JPWO2018190229A1 - 熱応答性組成物及び熱応答性材料 - Google Patents

熱応答性組成物及び熱応答性材料 Download PDF

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Abstract

本発明の一実施形態は、数平均壁厚が10nm〜200nmであり、電子供与性染料前駆体と電子供与性染料前駆体を発色させる電子受容性化合物との反応生成物である発色色素、及び変色温度調整剤を内包するマイクロカプセルと、マイクロカプセルの内部及び外部の少なくとも一方に存在する色材と、を含有する熱応答性組成物、及び熱応答性材料を提供する。

Description

本開示は、熱応答性組成物及び熱応答性材料に関する。
従来から、温度に由来するサーモクロミズムによって分子状態が変化し、色相に変化がもたらされる材料は知られており、種々の分野での利用が図られている。例えば、可逆性サーモクロミック顔料を含有し、温度により異なる色相を呈するサーモクロミックインクが開示されている(例えば、米国特許出願公開第2016/0017163号明細書参照)。
また、電子供与性呈色性有機化合物と電子受容性化合物と特定の反応媒体とをマイクロカプセルに内包してなり、温度変化により大きなヒステリシス特性を示して発色−消色の可逆的変色を呈する感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料が開示されている(例えば、特許第4373064号公報参照)。
更には、面方向における熱分布を表示可能な熱分布表示体に関する開示もある(例えば、特開2010−180294号公報参照)。
上記のように、従来から熱に応答して色相が変化する材料は提案されているものの、米国特許出願公開第2016/0017163号明細書及び特許第4373064号公報では、色濃度が低いばかりか、熱が与えられて変色した際の変色前後での色相差が小さいとの課題がある。
また、熱が与えられて変化した際の色相は、与えられた温度を示すが、引き続いて熱が与えられる状況下では、継続的に色相が変化してしまい、目的とする温度状態を維持することはできない。
本開示は、上記に鑑みなされたものである。即ち、
本発明の一実施形態が解決しようとする課題は、熱が付与された際の温度差が広範な色相の変化として現れる熱応答性組成物を提供することにある。
本発明の他の実施形態が解決しようとする課題は、熱が付与された際の温度差が広範な色相の変化として現れる熱応答性材料を提供することにある。
上記「色相の変化」は、後述するように、L色空間(CIELAB色空間)における色相差により評価されるものである。本開示における色相の変化は、熱の付与前における色材の濃度低下が生じていくうちに別の色相との混色となり、最終的に別の色相へ変化するものである。
上記の課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 数平均壁厚が10nm〜200nmであり、電子供与性染料前駆体と電子供与性染料前駆体を発色させる電子受容性化合物との反応生成物である発色色素、及び変色温度調整剤を内包するマイクロカプセルと、マイクロカプセルの内部及び外部の少なくとも一方に存在する色材と、を含有する熱応答性組成物である。
<2> マイクロカプセルの内部に上記色材を含有する<1>に記載の熱応答性組成物である。
<3> マイクロカプセルの外部に上記色材を含有する<1>に記載の熱応答性組成物である。
<4> マイクロカプセルのカプセル壁は、3官能以上のイソシアネートの重合物を含む<1>〜<3>のいずれか1つに記載の熱応答性組成物である。
<5> マイクロカプセルの体積標準のメジアン径が、0.1μm〜100μmである<1>〜<4>のいずれか1つに記載の熱応答性組成物である。
<6> マイクロカプセルの体積標準のメジアン径が、0.1μm〜10μmである<1>〜<5>のいずれか1つに記載の熱応答性組成物である。
<7> マイクロカプセルの数平均壁厚が、20nm〜100nmである<1>〜<6>のいずれか1つに記載の熱応答性組成物である。
<8> 発色色素の色相と色材の色相とが異なり、かつ、熱の付与前後における色相差ΔHが10〜20である<1>〜<7>のいずれか1つに記載の熱応答性組成物である。
<9> マイクロカプセルのカプセル壁に対するマイクロカプセルの内包物の質量比が、7を超える<1>〜<8>のいずれか1つに記載の熱応答性組成物である。
<10> 変色温度調整剤が、炭素数12〜24のアリールアルキルケトンである<1>〜<9>のいずれか1つに記載の熱応答性組成物である。
<11> 発色色素に対する変色温度調整剤の含有比率は、100質量%〜2000質量%である<1>〜<10>のいずれか1つに記載の熱応答性組成物である。
<12> 支持体と、<1>〜<11>のいずれか1つに記載の熱応答性組成物の塗布物である熱応答性層と、を有する熱応答性材料である。
本発明の一実施形態によれば、熱が付与された際の温度差が広範な色相の変化として現れる熱応答性組成物が提供される。
本発明の他の実施形態によれば、熱が付与された際の温度差が広範な色相の変化として現れる熱応答性材料が提供される。
以下、本開示の熱応答性組成物及び熱応答性材料について詳細に説明する。
本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合は、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において、「工程」との用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
<熱応答性組成物>
本開示の熱応答性組成物は、マイクロカプセルと色材とを含有し、必要に応じて水系溶媒、バインダー、及び添加剤等の他の成分を含有してもよい。
本開示におけるマイクロカプセルは、数平均壁厚が10nm〜200nmであり、かつ、電子供与性染料前駆体と電子供与性染料前駆体を発色させる電子受容性化合物との反応生成物である発色色素、及び変色温度調整剤を内包している。
本明細書において、マイクロカプセルに成分が「内包」されている状態を、成分が「マイクロカプセルの内部に含有」されているともいい、マイクロカプセルに内包された成分を「内包物」ともいう。
従来から提案されている、熱に応答して色相が変化する材料は、視覚的に捉えることができる色濃度が低いばかりか、温度差が与えられて変色した際の変色前後における色相差が乏しいとの課題がある。
本発明の一実施形態では、あらかじめ発色反応物である発色色素を内包して着色されたマイクロカプセルに加えて非熱応答性の色材を含むことで、熱が付与された際、変色温度調整剤の作用を受けてマイクロカプセル内の発色色素の色濃度が低下するに従い、マイクロカプセル内の発色色素の色相と色材の色相との混色となって変色し、変色前の色相に対して色相差が発現し、被検体の温度状態を色の変化(すなわち色相差)として表すことができる。
そして、本開示の熱応答性組成物では、マイクロカプセルの壁の厚み(壁厚)が10nm〜200nmと薄いので、従来のマイクロカプセルに比べ、着色されたマイクロカプセルの着色濃度が高められ、熱が与えられた際の変色作用による色相差が顕著に現れる。また、従来のマイクロカプセルに比べ、熱応答速度にも優れる。
[マイクロカプセル]
本開示の熱応答性組成物は、マイクロカプセルの少なくとも一種を含有する。
本開示の熱応答性組成物に含有されるマイクロカプセルは、着色のある物質である色素を内包した着色カプセルであり、内包された色素の発色色相により任意の色相に着色されていてよい。
本開示におけるマイクロカプセルは、少なくとも発色色素及び変色温度調整剤を内包し、発色色素により着色されており、必要に応じて、更に、溶媒(いわゆるオイル成分)、補助溶媒、及び添加剤等を内包してもよい。
−発色色素−
マイクロカプセルは、発色色素の少なくとも一種を含有する。
マイクロカプセルに内包された発色色素は、電子供与性染料前駆体と電子供与性染料前駆体を発色させる電子受容性化合物とが反応して生成される反応生成物である。
(電子供与性染料前駆体)
電子供与性染料前駆体としては、例えば、トリフェニルメタンフタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、インドリルフタリド系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、トリアゼン系化合物、スピロピラン系化合物、フルオレン系化合物、ピリジン系化合物、ピラジン系化合物等が挙げられる。
上記の化合物の詳細については、特開平5−257272号公報の記載を参照することができる。
電子供与性染料前駆体は、1種単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
電子供与性染料前駆体の好ましい例としては、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−n−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−[2,2−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)ビニル]−3−(4−ジエチルアミノフェニル)−フタリド、9−[エチル(3−メチルブチル)アミノ]スピロ[12H−ベンゾ[a]キサンテン−12,1’(3’H)イソベンゾフラン]−3’−オン、6’−(エチルイソブチルアミノ)−2’−アニリノ−3’−メチルスピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9’−[9H]キサンテン]−3−オン、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−アニリノ−6−ジブチルアミノ−3−メチルフルオラン、6−ジエチルアミノ−3−メチル−2−(2,6−キシリジノ)−フルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、3,3−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、2−アニリノ−6−ジエチルアミノ−3−メチルフルオラン等が挙げられる。
(電子受容性化合物)
電子受容性化合物としては、フェノール系化合物、サリチル酸系化合物、ヒドロキシ安息香酸エステル等が挙げられる。中でも、ビスフェノール系化合物、ヒドロキシ安息香酸エステル系化合物が好ましい。
電子受容性化合物の例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸及びその多価金属塩、3,5−ジ(tert−ブチル)サリチル酸及びその多価金属塩、3−α,α−ジメチルベンジルサリチル酸及びその多価金属塩、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−フェニルフェノール及びp−クミルフェノールを挙げることができる。
電子受容性化合物として、下記一般式(1)で表される化合物も好適である。

一般式(1)において、R、R、R、及びRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシ基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、アルキルスルホニル基、アルキル基、又はアリール基を表す。R〜Rのうち、隣接する2つは互いに結合して環構造を形式してもよい。Mは、n価の金属原子を表し、nは1〜3の整数を表す。
一般式(1)においてR、R、R、又はRとして表されるアルキル基は、無置換でも置換基を有してもよく、炭素数が1〜8であることが好ましく、直鎖状でも分岐状でも環状でもよいし、更にフェニル基又はハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
、R、R、又はRで表されるアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、t−ブチル、シクロヘキシル、ベンジル、2−フェニルエチル等が挙げられる。アルキル基は、直鎖状又は分岐状の構造を有し、炭素数が1〜4(置換基の炭素数を含まない)であるものがより好ましい。
、R、R、又はRで表されるアリール基は、無置換でも置換基を有してもよく、炭素数3〜6の3員環〜6員環であるアリール基が好ましく、ヘテロ原子を有していてもよい。
、R、R、又はRで表されるアリール基としては、例えば、フェニル、トリル、ナフチル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリジル等が挙げられる。中でも、R、R、R、又はRで表されるアリール基は、炭素数6〜8の6員環のアリール基がより好ましい。
、R、R、又はRで表されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
アミノ基、カルバモイル基、アルキル基、及びアリール基が更に有し得る置換基としては、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシ基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、アルキルスルホニル基、アルキル基、及びアリール基等が挙げられ、アルキルスルホニル基、アルキル基、及びアリール基等における炭素数は1〜8であることが好ましい。
上記の中でも、R〜Rは、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表すことが好ましい。
〜Rの好ましい組み合わせとしては、Rが水素原子であり、Rがフェニル基を有する炭素数2又は3のアルキル基(フェニル基の炭素数を含めると炭素数8又は9)であり、Rが水素原子であり、Rがフェニル基を有する炭素数2又は3のアルキル基(フェニル基の炭素数を含めると炭素数8又は9)である態様が好ましい。
また、R〜Rのうち、隣接する2つは互いに結合して環を形成してもよい。
一般式(1)中のMは、n価の金属原子を表し、nは1〜3の整数を表す。
Mとしては、例えば、ナトリウム原子、カリウム原子、銅原子、アルミニウム原子、カルシウム原子、亜鉛原子等が挙げられる。中でも、多価の金属原子、すなわち2価以上の金属原子であることが好ましく、Mはアルミニウム原子、カルシウム原子、又は亜鉛原子であることが好ましい。より好ましくは、Mは亜鉛原子である。
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、4−ペンタデシルサリチル酸、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸、3,5−ジ(ter−オクチル)サリチル酸、5−α−(p−α−メチルベンジルフェニル)エチルサリチル酸、3−α−メチルベンジル−5−ter−オクチルサリチル酸、5−テトラデシルサリチル酸、4−ヘキシルオキシサリチル酸、4−シクロヘキシルオキシサリチル酸、4−デシルオキシサリチル酸、4−ドデシルオキシサリチル酸、4−ペンタデシルオキシサリチル酸、4−オクタデシルオキシサリチル酸等の、亜鉛、アルミニウム、カルシウム、銅の塩等が挙げられる。
発色色素のマイクロカプセル中における含有率は、発色性を高め、広範な温度範囲に対応する濃度変化(濃度勾配)を発現させる観点から、マイクロカプセルの内包物の全固形分濃度に対し、10質量%〜90質量%の範囲が好ましく、20質量%〜85質量%の範囲がより好ましく、更には30質量%〜80質量%の範囲が好ましい。
−変色温度調整剤−
本開示におけるマイクロカプセルは、変色温度調整剤の少なくとも一種を含有する。
変色温度調整剤としては、炭化水素系化合物、ハロゲン化炭化水素系化合物、スルフィド系化合物、エーテル系化合物、ケトン系化合物、エステル系化合物、酸アミド系化合物、アルコール系化合物、ワックス等が挙げられ、ケトン系化合物が好ましく、総炭素数10以上のケトン系化合物がより好ましい。
炭化水素系化合物としては、鎖式炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられる。
鎖式炭化水素としては、例えば、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、ヘンエイコサン、ドコサン、トリコサン、テトラコサン、ペンタコサン、ヘキサコサン、ヘプタコサン、オクタコサン、ノナコサン、トリアコンタン等が挙げられる。
ハロゲン化炭化水素系化合物としては、例えば、1−ブロモデカン、1−ブロモウンデカン、1−ブロモドデカン、1−ブロモトリデカン、1−ブロモテトラデカン、1−クロロテトラデカン、1−ブロモペンタデカン、1−ブロモヘキサデカン、1−クロロヘキサデカン、1−ヨードヘキサデカン、1−ブロモヘプタデカン、1−ブロモオクタデカン、1−クロロオクタデカン、1−ヨードオクタデカン、1−ブロモエイコサン、1−クロロエイコサン、1−ブロモドコサン、1−クロロドコサン等が挙げられる。
スルフィド系化合物としては、ジ−n−オクチルスルフィド、ジ−n−ノニルスルフィド、ジ−n−デシルスルフィド、ジ−n−ドデシルスルフィド、ジ−n−テトラデシルスルフィド、ジ−n−ヘキサデシルスルフィド、ジ−n−オクタデシルスルフィド、オクチルドデシルスルフィド、ジフェニルスルフィド、ジベンジルスルフィド、ジトリルスルフィド、ジエチルフェニルスルフィド、ジナフチルスルフィド、4,4’−ジクロロ−ジフェニルスルフィド、2,4,5,4’−テトラクロロ−ジフェニルスルフィド等が挙げられる。
エーテル系化合物としては、例えば、総炭素数10以上の脂肪族エーテル、脂環式エーテル、芳香族エーテル等が挙げられる。
総炭素数10以上の脂肪族エーテルとしては、例えば、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテル、ジウンデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、デカンジオールジメチルエーテル、ウンデカンジオールジメチルエーテル、ドデカンジオールジメチルエーテル、トリデカンジオールジメチルエーテル、デカンジオールジエチルエーテル、ウンデカンジオールジエチルエーテル等が挙げられる。
脂環式エーテルとしては、例えば、s−トリオキサン等が挙げられる。
芳香族エーテルとしては、例えば、フェニルエーテル、ベンジルフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、ジ−p−トリルエーテル、1−メトキシナフタレン、3,4,5−トリメトキシトルエン等が挙げられる。
ケトン系化合物としては、総炭素数が10以上の脂肪族ケトン、総炭素数12〜24のアリールアルキルケトン、アリールアリールケトン、又は脂環式ケトンが挙げられる。
総炭素数が10以上の脂肪族ケトンとしては、例えば、2−デカノン、3−デカノン、4−デカノン、2−ウンデカノン、3−ウンデカノン、4−ウンデカノン、5−ウンデカノン、6−ウンデカノン、2−ドデカノン、3−ドデカノン、4−ドデカノン、5−ドデカノン、2−トリデカノン、3−トリデカノン、2−テトラデカノン、2−ペンタデカノン、8−ペンタデカノン、2−ヘキサデカノン、3−ヘキサデカノン、9−ヘプタデカノン、2−ペンタデカノン、2−オクタデカノン、2−ノナデカノン、10−ノナダカノン、2−エイコサノン、11−エイコサノン、2−ヘンエイコサノン、2-ドコサノン、ラウロン、ステアロン等を例示できる。
総炭素数12〜24のアリールアルキルケトンとしては、例えば、n−オクタデカノフェノン、n−ヘプタデカノフェノン、n−ヘキサデカノフェノン、n−ペンタデカノフェノン、n−テトラデカノフェノン、4−n−ドデカアセトフェノン、n−トリデカノフェノン、4−n−ウンデカノアセトフェノン、n−ラウロフェノン、4−n−デカノアセトフェノン、n−ウンデカノフェノン、4−n−ノニルアセトフェノン、n−デカノフェノン、4−n−オクチルアセトフェノン、n−ノナノフェノン、4−n−ヘプチルアセトフェノン、n−オクタノフェノン、4−n−ヘキシルアセトフェノン、4−n−シクロヘキシルアセトフェノン、4−tert−ブチルプロピオフェノン、n−ヘプタフェノン、4−n−ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル−n−ブチルケトン、4−n−ブチルアセトフェノン、n−ヘキサノフェノン、4−イソブチルアセトフェノン、1−アセトナフトン、2−アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等が挙げられる。
アリールアリールケトンとしては、総炭素数12〜24のアリールアリールケトンが好ましく、例えば、ベンゾフェノン、ベンジルフェニルケトン、ジベンジルケトン等が挙げられる。
脂環式ケトンとしては、総炭素数8〜24の脂環式ケトンが好ましく、例えば、シクロオクタノン、シクロドデカノン、シクロペンタデカノン、4−tert−ブチルシクロヘキサノン等が挙げられる。
エステル系化合物としては、炭素数10以上のエステル化合物が挙げられ、脂肪族及び脂環もしくは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環もしくは芳香環を有する一価アルコールと、を任意に組み合わせたエステル化合物、脂肪族及び脂環もしくは芳香環を有する多価カルボン酸と、脂肪族及び脂環もしくは芳香環を有する一価アルコールと、を任意に組み合わせたエステル化合物、脂肪族及び脂環もしくは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環もしくは芳香環を有する多価アルコールと、を任意に組み合わせたエステル化合物が挙げられる。
エステルの例としては、カプリル酸エチル、カプリル酸オクチル、カプリル酸ステアリル、カプリン酸ミリスチル、カプリン酸ステアリル、カプリン酸ドコシル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸n−デシル、ミリスチン酸3−メチルブチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ネオペンチル、パルミチン酸ノニル、パルミチン酸シクロヘキシル、ステアリン酸n−ブチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸ペンタデシル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸シクロヘキシルメチル、ベヘン酸イソプロピル、ベヘン酸ヘキシル、ベヘン酸ラウリル、ベヘン酸ベヘニル、安息香酸セチル、ptert−ブチル安息香酸ステアリル、フタル酸ジミリスチル、フタル酸ジステアリル、シュウ酸ジミリスチル、シュウ酸ジセチル、マロン酸ジセチル、コハク酸ジラウリル、グルタル酸ジラウリル、アジピン酸ジウンデシル、アゼライン酸ジラウリル、セバシン酸ジ−(n−ノニル)、1,18−オクタデシルメチレンジカルボン酸ジネオペンチル、エチレングリコールジミリステート、プロピレングリコールジラウレート、プロピレングリコールジステアレート、ヘキシレングリコールジパルミテート、1,5−ペンタンジオールジミリステート、1,2,6−ヘキサントリオールトリミリステート、1,4−シクロヘキサンジオールジデシル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジミリステート、キシレングリコールジカプリネート、キシレングリコールジステアレート等が挙げられる。
また、飽和脂肪酸と分枝脂肪族アルコールとのエステル、不飽和脂肪酸又は分枝もしくは置換基を有する飽和脂肪酸と分岐状であるか又は炭素数16以上の脂肪族アルコールとのエステル、酪酸セチル、酪酸ステアリル及び酪酸ベヘニルから選ばれるエステル化合物も有効である。具体的には、特開2001−105732号公報に記載されている。
アルコール系化合物としては、脂肪族一価の飽和アルコール、脂肪族不飽和アルコール、脂環式アルコール、芳香族アルコール、又は多価アルコールが挙げられる。
飽和アルコールとしては、例えば、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール等が挙げられる。
脂肪族不飽和アルコールとしては、例えば、アリルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。
脂環式アルコールとしては、例えば、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロオクタノール、シクロドデカノール、4−tert−ブチルシクロヘキサノール等が挙げられる。
芳香族アルコールとしては、例えば、4−メチルベンジルアルコール、ベンズヒドロール等が挙げられる。
また、多価アルコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
酸アミド系化合物としては、例えば、アセトアミド、プロピオン酸アミド、酪酸アミド、カプロン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベンズアミド、カプロン酸アニリド、カプリル酸アニリド、カプリン酸アニリド、ラウリン酸アニリド、ミリスチン酸アニリド、パルミチン酸アニリド、ステアリン酸アニリド、ベヘニン酸アニリド、オレイン酸アニリド、エルカ酸アニリド、カプロン酸N−メチルアミド、カプリル酸N−メチルアミド、カプリン酸N−メチルアミド、ラウリン酸N−メチルアミド、ミリスチン酸N−メチルアミド、パルミチン酸N−メチルアミド、ステアリン酸N−メチルアミド、ベヘン酸N−メチルアミド、オレイン酸N−メチルアミド、エルカ酸N−メチルアミド、ラウリン酸N−エチルアミド、ミリスチン酸N−エチルアミド、パルミチン酸N−エチルアミド、ステアリン酸N−エチルアミド、オレイン酸N−エチルアミド、ラウリン酸N−ブチルアミド、ミリスチン酸N−ブチルアミド、パルミチン酸N−ブチルアミド、ステアリン酸N−ブチルアミド、オレイン酸N−ブチルアミド、ラウリン酸N−オクチルアミド、ミリスチン酸N−オクチルアミド、パルミチン酸N−オクチルアミド、ステアリン酸N−オクチルアミド、オレイン酸N−オクチルアミド、ラウリン酸N−ドデシルアミド、ミリスチン酸N−ドデシルアミド、パルミチン酸N−ドデシルアミド、ステアリン酸N−ドデシルアミド、オレイン酸N−ドデシルアミド、ジラウリン酸アミド、ジミリスチン酸アミド、ジパルミチン酸アミド、ジステアリン酸アミド、ジオレイン酸アミド、トリラウリン酸アミド、トリミリスチン酸アミド、トリパルミチン酸アミド、トリステアリン酸アミド、トリオレイン酸アミド、コハク酸アミド、アジピン酸アミド、グルタル酸アミド、マロン酸アミド、アゼライン酸アミド、マレイン酸アミド、コハク酸N−メチルアミド、アジピン酸N−メチルアミド、グルタル酸N−メチルアミド、マロン酸N−メチルアミド、アゼライン酸N−メチルアミド、コハク酸N−エチルアミド、アジピン酸N−エチルアミド、グルタル酸N−エチルアミド、マロン酸N−エチルアミド、アゼライン酸N−エチルアミド、コハク酸N−ブチルアミド、アジピン酸N−ブチルアミド、グルタル酸N−ブチルアミド、マロン酸N−ブチルアミド、アジピン酸N−オクチルアミド、アジピン酸N−ドデシルアミド等を例示できる。
ワックスとしては、融点が50℃〜120℃であるパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム、酸化パラフィンワックス、酸化ペトロラクタム、セラック、サトウキビロウ、カルナバワックス、キャンデリラワックス、カスターワックス、牛脂硬化油、魚脂硬化油、菜種硬化油、モンタンロウ、パームロウ、チュウハクロウ、ハゼロウ、羊毛脂、酸化ポリエチレンワックス、モンタン酸ワックス、エチレン酢ビ共重合ワックス、エチレンアクリル共重合ワックス、ビニールエーテルワックス等が挙げられる。
上記のうち、変色温度調整剤としては、変色温度範囲の観点から、ケトン系化合物が好ましく、炭素数12〜24のアリールアルキルケトンがより好ましい。
発色色素に対する変色温度調整剤の含有比率としては、発色色素に対して、100質量%〜2000質量%の範囲が好ましく、300質量%〜1500質量%の範囲であることが好ましい。
本開示の熱応答性組成物では、電子供与性染料前駆体及び電子受容性化合物が反応した反応生成物である発色色素と変色温度調整剤とを、発色色素及び変色温度調整剤が内包されたマイクロカプセルの形態で含む。
発色色素及び変色温度調整剤がマイクロカプセルに内包されていることで、発色色素を変色温度調整剤の近傍に存在させておくことができ、熱に対する応答性が向上する。
−溶媒−
マイクロカプセルには、いわゆる油相のオイル成分として溶媒を内包してもよい。溶媒には、感熱紙の分野で公知の化合物を用いることができる。
溶媒の例としては、ジイソプロピルナフタレン等のアルキルナフタレン系化合物、1−フェニル−1−キシリルエタン等のジアリールアルカン系化合物、イソプロピルビフェニル等のアルキルビフェニル系化合物、トリアリールメタン系化合物、アルキルベンゼン系化合物、ベンジルナフタレン系化合物、ジアリールアルキレン系化合物、アリールインダン系化合物等の芳香族炭化水素;フタル酸ジブチル、イソパラフィン等の脂肪族炭化水素;大豆油、コーン油、綿実油、菜種油、オリーブ油、ヤシ油、ひまし油、魚油等の天然動植物油;鉱物油等の天然物高沸点留分などが挙げられる。
溶媒のマイクロカプセル中における含有率は、マイクロカプセルに内包される内包物の全質量に対して、50質量%未満が好ましい。
−補助溶媒−
マイクロカプセルには、必要に応じて、マイクロカプセルを製造する際の壁材の油相中への溶解性を高めるための油相成分として補助溶媒を含有してもよい。補助溶媒には、上記の溶媒は含まれない。
補助溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン等のケトン系化合物、酢酸エチル等のエステル系化合物、イソプロピルアルコール等のアルコール系化合物等が挙げられる。好ましくは、補助溶媒は、沸点が130℃以下である。
補助溶媒のマイクロカプセル中における含有量は、マイクロカプセルに内包される内包物の全質量に対して、0質量%〜90質量%が好ましく、1質量%〜80質量%がより好ましく、更に好ましくは5質量%〜70質量%である。
−添加剤−
マイクロカプセルには、上記の成分のほか、必要に応じて、紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤、臭気抑制剤等の添加剤などを内包してもよい。
添加剤のマイクロカプセル中における含有量としては、マイクロカプセルに内包された内包物の全質量に対して、0質量%〜20質量%が好ましく、1質量%〜15質量%がより好ましく、更に好ましくは5質量%〜10質量%である。
本開示において、マイクロカプセルは、平均一次粒径が1μm以上1000μm未満であることが好ましい。マイクロカプセルの粒径は、任意の測定機器、例えばマイクロトラックMT3300EXII(日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
マイクロカプセルの数平均壁厚は、10nm〜200nmの範囲である。
マイクロカプセルの数平均壁厚が10nm以上であると、製造上適している。また、 マイクロカプセルの数平均壁厚が200nm以下であると、内包物の含有量が少なくなり過ぎず、良好な色相差を実現することができる。
マイクロカプセルの数平均壁厚は、カプセル壁材の種類、カプセル中の内包物の内包量、及びカプセルの粒径等の種々の条件に依存するが、発色濃度を高める観点から、20nm〜200nmの範囲が好ましく、20nm〜100nmがより好ましく、20nm〜50nmが更に好ましい。
マイクロカプセルの数平均壁厚とは、マイクロカプセルのカプセル粒子を形成する樹脂膜(いわゆるカプセル壁)の厚み(nm)を指し、数平均壁厚とは、5個のマイクロカプセルの個々のカプセル壁の厚み(nm)を走査型電子顕微鏡(SEM)により求めて平均した平均値をいう。具体的には、まずマイクロカプセル液を任意の支持体上に塗布し、乾燥して塗布膜を形成する。得られた塗布膜の断面切片を形成し、形成された断面をSEMを用いて観察し、任意の5個のマイクロカプセルを選択の上、選択した個々のマイクロカプセルの断面を観察してカプセル壁の厚みを求めて平均値を算出する。
マイクロカプセルの壁厚は、下記式で表されるように、カプセル壁及び内包物とマイクロカプセルの粒径との関係に支配され、マイクロカプセルの粒径、カプセル壁の密度、マイクロカプセル内の溶質、溶媒及び補助溶媒の量、及び壁材量などにより調整が可能である。
具体的には、例えばマイクロカプセルに内包される溶質、溶媒、補助溶媒、及び壁材等の内包物の量を増やすことにより、カプセル壁を薄厚に調整することができる。

マイクロカプセルの体積標準のメジアン径としては、0.1μm〜100μmの範囲が好ましく、0.1μm〜10μmの範囲がより好ましい。色相差の観点からは、マイクロカプセルの体積標準のメジアン径は0.1μm〜10μmの範囲が好ましく、0.1μm〜7μmの範囲がより好ましい。また、本開示の熱応答性組成物をインクジェット記録用のインクに適用する観点からは、マイクロカプセルの体積標準のメジアン径は、0.1μm〜2μmの範囲が好ましい。
マイクロカプセルの体積標準のメジアン径は、分散の条件を変更すること等により、好ましく制御することができる。
ここで、マイクロカプセルの体積標準のメジアン径とは、マイクロカプセル全体を体積累計が50%となる粒子径を閾値に2つに分けた場合に、大径側と小径側での粒子の体積の合計が等量となる径をいう。
本開示において、マイクロカプセルの体積標準のメジアン径は、マイクロトラックMT3300EXII(日機装株式会社製)を用いて測定される。
マイクロカプセルにおいて、カプセル壁の質量に対するマイクロカプセル内包物の質量の比としては、7を超える範囲であることが好ましい。カプセル壁に対するマイクロカプセル内包物の質量比が7を越える範囲であると、粒径を上記のメジアン径の範囲としつつ、薄厚(数平均壁厚が10nm〜200nm)のマイクロカプセルが得られやすく、かつ、熱応答性に優れたものとなる。更に、マイクロカプセル内包物の質量比が7を越える範囲であると、高い色濃度が得られ、熱が付与された際の温度差を広範な色相の変化として発現させやすくなる。
カプセル壁に対するマイクロカプセル内包物の質量比は、8以上がより好ましい。
〜マイクロカプセルの製造方法〜
マイクロカプセルは、発色色素と、変色温度調整剤と、壁材と、必要に応じて溶剤、補助溶媒及び添加剤等と、を含む油相を、乳化剤を含む水相に分散させて乳化液を調製する工程(以下、乳化工程)と、マイクロカプセルの壁(以下、カプセル壁)を形成する壁材を油相と水相との界面で重合させてカプセル壁を形成し、少なくとも発色色素及び変色温度調整剤を内包するマイクロカプセルを形成する工程(以下、カプセル化工程)と、を含むことが好ましい。
(1)乳化工程
乳化工程では、油相を水相に分散させて乳化液を調製することができる。
油相には、発色色素及び変色温度調整剤と、壁材と、が少なくとも含まれる。発色色素及び変色温度調整剤の詳細については、既述の通りである。マイクロカプセル内に色材を内包させる場合は、油相中に発色色素、変色温度調整剤及び壁材に加えて色材を含めることが好ましい。
マイクロカプセルのカプセル壁としては、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリビニル、ポリウレタン、ポリウレア、ポリウレタンポリウレア等が挙げられる。中でも、保存安定性の観点から、イソシアネート化合物と有機溶剤とを用いて得られるポリマーが好ましく、ウレタン結合及び/又はウレア結合を有する高分子がより好ましく、ポリウレタンポリウレアが更に好ましい。
カプセル壁を形成する壁材としては、イソシアネート化合物、シランカップリング剤等が挙げられ、中でも、イソシアネート化合物が好ましく、1分子内に2以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物が好ましい。
イソシアネート化合物としては、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、キシリレン−1,3−ジイソシアネート、4−クロロキシリレン−1,3−ジイソシアネート、2−メチルキシリレン−1,3−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルヘキサフルオロプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン及び1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
以上では2官能であるジイソシアネート化合物を例示したが、これらに類推される3官能のトリイソシアネート化合物、4官能のテトライソシアネート化合物であってもよい。
また、上記イソシアネート化合物と、エチレングリコール系化合物もしくはビスフェノール系化合物等の2官能アルコール、又はフェノールと、の付加物も挙げられる。
イソシアネート化合物を用いた縮合体、重合体又は付加体の例としては、上記の2官能イソシアネート化合物の3量体であるビューレット体もしくはイソシアヌレート体、トリメチロールプロパン等のポリオールと2官能イソシアネート化合物の付加体として多官能とした化合物、ベンゼンイソシアネートのホルマリン縮合物、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等の重合性基を有するイソシアネート化合物の重合体、リジントリイソシアネート等が挙げられる。
イソシアネート化合物については「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(岩田敬治編、日刊工業新聞社発行(1987))に記載されている。
上記の中でも、マイクロカプセルのカプセル壁は、3官能以上のイソシアネートの重合物を含む態様が好ましい。
3官能以上のイソシアネートとしては、例えば、3官能以上の芳香族イソシアネート化合物、3官能以上の脂肪族イソシアネート化合物等が挙げられる。3官能以上のイソシアネート化合物の例としては、2官能のイソシアネート化合物(分子中に2つのイソシアネート基を有する化合物)と分子中に3つ以上の活性水素基を有する化合物(3官能以上の例えばポリオール、ポリアミン、又はポリチオール等)とのアダクト体(付加物)として3官能以上としたイソシアネート化合物(アダクト型)、2官能のイソシアネート化合物の3量体(ビウレット型又はイソシアヌレート型)も好ましい。
3官能以上のイソシアネート化合物の具体的な例としては、キシリレン−1,4−ジイソシアネート又はキシリレン−1,3−ジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、ビウレット体、イソシアヌレート体等であってもよい。
アダクト型の3官能以上のイソシアネート化合物は、上市されている市販品を用いてもよく、市販品の例としては、タケネート(登録商標)D−102、D−103、D−103H、D−103M2、P49−75S、D−110N、D−120N(イソシアネート価=3.5 mmol/g)、D−140N、D−160N(以上、三井化学(株))、デスモジュール(登録商標)L75、UL57SP(住化バイエルウレタン(株))、コロネート(登録商標)HL、HX、L(日本ポリウレタン(株))、P301−75E(旭化成(株))等が挙げられる。
中でも、アダクト型の3官能以上のイソシアネート化合物として、三井化学(株)のタケネート(登録商標)D−110N、D−120N、D−140N、及びD−160Nから選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
イソシアヌレート型の3官能以上のイソシアネート化合物は、上市されている市販品を用いてもよく、例えば、タケネート(登録商標)D−127N、D−170N、D−170HN、D−172N、D−177N(三井化学株式会社製)、スミジュールN3300、デスモジュール(登録商標)N3600、N3900、Z4470BA(住化バイエルウレタン)、コロネート(登録商標)HX、HK(日本ポリウレタン株式会社製)、デュラネート(登録商標)TPA−100、TKA−100、TSA−100、TSS−100、TLA−100、TSE−100(旭化成株式会社製)などが挙げられる。
ビウレット型の3官能以上のイソシアネート化合物は、上市されている市販品を用いてもよく、例えば、タケネート(登録商標)D−165N、NP1100(三井化学株式会社製)、デスモジュール(登録商標)N3200(住化バイエルウレタン)、デュラネート(登録商標)24A−100(旭化成株式会社製)などが挙げられる。
油相に含有される壁材の量としては、油相の全質量に対して、例えば、0.5質量%超30質量%以下の範囲としてもよく、好ましくは2質量%〜20質量%であり、より好ましくは5質量%〜15質量%である。
カプセル壁材の油相中における濃度は、マイクロカプセルの大きさ及び壁厚等に鑑みて適宜調整することができる。
上記の油相が加えられる水相には、少なくとも水性媒体及び乳化剤が含まれることが好ましい。
水性媒体は、好ましくは水であり、イオン交換水等を用いることができる。
水性媒体の含有量は、油相と水相との混合物である乳化液の全質量に対して、20質量%〜80質量%が好ましく、30質量%〜70質量%がより好ましく、更に好ましくは40質量%〜60質量%である。
乳化剤には、分散剤もしくは界面活性剤、又はこれらの組み合わせが含まれる。
分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール及びその変性物、ポリアクリル酸アミド及びその誘導体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、澱粉及びその誘導体、アラビアゴム及びアルギン酸ナトリウム等が挙げられ、ポリビニルアルコールが好ましい。
分散剤は、壁材と反応しない又は極めて反応し難いものが好ましく、分子鎖中に反応性のアミノ基を有する例えばゼラチン等を用いる場合、予め反応性を失わせる処理が施されたゼラチン等が好ましい。
界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。界面活性剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
乳化剤の濃度は、油相と水相との混合物である乳化液の全質量に対して、0質量%超20質量%以下が好ましく、0.005質量%〜10質量%がより好ましく、0.01質量%〜10質量%が更に好ましく、1質量%〜5質量%が特に好ましい。
水相には、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤等の他の成分を含有してもよい。他の成分は、水相の全質量に対して、0質量%超20質量%以下の範囲で含有されてもよく、0.1質量%超15質量%以下の範囲で含有されてもよく、1質量%超10質量%以下の範囲で含有されてもよい。
分散は、油相を油滴として水相に分散させること(乳化)をいう。
分散は、油相と水相との分散に通常用いられる手段(例えば、ホモジナイザー、マントンゴーリー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディーミル、又はその他の公知の分散装置)を用いて行うことができる。
水相に対する油相の混合比(油相質量/水相質量)としては、0.1〜1.5が好ましく、0.2〜1.2がより好ましく、0.4〜1.0が更に好ましい。混合比が0.1〜1.5の範囲内であると、適度の粘度を保持でき、製造適性に優れ、乳化液の安定性に優れたものとなる。
(2)カプセル化工程
カプセル化工程では、壁材を油相と水相との界面で重合させてカプセル壁を形成し、マイクロカプセルを形成する。
重合は、乳化液中の油相に含まれる壁材を水相との界面で重合反応させることであり、好ましくは加熱下で行われる。重合における反応温度は、壁材の種類等によって異なるが、通常は40℃〜100℃であり、50℃〜80℃が好ましい。また、反応時間も同様に壁材の種類等によって異なるが、通常は0.5時間〜10時間程度であり、1時間〜5時間程度が好ましい。
重合温度を高めることで重合時間を短くできるが、高温で分解するおそれのある内包物又は壁材を使用する場合には、低温で作用する重合開始剤を選択し、比較的低温で重合させてもよい。例えば、壁材としてシランカップリング剤を使用する場合は、重合温度は好ましくは15℃〜40℃であり、より好ましくは20℃〜30℃であり、重合時間は、好ましくは1時間〜40時間であり、より好ましくは5時間〜30時間である。
重合中にマイクロカプセル同士の凝集を防止するためには、水性溶液(例えば、水、酢酸水溶液など)を更に加えてマイクロカプセル同士の衝突確率を下げることが好ましく、充分な攪拌を行うことも好ましい。重合中にあらためて凝集防止用の分散剤を添加してもよい。
更に、必要に応じて、ニグロシン等の荷電調節剤、又はその他任意の補助剤を添加してもよい。補助剤は、カプセル壁の形成時又は任意の時点で添加可能である。
[色材]
本開示の熱応答性組成物は、色材の少なくとも一種を含有する。
色材とは、熱が与えられた場合に熱に寄与して応答(即ち、発色又は色濃度が低下する化合物(いわゆる熱応答性の色材)と異なり、熱の付与が所望とする色相の発現に寄与しない非応答性の化合物を指す。
着色された上記マイクロカプセルに加えて色材を含むことで、熱が付与されてマイクロカプセル内の発色色素の色濃度が低下するに従い、マイクロカプセル内の発色色素の色相と色材の色相との混色となって変色し、色相差を形成することができる。
マイクロカプセル内の発色色素の色濃度の低下が少ない場合は、発色色素の色素が優位な色相を呈し、その後徐々に発色色素の色相から発色色素の色相と色材の色相との混色へと変わり、さらにマイクロカプセル内の発色色素の色濃度の低下が進行すると、色材の色相が強くなり、色材の色相が優位な色相を呈することになる。これにより、単に熱時に消色するのみの系と異なり、色濃度を高く維持し、良好な色相差が現れる。
このように、与えられた熱を広範な色相差として得ることができ、変化した色相により温度状態を把握することができる。
色材としては、特に制限はなく、顔料、水溶性染料、分散染料等の公知の色材から任意に選択して使用することができる。このうち、耐候性に優れ、色再現性に富む観点では、顔料が好ましい。後述するように、色材をマイクロカプセルに内包させる態様では、染料も好適に用いることができる。
顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の有機顔料及び無機顔料、染料で染色した樹脂粒子、市販の顔料分散体又は表面処理された顔料(例えば、顔料を分散媒として水、液状化合物又は不溶性の樹脂等に分散させたもの、及び、樹脂又は顔料誘導体等で顔料表面を処理したもの等)も挙げられる。
有機顔料及び無機顔料としては、例えば、黄色顔料、赤色顔料、マゼンタ顔料、青色顔料、シアン顔料、緑色顔料、橙色顔料、紫色顔料、褐色顔料、黒色顔料、白色顔料等が挙げられる。
色材として顔料を用いる場合、顔料粒子を調製する際に、必要に応じて顔料分散剤を用いてもよい
顔料等の色材及び顔料分散剤については、特開2011−225848号公報の段落0152〜0158、及び特開2009−209352号公報の段落0132〜0149等の記載を適宜参照することができる。
色材は、マイクロカプセルの内部に内包されて存在してもよいし、マイクロカプセルの外部に存在していてもよい。
マイクロカプセルは、色材を内包する態様が好ましい。
色材がマイクロカプセルの内部に内包されて存在する態様では、内包された色材の耐溶剤性を向上させることができ、耐溶剤性が比較的低い色材を含む広範な色材の選択が可能になる。色材がマイクロカプセルに内包される場合、上記の観点から、色材は染料が好ましい。
耐溶剤性は、アルコールを熱応答性組成物に付着させた後の色滲みの有無により評価されるものである。
マイクロカプセルの外部に色材が存在する態様も好適である。
色材がマイクロカプセルの外部に存在する態様では、熱応答性組成物中に色材を多く含有させることができる。
色材の熱応答性組成物中における含有量は、マイクロカプセル内の発色色素の含有量に対して、10質量%〜200質量%が好ましく、30質量%〜150質量%がより好ましい。
色材の含有量が10質量%以上(更には30質量%以上)であると、色濃度が良好になり、熱が付与されて色相変化された場合の色相差がより大きくなる点で有効である。また、色材の含有量が200質量%以下(更には150質量%以下)であると、色相差がより大きくなる点で有効である。
マイクロカプセルに内包された発色色素の色相と、色材の色相と、は互いに異なる色相の組み合わせとされていることが好ましい。色相が異なることで、熱時の変色により色相差が現れやすく、視覚的に顕著な違いを表すことができる。
この場合、発色色素の色相と色材の色相との色相差は、熱の付与の前後において、10〜20の範囲が好ましい。色相差が10以上であると、温度に応答して現れる色相変化が大きく得られる。また、色相差が20以下であることは、製造しやすいことを示す。
色相差は、以下の方法で求められる値である。
まず初めに、熱応答性組成物を紙基材にワイヤーバーを用いて3g/mの塗布量にて塗布したサンプルを作製し、塗膜のL色空間(CIELAB色空間)におけるL 、a 、b 及びC を分光測色計CM−3700A(コニカミノルタ株式会社)を用いて求める。次いで、熱応答性組成物を上記と同じ紙基材にワイヤーバーを用いて3g/mの塗布量にて塗布したサンプルを70℃のオーブンに60秒間入れて加熱し、オーブンから各サンプルを取り出した後、上記と同様にして塗膜のL色空間(CIELAB色空間)におけるL 、a 、b 及びC を求める。
加熱前後のL、a、b及びCを用い、下記式より色相差(ΔH)を算出する。
ΔH={(a −a +(b −b −(C −C 1/2
[水系溶媒]
本開示の熱応答性組成物は、水系溶媒を含有してもよい。
水系溶媒としては、水、水及びアルコール等が挙げられ、イオン交換水等を用いることができる。
なお、本開示の熱応答性組成物中における水系溶媒の含有量は、用途に応じて適宜選択すればよい。
[バインダー]
本開示の熱応答性組成物は、バインダーを含有してもよい。
バインダーとしては、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エピクロルヒドリン変性ポリアミド、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレインサリチル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド、メチロール変性ポリアクリルアミド、デンプン誘導体、カゼイン、ゼラチン等が挙げられる。
また、バインダーに耐水性を付与する観点から、耐水性改良剤、又は疎水性ポリマーのエマルジョン(例えば、アクリル樹脂エマルジョン、スチレン−ブタジエンラテックス等)を添加してもよい。
熱応答性組成物に用いられるバインダーは、透明性を良好なものとする観点から、ポリビニルアルコール(PVA)が好ましく、カルボキシ変性ポリビニルアルコール又はアルキルエーテル変性ポリビニルアルコール等の変性PVAがより好ましい。
バインダーの熱応答性組成物中における含有量は、熱応答性組成物の全固形分に対して、5質量%〜30質量%が好ましく、10質量%〜20質量%がより好ましい。
[他の成分]
本開示の熱応答性組成物は、上記したマイクロカプセル、色材、並びに水系溶媒及びバインダーに加え、さらに他の成分として添加剤を含有することができる。
他の成分には、特に制限はなく、目的又は必要に応じて適宜選択すればよい。他の成分としては、例えば、架橋剤、増感剤、顔料、潤滑剤、公知の熱可融性物質、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤等の添加剤が挙げられる。
本開示の熱応答性組成物は、例えば以下の方法で調製することができる。即ち、
電子供与性染料前駆体と、電子供与性染料前駆体を発色させる電子受容性化合物と、変色温度調整剤と、壁材と、必要に応じてオイル成分である溶媒及び補助溶媒と、を混合して油相を調製する。
油相とは別に、水及び必要に応じて分散剤等を含む水相を調製する。
上記で得た油相及び水相を混合し、水相中に油相を乳化分散させて乳化物とした後、加温して油相と水相との界面にて重合反応(カプセル化反応)を行わせてカプセル壁を形成する。このようにして、マイクロカプセル液を調製する。
調製されたマイクロカプセルと色材とが混合されることで、本開示の熱応答性組成物が得られる。
ここで、マイクロカプセルと色材との混合にあたり、色材をマイクロカプセルの内部に存在(内包)させる場合は、上記のように油相を調製する際に色材も加えて混合するか、又は水相との混合前に、上記のように調製された油相と色材とを混合することにより、色材を油相中に含有させることが好ましい。一方、色材をマイクロカプセルの外部に存在させる場合は、調製したマイクロカプセル液と、色材と、を混合することにより、色材を水相中に含有させることが好ましい。
<熱応答性材料>
本開示の熱応答性材料は、支持体と、既述の本開示の熱応答性組成物の塗布物である熱応答性層と、を有している。
本開示の熱応答性材料は、既述の熱応答性組成物を用いた塗布層を有するので、熱が付与された際の濃度変化が大きく、熱応答前後で顕著な色相差が得られる。
(支持体)
支持体としては、中性紙、酸性紙、再生紙、ポリオレフィン樹脂ラミネート紙、合成紙、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、三酢酸セルロースフィルム等のセルロース誘導体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムやポリエチレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリ−4−メチルペンテン−1、アイオノマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂(AS樹脂)、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ユリア・メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリアリルエーテルニトリル、ポリベンゾイミダール、金属箔などを、単独又は2種以上配合したフィルム、あるいは上記の各種フィルムを組み合わせた複合シートなどが挙げられる。
中でも、透明性を付与する観点からは、高分子フィルムが好ましく、例えば、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、三酢酸セルロースフィルム、ポリオレフィンフィルム(ポリプロピレン又はポリエチレン等)などの合成高分子フィルムが挙げられる。
(熱応答性層)
本開示の熱応答性材料に含まれる熱応答性層は、既述の本開示の熱応答性組成物を支持体上に塗布することによって支持体上に形成された層(塗布層)である。
熱応答性層の塗布は、公知の塗布法の中から適宜選択して行える。塗布法としては、例えば、カーテンコート法、ダイコート法、グラビアコート法、ローラーコート法、ワイヤーコート法等が挙げられる。
本開示における熱応答性層は、支持体上に、1g/m〜25g/mで設けられることが好ましい。また、熱応答性層の厚みとしては、1μm〜25μmが好ましい。
熱応答性層は2層以上が積層されてもよく、2層以上が積層された場合も、熱応答性層の質量及び質量が上記範囲を満たすことが好ましい。
(他の層)
本開示の熱応答性材料は、熱応答性層のほか、保護層、中間層、耐熱性保護層、アンダーコート層、光反射層、バック層、紫外線吸収層等の他の層を有していてもよい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
以下において、マイクロカプセルの体積標準のメジアン径(D50)は、マイクロトラックMT3300EXII(日機装株式会社製)を用いて測定した。
また、マイクロカプセルの数平均壁厚は、マイクロカプセル液を下塗り層を有するポリエチレンテレフタレート(PET)上に塗布し、乾燥して形成された塗布膜を、膜面の法線方向と平行な平面で切断して断面切片を形成し、形成された断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより、任意に選択した5個のマイクロカプセルの断面における壁厚を計測し、平均値を算出して求めた。
(実施例1)
−マイクロカプセル液の調製−
ヘキサデカノフェノン(東京化成工業株式会社;変色温度調整剤)20部と酢酸エチル(補助溶媒)50部とを混合し、この混合液に、キシリレン−1,3−ジイソシアネートトリメチロールプロパン(TMP;以下同じ)のアダクト体(タケネートD−110N(3官能イソシアネート)、三井化学株式会社;壁材)15部、6’−(エチルイソブチルアミノ)−2’−アニリノ−3’−メチルスピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9’−[9H]キサンテン]−3−オン(発色剤A;電子供与性染料前駆体)3部、及び2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BPA−F;電子受容性化合物)15部を加え、溶液A(油相)を調製した。溶液Aでは、発色剤AとBPA−Fとの反応により発色し、マイクロカプセルは赤色系の発色色素により着色されている。
次いで、水150部にポリビニルアルコール(PVA−205、株式会社クラレ;分散剤)10部を溶解した溶液(水相)中に、上記の溶液Aを加え、ロボミックス(特殊機化工業株式会社)を用いて回転数3000rpm(rotation per minute)で乳化分散した。得られた乳化液を、攪拌しながら70℃まで加温し、70℃で1時間攪拌してカプセル化反応を行った後、乳化液を冷却した。
続いて、冷却した乳化液に水を加えて濃度を調整し、固形分濃度20質量%のマイクロカプセル液を調製した。
マイクロカプセル液中のマイクロカプセルの体積標準でのメジアン径(D50)は、5μmであった。また、マイクロカプセルのカプセル壁の数平均壁厚は、74nmであった。
発色色素の質量に対する変色温度調整剤の質量の比率は、667質量%である。
−熱応答性組成物の調製−
次に、上記で得られたマイクロカプセル液と、顔料量が3部となる量の、ピグメント・レッド53:1(赤色顔料)を含む赤色顔料分散物(TB−1100(大日精化工業株式会社、固形分濃度:31.0質量%);色材)と、を混合し、熱応答性組成物を調製した。
(実施例2)
実施例1において、電子供与性染料前駆体である発色剤Aを3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン(発色剤B)に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度20質量%のマイクロカプセル液を調製し、更に熱応答性組成物を調製した。
(実施例3)
実施例1において、電子受容性化合物であるBPA−Fを2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA)に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度20質量%のマイクロカプセル液を調製し、更に熱応答性組成物を調製した。
(実施例4)
実施例1において、変色温度調整剤であるヘキサデカノフェノンをn−ラウロフェノンに代えたこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度20質量%のマイクロカプセル液を調製し、更に熱応答性組成物を調製した。
(実施例5)
実施例1において、壁材であるメタキシレンジイソシアネートトリメチロールプロパンのアダクト体(3官能イソシアネート)を、水添メタキシレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(タケネートD−127N、三井化学株式会社;3官能イソシアネート)に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度20質量%のマイクロカプセル液を調製し、更に熱応答性組成物を調製した。
(実施例6)
実施例1において、壁材であるメタキシレンジイソシアネートトリメチロールプロパンのアダクト体(3官能イソシアネート)の量を15部から7.5部に変更し、さらに乳化条件を調整してカプセル粒径を10μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度20質量%のマイクロカプセル液を調製し、更に熱応答性組成物を調製した。
(実施例7)
実施例1において、壁材であるメタキシレンジイソシアネートトリメチロールプロパンのアダクト体(3官能イソシアネート)の量を15部から30部に変更し、さらに乳化条件を調整してカプセル粒径を2.5μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度20質量%のマイクロカプセル液を調製し、更に熱応答性組成物を調製した。
(実施例8)
実施例1において、壁材であるメタキシレンジイソシアネートトリメチロールプロパンのアダクト体(3官能イソシアネート)を、芳香族イソシアネートプレポリマー45部に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度20質量%のマイクロカプセル液を調製し、更に熱応答性組成物を調製した。
(実施例9)
実施例1において、壁材であるメタキシレンジイソシアネートトリメチロールプロパンのアダクト体(3官能イソシアネート)15部を、水添メタキシレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(タケネートD−127N、三井化学株式会社;3官能イソシアネート)45部に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度20質量%のマイクロカプセル液を調製し、更に熱応答性組成物を調製した。
(実施例10)
実施例1において、壁材であるメタキシレンジイソシアネートトリメチロールプロパンのアダクト体(3官能イソシアネート)の量を15部から45部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度20質量%のマイクロカプセル液を調製し、更に熱応答性組成物を調製した。
(実施例11)
実施例1において、壁材であるメタキシレンジイソシアネートトリメチロールプロパンのアダクト体(3官能イソシアネート)の量を15部から10部に変更し、粒径及び壁厚を変えたこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度20質量%のマイクロカプセル液を調製し、更に熱応答性組成物を調製した。
(実施例12)
実施例1において、ピグメント・レッド53:1を含む赤色顔料分散物を、同量の、ピグメント・レッド57:1(赤色顔料2)を含む赤色顔料分散物(TB−720(大日精化工業株式会社、固形分濃度:32.5質量%);色材)に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度20質量%のマイクロカプセル液を調製し、更に熱応答性組成物を調製した。
(実施例13)
実施例1において、ピグメント・レッド53:1(赤色顔料)を含む赤色顔料分散物を、Red RC(中央合成化学株式会社;赤色染料(ソルベント・レッド24))3部に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度20質量%のマイクロカプセル液を調製し、更に熱応答性組成物を調製した。
(実施例14)
ヘキサデカノフェノン(東京化成工業株式会社;変色温度調整剤)20部と酢酸エチル(有機溶剤)50部とを混合し、この混合液にメタキシレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体(タケネートD−110N(3官能イソシアネート)、三井化学株式会社;壁材)15部、6’−(エチルイソブチルアミノ)−2’−アニリノ−3’−メチルスピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9’−[9H]キサンテン]−3−オン(発色剤A;電子供与性染料前駆体)3部、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BPA−F;電子受容性化合物)15部、及びRed RC(中央合成化学株式会社;赤色染料(ソルベント・レッド24))3部を加え、溶液A(油相)を調製した。
次に、水150部にポリビニルアルコール(PVA−205、株式会社クラレ;分散剤)10部を溶解した溶液(水相)中に上記の溶液Aを加え、ロボミックス(特殊機化工業株式会社)を用いて回転数3000rpm(rotation per minute)で乳化分散した。得られた乳化液を、攪拌しながら70℃まで加温し、70℃で1時間攪拌してカプセル化反応を行った後、乳化液を冷却した。
続いて、冷却した乳化液に水を加えて濃度を調整し、固形分濃度20質量%のマイクロカプセル液を調製した。
上記で得られたマイクロカプセル液を熱応答性組成物とした。
マイクロカプセル液中のマイクロカプセルの体積標準でのメジアン径(D50)は、5μmであった。また、マイクロカプセルのカプセル壁の数平均壁厚は、50nmであった。
(実施例15)
実施例1において、マイクロカプセル液の固形分濃度を12質量%に変更し、ピグメント・レッド53:1を含む赤色顔料分散物の添加による顔料量を3部から4.2部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度12質量%のマイクロカプセル液を調製し、更に熱応答性組成物を調製した。
(実施例16)
実施例1において、マイクロカプセル液の固形分濃度を28質量%に変更し、ピグメント・レッド53:1を含む赤色顔料分散物の添加による顔料量を3部から1.8部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度28質量%のマイクロカプセル液を調製し、更に熱応答性組成物を調製した。
(実施例17)
実施例1において、壁材であるメタキシレンジイソシアネートトリメチロールプロパンのアダクト体(3官能イソシアネート)の量を15部から60部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度20質量%のマイクロカプセル液を調製し、更に熱応答性組成物を調製した。
(実施例18)
実施例1において、壁材であるメタキシレンジイソシアネートトリメチロールプロパンのアダクト体(3官能イソシアネート)の量を15部から9部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度20質量%のマイクロカプセル液を調製し、更に熱応答性組成物を調製した。
(比較例1)
実施例1において、壁材であるメタキシレンジイソシアネートトリメチロールプロパンのアダクト体(3官能イソシアネート)の量を15部から75部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度20質量%のマイクロカプセル液を調製し、更に熱応答性組成物を調製した。
(比較例2)
実施例1において、得られたマイクロカプセル液に対し、ピグメント・レッド53:1を含む赤色顔料分散物を混合せず、マイクロカプセルの外部に色材を存在させなかったこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度20質量%のマイクロカプセル液を調製し、更に熱応答性組成物を調製した。
(評価)
上記の実施例及び比較例で得られたマイクロカプセル液及び熱応答性組成物について、以下の評価を行った。評価結果は、下記表1に示す。
−1.色濃度−
熱応答性組成物を市販の上質紙(坪量120/m)にワイヤーバーを用いて3g/mの塗布量にて塗布し、塗膜の色濃度を分光濃度計(X−Rite504、ビジュアルフィルタ、X−Rite社)を用いて測定した。
−2.マイクロカプセルの安定性−
ポリプロピレン製の100mL広口びん(アイボーイ、アズワン社)に熱応答性組成物100mLを入れ、蓋を閉めた状態で40℃の温度環境下に置き、3か月保管した。そして、3か月の期間が経過した時点で熱応答性組成物中のマイクロカプセルの体積標準のメジアン径を測定した。測定値をもとに、下記の評価基準にしたがってマイクロカプセルの安定性を評価した。
<評価基準>
A:粒径の変動幅が20%以内である。
B:粒径の変動幅が20%を超えるが、実用上支障を来たす範囲ではない。
C:粒径の変動が著しい。
−3.加熱前後の色相差−
まず初めに、熱応答性組成物を市販の上質紙(坪量120/m)にワイヤーバーを用いて3g/mの塗布量にて塗布したサンプルを作製し、各塗膜のL色空間(CIELAB色空間)におけるL 、a 、b 及びC を分光測色計CM−3700A(コニカミノルタ株式会社)を用いて求めた。
次に、各熱応答性組成物を上記と同じ紙基材にワイヤーバーを用いて3g/mの塗布量にて塗布したサンプルを70℃のオーブンに60秒間入れて加熱し、オーブンから各サンプルを取り出した後、上記と同様にして塗膜のL色空間(CIELAB色空間)におけるL 、a 、b 及びC を求めた。
加熱前後のL、a、b及びCを用い、下記式より色相差(ΔH)を算出した。
ΔH={(a −a +(b −b −(C −C 1/2
上記のようにして求められる色相差は、値が大きいほど、熱が付与された際の濃度変化が大きく、加熱前後で顕著な色相差が得られていることを示す。
−4.耐溶剤性(耐エタノール性)−
熱応答性組成物を市販の上質紙(坪量120/m)にワイヤーバーを用いて3g/mの塗布量で塗布して塗膜を形成し、70℃のオーブンに60秒間入れて加熱し、オーブンから取り出してサンプルとした。サンプルの塗膜にエタノールを垂らし、エタノールが垂れた領域の塗膜における滲みの程度を目視により観察し、以下の評価基準にしたがって評価した。
<評価基準>
A:滲みの発生はみられない。
B:滲みの発生がみられた。

表1に示すように、実施例では、いずれも熱が付与された際の濃度変化が大きく、加熱前後において視覚的に顕著な色相差が発現した。
また、壁厚が20nm〜100nmにある実施例1〜7、11〜12等では、色相差がより良好なものとなった。マイクロカプセルの粒径については、3μm〜10μmである場合が色相差の点で良好であった。
これに対して、マイクロカプセルのカプセル壁が厚い比較例1では、内包物である発色色素の含有濃度が低いため、色相差の点で劣っていた。また、従来技術のように、着色成分として色素内包のマイクロカプセルを含有するのみとされ、マイクロカプセルに加えて非熱応答性の色材を含まない比較例2では、マイクロカプセル内の色素成分の変色に伴う色相変化が現れるに留まり、色相差としては小さいものであった。
本開示の熱応答性組成物は、熱を利用する各種産業分野に適用することができ、特に熱の温度又は温度分布を把握することが求められる分野に好適に用いられる。具体的には、加熱用のロール対又は熱圧着を行う熱板などの面内の温度分布測定、荷物輸送時の温度履歴管理等に使用するサーモラベル、や各種特殊印刷インキなどの用途に好適である。
2017年4月14日に出願された日本出願特願2017−080848の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims (12)

  1. 数平均壁厚が10nm〜200nmであり、電子供与性染料前駆体と前記電子供与性染料前駆体を発色させる電子受容性化合物との反応生成物である発色色素、及び変色温度調整剤を内包するマイクロカプセルと、
    前記マイクロカプセルの内部及び外部の少なくとも一方に存在する色材と、
    を含有する熱応答性組成物。
  2. 前記マイクロカプセルの内部に前記色材を含有する請求項1に記載の熱応答性組成物。
  3. 前記マイクロカプセルの外部に前記色材を含有する請求項1に記載の熱応答性組成物。
  4. 前記マイクロカプセルのカプセル壁は、3官能以上のイソシアネートの重合物を含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の熱応答性組成物。
  5. 前記マイクロカプセルの体積標準のメジアン径が、0.1μm〜100μmである請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の熱応答性組成物。
  6. 前記マイクロカプセルの体積標準のメジアン径が、0.1μm〜10μmである請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の熱応答性組成物。
  7. 前記マイクロカプセルの数平均壁厚が、20nm〜100nmである請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の熱応答性組成物。
  8. 前記発色色素の色相と前記色材の色相とが異なり、かつ、熱の付与前後における色相差ΔHが10〜20である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の熱応答性組成物。
  9. 前記マイクロカプセルのカプセル壁の質量に対する、前記マイクロカプセルの内包物の質量の比が、7を超える請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の熱応答性組成物。
  10. 前記変色温度調整剤が、炭素数12〜24のアリールアルキルケトンである請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の熱応答性組成物。
  11. 前記発色色素に対する前記変色温度調整剤の含有比率は、100質量%〜2000質量%である請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の熱応答性組成物。
  12. 支持体と、
    請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の熱応答性組成物の塗布物である熱応答性層と、
    を有する熱応答性材料。
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