JP2009109379A - 絶縁検査装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】検査用電圧の供給に伴う放電の発生の有無を正確に判定し得る絶縁検査装置を提供する。
【解決手段】検査用電圧Veを出力する電圧供給部4と、回路基板100の導体パターン102a〜102cに対する検査用電圧Veの供給によって生じる物理量を検出する検出部2と、検出部2によって検出された物理量に基づいて導体パターン102a〜102cにおける放電の発生の有無を判定する判定処理を行う制御部10とを備えて、回路基板100の絶縁状態を検査可能に構成され、検出部2は、電圧値Vm、電流値Im、光強度Lmおよび音量Nmの各物理量のうち、電圧値Vmおよび電流値Imの2つの物理量のみの組み合わせを除く2以上の物理量を検出し、制御部10は、検出部2によって検出された2以上の物理量に基づいて判定処理を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、検査対象体に検査用電圧を供給して検査対象体の絶縁状態を検査すると共に、絶縁状態の検査の際に放電が発生したか否かを判定可能に構成された絶縁検査装置に関するものである。
この種の検査装置として、特許3546046号公報に開示された絶縁検査装置が知られている。この絶縁検査装置は、回路基板に形成された配線パターン間に出力電圧を印加したときに、電圧計で検出される配線パターン間の電圧値と、電流計で検出された配線パターン間を流れる電流値とに基づいて配線パターン間の抵抗値を算出し、この抵抗値が閾値以上であるか否かを判別することで、回路基板の良否を判定可能に構成されている。また、この絶縁検査装置は、検査用電圧の印加に伴って配線パターン間でスパーク(放電)が発生したか否かを、電圧計から出力される電圧信号に基づいて検出するスパーク検出回路を備えて構成されている。この場合、この絶縁検査装置では、スパーク検出回路によってスパークの発生が検出されたときには、配線パターン間の抵抗値が閾値以上であるか否かに拘わらず検査対象の回路基板を不良と判定している。
特許3546046号公報(第5−9頁、第1図)
ところが、上記の絶縁検査装置には、以下の問題点がある。すなわち、この絶縁検査装置では、電圧計から出力される電圧信号に基づいてスパークが発生したか否かを判別している。一方、この種の絶縁検査装置を用いた絶縁検査は、一般的に、検査対象としての回路基板の製造工程内において行われるため、絶縁検査装置が設置される設置場所の周囲に、ノイズを発生する製造装置や電子機器等が設置されていることがある。この場合、これらの装置や機器から発生しているノイズが高レベルのときには、電圧計から出力される電圧信号にその高レベルのノイズが重畳して、スパーク検出回路によってその高レベルのノイズがスパークとして検出されるおそれがある。したがって、この絶縁検査装置には、実際にはスパークが発生していないにも拘わらず、スパークが発生したとして、実際には良品の回路基板が不良品と判定されるおそれがあるという問題点が存在する。この場合、このような誤判定が多発したときには、良品の回路基板が廃棄されることとなり、その結果多大な損害が発生する事態となる。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、検査用電圧の供給に伴う放電の発生の有無を正確に判定し得る絶縁検査装置を提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく請求項1記載の絶縁検査装置は、検査用電圧を出力する電圧供給部と、検査対象体の所定部位に対する前記検査用電圧の供給によって生じる物理量を検出する検出部と、当該検出部によって検出された前記物理量に基づいて前記所定部位における放電の発生の有無を判定する判定処理を行う処理部とを備え、前記所定部位に対して前記検査用電圧が供給された状態において当該検査対象体の絶縁状態を検査する絶縁検査装置であって、前記検出部は、電圧、電流、光および音の各物理量のうち、電圧および電流の2つの物理量のみの組み合わせを除く2以上の物理量を検出し、前記処理部は、前記検出部によって検出された前記2以上の物理量に基づいて前記判定処理を行う。
請求項2記載の絶縁検査装置は、請求項1記載の絶縁検査装置において、前記検出部は、前記2以上の物理量としての前記所定部位における電圧および当該所定部位において生じる光を検出し、前記処理部は、前記検出部によって検出された前記電圧の電圧値および前記光の光強度に基づいて前記判定処理を行う。
請求項3記載の絶縁検査装置は、請求項1記載の絶縁検査装置において、前記検出部は、前記2以上の物理量としての前記所定部位における電圧および当該所定部位において生じる音を検出し、前記処理部は、前記検出部によって検出された前記電圧の電圧値および前記音の音量に基づいて前記判定処理を行う。
請求項4記載の絶縁検査装置は、請求項1記載の絶縁検査装置において、前記検出部は、前記2以上の物理量としての前記所定部位を流れる電流および当該所定部位において生じる光を検出し、前記処理部は、前記検出部によって検出された前記電流の電流値および前記光の光強度に基づいて前記判定処理を行う。
請求項5記載の絶縁検査装置は、請求項1記載の絶縁検査装置において、前記検出部は、前記2以上の物理量としての前記所定部位を流れる電流および当該所定部位において生じる音を検出し、前記処理部は、前記検出部によって検出された前記電流の電流値および前記音の音量に基づいて前記判定処理を行う。
請求項6記載の絶縁検査装置は、請求項1記載の絶縁検査装置において、前記検出部は、前記2以上の物理量としての前記所定部位において生じる光および当該所定部位において生じる音を検出し、前記処理部は、前記検出部によって検出された前記光の光強度および前記音の音量に基づいて前記判定処理を行う。
請求項1記載の絶縁検査装置によれば、電圧、電流、光および音の各物理量のうち、電圧および電流の2つの物理量のみの組み合わせを除く2以上の物理量に基づいて処理部が判定処理を行うことにより、例えば、絶縁検査装置の周囲から発生するノイズに起因して、放電が実際には発生していないにも拘わらず発生したと誤判定される事態を確実に防止することができる結果、絶縁検査装置の周囲の環境に影響されることなく、検査用電圧の供給に伴う放電の発生の有無を正確に判定することができる。したがって、放電が実際に発生した検査対象体だけを不良品として選別することができるため、良品の検査対象体が不良品と誤判定されることに起因する損害の発生等を確実に防止することができる。また、双方にノイズが重畳し易い電圧と電流の2つのみの組み合わせで判別するのではなく、異種の物理量である光や音の変化にも基づいて放電の有無を判別することで、放電の発生有無の判定精度を十分に高めることができる。
また、請求項2記載の絶縁検査装置によれば、検出部によって検出された電圧の電圧値および光の光強度に基づいて処理部が判定処理を行うことにより、検出部から出力される光強度についての検出信号がノイズの影響を受け難いため、放電に伴って生じる電圧値の瞬時変化と、放電に伴って生じる閃光による光強度の瞬時変化とに基づいて判定処理を行うことで、放電の発生の有無をより確実に判定することができる。
また、請求項3記載の絶縁検査装置によれば、検出部によって検出された電圧の電圧値および音の音量に基づいて処理部が判定処理を行うことにより、検出部から出力される音量についての検出信号がノイズの影響を受け難いため、放電に伴って生じる電圧値の瞬時変化と、放電に伴って生じる破裂音や超音波による音量の瞬時変化とに基づいて判定処理を行うことで、放電の発生の有無をより確実に判定することができる。
また、請求項4記載の絶縁検査装置によれば、検出部によって検出された電流の電流値および光の光強度に基づいて処理部が判定処理を行うことにより、検出部から出力される光強度についての検出信号がノイズの影響を受け難いため、放電に伴って生じる電流値の瞬時変化と、放電に伴って生じる閃光による光強度の瞬時変化とに基づいて判定処理を行うことで、放電の発生の有無をより確実に判定することができる。
また、請求項5記載の絶縁検査装置によれば、検出部によって検出された電流の電流値および音の音量に基づいて処理部が判定処理を行うことにより、検出部から出力される音量についての検出信号がノイズの影響を受け難いため、放電に伴って生じる電流値の瞬時変化と、放電に伴って生じる破裂音や超音波による音量の瞬時変化とに基づいて判定処理を行うことで、放電の発生の有無をより確実に判定することができる。
また、請求項6記載の絶縁検査装置によれば、検出部によって検出された光の光強度および音の音量に基づいて処理部が判定処理を行うことにより、検出部から出力される光強度について検出信号、および音量についての検出信号が共にノイズの影響を受け難いため、放電に伴って生じる閃光による光強度の瞬時変化と、放電に伴って生じる破裂音や超音波による音量の瞬時変化とに基づいて判定処理を行うことで、放電の発生の有無をより確実に判定することができる。
以下、本発明に係る絶縁検査装置の最良の形態について、添付図面を参照して説明する。
最初に、絶縁検査装置1の構成について、図面を参照して説明する。
図1に示す絶縁検査装置1は、本発明に係る絶縁検査装置の一例であって、回路基板100(本発明における検査対象体の一例)における導体パターン102a,102b,102c・・・(本発明における所定部位、以下、区別しないときには、「導体パターン102」ともいう)間の絶縁状態を検査すると共に、絶縁状態の検査の際に導体パターン102に放電が発生したか否を判定することにより、回路基板100の良否を判別可能に構成されている。具体的には、絶縁検査装置1は、同図に示すように、検出部2、測定部3、電圧供給部4、プローブ機構5、スイッチ部6、操作部7、表示部8、記憶部9および制御部10を備えて構成されている。この場合、制御部10が本発明における処理部に相当する。
検出部2は、電圧検出回路21a、電流検出回路21b、光検出回路21cおよび音検出回路21d(以下、各検出回路21a,21b,21c,21dを区別しないときには、単に「検出回路21」ともいう)を備えて構成されている。電圧検出回路21aは、導体パターン102に対する電圧供給部4からの検査用電圧Veの供給によって生じる導体パターン102と接地電位との間の電圧(電位差)を検出して、その電圧値Vmを示す検出信号Saを出力する。電流検出回路21bは、検査用電圧Veの供給によって導体パターン102,102間に流れる電流を検出して、その電流値Imを示す検出信号Sbを出力する。光検出回路21cは、導体パターン102において発生する光を検出して、その光強度Lmを示す検出信号Scを出力する。音検出回路21dは、導体パターン102において発生する音(超音波)を検出して、その音量Nmを示す検出信号Sd(以下、各検出信号Sa,Sb,Sc,Sdを区別しないときには、単に「検出信号S」ともいう)を出力する。この場合、電圧(電圧値Vm)、電流(電流値Im)、光(光強度Lm)および音(音量Nm)が、本発明における物理量(以下、本明細書において「物理量Pm」ともいう)に相当する。
測定部3は、電圧測定回路31a、電流測定回路31b、光強度測定回路31cおよび音量測定回路31d(以下、各測定回路31a,31b,31c,31dを区別しないときには、単に「測定回路31」ともいう。)を備えて構成されている。この場合、各測定回路31は、A/D変換回路(図示せず)等を備えて構成されて、検出回路21から出力された検出信号Sをアナログ−デジタル変換して測定データD(以下、各測定回路31a,31b,31c,31dから出力される各測定データDを、それぞれ測定データDa,Db,Dc,Ddともいう)を出力する。電圧供給部4は、検査用電圧Veとしての直流電圧を出力する。プローブ機構5は、複数のプローブ51を備えて構成され、制御部10の制御に従い、回路基板100の導体パターン102に対して接離する方向に沿って各プローブ51を移動させる。
スイッチ部6は、複数のスイッチ61a〜61f(以下、各スイッチ61a〜61fを区別しないときには、単に「スイッチ61」ともいう)を備えて構成され、制御部10の制御に従って各スイッチ61をオン状態またはオフ状態に移行させることにより、プローブ51を介しての導体パターン102に対する検査用電圧Veの出力および出力停止、並びにプローブ51と電流検出回路21bとの接続および接続解除を行う。操作部7は、電源スイッチや検査開始スイッチ等の各種のスイッチを備えて構成されて、各スイッチの操作に対応する操作信号を出力する。表示部8は、制御部10の制御に従って検査結果等の各種の画像を表示する。記憶部9は、制御部10によって算出(測定)される抵抗値Rmを記憶する。また、記憶部9は、制御部10によって実行される絶縁検査処理70において用いられる基準抵抗値Rsや、制御部10によって実行される放電発生判定処理80において用いられる基準値Vs,Is,Ls,Nsを記憶する。
制御部10は、操作部7から出力される操作信号に従って絶縁検査装置1を構成する各部を制御する。また、制御部10は、絶縁検査処理70(図2参照)を実行することにより、電圧測定回路31aから出力される測定データDaおよび電流測定回路31bから出力される測定データDbに基づいて導体パターン102間の抵抗値Rmを算出(測定)すると共に、抵抗値Rmと基準抵抗値Rsとを比較して回路基板100の良否(各導体パターン102間の絶縁状態)を検査する。また、制御部10は、検出部2によって検出された電圧(電圧値Vm)、電流(電流値Im)、光(光強度Lm)および音(音量Nm)の各物理量Pmのうち、電圧(電圧値Vm)および電流(電流値Im)の2つの物理量Pmのみの組み合わせを除く2以上の物理量Pmに基づいて導体パターン102における放電(スパーク放電やアーク放電)の発生の有無を判定する放電発生判定処理80(本発明における判定処理:図3参照)を実行する。
次に、絶縁検査装置1を用いて回路基板100の絶縁検査を行う絶縁検査方法およびその際の絶縁検査装置1の動作について、図面を参照して説明する。なお、回路基板100は、図1に示すように、複数(少なくとも3つ)の導体パターン102a,102b,102cを備えているものとする。
まず、検査対象の回路基板100を図外の載置台に載置し、次いで、操作部7を用いて検査開始操作を行う。この際に、制御部10が、操作部7から出力された操作信号に従って図2に示す絶縁検査処理70を開始する。この絶縁検査処理70では、制御部10は、プローブ機構5を制御して(ステップ71)、図1に示すように、回路基板100の各導体パターン102a,102b,102cに各プローブ51をそれぞれ接触させる。続いて、制御部10は、スイッチ部6を制御して(ステップ72)、同図に示すように、例えば、各スイッチ61a〜61fのうちのスイッチ61a,61d,61fをオン状態に移行させると共に、スイッチ61b,61c,61eをオフ状態に移行させる。これにより、導体パターン102aに対して、電圧供給部4からの検査用電圧Veが供給される。
次いで、電圧検出回路21aが、導体パターン102aにおける電圧を検出して検出信号Saを出力し、電圧測定回路31aが検出信号Saをアナログ−デジタル変換して測定データDaを出力する。また、電流検出回路21bが、各導体パターン102間(この例では、導体パターン102aと、導体パターン102b,102cとの間)を流れる電流を検出して検出信号Sbを出力し、電流測定回路31bが検出信号Sbをアナログ−デジタル変換して測定データDbを出力する。続いて、制御部10は、一例として、測定データDaによって特定される電圧値Vmを、測定データDbによって特定される電流値Imで除算することにより、各導体パターン102間の絶縁抵抗の抵抗値Rmを算出する(ステップ73)。
この場合、上記したように、スイッチ61a,61d,61fがオン状態でスイッチ61b,61c,61eがオフ状態のため、導体パターン102a,102b間および導体パターン102a,102c間に絶縁不良(短絡)が生じておらず絶縁状態が良好なときには、導体パターン102a,102b間および導体パターン102a,102c間には電流が殆ど流れない状態に維持される。したがって、この状態では、電流検出回路21bによって検出される電流の電流値Imがほぼ0に維持されるため、制御部10によって算出される各導体パターン102間の抵抗値Rmが十分大きな値となる。一方、導体パターン102a,102b間および導体パターン102a,102c間のいずれかにおいて絶縁不良が生じていているときには、電流検出回路21bによって検出される電流値Imが所定の値以上となる。したがって、この状態では、制御部10によって算出される各導体パターン102間の抵抗値Rmが小さな値となる。
次いで、制御部10は、算出した抵抗値Rmを記憶部9に記憶させる。続いて、制御部10は、全ての導体パターン102間についての抵抗値Rmの算出が完了したか否かを判別する(ステップ74)。この場合、この時点では、導体パターン102b,102c間の抵抗値Rmを算出していないため、制御部10は、スイッチ部6を制御して(ステップ72)、各スイッチ61a〜61fのうちのスイッチ61c,61fをオン状態に移行させると共に、スイッチ61a,61b,61d,61eをオフ状態に移行させる。これにより、導体パターン102bに対して、電圧供給部4からの検査用電圧Veが供給される。
次いで、制御部10は、電圧測定回路31aから出力された測定データDaによって特定される導体パターン102bにおける電圧の電圧値Vmを、測定データDbによって特定される導体パターン102b,102cの間を流れる電流の電流値Imで除算することにより、導体パターン102b,102c間の抵抗値Rmを算出する(ステップ73)。この場合、制御部10によって算出される導体パターン102b,102c間の抵抗値Rmは、導体パターン102b,102c間において絶縁不良が生じておらず絶縁状態が良好なときには十分大きな値となり、導体パターン102b,102c間において絶縁不良が生じていているときには小さな値となる。
続いて、制御部10は、算出した抵抗値Rmを記憶部9に記憶させた後に、上記したステップ74を実行する。この場合、全ての導体パターン102間の抵抗値Rmの算出が完了しているため、制御部10は、記憶部9から各抵抗値Rmおよび基準抵抗値Rsを読み出すと共に、抵抗値Rmと基準抵抗値Rsとを比較して(例えば、抵抗値Rmが基準抵抗値Rs以上であるか否かを判別して)回路基板100の絶縁状態の良否を判定する(ステップ75)。この場合、制御部10は、各抵抗値Rmが基準抵抗値Rs以上のときには、回路基板100の絶縁状態が良好であると判定し(ステップ76)、抵抗値Rmが基準抵抗値Rs以上のときには、回路基板100の絶縁状態が不良であると判定して(ステップ77)、その判別結果を示す画像を表示部8に表示させて、絶縁検査処理70を終了する。
ここで、この絶縁検査装置1を含むこの種の絶縁検査装置では、比較的高圧の検査用電圧Veを用いるため、プローブ51と導体パターン102との間や、各導体パターン102間で放電が発生することがある。この場合、このような放電が発生したときには、回路基板100が損傷を受けて、この損傷に起因して、後に絶縁不良を引き起こすおそれがある。このため、この絶縁検査装置1では、制御部10が、絶縁検査処理70の実行と並行して、図3に示す放電発生判定処理80を実行することにより、放電の発生有無を判定している。
この放電発生判定処理80では、制御部10は、上記したように、電圧(電圧値Vm)、電流(電流値Im)、光(光強度Lm)および音(音量Nm)の各物理量Pmのうち、電圧(電圧値Vm)および電流(電流値Im)の2つの物理量Pmのみの組み合わせを除く2以上の物理量Pmに基づき、導体パターン102における放電(スパーク放電やアーク放電)の発生の有無を判定する。具体的には、制御部10は、各測定回路31から出力される測定データDに基づき、電圧値Vm、電流値Im、光強度Lmおよび音量Nmの各物理量Pmのいずれか1つ(1種類)が、各々の物理量Pmに対して規定された基準値Vs,Is,Ls,Ns以上に瞬時的に変化(瞬時変化)したか否かを繰り返して判別する(ステップ81)。
ここで、放電が発生したときには、電圧値Vm、電流値Im、光強度Lmおよび音量Nmが瞬時的に変化する。具体的には、放電の発生時には、瞬間的に大電流が流れるため、電圧値Vmが瞬時的に立ち下がり、電流値Imが瞬時的に立ち上がる。また、放電の発生に伴って閃光および破裂音(超音波)が生じたときには、光強度Lmが瞬時的に上昇し、音量Nmが瞬時的に上昇する。したがって、各検出回路21によって検出された各物理量Pmの変化量や変化率と基準値Vs,Is,Ls,Nsとを比較することで、放電が発生したか否かを判別することができる。具体的には、制御部10は、測定データDa〜Ddの各値を監視することで、電圧値Vmの変化量(低下量)、電流値Imの変化量(上昇量)、光強度Lmの変化量(上昇量)および音量Nmの変化量(上昇量)を求め、電圧値Vmの変化量(低下量)が基準値Vs以上となり、電流値Imの変化量(上昇量)が基準値Is以上となり、光強度Lmの変化量(上昇量)が基準値Ls以上となり、音量Nmの変化量(上昇量)が基準値Ns以上となったときには、後述するように、放電が発生したと判別する。
一方、この種の絶縁検査装置は、一般的に、回路基板100の製造工程内において使用されるため、製造装置等の他の装置から高レベルのノイズが発生しているときには、その高レベルのノイズが検出信号Sに重畳する。このため、電圧計から出力される電圧信号のみに基づいて放電が発生したか否かを判別している従来の絶縁検査装置では、ノイズが重畳することに起因して放電が発生したと誤って判定(誤判定)されるおそれがある。これに対して、この絶縁検査装置1では、互いに種類の異なる複数の物理量Pmの瞬時変化に基づいて判定を行うことで、誤判定を確実に防止している。具体的には、制御部10は、上記したステップ81において、いずれか1つの物理量Pmが瞬時変化したと判別したときには、所定の時間T以内に他の物理量Pmが瞬時変化したか否かを判別する(ステップ82)。
この場合、実際に放電が発生してから物理量Pmが瞬時変化するまでの時間(遅延時間)は、物理量Pmの種類によって異なっている。例えば、放電の発生に伴う電流値Imの瞬時変化は、電圧値Vmの瞬時変化よりも遅れて現れる。また、音量Nmの瞬時変化は、光強度Lmの瞬時変化よりも遅れて現れる。このため、例えば電圧値Vmまたは光強度Lmの瞬時変化を監視し、その後にそれ以外の物理量Pmの瞬時変化が生じたか否かを判別することで複数の物理量Pmが瞬時変化したか否かを確実に判別することが可能となっている。
続いて、制御部10は、ステップ82において、時間T以内に他の物理量Pmが瞬時変化しなかったと判別したときには、上記したステップ81を繰り返して実行する。一方、ステップ82において、時間T以内に他の物理量Pmが瞬時変化したと判別したときには、制御部10は、瞬時変化した物理量Pmが電圧値Vmおよび電流値Imの2つだけであるか否かを判別する(ステップ83)。この場合、制御部10は、瞬時変化した物理量Pmが電圧値Vmおよび電流値Imの2つだけであると判別したときには、上記したステップ81を繰り返して実行する。一方、瞬時変化した物理量Pmが電圧値Vmおよび電流値Imの2つだけではない、つまり、電圧値Vmおよび電流値Imの2つの物理量Pmのみの組み合わせを除く2以上の物理量Pmが瞬時変化したと判別したときには、制御部10は、検査対象の回路基板100において放電が発生したと判定して(ステップ84)、その判定結果を示す画像を表示部8に表示させて、放電発生判定処理80を終了する。この場合、制御部10は、上記した絶縁検査処理70の実行中において放電が発生したと判定したとき(ステップ84を実行したとき)には、絶縁検査処理70を終了する。これにより、放電が実際に発生した回路基板100だけが、その旨を確実に判定される。
このように、この絶縁検査装置1では、電圧値Vm、電流値Im、光強度Lmおよび音量Nmの各物理量Pmのうち、電圧値Vmおよび電流値Imの2つの物理量Pmのみの組み合わせを除く2以上の物理量Pmに基づいて制御部10が判定処理を行う。このため、例えば、周囲から発生するノイズに起因して、放電が実際には発生していないにも拘わらず発生したと誤判定される事態を確実に防止することができる結果、絶縁検査装置1の周囲の環境に影響されることなく、検査用電圧Veの供給に伴う放電の発生の有無を正確に判定することができる。したがって、放電が実際に発生した回路基板100だけを不良品として選別することができるため、良品の回路基板が不良品と誤判定されることに起因する損害の発生等を確実に防止することができる。また、双方にノイズが重畳し易い電圧値Vmと電流値Imの2つのみの組み合わせで判別するのではなく、異種の物理量である光強度Lmや音量Nmの変化にも基づいて放電の有無を判別することで、放電の発生有無の判定精度を十分に高めることができる。
また、この絶縁検査装置1によれば、2以上の物理量Pmとしての、電圧検出回路21aによって検出された電圧の電圧値Vm、および光検出回路21cによって検出された光の光強度Lmに基づいて制御部10が判定処理を行うことにより、光検出回路21cから出力される検出信号Scがノイズの影響を受け難いため、放電に伴って生じる電圧値Vmの瞬時変化と、放電に伴って生じる閃光による光強度Lmの瞬時変化とに基づいて判定処理を行うことで、放電の発生の有無をより確実に判定することができる。この場合、上記した放電発生判定処理80において、電圧値Vmおよび光強度Lmのいずれか一方に瞬時変化が生じたときに(ステップ81)、電圧値Vmおよび光強度Lmのいずれか他方に瞬時変化が生じたかを判別する(ステップ82)。
また、この絶縁検査装置1によれば、2以上の物理量Pmとしての、電圧検出回路21aによって検出された電圧の電圧値Vm、および音検出回路21dによって検出された音の音量Nmに基づいて制御部10が判定処理を行うことにより、音検出回路21dから出力される検出信号Sdがノイズの影響を受け難いため、放電に伴って生じる電圧値Vmの瞬時変化と、放電に伴って生じる破裂音や超音波による音量Nmの瞬時変化とに基づいて判定処理を行うことで、放電の発生の有無をより確実に判定することができる。この場合、上記した放電発生判定処理80において、電圧値Vmの瞬時変化が生じたときに(ステップ81)、音量Nmの瞬時変化が生じたかを判別する(ステップ82)のが好ましい。
また、この絶縁検査装置1によれば、2以上の物理量Pmとしての、電流検出回路21bによって検出された電流の電流値Im、および光検出回路21cによって検出された光の光強度Lmに基づいて制御部10が判定処理を行うことにより、光検出回路21cから出力される検出信号Scがノイズの影響を受け難いため、放電に伴って生じる電流値Imの瞬時変化と、放電に伴って生じる閃光による光強度Lmの瞬時変化とに基づいて判定処理を行うことで、放電の発生の有無をより確実に判定することができる。この場合、上記した放電発生判定処理80において、光強度Lmの瞬時変化が生じたときに(ステップ81)、電流値Imの瞬時変化が生じたかを判別する(ステップ82)のが好ましい。
また、この絶縁検査装置1によれば、2以上の物理量Pmとしての、電流検出回路21bによって検出された電流の電流値Im、および音検出回路21dによって検出された音の音量Nmに基づいて制御部10が判定処理を行うことにより、音検出回路21dから出力される検出信号Sdがノイズの影響を受け難いため、放電に伴って生じる電流値Imの瞬時変化と、放電に伴って生じる破裂音や超音波による音量Nmの瞬時変化とに基づいて判定処理を行うことで、放電の発生の有無をより確実に判定することができる。この場合、上記した放電発生判定処理80において、電流値Imの瞬時変化が生じたときに(ステップ81)、音量Nmの瞬時変化が生じたかを判別する(ステップ82)のが好ましい。
また、この絶縁検査装置1によれば、2以上の物理量Pmとしての、光検出回路21cによって検出された光の光強度Lm、および音検出回路21dによって検出された音の音量Nmに基づいて制御部10が判定処理を行うことにより、光検出回路21cから出力される検出信号Sc、および音検出回路21dから出力される検出信号Sdが共にノイズの影響を受け難いため、放電に伴って生じる閃光による光強度Lmの瞬時変化と、放電に伴って生じる破裂音や超音波による音量Nmの瞬時変化とに基づいて判定処理を行うことで、放電の発生の有無をより確実に判定することができる。この場合、上記した放電発生判定処理80において、光強度Lmの瞬時変化が生じたときに(ステップ81)、音量Nmの瞬時変化が生じたかを判別する(ステップ82)のが好ましい。
なお、本発明は、上記の構成に限定されない。例えば、電圧値Vmおよび電流値Imの2つの物理量のみの組み合わせを除く2以上の物理量Pmが各々の物理量Pmに対して規定された基準値Vs,Is,Ls,Ns以上に瞬時変化したときに、放電が発生したと判定する例(上記した放電発生判定処理80)について上記したが、これらの2以上の物理量Pmを用いて所定の演算処理を行い、その演算結果が所定の条件を満たしたときに放電が発生したと判定する構成を採用することもできる。具体的には、上記2以上の物理量Pmを乗算処理し、その値が基準値以上(または以下)のときに放電が発生したと判定するように構成してもよい。また、4つの検出回路21を備えて検出部2を構成した例について上記したが、電圧検出回路21a、電流検出回路21b、光検出回路21cおよび音検出回路21dのうち、電圧検出回路21aおよび電流検出回路21bのみの組み合わせを除く2以上の検出回路21を備えた検出部2を採用することもできる。
絶縁検査装置1の構成を示す構成図である。 絶縁検査処理70のフローチャートである。 放電発生判定処理80のフローチャートである。
符号の説明
1 絶縁検査装置
2 検出部
21a 電圧検出回路
21b 電流検出回路
21c 光検出回路
21d 音検出回路
4 電圧供給回路
10 制御部
100 回路基板
102a〜102c導体パターン
Im 電流値
Lm 光強度
Nm 音量
Pm 物理量
Ve 検査用電圧
Vm 電圧値

Claims (6)

  1. 検査用電圧を出力する電圧供給部と、検査対象体の所定部位に対する前記検査用電圧の供給によって生じる物理量を検出する検出部と、当該検出部によって検出された前記物理量に基づいて前記所定部位における放電の発生の有無を判定する判定処理を行う処理部とを備え、前記所定部位に対して前記検査用電圧が供給された状態において当該検査対象体の絶縁状態を検査する絶縁検査装置であって、
    前記検出部は、電圧、電流、光および音の各物理量のうち、電圧および電流の2つの物理量のみの組み合わせを除く2以上の物理量を検出し、
    前記処理部は、前記検出部によって検出された前記2以上の物理量に基づいて前記判定処理を行う絶縁検査装置。
  2. 前記検出部は、前記2以上の物理量としての前記所定部位における電圧および当該所定部位において生じる光を検出し、
    前記処理部は、前記検出部によって検出された前記電圧の電圧値および前記光の光強度に基づいて前記判定処理を行う請求項1記載の絶縁検査装置。
  3. 前記検出部は、前記2以上の物理量としての前記所定部位における電圧および当該所定部位において生じる音を検出し、
    前記処理部は、前記検出部によって検出された前記電圧の電圧値および前記音の音量に基づいて前記判定処理を行う請求項1記載の絶縁検査装置。
  4. 前記検出部は、前記2以上の物理量としての前記所定部位を流れる電流および当該所定部位において生じる光を検出し、
    前記処理部は、前記検出部によって検出された前記電流の電流値および前記光の光強度に基づいて前記判定処理を行う請求項1記載の絶縁検査装置。
  5. 前記検出部は、前記2以上の物理量としての前記所定部位を流れる電流および当該所定部位において生じる音を検出し、
    前記処理部は、前記検出部によって検出された前記電流の電流値および前記音の音量に基づいて前記判定処理を行う請求項1記載の絶縁検査装置。
  6. 前記検出部は、前記2以上の物理量としての前記所定部位において生じる光および当該所定部位において生じる音を検出し、
    前記処理部は、前記検出部によって検出された前記光の光強度および前記音の音量に基づいて前記判定処理を行う請求項1記載の絶縁検査装置。
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