JP2005055482A - トナー及び画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低濃度領域から高濃度領域まで、粒状感、ガサつきを低減でき、また記録部材上に多量のトナーを載せても幅広い定着温度幅を有し、連続複写後も優れた画像を保ち、耐オフセット性に優れたトナー及び画像形成方法を提供する。
【解決手段】少なくとも結着樹脂、着色剤、及びワックスを含有するトナーであって、粉体状態における明度Lが45〜75であり、粘弾性特性において、温度120℃における貯蔵弾性率(G’120)が5×10〜1×10[Pa]であり、且つ温度180℃における貯蔵弾性率(G’180)が10〜5×10[Pa]であり、前記トナーをペレット状に加圧成型した試料に、温度120℃において4.0×10Paの圧力を加えた際の変形量(R200)が45〜65%であり、且つ該試料に温度120℃において1.0×10Paの圧力を加えた際の変形量(R500)が65〜85%であることを特徴とするトナーを用いて画像形成を行う。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真、静電印刷のような画像形成方法、及び該画像形成方法に用いられるトナーに関する。特には、トナー像をプリントシートなどの記録部材に加熱加圧定着させる定着方式に好適に用いられるトナー及び画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真式カラー画像形成装置が広く普及するに従い、その用途も多種多様に広がり、その画像品質への要求も厳しくなってきている。一般の写真、カタログ、地図の如き画像の複写では、微細な部分に至るまで、極めて微細に且つ忠実に再現することが求められており、それに伴い、色の鮮やかさに対する要求も高まっており、色再現範囲を拡張することが望まれている。特に、印刷分野への進出が著しい昨今、電子写真方式においても印刷の品質と同等以上の高精彩、高精細、粒状性等が要求されるようになっている。
【0003】
最近のデジタルな画像信号を使用している電子写真方式の画像形成装置では、潜像は一定電位のドットが潜像担持体、所謂感光体の表面に集まって形成されており、ベタ部、ハーフトーン部及びライン部はドット密度をかえることによって表現されている。しかしながらこの方法では、ドットに忠実にトナー粒子がのりにくく、ドットからトナー粒子がはみ出した状態となり、デジタル潜像の黒部と白部のドット密度の比に対応するトナー画像の階調性が得られないという問題が起こり易い。更に、画質を向上させるために、ドットサイズを小さくして解像度を向上させる場合には、微小なドットから形成される潜像の再現性が更に困難になり、解像度及び特にハイライト部の階調性の悪い、シャープネスさに欠けた画像となる傾向がある。また、不規則なドットの乱れは粒状感として感じられ、ハイライト部の画質を低下させる要因となる。このような画像は、写真画質に肉薄してきた昨今のインクジェット技術と比べた場合、劣っていると言わざるを得ない。
【0004】
これらを改善する目的で、ベタ部は濃い色のトナー(濃トナー)、ハイライト部はそれより濃度の薄いトナー(淡トナー)を用いて画像を形成する方法が提案されている。
【0005】
例えば、それぞれ濃度の異なる複数のトナーを組み合わせて画像形成する画像形成方法が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。また、濃色トナーの最大反射濃度に対し、その半分以下の最大反射濃度を有する淡色トナーを組み合わせた画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。また、記録部材上でのトナー量が0.5mg/cmのときの画像濃度が1.0以上である濃色トナーと、1.0未満である淡色トナーとを組み合わせた画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献4参照)。また、濃色トナーと淡色トナーとの記録濃度の傾き比が0.2〜0.5の間にあるトナーを組み合わせた画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献5参照)。これらの技術によってたしかにハイライト部の画質は向上されるが、淡色トナーのみで色諧調を出すためには高濃度部ではトナーを多量に記録部材上に載せなければならない。また、フルカラー画像においてはシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックトナーのほかに更に淡色トナーを重ねると記録部材上に載るトナー量は膨大なものとなり、この膨大な量のトナーを充分に定着させることはかなり厳しい。特に高速で連続して画像を複写した場合、複数枚後の画質の低下やオフセットが発生するなどの問題が発生した。
【0006】
このように、これまでは淡色トナーを用いた画像形成方法に関する記載はあっても多量のトナーを載せても優れた定着性を示すトナーの物性やオフセットを起こさない画像形成方法については言及されていなかった。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−84764号公報
【特許文献2】
特開2000−305339号公報
【特許文献3】
特開2000−347476号公報
【特許文献4】
特開2000−231279号公報
【特許文献5】
特開2001−290319号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の従来技術の問題点を解決し得るフルカラートナーを提供することを課題とする。
【0009】
即ち、本発明は、低濃度領域から高濃度領域まで、粒状感、ガサつきを低減できるトナー及び画像形成方法を提供することを課題とする。
【0010】
また、本発明は、記録部材上に多量のトナーを載せても幅広い定着温度幅を有し、連続複写後も優れた画像を保ち、耐オフセット性に優れたトナー及び画像形成方法を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、明度が明るく、且つ特定の物性を有するトナーを用いることによって、広い濃度領域において良好な画質を有し、且つ記録部材上に多量のトナーが転写される場合にも優れた定着性を有する画像形成方法を提供することができることを見出し、本発明を完成させた。 即ち、本発明は、以下の通りである。
【0012】
(1)少なくとも結着樹脂、着色剤、及びワックスを含有するトナーであって、
粉体状態における明度Lが45〜75であり、
粘弾性特性において、温度120℃における貯蔵弾性率(G’120)が5×10〜1×10[Pa]であり、且つ温度180℃における貯蔵弾性率(G’180)が10〜5×10[Pa]であり、
前記トナーをペレット状に加圧成型した試料に、温度120℃において4.0×10Paの圧力を加えた際の変形量(R200)が45〜65%であり、且つ該試料に温度120℃において1.0×10Paの圧力を加えた際の変形量(R500)が65〜85%であることを特徴とするトナー。
【0013】
(2)前記トナーの示差熱分析(DSC)測定により得られる吸熱曲線において、温度30〜200℃の範囲に1個又は複数の吸熱ピークが存在し、該吸熱ピーク中の最大吸熱ピークの極大値が65〜105℃の範囲にあることを特徴とする(1)のトナー。
【0014】
(3)前記ワックスが少なくとも脂肪族炭化水素系ワックスを含有することを特徴とする(1)又は(2)のトナー。
【0015】
(4)前記トナーの円相当径3μm以上の粒子において、平均円形度Aが0.940〜0.970であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかのトナー。
【0016】
(5)少なくとも結着樹脂、着色剤、及びワックスを含有し、粉体状態における明度L(a)が45〜75であるトナーaと、
少なくとも結着樹脂、着色剤、及びワックスを含有し、粉体状態において前記トナーaの明度L(a)より低い明度L(b)を有するトナーbとを有し、
前記トナーaの粘弾性特性において、温度120℃における貯蔵弾性率(G’120)が5×10〜1×10[Pa]であり、且つ温度180℃における貯蔵弾性率(G’180)が10〜5×10[Pa]であり、
前記トナーaをペレット状に加圧成型した試料に、温度120℃において4.0×10Paの圧力を加えた際の変形量(R200)が45〜65%であり、且つ該試料に温度120℃において1.0×10Paの圧力を加えた際の変形量(R500)が65〜85%であり、
前記トナーaの明度L(a)と前記トナーbの明度L(b)とが、下記式(1)の関係を満足することを特徴とするトナー。
【0017】
【数3】
10 ≦ L(a)−L(b) ≦ 40
【0018】
(6)前記トナーbは、粘弾性特性において、温度120℃における貯蔵弾性率(G’120)が5×10〜1×10[Pa]であり、且つ温度180℃における貯蔵弾性率(G’180)が10〜5×10[Pa]であり、
前記トナーbをペレット状に加圧成型した試料に、温度120℃において4.0×10Paの圧力を加えた際の変形量(R200)が45〜65%であり、且つ該試料に温度120℃において1.0×10Paの圧力を加えた際の変形量(R500)が65〜85%であることを特徴とする(5)のトナー。
【0019】
(7)記録部材上に形成された、トナーからなるトナー像を定着手段により加熱加圧定着して該記録部材上に画像を形成する画像形成方法であって、
前記定着手段は、回転可能な定着ローラと、該定着ローラに押圧されて当接し、前記定着ローラの回転に伴ってニップ部を形成しながら回転する定着ベルトと、前記ニップ部を加熱する加熱手段とを有し、前記定着ローラ及び定着ベルトの回転によって前記記録部材を前記ニップ部で狭持搬送することにより、前記記録部材上にトナー像を定着するものであり、
前記定着ローラの回転方向における前記ニップ部の幅が10mm以上であり、
前記トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤、及びワックスを含有し、
トナーの粉体状態における明度Lが45〜75であり、
トナーの粘弾性特性において、温度120℃における貯蔵弾性率(G’120)が5×10〜1×10[Pa]であり、且つ温度180℃における貯蔵弾性率(G’180)が10〜5×10[Pa]であり、
トナーをペレット状に加圧成型した試料に、温度120℃において4.0×10Paの圧力を加えた際の変形量(R200)が45〜65%であり、且つ該試料に温度120℃において1.0×10Paの圧力を加えた際の変形量(R500)が65〜85%であることを特徴とする画像形成方法。
【0020】
(8)記録部材上に形成された、トナーからなるトナー像を定着手段により加熱加圧定着して該記録部材上に画像を形成する画像形成方法であって、
前記定着手段は、回転可能な定着ローラと、該定着ローラに押圧されて当接し、前記定着ローラの回転に伴ってニップ部を形成しながら回転する定着ベルトと、前記ニップ部を加熱する加熱手段とを有し、前記定着ローラ及び定着ベルトの回転によって前記記録部材を前記ニップ部で狭持搬送することにより、前記記録部材上にトナー像を定着するものであり、
前記定着ローラの回転方向における前記ニップ部の幅が10mm以上であり、
前記トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤、及びワックスを含有し、粉体状態における明度L(a)が45〜75であるトナーaと、少なくとも結着樹脂、着色剤、及びワックスを含有し、粉体状態において前記トナーaの明度L(a)より低い明度L(b)を有するトナーbとを有し、
前記トナーaの粘弾性特性において、温度120℃における貯蔵弾性率(G’120)が5×10〜1×10[Pa]であり、且つ温度180℃における貯蔵弾性率(G’180)が10〜5×10[Pa]であり、
前記トナーaをペレット状に加圧成型した試料に、温度120℃において4.0×10Paの圧力を加えた際の変形量(R200)が45〜65%であり、且つ該試料に温度120℃において1.0×10Paの圧力を加えた際の変形量(R500)が65〜85%であり、
前記トナーaの明度L(a)と前記トナーbの明度L(b)とが、下記式(1)の関係を満足することを特徴とする画像形成方法。
【0021】
【数4】
10 ≦ L(a)−L(b) ≦ 40
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明のトナーは、粉体状態における明度Lが45〜75であり、粘弾性特性において、温度120℃における貯蔵弾性率(G’120)が5×10〜1×10[Pa]であり、且つ温度180℃における貯蔵弾性率(G’180)が10〜5×10[Pa]であり、前記トナーをペレット状に加圧成型した試料に、温度120℃において4.0×10Paの圧力を加えた際の変形量(R200)が45〜65%であり、且つ該試料に温度120℃において1.0×10Paの圧力を加えた際の変形量(R500)が65〜85%であることを特徴とする。
【0023】
本発明において明度Lは粉体状態のトナーとして求めた値を示している。一般に明度Lは、L系表色系において、色相及び彩度に関係なく比較できる色の明るさの度合いを0〜100の範囲で示すものである。本発明において、粉体状態のトナーにおけるLは、分光式色差計「SE−2000」(日本電色工業社製)を用いて測定したものである。
【0024】
本発明においてLが45以上のトナー(以下、これを「トナーa」と表記することがある)とは、通常のトナーに比べ、着色力を抑え、明度を高くしたものである。明度の高いトナーを用いるとハイライト部の画像が良好である理由は以下の通りである。ハイライト部の画像を明度の低い(色の濃い)トナーで形成すると、トナーが付いた明度の低い部分は局部的に高い濃度となり、トナーの付いていない部分とくっきりしたコントラストが出来る。この場合ハイライト部では、当然トナーの付かない部分が多く、そこに明度の低い高濃度の点がばらまかれた形状の画像が形成される。これは結果的には、極めて粒状の目立つ画像となる。
【0025】
そこで本発明では、ハイライト部を粒子当たりの明度が高いトナーを用いて紙とトナーとの明度の差を少なくし、その代わりに通常より多量のトナーで現像することにすれば、同一濃度が前記の現像より多数のトナー即ち画像点(色点)により形成されるので、結果的には前記画像より粒状性の点で良好な(粒状感の少ない)ハイライト部が形成されることになる。
【0026】
本発明において、トナーの明度を定着した後の画像の分光感度特性ではなく、粉体状態における分光感度特性で規定したのは以下の理由による。定着器や記録部材には様々な種類が存在し、その条件及び組み合わせによって、同一のトナーを定着した場合にでも発現するグロスや色域は大きく変化する。また、定着器の圧力によって、トナーの潰れ方も異なり、それは粒状性(がさつき)に影響を及ぼす。その点、本発明による直接的な測色方法を採用すると、定着器の構成や転写物に影響されないため、トナーそのものの明度を的確に規定することができる。即ち、本発明においては、トナーに添加する着色剤及びワックスの種類や量及び分散形態を制御し、トナーの貯蔵弾性率、変形量、及び粉体状態のトナーの明度を本発明の範囲内に調整することにより、粒状感(がさつき)が少なく、色再現範囲の広い画像を得ることができる。
【0027】
なお、本発明のトナーaの粉体状態における明度Lは、50〜73であることが好ましく、55〜70であることがより好ましい。
【0028】
更に形成される画像のベタ部に濃色トナーを用い、ハイライト部は上記本発明の淡色トナー(トナーa)を用いるといった具合に、画像の濃度によってトナーを使い分け、画像を形成するとより好ましい効果が得られる。また、形成される画像の濃度階調に応じて、濃色トナーと淡色トナー(トナーa)とを適宜組み合わせて用いることも好ましい形態である。これは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)等、いずれの色のトナーに用いても同様な効果が得られる。
【0029】
このように、濃色、淡色のトナーを組み合わせてフルカラー画像を形成する場合、記録部材上にはより多くのトナーを載せる必要が生じるため、充分な定着性能を得ることが厳しくなる。また、高速で連続して画像を複写した場合、複数枚後の画像における画質の低下やオフセットが発生するなどの問題が懸念される。そこで本発明者らは、このような場合においても充分な定着温度幅を確保でき、耐オフセット性に優れたトナーを得るためには、トナーの物性を以下のように限定すればよいことを見出した。
【0030】
即ち、本発明のトナーaは、粘弾性特性において、温度120℃における貯蔵弾性率(G’120)が5×10〜1×10[Pa]の範囲であり、温度180℃における貯蔵弾性率(G’180)が10〜5×10[Pa]である。G’120は6×10〜9×10[Pa]であることが好ましく、7×10〜8×10[Pa]であることが好ましい。また、G’180は20〜4×10[Pa]であることが好ましく、30〜3×10[Pa]であることが好ましい。
【0031】
トナーaのG’120が5×10[Pa]よりも小さいと、本発明のように多量のトナーを定着させなければいけない場合、定着温度が高温である時に、定着ローラへの記録部材の巻きつきの発生が顕著になりやすくなる。また、G’180が10[Pa]よりも小さい場合には、定着ローラへのオフセットが発生し、本発明のように記録部材上に多量にトナーを載せて定着させると、高温側の定着領域が狭くなる。
【0032】
一方、G’120が1×10[Pa]より大きい場合、定着温度が低温である時に定着ローラへのオフセットが発生しやすく、本発明のように記録部材に多量にトナーを載せて定着させると、記録部材付近の下層のトナーにまで充分に熱が伝わらず、低温側の定着領域が非常に狭くなる。また、G’180が5×10[Pa]より大きい場合には、定着時における画像の光沢性がほとんど無く、画像の品位が悪くなる。特に本発明のような淡色のトナーでは、トナーをいくら多く載せても画像濃度が上がらない。本発明のトナーにおいて、貯蔵弾性率を調整する方法は結着樹脂の重量平均分子量(Mw)及び、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)に起因するところが大きいが、ポリエステル、ハイブリッドといった樹脂の種類やモノマー組成によっても若干異なる。具体的には、上記Mwを60000以上、Mw/Mnを10〜30とすることによりG’120及びG’180を上記範囲に調整し易くなる。
【0033】
本発明の淡色のトナーaを濃色トナーと同時に用いる場合には、濃色トナーの粘弾性特性も上記範囲であることが耐オフセット性、低温定着性の点からも望ましい。
【0034】
更に、本発明のトナーaは、該トナーをペレット状に加圧成型した試料に、温度120℃において4.0×10Paの圧力を加えた際の変形量(R200)が45〜65%である。この変形量R200は、好ましくは47〜63%であり、より好ましくは48〜62%である。また、本発明のトナーaは、上記ペレット状の試料に温度120℃において1.0×10Paの圧力を加えた際のペレット化したものの変形量(R500)は65〜85%である。この変形量R200は、好ましくは67〜82%であり、より好ましくは68〜81%である。
【0035】
変形量(R200)が45%より小さすぎる場合、トナーが転写された記録部材が定着装置を通過する時にトナーが押しつぶされず、画像の周囲に飛び散って高精細な画像が得られなくなる。とくに、本発明のようにトナーを記録部材上に多量に載せて画像濃度を出す場合にこのような問題が顕著に表れやすい。また、変形量(R500)が65%未満となる場合には、本発明の淡色トナーaを濃色トナーと共に用いる場合、淡色トナーaを多く用いるところと濃トナーを多く用いるところとで光沢性が不均一になり、画像の品位が下がりやすい。
【0036】
変形量(R200)が65%を超えると、トナー自体が軟らかいため、現像に支障をきたし、トナーの耐久性が悪くなるため、転写効率が低下する。また、(R500)が85%を超えると、画像上でトナーが押しつぶされすぎて、トナーを多量に載せたときに画像がにじみ、がさつき感が生じる。本発明のトナーのR200及びR500はトナー作製時の条件に起因するところが大きい。具体的には粉砕トナーでは混錬時にかかる温度やシェアを適宜選択することによって上記R200及びR500を上記範囲に調整することが可能であるが、樹脂の分子量や架橋剤などの添加によっても調整可能である。
【0037】
なお、本発明の淡色のトナーaを濃色トナーと同時に用いる場合には、濃色トナーの変形量も上記範囲であることが高精細な画像を得るためにも望ましい。
【0038】
淡トナーと濃トナーとをそれぞれ単独で使用するよりも、形成される画像の濃度階調に応じて各トナーの使用量を適宜調整しながら同時に用いることが、低濃度域のがさつきのない画像再現と高濃度に至るまでの滑らかな中間階調再現が可能となるが、上記の粘弾性特性と変形量を有する本発明の淡色トナーaと濃色トナーとを用いることによって次のような効果がある。
【0039】
光沢紙のような記録部材を用いて画像を出力したとき、トナーの載り量の違いで画像に光沢のムラが発生し、明度の低い部分が浮き上がって見えるという現象が発生する。ここで、本発明のトナーaはより多くのトナー載り量に対しても優れた定着性を示すため、画像全体のトナー載り量をコントロールして、写真のような均一な光沢性の画像を出力することが可能である。
【0040】
粉体状態の明度Lが45以上である本発明のトナーaは、上述したように通常のトナーに比べ、着色力を抑え、明度を高くしたものである。このような本発明のトナーaの粉体状態における明度Lの値をL(a)とし、このトナーaと共に用いられる濃色トナー(以下、これを「トナーb」と表記することがある)の明度Lの値をL(b)としたときに、下記式(1)の関係を満足することが好ましい。
【0041】
【数5】
10 ≦ L(a)−L(b) ≦ 40
【0042】
淡色トナー(a)及び濃色トナー(b)が上記式(1)を満足する明度を有する場合、低濃度域から高濃度域までの濃度変化を滑らかに再現し、フルカラー画像における三次元的な色再現空間が広くなるために好ましい。L(a)−L(b)の値が10未満の場合は、フルカラー画像における三次元的な色再現空間が低下することがある。一方、L(a)−L(b)の値が40より大きい場合は、低濃度域から高濃度域の中間調の再現が滑らかになり難くなる可能性がある。
【0043】
次に本発明の効果を最大限に発揮できる、好ましいトナーの構成について述べる。
【0044】
本発明のトナーa及びbは、少なくとも結着樹脂、着色剤及びワックスを含有する。また、本発明のトナーは、主に上記結着樹脂、着色剤及びワックスからなるトナー粒子と、このトナー粒子に必要に応じて添加される外添剤とを有するものである。
【0045】
本発明者らは更に、先に述べた高画質と必要十分な定着性が両立するためには、トナーに中に含まれるワックスの熱特性が重要な因子であることを見出した。
【0046】
出力された画像の彩度が良好で、低濃度域におけるがさつき感(粒状感)に優れたトナーを得るためには、結着樹脂、着色剤の他に、ワックスを含有することが必要である。特に、ワックスを含有するトナーは、定着器の構成にオイルを全く塗布しないか、塗布量の極めて少ないオイル少量塗布系の定着器を使用する際にも好ましく用いられる。
【0047】
使用するワックスに起因して測定されるトナーの示差熱分析(DSC)により得られる吸熱曲線は、温度30〜200℃の範囲に1個又は複数の吸熱ピークを有し、且つ該吸熱ピーク中の最大吸熱ピークの極大値は65〜105℃の範囲にあることが好ましい。上記範囲におけるトナーの吸熱ピーク中の最大吸熱ピークの極大値は70〜100℃の範囲にあることが更に好ましい。
【0048】
トナーの最大吸熱ピークの極大値が65℃未満の場合、高温環境に放置した際にワックスがトナー表面に溶け出しやすく、耐ブロッキング性能がやや悪くなると共に、ドラム上に融着物が付着する危険性がある。一方、最大吸熱ピークの極大値が105℃より大きい場合、低温定着時においてワックスが迅速に溶融トナー表面に移行し難くなり、高温オフセットが発生し易くなる。特に本発明のように多量のトナーが記録部材上に載っている系においては定着条件が厳しくなる。
【0049】
本発明のトナーは、一種又は二種以上のワックスを含有しており、更には、少なくとも炭化水素系ワックスを含有していることが好ましい。炭化水素系ワックスをトナー中に添加することで、着色剤とワックスとの親和性が良好になるため、トナー中に着色剤を良好に微分散させることができる。
【0050】
本発明に用いられるワックスの一例としては、次のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス、又は酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、又はそれらのブロック共重合物;ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリルなどのエステルワックス、カルナバワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したものなどが挙げられる。更に、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
【0051】
本発明において特に好ましく用いられるワックスとしては、脂肪族炭化水素系ワックスが挙げられる。例えば、アルキレンを高圧下でラジカル重合した、又は低圧下でチーグラー触媒、メタロセン触媒で重合した低分子量のポリアルキレンワックス;石炭又は天然ガスから合成されるフィッシャートロプシュワックス;高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー;一酸化炭素及び水素を含む合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から、あるいはこれらを水素添加して得られる合成炭化水素ワックスがよい。更にプレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により炭化水素ワックスの分別を行ったものが、より好ましく用いられる。母体としての炭化水素は、金属酸化物系触媒(多くは2種以上の多元系)を使用した一酸化炭素と水素の反応によって合成されるもの[例えばジントール法、ヒドロコール法(流動触媒床を使用)によって合成された炭化水素化合物];ワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(同定触媒床を使用)により得られる炭素数が数百ぐらいまでの炭化水素;エチレンなどのアルキレンをチーグラー触媒により重合した炭化水素;パラフィンワックスが、分岐が少なくて小さく、飽和の長い直鎖状炭化水素であるので好ましい。特にアルキレンの重合によらない方法により合成されたワックスがその分子量分布からも好ましいものである。
【0052】
ワックスの分子量分布では、メインピークが分子量350〜2,400の領域にあることが好ましく、400〜2,000の領域にあることがより好ましい。このような分子量分布をもたせることによりトナーに好ましい熱特性を付与することができる。
【0053】
本発明に用いられる結着樹脂としては、従来電子写真用の結着樹脂として知られる各種の樹脂が用いられるが、その中でも(a)ポリエステル樹脂、(b)ポリエステルユニットとビニル系共重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂、(c)ハイブリッド樹脂とビニル系共重合体との混合物、(d)ハイブリッド樹脂とポリエステル樹脂との混合物、(e)ポリエステル樹脂とビニル系共重合体との混合物、及び(f)ポリエステル樹脂とハイブリッド樹脂とビニル系共重合体との混合物のいずれかから選択される樹脂であることが好ましい。
【0054】
結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いる場合は、2価以上のアルコール成分と、カルボン酸、カルボン酸無水物又はカルボン酸エステル等の2価以上の酸成分とが原料モノマーとして使用できる。具体的には、例えば2価アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
【0055】
3価以上のアルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
【0056】
2価の酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;琥珀酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6〜12のアルキル基で置換された琥珀酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物;が挙げられる。
【0057】
また、架橋部位を有するポリエステル樹脂を形成するための3価以上の多価カルボン酸成分としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸及び、これらの無水物やエステル化合物等が挙げられる。なお、3価以上の多価カルボン酸成分の使用量は、全モノマーを基準として0.1〜1.9mol%であることが好ましい。
【0058】
本発明のトナーの結着樹脂としてポリエステル樹脂を使用する場合、上記各モノマーの中でも、特に、下記一般式(1)で代表されるビスフェノール誘導体をジオール成分とし、2価以上のカルボン酸又はその酸無水物、又はその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)を酸成分として、これらを縮重合したポリエステル樹脂が、カラートナーとして、良好な帯電特性を有するので好ましい。
【0059】
【化1】
Figure 2005055482
(式中、Rはエチレン基又はプロピレン基を示し、x、yはそれぞれ1以上の整数であり、且つx+yの平均値は2〜10である。)
【0060】
更に、結着樹脂としてポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂を用いる場合、更に良好なワックス分散性と、低温定着性,耐オフセット性の向上が期待できる。本発明に用いられるハイブリッド樹脂とは、ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットが化学的に結合された樹脂を意味する。具体的には、ポリエステルユニットと(メタ)アクリル酸エステルの如きカルボン酸エステル基を有するモノマーを重合したビニル系重合体ユニットとがエステル交換反応によって形成されるものであり、好ましくはビニル系重合体を幹重合体、ポリエステルユニットを枝重合体としたグラフト共重合体(あるいはブロック共重合体)を形成するものである。
【0061】
ここでポリエステルユニットとは少なくともポリオールとポリカルボン酸の縮重合物であるものを言う。また、ビニル系ユニットとは1種又は2種以上のビニル系モノマーが重合してなるものを言う。
【0062】
ビニル系重合体を生成するためのビニル系モノマーとしては、次のようなものが挙げられる。スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きスチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体等が挙げられる。
【0063】
更に、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
【0064】
更に、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸又はメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
【0065】
本発明のトナーにおいて、結着樹脂のビニル系重合体ユニットは、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよいが、この場合に用いられる架橋剤は、芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたものが挙げられ;芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。
【0066】
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
【0067】
本発明ではビニル系重合体成分及び/又はポリエステル樹脂成分中に、両樹脂成分と反応し得るモノマー成分を含むことが好ましい。ポリエステル樹脂成分を構成するモノマーのうちビニル系重合体と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物などが挙げられる。ビニル系重合体成分を構成するモノマーのうちポリエステル樹脂成分と反応し得るものとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
【0068】
ビニル系重合体とポリエステル樹脂の反応生成物を得る方法としては、先に挙げたビニル系重合体及びポリエステル樹脂のそれぞれと反応しうるモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方もしくは両方の樹脂の重合反応をさせることにより得る方法が好ましい。
【0069】
本発明のビニル系重合体を製造する場合に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチル−プロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドの如きケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート,ジ−t−ブチルパーオキシアゼレートが挙げられる。
【0070】
本発明トナーに用いられるハイブリッド樹脂を調製できる製造方法としては、例えば、以下の(1)〜(6)に示す製造方法を挙げることができる。
【0071】
(1)ビニル系重合体、ポリエステル樹脂及びハイブリッド樹脂をそれぞれ製造後にブレンドする方法であり、ブレンドは有機溶剤(例えば、キシレン)に溶解・膨潤した後に有機溶剤を留去して製造される。尚、ハイブリッド樹脂は、ビニル系重合体とポリエステル樹脂を別々に製造後、少量の有機溶剤に溶解・膨潤させ、エステル化触媒及びアルコールを添加し、加熱することによりエステル交換反応を行って合成されるエステル化合物を用いることができる。
【0072】
(2)ビニル系重合体製造後に、これの存在下にポリエステルユニット及びハイブリッド樹脂を製造する方法である。ハイブリッド樹脂はビニル系重合体(必要に応じてビニル系モノマーも添加できる)とポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)及び/又はポリエステルとの反応により製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0073】
(3)ポリエステル樹脂製造後に、これの存在下にビニル系重合体ユニット及びハイブリッド樹脂を製造する方法である。ハイブリッド樹脂はポリエステルユニット(必要に応じてポリエステルモノマーも添加できる)とビニル系モノマー及び/又はビニル系重合体ユニットとの反応により製造される。
【0074】
(4)ビニル系重合体及びポリエステル製造後に、これらの重合体ユニット存在下にビニル系モノマー及び/又はポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加することによりハイブリッド樹脂が製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0075】
(5)ハイブリッド樹脂を製造後、ビニル系モノマー及び/又はポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加して付加重合及び/又は縮重合反応を行うことによりビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニットが製造される。この場合、ハイブリッド樹脂は上記(2)〜(4)の製造方法により製造されるものを使用することもでき、必要に応じて公知の製造方法により製造されたものを使用することもできる。更に、適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0076】
(6)ビニル系モノマー及びポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸等)を混合して付加重合及び縮重合反応を連続して行うことによりビニル系重合体ユニット、ポリエステルユニット及びハイブリッド樹脂が製造される。更に、適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0077】
上記(1)〜(5)の製造方法において、ビニル系重合体ユニット及び/又はポリエステルユニットは複数の異なる分子量、架橋度を有する重合体ユニットを使用することができる。
【0078】
なお、本発明のトナーに含有される結着樹脂は、上記ポリエステルとビニル系重合体との混合物、上記ハイブリッド樹脂とビニル系重合体との混合物、上記ポリエステル樹脂と上記ハイブリッド樹脂に加えてビニル系重合体の混合物を使用しても良い。
【0079】
本発明のトナーに含有される着色剤として、黒色着色剤としては、カーボンブラック;磁性体;イエロー、マゼンタ、及びシアン着色剤を用いて黒色に調色したものが利用される。黒色着色剤として磁性体を用いる場合には、他の着色剤と異なり、樹脂100質量部に対し5〜200質量部を添加して用いられる。
【0080】
磁性体としては、鉄、コバルト、ニッケル、銅、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、ケイ素等の元素を含む金属酸化物等がある。中でも四三酸化鉄、γ−酸化鉄等、酸化鉄を主成分とするものが好ましい。また、トナーの帯電性のコントロールの観点から、ケイ素元素及びアルミニウム元素等、他の金属元素を含有していてもよい。前記磁性体は、窒素吸着法によるBET比表面積が2〜30m/g、特に3〜28m/gであることが好ましく、更にモース硬度が5〜7であることが好ましい。
【0081】
磁性体の含有量は、トナーaを調製する場合、結着樹脂100質量部に対し5〜20質量部が好ましい。またトナーbを調製する場合の磁性体の含有量は結着樹脂100質量部に対し総量で30〜200質量部が好ましい。
【0082】
マゼンタトナー用着色顔料としてはC.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、49、50、51、52、53、54、55、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、202、206、207、209、238、C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35などが挙げられる。
【0083】
着色剤には、上記顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
【0084】
マゼンタトナー用染料としては、C.Iソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1の如き油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28などの塩基性染料が挙げられる。
【0085】
シアントナー用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー2、3、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、及び下記式で示される構造を有するフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料などが挙げられる。
【0086】
【化2】
Figure 2005055482
【0087】
イエロー用着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20などが挙げられる。
【0088】
イエロー用着色染料としては、C.I.ソルベントイエロー162等があり、顔料と染料を併用することも好ましい。
【0089】
本発明における着色剤の含有量は、トナーaを調製する場合、結着樹脂100質量部に対し0.1〜2.0質量部が好ましい。またトナーbを調製する場合の着色剤の含有量は結着樹脂100質量部に対し総量で2.5〜15質量部が好ましい。
【0090】
本発明のトナーは、更に荷電制御剤をトナー粒子内に添加されて有していても良い。本発明においてトナーに含有される荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して維持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
【0091】
荷電制御剤のうちネガ系荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ダイカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが利用できる。ポジ系荷電制御剤としては、四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物が利用できる。荷電制御剤は結着樹脂100質量部に対し0.5〜10質量部が好ましい。
【0092】
本発明のトナーは、更に他の添加剤をトナー粒子に外添して有していてもよい。本発明においてトナー粒子に外添される添加剤としては、公知のものが利用できるが、特に、流動性向上剤が外添されていることが画質向上、高温環境下での保存性の点で好ましい。流動性向上剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム等の無機微粉体が好ましい。該無機微粉体は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物の如き疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。
【0093】
疎水化剤としては、シラン化合物、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、ジルコアルミネートカツプリング剤の如きカップリング剤が挙げられる。
【0094】
具体的に例えばシラン化合物としては、下記一般式(2)で表されるものが好ましい。
【0095】
【化3】
SiY (2)
〔式中、Rはアルコキシ基を示し、mは1〜3の整数を示し、Yはアルキル基、ビニル基、フェニル基、メタアクリル基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基又はこれらの誘導体を示し、nは1〜3の整数を示す。〕
【0096】
上記一般式(2)で表される化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0097】
その処理量は、無機微粉体100質量部に対して、好ましくは1〜60質量部、より好ましくは3〜50質量部である。
【0098】
本発明で用いられるシラン化合物として特に好適なのは、下記一般式(3)で示されるアルキルアルコキシシランである。
【0099】
【化4】
2n+1−Si−(OC2m+1 (3)
〔式中、nは4〜12の整数を示し、mは1〜3の整数を示す。〕
【0100】
上記一般式(3)で表されるアルキルアルコキシシランにおいて、nが4より小さいと、処理は容易となるが疎水化度が低く、好ましくない。nが12より大きいと、疎水性が十分になるが、酸化チタン微粒子同士の合一が多くなり、流動性付与能が低下しやすい。また、mが3より大きいと、アルキルアルコキシシランの反応性が低下して疎水化を良好に行いにくくなる。より好ましくはアルキルアルコキシシランはnが4〜8であり、mが1〜2であるものである。
【0101】
アルキルアルコキシシランの処理量も、無機微粉体100質量部に対して、好ましくは1〜60質量部、より好ましくは3〜50質量部である。
【0102】
疎水化処理は1種類の疎水化剤単独により行っても良いし、2種類以上を併用しても良い。例えば1種類の疎水化剤単独で疎水化処理を行っても良いし、2種類の疎水化剤で同時に、又は1種類の疎水化剤で疎水化処理を行った後、別の疎水化剤で更に疎水化処理を行っても良い。
【0103】
流動性向上剤は、トナー粒子100質量部に対して0.01〜5質量部添加することが好ましく、0.05〜3質量部添加することがより好ましい。
【0104】
本発明のトナーは一成分現像方法にも、非磁性二成分現像方法にも好適に使用できるものである。
【0105】
本発明のトナーを二成分系現像剤に用いる場合は、トナーは磁性キャリアと混合して使用される。磁性キャリアとしては、例えば表面酸化又は未酸化の鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類の如き金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子及びフェライト等が使用できる。
【0106】
上記磁性キャリア粒子の表面を樹脂で被覆した被覆キャリアは、現像スリーブに交流バイアスを印加する現像法において特に好ましい。被覆方法としては、樹脂の如き被覆材を溶剤中に溶解又は懸濁させて調製した塗布液を磁性キャリアコア粒子表面に付着させる方法、磁性キャリアコア粒子と被覆材とを粉体で混合する方法等、従来公知の方法が適用できる。
【0107】
磁性キャリアコア粒子表面への被覆材料としては、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂が挙げられる。これらは、単独或いは複数で用いる。上記被覆材料の処理量は、キャリアコア粒子に対し0.1〜30質量%(好ましくは0.5〜20質量%)が好ましい。これらキャリアの個数平均粒径は10〜100μm、好ましくは20〜70μmを有することが好ましい。
【0108】
本発明のトナーと磁性キャリアとを混合して二成分系現像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度として、2〜15質量%、好ましくは4〜13質量%にすると通常良好な結果が得られる。トナー濃度が2質量%未満では画像濃度が低下しやすく、15質量%を超えるとカブリや機内飛散が発生しやすい。
【0109】
本発明においてトナー形状は優れた画像を形成するための重要な要素の1つである。トナーの円形度を上げることによって転写効率が向上するのは知られているが、本発明のトナーを用いて画像形成を行うと従来より多量のトナーが記録部材上に載せられるため、転写効率が悪いと画像のがさつき感が目立つようになることがある。また、トナーaとbのように明度の異なるトナーを組み合わせて用いると、中間濃度域において、転写抜けが発生した場合、画像に濃度差によるムラが発生する危険性がある。本発明において好ましいトナー形状とは、円相当径3μm以上の粒子において、平均円形度が0.940〜0.970の範囲であり、好ましくは0.942〜0.965である。平均円形度が0.940未満であると転写性、特に転写効率に劣り、低濃度域において粒状感が顕著となり、がさつき感のある画像が得られることがある。逆に平均円形度が0.970より大きいと、形状が球形すぎるため、感光ドラムのクリーニング工程においてトナーがクリーニングブレードをすり抜けるなど、クリーニング不良に起因する画像弊害が出ることがある。更に、本発明のようにトナーを記録部材上に多量に載せて定着させる場合、定着装置通過時にトナーが記録部材上から転がり易くなるため、とくに濃トナーと淡トナーを組み合わせて用いるときには、がさつき感が目立ち易くなる傾向にある。
【0110】
次に、本発明のトナーを製造する手順について説明する。
【0111】
まず、トナー粒子を構成する少なくとも樹脂、着色剤などの材料(内添剤)を所定量秤量して配合し、混合する(これを「原料混合工程」という)。原料を混合する際に用いられる混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー等がある。
【0112】
次に、上記混合されたトナー原料を溶融混練して樹脂類を溶融し、その中に着色剤等を分散させることにより、着色樹脂組成物を得る(これを「溶融混練工程」という)。この溶融混練工程では、例えば、加圧ニーダー、バンバリィミキサー等のバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができる。近年では、連続生産できる等の優位性から、1軸又は2軸押出機が主流となっており、例えば、神戸製鋼所社製KTK型2軸押出機、東芝機械社製TEM型2軸押出機、ケイ・シー・ケイ社製2軸押出機、ブス社製コ・ニーダー等が一般的に使用される。
【0113】
更に、上記溶融混練工程よって得られた着色樹脂組成物は、溶融混練後、2本ロール等で圧延され、水冷等で冷却する冷却工程を経て冷却される。
【0114】
次いで、得られた着色樹脂組成物の冷却物は、一般的には粉砕工程において所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、まず、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミル等で粗粉砕され、更に、川崎重工業社製のクリプトロンシステム、日清エンジニアリング社製のスーパーローター等で粉砕される。その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)等の分級機等の篩分機を用いて分級し、重量平均粒子径が3〜11μmの分級品を得る。
【0115】
必要に応じて、表面改質工程で表面改質(即ち球形化処理)を行い、分級品としてもよい。このような表面改質を行う装置としては、例えば奈良機械製作所製のハイブリタイゼーションシステム、ホソカワミクロン社製のメカノフージョンシステム等が挙げられる。
【0116】
また、必要に応じて風力式篩のハイボルター(新東京機械社製)等の篩分機を用いても良い。更に、外添剤を外添処理する方法としては、分級されたトナーと公知の各種外添剤を所定量配合し、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の粉体にせん断力を与える高速撹拌機を外添機として用いて、撹拌・混合することによりトナーを得ることができる。
【0117】
図1に本発明で好ましく用いられる表面改質装置の一例の構成を示す模式的断面図であり、図2は図1の表面改質装置の模式的平面図である。
【0118】
図1示す表面改質装置では、ケーシング15と、冷却水或いは不凍液を通水できるジャケット(図示しない)と、所定の粒径よりも大きい粒子と所定の粒径以下の微粒子とを分ける分級手段である分級ロータ1と、粒子に機械的な衝撃を与えて前記粒子の表面を処理する表面処理手段である分散ロータ6と、分散ロータ6の外周に対して所定の間隔を有して周設されるライナ4と、分級ロータ1で分けられた粒子のうちの所定の粒径より大きい粒子を分散ロータ6に案内する案内手段であるガイドリング9と、分級ロータ1で分けられた粒子のうちの所定の粒径以下の微粒子を装置の外に排出する排出手段である微粉回収用排出口2と、分散ロータ6で表面を処理された粒子を分級ロータ1に送る粒子循環手段である冷風導入口5と、被処理粒子をケーシング15内に導入するための原料供給口3と、表面を処理された粒子をケーシング15内から排出するための開閉自在な粉体排出口7及び排出弁8とを有する。
【0119】
分級ロータ1は円筒状のロータであり、ケーシング15内の一端面側に設けられている。微粉回収用排出口2は、分級ロータ1の内側の粒子を排出するように、ケーシング15の一端部に設けられている。原料供給口3は、ケーシング15の周面の中央部に設けられている。冷風導入口5は、ケーシング15の周面の他端面側に設けられている。粉体排出口7は、ケーシング15の周面で原料供給口3に対向する位置に設けられている。排出弁8は、粉体排出口7を自在に開閉する弁である。
【0120】
冷風導入口5と、原料供給口3及び粉体排出口7との間には、分散ロータ6及びライナ4が設けられている。ライナ4は、ケーシング15の内周面に沿って周設されている。分散ロータ6は、図2に示すように、円盤と、この円盤の周縁に、円盤の法線に沿って配置される複数の角型ディスク10とを有する。分散ロータ6は、ケーシング15の他端面側に設けられており、かつライナ4と角型ディスク10との間に所定の間隔が形成される位置に設けられている。ケーシング15の中央部にはガイドリング9が設けられている。ガイドリング9は、円筒体であり、分級ロータ1の外周面の一部に被さる位置から、かつ分級ロータ6の近傍まで延出するように設けられている。ガイドリング9は、ケーシング15内に、ガイドリング9の外周面とケーシング15の内周面とに挟まれた空間である第一の空間11と、ガイドリング9の内側の空間である第二の空間12とを形成する。
【0121】
なお、分散ロータ6は、角型ディスク10の代わりに円柱状のピンを有していても良い。ライナ4は、本実施の形態では角型ディスク10に対向する表面に多数の溝が設けられているものとするが、表面に溝を有さないものであっても良い。また、分級ロータ1の設置方向は、図1に示したように縦型でも構わないし、横型でも構わない。また、分級ロータ1の個数は、図1に示したように単体でも構わないし、複数でも構わない。
【0122】
以上のように構成してなる表面改質装置では、排出弁8を閉とした状態で原料供給口3から微粉砕品を一定量投入すると、投入された微粉砕品は、まずブロワー(図示しない)により吸引され、分級ロータ1で分級される。その際、分級された所定粒径以下の微粉は、分級ロータ1の周面を通過して分級ロータ1の内側に導かれ、装置外へ連続的に排出除去される。所定粒径以上の粗粉は、遠心力によりガイドリング9の内周(第二の空間12)に沿いながら分散ロータ6により発生する循環流にのり、角型ディスク10とライナ4との隙間(以下、「表面改質ゾーン」とも言う)へ導かれる。表面改質ゾーンに導かれた粉体は、分散ロータ6とライナ4との間で機械式衝撃力を受け、表面改質処理される。表面改質された表面改質粒子は、機内を通過する冷風にのって、ガイドリング9の外周(第一の空間11)に沿いながら分級ロータ1に運ばれ、分級ロータ1により、更に微粉は機外へ排出され、粗粉は、循環流にのり、再度第二の空間12に戻され、表面改質ゾーンで繰り返し表面改質作用を受ける。このように、図1の表面改質装置では、分級ロータ1による粒子の分級と、分散ロータ6による粒子の表面の処理とが繰り返される。一定時間経過後、排出弁8を開とし、排出口7より表面改質粒子を回収する。
【0123】
このような装置では、熱による離型剤のしみ出しはほとんど無く、前述した公知の機械的衝撃力を与えるシステムに比べ、新しい表面が出ることによるトナー粒子の表面への離型剤のしみ出しも生じ難く、トナー粒子の球形化と離型剤のしみ出しの調整を容易に行うことができ、非常に好ましい。
【0124】
本発明のトナーは、回転可能な定着ローラと、該定着ローラに押圧されて当接し、前記定着ローラの回転に伴ってニップ部を形成しながら回転する定着ベルトと、前記ニップ部を加熱する加熱手段とを有し、前記定着ローラ及び定着ベルトの回転によって前記記録部材を前記ニップ部で狭持搬送することにより、前記記録部材上にトナー像を定着する定着手段を備える画像形成方法に好適に用いられる。図3は本発明の画像形成方法において最も好ましい定着手段としての定着装置の概略構成図である。
【0125】
図3において、50は定着ローラであり、Siゴムなどの弾性層を有する。特にSiゴムなどの弾性層が必ず必要というわけではないが、弾性層があったほうが性能上好ましい。52は複数の支持ローラ53〜55に懸架され、定着ローラ50に当接して定着ニップ部Nを形成するベルトであり、ポリイミド樹脂ベルト上に1mm程度のSiゴムなどの弾性部材を積層し、最外層にPTFE、PFA等の離型層を積層したものである。本例の定着装置において、定着ローラ50は弾性層を有するφ50mmのヒートローラであり、厚さ5mmのアルミ芯金の上に2mmのシリコンゴムを積層し、最外層に、約50μmのPFAチューブを積層したもので、矢印の時計方向に所定の周速度で回転駆動される。51はこの定着ローラ50の内空に挿入設置された、加熱手段としての800Wのハロゲンランプである。定着ローラ50はこのハロゲンランプ51の通電発熱で内側より加熱され、表面温度が不図示の温度検知素子により検知され、その検知温度が不図示の温調回路に入力され、温度検知素子により検知される定着ローラ表面温度が所定の定着温度に維持されるようにハロゲンランプ51に対する通電がon−off制御されて温度制御される。
【0126】
また、定着ベルト52はφ50mmのベルトで基材の100μmのポリイミドベルト上に1mmのシリコンゴムを積層し、最外層に約50μのPTFE樹脂を積層したもので、第1〜第3の三本の支持ローラ53〜55に懸架され、定着ローラ50と挟圧されて定着ニップ部Nを形成している。第1の支持ローラ53は定着ベルト52を挟んで定着ローラ50に対して所定の押圧力で圧接している。このため、ベルト52が定着ローラ50に押圧されて当接する状態となっている。第2の支持ローラ54は定着ニップ部Nよりも記録部材搬送方向上流側において定着ローラ50から離れて位置している。
【0127】
第3の支持ローラ55は第1と第2の支持ローラ53、54の間に位置してテンションローラとして機能している。定着ベルト52は定着ローラ50の回転に順方向に定着ローラ50の回転周速度と同じ周速度で回転駆動される。この定着ローラ52の駆動は、定着ローラ50の回転に従動回転させることにより行っても良い。
【0128】
未定着画像を担持した記録部材Pは上記定着装置9の定着ローラ50と定着ベルト52の定着ニップ部Nに導入され、外定着ニップ部Nで挟持搬送されることで、未定着画像が記録部材面に定着ローラ50の熱と定着ニップ部Nの加圧力で加熱定着される。
【0129】
このような構成の定着装置では、定着ニップ部の線圧を大きくすることが困難である。しかしながら、本発明のトナーは上述したように、(ペレット状に加圧成型した試料の状態で)温度120℃において4.0×10Paの圧力を加えた際の変形量(R200)が45〜65%であり、温度120℃において1.0×10Paの圧力を加えた際の変形量(R500)が65〜85%であるため、比較的小さな線圧でも記録部材上にトナーがしっかり固着し、トナーの飛び散りによるがさつき感が生じない。なお、上記変形量(R200)が65%、変形量(R500)が85%をそれぞれ超えると、定着時に記録部材上のトナーが潰れ過ぎて画像のがさつき感が発生する。
【0130】
更にこのような構成の定着装置では、ニップ幅を大きく取ることができるのが特徴である。複数の濃色トナーと淡色トナーとを同時に使用し、より多くのトナーを記録部材上に載せた場合、定着ニップ部の線圧を大きくして定着させようとすると、定着ニップ部通過時にトナーが飛び散り、良質な画像が得られない可能性がある。従って、このような広いニップ幅でトナーをしっかり加熱溶融させるのが非常に好ましい。なお、本発明においては定着ニップ幅が10mm以上であるが、より好ましくは15mm以上であると、定着性の面で非常に効果がある。
【0131】
図4は、本発明のトナーを用いた本発明の画像形成方法を好適に実現できる画像形成装置の一例を示す模式的断面図である。以下、本発明の淡色トナーaと濃色トナーbとを同時に用いる画像形成方法及びそれを好適に実現できる画像形成装置の例を、図4を参照しながら具体的に説明する。図4において、Aはプリンタ部、Bはこのプリンタ部Aの上に搭載した画像読み取り部(イメージスキャナ)である。画像読み取り部Bにおいて、20は固定の原稿台ガラスであり、この原稿台ガラス20の上面に原稿Gを複写すべき面を下側にして載置し、その上に不図示の原稿板を被せてセットする。21は原稿照射用ランプ21a、短焦点レンズアレイ21b、CCDセンサー21c等を配置した画像読み取りユニットである。
【0132】
この画像読み取りユニット21は、不図示のコピーボタンが押されることで、原稿台ガラス20の下側においてこの原稿台ガラス20の左辺側のホームポジションから右辺側にガラス下面に沿って往動駆動され、所定の往復終点に達すると復動駆動されて始めのホームポジションに戻される。
【0133】
画像読み取りユニット21の往動駆動過程において、原稿台ガラス20上の載置セット原稿Gの下向き画像面が原稿照射用ランプ21aにより左辺側から右辺側にかけて順次照明走査され、その照明走査光の原稿面反射光が短焦点レンズアレイ21bによってCCDセンサー21cに結像入射する。
【0134】
CCDセンサー21cは、不図示の受光部、転送部、出力部より構成されており、受光部において光信号が電荷信号に変えられて、転送部でクロックパルスに同期して順次出力部へ転送され、出力部において電荷信号を電圧信号に変換し、増幅、低インピーダンス化して出力する。このようにして得られたアナログ信号を周知の画像処理によりデジタル信号に変換してプリンタ部Aに出力する。即ち、画像読み取り部Bにより原稿Gの画像情報が時系列電気デジタル画素信号(画像信号)として光電読み取りされる。
【0135】
なお、この画像形成装置にはパターンジェネレーター(不図示)がのせてあり、階調パターンが登録されていて、パルス幅変調器(不図示)に直接信号を渡すことができるようになっている。
【0136】
露光装置3は、画像読み取りユニット21から入力される画像信号に基づいて感光体1表面をレーザ走査露光Lして、静電潜像を形成する。
【0137】
図5は、露光装置3の概略構成図である。この露光装置3により感光体1表面をレーザ走査露光Lする場合には、先ず画像読み取りユニット21から入力された画像信号に基づき発光信号発生器24により、固体レーザ素子25を所定タイミングで明減(ON/OFF)させる。そして、固体レーザ素子25から放射された光信号であるレーザ光を、コリメーターレンズ系26によりほぼ平行な光束に変換し、更に、矢印c方向に高速回転する回転多面鏡22により感光体1を矢印d方向(長手方向)に走査することによって、fθレンズ群23、反射ミラーにより感光体1表面にレーザスポットが結像される。このようなレーザ走査により感光体1表面には走査分の露光分布が形成され、更に、各走査毎に感光体1表面に対して垂直に所定量だけスクロールさせれば、感光体1表面に画像信号に応じた露光分布が得られる。
【0138】
即ち、感光体1の一様帯電面(今回は−700Vに帯電)に画像信号に対応してON/OFF発光される固体レーザ素子25の光を高速で回転する回転多面鏡22によって走査することにより、感光体1表面には走査露光パターンに対応した各色の静電潜像が順次形成されていく。
【0139】
現像装置4は、通常の4色回転型の現像装置4aに高画質モード用の4色回転型の現像装置4bを備えている。現像装置4aと4bの位置に関しては入れ替わっても何ら問題はない。図6に示すように、現像器41a、42a、43a、44a、にそれぞれ濃シアントナーを有する現像剤、濃マゼンタトナーを有する現像剤、濃イエロートナーを有する現像剤、及び、濃ブラックトナーを有する現像剤が導入される。また、現像器41b、42b、43b、44bには、淡シアントナーを有する現像剤、淡マゼンタトナーを有する現像剤、淡イエロートナーを有する現像剤、及び、淡ブラックトナーを有する現像剤の中から少なくとも1種以上から選ばれる淡色トナーを有する現像剤が導入される。なお、現像装置4bに関しては4色すべての淡色トナーを導入する必要は無く、少なくとも1種以上の淡色トナーを有する現像剤を導入していれば、残りを空けても構わない。また、空いている所には他の色味を有する淡色トナー、緑色やオレンジ色、白色といった特色トナー、着色剤を含有しない無色トナー等を有する現像剤を導入してもよい。
【0140】
現像装置4a、4bは、磁気ブラシ現像方式によって、静電潜像担持体としての感光体1に形成された静電潜像を現像し、各色トナー像が感光体1に形成される。本発明に関わる現像剤は、現像の色順については問わない。これらの現像器として、図7に示すような2成分現像器は好ましい例の一つである。
【0141】
図7において、2成分現像器は矢印e方向に回転駆動される現像スリーブ30を備えており、現像スリーブ30内にはマグネットローラ31が固定配置されている。現像容器32には、現像剤Tを現像スリーブ30表面に薄層形成するための規制ブレード33が設置されている。
【0142】
また、現像剤容器32の内部は、隔壁36によって現像室(第1室)Rlと攪拌室(第2室)R2とに区画され、攪拌室R2の上方には、トナーホッパー34が配置されている。
【0143】
現像室Rlと攪拌室R2には、それぞれ搬送スクリュー37、38が設置されている。なお、トナーホッパー34には補給口35が設けられており、トナー補給時、トナーtが該補給口35を経て攪拌室R2内に落下補給される。
【0144】
一方、現像室Rl及び攪拌室R2内には、上記トナー粒子と磁性キャリア粒子が混合された現像剤Tが収容されている。
【0145】
また、現像室Rl内の現像剤Tは、搬送スクリュー37の回転駆動によって現像スリーブ30の長手方向に向けて搬送される。攪拌室R2内の現像剤Tは、搬送スクリュー38の回転駆動によって現像スリーブ30の長手方向に向けて搬送される。搬送スクリュー38による現像剤搬送方向は、搬送スクリュー37によるそれとは反対方向である。
【0146】
隔壁36には、紙面と垂直方向である手前側と奥側に開口部(不図示)がそれぞれ設けられており、搬送スクリュー37で搬送された現像剤Tがこの開口部の1つから搬送スクリュー38に受け渡され、搬送スクリュー38で搬送された現像剤Tが上記開口部の他の1つから搬送スクリュー36に受け渡される。トナーは磁性粒子との摩擦で、潜像を現像するための極性に帯電する。
【0147】
アルミニウムや非磁性ステンレス銅等の非磁性材からなる現像スリーブ30は、現像剤容器32の感光体1に近接する部位に設けた開口部に設けられており、矢印e方向(反時計方向)に回転してトナー及びキャリアの混合された現像剤Tを現像部Cに担持搬送する。現像スリーブ30に担持された現像剤Tの磁気ブラシは現像部Cで矢印a方向(時計方向)に回転する感光体1に接触し、静電潜像はこの現像部Cで現像される。
【0148】
現像スリーブ30には、電源(不図示)により交流電圧に直流電圧を重畳した振動バイアス電圧が印加される。潜像の暗部電位(非露光部電位)と明部電位(露光部電位)は、上記振動バイアス電位の最大値と最小値の間に位置している。これによって、現像部Cに、向きが交互に変化する交番電界が形成される。この交番電界中で、トナーとキャリアは激しく振動し、トナーが現像スリーブ30及びキャリアへの静電的拘束を振り切って潜像に対応して感光体1表面の明部に付着する。
【0149】
振動バイアス電圧の最大値と最小値の差(ピーク間電圧)は1〜5kVが好ましい。また、周波数は1〜10kHzが好ましい。本実施形態では、振動バイアス電圧をピーク間電圧が2kVの矩形波とし、周波数を2kHzとしている。なお、振動バイアス電圧の波形は、矩形波に限らず、サイン波、三角波等が使用できる。
【0150】
そして、上記直流電圧成分は、静電潜像の暗部電位と明部電位の間の値のものであるが絶対値で最小の明部電位よりも暗部電位の方により近い値であることが、暗部電位領域へのカブリトナーの付着を防止するうえで好ましい。本実施形態では、暗部電位−700Vに対して、明部電位を−200V、現像バイアスの直流成分を−500Vとしている。また、現像スリーブ30と感光体1の最小間隙(この最小間隙位置は現像部C内にある)は0.2〜1mmであることが好適であるが、本実施形態では0.5mmとしている。
【0151】
また、規制ブレード33で規制されて現像部Cに搬送される現像剤Tの量は、マグネットローラ31の現像磁極Slによる現像部Cでの磁界により形成される現像剤Tの磁気ブラシの現像スリーブ30表面上での高さが、感光体1を取り去った状態で、現像スリーブ30と感光体1間の最小間隙値の1.2〜3倍となるような量であることが好ましい。本実施形態では、現像剤Tの磁気ブラシの高さが700μmとなるように、現像部Cに搬送される現像剤Tの量を調整した。
【0152】
マグネットローラ31の現像磁極Slは、現像部Cと対向する位置に配置されており、現像磁極Slが現像部Cに形成する現像磁界により現像剤Tの磁気ブラシが形成され、この磁気ブラシが感光体1に接触してドット分布静電潜像を現像する。その際、磁性キャリアの穂(ブラシ)に付着しているトナーも、この穂ではなくスリーブ表面に付着しているトナーも、静電潜像の露光部に転移してこれを現像する。
【0153】
現像磁極Slによる現像磁界の現像スリーブ30表面上での強さ(現像スリーブ30表面に垂直な方向の磁束密度)は、そのピーク値が5×10−2(T)〜2×10−1(T)であることが好適である。また、マグネットローラ31には、上記現像磁極Slの他に、Nl、N2、N3、S2極を有している。
【0154】
ここで、感光体1表面の静電潜像を、現像装置4を用いて2成分磁気ブラシ法により顕像化する現像工程と現像剤Tの循環系について説明する。
【0155】
現像スリーブ30の回転によりN2極で汲み上げられた現像剤TはS2極からNl極と搬送され、その途中で規制ブレード33で層厚が規制され、現像剤薄層を形成する。
【0156】
そして、現像磁極Slの磁界中で穂立ちした現像剤Tが感光体1上の静電潜像を現像する。その後、N3極、N2極間の反発磁界により現像スリーブ30上の現像剤Tは現像室Rl内へ落下する。現像室Rl内に落下した現像剤Tは、搬送スクリュー37により攪拌搬送される。
【0157】
本発明において、中間転写体及び転写手段としては、一般的な材料を用いることが可能である。転写体5(図4参照)は、表面に例えばポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる転写シート5cが張設されており、感光体1に対して当接、離間自在に設置されている。転写体5は矢印方向(時計方向)に回転駆動される。転写体5内には、転写帯電器5a、分離帯電器5b等が設置されている。
【0158】
次に、上記した画像形成装置の画像形成動作について説明する。
感光体1は、中心支軸を中心に所定の周速度(プロセススピード)で矢印a方向(反時計方向)に回転駆動され、その回転過程において一次帯電器2により、本実施の形態では負極性の一様な帯電処理を受ける。
【0159】
そして、感光体1の一様帯電面に対して露光装置(レーザ走査装置)3から出力される、画像読み取り部Bからプリンタ部A側に出力される画像信号に対応して変調されたレーザ光による走査露光Lによって、感光体1上に画像読み取り部Bにより光電読み取りされた原稿Gの画像情報に対応した各色の静電潜像が順次形成される。感光体1上に形成された静電潜像は現像装置4により、上述した2成分磁気ブラシ法によって、先ず現像器41aにより反転現像されて第1色目のトナー像として可視像化される。
【0160】
一方、感光体1上への上記トナー像の形成に同期して、給紙カセット10内に収納された紙などの記録部材Pが給紙ローラ11又は12により1枚ずつ給送され、レジストローラ13により所定のタイミングで転写体5に給紙され、吸着ローラ14によって記録部材Pが転写体5上に静電吸着される。転写体5上に静電吸着された記録部材Pは、転写体5の矢印方向(時計方向)の回転によって感光体1と対向した位置に移動し、転写帯電器5aによって記録部材Pの裏側に前記トナーと逆極性の電荷が付与されて、表面側に感光体1上のトナー像が転写される。
【0161】
この転写後、感光体1上に残留している転写残トナーはクリーニング装置6によって除去され、次のトナー像の形成に供される。
【0162】
以下、同様にして感光体1上の静電潜像が現像されて、感光体1上に形成された各色のトナー像が転写帯電器5aにより転写体5上の記録部材Pに重ねて転写され、フルカラー画像が形成される。
【0163】
そして、記録部材Pを分離帯電器5bによって転写体5上から分離し、分離された記録部材Pは搬送ベルト8を通して定着装置9に搬送される。定着装置9に搬送された記録部材Pは、定着ローラ50と弾性ベルト52間で加熱、加圧されて表面にフルカラー画像が定着された後、排紙ローラ15によりトレイ16上に排紙される。
【0164】
また、感光体1表面は、クリーニング装置6によって転写残トナーが除去され、更に感光体1表面は、前露光ランプ7で除電され、次の画像形成に備える。
【0165】
以下、本発明における各物性の測定方法について説明する。
【0166】
(トナーの粘弾性特性(貯蔵弾性率G’120及びG’180)の測定)
トナーを直径25mm、厚さ約2.5mmの円板状の試料に加圧成型する。次に加圧成型された試料をパラレルプレートにセットし、50〜200℃の温度範囲内で徐々に昇温させ、温度分散測定を行う。昇温速度は2℃/minとし,角周波数(ω)は6.28rad/secに固定し、歪率は自動とする。横軸に温度,縦軸に貯蔵弾性率(G’)を取り、各温度(120℃及び180℃)における値を読み取る。測定にあたっては、ARES(レオメトリックス社製)を用いる。
【0167】
(トナー変形量(R200)、(R500)の測定)
トナーは、5〜5.5gのトナーを錠剤成型器により8.0×10Paの圧力で2分間加圧することで、直径25mm、高さ10〜11mmの円柱状試料に成型する。測定装置は、PTFEコートしたSUS製の直径25mmパラレルプレートを装着したARES(粘弾性測定装置、TA INSTRUMENTS社製)を使用する。
【0168】
変形量の測定方法は、PTFEコートした直径25mmのパラレルプレートを使用する。トナーの成型試料をパラレルプレート上に設置し、治具温度を120℃に制御して、試料の温度が120℃に達したことを確認後、試料の高さ(gap)を10.000mmに調整する。Multiple Extension Mode Test の Rate Mode Test を選択し、Rate=−0.5mm/sでトナー成型試料を圧縮し、試料の高さ(gap)と Normal Force の関係を測定する。
【0169】
Normal Force が荷重200g(圧力4.0×10Pa)での試料の高さ(gap)をG200(mm)とすると、下記式からトナー変形量(R200)が算出できる。
【0170】
【数6】
Figure 2005055482
【0171】
同様にして、Normal Force が荷重500g(圧力1.0×10Pa)での試料の高さG500を用いることにより、トナー変形量(R500)を測定することができる。
【0172】
(GPCによるトナー、結着樹脂の分子量の測定)
トナーの樹脂成分、結着樹脂のGPCによる分子量分布は、下記の通り、トナーをTHF溶媒に溶解させて得られたTHF可溶成分を用いて、GPCにより測定する。
【0173】
すなわち、試料をTHF中に入れ、数時間放置した後十分に振とうしTHFと良く混ぜ(試料の合一体がなくなるまで)、更に12時間以上静置する。このときTHF中への放置時間が24時間以上となるようにする。その後、サンプル処理フィルタ(ポアサイズ0.45〜0.5μm、例えば、マイショリディスクH−25−5 東ソー社製、エキクロディスク25CR ゲルマンサイエンスジャパン社製などが利用できる)を通過させたものを、GPCの試料とする。また試料濃度は、樹脂成分が0.5〜5mg/mlとなるように調整する。上記の方法で調製された試料のGPCの測定は、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、試料濃度として0.05〜0.6質量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を約50〜200μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数(リテンションタイム)との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば東ソー社製或いはPressure Chemical Co.製の分子量が6×10、2.1×10、4×10、1.75×10、5.1×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2×10、4.48×10のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
【0174】
カラムとしては、10〜2×10の分子量領域を的確に測定するために、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807の組み合わせや、Waters社製のμ−styragel 500、10、10、10の組み合わせを挙げることができる。
【0175】
(GPCによるワックス分子量の測定)
装置 :GPC−150C(ウォーターズ社)
カラム:GMH−HT30cm、2連(東ソー社製)
温度 :135℃
溶媒 :o−ジクロロベンゼン(0.1質量%アイオノール添加)
流速 :1.0ml/min
試料 :0.15質量%のワックスを0.4ml注入
以上の条件で測定し、ワックスの分子量算出にあたっては単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用する。更に、Mark−Houwink粘度式から導き出される換算式に基づいてポリエチレン換算することでワックスの分子量を算出する。
【0176】
(トナー及びワックスにおける最大吸熱ピークの極大温度の測定)
Figure 2005055482
トナー及びワックスの最大吸熱ピークは、示差走査熱量計(DSC測定装置)DSC2920(TAインスツルメンツジャパン社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
【0177】
測定試料は5〜20mg、好ましくは10mgを精密に秤量する。それをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測定を行う。トナー及びワックスの最大吸熱ピークは、昇温IIの過程で、樹脂Tgの吸熱ピーク以上の領域のベースラインからの高さが一番高いものを、若しくは樹脂Tgの吸熱ピークが別の吸熱ピークと重なり判別し難い場合、その重なるピークの極大ピークから高さが一番高いものを本発明のトナーの最大吸熱ピークとする。
【0178】
(平均円形度の測定)
トナーの円相当径、円形度及びそれらの頻度分布とは、トナー粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明ではフロー式粒子像測定装置「FPIA−1000型」(東亜医用電子社製)を用いて測定を行い、下記式を用いて算出する。
【0179】
【数7】
円相当径 = (粒子投影面積/π)1/2×2
【0180】
【数8】
Figure 2005055482
【0181】
ここで、「粒子投影面積」とは二値化されたトナー粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは該トナー粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さと定義する。
【0182】
本発明における円形度はトナー粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、トナー粒子が完全な球形の場合に1.000を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。
【0183】
具体的な測定方法としては、容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水10mlを用意し、その中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を加えた後、更に測定試料を0.02gを加え、均一に分散させる。分散させる手段としては、超音波分散機「Tetora150型」(日科機バイオス社製)に振動子として5mmφのチタン合金チップを装着したものを用い、5分間分散処理を用い、測定用の分散液とする。その際、該分散液の温度が40℃以上とならない様に適宜冷却する。
【0184】
トナー粒子の形状測定には、前記フロー式粒子像測定装置を用い、測定時のトナー粒子濃度が3000〜1万個/μlとなる様に該分散液濃度を再調整し、トナー粒子を1000個以上計測する。計測後、このデータを用いて、3μm以下のデータをカットして、トナー粒子の平均円形度を求める。
【0185】
(粉体状態における明度Lの測定)
粉体状態のトナーにおけるLは、JIS Z−8722に準拠する分光式色差計「SE−2000」(日本電色工業社製)を用い、光源はC光源2度視野で測定する。測定は付属の取り扱い説明書に沿って行うが、標準板の標準合わせには、オプションの粉体測定用セル内に2mm厚でφ30mmのガラスを介した状態で行うのが良い。より詳しくは、前記分光式色差計の粉体試料用試料台(アタッチメント)上に、試料粉体(トナー)を充填したセルを設置した状態で測定を行う。なお、セルを粉体試料用試料台に設置する以前に、セル内の内容積に対して80%以上粉体試料を充填し、振動台上で1回/秒の振動を30秒間加えた上で測定する。また、本発明において、球形化等の形状処理や外添剤を添加したトナーについて測定する場合には、該形状処理や外添剤混合がなされた状態のトナーを粉体試料として用いる。
【0186】
(キャリア粒径の測定方法)
光学顕微鏡によりランダムに300個以上抽出し、ニレコ社(株)製の画像処理解析装置Luzex3により水平方向フェレ径をもってキャリア粒径として測定するものとする。
【0187】
【実施例】
以下、本発明を製造例及び実施例により具体的に説明するが、これは本発明を何ら限定するものではない。
【0188】
〈ビニル系重合体の製造例〉
Figure 2005055482
四つ口フラスコ内でキシレン200質量部を撹拌しながら四つ口フラスコ内を十分に窒素で置換し、120℃に昇温させた後、上記各成分を約4時間かけて四つ口フラスコ内に滴下した。更にキシレン還流下で重合を完了し、減圧下で溶媒を蒸留除去してビニル系重合体を得た。得られたビニル系重合体のGPCによる分子量測定の結果を表1に示す。
【0189】
〈ハイブリッド樹脂の製造例〉
ビニル系共重合体の材料として、スチレン10質量部、2−エチルヘキシルアクリレート5質量部、フマル酸2質量部、α−メチルスチレンの2量体5質量部にジクミルパーオキサイドを滴下ロートに入れた。また、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン25質量部、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン15質量部、コハク酸9質量部、無水トリメリット酸5質量部、フマル酸24質量部及び酸化ジブチル錫をガラス製4リットルの四つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー、及び窒素導入管を四つ口フラスコに取りつけ、この四つ口フラスコをマントルヒーター内に設置した。次に四つ口フラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、130℃の温度で攪拌しつつ、先の滴下ロートより、ビニル系共重合体の単量体、架橋剤及び重合開始剤を約4時間かけて滴下した。次いで200℃に昇温を行い、約4時間反応させてハイブリッド樹脂を得た。得られたハイブリッド樹脂のGPCによる分子量測定の結果を表1に示す。
【0190】
〈ポリエステル樹脂1の製造例〉
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン25質量部、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン15質量部、テレフタル酸20質量部、無水トリメリット酸5質量部、フマル酸25質量部及び酸化ジブチル錫をガラス製4リットルの四つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー、及び窒素導入管を四つ口フラスコに取りつけ、この四つ口フラスコをマントルヒーター内に設置した。窒素雰囲気下で、210℃で約5時間反応させ、ポリエステル樹脂1を得た。得られたポリエステル樹脂1のGPCによる分子量測定の結果を表1に示す。
【0191】
〈ポリエステル樹脂2の製造例〉
ポリエステル樹脂1の製造例において、モノマー構成を表1に示すように変更し、更に窒素雰囲気下、210℃で4.5時間反応させた以外は、上記製造例と同様の方法によりポリエステル樹脂2を得た。得られたポリエステル樹脂1のGPCによる分子量測定の結果を表1に示す。
【0192】
【表1】
Figure 2005055482
【0193】
〈シアントナーa1及びシアン現像剤a1の製造例〉
ハイブリッド樹脂、ワックスA(表2参照)及び表3に示す他のトナー材料を、表3に示す組成でヘンシェルミキサーにより十分予備混合を行った。得られた混合物を二軸式押出機で溶融混練し、溶融混練物を冷却し、冷却物をハンマーミルを用いて粒径約1〜2mm程度に粗粉砕した。次いで、粗粉砕物をエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。
【0194】
更に、得られた微粉砕物を図1及び図2に示したような処理装置を用い、分級ロータの回転数を7300rpmとして微粒子を除去しながら、分散ロータの回転数を97/s(回転周速を130m/sec)として1回当たり60秒間の表面処理を20分間行った。なお、該表面処理において、原料供給口3より微粉砕物を投入し、60秒間処理し、出弁8を開けて処理品として取り出す操作を一回と数えた。分散ロータ上部には角型のディスクを10個設置し、ガイドリングと分散ロータ角型ディスクとの間隔を30mmとし、分散ロータとライナーとの間隔を5mmとした。またブロワー風量を14m/minとし、ジャケットに通す冷媒の温度及び冷風温度T1を−20℃とした。この状態で20分間運転した結果、分級ロータ後方の温度T2は27℃で安定しており、重量平均粒径7.5μmのシアントナーa1樹脂粒子を得た。
【0195】
上記シアントナーa1樹脂粒子100質量部に対して、針状チタン(テイカ社製 MT−100T)1.5質量部を前記シアントナーa1樹脂粒子と混合してシアントナーa1とした。得られたシアントナーa1の物性を表4に示す。なお、実施例において各トナーの製造に用いられるワックスの種類及びその最大吸熱ピーク温度を、表2に示す。
【0196】
更にシアントナーa1と、シリコーン樹脂で表面被覆した磁性マンガンマグネシウムフェライトキャリア粒子(個数平均粒径50μm)とを、トナー濃度が6質量%になるように混合し、二成分系現像剤であるシアン現像剤a1を得た。
【0197】
〈シアントナーa2〜a15及びシアン現像剤a2〜a15の製造例〉
トナー材料を表3に示すように変更し、また溶融混練の温度並びに表面処理時の分散ローターの回転数及び処理時間を適宜変更して、シアントナーa2〜a15を得た。得られた各トナーa2〜a15の物性を表4に示す。
【0198】
各シアントナーに、シアントナーa1と同様にキャリアを混合して、シアン現像剤a2〜a15を得た。
【0199】
〈シアントナーb1〜b15及びシアン現像剤b1〜b15の製造例〉
シアントナーa1〜a13の製造例において、着色剤の使用量を表3に示すように変更した以外はそれぞれのトナーaの製造例と同様の方法を用いてシアントナーb1〜b15及びシアン現像剤b1〜b15を得た。得られた各シアントナーb1〜b15の物性を表5に示す。
【0200】
〈マゼンタトナーa1及びマゼンタ現像剤a1の製造例〉
シアントナーa1の製造例において、着色剤としてC.I.ピグメントレッド122を1部用いた以外は、上記製造例と同様の方法を用いてマゼンタトナーa1及びマゼンタ現像剤a1を得た。得られたマゼンタトナーa1の物性を表4に示す。
【0201】
〈マゼンタトナーa2及びマゼンタ現像剤a2の製造例〉
シアントナーa11の製造例において、着色剤としてC.I.ピグメントレッド122を1部用いた以外は、上記製造例と同様の方法を用いてマゼンタトナーa2及びマゼンタ現像剤a2を得た。得られたマゼンタトナーa2の物性を表4に示す。
【0202】
〈マゼンタトナーb及びマゼンタ現像剤bの製造例〉
マゼンタトナーa1の製造例において、着色剤の使用量を6部に変更した以外は、上記製造例と同様の方法を用いてマゼンタトナーb及びマゼンタ現像剤bを得た。得られたマゼンタトナーbの物性を表5に示す。
【0203】
〈イエロートナーb及びイエロー現像剤bの製造例〉
シアントナーa1の製造例において、着色剤としてC.I.ピグメントイエロー180を9部用いた以外は、上記製造例と同様の方法を用いてイエロートナーb及びイエロー現像剤bを得た。得られたイエロートナーbの物性を表5に示す。
【0204】
〈ブラックトナーb及びブラック現像剤bの製造例〉
シアントナーa1の製造例において、着色剤としてカーボンブラックを5部用いた以外は、上記製造例と同様の方法を用いてブラックトナーb及びブラック現像剤bを得た。得られたトナーbの物性を表5に示す。
【0205】
【表2】
Figure 2005055482
【0206】
【表3】
Figure 2005055482
【0207】
【表4】
Figure 2005055482
【0208】
【表5】
Figure 2005055482
【0209】
〈実施例1〉
図4及び図6に示す画像形成装置及び現像装置を用いて、普通紙(カラーレーザーコピア用紙TKCLA4;キヤノン製)を用い、プリンターモードでシアントナーa1の画像を出力し、以下の各項目について評価を行った。上記画像形成装置及び現像装置については、発明の実施の形態において既に述べた通りである。
【0210】
(1)定着温度領域の測定
図4中の定着装置9を、定着温度を自由に設定できるようにし、図6の現像器41aにシアン現像剤a1をセットして定着試験を行った。このときの画像面積比率は25%であり、単位面積当たりのトナー載り量は、1.5mg/cmに設定した。定着開始温度とオフセット開始温度の測定は、プロセススピードを150mm/s、定着器の設定温度を140〜220℃迄の温度範囲で5℃おきに温度調節して、各々の温度で定着画像を出力し、得られた定着画像を4.9kPa(50g/cm)の圧力をかけたシルボン紙で摺擦し、摺擦前後の濃度低下率が10%以下となる定着温度を定着開始温度とした。また定着開始温度から更に設定温度を上げて行き、目視で高温オフセットの発生した温度をオフセット開始温度とした。
【0211】
また、現像器41aにシアン現像剤a1、現像器41bにシアン現像剤b1をセットしてプリンターモードで12階調のパッチ画像を形成した。単位面積当たりのトナー載り量は、トナーaとトナーbのトータルで最大1.5mg/cmになるように設定した。
【0212】
(2)転写効率の測定
転写効率測定用の画像として、初期と10,000枚耐久前後に画像面積比率5%のベタ画像を現像、転写し、感光体上の転写前のトナー量(単位面積あたり)と、記録部材上のトナー量(単位面積あたり)をそれぞれ測定し、下式により求めた。なお、耐久試験は上記画像面積比率25%画像で行った。
【0213】
【数9】
転写率(%)= (記録部材上のトナー量)/(感光体上の転写前のトナー量)×100
【0214】
(3)光沢度(グロス)の測定
光沢度(グロス)の測定に関しては、VG−10型光沢度計(日本電色製)を用い、定着温度領域の測定で用いた画像を185℃で定着させたものを試料として、測定を行った。測定としては、まず定電圧装置により電圧を6Vにセットした。次いで投光角度、受光角度をそれぞれ60°に合わせた。0点調整及び標準板を用い、標準設定の後に試料台の上に前記試料画像を置き、更に白色紙を3枚上に重ね測定を行い、標示部に示される数値を%単位で読みとった。この時S,S/10切替SWはSに合わせ、角度、感度切替SWは45−60に合わせた。
【0215】
また、トナーaとトナーbを用いて出力した12階調の画像を測定し、光沢度の最大値と最小値の差を出して、以下の評価基準に従い評価した。
【0216】
a:グロス差が4未満
b:グロス差が4以上7未満
c:グロス差が7以上10未満
d:グロス差が10以上
【0217】
(4)定着時における画像のがさつき性
細線画像(7本/1mm)を定着し、その解像度をルーペを用いて観察し、トナーの飛び散り、解像度が落ちた度合いについて確認して評価した。即ち、判別可能なライン数を下記の基準に従い評価した。この際、判別可能なライン数は、縦方向のライン及び横方向のラインそれぞれ10カ所の平均値とした。なお、定着温度は各トナーの定着開始温度で測定した。
【0218】
A:7本
B:5〜6本
C:3〜4本
D:2本以下
【0219】
本実施例のシアン現像剤a1は、優れた定着性、転写効率を示し、定着時における画像のがさつき感も無かった。現像剤a1のみを用いた評価結果を表6に、現像剤a1と現像剤b1とを組み合わせて用いた評価結果を表7に示す。
【0220】
〈実施例2〉
シアン現像剤a1の代わりにシアン現像剤a2を、シアン現像剤b1の代わりにシアン現像剤b2をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。シアン現像剤a2を用いた場合、定着開始温度が若干高くなったが、何ら問題無かった。本実施例2においても優れた転写効率を示し、定着時における画像のがさつき感も無かった。また、現像剤a2と現像剤b2の組み合わせにおいても同様に問題無かった。現像剤a2のみを用いた評価結果を表6に、現像剤a2と現像剤b2とを組み合わせて用いた評価結果を表7に示す。
【0221】
〈実施例3〉
シアン現像剤a1の代わりにシアン現像剤a3を、シアン現像剤b1の代わりにシアン現像剤b3をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。シアン現像剤a3ではトナーがかなり球形化されていたためか、定着時における画像のがさつき感が若干悪くなったが何ら問題無かった。定着性、転写効率は非常に良かった。また、現像剤a3と現像剤b3の組み合わせにおいても同様に問題無かった。現像剤a3のみを用いた評価結果を表6に、現像剤a3と現像剤b3とを組み合わせて用いた評価結果を表7に示す。
【0222】
〈実施例4〉
シアン現像剤a1の代わりにシアン現像剤a4を、シアン現像剤b1の代わりにシアン現像剤b4をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。シアン現像剤a4ではトナーの球形化度が若干低いためか転写効率が低くなったが何ら問題無かった。シアン現像剤a4は優れた定着性を示し、定着時における画像のがさつき感も無かった。また、現像剤a4と現像剤b4の組み合わせにおいても同様に問題無かった。現像剤a4のみを用いた評価結果を表6に、現像剤a4と現像剤b4とを組み合わせて用いた評価結果を表7に示す。
【0223】
〈実施例5〉
シアン現像剤a1の代わりにシアン現像剤a5を、シアン現像剤b1の代わりにシアン現像剤b5をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。シアン現像剤a5ではDSCの最大吸熱ピークの極大値が小さいため、転写効率が初期に比べ、若干下がったが何ら問題無かった。シアン現像剤a5は優れた定着性を示し、定着時における画像のがさつき感も無かった。また、現像剤a5と現像剤b5の組み合わせにおいても同様に問題無かった。現像剤a5のみを用いた評価結果を表6に、現像剤a5と現像剤b5とを組み合わせて用いた評価結果を表7に示す。
【0224】
〈実施例6〉
シアン現像剤a1の代わりにシアン現像剤a6を、シアン現像剤b1の代わりにシアン現像剤b6をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。シアン現像剤a6ではトナーのDSCの最大吸熱ピークの極大値が大きいため、低温定着性が若干悪くなった。定着時における画像のがさつき感は無かった。転写効率は非常に良好であった。また、現像剤a6と現像剤b6の組み合わせにおいても同様に問題無かった。現像剤a6のみを用いた評価結果を表6に、現像剤a6と現像剤b6とを組み合わせて用いた評価結果を表7に示す。
【0225】
〈実施例7〉
シアン現像剤a1の代わりにシアン現像剤a7を、シアン現像剤b1の代わりにシアン現像剤b7をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。シアン現像剤a7ではトナー変形量R200が比較的大きくなった。そのため、転写効率は初期に比べ、若干下がったが、使用可能レベルであった。また、R500もやや大きくなり、定着時における画像のがさつき感も若干悪くなったが問題無かった。また、現像剤a7と現像剤b7の組み合わせにおいても同様に使用可能レベルであった。現像剤a7のみを用いた評価結果を表6に、現像剤a7と現像剤b7とを組み合わせて用いた評価結果を表7に示す。
【0226】
〈実施例8〉
シアン現像剤a1の代わりにシアン現像剤a8を、シアン現像剤b1の代わりにシアン現像剤b8をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。シアン現像剤a8ではトナーの変形量R200が比較的小さくなった。そのため、定着時にトナーの飛び散りが若干発生し、画像のがさつき性が若干悪くなったが、使用可能レベルであった。また、トナーの粘弾性特性が比較的大きいため、低温定着性が若干悪くなり、定着温度幅が若干狭くなった。また、光沢度が若干低くなったが問題無かった。転写効率は問題無かった。また、現像剤a8と現像剤b8の組み合わせにおいては、画像の光沢度が若干不均一となったが使用可能レベルであった。現像剤a8のみを用いた評価結果を表6に、現像剤a8と現像剤b8とを組み合わせて用いた評価結果を表7に示す。
【0227】
〈実施例9〉
シアン現像剤a1の代わりにシアン現像剤a9を、シアン現像剤b1の代わりにシアン現像剤b9をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。シアン現像剤a9ではトナーの変形量R200が比較的大きくなった。そのため、転写効率は初期に比べ若干下がったが、使用可能レベルであった。また、R500もやや大きくなり、定着時における画像のがさつき感も若干悪くなったが問題無かった。また、トナーの粘弾性特性が比較的小さいため、定着温度幅が狭くなり、巻きつきにるオフセットが発生し易くなった。また、現像剤a9と現像剤b9の組み合わせにおいては、画像の光沢度が若干不均一となったが使用可能レベルであった。現像剤a9のみを用いた評価結果を表6に、現像剤a9と現像剤b9とを組み合わせて用いた評価結果を表7に示す。
【0228】
〈実施例10〉
シアントナーa1及びb1を用いて一成分現像方法の評価を行った。装置はLBP−2040(キヤノン社製)の定着ユニットを取り外し、図3に示すような定着装置を外部につけて、連続して複写できるように改造を施したものを使用した。上記トナー及び装置を用いて実施例1と同様の評価を行った。定着可能温度及び定着時における画像のがさつき感は実施例1と同じであった。転写効率は耐久試験前が91%で4000枚の耐久試験後は91%であり、非常に良好であった。トナーa1とトナーb1の組み合わせでも転写効率は同じ結果で非常に良好であった。
【0229】
〈実施例11〉
本実施例では、図4、図6に示す電子写真装置を用い、以下の(a)、(b)に示す現像器と現像剤の組み合わせによって、記録部材である光沢紙(カラーレーザーコピア光沢厚紙 MS−701)上にオリジナルチャートを用いて画像を形成した。これにより、(a)及び(b)の現像剤の組み合わせの有意差を調べた。
【0230】
(a):現像器41aにシアン現像剤a1、現像器42aにマゼンタ現像剤a1、現像器43a、44aは何も入れないで空けておいた。現像器41bにシアン現像剤b1、42bにマゼンタ現像剤b、現像器43bにイエロー現像剤b、現像器44bブラック現像剤bをセットした。
【0231】
(b):現像器41aにシアン現像剤a11、現像器42aにマゼンタ現像剤a2、現像器43a、44aは何も入れないで空けておいた。現像器41bにシアン現像剤b1、42bにマゼンタ現像剤b、現像器43bにイエロー現像剤b、現像器44bブラック現像剤bをセットした。
【0232】
その結果、(a)は低濃度部から高濃度部までの全域に渡り、濃度の変化が滑らかで、粒状性及びがさつきが抑制され、光沢にムラの無い写真のような画像を出力することができた。一方、(b)は、定着温度幅が狭くなった。また、低濃度部から高濃度部までの濃度の変化が滑らかではあるが、低濃度部のがさつき感が目に付いた。また、光沢も均一ではなく、違和感のある画像になった。
【0233】
〈比較例1〉
シアン現像剤a1の代わりにシアン現像剤a10を、シアン現像剤b1の代わりにシアン現像剤b10をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。なお、光沢度の評価の際、本比較例では185℃で定着できなかったため、175℃で定着させたものを用いて評価した。シアン現像剤a10ではトナー変形量R200が大きいため、転写効率が下がる傾向にあった。また、R500も大きくなり、定着時における画像のがさつき感も悪くなった。また、定着温度幅も狭くなった。また、現像剤a10と現像剤b10の組み合わせにおいても評価結果は同様に悪くなった。現像剤a10のみを用いた評価結果を表6に、現像剤a10と現像剤b10とを組み合わせて用いた評価結果を表7に示す。
【0234】
〈比較例2〉
シアン現像剤a1の代わりにシアン現像剤a11を、シアン現像剤b1の代わりにシアン現像剤b11をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。なお、光沢度の評価の際、本比較例では185℃で定着できなかったため、195℃で定着させたものを用いて評価した。シアン現像剤11ではトナーの変形量R200が小さいため、定着時における画像のがさつき感も悪くなった。とくに現像剤a11と現像剤b11を組み合わせて用いたものは画像の光沢性が不均一であった。更に低温定着性が悪くなり、定着温度幅も狭くなった。また、転写効率は初期から低い値となった。現像剤a11のみを用いた評価結果を表6に、現像剤a11と現像剤b11とを組み合わせて用いた評価結果を表7に示す。
【0235】
〈比較例3〉
シアン現像剤a1の代わりにシアン現像剤a12を、シアン現像剤b1の代わりにシアン現像剤b12をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。なお、光沢度の評価の際、本比較例では185℃で定着できなかったため、195℃で定着させたものを用いて評価した。シアン現像剤12ではトナーの変形量R200が小さいため、定着時における画像のがさつき感も悪くなった。現像剤a12と現像剤b12とを組み合わせて用いたものは特にがさつき感が目立った。また、R500も小さくなり、現像剤a12と現像剤b12の組み合わせで用いたものは画像の光沢性が不均一であった。また、L(a)−L(b)が40より大きいため、低濃度部から高濃度部への濃度変化を滑らかに再現できなかった。更に低温定着性が悪くなり、定着温度幅も狭くなった。また、転写効率は初期から低い値となった。現像剤a12のみを用いた評価結果を表6に、現像剤a12と現像剤b12とを組み合わせて用いた評価結果を表7に示す。
【0236】
〈比較例4〉
シアン現像剤a1の代わりにシアン現像剤a13を、シアン現像剤b1の代わりにシアン現像剤b13をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。なお、光沢度の評価の際、本比較例では185℃で定着できなかったため、165℃で定着させたものを用いて評価した。シアン現像剤a13ではトナー変形量R200が大きいため、転写効率が下がる傾向にあった。また、R500も大きくなり、定着時における画像のがさつき感も悪くなった。また、定着温度幅も狭くなった。更に、現像剤a13と現像剤b13の組み合わせで用いると、L(a)−L(b)が10より小さいため、低濃度から高濃度までの色再現空間が広がりにくかった。現像剤a13のみを用いた評価結果を表6に、現像剤a13と現像剤b13とを組み合わせて用いた評価結果を表7に示す。
【0237】
〈比較例5〉
シアン現像剤a1の代わりにシアン現像剤a14を、シアン現像剤b1の代わりにシアン現像剤b14をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。なお、光沢度の評価の際、本比較例では185℃で定着できなかったため、195℃で定着させたものを用いて評価した。シアン現像剤a14ではトナーの変形量R200が小さいため、定着時における画像のがさつき感が非常に悪くなった。また、トナーの粘弾性特性が大きいため、低温定着性が悪くなり、定着温度幅が著しく狭くなった。更に、現像剤a14と現像剤b14の組み合わせで用いても、光沢度の差はあまり大きくなかったが、画像の光沢性もほとんど無く、画質の品位は非常に悪かった。また、L(a)−L(b)が40より大きいため、低濃度部から高濃度部への濃度変化を滑らかに再現できなかった。現像剤a14のみを用いた評価結果を表6に、現像剤a14と現像剤b14とを組み合わせて用いた評価結果を表7に示す。
【0238】
〈比較例6〉
シアン現像剤a1の代わりにシアン現像剤a15を、シアン現像剤b1の代わりにシアン現像剤b15をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。シアン現像剤15ではトナーの粘弾性特性が小さ過ぎて、すぐに巻きつきが発生し、定着点が無かった。そのため、定着時における画像のがさつき感や光沢度の測定は不可能であった。また、転写効率も下がる傾向にあった。現像剤a15と現像剤b15の組み合わせでも評価結果は同様に悪くなった。現像剤a15のみを用いた評価結果を表6に、現像剤a15と現像剤b15とを組み合わせて用いた評価結果を表7に示す。
【0239】
【表6】
Figure 2005055482
【0240】
【表7】
Figure 2005055482
【0241】
【発明の効果】
本発明によれば、低濃度領域から高濃度領域まで、粒状感、ガサつきを低減できるトナー及び画像形成方法を提供することができる。また、記録部材上に多量のトナーを載せても幅広い定着温度幅を有し、連続複写後も優れた画像を保ち、耐オフセット性に優れたトナー及び画像形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で好ましく用いられる表面改質装置の一例の模式的断面図
【図2】本発明で好ましく用いられる表面改質装置の一例の模式的平面図
【図3】本発明の画像形成方法に好ましく用いられる定着装置の一例を示す概略構成図
【図4】本発明の画像形成方法を好適に実現できる画像形成装置の一例を示す模式的断面図
【図5】図4の露光装置3の概略構成図
【図6】図6の現像装置の概略構成図
【図7】本発明で好ましく用いられる2成分現像器の一例を示す模式的断面図
【符号の説明】
1 感光体
2 一次帯電器
3 露光装置
4、4a、4b 現像装置
5 転写体
6 クリーニング装置
7 前露光ランプ
8 搬送ベルト
9 定着装置
10 給紙カセット
11、12 給紙ローラ
13 レジストローラ
14 吸着ローラ
15 排紙ローラ
21 原稿読みとりユニット
41a、41b、42a、42b、43a、43b、44a、44b 現像器
50 定着ローラ
51 ハロゲンランプ
52 ベルト
53〜55 支持ローラ
A プリンタ部
B 画像読み取り部
P 記録部材

Claims (8)

  1. 少なくとも結着樹脂、着色剤、及びワックスを含有するトナーであって、
    粉体状態における明度Lが45〜75であり、
    粘弾性特性において、温度120℃における貯蔵弾性率(G’120)が5×10〜1×10[Pa]であり、且つ温度180℃における貯蔵弾性率(G’180)が10〜5×10[Pa]であり、
    前記トナーをペレット状に加圧成型した試料に、温度120℃において4.0×10Paの圧力を加えた際の変形量(R200)が45〜65%であり、且つ該試料に温度120℃において1.0×10Paの圧力を加えた際の変形量(R500)が65〜85%であることを特徴とするトナー。
  2. 前記トナーの示差熱分析(DSC)測定により得られる吸熱曲線において、温度30〜200℃の範囲に1個又は複数の吸熱ピークが存在し、該吸熱ピーク中の最大吸熱ピークの極大値が65〜105℃の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 前記ワックスが少なくとも脂肪族炭化水素系ワックスを含有することを特徴とする請求項1又は2記載のトナー。
  4. 前記トナーの円相当径3μm以上の粒子において、平均円形度Aが0.940〜0.970であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のトナー。
  5. 少なくとも結着樹脂、着色剤、及びワックスを含有し、粉体状態における明度L(a)が45〜75であるトナーaと、
    少なくとも結着樹脂、着色剤、及びワックスを含有し、粉体状態において前記トナーaの明度L(a)より低い明度L(b)を有するトナーbとを有し、
    前記トナーaの粘弾性特性において、温度120℃における貯蔵弾性率(G’120)が5×10〜1×10[Pa]であり、且つ温度180℃における貯蔵弾性率(G’180)が10〜5×10[Pa]であり、
    前記トナーaをペレット状に加圧成型した試料に、温度120℃において4.0×10Paの圧力を加えた際の変形量(R200)が45〜65%であり、且つ該試料に温度120℃において1.0×10Paの圧力を加えた際の変形量(R500)が65〜85%であり、
    前記トナーaの明度L(a)と前記トナーbの明度L(b)とが、下記式(1)の関係を満足することを特徴とするトナー。
    Figure 2005055482
  6. 前記トナーbは、粘弾性特性において、温度120℃における貯蔵弾性率(G’120)が5×10〜1×10[Pa]であり、且つ温度180℃における貯蔵弾性率(G’180)が10〜5×10[Pa]であり、
    前記トナーbをペレット状に加圧成型した試料に、温度120℃において4.0×10Paの圧力を加えた際の変形量(R200)が45〜65%であり、且つ該試料に温度120℃において1.0×10Paの圧力を加えた際の変形量(R500)が65〜85%であることを特徴とする請求項5記載のトナー。
  7. 記録部材上に形成された、トナーからなるトナー像を定着手段により加熱加圧定着して該記録部材上に画像を形成する画像形成方法であって、
    前記定着手段は、回転可能な定着ローラと、該定着ローラに押圧されて当接し、前記定着ローラの回転に伴ってニップ部を形成しながら回転する定着ベルトと、前記ニップ部を加熱する加熱手段とを有し、前記定着ローラ及び定着ベルトの回転によって前記記録部材を前記ニップ部で狭持搬送することにより、前記記録部材上にトナー像を定着するものであり、
    前記定着ローラの回転方向における前記ニップ部の幅が10mm以上であり、
    前記トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤、及びワックスを含有し、
    トナーの粉体状態における明度Lが45〜75であり、
    トナーの粘弾性特性において、温度120℃における貯蔵弾性率(G’120)が5×10〜1×10[Pa]であり、且つ温度180℃における貯蔵弾性率(G’180)が10〜5×10[Pa]であり、
    トナーをペレット状に加圧成型した試料に、温度120℃において4.0×10Paの圧力を加えた際の変形量(R200)が45〜65%であり、且つ該試料に温度120℃において1.0×10Paの圧力を加えた際の変形量(R500)が65〜85%であることを特徴とする画像形成方法。
  8. 記録部材上に形成された、トナーからなるトナー像を定着手段により加熱加圧定着して該記録部材上に画像を形成する画像形成方法であって、
    前記定着手段は、回転可能な定着ローラと、該定着ローラに押圧されて当接し、前記定着ローラの回転に伴ってニップ部を形成しながら回転する定着ベルトと、前記ニップ部を加熱する加熱手段とを有し、前記定着ローラ及び定着ベルトの回転によって前記記録部材を前記ニップ部で狭持搬送することにより、前記記録部材上にトナー像を定着するものであり、
    前記定着ローラの回転方向における前記ニップ部の幅が10mm以上であり、
    前記トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤、及びワックスを含有し、粉体状態における明度L(a)が45〜75であるトナーaと、少なくとも結着樹脂、着色剤、及びワックスを含有し、粉体状態において前記トナーaの明度L(a)より低い明度L(b)を有するトナーbとを有し、
    前記トナーaの粘弾性特性において、温度120℃における貯蔵弾性率(G’120)が5×10〜1×10[Pa]であり、且つ温度180℃における貯蔵弾性率(G’180)が10〜5×10[Pa]であり、
    前記トナーaをペレット状に加圧成型した試料に、温度120℃において4.0×10Paの圧力を加えた際の変形量(R200)が45〜65%であり、且つ該試料に温度120℃において1.0×10Paの圧力を加えた際の変形量(R500)が65〜85%であり、
    前記トナーaの明度L(a)と前記トナーbの明度L(b)とが、下記式(1)の関係を満足することを特徴とする画像形成方法。
    Figure 2005055482
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