JP4510963B2 - 可逆熱変色性マイクロカプセル顔料 - Google Patents

可逆熱変色性マイクロカプセル顔料 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、温度変化によって鋭敏に色調変化を呈する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料に関する。更に詳細には、温度下降時に鋭敏に発色する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子の授受反応により可逆的色変化を特定温度域で生起させる可逆熱変色性組成物に関して、幾つかの提案が開示されている(特公昭51−35414号公報、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44708号公報、特公昭52−7764号公報、特公平1−29398号公報、特開平7−186540号公報等)。
前記した従来の可逆熱変色性組成物は、発色状態からの昇温過程で消色を開始し、特定温度以上で完全消色状態を呈し、引き続く降温過程で発色を開始し、発色状態に復帰する可逆熱変色性を呈する機能を備えたものである。
【0003】
更に、前記組成物は大別すると二つのタイプに分けることができる。
第1のタイプは変色温度を境として、その前後で変色し、変色前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しえない。即ち、もう一方の状態はその状態が発現するのに要する熱または冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱または冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する元の状態に戻る、所謂、図5に示すような温度−色濃度曲線に関して小さいヒステリシス幅(ΔH)を示して変色する可逆熱変色性組成物である(例えば、特公昭51−44706号公報、特公平1−29398号公報等)。
第2のタイプは、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と、逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色する、所謂、図6に示すような温度−色濃度曲線に関して大きいヒステリシス幅(ΔH)を示して変色し、変色に要した熱又は冷熱の適用を取り去った後にあっても、低温側トリガーと高温側トリガーとの間の温度域で前記低温側トリガー以下又は高温側トリガー以上で変色させた色彩を互変的に記憶保持可能な感温変色性色彩記憶性組成物である。(例えば、特公平4−17154号公報、特開平7−33997号公報、特開平7−179777号公報、特開平8−39936号公報等)。
【0004】
前記可逆熱変色性組成物は、化学的、物理的に安定な可逆熱変色性材料を得るためマイクロカプセルに内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料が好適に用いられる。
しかしながら、前記可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包すると、カプセル粒子径の粒度分布によっては、温度変化による色調変化、特に温度下降時の発色挙動に不具合を生じることがある。
具体的に説明すると、前記マイクロカプセル顔料を製造する場合には、その用途によって異なるものの、概ね1〜50μm、好ましくは1〜30μmの粒子径のマイクロカプセル顔料が使用されるが、粒子径にばらつきを生じる。
しかも、全てのマイクロカプセル顔料が前記した範囲の粒子径を示すわけではなく、それ以上、或いはそれ以下の粒子径を有するマイクロカプセル顔料も存在する。特に粒子径が凡そ2〜3μm以下のマイクロカプセル顔料は、同一組成であっても変色挙動が異なり、それ以上の粒子径を有するマイクロカプセル顔料が温度下降時に発色する温度より2〜30℃低温側にシフトして発色したり、或いは、発色が鋭敏ではない。
従って、特定の変色温度を有する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を製造するためには、好適な粒子径分布よりも大粒子径側にシフトした粒子径分布を有するマイクロカプセル顔料の製造を余儀なくされ、用途が制限されると共に、変色挙動は鋭敏でなく温度下降時に徐々に発色する挙動を示す。更に、必要によって粒子径の小さい可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を製造して適用する用途においても、同様の不具合を生じる。
又、前記した問題を解決するためにマイクロカプセルの粒子径を同一にすることが考えられるが、製造上非常に困難である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記した従来の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の不具合を解消しようとするものであって、即ち、粒子径の小さいマイクロカプセル顔料が含まれていたり、或いは、粒子径の小さいマイクロカプセル顔料を製造しても、変色が鋭敏であると共に様々な用途に適用できる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応の生起温度を決める反応媒体の均質相溶体からなる可逆熱変色性組成物と、(ニ)スチレン樹脂及び/又はフェノール樹脂を内包させた、粒子径分布が0.1〜30μmの範囲に95体積%以上を占める可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を要件とする。更には、前記(ニ)スチレン樹脂及び/又はフェノール樹脂は、重量平均分子量が3×10〜9×10であり、且つ、軟化点が130〜220℃を示す樹脂であること、前記(ニ)スチレン樹脂及び/又はフェノール樹脂が、可逆熱変色性組成物に対して0.4〜25重量%含まれてなること、カプセル中の(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応の生起温度を決める反応媒体と、(ニ)スチレン樹脂及び/又はフェノール樹脂と、(ホ)マイクロカプセル壁膜の重量が下記の式を満たすこと、
〔(ハ)+(ニ)×10〕/(ホ)>3.0
記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の粒子径分布が0.1〜5μmの範囲に95体積%以上を占めること等を要件とする。
【0007】
前述したように、可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料を製造すると粒子径にばらつきを生じ、実際には粒子径分布が0.1〜30μmの範囲に95体積%以上を占めるものが汎用される。しかも、筆記具用インキ、スプレー用インキ、高メッシュ分解によるプロセス印刷インキ等に用いるには、例えば、粒子径分布が0.1〜5μmの範囲に95体積%以上を占めるものが必要となる。
しかしながら、マイクロカプセル顔料の粒子径が2〜3μm以下のものは、(ハ)成分が過冷却性を有するため内包されている成分が全く同じ組成であるにもかかわらず、それ以上の粒子径のマイクロカプセル顔料の温度下降時に発色する温度より2〜30℃低温側にシフトして発色したり、段階的な発色を示すため、本来の変色性能が得られない。
これを温度−色濃度曲線におけるヒステリシス特性をグラフについて説明すると、各グラフにおいて、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されており、温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全消色状態に達する温度における濃度を示す点であり、Bは完全呈色状態を保持できる温度における濃度を示す点であり、Cは完全消色状態を保持できる温度における濃度を示す点であり、Dは完全着色状態に達する温度における濃度を示す点である。
尚、線分EFの長さがヒステリシスの程度を示すヒステリシス幅(ΔH)を示し、このΔH値が大きいと変色前後の各状態の保持が容易となる。
又、前記において、呈色状態と消色状態の二相が実質的に保持され、実用性を満たす温度域は、TとTの間の温度域である。
前記可逆熱変色性組成物を内包した粒子径が2〜3μm以下のマイクロカプセル顔料は、それ以上の粒子径を有するマイクロカプセル顔料が発色する温度よりも低温側にシフトして発色するものとなったり(ΔHが広くなる)、図7の温度−色濃度曲線に示すように着色開始温度以下の温度域での発色が中間的発色状態を経て段階的に進み、ヒステリシス幅ΔHとΔHを有するものになる。
【0008】
本発明者は、前記した変色挙動を解消するため鋭意追求したところ、可逆熱変色性組成物と共に(ニ)スチレン樹脂及び/又はフェノール樹脂をマイクロカプセルに内包することにより、粒子径の小さいマイクロカプセル顔料中の(ハ)成分の過冷却性を抑制してΔHが広くなったり、図7に示すような温度−色濃度曲線を示さなくなることを見いだし、本発明を完成するに至った。
これにより、粒子径が2〜3μm以下のマイクロカプセル顔料が含まれていたり、或いは、粒子径の小さいマイクロカプセル顔料を製造しても、温度下降時に発色する温度がシフトすることなく、且つ、鋭敏な発色を示すマイクロカプセル顔料が得られるようになる。
【0009】
前記(ニ)成分は、スチレン樹脂、フェノール樹脂として、ポリp−ビニルフェノール樹脂、臭素化したポリp−ビニルフェノール樹脂、及び、それらのハロゲン化物、或いは、共重合物が挙げられる。又、前記スチレン樹脂とフェノール樹脂の共重合物を用いることもできる。
更に、前記(ニ)成分は、重量平均分子量が3×10〜9×10であり、且つ、軟化点が130〜220℃を示す樹脂が好適に用いられる。
重量平均分子量が3×10未満、あるいは、軟化点が130℃未満の樹脂を用いると温度下降時に鋭敏に発色し難く、又、重量平均分子量が9×10を越えたり、或いは、軟化点が220℃を越える樹脂の場合、マイクロカプセル顔料の調製時に樹脂の析出が起こり易くなるからである。
又、前記(ニ)成分は、可逆熱変色性組成物に対して0.4〜25重量%、好ましくは1.0〜10重量%、更に好ましくは5.0〜10.0重量%配合される。
前記(ニ)成分の添加量が可逆熱変色性組成物に対して0.4重量%以下では、温度下降時に鋭敏に発色し難く、25重量%以上ではマイクロカプセル顔料の調製時に樹脂の析出が起こり易くなるからである。
更に、カプセル中の(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応の生起温度を決める反応媒体と、(ニ)スチレン樹脂及び/又はフェノール樹脂と、(ホ)マイクロカプセル壁膜の重量に関して下記の式を満たすことが好ましい。
〔(ハ)+(ニ)×10〕/(ホ)>3.0
前記式を満たす(3.0を超える)ことにより、冷却により更に鋭敏に発色する熱変色挙動を示す。
【0010】
前記(イ)電子供与性呈色性有機化合物としては、従来より公知のジフェニルメタンフタリド類、フェニルインドリルフタリド類、インドリルフタリド類、ジフェニルメタンアザフタリド類、フェニルインドリルアザフタリド類、フルオラン類、スチリノキノリン類、ジアザローダミンラクトン類等が挙げられ、以下にこれらの化合物を例示する。
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,6−ジメトキシフルオラン、3,6−ジ−n−ブトキシフルオラン、2−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−メチルアニリノ)−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−キシリジノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−(3−メトキシ−4−ドデコキシスチリル)キノリン、
スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジエチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−、
スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−メチル−、
スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−、
スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(N−エチル−N−i−アミルアミノ)−4−メチル−、
スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−フェニル等。
更には、蛍光性の黄色〜赤色の発色を発現させるのに有効な、ピリジン系、キナゾリン系、ビスキナゾリン系化合物等を挙げることができる。
【0011】
前記(ロ)成分の電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群〔酸ではないが、組成物中で酸として作用して成分(イ)を発色させる化合物群〕、電子空孔を有する化合物群等がある。
活性プロトンを有する化合物を例示すると、フェノール性水酸基を有する化合物としては、モノフェノール類からポリフェノール類があり、さらにその置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノール等、フェノール−アルデヒド縮合樹脂等が挙げられる。又、前記フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩であってもよい。
【0012】
以下に具体例を挙げる。
フェノール、o−クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−ステアリルフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、4−(4−(1−メチルエトキシフェニル)スルホニルフェノール、4−(4−ブチルオキシフェニル)スルホニルフェノール、4−(4−ペンチルオキシフェニル)スルホニルフェノール、4−(4−ヘキシルオキシフェニル)スルホニルフェノール、4−(4−ヘプチルオキシフェニル)スルホニルフェノール、4−(4−オクチルオキシフェニル)スルホニルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、
2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)プロパン、
4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、
1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)エタン、
2,2−ビス(4′−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、
1−フェニル−1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、
1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、
1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、
1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、
1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、
1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、
1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−デカン、
1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、
2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、
2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、
2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、
2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、等がある。
前記フェノール性水酸基を有する化合物が最も有効な熱変色特性を発現させることができるが、それらの金属塩や、芳香族カルボン酸及び炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸及びそれらの金属塩、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びそれらの金属塩、1,2,3−トリアゾール及びその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
更に、フルオロアルコール化合物を用いることもでき、以下に例示する。
2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピルベンゼン、
1,3−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、
1,4−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、
1,3−ビス(2−ヒドロキシメチル−ヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、
1,3−ビス(3−ヒドロキシ−1,1−ビストリフルオロメチルプロピル)ベンゼン、
1,4−ビス(2−ヒドロキシメチル−ヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、
1,4−ビス(3−ヒドロキシ−1,1−ビストリフルオロメチルプロピル)ベンゼン、
2−ヒドロキシメチル−ヘキサフルオロイソプロピルベンゼン、
3−ヒドロキシ−1,1−ビストリフルオロメチルプロピルベンゼン、等がある。
【0013】
本発明の可逆熱変色性組成物の(イ)成分及び(ロ)成分の2成分から成る組成物でも、可逆的な加熱発色性を得ることができるが、変色温度の調整に制限が有り、(ハ)成分を使用することによって、変色温度の調整が実用的に可能となる。
(ハ)前記(イ)、(ロ)による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体である化合物としては、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、スルフィド類、エーテル類、ケトン類、エステル類、酸アミド類、アルコール類、ワックス類等の従来より汎用の反応媒体が総て有効であり、中分子量ポリマー類の如く、半液状物質であっても良く、これらの化合物の一種又は二種以上を適用できる。前記各化合物を用いてマイクロカプセル化及び二次加工に応用する場合は低分子量のものは高熱処理を施すとカプセル系外に蒸散するので、安定的にカプセル内に保持させるために、炭素数10以上の化合物が有効である。
【0014】
炭化水素類としては、鎖式炭化水素類、脂環式炭化水素類、芳香族炭化水素類等があり、飽和鎖式炭化水素類としては、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、ヘンエイコサン、ドコサン、トリコサン、テトラコサン、ペンタコサン、ヘキサコサン、ヘプタコサン、オクタコサン、ノナコサン、トリアコンタン等が例示できる。
不飽和鎖式炭化水素類としては、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、1−ヘンエイコセン、1−ドコセン、1−トリコセン、1−テトラコセン、1−ペンタコセン、1−ヘキサコセン、1−ヘプタコセン、1−オクタコセン、1−ノナコセン、1−トリアコンテン等が例示できる。
脂環式炭化水素類としては、シクロオクタン、シクロドデカン、n−ペンタデシルシクロヘキサン、n−オクタデシルシクロヘキサン、n−ノナデシルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン等が例示できる。
芳香族炭化水素類としては、ドデシルベンゼン、ビフェニル、エチルビフェニル、4−ベンジルベンゼン、フェニルトリルメタン、ジフェニルエタン、1,3−ジフェニルベンゼン、ジベンジルトルエン、メチルナフタレン、2,7−ジイソプロピルナフタレン、メチルテトラリン、ナフチルフェニルメタン等を例示できる。
【0015】
ハロゲン化炭化水素類としては、1−ブロモデカン、1−ブロモウンデカン、1−ブロモドデカン、1−ブロモトリデカン、1−ブロモテトラデカン、1−クロロテトラデカン、1−ブロモペンタデカン、1−ブロモヘキサデカン、1−クロロヘキサデカン、1−ヨードヘキサデカン、1−ブロモヘプタデカン、1−ブロモオクタデカン、1−クロロオクタデカン、1−ヨードオクタデカン、1−ブロモエイコサン、1−クロロエイコサン、1−ブロモドコサン、1−クロロドコサン等を例示できる。
【0016】
スルフィド類としては、ジ−n−オクチルスルフィド、ジ−n−ノニルスルフィド、ジ−n−デシルスルフィド、ジ−n−ドデシルスルフィド、ジ−n−テトラデシルスルフィド、ジ−n−ヘキサデシルスルフィド、ジ−n−オクタデシルスルフィド、オクチルドデシルスルフィド、ジフェニルスルフィド、ジベンジルスルフィド、ジトリルスルフィド、ジエチルフェニルスルフィド、ジナフチルスルフィド、4,4′−ジクロロ−ジフェニルスルフィド、2,4,5,4′−テトラクロロ−ジフェニルスルフィド等を例示できる。
【0017】
エーテル類としては、総炭素数10以上の脂肪族エーテル類、例えば、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテル、ジウンデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、デカンジオールジメチルエーテル、ウンデカンジオールジメチルエーテル、ドデカンジオールジメチルエーテル、トリデカンジオールジメチルエーテル、デカンジオールジエチルエーテル、ウンデカンジオールジエチルエーテル等。脂環式エーテル類として、s−トリオキサン等。芳香族エーテル類として、フェニルエーテル、ベンジルフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、ジ−p−トリルエーテル、1−メトキシナフタレン、3,4,5−トリメトキシトルエン等が例示できる。
【0018】
ケトン類としては、総炭素数が10以上の脂肪族ケトン類、例えば、2−デカノン、3−デカノン、4−デカノン、2−ウンデカノン、3−ウンデカノン、4−ウンデカノン、5−ウンデカノン、6−ウンデカノン、2−ドデカノン、3−ドデカノン、4−ドデカノン、5−ドデカノン、2−トリデカノン、3−トリデカノン、2−テトラデカノン、2−ペンタデカノン、8−ペンタデカノン、2−ヘキサデカノン、3−ヘキサデカノン、9−ヘプタデカノン、2−ペンタデカノン、2−オクタデカノン、2−ノナデカノン、10−ノナダカノン、2−エイコサノン、11−エイコサノン、2−ヘンエイコサノン、2-ドコサノン、ラウロン、ステアロン等。
総炭素数が12乃至24のアリールアルキルケトン類、例えば、n−オクタデカノフェノン、n−ヘプタデカノフェノン、n−ヘキサデカノフェノン、n−ペンタデカノフェノン、n−テトラデカノフェノン、4−n−ドデカアセトフェノン、n−トリデカノフェノン、4−n−ウンデカノアセトフェノン、n−ラウロフェノン、4−n−デカノアセトフェノン、n−ウンデカノフェノン、4−n−ノニルアセトフェノン、n−デカノフェノン、4−n−オクチルアセトフェノン、n−ノナノフェノン、4−n−ヘプチルアセトフェノン、n−オクタノフェノン、4−n−ヘキシルアセトフェノン、4−n−シクロヘキシルアセトフェノン、4−tert−ブチルプロピオフェノン、n−ヘプタフェノン、4−n−ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル−n−ブチルケトン、4−n−ブチルアセトフェノン、n−ヘキサノフェノン、4−イソブチルアセトフェノン、1−アセトナフトン、2−アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等。
アリールアリールケトン類、例えば、ベンゾフェノン、ベンジルフェニルケトン、ジベンジルケトン等。脂環式ケトン、例えば、シクロオクタノン、シクロドデカノン、シクロペンタデカノン、4−tert−ブチルシクロヘキサノン等が例示できる。
【0019】
エステル類としては、炭素数10以上のエステル類が有効であり、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する多価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する多価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類が挙げられ、具体的にはカプリル酸エチル、カプリル酸オクチル、カプリル酸ステアリル、カプリン酸ミリスチル、カプリン酸ステアリル、カプリン酸ドコシル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸n−デシル、ミリスチン酸3−メチルブチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ネオペンチル、パルミチン酸ノニル、パルミチン酸シクロヘキシル、ステアリン酸n−ブチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸ペンタデシル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸シクロヘキシルメチル、ベヘン酸イソプロピル、ベヘン酸ヘキシル、ベヘン酸ラウリル、ベヘン酸ベヘニル、安息香酸セチル、p−tert− ブチル安息香酸ステアリル、フタル酸ジミリスチル、フタル酸ジステアリル、シュウ酸ジミリスチル、シュウ酸ジセチル、マロン酸ジセチル、コハク酸ジラウリル、グルタル酸ジラウリル、アジピン酸ジウンデシル、アゼライン酸ジラウリル、セバシン酸ジ−(n−ノニル)、1,18−オクタデシルメチレンジカルボン酸ジネオペンチル、エチレングリコールジミリステート、プロピレングリコールジラウレート、プロピレングリコールジステアレート、ヘキシレングリコールジパルミテート、1,5−ペンタンジオールジミリステート、1,2,6−ヘキサントリオールトリミリステート、1,4−シクロヘキサンジオールジデシル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジミリステート、キシレングリコールジカプリネート、キシレングリコールジステアレート等が例示できる。
【0020】
又、飽和脂肪酸と分枝脂肪族アルコールのエステル、不飽和脂肪酸又は分枝もしくは置換基を有する飽和脂肪酸と分岐状であるか又は炭素数16以上の脂肪族アルコールのエステル、酪酸セチル、酪酸ステアリル及び酪酸ベヘニルから選ばれるエステル化合物も有効である。
具体的には、酪酸2−エチルヘキシル、ベヘン酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−エチルヘキシル、カプリン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、パルミチン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、ステアリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、カプロン酸2−メチルブチル、カプリル酸2−メチルブチル、カプリン酸2−メチルブチル、パルミチン酸1−エチルプロピル、ステアリン酸1−エチルプロピル、ベヘン酸1−エチルプロピル、ラウリン酸1−エチルヘキシル、ミリスチン酸1−エチルヘキシル、パルミチン酸1−エチルヘキシル、カプロン酸2−メチルペンチル、カプリル酸2−メチルペンチル、カプリン酸2−メチルペンチル、ラウリン酸2−メチルペンチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸3−メチルブチル、ステアリン酸1−メチルヘプチル、ベヘン酸2−メチルブチル、ベヘン酸3−メチルブチル、ステアリン酸1−メチルヘプチル、ベヘン酸1−メチルヘプチル、カプロン酸1−エチルペンチル、パルミチン酸1−エチルペンチル、ステアリン酸1−メチルプロピル、ステアリン酸1−メチルオクチル、ステアリン酸1−メチルヘキシル、ラウリン酸1,1−ジメチルプロピル、カプリン酸1−メチルペンチル、パルミチン酸2−メチルヘキシル、ステアリン酸2−メチルヘキシル、ベヘン酸2−メチルヘキシル、ラウリン酸3,7−ジメチルオクチル、ミリスチン酸3,7−ジメチルオクチル、パルミチン酸3,7−ジメチルオクチル、ステアリン酸3,7−ジメチルオクチル、ベヘン酸3,7−ジメチルオクチル、オレイン酸ステアリル、オレイン酸ベヘニル、リノール酸ステアリル、リノール酸ベヘニル、エルカ酸3,7−ジメチルオクチル、エルカ酸ステアリル、エルカ酸イソステアリル、イソステアリン酸セチル、イソステアリン酸ステアリル、12−ヒドロキシステアリン酸2−メチルペンチル、18−ブロモステアリン酸2−エチルヘキシル、2−ケトミリスチン酸イソステアリル、2−フルオロミリスチン酸2−エチルヘキシル、酪酸セチル、酪酸ステアリル、酪酸ベヘニル等が例示できる。
【0021】
更には、特公平4−17154号公報に開示したカルボン酸エステル化合物、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコール又はフェノールのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコール又はエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコール又は分岐脂肪族アルコールのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等が挙げられる。
【0022】
炭素数9以上の奇数の脂肪族一価アルコールと炭素数が偶数の脂肪族カルボン酸から得られる脂肪酸エステル化合物、n−ペンチルアルコール又はn−ヘプチルアルコールと炭素数10乃至16の偶数の脂肪族カルボン酸より得られる総炭素数17乃至23の脂肪酸エステル化合物も有効である。
具体的には、酢酸n−ペンタデシル、酪酸n−トリデシル、酪酸n−ペンタデシル、カプロン酸n−ウンデシル、カプロン酸n−トリデシル、カプロン酸n−ペンタデシル、カプリル酸n−ノニル、カプリル酸n−ウンデシル、カプリル酸n−トリデシル、カプリル酸n−ペンタデシル、カプリン酸n−ヘプチル、カプリン酸n−ノニル、カプリン酸n−ウンデシル、カプリン酸n−トリデシル、カプリン酸n−ペンタデシル、ラウリン酸n−ペンチル、ラウリン酸n−ヘプチル、ラウリン酸n−ノニル、ラウリン酸n−ウンデシル、ラウリン酸n−トリデシル、ラウリン酸n−ペンタデシル、ミリスチン酸n−ペンチル、ミリスチン酸n−ヘプチル、ミリスチン酸n−ノニル、ミリスチン酸n−ウンデシル、ミリスチン酸n−トリデシル、ミリスチン酸n−ペンタデシル、パルミチン酸n−ペンチル、パルミチン酸n−ヘプチル、パルミチン酸n−ノニル、パルミチン酸n−ウンデシル、パルミチン酸n−トリデシル、パルミチン酸n−ペンタデシル、ステアリン酸n−ノニル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸n−トリデシル、ステアリン酸n−ペンタデシル、エイコサン酸n−ノニル、エイコサン酸n−ウンデルシ、エイコサン酸n−トリデシル、エイコサン酸n−ペンタデシル、ベヘン酸n−ノニル、ベヘン酸n−ウンデシル、ベヘン酸n−トリデシル、ベヘン酸n−ペンタデシルが挙げられる。
【0023】
アルコール類としては、脂肪族一価の飽和アルコール、例えば、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール等。脂肪族不飽和アルコール、例えば、アリルアルコール、オレイルアルコール等。脂環式アルコール、例えば、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロオクタノール、シクロドデカノール、4−tert−ブチルシクロヘキサノール等。芳香族アルコール、例えば、4−メチルベンジルアルコール、ベンツヒドロール等。多価アルコール、例えば、ポリエチレングリコール等を例示できる。
【0024】
酸アミド類としては、以下に示す化合物が例示できる。
アセトアミド、プロピオン酸アミド、酪酸アミド、カプロン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベンズアミド、カプロン酸アニリド、カプリル酸アニリド、カプリン酸アニリド、ラウリン酸アニリド、ミリスチン酸アニリド、パルミチン酸アニリド、ステアリン酸アニリド、ベヘニン酸アニリド、オレイン酸アニリド、エルカ酸アニリド、カプロン酸N−メチルアミド、カプリル酸N−メチルアミド、カプリン酸N−メチルアミド、ラウリン酸N−メチルアミド、ミリスチン酸N−メチルアミド、パルミチン酸N−メチルアミド、ステアリン酸N−メチルアミド、ベヘン酸N−メチルアミド、オレイン酸N−メチルアミド、エルカ酸N−メチルアミド、ラウリン酸N−エチルアミド、ミリスチン酸N−エチルアミド、パルミチン酸N−エチルアミド、ステアリン酸N−エチルアミド、オレイン酸N−エチルアミド、ラウリン酸N−ブチルアミド、ミリスチン酸N−ブチルアミド、パルミチン酸N−ブチルアミド、ステアリン酸N−ブチルアミド、オレイン酸N−ブチルアミド、ラウリン酸N−オクチルアミド、ミリスチン酸N−オクチルアミド、パルミチン酸N−オクチルアミド、ステアリン酸N−オクチルアミド、オレイン酸N−オクチルアミド、ラウリン酸N−ドデシルアミド、ミリスチン酸N−ドデシルアミド、パルミチン酸N−ドデシルアミド、ステアリン酸N−ドデシルアミド、オレイン酸N−ドデシルアミド、ジラウリン酸アミド、ジミリスチン酸アミド、ジパルミチン酸アミド、ジステアリン酸アミド、ジオレイン酸アミド、トリラウリン酸アミド、トリミリスチン酸アミド、トリパルミチン酸アミド、トリステアリン酸アミド、トリオレイン酸アミド、コハク酸アミド、アジピン酸アミド、グルタル酸アミド、マロン酸アミド、アゼライン酸アミド、マレイン酸アミド、コハク酸N−メチルアミド、アジピン酸N−メチルアミド、グルタル酸N−メチルアミド、マロン酸N−メチルアミド、アゼライン酸N−メチルアミド、コハク酸N−エチルアミド、アジピン酸N−エチルアミド、グルタル酸N−エチルアミド、マロン酸N−エチルアミド、アゼライン酸N−エチルアミド、コハク酸N−ブチルアミド、アジピン酸N−ブチルアミド、グルタル酸N−ブチルアミド、マロン酸N−ブチルアミド、アジピン酸N−オクチルアミド、アジピン酸N−ドデシルアミド等。
【0025】
ワックス類及び中分子量ポリマー類としては、融点50〜120℃のパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム、酸化パラフィンワックス、酸化ペトロラクタム。
セラック、サトウキビロウ、カルナバワックス、キャンデリラワックス、カスターワックス、牛脂硬化油、魚脂硬化油、菜種硬化油、モンタンロウ、パームロウ、チュウハクロウ、ハゼロウ、羊毛脂等。
酸化ポリエチレンワックス、モンタン酸ワックス、エチレン酢ビ共重合ワックス、エチレンアクリル共重合ワックス、ビニールエーテルワックス等。
パーム油、ババス油、流動パラフィン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリスチレンオリゴマー等が例示できる。
【0026】
又、前記(イ)、(ロ)、(ハ)成分の割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の特性が得られる成分比は、従来より公知の割合、即ち、(イ)成分1に対して、(ロ)成分0.1〜50、好ましくは0.5〜20、(ハ)成分1〜200、好ましくは5〜100の範囲である(前記割合はいずれも重量部である)。
【0027】
前記した(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)成分は、公知の微小カプセル化技術により微小カプセルに内包され、カプセル膜壁で保護されることにより、酸性物質、塩基性物質、過酸化物等の化学的に活性な物質又は他の溶剤成分と接触しても、その機能を低下させることがないことは勿論、耐熱安定性が保持でき、種々の使用条件において可逆熱変色性組成物は同一の組成に保たれ、同一の作用効果を奏することができる。
利用できる微小カプセル化技術としては、界面重合法、in Situ 重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。尚、微小カプセルの表面は、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
【0028】
尚、前記各(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)成分は各々2種以上の化合物の混合であってもよく、更には機能に支障のない範囲で光安定剤を添加することができる。
前記光安定剤としては、(イ)成分の光反応による励起状態によって生ずる光劣化を防止する紫外線吸収剤、可視光線吸収剤、赤外線吸収剤、酸化防止剤、カロチン類、色素類、アミン類、フェノール類、ニッケル錯体類、スルフィド類等の一重項酸素消光剤、オキシドジスムスターゼとコバルト、及びニッケルの錯体等のスーパーオキシドアニオン消光剤、オゾン消光剤等、酸化反応を抑制する化合物が挙げられ、0.3〜24重量%、好ましくは0.8〜16重量%の割合で系中に配合される。なかでも、前記紫外線吸収剤と、酸化防止剤及び/又は一重項酸素消光剤を併用した系にあっては、耐光性の向上に特に効果的である。
又、老化防止剤、帯電防止剤、極性付与剤、揺変性付与剤、消泡剤等を必要に応じて添加して機能を向上させることもできる。
更には、前記した従来の可逆熱変色性組成物を適宜の割合で配合したり、一般染料や顔料を配合することもできる。
【0029】
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、膜形成材料であるバインダーを含む媒体中に分散されて、インキ、塗料などの可逆熱変色性材料として適用され、従来より公知の方法、例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビヤ印刷、コーター、タンポ印刷、転写等の印刷手段、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、流し塗り、ローラー塗り、浸漬塗装、等の手段により、紙、合成紙、布帛、植毛或いは起毛布、不織布、合成皮革、レザー、プラスチック、ガラス、陶磁器、木材、石材等の支持体上に可逆熱変色層を形成したり、或いは、熱可塑性プラスチックや熱硬化性プラスチック中に混練して一体化された材料として適用することもできる。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、従来より公知の微小カプセル化法を適用し、(イ)、(ロ)、(ハ)成分と共に(ニ)成分をマイクロカプセルに内包することによって得られる。
【0031】
【実施例】
以下に実施例と共に熱変色特性を記載する。配合例中における部は重量部を示す。
実施例1
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製
カプリン酸ステアリル50部、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−デカン5部を80℃で溶解した後、多価イソシアネート樹脂15部、6−(エチルイソブチルアミノ)ベンゾフルオラン1部、スチレン樹脂〔理化ハーキュレス製:ピコラスチックD−125、重量平均分子量53200、軟化点125℃〕2部、酢酸エチル50部の混合液を投入して疎水性液体を得た。
前記疎水性液体を65℃に調整した水性分散媒100部中に投入し、平均粒子径が0.4〜1.0μmになるように乳化分散した。これを80℃で2時間、次いで、90℃で2時間攪拌してマイクロカプセル顔料分散液を得た。得られたマイクロカプセル顔料分散液から遠心分離法により平均粒子径0.4〜1μmの可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Aを単離して得た。
前記マイクロカプセル顔料Aにおける〔(ハ)+(ニ)×10〕/(ホ)は、4.7であった。
【0032】
粒子径分布の測定
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Aを、遠心沈降式自動粒度分布測定装置〔堀場製作所製:CAPA−300〕にて粒度分布の状態を測定し、粒子径とそれらの粒子の占有体積%を調べた。
〔粒子径(μm)〕 〔専有体積(%)〕
2.00< 0.0
2.00−1.80 0.0
1.80−1.60 0.3
1.60−1.40 1.3
1.40−1.20 1.9
1.20−1.00 6.2
1.00−0.80 18.5
0.80−0.60 36.8
0.60−0.40 19.9
0.40−0.20 12.7
0.20> 2.4
前記粒子径と粒子の占有体積%の測定結果より、粒子径分布が0.1〜30μmの範囲に95体積%以上を占め、1.0μm以下の粒子径の顔料Aの占有体積の累計は、90.3%、0.4〜1.0μmの占有体積は、75.2%であり、殆どの粒子径が1.0μm以下であることを確認した。
【0033】
比較例1
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製
実施例1の芳香族系炭化水素樹脂を除いた以外は、実施例1と同様にして粒子径1.0μm以下の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Bを得た。
又、実施例1と同様にして粒度分布を測定し、粒子径分布が0.1〜30μmの範囲に95体積%以上を占め、殆どの粒子が1.0μm以下0.4μm以上の範囲にあることを確認した。
【0034】
比較例2
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製
実施例1の多価イソシアネート樹脂を25部とした以外は、実施例1と同様にして粒子径1.0μm以下の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Cを得た。
前記マイクロカプセル顔料Cにおける〔(ハ)+(ニ)×10〕/(ホ)は、2.8であった。
又、実施例1と同様にして粒度分布を測定し、粒子径分布が0.1〜30μmの範囲に95体積%以上を占め、殆どの粒子が1.0μm以下0.4μm以上の範囲にあることを確認した。
【0035】
実施例2
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製
グルタル酸ジミリスチル50部、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−デカン5部を80℃で溶解した後、エポキシ樹脂10部、6−(エチルイソブチルアミノ)ベンゾフルオラン1部、スチレン樹脂〔理化ハーキュレス製:ピコラスチックD−125、重量平均分子量53200、軟化点125℃〕4部、酢酸エチル50部の混合液を投入して疎水性液体を得た。
前記疎水性液体を65℃に調整した水性分散媒100部中に投入し、平均粒子径が1.0〜4.0μmになるように乳化分散した。続いてアミン系硬化剤5部を添加し、これを80℃で2時間、次いで、90℃で2時間攪拌してマイクロカプセル顔料分散液を得た。得られたマイクロカプセル顔料分散液から遠心分離法により平均粒子径1.0〜4.0μmの可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Dを単離して得た。
前記マイクロカプセル顔料Dにおける〔(ハ)+(ニ)×10〕/(ホ)は、9.0であった。
【0036】
粒子径分布の測定
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Dを、実施例1と同様の方法で粒度分布の状態を測定し、粒子径とそれらの粒子の占有体積%を調べた。
〔粒子径(μm)〕 〔専有体積%〕
4.00< 1.8
4.00−3.50 1.3
3.50−3.00 8.7
3.00−2.50 16.8
2.50−2.00 35.6
2.00−1.50 21.0
1.50−1.00 10.2
1.00−0.50 2.0
0.50> 2.6
前記粒子径と粒子の占有体積%の測定結果より、粒子径分布が0.1〜30μmの範囲に95体積%以上を占め、1.0〜4.0μmの粒子径の顔料Dの占有体積の累計は、93.6%であり、殆どの粒子径が1.0〜4.0μmであることを確認した。
【0037】
比較例3
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製
実施例2の芳香族系炭化水素樹脂を除いた以外は、実施例2と同様にして粒子径1.0〜4.0μmの可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Eを得た。
実施例2と同様にして粒度分布を測定し、粒子径分布が0.1〜30μmの範囲に95体積%以上を占め、殆どの粒子が1.0〜4.0μmの範囲にあることを確認した。
【0038】
実施例3
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製
グルタル酸ジミリスチル50部、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−デカン5部を80℃で溶解した後、多価イソシアネート20部、6−(エチルイソブチルアミノ)ベンゾフルオラン1部、スチレン樹脂〔理化ハーキュレス製:ピコラスチックD−150、重量平均分子量65000、軟化点150℃〕2部、酢酸エチル50部の混合液を投入して疎水性液体を得た。
前記疎水性液体を65℃に調整した水性分散媒100部中に投入し、平均粒子径が4.0〜7.0μmになるように乳化分散した。これを80℃で2時間、次いで、90℃で2時間攪拌してマイクロカプセル顔料分散液を得た。得られたマイクロカプセル顔料分散液から遠心分離法により平均粒子径4.0〜7.0μmの可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Fを単離して得た。
前記マイクロカプセル顔料Fの〔(ハ)+(ニ)×10〕/(ホ)は、3.5であった。
【0039】
粒子径分布の測定
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Fを、実施例1と同様の方法で粒度分布の状態を測定し、粒子径とそれらの粒子の占有体積%を調べた。
〔粒子径(μm)〕 〔専有体積%〕
7.00< 1.6
7.00−6.50 2.5
6.50−6.00 11.3
6.00−5.50 23.5
5.50−5.00 25.7
5.00−4.50 18.9
4.50−4.00 10.5
4.00−3.50 4.2
3.50−3.00 1.5
3.00> 0.3
前記粒子径と粒子の占有体積%の測定結果より、粒子径分布が0.1〜30μmの範囲に95体積%以上を占め、4.0〜7.0μmの粒子径の顔料Fの占有体積の累計は92.4%であり、殆どの粒子径が4.0〜7.0μmであることを確認した。
【0040】
比較例4
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製
実施例3の芳香族系炭化水素樹脂を除いた以外は、実施例2と同様にして粒子径4.0〜7.0μmの可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Gを得た。
実施例3と同様にして粒度分布を測定し、粒子径分布が0.1〜30μmの範囲に95体積%以上を占め、殆どの粒子が4.0〜7.0μmの範囲にあることを確認した。
【0041】
実施例4
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製
ステアリン酸ブチル50部、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−デカン5部を80℃で溶解した後、多価エポキシ樹脂10部、6−(エチルイソブチルアミノ)ベンゾフルオラン1部、フェノール樹脂〔丸善石油化学製:マルカリンカーMB、重量平均分子量5800、軟化点210℃〕5部、酢酸エチル50部の混合液を投入して疎水性液体を得た。
前記疎水性液体を65℃に調整した水性分散媒100部中に投入し、平均粒子径が7.0〜10.0μmになるように乳化分散した。続いてアミン系硬化剤5部を添加し、これを80℃で2時間、次いで、90℃で2時間攪拌してマイクロカプセル顔料分散液を得た。得られたマイクロカプセル顔料分散液から遠心分離法により平均粒子径4.0〜7.0μmの可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Hを単離して得た。
前記マイクロカプセル顔料Hの〔(ハ)+(ニ)×10〕/(ホ)は、10であった。
【0042】
粒子径分布の測定
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Hを、実施例1と同様の方法で粒度分布の状態を測定し、粒子径とそれらの粒子の占有体積%を調べた。
〔粒子径(μm)〕 〔専有体積%〕
7.00< 0.9
7.00−6.50 1.6
6.50−6.00 5.8
6.00−5.50 11.3
5.50−5.00 24.5
5.00−4.50 27.0
4.50−4.00 19.4
4.00−3.50 7.1
3.50−3.00 1.4
3.00> 1.0
前記粒子径と粒子の占有体積%の測定結果より、粒子径分布が0.1〜30μmの範囲に95体積%以上を占め、4.0〜7.0μmの粒子径の顔料Hの占有体積の累計は、89.6%であり、殆どの粒子径が4.0〜7.0μmであることを確認した。
【0043】
比較例5
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製
実施例4のフェノール樹脂を除いた以外は、実施例4と同様にして粒子径7.0〜10.0μmの可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Iを得た。
実施例4と同様にして粒度分布を測定し、粒子径分布が0.1〜30μmの範囲に95体積%以上を占め、殆どの粒子が4.0〜7.0μmの範囲にあることを確認した。
【0044】
温度−色濃度曲線の作成
得られたマイクロカプセル顔料A〜I40部を、それぞれアクリルエマルジョン54部、増粘剤5部、消泡剤0.5部、レベリング剤0.5部からなる水性バインダー中に均一分散させて、ピンク色から無色に変色する可逆熱変色性インキを得た。
各々の可逆熱変色性インキを180メッシュのシルクスクリーン版を用いてスクリーン印刷により白色上質紙上に印刷して印刷物を作成し、前記印刷物を色差計〔(株)東京電色製、TC−3600型色差計〕の所定箇所に貼り付け、10℃/minの速度にて−20℃から60℃まで昇温及び降温して明度値を測定した。
各温度で色差計が示す明度値(T、T、T、T、T、T)及びΔH(T−T)の値を以下に示す。
【0045】
【表1】
Figure 0004510963
【0046】
尚、実施例1及び2、比較例1及び3の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を用いて作成した印刷物の温度−色濃度曲線を図1〜4に示す。
図の温度−色濃度曲線に示される通り、実施例1のマイクロカプセル顔料は比較例1のマイクロカプセル顔料よりも狭いヒステリシス幅を示すと共に鋭敏に発消色する熱変色挙動を有する。また、実施例2のマイクロカプセル顔料は比較例3のマイクロカプセル顔料のように発色時に中間的発色状態を経て段階的に発色する挙動を示すことなく、狭いヒステリシス幅を示すと共に鋭敏に発消色する熱変色挙動を有する。
【0047】
適用例1
実施例1で得た可逆熱変色性マイクロカプセル顔料A30部を下記組成のビヒクル70部中に均一分散させて筆記具用熱変色性インキ(粘度33mPa・s)を得た。前記水性ビヒクルはカルボキシ変性ポリオレフィン系自己乳化エマルジョン(固形分24〜25%)30部、ポリグリセリンメタクリレート系湿潤剤4部、トリエタノールアミン1部、メチルセルロース0.5部、防黴剤0.2部及び消泡剤0.4部を水34部に均質に混合してなる前記インキを毛細管ペン体を備えた筆記具の軸胴に収容して筆記具を構成した。この筆記具により筆記した筆跡は、24℃の室温下ではピンク色を呈し、40℃以上では無色となった。前記の様相は繰り返し再現させることができた。
【0048】
適用例2
実施例1で作製した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料A44.0重量部を、剪断減粘性付与剤を含む水性ビヒクル56.0重量部中に均一に分散混合して、可逆熱変色性水性ボールペン用インキを調製した。
前記ボールペン用インキを充填したボールペンを用いてレポート用紙に筆記したところ、書き出しが良好なピンク色の筆跡が得られた。
尚、前記筆跡の熱変色性を試験した結果40℃以上に加温すると無色となり、前記の様相は繰り返し再現させることができた。
【0049】
適用例3
実施例2で得た可逆熱変色性マイクロカプセル顔料C30部、アクリルエマルジョン樹脂を主成分とした、グラビア印刷用メジューム69部、シリコーン系消泡剤0.5部を均一混合して得られたグラビアインキを、版深35μm−175線のグラビア版を用いて、「XYZ」の文字を、白色のコート紙上に印刷形成した。前記印刷像は、24℃の室温下では、鮮やか且つ濃度も十分なピンク色の像を視覚させており、この印刷物を40℃まで加温するとピンク色より無色に変化し前記印刷像は不可視状態になり、室温まで冷却することで再びピンク色の印刷像「XYZ」を視覚させることができた。
【0050】
適用例4
実施例2で作製した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料C15.0重量部、50%アクリル樹脂/キシレン溶液40.0重量部、キシレン20.0重量部、メチルイソブチルケトン20.0重量部、ポリイソシアネート系硬化剤5.0重量部からなるビヒクル中に攪拌混合して可逆熱変色性スプレー塗料を得た。
前記、可逆熱変色性スプレー塗料を、白色のミニチュアカーのボディ全体にスプレー塗装を施して乾燥し、可逆熱変色性ミニチュアカーを得た。
前記ミニチュアカーは、24℃の室温下ではピンク色を呈し、40℃以上では白色となった。前記の様相は繰り返し再現させることができた。
【0051】
【発明の効果】
本発明は、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応の生起温度を決める反応媒体の均質相溶体からなる可逆熱変色性組成物と、(ニ)スチレン樹脂及び/又はフェノール樹脂をマイクロカプセルに内包することによって、優れた熱変色機能を有する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を得ることができる。
又、微細粒子径のマイクロカプセル顔料を作成しても熱変色機能に優れるため、筆記具用インキへの適用や、スプレー用インキ、高メッシュ分解によるプロセス印刷インキ、グラビヤインキ等、多様な分野に応用することのできる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の温度−色濃度曲線を示す説明図である。
【図2】 比較例1の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の温度−色濃度曲線を示す説明図である。
【図3】 本発明の実施例2の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の温度−色濃度曲線を示す説明図である。
【図4】 比較例3の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の温度−色濃度曲線を示す説明図である。
【図5】 従来の可逆熱変色性組成物の温度−色濃度曲線を示す説明図である。
【図6】 従来の感温変色性色彩記憶性組成物の温度−色濃度曲線を示す説明図である。
【図7】 従来の粒子径が小さい可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の温度−色濃度曲線を示す説明図である。
【符号の説明】
完全着色温度
消色開始温度
着色開始温度
完全着色温度
消色過程における色濃度の中点の温度
E1F1からの平行線が消色過程における温度−色濃度曲線と交わる温度
E2F2からの平行線が消色過程における温度−色濃度曲線と交わる温度
着色過程における色濃度の中点の温度
F1 一次着色過程における色濃度の中点の温度
F2 完全着色過程における色濃度の中点の温度
TG 一次着色に達する温度
TH 一次着色から完全着色を開始する温度
Δ ヒステリシス幅(T−T
ΔH ヒステリシス幅(TE1−TF1
ΔH ヒステリシス幅(TE2−TF2

Claims (5)

  1. (イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応の生起温度を決める反応媒体の均質相溶体からなる可逆熱変色性組成物と、(ニ)スチレン樹脂及び/又はフェノール樹脂を内包させた、粒子径分布が0.1〜30μmの範囲に95体積%以上を占める可逆熱変色性マイクロカプセル顔料。
  2. 前記(ニ)スチレン樹脂及び/又はフェノール樹脂は、重量平均分子量が3×10〜9×10であり、且つ、軟化点が130〜220℃を示す樹脂である請求項1記載の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料。
  3. 前記(ニ)スチレン樹脂及び/又はフェノール樹脂が、可逆熱変色性組成物に対して0.4〜25重量%含まれてなる請求項1又は2記載の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料。
  4. カプセル中の(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応の生起温度を決める反応媒体と、(ニ)スチレン樹脂及び/又はフェノール樹脂と、(ホ)マイクロカプセル壁膜の重量が下記の式を満たす請求項1乃至3記載のいずれかの可逆熱変色性マイクロカプセル顔料。
    〔(ハ)+(ニ)×10〕/(ホ)>3.0
  5. 前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の粒子径分布が0.1〜5μmの範囲に95体積%以上を占める請求項1乃至4記載のいずれかの可逆熱変色性マイクロカプセル顔料。
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