(磁界発生部材の第1の実施形態)
図1は、本発明に係るマグネットローラの第1の実施形態を示す拡大断面図である。図2は、図1のマグネットローラの組立方法を示す断面図である。図3は、図1のマグネットローラの本体部における磁気異方性の配向方向を示す図である。図4は、図1のマグネットローラの外表面における磁気力の強さを模式的に示す図である。図5は、図1のマグネットローラの本体部を成形する金型の概略構造を示す断面図である。
本実施形態のマグネットローラ133Aは、それを内包するように成形された円筒形状の現像スリーブ132(図18に示す)とともに、磁性粒子担持体としての現像ローラ115を構成して、該現像ローラ115の外表面上に、トナーと磁性キャリア135(図17に示す)とを含んだいわゆる二成分現像剤(以下、現像剤と記す)を担持するための磁気力を生じさせる磁界発生部材である。
マグネットローラ133Aは、図1に示すように、本体部140と、溝形部材142と、長尺磁石成形体としての希土類マグネットブロック141と、を備えている。
本体部140は、磁性材料を用いて円柱状に成形されており、その磁性材料としては、磁性粉に高分子化合物を混合したいわゆるプラスチックマグネット若しくはゴムマグネットを用いることができる。磁性粉としては、Srフェライト又はBaフェライトを用い、高分子化合物としては6PA又は12PA等のPA(ポリアミド)系材料、EEA(エチレン・エチル共重合体)又はEVA(エチレン・ビニル共重合体)などのエチレン系化合物、CPE(塩素化ポリエチレン)等の塩素系材料、NBR等のゴム材料を使用することができる。本体部140は、その外表面上に、長手方向に沿う直線状の本体溝144が設けられており、また、本体部140の両端面から同軸に突出する軸部が一体に成形されている。また、本体部140は、円柱の一部が軸方向に沿ってカットされて、その外表面の一部が平面状であってもよい。
本体溝144は、特許請求の範囲に記載された本体部の溝に相当し、本体部140の外周面に、その軸方向と直交する断面(即ち、横断面)が凹状且つ略矩形状に成形されている。本体溝144は、本体部140の長手方向に沿って直線状に延在しているとともに、該本体部140の全長に亘って設けられている。また、本体溝144は、マグネットローラ133Aが後述する現像装置113(図19に示す)に組み込まれたときに、後述する感光体ドラム108と相対するように(即ち、現像磁極の位置に)配置されている。
本体溝144は、図2に示すように、一対の側面1441と、底面1442と、を備えている。
一対の側面1441それぞれには、一対のストレート面1441aと、一対のテーパ面1441bと、が設けられている。
一対のストレート面1441aは、本体溝144の開口部近傍に長手方向に沿って互いに平行に相対し且つ開口部の幅方向に直交するように設けられた長方形の平面部である。一対のストレート面1441aの幅(短手方向)は溝形状によってその適正値が異なり、このストレート面1441aの幅が短すぎると溝形部材142の脱落防止効果が十分に得られず、また、長すぎると本体部140の成型時に、本体溝144を成形するための金型を構成する置き駒148(図5)が本体部140から抜けなくなる。
一対のテーパ面1441bは、ストレート面1441aにおける底面1442寄りの下端(長辺)から底面1442にかけて互いの間隔が徐々に狭まるように成形された長方形の平面部である。一対のテーパ面1441bは、一対のストレート面1441aに対して3〜10度程度互いが近づく方向に角度(即ち、本体溝140の開口部幅方向に直交する方向に対する角度、以下、テーパ角度)を付けて成形されている。この一対のテーパ面1441bは、前述した金型の置き駒148を抜きやすくするためのものでもある。
底面1442は、一対のテーパ面1441bにおける一方の長辺をそれぞれ連接するとともに、本体溝144の開口部の幅方向と平行に、且つ、その幅L2が本体溝144の開口部の幅L1より小さくなるように成形されている。本体溝144の開口部から底面1442までの深さ(即ち、本体溝144の深さ)は、構成により適宜定められるが、これが浅いと後述する溝形部材142の一対の壁部1421の高さ(短手方向の長さ)が十分にとれず、溝形部材142による補強効果が十分に得られなくなる。
本体部140は、図5に示す構造の金型を用い、射出磁場成形によって製造されている。本体溝144の形状は、本体部140を成形する金型の当該位置に置き駒148を配置して成形している。置き駒148は本体部140から取り外しやすく(抜きやすく)するために、いわゆる抜き勾配(テーパ角度)を3〜10度程度付けている。この抜き勾配が一対のテーパ面1441bを成形している。置き駒148の形状によって所望の本体溝形状を得ることができる。
本体部140の射出成形が完了すると、固定側の入子150Aと150Bとは移動せず、可動側の入子150Cと150Dと置き駒148とEJピン149と本体部140が図5中右方向に移動する(型開き)。次いで、EJピン149が、本体部140と置き駒148とを押し出す(エジェクト)。次いで、置き駒148を本体部140から取り外すことで、本体部140を得ることができる。
本体部140の磁場配向(磁気異方性)の向き143は、図3に示すように、一方向の場合には、本体溝144の底面1442と略平行且つ軸方向と略直交にされている。等分4極の場合にも、ある一方向が本体溝144の底面1442と平行且つ軸方向と直交にされていることが望ましいが、それに限定されるものではない。
溝形部材142は、一般的なプラスチック材料を成形して得られ、又は、金属材料を曲げ加工して得られる。溝形部材142は、プラスチック材料または金属材料いずれにおいても非磁性材質を用いた方が、内包する希土類マグネットブロック141の磁極において、それが本体溝144に固定されたとき、本体部140の外表面におけるピーク磁束密度が高くなるので、現像剤に含まれる磁性キャリア135の付着に有利となる。
溝形部材142による、マグネットローラ133Aの剛性向上には金属材料の方が有利である。非磁性金属材料のうち更に、SUS301のバネ材が特性とコストの面から有利である。更にSUS301バネ材の中でも、1/2H(310HV以上)や3/4H(370HV以上)やH(430HV以上)やEH(490HV以上)が望ましいが、硬度が高くなるに連れて曲げ加工時に曲げ部分等にクラックが入りやすくなるので注意が必要になる。
溝形部材142は、本体溝144と同じ長さに成形されるとともに、その短手方向断面(即ち、横断面)がコの字形状に成形されている。溝形部材142は、床部1422と一対の壁部1421とを備えている。また、床部1422と一対の壁部1421とによって、希土類マグネットブロック141が圧入されて固定される溝形部材溝1423が成形されている。溝形部材溝1423は、特許請求の範囲に記載された溝形部材の溝に相当する。
床部1422は、その幅(短手方向)が、本体溝144の底面1442に一致して重なるように成形された長方形の平板であり、溝形部材142が本体溝144に圧入されて固定されたとき、その下面1422bが該底面1442に当接するように配置される。
一対の壁部1421は、床部1422の相対する長辺から略直角に立設された長方形の平板であり、その上端1421aからその下端1421bまでの長さ(即ち、一対の壁部の高さ)が本体溝144のテーパ面1441bの幅と同一なるように成形されているのが好ましい。一対の壁部1421は、溝形部材142が本体溝144に圧入されたとき、それら外面1421cがテーパ面1441bに当接し、且つ、それら上端1421aがストレート面1441aとテーパ面1441bとの境界1441cに位置づけられる。これにより、上端1421aが境界1441c(即ち、ストレート面1441a)に引っ掛かり、溝形部材142が本体溝144から脱落することを防止することができる。
溝形部材142の床部1422及び一対の壁部1421の厚みは、本体部140の形状によって適正値が異なる。剛性向上には厚くする方が有利であるが、厚すぎると希土類マグネットブロック141による所望の磁気力(例えば、図4に示すBa)を得にくくなる。
希土類マグネットブロック141は、特許請求の範囲に記載された長尺磁石成形体に相当し、溝形部材142と同じ長さで、その短手方向断面(即ち、横断面)が溝形部材溝1423の横断面に沿う矩形状となる長尺の棒状に成形されており、該溝形部材溝1423に圧入されて固定される。そして、希土類マグネットブロック141は、溝形部材142とともに本体溝144に圧入されて固定されたのち、希土類マグネットブロック141が感光体ドラム108と相対するように本体部140(即ち、現像ローラ115)が配置される。この希土類マグネットブロック141は、現像磁極をなすものであり、現像スリーブ132即ち現像ローラ115の外表面上に磁気力を生じて、現像スリーブ132と感光体ドラム108との間に磁界を形成する。この希土類マグネットブロック141は、該磁界によって磁気ブラシを形成することで、現像スリーブ132の外表面に吸着された現像剤のトナーを感光体ドラム108に受け渡すようになっている。このように、希土類マグネットブロック141は、現像スリーブ132の外表面に付着した現像剤のトナーを感光体ドラム108に受け渡す現像領域131(図19)を前述した現像スリーブ132の外表面に形成する。
希土類マグネットブロック141は、希土類磁性体よりなる磁性粒子で構成された磁性粉を含む磁石コンパウンドを、磁場中でプレス金型内に充填し、圧縮成形して得られる。圧縮成形は、結合樹脂が少量で成形可能であるため、磁性粉の配合比率を高めることができる。また、圧縮成形によって、希土類マグネットブロック141の成形密度を高めることができるため、高磁力化には優れた工法である。しかし結合樹脂の量が少ないため、強度は不足する傾向がある。
圧縮成形に用いられる磁石コンパウンドは、角のとれた平均粒径80〜150μmであって、嵩密度が、3.3g/cm3〜4.0g/cm3の磁性粉と熱可塑性樹脂微粒子から構成されている。圧縮成形された磁石コンパウンドはその後加熱されて、熱可塑性樹脂微粒子が溶融することで磁性粉との結合力が増大する。
磁石コンパウンドにおける磁性粉の配合比率は、好ましくは、90〜99wt%であり、さらに好ましくは、92〜97wt%である。磁性粉の含有量が少なすぎると、磁気特性の向上が図れず、また、磁性粉の含有量が多すぎると、結合樹脂の含有量が少なくなり、マグネットブロックの成形性が低下(割れなどの発生)する。
あるいは希土類マグネットブロック141は、磁石コンパウンドを磁場中で射出成形して得られる。射出成形は、圧縮成形よりも結合樹脂の量が多く必要となり、磁性粉の配合比率を高めにくい。また結合樹脂を高温で溶融させるため、希土類元素を含んだ磁性粉は熱減磁する。このため高磁力の点からは圧縮成形に劣る。しかし結合樹脂の量が多く、溶融固化させているため結合力は強く、強度アップには優れた工法である。
射出成形される磁石コンパウンドは、角のとれた平均粒径80〜150μmであって、嵩密度が、3.3g/cm3〜4.0g/cm3の磁性粉と熱可塑性樹脂から構成されている。射出成形では溶融した熱可塑性樹脂内に、希土類元素を含んだ磁性粉が分散した状態で成形され、冷却固化される。圧縮成形よりも高強度な希土類マグネットブロックを得ることができる。
磁石コンパウンドにおける磁性粉の配合比率は、好ましくは、80〜95wt%であり、さらに好ましくは、87〜93wt%である。磁性粉の含有量が少なすぎると、磁気特性の向上が図れず、また、磁性粉の含有量が多すぎると流動性が低下して射出成形されにくくなる。
磁性粉は、高磁力化(13MGOe以上)が可能な希土類磁性体よりなる磁性粒子で構成されている。希土類磁性体は、好ましくは、希土類元素と遷移金属とを含む合金よりなる次の(i)〜(iii)のものであるが、特に、(i)が好ましい。
(i)R(ただし、RはYを含む希土類元素のうち少なくとも1種である)と、Feを主とする遷移金属と、Bとを基本成分とするもの(R−Fe−B系合金といわれているもの)。代表的なものとしては、Nd−Fe−B系合金、Pr−Fe−B系合金、Nd−Pr−Fe−B系合金、Ce−Nd−Fe−B系合金、Ce−Pr−Nd−Fe−B系合金、及び、これらにおけるFeの一部をCo、Niなどのほかの遷移金属で置換したものがあげられる。
(ii)Smを主とする希土類元素と、Coを主とする遷移金属と、を基本成分とするもの(Sm−Co系合金といわれているもの)。代表的なものとしては、SmCo5、及び、Sm2TM17(TMは遷移金属)があげられる。
(iii)Smを主とする希土類元素と、Feを主とする遷移金属と、Nを主とする格子間元素と、を基本成分とするもの(Sm−Fe−N系合金といわれているもの)。代表的なものとしては、Sm2TM17合金を窒化して作製したSm2Fe17N3があげられる。
前記希土類元素としては、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、ミッシュメタルなどがあげられ、そして、これらを1種または2種以上含むことができる。また、遷移金属としては、Fe、Co、Niなどがあげられ、そして、これらを1種または2種以上含むことができる。また、磁気特性を向上させるために、磁性粉には、必要に応じ、B、Al、Mo、Cu、Ga、Si、Ti、Ta、Zr、Hf、Ag、Zn等を含有させることもできる。
磁性粉を構成する磁性粒子の体積平均粒径は、好ましくは、80〜150μmであり、さらに好ましくは、90〜140μmである。前記平均粒径の測定は、シスメックス株式会社製のMastersizer2000のDRYユニットで測定される。
熱可塑性樹脂微粒子の平均粒径は、好ましくは、前記磁性粉の磁性粒子の平均粒径の1/10以下である。このように、平均粒径が、前記磁性粉の磁性粒子の1/10以下であると、磁石成形体の成形密度を高くすることが可能になり、そのために、磁気特性を向上させることができる。
熱可塑性樹脂微粒子は、好ましくは、乳化重合法又は懸濁重合法により製造された球状の微粒子である。このように、熱可塑性樹脂微粒子が乳化重合法又は懸濁重合法により製造された球状の微粒子であると、圧縮成形物の高密度化が可能になり、そのために、磁気特性をさらに向上させることができる。また、このように、球状の微粒子とすると、磁性粉への被覆面積が向上するので、磁石成形体表面への磁性粉の露出面積が低減でき、そのために、防錆効果が生じる。
前記熱可塑性樹脂微粒子を構成する熱可塑性樹脂は、例えば、ポリスチレン、ポリクロロエチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン系化合物及びその置換体よりなる単重合体、並びに、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタレン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル重合体、スチレン−ビニルメチルケトン重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体があげられる。また、前記「熱可塑性樹脂」は、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルブチルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、エポキシポリオール系樹脂等の樹脂であってもかまわない。これらの樹脂は、1種又は2種以上混合して使用することができる。
前記熱可塑性樹脂微粒子は、前述したように、結合樹脂(バインダー)として用いられるものであるが、例えば、ポリエステル、ポリオ−ル等の熱可塑性樹脂に帯電制御剤(CCA)、顔料、低軟化点物質(ワックス)を分散混合し、その周囲にシリカ、酸化チタン等の物質を外添して、流動性を高めたものである。顔料の添加量は、1〜20wt%、好ましくは、5〜10wt%である。帯電制御剤は、磁石粒子と熱可塑性樹脂微粒子の分散性を向上するために添加される。帯電制御剤の添加量は、1〜20wt%、好ましくは、0.5〜10wt%である。離型剤は、成形後の型離れ性を良くするために添加される。離型剤の添加量は、1〜20wt%、好ましくは、2〜10wt%である。この熱可塑性樹脂微粒子153は、マイナスに帯電しやすく、かつ流動性に優れるので、磁性粉との静電気的付着力に優れ、磁石粒子間の隙間を埋めることが十分可能になる。
前記熱可塑性樹脂微粒子には、外添剤としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化セルウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化スズ、酸化亜鉛等の金属酸化物、窒化ケイ素等の窒化物、炭化ケイ素等の炭化物、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の金属塩、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩、カーボンブラック、及び、シリカを挙げることができる。外添剤の粒径は、通常0.1〜1.5μmの範囲であり、添加量としては、外添前100重量部に対し、好ましくは、0.01〜10重量部、さらに好ましくは、0.05〜5重量部である。これらの外添剤は、単独で用いてもよいが、複数を併用しても構わない。また、これらの外添剤は、好ましくは、疎水化処理されたものである。
前記顔料は、例えば、カ−ボンブラック、ランプブラック、マグネタイト、チタンブラック、クロムイエロー、群青、アニリンブルー、フタロシアニンブル−、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6G、カルコオイルブルー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、マラカイトグリーンレーキ、キノリンイエロー、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド184、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ソルベント・イエロー162、C.I.ピグメント・ブルー5:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3、カ−ミン等を挙げることができる。
また、前記熱可塑性樹脂微粒子には、その内部に低軟化物質を内添することも可能である。かかる低軟化物質としては、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、フィッシャートロピッシュワックス、アミドワックス、高級脂肪酸、エステルワックス及びこれらの誘導体又はこれらのグラフト/ブロック化合物等をあげることができる。この様な低軟化物質を添加する場合は、5〜30質量%程度添加することが好ましい。
希土類マグネットブロック141は、最高磁束密度が100〜130mTの最高磁束密度が80〜120mTの従来のプラスチックマグネットよりも高磁力化(13〜16MGOe)となっている。希土類マグネットブロック141は、着磁された後に溝形部材溝1423に圧入されてもよく、または、溝形部材溝1423に圧入された後に着磁されてもよい。また、本実施形態においては、マグネットブロックとして、希土類元素を含むものを用いているが、これに限定されるものではなく、必要な磁気力が得られるものであれば、その材料は任意である。
マグネットローラ133Aには、図4に模式的に示す磁気力を発生させる複数の固定磁極(現像磁極として希土類マグネットブロック141を含み、他は不図示)が設けられている。図4に示す線Bは、各磁極が生じるマグネットローラ133Aの外周面における法線方向に向かう磁気力(磁束密度)の大きさを模式的に表したものであり、線Bがマグネットローラ133Aの外表面から離れているほど、磁気力が大きいことを示している。特に、線Baは、希土類マグネットブロック141の生じる磁気力(磁束密度)の大きさを示している。
マグネットローラ133Aに設けられた現像磁極を除く固定磁極は、本体部140の一部がN極又はS極に直されて形成されている。固定磁極は、マグネットローラ133Aの長手方向に沿って延在しているとともに、該マグネットローラ133Aの全長に亘って設けられている。
一つの固定磁極は、現像装置113が備える攪拌スクリュー118と相対するように配置される。この一つの固定磁極は、汲み上げ磁極をなしており、現像スリーブ132即ち現像ローラ115の外表面上に磁気力を生じて、現像剤を現像スリーブ132の外表面に吸着する。
前述した汲み上げ磁極と本体溝144との間には、少なくとも一つの固定磁極が設けられている。この少なくとも一つの固定磁極は、現像スリーブ132即ち現像ローラ115の外表面上に磁気力を生じて、現像前の現像剤を感光体ドラム108に向けて搬送する。
これら固定磁極は、現像スリーブ132の外表面に磁気力を生じさせる。すると、現像剤に含まれる磁性キャリア135が該固定磁極で生じる磁力線に沿って互いに重なり合い、現像スリーブ132の外表面上に立設(穂立ち)する。このように、磁性キャリア135が磁力線に沿って複数重なって現像スリーブ132の外表面上に立設する状態を、磁性キャリア135が現像スリーブ132の外表面上に穂立ちするという。そして、この穂立ちした磁性キャリア135に前述したトナーが吸着する。則ち、現像スリーブ132は、マグネットローラ133Aの磁力により外表面に現像剤を吸着する。
また、マグネットローラ133Aには、現像ローラ115の外表面に生じる磁気力を弱めて、現像剤を現像ローラ115外表面から落下させるための剤切れ極(不図示)が、上述の現像磁極と略対向する位置に設けられている。この剤切れ極は、マグネットローラ133Aの長手方向に沿って延在しているとともに、該マグネットローラ133Aの全長に亘って設けられている。
次に、マグネットローラ133Aの組立方法について説明する。まず、溝形部材142の溝形部材溝1423に、希土類マグネットブロック141を、図2の矢印R1の方向に圧入して固定する。このとき、希土類マグネットブロック141の底面141b及び側面141cがそれぞれ、溝形部材142の上面1422a及び内面1421dに当接するように圧入する。
続いて、本体溝144に希土類マグネットブロック141が圧入された溝形部材142を、図2の矢印R2の方向に圧入して固定する。このとき、溝形部材142の下面1422bが本体溝144の底面1442に当接し、溝形部材142の外面1421cが本体溝144のテーパ面1441bに当接し、さらに、溝形部材142の一対の壁部1421の上端1421aが本体溝144の境界1441cに位置づくように圧入する。
最後に、現像ローラ115として必要な固定磁極を電磁石タイプの着磁ヨークで着磁して、マグネットローラ133Aが完成する。また、本実施形態では、各部材を圧入して固定するものであったが、これに限定するものではなく、例えば、接着剤を用いて各部材同士を固定しても良い。
上述したマグネットローラ133Aの組立方法(製造方法)によれば、希土類マグネットブロック141を溝形部材142の溝1423に圧入したあと、該溝形部材142を本体溝144に圧入するので、希土類マグネットブロック141が溝形部材142によって補強され、そのため、希土類マグネットブロック141を本体溝144に圧入するときに生じる、折損を防止することができる。したがって、マグネットローラ133Aの組立作業性及び希土類マグネットブロック141の歩留まりを向上させることができ、生産性を高めることができる。
なお、図1において、希土類マグネットブロック141と溝形部材142との間には隙間があるように見えるが、実際には、極微小な空隙があるのみである。
また、本実施形態において、本体部140は、外径8.5mm、全長313mm、そして、本体溝144は、長さ313mm、底面1442の幅2.7mm、一対の側面1441におけるストレート面1441aの幅0.17mm、テーパ面1441bの幅2.2mm、該ストレート面に対する該テーパ面の角度5度、に成形されている。また、溝形部材142は、長さ313mm、床部1422の幅2.6mm、一対の壁部1421の高さ2.3mm、該床部に対する該一対の壁部の角度95度、厚み0.3mm、に成形されている。希土類マグネットブロック141は、幅2.0mm、高さ2.4mm、長さ313mm、に成形されている。これら各寸法は一例であり、構成等に応じて適宜定められる。
以上より、本発明によれば、円柱状の本体部140の本体溝144に、横断面がコの字形状の溝形部材142が固定され、そして、この溝形部材142の溝(溝形部材溝)1423に、希土類マグネットブロック141が固定されているので、この溝形部材142により、本体部140を補強して、その剛性を高めることができ、そのため、本体部140を小径化(即ち、小型化)した場合においても、その剛性を確保することができる。したがって、剛性を高めて小型化できるようにしたマグネットローラ133Aを提供することができる。
また、溝形部材142が、本体溝144に圧入されて固定されているので、それらの固定に接着剤を用いることがなく、そのため、溝形部材142を、本体溝144から容易に取り外すことができる。したがって、溝形部材142の再利用が可能となり、マグネットローラ133Aを安価に提供することができる。また、本体溝144と溝形部材142との固定に接着剤を用いないので、接着剤の厚みやその乾燥等で生じるそれら部材の位置ずれがなく、そのため、高精度な組み付けができる。
また、希土類マグネットブロック141が、溝形部材溝1423に圧入されて固定されているので、それらの固定に接着剤を用いることがなく、そのため、希土類マグネットブロック141を、溝形部材142から容易に取り外すことができる、したがって、高価な希土類マグネットブロック141の再利用が可能となり、マグネットローラ133Aを安価に提供することができる。また、溝形部材142と希土類マグネットブロック141との固定に接着剤を用いないので、接着剤の厚みやその乾燥等で生じるそれら部材の位置ずれがなく、そのため、高精度な組み付けができる。
また、本体溝144における一対の側面1441が、本体溝144の開口部近傍に互いに平行になるように成形された一対のストレート面1441aと、このストレート面1441aの下端から本体溝144における底面1442にかけて互いの間隔が徐々に狭まるように成形された一対のテーパ面1441bと、を有しているので、この本体溝144に溝形部材142を圧入したときに、一対のストレート面1441aがストッパとなって、本体溝144から溝形部材142が脱落してしまうことを防止できる。そのため、溝形部材142の脱落による現像装置等の故障を防ぐことが可能な、信頼性の高いマグネットローラ133Aを提供できる。
また、溝形部材142における一対の壁部1421の外面1421cが、それぞれ本体溝144における一対のテーパ面1441bに密着するとともに、これら一対の壁部1421の上端1421aがそれぞれ境界1441cに位置づくように成形されているので、本体溝144にこの溝形部材142を圧入したときに、一対の壁部1421の上端1421aが境界1441cに引っ掛かり、互いをより確実に固定することができる。そのため、本体溝144から溝形部材142が脱落してしまうことをより確実に防止できる。したがって、溝形部材142の脱落による現像装置等の故障を防ぐことが可能な、信頼性の高いマグネットローラ133Aを提供できる。
また、溝形部材142が、非磁性材料を用いて成形されているので、溝形部材142に磁性材料を用いた場合に比べて、溝形部材142の位置に対応する現像ローラ115の外表面におけるピーク磁束密度を高くする(即ち、図4に示す線Baの最高点をマグネットローラ133Aの外表面からより遠くに離す)ことができる。そのため、現像ローラ115の外表面に現像剤をより確実に担持でき、感光体ドラム108等への現像剤の付着を防止できる。
さらに、溝形部材142に非磁性金属を用いることにより、マグネットローラ133Aの剛性をさらに高めることができる。
また、本体部140が、一方向に磁気異方性を有しており、その方向(配向方向)が、本体溝144の底面1442に略平行且つ軸方向と略直交にされているので、本体溝144と対向する位置(即ち、配向方向143と直交する位置)に、マグネットローラ133Aが生じる磁気力の変極点が形成され、この変極点またはその近傍に剤切れ極を設けることで、この剤切れ極の磁気力を容易に小さくすることができる。そのため、現像ローラ115による現像剤の連れ回りを防止することができる。
また、マグネットローラ133Aは、希土類元素を含む希土類マグネットブロック141を備えているので高磁力を実現することができる。
(磁界発生部材の第2の実施形態)
図6は、本発明に係るマグネットローラの第2の実施形態を示す拡大断面図である。図7は、図6のマグネットローラの組立方法を示す断面図である。同図において、前述した第1の実施形態と同一構成部分には同一符号を付してその説明を省略する。
本実施形態のマグネットローラ133Bは、図6に示すように、本体部240と、溝形部材242と、希土類マグネットブロック141と、を備えている。
本体部240は、磁性材料を用いて円柱状に成形されており、その磁性材料としては、第1の実施形態と同一のプラスチックマグネット若しくはゴムマグネットを用いることができる。本体部240は、その外表面上に、長手方向に沿う直線状の本体溝244が設けられており、また、本体部240の両端面から同軸に突出する軸部が一体に成形されている。また、本体部240は、円柱の一部が軸方向に沿ってカットされて、その外表面の一部が平面状であってもよい。
本体溝244は、特許請求の範囲に記載された本体部の溝に相当し、本体部240の外周面に、その軸方向と直交する断面(即ち、横断面)が凹状且つ略矩形状に成形されている。本体溝244は、本体部240の長手方向に沿って直線状に延在しているとともに、該本体部240の全長に亘って設けられている。また、本体溝244は、マグネットローラ133Bが後述する現像装置113(図19に示す)に組み込まれたときに、後述する感光体ドラム108と相対するように(即ち、現像磁極の位置に)配置されている。
本体溝244は、図7に示すように、一対の側面2441と、底面2442と、を備えている。
一対の側面2441は、本体溝244の長手方向に沿って、その開口部の幅方向に対して略直交するように成形された、相対する2つの平面部である。底面2442は、一対の側面2441それぞれの一方の長辺を連接するとともに、本体溝244の長手方向に沿って、その開口部の幅方向と平行に成形された平面部である。一対の側面2441と底面2442とのなす角度は、90度以上且つ100度以下であることが望ましい。つまり、本体溝244の開口部の幅M1より底面2442の幅M2の方が若干小さくなるように、一対の側面2441がテーパ状に成形されている。これは、本体溝244を成形する置き駒148(図5)を抜きやすくするためである。本体溝244の開口部から底面2442までの深さ(即ち、本体溝244の深さ)は、構成により適宜定められるが、これが浅いと後述する溝形部材242の一対の壁部2421の高さ(短手方向の長さ)が十分にとれず、溝形部材242による補強効果が十分に得られなくなる。
本体部240は、第1の実施形態の本体部140と同様に図5に示す構造の金型を用い、射出磁場成形によって製造されている。本体溝244の形状は、本体部240を成形する金型の当該位置に置き駒148を配置して成形している。置き駒148は本体部240から取り外しやすく(抜きやすく)するために、いわゆる抜き勾配(テーパ角度)を付けている。この抜き勾配により一対の側面2441をテーパ状に成形している。置き駒148の形状によって所望の本体溝形状を得ることができる。
本体部240の射出成形が完了すると、固定側の入子150Aと150Bとは移動せず、可動側の入子150Cと150Dと置き駒148とEJピン149と本体部240が図5中右方向に移動する(型開き)。次いで、EJピン149が、本体部240と置き駒148とを押し出す(エジェクト)。次いで、置き駒148を本体部240から取り外すことで、本体部240を得ることができる。
本体部240の磁場配向(磁気異方性)の向き143は、図3に示すように、一方向の場合には、本体溝244の底面2442と略平行且つ軸方向と略直交にされている。等分4極の場合にも、ある一方向が本体溝244の底面2442と平行且つ軸方向と直交にされていることが望ましいが、それに限定されるものではない。
溝形部材242は、例えば、本体溝244と同じ長さの平板状の非磁性金属材料を、短手方向の断面(横断面)がコの字になるように曲げ加工して得られる。溝形部材242に非磁性材料を用いることで、内包する希土類マグネットブロック141の磁極において、それが本体溝244に固定されたとき、本体部240の外表面におけるピーク磁束密度が高くなり、そのため、現像剤に含まれる磁性キャリア135の付着に有利となる。
溝形部材242は、樹脂材料を用いて成形することも可能であるが、マグネットローラ133Bの剛性向上には金属材料の方が有利である。非磁性金属材料のうち更に、SUS301のバネ材が特性とコストの面から有利である。更にSUS301バネ材の中でも、1/2H(310HV以上)や3/4H(370HV以上)やH(430HV以上)やEH(490HV以上)が望ましいが、硬度が高くなるに連れて曲げ加工時に曲げ部分等にクラックが入りやすくなるので注意が必要になる。
溝形部材242は、床部2422と一対の壁部2421とを備えている。また、床部2422と一対の壁部2421とによって、希土類マグネットブロック141が圧入されて固定される溝形部材溝2423が成形されている。溝形部材溝2423は、特許請求の範囲に記載された溝形部材の溝に相当する。
床部2422は、その幅(短手方向)が、本体溝244の底面2442に一致して重なるように成形された長方形の平板であり、溝形部材242が本体溝244に圧入されて固定されたとき、その下面2422bが該底面2442に当接するように配置される。
一対の壁部2421は、床部2422の相対する長辺から、床部2422に対して90度以上の角度(図7のθ)をなして立設された長方形の平板であり、その上端2421aからその下端2421bまでの長さ(即ち、一対の壁部2421の高さ)が本体溝244の一対の側面2441の幅(高さ)以下になるように成形されており、特にそれらが同一となるのが好ましい。
一対の壁部2421の外面2421cには、その上端2421aから下端2421bに向かう(図7にて下向き)複数の外面くさび溝2421eが、長手方向に沿ってその全長に亘って設けられている。また、この複数の外面くさび溝2421eを設けることによって、外面くさび2421gが成形されている。
一対の壁部2421の内面2421dには、その下端2421bから上端2421aに向かう(図7にて上向き)複数の内面くさび溝2421fが、長手方向に沿ってその全長に亘って設けられている。また、この複数の内面くさび溝2421fを設けることによって、外面くさび2421gが成形されている。
一対の壁部2421の外面2421cは、溝形部材242が本体溝244に圧入されたとき、本体溝244の一対の側面2441に当接するように成形されている。そして、外面2421cに外面くさび溝2421eが設けられているので、溝形部材242を本体溝244に圧入するときは、一対の側面2441と外面2421cとの接触面積が減少して、圧入に大きな力を必要とせず組立性が向上し、また、圧入後は、外面くさび2421gが、本体溝244の一対の側面2441に引っ掛かり、溝形部材242の本体溝244からの脱落をより確実に防止することができる。
また、一対の壁部2421の内面2421dは、希土類マグネットブロック141が溝形部材溝2423に圧入されたとき、希土類マグネットブロック141の側面141cに当接するように成形されている。そして、内面2421dに内面くさび溝2421fが設けられているので、希土類マグネットブロック141を溝形部材溝2423に圧入するときは、希土類マグネットブロック141の側面141cと内面2421dとの接触面積が減少して、圧入に大きな力を必要とせず組立性が向上し、また、圧入後は、内面くさび2421hが側面141cに引っ掛かり、希土類マグネットブロック141の溝形部材242からの脱落をより確実に防止することができる。
また、内面くさび溝2421fは、溝形部材242の曲げ加工より前に成形しておくことが好ましい。これは、曲げ加工後におこなうと、床部2422近傍への内面くさび溝2421fの成形が困難となるからである。
また、外面くさび2421g及び内面くさび2421hの長さや間隔は、溝形部材242の厚さや一対の壁部2421の高さ(即ち、溝形部材溝2423の深さ)によって異なるが、外面くさび溝2421e及び内面くさび溝2421fの深さについては、曲げ加工時や使用時の切れ込みによる部材の欠けを考慮すると、溝形部材242の厚さの1/3以下であることが好ましい。
外面くさび溝2421e及び内面くさび溝2421fの配置については、少なくとも、上端2421a近傍、下端2421b近傍、及び、上端2421aと下端2421bとの中間部近傍、の3カ所に設けられていることが望ましい。特に、溝形部材242の一対の壁部2421が床部2422に対してなす角度が90度より大きい場合、各部材の位置ずれ防止効果及び脱落防止効果は、下端2421b近傍に設けられた外面くさび溝2421e及び内面くさび溝2421fに大きく依存している。
外面くさび溝2421e及び内面くさび溝2421fは、それらを互いにずらして配置することが望ましい。そうすることにより、溝形部材242の曲げ加工時や使用時の部材の欠け等を防止することができる。
外面くさび2421g及び内面くさび2421hの長さは、0.1mm以下にするのが好ましく、さらに摩耗を考慮して、0.07mm以上とするのが更に好ましい。また、外面くさび2421gの間隔及び内面くさび2421hの間隔を1mm以下とし、外面くさび溝2421eと内面くさび溝2421fとを0.3mm以上ずらして、3カ所以上設けていることが望ましい。
溝形部材242の床部2422及び一対の壁部2421の厚みは、本体部240の形状によって適正値が異なる。剛性向上には厚くする方が有利であるが、厚すぎると希土類マグネットブロック141による所望の磁気力(例えば、図4に示すBa)を得にくくなる。
マグネットローラ133Bには、第1の実施形態と同一に、図4に模式的に示す磁気力を発生させる複数の固定磁極(現像磁極として希土類マグネットブロック141を含み、他は不図示)及び剤切れ極が設けられている。
次に、マグネットローラ133Bの組立方法について説明する。まず、溝形部材242の溝形部材溝2423に、希土類マグネットブロック141を、図7の矢印S1の方向に圧入して固定する。このとき、希土類マグネットブロック141の底面141b及び側面141cがそれぞれ、溝形部材242の上面2422a及び内面2421dに当接するように圧入する。
続いて、本体溝244に希土類マグネットブロック141が圧入された溝形部材242を、図7の矢印S2の方向に圧入して固定する。このとき、溝形部材242の下面2422bが本体溝244の底面2442に当接し、溝形部材242の外面2421cが本体溝244の一対の側面2441それぞれに当接するように圧入する。
最後に、現像ローラ115として必要な固定磁極を電磁石タイプの着磁ヨークで着磁して、マグネットローラ133Bが完成する。また、本実施形態では、各部材を圧入して固定するものであったが、これに限定するものではなく、例えば、接着剤を併用することでより強固に各部材同士を固定することができる。
上述したマグネットローラ133Bの組立方法(製造方法)によれば、希土類マグネットブロック141を溝形部材242の溝2423に圧入したあと、該溝形部材242を本体溝244に圧入するので、希土類マグネットブロック141が溝形部材242によって補強され、そのため、希土類マグネットブロック141を本体溝244に圧入するときに生じる、折損を防止することができる。したがって、マグネットローラ133Bの組立作業性及び希土類マグネットブロック141の歩留まりを向上させることができ、生産性を高めることができる。
また、本実施形態において、本体部240は、外径8.5mm、全長313mm、そして、本体溝244は、長さ313mm、底面2442の幅2.7mm、一対の側面2441の高さ2.4mm、に成形されている。また、溝形部材242は、長さ313mm、床部2422の幅2.6mm、一対の壁部2421の高さ2.3mm、該床部に対する該一対の壁部の角度90度、厚み0.3mm、外面くさび2421g及び内面くさび2421hの長さ0.1mm、外面くさび2421gの間隔及び内面くさび2421hの間隔0.6mm、外面くさび溝2421eと内面くさび溝2421fとの位置ずれ0.3mm、に成形されている。希土類マグネットブロック141は、幅2.0mm、高さ2.4mm、長さ313mm、に成形されている。これら各寸法は一例であり、構成等に応じて適宜定められる。
以上より、本発明によれば、円柱状の本体部240の本体溝244に、横断面がコの字形状の溝形部材242が固定され、そして、この溝形部材242の溝(溝形部材溝)2423に、希土類マグネットブロック141が固定されているので、この溝形部材242により、本体部240を補強して、その剛性を高めることができ、そのため、本体部240を小径化(即ち、小型化)した場合においても、その剛性を確保することができる。したがって、剛性を高めて小型化できるようにしたマグネットローラ133Bを提供することができる。
また、溝形部材242が、本体溝244に圧入されて固定されているので、それらの固定に接着剤を用いることがなく、そのため、溝形部材242を、本体溝244から容易に取り外すことができる。したがって、溝形部材242の再利用が可能となり、マグネットローラ133Bを安価に提供することができる。また、本体溝244と溝形部材242との固定に接着剤を用いないので、接着剤の厚みやその乾燥等で生じるそれら部材の位置ずれがなく、そのため、高精度な組み付けができる。
また、希土類マグネットブロック141が、溝形部材溝2423に圧入されて固定されているので、それらの固定に接着剤を用いることがなく、そのため、希土類マグネットブロック141を、溝形部材242から容易に取り外すことができる、したがって、高価な希土類マグネットブロック141の再利用が可能となり、マグネットローラ133Bを安価に提供することができる。また、溝形部材242と希土類マグネットブロック141との固定に接着剤を用いないので、接着剤の厚みやその乾燥等で生じるそれら部材の位置ずれがなく、そのため、高精度な組み付けができる。
また、溝形部材242が、その一対の壁部2421の外面2421cにその上端2421aから下端2421bに向かって鋭角に成形された外面くさび溝2421eを有し、且つ、一対の壁部2421の外面2421cがそれぞれ、本体溝244における一対の側面2441に密着するように成形されているので、この外面くさび溝2421eを設けることによって一対の壁部2421の下端2421bから上端2421aに向かう外面くさび2421gが成形され、そして、本体溝244にこの溝形部材242を圧入したときに、溝形部材242が本体溝244から脱落する方向に対して、この外面くさび2421gが一対の側面2441に引っ掛かり、それぞれをより確実に固定することができる。そのため、溝形部材242の本体溝244からの脱落及び位置ずれをより確実に防止できる。したがって、溝形部材242の脱落による現像装置等の故障を防ぐことが可能な、信頼性の高いマグネットローラ133Bを提供できる。
また、溝形部材242における一対の壁部2421が、溝形部材242における床部2422に対して90度以上の角度をなして成形されているので、本体溝244にこの溝形部材242を圧入したときに、溝形部材242が本体溝244から脱落する方向に対して、この外面くさび2421gが一対の側面2441により強く引っ掛かり、それぞれをより一層確実に固定することができる。そのため、溝形部材242の本体溝244からの脱落及び位置ずれをより確実に防止できる。したがって、溝形部材242の脱落による現像装置等の故障を防ぐことが可能な、信頼性の高いマグネットローラ133Bを提供できる。
また、溝形部材242が、その一対の壁部2421の内面2421dにその下端2421bから上端2421aに向かって鋭角に成形された内面くさび溝2421fを有し、且つ、一対の壁部2421の内面2421dがそれぞれ、希土類マグネットブロック141の側面141cに密着するように成形されているので、この内面くさび溝2421fを設けることによって一対の壁部2421の上端2421aから下端2421bに向かう内面くさび2421hが成形され、そして、この溝形部材242に希土類マグネットブロック141を圧入したときに、それが溝形部材242から脱落する方向に対して、この内面くさび2421hが希土類マグネットブロック141の側面141cに引っ掛かり、それぞれをより確実に固定することができる。そのため、希土類マグネットブロック141の溝形部材242からの脱落及び位置ずれをより確実に防止できる。したがって、希土類マグネットブロック141の脱落による現像装置等の故障を防ぐことが可能な、信頼性の高いマグネットローラ133Bを提供できる。
また、溝形部材242が、非磁性材料を用いて成形されているので、溝形部材242に磁性材料を用いた場合に比べて、溝形部材242の位置に対応する現像ローラ115の外表面におけるピーク磁束密度を高くすることができる。そのため、現像ローラ115の外表面に現像剤をより確実に担持でき、感光体ドラム108等への現像剤の付着を防止できる。
さらに、溝形部材242に非磁性金属を用いることにより、マグネットローラ133Bの剛性をさらに高めることができる。
また、本体部240が、磁気異方性を有しており、その方向(配向方向)が、本体溝244の底面2442に略平行且つ軸方向と略直交にされているので、本体溝244と対向する位置(即ち、配向方向143と直交する位置)に、マグネットローラ133Bが生じる磁気力の変極点が形成され、この変極点またはその近傍に剤切れ極を設けることで、この剤切れ極の磁気力を容易に小さくすることができる。そのため、現像ローラ115による現像剤の連れ回りを防止することができる。
また、マグネットローラ133Bは、希土類元素を含む希土類マグネットブロック141を備えているので高磁力を実現することができる。
(磁界発生部材の第3の実施形態)
図8は、本発明に係るマグネットローラの第3の実施形態を示す拡大断面図である。図9は、図8のマグネットローラの組立方法を示す断面図である。図10は、図8のマグネットローラにおける、溝形部材の形状(その1)を示す断面図である。図11は、図8のマグネットローラにおける、溝形部材の他の形状(その2)を示す断面図である。図12は、図8のマグネットローラにおける、溝形部材の他の形状(その3)を示す断面図である。図13は、図8のマグネットローラにおける、溝形部材の他の形状(その4)を示す断面図である。図14は、図8のマグネットローラの本体部を成形する金型の概略構造を示す断面図である。図15は、図14の金型における離型時の概略動作(1)を示す断面図である。図16は、図14の金型における離型時の概略動作(2)を示す断面図である。同図において、前述した第1、2の実施形態と同一構成部分には同一符号を付してその説明を省略する。
本実施形態のマグネットローラ133Cは、図8に示すように、本体部340と、溝形部材342と、希土類マグネットブロック141と、を備えている。
本体部340は、磁性材料を用いて円柱状に成形されており、その磁性材料としては、第1、2の実施形態と同一のプラスチックマグネット若しくはゴムマグネットを用いることができる。本体部340は、その外表面上に、長手方向に沿う直線状の本体溝344が設けられており、また、本体部340の両端面から同軸に突出する軸部が一体に成形されている。また、本体部340は、円柱の一部が軸方向に沿ってカットされて、その外表面の一部が平面状であってもよい。
本体溝344は、特許請求の範囲に記載された本体部の溝に相当し、本体部340の外周面に、その軸方向と直交する断面(即ち、横断面)が凹状且つ略矩形状に成形されている。本体溝344は、本体部340の長手方向に沿って直線状に延在しているとともに、該本体部340の全長に亘って設けられている。また、本体溝344は、マグネットローラ133Cが後述する現像装置113(図19に示す)に組み込まれたときに、後述する感光体ドラム108と相対するように(即ち、現像磁極の位置に)配置されている。
本体溝344は、図9に示すように、一対の側面3441と、底面3442と、を備えている。
一対の側面3441は、本体溝344の長手方向に沿って、その開口部の幅方向に対して略直交するように成形された、相対する2つの平面部である。底面3442は、一対の側面3441それぞれの一方の長辺を連接するとともに、本体溝344の長手方向に沿って、その開口部の幅方向と平行に成形された平面部である。一対の側面3441と底面3442とのなす角度は、90度より小さくされている。つまり、本体溝344の開口部の幅N1より底面3442の幅N2の方が若干大きくなるように、一対の側面3441が逆テーパ状(アンダーカット)に成形されている。即ち、本体溝344は、その開口部の幅よりその底面3442の幅が大きいアリ溝形状に成形されている。本体溝344の開口部から底面3442までの深さ(即ち、本体溝344の深さ)は、構成により適宜定められるが、これが浅いと後述する溝形部材342の一対の壁部3421の高さ(短手方向の長さ)が十分にとれず、溝形部材342による補強効果が十分に得られなくなる。
本体部340は、図14に示す構造の金型を用い、射出磁場成形によって製造されている。本体溝344の形状は、本体部340を成形する金型の該当位置にスライド駒148A、148B、148Cを配置して成形している。スライド駒148A、148Bは、スライド駒148Cと図示しないT溝構造で構成され、射出成形が完了すると、スライド駒148Cが図15に示すように上方向に移動し、T溝によって移動可能に組み付けられたスライド駒148A、148Bは、それぞれ本体溝344のアンダーカットが回避できる所定の位置まで移動する。そのあと、図16に示すようにスライド駒148A、148B、148C全体が上方向に移動し、本体溝344を成形する。次に、稼動側の入子150Cと150Dとスライド駒148A、148B、148CとEJピン149と本体部340が図16の右方向に移動する(型開き)。次いでEJピン149が本体部340を押出し(エジェクト)取り外すことで、本体部340を得ることができる。
本体部340の磁場配向(磁気異方性)の向き143は、図3に示すように、一方向の場合には、本体溝344の底面3442と略平行且つ軸方向と略直交にされている。等分4極の場合にも、ある一方向が本体溝344の底面3442と平行且つ軸方向と直交にされていることが望ましいが、それに限定されるものではない。
溝形部材342は、一般的なプラスチック材料を成形して得られ、又は、金属材料を曲げ加工して得られる。溝形部材342は、プラスチック材料または金属材料いずれにおいても非磁性材質を用いた方が、内包する希土類マグネットブロック141の磁極において、それが本体溝344に固定されたとき、本体部340の外表面におけるピーク磁束密度が高くなるので、現像剤に含まれる磁性キャリア135の付着に有利となる。
溝形部材342による、マグネットローラ133Cの剛性向上には金属材料の方が有利である。非磁性金属材料のうち更に、SUS301のバネ材が特性とコストの面から有利である。更にSUS301バネ材の中でも、1/2H(310HV以上)や3/4H(370HV以上)やH(430HV以上)やEH(490HV以上)が望ましいが、硬度が高くなるに連れて曲げ加工時に曲げ部分等にクラックが入りやすくなるので注意が必要になる。
溝形部材342は、本体溝344と同じ長さに成形されるとともに、その短手方向断面(即ち、横断面)がコの字形状に成形されている。溝形部材342は、床部3422と一対の壁部3421とを備えている。また、床部3422と一対の壁部3421とによって、希土類マグネットブロック141が圧入されて固定される溝形部材溝3423が成形されている。溝形部材溝3423は、特許請求の範囲に記載された溝形部材の溝に相当する。
床部3422は、溝形部材342が本体溝344に圧入される前は、その下面3422bの幅が、本体溝344の開口部の幅より小さくされており、溝形部材342が本体溝344に圧入された後は、本体溝344の底面3442に一致して重なるように成形されている。そして、溝形部材342は、本体溝344に圧入されて固定されたとき、その下面3422bが該底面3442に当接するように配置される。このようにすることで、圧入後は溝形部材342の床部3422の幅が、本体溝344の開口部の幅より大きくなるので、溝形部材342が本体溝344の一対の側面3441に引っ掛かり(即ち、ストッパとして作用し)、溝形部材342が本体溝344から脱落することを防止することができる。
また、床部3422の形状の種類としては、その横断面が、図10に示す凹R形状の床部3422、図11に示す凸R形状の床部3422A、図12に示すV字形状の床部3422B、図13に示す逆V字形状の床部3422C、などがある。但し、これら形状に限定されるものではない。
一対の壁部3421は、床部3422の相対する長辺から立設された長方形の平板であり、その上端3421aからその下端3421bまでの長さ(即ち、一対の壁部の高さ)が本体溝344の一対の側面3441の幅以下になるように成形されており、特にそれらが同一となるのが好ましい。一対の壁部3421は、溝形部材342が本体溝344に圧入されたとき、それら外面3421cが一対の側面3441に当接するように成形されている。
溝形部材342の床部3422及び一対の壁部3421の厚みは、本体部340の形状によって適正値が異なる。剛性向上には厚くする方が有利であるが、厚すぎると希土類マグネットブロック141による所望の磁気力(例えば、図4に示すBa)を得にくくなる。
マグネットローラ133Cには、第1、2の実施形態と同一に、図4に模式的に示す磁気力を発生させる複数の固定磁極(現像磁極として希土類マグネットブロック141を含み、他は不図示)及び剤切れ極が設けられている。
次に、マグネットローラ133Cの組立方法について説明する。溝形部材342の溝形部材溝3423に、希土類マグネットブロック141を、図9の矢印T1の方向に圧入すると同時に、本体溝344に溝形部材342を図9の矢印T2の方向に圧入する。すると、溝形部材342の床部3422が本体溝344の底面3442に到達し、さらに、床部3422に希土類マグネットブロック141の底面141bが押しつけられて、床部3422が底面3442に沿って平板状に伸びてそれぞれが一致して重なり、また、溝形部材342の一対の壁部3421の外面3421cが、本体溝344の一対の側面3441に当接する。そして、床部3422の幅が本体溝344の開口部幅より大きくなった状態で固定される。
最後に、現像ローラ115として必要な固定磁極を電磁石タイプの着磁ヨークで着磁して、マグネットローラ133Cが完成する。また、本実施形態では、各部材を圧入して固定するものであったが、これに限定するものではなく、例えば、接着剤を併用することでより強固に各部材同士を固定することができる。
上述したマグネットローラ133Cの組立方法(製造方法)によれば、希土類マグネットブロック141を溝形部材342の溝3423に圧入すると同時に、該溝形部材342を本体溝344に圧入するので、希土類マグネットブロック141が溝形部材342によって補強され、そのため、希土類マグネットブロック141を本体溝344に圧入するときに生じる、折損を防止することができる。したがって、マグネットローラ133Cの組立作業性及び希土類マグネットブロック141の歩留まりを向上させることができ、生産性を高めることができる。
なお、図8において、希土類マグネットブロック141と溝形部材342との間には隙間があるように見えるが、実際には、極微小な空隙があるのみである。
また、本実施形態において、本体部340は、外径8.5mm、全長313mm、そして、本体溝344は、長さ313mm、底面3442の幅2.7mm、軸中心から底面3442までの距離1.85mm、本体溝344の開口部の幅2.31mm、底面3442と一対の側面3441とのなす角度85度、に成形されている。また、溝形部材342は、長さ313mm、床部3422の上面3422a側の幅1.6mm、一対の壁部3421の内面3421d側の高さ1.92mm、床部3422が凹R形状(図10)、厚み0.3mm、に成形されている。希土類マグネットブロック141は、幅2.0mm、高さ2.4mm、長さ313mm、に成形されている。これら各寸法は一例であり、構成等に応じて適宜定められる。
以上より、本発明によれば、円柱状の本体部340の本体溝344に、横断面がコの字形状の溝形部材342が固定され、そして、この溝形部材342の溝(溝形部材溝)3423に、希土類マグネットブロック141が固定されているので、この溝形部材342により、本体部340を補強して、その剛性を高めることができ、そのため、本体部340を小径化(即ち、小型化)した場合においても、その剛性を確保することができる。したがって、剛性を高めて小型化できるようにしたマグネットローラ133Cを提供することができる。
また、溝形部材342が、本体溝344に圧入されて固定されているので、それらの固定に接着剤を用いることがなく、そのため、溝形部材342を、本体溝344から容易に取り外すことができる。したがって、溝形部材342の再利用が可能となり、マグネットローラ133Cを安価に提供することができる。また、本体溝344と溝形部材342との固定に接着剤を用いないので、接着剤の厚みやその乾燥等で生じるそれら部材の位置ずれがなく、そのため、高精度な組み付けができる。
また、希土類マグネットブロック141が、溝形部材溝3423に圧入されて固定されているので、それらの固定に接着剤を用いることがなく、そのため、希土類マグネットブロック141を、溝形部材342から容易に取り外すことができる。したがって、高価な希土類マグネットブロック141の再利用が可能となり、マグネットローラ133Cを安価に提供することができる。また、溝形部材342と希土類マグネットブロック141との固定に接着剤を用いないので、接着剤の厚みやその乾燥等で生じるそれら部材の位置ずれがなく、そのため、高精度な組み付けができる。
また、本体溝344が、その開口部の幅よりその底面3442の幅が大きい逆テーパ状(即ち、アリ溝形状)に成形されており、溝形部材342が本体溝344に圧入されたときに、溝形部材342の下面3422bの幅が本体溝344の開口部の幅より大きくなるように成形されているので、本体溝344に溝形部材342を圧入したときに、溝形部材342が本体溝344の開口部に引っ掛かり、溝形部材342を本体溝344内に留めて固定することができる。そのため、本体溝344から溝形部材342が脱落してしまうことをより確実に防止できる。したがって、溝形部材342の脱落による現像装置等の故障を防ぐことが可能な、信頼性の高いマグネットローラ133Cを提供できる。
また、溝形部材342が、非磁性材料を用いて成形されているので、溝形部材342に磁性材料を用いた場合に比べて、溝形部材342の位置に対応する現像ローラ115の外表面におけるピーク磁束密度を高くすることができる。そのため、現像ローラ115の外表面に現像剤をより確実に担持でき、感光体ドラム108等への現像剤の付着を防止できる。
さらに、溝形部材342に非磁性金属を用いることにより、マグネットローラ133Cの剛性をさらに高めることができる。
また、本体部340が、磁気異方性を有しており、その方向(配向方向)が、本体溝344の底面3442に略平行且つ軸方向に略直交にされているので、本体溝344と対向する位置(即ち、配向方向143と直交する位置)に、マグネットローラ133Cが生じる磁気力の変極点が形成され、この変極点またはその近傍に剤切れ極を設けることで、この剤切れ極の磁気力を容易に小さくすることができる。そのため、現像ローラ115による現像剤の連れ回りを防止することができる。
また、マグネットローラ133Cは、希土類元素を含む希土類マグネットブロック141を備えているので高磁力を実現することができる。
(磁性粒子担持体の一実施形態)
図18は、本発明に係る磁性粒子担持体である現像ローラの一実施形態を示す断面図である。
本実施形態の現像ローラ115は、後述する画像形成装置101(図20に示す)が備える現像装置113(図19に示す)に組み込まれており、その外表面に、現像剤を担持して、表面に静電像が形成された感光体ドラム108と相対する現像領域131に搬送するためのものである。
現像ローラ115は、図18に示すように、磁界発生部材としての上述の第1〜3の実施形態で示したマグネットローラ133A、133B、133C(以下、マグネットローラ133)のうちいずれか1つと、このマグネットローラ133を内包する円筒形状の現像スリーブ132とを備えている。また、現像ローラ115は、従来あった芯金は図示していないが、あっても問題ない。ただし、芯金によりマグネットローラ133のマグネット体積が減少して、その磁気力が低下するので、それを補う対策が必要である。
現像スリーブ132は、特許請求の範囲に記載された中空体に相当し、マグネットローラ133を内包し(収容し)て、軸芯回りに回転自在に設けられている。現像スリーブ132は、その内周面が固定磁極に順に相対するように回転される。現像スリーブ132は外表面に粗面化処理(SWB)が施されており、平面形状が楕円形状の凹みが多数設けられている。凹みは、現像スリーブ132の外表面にランダムに多数(複数)配置されている。勿論、凹みは、長手方向が現像スリーブ132の軸方向に沿う凹みと、長手方向が現像スリーブ132の周方向に沿う凹みと、を含んでいる。長手方向が現像スリーブ132の軸方向に沿う凹みが、長手方向が現像スリーブ132の周方向に沿う凹みより多い。さらに、凹みの長手方向の長さ(長径)は、0.05mm以上でかつ0.3mm以下となっており、幅方向の幅(端径)は、0.02mm以上でかつ0.1mm以下となっている。
材質は、例えばアルミ、SUS(ステンレス)などを用いることができる。加工性、軽さの面でアルミを用いられることが多い。アルミの場合、A6063、A5056、A3003等、SUSの場合、303、304、316などを用いることができる。
以上より、本発明によれば、磁界発生部材としての上述の第1〜3の実施形態で示したマグネットローラ133A、133B、133Cのうちいずれか1つを有しているので、小型化した現像ローラ115を提供することができる。
(現像装置の一実施形態)
図19は、本発明に係る現像装置及びプロセスカートリッジの一実施形態を示す断面図である。
本実施形態の現像装置113は、図19に示すように、現像剤供給部114と、ケース125と、上述した現像ローラ115と、現像剤規制部材としての現像剤規制ブレード116とを少なくとも備えている。
現像剤供給部114は、収容槽117と、攪拌部材としての一対の攪拌スクリュー118と、を備えている。収容槽117は、感光体ドラム108と長さが略等しい箱状に成形されている。また、収容槽117内には、該収容槽117の長手方向に沿って延びた仕切壁119が設けられている。仕切壁119は、収容槽117内を第1空間120と、第2空間121とに区画している。また、第1空間120と第2空間121とは、両端部が互いに連通している。
収容槽117は、第1空間120と第2空間121との双方に現像剤を収容する。現像剤は、トナーと、磁性キャリア135とを含んでいる。トナーは、第1空間120と、第2空間121とのうち現像ローラ115から離れた側の第1空間120の一端部に、適宜供給される。トナーは、乳化重合法又は懸濁重合法により製造された球状の微粒子である。なお、トナーは、種々の染料又は顔料を混入・分散した合成樹脂で構成される塊を粉砕して得られても良い。トナーの平均粒径は、3μm以上でかつ7μm以下である。また、トナーは、粉砕加工などにより成形されても良い。
磁性キャリア135は、第1空間120と第2空間121との双方に収容されている。磁性キャリア135の平均粒径は、20μm以上でかつ50μm以下である。磁性キャリア135は、図17に示すように、芯材136と、該芯材136の外表面を被覆した樹脂コート膜137と、樹脂コート膜137に分散されたアルミナ粒子138と、を備えている。
芯材136は、磁性材料としてのフェライトで構成されているとともに、球形に成形されている。樹脂コート膜137は、芯材136の外表面全体を被覆している。樹脂コート膜137は、アクリルなどの熱可塑性樹脂とメラミン樹脂とを架橋させた樹脂成分と、帯電調整剤とを含有している。この樹脂コート膜137は、弾力性と強い接着力を有している。アルミナ粒子138は、外径が樹脂コート膜137の厚みより大きな球形に成形されている。アルミナ粒子138は、樹脂コート膜137の強い接着力で保持されている。アルミナ粒子138は、樹脂コート膜137より磁性キャリア135の外周側に突出している。
攪拌スクリュー118は、第1空間120と第2空間121それぞれに収容されている。攪拌スクリュー118の長手方向は、収容槽117、現像ローラ115及び感光体ドラム108の長手方向と平行である。攪拌スクリュー118は、軸芯周りに回転自在に設けられており、軸芯周りに回転することで、トナーと磁性キャリア135とを攪拌するとともに、該軸芯に沿って現像剤を搬送する。
図示例では、第1空間120内の攪拌スクリュー118は、現像剤を前述した一端部から他端部に向けて搬送する。第2空間121内の攪拌スクリュー118は、現像剤を他端部から一端部に向けて搬送する。
前述した構成によれば、現像剤供給部114は、第1空間120の一端部に供給されたトナーを、磁性キャリア135と攪拌しながら、他端部に搬送し、この他端部から第2空間121の他端部に搬送する。そして、現像剤供給部114は、第2空間121内でトナーと磁性キャリア135とを攪拌し、軸芯方向に搬送しながら、現像ローラ115の外表面に供給する。
ケース125は、箱状に成形され、前述した現像剤供給部114の収容槽117に取り付けられて、該収容槽117とともに、現像ローラ115などを覆う。また、ケース125の感光体ドラム108と相対する部分には、開口部125aが設けられている。
上述した現像ローラ115は、第2空間121と、感光体ドラム108との間でかつ前述した開口部125aの近傍に設けられている。現像ローラ115は、感光体ドラム108と収容槽117との双方と平行である。現像ローラ115は、感光体ドラム108と間隔をあけて配されている。
現像剤規制ブレード116は、現像装置113の感光体ドラム108寄りの端部に設けられている。現像剤規制ブレード116は、現像スリーブ132の外表面と間隔をあけた状態で、前述したケース125に取り付けられている。現像剤規制ブレード116は、所望の厚さを越える現像スリーブ132の外表面上の現像剤を収容槽117内にそぎ落として、現像領域131に搬送される現像スリーブ132の外表面上の現像剤を所望の厚さにする。
現像装置113は、現像剤供給部114でトナーと磁性キャリア135とを十分に攪拌し、この攪拌した現像剤を固定磁極により現像スリーブ132の外表面に吸着する。そして、現像装置113は、現像スリーブ132が回転して、複数の固定磁極により吸着した現像剤を現像領域131に向かって搬送する。現像装置113は、現像剤規制ブレード116で所望の厚さになった現像剤を感光体ドラム108に吸着させる。こうして、現像装置113は、現像剤を現像ローラ115に担持し、現像領域131に搬送して、感光体ドラム108上の静電潜像を現像して、トナー像を形成する。
そして、現像装置113は、現像済みの現像剤を、収容槽117に向かって離脱させる。そして、収容槽117内に収容された現像済みの現像剤は、再度、第2空間121内で他の現像剤と十分に攪拌されて、感光体ドラム108の静電潜像の現像に用いられる。
以上より、本発明によれば、上述した現像ローラ115を有しているので、小型化した現像装置113を提供することができる。
(プロセスカートリッジの一実施形態)
図19は、本発明に係る現像装置及びプロセスカートリッジの一実施形態を示す断面図である。図20は、本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す断面図である。
本実施形態のプロセスカートリッジ106は、図19に示すように、カートリッジケース111と、帯電装置としての帯電ローラ109と、静電潜像担持体としての感光体ドラム108と、クリーニング装置としてのクリーニングブレード112と、上述した現像装置113と、を備えている。このため、画像形成装置101は、帯電ローラ109と、感光体ドラム108と、クリーニングブレード112と、現像装置113と、を少なくとも備えている。
カートリッジケース111は、装置本体102に着脱自在で、かつ帯電ローラ109と、感光体ドラム108と、クリーニングブレード112と、現像装置113と、を収容している。帯電ローラ109は、感光体ドラム108の外表面を一様に帯電する。感光体ドラム108は、現像装置113が備える上述した現像ローラ115と間隔をあけて配されている。感光体ドラム108は、軸芯を中心として回転自在な円柱状又は円筒状に成形されている。感光体ドラム108は、対応するレーザ書き込みユニット122Y、122M、122C、122Kにより、外表面上に静電潜像が形成される。感光体ドラム108は、外表面上に形成されかつ担持する静電潜像にトナーが吸着して現像し、こうして得られたトナー像を搬送ベルト129との間に位置付けられた記録紙107に転写する。クリーニングブレード112は、記録紙107にトナー像を転写した後に、感光体ドラム108の外表面に残留した転写残トナーを除去する。
以上より、本発明によれば、上述した現像装置113を有しているので、小型化したプロセスカートリッジ106を提供することができる。
(画像形成装置の一実施形態)
図20は、本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す断面図である。
画像形成装置101は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像則ちカラー画像を、一枚の転写材としての記録紙107に形成する。なお、イエロー、マゼンダ、シアン、黒の各色に対応するユニットなどを、以下、符号の末尾に各々Y、M、C、Kを付けて示す。
画像形成装置101は、図20に示すように、装置本体102と、給紙ユニット103と、レジストローラ対110と、転写ユニット104と、定着ユニット105と、複数のレーザ書き込みユニット122Y、122M、122C、122Kと、複数のプロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kとを少なくとも備えている。
装置本体102は、例えば、箱状に成形され、フロア上などに設置される。装置本体102は、給紙ユニット103と、レジストローラ対110と、転写ユニット104と、定着ユニット105と、複数のレーザ書き込みユニット122Y、122M、122C、122Kと、複数のプロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kを収容している。
上述したプロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kは、それぞれ各色に対応して、転写ユニット104と、レーザ書き込みユニット122Y、122M、122C、122Kとの間に設けられている。プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kは、装置本体102に着脱自在である。プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kは、記録紙107の搬送方向に沿って、互いに並設されている。
給紙ユニット103は、装置本体102の下部に複数設けられている。給紙ユニット103は、前述した記録紙107を重ねて収容するとともに装置本体102に出し入れ自在な給紙カセット123と、給紙ローラ124とを備えている。給紙ローラ124は、給紙カセット123内の一番上の記録紙107に押し当てられている。給紙ローラ124は、前述した一番上の記録紙107を、転写ユニット104が備える後述の搬送ベルト129と、プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kが備える感光体ドラム108と、の間に送り出す。
レジストローラ対110は、給紙ユニット103から転写ユニット104に搬送される記録紙107の搬送経路に設けられており、一対のローラ110a、110bを備えている。レジストローラ対110は、一対のローラ110a、110b間に記録紙107を挟み込み、該挟み込んだ記録紙107を、トナー像を重ね合わせ得るタイミングで、転写ユニット104とプロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kとの間に送り出す。
転写ユニット104は、給紙ユニット103の上方に設けられている。転写ユニット104は、駆動ローラ127と、従動ローラ128と、搬送ベルト129と、転写ローラ130Y、130M、130C、130Kとを備えている。駆動ローラ127は、記録紙107の搬送方向の下流側に配置されており、駆動源としてのモータなどによって回転駆動される。従動ローラ128は、装置本体102に回転自在に支持されており、記録紙107の搬送方向の上流側に配置されている。搬送ベルト129は、無端環状に成形されており、前述した駆動ローラ127と従動ローラ128との双方に掛け渡されている。搬送ベルト129は、駆動ローラ127が回転駆動されることで、前述した駆動ローラ127と従動ローラ128との回りを図中半時計回りに循環(無端走行)する。
転写ローラ130Y、130M、130C、130Kは、それぞれ、プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kの感光体ドラム108との間に搬送ベルト129と該搬送ベルト129上の記録紙107とを挟む。転写ユニット104は、転写ローラ130Y、130M、130C、130Kが、給紙ユニット103から送り出された記録紙107を各プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kの感光体ドラム108の外表面に押し付けて、感光体ドラム108上のトナー像を記録紙107に転写する。転写ユニット104は、トナー像を転写した記録紙107を定着ユニット105に向けて送り出す。
定着ユニット105は、転写ユニット104の記録紙107の搬送方向下流に設けられ、互いの間に記録紙107を挟む一対のローラ105a、105bを備えている。定着ユニット105は、一対のローラ105a、105b間に転写ユニット104から送り出されてきた記録紙107を押圧加熱することで、感光体ドラム108から記録紙107上に転写されたトナー像を、該記録紙107に定着させる。
レーザ書き込みユニット122Y、122M、122C、122Kは、それぞれ、装置本体102の上部に取り付けられている。レーザ書き込みユニット122Y、122M、122C、122Kは、それぞれ一つのプロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kに対応している。レーザ書き込みユニット122Y、122M、122C、122Kは、プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kが備える帯電ローラ109により一様に帯電された感光体ドラム108の外表面にレーザ光を照射して、静電潜像を形成する。
画像形成装置101は、以下に示すように、記録紙107に画像を形成する。まず、画像形成装置101は、感光体ドラム108を回転して、この感光体ドラム108の外表面を一様に帯電ローラ109により帯電する。感光体ドラム108の外表面にレーザ光を照射して、該感光体ドラム108の外表面に静電潜像を形成する。そして、静電潜像が現像領域131に位置付けられると、現像装置113の現像スリーブ132の外表面に吸着した現像剤が感光体ドラム108の外表面に吸着して、静電潜像を現像し、トナー像を感光体ドラム108の外表面に形成する。
そして、画像形成装置101は、給紙ユニット103の給紙ローラ124などにより搬送されてきた記録紙107が、プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kの感光体ドラム108と転写ユニット104の搬送ベルト129との間に位置して、感光体ドラム108の外表面上に形成されたトナー像を記録紙107に転写する。画像形成装置101は、定着ユニット105で、記録紙107にトナー像を定着する。こうして、画像形成装置101は、記録紙107にカラー画像を形成する。
以上より、本発明によれば、上述したプロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kを有しているので、小型化した画像形成装置101を提供することができる。
(評価試験A)
本発明者らは、第1の実施形態に示したマグネットローラ(実施例A1〜A4)及び比較対象となるマグネットローラ(比較例D1〜D4)を用いて、剛性試験、形状変化試験、組み付け性試験、抜け防止試験、磁性キャリア付着試験、剤切れ性試験を実施した。
(実施例A1)
本体部140は、異方性SrフェライトとPA12のコンパウンド(戸田工業製)を用いて、樹脂温度300℃で0.6Tの磁場を本体溝144の底面1442と略平行な一方向に印加しながら射出成形した。その後0.1Tの磁場を射出時とは逆方向に印加して脱磁を行い、外径φ8.5mm、全長313mmで、本体溝144の形状が、底面1442の幅2.7mm、テーパ角度5度、テーパ面1441bの幅2.2mm、ストレート面1441aの幅0.17mmである本体部140を得た。本体溝144の溝形状は配向磁場の方向と直角に配置した置き駒の形状で具現化した。
溝形部材142は、幅6.0mm、長さ313mm、厚さ0.3mmの非磁性金属のバネ材であるSUS301−3/4Hを曲げ加工して、床部1422の最外幅2.6mm、一対の壁部の最外高さ2.3mm、開き角度(即ち、床部の幅方向に直交する方向に対する角度)5度、の溝形部材142を得た。
希土類マグネットブロック141は、異方性Nd−Fe−B磁性粉(愛知製鋼製マグファインMF−P13)950gと、熱可塑性樹脂微粒子(ポリエステル樹脂100重量部に対して、4級アンモニウム円(帯電制御剤)1.5重量部、スチレンアクリル樹脂(低軟化点物質)1.5重量部、カーボンブラック2.0重量部が内添され、シリカ(H2000)1.5重量部が外添されている)50gとをターブラーミキサーで混練した後、金型内に充填し、100Aの配向電流をプレス方向と直行する方向に流しながら、400kNのプレス圧力で磁場中圧縮成形した。その後3500Vのパルス電圧で金型およびマグネットブロックを脱磁し、脱型し、100℃×60分で焼成した。このようにして幅2.0mm、高さ2.4mm、長さ313mmで、上面(反圧入側)141aはR形状の希土類マグネットブロック141を得た。
希土類マグネットブロック141を着磁し、次いで、該希土類マグネットブロック141を溝形部材142の溝形部材溝1423に圧入し、次いで、該溝形部材142を本体部140の本体溝144に圧入して、実施例A1のマグネットローラ133Aを得た。
(実施例A2)
実施例A1から、「溝形部材142の材質をSUS301−Hのバネ材に変更した」以外は同じとした。
(実施例A3)
実施例A1から、「溝形部材142に圧入した希土類マグネットブロック141を着磁し、次いで、該溝形部材142を本体部140の本体溝144に圧入した」以外は同じとした。
(実施例A4)
実施例A2から、「溝形部材142に圧入した希土類マグネットブロック141を着磁し、次いで、該溝形部材142を本体部140の本体溝144に圧入した」以外は同じとした。
(比較例D1)
溝形状を有するマグネットローラ本体部は、異方性SrフェライトとPA12のコンパウンド(戸田工業製)を用いて、樹脂温度300℃で0.6Tの磁場を該マグネットローラ本体部の溝における底面と平行な一方向に印加しながら射出成形した。その後0.1Tの磁場を射出時とは逆方向に印加して脱磁を行い、外径φ8.5mm、全長313mmで、該溝形状が、底面の幅2.1mm、テーパ角度5度、テーパ面の幅1.9mm、ストレート面の幅0.17mmの溝を有する軸一体型マグネットローラ本体部を得た。該溝形状は配向磁場の方向と直角に配置した置き駒の形状で具現化した。
希土類マグネットブロックは、異方性Nd−Fe−B磁性粉(愛知製鋼製マグファインMF−P13)950gと、熱可塑性樹脂微粒子(ポリエステル樹脂100重量部に対して、4級アンモニウム円(帯電制御剤)1.5重量部、スチレンアクリル樹脂(低軟化点物質)1.5重量部、カーボンブラック2.0重量部が内添され、シリカ(H2000)1.5重量部が外添されている)50gとをターブラーミキサーで混練した後、金型内に充填し、100Aの配向電流をプレス方向と直行する方向に流しながら、400kNのプレス圧力で磁場中圧縮成形した。その後3500Vのパルス電圧で金型およびマグネットブロックを脱磁し、脱型し、100℃×60分で焼成した。このようにして幅2.0mm、高さ2.4mm、長さ313mmで、反圧入側はR形状の希土類マグネットブロックを得た。
希土類マグネットブロックを着磁し、次いで溝型の軸一体型マグネットローラ本体部に圧入して、比較例D1のマグネットローラを得た。
(比較例D2)
実施例A1から、「置き駒の形状を変更し、本体溝144が底面1442の幅2.7mm、テーパ角度5度、テーパ面1441bの幅2.4mm、ストレート面1441aの幅ナシ(0mm)の溝を有する軸一体型マグネットローラを得た」以外は同じとした。
(比較例D3)
実施例A1から、「溝形部材142の材質を、磁性を有するSUS420J2のバネ材に変更した」以外は同じとした。
(比較例D4)
実施例A1から、「本体溝144の底面1442と略直角な一方向に配向磁場を印加した」以外は同じとした。
上記実施例A1〜A4、及び、比較例D1〜D4の各構成を表1に示す。
(試験方法)
(1)剛性試験
実施例A1〜A4および比較例D1のマグネットローラを、支点間距離300mmで支持して、中央部に3Nまでの荷重をかけたときの変位量(撓み量)をてこ式ダイヤルゲージで読み取り、荷重と撓み量の傾き(単位はμm/N)を剛性とした。数値が小さいほど撓みにくい(剛性が高い)。図21に試験結果をまとめたグラフを示す。
(2)形状変化試験
実施例A1〜A4および比較例D1のマグネットローラを、温度60℃、湿度80%RHの環境に72時間放置して保管したときの、レーザー測長器で計測した胴部中央の振れの変化率を解析した。図22に試験結果をまとめたグラフを示す。
(3)組付け性試験
実施例A1〜A4および比較例D1のマグネットローラを各1000本製造した時に、希土類マグネットブロックを圧入する際に希土類マグネットブロックが破損した数量を記録した。
(4)抜け防止試験
実施例A1〜A4および比較例D2のマグネットローラを各1000本製造して、外径10mm、内径9.3mm、長さ325mm、の現像スリーブを組み付けて、外径10mmの現像ローラとした。そして、該現像ローラを単体試験機に搭載し、現像スリーブの角速度(回転数)を400RPMとし、150時間稼動させた。その後に、溝形部材が脱落(位置ずれ含む)した数量を記録した。
(5)磁性キャリア付着試験
実施例A1〜A4および比較例D3のマグネットローラを、ローラ着磁して最終的な磁気波形を得た。SWB処理されたALスリーブ(外径φ10mm/内径φ9mm)を組付けて現像ローラを得た。その現像ローラを現像装置に組付けてランニング試験を行った。試験中に感光体ドラム上に飛散したキャリアの数を計測した。
(6)剤切れ性試験
実施例A1〜A4および比較例D4のマグネットローラを、ローラ着磁して最終的な磁気波形を得た。SWB処理されたアルミニウム製の現像スリーブ(外径φ10mm/内径φ9mm)に組付けて現像ローラを得た。その現像ローラの現像スリーブを回転させて現像剤の剤切れ性を評価した。
各評価結果について、以下のように表し、表2にまとめた。
◎:非常に優れる
×:許容範囲外(実用に向かない)
※1:溝形部材なし
※2:実施例A1と同等
以下に評価試験Aの結果を考察する。
実施例A1〜A4と比較例D1との結果から、溝形部材を有する構成である実施例A1〜A4においては、マグネットローラにおいて高い剛性が実現でき、その結果、振れ変化率を20%以下に抑制することできた。一方、比較例D1においては、マグネットローラの剛性が不足して、振れ変化率が50%を超えてしまった。これにより、溝形部材を備えることにより、マグネットローラの剛性を高めることができることが判った。また、実施例A1〜A4においては、希土類マグネットブロックを溝形部材142に圧入したあとに、本体溝144に圧入するので、組立時の希土類マグネットブロックの破損を回避することができた。一方、比較例D1においては、希土類マグネットブロックの破損が生じた。これにより、溝形部材により希土類マグネットブロックを補強することができ、マグネットローラの組立性(生産性)を向上できることが判った。
また、実施例A1〜A4と比較例D2との結果から、実施例A1〜A4においては、本体溝における一対の側面にストレート面を設けているので、溝形部材の上端がこのストレート面に引っ掛かり、本体溝から溝形部材が脱落するのを防止できることが判った。一方、比較例D2においては、このストレート面が設けられていないので、溝形部材が脱落しやすいことが判った。これにより、本体溝における一対の側面にストレート面を設けることにより、溝形部材の脱落を防止できることが判った。
また、実施例A1〜A4と比較例D3との結果から、実施例A1〜A4においては、感光体ドラムへの磁性キャリアの飛散を抑制することができ、強力な磁気力を生じさせて現像ローラの外表面上に磁性キャリアを引きつけておくことができることが判った。一方、比較例D3においては、感光体ドラムへの磁性キャリアの飛散が生じて、現像ローラの外表面に生じる磁気力が弱くなることが判った。これにより、溝形部材に、非磁性材料をもちいることにより、強力な磁気力を生じさせることが可能であることが判った。
また、実施例A1〜A4と比較例D4との結果から、実施例A1〜A4においては、現像ローラによる現像剤の連れ回りがなく、一方、比較例D4においては、現像剤の連れ回りが発生することが判った。これにより、マグネットローラ(本体部)の磁気異方性の配向方向を、本体溝の底面と略平行且つ軸方向と略直交にすることにより、剤切れ極の磁気力を弱めることができることが判った。
また、実施例A1〜A4の結果から、溝形部材が非磁性材料を用いて成形されていれば、その材質が違っても試験結果に大きな差異は生じず、また、希土類マグネットブロックへの着磁の順序も試験結果に影響を与えるものではないことが判った。
(評価試験B)
本発明者らは、第2の実施形態に示したマグネットローラ(実施例B1〜B5)及び比較対象となるマグネットローラ(比較例E1)を用いて、本体溝に溝形部材を圧入した後の位置ずれ若しくは抜け、並びに、稼働後のマグネットローラと現像スリーブとの接触状態、について評価試験を行った。
(実施例B1)
本体部240は、異方性SrフェライトとPA12のコンパウンド(戸田工業製)を用いて、樹脂温度300℃で0.6Tの磁場を本体溝244の底面2442と平行な一方向に印加しながら射出成形した。その後0.1Tの磁場を射出時とは逆方向に印加して脱磁を行い、外径φ8.5mm、全長313mmで、本体溝244の形状が底面2442の幅2.7mm、一対の側面2441の高さ(幅)2.4mm、テーパ角度0度、である本体部240を得た。
溝形部材242は、床部2422の幅2.6mm、一対の壁部2421の高さ2.3mm、厚さ0.3mm、長さ313mmのコの字型形状で、長さ0.1mmの外面くさび2421gを0.6mm間隔で、長さ0.1mmの内面くさび2421hを0.6mm間隔で、配置し、そして、外面くさび溝2421eと内面くさび溝2421fとの位置を互いに0.3mmずらして4カ所ずつ、それぞれ外面2421c、内面2421dに設けている。
このように各くさび溝を設けた後、溝形部材242の一対の壁部2421が、床部2422に対してなす角度が90度(即ち、開き角度0度)となるように曲げ加工を行い、ノコギリ刃形状を有する溝形部材242を得る。
希土類マグネットブロック141は、異方性Nd−Fe−B磁性粉(愛知製鋼製マグファインMF−P13)950gと、熱可塑性樹脂微粒子(ポリエステル樹脂100重量部に対して、4級アンモニウム円(帯電制御剤)1.5重量部、スチレンアクリル樹脂(低軟化点物質)1.5重量部、カーボンブラック2.0重量部が内添され、シリカ(H2000)1.5重量部が外添されている)50gとをターブラーミキサーで混練した後、金型内に充填し、100Aの配向電流をプレス方向と直行する方向に流しながら、400kNのプレス圧力で磁場中圧縮成形した。その後3500Vのパルス電圧で金型およびマグネットブロックを脱磁し、脱型し、100℃×60分で焼成した。このようにして幅2.0mm、高さ2.4mm、長さ313mmで、反圧入側はR形状の希土類マグネットブロック141を得た。
希土類マグネットブロック141を着磁し、次いで溝形部材242に圧入し、次いで本体部240の本体溝244に圧入して、実施例B1のマグネットローラ133Bを得た。
(実施例B2)
実施例B1において、溝形部材242は、その一対の壁部2421が、底面2422に対してなす角度が95度となるように曲げ加工を行った以外は実施例B1と同様にして、マグネットローラ133Bとした。
(実施例B3)
実施例B1において、外径φ8.5mm、全長313mmで、本体溝244の形状が底面2422の幅2.7mm、一対の側面2421の高さ(幅)2.4mm、テーパ角度5度、である本体部240とし、また、溝形部材242は、その一対の壁部2421が、底面2422に対して95度(即ち、開き角度5度)となるように曲げ加工を行った以外は実施例B1と同様にして、マグネットローラ133Bとした。
(実施例B4)
実施例B1において、溝形部材242は、長さ0.1mmの外面くさび2421gを0.8mm間隔で配置し、長さ0.1mmの内面くさび2421hを0.8mm間隔で配置し、そして、外面くさび溝2421eと内面くさび溝2421fとの位置を0.4mmずらして3ヶ所ずつ、それぞれ外面2421c、内面2421dに設けて、実施例B1と同様にして、マグネットローラ133Bとした。
(実施例B5)
実施例B1において、溝形部材242は、長さ0.07mmの外面くさび2421gを0.6mm間隔で配置し、長さ0.07mmの内面くさび2421hを0.6mm間隔で配置し、そして、外面くさび溝2421eと内面くさび溝2421fとの位置を0.3mmずらして4カ所ずつ、それぞれの外面2421c、内面2421dに設けて、実施例B1と同様にして、マグネットローラ133Bとした。
(比較例E1)
溝形状を有するマグネットローラ本体部は、異方性SrフェライトとPA12のコンパウンド(戸田工業製)を用いて、樹脂温度300℃で0.6Tの磁場を該マグネットローラ本体部の溝における底面と平行な一方向に印加しながら射出成形した。その後0.1Tの磁場を射出時とは逆方向に印加して脱磁を行い、外径φ8.5mm、全長313mmで、溝形状が底面の幅2.7mm、一対の側面の高さ(幅)2.4mm、テーパ角度0度、の溝を有する軸一体型マグネットローラ本体部を得た。
溝形部材は、床部の幅2.6mm、一対の壁部の高さ(幅)2.3mm、厚さ0.3mm、長さ313mmのコの字型形状で、ノコギリ刃形状を溝形部材のどの部分にも有しておらず、また、溝形部材の一対の壁部と床部とのなす角は90度とした。
希土類マグネットブロックは、異方性Nd−Fe−B磁性粉(愛知製鋼製マグファインMF−P13)950gと、熱可塑性樹脂微粒子(ポリエステル樹脂100重量部に対して、4級アンモニウム円(帯電制御剤)1.5重量部、スチレンアクリル樹脂(低軟化点物質)1.5重量部、カーボンブラック2.0重量部が内添され、シリカ(H2000)1.5重量部が外添されている)50gとをターブラーミキサーで混練した後、金型内に充填し、100Aの配向電流をプレス方向と直行する方向に流しながら、400kNのプレス圧力で磁場中圧縮成形した。その後3500Vのパルス電圧で金型およびマグネットブロックを脱磁し、脱型し、100℃×60分で焼成した。このようにして幅2.0mm、高さ2.4mm、長さ313mmで、反圧入側はR形状の希土類マグネットブロックを得た。
希土類マグネットブロックを着磁し、次いで溝形部材に圧入し、次いで溝型の軸一体型マグネットローラに圧入して、比較例E1のマグネットローラを得た。
(試験方法)
(7)抜け防止試験
実施例B1〜B5および比較例E2のマグネットローラを各1000本製造して、外径10mm、内径9.3mm、長さ325mm、の現像スリーブを組み付けて、外径10mmの現像ローラとした。そして、該現像ローラを単体試験機に搭載し、現像スリーブの角速度(回転数)を400RPMとし、150時間稼動させた。その後に、溝形部材が脱落(位置ずれ含む)した数量を記録し、また、稼働時の現像スリーブの回転状態についても確認した。
上記各実施例B1〜B5、及び、比較例E1における評価結果について、以下のように表し、表3にまとめた。
本体溝に溝形部材を圧入した後の位置ずれ又は抜け
◎:非常に優れる。
×:許容範囲外(実用に向かない)。
稼働後のマグネットローラと現像スリーブとの接触状態、
○:現像スリーブと希土類マグネットブロックが接触せずに現像スリーブが一定の角速度を保っている。
×:現像スリーブと希土類マグネットブロックが接触しており、現像スリーブがロックされている。
以下に評価試験Bの結果を考察する。
実施例B1〜B5と比較例E1との結果から、実施例B1〜B5においては、稼働後の溝形部材の位置ずれ及び脱落がなく、一方、比較例E1においては、溝形部材が脱落しやすいことが判った。これにより、溝形部材に外面くさび溝及び内面くさび溝を設けることによって、溝形部材および希土類マグネットブロックの位置ずれ及び脱落を防止できることが判った。
また、実施例B1〜B5の結果から、すくなくとも、本体溝244のテーパ角度が0〜5度で、且つ、溝形部材242における一対の壁部2421の開き角度が、該テーパ角度以上であれば、溝形部材の位置ずれ及び脱落を防げることが判った。また、すくなくとも、外面くさび2421g及び内面くさび2421hの長さは0.07〜0.1mmの範囲、外面くさび2421g及び内面くさび2421hの長さはの間隔は0.6〜0.8mmの範囲、外面くさび溝2421eと内面くさび溝2421fとの位置間隔は0.3〜0.4mmの範囲、にあれば、溝形部材の位置ずれ及び脱落を防止できることが判った。
(評価試験C)
本発明者らは、第3の実施形態に示したマグネットローラ(実施例C1〜C4)及び比較対象となるマグネットローラ(比較例F1〜F3)を用いて、剛性試験、形状変化試験、抜け防止試験、剤切れ性試験を実施した。
(実施例C1)
本体部340は、異方性SrフェライトとPA12のコンパウンド(戸田工業製)を用いて、樹脂温度300℃で0.6Tの磁場を本体溝344の底面3442と略平行な一方向に印加しながら射出成形した。その後0.1Tの磁場を射出時とは逆方向に印加して脱磁を行い、外径φ8.5mm、全長313mmで、本体溝344の形状が底面3442の幅2.7mm、軸中心から底面3442までの距離1.85mm、本体溝344の開口部の幅2.31mm、底面3442と一対の側面3441とのなす角度85度(即ち、逆テーパ状)の溝を有する本体部340を得た。本体溝344の形状は配向磁場の方向と直角に配置した置き駒の形状で具現化した。
溝形部材342は、厚さ0.3mmの非磁性金属のバネ材であるSUS301−3/4Hを曲げ加工して、床部3422の上面3422a側長さ(幅)1.6mm、一対の壁部3421の内面3421d側長さ(高さ)1.92mm、床部3422の形状が凹R形状(図10参照)、開き角度3度の溝形部材342を得た。
希土類マグネットブロック141は、異方性Nd−Fe−B磁性粉(愛知製鋼製マグファインMF−P13)950gと、熱可塑性樹脂微粒子(ポリエステル樹脂100重量部に対して、4級アンモニウム円(帯電制御剤)1.5重量部、スチレンアクリル樹脂(低軟化点物質)1.5重量部、カーボンブラック2.0重量部が内添され、シリカ(H2000)1.5重量部が外添されている)50gとをターブラーミキサーで混練した後、金型内に充填し、100Aの配向電流をプレス方向と直行する方向に流しながら、400kNのプレス圧力で磁場中圧縮成形した。その後3500Vのパルス電圧で金型およびマグネットブロックを脱磁し、脱型し、100℃×60分で焼成した。このようにして幅1.76mm、高さ2.4mm、長さ313mmで、反圧入側はR形状の希土類マグネットブロック141を得た。
希土類マグネットブロック141を着磁し、溝形部材342と同時に、本体部340の本体溝344に圧入して、実施例C1のマグネットローラ133Cを得た。
(実施例C2)
実施例C1から、「床部3422の上面3422a側長さ(幅)1.6mm、一対の壁部3421の内面3421d側長さ(高さ)1.92mm、開き角度3度、床部3422の形状が凸R形状(図11参照)、の溝形部材342を得た」以外は同じとした。
(実施例C3)
実施例C1から、「床部3422の上面3422a側長さ(幅)1.6mm、一対の壁部3421の内面3421d側長さ(高さ)1.92mm、開き角度3度、床部3422の形状がV字形状(図12参照)、の溝形部材342を得た」以外は同じとした。
(実施例C4)
実施例C1から、「床部3422の上面3422a側長さ(幅)1.6mm、一対の壁部3421の内面3421d側長さ(高さ)1.92mm、開き角度3度、床部3422の形状が逆V字形状(図13参照)、の溝形部材342を得た」以外は同じとした。
(比較例F1)
溝形状を有するマグネットローラ本体部は、異方性SrフェライトとPA12のコンパウンド(戸田工業製)を用いて、樹脂温度300℃で0.6Tの磁場を該マグネットローラ本体部の溝における底面と平行な一方向に印加しながら射出成形した。その後0.1Tの磁場を射出時とは逆方向に印加して脱磁を行い、外径φ8.5mm、全長313mmで、溝形状が底面の幅2.1mm、一対の側面の高さ(幅)2.4mm、テーパ角度5度、の溝を有する軸一体型マグネットローラ本体部を得た。溝形状は配向磁場の方向と直角に配置した置き駒の形状で具現化した。
希土類マグネットブロックは、異方性Nd−Fe−B磁性粉(愛知製鋼製マグファインMF−P13)950gと、熱可塑性樹脂微粒子(ポリエステル樹脂100重量部に対して、4級アンモニウム円(帯電制御剤)1.5重量部、スチレンアクリル樹脂(低軟化点物質)1.5重量部、カーボンブラック2.0重量部が内添され、シリカ(H2000)1.5重量部が外添されている)50gとをターブラーミキサーで混練した後、金型内に充填し、100Aの配向電流をプレス方向と直行する方向に流しながら、400kNのプレス圧力で磁場中圧縮成形した。その後3500Vのパルス電圧で金型およびマグネットブロックを脱磁し、脱型し、100℃×60分で焼成した。このようにして幅2.0mm、高さ2.4mm、長さ313mmで、反圧入側はR形状の希土類マグネットブロックを得た。
希土類マグネットブロックを着磁し、次いで溝型の軸一体型マグネットローラに圧入して、比較例F1のマグネットローラを得た。
(比較例F2)
実施例C1から、「本体溝344の形状が底面3442の幅2.7mm、軸中心から底面3442までの距離1.85mm、本体溝344の開口部の幅2.31mm、テーパ角度5度、である軸一体マグネットローラ本体部と、床部3422の上面3422a側長さ(幅)2.15mm、一対の壁部3421の内面3421d側長さ(高さ)1.85mm、一対の壁部3421の開き角度5度、の溝形部材342を得た」以外は同じとした。
(比較例F3)
実施例C1から、「本体溝344の底面3442と略直角な一方向に配向磁場を印加した」以外は同じとした。
上記実施例C1〜C4、及び、比較例F1〜F3の各構成を表4に示す。
(試験方法)
(8)剛性試験
実施例C1〜C4および比較例F1のマグネットローラを、支点間距離300mmで支持して、中央部に3Nまでの荷重をかけたときの変位量(撓み量)をてこ式ダイヤルゲージで読み取り、荷重と撓み量の傾き(単位はμm/N)を剛性とした。数値が小さいほど撓みにくい(剛性が高い)。
(9)形状変化試験
実施例C1〜C4および比較例F1のマグネットローラを、温度60℃、湿度80%RHの環境に72時間放置したときの、レーザー測長器で計測した胴部中央の振れの変化率を解析した。
(10)抜け防止試験
実施例C1〜C4および比較例F2のマグネットローラを各1000本製造して、外径10mm、内径9.3mm、長さ325mm、の現像スリーブを組み付けて、外径10mmの現像ローラとした。そして、該現像ローラを単体試験機に搭載し、現像スリーブの角速度(回転数)を400RPMとし、150時間稼動させた。その後に、溝形部材が脱落(位置ずれ含む)した数量を記録した。
(11)剤切れ性試験
実施例C1〜C4および比較例F3のマグネットローラを、ローラ着磁して最終的な磁気波形を得た。SWB処理されたALスリーブ(外径φ10mm/内径φ9mm)に組付けて現像ローラを得た。その現像ローラのスリーブを回転させて現像剤の剤切れ性を評価した。
各評価結果について、以下のように表し、表5にまとめた。
◎:非常に優れる
×:許容範囲外(実用に向かない)
※1:溝形部材なし
※2:実施例C1と同等
以下に評価試験Cの結果を考察する。
実施例C1〜C4と比較例F1との結果から、溝形部材を有する構成である実施例C1〜C4においては、マグネットローラにおいて高い剛性が実現でき、その結果、振れ変化率を20%以下に抑制することできた。一方、比較例F1においては、マグネットローラの剛性が不足して、振れ変化率が50%を超えてしまった。これにより、溝形部材を備えることにより、マグネットローラの剛性を高めることができることが判った。
また、実施例C1〜C4と比較例F2との結果から、実施例C1〜C4においては、本体溝の形状が逆テーパ形状(アリ溝形状)であり、圧入後の溝形部材の床部の幅が本体溝の開口部の幅より大きくなっているので、溝形部材が本体溝における一対の側面に引っ掛かり、溝形部材の脱落を防止できることが判った。一方、比較例F2においては、本体溝の形状がテーパ形状であるので、溝形部材が脱落しやすいことが判った。これにより、本体溝の形状を逆テーパ形状とし、さらに、圧入後の溝形部材の床部の幅が本体溝の開口部の幅より大きくなるようにすることで、溝形部材の脱落を防止できることが判った。
また、実施例C1〜C4と比較例F3との結果から、実施例C1〜C4においては、現像ローラによる現像剤の連れ回りがなく、一方、比較例F3においては、現像剤の連れ回りが発生することが判った。これにより、マグネットローラ(本体部)の磁気異方性の配向方向を、本体溝の底面と略平行且つ軸方向に略直交にすることにより、剤切れ極の磁気力を弱めることができることが判った。
また、実施例C1〜C4の結果から、溝形部材342の床部の形状が、凹R形状、凸R形状、V字形状、逆V字形状、のいずれであっても、溝形部材の抜け防止効果は変わらないことが判った。
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。