JP2004136477A - 加熱発色型可逆熱変色性顔料 - Google Patents

加熱発色型可逆熱変色性顔料 Download PDF

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Abstract

【課題】発色温度域における一様な発色濃度を示すと共に、温度−色濃度曲線におけるΔH値(ヒステリシス温度幅)が、3〜40℃の範囲にある任意のΔH値を示す加熱発色型可逆熱変色性顔料を提供する。
【解決手段】(イ)電子供与性呈色性化合物、(ロ)没食子酸エステル類から選ばれる特定の化合物、(ハ)前記両者の呈色反応を特定温度域で可逆的に生起させる、アルコール類、エステル類、ケトン類、炭化水素類から選ばれる融点が50℃未満の反応媒体、及び、重量平均分子量が200〜65000であり、軟化点が150℃未満のポリスチレン系樹脂を含む必須三成分を少なくとも内包させた、ΔH値が7〜40℃の範囲の可逆熱変色性顔料、或いは、前記三成分系に(ニ)融点50℃以上の単分子化合物又は軟化点70℃以上の高分子化合物から選ばれる化合物を配合した、ΔH値が3〜25℃の範囲の四成分系の可逆熱変色性顔料。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,加熱発色型可逆熱変色性顔料に関する。詳細には、消色状態からの加熱により発色状態を呈し、前記発色状態からの降温により消色状態に復帰する加熱発色型のマイクロカプセル形態の可逆熱変色性顔料に関する。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は、生活環境温度域における、消色状態からの加熱により発色状態を呈し、発色状態からの降温により消色する、加熱発色型の可逆熱変色性材料(図4参照)について開示している(特開平11−129623号公報)。
前記従来の加熱発色型可逆熱変色性材料は、図4に示す如く、発色濃度が完全発色温度(T )を境に、高温側(T )で激減し、消色開始温度(T )領域に至る低温側で激増する変色挙動を呈し、発色温度域における発色濃度の濃淡差が大きい特性を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、この種の加熱発色型可逆熱変色性材料について検討を加え、発色温度域における発色濃度の濃淡差が小であると共に、温度−色濃度曲線におけるΔH値(ヒステリシス温度幅)が、3〜40℃の範囲にある任意のΔH値、具体的には、(イ)、(ロ)、(ハ)三成分系による、ΔH値が7〜40℃の範囲にある、発色に要した熱を取り去った後にあっても、比較的広域の特定温度域で発色状態を保持できるもの(図1参照)、前記三成分系に第四成分を添加して、消色開始温度を高温側にシフトさせて、発色状態の保持温度幅を狭めて、ΔH値が3〜25℃の範囲にある、加熱手段による発色後にあって、特殊な冷却手段を適用することなく、速やかに元の消色状態に復帰させることが可能なもの(図2、図3参照)等を選択自在に構成でき、更には、耐熱性、耐圧性、経時保存性等に優れ、所期の熱変色機能を持続して発現できる、マイクロカプセル形態の加熱発色型可逆熱変色性顔料を提供し、示温、検温分野は勿論、玩具、教材、各種カード、飲食容器、包装材、家庭用品、衣料、装飾、デザイン分野等への応用展開を図ろうとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、消色状態からの加熱により発色状態を呈し、前記発色状態からの降温により消色状態に復帰する加熱発色型の可逆熱変色性顔料において、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)没食子酸エステル類から選ばれる電子受容性化合物、(ハ)前記両者の呈色反応を特定温度域で可逆的に生起させる、アルコール類、エステル類、ケトン類、炭化水素類から選ばれる融点が50℃未満の反応媒体、及び、重量平均分子量が200〜65000であり、軟化点が150℃未満のポリスチレン系樹脂を少なくとも内包させ、温度−色濃度曲線におけるΔH値(ヒステリシス温度幅)が3〜40℃の範囲にある任意のΔH値を選択自在に構成した、平均粒子径0.5〜50μmのマイクロカプセル形態の加熱発色型可逆熱変色性顔料を要件とする。
更には、前記(イ)、(ロ)、及び(ハ)成分を内包させた、温度−色濃度曲線におけるΔH値(ヒステリシス温度幅)が、7〜40℃の範囲にある加熱発色型可逆熱変色性顔料を要件とする(図1参照)。
更には、前記(ロ)成分の、(ハ)成分に対する割合が、20〜80重量%であること、前記(ハ)成分が、アルコール類−スチレン系樹脂の併用系であり、アルコール類/スチレン系樹脂=90/10〜5/95(重量比)であること、等を要件とする。
更には、(ニ)融点50℃以上の単分子化合物又は軟化点70℃以上の高分子化合物から選ばれる化合物を第四成分として内包させた、温度−色濃度曲線におけるΔH値(ヒステリシス温度幅)が、3〜25℃の範囲にある加熱発色型可逆熱変色性顔料(図2参照)を要件とするものである。
更には、前記(ニ)成分の、(ハ)成分に対する割合が、0.4〜20重量%であること、紫外線吸収剤が、全内包組成物に対し、1〜40重量%配合されてなること等を要件とする。
【0005】
前記(イ)電子供与性呈色性有機化合物としては、従来より公知のジフェニルメタンフタリド類、フェニルインドリルフタリド類、インドリルフタリド類、ジフェニルメタンアザフタリド類、フェニルインドリルアザフタリド類、フルオラン類、スチリノキノリン類、ジアザローダミンラクトン類等が挙げられ、以下にこれらの化合物を例示する。
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,6−ジメトキシフルオラン、3,6−ジ−n−ブトキシフルオラン、2−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−メチルアニリノ)−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−キシリジノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−(3−メトキシ−4−ドデコキシスチリル)キノリン、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジエチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(N−エチル−N−i−アミルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−フェニル等を挙げることができる。
更には、蛍光性の黄色〜赤色の発色を発現させるのに有効な、ピリジン系、キナゾリン系、ビスキナゾリン系化合物等を挙げることができる。
【0006】
(ロ)没食子酸エステル類から選ばれる電子受容性化合物としては、没食子酸ドデシル、没食子酸トリデシル、没食子酸テトラデシル、没食子酸ペンタデシル、没食子酸ヘキサデシル、没食子酸オクタデシル、没食子酸エイコシル、没食子酸ベヘニル、等を例示でき、前記(イ)成分から選ばれる化合物との電子授受反応を行なう。
【0007】
(ハ)反応媒体は、前記電子授受反応を特定温度域で可逆的に生起させる反応媒体として機能するものであり、アルコール類、エステル類、ケトン類、及び炭化水素類から選ばれる。
【0008】
アルコール類としては、脂肪族一価の飽和アルコールとして、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、脂肪族不飽和アルコールとして、アリルアルコール、オレイルアルコール、脂環式アルコールとして、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロオクタノール、シクロドデカノール、4−tert−ブチルシクロヘキサノール、芳香族アルコールとして、4−メチルベンジルアルコール、ベンツヒドロール、多価アルコールとして、ポリエチレングリコール等を例示できる。
【0009】
エステル類としては、炭素数10以上のエステル類が有効であり、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する多価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する多価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類が挙げられ、具体的にはカプリル酸エチル、カプリル酸オクチル、カプリル酸ステアリル、カプリン酸ミリスチル、カプリン酸セチル、カプリン酸ステアリル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸n−デシル、ミリスチン酸3−メチルブチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ネオペンチル、パルミチン酸ノニル、パルミチン酸シクロヘキシル、ステアリン酸n−ブチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、ステアリン酸n−ヘプチル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸ペンタデシル、ステアリン酸シクロヘキシルメチル、ベヘン酸イソプロピル、ベヘン酸ヘキシル、ベヘン酸ラウリル、安息香酸セチル、フタル酸ジミリスチル、シュウ酸ジミリスチル、シュウ酸ジセチル、マロン酸ジセチル、コハク酸ジラウリル、グルタル酸ジラウリル、アジピン酸ジウンデシル、アゼライン酸ジラウリル、セバシン酸ジ−(n−ノニル)、1,18−オクタデシルメチレンジカルボン酸ジネオペンチル、エチレングリコールジミリステート、プロピレングリコールジラウレート、1,5−ペンタンジオールジミリステート、1,4−シクロヘキサンジオールジデシル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジミリステート、キシレングリコールジカプリネート等を例示できる。
又、飽和脂肪酸と分枝脂肪族アルコールのエステル、不飽和脂肪酸又は分枝もしくは置換基を有する飽和脂肪酸と分岐状であるか又は炭素数16以上の脂肪族アルコールのエステル、酪酸セチル、酪酸ステアリル及び酪酸ベヘニルから選ばれるエステル化合物も有効である。
具体的には、酪酸2−エチルヘキシル、ベヘン酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−エチルヘキシル、カプリン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、パルミチン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、ステアリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、カプロン酸2−メチルブチル、カプリル酸2−メチルブチル、カプリン酸2−メチルブチル、パルミチン酸1−エチルプロピル、ステアリン酸1−エチルプロピル、ベヘン酸1−エチルプロピル、ラウリン酸1−エチルヘキシル、ミリスチン酸1−エチルヘキシル、パルミチン酸1−エチルヘキシル、カプロン酸2−メチルペンチル、カプリル酸2−メチルペンチル、カプリン酸2−メチルペンチル、ラウリン酸2−メチルペンチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸3−メチルブチル、ステアリン酸1−メチルヘプチル、ベヘン酸2−メチルブチル、ベヘン酸3−メチルブチル、ステアリン酸1−メチルヘプチル、ベヘン酸1−メチルヘプチル、カプロン酸1−エチルペンチル、パルミチン酸1−エチルペンチル、ステアリン酸1−メチルプロピル、ステアリン酸1−メチルオクチル、ステアリン酸1−メチルヘキシル、ラウリン酸1,1−ジメチルプロピル、カプリン酸1−メチルペンチル、パルミチン酸2−メチルヘキシル、ステアリン酸2−メチルヘキシル、ベヘン酸2−メチルヘキシル、ラウリン酸3,7−ジメチルオクチル、ミリスチン酸3,7−ジメチルオクチル、パルミチン酸3,7−ジメチルオクチル、ステアリン酸3,7−ジメチルオクチル、ベヘン酸3,7−ジメチルオクチル、オレイン酸ステアリル、オレイン酸ベヘニル、リノール酸ステアリル、リノール酸ベヘニル等を例示できる。
炭素数9以上の奇数の脂肪族一価アルコールと炭素数が偶数の脂肪族カルボン酸から得られる脂肪酸エステル化合物、n−ペンチルアルコール又はn−ヘプチルアルコールと炭素数10乃至16の偶数の脂肪族カルボン酸より得られる総炭素数17乃至23の脂肪酸エステル化合物も有効である。
具体的には、酢酸n−ペンタデシル、酪酸n−トリデシル、酪酸n−ペンタデシル、カプロン酸n−ウンデシル、カプロン酸n−トリデシル、カプロン酸n−ペンタデシル、カプリル酸n−ノニル、カプリル酸n−ウンデシル、カプリル酸n−トリデシル、カプリル酸n−ペンタデシル、カプリン酸n−ヘプチル、カプリン酸n−ノニル、カプリン酸n−ウンデシル、カプリン酸n−トリデシル、カプリン酸n−ペンタデシル、ラウリン酸n−ペンチル、ラウリン酸n−ヘプチル、ラウリン酸n−ノニル、ラウリン酸n−ウンデシル、ラウリン酸n−トリデシル、ラウリン酸n−ペンタデシル、ミリスチン酸n−ペンチル、ミリスチン酸n−ヘプチル、ミリスチン酸n−ノニル、ミリスチン酸n−ウンデシル、ミリスチン酸n−トリデシル、パルミチン酸n−ペンチル、パルミチン酸n−ヘプチル、パルミチン酸n−ノニル、パルミチン酸n−ウンデシル、パルミチン酸n−トリデシル、パルミチン酸n−ペンタデシル、ステアリン酸n−ノニル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸n−トリデシル等を例示できる。
【0010】
ケトン類としては、総炭素数が10以上の脂肪族ケトン類として、2−デカノン、3−デカノン、4−デカノン、2−ウンデカノン、3−ウンデカノン、4−ウンデカノン、5−ウンデカノン、6−ウンデカノン、2−ドデカノン、3−ドデカノン、4−ドデカノン、5−ドデカノン、2−トリデカノン、3−トリデカノン、2−テトラデカノン、2−ペンタデカノン、8−ペンタデカノン、2−ヘキサデカノン、3−ヘキサデカノン、2−ペンタデカノン、総炭素数が12乃至18のアリールアルキルケトン類として、n−ラウロフェノン、n−ウンデカノフェノン、n−ノナノフェノン、n−オクタノフェノン等を例示できる。
【0011】
炭化水素類としては、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、ヘンエイコサン、ドコサン、トリコサン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、1−ヘンエイコセン、1−ドコセン、1−トリコセン、1−テトラコセン、1−ペンタコセン等を例示できる。
【0012】
前記(ハ)成分として、アルコール類、エステル類、ケトン類、炭化水素類から選ばれる反応媒体と併用して用いられるスチレン系樹脂は、重量平均分子量が200〜65000であり、且つ、軟化点が150℃以下のスチレン樹脂、α−メチルスチレン樹脂、β−メチルスチレン樹脂、ビニルトルエン樹脂、及びこれらの混合樹脂等を例示できる。
【0013】
(ニ)成分を以下に具体的に例示する。
融点50℃以上の単分子有機化合物として、好適に用いられる脂肪酸エステル類としては、ラウリン酸エイコシル、ラウリン酸ベヘニル、ラウリン酸テトラコシル、ラウリン酸ヘキサコシル、ラウリン酸オクタコシル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸ステアリル、ミリシチン酸エイコシル、ミリスチン酸ベヘニル、ミリスチン酸テトラコシル、ミリスチン酸ヘキサコシル、ミリスチン酸オクタコシル、パルミチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸ステアリル、パルミチン酸エイコシル、パルミチン酸ベヘニル、パルミチン酸テトラコシル、パルミチン酸ヘキサコシル、パルミチン酸オクタコシル、ステアリン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸エイコシル、ステアリン酸ベヘニル、ステアリン酸テトラコシル、ステアリン酸ヘキサコシル、ステアリン酸オクタコシル、エイコ酸デシル、エイコ酸ウンデシル、エイコ酸トリデシル、エイコ酸ミリスチル、エイコ酸セチル、エイコ酸ステアリル、エイコ酸エイコシル、エイコ酸ドコシル、エイコ酸テトラコシル、エイコ酸ヘキサコシル、エイコ酸オクタコシル、ベヘン酸メチル、ベヘン酸ヘキシル、ベヘン酸オクチル、ベヘン酸デシル、ベヘン酸ウンデシル、ベヘン酸ラウリル、ベヘン酸トリデシル、ベヘン酸ミリスチル、ベヘン酸セチル、ベヘン酸ステアリル、ベヘン酸エイコシル、べへン酸ベヘニル、ベヘン酸テトラコシル、ベヘン酸ヘキサコシル、ベヘン酸オクタコシルを挙げることができる。
二塩基酸エステル類としては、シュウ酸ジステアリル、シュウ酸ジエイコシル、シュウ酸ベヘニル、コハク酸ジステアリル、コハク酸エイコシル、コハク酸ベヘニル、グルタル酸ジステアリル、グルタル酸ジエイコシル、グルタル酸ベヘニル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、アジピン酸エイコシル、アジピン酸ベヘニル、スベリン酸ジセチル、スベリン酸ジステアリル、スベリン酸ジエイコシル、スベリン酸ベヘニル、アゼライン酸ミリスチル、アゼライン酸ジセチル、アゼライン酸ジステアリル、アゼライン酸エイコシル、アゼライン酸ベヘニル、セバシン酸ジミリスチル、セバシン酸ジセチル、セバシン酸ジステアリル、セバシン酸ジエイコシル、セバシン酸ジベヘニル、1−,14−テトラデカメチレンジカルボン酸ジトリデシル、1−,14−テトラデカメチレンジカルボン酸ジミリスチル、1−,14−テトラデカメチレンジカルボン酸ジセチル、1−,14−テトラデカメチレンジカルボン酸ジパルミチル、1−,14−テトラデカメチレンジカルボン酸ジステアリル、1−,14−テトラデカメチレンジカルボン酸ジエイコシル、1−,14−テトラデカメチレンジカルボン酸ジベヘニル、1−,16−ヘキサデカメチレンジカルボン酸酸ジラウリル、1−,16−ヘキサデカメチレンジカルボン酸ジトリデシル、1−,16−ヘキサデカメチレンジカルボン酸ジミリスチル、1−,16−ヘキサデカメチレンジカルボン酸ジセチル、1−,16−ヘキサデカメチレンジカルボン酸ジパルミチル、1−,16−ヘキサデカメチレンジカルボン酸ジステアリル、1−,16−ヘキサデカメチレンジカルボン酸ジエイコシル、1−,16−ヘキサデカメチレンジカルボン酸ジベヘニル、1−,18−オクタデカメチレンジカルボン酸ジデシル、1−,18−オクタデカメチレンジカルボン酸ジラウリル、1−,18−オクタデカメチレンジカルボン酸ジトリデシル、1−,18−オクタデカメチレンジカルボン酸ジミリスチル、1−,18−オクタデカメチレンジカルボン酸ジセチル、1−,18−オクタデカメチレンジカルボン酸ジパルミチル、1−,18−オクタデカメチレンジカルボン酸ジステアリル、1−,18−オクタデカメチレンジカルボン酸ジエイコシル、1−,18−オクタデカメチレンジカルボン酸ジベヘニル、1−,20−エイコシルメチレンジカルボン酸ジデシル、1−,20−エイコシルメチレンジカルボン酸ジラウリル、1−,20−エイコシルメチレンジカルボン酸ジトリデシル、1−,20−エイコシルメチレンジカルボン酸ジミリスチル、1−,20−エイコシルメチレンジカルボン酸ジセチル、1−,20−エイコシルメチレンジカルボン酸ジパルミチル、1−,20−エイコシルメチレンジカルボン酸ジステアリル、1−,20−エイコシルメチレンジカルボン酸ジエイコシル、1−,20−エイコシルメチレンジカルボン酸ジベヘニル、トリミリスチン、トリパルミチン、トリステアリン、トリノナデカノイン、カプロン酸コレステロール、カプリル酸コレステロール、カプリン酸コレステロール、ウンデカン酸コレステロール、ラウリン酸コレステロール、ミリスチン酸コレステロール、パルミチン酸コレステロール、ステアリン酸コレステロール、エイコサン酸コレステロール、ベヘン酸コレステロール等を例示できる。
ケトン類のうち、好適に用いられる脂肪族ケトン類としては、ジオクチルケトン、ジノニルケトン、ジウンデシルケトン、ジトリデシルケトン、ジペンタデシルケトン、ジヘプタデシルケトン、ジノナデシルケトン、フェニルオクチルケトン、フェニルウンデシルケトン、フェニルトリデシルケトン、フェニルペンタデシルケトン、フェニルヘプタデシルケトン等が挙げられる。
酸アミド類のうち、好適に用いられる脂肪族酸アミド類としては、ヘキシルアミド、ヘプチルアミド、オクチルアミド、ノニルアミド、デシルアミド、ウンデシルアミド、ラウリルアミド、トリデシルアミド、ミリスチルアミド、パルミチルアミド、ステアリルアミド、エイコシルアミド、ベヘニルアミド、ヘキサコシルアミド、オクタコシルアミド等が挙げられる。
エーテル化合物類としては、ペンタデシルエーエル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、ジエイコシルエーテル、ジドコシルエーテル等が挙げられる。
脂肪酸としては、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸、ヘンエイコサン酸、ベヘン酸、トリコサン酸、リグノセリン酸、ペンタコサン酸、セロチン酸、オクタコサン酸、ノナコサン酸、メリシン酸等が挙げられる。
炭化水素類としては、テトラコサン、ペンタコサン、ヘキサコサン、ヘプタコサン、オクタコサン、ノナコサン、トリアコンタン、ヘントリアコンタン、ドトリアコンタン、トリトリアコンタン、テトラトリアコンタン、1−テトラコセン、1−ペンタコセン、1−ヘキサコセン、1−ヘプタコセン、1−オクタコセン、1−ノナコセン、1−トリアコンテン等が挙げられる。
軟化点70℃以上の高分子化合物としては、アクリル共重合芳香族炭化水素樹脂を例示でき、具体的には、アクリルスチレン共重合樹脂〔三洋化成(株)製、商品名:ハイマーSBM100、ハイマーSBM73F〕を挙げることができる。
【0014】
本発明の加熱発色機構について以下に説明する。
前記した(イ)、(ロ)及び(ハ)の三成分の均質相溶混合物は、加熱時にあっては、液相に転移して(イ)と(ロ)が接触状態となり、(ロ)の呈色力が(ハ)の減感力を上回って、発色状態を現出させ、温度降下時にあっては、(ロ)が析出して、(イ)と(ロ)の結合が解離されて消色状態に復帰する可逆的変色挙動を呈する。
前記(ロ)成分として、没食子酸エステル類から選ばれる化合物の適用により、発色温度域における発色濃度の濃淡差を小となし、視覚濃度の一様性を保持できる。
前記三成分の均質相溶混合物を内包させた加熱発色型可逆熱変色性顔料の変色挙動を図1の色濃度−温度曲線の説明図について説明する。
ここで、温度T は発色開始温度、T は完全発色温度、T は消色開始温度、T は完全消色温度を示す。
ΔHは、消色状態から発色状態に至る経路と、発色状態から消色状態に至る経路の温度差として下記の式より算出される。
ΔH=(T −T )/2−(T −T )/2
色濃度−温度曲線において、色濃度の変化は矢印に沿って進行する。
 以下の温度域で消色状態を呈し、加熱過程においてT の温度より、発色し始め、T の温度に達すると完全発色状態となり、T を越える温度まで昇温させて、降温する過程においてT の温度に達すると消色し始め、更に降温すると色濃度が薄くなり、T の温度に達すると完全に消色し、ΔH値(ヒステリシス温度幅)は、7〜40℃の範囲の任意のΔH値を示し、加熱に要した熱を取り去った後にあっても、ΔH値の範囲内で発色状態を保持する特性を有する。
前記三成分系に第四の成分である、(ニ)融点50℃以上の単分子有機化合物、又は軟化点70℃以上の高分子化合物を添加した系(図2、図3)にあっては、前記(ニ)成分の作用により系内の結晶化を促進し、(ロ)没食子酸エステルの析出速度(白化)を早め、当該(ニ)成分の未添加の系(点線で示す)に較べて、消色開始温度(T )及び完全消色温度(T )を高温側にシフトさせ、ΔH値を狭めてΔH値を3〜25℃の範囲となし、発色保持温度幅の狭小化により、加熱手段により発色させた後にあって、特殊の冷却手段を適用することなく、速やかに元の消色状態への復帰を促進させるために機能する。
前記機能により、生活環境温度域での発色乃至消色の変色挙動を生起させ易くなり、変色操作も簡易性を満たす。
例えば、体温(36℃)、風呂(40℃)の温度で発色させたものが、自然放置により直ちに元の消色状態に復帰するのに対して、(ニ)成分の未添加の三成分系では、ΔHの幅が広いために10〜15℃以下に冷却するまで発色状態が保持される。
図4は、従来の加熱発色型熱変色性材料の色濃度−温度曲線の説明図であり、発色濃度がT を境に、高温側(T )で激減し、T 領域に至る低温側で激減する変色挙動を呈し、発色温度域における発色濃度の濃淡差が大きい特性を示している。
これに対し、本発明の加熱発色型可逆熱変色性顔料は、前記した図1〜図3に示す如く、発色温度域における発色濃度の濃淡差が極めて小であり、略一様の発色濃度を保持しており、加えてT が、30〜50℃の系にあっては、T −T の値が従来の系に較べて小さく,高濃度の発色挙動を呈する。
【0015】
前記各成分の配合割合について以下に説明する。
前記三成分系では、(イ)成分0.2〜20(好ましくは、0.5〜15)、(ロ)成分10〜80(好ましくは、20〜70)、(ハ)成分100の割合であり、四成分系では、前記に加えて(ニ)成分0.4〜20(好ましくは、1〜10)の重量割合が有効である。
前記(ロ)成分の、(ハ)成分に対する割合が10重量%未満では、加熱発色時の発色濃度が実用的に不充分であり、一方、80重量%を超えると(ロ)成分が過剰に存在するため、(ハ)成分中での溶解−析出の可逆性が損なわれがちであり、可逆的な発消色性を示し難く、色消えも悪い。
前記(ニ)成分の、(ハ)成分に対する割合が、0.4未満では、低温側変色曲線の高温側へのシフトの効果が不充分であり、一方、20重量%を超えると発消色の適性バランスに欠ける。
前記(ハ)成分としてはアルコール類とスチレン系樹脂の併用系が効果的であり、この点を以下に説明する。
前記必須四成分からなる内包組成物中において、(ロ)没食子酸エステルの性状変化、即ち、加温時(高温時)での溶解状態、降温時(低温時)での析出状態は、(ハ)成分の化学的性状、物性により影響を受ける。
特に、アルコール中においては、(ロ)没食子酸エステルの呈色力より、それを打ち消す力、即ち、アルコールの減感力が発揮されるため、内包組成物の発色濃度を低下させる特性を有する。
一方、スチレン系樹脂の系では、加温時(高温時)での溶解状態では、その減感力がアルコールに較べて弱く、(ロ)没食子酸エステルの呈色力への影響が少ないため、良好な発色濃度を示すのに対し、降温時(低温時)においては、(ロ)没食子酸エステルの析出現象が起こり難く、消色状態に変位し難い特性を有する。
前記した如く、アルコ−ル類とスチレン系樹脂の両特性をバランスよく組み合わせることにより、加温時(高温時)の良好な発色状態、降温時(低温時)の消色状態を共に効果的に発現させる。
更に、前記アルコール類とスチレン系樹脂の併用系は、アルコール類単独、或いは、アルコール類と、エステル類、ケトン類、炭化水素類のいずれかとの併用に比べて消色状態における残色が少ない効果を有する。
前記アルコール類とスチレン系樹脂の混合比率は、90/10〜5/95〔好ましくは、80/20〜10/90、更に好ましくは、60/40〜40/60(重量比)〕である。
又、紫外線吸収剤を全内包組成物に対し、1〜40重量%(好ましくは、1〜30重量%、更に好ましくは、5〜15重量%)配合することができる。1重量%未満では、耐光性の向上効果が不充分であり、40重量%を越えると熱変色機能に支障を来す虞がある。
【0016】
前記三成分系或いは四成分系の均質相溶混合物は、マイクロカプセルに内包させて、加熱発色型可逆熱変色性顔料を構成する。
前記マイクロカプセルは、平均粒子径0.5〜50μm、好ましくは1〜30μm、より好ましくは、1〜20μmの範囲が実用性を満たす。
前記マイクロカプセルは、最大外径の平均値が、50μmを越える系では、インキ、塗料、或いは熱可塑性樹脂中へのブレンドに際して、分散安定性や加工適性に欠ける。
一方、最大外径の平均値が0.5μm以下の系では、高濃度の発色性を示し難くなる。
ここで、マイクロカプセルの形態は、真円形断面形状のものであってもよいが、非円形断面で窪みを有するものが、熱や圧力の負荷に対して、適宜に弾性変形して応力を緩和でき、壁膜の破壊が抑制されるので効果的である。
前記マイクロカプセルにおける、内包物/壁膜=7/1〜1/1(重量比)の範囲が有効であり、内包物の比率が前記範囲より大になると発色時の色濃度及び鮮明性の低下を免れず、好適には、内包物/壁膜=6/1〜1/1(重量比)である。
尚、マイクロカプセル化は、従来より公知のイソシアネート系の界面重合法、メラミン−ホルマリン系等のin Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。
更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
【0017】
尚、本発明の加熱発色型熱変色性顔料は、一般の染顔料(非熱変色性)を配合し、有色(1)から有色(2)への変色挙動を呈することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の加熱発色型可逆熱変色性顔料は、公知のバインダー樹脂を含む媒体中に分散されて、インキ、塗料などの色材として適用され、従来より公知の方法、例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビヤ印刷、コーター、タンポ印刷、転写等の印刷手段や、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装等の塗布手段により、紙類、プラスチックシート、皮革、布帛等の諸種の支持体の表面や、コップ、ボトル、玩具類、その他の成形品の表面に加熱発色性の可逆熱変色層を形成できる。更には、溶融状態の熱可塑性樹脂等に熱変色性顔料をブレンドして一体化させた加熱発色性の成形体を得ることができる。
【0019】
【実施例】
本発明のマイクロカプセル形態の加熱発色型可逆熱変色性顔料の実施例(1〜8)における各成分の組成を以下の表に示す。
なお、マイクロカプセル化は、組成物がマイクロカプセル中に内包されるように壁膜材料にイソシアネート系樹脂を使用して行なった。
【0020】
【表1】
Figure 2004136477
【0021】
【表2】
Figure 2004136477
【0022】
次に、測定試料について説明する。尚、部とあるは、重量部を示す。
前記実施例1〜8の各熱変色性顔料40部をエチレン−酢酸ビニルエマルジョン中に攪拌分散させて得たインキを用いて、スクリーン印刷により上質紙に印刷した印刷物を測定試料とし、前記各実施例の変色特性を測定した。
測定方法
前記測定試料を色差計〔TC−3600型色差計、(株)東京電色製〕の所定位置にセットし、60℃の温度幅で速度10℃/分にて加熱及び冷却して各温度における色差計に表示された明度値をプロットした。
以下に変色特性を示す。
【0023】
【表3】
Figure 2004136477
【0024】
応用例1
実施例5で作製した顔料50部、アクリル樹脂エマルジョン14部、スチレン−アクリル共重合樹脂水溶液35部、及び消泡剤1部を攪拌混合して、インキを得、裏面ポリエチレンコート処理済みのコートカップ原紙に、グラビヤ印刷により「熱い、注意」の文字を形成した。
得られたカップは、常温で無地であったが、70℃のお茶を注ぐと「熱い、注意」のマゼンタ色の文字が現出したが、常温に戻ると再び元の無地の状態に復した。
【0025】
応用例2
実施例7で作製した顔料33.3部、液状エポキシ樹脂66.4部、及び消泡剤3.0部を均一に分散混合させて得たインキ中に、常温硬化型の脂肪族ポリアミン20.0部を添加し、攪拌混合してエポキシインキを得た。
陶磁器製カップ表面にステンレススチール製150メッシュスクリーン版にて曲面印刷した後、70℃で60分間加熱硬化して熱変色層を設けた。
前記熱変色層は、60℃以上に加温すると、青色を呈し、28℃以下で無色に復した。
【0026】
応用例3
実施例3で作製した可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル形態の顔料44.0部を、剪断減粘性付与剤を含む水性ビヒクル56.0部中に均一に分散混合して、水性ボールペン用インキを調製した。
前記ボールペン用インキを充填したボールペンを用いてレポート用紙に筆記したところ、書き出しが良好な極めて淡いピンク色の筆跡が得られた。
尚、前記筆跡を消しゴム、又は指で擦過するとピンク色を呈し、20℃の室温下では無色に復した。
【0027】
応用例4
実施例6で作製した可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料15.0部、赤色顔料1.0部、50%アクリル樹脂/キシレン溶液40.0部、キシレン20.0部、メチルイソブチルケトン20.0部、ポリイソシアネート系硬化剤6.0部からなるビヒクル中に攪拌混合してスプレー塗料を得た。
前記、可逆熱変色性スプレー塗料を、ミニチュアカーのボディ全体にスプレー塗装を施して乾燥し、可逆熱変色性ミニチュアカーを得た。
前記ミニチュアカーは、43℃以上に加温すると黒色を呈し、24℃未満では赤色に変化した。
【0028】
応用例5
実施例4で作製した可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料50部を、6,12−共重合ナイロン樹脂(融点150℃)1000部、紫外線吸収剤10部中に配合し、ヘンシェルミキサーで均一に分散した後、押出成形機を用いて成形し、可逆熱変色性(6,12−共重合ナイロン樹脂)ペレットを得た。前記ペレットを原料として、溶融紡糸を行い可逆熱変色性フィラメントを得た。
前記可逆熱変色性フィラメントは40℃以上に加温すると、ピンク色を呈し、22℃未満では無色に復した。
【0029】
【発明の効果】
本発明の加熱発色型可逆熱変色性顔料は、発色温度域における発色濃度の濃淡差が小であり、温度−色濃度曲線におけるΔH値(ヒステリシス温度幅)が3〜40℃の範囲にある任意のΔH値を選択できる。具体的には、三成分系におけるΔH値が7〜40℃の範囲のもの、更には四成分系におけるΔH値が3〜25℃の範囲のもの、等を目的に応じて実用できる。
前記四成分系にあっては、三成分系における消色開始温度域を高温側にシフトさせ、ΔH値を狭め、発色保持温度幅を狭小化させて、加熱手段により発色させた後、特殊の冷却手段を適用することなく、速やかに元の消色状態に復帰させることができる。
更には、本発明の加熱発色型可逆熱変色性顔料は、前記変色特性に加えて、熱や圧力に対して耐性を有しており、示温、検温分野は勿論、玩具、教材、各種カード、飲食容器、包装材、家庭用品、衣料、装飾、デザイン分野等への新たな応用展開が可能である。
殊に、湯呑み、風呂用玩具、教習材等にあっては、簡易に加熱発色像を現出させることができると共に、自然冷却により元の様相に復帰させることができ、商品性を高めることができる。更には、加熱消色型の熱変色性材料と組合せることにより多彩な色変化を現出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加熱発色型可逆熱変色性顔料のうち、三成分系〔(イ)、(ロ)、(ハ)〕の温度−色濃度曲線の説明図である。
【図2】本発明の加熱発色型可逆熱変色性顔料のうち、四成分系〔(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)〕の温度−色濃度曲線の説明図である。
【図3】(ニ)成分の配合により、低温側変色点を高温側にシフトさせた状態の説明図である。
【図4】従来の加熱発色型可逆熱変色性材料の温度−色濃度曲線の説明図である。
【符号の説明】
  発色開始温度
  完全発色温度
  消色開始温度
  完全消色温度
   高温領域

Claims (7)

  1. 消色状態からの加熱により発色状態を呈し、前記発色状態からの降温により消色状態に復帰する加熱発色型の可逆熱変色性顔料において、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)没食子酸エステル類から選ばれる電子受容性化合物、(ハ)前記両者の呈色反応を特定温度域で可逆的に生起させる、アルコール類、エステル類、ケトン類、炭化水素類から選ばれる融点が50℃未満の反応媒体、及び、重量平均分子量が200〜65000であり、軟化点が150℃未満のポリスチレン系樹脂を少なくとも内包させ、温度−色濃度曲線におけるΔH値(ヒステリシス温度幅)が3〜40℃の範囲にある任意のΔH値を選択自在に構成した、平均粒子径0.5〜50μmのマイクロカプセル形態の加熱発色型可逆熱変色性顔料。
  2. 前記(イ)、(ロ)、及び(ハ)成分を内包させた、温度−色濃度曲線におけるΔH値(ヒステリシス温度幅)が、7〜40℃の範囲にある請求項1記載の加熱発色型可逆熱変色性顔料。
  3. 前記(ロ)成分の、(ハ)成分に対する割合が、20〜80重量%である請求項1又は2記載の加熱発色型可逆熱変色性顔料。
  4. 前記(ハ)成分として、アルコール類とスチレン系樹脂を併用してなり、且つ、アルコール類とスチレン系樹脂の混合比率が、90/10〜5/95(重量比)である請求項1乃至3のいずれかに記載の加熱発色型可逆熱変色性顔料。
  5. (ニ)融点50℃以上の単分子化合物又は軟化点70℃以上の高分子化合物から選ばれる化合物を第四成分として内包させた、温度−色濃度曲線におけるΔH値(ヒステリシス温度幅)が、3〜25℃の範囲にある請求項1乃至4のいずれかに記載の加熱発色型可逆熱変色性顔料。
  6. 前記(ニ)成分の、(ハ)成分に対する割合が、0.4〜20重量%である請求項1乃至5のいずれかに記載の加熱発色型可逆熱変色性顔料。
  7. 紫外線吸収剤が、全内包組成物に対し、1〜40重量%配合されてなる請求項1乃至6のいずれかに記載の加熱発色型可逆熱変色性顔料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015086234A (ja) * 2013-10-28 2015-05-07 パイロットインキ株式会社 可逆熱変色性成形用樹脂組成物及びそれを用いた成形体
GB2555783B (en) * 2016-11-04 2022-09-28 Bayerische Motoren Werke Ag Automotive interiors

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