JP5015511B2 - 熱変色性マイクロカプセル - Google Patents

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本発明は、熱変色性組成物及び熱変色性マイクロカプセルに関する。さらに、本発明は、熱変色性組成物を製造する方法に関する。
熱変色性組成物は、温度により可逆的に発色−消色するものであり、例えば印刷物、インキ、塗料、包装材料、記録材料等に用いられる。このような組成物の代表例として、電子供与性呈色性有機化合物(電子供与体)と電子受容性化合物(電子受容体)との電子授受反応を利用したものがある(特許文献1、特許文献2等)。これらの熱変色性組成物は、加熱−冷却のサイクルにおいて、発色−消色あるいは消色−発色を可逆的に繰り返すことができる。この場合、発色と消色との色差(変色色差)が大きいほど視認しやくなる。
特開平6−65568号公報 特公平4−17154号公報 特開平7−33997号公報
しかしながら、これらの従来技術では、色差が十分なものとは言えず、この点においてさらなる改良か必要とされている。
従って、本発明の主な目的は、より大きな変色色差を発現できる熱変色性組成物を提供することにある。
本発明者は、従来技術の問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の成分を組み合わせをインキ組成として採用することによって、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の熱変色性マイクロカプセルに係る。
1. 電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物及び減感剤を含む熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包してなる熱変色性マイクロカプセルであって、
前記減感剤として、乳酸ミリスチル及び乳酸セチルからなる群から選ばれた少なくとも1種を用い
記マイクロカプセルを形成するカプセル壁原料として少なくともイソシアネート化合物を用いる、
熱変色性マイクロカプセル
. 前記イソシアネート化合物がトルイレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物である、上記項1に記載の熱変色性マイクロカプセル。
本発明の熱変色性組成物又はマイクロカプセルによれば、減感剤として特定のエステル化合物を採用することにより、従来技術の熱変色性組成物の変色色差を上回る変色色差を実現することができる。
本発明の熱変色性組成物又はマイクロカプセルは、さまざまな用途に用いることができる。例えば、インキ、印刷物、プラスチック成形体、包装材料、記録材料、繊維等の種々の材料・製品に熱変色性を付与するのに好適に用いられる。
1.熱変色性組成物
本発明の熱変色性組成物は、電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物及び減感剤を含む熱変色性組成物であって、前記減感剤として、ヒドロキシカルボン酸とアルコールとのエステルを用いることを特徴とする。
電子供与性呈色性有機化合物
電子供与性呈色性有機化合物(発色剤)としては、電子受容性化合物(顕色剤)と反応して呈色するものであれば限定されず、公知又は市販のものを使用することができる。例えば、下記の化合物を好適に用いることができる。これらは1種又は2種以上で用いることができる。
(1)フルオラン類…2’−[(2−クロロフェニル)アミノ]−6’−(ジブチルアミノ)−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9’−(9H)キサンテン]−3−オン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジメチルアミノベンゾ(a)−フルオラン、3−アミノ−5−メチルフルオラン、2−メチル−3−アミノ−6,7−ジメチルフルオラン、2−ブロモ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、6’−(エチル(4−メチルフェニル)アミノ−2’−(N−メチルフェニルアミノ)−スピロ(イソベンゾフラン1(3H),9’−(9H)キサンテン)−3−オン等;
(2)フルオレン類…3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオレンスピロ(9.3’)−4’−アザフタリド、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオレンスピロ(9.3’)−4’,7‘−ジアザフタリド等;
(3)ジフェニルメタンフタリド類…3,3−ビス−(p−エトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)フタリド等;
(4)ジフェニルメタンアザフタリド類…3,3−ビス−(1−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド等;
(5)インドリルフタリド類…3,3−ビス(n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド等;
(6)フェニルインドリルフタリド類…3−(1−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド等;
(7)フェニルインドリルアザフタリド類…3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−[2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル]−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド等;
(8)スチリルキノリン類…2−(3−メトキシ−4−ドデコキシスチリル)キノリン等;
(9)ピリジン類…2,6−ジフェニル−4−(6−ジメチルアミノフェニル)ビリジン、2,6−ジエトキシ−4−(4−ジエチルアミノフェニル)ピリジン等;
(10)キナゾリン類…2−(4−N−メチルアニリノフェニル)−1−フェノキシキナゾリン、2−(4−ジメチルアミノフェニル)−4−(1−メトキシフェニルオキシ)キナゾリン等;
(11)ビスキナゾリン類…4,4’−(エチレンジオキシ)−ビス[2−(1−ジエチルアミノフェニル)キナゾリン]、4,4’−(エチレンジオキシ)−ビス[2−(1−ジ−n−ブチルアミノフェニル)キナゾリン]等;
(12)エチレノフタリド類…3,3−ビス[1,1−ビス−(p−ジメチルアミノフェニル)エチレノ−3]フタリド等;
(13)エチレノアザフタリド類…3,3−ビス[1,1−ビス−(p−ジメチルアミノフェニル)エチレノ−2]−4−アザフタリド、3,3−ビス[1,1−ビス−(p−ジメチルアミノフェニル)エチレノ−2]−4,7−ジアザフタリド等;
(14)トリフェニルメタンフタリド類…クリスタルバイオレットラクトン、マラカイトグリーンラクトン等;
(15)ポリアリールカルビノール類…ミヒラーヒドロール、クリスタルバイオレットカルビノール、マラカイトグリーンカルビノール等;
(16)ロイコオーラミン類…N−(2,3−ジクロロフェニニル)ロイコオーラミン、N−ベンゾイルオーラミン、N−アセチルオーラミン等;
(17)ローダミンラクタム類…ローダミンβラクタム等;
(18)インドリン類…2−(フェニルイミノエチリデン)−3,3−ジメチルインドリン等;
(19)スピロピラン類…N−3,3−トリメチルインドリノベンゾスピロピラン、8−メトキシ−N−3,3−トリメチルインドリノベンゾスピロピラン等;
また、本発明では、これらのほか、ジアザローダミンラクトン類、キサンテン類等も使用することができる。
本発明では、これら電子供与性呈色性有機化合物のうちフルオラン類の少なくとも1種を好適に用いることができる。特に、2’−[(2−クロロフェニル)アミノ]−6’−(ジブチルアミノ)−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9’−(9H)キサンテン]−3−オンがより好ましい。
電子供与性呈色性有機化合物の含有量は、その化合物の種類等に応じて適宜設定できるが、一般的には本発明の熱変色性組成物中0.1〜50重量%程度、特に0.8〜15重量%とすることが望ましい。前記含有量が0.1重量%未満の場合は発色濃度が低くなるおそれがある。また、上記含有量が50重量%を超える場合は地発色が大きくなるおそれがある。
電子受容性化合物
電子受容性化合物としては、限定的でなく、公知又は市販のものを適宜使用することができる。例えば、下記の化合物を好適に用いることができる。これらは1種又は2種以上で用いることができる。
(1)フェノール類…ビスフェノールA又はその誘導体、ビスフェノールS又はその誘導体、p−フェニルフェノール、ドデシルフェノール、o−ブロモフェノール、p−オキシ安息香酸エチル、没食子酸メチル、フェノール樹脂等
(2)フェノール類の金属塩…フェノール類のNa、K、Li、Ca、Zn、Al、Mg、Ni、Co、Sn、Cu、Fe、Ti、Pb、Mo等の金属塩等
(3)芳香族カルボン酸及び炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸類…フタル酸、安息香酸、酢酸、プロピオン酸等
(4)カルボン酸類の金属塩…オレイン酸ナトリウム、サリチル酸亜鉛、安息香酸ニッケル等
(5)酸性リン酸エステル類…ブチルアシッドフォスフェート、2−エチルヘキシル−アシッドフォスフェート、ドデシルアシッドフォスファイト
(6)酸性リン酸エステル類の金属塩…酸性リン酸エステル類のNa、K、Li、Ca、Zn、Al、Mg、Ni、Co、Sn、Fe、Ti、Pb、Mo等の金属塩等
(6)トリアゾール化合物…1,2,3−トリアゾール、1,2,3−ベンゾトリアゾール等
(7)チオ尿素及びその誘導体…ジフェニルチオ尿素、ジ−o−トルイル尿素等
(8)ハロヒドリン類…2,2,2−トリクロロエタノール、1,1,1−トリブロモ−2−メチル−2−プロパノール、N−3−ピリジル−N’−(1−ヒドロキシ−2,2,2−トリクロロエチル)尿素等
(9)ベンゾチアゾール類…2−メルカプトベンゼンチアゾール、2−(4’−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、2−メルカプトベンゾチアゾールのZn塩等
本発明では、これら電子受容性化合物のうちフェノール類及びその金属塩の少なくとも1種を好適に用いることができる。特に、1)ビスフェノールA及びその誘導体ならびに2)ビスフェノールS及びその誘導体から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、最も好ましくは2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパンである。
電子受容性化合物の含有量は、その化合物の種類等に応じて適宜設定できるが、一般的には本発明の熱変色性組成物中0.05〜98重量%程度、特に0.5〜77重量%とすることが望ましい。前記含有量が0.05重量%未満の場合は発色濃度が低くなるおそれがある。また、上記含有量が98重量%を超える場合は地発色が大きくなるおそれがある。
また、本発明では、電子供与性呈色性有機化合物との関係では、電子供与性呈色性有機化合物1重量部に対して電子受容性化合物0.1〜100重量部、特に0.5〜20重量部とすることが好ましい。
減感剤
減感剤としては、ヒドロキシカルボン酸とアルコールとのエステルを用いることを必須とする。このようなエステルとしては、例えば12−ヒドロキシステアリン酸エステル、リシノール酸エステル、乳酸エステル、クエン酸エステル、酒石酸エステル、リンゴ酸エステル、グルコン酸エステル、グリセリン酸エステル、オキシイソ酪酸エステル、グリコール酸エステル、オキシフタル酸エステル、シトラマル酸エステル、ガラクトン酸エステル、タルトロン酸エステル、糖酸エステル、粘液酸エステル、フリル酸エステル、マンノン酸エステル、ロイシン酸エステル等が挙げられる。これらは1種又は2種以上で用いることができる。
前記エステルは、前記アルコールとして炭素数1〜22(特に炭素数1〜18)のアルコールであるものが好ましい。また、アルコールは、1価又は多価アルコールのいずれでも良いが、特に1価アルコールが好ましい。1価アルコールは、一般式R−OH(ただし、Rは直鎖アルキル基を示す。)で示されるものが好ましい。このようなアルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ベヘニルアルコール等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上で用いることができる。
また、前記エステルは、前記ヒドロキシカルボン酸としては炭素数1〜22(特に炭素数(3〜18)であるものが好ましい。
また、ヒドロキシカルボン酸に結合しているヒドロキシル基(OH基)の数は1つ又は2つ以上であっても良いが、特に1つであることが好ましい。
本発明では、前記エステルとして、特に乳酸エステル及び12−ヒドロキシステアリン酸エステルの少なくとも1種を用いることが好ましい。これらを用いることにより、大きな変色色差をより確実に得ることができる。例えば、乳酸ミリスチル、乳酸セチル及び12−ヒドロキシステアリン酸メチルの少なくとも1種を好適に用いることができる。
特に、本発明の熱変色性組成物をマイクロカプセル化する際にカプセル壁原料としてイソシアネート化合物を用いる場合は、前記エステルにおけるヒドロキシカルボン酸としてそのヒドロキシル基が第二級炭素又は第三級炭素に結合しているものを用いることが望ましい。すなわち、ヒドロキシル基が第一級炭素に結合していないヒドロキシカルボン酸を用いることが好ましい。かかるヒドロキシカルボン酸とアルコールとのエステルを用いることにより、より確実にカプセル壁を形成することができる。
本発明では、その効果を妨げない範囲内で他の減感剤を併用することも可能である。例えば、下記の減感剤を用いることができる。
(1)アルコール類…n−セチルアルコール、n−オクチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、ヘキシレングリコール等
(2)エステル類…ミリスチン酸エステル、ラウリン酸エステル、フタル酸ジオクチル等
(3)ケトン類…メチルヘキシルケトン、ベンゾフェノン、ステアロン等
(4)エーテル類…ブチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジステアリルエーテル等
(5)酸アミド化合物類…オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ラウリン酸N−オクチルアミド、カプロン酸アニリド等
(6)炭素数6以上の脂肪酸…ラウリン酸、ステアリン酸、2−オキシミリスチン酸等
(7)芳香族化合物…ジフェニルメタン、ジベンジルトルエン、プロピルジフェニル、イソプロピルナフタリン、1,1,3−トリメチル−3−トリル−インダン、ドデシルベンゼン等
(8)チオール類…n−デシルメルカプタン、n−ミリスチルメルカプタン、n−ステアリルメルカプタン、イソセチルメルカプタン、ドデシルベンジンメルカプタン等
(9)スルフィド類…ジ−n−オクチルスルフィド、ジ−n−デシルスルフィド、ジフェニルスルフィド、ジエチルフェニルスルフィド、ジラウリルジチオプロピオネート等
(10)ジスルフィド類…ジ−n−オクチルジスルフィド、ジ−n−デシルジスルフィド、ジフェニルジスルフィド、ジナフチルジスルフィド等
(11)スルホキシド類…ジエチルスルホキシド、テトラメチレンカルボキシド、ジフェニルスルホキシド等
(12)スルホン類…ジエチルスルホン、ジブチルスルホン、ジフェニルスルホン、ジベンジルスルホン等
(13)アゾメチン類…ベンジリデンラウリルアミン、p−メトキシベンジリデンラウリルアミン、ベンジリデンp−アニシジン等
(14)脂肪酸一級アミン類…オレイン酸ステアリルアミン、ステアリン酸ミリスチルアミン、ベヘニン酸ステアリルアミン等
減感剤の含有量(合計量)は、その化合物の種類等に応じて適宜設定できるが、一般的には本発明の熱変色性組成物中1〜99重量%程度、特に19〜99重量%とすることが望ましい。前記含有量が1重量%未満の場合は地発色が大きくなるおそれがある。また、上記含有量が99重量%を超える場合は発色濃度が低くなるおそれがある。
また、減感剤中における本発明ヒドロキシカルボン酸エステルの割合は、通常80〜100重量%程度、特に90〜100重量%とすることが好ましい。
その他の成分
本発明の熱変色性組成物では、必要に応じて、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、酸化防止剤、非熱変色性顔料、非熱変色性染料、蛍光増白剤、界面活性剤、消泡剤、レベリング剤、溶剤、増粘剤等の公知の添加剤を組成物中に配合しても良い。
(2)熱変色性組成物の製造方法
本発明の熱変色性組成物は、これらの成分を攪拌機、ミキサー、ホモジナイザー等の公知の混合機に投入し、均一に混合することによって調製することができる。この場合、加熱しながら混合することが好ましい。加熱温度は限定的ではないが、通常は120〜180℃程度とすれば良い。
(3)熱変色性マイクロカプセル
本発明は、前記の熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包してなる熱変色性マイクロカプセルを包含する。内容物として本発明の熱変色性組成物を用いるほかは、公知のマイクロカプセルと同様の構造を採用することができる。例えば、熱変色性組成物を含む内容物を壁膜により内包してなるマイクロカプセルが挙げられる。
内容物としては、熱変色性組成物のほか、必要に応じて溶剤(溶解助剤)、乳化剤等か含まれていて良い。
熱変色性組成物の含有量は限定的ではないが、一般的にはマイクロカプセルを100重量%とすると6〜98重量%程度、特に75〜95重量%とすることが望ましい。
溶剤としては、熱変色性組成物と壁膜原料とを均一に溶解させることができ、熱変色性能を阻害しないものである限り、公知の溶剤から適宜選択することができる。特に、後工程で取り除けるものが望ましい。例えば、エステル系溶剤(但し、前記(1)(2)の化合物を除く。)、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、炭化水素系溶剤、芳香族系溶剤、含窒素系溶剤、シリコン系溶剤、含ハロゲン系溶剤等が使用できる。これらは1種又は2種以上で用いることができる。
乳化剤は、内容物を水中で乳化する際に油滴表面に吸着して安定化させる両親媒性物質を好適に用いることができる。これらは公知の乳化剤から採用することができる。例えば、水溶性天然高分子、水溶性合成高分子、界面活性剤、無機微粒子等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上で用いることができる。乳化剤は、壁膜を構成する樹脂成分の種類等に応じて適宜決定することができる。例えば、樹脂成分がエポキシ樹脂である場合には、乳化剤としてアラビアゴム、ゼラチン等の多糖類のほか、カゼイン等も好適に使用することができる。また例えば、樹脂成分としてメラミンホルマリン樹脂を用いる場合には、乳化剤としてエチレン無水マレイン酸共重合体等を好適に用いることができる。さらに、樹脂成分としてウレタン(イソシアネート)を用いる場合には、ゼラチン、ポリビニルアルコール等を用いることができる。
壁膜としては、通常は樹脂系壁膜を好適に採用することができる。樹脂としては、例えば各種の熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂を使用するこができる。より具体的には、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、尿素−ホルムアルデヒド系樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド系樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂、ブチル化尿素樹脂、尿素−メラミン系樹脂等が挙げられる。これら樹脂成分は1種又は2種以上で使用することができる。マイクロカプセルを製造する際は、これらの原料を用い、これらを高分子化することにより好適にマイクロカプセル化することができる。
(4)熱変色性マイクロカプセルの製造方法
本発明の熱変色性マイクロカプセルの製造方法としては、内容物として本発明の熱変色性組成物を用いるほかは、公知のマイクロカプセル化に従って実施することができる。マイクロカプセル化の方法として、例えば界面重合法(重縮合、付加重合)、インサイチュー重合法、コアセルベーション法、液中乾燥法、噴霧乾燥法等を挙げることができる。
具体的に、本発明のマイクロカプセルの製造方法の一例としては、例えば、1)溶剤の存在下又は不存在下において、壁膜を構成し得る主原料(架橋剤を除く。)を熱変色性組成物と混合又は溶解することにより溶液を調製する第1工程、2)得られた溶液を乳化剤水溶液中に添加し、O/Wエマルションを調製する第2工程、3)架橋剤又はその溶液をO/Wエマルションに添加する第3工程を含む方法により、好適にマイクロカプセルを製造することができる。以下、各工程について説明する。
第1工程
第1工程では、溶剤の存在下又は不存在下において、壁膜を構成し得る主原料(架橋剤を除く。)を熱変色性組成物と混合又は溶解することにより溶液を調製する。
熱変色性組成物は、前記で説明したものを用いる。熱変色性組成物の使用量は、通常は乳化剤水溶液100重量部に対して5〜50重量部、特に10〜40重量部となるようにすることが好ましい。前記使用量が5重量部未満の場合は、生産性が低下することがある。また、前記使用量が50重量部を超える場合は、乳化が困難になるおそれがある。
前記主原料及び架橋剤としては、前記で説明した壁膜を構成する成分となるものを使用すれば良い。この場合、特にマイクロカプセル化の方法に応じて適宜設定することがより望ましい。例えば、インサイチュー重合法でマイクロカプセル化する場合において、壁膜をメラミン樹脂、ポリウレア樹脂等とする場合は、主原料としてメラミン、尿素等を用い、架橋剤としてホルマリンを使用すれば良い。インサイチュー重合法でマイクロカプセル化する場合において、壁膜がウレタン樹脂等である場合は、主原料としてイソシアネート化合物を用い、架橋剤としてポリアルコールを使用すれば良い。例えば、界面重合法(重縮合)でマイクロカプセル化する場合において、壁膜がエポキシ樹脂等である場合は、主原料としてエポキシ化合物を用い、架橋剤としてポリアミン化合物を使用すれば良い。界面重合法(重縮合)でマイクロカプセル化する場合において、壁膜がウレタン樹脂等である場合は、主原料としてイソシアネート化合物を用い、架橋剤としてポリアミン化合物を使用すれば良い。界面重合法(重縮合)でマイクロカプセル化する場合において、壁膜がポリアミド樹脂等である場合は、主原料として酸クロライド化合物を用い、架橋剤としてポリアミン化合物を使用すれば良い。界面重合法(付加重合)でマイクロカプセル化する場合において、壁膜がアクリル樹脂等である場合は、主原料としてアクリル化合物を用い、架橋剤としてペルオキシ化合物を使用すれば良い。
主原料及び架橋剤の使用量は特に制限されない。主原料は、乳化剤水溶液100重量部に対して通常1〜50重量部の範囲内、好ましくは2〜10重量部の範囲内で適宜設定することができる。架橋剤は、乳化剤水溶液100重量部に対して通常0.5〜25重量部の範囲内、好ましくは1〜5重量部の範囲内で適宜設定することができる。主原料又は架橋剤の使用量が少なすぎる場合又は多すぎる場合は、反応が不十分となり、カプセル(壁膜)の強度、耐熱性等が低くなるおそれがある。
第1工程では、必要に応じて溶剤を使用することができる。溶剤としては前記で掲げたものを用いることができる。
溶剤の使用量は限定的ではないが、通常は乳化剤水溶液100重量部に対して0〜100重量部の範囲内、好ましくは0〜400重量部の範囲内で適宜設定することができる。
第2工程
第2工程では、得られた溶液を乳化剤水溶液中に添加し、O/Wエマルションを調製する。
乳化剤水溶液は、前記の乳化剤を水に溶解して得られる水溶液を使用できる。乳化剤水溶液の濃度は、乳化剤の種類等に応じて適宜設定することができるが、一般に0.1〜15重量%、特に0.5〜8重量%とすることが好ましい。前記濃度が0.2重量%を下回る場合は、乳化が困難となるおそれがある。前記濃度が15重量%を超える場合は、起泡することがある。
本発明では、O/Wエマルションの調製は、攪拌法、膜透過法等の公知の方法に従って実施することができる。この場合のO/Wエマルションの液滴径は0.1〜100μm程度の範囲内で適宜設定すれば良い。
第3工程
第3工程では、架橋剤又はその溶液をO/Wエマルションに添加する。架橋剤としては、前記で列挙した各架橋剤を用いることができる。架橋剤の溶液は、例えば架橋剤を水に溶解して得られる架橋剤水溶液を好適に用いることができる。この場合の水溶液の濃度は限定されないが、通常は1〜100重量%程度の範囲内で適宜すれば良い。架橋剤の添加方法は特に制限されないが、例えば滴下することによって添加することが好ましい。
架橋剤又はその溶液を添加した後、架橋が進行し、架橋が完了すれば、所望のマイクロカプセルをスラリーの形態で得ることができる。その後、必要に応じて、例えばろ過、遠心分離等の公知の固液分離方法に従って、マイクロカプセルを固形分として回収することもできる。また、必要に応じて、マイクロカプセルを洗浄することもできる。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴を一層明確にする。なお、本発明は、実施例に限定されない。
実施例1、2、7及び8、比較例1〜3並びに参考例3〜6、9〜12
表1に示す各成分を120〜180℃で加熱しながらホモジナイザーにて均一に混合することによって、各熱変色性組成物を調製した。
Figure 0005015511
実施例13、14、17及び18、比較例4〜9並びに参考例15、16及び19〜22
前記実施例1、2、7及び8、比較例1〜3並びに参考例3〜6、9〜12で得られた熱変色性組成物を表2に示す材料を用いてマイクロカプセル化した。まず、溶解助剤(溶剤)を用いてカプセル壁膜となる樹脂主剤(主原料)と熱変色性組成物とを均一に混合し、溶解し、溶液を得た。次いで、30〜60℃に加温した乳化剤水溶液中に、中せん断攪拌しながら前記溶液を添加した。次に、高せん断攪拌を行うことにより前記溶液からO/Wエマルション(液滴の粒径:5μm程度)を得た。その後、低せん断攪拌に切り換え、架橋剤水溶液を前記O/Wエマルションに滴下した。60〜90℃の温度下で3〜12時間反応を行った後、室温まで冷却することにより、マイクロカプセルが分散したスラリーを得た。
Figure 0005015511
試験例1
各実施例比較例及び参考例で得られた熱変色性組成物及びマイクロカプセルの熱変色性について調べた。
<サンプルの作製>
実施例1、2、7及び8、比較例1〜3並びに参考例3〜6、9〜12の熱変色性組成物にあっては、70〜100℃に加熱した熱変色性組成物をNo.5ろ紙上に0.05g滴下し、120℃で10分加熱することによって含浸させたものを測色用サンプルとした。
実施例13、14、17及び18、比較例4〜9並びに参考例15、16及び19〜22のマイクロカプセルにあっては、室温まで冷却されたマイクロカプセルをケント紙上にスクリーン印刷し、室温で2時間乾燥したものを測色用サンプルとした。
<評価>
サンプルの測色は、色差計(製品名「CR−300」ミノルタ製)を用い、発色濃度は白色校正板からの色差ΔE*で表示した。
測定手順としては、−5℃からサンプルが完全に消色する温度まで1℃刻みで加熱して測色を繰り返し、発色温度を測定した。また、サンプルが完全に消色する温度(100℃)から−10℃まで1℃刻みで冷却して測色を繰り返し、消色温度を測定した。これらの結果を表1(熱変色性組成物)及び表2(マイクロカプセル)に示す。
表1及び表2の結果からも明らかなように、実施例の変色色差は比較例のいずれの変色色差を上回っていることがわかる。

Claims (2)

  1. 電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物及び減感剤を含む熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包してなる熱変色性マイクロカプセルであって、
    前記減感剤として、乳酸ミリスチル及び乳酸セチルからなる群から選ばれた少なくとも1種を用い
    記マイクロカプセルを形成するカプセル壁原料として少なくともイソシアネート化合物を用いる、
    熱変色性マイクロカプセル。
  2. 前記イソシアネート化合物がトルイレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物である、請求項1に記載の熱変色性マイクロカプセル。
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