する耐性の低下を生じ易くなる。
前記マイクロカプセル化は、イソシアネート系の界面重合法、メラミン−ホルマリン系等のin Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
前記マイクロカプセル顔料の形態は円形断面の形態のものの適用を拒まないが、非円形断面の形態が効果的である。
筆記により形成される筆跡は、前記マイクロカプセル顔料が被筆記面に対して長径側(最大外径側)を密接させて濃密に配向、固着されており、高濃度の発色性を示すと共に、前記筆跡を摩擦体による摩擦による外力に対して、前記マイクロカプセル顔料は外力を緩和する形状に微妙に弾性変形し、マイクロカプセルの壁膜の破壊が抑制され、熱変色機能を損なうことなく有効に発現させることができる。
針入度は、JIS K2207に規格化されており、固形筆記体に規定重量の針を温度25℃,荷重100g、貫入時間5秒にて垂直に進入させ、進入した長さを表したものであって、針入度の値は、0.1mmを針入度1と表す。従って、数字が小さいほど硬く、大きいほど柔らかい固形筆記体である。
針入度が1未満では、固形筆記体が硬すぎて筆跡がうすく、視認性に乏しくなる。一方、針入度が30を越えると、固形筆記体が柔らかすぎて筆記し難く、しかも、筆跡は乾きが悪いため筆記面の空白部分を汚染したり、他の紙への色移りや汚れを引き起こす。
前記固形筆記体に摩擦部材を設けることにより、携帯性に優れた筆記体が得られる。
また、前記摩擦具は固形筆記体と組み合わせて固形筆記体セットとすることもできる。
前記摩擦具や摩擦部材は、弾性感に富み、摩擦時に適度な摩擦を生じて摩擦熱を発生させることのできるエラストマー、プラスチック発泡体等の弾性体が好適であるが、プラスチック成形体や金属であってもよい。
なお、消しゴムを使用して筆跡を摩擦することもできるが、摩擦時に消しカスが発生するため、好ましくは前述のような摩擦具や摩擦部材が用いられる。
前記摩擦具や摩擦部材の材質としては、シリコーン樹脂やSEBS樹脂(スチレンエチレンブタジエンスチレンブロック共重合体)が好適に用いられる。
尚、実施例中の部は質量部を示す。
実施例1
可逆熱変色性組成物の調製
(イ)成分として4,5,6,7−テトラクロロ−3−〔4−(ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル〕−3−〔1−エチル−2−メチル−1H−インドール−3−イル〕−1(3H)−イソベンゾフラノン1.5部、(ロ)成分として4,4′−(2−メチルプロピリデン)ビスフェノール3部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル15部を加温、溶解させて色彩記憶性を有する加熱消色型の可逆熱変色性組成物を得た。
パラフィンワックス140F11部からなるワックス中に前記可逆熱変色性組成物1部を加えて、加熱混合溶融し、クレヨン成形金型に流し込み冷却させて固形筆記体(クレヨン)を得た。
前記固形筆記体の針入度を測定すると10であった。
前記固形筆記体を−16℃以下に冷却して可逆熱変色性組成物を青色に発色させた後、紙面上に筆記すると、青色の筆跡を形成することができた。
前記筆跡は、SEBS樹脂からなる摩擦体を用いて摩擦することにより消去でき、再び固形筆記体を用いて文字を描くことができた。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製
(イ)成分として4,5,6,7−テトラクロロ−3−〔4−(ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル〕−3−〔1−エチル−2−メチル−1H−インドール−3−イル〕−1(3H)−イソベンゾフラノン1.5部、(ロ)成分として2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5.0部、4,4′−(2−メチルプロピリデン)ビスフェノール3.0部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(T1:−16℃、T2:−8℃、T3:48℃、T4:58℃、ΔH:65℃、平均粒子径:2.5μm、可逆熱変色性組成物:壁膜=2.6:1.0、ピンク色から無色に色変化する)を得た。
パラフィンワックス140F(融点61℃)〔日本精蝋(株)製〕11部からなるワックス中に前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料2部を加えて、加熱混合溶融し、クレヨン成形金型に流し込み冷却させて固形筆記体(クレヨン)を得た。
前記固形筆記体の針入度を測定すると10であった。
前記固形筆記体を−16℃以下に冷却して可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を青色に発色させた後、紙面上に筆記すると、青色の筆跡を形成することができた。
前記筆跡は、SEBS樹脂からなる摩擦体を用いて摩擦することにより消去でき、再び固形筆記体を用いて文字を描くことができた。
なお、適用する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は実施例2と同様である。
表中の括弧内の数字は質量部を示す。
ポリプロピレンワックスA:サンワックス171P(三洋化成製)
ポリエチレンワックス:ビスコール550P(三洋化成製)
スチレン系オリゴマー:ピコラスチックA−75(理化ハーキュレス製)
ポリプロピレンワックス:Opti Pak210(Honeywell International Inc.社製)
マイクロクリスタリンワックス:Hi―Mic−1045(日本精鑞製)
筆跡濃度は各実施例で得られた固形筆記体を500gの加重で白色上質紙上に筆跡を描き、筆跡をGretag Macbeth社製Spectro Eye分光光度計にて測定したDB値を示している。DB値は数字が大きければ筆跡濃度が濃いことを表し、小さければ筆跡濃度がうすいことを表す。
目視濃度は筆跡を目視による観察した。
裏移り性は筆跡上に白色紙を載置し、300gの加重で室温下で1分間放置した後、白色紙を剥がして筆跡が転移する程度を目視により観察した。
目視濃度の評価
○:筆跡の視認性に優れる。
△:筆跡は若干薄いが視認できる。
×:筆跡の視認性に乏しい。
以下に表中の裏移り性の評価に対する記号について記す。
○:裏移りは見られない。
△:若干の裏移りが見られる。
×:著しく裏移りを生じる。
固形筆記具の作製
実施例1で得たクレヨンをプラスチック製円筒状容器にセットして固形筆記具を得た。なお、容器の後端部にSEBS樹脂からなる摩擦体を設けてなる。
前記固形筆記具は紙面上に筆記すると、青色の筆跡を形成することができ、容器の後端部に設けた摩擦体を用いて筆跡を摩擦することにより消去でき、携帯性に優れた固形筆記体であった。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製
(イ)成分として1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン1.0部、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン2.0部、(ロ)成分として4,4′−(2−メチルプロピリデン)ビスフェノール4.5部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン7.5部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(T1:−20℃、T2:−9℃、T3:40℃、T4:57℃、ΔH:63℃、平均粒子径:2.5μm、可逆熱変色性組成物:壁膜=2.6:1.0、赤色から無色に色変化する)を得た。
ポリエチレンワックス(軟化点107℃)〔三洋化成(株)製、商品名サンワックス131−P〕100部、エチレン酢酸ビニル共重合ワックス13部からなる賦形性ワックス中に、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料13部を加えて加熱混合溶融させ、押出成形により、成形・冷却・乾燥させて、固形筆記体(鉛芯)を得た。
前記固形筆記体の針入度を測定すると7であった。
前記鉛芯を−20℃以下に冷却して可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を赤色に発色させた後、軸内に内蔵して鉛筆を得た。なお、軸の後部にはSEBS樹脂からなる摩擦体を設けてなる。
前記鉛筆を用いて紙面上に筆記すると、赤色の筆跡を形成することができた。
前記筆跡は、軸の後部に設けた摩擦体を用いて摩擦することにより消去でき、再び鉛筆を用いて文字を描くことができた。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製
(イ)成分として2−(2−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン4.5部、(ロ)成分として4,4′−(2−メチルプロピリデン)ビスフェノール4.5部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン7.5部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(T1:−20℃、T2:−9℃、T3:40℃、T4:57℃、ΔH:63℃、平均粒子径:2.5μm、可逆熱変色性組成物:壁膜=2.6:1.0、黒色から無色に色変化する)を得た。
ポリエチレンワックス(軟化点107℃)〔三洋化成(株)製、商品名サンワックス151−P〕100部、蜜ろう13部からなる賦形性ワックス中に、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料13部を加えて加熱混合溶融させ、押出成形により、成形・冷却・乾燥させて、固形筆記体(シャープペンシル用芯)を得た。
前記固形筆記体の針入度を測定すると10であった。
前記固形筆記体を−20℃以下に冷却して可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を黒色に発色させた後、シャープペンシル本体に内蔵してシャープペンシルを得た。なお、軸の後部にはSEBS樹脂からなる摩擦体を設けてなる。
前記シャープペンシルを用いて紙面上に筆記すると、黒色の筆跡を形成することができた。
前記筆跡は、軸の後部に設けた摩擦体を用いて摩擦することにより消去でき、再びシャープペンシルを用いて文字を描くことができた。
固形筆記体の調製
ポリエチレンワックス(軟化点107℃)〔三洋化成(株)製、商品名サンワックス151−P〕100部、蜜ろう13部からなる賦形性ワックス中に、実施例11で得られた可逆熱変色性マイクロカプセル顔料13部、蛍光ピンク色顔料〔エポカラーFP−112、日本触媒(株)製〕2部を加えて加熱混合溶融させ、押出成形により、成形・冷却・乾燥させて、固形筆記体(シャープペンシル用芯)を得た。
前記固形筆記体の針入度を測定すると10であった。
前記固形筆記体を−20℃以下に冷却して可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を黒色に発色させた後、シャープペンシル本体に内蔵してシャープペンシルを得た。なお、軸の後部にはSEBS樹脂からなる摩擦体を設けてなる。
前記シャープペンシルを用いて紙面上に筆記すると、黒色の筆跡を形成することができた。
前記筆跡は、軸の後部に設けた摩擦体を用いて摩擦することによりピンク色に変化した。
実施例2で得た固形筆記体とSEBS樹脂からなる摩擦体を組み合わせて固形筆記具セットを得た。
前記固形筆記具セットは固形筆記体を用いて紙面上に筆記すると、青色の筆跡を形成することができ、摩擦体を用いて筆跡を摩擦することにより無色になり、携帯性に優れた固形筆記体セットであった。
t2 発色開始温度
t3 消色開始温度
t4 完全消色温度
T1 完全消色温度
T2 消色開始温度
T3 発色開始温度
T4 完全発色温度
ΔH ヒステリシス幅
Claims (5)
- (イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体とから少なくともなる可逆熱変色性組成物を賦形性ワックスに分散状態に保持、成形してなる固形筆記体であって、前記筆記体の針入度が1〜30であることを特徴とする固形筆記体。
- 前記可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を賦形性ワックスに分散状態に保持、成形してなる請求項1記載の固形筆記体。
- 非変色性染料又は顔料を含んでなる請求項1又は2記載の固形筆記体。
- 摩擦部材を設けてなる請求項1乃至3のいずれか一項に記載の固形筆記体。
- 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の固形筆記体と、摩擦体とからなる固形筆記体セット。
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