JP5383094B2 - 可逆熱変色性マイクロカプセル顔料 - Google Patents

可逆熱変色性マイクロカプセル顔料 Download PDF

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本発明は可逆熱変色性マイクロカプセル顔料に関する。さらに詳細には、温度変化により可逆的に変色する組成物を内包したマイクロカプセル顔料に関する。
従来、発色状態からの昇温過程で消色を開始し、特定温度以上で完全消色状態を呈し、降温過程で発色を開始し、特定温度以下で完全発色状態に復帰する可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の温度−色濃度曲線に関して、変色温度の調整を行うために特定の化合物(変色温度調整剤)を配合して前記温度−色濃度曲線を微妙に変位させる試みが開示されている(例えば、特許文献1乃至7参照)。
特開平11−156181号公報 特開2001−123155号公報 特開2001−152041号公報 特開2002−12787号公報 特開2002−129055号公報 特開2002−129056号公報 特開2004−315735号公報
前記変色温度調整剤は添加量が少ないと前述した効果が十分に発現され難い傾向がある。特にマイクロカプセルの粒径が小さい場合(例えば4μm以下)においては、完全発色状態に達する温度(完全着色温度)が設定した温度よりも低温化してしまうため、鋭敏な変色機能を発現し難いものとなっていた。従って、比較的多くの変色温度調整剤を添加しなければならないが、その場合には発消色機能と関係ない組成物が多く配合されるため、マイクロカプセル中の可逆熱変色性組成物の割合が減少してしまい、発色時の色濃度の低下が生じ易く、また、消色時の変色感度の鈍化等の不具合も引き起こし易くなる。
特許文献1を例に説明すると、変色温度調整剤として使用されるパラフィンワックスやマイクロクリスタリンワックス等の石油系天然ワックスの添加量を可逆熱変色性組成物100重量%に対して2重量%以下とし、且つ、マイクロカプセル顔料の平均粒子径を4μm以下に設定した場合、発色時の色濃度は低下することなく鮮明に現出されるものの、完全着色温度が設定した温度よりも低温化してしまうため、鋭敏な変色機能を発現し難いものとなっていた。
本発明は、新たな変色温度調整剤について鋭意検討した結果、温度−色濃度曲線の低温域を高温側にシフトさせる新たな化合物を見出した。特に、少量の添加であっても変色温度の微調整が可能であり、また、4μm以下とマイクロカプセル顔料の粒子径が小さい場合においても、完全着色温度の低温化を生じることなく微妙な変色温度の調整が確実にできる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を提供するものである。
本発明は、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)と(ロ)の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物と、重量平均分子量が800〜20000のポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、エチレンアクリル酸コポリマー、エチレンアクリル酸メチルコポリマー、エチレンアクリル酸エチルコポリマー、無水カルボン酸変性ポリエチレンワックス、無水カルボン酸変性ポリプロピレンワックスから選ばれるいずれか一種以上の合成ポリオレフィンワックスとを少なくともマイクロカプセルに内包させた可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を要件とする。
更に、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)と(ロ)の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物と、1.0〜100KOHmg/gの酸価を有するポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、エチレンアクリル酸コポリマー、エチレンアクリル酸メチルコポリマー、エチレンアクリル酸エチルコポリマー、無水カルボン酸変性ポリエチレンワックス、無水カルボン酸変性ポリプロピレンワックスから選ばれるいずれか一種以上の合成ポリオレフィンワックスとを少なくともマイクロカプセルに内包させた可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を要件とする。
更には、前記合成ポリオレフィンワックスが、80〜180℃の軟化点を有すること、前記合成ポリオレフィンワックスが、前記(ハ)成分100重量部に対して、0.000001〜2重量部の範囲で含まれること、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の粒子径分布が0.05〜30μmの範囲に80体積%以上を占め、且つ、0.05〜5μmの範囲に30体積%以上を占めること、前記マイクロカプセルの平均粒子径が0.1〜4.0μmの範囲にあること、前記(ハ)成分が、エーテル類、ケトン類、エステル類、アルコール類、酸アミド類のいずれかから選ばれる一種以上であること等を要件とする。
本発明は、変色温度調整剤の少量の添加で発色時の色濃度の低下や消色時の変色感度の鈍化等の不具合を生じることなく変色温度の微調整が可能となる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を提供でき、示温、装飾、玩具、教習要素等、多様な分野に適用できる。
また、粒子径の小さいマイクロカプセル顔料においても、完全着色温度の低温化を生じることなく変色温度の微調整が可能であると共に、鮮明且つ鋭敏に発色する熱変色機能も優れているため、筆記具用インキ、微細スプレー用インキ、高メッシュ分解によるプロセス印刷インキ、グラビヤ印刷インキ、オフセット印刷インキ等、マイクロカプセル顔料の粒子径を小さく設定しなければならない用途にも適用することが可能となる。
以下に可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の色濃度−温度曲線におけるヒステリシス特性について詳しく説明する。
図1において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全に消色した状態に達する温度T(以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは消色を開始する温度T(以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは発色を開始する温度T(以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全に呈色した状態に達する温度T(以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
温度Tにおいては呈色状態E点と消色状態F点の2相がいずれも存在可能であり、この温度Tを含む、色濃度差の大きい領域であるTとTの間の温度域が変色の保持可能な温度域であり、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分EFの中点を通る線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス幅ΔHと記す)であり、このΔH値が小さい(5℃未満)と変色前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しえない。また、前記ΔH値が大きい(5℃〜80℃)と変色前後の各状態の保持が容易となる。
とりわけ、ΔH値が小さい(5℃未満)可逆熱変色性組成物は、その変色特性からインジケーター等の用途に使用され、変色温度の調整は重要な要件である。
本発明は、変色温度調整剤〔(ニ)成分〕として特定の合成ポリオレフィンワックスを配合することにより、低温側の変色点を高温側にシフトさせて変色点を微妙に調整できることにある。
この点について説明すれば、変色温度調整剤を配合することにより図2の色濃度−温度曲線の破線で示したようにT(完全発色温度)及びT(発色開始温度)が高温側にシフトする。
前記シフトする温度は、変色温度調整剤、即ち合成ポリオレフィンワックスの種類、添加量によって微調整することができる。
更に、前記可逆熱変色性組成物は、化学的、物理的に安定な可逆熱変色性材料を得るためマイクロカプセルに内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料として用いられるが、前記可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包すると、カプセル粒子径の粒度分布によっては、温度変化による色調変化、特に温度下降時の発色挙動に不具合を生じる。
これは、前記マイクロカプセル顔料を製造する場合には、その用途によって異なるものの、概ね1〜50μm、好ましくは1〜30μmの粒子径のマイクロカプセル顔料が使用されるが、粒子径にばらつきを生じており、全てのマイクロカプセル顔料が前記した範囲の粒子径を示すわけではなく、それ以上、或いはそれ以下の粒子径を有するマイクロカプセル顔料も存在する。粒子径がおよそ0.01〜4μmのマイクロカプセル顔料は高メッシュ分解によるプロセス印刷用インキや筆記具用インキ等への応用が可能であるが、(ハ)成分が過冷却性を有するため、図3の色濃度−温度曲線の実線で示したように内包されている組成物が全く同組成であるにもかかわらず、それ以上の粒子径を有するマイクロカプセル顔料の温度降下時に発色する温度より2〜30℃低温側にシフトしたり、段階的に発色して鋭敏な変色を示さなくなり、本来の変色特性が得られ難い。
しかし、前記粒子径の小さいマイクロカプセル顔料中に合成ポリオレフィンワックスを配合することにより、可逆熱変色性組成物自体の結晶性を向上させることにより、(ハ)成分の過冷却性を抑制して図2の色濃度−温度曲線の破線で示したようにT(完全発色温度)及びT(発色開始温度)が高温側にシフトすると共に鋭敏に発色する良好な発色挙動を示す。
本願発明で、適用される合成ポリオレフィンワックスは、重量平均分子量が800〜20000のものや、分子量にかかわらず1.0〜100KOHmg/gの酸価を有するものである。
前記合成ポリオレフィンワックスを用いることで、少量の添加で変色温度の微調整が可能となると共に、マイクロカプセル顔料の粒子径を微小(4μm以下)に設定しても完全着色温度の低温化を生じることがなくなる。
特に、前記酸価(1.0〜100KOHmg/g、好ましくは10〜100KOHmg/g)を有するものを用いた場合、分子量に関わらず少量の添加での微調整が可能となるため、(ハ)成分への溶解性に優れマイクロカプセル化工程における析出等の不具合が生じ難くなる。
また、前記酸価が10KOHmg/g以上の場合、マイクロカプセル顔料を変色させるために高温処理した状態であっても、完全着色温度の低温化を生じることなく所望の変色挙動を維持することができるので、より広い用途への応用が可能となる。
また、前記合成ポリオレフィンワックスとして、軟化点が80〜180℃のものを用いた場合、より少量の添加で変色温度の微調整が可能となる。
前記合成ポリオレフィンワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、エチレンアクリル酸コポリマー、エチレンアクリル酸メチルコポリマー、エチレンアクリル酸エチルコポリマー、無水カルボン酸変性ポリエチレンワックス、無水カルボン酸変性ポリプロピレンワックス等が挙げられ、一種又は二種以上を併用することができる。
前記合成ポリオレフィンワックスは、(ハ)成分(即ち、電子供与性呈色性有機化合物と電子受容性化合物の呈色反応の生起温度を決める反応媒体である変色温度調整剤)100重量部に対して、0.000001〜2重量部、好ましくは0.00001〜0.2重量部の範囲で添加される。
0.000001重量部未満では、所望の変色温度調整効果を発現し難く、また、2重量部を超えると変色感度を損ない易く、鋭敏な変色挙動を示し難くなる。
前記(イ)電子供与性呈色性有機化合物としては、ジフェニルメタンフタリド類、フェニルインドリルフタリド類、インドリルフタリド類、ジフェニルメタンアザフタリド類、フェニルインドリルアザフタリド類、フルオラン類、スチリノキノリン類、ジアザローダミンラクトン類等が挙げられ、以下にこれらの化合物を例示する。
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、
3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、
3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、
3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、
3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3,6−ジメトキシフルオラン、3,6−ジ−n−ブトキシフルオラン、
2−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、
3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、
2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、
2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−(N−メチルアニリノ)−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、
1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、
2−キシリジノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、
1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、
1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、
2−(3−メトキシ−4−ドデコキシスチリル)キノリン、
スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジエチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−、
スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−メチル−、
スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−、
スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(N−エチル−N−i−アミルアミノ)−4−メチル−、
スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−フェニル等。
更には、蛍光性の黄色〜赤色の発色を発現させるのに有効な、ピリジン系、キナゾリン系、ビスキナゾリン系化合物等を挙げることができる。
前記(ロ)成分の電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群〔酸ではないが、組成物中で酸として作用して成分(イ)を発色させる化合物群〕、電子空孔を有する化合物群等がある。
活性プロトンを有する化合物を例示すると、フェノール性水酸基を有する化合物としては、モノフェノール類からポリフェノール類があり、さらにその置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノール等、フェノール−アルデヒド縮合樹脂等が挙げられる。又、前記フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩であってもよい。
以下に具体例を挙げる。
フェノール、o−クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−ステアリルフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、4−(4−(1−メチルエトキシフェニル)スルホニルフェノール、4−(4−ブチルオキシフェニル)スルホニルフェノール、4−(4−ペンチルオキシフェニル)スルホニルフェノール、4−(4−ヘキシルオキシフェニル)スルホニルフェノール、4−(4−ヘプチルオキシフェニル)スルホニルフェノール、4−(4−オクチルオキシフェニル)スルホニルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、
1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−デカン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、等がある。
前記フェノール性水酸基を有する化合物が最も有効な熱変色特性を発現させることができるが、それらの金属塩や、芳香族カルボン酸及び炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸及びそれらの金属塩、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びそれらの金属塩、1,2,3−トリアゾール及びその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
本発明の可逆熱変色性組成物の(イ)成分及び(ロ)成分の2成分から成る組成物でも、可逆的な加熱発色性を得ることができるが、変色温度の調整に制限が有り、(ハ)成分を使用することによって、変色温度の調整が実用的に可能となる。
前記(イ)、(ロ)による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体である化合物としては、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、スルフィド類、エーテル類、ケトン類、エステル類、酸アミド類、アルコール類等の反応媒体が総て有効であり、中分子量ポリマー類の如く、半液状物質であっても良く、これらの化合物の一種又は二種以上を適用できる。前記各化合物を用いてマイクロカプセル化及び二次加工に応用する場合は低分子量のものは高熱処理を施すとカプセル系外に蒸散するので、安定的にカプセル内に保持させるために、炭素数10以上の化合物が有効である。
スルフィド類としては、ジ−n−オクチルスルフィド、ジ−n−ノニルスルフィド、ジ−n−デシルスルフィド、ジ−n−ドデシルスルフィド、ジ−n−テトラデシルスルフィド、ジ−n−ヘキサデシルスルフィド、ジ−n−オクタデシルスルフィド、オクチルドデシルスルフィド、ジフェニルスルフィド、ジベンジルスルフィド、ジトリルスルフィド、ジエチルフェニルスルフィド、ジナフチルスルフィド、4,4′−ジクロロ−ジフェニルスルフィド、2,4,5,4′−テトラクロロ−ジフェニルスルフィド等を例示できる。
エーテル類としては、総炭素数10以上の脂肪族エーテル類、例えば、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテル、ジウンデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、デカンジオールジメチルエーテル、ウンデカンジオールジメチルエーテル、ドデカンジオールジメチルエーテル、トリデカンジオールジメチルエーテル、デカンジオールジエチルエーテル、ウンデカンジオールジエチルエーテル等。脂環式エーテル類として、s−トリオキサン等。芳香族エーテル類として、フェニルエーテル、ベンジルフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、ジ−p−トリルエーテル、1−メトキシナフタレン、3,4,5−トリメトキシトルエン等が例示できる。
ケトン類としては、総炭素数が10以上の脂肪族ケトン類、例えば、2−デカノン、3−デカノン、4−デカノン、2−ウンデカノン、3−ウンデカノン、4−ウンデカノン、5−ウンデカノン、6−ウンデカノン、2−ドデカノン、3−ドデカノン、4−ドデカノン、5−ドデカノン、2−トリデカノン、3−トリデカノン、2−テトラデカノン、2−ペンタデカノン、8−ペンタデカノン、2−ヘキサデカノン、3−ヘキサデカノン、9−ヘプタデカノン、2−ペンタデカノン、2−オクタデカノン、2−ノナデカノン、10−ノナダカノン、2−エイコサノン、11−エイコサノン、2−ヘンエイコサノン、2-ドコサノン、ラウロン、ステアロン等。
総炭素数が12乃至24のアリールアルキルケトン類、例えば、n−オクタデカノフェノン、n−ヘプタデカノフェノン、n−ヘキサデカノフェノン、n−ペンタデカノフェノン、n−テトラデカノフェノン、4−n−ドデカアセトフェノン、n−トリデカノフェノン、4−n−ウンデカノアセトフェノン、n−ラウロフェノン、4−n−デカノアセトフェノン、n−ウンデカノフェノン、4−n−ノニルアセトフェノン、n−デカノフェノン、4−n−オクチルアセトフェノン、n−ノナノフェノン、4−n−ヘプチルアセトフェノン、n−オクタノフェノン、4−n−ヘキシルアセトフェノン、4−n−シクロヘキシルアセトフェノン、4−tert−ブチルプロピオフェノン、n−ヘプタフェノン、4−n−ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル−n−ブチルケトン、4−n−ブチルアセトフェノン、n−ヘキサノフェノン、4−イソブチルアセトフェノン、1−アセトナフトン、2−アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等。
アリールアリールケトン類、例えば、ベンゾフェノン、ベンジルフェニルケトン、ジベンジルケトン等。脂環式ケトン、例えば、シクロオクタノン、シクロドデカノン、シクロペンタデカノン、4−tert−ブチルシクロヘキサノン等が例示できる。
エステル類としては、炭素数10以上のエステル類が有効であり、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する多価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する多価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類が挙げられ、具体的にはカプリル酸エチル、カプリル酸オクチル、カプリル酸ステアリル、カプリン酸ミリスチル、カプリン酸ステアリル、カプリン酸ドコシル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸n−デシル、ミリスチン酸3−メチルブチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ネオペンチル、パルミチン酸ノニル、パルミチン酸シクロヘキシル、ステアリン酸n−ブチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸ペンタデシル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸シクロヘキシルメチル、ベヘン酸イソプロピル、ベヘン酸ヘキシル、ベヘン酸ラウリル、ベヘン酸ベヘニル、安息香酸セチル、p−tert−ブチル安息香酸ステアリル、フタル酸ジミリスチル、フタル酸ジステアリル、シュウ酸ジミリスチル、シュウ酸ジセチル、マロン酸ジセチル、コハク酸ジラウリル、グルタル酸ジラウリル、アジピン酸ジウンデシル、アゼライン酸ジラウリル、セバシン酸ジ−(n−ノニル)、1,18−オクタデシルメチレンジカルボン酸ジネオペンチル、エチレングリコールジミリステート、プロピレングリコールジラウレート、プロピレングリコールジステアレート、ヘキシレングリコールジパルミテート、1,5−ペンタンジオールジミリステート、1,2,6−ヘキサントリオールトリミリステート、1,4−シクロヘキサンジオールジデシル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジミリステート、キシレングリコールジカプリネート、キシレングリコールジステアレート等が例示できる。
また、飽和脂肪酸と分枝脂肪族アルコールのエステル、不飽和脂肪酸又は分枝もしくは置換基を有する飽和脂肪酸と分岐状であるか又は炭素数16以上の脂肪族アルコールのエステル、酪酸セチル、酪酸ステアリル及び酪酸ベヘニルから選ばれるエステル化合物も有効である。
具体的には、酪酸2−エチルヘキシル、ベヘン酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−エチルヘキシル、カプリン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、パルミチン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、ステアリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、カプロン酸2−メチルブチル、カプリル酸2−メチルブチル、カプリン酸2−メチルブチル、パルミチン酸1−エチルプロピル、ステアリン酸1−エチルプロピル、ベヘン酸1−エチルプロピル、ラウリン酸1−エチルヘキシル、ミリスチン酸1−エチルヘキシル、パルミチン酸1−エチルヘキシル、カプロン酸2−メチルペンチル、カプリル酸2−メチルペンチル、カプリン酸2−メチルペンチル、ラウリン酸2−メチルペンチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸3−メチルブチル、ステアリン酸1−メチルヘプチル、ベヘン酸2−メチルブチル、ベヘン酸3−メチルブチル、ステアリン酸1−メチルヘプチル、ベヘン酸1−メチルヘプチル、カプロン酸1−エチルペンチル、パルミチン酸1−エチルペンチル、ステアリン酸1−メチルプロピル、ステアリン酸1−メチルオクチル、ステアリン酸1−メチルヘキシル、ラウリン酸1,1−ジメチルプロピル、カプリン酸1−メチルペンチル、パルミチン酸2−メチルヘキシル、ステアリン酸2−メチルヘキシル、ベヘン酸2−メチルヘキシル、ラウリン酸3,7−ジメチルオクチル、ミリスチン酸3,7−ジメチルオクチル、パルミチン酸3,7−ジメチルオクチル、ステアリン酸3,7−ジメチルオクチル、ベヘン酸3,7−ジメチルオクチル、オレイン酸ステアリル、オレイン酸ベヘニル、リノール酸ステアリル、リノール酸ベヘニル、エルカ酸3,7−ジメチルオクチル、エルカ酸ステアリル、エルカ酸イソステアリル、イソステアリン酸セチル、イソステアリン酸ステアリル、12−ヒドロキシステアリン酸2−メチルペンチル、18−ブロモステアリン酸2−エチルヘキシル、2−ケトミリスチン酸イソステアリル、2−フルオロミリスチン酸2−エチルヘキシル、酪酸セチル、酪酸ステアリル、酪酸ベヘニル等が例示できる。
更には、特公平4−17154号公報に開示したカルボン酸エステル化合物、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコール又はフェノールのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコール又はエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコール又は分岐脂肪族アルコールのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等が挙げられる。
炭素数9以上の奇数の脂肪族一価アルコールと炭素数が偶数の脂肪族カルボン酸から得られる脂肪酸エステル化合物、n−ペンチルアルコール又はn−ヘプチルアルコールと炭素数10乃至16の偶数の脂肪族カルボン酸より得られる総炭素数17乃至23の脂肪酸エステル化合物も有効である。
具体的には、酢酸n−ペンタデシル、酪酸n−トリデシル、酪酸n−ペンタデシル、カプロン酸n−ウンデシル、カプロン酸n−トリデシル、カプロン酸n−ペンタデシル、カプリル酸n−ノニル、カプリル酸n−ウンデシル、カプリル酸n−トリデシル、カプリル酸n−ペンタデシル、カプリン酸n−ヘプチル、カプリン酸n−ノニル、カプリン酸n−ウンデシル、カプリン酸n−トリデシル、カプリン酸n−ペンタデシル、ラウリン酸n−ペンチル、ラウリン酸n−ヘプチル、ラウリン酸n−ノニル、ラウリン酸n−ウンデシル、ラウリン酸n−トリデシル、ラウリン酸n−ペンタデシル、ミリスチン酸n−ペンチル、ミリスチン酸n−ヘプチル、ミリスチン酸n−ノニル、ミリスチン酸n−ウンデシル、ミリスチン酸n−トリデシル、ミリスチン酸n−ペンタデシル、パルミチン酸n−ペンチル、パルミチン酸n−ヘプチル、パルミチン酸n−ノニル、パルミチン酸n−ウンデシル、パルミチン酸n−トリデシル、パルミチン酸n−ペンタデシル、ステアリン酸n−ノニル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸n−トリデシル、ステアリン酸n−ペンタデシル、エイコサン酸n−ノニル、エイコサン酸n−ウンデルシ、エイコサン酸n−トリデシル、エイコサン酸n−ペンタデシル、ベヘン酸n−ノニル、ベヘン酸n−ウンデシル、ベヘン酸n−トリデシル、ベヘン酸n−ペンタデシルが挙げられる。
アルコール類としては、脂肪族一価の飽和アルコール、例えば、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール等。脂肪族不飽和アルコール、例えば、アリルアルコール、オレイルアルコール等。脂環式アルコール、例えば、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロオクタノール、シクロドデカノール、4−tert−ブチルシクロヘキサノール等。芳香族アルコール、例えば、4−メチルベンジルアルコール、ベンツヒドロール等。多価アルコール、例えば、ポリエチレングリコール等を例示できる。
酸アミド類としては、以下に示す化合物が例示できる。
アセトアミド、プロピオン酸アミド、酪酸アミド、カプロン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベンズアミド、カプロン酸アニリド、カプリル酸アニリド、カプリン酸アニリド、ラウリン酸アニリド、ミリスチン酸アニリド、パルミチン酸アニリド、ステアリン酸アニリド、ベヘニン酸アニリド、オレイン酸アニリド、エルカ酸アニリド、カプロン酸N−メチルアミド、カプリル酸N−メチルアミド、カプリン酸N−メチルアミド、ラウリン酸N−メチルアミド、ミリスチン酸N−メチルアミド、パルミチン酸N−メチルアミド、ステアリン酸N−メチルアミド、ベヘン酸N−メチルアミド、オレイン酸N−メチルアミド、エルカ酸N−メチルアミド、ラウリン酸N−エチルアミド、ミリスチン酸N−エチルアミド、パルミチン酸N−エチルアミド、ステアリン酸N−エチルアミド、オレイン酸N−エチルアミド、ラウリン酸N−ブチルアミド、ミリスチン酸N−ブチルアミド、パルミチン酸N−ブチルアミド、ステアリン酸N−ブチルアミド、オレイン酸N−ブチルアミド、ラウリン酸N−オクチルアミド、ミリスチン酸N−オクチルアミド、パルミチン酸N−オクチルアミド、ステアリン酸N−オクチルアミド、オレイン酸N−オクチルアミド、ラウリン酸N−ドデシルアミド、ミリスチン酸N−ドデシルアミド、パルミチン酸N−ドデシルアミド、ステアリン酸N−ドデシルアミド、オレイン酸N−ドデシルアミド、ジラウリン酸アミド、ジミリスチン酸アミド、ジパルミチン酸アミド、ジステアリン酸アミド、ジオレイン酸アミド、トリラウリン酸アミド、トリミリスチン酸アミド、トリパルミチン酸アミド、トリステアリン酸アミド、トリオレイン酸アミド、コハク酸アミド、アジピン酸アミド、グルタル酸アミド、マロン酸アミド、アゼライン酸アミド、マレイン酸アミド、コハク酸N−メチルアミド、アジピン酸N−メチルアミド、グルタル酸N−メチルアミド、マロン酸N−メチルアミド、アゼライン酸N−メチルアミド、コハク酸N−エチルアミド、アジピン酸N−エチルアミド、グルタル酸N−エチルアミド、マロン酸N−エチルアミド、アゼライン酸N−エチルアミド、コハク酸N−ブチルアミド、アジピン酸N−ブチルアミド、グルタル酸N−ブチルアミド、マロン酸N−ブチルアミド、アジピン酸N−オクチルアミド、アジピン酸N−ドデシルアミド等。
更に、前記(ハ)成分として、特開2006−137886号公報に記載される化合物、或いは、特開2006−188660号公報に記載される化合物を用いることもできる。
前記(ハ)成分のうち、変色温度調整剤として合成ポリオレフィンワックスを用いる場合には、エーテル類、ケトン類、エステル類、アルコール類、酸アミド類が特に好適に用いられ、より鋭敏な変色挙動を呈するものとなる。
尚、前記(イ)、(ロ)、(ハ)成分の配合割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の変色特性が得られる成分比は、(イ)成分1に対して、(ロ)成分0.1〜50、好ましくは0.5〜20、(ハ)成分1〜800、好ましくは5〜200の範囲である(前記割合はいずれも重量部である)。
尚、可逆熱変色性組成物の光劣化を防止するために光安定剤を含有させることもできる。
前記光安定剤としては、(イ)成分の光反応による励起状態によって生ずる光劣化を防止する紫外線吸収剤、酸化防止剤や、カロチン類、色素類、アミン類、フェノール類、ニッケル錯体類、スルフィド類等の一重項酸素消光剤、オキシドジスムスターゼとコバルト、及びニッケルの錯体等のスーパーオキシドアニオン消光剤、オゾン消光剤等の酸化反応を抑制する化合物を挙げることができる。
前記した可逆熱変色性組成物はマイクロカプセルに内包させて、マイクロカプセル顔料として使用される。これにより、種々の使用条件において可逆熱変色性組成物を同一の組成に保ち、化学的、物理的に安定な顔料を構成でき、同一の作用効果を奏することができる。
前記マイクロカプセル化は、従来公知の界面重合法、in Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
尚、前記マイクロカプセル中に可逆熱変色性組成物を内包する際、前記光安定剤は可逆熱変色性組成物と共にマイクロカプセルに内包してもよいし、色材として適用される際に用いられるビヒクル中に添加することもできる。又、前記光安定剤をマイクロカプセルに内包すると共に、ビヒクル中にも添加することができる。
前記マイクロカプセル顔料の粒子径はその応用用途に適合するように任意に設定することができ、0.1〜50μmの範囲が好適に用いられる。
更に、粒子径分布が、0.05〜30μmの範囲に80体積%以上を占めると共に、0.05〜5μmの範囲に30体積%以上を占めるように調製することで、くすみの無い鮮やかな色調が得られ、各種印刷インキや塗料への適用が可能となる。また、前記粒子径分布で得られるマイクロカプセルの平均粒子径を0.1〜4.0μm程度の微粒子に調製した場合であっても、完全着色温度の低温化を生じることなく、微妙な変色温度の調整が可能であるため、筆記具用インキ、微細スプレー用インキ、高メッシュ分解によるプロセス印刷インキ、グラビヤ印刷インキ、オフセット印刷インキ等、顔料の粒子径を小さく設定しなければならない用途にも適用することができ、より広い分野への応用が可能となる。
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、各種ビヒクルに分散して、印刷インキや塗料の形態として印刷物、塗装物を得ることができる。又、成形用樹脂にブレンドして汎用の成形手段により各種の成形体を得ることができる。
更には、ワックス状或いはペースト状媒体に分散させて色材の形態となすこともできる。
尚、非熱変色性の染料、或いは顔料を適宜、併用して、色変化を多彩化させることができる。
以下に実施例を示すが、本発明は実施例に限定されるものではない。
表1〜3に実施例の組成を、表4に比較例の組成をそれぞれ示す。
Figure 0005383094
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Figure 0005383094
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可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の調製
前記実施例及び比較例の組成物(但し、実施例9、17及び比較例6を除く)を均一に溶解し、壁膜材料としてイソシアネートプレポリマー60.0重量部、酢酸エチル70.0重量部を加え、70℃で溶解した溶液を、15%ゼラチン溶液中で乳化した。
その際、粒子径が設定した範囲になるようにホモミキサーの攪拌力を調整して行い、乳化後、約1時間攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン5.0重量部を加え、更に6時間攪拌を続けて可逆熱変色性マイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
更に、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料懸濁液から遠心分離によりマイクロカプセル顔料を単離した。
また、実施例9、17及び比較例6の組成物は、均一に溶解した全成分に対して、壁膜材料としてエポキシ樹脂20.0重量部、メチルエチルケトン20重量部を加え、70℃で溶解した溶液を、10%ゼラチン溶液中で乳化した。
その際、粒子径が設定した範囲になるようにホモミキサーの攪拌力を調整して行い、乳化後、約1時間攪拌を続けた後、10%脂肪族アミン水溶液100.0重量部を加え、更に6時間攪拌を続けて可逆熱変色性マイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
更に、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料懸濁液から遠心分離によりマイクロカプセル顔料を単離した。
粒子径の測定
マイクロカプセル顔料の粒子径(粒度分布及び平均粒子径)はレーザー式粒度分布測定機〔LA−300:(株)掘場製作所製〕を用いて測定した。
測定用試料の作成
実施例及び比較例の各マイクロカプセル顔料40質量部をエチレン−酢酸ビニルエマルジョン60質量部中に分散した可逆熱変色性インキを用いて、スクリーン印刷により上質紙に所定の大きさの円を印刷した。
変色温度測定
前記各印刷物を色差計[TC−3600型色差形、東京電色(株)製]の所定箇所にセットし、50℃の温度幅で10℃/分の速度で加熱して(実施例7と比較例4は80℃、実施例8と比較例5は30℃、それ以外は50℃まで加熱)、T(完全発色温度)及びT(発色開始温度)を測定した後、冷却して(実施例7と比較例4は30℃、実施例8と比較例5は−20℃、それ以外は0℃まで冷却)、T(消色開始温度)及びT(完全消色温度)をそれぞれ測定して可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の色濃度−温度曲線を得た。
以下の表5〜7に各実施例及び比較例の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の粒度分布(%:0.05〜30μm及び0.05〜5μmの占める割合)、平均粒子径、T(完全発色温度)、T(発色開始温度)、T(消色開始温度)、T(完全消色温度)、ΔH(ヒステリシス幅)〔図1参照〕及び着色時の色調を示す。
Figure 0005383094
Figure 0005383094
Figure 0005383094
また、先の印刷物のうち、実施例4〜11及び14〜17の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(変色温度調整剤が10以上の酸価を有するもの)を用いたものを80℃まで加熱して−20℃まで冷却することで変色温度測定を行ったところ、表5、6で得られた温度域と同様の色濃度−温度曲線が得られた。
可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の温度−色濃度曲線を示す説明図である。 従来のマイクロカプセル顔料の低温側変色点を高温側にシフトさせた本発明の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の温度−色濃度曲線を示す説明である。 従来の粒子径の小さいマイクロカプセル顔料の低温側変色点を高温側にシフトさせた本発明の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の温度−色濃度曲線を示す説明である。
符号の説明
完全発色温度
発色開始温度
消色開始温度
完全消色温度
発色過程における色濃度の中点の温度
消色過程における色濃度の中点の温度
ΔH ヒステリシス幅(T−T

Claims (7)

  1. (イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)と(ロ)の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物と、重量平均分子量が800〜20000のポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、エチレンアクリル酸コポリマー、エチレンアクリル酸メチルコポリマー、エチレンアクリル酸エチルコポリマー、無水カルボン酸変性ポリエチレンワックス、無水カルボン酸変性ポリプロピレンワックスから選ばれるいずれか一種以上の合成ポリオレフィンワックスとを少なくともマイクロカプセルに内包させた可逆熱変色性マイクロカプセル顔料。
  2. (イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)と(ロ)の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物と、1.0〜100KOHmg/gの酸価を有するポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、エチレンアクリル酸コポリマー、エチレンアクリル酸メチルコポリマー、エチレンアクリル酸エチルコポリマー、無水カルボン酸変性ポリエチレンワックス、無水カルボン酸変性ポリプロピレンワックスから選ばれるいずれか一種以上の合成ポリオレフィンワックスとを少なくともマイクロカプセルに内包させた可逆熱変色性マイクロカプセル顔料。
  3. 前記合成ポリオレフィンワックスが、80〜180℃の軟化点を有する請求項1又は2に記載の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料。
  4. 前記合成ポリオレフィンワックスが、前記(ハ)成分100重量部に対して、0.000001〜2重量部の範囲で含まれる請求項1乃至3のいずれかに記載の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料。
  5. 前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の粒子径分布が0.05〜30μmの範囲に80体積%以上を占め、且つ、0.05〜5μmの範囲に30体積%以上を占める請求項1乃至4のいずれかに記載の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料。
  6. 前記マイクロカプセルの平均粒子径が0.1〜4.0μmの範囲にある請求項5記載の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料。
  7. 前記(ハ)成分が、エーテル類、ケトン類、エステル類、アルコール類、酸アミド類のいずれかから選ばれる一種以上である請求項1乃至6のいずれかに記載の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料。
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