本発明の描画セット(1)は、支持体上に熱変色層を設けてなる熱変色性シート(2)と、透明樹脂フィルムを基材とし該基材の一方の面に再剥離性を有する粘着層を設け反対の面に滑性層を設けた画像形成シート(3)と、摩擦体(4)からなる構成が最小単位となる。本発明は、描画セットの画像形成シートが、透明樹脂を基材とし、該基材の一方の面に熱変色性シートに対し再剥離性を有する粘着層を設け、基材の反対の面に、摩擦体で画像形成シートを擦過した際に摩擦抵抗を下げ摩擦熱の発生を抑えることが可能な滑性層を設けてなることが特徴的である。
本発明に用いる画像形成シートの一例を図2、3と共に説明する。図2は、本発明に用いる画像形成シート(3)の断面図であるが、その構成としては、透明樹脂フィルムからなる基材(31)の一方の面に再剥離可能な粘着層(32)を設け、基材の反対の面に滑性層(33)を設けた構成となっている。また、図4は、本発明に用いる画像形成シートを正面から見た図である。本発明に用いる画像形成シート(3)は、熱変色性シート(2)上に画像形成シート(3)を配設し、画像形成シートを摩擦体で擦過した際に、摩擦体と熱変色性シートが直接接触し摩擦熱が熱変色性シートに与えられ変色可能なように、画像形成用抜き部(34)を有する構成となっている。
本発明に用いる画像形成シートは、25μm〜250μm程度であると好ましい。この範囲より大きいと、画像形成シートの滑性層面と熱変色性シートの段差が大きくなるため、鮮明な画像が得られなくなる恐れがあり、この範囲より小さいと摩擦体で擦過した際の熱が、画像形成シートの画像形成用抜き部以外の部分からも熱変色性シートに伝わり、不必要な部分が変色する恐れがある。特に好ましくは、50〜125μmであり、この範囲にあると、画像形成シートの画像形成用抜き部の形状に、鮮明な画像が得られるため、好ましい。
本発明に用いる透明樹脂フィルムとしては、透明性を有し、熱変色性シートが発色または消色あるいは変色したことなどを認識できれば特に限定はない。具体的には、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素樹脂からなるフィルムなどが挙げられる。
また、本発明に用いる透明樹脂フィルムは、前記画像形成シートの好ましい範囲から、12μm〜200μm程度であることが好ましい。
本発明に用いる透明樹脂フィルムの透明とは、無色または有色で、熱変色性シートが発色または消色あるいは変色したなどの変化を認識できる程度の光透過性を有することを意味する。
本発明に用いる画像形成シートの粘着層は、基材の透明樹脂フィルム上に粘着剤を塗工、印刷などにより配設することで形成することができる。粘着層に用いる粘着剤として具体的には、アクリル樹脂、アクリルスチレン樹脂などのアクリル系樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、エチレン塩化ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル塩化ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニルアクリル樹脂、エチレン塩化ビニルアクリル樹脂などのエチレン酢酸ビニル系樹脂、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂などの合成樹脂、スチレンブタジエン樹脂、スチレンイソプレン樹脂などの熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
画像形成シートを熱変色性シートの別の位置や他の熱変色シートに対して繰り返し使用することや、画像形成後に画像形成シートを熱変色シートから取り外す際に粘着力が強すぎると熱変色シートの表面を傷めてしまうことがあるため、粘着剤としては再剥離可能な弱粘着性粘着材が好ましい。これらの中でもアクリル系樹脂、エチレン酢酸ビニル系樹脂、ウレタン樹脂が特に好ましい。
本発明に用いる画像形成シートの滑性層は、基材の透明樹脂フィルム上に滑性剤を塗工、印刷、またはフィルムのラミネートなどにより配設することで形成することができる。用いる滑性剤としては、画像形成シートを摩擦体で擦過した際の摩擦抵抗を下げることができれば特に限定はされないが、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂などの高分子材料、炭化水素系ワックス、脂肪酸アマイドワックスなどのワックス類が挙げられる。また、フィルム自体が滑性を有する材料、例えばポリ−4−メチルペンテン−1などの高機能ポリオレフィンフィルムなどを用いることもできる。滑性層によって、摩擦抵抗が小さくなるため、摩擦体で擦過した際に、摩擦熱が生じにくくなり、熱変色性シートの画像を形成したい部分以外に不要な変色を防ぐことができるため好ましい。
前記滑性層の厚みとしては、0.01〜10μm程度が好ましい。この範囲にあると、画像形成シートが必要以上に厚くなることを防ぐことができ、鮮明な画像を形成することができるとともに、摩擦体による繰り返しの擦過の耐久力も保持できるため好ましい。
本発明に用いる画像形成シートに滑性層を設けたことにより、滑性層を設けない場合と比較して画像形成用抜き部以外の部分で摩擦熱の発生を抑えることができるため画像形成シートの厚みを薄くすることができる。上記構成とすることで画像形成シートを薄くすることにより、画像形成用抜き部を摩擦体により十分に擦過することが可能となるとともに、滑性層を配設することにより、発生する摩擦熱を画像形成用抜き部の端部と画像形成シートの端部で差を大きくすることができる。つまり、画像形成用抜き部の温度がt4を超えても、画像形成シート部の温度が仮にt3を超えてもt4に至らないため、形成する画像をより細かく、鮮明にすることが可能となる。さらに、本発明に用いる画像形成シートには、粘着層が設けられていることから、画像形成シートの厚みを薄くした際にも、擦過の際に不用意にずれることがなく、粘着層を設けない場合と比較して、画像形成用抜き部を摩擦体により確実に擦過することが可能となり、形成する画像をより細かく、鮮明になる。本発明の画像形成シートに、粘着層と滑性層の両者を設けたことにより、より細かい画像を鮮明に、正確に、簡便な方法で得ることができるのである。
本発明に用いる画像形成シート(3)の製造方法の一例としては、透明樹脂フィルム(31)上に、粘着層(32)となる粘着剤を塗工、印刷などにより形成する。続いて、透明樹脂フィルム(3)の粘着層を設けた反対の面に、滑性層(33)となる滑性剤を塗工、印刷などにより形成した後、形成する画像の形状に抜き型などを用いて、画像形成用抜き部(34)を設けることにより、画像形成シート(3)を得ることができる。粘着層及び/または滑性層を設けた後に、画像形成用抜き部(34)を設けても良く、透明樹脂フィルムから画像形成用抜き部(34)を設けた後に、粘着層と滑性層を設けて画像形成シート(3)を得ても良い。
本発明に用いる熱変色性シートとしては、摩擦体で擦過した際に生じた摩擦熱により、変色することが可能であり、変色した状態を一定の温度域において保つことができるれば特に限定はなく、可逆タイプの熱変色性シートや、不可逆タイプの熱変色性シートを用いることができる。例えば、可逆タイプの熱変色性シートとしては、可逆熱変色材料を可逆熱変色層に用いた可逆熱変色性シート、液晶材料などを可逆熱変色層に用いた液晶シート、などが挙げられ、不可逆タイプの熱変色性シートとしては、感熱紙、着色紙などの有色の基材上にあらかじめ設定された温度で融解するワックス類や有機化合物を粗粒状態で積層した熱変色層設けた示温シートなどが挙げられる。
本発明に用いる熱変色性シートとしては、可逆タイプの熱変色性シートを用いると繰返しの使用が可能となることから好ましい。特に、可逆熱変色材料を可逆熱変色層に用いた可逆熱変色性シートは、その変色状態を種々調整できることから、特に好ましい。
本発明に用いる可逆熱変色性シートは、第1の発色状態と第2の発色状態を互変的に呈することができる。本発明で言う、第1の発色状態と第2の発色状態を互変的に呈するとは、有色(α)と有色(β)の二つの発色した状態、発色状態と消色状態または消色状態と発色状態を互変的に呈することを意味する。即ち、第1の発色状態から温度が上昇して第2の発色状態へ変化する場合、有色(α)から有色(β)への変化、発色状態から消色状態への変化、即ち、加熱消色型の変化、消色状態から発色状態への変化、即ち、加熱発色型の変化を含んでいる。
本発明に用いる可逆熱変色性材料は、第1の発色状態と第2の発色状態が、有色(α)と有色(β)の変化をする場合、染料や顔料などの非熱変色性の着色剤を配合することで達成できる。
本発明の描画セットで描画した際の画像の変色挙動について、加熱消色型を例に、図6と共に説明する。図6において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全消色状態に達する温度t4(以下、完全消色温度と言うことがある)における濃度を示す点であり、Bは消色を開始する温度t3(以下、消色開始温度と言うことがある)における濃度を示す点であり、Cは発色を開始する温度t2(以下、発色開始温度と言うことがある)における濃度を示す点であり、Dは完全発色状態に達する温度t1(以下、完全発色温度ということがある)における濃度を示す点である。
変色温度域は前記t1とt4間の温度域であり、発色状態と消色状態のいずれかの状態を呈することができ、色濃度の差の大きい領域であるt2とt3の間の温度域が実質変色温度域である。 また、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分EFの中点を通る線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス幅ΔHと記す)であり、このΔH値が小さいと変色前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しえない。また、前記ΔH値が大きいと変色前後の各状態の保持が容易となる。ΔH値が大きい可逆熱変色性材料は、色保持温度幅(t3−t2)の全域で発色状態と消色状態のいずれかの状態が択一的に保持することができる。
本発明において、発色状態にある可逆熱変色性シート(2)上に、画像形成シート(3)を配設した後、該画像形成シート上を摩擦体(4)で擦過すると、摩擦体で擦過された部分に摩擦熱が発生する。その際、摩擦体と可逆熱変色性シートが直接接触した部分の温度が、t4以上に加熱されると発色状態から消色状態へ変化する。この時、摩擦体と可逆熱変色性シートが画像形成シートを介して、即ち、摩擦体と可逆熱変色性シートが直接接触しない部分は、可逆熱変色性シートの温度がt4まで上がらず、発色状態を保つこととなる。この結果、可逆熱変色性シート上に、画像(21)が形成されることとなる。この画像を消去する場合には、可逆熱変色性シートを摩擦体で直接擦過するなどして、t4以上の温度に加熱するか、t1以下の温度に冷却することによって消去することができる。
本発明に用いる可逆熱変色性シートは、支持体上に(イ)、(ロ)、(ハ)成分とから少なくともなる可逆熱変色性材料を含む可逆熱変色層を設けてなる構成が最少の構成となっている。
本発明に用いる可逆熱変色性材料の(イ)成分としては、通常、感熱紙などの感熱材料に用いられる、所謂ロイコ染料を用いることができる。具体的には、ジフェニルメタンフタリド類、インドリルフタリド類、ジフェニルメタンアザフタリド類、フェニルインドリルアザフタリド類、フルオラン類、スチリノキノリン類、ジアザローダミンラクトン類などが挙げられる。
より具体的には、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,6−ジフェニルアミノフルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3,6−ジ−n−ブトキシフルオラン、2−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−メチルアニリノ)−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−キシリジノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−(3−メトキシ−4−ドデコキシスチリル)キノリン、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン、2−(ジエチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(N−エチル−N−i−アミルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3´,6´−ビス〔フェニル(2−メチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9´−〔9H〕キサンテン]−3−オン、3´,6´−ビス〔フェニル(3−メチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9´−〔9H〕キサンテン]−3−オン、3´,6´−ビス〔フェニル(3−エチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9´−〔9H〕キサンテン]−3−オン等を挙げることができる。
更には、蛍光性の黄色乃至赤色の発色を発現させるのに有効な、ピリジン系、キナゾリン系、ビスキナゾリン系化合物等を挙げることができる。
本発明に用いる(ロ)成分の電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群(酸ではないが、組成物中で酸として作用して成分(イ)を発色させる化合物群)、電子空孔を有する化合物群などがある。活性プロトンを有する化合物を例示すると、フェノール性水酸基を有する化合物としては、モノフェノール類からポリフェノール類があり、さらにその置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノール等、フェノール−アルデヒド縮合樹脂などが挙げられる。また、前記フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩を用いることもできる。
より具体的には、フェノール、o−クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−ステアリルフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナンなどが挙げられる。
また、前記フェノール性水酸基を有する化合物が最も有効な熱変色特性を発現させることができるが、芳香族カルボン酸及び炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びそれらの金属塩、1、2、3−トリアゾール及びその誘導体から選ばれる化合物なども用いることができる。
さらに、電子受容性化合物として炭素数3乃至18の直鎖又は側鎖アルキル基を有する特定のアルコキシフェノール化合物(特開平11−129623号公報)、特定のヒドロキシ安息香酸エステル(特開2001−105732号公報)、没食子酸エステル(特開2003−253149号公報)等を用いた加熱発色型の可逆熱変色性組成物を適用することもできる
本発明のに用いる前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体の(ハ)成分としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類を挙げることができる。
前記(ハ)成分として好ましくは、色濃度−温度曲線に関し、大きなヒステリシス特性(温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線が、温度を低温側から高温側へ変化させる場合と、高温側から低温側へ変化させる場合で異なる)を示して変色する、色彩記憶性を示す可逆熱変色性組成物を形成できる5℃以上50℃未満のΔT値(融点−曇点)を示すカルボン酸エステル化合物、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコール又はフェノールのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコール又はエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコール又は分岐脂肪族アルコールのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリンなどを用いることができる。
また、炭素数9以上の奇数の脂肪族一価アルコールと炭素数が偶数の脂肪族カルボン酸から得られる脂肪酸エステル化合物、n−ペンチルアルコール又はn−ヘプチルアルコールと炭素数10〜16の偶数の脂肪族カルボン酸より得られる総炭素数17〜23の脂肪酸エステル化合物を用いてもよい。
具体的には、エステル類としては、酢酸n−ペンタデシル、酪酸n−トリデシル、酪酸n−ペンタデシル、カプロン酸n−ウンデシル、カプロン酸n−トリデシル、カプロン酸n−ペンタデシル、カプリル酸n−ノニル、カプリル酸n−ウンデシル、カプリル酸n−トリデシル、カプリル酸n−ペンタデシル、カプリン酸n−ヘプチル、カプリン酸n−ノニル、カプリン酸n−ウンデシル、カプリン酸n−トリデシル、カプリン酸n−ペンタデシル、ラウリン酸n−ペンチル、ラウリン酸n−ヘプチル、ラウリン酸n−ノニル、ラウリン酸n−ウンデシル、ラウリン酸n−トリデシル、ラウリン酸n−ペンタデシル、ミリスチン酸n−ペンチル、ミリスチン酸n−ヘプチル、ミリスチン酸n−ノニル、ミリスチン酸n−ウンデシル、ミリスチン酸n−トリデシル、ミリスチン酸n−ペンタデシル、パルミチン酸n−ペンチル、パルミチン酸n−ヘプチル、パルミチン酸n−ノニル、パルミチン酸n−ウンデシル、パルミチン酸n−トリデシル、パルミチン酸n−ペンタデシル、ステアリン酸n−ノニル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸n−トリデシル、ステアリン酸n−ペンタデシル、エイコサン酸n−ノニル、エイコサン酸n−ウンデシル、エイコサン酸n−トリデシル、エイコサン酸n−ペンタデシル、ベヘニン酸n−ノニル、ベヘニン酸n−ウンデシル、ベヘニン酸n−トリデシル、ベヘニン酸n−ペンタデシルなどが挙げられる。
また、ケトン類としては、総炭素数が10以上の脂肪族ケトン類が有効であり、2−デカノン、3−デカノン、4−デカノン、2−ウンデカノン、3−ウンデカノン、4−ウンデカノン、5−ウンデカノン、2−ドデカノン、3−ドデカノン、4−ドデカノン、5−ドデカノン、2−トリデカノン、3−トリデカノン、2−テトラデカノン、2−ペンタデカノン、8−ペンタデカノン、2−ヘキサデカノン、3−ヘキサデカノン、9−ヘプタデカノン、2−ペンタデカノン、2−オクタデカノン、2−ノナデカノン、10−ノナデカノン、2−エイコサノン、11−エイコサノン、2−ヘンエイコサノン、2−ドコサノン、ラウロン、ステアロンなどが挙げられる。
さらに、総炭素数が12乃至24のアリールアルキルケトン類としては、例えば、n−オクタデカノフェノン、n−ヘプタデカノフェノン、n−ヘキサデカノフェノン、n−ペンタデカノフェノン、n−テトラデカノフェノン、4−n−ドデカアセトフェノン、n−トリデカノフェノン、4−n−ウンデカノアセトフェノン、n−ラウロフェノン、4−n−デカノアセトフェノン、n−ウンデカノフェノン、4−n−ノニルアセトフェノン、n−デカノフェノン、4−n−オクチルアセトフェノン、n−ノナノフェノン、4−n−ヘプチルアセトフェノン、n−オクタノフェノン、4−n−ヘキシルアセトフェノン、4−n−シクロヘキシルアセトフェノン、4−tert−ブチルプロピオフェノン、n−ヘプタフェノン、4−n−ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル−n−ブチルケトン、4−n−ブチルアセトフェノン、n−ヘキサノフェノン、4−イソブチルアセトフェノン、1−アセトナフトン、2−アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトンなどが挙げられる。
また、エーテル類としては、総炭素数10以上の脂肪族エーテル類が有効であり、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテル、ジウンデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、デカンジオールジメチルエーテル、ウンデカンジオールジメチルエーテル、ドデカンジオールジメチルエーテル、トリデカンジオールジメチルエーテル、デカンジオールジエチルエーテル、ウンデカンジオールジエチルエーテル等を挙げることができる。
さらに、前記(ハ)成分として、下記一般式(1)で示される化合物が好適に用いられる。
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、mは0〜2の整数を示し、X1、X2のいずれか一方は−(CH2)nOCOR2又は−(CH2)nCOOR2、他方は水素原子を示し、nは0〜2の整数を示し、R2は炭素数4以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、Y1及びY2は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、又は、ハロゲンを示し、r及びpは1〜3の整数を示す。)
前記(化1)で示される化合物のうち、R1が水素原子の場合、より広いヒステリシス幅を有する可逆熱変色性組成物が得られるため好適であり、さらにR1が水素原子であり、且つ、mが0の場合がより好適である。
なお、(化1)で示される化合物のうち、より好ましくは下記一般式(化2)で示される化合物が用いられる。
(式中のRは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示すが、好ましくは炭素数10〜24のアルキル基、更に好ましくは炭素数12〜22のアルキル基である。)
前記化合物として具体的には、オクタン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ノナン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、デカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ウンデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ドデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、トリデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、テトラデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ペンタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘキサデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘプタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、オクタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチルなどを例示できる。
さらに、前記(ハ)成分として、下記一般式(化3)で示される化合物を用いることもできる。
(式中、Rは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、m及びnはそれぞれ1〜3の整数を示し、X及びYはそれぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲンを示す。)
前記化合物として具体的には、オクタン酸1,1−ジフェニルメチル、ノナン酸1,1−ジフェニルメチル、デカン酸1,1−ジフェニルメチル、ウンデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ドデカン酸1,1−ジフェニルメチル、トリデカン酸1,1−ジフェニルメチル、テトラデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ペンタデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ヘキサデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ヘプタデカン酸1,1−ジフェニルメチル、オクタデカン酸1,1−ジフェニルメチルなどを例示できる。
さらに、前記(ハ)成分として下記一般式(化4)で示される化合物を用いることもできる。
(式中、Xは水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、メトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1乃至3の整数を示し、nは1乃至20の整数を示す。)
前記化合物としては、マロン酸と2−〔4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、こはく酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、こはく酸と2−〔4−(3−メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、グルタル酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、グルタル酸と2−〔4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アジピン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、ピメリン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−〔4−(3−メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−〔4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−〔4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アゼライン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、セバシン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,10−デカンジカルボン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2−〔4−(2−メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステルなどを例示できる。
さらに、前記(ハ)成分として下記一般式(化5)で示される化合物を用いることもできる。
(式中、Rは炭素数1乃至21のアルキル基又はアルケニル基を示し、nは1乃至3の整数を示す。)
前記化合物としては、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとウンデカン酸とのジエステル、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル、1,4−ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンと酪酸とのジエステル、1,4−ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンとイソ吉草酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと酢酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとプロピオン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと吉草酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプロン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリル酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステルなどを例示できる。
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(6)で示される化合物を用いることもできる。
(式中、Xは水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、炭素数1乃至4のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1乃至3の整数を示し、nは1乃至20の整数を示す。)
前記化合物としては、こはく酸と2−フェノキシエタノールとのジエステル、スベリン酸と2−フェノキシエタノールとのジエステル、セバシン酸と2−フェノキシエタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2−フェノキシエタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2−フェノキシエタノールとのジエステルなどが挙げられる。
本発明のに用いる(イ)、(ロ)、(ハ)の3成分の配合比としては、濃度、変色温度変色形態や各成分の種類により決まるが、一般的に所望の特性が得られる配合比は、質量比で、(イ)成分:(ロ)成分:(ハ)成分=1:0.1〜50:1〜800であり、好ましくは、(イ)成分:(ロ)成分:(ハ)成分=1:0.5〜20:5〜200である。これらの各成分は、各々二種類以上を混合して用いてもよい。
本発明のに用いるには、その機能に影響を及ぼさない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、溶解助剤、防腐・防黴剤などの各種添加剤を添加することができる。
前記可逆熱変色性材料は、そのままの適用でも有効であるが、マイクロカプセルに内包したマイクロカプセル顔料として使用することが好ましい。これは、種々の使用条件において可逆熱変色性材料は同一の組成に保たれ、他の添加剤などの外的要因を受けずに、同一の作用効果を奏することができるからである。
前記可逆熱変色性材料またはマイクロカプセル顔料としては、完全発色温度t1を冷蔵室、冷凍室でしか得られない温度、即ち10℃以下、好ましくは5℃以下、より好ましくは凍結を要しない0℃以上、且つ、5℃以下の温度であり、且つ、完全消色温度t4を摩擦体による摩擦熱から得られる温度、即ち40〜90℃、好ましくは45〜85℃、より好ましくは45〜80℃の範囲に特定し、ΔH値を30〜100℃に特定することにより、日常の生活温度域で呈する色彩の保持に有効に機能させることができる。
前記完全消色温度t4が40℃以上であれば、夏場のような気温の高い条件下でも変色前の状態を維持でき、また、90℃以下であれば、可逆熱変色性シート上を摩擦体による数回の擦過による摩擦熱で十分に変色或いは消色させることができる。
完全消色温度t4が90℃を越える温度の場合、摩擦体による擦過で得られる摩擦熱が完全消色温度に達し難くなる恐れがあるため、容易に変色或いは消色し難くなり、擦過回数の増加や、或いは、荷重をかけ過ぎて擦過する傾向にあるため、可逆熱変色性シートを傷めてしまうおそれがある。
また、完全発色温度t1の温度設定において、変色状態或いは消色状態が通常の使用状態において維持されるためにはより低い温度であることが好ましく、10℃以下が好適である。 更に、可逆熱変色性組成物は発色状態にする必要がある。冷却手段としては汎用の冷蔵庫や冷凍庫にて冷却することが好ましいが、冷凍庫の冷却能力を考慮すると、−50℃迄が限度である。
本発明の可逆熱変色性シートに用いるマイクロカプセル顔料は、特に限定されないが平均粒子径が0.1〜30μmであることが好ましい。この範囲より小さいと、発色濃度が低くなる傾向が見られ、この範囲より大きいと可逆熱変色シートに可逆熱変色層を設ける際に、その加工性が劣る傾向が見られる。より好ましくは、1.0〜10.0μmである。この範囲にあると、発色状態も良好で、変色の鋭敏性、加工適性に優れるため効果的である。
本発明でいうマイクロカプセル顔料の平均粒子径とは、粒子の外径を測定したときの体積基準で表わしたD50の値で表されるが、ここでは、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置((株)堀場製作所製;LA−300)を用いて測定してその数値を基に平均粒子径(メジアン径)を算出した値を用いる。
本発明に用いるマイクロカプセル顔料は、内包物と壁膜の質量比が、内包物:壁膜=1:1〜7:1であることが好ましい。この範囲より内包物の比率が大きくなると、壁膜の厚みが薄くなり、圧力や熱に対して弱くなりマイクロカプセルが破壊される傾向があり、この範囲より小さいと、発色状態での濃度や視認性が低下する傾向がある。より好ましくは、内包物:壁膜=1:1〜6:1であり、この範囲にあると、発色状態での濃度や視認性が高く、マイクロカプセルが破壊されることがない。
前記マイクロカプセル顔料の製造方法としては、例えば、非特許文献1(近藤保、小石真純共著、「マイクロカプセル−その製法・性質・応用−」三共出版(株)、1977年)に記載されているような一般的に知られている方法を用いることができる。具体的には、コアセルベート法、界面重合法、界面重縮合法、in−situ重合法、液中乾燥法、液中硬化法、懸濁重合法、乳化重合法、気中懸濁被覆法、スプレードライ法などが挙げられ、マイクロカプセルの強度などにより、適宜選択される。
本発明に用いる可逆熱変色性シートは、可逆熱変色性材料を含む可逆熱変色層を支持体表面に設けることにより得ることができるが、その方法としては、可逆熱変色性材料をバインダー樹脂、例えば、各種合成樹脂エマルジョン、水溶性乃至油性の合成樹脂、紫外線硬化型樹脂、その他糊剤等から選ばれる樹脂を含むビヒクルに分散させたインキや塗料を用いて、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビヤ印刷、コーター、転写印刷等の印刷方法、スプレー塗装等の塗布方法により支持体表面に設けることができる。
前記バインダー樹脂は、可逆熱変色性材料の熱変色特性に影響しなければ特に限定されないが、水溶性或いは油溶性の樹脂のいずれであってもよく、目的に応じて適宜、選択して使用できる。具体的には、汎用の樹脂、例えば、アイオノマー樹脂、イソブチレン−無水マレイン酸樹脂共重合樹脂、アクリロニトリル−アクリルスチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル塩素化ポリエチレン−スチレン共重合樹脂、エチレン−塩化ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニルグラフト共重合樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルスチレン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、アルキルフェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性アルキド樹脂、フェノール樹脂変性アルキド樹脂、エポキシ樹脂変性アルキド樹脂、スチレン変性アルキド樹脂、アクリル変性アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキッド樹脂、天然ゴム、ポリイソブチレン、ブチルゴム、ポリビニルアルキルエーテル、ロジン、ロジンエステル、ロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、油溶性フェノール樹脂、石油系炭化水素樹脂、シェラック、環化ゴム、酢酸ビニル系エマルジョン樹脂、スチレン−ブタジエン系エマルジョン樹脂、アクリル酸エステル系エマルジョン樹脂、水性シリコーンゴムエマルジョン樹脂、水溶性アルキド樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性尿素樹脂、水溶性フェノール樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性ポリブタジエン樹脂、酢酸セルローズ、硝酸セルローズ、エチルセルローズ等が挙げられる。また、前記樹脂は、1種又は2種以上を併用してすることができる。
また本発明に用いる熱可逆変色性シートは、支持体表面に前記可逆熱変色層を設けた構成であるが、支持体の裏面に粘着層を設けたラベルとすることもできる。
本発明に用いる可逆熱変色性シートは、可逆熱変色層上に、透明性保護層を設けて耐擦過性を付与したり、透明性金属光沢顔料を含む金属光沢層を設けて耐光性を付与することもできる。
前記透明性金属光沢顔料としては、天然雲母、合成雲母、偏平ガラス片、薄片状酸化アルミニウム等の芯物質の表面を金属酸化物で被覆した透明性金属光沢顔料、コレステリック液晶型金属光沢顔料が用いられる。
天然雲母を芯物質とする透明性金属光沢顔料としては、天然雲母粒子の表面に酸化チタンを被覆したもの、前記酸化チタンの上層に酸化鉄や非熱変色性染顔料を被覆したもの等が有効であり、天然雲母の表面を41〜44質量%の酸化チタンで被覆した粒度が5〜50μmの金色金属光沢顔料、天然雲母の表面を30〜38質量%の酸化チタンで被覆し、その上に0.5〜10質量%の非熱変色性有色顔料を被覆した粒度が5〜60μmの金色金属光沢顔料、天然雲母の表面を16〜39質量%の酸化チタンで被覆した粒度が5〜100μmの銀色金属光沢顔料、天然雲母の表面を45〜58質量%の酸化チタンで被覆したメタリック色金属光沢顔料、天然雲母の表面を45〜58質量%の酸化チタンで被覆し、その上に0.5〜10質量%の非熱変色性有色染顔料を被覆したメタリック色金属光沢顔料等が挙げられる。
前記天然雲母の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆した顔料として具体的には、メルク社製の商品名「イリオジン」品番:100(粒度分布10〜60μm:シルバーパール)、120(粒度分布5〜25μm:ラスターサテン)、201(粒度分布5〜25μm:ルチルファインゴールド)、205(粒度分布10〜60μm:ルチルプラチナゴールド)、221(粒度分布5〜25μm:ルチルファインブルー)、225(粒度分布10〜60μm:ルチルブルーパール)、231(粒度分布5〜25μm:ルチルファインレッド)、235(粒度分布10〜60μm:ルチルグリーンパール)、エンゲルハード社製の商品名「ルミナカラーズ」品番:ルミナゴールド(粒度分布10〜48μm:金色)、ルミナレッド(粒度分布10〜48μm:メタリックレッド)、ルミナレッドブルー(粒度分布10〜48μm:メタリックブルー)、ルミナアクアブルー(粒度分布10〜48μm:メタリックブルー)、ルミナグリーン(粒度分布10〜48μm:メタリックグリーン)、ルミナターコイズ(粒度分布10〜48μm:メタリックグリーン)等を例示できる。
合成雲母を芯物質とし、その表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆した透明性金属光沢顔料としては、芯物質として天然雲母を用いた系と比較して不純物や鉄等の着色因子となる金属イオンの含有量が少なく、光輝性に優れ、キラキラ光る様相を呈すると共に、透明性も優れる。前記金属光沢顔料は、合成雲母の表面を被覆する金属酸化物の被覆率によって、金色、銀色、或いはメタリック色の金属光沢を呈する。合成雲母としては、KMg3(AlSi3O10)F2が挙げられる。また、前記雲母の形状は特定されないが、偏平形状や鱗片形状のものが挙げられる。合成雲母の表面を被覆する金属酸化物としては、チタン、ジルコニウム、クロム、バナジウム、鉄等の金属酸化物を例示できるが、好適には酸化チタンを主成分とする金属酸化物が挙げられる。前記金属光沢顔料は平均の厚みが0.1〜5μmであり、平均粒子径が2〜200μm、好ましくは2〜100μmのものが有効である。
前記合成雲母の表面を金属酸化物で被覆した顔料として具体的には、日本光研工業(株)製の商品名「アルティミカ」品番:SB−100(5〜30μm:銀色)、SD−100(10〜60μm:銀色)、SE−100(15〜100μm:銀色)、SF−100(44〜150μm:銀色)、SH−100(150〜600μm:銀色)、YB−100(5〜30μm:金色)、YD−100(10〜60μm:金色)、YE−100(15〜100μm:金色)、YF−100(44〜150μm:金色)、RB−100(5〜300μm:メタリックレッド)、RD−100(10〜60μm:メタリックレッド)、RE−100(15〜100μm:メタリックレッド)、RF−100(44〜150μm:メタリックレッド)、RBB−100(5〜30μm:メタリックパープル)、RBD−100(10〜60μm:メタリックパープル)、RBE−100(15〜100μm:メタリックパープル)、RBF−100(44〜150μm:メタリックパープル)、VB−100(5〜30μm:メタリックバイオレット)、VD−100(10〜60μm:メタリックバイオレット)、VE−100(15〜100μm:メタリックバイオレット)、VF−100(44〜150μm:メタリックバイオレット)、BB−100(5〜30μm:メタリックブルー)、BD−100(10〜60μm:メタリックブルー)、BE−100(15〜100μm:メタリックブルー)、BF−100(44〜150μm:メタリックブルー)、GB−100(5〜30μm:メタリックグリーン)、GD−100(10〜60μm:メタリックグリーン)、GE−100(15〜100μm:メタリックグリーン)、GF−100(44〜150μm:メタリックグリーン)などが挙げられる。
偏平ガラス片を芯物質とし、その表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆した透明性金属光沢顔料は、金属酸化物の被覆率により金色、銀色、或いはメタリック色の金属光沢を呈する。前記偏平ガラス片の表面を金属酸化物で被覆した顔料として具体的には、鱗片状のガラス片を酸化チタンで被覆した日本板硝子(株)製の商品名「メタシャイン」MC5090RS(90μm:銀色)、MC5090RY(90μm:金色)、MC5090RR(90μm:赤色)、MC5090RV(90μm:紫色)、MC5090RB(90μm:青色)、MC5090RG(90μm:緑色)、MC1080RS(80μm:銀色)、MC1080RY(80μm:金色)、MC1080RR(80μm:赤色)、MC1080RB(80μm:青色)、MC1080RG(80μm:緑色)、MC1040RS(40μm:銀色)、MC1040RY(40μm:金色)、MC1040RR(40μm:赤色)、MC1040RB(40μm:青色)、MC1040RG(40μm:緑色)、MC1020RS(20μm:銀色)、MC1020RY(20μm:金色)、MC1020RR(20μm:赤色)、MC1020RB(20μm:青色)、MC1020RG(20μm:緑色)、MC1080RSS1(80μm:銀色)、MC1080RYS1(80μm:金色)などが挙げられる。
薄片状酸化アルミニウムを芯物質とし、その表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆した透明性金属光沢顔料は、芯物質が天然雲母の系と比較して不純物の含有量が少なく、光輝性に優れている。前記酸化アルミニウムの表面を被覆する金属酸化物としては、チタン、ジルコニウム、クロム、バナジウム、鉄等の金属酸化物を例示できるが、好適には酸化チタンを主成分とする金属酸化物が適用され、前記金属酸化物の被覆率によって、金色、銀色、メタリック色等の金属色を呈する。前記金属光沢顔料は平均の厚みが0.1〜5μmであり、平均粒子径が2〜200μm、好ましくは2〜100μmのものが有効である。
前記薄片状酸化アルミニウムの表面を金属酸化物で被覆した顔料として具体的には、メルク社製の商品名「シラリック」品番:T50−10(10〜30μm:銀色)、T60−10WNT(10〜30μm:銀色)、T60−20WNT(10〜30μm:金色)、T60−24WNT(10〜30μm:メタリックグリーン)、T60−23WNT(10〜30μm:メタリックブルー)等を例示できる。
前記カラーフロップ性を有する透明性金属光沢顔料としては、コレステリック液晶型金属光沢顔料、酸化珪素を1種又は2種以上の金属酸化物で被覆してなる透明性金属光沢顔料が挙げられる。以下に、前記コレステリック液晶型光輝性顔料について説明する。
コレステリック液晶型光輝性顔料として用いられる液晶ポリマーは光の干渉効果によって広いスペクトル領域で入射する光の一部の領域のみが反射し、これ以外の領域は全て光が透過する性質を有する。反射スペクトルの領域は、らせん状のポリマーのピッチ幅、及び材料の屈折率によって決まり、また、反射スペクトル領域は左、及び右らせんに偏光した光線成分に分割され、その際、らせんの回転方向に応じて一方は反射され、他方は透過させることが可能となる。これによりコレステリック液晶型光輝性材料は全体的なスペクトル領域にわたり、透過、及び反射する性質、即ち、優れた金属光沢と視点により色相が変化するカラーフロップ性を有する。また、前記コレステリック液晶型光輝性顔料は、光輝性と共に透明性も有する。前記コレステリック液晶型光輝性顔料としては、メソゲンを側鎖に持つシロキサン骨格をベースとした材料を例示できる。
前記コレステリック液晶型光輝性顔料として、具体的にはワッカーケミー社製の商品名「ヘリコーンHC」、品番:Sapphire(SLM90020)〔青色→暗色〕、Scarabeus(SLM90120)〔緑色→青色〕、Jade(SLM90220)〔金色→緑青色〕、Maple(SLM90320)〔赤銅色→緑色〕等を挙げることができる。 前記コレステリック液晶型光輝性顔料は平均の厚みが3〜15μm、好ましくは5〜10μmの範囲であり、平均の粒度が1〜100μm、好ましくは10〜60μmの範囲のものが好適に用いられる。
前記酸化珪素を1種又は2種以上の金属酸化物で被覆してなる金属光沢顔料は、光透過性を有すると共に、光の干渉効果によって視覚する角度や光の当たる角度で様々な色彩を表現できるカラーフロップ性と金属光沢性を有する。また、2種以上の金属酸化物で酸化珪素を多層に被覆する場合、光反射率の異なる金属酸化物を用いることで、より効果的にカラーフロップ性と金属光沢性を付与できる。前記金属酸化物としては、酸化錫、酸化チタン、酸化鉄等が挙げられる。
前記金属光沢顔料として具体的には、メルク社製の商品名:Colorstream T10−01 Viola Fantasy、Colorstream T10−00 Autumn Mystery等を例示できる。
前記金属光沢顔料はカラーフロップ性を有するものであればどのような粒度でも使用できるが、好適には平均粒度が1〜100μm、好ましくは5〜50μmの範囲のものが用いられる。
更に、前記可逆熱変色性シートの最上層、或いは、各層間には光安定剤層を適宜設けることができる。具体的には、前記光安定剤層は紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、一重項酸素消光剤、スーパーオキシドアニオン消光剤、オゾン消光剤、可視光線吸収剤、赤外線吸収剤から選ばれる光安定剤を分散状態に固着した層である。
本発明に用いる摩擦体としては、弾性感に富み、摩擦時に適度な摩擦を生じて摩擦熱を発生させることのできるゴム、エラストマー、プラスチック発泡体等の弾性体が好ましく用いられる。前記摩擦体の材質としては、例えば、シリコーン樹脂、SBS樹脂(スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体)、SEBS樹脂(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体)、フッ素系樹脂、クロロプレン樹脂、ニトリル樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等が挙げられる。特に、摩擦時に磨耗屑が生じない低摩耗性の弾性材料からなることが摩擦による摩擦熱を効率よく発生させることなどから好ましい。
前記摩擦体の形状は特に限定されるものではないが、球形の他、正方形、長方形、三角錘、四角錘、円錐、円柱等の多面体形状、人形、動物、植物、乗物、建造物、食品等の形態であってもよい。また、前記摩擦体をプラスチック、ガラス、陶磁器、木材、石材、金属等の成形物に設けて用いることもできる。
さらに、前記摩擦体は、筆記具に設けて用いることもできる。摩擦体を設ける箇所としては、特に限定されないが、摩擦体としての擦過のしやすさから、キャップ先端部、軸筒先端部などが挙げられる。
(実施例1)
(画像形成シートIの製造)
透明樹脂フィルムとして50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(以下PETフィルムということがある)を用い、アクリル樹脂エマルジョン液をワイヤーバーで塗工後乾燥し、30μmの粘着層を設けた。粘着層を設けた反対の面にシリコーン系エマルジョン液をワイヤーバーで塗工後乾燥し、3μmの滑性層を設けた。得られたシートの中央部に、星形の抜き型によりで星形の形状に抜いて画像形成用抜き部を設け、総厚83μmの画像形成シートIを得た。
(描画セットの作成)
熱変色シートとして感熱紙を用い、画像形成シートIと、摩擦体(4)としてSEBS樹脂からなる直方体(15mm×25mm×40mm)を組み合わせて、描画セットを得た。
得られた描画セットを用い、以下の方法で描画を行った。感熱紙の上に、画像形成シートIを、粘着層と感熱紙が接するように配設し、摩擦体(4)で前記画像形成シート上を擦過した。前記感熱紙の摩擦体(4)で直接擦過された部分が発色し、感熱紙に星形の鮮明な画像が得られ、この画像は、室温で維持されていた。
(実施例2)
(マイクロカプセル顔料Aの製造)
(イ)成分として2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン4.5部、(ロ)成分として1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン6.0部、(ハ)成分としてパルミチン酸p−メチルベンジル50.0部からなる可逆熱変色性材料を加温溶解し、壁膜材料として芳香族イソシアネートプレポリマー30.0質量部、助溶剤40.0質量部を混合した溶液を、8%ポリビニルアルコール水溶液中で乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5質量部を加え、更に攪拌を続けて熱変色マイクロカプセル懸濁液を得た。前記懸濁液を遠心分離して熱変色マイクロカプセルを単離した。なお、前記マイクロカプセル顔料の平均粒子径は6.0μmであり、t1:3℃、t2:10℃、t3:38℃、t4:45℃、ΔH:35℃、可逆熱変色性材料:壁膜=2.6:1.0のヒステリシス特性を有する挙動を示し、黒色から無色、無色から黒色へ可逆的に色変化した。
(可逆熱変色性シートaの製造)
マイクロカプセル顔料A 30質量部
アクリル系エマルジョン樹脂 50質量部
増粘剤 2質量部
レベリング剤 0.5質量部
消泡剤 0.5質量部
架橋剤 5質量部
上記配合物を撹拌混合し、均一に分散した可逆性熱変色性インキを得た。得られたインキを50μmのPETフィルム上に120メッシュのスクリーン版を用いてベタ印刷を行い、乾燥硬化させて可逆熱変色性シートを得た。得られた可逆熱変色性シートは、3℃以下に冷却すると全面が黒色となり、その状態は、室温(25℃)で維持されていた。
(描画セットの作成)
前記可逆熱変色性シートaと、画像形成シートIと、摩擦体(4)としてSEBS樹脂からなる直方体(15mm×25mm×40mm)を組み合わせて、描画セットを得た。
得られた描画セットを用い、以下の方法で描画を行った。全面が黒色の可逆熱変色性シートaの上に、画像形成シートIを、粘着層と可逆熱変色性シートが接するように配設し、摩擦体(4)で前記画像形成シート上を擦過した。前記可逆性熱変色シートaの摩擦体(4)で直接擦過された部分が45℃以上に加熱され消色し、可逆性熱変色シートaに星形の鮮明な画像が得られ、この画像は、室温で維持されていた。
前記可逆熱変色性シートを冷蔵庫に入れて、3℃以下に冷却すると全面が黒色となり、再度前記方法で描画を行うと、画像を形成することができた。
(実施例3)
(マイクロカプセル顔料Bの製造)
(イ)成分として4,5,6,7−テトラクロロ−3−〔4−(ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル〕−3−〔1−エチル−2−メチル−1H−インドール−3−イル〕−1(3H)−イソベンゾフラノン1.5部(ロ)成分として2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5.0部、4,4′−(2−メチルプロピリデン)ビスフェノール3.0部、(ハ)成分としてカプリン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0質量部からなる可逆熱変色性材料を加温溶解し、壁膜材料として芳香族イソシアネートプレポリマー30.0質量部、助溶剤40.0質量部を混合した溶液を、8%ポリビニルアルコール水溶液中で乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5質量部を加え、更に攪拌を続けて熱変色マイクロカプセル懸濁液を得た。 前記懸濁液を遠心分離してマイクロカプセル顔料を単離した。なお、前記マイクロカプセル顔料の平均粒子径は2.5μmであり、t1:−16℃、t2:−8℃、t3:48℃、t4:58℃、ΔH:65℃、可逆熱変色性材料:壁膜=2.6:1.0のヒステリシス特性を有する挙動を示し、青色から無色、無色から青色へ可逆的に色変化した。
(可逆熱変色性シートbの製造)
マイクロカプセル顔料Aをマイクロカプセル顔料Bとした以外は、可逆熱変色性シートaの製造と同じ方法で可逆熱変色性シートbを得た。
(画像形成シートIIの製造)
粘着層を厚さ20μmのエチレン酢酸ビニル樹脂とし、基材として厚さ50μmのポリ−4−メチルペンテン−1フィルム(商品名:オピュラン 三井化学東セロ株式会社製)とした以外は、画像形成シートIの製造と同じ方法で画像形成シートIIを得た。
(描画セットの作成)
前記可逆熱変色性シートbと、画像形成シートIIと、摩擦体(4)としてSEBS樹脂からなる円柱体(直径10mm×長さ150mm)を組み合わせて、描画セットを得た。
得られた描画セットを用い、以下の方法で描画を行った。全面が青色の可逆熱変色性シートbの上に、画像形成シートIIを、粘着層と可逆熱変色性シートが接するように配設し、摩擦体(4)で前記画像形成シート上を擦過した。前記可逆性熱変色シートbの摩擦体(4)で直接擦過された部分が58℃以上に加熱され消色し、可逆性熱変色シートbに星形の鮮明な画像が得られ、この画像は、室温で維持されていた。
前記可逆熱変色性シートを冷凍庫に入れて、−16℃以下に冷却すると全面が青色となり、再度前記方法で描画を行うと、画像を形成することができた。
(実施例4)
(マイクロカプセル顔料Cの製造)
(イ)成分として2−(ジブチルアミノ)−8−(ジペンチルアミノ)−4−メチル−スピロ[5H−[1]ベンゾピラノ[2,3−g]ピリミジン−5,1′(3′H)−イソベンゾフラン]−3−オン1.0部、(ロ)成分として2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5部、4,4′−(2−メチルプロピリデン)ビスフェノール3.0部、(ハ)成分としてラウリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50部からなる可逆熱変色性材料を加温溶解し、壁膜材料として芳香族イソシアネートプレポリマー30.0質量部、助溶剤40.0質量部を混合した溶液を、8%ポリビニルアルコール水溶液中で乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5質量部を加え、更に攪拌を続けて熱変色マイクロカプセル懸濁液を得た。前記懸濁液を遠心分離して熱変色マイクロカプセルを単離した。なお、前記マイクロカプセル顔料の平均粒子径は3.0μmであり、t1:−8℃、t2:−1℃、t3:52℃、t4:65℃、ΔH:63℃、可逆熱変色性材料:壁膜=2.6:1.0のヒステリシス特性を有する挙動を示し、ピンク色から無色、無色からピンク色へ可逆的に色変化した。
(可逆熱変色性シートcの製造)
マイクロカプセル顔料Aをマイクロカプセル顔料Cとした以外は、可逆熱変色性シートaの製造と同じ方法で可逆熱変色性シートcを得た。
(描画セットの作成)
前記可逆熱変色性シートcと、画像形成シートIと、摩擦体(4)としてSEBS樹脂からなる円柱体(直径10mm×長さ150mm)を組み合わせて、描画セットを得た。
得られた描画セットを用い、以下の方法で描画を行った。全面がピンク色の可逆熱変色性シートcの上に、画像形成シートIを、粘着層と可逆熱変色性シートが接するように配設し、摩擦体(4)で前記画像形成シート上を擦過した。前記可逆性熱変色シートcの摩擦体(4)で直接擦過された部分が65℃以上に加熱され消色し、可逆性熱変色シートcに星形の鮮明な画像が得られ、この画像は、室温で維持されていた。
前記可逆熱変色性シートを−8℃以下に冷却すると全面が青色となり、再度前記方法で描画を行うと、画像を形成することができた。
(比較例1)
(画像形成シートIIIの製造)
粘着層を設けなかった以外は、画像形成シートIと同じ方法で画像形成シートIIIを得た。
(描画セットの作成)
前記可逆熱変色性シートaと、画像形成シートIIIと、摩擦体(4)としてSEBS樹脂からなる直方体(15mm×25mm×40mm)を組み合わせて、描画セットを得た。
得られた描画セットを用い、以下の方法で描画を行った。全面が黒色の可逆熱変色性シートaの上に、画像形成シートIIIを、粘着層と可逆熱変色性シートが接するように配設し、摩擦体(4)で前記画像形成シート上を擦過した。この時、画像形成シートがずれてしまい、星形の画像を形成することができなかった。
(比較例2)
(画像形成シートIVの製造)
滑性層を設けなかった以外は、画像形成シートIと同じ方法で画像形成シートIVを得た。
(描画セットの作成)
前記可逆熱変色性シートaと、画像形成シートIVと、摩擦体(4)としてSEBS樹脂からなる直方体(15mm×25mm×40mm)を組み合わせて、描画セットを得た。
得られた描画セットを用い、以下の方法で描画を行った。全面が黒色の可逆熱変色性シートaの上に、画像形成シートIVを、粘着層と可逆熱変色性シートが接するように配設し、摩擦体(4)で前記画像形成シート上を擦過した。前記可逆性熱変色シートaの摩擦体(4)で直接擦過された部分と、可逆性熱変色シートaと摩擦体(4)が画像形成シートを介して擦過された部分の一部が45℃以上に加熱され消色し、可逆性熱変色シートaに星形の画像が一部崩れた形で得られた。
前記の実施例と比較例の結果からも明らかなように、本発明の描画セットは、従来と比較して、鮮明な画像を簡便に形成することができ、描画セットとしての機能が優れていることが明らかである。