JP5355045B2 - 定着方法 - Google Patents

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本発明は電子写真法を用いる定着方法に関する。
複数色の有色トナーを被転写体上に転写、定着させて多色画像を形成するカラーコピーでは、更なる高画質化追求の為、例えば特許文献1乃至5のような透明トナーあるいは白色トナーを使用する多色画像形成方法が記載されている。これらの方法は画像の光沢度を均一にして高画質画像を形成することができる。しかし写真画像のように多量のトナーを使用し、さらに他色のトナーを使用するといった画像形成においては定着性に大きな負荷を掛けることになる。例えば特許文献1乃至5では定着起因の色ずれやオフセットが発生しやすくなり、特に表面が平滑な光沢紙を連続で出力した時には静電的なオフセットが顕著に表れた。
一方、各色トナーの特性値から現像の順番を決める例が開示されている(例えば特許文献6)。この方法により転写時における色ずれ、飛び散りに関しては効果を発揮したが、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外の他色トナーを用いた場合の定着起因の色ずれや静電オフセット性には新たなアプローチによって改善する必要があった。
特開平7−5738号公報 特開平5−232841号公報 特開2002−236396号公報 特開2005−274614号公報 特開2004−309721号公報 特開2004−240194号公報
本発明は、上記の従来技術の問題点を解決し得る画像形成方法を提供することを課題とする。
即ち本発明は、少なくとも着色剤を含有する有色トナーと無色トナーを使用し、光沢紙を連続で出力させることを要求される複写機又はプリンターにおいて、画像上の色のくすみや静電的な色ずれ、静電オフセットを防ぐ定着方法を提供することを目的とする。
また本発明は定着時の紙のカールや飛び散りを抑えた定着方法を提供する。
本発明の目的は、以下により達成される。すなわち、
(1)記録材上に形成されたトナー像を定着手段により加熱加圧定着して該記録材上に画像を形成する定着方法であって、
前記トナー像は、少なくとも着色剤、結着樹脂及び離型剤とを含有する有色トナーと、少なくとも結着樹脂及び離型剤とを含有する無色トナーにより形成され、
前記無色トナーにより形成される無色トナー像は、前記トナー像の最表層に形成され、
前記有色トナー、及び無色トナーは、示差走査熱量計(DSC)によって測定される吸熱曲線において、温度30乃至200℃の範囲に1個又は複数の吸熱ピークを有し、該吸熱ピーク中の最大吸熱ピークのピーク温度が50℃乃至90℃であり、
無色トナー成型物の彩度(C*)及び明度(L*)が、
0.0≦(C*)≦15.0
88.0≦(L*)≦100.0
であり、
前記有色トナー及び前記無色トナーの仕事関数の値が5.00eV乃至6.00eVの範囲であり、
前記無色トナーの仕事関数(Wc)は、各有色トナーの仕事関数の平均値を(Wa)とした時、
|Wc−Wa|≦0.15(eV)
であり、加熱加圧定着部材表面の仕事関数(Wr)と無色トナーの仕事関数(Wc)が、
0.00<Wr−Wc<0.70(eV)
であることを特徴とする定着方法に関する。
(2)前記無色トナーの仕事関数(Wc)が5.40eV乃至5.80eVであることを特徴とする定着方法に関する。
(3)前記加熱加圧定着部材表面の仕事関数(Wr)が5.50eV乃至6.10eVであることを特徴とする定着方法に関する。
(4)前記離型剤は、炭化水素系ワックスを含有していることを特徴とする定着方法に関する。
(5)前記離型剤は、少なくともスチレン系モノマーで処理した炭化水素系ワックスを含有しており、前記離型剤の仕事関数(Ww)が5.40eV乃至5.80eVであることを特徴とする定着方法に関する。
(6)前記記録部材上に形成されたトナー像の最表層が無色トナーであり、次の層は無色トナーの仕事関数に最も近い有色トナーであることを特徴とする定着方法に関する。
(7)前記記録部材上に形成されたトナー像の最表層が無色トナーであり、次の層以降は、無色トナーの仕事関数に近い順に有色トナー像が形成されることを特徴とする定着方法に関する。
(8)前記無色トナーのゆるみ見掛け密度(Dc)、前記有色トナーのゆるみ見掛け密度の
平均値(Da)が、
0.010≦Dc−Da≦0.080(g/cc)
であることを特徴とする定着方法に関する。
本発明の定着方法では、表面が平滑な光沢紙を連続通紙しても静電的なオフセット、色ずれ、トナーの飛び散りを防ぐことが可能である。
また本発明の定着方法では画像の最表層に無色トナー層を形成しても、色のくすみのない画像を出力できる。
さらに本発明の定着方法では、定着ローラのクリーニング性に優れ、再生紙を使用してもカールを抑えた画像を出力できる。
一般的にフルカラー用電子写真システムでは、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色トナー(以下この4色を総称して有色トナーとする)を用いて画像を形成させている。近年電子写真でも銀塩写真のような画像の均一光沢性が望まれるようになり、記録材上の非画像部あるいは画像全面に無色(透明)トナー層を形成して、定着によりトナー層を均一に溶融させるといった手法が行われている。本発明者らも、銀塩写真のような画像の均一光沢性を達成させる為、有色トナー像の表層に無色トナー像を形成することを試みた。その中で様々な解決すべき課題が見つかった。
1つめの課題は、有色トナー上に無色トナーをオーバーコートする場合、無色トナー自身にくすみがあり、定着後に充分にトナーが溶融されないと画像にくすみが生じる。
本発明で使用する無色トナーの成型物の彩度(C*)は0.0≦(C*)≦15.0、明度(L*)は88.0≦(L*)≦100.0である。また示差走査熱量計(DSC)によって測定される吸熱曲線において、温度30乃至200℃の範囲に1個又は複数の吸熱ピークを有し、該吸熱ピーク中の最大吸熱ピークのピーク温度が50℃乃至90℃である。彩度(C*)≧15.0、明度(L*)≦88.0、あるいはDSCによって測定される最大吸熱ピークのピーク温度が90℃よりも高い場合、無色トナーをオーバーコートすることによって画像にくすみが生じ、画像の品位が下がることが本発明者らの鋭意検討の結果わかった。
無色トナーの彩度(C*)≧15.0では定着画像の色味が変化し、明度(L*)≦88.0では全体的に画像の色味が低下する。無色トナーの成型物の彩度(C*)を0.0≦(C*)≦15.0、明度(L*)を88.0≦(L*)≦100.0を満足させるには無色トナー製造時のコンタミに十分注意し、離型剤、荷電制御剤、その他添加剤は無色あるいは白色のものを選択することで達成できる。
またDSCによって測定される最大吸熱ピークのピーク温度が90℃よりも高い場合には、無色トナーが定着によって充分に溶融できず、全体的に画像の色味が低下する。ピーク温度が50℃よりも低い場合、定着不良のよる画像の乱れが発生するだけでなく、保存性が悪化するので製品としては使用できない。
本発明ではDSCによって測定される最大吸熱ピークのピーク温度を50℃乃至90℃に収めるには離型剤の選択が重要であり、DSCによって測定される最大吸熱ピークのピーク温度が50℃乃至90℃の離型剤を選択することによって達成できる。なお、本発明で好ましく使用される離型剤については後述する。
2つめの課題は、フルカラーの如き多層でトナーを載せた画像を、加熱加圧定着装置で定着させることで発生する画像の色ずれを改善させることであった。そこで本発明者らは鋭意検討したところ、この色ずれは定着ローラの物理的な圧力のみによって発生しているのではなく、他色のトナー層間で発生する静電的な影響を受けていることを発見した。
本発明者らは、有色トナー及び無色トナーの仕事関数の値が5.00eV乃至6.00eVの範囲であること。更に無色トナーの仕事関数を(Wc)、各有色トナーの仕事関数の平均値を(Wa)とした時、|Wc−Wa|≦0.15(eV)を達成することで静電的な色ずれを防ぐことができることを見出した。
ここで、仕事関数とは、物質から電子を取り出すためのエネルギー示しており、仕事関数が小さい程電子を出しやすく、大きい程電子を出しにくい。つまり仕事関数が小さいほど正に帯電し易く、仕事関数が大きいほど負に帯電し易くなる。そして接触する物質間の仕事関数の違いによって物質に摩擦帯電が生じ、接触する物質間の仕事関数の差が大きい程摩擦帯電が生じ易くなる。静電的な色ずれは他色トナー間の接触摩擦によって生じる微小な摩擦帯電によって発生していることを本発明者らは見出した。
そこで本発明者らは無色トナーの仕事関数に着目して制御する方法を試みた。本発明の定着方法では、無色トナーは画像の最表層や有色トナーが形成されていない非画像部に形成される。このとき無色トナー他色トナーと接する頻度が最も高い状態となる。無色トナーの仕事関数を各有色トナーの平均に近づけ、有色トナー/無色トナー間の接触による摩擦帯電を極力減らすことで静電的な色ずれを防止する手法を確立するに至った。
各有色トナー及び無色トナーの仕事関数の値が6.00eVより大きいか、5.00eVよりも小さい場合、大きな色ずれが発生し、画像の品位が低下する。
本発明の各有色トナー及び無色トナーの仕事関数は5.00eV乃至6.00eVの範囲であるが、より好ましくは5.40eV乃至5.80eVの範囲である。これは各色ごとの仕事関数の差を小さくすることが望ましいことを示しており、定着の圧力によって発生する画像中の微小な帯電ムラを抑制できる為、画像のカールも防ぐことができる。
また、|Wc−Wa|>0.15、つまり有色トナーの仕事関数の平均値と無色トナーとの差が大きい場合も上記のような理由で静電的な色ずれが発生する。
トナーの仕事関数値を制御する方法としては様々な方法がある。例えば仕事関数の小さな微粒子(αアルミナ粒子、シリカ粒子など)を添加することで仕事関数は小さくなり、仕事関数の大きな粒子(フッ素樹脂、フッ素系微粒子など)を添加することで仕事関数は大きくなる。またトナー製造条件によっても仕事関数を制御することができる。これについて詳細は定かではないが、原材料の分散性により、トナー中の結着樹脂の影響を強く受けたり、離型剤や添加剤の影響を強く受けたりする。なお製造条件の一例として、粉砕法による製法の中で最も影響の受けやすい混練工程と、混練物の冷却工程については後述する。
3つめの課題は、光沢紙の如き表面が平滑な転写材(記録材)を連続で出力する場合の静電的なオフセット対策であった。ここでは定着ローラの仕事関数に着目し、画像の最表層の無色トナーと定着ロ−ラの仕事関数の関係を解析、制御することで解決するに至った。
本発明の加熱加圧定着部材表面の仕事関数(Wr)と無色トナーの仕事関数(Wc)の関係は、0.00<Wr−Wc<0.70(eV)であるが、より好ましい範囲は0.00<Wr−Wc<0.50である。本発明では最表層は無色トナーであるため、無色トナーと定着ローラとの関係を制御するだけで効果が得られる。Wr−Wc≧0.70ではトナーが定着ローラに静電的に付着し易くなり、オフセットが発生する。またWr−Wc≦0.00の時は静電反発が発生しやすくなり、飛び散りが発生する。
本発明の定着ローラの好ましい範囲は5.50eV乃至6.10eVである。この範囲内である時定着ローラのクリーニング性が向上するため、オフセットの発生を防ぐ上で効果が高くなる。上記範囲内のときにクリーニング性が向上する理由は定かではないが、おそらく各有色トナーや無色トナーと定着ローラとの仕事関数の差を小さくすることで、静電的な付着力を弱め、オフセットトナーを定着ローラから剥がれ易くさせているものと考える。
定着ローラの仕事関数の値を調整する方法は複数あり特に限定はされないが、例えば表層の離型層に仕事関数の大きい材質(例えばフッ素系樹脂)を選択することで定着ローラの仕事関数を大きく出来る。また定着ローラの仕事関数を小さくするには仕事関数の小さい材質(例えばシリコン系樹脂)を使用すればよい。またトナーの時と同様に表層に添加剤を添加することでも調整が可能である。
画像上に形成するトナー層において、好ましいトナー層の形成方法については、本発明では画像の最表層に無色トナーが形成されるが、そのすぐ下の層には無色トナーと最も仕事関数の値が近い色を選択することで画像の飛び散りを防ぐことができる。最表層に近いほどトナー層は定着時の圧力によってずれが生じ易くなる。このときの微小な摩擦帯電を防ぐには無色トナーと次の層以降の有色トナーとの仕事関数の差を小さくすると良い。従って本発明では最表層の無色トナーに対して仕事関数の差が小さい有色トナーがより上層に来ることで画像の飛び散りを低減することができる。
また、本発明では無色トナーのゆるみ見掛け密度(Dc)、前記有色トナーのゆるみ見掛け密度の平均値(Da)が、0.010≦Dc−Da≦0.080(g/cc)であることが好ましい。本発明の定着方法では、無色トナーは画像の最表層だけでなく、有色トナーが形成されていない非画像部に形成される。つまり無色トナーが周りの有色トナー層を囲む形になる。このとき無色トナーのゆるみ見掛け密度を高くすることで無色トナーの締まりを向上させると、定着時の圧力による色ずれも改善することができ、色ずれに対して非常に効果の高い定着方法を確立することができる。0.010>Dc−Daの場合は色ずれが若干悪くなる傾向にあり、Dc−Da>0.080では有色トナー層に熱や圧力のムラが生じ、色ずれや色のくすみが若干発生しやすくなる。
次に本発明で使用される離型剤について説明する。
本発明で使用される離型剤は、DSCによって測定される最大吸熱ピークのピーク温度が50℃乃至90℃のものを使用できるが、好ましいのは炭化水素系ワックスである。一例としては天然パラフィンワックス、合成パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、また、フィッシャー・トロプシュワックスなど公知のものが使用できる。
その中でも本発明に於いて最も好ましいのは、仕事関数(Ww)が5.40eV乃至5.80eVであるスチレン系モノマーで処理された炭化水素ワックスを使用することである。なおスチレン系モノマーで処理された炭化水素ワックスは、スチレン系モノマーが炭化水素系ワックスの水素の1つあるいは複数が置換され、結合している化合物であり、ワックスにスチレン系モノマー、あるいはスチレン系コポリマーを有しているものを示す。
本発明では離型剤を上記範囲のものを使用することで、特に静電的なオフセット抑制に効果があることがわかった。その理由に対する詳細として本発明者らは、以下のように考えている。トナー中の離型剤は、加熱加圧定着工程により画像の最表層と加熱加圧定着部材との間に染み出ることで離型性を発揮する。そして定着ローラ通過時は無色トナーと離型剤が画像の最表層になる為、離型剤の仕事関数は無色トナーに近い値であることが静電的なオフセットの抑制に対してより好ましく効果を発揮するためである。
離型剤の仕事関数は離型剤そのものの性質によるため、本発明の範囲内であるものを選択して使用すればよい。また炭化水素ワックスをスチレン系モノマーで処理する場合、処理することによって未処理の離型剤の仕事関数値よりも若干ではあるが上昇する傾向であった。この上昇値は、スチレン系モノマーの離型剤に対する比率を多くすることで調整できるが、スチレン系モノマー量が多過ぎる場合、定着性を悪化させることが懸念される。
なお本発明では離型剤100質量部に対して好ましいスチレン系モノマーの使用量は2質量部以上70質量部以下の範囲である。
本発明では、スチレン系モノマーで処理された炭化水素系ワックスの一種又は二種以上を用いることができ、またスチレン系モノマーで処理された炭化水素系ワックスと他の種類のワックスとを併用しても良い。さらにスチレン系モノマーとビニル系モノマーで処理された炭化水素系ワックスも好ましく使用できる。
スチレン系モノマーで処理された炭化水素系ワックスは、通常の方法及び、条件に従って炭化水素ワックスを処理することにより作製することができる。具体的には例えば、放射線を利用する方法、ラジカル触媒を用いる方法等を利用することができるが、ラジカル触媒を用いる方法が好ましい。
前記スチレン系モノマーとしてはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、イソプロペニルトルエン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、m−メチルスチレン等が挙げられる。
またビニル系モノマーを使用する場合、不飽和カルボン酸系モノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−sec−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−2−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸イソヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸−2−クロロフェニル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸−3−メトキシブチル、アクリル酸ジエチレングリコールエトキシレート、アクリル酸−2,2,2−トリフルオロエチル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−sec−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−2−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸−2−クロロヘキシル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸−2−ヘキシルエチル、メタクリル酸−2,2,2−トリフルオロエチル等のメタクリル酸エステル類、その他に、マレイン酸エチル、マレイン酸プロピル、マレイン酸ブチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル類、フマル酸エチル、フマル酸ブチル、フマル酸ジブチル等のフマル酸エステル類、イタコン酸エチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ブチル等のイタコン酸エステル類等が挙げられる。
ラジカル触媒としては、有機ペルオキシド、有機ペルエステル、例えばベンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシドベンゾエート)ヘキシン−3、1,4−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルペルアセテート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、tert−ブチルペルベンゾエート、tert−ブチルペルフェニルアセテート、tert−ブチルペルイソブチレート、tert−ブチルペル−sec−オクトエート、tert−ブチルペルピバレート、クミルペルピバレートおよびtert−ブチルペルジエチルアセテート;その他アゾ化合物、例えばアゾビスイソブチルニトリル、ジメチルアゾイソブチレートなどがある。これらの中ではジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,4−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンなどのジアルキルペルオキシドが好ましい。
本発明のトナーに含有される結着樹脂は、トナーに用いられる一般的なものが使用できる。例えばスチレン−(メタ)アクリル共重合体に代表されるビニル系共重合体、ポリエステル樹脂、ビニル系共重合体ユニットとポリエステルユニットが化学的に結合されたハイブリッド樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体等である。
本発明のトナーに含有される結着樹脂として、ポリエステル樹脂やポリエステルユニットを有するハイブリッド樹脂を用いる場合は以下のようになる。ポリエステル樹脂や、ハイブリッド樹脂のポリエステルユニットを生成するためのポリエステル系モノマーとして、多価のアルコールと多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、または多価カルボン酸エステル等が原料モノマーとして使用できる。具体的には、例えば2価アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物や、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
3価以上のアルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
2価カルボン酸成分としては、例えばフタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸類またはその無水物等がある。また、コハク酸、ドデセニルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸およびアゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類またはその無水物等もある。さらには炭素数6乃至12のアルキル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸およびシトラコン酸などの不飽和ジカルボン酸類またはその無水物が挙げられる。
また、3価以上のカルボン酸成分としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(別名トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸および、これらの無水物やエステル化合物が挙げられる。
なお、上記の中でも、特に、下記一般式(1)で代表されるビスフェノール誘導体をジオール成分とし、2価以上のカルボン酸またはその酸無水物、またはその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)を酸成分として、これらを縮重合したポリエステル樹脂が特に好ましい。この組成としたポリエステル樹脂は、良好な帯電特性を有する。
Figure 0005355045
本発明のトナーに含有される結着樹脂として、ビニル系共重合体やビニル系共重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂を用いる場合、ビニル系共重合体やハイブリッド樹脂のビニル系共重合体ユニットを生成するためのビニル系モノマーとして、次のようなものを用いることができる。スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンなどのスチレンおよびその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのスチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンなどの不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなどのビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどのα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体等が挙げられる。
さらに、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸などの不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物などの不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルなどの不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸などの不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸などのα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物などのα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物およびこれらのモノエステルなどのカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
本発明のトナーに含有させる結着樹脂として、ビニル系共重合体やビニル系共重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂を用いる場合には、これらの樹脂はビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋されたものであってもよい。この場合に用いられる架橋剤としては、以下のものが挙げられる。芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートおよび以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレートおよび以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;芳香族基およびエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレートおよび以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。その他、多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレートおよび以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
ビニル系共重合体やビニル系共重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂を製造する場合に用いられるラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチル−プロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドの如きケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレートがあげられる。
本発明の有色トナーに用いられる着色剤としては以下のものが挙げられる。着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;磁性体;イエロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤を用いて黒色に調色したものが挙げられる。
マゼンタトナー用着色剤:
マゼンタトナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、49、50、51、52、53、54、55、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、202、206、207.209、238;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
また、マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121。C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1の如き油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28の如き塩基性染料。
シアントナー用着色剤:
シアントナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1乃至5個置換した銅フタロシアニン顔料。
イエロートナー用着色剤:
イエロー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
また、イエロー用染料としては、C.I.ソルベントイエロー162がある。
上記着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して好ましくは0.1質量部以上、30質量部以下であり、より好ましくは0.5質量部以上20質量部以下であり、最も好ましくは3質量部以上15質量部以下である。
本発明のトナーには、荷電制御剤を含有させることができる。使用できる荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。具体的な化合物は、ネガ系荷電制御剤としてサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の如き芳香族カルボン酸の金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸基を側鎖に持つ高分子化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン等が挙げられる。ポジ系荷電制御剤として四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物等が挙げられる。本発明の無色トナーでは無色あるいは白色の物を選択することが好ましい。
上記のうち、特に好ましく用いられる荷電制御剤は、芳香族オキシカルボン酸及び芳香族アルコキシカルボン酸から選択される芳香族カルボン酸誘導体、該芳香族カルボン酸誘導体の金属化合物であり、その金属が2価以上であることが好ましい。芳香族カルボン酸の金属化合物は、例えば下記のように調整できるが、下記の合成方法だけに限定されるものではない。2価以上の金属イオンが溶解している水溶液を芳香族カルボン酸を溶解した水酸化ナトリウム水溶液に滴下し、加熱撹拌、水溶液のpHを調整、常温まで冷却した後、ろ過水洗することにより合成することができる。2価の金属としてMg2+、Ca2+、Sr2+、Pb2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Zn2+、Cu2+が挙げられる。これらのうち、Zn2+、Ca2+、Mg2+、Sr2+が好ましい。3価以上の金属としてはAl3+、Cr3+、Fe3+、Ni3+、Zr4+が挙げられる。これら3価以上の金属の中で好ましいのはAl3+、Cr3+、Zr4+であり、特に好ましいのはAl3+、Zr4+である。また、芳香族カルボン酸誘導体としては、サリチル酸誘導体が好ましい。該荷電制御剤は、結着樹脂100質量部に対し0.1乃至10重量部使用することが好ましい。この範囲の含有量とすると、トナーの帯電レベルを適度に調整できるため現像時に必要な帯電量が得られやすくなる。また、トナー製造工程の一部である混練時に、結着樹脂中に存在するカルボキシル基と前記の芳香族カルボン酸金属化合物の中心金属との金属架橋反応を適度に起こさせ、トナーの粘弾性を調整することも可能であり、トナーの熱溶融特性を改良することができる。また、前述したようにトナー内部よりもトナー粒子表面の荷電制御剤濃度を高くし、かつ、トナー内部に存在する荷電制御剤よりも帯電性の強い荷電制御剤をトナー粒子表面に存在させることにより、帯電特性を制御しやすくなり好ましい。
本発明のトナーには、流動性向上剤が外部添加(以下、外添という)されていることが好ましい。ここで、流動性向上剤とは、トナー粒子に外添することにより、流動性が増加し得る機能を有するものであり、画質向上の観点から添加される。例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末などのフッ素系樹脂粉末がある。また、湿式製法によるシリカ微粉末、乾式製法によるシリカ微粉末などのシリカ微粉末、それらシリカ微粉末をシラン化合物、チタンカップリング剤、シリコーンオイルなどの処理剤により表面処理を施した処理シリカ微粉末等もある。さらには酸化チタン微粉末;アルミナ微粉末、処理酸化チタン微粉末、処理酸化アルミナ微粉末等も用いられる。このような流動性向上剤は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上、好ましくは50m2/g以上のものが良好な結果を与える。
流動性向上剤は、トナー粒子100質量部に対して0.01乃至10質量部、好ましくは0.05乃至5質量部使用するのが良い。
本発明のトナーは、重量平均粒径が4乃至10μmであることが好ましい。このようにトナーの重量平均粒径を小粒径化することにより、画像の輪郭部分、特に文字画像やラインパターンの現像での再現性が良好なものとなる。重量平均粒径が4μm未満であると、例えば感光ドラムの表面への付着力が高くなり、転写不良に基づく画像の不均一ムラの原因となりやすい。また、トナーの単位質量あたりの帯電量が高くなり、例えば低温低湿環境下において画像濃度が低下してしまう場合がある。さらに、流動性の低下や部材への付着性の増加により、例えばキャリアとの摩擦帯電がスムーズに行われにくく、充分に帯電し得ないトナーが増大し、非画像部のカブリが目立つ様になる。また、重量平均粒径が9μmを超える場合、高画質化に寄与し得る微粒子が少ないため、感光ドラム上の微細な静電荷像上に忠実に付着しづらく、ハーフトーン部の再現性が低下し、さらに階調性も低下する場合がある。また、感光体ドラム表面等の部材への融着が起きやすい。さらに、4μm以下の粒径を有するトナーの含有率が3乃至40個数%であり、10μm以上の粒径を有するトナーの含有率が10体積%以下であると、現像性、転写性のバランスの取れたトナーが得られやすく、特に好ましい。
次に本発明のトナーを二成分系現像方法で使用される場合の補給用現像剤及び二成分現像剤に用いられるキャリアについて説明する。
磁性キャリアとしては、例えば表面酸化又は未酸化の鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類の如き金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子及びフェライト等が使用できる。
上記磁性キャリア粒子の表面を樹脂で被覆した被覆キャリアは、現像スリーブに交流バイアスを印加する現像法において特に好ましい。被覆方法としては、樹脂の如き被覆材を溶剤中に溶解又は懸濁させて調製した塗布液を磁性キャリアコア粒子表面に付着させる方法、磁性キャリアコア粒子と被覆材とを粉体で混合する方法等、従来公知の方法が適用できる。
磁性キャリアコア粒子表面への被覆材料としては、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂が挙げられる。これらは、単独或いは複数で用いる。上記被覆材料の処理量は、キャリアコア粒子に対し0.1乃至30質量%(好ましくは0.5乃至20質量%)が好ましい。これらキャリアの個数平均粒径は10乃至100μm、好ましくは20乃至70μmを有することが好ましい。
本発明のトナーと磁性キャリアとを混合して二成分系現像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度として、2乃至15質量%、好ましくは4乃至13質量%にすると通常良好な結果が得られる。トナー濃度が2質量%未満では画像濃度が低下しやすく、15質量%を超えるとカブリや機内飛散が発生しやすい。
本発明のトナーの製造方法としては様々な方法が挙げられるが、例えば粉砕法により製造する場合には、トナー粒子を構成する少なくとも樹脂、着色剤などの材料(内添剤)を所定量秤量して配合し、混合する(これを「原料混合工程」という)。原料を混合する際に用いられる混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー等がある。
次に、上記混合されたトナー原料を溶融混練して樹脂類を溶融し、その中に着色剤等を分散させることにより、着色樹脂組成物を得る(これを「溶融混練工程」という)。以下に本発明で使用される好ましい混練機の一例を示す。
図1(a)は回転二軸押出機(a)の概略図である。本発明で使用される回転二軸押出機のバレル100は複数に分割され、その内部には電気ヒーター等の加熱手段と冷却配管等の冷却手段を有しており、温度制御盤によって所望する温度に調節されるものである。バレル100内には2軸のスクリュー101が噛み合さって同方向に100乃至500rpm程度で高速に回転する。スクリューの構成は適時選択することができるが、送り部スクリューとニーディング部スクリューなどで構成されていてもよい。トナー原材料混合物はホッパ102からスクリューフィーダー(不図示)により送り部スクリューに投入される。そしてトナー原材料は徐々に予熱されていき、バレル100のヒーターや、スクリュー101のシェアによる主原料自体の自己発熱で原料は分散され、固体または半溶融状態から溶融状態に変化する。また混練物が溶融状態になる部位より後部に複数のベント口103を設けガス抜きをしてもよい。さらにはベント口103の一部または全部をポンプなどで真空吸引することにより、混練物の充満状態が良くなり、分散性が向上し、発揮成分の除去効率がよくなり好ましい。
図1(b)の回転二軸押出機(b)は図1(a)に対して原料供給口から出口までの長さを短くし、ベント口を無くしたものである。図1(b)の回転二軸押出機(b)では原料の分散性は低下する。しかし本発明のように顔料を使用しない無色トナーを混練する際には、トナーの仕事関数を調整する上で好ましく使用できる。本発明では、回転二軸押出機(b)でトナーを混練した場合、仕事関数は小さくなった。この理由は定かではないが、おそらく回転二軸押出機(b)では材料の分散性が低下したことにより、原料である離型剤の分散径が大きくなった為、離型剤の仕事関数の影響を受けているものと考えられる。
上記溶融混練工程よって得られた着色樹脂組成物は、溶融混練後、2本ロール等で圧延され、水冷等で冷却する冷却工程を経て冷却される。この混練物を冷却する方法によっても仕事関数を調整することが本発明者らの鋭意検討の結果わかった。混練物を急冷すると混練物内の離型剤が微分散されるためか、本発明では混練物を急冷するほど仕事関数は大きくなる傾向であった。
ついで、樹脂組成物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルの如き粉砕機で粗粉砕を行う。その後更に、例えば、川崎重工業社製のクリプトロンシステム、日清エンジニアリング社製のスーパーローター、ターボ工業製のターボ・ミル(RSSローター/SNNBライナー)やエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕する。
その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)等の分級機等の篩分機を用いて分級し、重量平均粒子径が4乃至10μmのトナー粒子を得る。
必要に応じて、表面改質工程で表面改質(即ち球形化処理)を行い、トナー粒子としてもよい。このような表面改質を行う装置としては、例えば奈良機械製作所製のハイブリタイゼーションシステム、ホソカワミクロン社製のメカノフージョンシステム、日本ニューマチック社製のサーフュージングシステム等が挙げられる。さらに必要に応じて風力式篩のハイボルター(新東京機械社製)等の篩分機を用いても良い。
また、重合性単量体組成物を水中に懸濁し、これを重合することにより直接トナー粒子を製造する方法、単量体には可溶で得られる重合体が不溶な水系有機溶剤を用い直接トナー粒子を製造する分散重合方法等もある。さらに乳化重合により製造したエマルションと着色剤等を凝集・会合させることによりトナー粒子を製造する方法等、従来公知の製造方法も採用可能である。
更に、外添剤を外添処理する方法としては、分級されたトナーと公知の各種外添剤を所定量配合し、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の粉体にせん断力を与える高速撹拌機を外添機として用いて、撹拌・混合することによりトナーを得ることができる。
図2は、表面改質を行うことのできる装置の一例を示す模式的断面図である。図2の表面改質装置は、以下の部材で構成されている。ケーシング30。冷却水或いは不凍液を通水できるジャケット31。ケーシング30内において中心回転軸に取り付けられ、上面に角型のディスク或いは円筒型のピン33を複数個有し、高速で回転する円盤状の回転体である表面改質手段としての分散ローター32。分散ローター32の外周に一定間隔を保持して配置された、表面に多数の溝が設けられているライナー34(尚、ライナー表面上の溝はなくても構わない)。表面改質された原料を所定粒径に分級するための手段である分級ローター35。冷風を導入するための冷風導入口46。被処理原料を導入するための原料供給口39。表面改質時間を自在に調整可能となるように、開閉可能なように設置された排出弁41。処理後の粉体を排出するための粉体排出口40。分級ローター35と分散ローター32−ライナー34との間の空間を、分級ローター35へ導入される前の第一の空間47。分級手段により微粉を分級除去された粒子を表面処理手段へ導入するための第二の空間48に仕切る案内手段である円筒形のガイドリング36。分散ローター32とライナー34との間隙部分が表面改質ゾーンであり、分級ローター35及びその周辺部分が分級ゾーンである。
上記表面改質装置では、排出弁41を閉じた状態で原料供給口39から微粉砕品を投入すると、投入された微粉砕品は、まずブロワー31により吸引され、分級ローター35で分級される。その際、分級された所定粒径以下の微粉は装置外へ連続的に排出除去され、所定粒径以上の粗粉は遠心力によりガイドリング36の内周(第二の空間48)に沿いながら分散ローター32により発生する循環流にのり表面改質ゾーンへ導かれる。
表面改質ゾーンに導かれた原料は分散ローター32とライナー34間で機械式衝撃力を受け、表面改質処理される。表面改質された表面改質粒子は、機内を通過する冷風にのって、ガイドリング36の外周(第一の空間47)に沿いながら分級ゾーンに導かれる。この時発生した微粉は、分級ローター35により再度機外へ排出され、粗粉は循環流にのって再度表面改質ゾーンに戻され、繰り返し表面改質作用を受ける。一定時間経過後、排出弁41を開き、排出口40より表面改質粒子を回収する。
本発明者らが検討した結果、上記表面改質装置を用いた表面改質工程において、原料供給口39からの微粉砕品の投入から排出弁開放までの時間(サイクルタイム)と分散ローターの回転数が、トナーの球形度等をコントロールする上で重要である。
球形度を上げるには、サイクルタイムを長くするか、分散ローターの周速を上げるのが効果的である。サイクルタイムを長くした場合には、表面ワックス量が多くなってしまうことがあるため、トナーの円形度を上記範囲とするためには、分散ローターの周速を1.2×105mm/secとし、サイクルタイムを15乃至60秒とすることが有効である。
図3に本発明のローラ加熱定着方式の加熱定着装置の一例の概略図を示した。
本例装置は、内部にヒータ202の如き加熱手段を有する円筒状の加熱ローラ200があり、定着にあたっては、この加熱ローラ200は時計方向に回転する。
201は円筒状をなした加圧回転体としての加圧ローラで、定着にあたっては、この加圧ローラ201は、加熱ローラ200に圧接し反時計方向に回転する。
クリーナウェブ203は不図示の駆動モータの回転により、送り出される。クリーナウェブ203が、0.05mm/1回で送られることによって、加熱定着部材であるところの定着ローラ200に接触し、かつ移動することから、定着ローラ200周面に付着したトナー残滓を除去する。内部に熱源202を有する定着ローラ200には、約80mmのアルミパイプを芯金とし、この周面にシリコーンゴムを約2mm、最外層にフッ素樹脂をコーティングしたものが用いられる。
加圧ローラ201としては、例えば約80mmのアルミパイプ芯金上に、シリコーンゴムを約2mm、最外層にフッ素樹脂を被覆したものが用いられる。
以下、本発明における各物性の測定方法について説明する。
<重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行った。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
<トナーの最大吸熱ピークのピーク温度の測定>
ワックスおよびトナーの最大吸熱ピークのピーク温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、トナー約10mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30乃至200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。尚、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30乃至200℃の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピークを、本発明のトナーのDSC測定における吸熱曲線の最大吸熱ピークとする。
<ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)による分子量分布の測定>
トナーのTHF可溶分の分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、トナーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。尚、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<ゆるみ見掛け密度の測定>
パウダーテスタPT−R(ホソカワミクロン社製)を用い、測定を行った。測定環境は、23℃、60%RHで行った。トナーを目開き75μmの篩を用いて振幅を1mmで振動させながら、容積100ccの金属製カップに捕集し、ちょうど100ccとなるように擦り切った。そして、金属製カップに捕集したトナー質量から、ゆるみ見掛け密度A(g/cc)を計算した。
<仕事関数の測定>
仕事関数は、表面分析装置(理研計器(株)製AC−2、低エネルギー電子計数方式)を使用した。本発明では該装置において重水素ランプを使用し、照射光量の設定値を500nW、分光器により単色光を選択し、スポットサイズ4mm角とした。エネルギー走査範囲は4.2乃至6.2eV、間隔は0.05eVに設定して測定時間10sec/1ポイントでサンプルに照射し、サンプル表面から放出される光電子を検知する。仕事関数に関しては、繰り返し精度(標準偏差)0.02eVで測定されるものである。トナーのような粉体を測定する場合には粉体測定用のセルを使用した。
図4は粉体測定用のセルの概略図である。(a)はセル10の平面図、(b)は一部切欠く側面図、(c)は斜視図である。このセル10は、直径30mm、高さ5mmのステンレス製円盤の中央に、直径15mmで、深さ3mmの外添剤収容用凹部10aを有する。凹部10a内にシリカを、秤量サジを用いて突き固めないで入れた後、ナイフエッジを使用して表面を均して平らにした状態で、測定セルをサンプル台の規定位置上に固定し測定を行う。
また、定着ローラのような形状が円筒形状の画像形成装置部材をサンプルとする場合には、円筒形状の画像形成装置部材を1乃至1.5cmの幅で切断する。ついで、稜線に沿って横方向に切断して図5の(a)に示す形状の測定用試料片aを得る。そして図5(b)に示すように、その測定用試料片aをサンプル台11の規定位置上に、測定光Lが照射される方向に対して照射面が平滑になるように固定する。これにより、放出される光電子12が検知器(光電子倍像管)13により効率よく検知される。
この表面分析においては、単色光の励起エネルギーを低い方から高い方にスキャンするとあるエネルギー値(eV)から光量子放出が始まり、このエネルギー値を仕事関数(eV)という。図6に、トナーについて得られるチャートの1例を示す。図6は励起エネルギー(eV)を横軸とし、規格化光量子収率(単位光量子当りの光電子収率のn乗)を縦軸とするものであり、一定の傾き(Y/eV)が得られる。図6の場合、仕事関数はその屈曲点(A)における励起エネルギー値(eV)で示される。
具体的な屈曲点(A)の求め方は、以下のようになる。
回帰曲線:照射光の励起エネルギー4.8乃至6.2eVの間で、規格化光量子収率が連続して上昇する値が4点以上ある点の最初の1点目から4点目までを選択したものを回帰曲線とする。なお、最初の1点目を支点とする。
グランドライン:照射光の励起エネルギー4.2eVから支点を含まない点までを選択したものをグランドラインとする。
グランドラインと回帰曲線の交点における励起エネルギー値を仕事関数とする。
なお、データ再現性を確保するため、温度23℃/湿度60RH%の条件下で、24時間放置品を測定サンプルとした。
以下、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(結着樹脂1の製造例)
テレフタル酸 27mol%
アジピン酸 15mol%
トリメリット酸 6mol%
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン 31mol%
ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン 23mol%
上記に示す酸成分及びアルコール成分と、エステル化触媒として2−エチルヘキサン酸錫を4口フラスコに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び攪拌装置を装着し、窒素雰囲気下にて230℃に昇温して反応を行った。反応終了後、生成物を容器から取り出し、冷却、粉砕し、軟化点140℃の結着樹脂1を得た(Mn:3800、Mw:450000)。
(結着樹脂2の製造例)
テレフタル酸 27mol%
ドデセニルコハク酸 9mol%
トリメリット酸 10mol%
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン 33mol%
ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン 21mol%
上記に示す酸成分及びアルコール成分と、エステル化触媒を4口フラスコに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び攪拌装置を装着し、窒素雰囲気下にて230℃に昇温して反応を行った。反応終了後、生成物を容器から取り出し、冷却、粉砕し、軟化点98℃の結着樹脂2を得た(Mn:2800、Mw:10000)。
(結着樹脂3の製造例)
4つ口フラスコ内でキシレン200質量部を撹拌しながら容器内を十分に窒素で置換し120℃に昇温させた。その後、スチレン73質量部、アクリル酸n−ブチル24質量部、メタクリル酸3質量部、ジ−t−ブチルパーオキサイド4質量部を3.5時間かけてフラスコに滴下した。更に、キシレン還流下で重合を完了し、減圧下で溶媒を蒸留除去した。その後生成物を容器から取り出し、冷却、粉砕し、軟化点98℃のビニル系共重合体(結着樹脂3)を得た(Mn:3500、Mw:10000)。
<離型剤1の製造例>
・パラフィンワックス(DSCによる吸熱ピークが85℃) 30質量部
・スチレン 54質量部
・n−ブチルアクリレート 13質量部
・アクリロニトリル 3質量部
をオートクレーブに仕込み、系内をN2置換後、昇温攪拌しながら180℃に保持した。系内に、2質量%のt−ブチルハイドロパーオキシドのキシレン溶液50質量部を5時間連続的に滴下し、冷却後溶媒を分離除去し、上記パラフィンワックスにビニル樹脂成分が反応した重合体Aを得た。重合体Aの分子量を測定したところ、重量平均分子量(Mw)4500、数平均分子量(Mn)2500であった。
次に、パラフィンワックス(最大吸熱ピークのピーク温度75℃ 仕事関数:5.51)100質量部に対して上記重合体A30質量部を130℃で20分溶融混合し、冷却、粉砕して離型剤1を得た。
上記離型剤1の最大吸熱ピークのピーク温度は75℃であり、仕事関数は5.52(eV)であった。
<離型剤2の製造例>
スチレンモノマー600gに反応開始剤としてジクミルパーオキサイド100gを添加した後、加熱溶融したパラフィンワックス(最大吸熱ピークのピーク温度75℃ 仕事関数:5.51)6000gに攪拌しながら滴下し、4時間反応させ、離型剤2を得た。
上記離型剤2の最大吸熱ピークのピーク温度は75℃であり、仕事関数は5.65(eV)であった。
<キャリアの製造例>
個数平均粒径0.30μmのマグネタイト粉とヘマタイト粉に対して、それぞれ4.0質量%のカップリング剤(3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)を加え、容器内にて100℃以上で高速混合撹拌し、それぞれの微粒子を処理した。
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液 6質量部
(ホルムアルデヒド40%、メタノール10%、水50%)
・処理したマグネタイト 80質量部
・処理したヘマタイト 4質量部
上記材料と、28%アンモニア水5質量部、水20質量部をフラスコに入れ、攪拌、混合しながら30分間で85℃まで昇温・保持し、3時間重合反応させて、生成するフェノール樹脂を硬化させた。その後、硬化したフェノール樹脂を30℃まで冷却し、さらに水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗した後、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)、60℃の温度で乾燥して、磁性体が分散された状態の球状の磁性体含有樹脂キャリアコアを得た。
コート材は、メチルメタクリレートとパーフルオロオクチルアクリレートとの共重合体(共重合比(質量%比)8:2、重量平均分子量44,000)を用いた。これが磁性体分散樹脂コア100質量部に対して1.2質量部となるように、メチルエチルケトン及びトルエンの混合溶媒を用いて10質量%の前記メチルメタクリレートとパーフルオロオクチルアクリレートとの共重合体を含有するキャリアコート溶液を作製した。また、このキャリアコート溶液に、メラミン樹脂(個数平均粒径0.2μm)0.4質量部、カーボンブラック(個数平均粒径30nm、DBP吸油量50ml/100g)0.6質量部をホモジナイザーによりよく混合した。ついで、この混合溶液に前記磁性体分散樹脂コアを投入し、これに剪断応力を連続して加えながら溶媒を70℃で揮発させて、磁性体分散樹脂コア表面へ前記メチルメタクリレートとパーフルオロオクチルアクリレートとの共重合体をコートした。
前記メチルメタクリレートとパーフルオロオクチルアクリレートとの共重合体でコートされた樹脂コート磁性体分散樹脂コアを100℃で2時間撹拌することによって熱処理後、冷却、解砕した。その後200メッシュの篩で分級して、個数平均粒子径37μm、真比重3.7g/cm3、磁化の強さ56.5(Am2/kg)の磁性キャリアを得た。
<無色トナー1乃至17の製造例>
上記結着樹脂100質量部に対して、表1に示す離型剤の種類と部数、荷電制御剤として3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物0.5質量部をヘンシェルミキサーにより十分予備混合を行った。得られた混合物を図1に示す回転二軸押出機(b)で溶融混練を行った。図1の回転二軸押出機の原料供給口102から出口までの長さは926mm、スクリュー101径42mm、バレル内径43mmの同方向回転型である。またバレル内の加熱温度は95℃、スクリュー回転速度は150回転/分、混合物の供給速度は10kg/時であった。尚、図1の回転二軸押出(a)を使用する場合、原料供給口から出口までの長さは1560mmであり、ベント口103は真空吸引されている。
使用した回転二軸押出機のタイプ、バレル内の加熱温度、スクリュー回転速度を表3に示す。
得られた混練物をスチール製ベルト式圧延機にて挟みながら通過させ、更に冷却ローラにて圧延冷却し、冷却コンベアにて常温まで冷却した。このとき冷却ローラ、冷却コンベアの速度や設定温度を変更することで混練物の冷却条件を変化させた。冷却コンベアの設定温度、粗粉砕される直前の混練物の温度、及び混練物の冷却速度を表3に示す。
得られた冷却物をハンマーミルで粒径約1乃至2mm程度に粗粉砕した。次いで粗粉砕物をエアージェット方式による微粉砕機で20μm以下の粒径に微粉砕した。
次に、得られた微粉砕物を図2に示した表面改質装置を用い、この表面改質装置に一回当たり1.3kgずつ投入した。分級ローター35の回転数を7300rpmとして微粒子を除去しながら、分散ローター32の回転数を5800rpmとして(回転周速を130m/sec)で70秒間表面処理を行った。原料供給口39より微粉砕物を投入し、70秒間処理後、製品排出弁41を開けて処理品を取り出した。
その際、本実施例においては、分散ローター32上部に角型ディスク33を10個設置し、ガイドリング36と分散ローター32上の角型ディスク33の間隔を30mmとし、分散ローター32とライナー34との間隔を5mmとした。またブロワー風量を14m3/min、ジャケットに通す冷媒の温度及び冷風温度T1を−20℃とした。
この状態で繰り返し20分間運転した結果、分級ローター35の後方の温度T2は27℃で安定した。
得られた無色トナー粒子の重量平均粒径(D4)は6.0μmであった。
さらに原料や製造条件を変更し、無色トナー2乃至17を製造した。原料の種類や添加部数、トナー物性を表1に、製造条件を表3に示す。
次にそれぞれ得られた無色トナー粒子100質量部に、個数平均粒径が20nmであり疎水化処理した0.4質量部のシリカ微粉体、個数平均粒径が40nmであり疎水化処理した0.8質量部の酸化チタン微粉体、及び個数平均粒径が120nmであり疎水化処理した1.0質量部の球状アモルファスシリカ微粉体を外添混合し、無色トナー1乃至17を得た。
さらに上記磁性キャリアと無色トナー1乃至17で二成分系現像剤1乃至17・補給用現像剤1乃至17を作製した。二成分系現像剤は、磁性キャリア92質量%、トナー8質量%で混合した。補給用現像剤は、磁性キャリア7質量%、トナー93質量%で混合した。
なお無色トナーの製造には顔料やゴミなどの混入無きように細心の注意を払って製造した。
<イエロー、シアン、マゼンタ及びブラックトナー1乃至6の製造例>
上記無色トナーと同様に、原料、製造条件を変更してイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックトナー1乃至6及び二成分系現像剤1乃至6・補給用現像剤1乃至6を得た。各色トナーの原料の種類や添加部数、トナー物性を表2、製造条件を表4に示す。
なお、各種トナーで使用されている離型剤3乃至6、添加剤1乃至5を以下に示す。
離型剤3:パラフィンワックス (ピーク温度:66℃ 仕事関数:5.49)
離型剤4:カルナウバワックス (ピーク温度:83℃ 仕事関数:5.52)
離型剤5:ポリエチレンワックス(ピーク温度:99℃ 仕事関数:5.39)
離型剤6:パラフィンワックス (ピーク温度:47℃ 仕事関数:5.47)
添加剤1:酸化チタン(個数平均一次粒子径32nm、仕事関数5.61eV、イソブ チルトリメトキシシラン25%処理物)
添加剤2:フッ化カーボン(個数平均一次粒子径100nm、仕事関数6.01eV)
添加剤3:αアルミナ(個数平均一次粒子径190nm、仕事関数4.85eV)
添加剤4:紫外線安定剤 アデカスタブLA−51(旭電化工業社製、仕事関数5.2 1eV)
添加剤5:研磨剤 ミレークE(三井金属社製、仕事関数5.11eV)
Figure 0005355045
Figure 0005355045
Figure 0005355045
Figure 0005355045
<定着ローラ1乃至5の製造例>
定着ローラは次のような方法で製造した。まずアルミ製外径78mm芯金上に、付加反応型液状シリコーンゴム用プライマーNo.101A/B(信越化学工業社製)を塗布した。この芯金を金型内に取り付け、耐熱グレードのHTVシリコーンゴム(ミラブル型)を充填し、150℃で30分加熱硬化し、金型から取り外した後、更に230℃で4時間ポストキュアし、厚さが2mmのシリコーンゴム弾性層を得た。
次に、以下に示す材料を用いて離型層を形成し、定着ローラ1乃至5を得た。
定着ローラ1:ポリテトラフロロエチレン樹脂(PTFE)とテトラフロロエチレンとパーフロロアルキルビニルエーテルの共重合体(PFA)とを80:20の混合比で混合した。このフッ素樹脂組成物100質量部に対し、1次粒径が25nmのカーボンブラックを2質量部含有させた混合物を15μm程度の厚さに塗布して400℃・20分焼成して離型層を形成した。さらに焼成後、最終仕上げとして#1000のサンドペーパーで研摩を行い、定着ローラ1を得た。定着ローラ1の仕事関数は5.80eVであった。
定着ローラ2:PFA100質量部と1次粒径が25nmのカーボンブラックを2質量部含有させた混合物を15μm程度の厚さに塗布して380℃・20分焼成して離型層を形成した。さらに焼成後、最終仕上げとして#1000のサンドペーパーで研摩を行い、定着ローラ2を得た。定着ローラ2の仕事関数は6.05eVであった。
定着ローラ3:PTFE100質量部とコロイダルシリカ10質量部を含有した混合物を15μm程度の厚さに塗布して380℃・20分焼成して離型層を形成した。さらに焼成後、最終仕上げとして#1000のサンドペーパーで研摩を行い、定着ローラ3を得た。定着ローラ3の仕事関数は5.68eVであった。
定着ローラ4:1分子中にビニル基を平均して2個有するビニル基含有ジメチルポリシロキサン100重量部に対して50ppm(白金原子換算)の白金錯体化合物からなるシリコーンゴム組成物からなる混合物を使用した。この混合物を15μm程度の厚さに塗布して120℃・70分加熱硬化して離型層を形成した。さらに最終仕上げとして#1000のサンドペーパーで研摩を行い、定着ローラ4を得た。定着ローラ4の仕事関数は5.46eVであった。
定着ローラ5:PFA100質量部と1次粒径が25nmのカーボンブラックを30質量部含有させた混合物を15μm程度の厚さに塗布して380℃・20分焼成して離型層を形成した。さらに焼成後、最終仕上げとして#1000のサンドペーパーで研摩を行い、定着ローラ5を得た。定着ローラ5の仕事関数は6.14eVであった。
<実施例1>
市販のフルカラー複写機 imagePRESS C1(キヤノン株式会社)を下記条件で出力できるように改造した。また、耐久試験は下記条件で実施し、耐久試験の前後で各種評価を行った。
条件:
印刷環境 温度23℃/湿度60RH%(以下「N/N」)
温度30℃/湿度80RH%(以下「H/H」)
温度23℃/湿度5RH%(以下「N/L」)
紙(1) カラーレーザーコピアペーパー(81.4g/m2
紙(2) リサイクルペーパーEN−100(64g/m2
紙(3) カラーレーザーコピア光沢厚紙NS−701(150g/m2
(いずれもキヤノンマーケティングジャパン株式会社)
画像形成速度 イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックトナー、及び無色トナーの5色
フルカラーが出力できるように改造した。
(A4サイズ、単色で60枚/分、5色フルカラーで11枚/分)
定着条件 120℃から190℃まで5℃刻みで定着温度の設定が変更できるように改造した。
定着ローラの製造例で作製した定着ローラを自由に取り付けられるようにした。
出力画像 5色ベタ黒:単位面積当たりのトナー載り量を1.5mg/cm2
(各色0.3mg/cm2
(1)耐静電オフセット試験
静電オフセットは、トナーの載った紙が定着器を通過する際、トナーが定着ローラー側に静電気的に付着することにより発生する現象である。従って、低湿環境の如き過剰帯電を促す環境下で、且つ連続通紙後のような定着ローラーが帯電する状況下での評価が、静電オフセットに対して最も厳しいものとなる。これらのことを考慮して本発明のトナーを評価した。
評価する現像剤の組み合わせをN/L環境に12時間調温・調湿して評価機へ投入し、ベタ白画像をA4再生紙(リサイクルペーパーEN−100)で1000枚連続通紙した。その後、画像の前半半分が5色ベタ黒、後半半分が白地の静電オフセット試験用チャートを用いてA4の光沢厚紙NS−701(150g/m2)に連続100枚の画出しを行い、目視にて耐静電オフセット性の評価を行った。定着装置は、それぞれのトナーの定着可能温度内で一番高い温度に設定した。
なお、耐静電オフセット性の評価基準は以下のように定めた。
A 全くみられない。
B 白地部にごく一部にかすかに見られる。
C 白地部にごく一部に見られる。
D 白地部のやや広い範囲にかすかに見られる。
E 白地部の広範囲にかすかに現れる。
F 白地部の広範囲に明らかに現れる。
G 白地部に著しく現れる。
なお高画質出力用電子写真機器として問題ないレベルは、A乃至Dである。結果を表7に示す。
(2)定着温度領域の測定
出力画像を画像面積比率50%の5色ベタ黒、評価紙をカラーレーザーコピアペーパー、評価環境をN/Nに設定した。定着開始温度とオフセット開始温度の測定は、定着器の設定温度を120℃から210℃迄の温度範囲で5℃おきに温度調節して、各々の温度で定着画像を出力した。
得られた定着画像を定着開始温度から更に設定温度を上げていき、目視で高温オフセットの発生しない温度の間を定着温度幅とした。
評価の基準はそれぞれ以下のとおりである。
定着温度幅
A:非常に優れた定着温度幅を有する (60℃以上)
B:優れた定着温度幅を有する (50℃以上、55℃以下)
C:使用上問題ない (40℃以上、45℃以下)
D:定着温度幅が狭い (25℃以上、35℃以下)
E:定着温度幅が殆どない (20℃以下)
なお製品として問題ないレベルは、A乃至Cである。結果を表7に示す。
(3)カールの評価
(非光沢紙のカール)
出力画像は余白を5mm取った全面5色ベタ黒、評価紙をカラーレーザーコピアペーパーに設定し、N/N環境下で用紙を横送りに搬送させて画像形成を行った。
カールの評価は、プリント直後、N/N環境下で以下の手順で行った。すなわち、断裁された用紙の流れ方向の一辺の中央部(一点)を手で支持してプリントを垂直に吊り下げ、吊り下げられた下端辺(支持されている辺と反対側の辺)の中央の円弧と両端の高さの差をミリメートル単位で測定し、これをカール値とした。
評価基準
A:カール値が9mm未満(全くカールは気にならないレベル)
B:カール値が9mm以上、12mm未満(ほとんどカールは気にならないレベル)
C:カール値が12mm以上、15mm未満(あまりカールは気にならないレベル)
D:カール値が15mm以上、17mm未満(実使用可能レベル)
E:カール値が17mm以上、19mm未満(使用上、カールがやや気になる)
F:カール値が19mm以上、21mm未満(使用上、カールが気になる)
G:カール値が21mm以上(カールが非常に気になる)
なお製品として問題ないレベルは、A乃至Dである。結果を表7に示す。
(4)無色トナー成型物の彩度(C*)と明度(L*)、及び色味変動の評価
無色トナー成型物の彩度(C*)と明度(L*)の評価は、直径25mmの錠剤成型圧縮機に無色トナー2.5g入れ、約10MPaで、約90秒間圧縮成型し、直径約25mmにペレット化したものを測定した。
色味変動は画像面積比率50%、評価紙をカラーレーザーコピアペーパー、評価環境をN/Nに設定した。出力画像はグリーン(イエロートナー、シアントナー共にトナー載り量0.3mg/cm2)、レッド(マゼンタトナー、シアントナー共にトナー載り量0.3mg/cm2)、及びブルー(マゼンタトナー、シアントナー共にトナー載り量0.3mg/cm2)とした。各色とも載り量0.4mg/cm2の無色トナーを使用した画像と使用しなかった画像の色味の差を測定した。
彩度(C*)と明度(L*)、及び色味変動差はL*、a*、b*をSpectroScan Transmission(GretagMacbeth社製)を用いて測定することによって求められる。以下に具体的な測定条件の一例を示す。
(測定条件)
観測光源:D50
観測視野:2°
濃度:DIN NB
白色基準:Pap
フィルター:なし
一般に、L*、a*、b*とは、色を数値化して表現するのに有用な手段であるL*a*b*表色系で用いられている値である。a*及びb*は、両者で色相を表す。色相とは、赤、黄、緑、青、紫等、色あいを尺度化したものである。a*及びb*のそれぞれは、色の方向を示しており、a*は赤−緑方向、b*は黄−青方向を表している。本発明においてC*は以下のように定義した。
C*=(a*2+b*2)1/2
結果を表9に示す。
また、色味変動の差(ΔC)を以下のように定義した。
ΔC={(無色トナー使用画像のa*−無色トナー未使用画像のa*)2
+(無色トナー使用画像のb*−無色トナー未使用画像のb*)21/2
測定は、画像中の任意の5点を測定してその平均値を出し、上記式によってΔCを求めた。
A:0≦ΔC<1.5(目視では判断できないレベル)
B:1.5≦ΔC<3.0(目視ではかろうじて分かるが、気にならない)
C:3.0≦ΔC<4.5(使用可能レベル)
D:4.5≦ΔC<6.0(耐久前後の画像の色味が変化しており、少し違和感がある)
E:6.0≦ΔC(色味変動が目立ち、かなり違和感がある)
なお製品として問題ないレベルは、A乃至Cである。結果は表9に示す。
(5)色ずれの評価
評価はN/N環境、評価紙はカラーレーザーコピアペーパーを選択した。オリジナルチャート(イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーの画像面積比率は50%で、各色0.1mg/cm2使用し、無色トナーはチャート画像全面をオーバーコートしている。無色トナーは0.4mg/cm2)を使用し、色の境界線を任意に20箇所を選び、ルーペ(30倍)にて色ずれを評価した。
評価基準
A:まったく色ずれが観察されない。
B:目視では観察されないが、ルーペではごくわずか(50μm未満)な色ずれが、
20箇所中、5個未満観察される。
C:目視では観察されないが、ルーペではごくわずか(50μm未満)な色ずれが、
20箇所中、5個以上10個未満観察される。
D:目視では観察されないが、ルーペではごくわずか(50μm未満)な色ずれが、
20箇所中、11個以上観察される。
あるいはルーペで観察される(50μm以上100μm未満)色ずれが、20箇所中 5個未満観察される。
E:ルーペで観察される(50μm以上100μm未満)色ずれが、20箇所中5個以上 10個以下観察される。
F:ルーペで観察される(50μm以上100μm未満)色ずれが、20箇所中11個以 上観察される。
G:目視で色ずれが観察される。
なお製品として使用可能レベルは、A乃至Dである。結果は表8に示す。
(6)定着時の飛び散りの評価
定着時の飛び散りの評価は、図7に示すような縞状の潜像画像を形成し、定着後の画像について評価を行った。図7は、解像度600dpiにおける潜像部幅が4ドット(170μm)であり、非潜像部幅が10ドット(420μm)の潜像画像である。潜像部はイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色トナーを使用し、潜像部及び非潜像部を無色トナーでオーバーコートしている。尚、評価環境はN/L環境、評価紙はカラーレーザーコピアペーパーを使用した。
評価基準
A:良好な細線の定着状態を示す。
B:軽微な飛び散りが19本中、2本未満観察される。
C:軽微な飛び散りが19本中、2本以上10本未満観察される。
D:軽微な飛び散りが19本中、11本以上観察される。
あるいは細線の周囲のやや目立つ飛び散りが19本中、2本未満観察される。
E:細線の周囲のやや目立つ飛び散りが19本中、2本以上10本以下観察される。
F:細線の周囲のやや目立つ飛び散りが19本中、11本以上観察される。
G:著しい飛び散りで細線が確認できない線が存在する。
なお製品として使用可能レベルは、A乃至Dである。結果は表8に示す。
(7)クリーニング性
クリーニング性の評価は、色ずれの評価で使用したオリジナルチャートを1/4の速度で定着し、その後白紙状態の普通紙を通常速度で通紙した。このときの通紙前後の表面を「リフレクトメーター」(東京電色社製)により測定し、白色度の差から、カブリ濃度(%)を算出し、以下の評価基準に基づいて判断した。測定は5点測定の平均値とした。
A:1.2%未満(全く気にならない)
B:1.2%以上、1.8%未満(ほとんど気にならない)
C:1.8%以上、2.4%未満(使用可能レベル)
D:2.4%以上、3.0%未満(やや気になる)
E:3.0%以上(かなり気になる)
なお製品として使用可能レベルは、A乃至Cである。結果は表7に示す。
実施例1では全ての評価に於いて優れた画像特性を示した。結果を表7乃至9に示す。
<実施例2>
実施例1と同様にトナー、二成分系現像剤、補給用現像剤を調製して評価を行った。実施例2では緩み見掛け密度を調整する為、白色顔料系の添加剤を使用している。実施例1とほぼ同等に良好な画像を得ることができたが、白色系顔料の影響で色のくすみが若干発生した。しかしそれ以外は優れた画像特性を示した。結果を表7乃至9に示す。
<実施例3乃至6>
実施例1と同様にトナー、二成分系現像剤、補給用現像剤を調製して評価を行った。実施例3乃至6では現像剤の種類は同一だが、現像の順序を変更している。それぞれ良好な画像を得ることができたが、最表層無色トナーの次の層を、無色トナーの仕事関数値と大きく離れた色を選択するほど、飛び散り性やカール性等に若干影響が出ている。しかしそれ以外は高品位な画像として問題無かった。結果を表7乃至9に示す。
<実施例7乃至9>
実施例1と同様にトナー、二成分系現像剤、補給用現像剤を調製して評価を行った。実施例7乃至9では離型剤の種類を変更している。それぞれ良好な画像を得ることができたが、離型剤の種類によってトナーの仕事関数の値は若干変化している。無色トナーの仕事関数の値が比較的大きい実施例7と9では若干カール性に影響があり、ブラックトナーの仕事関数値が比較的高い実施例7と9、シアントナーの仕事関数値が若干低い実施例8ではそれぞれ画像の色ずれ若干の影響が出た。さらに実施例9では緩み見掛け密度の値が有色トナーと無色トナーで逆転している為、さらに色ずれは悪化している。しかし製品として使用上問題無かった。結果を表7乃至9に示す。
<実施例10及び11>
実施例1と同様にトナー、二成分系現像剤、補給用現像剤を調製して評価を行った。実施例10及び11では実施例1に対して定着ローラの種類を変更している。それぞれ良好な画像を得ることができたが、実施例10では定着ローラの仕事関数値が大きく、実施例11では定着ローラの仕事関数値が小さいため、定着ローラのクリーニング性に若干影響が出た。また静電オフセット性にも若干影響が出た。しかし製品として使用上問題無かった。結果を表7乃至9に示す。
<実施例12及び13>
実施例1と同様にトナー、二成分系現像剤、補給用現像剤を調製して評価を行った。実施例12及び13では無色トナーの仕事関数値の影響でカール性が若干悪くなった。また実施例12では定着ローラと無色トナーとの仕事関数値の差がほとんどないため、静電オフセット性にも若干影響が出た。しかし製品として使用上問題無かった。結果を表7乃至9に示す。
<実施例14及び15>
実施例1と同様にトナー、二成分系現像剤、補給用現像剤を調製して評価を行った。実施例14及び15では実施例12及び13の無色トナーの仕事関数値よりもさらに上下させたサンプルである。そのため実施例12及び13に比べてもカール性が悪くなった。また実施例14では有色トナーと無色トナーとの仕事関数値の差が大きい為、静電的な色ずれが出た。しかし製品として使用可能レベルであった。結果を表7乃至9に示す。
<実施例16及び17>
実施例1と同様にトナー、二成分系現像剤、補給用現像剤を調製して評価を行った。実施例16及び17では有色トナーと無色トナーの緩み見掛け密度の差の影響で画像の色ずれに影響が出た。また実施例17では有色トナーと無色トナーとの仕事関数値の差や、定着ローラと無色トナーとの仕事関数値の差の影響で、色ずれや静電オフセット性も悪化した。しかし製品として使用可能レベルであった。結果を表7乃至9に示す。
<実施例18及び19>
実施例1と同様にトナー、二成分系現像剤、補給用現像剤を調製して評価を行った。実施例18及び19では実施例10及び11よりもさらに定着ローラの仕事関数値を上下させている。実施例18では定着ローラの仕事関数値が大きく、実施例11では定着ローラの仕事関数値が小さいため、定着ローラのクリーニング性に、定着ローラと無色トナーとの仕事関数値の差の影響でカール性に影響が出た。さらに飛び散り性も悪化する傾向にあった。実施例18では有色トナーと無色トナーの緩み見掛け密度の差による色ずれ性や、定着ローラと無色トナーとの仕事関数値の差による静電オフセット性にも影響が出た。しかし製品として使用可能レベルであった。結果を表7乃至9に示す。
<比較例1>
実施例1と同様にトナー、二成分系現像剤、補給用現像剤を調製して評価を行った。比較例1では、離型剤の融点が高いため、5色ベタ画像を定着させることが困難であり、定着温度領域が悪化した。さらに色のくすみが目立ち、高画質製品としては使用できないレベルであった。結果を表7乃至9に示す。
<比較例2>
実施例1と同様にトナー、二成分系現像剤、補給用現像剤を調製して評価を行った。比較例2では、離型剤の融点が低いため、5色ベタ画像を定着させることが困難であり、定着温度領域が著しく悪化した。さらに低融点の離型剤はカール性や定着ローラのクリーニング性を悪化させる傾向にあった。またトナーの保存性も悪化し、製品として使用できないレベルであった。結果を表7乃至9に示す。
<比較例3>
実施例1と同様にトナー、二成分系現像剤、補給用現像剤を調製して評価を行った。比較例3では、無色トナーの彩度が高いため、色味の変化や激しく、くすみを著しく悪化させる傾向にあり、製品として使用できないレベルであった。結果を表7乃至9に示す。
<比較例4>
実施例1と同様にトナー、二成分系現像剤、補給用現像剤を調製して評価を行った。比較例4では、無色トナーの明度が低いため、色のくすみを著しく悪化して全体的に画像が暗くなった。また色味の変化も激しかったため、製品として使用できないレベルであった。結果を表7乃至9に示す。
<比較例5>
実施例1と同様にトナー、二成分系現像剤、補給用現像剤を調製して評価を行った。比較例5では、ブラックトナーの仕事関数値が非常に大きい為、静電的な色ずれが顕著に表れた。また現像の順序の影響により、飛び散りも発生した。さらに無色トナーよりも表層にマゼンタとイエローがあるため、色のくすみはレッドの評価のみが良くなった。しかしブルーやグリーンは色のくすみが目立つ為、非常に違和感のある画像が出力された。製品としては使用できないレベルであった。結果を表7乃至9に示す。
<比較例6>
実施例1と同様にトナー、二成分系現像剤、補給用現像剤を調製して評価を行った。比較例6では、有色トナーと無色トナーとの仕事関数値の差が大きい為静電的な色ずれが顕著に表れた。さらにカール性も悪かった。製品としては使用できないレベルであった。結果を表7乃至9に示す。
<比較例7>
実施例1と同様にトナー、二成分系現像剤、補給用現像剤を調製して評価を行った。比較例7では、無色トナーの仕事関数が小さいため、カール性が著しく悪化した。さらに静電オフセット、色ずれも著しく悪化し、製品として使用できないレベルであった。結果を表7乃至9に示す。
<比較例8>
実施例1と同様にトナー、二成分系現像剤、補給用現像剤を調製して評価を行った。比較例8では、無色トナーの仕事関数が大きいため、カール性が著しく悪化した。さらに静電オフセット、飛び散り、色ずれも著しく悪化し、製品として使用できないレベルであった。結果を表7乃至9に示す。
<比較例9>
実施例1と同様にトナー、二成分系現像剤、補給用現像剤を調製して評価を行った。比較例9では、カール性、クリーニング性、飛び散り性が著しく悪化した。色味も違和感のある画像が出力された。電子写真特性として使用できないレベルであった。結果を表7乃至9に示す。
<比較例10>
実施例1と同様にトナー、二成分系現像剤、補給用現像剤を調製して評価を行った。比較例10では、色のくすみ以外ではほぼ全ての特性において著しく悪化し、電子写真特性として使用できないレベルであった。結果を表7乃至9に示す。
Figure 0005355045
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回転二軸押出機の概略図である。 表面改質を行うことのできる装置の一例を示す模式的断面図である。 定着装置の概略説明図である。 粉体測定用のセルの概略図である。 表面分析装置測定方法の概略図である。 表面分析装置で測定したトナーについて得られるチャートの例である。 定着時飛び散り評価用画像の拡大図である。

Claims (8)

  1. 記録材上に形成されたトナー像を定着手段により加熱加圧定着して該記録材上に画像を形成する定着方法であって、
    前記トナー像は、少なくとも着色剤、結着樹脂及び離型剤とを含有する有色トナーと、少なくとも結着樹脂及び離型剤とを含有する無色トナーにより形成され、
    前記無色トナーにより形成される無色トナー像は、前記トナー像の最表層に形成され、
    前記有色トナー及び無色トナーは、示差走査熱量計(DSC)によって測定される吸熱曲線において、温度30乃至200℃の範囲に1個又は複数の吸熱ピークを有し、該吸熱ピーク中の最大吸熱ピークのピーク温度が50℃乃至90℃であり、
    無色トナー成型物の彩度(C*)及び明度(L*)が、
    0.0≦(C*)≦15.0
    88.0≦(L*)≦100.0
    であり、
    前記有色トナー及び前記無色トナーの仕事関数の値が5.00eV乃至6.00eVの範囲であり、
    前記無色トナーの仕事関数(Wc)は、各有色トナーの仕事関数の平均値を(Wa)とした時、
    |Wc−Wa|≦0.15(eV)
    であり、加熱加圧定着部材表面の仕事関数(Wr)と無色トナーの仕事関数(Wc)が、
    0.00<Wr−Wc<0.70(eV)
    であることを特徴とする定着方法。
  2. 前記無色トナーの仕事関数(Wc)が5.40eV乃至5.80eVであることを特徴とする請求項1に記載の定着方法。
  3. 前記加熱加圧定着部材表面の仕事関数(Wr)が5.50eV乃至6.10eVであることを特徴とする請求項1又は2に記載の定着方法。
  4. 前記離型剤は、炭化水素系ワックスを含有していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の定着方法。
  5. 前記離型剤は、少なくともスチレン系モノマーで処理した炭化水素系ワックスを含有しており、前記離型剤の仕事関数(Ww)が5.40eV乃至5.80eVであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の定着方法。
  6. 前記記録材上に形成されたトナー像の最表層が無色トナーであり、次の層は無色トナーの仕事関数に最も近い有色トナーであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の定着方法。
  7. 前記記録材上に形成されたトナー像の最表層が無色トナーであり、次の層以降は、無 色トナーの仕事関数に近い順に有色トナー像が形成されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の定着方法。
  8. 前記無色トナーのゆるみ見掛け密度(Dc)、前記有色トナーのゆるみ見掛け密度の
    平均値(Da)が、
    0.010 ≦Dc−Da≦ 0.080 (g/cc)
    であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の定着方法。
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