本発明における課題は、転写効率、転写中抜けに優れた弾性を有する中間転写体、特に弾性中間転写ベルトを使用した時に、転写によるトナー画像崩れを抑制し、画像濃度均一性を達成することである。
また、中間転写体のクリーニング性を向上させるかということも重要な点である。中間転写ベルトのクリーニングとしては、ブレードクリーニング、ファーブラシクリーニング、静電クリーニング、あるいは、それらの組み合わせ等のクリーニング装置がある。
弾性中間転写ベルト上のクリーニングをブレードクリーニングのごときベルトに負荷を与えてクリーニングする方法では、弾性中間転写ベルトに対するクリーニングブレードの接触負荷を大きくすると、クリーニングブレードが強い摺擦力で当接し弾性中間転写ベルトに対して喰い込んでしまうため寿命を縮めてしまう。ゆえに弾性中間転写ベルトのクリーニングにはファーブラシクリーニング、静電クリーニングあるいは、それらの組み合わせが有効である。
しかしこれらの方法では確かに画像出力速度の遅い電子写真機器においては非常に有効であったが、特に高速で画像を出力する電子写真機器においてはクリーニング性が不十分であったため、本発明に至った。
本発明者らは、ファーブラシクリーニング、静電クリーニングなどのクリーニング装置を用いて画像出力速度の速い電子写真装置で検討を行った。その結果、クリーニングしきれないトナーはファーブラシや帯電ローラなどでも殆ど帯電しないトナーであり、特に画像出力速度の速い電子写真装置ではこれらの粒子が多く発生することが分かった。
まず本発明者らは、殆ど帯電しないトナーに対してもクリーニング性を向上させるためにファーブラシの硬度を上げる、増毛する等を試みた。また帯電ローラと弾性中間転写ベルトの接触面積を広げ、弾性中間転写ベルトと帯電ローラの摩擦性を向上させることを試みた。しかしこれらの方法では弾性中間転写ベルトの寿命を縮めてしまうことになってしまった。
そこで本発明者らは、トナーの物性自体を物理的にクリーニングし易い物性にすることで殆ど帯電しないトナーに対しても有効にクリーニングできないかと考えた。
本発明者らは、鋭意検討の結果、ファーブラシや帯電ローラ等のクリーニング機構がトナーや弾性中間転写ベルトに掛けるような小さな負荷でどれだけ物理的な変形をするかを測定し、物理的にクリーニングし易いトナーと中間転写体の物性の関係を規定することで上記課題を達成できることを見出した。
本発明において、画像形成に使用するトナーは、透過率が50乃至98%のトナー(C)と、透過率が30%以下のトナー(A)である。トナー(C)は無色または透明のトナーであり、トナー(A)は有色のトナーである。トナー(C)は、有色トナー画像の色味や濃度への影響を抑制するために、該透過率を有することが必要である。トナー(A)は、所定の着色性を得るために、該透過率を有することが必要である。
本発明において、トナー(A)、トナー(C)の最大変位量(Sa)、(Sc)とは、特定の荷重に対してトナーが最大でどれだけ変形するのかを示す量である。塑性変位量(Ia)、(Ic)とは特定の荷重を加えられて変形したトナーが、除荷された後に元に戻らずに変形した量を示す値である。そして前記SaとItから算出される弾性変形率(Ea)、(Ec)は下記式
Ea(%)=(Sa−Ia)×100/Sa
Ec(%)=(Sc−Ic)×100/Sc
で表される。
本発明において、全ての有色トナーに関し、トナー(A)、トナー(C)の弾性変形率の差が、0<Ec−Ea≦30であることが必要である。これは、画像形成の転写工程において、トナーに対して機械的な力が加わった時に、トナー(C)がトナー(A)に掛かる力を吸収することを意味する。これによって、本発明のような弾性を有する中間転写体は、転写時にトナー画像が崩れることを抑制するため、ハーフトーン画像でのより高い濃度均一性を得ることができる。
また、本発明において、弾性変形率Ecは、25≦Ec≦60であることが好ましい。
本発明の弾性を有する中間転写体を用いた画像形成方法において、転写時にトナー画像が崩れることを抑制するため、トナー(C)の良好な搬送性、定着性を得るためには、上記範囲であることが好ましい。
同様に中間転写体の最大変位量(Sb)と塑性変位量(Ib)から算出される弾性変形率(Eb)は、下記式
Eb(%)=(Sb−Ib)×100/Sb
で表される。
中間転写体の弾性変形率Ebは、50≦Eb≦80であることが好ましい。本発明の弾性を有する中間転写体を用いた画像形成方法において、トナー(C)の作用効果を得るためには、上記範囲であることが好ましい。
加えて、該中間転写体表層の表面粗さ(Rz)が、1.0乃至25.0μmであることが好ましい。本発明の弾性を有する中間転写体を用いた画像形成方法において、中間転写体表層とトナー(C)の付着性、クリーニング性を最適にし、トナー(C)の作用効果を最大限に得るためには、上記範囲であることが好ましい。
本発明では、トナーや中間転写体の最大変位量や弾性変形率が特定の値を有することにもそれぞれ意味がある。
本発明では、トナー(A)の荷重9.8×10-5Nに対する最大変位量(Sa)が0.06乃至0.24μmであることが好ましく、より好ましくは0.07乃至0.22μmである。Saが0.06μmよりも小さくなると、感光体上に形成されたトナー画像が中間転写体との当接ニップを通過し、転写されるときにトナーの飛び散りやラインの潰れが発生して転写材上の画像にガサツキ感が生じる。0.24μmを超えると中間転写体への融着が発生する。
また、荷重9.8×10-5Nに対するトナー(A)の弾性変形率は25%乃至60%であることが好ましく、より好ましくは27%乃至55%である。トナーの弾性変形率が25%よりも小さいと、転写時の機械的な力によってトナー(C)への応力が掛かり過ぎるため、トナー(C)像を崩す傾向を示し、トナー(C)の効果が十分に得られない。さらには、感光体と中間転写体の当接ニップ部を通過した時にトナーが潰れてしまい、感光体上に転写されないトナーが残ってしまうため、1次転写効率が悪くなってしまう。また、トナーの弾性変形率が60%を超えると、例えば表面の凹凸が大きい再生紙等を転写材として使用した場合に凹凸の内部までトナーが入り込む前にトナーが変形してしまい、転写材にトナーが食い込み難くなる。そのため中間転写体から転写材への転写つまり2次転写効率が悪くなる。
トナーの最大変位量はトナー中の結着樹脂の分子量や架橋密度に影響されるため、樹脂の組成、架橋剤の添加、混練温度で調整することができる。例えば、架橋剤をトナー中に添加することによって最大変位量は小さくなる。また低温で混練シェアを大きくすることでトナーの結着樹脂成分の分子鎖を切断し、最大変位量を大きくすることが出来る。
塑性変位量はトナー中の添加剤で調整できる。例えば、離型剤を添加する場合は塑性変位量は大きくなる。またフィラーとして働くような荷電制御剤や無機微粒子を選んで添加することにより、塑性変位量は小さくなる。
弾性変形率は最大変位量と塑性変位量から算出される値であるため、これらを調整することで上記範囲に制御することができる。
従来のトナーでは最大変位量が大きく、弾性変形率も大きくなる傾向にあったため、中間転写体を使用する高速の電子写真機器において、中間転写体への融着や2次転写効率が悪いという課題を有していた。
中間転写体の荷重9.8×10-5Nに対する最大変位量は0.10乃至1.00μmであるが、好ましくは0.15乃至0.90μmである。0.10μmよりも小さいと当接部通過時にトナーが押しつぶされてしまうため、一部のトナーが感光体に付着したまま転写されないで残ってしまう。そのため転写中抜けが発生する1.00μmを超える場合は、非常に軟らかい弾性層を中間転写体に用いらなければならないため、中間転写体の寿命が著しく低下する。
中間転写体の荷重9.8×10-5Nに対する弾性変形率は50%以上であるが、好ましくは55乃至90%である。50%未満であると、中間転写体が当接部を通過時に変形した後、元に戻り難いため、感光体や転写材との当接時間が短くなってしまう。そのため1次転写効率、2次転写効率共に悪くなる。
中間転写体の荷重9.8×10-5Nに対する塑性変位量については本発明においては特に限定はされない。しかし本発明中の中間転写体の弾性変形率に関係する値であるため、好ましい範囲としては、0.05乃至0.50μmである。
また、本発明において、中間転写体上のトナー(C)のトナー像は、5.0乃至35.0mg/cm2の範囲で形成されることが好ましい。弾性層を有する中間転写体からのトナー(C)の転写性、クリーニング性、画像濃度や均一な画像光沢性を得るためには、上記範囲であることが好ましい。
また、本発明において、中間転写体上のトナー(C)のトナー像は、5.0乃至25.0mg/cm2の範囲で形成されることが好ましい。中間転写体からのトナー(C)の転写性、クリーニング性、画像濃度や均一な画像光沢性を得るためには、上記範囲であることが好ましい。
本発明のトナーは、トナーに含まれる粒子のうち、円相当径が2μm以上の粒子の平均円形度が0.930乃至1.000である。前記平均円形度は、トナー粒子の平均円形度を実質的には表しており、より好ましくは0.940乃至1.000である。本発明のようなトナーや中間転写体の最大変位量や弾性変形率が上記範囲であり、さらにトナー粒子が特定の範囲内で球形化されることによって現像性を損なうことなく、1次転写効率、2次転写効率共に向上した。また外添剤による流動性付与の効果も大きくなった。
前記平均円形度が0.930未満の場合は、外添剤による流動性付与の効果が小さくなるため、トナーの流動性が低下し、トナーの帯電量にバラツキが生じ、転写効率の低下やガサツキ性の悪化が生じやすくなる。前記平均円形度は、トナー粒子の球形化処理によって調整することが可能である。
また、本発明において、トナー(C)の誘電正接tanδc(50000Hz)が、0.00100乃至0.00700であることが好ましい。画像面積や使用量の多いトナー(C)が、効率良く且つ均一性高く、本発明の中間転写体から転写されるようにするためには、トナー(C)の誘電正接が、上記範囲となるようにすることが望ましい。
さらには、本発明において、トナー(A)の誘電正接tanδa(50000Hz)とトナー(C)の誘電正接tanδc(50000Hz)が、2.0<tanδa/tanδc<10.0であることが好ましい。
中間転写体表面のトナー(C)像とその上のトナー(A)像に、転写電流が有効に印加され、トナー(A)とトナー(C)が一緒に挙動し、飛び散りなどのトナー像を崩壊させることなく、良好な画像を得るためには、上記関係であることが好ましい。なお、トナー(C)の誘電正接は、荷電制御剤や無機微粒子の分散状態や添加量によって制御される。トナー(C)は、着色剤成分を含まない分、誘電正接は低くなる傾向にあるが、透過率への弊害の無い範囲で、荷電制御剤や無機微粒子を添加することが、重要である。また、トナー(A)の誘電正接は、着色剤成分の種類、添加量や分散状態によって調整される。
また、本発明におけるトナーは、一次平均粒径70乃至150nmの微粒子を少なくともトナー100質量部に対して0.5質量部以上含有していることが好ましい。より好ましくは、微粒子の一次平均粒径が90乃至140nmであり、より好ましい含有量は0.8乃至2.0質量部である。そして更に好ましくは微粒子は球状のシリカである。70乃至150nmの微粒子は通常、転写助剤として転写効率を向上させるために添加しているが、本発明では更に弾性中間転写ベルトをファーブラシでクリーニングする構成においてクリーニング性を向上させる働きがあることも見出した。これは70乃至150nmのシリカがクリーニングされ難いトナーを吸着してファーブラシで回収され易くする働きがあると共に、弾性中間転写ベルトに融着に近い状態で付着しているトナーに対して研磨剤として働くからである。
本発明において、補給用の二成分現像剤は、キャリヤ1質量部に対してトナーが2乃至50質量部の配合割合で混合されていることが好ましい。この範囲の配合割合では、現像剤の搬送安定性が極めて良好であり、トナーが大量に消費される状況であっても現像器中の現像剤は安定したトナー量を維持することができる。また、同配合割合では、現像剤が現像器に搬送される前のトナーに良好な帯電性を付与できる。その結果、転写材面の画像光沢度の均一性が得られ、高品位な画像を得ることができる。配合割合が2質量部未満では現像剤の搬送工程中にキャリヤによるトナーの劣化が起こり易く、配合割合が50質量部を超えた場合では現像剤が現像装置に搬送される前のトナーの帯電及び帯電の均一さが不十分となり、好ましくない。
次に、本発明に用いられる結着樹脂について説明する。
本発明で使用できる結着樹脂は、トナー用結着樹脂として公知の物が使用できるが、好ましいのは(a)ポリエステル樹脂、(b)ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂、(c)ハイブリッド樹脂とビニル系重合体との混合物、(d)ポリエステル樹脂とビニル系重合体との混合物、(e)ハイブリッド樹脂とポリエステル樹脂との混合物、及び(f)ポリエステル樹脂とハイブリッド樹脂とビニル系重合体との混合物から選択される樹脂である。
結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いる場合は、多価アルコールと多価カルボン酸、もしくは多価カルボン酸無水物、多価カルボン酸エステル等が原料モノマーとして使用できる。
具体的には、例えば二価アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
三価以上のアルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
2価の酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;琥珀酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6乃至12のアルキル基で置換された琥珀酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物;が挙げられる。
また、架橋部位を有するポリエステル樹脂を形成するための3価以上の多価カルボン酸成分としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸及び、これらの無水物やエステル化合物等が挙げられる。
それらの中でも、特に、下記一般式(イ)で代表されるビスフェノール誘導体をジオール成分とし、二価以上のカルボン酸又はその酸無水物、又はその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)を酸成分として、これらを縮重合したポリエステル樹脂が、カラートナーとして、良好な帯電特性を有するので好ましい。
本発明のトナーに含有される結着樹脂において、「ハイブリッド樹脂」とは、ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットが化学的に結合された樹脂を意味する。具体的には、ポリエステルユニットと(メタ)アクリル酸エステルの如きカルボン酸エステル基を有するモノマーを重合したビニル系重合体ユニットとがエステル交換反応によって形成する樹脂である。好ましくはビニル系重合体を幹重合体、ポリエステルユニットを枝重合体としたグラフト共重合体(あるいはブロック共重合体)である。なお、本発明において「ポリエステルユニット」とはポリエステルに由来する部分を示し、「ビニル系重合体ユニット」とはビニル系重合体に由来する部分を示す。ポリエステルユニットを構成するポリエステル系モノマーとしては、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分であり、ビニル系重合体ユニットとは、ビニル基を有するモノマー成分である。
ビニル系重合体ユニットを生成するためのビニル系モノマーとしては、スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きスチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、フッ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体等が挙げられる。
さらに、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、前記α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
本発明のトナーにおいて、結着樹脂のビニル系重合体ユニットは、ビニル基を二個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよい。この場合に用いられる架橋剤には、芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
本発明ではビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニットのいずれか一方又は両方の中に、両樹脂ユニットの成分と反応し得るモノマー成分を含むことが好ましい。ポリエステル樹脂ユニットを構成するモノマーのうちビニル系重合体ユニットの成分と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物などが挙げられる。ビニル系重合体ユニットを構成するモノマーのうちポリエステルユニットの成分と反応し得るものとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットの反応生成物を得る方法としては、先に挙げたビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニットのそれぞれと反応しうるモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方もしくは両方の樹脂の重合反応を行うことにより得る方法が好ましい。
本発明に用いられるビニル系重合体ユニットを製造する場合に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチル−プロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドの如きケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレートが挙げられる。
本発明のトナーに用いられるハイブリッド樹脂を調製できる製造方法としては、例えば、以下の(1)〜(6)に示す製造方法を挙げることができる。
(1)ビニル系重合体、ポリエステル樹脂及びハイブリッド樹脂をそれぞれ製造後にブレンドする方法であり、ブレンド品は、有機溶剤(例えば、キシレン)に前記樹脂成分を溶解・膨潤した後に有機溶剤を留去することによって製造される。尚、ハイブリッド樹脂には、ビニル系重合体とポリエステル樹脂を別々に製造後、少量の有機溶剤に溶解・膨潤させ、エステル化触媒及びアルコールを添加し、加熱することによりエステル交換反応を行って合成されるエステル化合物を用いることができる。
(2)ビニル系重合体製造後に、これの存在下にポリエステルユニット及びハイブリッド樹脂成分を製造する方法である。ハイブリッド樹脂成分はビニル系重合体ユニット(必要に応じてビニル系モノマーも添加できる)とポリエステルモノマー(多価アルコール、多価カルボン酸)との反応、及び前記ユニット及びモノマーと必要に応じて添加されるポリエステルとの反応により製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
(3)ポリエステル樹脂製造後に、これの存在下にビニル系重合体ユニット及びハイブリッド樹脂成分を製造する方法である。ハイブリッド樹脂成分はポリエステルユニット(必要に応じてポリエステルモノマーも添加できる)とビニル系モノマーとの反応、及び前記ユニット及びモノマーと必要に応じて添加されるビニル系重合体ユニットとの反応により製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
(4)ビニル系重合体及びポリエステル樹脂製造後に、これらの重合体ユニット存在下にビニル系モノマー及びポリエステルモノマー(多価アルコール、多価カルボン酸)のいずれか一方又は両方を添加し、添加したモノマーに応じた条件の重合反応を行うことにより、ハイブリッド樹脂成分を製造することができる。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
(5)ハイブリッド樹脂を製造後、ビニル系モノマー及びポリエステルモノマー(多価アルコール、多価カルボン酸)のいずれか一方又は両方を添加して、付加重合及び縮重合反応のいずれか一方又は両方を行うことにより、ビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニットを製造する。この場合、ハイブリッド樹脂成分には、上記(2)乃至(4)の製造方法により製造されるものを使用することもでき、必要に応じて公知の製造方法により製造されたものを使用することもできる。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
(6)ビニル系モノマー及びポリエステルモノマー(多価アルコール、多価カルボン酸等)を混合して付加重合及び縮重合反応を連続して行うことによりビニル系重合体ユニット、ポリエステルユニット及びハイブリッド樹脂成分が製造される。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
上記(1)乃至(5)の製造方法において、ビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニットには、分子量や架橋度の異なる複数種の重合体ユニットを使用することができる。なお、本発明におけるビニル系重合体又はビニル系重合体ユニットとは、ビニル系単重合体若しくはビニル系共重合体又はビニル系単重合体ユニット若しくはビニル系共重合体ユニットを意味するものである。
製造方法についても特に言及されないが、本発明ではトナーの最大変位量(Sa)と結着樹脂の組成や分子量は関係するため、モノマー組成や触媒、反応条件の選択が重要である。
本発明で使用される着色剤として、黒色着色剤としては、カーボンブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアン着色剤を用い黒色に調色したものが利用される。
本発明のトナーをカラートナーとして用いる場合の着色剤としては、公知の染料及び顔料使用することができる。
マゼンタトナー用着色顔料としてはC.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、49、50、51、52、53、54、55、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、202、206、207.209、238、C.I.ピグメントバイオレット19などが挙げられる。
着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタトナー用染料としては、C.Iソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1の如き油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28などの塩基性染料が挙げられる。
シアントナー用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー2、3、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、及び下記式で示される構造を有するフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1乃至5個置換した銅フタロシアニン顔料などが挙げられる。
イエロー用着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185などが挙げられる。
イエロー用着色染料としては、C.I.ソルベントイエロー162等があり、顔料と染料を併用することも好ましい。
着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して好ましくは0.1乃至15質量部であり、より好ましくは0.5乃至12質量部であり、最も好ましくは0.6乃至10質量部である。
本発明では、離型剤を添加することも可能である。離型剤は一般にはオイルレス定着機構を有する電子写真機器においても優れた定着性を発揮するトナーを提供するために添加される。本発明ではトナーの塑性変形量や弾性変形率を調整するための材料としても好ましく用いることが出来る。
離型剤は市販の物が使用できるが、一例としては、次のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス、また酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、またはそれらのブロック共重合物;ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリルなどのエステルワックス、カルナバワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
本発明において特に好ましく用いられる離型剤としては、脂肪族炭化水素系ワックスが挙げられる。例えば、アルキレンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒、メタロセン触媒で重合した低分子量のポリアルキレンワックス、パラフィンワックス、石炭又は天然ガスから合成されるフィッシャートロプシュワックス、高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー、一酸化炭素及び水素を含む合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から、あるいはこれらを水素添加して得られる合成炭化水素ワックスがよい。さらにプレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により炭化水素ワックスの分別を行なったものが、より好ましく用いられる。母体としての炭化水素は、金属酸化物系触媒(多くは2種以上の多元系)を使用した一酸化炭素と水素の反応によって合成されるもの[例えばジントール法、ヒドロコール法(流動触媒床を使用)によって合成された炭化水素化合物];ワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(同定触媒床を使用)により得られる炭素数が数百ぐらいまでの炭化水素;エチレンなどのアルキレンをチーグラー触媒により重合した炭化水素;パラフィンワックスが、分岐が少なくて小さく、飽和の長い直鎖状炭化水素であるので好ましい。特にアルキレンの重合によらない方法により合成されたワックスがその分子量分布からも好ましいものである。
本発明においてトナーに荷電制御剤を使用することで、帯電量を調整することも出来る。荷電制御剤は公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して維持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。さらに芳香族カルボン酸の金属化合物は、トナーの架橋を向上させ、フィラーとして作用する効果もあり、本発明のようにトナーの塑性変位量や弾性変形率を調整する上で非常に有効である。中でも芳香族オキシカルボン酸のアルミニウム錯体が荷電制御剤としても架橋性向上剤としても特に好ましい。
ネガ系荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ダイカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン等が利用できる。ポジ系荷電制御剤としては、四級アンモニウム塩、前記四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物等が利用できる。荷電制御剤はトナー粒子に対して内添しても良いし外添しても良い。荷電制御剤の添加量は結着樹脂100質量部に対し総量で0.2乃至10質量部が好ましい。
次に本発明で使用する一次平均粒径70乃至150nmの微粒子について説明する。上述のとおり、本発明において一次平均粒径70乃至150nmの微粒子を添加するのは転写助剤としてだけでなく、弾性中間転写ベルトのクリーニング性も向上させる目的がある。
本発明で使用する微粒子は一次平均粒径70乃至150nmであるが、好ましくは90乃至140nmである。70nmよりも小さいと転写性向上への寄与が小さくなるだけでなく、中間転写ベルトのクリーニング性も向上しなかった。150nmよりも大きくなると中間転写体への融着や傷の発生が若干悪くなる傾向にあった。また、添加量はトナー母粒子100質量部に対して0.5質量部以上であるが、より好ましくは0.8乃至2.0質量部である。0.5質量部よりも少ないと転写性や弾性中間転写ベルトのクリーニング性向上の効果があまり得られない。
本発明において特に好ましい微粒子は、アルコキシシランを水が存在する有機溶媒中において、触媒により加水分解、縮合反応させて得られるシリカゾル懸濁液から、溶媒除去、乾燥して、粒子化する、公知のゾルゲル法により製造された一次平均粒径70乃至150μmの球状シリカである。
また、本発明のトナーは、上記一次平均粒径70乃至150nmの微粒子とは別に、流動性向上剤が外添されていることが、画質向上の観点から好ましい。
流動性向上剤としては、シリカ微粉体,酸化チタン,酸化アルミニウム等の無機微粉体が好ましく、更には、シランカップリング剤,シリコーンオイル又はそれらの混合物の如き疎水化剤で疎水化されていることがより好ましい。
流動性向上剤は、通常、トナー粒子100質量部に対して0.5乃至5質量部使用される。
本発明における流動性向上剤は酸化チタンとシリカを併用することが好ましいが、特に好ましい酸化チタンとシリカを以下に示す。
酸化チタンとしては、シラン化合物又はカップリング剤及び/又はシリコーンオイル又はシリコーンワニスによって表面処理された、楕円球形状のルチル型疎水性酸化チタン微粒子が好ましい。また、トナー表面上の一次平均粒径が8乃至100nm、長軸径/短軸径の比が1.1乃至5.0であれば更に好ましい。
シリカは一次平均粒径が5乃至60nmで、シラン化合物又はカップリング剤及び/又はシリコーンオイル又はシリコーンワニスによって表面処理されていることが好ましいが、特にシリコーンオイル処理されていることが好ましい。
本発明のトナーでは、従来のトナーに比べて若干ではあるが、塑性変形し易くなっている。そのため、流動性向上剤がトナーに埋め込まれ易くなる懸念があったが、楕円球形状のルチル型が、埋め込みに対して有利に働き、しかも適度な埋め込まれ具合で従来のトナーよりも耐久性が向上する働きがあった。また、シリコーンオイル処理されたシリカは転写中抜けの防止だけでなく、上記一次平均粒径70乃至150nmの微粒子と同様にクリーニングされにくいトナーを吸着させる働きと、吸着したトナーが弾性中間転写ベルトからはがれ易くする働きも有している。
次に本発明で使用される磁性キャリアについて説明する。
本発明のトナーを二成分系現像剤に用いる場合は、トナーは磁性キャリアと混合して使用される。磁性キャリアとしては、例えば表面酸化又は未酸化の鉄、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類の如き金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子及びフェライト等が使用できる。
上記磁性キャリア粒子の表面を樹脂で被覆した被覆キャリアは、現像スリーブに交流バイアスを印加する現像法において特に好ましい。被覆方法としては、樹脂の如き被覆材を溶剤中に溶解もしくは懸濁せしめて調製した塗布液を磁性キャリア粒子表面に付着せしめる方法、磁性キャリア粒子と被覆材とを粉体の状態で混合する方法等、従来公知の方法が適用できる。
磁性キャリア粒子の表面への被覆材料としては、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂が挙げられる。これらは、単独或いは複数で用いられる。
上記被覆材料の処理量は、磁性キャリア粒子に対し0.1乃至30質量%(好ましくは0.5乃至20質量%)が好ましい。磁性キャリアの個数平均粒径は10乃至100μmであることが好ましく、20乃至70μmであることがより好ましい。
本発明のトナーと磁性キャリアとを混合して二成分系現像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度として2質量%乃至15質量%にすると通常良好な結果が得られ、より好ましくは4質量%乃至13質量%である。
本発明のトナーは、トナー粒子の形状を球形に近づける特定の処理装置を用いることによって、円形度を調整することが可能である。このようなトナー粒子の形状の処理を行えば高い転写性が得られるが、現像性と定着性を両立させるためには、球形化する際に離型剤のトナー粒子の表面へのしみ出しも配慮しなければならない。
トナー粒子を球形化する装置としては、例えば、粒子表面を熱溶融させて球形化させるサーフィージョン(日本ニューマチック社製)、熱風式球形化装置(ホソカワミクロン社製)等の熱処理装置等が挙げられる。或いは機械的衝撃処理によって粒子表面を球形化するハイブリダイザー(奈良機械社製)やターボミル(ターボ工業社製)、クリプトロン(川崎重工社製)、メカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン社製)等が挙げられる。これらのうち、熱処理装置では、離型剤のトナー粒子の表面へのしみ出しを調整するのはほぼ不可能である。また、上記の機械的衝撃によってトナー粒子を球形化する装置を用いた場合でも、これらの装置は装置ごとの程度はあるものの、トナー粒子を粉砕しながら機械的衝撃力をトナー粒子に与えるシステムである。特定の離型剤を用いて結着樹脂との親和性を向上させても、球形化の処理時に新しい表面が出ることにより、トナー粒子の表面に離型剤がしみ出し易くなってしまう。
そこで、本発明のトナーに好適な球形化処理を行える装置を、図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は、本発明に使用する表面改質装置の一例を示す。
図1に示す表面改質装置では、ケーシング15と、冷却水或いは不凍液を通水できるジャケット(図示しない)と、所定の粒径よりも大きい粒子と所定の粒径以下の微粒子とを分ける分級手段である分級ロータ1を有する。また、粒子に機械的な衝撃を与えて前記粒子の表面を処理する表面処理手段である分散ロータ6と、分散ロータ6の外周に対して所定の間隔を有して周設されるライナ4と、分級ロータ1で分けられた粒子のうちの所定の粒径より大きい粒子を分散ロータ6に案内する案内手段であるガイドリング9を有する。さらに、分級ロータ1で分けられた粒子のうちの所定の粒径以下の微粒子を装置の外に排出する排出手段である微粉回収用排出口2と、分散ロータ6で表面を処理された粒子を分級ロータ1に送る粒子循環手段である冷風導入口5と、被処理粒子をケーシング15内に導入するための原料供給口3と、表面を処理された粒子をケーシング15内から排出するための開閉自在な粉体排出口7及び排出弁8とを有する。
分級ロータ1は、円筒状のロータであり、ケーシング15内の一端面側に設けられている。微粉回収用排出口2は、分級ロータ1の内側の粒子を排出するように、ケーシング15の一端部に設けられている。原料供給口3は、ケーシング15の周面の中央部に設けられている。冷風導入口5は、ケーシング15の周面の他端面側に設けられている。粉体排出口7は、ケーシング15の周面で原料供給口3に対向する位置に設けられている。排出弁8は、粉体排出口7を自在に開閉する弁である。
冷風導入口5と、原料供給口3及び粉体排出口7との間には、分散ロータ6及びライナ4が設けられている。ライナ4は、ケーシング15の内周面に沿って周設されている。分散ロータ6は、図2に示すように、円盤と、この円盤の周縁に、円盤の法線に沿って配置される複数の角型ディスク10とを有する。分散ロータ6は、ケーシング15の他端面側に設けられており、かつライナ4と角型ディスク10との間に所定の間隔が形成される位置に設けられている。ケーシング15の中央部にはガイドリング9が設けられている。ガイドリング9は、円筒体であり、分級ロータ1の外周面の一部に被さる位置から、かつ分級ロータ6の近傍まで延出するように設けられている。ガイドリング9は、ケーシング15内に、ガイドリング9の外周面とケーシング15の内周面とに挟まれた空間である第一の空間11と、ガイドリング9の内側の空間である第二の空間12とを形成する。
なお、分散ロータ6は、角型ディスク10の代わりに円柱状のピンを有していても良い。ライナ4は、本実施の形態では角型ディスク10に対向する表面に多数の溝が設けられているものとするが、表面に溝を有さないものであっても良い。また、分級ロータ1の設置方向は、図1に示したように縦型でも構わないし、横型でも構わない。また、分級ロータ1の個数は、図1に示したように単体でも構わないし、複数でも構わない。
以上のように構成してなる表面改質装置では、排出弁8を閉とした状態で原料供給口3から微粉砕品を一定量投入すると、投入された微粉砕品は、まずブロワー(図示しない)により吸引され、分級ロータ1で分級される。その際、分級された所定粒径以下の微粉は、分級ロータ1の周面を通過して分級ロータ1の内側に導かれ、装置外へ連続的に排出除去される。所定粒径以上の粗粉は、遠心力によりガイドリング9の内周(第二の空間12)に沿いながら分散ロータ6により発生する循環流にのり、角型ディスク10とライナ4との隙間(以下、「表面改質ゾーン」とも言う)へ導かれる。表面改質ゾーンに導かれた粉体は、分散ロータ6とライナ4との間で機械式衝撃力を受け、表面改質処理される。表面改質された表面改質粒子は、機内を通過する冷風にのって、ガイドリング9の外周(第一の空間11)に沿いながら分級ロータ1に運ばれる。分級ロータ1により、さらに微粉は機外へ排出され、粗粉は、循環流にのり、再度第二の空間12に戻され、表面改質ゾーンで繰り返し表面改質作用を受ける。このように、図1の表面改質装置では、分級ロータ1による粒子の分級と、分散ロータ6による粒子の表面の処理とが繰り返される。一定時間経過後、排出弁8を開とし、排出口7より表面改質粒子を回収する。
このような装置では、熱による離型剤のしみ出しはほとんど無く、前述した公知の機械的衝撃力を与えるシステムに比べ、新しい表面が出ることによるトナー粒子の表面への離型剤のしみ出しも生じ難い。このため、トナー粒子の球形化と離型剤のしみ出しの調整を容易に行うことができ、非常に好ましい。
次に本発明の画像形成装置について一例を示す。
図3は、本発明に係る画像形成装置の実施例の概略構成を示す。本実施例の画像形成装置は、像担持体及び像担持体上にトナー像を形成するための帯電、露光、現像を行う各手段を含む画像形成部を複数並置し、第2の像担持体としての中間転写体上に複数の像担持体上にて形成される各色のトナー像を多重転写し、その後第2の像担持体としての中間転写体上に多重転写されたトナー像を記録材上に一括転写する、中間転写体上多重転写系のタンデム式電子写真画像形成装置である。
図3に示すように、本実施例の画像形成装置は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像を形成する各画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdを備えている。各画像形成部では、1次帯電手段2a乃至2d、露光系6、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の現像装置3Y、3M、3C、3Bkによって、各感光ドラム1a、1b、1c、1d上の帯電、露光、現像を行い、各色のトナー像をそれぞれの感光ドラム1a乃至1d上に形成する。
また、搬送手段として、各感光ドラム1a〜1d上から多重転写されるトナー像を担持して、このトナー像を記録材P上に一括転写する2次転写部位N2’まで搬送する、第2の像担持体であるベルト状の中間転写体、即ち、中間転写ベルト8cを有している。中間転写ベルト8cは、中間転写ベルト駆動ローラ43、テンションローラ41、及び2次転写対向部材としての2次転写対向ローラ42に巻架され、図3中の矢印W方向に回転する。
各感光ドラム1a〜1dは、中間転写ベルト8cを介してそれぞれ転写帯電手段としての1次転写帯電ローラ40a、40b、40c、40dと対向している。
画像形成動作が開始すると、中間転写ベルト8cが矢印W方向に回転して、各感光ドラム1a〜1d上に形成した各色のトナー像が、各1次転写帯電ローラ40a〜40dの作用によって順次重ねて中間転写ベルト8c上に静電的に転写される。
尚、本実施例によると、それぞれの転写帯電ローラ40a〜40dは、中間転写ベルト8c上の画像形成領域より広い範囲に亙って電荷を供給して、それぞれの感光ドラム1a〜1dから中間転写ベルト8c上にトナー像を転写する。
一方、記録材収容カセット21内に収容される記録材Pは、記録材供給ローラ22によって画像形成装置内に送り出され、レジストローラ7に挟持される。その後、中間転写ベルト8c上に多重転写されたトナー像の先端が、2次転写帯電手段としての2次転写帯電ローラ45と2次転写対向部材である2次転写対向ローラ42とが対向し、それぞれ中間転写ベルト8cの裏面(内側)と表面(外側)に当接している2次転写部N2’に進入するのに同期するように2次転写部N2’に送り出される。そして、2次転写帯電ローラ45の作用によって、中間転写ベルト8c上のトナー像は記録材P上に一括転写される。
その後、未定着のトナー像を担持した記録材Pは定着装置5まで搬送され、加熱、加圧されることによって、未定着トナー像は記録材P上に定着し、永久画像が形成する。また、記録材P上にトナー像を2次転写した後の中間転写ベルト8c上に残留したトナーなどは、除電器17、18によって除電して静電吸着力を取り除いた後、クリーニング手段を有する中間転写ベルトクリーナ46によって除去される。
次に、本発明で使用される中間転写体について説明する。中間転写体は、画像形成装置の省スペース化、コンパクト化に対応するため、中間転写ベルトであることが好ましい。
中間転写ベルトに使用される材料には、従来から弗素系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂等からなるものが使用されてきていたが、近年、ベルトの全層や、ベルトの一部を弾性部材にした弾性ベルトが使用されてきている。
樹脂ベルトを用いたカラー画像の転写には以下の課題がある。カラー画像は通常4色の着色トナーで形成される。1枚のカラー画像には、1層から4層までのトナー層が形成されている。トナー層は1次転写(感光体から中間転写ベルトへの転写)や、2次転写(中間転写ベルトからシートへの転写)を通過することで圧力を受け、トナー同士の凝集力が高くなる。例えば、図5(a)のような文字を出力しようとした場合、トナー同士の凝集力が高くなると図5(b)のような文字の端部付近あるいはラインの端部付近のトナーが転写されずに出力されてしまう、いわゆる中抜けという現象や、ベタ部画像のエッジ抜けの現象が発生しやすくなる。樹脂ベルトは硬度が高くトナー層に応じて変形しないため、トナー層を圧縮させやすく、感光体との付着力が大きくなるため、文字の中抜け現象が発生しやすくなる。また、最近はフルカラー画像を様々な用紙、例えば和紙や意図的に凹凸を付けや用紙に形成したいという要求が高くなってきている。しかし、平滑性の悪い用紙は転写時にトナーと空隙が発生しやすく、転写抜けが発生しやすくなる。密着性を高めるために2次転写部の転写圧を高めると、トナー層の凝縮力を高めることになり、上述したような文字の中抜けを発生させることになる。
そのため近年中間転写ベルトの材質としては、弾性層を有する中間転写ベルトが注目されている。弾性中間転写ベルトは次の狙いで使用される。弾性中間転写ベルトは樹脂ベルトより硬度が低いため、転写部でトナー層、平滑性の悪い用紙に対応して変形する。つまり、局部的な凹凸に追従して弾性中間転写ベルトは変形するため、過度にトナー層に対して転写圧を高めることなく、良好な密着性が得られ、文字の中抜けの無い、平面性の悪い用紙に対しても均一性の優れた転写画像を得ることができる。
本発明において使用する弾性中間転写ベルトは、全層又は一部の層が弾性を有する材料から構成されるものである。このような弾性を有する材料としては、弾性を有する樹脂、弾性材ゴム、エラストマー等が挙げられる。弾性材料からなる弾性層の上に表層(コート層)を設けてもよいし、弾性層の下に基材層を設けてもよい。
弾性ベルトの弾性層に使用できる樹脂としては、ポリカーボネート、フッ素系樹脂(ETFE、PVDF)、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレン又はスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体)、メタクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸ブチル樹脂、アクリル酸エチル樹脂、アクリル酸ブチル樹脂、変性アクリル樹脂(シリコーン変性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂変性アクリル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂等)、塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂及びポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、上記材料に限定されるものではないことは当然である。
弾性材ゴム、エラストマーとしては、ブチルゴム、フッ素系ゴム、アクリルゴム、EPDM、NBR、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンターポリマー、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム、シンジオタクチック1、2−ポリブタジエン、エピクロロヒドリン系ゴム、リコーンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、ポリノルボルネンゴム、水素化ニトリルゴム、熱可塑性エラストマー(例えばポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリウレア、ポリエステル系、フッ素樹脂系)等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、上記材料に限定されるものではないことは当然である。
弾性中間転写ベルトには抵抗値調節用導電剤を含有させることができる。抵抗値調節用導電剤に特に制限はないが、例えば、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウムやニッケル等の金属粉末、酸化錫、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化アンチモン−酸化錫複合酸化物(ATO)、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物等が使用できる。導電性金属酸化物は、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の絶縁性微粒子を被覆したものでもよい。上記導電剤に限定されるものではないことは当然である。
弾性中間転写ベルトには、離型性向上のために表層(コート層)を設けることができる。表層材料に制限はないが、転写中間転写ベルト表面へのトナーの付着力を小さくして2次転写性を高めるものが好ましい。例えば、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂等の1種類あるいは2種類以上を使用するとともに、表面エネルギーを小さくし潤滑性を高める材料、例えばフッ素樹脂、フッ素化合物、フッ化炭素、二酸化チタン、シリコンカーバイト等の粉体、粒子を1種類あるいは2種類以上分散させたものを使用することができる。また、これら粉体、粒子の粒径を異ならせたものを分散させ使用することもできるまたフッ素系ゴム材料のように熱処理を行うことで表面にフッ素リッチな層を形成させ表面エネルギーを小さくさせたものを使用することもできる。
弾性中間転写ベルトの製造方法は限定されるものではなく、回転する円筒形の型に材料を流し込みベルトを形成する遠心成型法、表層の薄い膜を形成させるスプレー塗工法、円筒形の型を材料の溶液の中に浸けて引き上げるディッピング法、内型、外型の中に注入する注型法、円筒形の型にコンパウンドを巻き付け、加硫研磨を行う方法がある。また、複数の製造方法を組合わせて弾性ベルトを製造することができるのは当然である。
弾性ベルトの伸びを防止する方法としては、伸びの少ない芯体樹脂層にゴム層を形成する方法、芯体層に伸びを防止する材料を入れる方法等があるが、特に製造方法に関わるものではない。
次に本発明で使用する中間転写ベルトのクリーニング方法について説明する。
一例として図3のような中間転写体上多重転写系のタンデム式電子写真画像形成装置に使用できるファーブラシクリーニング方法について説明するが、これに限定されるものではない。
図4は、中間転写ベルトクリーニング装置46の拡大図である。図4において中間転写ベルトクリーニング装置46は、テンションローラ41に対向させて中間転写ベルト8cに回転しながら接触する導電性ファーブラシ101を備えている。導電性ファーブラシ101回転方向は中間転写ベルト8cと同一方向である。すなわち、ニップ位置では互いに逆方向に表面移動する。導電性ファーブラシ101には、金属ローラ102が接触し、電源103から電圧が印加されている。導電性ファーブラシ101に接触している金属ローラ102には、トナーと反対の電荷の電圧が印加されている。
金属ローラ102と導電性ファーブラシ101とは、導電性ファーブラシ101の抵抗により電位差が生じ、中間転写ベルト8cから除去したトナーを、導電性ファーブラシ101から各金属ローラ102に転移させる。金属ローラ102に転移されたトナーは、ブレード104で掻き落とされて回収される。中間転写ベルト8cと導電性ファーブラシ101との間にも同様に電位差が生じ電界による静電力と、接触による掻き取り力とにより、導電性ファーブラシ101がトナーを回収する。例えば、金属ローラ102に+700V印加すると導電性ファーブラシ101は+400Vとなり中間転写ベルト8c上のマイナストナーをクリーニングする。
<トナー及び中間転写体の最大変位量、塑性変位量の測定>
本発明においてトナー及び中間転写体の最大変位量、塑性変位量の測定は(株)エリオニクス社製 超微小硬度計ENT1100で測定した。使用圧子は100μm×100μm四方の平圧子を用い、測定環境は27℃,湿度60%で測定した。最大荷重9.8×10-5Nに対し、0.98×10-5N/secのスピードで荷重を掛ける。最大荷重に到達後、0.1secの間、その荷重で放置する。その時に変位している量を最大変位量とした。さらに最大荷重を経て0.98×10-5N/secのスピードで除荷し、荷重が0になったときの変位量を塑性変位量とした。
1.トナーの最大変位量、塑性変位量の測定
トナーの測定はセラミックセル上にトナーを塗し、トナーがセル上に分散するように微小なエアーを吹き付ける。そのセルを装置にセットして測定する。
測定は装置付帯の顕微鏡を覗きながら測定用写真画面(横幅:160μm 縦幅:120μm)にトナーが1粒で存在しているもの選択する。粒径因子によるトナーの変位量の差を無くすため、トナー粒径が5乃至7μmのものを選択して測定する。なお、測定用写真画面から任意のトナーを選択して粒径を測定手段は超微小硬度計ENT1100付帯のソフトを用いて測定した。任意の場所から粒子100個を選んで測定し、測定結果の最大値、最小値のものそれぞれ10個は除いて残り80個をデータとして使用し、その80個の平均から最大変位量、塑性変位量を求めた。
2.中間転写体の最大変位量、塑性変位量の測定
中間転写体の測定は、測定サンプルをセルに硬化性ボンドで接着する。その際、接着面に空気やゴミが入らないように注意する。これは、空気やゴミの影響でサンプルの変位量が変わってしまうのを防ぐためである。ボンドが乾くまで1日以上は放置する。ボンドが乾いたら、セルを装置にセットし、任意の場所から100点測定する。測定結果の最大値、最小値のものそれぞれ10点は除いて、残りの80点をデータとして使用し、その80点の測定結果から平均値から最大値、最小値のものそれぞれ中間転写体の最大変位量、塑性変位量を求めた。
これまでは、トナー1粒の硬度を測定する方法では、先端が尖った圧子を使用しているため、トナーが圧子から滑る等、再現性はほとんど無かった。本発明ではトナー粒径よりも数十倍大きい100μm×100μm四方の平圧子を用いているため、トナーが圧子から滑るといったことが起こらず、非常に再現性のある測定結果が得られることがわかった。
<トナーの透過率の測定方法>
日本電色工業株式会社製のNDH2000を用い、全光線透過率試験法(JIS K7361−1,ISO 13468−1)に準じて行う。測定サンプルは、以下のように調製する。
トナー量が25.0mg/cm2となるように、画像形成した未定着状態のOHPフィルムを用意する。該OHPフィルムをヒートパネル上で過熱し、170℃で3分間加熱する。その後、ヒートパネルの電源を切って、温度23℃、湿度60%の環境に、3時間放置、冷却して、測定用のOHPフィルムサンプルとする。なお、OHPフィルムは、厚さ:110μmのキヤノン製OHPフィルム A4(TR−3)を使用する。
<トナーの誘電正接(tanδ)の測定方法>
トナーを1.0g秤量し、19,600kPa(200kgf/cm2)の荷重を1分間かけてペレット状に成型し、直径25mm、厚さ2mm以下(好ましくは0.5mm乃至1.5mm)の円盤状の試料に調整する。この試料を直径25mmの誘電率測定治具(電極)を装着したARES(レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー社製)に装着し、温度80℃まで加熱し、溶融固定する。その後、温度40℃まで冷却し、0.49乃至1.96N(50乃至200g)の荷重をかけた状態で、温度40℃一定とし、周波数1,000Hz乃至100,000Hzの範囲で測定する。50,000Hzの測定値を本発明におけるトナーの誘電正接と定義する。
<平均円形度の測定方法>
フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)の測定原理は、流れている粒子を静止画像として撮像し、画像解析を行うというものである。試料チャンバーへ加えられた試料は、試料吸引シリンジによって、フラットシースフローセルに送り込まれる。フラットシースフローに送り込まれた試料は、シース液に挟まれて扁平な流れを形成する。フラットシースフローセル内を通過する試料に対しては、1/60秒間隔でストロボ光が照射されており、流れている粒子を静止画像として撮影することが可能である。また、扁平な流れであるため、焦点の合った状態で撮像される。粒子像はCCDカメラで撮像され、撮像された画像は512×512画素の画像処理解像度(1画素あたり0.37×0.37μm)で画像処理され、各粒子像の輪郭抽出を行い、粒子像の投影面積Sや周囲長L等が計測される。
次に、上記面積Sと周囲長Lを用いて円相当径と円形度を求める。円相当径とは、粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径のことであり、円形度Cは、円相当径から求めた円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割った値として定義され、次式で算出される。
円形度C=2×(π×S)1/2/L
粒子像が円形の時に円形度は1になり、粒子像の外周の凹凸の程度が大きくなればなるほど円形度は小さい値になる。各粒子の円形度を算出後、0.200乃至1.000の円形度範囲を800分割し、得られた円形度の相加平均値を算出し、その値を平均円形度とする。
トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2ml加える。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定し、トナー粒子の平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本願実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
<トナー粒度分布の測定>
本発明において、トナーの平均粒径及び粒度分布は、コールターカウンターTA−II型(コールター社製)を用いて測定することができる。また、コールターマルチサイザー(コールター社製)を用いることも可能である。測定においては、電解液が使用されるが、この電解液には1%NaCl水溶液が使用される。1%NaCl水溶液は、1級塩化ナトリウムを使用して調製しても良いし、また例えば、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)等の市販品を使用しても良い。
測定法としては、前記電解水溶液100乃至150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1乃至5ml加え、更に測定試料を2乃至20mg加える。試料を懸濁した電解液を超音波分散器で約1乃至3分間分散処理し、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2.00μm以上のトナーの体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを算出し、重量平均粒径(D4)(各チャンネルの中央値をチャンネル毎の代表値とする)を求める。
チャンネルとしては、2.00乃至2.52μm;2.52乃至3.17μm;3.17乃至4.00μm;4.00乃至5.04μm;5.04乃至6.35μm;6.35乃至8.00μm;8.00乃至10.08μm;10.08乃至12.70μm;12.70乃至16.00μm;16.00乃至20.20μm;20.20乃至25.40μm;25.40乃至32.00μm;32.00乃至40.30μmの13チャンネルを用いる。
<GPCによる分子量測定>
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるクロマトグラムの分子量は次の条件で測定される。
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、試料濃度として0.05乃至0.6質量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を約50乃至200μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数(リテンションタイム)との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば東ソー社製或いはPressure Chemical Co.製の分子量が6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
カラムとしては、103乃至2×106の分子量領域を的確に測定するために、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807の組み合わせや、Waters社製のμ−styragel 500、103、104、105の組み合わせを挙げることができる。
<ワックスの最大吸熱ピークの極大温度の測定>
温度曲線:昇温I(30℃乃至200℃、昇温速度10℃/min)
降温I(200℃乃至30℃、降温速度10℃/min)
昇温II(30℃乃至200℃、昇温速度10℃/min)
トナー及びワックスの最大吸熱ピークは、示差走査熱量計(DSC測定装置)DSC2920(TAインスツルメンツジャパン社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
測定試料は3乃至7mg、好ましくは4乃至5mgを精密に秤量する。それをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定範囲30乃至200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測定を行う。ワックスのピーク温度は、昇温IIの過程でピークトップとなる温度を測定する。
<70乃至150nmの微粒子の一次平均粒径の測定方法>
微粒子を走査型電子顕微鏡FE−SEM(日立製作所製S−4700)により10万倍に拡大したトナー粒子表面の写真を撮影し、その拡大写真を用いて、視野中の300個のシリカの粒径を測定して平均粒径を求める。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
○ポリエステル樹脂1の製造例
温度計、撹拌機を備えたオートクレーブ中に、
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
10質量部
ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
40質量部
テレフタル酸 10質量部
無水トリメリット酸 6質量部
フマル酸 25質量部
2−エチルヘキサン酸錫 0.06質量部
を仕込み、窒素雰囲気下、200乃至210℃で約5時間反応させ、ポリエステル樹脂1を得た。得られたポリエステル樹脂のGPCによる分子量測定の結果を表1に示す。
○ポリエステル樹脂2の製造例
温度計、撹拌機を備えたオートクレーブ中に、
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
40質量部
ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
10質量部
テレフタル酸 20質量部
無水トリメリット酸 1質量部
フマル酸 40質量部
2−エチルヘキサン酸錫 0.06質量部
を仕込み、窒素雰囲気下、210乃至220℃で約4時間反応させ、ポリエステル樹脂2を得た。得られたポリエステル樹脂のGPCによる分子量測定の結果を表1に示す。
○ポリエステル樹脂3の製造例
温度計、撹拌機を備えたオートクレーブ中に、
テレフタル酸 85質量部
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸 90質量部
プロピレングリコール 165質量部
三酸化アンチモン 1.30質量部
を仕込み170乃至220℃で180分間加熱してエステル交換反応を行った。次いで反応系の温度を250℃まで昇温し、系の圧力1乃至10mmHgとして3時間反応を続けて共重合ポリエステル樹脂3を得た。
○トナー用ワックス分散樹脂の調製例
ポリエステル樹脂1 80質量部
ワックスA(ノルマルパラフィン、DSCピーク温度:76℃、Mn:580)
20質量部
上記の処方で十分にヘンシェルミキサーにより予備混合を行い、二軸押出し混練機で材料温度を140℃で溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて約1乃至2mm程度に粗粉砕して、トナー用ワックス分散樹脂を得た。
同様にして、各種ポリエステル樹脂、ワックスB(低分子量ポリエチレンワックス、DSCピーク温度:120℃、Mn:1200)を用いて、実施例及び比較例に使用するトナー用ワックス分散樹脂を得た。
○トナー用着色剤分散樹脂の調製例
ポリエステル樹脂1 80質量部
C.I.ピグメントブルー 15:3 20質量部
上記の処方で十分にヘンシェルミキサーにより予備混合を行い、二軸押出し混練機で材料温度を160℃で溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて約1乃至2mm程度に粗粉砕して、トナー用着色剤分散樹脂を得た。
同様にして、各種着色剤を用いて、実施例及び比較例に使用するトナー用着色剤分散樹脂を得た。
○トナー用荷電制御剤分散樹脂の調製例
ポリエステル樹脂1 80質量部
3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 20質量部
上記の処方で十分にヘンシェルミキサーにより予備混合を行い、二軸押出し混練機で材料温度を170℃で溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて約1乃至2mm程度に粗粉砕して、トナー用荷電制御剤分散樹脂を得た。
また、ポリエステル樹脂2、3を使用して、上記と同様の方法で、トナー用荷電制御剤分散樹脂を得た。
○トナー用無機微粒子分散樹脂の調製例
ポリエステル樹脂1 80質量部
BET:100m2/gのヒュームドシリカ 20質量部
上記の処方で十分にヘンシェルミキサーにより予備混合を行い、二軸押出し混練機で材料温度を170℃で溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて約1乃至2mm程度に粗粉砕して、トナー用荷電制御剤分散樹脂を得た。
また、BET:10、300m2/gのヒュームドシリカを使用して、上記と同様の方法で、トナー用無機微粒子分散樹脂を得た。
トナー(A)−Cの製造例
・ポリエステル樹脂1 92質量部
・C.I.ピグメントブルー 15:3成分 3質量部
(トナー用着色剤分散樹脂として添加)
・ワックスA成分 6質量部
(トナー用ワックス分散樹脂として添加)
・3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物成分 1質量部
(トナー用荷電制御剤分散樹脂として添加)
上記の処方で十分にヘンシェルミキサーにより予備混合を行い、二軸押出し混練機で材料温度を140℃で溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて約1乃至2mm程度に粗粉砕し、次いでエアージェット方式による微粉砕機で15μm以下の粒径に微粉砕した。さらに、得られた微粉砕物を図1及び図2に示したような処理装置を用い、分級ローター回転数120s-1で微粒子を除去しながら、分散ローター回転数100s-1(回転周速を130m/sec)で45秒間表面処理を行った(原料供給口3より微粉砕物を投入終了後、45秒間処理後、排出弁8を開けて処理品として取り出した)。その際、分散ローター6上部に角型のディスクを10個設置し、ガイドリング9と分散ローター6上角型ディスクの間隔を30mm、分散ローター6とライナー4との間隔を5mmとした。またブロワー風量を14m3/min、ジャケットに通す冷媒の温度及び冷風温度T1を−20℃とし、重量平均粒径6.0μmのトナー分級品を得た。
上記トナー分級品100質量部に対して、ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理され、ゾルゲル法により製造された球状シリカ(一次平均粒径:120nm )1質量部と、n−C4H9Si(OCH3)3で処理した楕円状酸化チタン(個数平均粒径:15nm)0.7質量部、ジメチルシリコーンオイル処理シリカ(個数平均粒径:18nm)0.7質量部をヘンシェルミキサーで外添してトナー(A)−Cとした。トナー材料及び物性を表2に示す。
着色剤成分及び添加量を表2のように変えるほかは、トナー(A)−Cと同様にして、トナー(A)−Y、トナー(A)−M、トナー(A)−Kを得た。
トナー(C)−1の製造例
・ポリエステル樹脂1 92質量部
・ワックスA成分 6質量部
(トナー用ワックス分散樹脂として添加)
・3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物成分 1質量部
(トナー用荷電制御剤分散樹脂として添加)
・BET:100m2/gのヒュームドシリカ成分 1質量部
(無機微粒子分散樹脂として添加)
上記の材料を使用し、二軸押出し混練機で材料温度を160℃で溶融混練すること以外は、トナー(A)−Cの製造例と同様にして、トナー(C)−1を得た。トナー材料を表3に、トナー物性を表4に示す。
さらに各トナーと、シリコーン樹脂で表面被覆した磁性マンガンマグネシウムフェライトキャリア粒子(個数平均粒径45μm)とを、トナー濃度が7質量%になるように混合し、二成分系現像剤とした。
また、各トナーの補給用現像剤は、キャリア1質量部に対してトナー10質量部となるように、ターブラーミキサーで混合した現像剤を使用した。
なお、トナー材料を表3のように変えるほかは、トナー(C)−1と同様にして、トナー(C)−2乃至7を得た。
○中間転写ベルトの製造例
表5に示すような組成の中間転写ベルトを調製した。
表5に示した樹脂およびゴムを主成分とする原料ペレットを用意した。このペレットをそれぞれ押出機から多層環状ダイに送り、ダイ内又はダイ外で積層して押出す。押し出された多層筒状体の内部に挿入された冷却マンドレルにて冷却して寸法を規制し、半導電性の筒状体を得、これを軸方向と交差する方向に切断して多層構造の中間転写ベルトを得た。ベルト表面を#2000の耐水サンドペーパーにより、適宜表面を研磨し、所定の表面粗さを持つベルトを得た。それぞれの層の厚さ、及び最大変位量、塑性変位量、弾性変形率、表面粗さを表5に示す。
<実施例、比較例>
図3および図4に示す画像形成装置を使用し、普通紙(カラーレーザーコピア用紙TKCLA4;キヤノン製)を用い、プリンターモードでトナーの画像を出力した。プロセススピードは300mm/sec、低温低湿環境(温度15℃/湿度3%)で画像面積比率10%のオリジナル原稿を用いて、連続複写5万枚の耐久試験を行った。なお、補給用現像剤として、二成分現像剤を使用した。現像器は、現像器内部で過剰になったキャリヤ及びトナーを排出可能な構成のものを使用し、インダクタンスによるトナー濃度検知及びトナー濃度制御を行った。
(1)画像濃度均一性
画像濃度均一性は、耐久後に、全面ベタ画像を出力し、その画像上任意の5点のX−Rite画像濃度を測定し、その最大値、最小値の差分により評価した。
評価方法は以下の基準に基づき、耐久後の転写効率で判断した。
A:非常に良好(Δ0.05未満)
B:良好(Δ0.05以上0.1未満)
C:普通(Δ0.1以上0.15未満)
D:悪い(Δ0.15以上)
(2)画像光沢均一性
画像光沢均一性は、耐久後に、全面ベタ画像を出力し、その画像上任意の5点の画像光沢度を測定し、その最大値、最小値の差分により評価した。
評価方法は以下の基準に基づき、耐久後の転写効率で判断した。
A:非常に良好(Δ5未満)
B:良好(Δ5以上10未満)
C:普通(Δ10以上15未満)
D:悪い(Δ15以上)
(3)ハーフトーン画像均一性
ハーフトーン画像均一性は、耐久後に、X−Rite画像濃度0.3の全面ハーフトーン画像を出力し、この画像を目視にて観察し、前記画像のドットの再現性について以下の基準に基づき評価した。
A:ハーフトーン画像濃度の均一性は良好で、なめらかである。
B:ハーフトーン画像濃度は、均一である。
C:ハーフトーン画像濃度にややムラはあるが、実用上問題ないレベルである。
D:ハーフトーン画像濃度にムラがある。
(4)転写性
転写性は、耐久後の画像を現像,転写し、感光体上の転写前のトナー量(単位面積あたり)と、中間転写体上のトナー量(単位面積あたり)をそれぞれ測定した。さらにもう1枚画像を現像、転写し、中間転写体上のトナー量(単位面積あたり)と転写材上のトナー量(単位面積あたり)をそれぞれ測定し下式により求めた。
1次転写効率(%)={(中間転写体上のトナー量)/(感光体上の転写前のトナー量
)}×100
2次転写効率(%)={(転写材上のトナー量)/(中間転写体上のトナー量)}
×100
評価方法は以下の基準に基づき、耐久後の2次転写効率で判断した。
A:非常に良好(92%以上)
B:良好(88%以上92%未満)
C:普通(84%以上88%未満)
D:悪い(84%未満)
(5)転写中抜けの評価
転写中抜けは耐久後、図5(a)に示した「驚」文字パターンを厚紙(128g/m2)にプリントした際の文字の中抜け(図5(b)の状態)を以下の基準に基づき、目視で評価した。
A:ほとんど発生せず
B:軽微な中抜けが見られる
C:若干の中抜けが見られる
D:顕著な中抜けが見られる
(6)転写における画像のガサツキ性
耐久後、細線画像(7本/1mm)を転写材上転写された時点の未定着画像を出力し、それを100℃のオーブンで非加圧で定着させた画像を得た。その解像度をルーペを用いて観察し、トナーの飛び散り、解像度が落ちた度合いについて確認して評価した。即ち、判別可能なライン数を下記の基準で評価した。この際、判別可能なライン数は、縦方向のライン横方向のライン夫々10カ所の平均値とした。
A:7本
B:5〜6本
C:3〜4本
D:2本以下
(7)中間転写体のクリーニング性評価
クリーニング性の評価は、耐久後、トナー(A)−C画像濃度が0.5mg/cm2のベタ画像を出力し、トナー転写直後の中間転写体上(A)と、トナー転写後にクリーニングを行った後の中間転写体上(B)をそれぞれ透明なテープ(リンテック(株)社製 スーパーステック)を中間転写材上に貼って転写残トナーを採取する。(A)、(B)それぞれの転写残トナーを採取した透明テープを上記普通紙に貼り付け、色彩色差計(X−Rite 500Series Spectrodensitometer)によって測定し、次式によりクリーニング性の評価を行った。
クリーニング効率=〔1−(クリーニング後の中間転写体上(B)の色彩色差計による
画像濃度/転写直後の中間転写体上(A)の色彩色差計による画
像濃度)〕×100(%)
評価方法は、以下の基準で判断した。
A:非常に良好(98%以上)
B:良好(96%〜98%未満)
C:普通(94%〜96%未満)
D:悪い(94%未満)
実施例1では、連続複写5万枚の耐久試験後も画像濃度均一性、画像光沢均一性、ハーフトーン画像均一性などの優れた画像性を示し、転写性、クリーニング性も良好であった。また、中抜けやガサツキといった画像不良も発生しなかった。また、中間転写体への融着や傷も発生せず、連続複写2万枚の耐久試験で優れた耐久性を示した。本発明のトナー(A)及びトナー(C)と本発明の中間転写体による相乗効果により、良好な結果を得ることが出来た。
その他の実施例、比較例として、同様に連続複写5万枚の耐久試験を行った。評価結果を表6に示す。