JP7422017B2 - 描画体セット - Google Patents

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Description

本発明は描画体セットに関する。更に詳細には、消色状態からの加熱により発色する可逆熱変色層を備えた被描画材と、描画具とからなる描画体セットに関する。
従来、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)による電子授受反応を可逆的に生起させる反応媒体からなる可逆熱変色性組成物のうち、(ロ)成分としてヒドロキシ安息香酸エステルを用いることによって、消色状態からの加熱により発色状態となり、降温により消色状態に復帰する変色挙動を示す可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
前記可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料を用いた可逆熱変色層を備えたシートは、加熱により発色状態を示すものの、発色する温度が高く、日常生活温度や日常生活温度近傍の温度で容易に発色させることは困難であった。また、日常生活温度や日常生活温度近傍の温度で発色させることができたとしても、発色状態における色濃度が低く、描画用途には不向きであった。
特開2001-105732号公報
本発明者は、被描画材の可逆熱変色層に(ロ)電子受容性化合物として特定のヒドロキシフェニル酢酸エステル化合物を用い、且つ、(ニ)成分として特定の化合物を添加することによって、生活環境温度域や日常生活温度近傍の温度で容易に消色状態からの加熱により発色状態となり、再び消色状態に復帰する変色挙動を示すと共に、発色時の色濃度が高い可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を用いた被描画材と、加熱部を備えた描画具とを組み合わせることによって、簡便に描画することのできる描画体セットが得られることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物として下記一般式(1)で示されるジヒドロキシフェニル酢酸エステル化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)による電子授受反応を可逆的に生起させる反応媒体として鎖式炭化水素類、脂環族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類から選ばれる化合物と、(ニ)軟化点が5℃以上、且つ、質量平均分子量が200乃至10万のスチレン系化合物とからなる消色状態からの加熱により発色状態となり、発色状態からの降温により消色状態となる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を含む可逆熱変色層を備えた被描画材と、加熱部を備えた描画具とからなる描画体セットを要件とする。
Figure 0007422017000001
(式中、Rは炭素数12~22の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、X、Y、及びZは、それぞれ独立に、水素または水酸基であり、それらのうち二つ又は三つが水酸基であり、残りは水素である。)
更には、X、Y、及びZのうち二つが水酸基であり、一つが水素であること、X及びYが水酸基であり、Zが水素であること、Rが炭素数12~22の直鎖のアルキル基であること、Rが炭素数16~20の直鎖のアルキル基であること、可逆熱変色性組成物中に(ホ)融点が50℃以上のアルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、酸アミド類、芳香族炭化水素類から選ばれる化合物を含んでなること、(ホ)成分が、エステル類、エーテル類、及び芳香族炭化水素類からなる群から選ばれる化合物であること、描画体の加熱部が通電加熱部、熱媒体を収容する容器部、摩擦熱を生じる摩擦部から選ばれる加熱部であること、前記被描画材は、支持体上に可逆熱変色層を設けてなること等を要件とする。
本発明は、加熱部を備えた描画具により、可逆熱変色層を備えた被描画材に色濃度の高い視認性に優れた像を簡便に形成することができる教習要素、玩具要素等に適用可能な描画体セットを提供できる。
本発明の描画体セットの一実施例を示す説明図である。
以下に可逆熱変色性組成物の各成分について具体的に化合物を例示する。
(イ)成分、即ち電子供与性呈色性有機化合物は、色を決める成分であって、顕色剤である(ロ)成分に電子を供与し、発色する化合物である。
前記電子供与性呈色性有機化合物としては、フタリド化合物、フルオラン化合物、スチリノキノリン化合物、ジアザローダミンラクトン化合物、ピリジン化合物、キナゾリン化合物、ビスキナゾリン化合物等が挙げられ、これらのうちフタリド化合物およびフルオラン化合物が好ましい。
前記フタリド化合物としては、例えばジフェニルメタンフタリド化合物、フェニルインドリルフタリド化合物、インドリルフタリド化合物、ジフェニルメタンアザフタリド化合物、フェニルインドリルアザフタリド化合物、およびそれらの誘導体などが挙げられ、これらの中でも、フェニルインドリルアザフタリド化合物、ならびにそれらの誘導体が好ましい。
また、フルオラン化合物としては、例えば、アミノフルオラン化合物、アルコキシフルオラン化合物、およびそれらの誘導体が挙げられる。
以下にこれらの化合物を例示する。
3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、
3-(4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、
3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-ヘキシルオキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-〔2-エトキシ-4-(N-エチルアニリノ)フェニル〕-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-アセトアミド-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-プロピルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3,6-ビス(ジフェニルアミノ)フルオラン、
3,6-ジメトキシフルオラン、
3,6-ジ-n-ブトキシフルオラン、
2-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
3-クロロ-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-メチル-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-(2-クロロアミノ)-6-ジブチルアミノフルオラン、
2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジペンチルアミノフルオラン、
2-(ジベンジルアミノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(N-メチルアニリノ)-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
1,3-ジメチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-クロロ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-キシリジノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
1,2-ベンツ-6-ジエチルアミノフルオラン、
1,2-ベンツ-6-(N-エチル-N-イソブチルアミノ)フルオラン、
1,2-ベンツ-6-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)フルオラン、
2-(3-メトキシ-4-ドデコキシスチリル)キノリン、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕-3′-オン,2-(ジエチルアミノ)-8-(ジエチルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕-3′-オン,2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(ジ-n-ブチルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕-3′-オン,2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(ジエチルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕-3′-オン,2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(N-エチル-N-i-アミルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕-3′-オン,2-(ジブチルアミノ)-8-(ジペンチルアミノ)-4-メチル、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-〔4-(ジメチルアミノ)-2-メトキシフェニル〕-3-(1-ブチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-〔4-(ジエチルアミノ)-2-エトキシフェニル〕-3-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-〔4-(ジエチルアミノ)-2-エトキシフェニル〕-3-(1-ペンチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-[4-(ジエチルアミノ)-2-メチルフェニル]-3-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
3′,6′-ビス〔フェニル(2-メチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-〔9H〕キサンテン]-3-オン、
3′,6′-ビス〔フェニル(3-メチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-〔9H〕キサンテン]-3-オン、
3′,6′-ビス〔フェニル(3-エチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-〔9H〕キサンテン]-3-オン、
2,6-ビス(2′-エチルオキシフェニル)-4-(4′-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2,6-ビス(2′,4′-ジエチルオキシフェニル)-4-(4′-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2-(4′-ジメチルアミノフェニル)-4-メトキシ-キナゾリン、
4,4′-(エチレンジオキシ)-ビス〔2-(4-ジエチルアミノフェニル)キナゾリン〕
等を挙げることができる。
なお、フルオラン類としては、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有する前記化合物の他、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有すると共にラクトン環を形成するフェニル基にも置換基(例えば、メチル基等のアルキル基、クロロ基等のハロゲン原子)を有する青色や黒色を呈する化合物であってもよい。
前記(ロ)電子受容性化合物としては、一般式(1)で示されるヒドロキシフェニル酢酸エステル化合物が用いられる。
Figure 0007422017000002
式中、Rは炭素数12~22の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、X、Y、及びZは、それぞれ独立に水素又は水酸基であり、それらのうち二つ又は三つが水酸基であり、好ましくはX、Y、及びZのうち二つが水酸基であり、一つが水素である。
更に好ましくは、X及びYが水酸基であり、Zが水素である。具体的には、一般式(2)で示される3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸エステル化合物が好ましいものであり、これは発色時の色濃度が高いため好適に用いられる。
Figure 0007422017000003
式中、Rは式(1)中のRと同じである。
ヒドロキシフェニル酢酸エステル化合物のアルキル基は、炭素数が12~22の直鎖又は分岐のアルキル基、好ましくは炭素数が14~22の直鎖又は分岐のアルキル基である。炭素数が12未満或いは22を越えるアルキル基を有する化合物では結晶性が低いため実用性を満足させない。また、変色特性や発色濃度に優れる等、実用性能を考慮すると炭素数12~22の直鎖アルキル基であることが好ましく、より好ましくは炭素数16~22の直鎖アルキル基、更に好ましくは16~20の直鎖アルキル基、より更に好ましくは16~18の直鎖アルキル基である。
ヒドロキシフェニル酢酸エステル化合物としては、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸ドデシル、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸トリデシル、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸テトラデシル、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸2-メチルトリデシル、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸ペンタデシル、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸ヘキサデシル、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸2-エチルテトラデシル、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸ヘプタデシル、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸2-メチルヘキサデシル、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸オクタデシル、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸2-メチルヘプチルデシル、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸2-エチルヘキサデシル、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸ノナデシル、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸エイコシル、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸2-メチルノナデシル、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸2-エチルオクタデシル、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸ヘンエイコシル、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸ドコシル、3,5-ジヒドロキシフェニル酢酸ドデシル、3,5-ジヒドロキシフェニル酢酸トリデシル、3,5-ジヒドロキシフェニル酢酸テトラデシル、3,5-ジヒドロキシフェニル酢酸2-メチルトリデシル、3,5-ジヒドロキシフェニル酢酸ペンタデシル、3,5-ジヒドロキシフェニル酢酸ヘキサデシル、3,5-ジヒドロキシフェニル酢酸2-エチルテトラデシル、3,5-ジヒドロキシフェニル酢酸ヘプタデシル、3,5-ジヒドロキシフェニル酢酸2-メチルヘキサデシル、3,5-ジヒドロキシフェニル酢酸オクタデシル、3,5-ジヒドロキシフェニル酢酸2-メチルヘプチルデシル、3,5-ジヒドロキシフェニル酢酸2-エチルヘキサデシル、3,5-ジヒドロキシフェニル酢酸ノナデシル、3,5-ジヒドロキシフェニル酢酸エイコシル、3,5-ジヒドロキシフェニル酢酸2-メチルノナデシル、3,5-ジヒドロキシフェニル酢酸2-エチルオクタデシル、3,5-ジヒドロキシフェニル酢酸ヘンエイコシル、3,5-ジヒドロキシフェニル酢酸ドコシルが挙げられる。更には、さらには、X、Y、およびZのすべてが水酸基であるものとして、3,4,5-トリヒドロキシフェニル酢酸ドデシル、3,4,5-トリヒドロキシフェニル酢酸トリデシル、3,4,5-トリヒドロキシフェニル酢酸テトラデシル、3,4,5-トリヒドロキシフェニル酢酸2-メチルトリデシル、3,4,5-トリヒドロキシフェニル酢酸ペンタデシル、3,4,5-トリヒドロキシフェニル酢酸ヘキサデシル、3,4,5-トリヒドロキシフェニル酢酸2-エチルテトラデシル、3,4,5-トリヒドロキシフェニル酢酸ヘプタデシル、3,4,5-トリヒドロキシフェニル酢酸2-メチルヘキサデシル、3,4,5-トリヒドロキシフェニル酢酸オクタデシル、3,4,5-トリヒドロキシフェニル酢酸2-メチルヘプチルデシル、3,4,5-トリヒドロキシフェニル酢酸2-エチルヘキサデシル、3,4,5-トリヒドロキシフェニル酢酸ノナデシル、3,4,5-トリヒドロキシフェニル酢酸エイコシル、3,4,5-トリヒドロキシフェニル酢酸2-メチルノナデシル、3,4,5-トリヒドロキシフェニル酢酸2-エチルオクタデシル、3,4,5-トリヒドロキシフェニル酢酸ヘンエイコシル、3,4,5-トリヒドロキシフェニル酢酸ドコシルなども用いることができる。一般に水酸基が多い化合物は、発色時の色濃度が高い傾向にある。
(ハ)前記(イ)、(ロ)による電子授受反応を可逆的に生起させる反応媒体としては、鎖式炭化水素類、脂環族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類から選ばれる化合物が用いられる。
前記化合物を用いることにより、(イ)成分と(ロ)成分の反応による発色性に対する減感性が小さく、加熱による発色する変色挙動と色濃度の向上に効果的に機能する。
なお、前記(ロ)成分のヒドロキシ安息香酸エステルはアルキル基の炭素数が大きい程、結晶性が高い傾向にあり、(ハ)成分の添加により結晶性の高いヒドロキシ安息香酸エステルを低温領域の変色温度で使用可能となる。
前記鎖式炭化水素類としては、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、ヘンエイコサン、ドコサン、トリコサン、テトラコサン、ペンタコサン、ヘキサコサン、ヘプタコサン、オクタコサン、ノナコサン、トリアコンタン等の飽和鎖式炭化水素類、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、1-ヘンエイコセン、1-ドコセン、1-トリコセン、1-テトラコセン、1-ペンタコセン、1-ヘキサコセン、1-ヘプタコセン、1-オクタコセン、1-ノナコセン、1-トリアコンテン等の不飽和鎖式炭化水素類を例示できる。
脂環式炭化水素類としては、シクロオクタン、シクロドデカン、n-ペンタデシルシクロヘキサン、n-オクタデシルシクロヘキサン、n-ノナデシルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン等を例示できる。
ハロゲン化炭化水素類としては、1-ブロモデカン、1-ブロモウンデカン、1-ブロモドデカン、1-ブロモトリデカン、1-ブロモテトラデカン、1-クロロテトラデカン、1-ブロモペンタデカン、1-ブロモヘキサデカン、1-クロロヘキサデカン、1-ヨードヘキサデカン、1-ブロモヘプタデカン、1-ブロモオクタデカン、1-クロロオクタデカン、1-ヨードオクタデカン、1-ブロモエイコサン、1-クロロエイコサン、1-ブロモドコサン、1-クロロドコサン等を例示できる。
前記(ニ)軟化点が5℃以上、且つ、質量平均分子量が200乃至10万のスチレン系化合物を以下に例示する。
前記スチレン系化合物は質量平均分子量が200乃至6000ものが好適に用いられる。
なお、質量平均分子量は、GPC法(ゲル浸透クロマトグラフ法)により測定する。
前記スチレン系化合物としては、低分子量ポリスチレン、スチレン-α-メチルスチレン系共重合体、α-メチルスチレン重合体、α-メチルスチレンとビニルトルエンの共重合体等が挙げられる。
低分子量ポリスチレンとしては、三洋化成工業(株)製、商品名:ハイマーSB-75(質量平均分子量2000)、ハイマーST-95(質量平均分子量4000)等が用いられる。
スチレン-α-メチルスチレン系共重合体としては、理化ハーキュレス(株)製、商品名:ピコラスチックA5(質量平均分子量317)、ピコラスチックA75(質量平均分子量917)、理化ハーキュレス(株)製、商品名:ピコラスチックD125(質量平均分子量3000)等が用いられる。
α-メチルスチレン重合体としては、理化ハーキュレス(株)製、商品名:クリスタレックス3085(質量平均分子量664)、クリスタレックス3100(質量平均分子量1020)、クリスタレックス1120(質量平均分子量2420)等が用いられる。
α-メチルスチレンとビニルトルエンの共重合体としては、理化ハーキュレス(株)製、商品名:ピコテックスLC(質量平均分子量950)、ピコテックス100(質量平均分子量1740)等が用いられる。
前記スチレン系化合物は単独で用いてもよいし、2種類以上を併用して用いることもできる。
前記(ニ)成分を添加することにより、反応媒体である鎖式炭化水素類、脂環族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類から選ばれる化合物の極性が変化するため、(ロ)成分の反応媒体に対する溶解性が減少し、徐々に(ロ)成分の結晶化が進行することになる。そのため、発色状態から降温過程で消色誘発温度迄冷却した可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は放置すると消色する。
(ホ)融点が50℃以上のアルコール類、エステル類、エーテル類、ケトン類、酸アミド類、芳香族炭化水素類から選ばれる化合物を以下に例示する。
前記アルコール類としては、ヘキサデカン1-オール、ヘプタデカン1-オール、オクタデカン1-オール、ノナデカン1-オール、エイコサン1-オール、ヘンエイコサン1-オール、ドコサン1-オール、テトラコサン1-オール、ヘキサコサン1-オール、オクタコサン1-オール、トリアコンタン1-オール等が挙げられる。
前記エステル類としては、ラウリン酸エイコシル、ラウリン酸ベヘニル、ラウリン酸テトラコシル、ラウリン酸ヘキサコシル、ラウリン酸オクタコシル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸ステアリル、ミリシチン酸エイコシル、ミリスチン酸ベヘニル、ミリスチン酸テトラコシル、ミリスチン酸ヘキサコシル、ミリスチン酸オクタコシル、パルミチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸ステアリル、パルミチン酸エイコシル、パルミチン酸ベヘニル、パルミチン酸テトラコシル、パルミチン酸ヘキサコシル、パルミチン酸オクタコシル、ステアリン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸エイコシル、ステアリン酸ベヘニル、ステアリン酸テトラコシル、ステアリン酸ヘキサコシル、ステアリン酸オクタコシル、エイコ酸デシル、エイコ酸ウンデシル、エイコ酸トリデシル、エイコ酸ミリスチル、エイコ酸セチル、エイコ酸ステアリル、エイコ酸エイコシル、エイコ酸ドコシル、エイコ酸テトラコシル、エイコ酸ヘキサコシル、エイコ酸オクタコシル、ベヘン酸メチル、ベヘン酸ヘキシル、ベヘン酸オクチル、ベヘン酸デシル、ベヘン酸ウンデシル、ベヘン酸ラウリル、ベヘン酸トリデシル、ベヘン酸ミリスチル、ベヘン酸セチル、ベヘン酸ステアリル、ベヘン酸エイコシル、べへン酸ベヘニル、ベヘン酸テトラコシル、ベヘン酸ヘキサコシル、ベヘン酸オクタコシル、シュウ酸ジステアリル、シュウ酸ジエイコシル、シュウ酸ベヘニル、コハク酸ジステアリル、コハク酸エイコシル、コハク酸ベヘニル、グルタル酸ジステアリル、グルタル酸ジエイコシル、グルタル酸ベヘニル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、アジピン酸エイコシル、アジピン酸ベヘニル、スベリン酸ジセチル、スベリン酸ジステアリル、スベリン酸ジエイコシル、スベリン酸ベヘニル、アゼライン酸ミリスチル、アゼライン酸ジセチル、アゼライン酸ジステアリル、アゼライン酸エイコシル、アゼライン酸ベヘニル、セバシン酸ジミリスチル、セバシン酸ジセチル、セバシン酸ジステアリル、セバシン酸ジエイコシル、セバシン酸ジベヘニル、1,14-テトラデカメチレンジカルボン酸ジトリデシル、1,14-テトラデカメチレンジカルボン酸ジミリスチル、1,14-テトラデカメチレンジカルボン酸ジセチル、1,14-テトラデカメチレンジカルボン酸ジパルミチル、1,14-テトラデカメチレンジカルボン酸ジステアリル、1,14-テトラデカメチレンジカルボン酸ジエイコシル、1,14-テトラデカメチレンジカルボン酸ジベヘニル、1,16-ヘキサデカメチレンジカルボン酸ジラウリル、1,16-ヘキサデカメチレンジカルボン酸ジトリデシル、1,16-ヘキサデカメチレンジカルボン酸ジミリスチル、1,16-ヘキサデカメチレンジカルボン酸ジセチル、1,16-ヘキサデカメチレンジカルボン酸ジパルミチル、1,16-ヘキサデカメチレンジカルボン酸ジステアリル、1,16-ヘキサデカメチレンジカルボン酸ジエイコシル、1,16-ヘキサデカメチレンジカルボン酸ジベヘニル、1,18-オクタデカメチレンジカルボン酸ジデシル、1,18-オクタデカメチレンジカルボン酸ジラウリル、1,18-オクタデカメチレンジカルボン酸ジトリデシル、1,18-オクタデカメチレンジカルボン酸ジミリスチル、1,18-オクタデカメチレンジカルボン酸ジセチル、1,18-オクタデカメチレンジカルボン酸ジパルミチル、1,18-オクタデカメチレンジカルボン酸ジステアリル、1,18-オクタデカメチレンジカルボン酸ジエイコシル、1,18-オクタデカメチレンジカルボン酸ジベヘニル、1,20-エイコシルメチレンジカルボン酸ジデシル、1,20-エイコシルメチレンジカルボン酸ジラウリル、1,20-エイコシルメチレンジカルボン酸ジトリデシル、1,20-エイコシルメチレンジカルボン酸ジミリスチル、1,20-エイコシルメチレンジカルボン酸ジセチル、1,20-エイコシルメチレンジカルボン酸ジパルミチル、1,20-エイコシルメチレンジカルボン酸ジステアリル、1,20-エイコシルメチレンジカルボン酸ジエイコシル、1,20-エイコシルメチレンジカルボン酸ジベヘニル、トリミリスチン、トリパルミチン、トリステアリン、トリノナデカノイン、カプロン酸コレステロール、カプリル酸コレステロール、カプリン酸コレステロール、ウンデカン酸コレステロール、ラウリン酸コレステロール、ミリスチン酸コレステロール、パルミチン酸コレステロール、ステアリン酸コレステロール、エイコサン酸コレステロール、ベヘン酸コレステロール等が挙げられる。
前記エーテル類としては、ペンタデシルエーエル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、ジエイコシルエーテル、ジドコシルエーテル等が挙げられる。
前記ケトン類としては、ジオクチルケトン、ジノニルケトン、ジウンデシルケトン、ジトリデシルケトン、ジペンタデシルケトン、ジヘプタデシルケトン、ジノナデシルケトン、フェニルオクチルケトン、フェニルウンデシルケトン、フェニルトリデシルケトン、フェニルペンタデシルケトン、フェニルヘプタデシルケトン等が挙げられる。
前記酸アミド類としては、ヘキシルアミド、ヘプチルアミド、オクチルアミド、ノニルアミド、デシルアミド、ウンデシルアミド、ラウリルアミド、トリデシルアミド、ミリスチルアミド、パルミチルアミド、ステアリルアミド、エイコシルアミド、ベヘニルアミド、ヘキサコシルアミド、オクタコシルアミド等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素類としては、ビフェニル、オルトターフェニル、メタターフェニル、パラターフェニル、テルチオフェン等が挙げられる。
(ホ)成分として下記表に記載された化合物を用いることもできる。
Figure 0007422017000004
(ホ)成分は、好ましくはエステル類、エーテル類、及び芳香族炭化水素類からなる群から選ばれる化合物であり、より好ましくは芳香族炭化水素類である。
発色状態から降温過程で(ニ)成分によって(ロ)成分の結晶化が進行して消色するが、完全に消色するまでに時間がかかることがあり、前記(ホ)成分を添加することにより更に結晶化を促進させ、消色鋭敏性を向上させることができる。
前記(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)成分の割合は、色濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の特性が得られる成分比は、(イ)成分1に対して、(ロ)成分0.1~50、好ましくは0.5~20、(ハ)成分1~200、好ましくは5~100、(ニ)成分0.1~10.0、好ましくは0.5~5.0の範囲、(ホ)成分0.1~5.0、好ましくは0.1~3.0の範囲である(前記割合はいずれも質量部である)。
前記可逆熱変色性組成物はマイクロカプセルに内包して使用される。それは、酸性物質、塩基性物質、過酸化物等の化学的に活性な物質又は他の溶剤成分と接触しても、その機能を低下させることがないことは勿論、耐熱安定性が保持できるためであり、種々の使用条件において可逆熱変色性組成物は同一の組成に保たれ、同一の作用効果を奏することができるからである。
前記可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、粒子径0.1~100μm、好ましくは0.5~30μm、より好ましくは1~20μmの範囲が実用性を満たす。
尚、粒子径および平均粒子径の測定は、マウンテック社製の画像解析式粒度分布測定ソフトウェア「マックビュー」を用いて粒子の領域を判定し、粒子の領域の面積から投影面積円相当径(Heywood径)を算出し、その値による等体積球相当の粒子の粒子径および平均粒子径として測定した値である。また、全ての粒子或いは大部分の粒子の粒子径が0.2μmを超える場合には、粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製、製品名:Multisizer 4e)を用いてコールター法により等体積球相当の粒子の粒子径および平均粒子径として測定することも可能である。
さらに、コールター法による測定装置を用いて計測した数値を基にしてキャリブレーションしたレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(装置名:LA-300、株式会社堀場製作所製)を用いて、体積基準の粒子径および平均粒子径(メジアン径)を測定しても良い。
尚、各成分は各々2種以上の化合物の混合であってもよく、更には機能に支障のない範囲で光安定剤を添加することができる。
前記光安定剤としては、(イ)成分の光反応による励起状態によって生ずる光劣化を防止する紫外線吸収剤、可視光線吸収剤、赤外線吸収剤、酸化防止剤、カロチン類、色素類、アミン類、フェノール類、ニッケル錯体類、スルフィド類等の一重項酸素消光剤、オキシドジスムスターゼとコバルト、及びニッケルの錯体等のスーパーオキシドアニオン消光剤、オゾン消光剤等、酸化反応を抑制する化合物が挙げられ、0.3~24質量%、好ましくは0.8~16質量%の割合で配合される。なかでも、前記紫外線吸収剤と、酸化防止剤及び/又は一重項酸素消光剤を併用した系にあっては、耐光性の向上に特に効果的である。
又、老化防止剤、帯電防止剤、極性付与剤、揺変性付与剤、消泡剤等を必要に応じて添加して機能を向上させることもできる。
更には、一般染顔料(非熱変色性)を配合することもできる。
前記(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)成分、或いは、(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ)成分よりなる可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の変色特性を説明する。
消色状態を呈する可逆熱変色性組成物は、加熱過程において発色開始温度(T)の温度より発色し始め、完全発色温度(T)に達すると完全発色状態となり、降温する過程で消色誘発温度迄冷却した可逆熱変色性組成物は放置すると消色する。
は、好ましくは15~35℃であり、より好ましくは15~27℃である。Tは、好ましくは25~50℃であり、より好ましくは25~40℃である。
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、膜形成材料であるバインダーを含む媒体中に分散されて、インキ、塗料などの可逆熱変色性材料として適用され、従来より公知の方法、例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビヤ印刷、コーター、タンポ印刷、転写等の印刷手段、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、流し塗り、ローラー塗り、浸漬塗装、等の手段により、紙、合成紙、布帛、植毛或いは起毛布、不織布、合成皮革、レザー、プラスチック、ガラス、陶磁器、木材、石材等の支持体上に可逆熱変色層を形成したり、或いは支持体中に分散して被描画材と得ることができる。
更には、溶融状態の熱可塑性プラスチック中に混練して一体化された材料として被描画材を得ることもできる。
前記描画具は、加熱部を備えてなる。
前記加熱部としては、抵抗発熱体を用いた通電加熱部、温風を送風する通電加熱部、温水等の熱媒体を収容する容器部、摩擦熱を生じる摩擦部等が挙げられる。
摩擦部に用いられる摩擦体としては、弾性感に富み、擦過時に適度な摩擦を生じて摩擦熱を発生させることのできるゴム、エラストマー、プラスチック発泡体等の弾性体が好適である。前記摩擦体の材質としては、シリコーン樹脂、SBS樹脂(スチレン-ブチレン-スチレン共重合体)、SEBS樹脂(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体)、ポリエステル系樹脂が好適に用いられる。
前記摩擦体の形状は特に限定されるものではないが、球形の他、正方形、長方形、三角錘、四角錘、円錐、円柱等の多面体形状、人形、動物、植物、乗物、建造物、食品等の形態であってもよい。また、前記摩擦体をプラスチック、ガラス、陶磁器、木材、石材、金属等の成形物に取り付けて用いることもできる。
前記被描画材と、描画具とを組み合わせて利便性に富む描画体セットを得ることができる。
本発明の実施例に用いられる可逆熱変色性組成物の組成を以下の表に示す。
なお、表中の( )内の数字は質量部を示し、以下の配合量を示す数字はいずれも質量部である。
Figure 0007422017000005
表中の(ニ)成分について、ピコラスチックA75は、低分子量ポリスチレン樹脂、軟化点75℃であり、ピコラスチックD125は、低分子量ポリスチレン樹脂、軟化点125℃である。
各可逆熱変色性組成物を加温溶融して相溶体とした後、エポキシ樹脂及びアミン硬化剤による界面重合反応によりエポキシ樹脂皮膜で内包されたマイクロカプセル形態の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を得た。
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料について、以下の測定試料を作製した後、以下の測定方法により変色温度を測定した。
測定試料
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の変色特性は、マイクロカプセル顔料40部をエチレン-酢酸ビニルエマルジョン60部中に分散してなる可逆熱変色性インキを用いて、スクリーン印刷により上質紙に印刷した印刷物を測定試料とした。
測定方法
実施例1乃至7の測定試料を色差計〔TC-3600型色差計、(株)東京電色製〕の所定箇所にセットし、0℃から40℃の温度幅で速度10℃/分にて加熱する。
40℃迄加熱した後、消色誘発温度迄冷却し、放置して消色させた。
各実施例の色変化、発色開始温度(T)、完全発色温度(T)、消色誘発温度、発色時の色濃度(明度値)を以下の表に示す。
Figure 0007422017000006
比較例に用いられる可逆熱変色性組成物の組成を以下の表に示す。
なお、表中の( )内の数字は質量部を示し、以下の配合量を示す数字はいずれも質量部である。
Figure 0007422017000007
各可逆熱変色性組成物を加温溶融して相溶体とした後、エポキシ樹脂及びアミン硬化剤による界面重合反応によりエポキシ樹脂皮膜で内包されたマイクロカプセル形態の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を得た。
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料について、以下の測定試料を作製した後、以下の測定方法により変色温度を測定した。
測定試料
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の変色特性は、マイクロカプセル顔料40部をエチレン-酢酸ビニルエマルジョン60部中に分散してなる可逆熱変色性インキを用いて、スクリーン印刷により上質紙に印刷した印刷物を測定試料とした。
測定方法
比較例1及び2の測定試料を色差計〔TC-3600型色差計、(株)東京電色製〕の所定箇所にセットし、0℃から40℃の温度幅で速度10℃/分にて加熱する。
40℃迄加熱した後、消色誘発温度迄冷却し、放置して消色させた。
各実施例の色変化、発色開始温度(T)、完全発色温度(T)、消色誘発温度、発色時の色濃度(明度値)を以下の表に示す。
なお、表中の明度値は、小さいほど濃度が高く、大きいほど濃度が低いことを示している。
Figure 0007422017000008
実施例1(図1参照)
実施例1の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料50.0部を、アマニ油系オフセットインキビヒクル50.0部中に均一に分散混合して、可逆熱変色性オフセットインキを調製した。
支持体として上質紙に前記オフセットインキを用いてオフセット印刷を行ない、可逆熱変色層を形成して被描画材2(可逆熱変色性シート)を得た。
前記被描画材2と、円筒形状の中空容器からなる描画具3とを組み合わせて描画体セット1を得た。
前記被描画材上から、40℃の温水を充填した描画具を用いて筆記して可逆熱変色層を26℃以上に加温すると青色の像を形成することができる。
前記被描画材を20℃迄冷却した後、放置すると前記被描画材は全面が白色を呈する。
実施例2
実施例2の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料50.0部を、アマニ油系オフセットインキビヒクル50.0部中に均一に分散混合して、可逆熱変色性オフセットインキを調製した。
支持体として上質紙に前記オフセットインキを用いてオフセット印刷を行ない、可逆熱変色層を形成して被描画材(可逆熱変色性シート)を得た。
前記被描画材と、抵抗発熱体を備えた通電式の描画具とを組み合わせて描画体セットを得た。
前記被描画材上から、描画具を用いて筆記して可逆熱変色層を50℃以上に加温すると青色の像を形成することができる。
前記被描画材を37℃迄冷却した後、放置すると前記被描画材は全面が白色を呈する。
実施例3
実施例3の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料30.0部、エチレン-エチルアクリレート共重合樹脂(メルトフローレート5.0)1000.0部、紫外線吸収剤10.0部、金属石鹸系滑剤0.5部を混合して、タンブラーミキサーで均一に分散した後、押出成形機を用いて可逆熱変色性成形用樹脂組成物を得た。
前記可逆熱変色性成形用樹脂組成物を用いて、インフレーション成形を行い、被描画材(可逆熱変色性シート)を得た。
前記被描画材と、円筒形状の中空容器からなる描画具とを組み合わせて描画体セットを得た。
前記被描画材上から、40℃の温水を充填した描画具を用いて筆記して可逆熱変色層を32℃以上に加温すると青色の像を形成することができる。
前記被描画材を26℃迄冷却した後、放置すると前記被描画材は全面が白色を呈する。
実施例4
実施例4の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料30.0部、エチレン-エチルアクリレート共重合樹脂(メルトフローレート5.0)1000.0部、紫外線吸収剤10.0部、金属石鹸系滑剤0.5部を混合して、タンブラーミキサーで均一に分散した後、押出成形機を用いて可逆熱変色性成形用樹脂組成物を得た。
前記可逆熱変色性成形用樹脂組成物を用いて、インフレーション成形を行い、被描画材(可逆熱変色性シート)を得た。
前記被描画材と、抵抗発熱体を備えた通電式の描画具とを組み合わせて描画体セットを得た。
前記被描画材上から、描画具を用いて筆記して可逆熱変色層を38℃以上に加温するとピンク色の像を形成することができる。
前記被描画材を24℃迄冷却した後、放置すると前記被描画材は全面が白色を呈する。
実施例5
実施例5で作製した可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料50.0部を、アマニ油系オフセットインキビヒクル50.0部中に均一に分散混合して、可逆熱変色性オフセットインキを調製した。
支持体として上質紙に前記オフセットインキを用いてオフセット印刷を行ない、可逆熱変色層を形成して被描画材(可逆熱変色性シート)を得た。
前記被描画材と、SBS製の円錐形描画具とを組み合わせて描画体セットを得た。
前記被描画材上から描画具を用いて擦過して摩擦熱を発生させ、32℃以上に加温するとの青色の像を形成することができる。
前記被描画材を18℃迄冷却した後、放置すると前記被描画材は全面が白色を呈する。
実施例6
実施例6で作製した可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料50.0部を、アマニ油系オフセットインキビヒクル50.0部中に均一に分散混合して、可逆熱変色性オフセットインキを調製した。
支持体として上質紙に前記オフセットインキを用いてオフセット印刷を行ない、可逆熱変色層を形成して被描画材(可逆熱変色性シート)を得た。
前記被描画材と、温風を送風する通電式の描画具とを組み合わせて描画体セットを得た。
前記被描画材上から描画具を用いて温風を吹き付けて32℃以上に加温すると青色の像を形成することができる。
前記可逆熱変色性シートを24℃迄冷却した後、暫く放置すると前記可逆熱変色性シートは全面が白色を呈する。
実施例7
実施例7の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料30.0部、エチレン-エチルアクリレート共重合樹脂(メルトフローレート5.0)1000.0部、紫外線吸収剤10.0部、金属石鹸系滑剤0.5部を混合して、タンブラーミキサーで均一に分散した後、押出成形機を用いて可逆熱変色性成形用樹脂組成物を得た。
前記可逆熱変色性成形用樹脂組成物を用いて、インフレーション成形を行い、被描画材(可逆熱変色性シート)を得た。
前記被描画材と、SEBS製の円錐形描画具とを組み合わせて描画体セットを得た。
前記被描画材上から描画具を用いて擦過して摩擦熱を発生させ、35℃以上に加温するとの青色の像を形成することができる。
前記被描画材を26℃迄冷却した後、放置すると前記被描画材は全面が白色を呈する。
1 描画体セット
2 被描画材
3 描画具

Claims (9)

  1. (イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物として下記一般式(1)で示されるヒドロキシフェニル酢酸エステル化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)による電子授受反応を可逆的に生起させる反応媒体として鎖式炭化水素類、脂環族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類から選ばれる化合物と、(ニ)軟化点が5℃以上、且つ、重量平均分子量が200乃至10万のスチレン系化合物とからなる消色状態からの加熱により発色状態となり、発色状態からの降温により消色状態となる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を含む可逆熱変色層を備えた被描画材と、加熱部を備えた描画具とからなる描画体セット。
    Figure 0007422017000009
    (式中、Rは炭素数12~22の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、X、Y、及びZは、それぞれ独立に、水素または水酸基であり、それらのうち二つ又は三つが水酸基であり、残りは水素である。)
  2. X、Y、及びZのうち二つが水酸基であり、一つが水素である請求項1に記載の描画体セット。
  3. X及びYが水酸基であり、Zが水素である請求項1に記載の描画体セット。
  4. Rが炭素数12~22の直鎖のアルキル基である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の描画体セット。
  5. Rが炭素数16~20の直鎖のアルキル基である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の描画体セット。
  6. 可逆熱変色性組成物中に(ホ)融点が50℃以上のアルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、酸アミド類、芳香族炭化水素類から選ばれる化合物を含んでなる請求項1乃至5のいずれか一項に記載の描画体セット。
  7. (ホ)成分が、エステル類、エーテル類、及び芳香族炭化水素類からなる群から選ばれる化合物である請求項6に記載の描画体セット。
  8. 描画体の加熱部が通電加熱部、熱媒体を収容する容器部、摩擦熱を生じる摩擦部から選ばれる加熱部である請求項1乃至7のいずれか一項に記載の描画体セット。
  9. 前記被描画材は、支持体上に可逆熱変色層を設けてなる請求項1乃至8のいずれか一項に記載の描画体セット。
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