JP5324128B2 - 熱変色性組成物及び熱変色性マイクロカプセル - Google Patents

熱変色性組成物及び熱変色性マイクロカプセル Download PDF

Info

Publication number
JP5324128B2
JP5324128B2 JP2008126884A JP2008126884A JP5324128B2 JP 5324128 B2 JP5324128 B2 JP 5324128B2 JP 2008126884 A JP2008126884 A JP 2008126884A JP 2008126884 A JP2008126884 A JP 2008126884A JP 5324128 B2 JP5324128 B2 JP 5324128B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid amide
methyl
fatty acid
color
thermochromic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008126884A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009035718A (ja
Inventor
盛作 大城
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sakura Color Products Corp
Original Assignee
Sakura Color Products Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sakura Color Products Corp filed Critical Sakura Color Products Corp
Priority to JP2008126884A priority Critical patent/JP5324128B2/ja
Priority to KR1020107002959A priority patent/KR20100046004A/ko
Priority to PCT/JP2008/062368 priority patent/WO2009008436A1/ja
Priority to CN200880105625.7A priority patent/CN101970603B/zh
Publication of JP2009035718A publication Critical patent/JP2009035718A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5324128B2 publication Critical patent/JP5324128B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Heat Sensitive Colour Forming Recording (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)

Description

本発明は、熱変色性組成物及び熱変色性マイクロカプセルに関する。さらに、本発明は、熱変色性組成物を製造する方法に関する。
熱変色性組成物は、温度により可逆的に発色−消色するものであり、例えば印刷物、インキ、塗料、包装材料、記録材料等に用いられる。このような組成物の代表例として、電子供与性呈色性有機化合物(電子供与体)と電子受容性化合物(電子受容体)との電子授受反応を利用したものがある(特許文献1、特許文献2等)。
一般に、熱変色性組成物は、加熱−冷却のサイクルにおいて、発色−消色あるいは消色−発色を可逆的に繰り返すことができるが、通常は発色温度と消色温度との温度差(いわゆる変色温度ヒステリシス:ΔH)が生じる。例えば、図1に示すように、ΔH=0℃の場合が図1(b)であり、図1(a)及び図1(c)ではそれぞれΔHが生じる。図1(a)では消色温度のほうが高くなる場合を示し、図1(c)では発色温度のほうが高くなる場合を示している。
これに対し、変色温度ヒステリシス:ΔHを大きくするための技術として、炭素数が奇数の脂肪族一価アルコールと脂肪族カルボン酸から得られる、特定の脂肪酸エステル化合物を反応媒体とし、該反応媒体と呈色反応成分からなる均質相溶体を微小カプセルに内包させることにより、8℃乃至30℃のヒステリシス幅(線分HG)の熱変色特性を発現させるマイクロカプセル顔料が知られている(特許文献3)。このマイクロカプセル顔料によれば、色濃度−温度曲線に関して、8℃〜30℃のヒステリシス幅(ΔH)を示して発色−消色の可逆的変色を生起させ、変色温度より低温側の色と高温側の色の両方を常温域で互変的に記憶保持でき、必要に応じて熱又は冷熱を適用することにより、いずれかの色を可逆的に再現させて記憶保持できる特性を効果的に発現させることができる、とされている。
また例えば、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)と(ロ)の呈色反応の生起温度を決める反応媒体、及び、(ニ)変色温度調整剤を必須四成分として含み、前記(ニ)変色温度調整剤が、融点をY℃とするとき、(ハ)成分の融点(X℃)に対し、(X+16)≦Y≦(X+100)℃の関係を満たす、エーテル類、エステル類、ケトン類、酸アミド類、脂肪酸類より選ばれる一種又は二種以上の化合物から選ばれてなり、前記必須四成分をマイクロカプセルに内包させた、温度−色濃度曲線に関して5℃〜80℃のヒステリシス幅(ΔH)を示して変色し、低温側トリガー以下及び高温側トリガー以上の各温度域で呈する色彩を前記低温側トリガーと高温側トリガーとの間の温度域で互変的に記憶保持させる感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料が提案されている(特許文献4)。
さらに、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)と(ロ)の呈色反応の生起温度を決める反応媒体、及び、(ニ)変色温度調整剤を必須四成分として含み、前記(ニ)変色温度調整剤が、融点をY℃とするとき、(ハ)成分の融点(X℃)に対してX+30≦Y≦200の関係を満たすエステル類、アルコール類、ケトン類、酸アミド類、炭化水素類、脂肪酸類から選ばれる一種又は二種以上の化合物であり、前記必須四成分をマイクロカプセルに内包させた可逆熱変色性マイクロカプセル顔料も提案されている(特許文献5)。
特開平6−65568号公報 特公平4−17154号公報 特開平7−33997号公報 特開2001−152041号公報 特開2002−12787号公報
しかしながら、これらの変色温度ヒステリシスを制御するための従来技術では、特に消色時の色残り(地発色)が大きいという問題がある。このため、たとえ高い発色濃度が得られたとしても、変色色差という点でさらなる改善の余地がある。
従って、本発明の主な目的は、特に、消色時の色残りが小さく、比較的大きな変色色差を発現できる熱変色性組成物を提供することにある。
本発明者は、従来技術の問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の成分を組み合わせをインキ組成として採用することによって、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の熱変色性組成物及び熱変色性マイクロカプセルに係る。
1. 電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物及び減感剤を含む熱変色性組成物であって、前記減感剤として、(1)総炭素数5以上の脂肪酸メチルエステル及び(2)総炭素数4以上の脂肪酸アミドの一方又は両者を含むことを特徴とする熱変色性組成物。
2. 前記脂肪酸メチルエステルが、オクタン酸メチル、デカン酸メチル、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル及びベヘニン酸メチルの少なくとも1種である、前記項1に記載の熱変色性組成物。
3. 前記脂肪酸アミドが、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド及びエルカ酸アミドの少なくとも1種である、前記項1に記載の熱変色性組成物。
4. 変色温度ヒステリシスが5℃未満である、前記項1〜3のいずれかに記載の熱変色性組成物。
5. 前記項1〜4のいずれかに記載の組成物をマイクロカプセルに内包してなる熱変色性マイクロカプセル。
6. 電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物及び減感剤を含む熱変色性組成物を製造する方法であって、
前記減感剤として、(1)総炭素数5以上の脂肪酸メチルエステル及び(2)総炭素数4以上の脂肪酸アミドを配合するに際して、両者の配合割合を変えることによりヒステリシスを変化させて所望の変色温度ヒステリシスを有する熱変色性組成物を得ることを特徴とする製造方法。
7. 変色温度ヒステリシスが5℃未満である、前記項6に記載の製造方法。
本発明の熱変色性組成物又はマイクロカプセルによれば、所定の脂肪酸メチルエステル及び脂肪酸アミドの一方又は両者を減感剤として採用することによって、高い発色濃度を達成するとともに色残り(消色濃度)を低く抑えることができ、これにより高い変色色差を実現することが可能となる。
また、本発明では、変色色差が大きいだけでなく、シャープな変色特性を得ることもできる。すなわち、変色開始温度(又は消色開始温度)から変色完了温度(又は消色完了温度)の幅が短く、わかりやすい変色挙動を得ることができる。
所定の脂肪酸メチルエステル及び脂肪酸アミドの両者を減感剤として採用する場合には、上記の効果に加え、両者の配合割合に応じた変色温度ヒステリシスΔHを自由に設定することができる。特に、本発明では、前記ΔHを0℃から所望の値(好ましくは20℃以下、より好ましくは5℃未満、最も好ましくは4.5℃以下)までの範囲内で連続的又は段階的に任意に設定することが可能である。
本発明の熱変色性組成物は、さまざまな用途に用いることができる。例えば、インキ、印刷物、プラスチック成形体、包装材料、記録材料、繊維等の種々の材料・製品に熱変色性を付与するのに好適に用いられる。
・ 熱変色性組成物
本発明の熱変色性組成物は、電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物及び減感剤を含む熱変色性組成物であって、前記減感剤として、(1)総炭素数5以上の脂肪酸メチルエステル及び(2)総炭素数4以上の脂肪酸アミドの一方又は両者を含むことを特徴とする。
電子供与性呈色性有機化合物
電子供与性呈色性有機化合物(発色剤)としては、電子受容性化合物(顕色剤)と反応して呈色するものであれば限定されず、公知又は市販のものを使用することができる。例えば、下記の化合物を好適に用いることができる。これらは1種又は2種以上で用いることができる。
(a)フルオラン類…2’−[(2−クロロフェニル)アミノ]−6’−(ジブチルアミノ)−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9’−(9H)キサンテン]−3−オン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジメチルアミノベンゾ(a)−フルオラン、3−アミノ−5−メチルフルオラン、2−メチル−3−アミノ−6,7−ジメチルフルオラン、2−ブロモ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、6’−(エチル(4−メチルフェニル)アミノ−2’−(N−メチルフェニルアミノ)−スピロ(イソベンゾフラン1(3H),9’−(9H)キサンテン)−3−オン、3,6−ジフェニルアミノフルオラン等;
(b)フルオレン類…3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオレンスピロ(9.3’)−4’−アザフタリド、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオレンスピロ(9.3’)−4’,7‘−ジアザフタリド等;
(c)ジフェニルメタンフタリド類…3,3−ビス−(p−エトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)フタリド等;
(d)ジフェニルメタンアザフタリド類…3,3−ビス−(1−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド等;
(f)インドリルフタリド類…3,3−ビス(n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド等;
(g)フェニルインドリルフタリド類…3−(1−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド等;
(h)フェニルインドリルアザフタリド類…3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−[2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル]−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド等;
(i)スチリルキノリン類…2−(3−メトキシ−4−ドデコキシスチリル)キノリン等;
(j)ピリジン類…2,6−ジフェニル−4−(6−ジメチルアミノフェニル)ビリジン、2,6−ジエトキシ−4−(4−ジエチルアミノフェニル)ピリジン等;
(k)キナゾリン類…2−(4−N−メチルアニリノフェニル)−1−フェノキシキナゾリン、2−(4−ジメチルアミノフェニル)−4−(1−メトキシフェニルオキシ)キナゾリン等;
(l)ビスキナゾリン類…4,4’−(エチレンジオキシ)−ビス[2−(1−ジエチルアミノフェニル)キナゾリン]、4,4’−(エチレンジオキシ)−ビス[2−(1−ジ−n−ブチルアミノフェニル)キナゾリン]等;
(m)エチレノフタリド類…3,3−ビス[1,1−ビス−(p−ジメチルアミノフェニル)エチレノ−3]フタリド等;
(n)エチレノアザフタリド類…3,3−ビス[1,1−ビス−(p−ジメチルアミノフェニル)エチレノ−2]−4−アザフタリド、3,3−ビス[1,1−ビス−(p−ジメチルアミノフェニル)エチレノ−2]−4,7−ジアザフタリド等;
(o)トリフェニルメタンフタリド類…クリスタルバイオレットラクトン、マラカイトグリーンラクトン等;
(p)ポリアリールカルビノール類…ミヒラーヒドロール、クリスタルバイオレットカルビノール、マラカイトグリーンカルビノール等;
(q)ロイコオーラミン類…N−(2,3−ジクロロフェニニル)ロイコオーラミン、N−ベンゾイルオーラミン、N−アセチルオーラミン等;
(r)ローダミンラクタム類…ローダミンβラクタム等;
(s)インドリン類…2−(フェニルイミノエチリデン)−3,3−ジメチルインドリン等;
(t)スピロピラン類…N−3,3−トリメチルインドリノベンゾスピロピラン、8−メトキシ−N−3,3−トリメチルインドリノベンゾスピロピラン等;
また、本発明では、これらのほか、ジアザローダミンラクトン類、キサンテン類等も使用することができる。
本発明では、これら電子供与性呈色性有機化合物のうちフルオラン類の少なくとも1種を好適に用いることができる。特に、2’−[(2−クロロフェニル)アミノ]−6’−(ジブチルアミノ)−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9’−(9H)キサンテン]−3−オン及び3,6−ジフェニルアミノフルオランの少なくとも1種がより好ましい。
電子供与性呈色性有機化合物の含有量は、その化合物の種類等に応じて適宜設定できるが、一般的には本発明の熱変色性組成物中0.1〜50重量%程度、特に0.8〜15重量%とすることが望ましい。前記含有量が0.1重量%未満の場合は発色濃度が低くなるおそれがある。また、上記含有量が50重量%を超える場合は地発色が大きくなるおそれがある。
電子受容性化合物
電子受容性化合物としては、限定的でなく、公知又は市販のものを適宜使用することができる。例えば、下記の化合物を好適に用いることができる。これらは1種又は2種以上で用いることができる。
(a)フェノール類…ビスフェノールA又はその誘導体、ビスフェノールS又はその誘導体、p−フェニルフェノール、ドデシルフェノール、o−ブロモフェノール、p−オキシ安息香酸エチル、没食子酸メチル、フェノール樹脂等
(b)フェノール類の金属塩…フェノール類のNa、K、Li、Ca、Zn、Al、Mg、Ni、Co、Sn、Cu、Fe、Ti、Pb、Mo等の金属塩等
(c)芳香族カルボン酸及び炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸類…フタル酸、安息香酸、酢酸、プロピオン酸等
(d)カルボン酸類の金属塩…オレイン酸ナトリウム、サリチル酸亜鉛、安息香酸ニッケル等
(e)酸性リン酸エステル類…ブチルアシッドフォスフェート、2−エチルヘキシル−アシッドフォスフェート、ドデシルアシッドフォスファイト
(f)酸性リン酸エステル類の金属塩…酸性リン酸エステル類のNa、K、Li、Ca、Zn、Al、Mg、Ni、Co、Sn、Fe、Ti、Pb、Mo等の金属塩等
(g)トリアゾール化合物…1,2,3−トリアゾール、1,2,3−ベンゾトリアゾール等
(h)チオ尿素及びその誘導体…ジフェニルチオ尿素、ジ−o−トルイル尿素等
(i)ハロヒドリン類…2,2,2−トリクロロエタノール、1,1,1−トリブロモ−2−メチル−2−プロパノール、N−3−ピリジル−N’−(1−ヒドロキシ−2,2,2−トリクロロエチル)尿素等
(j)ベンゾチアゾール類…2−メルカプトベンゼンチアゾール、2−(4’−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、2−メルカプトベンゾチアゾールのZn塩等
本発明では、これら電子受容性化合物のうちフェノール類及びその金属塩の少なくとも1種を好適に用いることができる。特に、1)ビスフェノールA及びその誘導体ならびに2)ビスフェノールS及びその誘導体から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、最も好ましくは2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン及び1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンの少なくとも1種が挙げられる。
電子受容性化合物の含有量は、その化合物の種類等に応じて適宜設定できるが、一般的には本発明の熱変色性組成物中0.05〜98重量%程度、特に0.5〜77重量%とすることが望ましい。前記含有量が0.05重量%未満の場合は発色濃度が低くなるおそれがある。また、上記含有量が98重量%を超える場合は地発色が大きくなるおそれがある。
また、本発明では、電子供与性呈色性有機化合物との関係では、電子供与性呈色性有機化合物1重量部に対して電子受容性化合物0.1〜100重量部、特に0.5〜20重量部とすることが好ましい。
減感剤
減感剤としては、(1)総炭素数5以上の脂肪酸メチルエステル及び(2)総炭素数4以上の脂肪酸アミドの一方又は両者を含む。
前記の脂肪酸メチルエステルは、総炭素数5以上であるが、好ましくは総炭素数8以上、より好ましくは総炭素数12以上である。総炭素数5未満の場合は沸点が低く、揮発するおそれがある。なお、総炭素数の上限は限定的ではないが、一般的には23程度とすれば良い。
前記の脂肪酸メチルエステルとしては、脂肪酸(特に直鎖飽和モノカルボン酸)のカルボキシル基の水素原子がメチル基で置換されたものを使用することができ、例えば一般式R−COOCH(ただし、Rは総炭素数3以上の炭化水素基を示す。)で表されるエステルを好適に用いることができる。このエステルは、例えば脂肪酸とメタノールとのエステル化反応によって得ることができる。前記Rは、置換基によって置換されたものであっても良く、無置換であっても良い。特に、Rは、無置換のアルキル基、とりわけ無置換の直鎖アルキル基であることが好ましい。
前記の脂肪酸メチルエステルの好ましい具体例としては、酪酸メチル、吉草酸メチル、ヘキサン酸メチル、オクタン酸メチル、デカン酸メチル、ラウリン酸メチル、ミリスチン
酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、アラキジン酸メチル、ベヘニン酸メチル、リグノセリン酸メチル等の少なくとも1種が挙げられる。特に、オクタン酸メチル、デカン酸メチル、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル及びベヘニン酸メチルの少なくとも1種が望ましい。
前記の脂肪酸アミドは、総炭素数4以上であるが、好ましくは総炭素数8以上、より好ましくは総炭素数12以上である。総炭素数4未満の場合は沸点が低く、揮発しやすくなる。なお、総炭素数の上限は限定的ではないが、一般的には22程度とすれば良い。
前記の脂肪酸アミドとしては、脂肪酸(特に直鎖飽和モノカルボン酸)のカルボキシル基のOH基がアミノ基で置換されたものを使用することができ、例えば一般式R−CONH(ただし、Rは総炭素数3以上の炭化水素基を示す。)で表されるアミドを好適に用いることができる。このアミド(酸アミド)は、例えば脂肪酸とアンモニア、1級アミン等との反応によって得ることができる。前記Rは、前記Rと同様のものを挙げることができる。すなわち、前記Rは、置換基によって置換されたものであっても良く、無置換であっても良い。特に、Rは、無置換のアルキル基、とりわけ無置換の直鎖アルキル基であることが好ましい。
前記の脂肪酸アミドの好ましい具体例としては、酪酸アミド、吉草酸アミド、ヘキサン酸アミド、オクタン酸アミド、デカン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、アラキジン酸アミド、ベヘニン酸アミド、エルカ酸アミド等の少なくとも1種が挙げられる。特に、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミド、エルカ酸アミド、ミリスチン酸アミド及びパルミチン酸アミドの少なくとも1種が望ましい。
本発明では、上記の脂肪酸メチルエステル及び脂肪酸アミドの一方又は両者を減感剤として含むが、上記の脂肪酸メチルエステル及び脂肪酸アミドの両者を減感剤として含むことが望ましい。両者を用いる場合には、より精度の高いΔHの制御が可能になる。例えば、両者の成分及び配合割合を変えることにより、ΔHを0℃に近づけること、好ましくは0℃≦ΔH≦3℃とすることができる。また、両者の配合割合を連続的に変えることによりΔHを連続的に変化させることもできる。
本発明では、減感剤として上記の脂肪酸メチルエステル及び脂肪酸アミドの一方又は両者からなる系を採用することが望ましい。ただし、本発明の効果を妨げない範囲内で他の減感剤を併用することも可能である。例えば、下記の減感剤を用いることもできる。
(a)アルコール類…n−セチルアルコール、n−オクチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、ヘキシレングリコール等
(b)エステル類…ミリスチン酸エステル、ラウリン酸エステル、フタル酸ジオクチル等
(c)ケトン類…メチルヘキシルケトン、ベンゾフェノン、ステアロン等
(d)エーテル類…ブチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジステアリルエーテル等
(e)炭素数6以上の脂肪酸…ラウリン酸、ステアリン酸、2−オキシミリスチン酸等
(f)芳香族化合物…ジフェニルメタン、ジベンジルトルエン、プロピルジフェニル、イソプロピルナフタリン、1,1,3−トリメチル−3−トリル−インダン、ドデシルベンゼン等
(g)チオール類…n−デシルメルカプタン、n−ミリスチルメルカプタン、n−ステアリルメルカプタン、イソセチルメルカプタン、ドデシルベンジンメルカプタン等
(h)スルフィド類…ジ−n−オクチルスルフィド、ジ−n−デシルスルフィド、ジフェニルスルフィド、ジエチルフェニルスルフィド等
(i)ジスルフィド類…ジ−n−オクチルジスルフィド、ジ−n−デシルジスルフィド、ジフェニルジスルフィド、ジナフチルジスルフィド等
(j)スルホキシド類…ジエチルスルホキシド、テトラメチレンカルボキシド、ジフェニルスルホキシド等
(k)スルホン類…ジエチルスルホン、ジブチルスルホン、ジフェニルスルホン、ジベンジルスルホン等
(l)アゾメチン類…ベンジリデンラウリルアミン、p−メトキシベンジリデンラウリルアミン、ベンジリデンp−アニシジン等
(m)脂肪酸一級アミン塩類…オレイン酸ステアリルアミン、ステアリン酸ミリスチルアミン、ベヘニン酸ステアリルアミン等
減感剤の含有量(合計量)は、その化合物の種類等に応じて適宜設定できるが、一般的には本発明の熱変色性組成物中1〜99重量%程度、特に19〜99重量%、さらには60〜95重量%とすることが望ましい。前記含有量が1重量%未満の場合は地発色が大きくなるおそれがある。また、上記含有量が99重量%を超える場合は発色濃度が低くなるおそれがある。
また、上記の脂肪酸メチルエステル及び脂肪酸アミドの両者を用いる場合の配合割合は、限定的ではないものの、一般的には(前者):(後者)=1:0.1〜0.3(重量比)の範囲内で設定することが望ましい。この範囲内でΔHを0℃により近づけることが可能となる。
その他の成分
本発明の熱変色性組成物では、必要に応じて、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、酸化防止剤、非熱変色性顔料、非熱変色性染料、蛍光増白剤、界面活性剤、消泡剤、レベリング剤、溶剤、増粘剤等の公知の添加剤を組成物中に配合しても良い。
上記のうち、紫外線吸収剤としては、太陽光等に含まれる紫外線を効果的に吸収して、発色材の光反応による励起状態によって生ずる光劣化を防止する化合物であればよい。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、トリアジン系、サリチル酸系、シュウ酸アリニド系、マロン酸エステル系、安息香酸系、ケイ皮酸系、ジベンゾイルメタン系等の化合物が挙げられる。この中でも、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましく、市販品としてはチバスペシャリティケミカルズ製「Tinuvin326」が好ましい。紫外線吸収剤の含有量(合計量)は、その化合物の種類等に応じて適宜設定できるが、一般的には本発明の熱変色性組成物中0〜96重量%程度、特に0〜61重量%とすることが望ましい。
(2)熱変色性組成物の製造方法
本発明の熱変色性組成物は、これらの成分を攪拌機、ミキサー、ホモジナイザー等の公知の混合機に投入し、均一に混合することによって調製することができる。この場合、加熱しながら混合することが好ましい。加熱温度は限定的ではないが、通常は120〜180℃程度とすれば良い。
特に、本発明は、電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物及び減感剤を含む熱変色性組成物を製造する方法であって、
前記減感剤として、(1)総炭素数5以上の脂肪酸メチルエステル及び(2)総炭素数4以上の脂肪酸アミドを配合するに際して、両者の配合割合を変えることによりヒステリシスを変化させて所望の変色温度ヒステリシスを有する熱変色性組成物を得ることを特徴とする製造方法、を包含する。
すなわち、前記(1)(2)の配合割合を変えることにより、その配合割合に応じたΔHを設定することができる。具体的には、前記(1)及び(2)の合計量を100重量部とすれば、0重量部<[前記(1)の割合又は前記(2)の割合]<100重量部の範囲内で連続的に変えることにより、所望のΔHを得ることができる。特に、前記のように、(前記(1)の化合物):(前記(2)の化合物)=1:0.1〜0.3(重量比)の範囲内で設定することが望ましい。この範囲内でΔHを0℃により近づけることが可能となる。
本発明は、子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物及び減感剤を含む熱変色性組成物を製造する方法であって、変色温度ヒステリシスΔHを制御する方法であって、
前記減感剤として、(1)総炭素数5以上の脂肪酸メチルエステル及び(2)総炭素数4
以上の脂肪酸アミドを配合するに際して、両者の配合割合を変えることにより変色温度ヒステリシスΔHを変化させる方法を包含する。この方法の条件は、前記の製造方法と同様にすれば良い。
(3)熱変色性マイクロカプセル
本発明は、前記の熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包してなる熱変色性マイクロカプセルを包含する。内容物として本発明の熱変色性組成物を用いるほかは、公知のマイクロカプセルと同様の構造を採用することができる。例えば、熱変色性組成物を含む内容物を壁膜により内包してなるマイクロカプセルが挙げられる。
内容物としては、熱変色性組成物のほか、必要に応じて溶剤(溶解助剤)、乳化剤等か含まれていて良い。
熱変色性組成物の含有量は限定的ではないが、一般的にはマイクロカプセルを100重量%とすると6〜98重量%程度、特に50〜95重量%とすることが望ましい。
溶剤としては、熱変色性組成物と壁膜原料とを均一に溶解させることができ、熱変色性能を阻害しないものである限り、公知の溶剤から適宜選択することができる。特に、後工程で取り除けるものが望ましい。例えば、エステル系溶剤(但し、前記(1)(2)の化合物を除く。)、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、炭化水素系溶剤、芳香族系溶剤、含窒素系溶剤、シリコン系溶剤、含ハロゲン系溶剤等が使用できる。これらは1種又は2種以上で用いることができる。
乳化剤は、内容物を水中で乳化する際に油滴表面に吸着して安定化させる両親媒性物質を好適に用いることができる。これらは公知の乳化剤から採用することができる。例えば、水溶性天然高分子、水溶性合成高分子、界面活性剤、無機微粒子等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上で用いることができる。乳化剤は、壁膜を構成する樹脂成分の種類等に応じて適宜決定することができる。例えば、樹脂成分がエポキシ樹脂である場合には、乳化剤としてアラビアゴム等の多糖類のほか、ゼラチン、カゼイン等のタンパク質も好適に使用することができる。また例えば、樹脂成分としてメラミンホルマリン樹脂を用いる場合には、乳化剤としてエチレン無水マレイン酸共重合体等を好適に用いることができる。さらに、樹脂成分としてウレタン(イソシアネート)を用いる場合には、ゼラチン、ポリビニルアルコール等を用いることができる。
壁膜としては、通常は樹脂系壁膜を好適に採用することができる。樹脂としては、例えば各種の熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂を使用するこができる。より具体的には、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、尿素−ホルムアルデヒド系樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド系樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂、ブチル化尿素樹脂、尿素−メラミン系樹脂等が挙げられる。これら樹脂成分は1種又は2種以上で使用することができる。マイクロカプセルを製造する際は、これらの原料を用い、これらを高分子化することにより好適にマイクロカプセル化することができる。
(4)熱変色性マイクロカプセルの製造方法
本発明の熱変色性マイクロカプセルの製造方法としては、内容物として本発明の熱変色性組成物を用いるほかは、公知のマイクロカプセル化に従って実施することができる。マイクロカプセル化の方法として、例えば界面重合法(重縮合、付加重合)、インサイチュー重合法、コアセルベーション法、液中乾燥法、噴霧乾燥法等を挙げることができる。
具体的に、本発明のマイクロカプセルの製造方法の一例としては、例えば、1)溶剤の存在下又は不存在下において、壁膜を構成し得る主原料(架橋剤を除く。)を熱変色性組成物と混合又は溶解することにより溶液を調製する第1工程、2)得られた溶液を乳化剤水溶液中に添加し、O/Wエマルションを調製する第2工程、3)架橋剤又はその溶液をO/Wエマルションに添加する第3工程を含む方法により、好適にマイクロカプセルを製造することができる。以下、各工程について説明する。
第1工程
第1工程では、溶剤の存在下又は不存在下において、壁膜を構成し得る主原料(架橋剤を除く。)を熱変色性組成物と混合又は溶解することにより溶液を調製する。
熱変色性組成物は、前記で説明したものを用いる。熱変色性組成物の使用量は、通常は乳化剤水溶液100重量部に対して5〜50重量部、特に10〜40重量部となるようにすることが好ましい。前記使用量が5重量部未満の場合は、生産性が低下することがある。また、前記使用量が50重量部を超える場合は、乳化が困難になるおそれがある。
前記主原料及び架橋剤としては、前記(3)で説明した壁膜を構成する成分となるものを使用すれば良い。この場合、特にマイクロカプセル化の方法に応じて適宜設定することがより望ましい。例えば、インサイチュー重合法でマイクロカプセル化する場合において、壁膜をメラミン樹脂、ポリウレア樹脂等とする場合は、主原料としてメラミン、尿素等を用い、架橋剤としてホルマリンを使用すれば良い。インサイチュー重合法でマイクロカプセル化する場合において、壁膜がウレタン樹脂等である場合は、主原料としてイソシアネート化合物を用い、架橋剤としてポリアルコールを使用すれば良い。例えば、界面重合法(重縮合)でマイクロカプセル化する場合において、壁膜がエポキシ樹脂等である場合は、主原料としてエポキシ化合物を用い、架橋剤としてポリアミン化合物を使用すれば良い。界面重合法(重縮合)でマイクロカプセル化する場合において、壁膜がウレタン樹脂、ウレアウレタン樹脂等である場合は、主原料としてイソシアネート化合物を用い、架橋剤としてポリアミン化合物、ポリアルコール、水等を使用すれば良い。界面重合法(重縮合)でマイクロカプセル化する場合において、壁膜がポリアミド樹脂等である場合は、主原料として酸クロライド化合物を用い、架橋剤としてポリアミン化合物を使用すれば良い。界面重合法(付加重合)でマイクロカプセル化する場合において、壁膜がアクリル樹脂等である場合は、主原料としてアクリル化合物を用い、架橋剤としてペルオキシ化合物を使用すれば良い。
主原料及び架橋剤の使用量は特に制限されない。主原料は、乳化剤水溶液100重量部に対して通常1〜50重量部の範囲内、好ましくは2〜10重量部の範囲内で適宜設定することができる。架橋剤は、乳化剤水溶液100重量部に対して通常0.5〜25重量部の範囲内、好ましくは1〜5重量部の範囲内で適宜設定することができる。主原料又は架橋剤の使用量が少なすぎる場合又は多すぎる場合は、反応が不十分となり、カプセル(壁膜)の強度、耐熱性等が低くなるおそれがある。
第1工程では、必要に応じて溶剤を使用することができる。溶剤としては前記で掲げたものを用いることができる。
溶剤の使用量は限定的ではないが、通常は乳化剤水溶液100重量部に対して0〜100重量部の範囲内、好ましくは0〜40重量部の範囲内で適宜設定することができる。
第2工程
第2工程では、得られた溶液を乳化剤水溶液中に添加し、O/Wエマルションを調製する。
乳化剤水溶液は、前記の乳化剤を水に溶解して得られる水溶液を使用できる。乳化剤水溶液の濃度は、乳化剤の種類等に応じて適宜設定することができるが、一般に0.1〜15重量%、特に0.5〜8重量%とすることが好ましい。前記濃度が0.2重量%を下回る場合は、乳化が困難となるおそれがある。前記濃度が15重量%を超える場合は、起泡することがある。
本発明では、O/Wエマルションの調製は、攪拌法、膜透過法等の公知の方法に従って実施することができる。この場合のO/Wエマルションの液滴径は0.1〜20μm程度の範囲内で適宜設定すれば良い。
第3工程
第3工程では、架橋剤又はその溶液をO/Wエマルションに添加する。架橋剤としては、前記で列挙した各架橋剤を用いることができる。架橋剤の溶液は、例えば架橋剤を水に溶解して得られる架橋剤水溶液を好適に用いることができる。この場合の水溶液の濃度は限定されないが、通常は1〜100重量%程度の範囲内で適宜すれば良い。架橋剤の添加方法は特に制限されないが、滴下することにより添加することが好ましい。
また、特殊な例として、壁膜原料にイソシアネート化合物を用いる場合は、架橋剤を新たに添加しなくても乳化剤水溶液中の水とイソシアネートの反応によって生じるアミン化合物を架橋剤として利用することができる。
架橋剤又はその溶液を添加した後、架橋が進行し、架橋が完了すれば、所望のマイクロカプセルをスラリーの形態で得ることができる。その後、必要に応じて、例えばろ過、遠心分離等の公知の固液分離方法に従って、マイクロカプセルを固形分として回収することもできる。また、必要に応じて、マイクロカプセルを洗浄することもできる。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴を一層明確にする。なお、本発明は、実施例に限定されない。
実施例1〜14及び比較例1〜4
表1に示す各成分を120〜180℃で加熱しながら攪拌機にて均一に混合することによって、各熱変色性組成物を調製した。
Figure 0005324128
実施例15〜25及び比較例5〜7
実施例2〜4及び7〜14並びに比較例5〜7で得られた熱変色性組成物を表2に示す材料を用いてマイクロカプセル化した。熱変色性組成物の対応関係を表3に示す。
まず、溶解助剤(溶剤)を用いてカプセル壁膜となる樹脂主剤(主原料)と熱変色性組成物とを均一に混合し、溶解し、溶液を得た。次いで、30〜60℃に加温した乳化剤水溶液中に、中せん断攪拌しながら前記溶液を添加した。次に、高せん断攪拌を行うことにより前記溶液からO/Wエマルション(液滴の粒径:5μm程度)を得た。その後、低せん断攪拌に切り換え、架橋剤水溶液を前記O/Wエマルションに滴下した。60〜90℃の温度下で3〜12時間反応を行った後、室温まで冷却することにより、マイクロカプセルが分散したスラリーを得た。
Figure 0005324128
Figure 0005324128
実施例26〜41
実施例18のマイクロカプセル(即ち実施例7の熱変色性組成物)において、発色剤を表4に示す通りに変えた。
Figure 0005324128
試験例1
実施例及び比較例で得られた熱変色性組成物及びマイクロカプセルの熱変色性について調べた。
<サンプルの作製>
実施例1〜14及び比較例1〜4にあっては、70〜100℃に加熱した熱変色性組成物をNo.5ろ紙上に0.05g滴下し、120℃で10分加熱することによって含浸させたものを測色用サンプルとした。
実施例15〜41及び比較例5〜7にあっては、室温まで冷却されたマイクロカプセルスラリーをNo.1ろ紙上にドクターブレード法により塗布し、室温で2時間乾燥したものを測色用サンプルとした。
<評価>
サンプルの測色は、色差計(製品名「CR−300」ミノルタ製)を用い、発色濃度は白色校正板からの色差ΔE*で表示した。
測定手順としては、−10℃からサンプルが完全に消色する温度まで1℃刻みで加熱して測色を繰り返した。図2の実線で示すように、色差ΔE*を温度(横軸)に対してプロットしたものを消色曲線とした。
サンプルが完全に消色する温度から−10℃まで1℃刻みで冷却して測色を繰り返した。図2の点線で示すように、色差ΔE*を温度(横軸)に対してプロットしたものを発色曲線とした。
前記の消色曲線及び発色曲線において、図3に示すように、各曲線の色差ΔE*の最大値(ΔE*max)と最小値(ΔE*min)との変色幅をΔEとし、各曲線において[ΔE*min+(ΔE/2)]に対応する温度を変色温度(消色温度t1,発色温度t2)とした。なお、図3は、消色曲線の場合を説明する図であるが、発色曲線もこれに準拠する。
次いで、上記で求められたt1及びt2より、変色温度ヒステリシスΔH=|t2−t1|(絶対値)を算出した。その結果を表2に示す。
表1に示す通り、実施例1〜14及び比較例1〜4に示した熱変色組成物はいずれも低温でブラックに発色しており、特定の温度以上に加熱すると消色して無色となることが分かる。減感剤Aの脂肪酸メチルエステル及び減感剤Bの脂肪酸アミド単独で用いた実施例1〜6は、汎用の減感剤であるラウリン酸ラウリルやラウリン酸ステアリルを用いた比較例1,2に比べて同程度の発色濃度でありながら、地発色(色残り)は低く抑えられており、良好な消発色性能を示すことが分かる。減感剤Aの脂肪酸メチルエステルと減感剤Bの脂肪酸アミドを組み合わせた実施例7,8は、汎用の減感剤であるラウリン酸ラウリル又はラウリン酸ステアリルに脂肪酸アミドを組み合わせた比較例3,4に比べて高い発色濃度でありながら地発色が低く抑えられており、良好な消発色性能を示すことが分かる。減感剤Aの脂肪酸メチルエステル2種類と減感剤Bの脂肪酸アミド1種類又は2種類を組み合わせた実施例9〜12も比較例1〜4に比べて良好な消発色性能を示すことが分かる。また、紫外線吸収剤を配合した実施例13、14についても比較例1〜4に比べて良好な消発色性能を示すことが分かる。
表3の結果より、実施例15〜25及び比較例5〜7に示したカプセル化熱変色組成物はいずれも低温でブラックに発色しており、特定の温度以上に加熱すると消色して無色となることが分かる。減感剤Aの脂肪酸メチルエステルを単独で用いた実施例15〜17(実施例2〜4のカプセル)は、汎用の減感剤であるラウリン酸ラウリルやラウリン酸ステアリルを用いた比較例5,6(比較例1,2のカプセル)に比べて同程度の発色濃度でありながら、地発色(色残り)は低く抑えられており、良好な消発色性能を示すことが分かる。減感剤Aの脂肪酸メチルエステル1種類又は2種類と減感剤Bの脂肪酸アミドを1種類又は2種類を組み合わせた実施例18〜23(実施例7〜12のカプセル)は、汎用の減感剤であるラウリン酸ステアリルに脂肪酸アミドを組み合わせた比較例7(比較例3のカプセル)に比べて同程度の発色濃度でありながら、地発色が低く抑えられており、良好な消発色性能を示すことが分かる。脂肪酸メチルと脂肪酸アミド2種類を組み合わせた実施例18,19(実施例7,8のカプセル)は、脂肪酸メチルを単独で使用した実施例16,17(実施例3,4のカプセル)に比べて、変色温度ヒリテリシスが4℃及び5℃縮まり、消発色温度が近い良好な変色挙動を示すことが分かる。一方、汎用の減感剤に脂肪酸アミド2種類を組み合わせた比較例7(比較例3のカプセル)と、汎用の減感剤単独の比較例6(比較例2のカプセル)の変色ヒステリシスの差はわずか1℃であり、脂肪酸メチルに脂肪酸アミドを組み合わせたときのようなヒステリシス改善効果は見られないことが分かる。また、紫外線吸収剤を添加した実施例24,25(実施例13,14のカプセル)についても発色性能や発色色機能は良好であることが分かる。紫外線吸収剤未添加のものはブルースケール3級露光により地発色にヤケが見られた(露光前後の色差ΔE=30)が、実施例24,25では露光前後の色差はそれぞれΔE=8及び11であり、耐光性が向上していることが分かる。
表4の結果より、発色剤以外は実施例18(実施例7のカプセル)と同じ実施例26〜40は、低温で様々な色に発色しており、特定の温度以上に加熱するといずれも消色して無色となることが分かる。
熱変色性組成物において、変色温度ヒステリシスの有無について説明するための図である。 試験例において用いられる消色曲線及び発色曲線を示す図である。 試験例において、消色温度t1(及び発色温度t2)を説明するための消色曲線である。

Claims (3)

  1. 電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物及び減感剤を含む熱変色性組成物であって、前記減感剤として、(1)総炭素数5以上の脂肪酸メチルエステル及び(2)総炭素数4以上の脂肪酸アミドの両者を含む熱変色性組成物であって、
    前記脂肪酸メチルエステルが、オクタン酸メチル、デカン酸メチル、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル及びベヘニン酸メチルの少なくとも1種であり、
    前記脂肪酸アミドが、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド及びエルカ酸アミドの少なくとも1種である、熱変色性組成物。
  2. 変色温度ヒステリシスが5℃未満である、請求項1に記載の熱変色性組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の組成物をマイクロカプセルに内包してなる熱変色性マイクロカプセル。
JP2008126884A 2007-07-10 2008-05-14 熱変色性組成物及び熱変色性マイクロカプセル Expired - Fee Related JP5324128B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008126884A JP5324128B2 (ja) 2007-07-10 2008-05-14 熱変色性組成物及び熱変色性マイクロカプセル
KR1020107002959A KR20100046004A (ko) 2007-07-10 2008-07-09 열 변색성 조성물 및 열 변색성 마이크로캡슐
PCT/JP2008/062368 WO2009008436A1 (ja) 2007-07-10 2008-07-09 熱変色性組成物及び熱変色性マイクロカプセル
CN200880105625.7A CN101970603B (zh) 2007-07-10 2008-07-09 热变色性组合物和热变色性微胶囊

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007180847 2007-07-10
JP2007180847 2007-07-10
JP2008126884A JP5324128B2 (ja) 2007-07-10 2008-05-14 熱変色性組成物及び熱変色性マイクロカプセル

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009035718A JP2009035718A (ja) 2009-02-19
JP5324128B2 true JP5324128B2 (ja) 2013-10-23

Family

ID=40437914

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008126884A Expired - Fee Related JP5324128B2 (ja) 2007-07-10 2008-05-14 熱変色性組成物及び熱変色性マイクロカプセル

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP5324128B2 (ja)
KR (1) KR20100046004A (ja)
CN (1) CN101970603B (ja)

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013061814A1 (ja) * 2011-10-25 2013-05-02 株式会社パイロットコーポレーション 可逆熱変色性組成物
CN103254691A (zh) * 2013-04-07 2013-08-21 上海欣渊文化用品有限公司 一种可逆温变可擦中性墨水组合物及其制造方法
CN104845448B (zh) * 2015-05-18 2016-10-05 真彩文具股份有限公司 具有耐老化功能温敏变色中性墨水色浆及其制备方法
CN106923451A (zh) * 2017-04-21 2017-07-07 深圳联达钮扣有限公司 一种具有感温变色效果的钮扣及其制作方法
CN107815173A (zh) * 2017-11-28 2018-03-20 蚌埠昆仑彩印包装有限公司 一种用于印刷油墨的抗老化剂
CN107815172A (zh) * 2017-11-28 2018-03-20 蚌埠昆仑彩印包装有限公司 一种用于印刷油墨的抗氧化剂
CN107793825A (zh) * 2017-11-28 2018-03-13 蚌埠昆仑彩印包装有限公司 一种用于印刷油墨的速凝剂
CN108968512A (zh) * 2018-08-07 2018-12-11 界首市华盛塑料机械有限公司 一种直观察觉幼儿小便的可变色塑料座椅
KR102172624B1 (ko) * 2018-09-21 2020-11-02 주식회사 인실리코 감온 변색성 조성물 및 이를 포함하는 감온 변색성 마이크로캡슐
CN111269709B (zh) * 2020-01-19 2023-06-20 福建省长汀金龙稀土有限公司 一种稀土可逆感温变色材料及其制备方法和应用

Family Cites Families (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5144707B2 (ja) * 1972-07-27 1976-11-30
JPS5144708B2 (ja) * 1972-12-02 1976-11-30
JPS57167380A (en) * 1981-04-08 1982-10-15 Pilot Ink Co Ltd Thermochromic material
JPS60152586A (ja) * 1984-01-20 1985-08-10 Sakura Color Prod Corp 熱変色性組成物
JPS60219289A (ja) * 1984-04-13 1985-11-01 Pilot Ink Co Ltd 熱変色性材料
JPS6153388A (ja) * 1984-08-22 1986-03-17 Pilot Ink Co Ltd 熱変色性材料
JPH0665568A (ja) * 1992-08-19 1994-03-08 Sakura Color Prod Corp 熱変色性組成物
JPH0688070A (ja) * 1992-09-08 1994-03-29 Sakura Color Prod Corp 熱変色性組成物
JPH0688071A (ja) * 1992-09-08 1994-03-29 Sakura Color Prod Corp 熱変色性組成物
CA2318700A1 (en) * 1999-09-17 2001-03-17 Katsuyuki Fujita Thermochromic microencapsulated pigments
JP2002012787A (ja) * 2000-04-28 2002-01-15 Pilot Ink Co Ltd 可逆熱変色性マイクロカプセル顔料
JP4271401B2 (ja) * 2001-12-27 2009-06-03 パイロットインキ株式会社 加熱発色型可逆熱変色性顔料
JP2008031313A (ja) * 2006-07-28 2008-02-14 Sakura Color Prod Corp 熱変色性組成物及び熱変色性マイクロカプセル

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009035718A (ja) 2009-02-19
CN101970603A (zh) 2011-02-09
KR20100046004A (ko) 2010-05-04
CN101970603B (zh) 2014-04-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5324128B2 (ja) 熱変色性組成物及び熱変色性マイクロカプセル
JP5833457B2 (ja) 感温変色性組成物
EP2970677B1 (en) Small scale microencapsulated pigments and uses thereof
JPH0665568A (ja) 熱変色性組成物
JP3726217B2 (ja) 感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料
KR102215243B1 (ko) 감온 변색성 조성물 및 이를 포함하는 감온 변색성 마이크로캡슐
JP5595652B2 (ja) 熱変色性組成物および熱変色性マイクロカプセル
JPH0688071A (ja) 熱変色性組成物
JPH0688070A (ja) 熱変色性組成物
JP4851159B2 (ja) 可逆熱変色性マイクロカプセル顔料
JP5383094B2 (ja) 可逆熱変色性マイクロカプセル顔料
KR102438034B1 (ko) 감온 변색성 조성물, 이를 포함하는 감온 변색성 마이크로캡슐 및 이를 이용한 시간-온도 지시계
JP2008150483A (ja) 熱変色性組成物及び熱変色性マイクロカプセル
KR102172624B1 (ko) 감온 변색성 조성물 및 이를 포함하는 감온 변색성 마이크로캡슐
JP2008031313A (ja) 熱変色性組成物及び熱変色性マイクロカプセル
JP4460845B2 (ja) 可逆熱変色性マイクロカプセル顔料
JP5015511B2 (ja) 熱変色性マイクロカプセル
KR102506072B1 (ko) 감온 변색성 마이크로캡슐 및 이를 이용한 동결 지시계
JP2008031314A (ja) 熱変色性組成物及び熱変色性マイクロカプセル
JP6526491B2 (ja) グラビアインキ組成物
JP3263130B2 (ja) 可逆性熱変色材料
WO2018190230A1 (ja) 熱応答性組成物及び熱応答性材料
JP2523350B2 (ja) 熱可逆変色性組成物及び熱可逆変色性粒状物
JP4575574B2 (ja) 可逆熱変色性マイクロカプセル顔料
JPWO2018190229A1 (ja) 熱応答性組成物及び熱応答性材料

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20091208

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110111

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120710

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120831

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20121113

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130208

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20130313

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130430

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130626

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130716

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130718

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5324128

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees