JP2009108185A - 積層型粘着剤 - Google Patents

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JP2009108185A JP2007281599A JP2007281599A JP2009108185A JP 2009108185 A JP2009108185 A JP 2009108185A JP 2007281599 A JP2007281599 A JP 2007281599A JP 2007281599 A JP2007281599 A JP 2007281599A JP 2009108185 A JP2009108185 A JP 2009108185A
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康子 鈴木
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Abstract

【課題】被着体へのマイグレーションが実質的に抑制され、経時変化の小さい積層型粘着剤を提供する。
【解決手段】複数の異なる粘着剤が支持体に層状に形成され、一の粘着剤層を被着体に接触させ、別の粘着剤層を支持体に接触させることで、被着体と支持体を貼り合わせる積層型粘着剤であって、被着体に接する粘着剤層は、メタクリル酸誘導体に由来する重合体ブロック(A)及びアクリル酸誘導体に由来する重合体ブロック(B1)を含有する(I)アクリル系ブロック共重合体と、アクリル酸誘導体に由来する重合体(B2)を含有し重量平均分子量が1000〜10000の低分子量重合体である(II)アクリル重合体を含んで成るホットメルト型粘着剤である積層型粘着剤である。
【選択図】図1

Description

本発明は、少なくとも二種類の粘着剤層を含んで成る積層型粘着剤に関し、より具体的には、例えばテープ及びシート等の支持体に配置される積層型粘着剤であり、特に、木材、金属及び無機建材等の被着体に支持体を貼り付けるための積層型粘着剤に関する。
例えば、家屋の工事、荷物の運搬及び金属加工等の際、養生用として粘着シートや粘着テープが用いられる。養生用途では、ポリエチレンやポリプロピレン等の支持体に、アクリル系樹脂、ウレタン樹脂、スチレン樹脂等からなる粘着剤が塗工されて粘着剤層が形成された粘着テープ、粘着シートが利用される。これら粘着テープや粘着シートは、養生用途の他にも、包装用及び結束用等に幅広く利用される。
粘着テープ及び粘着シートに塗工される粘着剤の一例として、ホットメルト型粘着剤を例示できる。ホットメルト型粘着剤には、多くの種類があり、その種類によって長所及び短所が異なるので、複数のホットメルト型粘着剤を粘着剤層として支持体上に重ね、用途や被着体との相性を考慮して、粘着剤層が形成された粘着テープ及び粘着シートが作製される。
例えば、特許文献1及び特許文献2は、複数の粘着剤が支持体に塗工されて支持体上に粘着剤層が形成された粘着テープを開示する。特許文献1は、第1のホットメルト粘着剤と第2のホットメルト粘着剤を積層して粘着剤層を形成することを開示し、特許文献2は、ホットメルト粘着剤と非ホットメルト粘着剤を積層した粘着剤層を形成することを開示する。
これらの文献に記載の粘着テープを、金属や木材等の被着体に貼り付けると、粘着剤層に含まれる可塑剤や酸化防止剤等が被着体へ移行する現象、いわゆるマイグレーションを生ずることが一般的である。更に、複数種の粘着剤層から形成された積層された粘着剤層は、例えば、粘着剤層の界面で互いの粘着剤層が影響を及ぼしあい、本来の粘着物性を発揮できない、また例えば粘着剤層と支持体との間で影響を及ぼしあい、粘着剤層と支持体との間で剥離を生じ易くなる等、接着強度等の経時変化が大きくなることもしばしばである。
近年、粘着テープや粘着シート上に塗工される粘着剤として、アクリルブロック重合体を含有するホットメルト型粘着剤が注目されている。例えば、特許文献3は、組成物中に、約50重量%未満のアクリルトリブロックが存在するホットメルト接着剤組成物を開示し、更に、該ホットメルト接着剤組成物は、支持体に塗工されて工業用テープ及び転写フィルム等を製造するために使用されることを開示する。
特許文献3に記載のアクリルトリブロック含有ホットメルト型粘着剤は、支持体上に形成された場合、ゴム系ホットメルト型粘着剤、エチレン酢酸ビニル系ホットメルト型粘着剤よりも、被着体へのマイグレーションが幾分小さい傾向にある。しかし、粘着剤に求められる性能は、年々高くなっているので、マイグレーションを更に少なくする必要がある。更に、特許文献3に記載のアクリルトリブロック含有ホットメルト型粘着剤と別の粘着剤とを、支持体上に積層させて粘着剤層を形成すると、両方の粘着剤層が、互いに粘着剤層の界面で影響を及ぼしあい、得られる積層型粘着剤の剥離強度等の経時変化が大きくなってしまう。
特開平8−199122 特開平11−115090 特開2004−204231
本発明は、これらの課題を達成するためになされたものであり、マイグレーションがなく、経時変化の小さい積層型粘着剤を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題について鋭意検討を行った結果、特定のアクリル系ブロック共重合体と特定のアクリル重合体とを配合してホットメルト型粘着剤とし、このホットメルト型粘着剤と別の粘着剤とを用いて積層型粘着剤を製造すると、積層型粘着剤の経時変化が小さくなり、積層型粘着剤から被着体へのマイグレーションについても抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
複数の異なる粘着剤が支持体に層状に形成され、一の粘着剤層を被着体に接触させ、別の粘着剤層を支持体に接触させることで、被着体と支持体とを貼り合わせる積層型粘着剤であって、
被着体に接する粘着剤層は、(I)アクリル系ブロック共重合体と(II)アクリル重合体とを含むホットメルト型粘着剤であり、
(I)アクリル系ブロック共重合体は、メタクリル酸誘導体に由来する重合体ブロック(A)及びアクリル酸誘導体に由来する重合体ブロック(B1)を含有するブロック共重合体、
(II)アクリル重合体は、アクリル酸誘導体に由来する重合体(B2)を含み、重量平均分子量が1000〜10000の低分子量重合体、
であることを特徴とする積層型粘着剤を提供する。
更に、本発明の一の態様において、
(I)アクリル系ブロック共重合体は、式(1):
A−B1−A (1)
で示されるトリブロック共重合体を含んで成る、上述の積層型粘着剤を提供する。
また、重合体ブロック(B1)を得るために使用されるアクリル酸誘導体は、式(2):
CH=CH−COO−R (2)
[ただし、Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアリールアルキル基から選択される少なくとも一種であり、その有する炭素原子数は1〜12である。Rは、分枝を有してよく、更に、ヘテロ原子に割り込まれていてもよい。]
で示される化合物であり、
重合体(B2)を得るために使用されるアクリル酸誘導体は、式(3):
CH=CH−COO−R (3)
[ただし、Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアリールアルキル基から選択される少なくとも一種であり、その有する炭素原子数は1〜8である。Rは、分枝を有してよく、更に、ヘテロ原子に割り込まれていてもよい。]
で示される化合物である上述の積層型粘着剤を提供する。
本発明の別の態様として、
(I)アクリル系ブロック共重合体は、重量平均分子量が10000〜200000である上述の積層型粘着剤を提供する。
本発明の更に好ましい態様として、
ホットメルト型粘着剤層は、(I)アクリル系ブロック共重合体と(II)アクリル重合体の合計100重量部に対し、(I)アクリル系ブロック共重合体の重量が20〜95重量部である上述の積層型粘着剤を提供する。
本明細書において「・・・に由来する」とは、「・・・に基づいて得られる」ことを意味し、より具体的には「・・・が反応して得られる又は出発物質として・・・から誘導される」ことを意味する。従って、例えば、「メタクリル酸誘導体に由来する重合体ブロック」とは、「メタクリル酸誘導体に基づいて得られる重合体ブロック」を意味し、その重合体ブロックはメタクリル酸誘導体に基づく重合単位を有する。「アクリル酸誘導体に由来する重合体ブロック」とは、「アクリル酸誘導体に基づいて得られる重合体ブロック」を意味し、その重合体ブロックは、アクリル酸誘導体に基づく重合単位を有する。「アクリル酸誘導体に由来する重合体」とは、「アクリル酸誘導体に基づいて得られる重合体」を意味し、その重合体は、アクリル酸誘導体に基づく重合単位を有する。
本明細書において「粘着剤」とは、粘着性を有する組成物をいう。「粘着性」とは、高粘度液体に一般的にみられる現象であるが、「粘着テープ」等に使用する観点からは、特に、水、溶剤、熱等を利用することなく、手で軽く貼り合わせると直ちに実用に耐え得る接着力を発揮することをいう。この性質は、「感圧タック」若しくは単に「タック」と呼ばれる。「粘着剤」には、「粘着性」を発揮するため、被着体に濡れる「流動性」と、接着後の剥離に抵抗する「凝集力」という、相反する二つの特性が要求される。
また、本明細書において、「ホットメルト型粘着剤」とは、ホットメルトタイプの粘着剤をいい、一般的には、熱可塑性の粘着剤であって、加熱することで溶融する粘着剤をいう。
本発明に係る積層型粘着剤は、
複数の異なる粘着剤が支持体に層状に形成され、一の粘着剤層を被着体に接触させ、別の粘着剤層を支持体に接触させることで、被着体と支持体とを貼り合わせる積層型粘着剤であって、
被着体に接する粘着剤層は、(I)アクリル系ブロック共重合体と(II)アクリル重合体とを含むホットメルト型粘着剤であり、
(I)アクリル系ブロック共重合体は、メタクリル酸誘導体に由来する重合体ブロック(A)及びアクリル酸誘導体に由来する重合体ブロック(B1)を含有するブロック共重合体、
(II)アクリル重合体は、アクリル酸誘導体に由来する重合体(B2)を含み、重量平均分子量が1000〜10000の低分子量重合体、
であるので、
塗工性が良く、被着体に接する粘着剤層と別の粘着剤層とが互いに影響することなく、経時変化が小さい。更に、被着体に接するホットメルト型粘着剤層は、成分(I)との相溶性が高い(II)アクリル重合体を含むので、被着体へのマイグレーションが実質的に生じない。
(I)アクリル系ブロック共重合体が、式(1):
A−B1−A (1)
で示されるトリブロック共重合体を含んで成る場合、
粘着剤のゴム弾性がより良好となり、粘着剤が凝集破壊する可能性をより減ずることができる。
重合体ブロック(B1)を得るために使用されるアクリル酸誘導体は、式(2):
CH=CH−COO−R (2)
[ただし、Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアリールアルキル基から選択される少なくとも一種であり、その有する炭素原子数は1〜12である。Rは、分枝を有してよく、更に、ヘテロ原子に割り込まれていてもよい。]
で示される化合物であり、
重合体(B2)を得るために使用されるアクリル酸誘導体は、式(3):
CH=CH−COO−R (3)
[ただし、Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアリールアルキル基から選択される少なくとも一種であり、その有する炭素原子数は1〜8である。Rは、分枝を有してよく、更に、ヘテロ原子に割り込まれていてもよい。]
で示される化合物である場合、
成分(I)と(II)の相溶性がより向上し、粘着剤の塗工性も向上し得る。
(I)アクリル系ブロック共重合体は、重量平均分子量が10000〜200000である場合、粘着剤の耐熱性と塗工適性とのバランスがより良好になる。
ホットメルト型粘着剤層は、成分(I)、成分(II)の合計重量100重量部に対し、成分(I)を20〜95重量部含む場合、ホットメルト型粘着剤の塗工性がより良好となり、また得られる積層型粘着剤から被着体へのマイグレーションを更に無くすことができる。
発明を実施するための形態
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、下記の詳細な説明において、単に「粘着剤」という場合、実質的に層状(又はシート状)とされていない粘着剤を意味し、粘着剤層(層状の粘着剤又は粘着剤シート等)という場合、層状とされた粘着剤を意味する。従って、ホットメルト型粘着剤1aとは、粘着剤層1aを形成するためのホットメルト型粘着剤を意味し、粘着剤(又は別の粘着剤)1b及び1cとは、粘着剤層1b及び1cを形成するための粘着剤を意味する。
図1は、本発明に係る積層型粘着剤の一実施形態を示す模式断面図である。
同図に示すように、2層型の積層型粘着剤1は、ホットメルト型粘着剤層1aと別の粘着剤層1bが積層されたものである。ホットメルト型粘着剤層1aが被着体3と接触し、別の粘着剤層1bが支持体2と接触することで、支持体2と被着体3が貼り付けられる。
図2は、本発明に係る積層型粘着剤の他の実施形態を示す模式断面図である。同図に示すように、3層型の積層型粘着剤1は、ホットメルト型粘着剤層1aと別の粘着剤層1b及び1cが積層されたものである。2層型の積層粘着剤と同様、3層型の積層粘着剤1も、ホットメルト型粘着剤層1aは被着体3と接触し、別の粘着剤層1bが支持体2と接触することで、支持体2と被着体3が貼り付けられる。別の粘着剤層1cは、粘着剤層1aと1bの両方と接触することになる。
尚、本発明に係る積層型粘着剤は、図1及び図2に示される形態(即ち、2層型の積層型粘着剤及び3層型の積層型粘着剤)のみに限定するものではなく、4層以上の粘着剤層を有する積層型粘着剤も含む。以下、積層型粘着剤1を構成する各要素(部材又は要件)について説明する。
本発明において、「支持体」2とは、少なくとも二種類の粘着剤層を含んで成る積層型粘着剤1が配置され、支持される基材をいう。
支持体2の材質として、例えば、紙、布及びプラスチック等を例示できるが、プラスチックが好ましい。プラスチックとして、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート及びポリウレタンを例示できる。支持体2の形態としては、積層型粘着剤1を支持できる形態であればよく、具体的には、例えば、フィルム、シート及びテープを例示できる。
本発明において、「被着体」3とは、(I)アクリル系ブロック共重合体と(II)アクリル重合体を含むホットメルト型粘着剤層1aと接触する部材をいう。より具体的には、上述した支持体と貼り合わせる対象を被着体という。被着体3の材質は特に限定されるものではないが、例えば、プラスチック、木材、合成木材、金属、ガラス、紙、繊維及び無機質形成部材を例示できる。
本発明において、「積層型粘着剤」1とは、少なくとも二種類の粘着剤層を含んで成る積層体であって、粘着剤として使用し得るものをいう。「積層型粘着剤」1には、2層型粘着剤(2種類の粘着剤層を含んで成る積層体)、3層型粘着剤、4層型粘着剤、及び5層以上の粘着剤層を含んで成る粘着剤を含み、2層型粘着剤に限定されるものではない。
本発明に関するホットメルト型粘着剤層1aは、熱可塑性であり、加熱することで溶融するが、更に、(I)アクリル系ブロック共重合体及び(II)アクリル重合体を含有し、積層型粘着剤1を構成する粘着剤層の1つである。
ホットメルト型粘着剤1aの必須成分である、(I)アクリル系ブロック共重合体及び(II)アクリル重合体について以下に説明する。
本発明において、「(I)アクリル系ブロック共重合体」とは、メタクリル酸誘導体に由来する重合体ブロック(A)及びアクリル酸誘導体に由来する重合体ブロック(B1)を含んで成るブロック共重合体をいう。「(I)アクリル系ブロック共重合体」は、目的とするホットメルト型粘着剤を得られる限り、他の重合体ブロック、重合部分、重合単位等を含んで成ってよく、特に制限されるものではないが、他の重合体ブロック、重合部分、重合単位等を含まない方が好ましい。尚、(I)アクリル系ブロック共重合体は、メタクリル酸誘導体に由来する重合体ブロック(A)を必須の特徴として含むので、(II)アクリル重合体とは区別される。
「重合体ブロック(A)」とは、メタクリル酸誘導体に由来する重合体ブロックをいい、目的とするホットメルト型粘着剤を得られる限り、特に制限されるものではない。
ここで、「メタクリル酸誘導体」とは、メタクリル酸及びメタクリル酸エステルから選択される少なくとも一種をいう。「メタクリル酸エステル」とは、式(4):
CH=C(CH)−COO−R (4)
[ただし、Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアリールアルキル基から選択される少なくとも一種であり、その有する炭素原子数は1〜10であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、1〜6であることが特に好ましい。Rは、分枝を有してよく、更に、例えば、酸素、窒素及び硫黄等のヘテロ原子に割り込まれていてもよい。]
で示される化合物をいう。
メタクリル酸誘導体は、メタクリル酸エステルであることが好ましく、メタクリル酸アルキルエステルであることがより好ましい。
そのような「メタクリル酸誘導体」として、下記の化合物を例示することができる:
メタクリル酸;
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、s−ブチルメタクリレート等のメタクリル酸アルキルエステル。
これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、メチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートが好ましく、特にメチルメタクリレートが望ましい。
また「重合体ブロック(B1)」とは、アクリル酸に由来する重合体ブロックをいい、目的とするホットメルト型粘着剤を得られる限り、特に制限されるものではない。
ここで、「アクリル酸誘導体」とは、アクリル酸及びアクリル酸エステルから選択される少なくとも一種をいう。「アクリル酸エステル」とは、式(2):
CH=CH−COO−R (2)
[ただし、Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアリールアルキル基から選択される少なくとも一種であり、その有する炭素原子数は1〜12であることが好ましく、2〜10であることがより好ましく、4〜8であることが特に好ましい。Rは、分枝を有してよく、更に、例えば、酸素、窒素及び硫黄等のヘテロ原子に割り込まれていてもよい。]
で示される化合物をいう。
アクリル酸誘導体は、アクリル酸エステルであることが好ましく、アクリル酸アルキルエステルであることがより好ましい。
そのような「アクリル酸誘導体」として、下記化合物を例示することができる:
アクリル酸;
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、s−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、i−オクチルアクリレート、デシルメチルアクリレート、ステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルアクリレート、トリフルオロメチルアクリレート、トリメトキシシリルプロピルアクリレート、ドデシルアクリレート、トリデシルアクリレート等のアクリル酸エステル。
これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明では、重合体ブロック(B1)を得るために使用されるアクリル酸誘導体は、上記式(2)の化合物であって、Rが、1〜12の炭素原子を含むアクリル酸アルキルエステルであることが好ましく、特にn−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート及びラウリルアクリレートが好ましい。この中でもn−ブチルアクリレートが最も望ましい。
本発明におけるアクリル系ブロック共重合体(I)は、目的とするホットメルト型粘着剤を得られる限り、分子形状によって特に制限されるものではないが、線状又は分岐状(又は星状)の形状を有して良く、線状及び分岐状ブロック共重合体から選択される少なくとも1種のブロック共重合体であってよい。
「線状ブロック共重合体」は、目的とするホットメルト型粘着剤を得られる限り、そのブロック形式によって特に制限されるものではないが、組成物の物性の点から、ジブロック共重合体、トリブロック共重合体又はそれらの両方を含有することができる。それらのブロック共重合体を主成分とすることが更に好ましい。ジブロック共重合体、トリブロック共重合体以外のブロック共重合体の構造としては、例えば、マルチブロック共重合体を例示できる。
(I)アクリル系ブロック共重合体として、ジブロック共重合体、トリブロック共重合体、トリブロック共重合体とジブロック共重合体の混合物、トリブロック共重合体とマルチブロック共重合体の混合物、あるいはジブロック共重合体とトリブロック共重合体とマルチブロック共重合体の混合物を例示できるが、それらの中でもトリブロック共重合体を主成分として含むことが更に好ましい。
これらの場合、メタクリル酸誘導体に由来する重合体ブロック(A)、アクリル酸誘導体に由来する重合体ブロック(B1)を用いて、(I)アクリル系ブロック共重合体の構造を示すと、ジブロック共重合体の場合、A−B1型であり、トリブロック共重合体の場合、A−B1−A型又はB1−A−B1型であり、マルチブロック共重合体は、nを1以上の整数として、A−(B1−A)n−B1型、A−B1−(A−B1)n−A型、B−(A−B1)n−A−B1型である。これらの中でも凝集力の点から、トリブロック共重合体はA−B1−A型であることが好ましく、マルチブロック共重合体はA−(B1−A)n−B型又はA−B1−(A−B1)n−A型であることが好ましい。
分岐状(星状)ブロック共重合体は、いずれの構造のものであってもかまわないが、組成物の物性の点から、前記線状ブロック共重合体を基本単位とするブロック共重合体であることが好ましい。
(I)アクリル系ブロック共重合体は、A−B1−Aで示されるトリブロック共重合体であることが好ましい。特に、重合体ブロックAがポリメチルメタクリレート、重合体ブロックB1がポリn−ブチルアクリレートであることが望ましい。
(I)アクリル系ブロック共重合体」の重量平均分子量は、10000〜200000が好ましい。(I)アクリル系ブロック共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される。より具体的には、下記のGPC装置及び測定方法を用いて測定された値をいう。GPC装置は、ウォーターズ(Waters)社製の600Eを用い、検出器として、RI(Waters410)を用いた。GPCカラムとして、ショーデックス(Shodex)社製のLF−804 2本を用いた。試料をテトラヒドロフランに溶解して、流速を1.0ml/min、カラム温度を40℃にて流し、標準物質としての単分散分子量のポリスチレンを使用した検量線を用いて分子量の換算を行い、Mwを求めた。
(I)アクリル系ブロック共重合体の重量平均分子量が10000より低い場合、凝集力が低くなり、好ましい粘着特性、例えば、耐熱性、低温剥離性等が発現されない場合がある。一方、(I)アクリル系ブロック共重合体の重量平均分子量が200000よりも大きいと、粘度が高くなりすぎ、塗工適性が低下し得、(I)アクリル系ブロック共重合体と(II)アクリル重合体との粘度差が大きくなりすぎて、両者が均一に混ざり難くなり得る。
(I)アクリル系ブロック共重合体は、この分野において既知の方法で、製造することができる。本発明の実施例で使用するブロックコポリマーは、例えば、特開平11−30222617号に記載されているアニオン重合により、P. Mancinelli、「Materiaux et Techniques」、March−April 1990、pp. 41−46に記載されている遊離基重合により、例えば、米国特許第5,679,762号に記載されている多官能性連鎖移動剤により、EP 0 349 270号(B1)に記載されているイニファーター (iniferter) 重合により及び/又は同時出願中の普通に譲渡された米国特許出願第10/045881号に記載されている遊離基戻り沈殿(free radical retrograde precipitation)により製造することができる。アニオン重合により製造された(I)アクリル系ブロック共重合体は特に好ましい。
(I)アクリル系ブロック共重合体と(II)アクリル重合体の合計を100重量部として、(I)は20〜95重量部であり、40〜95重量部であることが好ましく、50〜95重量部であることがより好ましく、75〜95重量部が最も好ましい。(I)アクリル系ブロック共重合体と(II)アクリル重合体の合計100重量部に対し、(I)が95重量部を超えると塗工適性が低下し、20重量部未満だと、被着体へのマイグレーションが生じることがある。
本発明において「(II)アクリル重合体」とは、アクリル酸誘導体に由来する重合体(B2)を含んで成り、重量平均分子量が1000〜10000の低分子量重合体をいい、目的とするホットメルト型粘着剤を得られる限り特に制限されるものではない。(II)アクリル重合体の重量平均分子量は、1500〜5000であることが好ましく、2000〜3000であることがより好ましい。
(II)アクリル重合体の重量平均分子量も、(I)アクリル系ブロック重合体の重量平均分子量と同様、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される。尚、(II)アクリル重合体の重量平均分子量が、1000未満の場合及び10000を超える場合、塗工適性が低下しはじめ、得られるホットメルト型粘着剤の低温剥離性が乏しくなるという問題を生じ得る。
(II)アクリル重合体は、他の重合部分、重合単位等を含んで成ってよく、特に制限されるものではないが、他の重合体ブロック、重合部分、重合単位等を含まない方が好ましい。尚、(II)アクリル重合体は、メタクリル誘導体に由来する重合体ブロック(A)を含まないので、(I)アクリル系ブロック共重合体には含まれない。
ここで、重合体(B2)を得るために使用される「アクリル酸誘導体」は、アクリル酸及びアクリル酸エステルから選択される少なくとも一種をいい、上述のブロック重合体(B1)を得るために使用されるアクリル酸誘導体と同様であり、式(3):
CH=CH−COO−R (3)
[ただし、Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアリールアルキル基から選択される少なくとも一種であり、その有する炭素原子数は1〜8であることが好ましく、2〜8であることがより好ましく、4〜8であることが特に好ましい。Rは、分枝を有してよく、更に、例えば、酸素、窒素及び硫黄等のヘテロ原子に割り込まれていてもよい。]
で示される化合物をいう。
アクリル酸誘導体は、アクリル酸エステルであることが好ましく、アクリル酸アルキルエステルであることがより好ましく、n−ブチルアクリレート及び2−エチルヘキシルアクリレートであることが最も好ましい。
重合体(B2)を得るために使用される「アクリル酸誘導体」として、(I)アクリル系ブロック共重合体で記載したブロック重合体(B1)を得るために使用される「アクリル酸誘導体」を例示できる。即ち、重合体(B2)は、(I)アクリル酸系ブロック共重合体の(B1)に例示したものと重複し得る。(B1)と(B2)とは実質的に同一でも異なっていても構わないが、本発明では(B1)と(B2)とが実質的に同一の組成を有することがより好ましい。両者が同一の組成を有することによって、(I)アクリル系ブロック共重合体と(II)アクリル重合体との相溶性が更に向上し、粘着剤の塗工性がより向上するからである。
(II)アクリル重合体は、水性媒体中での懸濁重合や乳化重合、有機溶剤中での溶液重合、或いは塊状重合など通常のラジカル重合(又は付加重合)方法で製造することができる。有機溶剤としては、通常用いられるものが使用でき、例えば、下記のものを例示できる:
テトラヒドロフラン及びジオキサン等の環状エーテル類;
ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素化合物;
酢酸エチル及び酢酸ブチル等のエステル類;
アセトン、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン類;
メタノール、エタノール及びイソプロパノール等のアルコール類等。
これら具体例の中から、1種を又は2種以上の組み合わせを用いることができる。
上記重合に用いるラジカル発生型重合開始剤として、例えばジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ターシャリーブチルパーオキシピバレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド及びジターシャリーブチルパーオキサイド等の過酸化物、又はアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ化合物、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の無機過酸化物を使用できる。また、連鎖移動剤は耐候性の低下につながるため、使用しないことが好ましい。
上記重合は、重合温度が20〜300℃、圧力が常圧〜10MPaで行い、加圧の場合は耐圧オートクレーブを用いて5分〜20時間の反応時間で行うことができる。重合方法はバッチ重合、セミバッチ重合、或いは連続重合でもよい。
本発明における(II)アクリル重合体のガラス転移温度は10℃以下であり、好ましくは0℃以下、更に好ましくは−10℃以下である。ガラス転移温度が10℃より高いと、低温における作業性が悪くなる。
これまでの記載を踏まえると、本発明では、ホットメルト型粘着剤1aは、(I)アクリル系ブロック共重合体として、ポリメチルメタクリレート(A)−ポリn−ブチルアクリレート(B1)−ポリメチルメタクリレート(A)のトリブロック共重合体と、ポリ2−エチルヘキシルアクリレート(B2)を含んで成る(II)アクリル重合体とが配合されたものでも差し支えないが、その最も好ましい実施形態は、(I)アクリル系ブロック共重合体として、ポリメチルメタクリレート(A)−ポリn−ブチルアクリレート(B1)−ポリメチルメタクリレート(A)のトリブロック共重合体と、ポリn−ブチルアクリレート(B2)を含んで成る(II)アクリル重合体とが配合されたものである。
ホットメルト型粘着剤1aは、成分(I)及び(II)以外にも種々の添加剤を含んでよい。ホットメルト型粘着剤1a全体の重量の合計を100重量%とすると、ホットメルト型粘着剤1aは、(II)アクリル重合体を3.0〜70.0重量%含むことが好ましく、5.0〜65.0重量%含むことがより好ましく、6.0〜60.0重量%含むことが特に好ましい。ホットメルト型粘着剤1aが、(II)アクリル重合体を3.0〜70.0重量%含む場合、得られるホットメルト型粘着剤の塗工性及び剥離性をより向上することができる。
本発明に係るホットメルト型粘着剤1aには、成分(I)及び成分(II)として、これら二成分を得るために用いた単量体と、共重合可能なその他の単量体との共重合体を使用することができ、更に(I)及び(II)にそのような共重合体を添加することもできる。
そのような共重合可能なその他の単量体の具体例としては、
メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド等のメタクリルアミド類;
アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等のアクリルアミド類;
クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基を有するビニル系モノマー;
スチレン、−メチルスチレン、p−メチルスチレン等の芳香族ビニル系モノマー;
ブタジエン、イソプレン等の共役ジエンモノマー;
エチレン、プロピレン等のオレフィン;
ε−カプロラクトン、バレロラクトン等を例示できる。
ホットメルト型粘着剤1aは、必要に応じて、例えば、粘着付与剤及び可塑剤等の添加剤を含むことが好ましい。(I)アクリル系ブロック共重合体及び(II)アクリル重合体、場合により、粘着付与剤及び可塑剤等は、意図する最終用途に要求される必要な特性を得るために有効な量が配合されて、ホットメルト型粘着剤が得られる。
粘着付与剤としては、例えば、炭化水素樹脂、合成ポリテルペン、ロジンエステル及び天然テルペン等を例示できる。更に、詳細な具体例を以下に示す。
任意の相溶性樹脂又はそれらの混合物、例えば、天然ロジン及び変性ロジン、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、蒸留ロジン、水素化ロジン、二量化ロジン及び重合ロジン;
天然及び変性ロジンのグリセロール及びペンタエリトリトールエステル、例えば、淡色ウッドロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのグリセロールエステル、重合ロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのペンタエリトリトールエステル及びロジンのフェノール変性ペンタエリトリトールエステル;
天然テルペンのコポリマー及びターポリマー、例えば、スチレン/テルペン及びα−メチルスチレン/テルペン;
ASTM法E28−58Tによる測定で、約80℃〜150℃の軟化点を有するポリテルペン樹脂;
フェノール変性テルペン樹脂及びそれらの水素化誘導体、例えば、二環式テルペン及びフェノールの、酸性媒質中の、縮合反応から生ずる樹脂生成物;
約70℃〜135℃の環球軟化点を有する脂肪族石油炭化水素樹脂;
芳香族石油炭化水素樹脂及びそれらの水素化誘導体;
並びに脂環族石油炭化水素樹脂及びそれらの水素化誘導体;
環式又は非環式C5樹脂及び芳香族変性非環式又は環式樹脂も包含される。
これら粘着付与樹脂は、単独又は2種以上を混合して、使用することができる。
また、種々の可塑剤又は希釈剤は、ホットメルト型粘着剤の約50質量%までの量で、好ましくは約5〜約50質量%の量で組成物中に存在することができる。希釈剤は、DSCにより測定して、室温より低いガラス転移温度(Tg)を有する液状又は半固体状の物質である。これらは可塑化油又は増量油及び液状粘着付与剤を包含する。液状粘着付与剤は、ロジン誘導体、例えば、ロジンアルコール、ロジンのメチルエステル及びジエチレングリコールをロジンでエステル化することによって製造されたロジンエステルを含む。他の例は、低分子量炭化水素樹脂、例えば、Wingtack 10 (Goodyearから入手可能である) 及びEsorez 2520 (Exxon Chemicalから入手可能である) である。
適当な可塑剤又は増量油は、オレフィンオリゴマー及び低分子量ポリマー並びに植物油及び動物油及びそれらの誘導体を含む。使用できる石油由来油は、小比率のみの芳香族炭化水素(油に基づいて好ましくは30質量%より少ない、より好ましくは15質量%より少ない)を含有する、比較的高沸点の物質である。選択的に、油は完全に非芳香族であることができる。適当なオリゴマーは、約350〜約10,000の平均分子量を有するポリプロピレン、ポリブテン、水素化ポリイソプレン、水素化ポリブタジエン等を含む。本発明において使用するために適当な油の例は、LUMINOL T350及びKAYDOL OIL(両方ともWitco Corporationから入手可能である) である。ナフテン系油、例えば、Calsol 5550 (Calumetから入手可能である) も有用である。
他の適当な希釈剤は、例えば、脂肪族エステル、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、セバシン酸エステル及びアゼライン酸エステル、パラフィン、例えば、塩素化パラフィン及びポリアルキレングリコール、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレングリコール並びにそれらのランダム又はブロックコポリマーを含む。フタル酸エステル、例えば、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ−n−デシル、フタル酸ビス−2−エチルヘキシル及びフタル酸ジイソデシル、ポリプロピレングリコール及びアジピン酸ジトリデシルは本発明の実施において使用するために特に好ましい希釈剤である。
ホットメルト型粘着剤1aには、酸化防止剤又は安定剤を約3重量%までの量で添加することが好ましく、約1.0重量%までの量で添加することがより好ましい。
安定剤又は酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール単独物、又は一次酸化防止剤と二次酸化防止剤との混合物がある。一次酸化防止剤としてはヒンダードフェノールが挙げられ、二次酸化防止剤としてはジステアリルチオジプロピオネート(「DSTDP」)、ジラウリルチオジプロピオネート(「DLTDP」)が例示される。
代表的酸化防止剤は下記のものを含む:1,3,5−トリメチル2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ペンタエリトリチルテトラキス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリトリトールテトラキス(3−ラウリルチオジプロピオネート)、n−オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート、4,4’−メチレンビス(2,6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−o−クレゾール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、6−(4−ヒドロキシフェノキシ)−2,4−ビス(n−オクチル−チオ)−1,3,5−トリアジン、ジ−n−オクタデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル−ホスホネート、2−(n−オクチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾエート及びソルビトールヘキサ[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]。
IRGAFOS 168 (Chibaから入手可能である二次酸化防止剤) 及びIRGANOX 1010 (Chiba−Geigyから入手可能であるヒンダードフェノール一次酸化防止剤) は好ましい。
他の酸化防止剤は、ETHANOX 330 (Albermarleからのヒンダードフェノール)、SANTOVAR (Monsantoからの2,5−ジt−アミルヒドロキノン)及びNAUAGARD P (Uniroyalからのトリス (p−ノニル) ホスファイト) を含む。
また、異なる性質を満足しかつ特定の適用必要条件を満足するため、他の添加剤を、本発明のホットメルト型粘着剤層1aに添加することができる。このような添加剤は、例えば、充填剤、顔料、流れ調整剤、染料を包含し、これらは目的に依存して接着剤配合物に少量又は大量に混入することができる。
ホットメルト型粘着剤1aは、公知技術によって製造することができる。典型的には、(I)アクリル系ブロック共重合体と、(II)アクリル重合体とが均質にブレンドされるまで、一般に約2時間、約100〜200 ℃の温度で両成分を溶融配合することにより、ホットメルト型粘着剤が製造される。配合法は特に限定されるものではなく、粘着付与樹脂、酸化防止剤、可塑剤等の各種添加剤は、(I)アクリル系ブロック共重合体と(II)アクリル重合体とを配合するときに一緒に配合するのが好ましいが、(I)アクリル系ブロック共重合体と(II)アクリル重合体とが均一に配合されてから後添加しても差し支えない。
積層型粘着剤1を構成する別の粘着剤層1b、1c、即ち、被着体3に接触しない粘着剤層は、上記ホットメルト型粘着剤層1aと異なるものであれば良い。2層型の積層型粘着剤1では、別の粘着剤層1bは、ホットメルト型粘着剤層1a及び支持体2の両方と接触することになる。3層型の積層型粘着剤1では、粘着剤層1cは、ホットメルト型粘着剤層及び1a及び粘着剤層1bの双方に接触することになる。
別の粘着剤層1b、1cとしては、スチレン系ホットメルト型粘着剤、エチレン酢酸ビニル系ホットメルト型粘着剤、ポリオレフィン系ホットメルト型粘着剤、エマルジョン系粘着剤、溶剤系粘着剤が挙げられる。
積層型粘着剤1は、例えばテープ、フィルム、シート等の基材からできている支持体2に塗工されて形成される。支持体2の材質としては、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニル、エチレン酢酸ビニル、アセタール、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、金属箔等を例示できる。
積層型粘着剤1の製造方法は、特に限定されることはないが、通常、粘着剤層1bに、粘着剤1a、1cの夫々を、層状の粘着剤の形態に加工した後、これを粘着剤層1b上に転写する方法が用いられる。詳細を以下に説明する。
先ず、粘着剤1bを支持体2へ塗工して粘着剤層1bを形成した後、支持体2に形成された粘着剤層1bに対して、層状の形態に加工した粘着剤層1a又は1cを転写する。2層型の積層型粘着剤を製造する場合、支持体2上の粘着剤層1bに層状の粘着剤1aを転写する。3層型の積層型粘着剤を製造する場合、支持体2上の粘着剤層1bに層状の粘着剤1cを転写し、次いで、粘着剤層1cに対して、層状の粘着剤1aを転写する。尚、粘着剤1bについては、支持体2へ直接塗工して粘着剤層1bを形成することがが一般的ではあるが、層状の形態の粘着剤1bに加工してから、支持体2へ転写しても差し支えない。
但し、本発明では、粘着剤層1aとして、アクリルブロック共重合体を含むホットメルト型粘着剤層を用いるので、粘着剤1a、1b及び1cを同時に塗工して、粘着剤層1a、1b及び1cを形成することが可能となる。ホットメルト型粘着剤1a、別の粘着剤1b及び1cを同時に支持体2に塗工して、粘着剤層1a、1b及び1cを同時に形成すれば、積層型粘着剤1を支持体2上に迅速かつ容易に形成できる。
尚、驚くべきことに、本発明者は、本発明の検討の過程で、被着体3と接触する粘着剤層1aは、別の粘着剤層1b及び1cの影響を実質的に受けることがないことを見出した。従って、粘着剤1a、1b及び1cを支持体3へ同時に塗工して、粘着剤層1a、1b及び1cを形成しても、粘着剤層1aの接着力が経時的に大きく変化することがない。
積層型粘着剤1を支持体2上に形成した後、支持体2はロール状に巻きとられる場合がある。巻きとり時、粘着剤層1aは支持体2の裏面に接触するが、支持体2をロールから逆方向に巻き戻しても、粘着剤層1aであるアクリルブロック系ホットメルト型粘着剤は支持体2裏面に残ることはない。よって、支持体2の裏面に離型剤を塗ったり、離型部材(離型紙、離型フィルム等)を挟む必要がなく、本発明では、積層型粘着剤を効率良く製造することが可能となる。
粘着剤1a、1b及び1cの同時塗工は、塗工装置で行う。塗工装置は、粘着剤1a、1b及び1cを突出する口(以下、突出口)を有していれば、市販の塗工装置で差し支えない。但し、ホットメルト型粘着剤1aは、被着体3に接触するため、積層型粘着剤1の表面層となる必要がある。従って、塗工装置では、別の粘着剤1b及び1cの突出口よりも、粘着剤1aの突出口の位置を高くする必要がある。3層型の積層型粘着剤を同時塗工する場合、突出口は、高い順から、粘着剤1aの突出口、粘着剤1cの突出口、粘着剤1bの突出口となる。
被着体3と支持体2とは、積層型粘着剤1を介して貼り付けられる。両者2、3を貼り付けることで、医療用テープ、工業用テープ、シート、カイロ、貼布剤、シール、ラベル、ネームプレート、再閉鎖可能なファスナー等の粘着製品が得られる。
「医療用テープ」とは、薬剤を含有する経皮吸収品、薬剤を含有しない単なるテープの双方を含む。この場合、粘着製品が貼り付けられる被着体は、人肌となる。
本明細書において、「工業用テープ」とは、いわゆるシーリングテープや養生テープをいう。金属、プラスチック、無機材料等の被着体に多く利用される。
「カイロ」を製造する場合、基材はポリエステル等のフィルムや不織布であり、被着体は、綿、毛、シルク、レーヨン、ポリエステル等を素材とする衣類となる。
「ラベル」を製造する場合、被着体は、瓶(ガラス)、缶(金属)、プラスチックとなり、ラベルはこれらの被着体に貼り付けられて飲料用途に適用され得る。
このように、本発明に係る粘着製品には種々の態様があるが、いずれも被着体から剥離させたとき、粘着層が被着体に残らず、界面剥離するように、設計される。
本発明の主な態様を以下に示す。
1.
複数の異なる粘着剤が支持体に層状に形成され、一の粘着剤層を被着体に接触させ、別の粘着剤層を支持体に接触させることで、被着体と支持体とを貼り合わせる積層型粘着剤であって、
被着体に接する粘着剤層は、(I)アクリル系ブロック共重合体と(II)アクリル重合体とを含むホットメルト型粘着剤であり、
(I)アクリル系ブロック共重合体は、メタクリル酸誘導体に由来する重合体ブロック(A)及びアクリル酸誘導体に由来する重合体ブロック(B1)を含有するブロック共重合体、
(II)アクリル重合体は、アクリル酸誘導体に由来する重合体(B2)を含み、重量平均分子量が1000〜10000の低分子量重合体、
であることを特徴とする積層型粘着剤。
2.
(I)アクリル系ブロック共重合体は、式(1):
A−B1−A (1)
で示されるトリブロック共重合体を含んで成る、上記1に記載の積層型粘着剤。
3.
重合体ブロック(B1)を得るために使用されるアクリル酸誘導体は、式(2):
CH=CH−COO−R (2)
[ただし、Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアリールアルキル基から選択される少なくとも一種であり、その有する炭素原子数は1〜12である。Rは、分枝を有してよく、更に、ヘテロ原子に割り込まれていてもよい。]
で示される化合物であり、
重合体(B2)を得るために使用されるアクリル酸誘導体は、式(3):
CH=CH−COO−R (3)
[ただし、Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアリールアルキル基から選択される少なくとも一種であり、その有する炭素原子数は1〜8である。Rは、分枝を有してよく、更に、ヘテロ原子に割り込まれていてもよい。]
で示される化合物である上記1又は2に記載の積層型粘着剤。
4.
(I)アクリル系ブロック共重合体は、重量平均分子量が10000〜200000である上記1〜3のいずれかに記載の積層型粘着剤。
5.
上記ホットメルト型粘着剤層は、(I)アクリル系ブロック共重合体と(II)アクリル重合体の合計100重量部に対し、(I)アクリル系ブロック共重合体の重量が20〜95重量部である、上記1〜4のいずれかに記載の積層型粘着剤。
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明する。但し、本発明はその要旨を逸脱しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
本発明の積層型粘着剤は、(I)アクリル系ブロック共重合体及び(II)アクリル重合体成分、粘着付与剤、酸化防止剤を配合し、加熱溶融して混合することで製造される。
(1)積層型粘着剤の製造
以下に記載された方法で製造したホットメルト型粘着剤を用い、別の粘着剤とともに複数の粘着剤層が支持体に積層される積層型粘着剤の詳細を以下に示す。
〈実施例1〉
(I−1)アクリル系ブロック共重合体(ポリメチルメタクリレート(A)−ポリn-ブチルアクリレート(B1)−ポリメチルメタクリレート(A))で表されるトリブロック共重合体 [クラレ社製 LA2140e(重合平均分子量Mw 約80000、重合ブロック(B1)を構成するアクリル酸誘導体のエステル部の炭素数が4であるブチルアクリレート)] と(II−1)アクリル重合体 [東亜合成社製 「ARUFON UP」(重合平均分子量Mw約3000、重合体(B2)を構成するアクリル酸誘導体のエステル部の炭素数が4のブチルアクリレート)] を下記の表1に示す配合割合で配合した。
更に成分(I−1)と(II−1)の配合物に対し、粘着付与剤としてテルペンフェノール樹脂[荒川化学社製 「パインクリスタル KE311」26.5重量部] 及び ロジンエステル[荒川化学社製 「スーパーエステル A−75」13.5重量部] 総重量40重量部を配合し、酸化防止剤としてフェノール系一次酸化防止剤[エーピーアイコーポレーション社製 「トミノックス TT」0.2重量部]を配合して、約150℃で約3時間かけて万能攪拌機を用いて溶融混合し、(1a−1)アクリル系ホットメルト型粘着剤を得た。
離型処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムでアクリル系ホットメルト型粘着剤を挟み、アクリル系ホットメルト型粘着剤を厚さ20μmのアクリル粘着剤シートにした。更には、粘着剤1bとして、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を主成分樹脂とする粘着剤(1b−1)[日本エヌエスシー社製 「デュロタック PZ910」]を、上述と同様の方法で厚さ20μmのEVA粘着剤シートを作製した。
先ず、支持体であるポリエチレンフィルムへEVA粘着剤シートを80℃程度で圧着して積層した。EVA粘着剤シートが支持体に完全に貼り付いた後、上述のアクリル系ホットメルト粘着剤シートをEVA粘着剤シート上に載せ、ローラーを用いてアクリル粘着剤シートをEVA粘着剤シート上に積層させ、図1に示される2層型の積層型粘着剤1を製造した。
〈実施例2〜5〉
(I−1)アクリル系ブロック共重合体と(II−1)アクリル重合体の配合割合を表1に示す重量部に変え、それ以外の条件については実施例1と同様にして(1a−2〜1a−5)アクリル系ホットメルト型粘着剤を調製した。更に、得られたアクリル系ホットメルト型粘着剤を用い、実施例1と同様の方法で積層型粘着剤1を作製した。
〈実施例6〉
(II−1)重量平均分子量が約3000のアクリル重合体の替わりに、(II−2)重量平均分子量が約2000のアクリル重合体[東亞合成製 「ARUFON UP」(重合平均分子量Mw 約2000)]を用い、表1に示される配合割合で(1a−6)アクリル系ホットメルト型粘着剤を調製した。得られたアクリル系ホットメルト型粘着剤を用い、実施例1と同様の方法で積層型粘着剤1を作製した。
〈実施例7〉
実施例1と同様の方法で(1a−1)アクリル系ホットメルト型粘着剤を調整し、非晶性ポリアルファオレフィンを主成分樹脂とする粘着剤(1b−2)[日本エヌエスシー社製 「デュロタック PZ901」] を粘着剤1bとした。実施例1と同様の方法でアクリル粘着剤シート、オレフィン粘着剤シートを作製した。オレフィン粘着剤シートを支持体であるポリエチレンフィルム上にローラーで積層し、オレフィン粘着剤シートが支持体に完全に貼り付いた後、アクリル粘着剤シートをオレフィン粘着剤シート上に載せ、ローラーを用いてアクリル粘着剤シートをオレフィン粘着剤シート上に積層させ、図1に示されるような2層型の積層型粘着剤1を製造した。
〈実施例8〉
実施例1と同様の方法で(1a−1)アクリル系ホットメルト型粘着剤を調整し、スチレン−イソプレンブロック共重合体を主成分樹脂とする粘着剤(1b−3)[日本エヌエスシー社製 「デュロタック MQ7822E」] を粘着剤1bとした。実施例1と同様の方法でアクリル粘着剤シート、ゴム系粘着剤シートを作製した。ゴム系粘着剤シートを支持体であるポリエチレンフィルム上にローラーで積層し、ゴム系粘着剤シートが支持体に完全に貼り付いた後、アクリル粘着剤シートをゴム系粘着剤シート上に載せ、ローラーを用いてアクリル粘着剤シートをゴム系粘着剤シート上に積層させ、図1に示されるような2層型の積層型粘着剤1を製造した。
〈実施例9〉
実施例1と同様の方法で(1a−1)アクリル系ホットメルト型粘着剤を調整し、エチレン酢酸ビニル共重合体を主成分樹脂とする粘着剤(1b−1)[日本エヌエスシー社製 「デュロタック PZ910」]を粘着剤1bとし、非晶性ポリアルファオレフィンを主成分樹脂とする粘着剤(1c−1)[日本エヌエスシー社製 「デュロタック PZ901」](1b−2と同じ) を粘着剤1cとした。
粘着剤1a〜1cから夫々粘着剤シートを造り、支持体であるポリエチレンフィルム上に80℃程度でEVA粘着剤シートを圧着し、次いで、EVA粘着剤シート上にローラーでオレフィン粘着剤シートを積層し、更に、オレフィン粘着剤シート上にアクリル粘着剤シートをローラーで積層して図2に示されるような3積層型の積層型粘着剤を製造した。
〈比較例1〉
(II−1)アクリル重合体の替わりにアジピン酸系可塑剤 [BASF社製 「DOA」]を用い、表2に示される配合割合で(1a’−1)アクリル系ホットメルト型粘着剤を調整した。エチレン酢酸ビニル共重合体を主成分樹脂とする粘着剤(1b−1)[日本エヌエスシー社製 「デュロタック PZ910」]を粘着剤1bとし、実施例1と同様の方法で、図1に示されるような2層型の積層型粘着剤を製造した。
〈比較例2〉
粘着剤1aの替わりにスチレン−イソプレンブロック共重合体を主成分樹脂とする粘着剤(1a’−2)[日本エヌエスシー社製 「デュロタック MQ7822E」](1b−3と同じ)を用い、実施例1と同様の方法でゴム系粘着剤シートを作製した。次いで、粘着剤1bとしてエチレン酢酸ビニル共重合体を主成分樹脂とする粘着剤(1b−1)[日本エヌエスシー社製 「デュロタック PZ910」]を用い、実施例1と同様の方法でEVA粘着剤シートを作製した。これら二つの粘着剤シートから、実施例1と同様の方法で、図1に示されるような2層型の積層型粘着剤を製造した。
〈比較例3〉
粘着剤1aの替わりにスチレン−イソプレンブロック共重合体を主成分樹脂とする粘着剤(1a’−2)[日本エヌエスシー社製 「デュロタック MQ7822E」]を用い、実施例1と同様の方法でゴム系粘着剤シートを作製した。次いで、粘着剤1bとして非晶性ポリアルファオレフィンを主成分樹脂とする粘着剤(1b−2)[日本エヌエスシー社製 「デュロタック PZ901」]を用い、実施例1と同様の方法でオレフィン系粘着剤シートを作製した。これら二つの粘着剤シートから、実施例1と同様の方法で、図1に示されるような2層型の積層型粘着剤を製造した。
〈比較例4〉
粘着剤1aの替わりに非晶性ポリアルファオレフィンを主成分樹脂とする粘着剤(1a’−3)[日本エヌエスシー社製 「デュロタック PZ901」](1b−2及び1c−1と同じ)を用い、実施例1と同様の方法でオレフィン系粘着剤シートを作製した。次いで、粘着剤1bとしてエチレン酢酸ビニル共重合体を主成分樹脂とする粘着剤(1b−1)[日本エヌエスシー社製 「デュロタック PZ910」]を用い、実施例1と同様の方法でEVA粘着剤シートを作製した。これら二つの粘着剤シートから、実施例1と同様の方法で、図1に示されるような2層型の積層型粘着剤を製造した。
〈比較例5〉
粘着剤1aの替わりにスチレン−イソプレンブロック共重合体を主成分樹脂とする粘着剤(1a’−2)[日本エヌエスシー社製「デュロタック MQ7822E」]を用い、エチレン酢酸ビニル共重合体を主成分樹脂とする粘着剤(1b−1)[日本エヌエスシー社製 「デュロタック PZ910」]を粘着剤1bとし、非晶性ポリアルファオレフィンを主成分樹脂とする粘着剤(1c−1)[日本エヌエスシー社製 「デュロタック PZ901」] を粘着剤1cとした。
実施例9と同様の方法で、粘着剤1a〜1cから夫々粘着剤シートを造り、支持体であるポリエチレンフィルム上に80℃程度でEVA粘着剤シートを圧着した。次いで、EVA粘着剤シート上にローラーでオレフィン粘着剤シートを積層し、更に、オレフィン粘着剤シート上にゴム系粘着剤シートをローラーで積層して図2に示されるような3積層型の積層型粘着剤を製造した。
(2)粘着剤層1aのマイグレーション性
上述(1)の積層型粘着剤と支持体であるポリエチレンフィルムとの積層体をカットし、試験体を作製した。試験体は、25×100mmの大きさであり、ポリエチレンフィルムが貼り付いたままとなっている。
試験体を被着体1(標準ダンボール)及び被着体2(合板)に23℃雰囲気下、2kgローラーを用いて貼り合せた後、50℃雰囲気下で24時間養生した。その後、試験体から被着体を剥がし、被着体の表面を目視で観察した。評価を以下の二つに大別した。
「マイグレーションがない」(○)
「マイグレーションがある」(×)
ここで、マイグレーションとは、接着剤に配合された可塑剤、酸化防止剤等の添加剤が被着体との接着面への移行する現象を言う。マイグレーションがないことは、被着体に対し良好な粘着剤層であるとの目安となる。
(3)剥離強度の経時変化(180°剥離強度測定)
上述(2)の試験体を被着体3(ステンレス板)及び被着体4(アルミニウム板)に貼り付けて180°剥離強度を測定し、剥離強度の経時変化について評価した。評価の詳細は、以下のとおりである。
試験体を各被着体3(対ステンレス板)及び被着体4(対アルミニウム板)に20℃雰囲気下、2kgローラーを用いて貼り合せた後、23℃又は40℃雰囲気下で2時間養生した。その後、300mm/minの速度で剥離したときの強度を測定し、これを[初期の剥離強度]とした。上記試験体を23℃又は40℃雰囲気下で1週間養生し、その後、初期強度の測定条件と同様の条件で、各被着体に関して試験体の剥離強度を測定し、これを[1週間後の剥離強度]とした。
[初期の剥離強度]と[1週間後の剥離強度]を用いて、[剥離強度変化率]を算出した。剥離強度変化率は次式で示され、剥離強度変化率が小さいほど強度が保持され、粘着剤層間の界面での影響がないことから、経時変化に伴う物性変化が無いことを意味する。

剥離強度変化率(%)
=(1週間後の剥離強度−初期の剥離強度)×100/1週間後の剥離強度

23℃及び40℃での剥離強度変化率について、各々以下のように評価した。
「10%以下」 (◎)
「11〜20%」 (○)
「21〜39%」 (△)
「40%以上」 (×)
更に、23℃及び40℃で初期の剥離強度及び1週間後の剥離強度測定後、即ち、剥離後の被着体3及び4の状態を観察し、以下のように評価した。
「界面剥離」 (AF)
「ほぼ界面剥離」 (LAF)
「凝集破壊」 (C)
評価に用いた各用語の意味は下記の通りである。
「界面剥離」とは、被着体に対する粘着剤の付着が全く無いことを意味する。
「ほぼ界面剥離」とは、貼り合せ面積の95%以上で粘着剤の付着がない状態を意味する。
「凝集破壊」とは、基材(ポリエチレンフィルム)上と被着体の両方に粘着剤が付着することを意味する。
実施例1〜9及び比較例1〜5の積層型粘着剤を評価し、その結果を表1及び2に示した。
Figure 2009108185
Figure 2009108185
表1に示すように、実施例1〜9に示す積層型粘着剤は、マイグレーション性に優れ、標準ダンボール(被着体1)等の紙質材や合板(被着体2)等の木質材にも良好であった。その上、剥離強度における経時変化率が小さく、その物性を損なうことなく良好な剥離強度を維持することを示した。
更に、実施例1〜9に示す積層型粘着剤は、表1に記載されたいずれの被着体(例えばステンレス板(被着体3)、アルミ板(被着体4))に対しても、剥離後、被着体の状態が「界面剥離」若しくは「ほぼ界面剥離」となっており、接着力、被着体への界面状態、これら両特性のバランスが優れている。
また、表1の結果(特に実施例1〜3の結果)から、本発明の積層型粘着剤において、成分(I)アクリル系ブロック共重合体を50重量部以上含んで成る場合、即ち、実施例1〜3及び6〜9は、実施例4及び5よりも、剥離後の被着体状態が優れることがわかる。
更に、実施例9の結果から、粘着剤層1aと粘着剤層1bの間に積層された粘着剤層1cを含む3層型の積層型粘着剤についても、マイグレーション性に優れ、剥離強度における経時変化率の小さいことが確認された。
一方、比較例1〜5の積層型粘着剤は、表2に示されるように、マイグレーション性に劣り、剥離強度の経時変化率が大きく、剥離強度を維持できないことを示している。更に、比較例1〜5の積層型粘着剤は、表1に記載の被着体3及び4(ステンレス板及びアルミ板)に対しても、剥離後の被着体の状態が凝集破壊であり、接着力、被着体への界面状態、両特性のバランスに問題がある。
また、比較例1は、特許文献3に記載された発明に対応するものであり、経時変化率が比較例2〜5よりも改善されているが、被着体(標準ダンボール、合板)に対するマイグレーション性に問題があり、粘着剤のしみだしなどを引き起こすことが考えられる。
図1は、積層型粘着剤の一実施形態を示す模式断面図である。 図2は、積層型粘着剤の別の実施形態を示す模式断面図である。
符号の説明
1 積層型粘着剤、
1a ホットメルト型粘着剤層
1b 別の粘着剤層
1c 別の粘着剤層
2 支持体、
3 被着体

Claims (2)

  1. 複数の異なる粘着剤が支持体に層状に形成され、一の粘着剤層を被着体に接触させ、別の粘着剤層を支持体に接触させることで、被着体と支持体とを貼り合わせる積層型粘着剤であって、
    被着体に接する粘着剤層は、(I)アクリル系ブロック共重合体と(II)アクリル重合体とを含むホットメルト型粘着剤であり、
    (I)アクリル系ブロック共重合体は、メタクリル酸誘導体に由来する重合体ブロック(A)及びアクリル酸誘導体に由来する重合体ブロック(B1)を含有するブロック共重合体、
    (II)アクリル重合体は、アクリル酸誘導体に由来する重合体(B2)を含み、重量平均分子量が1000〜10000の低分子量重合体、
    であることを特徴とする積層型粘着剤。
  2. (I)アクリル系ブロック共重合体は、式(1):
    A−B1−A (1)
    で示されるトリブロック共重合体を含んで成る、請求項1に記載の積層型粘着剤。
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