JPWO2017122671A1 - 粘着シート - Google Patents
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Abstract
Description
このような粘着シートにおいて、被着体に対する高い粘着力を発現させるために、粘着剤層の形成材料である粘着剤組成物には、粘着性樹脂と共に、オリゴマー成分である粘着付与剤を含有させる場合がある。
また、特許文献2には、所定の塩化ビニル樹脂製シート基材上に、所定のモノマーから構成されたアクリル系共重合体と粘着付与剤とを含む粘着剤層が積層された粘着シートが開示されている。
本発明者らの検討によれば、当該粘着シートの粘着剤層中の粘着付与剤は、経時によって基材側に偏在し易くなることがあり、そのような場合に基材と粘着剤層との層間密着性が低下し、基材と粘着剤層との界面で剥離が生じ易くなることが判明した。
[1]基材上に、粘着性樹脂及び粘着付与剤を含む粘着剤層が直接積層した粘着シートであって、
前記粘着剤層が、粘着性を有する表面(α)を含む層(Xα)と、前記基材と直接積層する表面(β)を含む層(Xβ)とを少なくとも有する多層構造体からなり、
層(Xα)及び層(Xβ)が下記要件(I)及び(II)を満たす、粘着シート。
・要件(I):ラマン分光法により測定して得られた、層(Xα)のラマンスペクトルにおいて、下記式(1)から算出される、層(Xα)の強度比I(Xα)が0.30〜20.00である。
・要件(II):ラマン分光法により測定して得られた、層(Xβ)のラマンスペクトルにおいて、下記式(1)から算出される、層(Xβ)の強度比I(Xβ)が、層(Xα)の強度比I(Xα)よりも小さい。
式(1):強度比I=[前記粘着付与剤に由来するピークのピーク高さ]/[前記粘着付与剤以外の成分に由来するピークのピーク高さ]
[2]層(Xβ)の強度比I(Xβ)が、0〜15.0である、上記[1]に記載の粘着シート。
[3]層(Xα)の強度比I(Xα)に対する、層(Xβ)の強度比I(Xβ)の比率〔I(Xβ)/I(Xα)〕が、0〜0.90である、上記[1]又は[2]に記載の粘着シート。
[4]層(Xβ)の形成材料である組成物(xβ)が、前記粘着性樹脂を含み、前記粘着付与剤を実質的に含有しない、上記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の粘着シート。
[5]層(Xα)の形成材料である組成物(xα)が、前記粘着性樹脂を100質量部と、前記粘着付与剤を1質量部以上とを含む、上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の粘着シート。
[6]前記粘着剤層が、少なくとも層(Xβ)、層(Y1)、及び層(Xα)をこの順で積層してなる多層構造体である、上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の粘着シート。
[7]ラマン分光法により測定して得られた、層(Y1)のラマンスペクトルにおいて、前記式(1)から算出される、層(Y1)の強度比I(Y1)が0〜15.0である、上記[6]に記載の粘着シート。
[8]ラマン分光法により測定して得られた、層(Y1)のラマンスペクトルにおいて、前記式(1)から算出される、層(Xα)の強度比I(Xα)に対する、層(Y1)の強度比I(Y1)の比率〔I(Y1)/I(Xα)〕が、0〜0.90である、上記[6]又は[7]に記載の粘着シート。
[9]層(Y1)が、微粒子を含む層である、上記[6]〜[8]のいずれか一項に記載の粘着シート。
[10]層(Y1)の形成材料である組成物(y1)が、前記微粒子を15〜100質量%含む、上記[9]に記載の粘着シート。
[11]層(Xα)の表面(α)に、不定形の凹部を有する、上記[9]又は[10]に記載の粘着シート。
[12]層(Xα)の表面(α)に、少なくとも、層(Xα)の形成材料である組成物(xα)からなる塗膜(xα’)と、層(Y1)の形成材料である組成物(y1)からなる塗膜(y1’)とを同時に乾燥して、粘着剤層の自律的な形成過程において自然に無秩序な形状を作り出す自己形成化によって形成された凹部が存在する、上記[9]〜[11]のいずれか一項に記載の粘着シート。
[13]前記粘着付与剤が、ロジン系粘着付与剤、テルペン系粘着付与剤、スチレン系粘着付与剤、及び石油由来の粘着付与剤から選ばれる1種以上を含む、上記[1]〜[12]のいずれか一項に記載の粘着シート。
また、本発明において、例えば、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」と「メタクリル酸」の双方を示し、他の類似用語も同様である。
さらに、好ましい数値範囲(例えば、含有量等の範囲)について、段階的に記載された下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせることができる。例えば、「好ましくは10〜90、より好ましくは30〜60」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、「10〜60」とすることもできる。
本発明の粘着シートは、基材上に、粘着性樹脂及び粘着付与剤を含む粘着剤層が直接積層し、当該粘着剤層は、粘着性を有する表面(α)を含む層(Xα)と、前記基材と直接積層する表面(β)を含む層(Xβ)とを少なくとも有する多層構造体からなる。
本発明の一態様の粘着シートとしては、例えば、図1(a)に示すような、基材11上に粘着剤層12が直接積層した粘着シート1aが挙げられる。図1(a)の粘着シート1aが有する粘着剤層12は、被着体と貼付される粘着性を有する表面(α)12aを含む層(Xα)と、基材11と直接積層する表面(β)12bを含む層(Xβ)とを有する二層の多層構造体からなる。
なお、図1に示す粘着シート1a、1bは、取扱性の観点から、粘着剤層12の粘着性を有する表面(α)12a上に、さらに剥離材を積層した構成としてもよい。
例えば、図1(a)の粘着シート1aにおいては、層(Xα)の形成材料である組成物(xα)と層(Xβ)の形成材料である組成物(xβ)とは、互いに異なる。
また、図1(b)の粘着シート1bにおいては、層(Y1)の形成材料である組成物(y1)は、層(Xα)の形成材料である組成物(xα)及び層(Xβ)の形成材料である組成物(xβ)の双方と異なるものである。ただし、粘着シート1bのような構成においては、組成物(xα)と組成物(xβ)とは、互いに異なるものであってもよく、同一のものであってもよい。
つまり、図1(a)の粘着シート1aの粘着剤層12においては、層(Xα)と層(Xβ)との境界の一部が混層した状態であってもよく、図1(b)の粘着シート1bの粘着剤層12においては、層(Xα)と層(Y1)との境界、及び、層(Y1)と層(Xβ)との境界の少なくとも一方の境界の一部が混層した状態であってもよい。
層(Y1)中の微粒子の含有量は、層(Y1)の全質量(100質量%)に対して、好ましくは15〜100質量%、より好ましくは20〜95質量%、より好ましくは25〜90質量%、更に好ましくは30〜85質量%、より更に好ましくは35〜80質量%である。
層(Xβ)及び層(Xα)中の微粒子の含有量は、それぞれ独立に、層(Xβ)又は層(Xα)の全質量(100質量%)に対して、好ましくは15質量%未満、より好ましくは0〜13質量%、より好ましくは0〜10質量%、更に好ましくは0〜5質量%、より更に好ましくは0質量%である。
本発明の粘着シートが有する粘着剤層は、粘着性樹脂及び粘着付与剤を含むものであるが、更に架橋剤を含有することが好ましい。また、当該粘着剤層は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、汎用添加剤を含有していてもよい。
さらに、耐ブリスター性を向上させた粘着シートとする観点から、本発明の粘着シートが有する粘着剤層は、さらに微粒子を含むことが好ましい。
なお、本発明において、粘着剤層の100℃における剪断貯蔵弾性率は、粘弾性測定装置(例えば、Rheometrics社製、装置名「DYNAMIC ANALYZER RDA II」)を用いて、周波数1Hzで測定することにより測定した値を意味する。
なお、粘着シートの当該粘着力の値は、実施例に記載の方法により測定された値を意味する。
粘着剤層中に含まれる粘着性樹脂としては、粘着性を有する樹脂であればよく、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられる。
これらの粘着性樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、粘着剤層が架橋剤を含む場合、粘着性樹脂としては、官能基を有する樹脂を含むことが好ましく、官能基を有するアクリル系樹脂を含むことがより好ましい。
当該官能基は、架橋剤との架橋起点となる基であって、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、エポキシ基、アミノ基、シアノ基、ケト基、アルコキシシリル基等が挙げられるが、カルボキシ基が好ましい。
さらに、使用環境によらず良好な粘着特性を保持する観点から、粘着性樹脂としては、紫外線非硬化型の粘着性樹脂であることが好ましく、紫外線非硬化型のアクリル系樹脂であることがより好ましい。
なお、「紫外線非硬化型の粘着性樹脂」とは、紫外線と反応し得る重合性官能基を有さない粘着性樹脂を意味する。
特に、微粒子の含有量が3質量%未満の粘着剤層においては、粘着性樹脂の含有量が、当該粘着剤層の全量(100質量%)基準で、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上であり、更に好ましくは70質量%以上であり、また、好ましくは99.9質量%以下、より好ましくは99.0質量%以下である。
なお、本明細書において、上記の「粘着剤層の全量」との語は、「粘着剤層の形成材料である組成物の有効成分全量」と読み替えることができる。また、「組成物の有効成分」とは、組成物中の成分のうち、希釈溶媒を除いた成分を指す。
本発明で用いる粘着付与剤は、粘着性樹脂が有する粘着特性を補助的に向上させる成分であって、質量平均分子量(Mw)が通常1万未満のオリゴマーを指し、上述の粘着性樹脂とは区別されるものである。
粘着付与剤の質量平均分子量(Mw)は、通常1万未満であるが、好ましくは400〜8000、より好ましくは500〜5000、より好ましくは800〜3500である。
なお、これらの粘着付与剤は、単独で用いてもよく、軟化点や構造が異なる2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本発明において、粘着付与剤の「軟化点」は、JIS K 2531に準拠して測定した値を意味する。
また、2種以上の複数の粘着付与剤を用いる場合、それら複数の粘着付与剤の軟化点の加重平均が、上記範囲に属するように、複数の粘着付与剤の含有量比が調製されることが好ましい。
本発明の一態様の粘着シートが有する粘着剤層は、さらに架橋剤を含有することが好ましく、特に粘着性樹脂として、官能基を有する樹脂と共に、当該架橋剤を含有することがより好ましい。
当該架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤等が挙げられる。
なお、これらの架橋剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アルミニウムキレート系架橋剤としては、例えば、ジイソプロポキシアルミニウムモノオレイルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムビスオレイルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムモノオレエートモノエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノラウリルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノステアリルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノイソステアリルアセトアセテート等が挙げられる。
本発明の一態様の粘着シートが有する粘着剤層は、更に一般的な粘着剤に用いられる汎用添加剤を含有してもよい。
当該汎用添加剤としては、例えば、酸化防止剤、軟化剤(可塑剤)、防錆剤、顔料、染料、遅延剤、反応促進剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
なお、これらの各汎用添加剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
粘着剤層中にこれらの汎用添加剤を含有する場合、それぞれの汎用添加剤の含有量は、粘着剤層に含まれる粘着性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.0001〜60質量部、より好ましくは0.001〜50質量部である。
本発明の一態様の粘着シートが有する粘着剤層は、耐ブリスター性を向上させた粘着シートとする観点から、さらに微粒子を含有することが好ましい。
微粒子を含有する粘着剤層とすることで、得られる粘着シートを被着体に貼付した際の当該粘着剤層の形状維持性を向上することができ、また、当該粘着シートを高温下で使用した場合に、ブリスターの発生を効果的に抑制することができる。
当該微粒子の平均粒子径としては、好ましくは0.01〜100μm、より好ましくは0.05〜25μm、更に好ましくは0.1〜10μmである。
これらの微粒子は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの微粒子の中でも、シリカ粒子、酸化金属粒子、及びスメクタイトから選ばれる1種以上が好ましく、シリカ粒子がより好ましい。
また、本発明の一態様で用いるシリカ粒子は、反応性官能基を有する有機化合物等で表面修飾された有機修飾シリカ、アルミン酸ナトリウムや水酸化ナトリウム等の無機化合物で表面処理された無機修飾シリカ、並びに、これらの有機化合物及び無機化合物で表面処理された有機無機修飾シリカ、シランカップリング剤等の有機無機ハイブリッド材料で表面処理された有機無機修飾シリカ等であってもよい。
なお、これらのシリカ粒子は、2種以上からなる混合物であってもよい。
本発明の粘着シートが有する粘着剤層は、層(Xα)及び層(Xβ)を少なくとも有する多層構造体であって、層(Xα)及び層(Xβ)は、下記要件(I)及び(II)を満たすものである。
・要件(I):ラマン分光法により測定して得られた、層(Xα)のラマンスペクトルにおいて、下記式(1)から算出される、層(Xα)の強度比I(Xα)が0.30〜20.00である。
・要件(II):ラマン分光法により測定して得られた、層(Xβ)のラマンスペクトルにおいて、下記式(1)から算出される、層(Xβ)の強度比I(Xβ)が、層(Xα)の強度比I(Xα)よりも小さい。
式(1):強度比I=[前記粘着付与剤に由来するピークのピーク高さ]/[前記粘着付与剤以外の成分に由来するピークのピーク高さ]
当該ラマンスペクトルの具体的な取得方法としては、図2のように、測定対象となる粘着シート1が有する粘着剤層12の表面(α)12a及び表面(β)12bに対して直交する粘着剤層12の断面121に対して、レーザー照射装置50から励起レーザー51を垂直に照射した際に生じるラマン散乱光52を検出器で検出することによって、ラマンスペクトルが得られる。
同様に、「粘着付与剤以外の成分に由来するピーク」とは、上記と同様に、ラマン分光法により対象となる層を測定して得られたラマンスペクトルにおいて、粘着付与剤以外の成分の存在によって生じるピークを指す。
ただし、粘着性樹脂に比べて、架橋剤等の汎用添加剤の含有量は少ない。そのため、粘着付与剤を除いた粘着剤組成物から形成した粘着剤層を測定した際に、観測されるラマンスペクトルでは、汎用添加剤に由来するピークの強度は、粘着性樹脂に由来するピークに比べて、相対的に弱くなる。そのため、このラマンスペクトルにおける強いピークは、主成分である粘着性樹脂とほぼ一致する。したがって、事実上「粘着付与剤以外の成分に由来するピーク」は粘着性樹脂に由来するピークと考えることができる。
なお、ラマン分光法による測定から、「各層の強度比I」の算出までの具体例な方法については、後述の実施例に記載のとおりである。
(i)測定対象となる粘着性樹脂及び粘着付与剤を含み、必要に応じて、架橋剤等の汎用添加剤を含む組成物から形成された粘着剤層(a)を有する粘着シートを用意し、図2に示す粘着シート1と同様に設置する。そして、当該粘着シートにおける粘着剤層(a)の断面121に対して、図2に示すように、表面(β)12b側から、表面(α)12a側に向かい、方向Pに沿って、0.5〜1μmの範囲から選ばれる一定の間隔ごとに測定位置をずらしながら、レーザー照射装置50から垂直方向に励起レーザー51を照射し、各測定位置における粘着剤層(a)のラマンスペクトル(Ra)を測定する。
(ii)「粘着付与剤」を除いた以外は、粘着剤層(a)の形成材料である組成物と同じ成分及び含有量である組成物から形成された粘着剤層(b)を有する粘着シートを用意し、粘着剤層(b)の断面の任意の位置に対して、上記(i)と同じ条件にて、ラマン分光法により、粘着剤層(b)のラマンスペクトル(Rb)を測定する。
(iii)ラマンスペクトル(Ra)及び(Rb)について、ラマンシフト毎に、ラマン散乱強度を対比する。この際、ラマンスペクトル(Ra)の特定のラマンシフト(r)でのピーク(pa)のラマン散乱強度が、ラマンスペクトル(Rb)の同じラマンシフト(r)でのピーク(pb)のラマン散乱強度の10倍超となる場合、ラマンスペクトル(Ra)の当該ピーク(pa)を「粘着付与剤に由来するピーク」と判断する。また、当該ピーク(pa)において算出したピーク高さを「粘着付与剤に由来するピークのピーク高さ」とする。
なお、(iii)において、該当するピークが複数存在する場合には、ラマンスペクトル(Ra)において、該当するピークのうち、ラマン散乱強度が最も強いピークを選択するものとする。
(iv)ラマンスペクトル(Ra)において、上記(iii)で「粘着付与剤に由来するピーク」と判断されなかった他のピークを、「粘着付与剤以外の成分に由来するピーク」とし、当該ピークにおいて算出したピーク高さを「粘着付与剤以外の成分に由来するピークのピーク高さ」とする。
なお、(iv)において、該当するピークが複数存在する場合には、ラマンスペクトル(Rb)において、該当するピークのうち、粘着付与剤の存在の有無によるラマン散乱強度への影響が少なく、ラマン散乱強度がより強いピークを選択するものとするが、同程度であれば任意に選択してもよい。
また、基材11と層(Xβ)の境界線、並びに、層(Xα)と空気層の境界線については、光学顕微鏡像による判断と共に、ラマン分光法によって得られたラマンスペクトルから、粘着性樹脂及び粘着付与剤等の粘着層を形成する成分に由来するピークの有無によっても判断可能である。
・スチレン系粘着付与剤:3100cm−1、1670cm−1、1660cm−1、1650cm−1、1600cm−1〜1610cm−1、1380cm−1、1000cm−1
・テルペン系粘着付与剤:3100cm−1、1670cm−1、1660cm−1、1650cm−1、1600cm−1〜1610cm−1、1380cm−1、1000cm−1
・ロジン系粘着付与剤:1670cm−1、1660cm−1、1650cm−1、1600cm−1〜1610cm−1、1380cm−1
本発明において、「各層の強度比I」は、対象となる層に含まれるすべての測定位置の強度比Iの平均値を意味する。例えば、「層(Xβ)の強度比I(Xβ)」は、層(Xβ)に含まれるすべての測定位置での強度比Iの平均値を指す。「層(Xα)の強度比I(Xα)」や「層(Y1)の強度比I(Y1)」も同様の意味である。
つまり、「各層の強度比I」は、対象となる層における粘着付与剤の存在の程度を示した指標であり、値が大きい層ほど、粘着付与剤が多く偏在している層であるといえる。
そこで、本発明の粘着シートは、粘着剤層を構成する層(Xα)及び層(Xβ)の強度比I(Xα)及び(Xβ)が、要件(I)及び(II)を満たすように、層(Xα)及び層(Xβ)を構成する粘着性樹脂及び粘着付与剤の種類や含有量が適切に調整されたものである。
そのため、本発明の粘着シートは、要件(I)を満たすことで、被着体に貼付される表面では経時による粘着力の低下が抑制され、優れた粘着力が発現される。
また、本発明の粘着シートは、要件(II)を満たすように、基材側においては粘着付与剤が偏在し難く設計されているため、基材と粘着剤層との優れた層間密着性を長期間にわたり維持することができる。
上記観点から、上記要件(I)で規定する層(Xα)の強度比I(Xα)としては、好ましくは0.32〜15.00、より好ましくは0.35〜10.00、更に好ましくは0.40〜8.00、より更に好ましくは0.50〜5.00、特に好ましくは0.80〜3.00である。
要件(II)を満たすように、層(Xβ)及び層(Xα)を設計することで、基材と粘着剤層との優れた層間密着性を長期間にわたり維持される粘着シートとすることができる。
本発明において、層(Xβ)の強度比I(Xβ)が0になるということは、層(Xβ)に含まれる測定位置でラマン分光法により測定して得られた、層(Xβ)のラマンスペクトルにおいて、「粘着付与剤に由来するピーク」が認められなかったことを意味する。
粘着剤層が、層(Xβ)、層(Y1)、及び層(Xα)から構成された多層構造体である場合、層(Xα)及び層(Xβ)が上記要件(I)及び(II)を満たすと共に、層(Y1)が下記要件(III−1)及び(III−2)の少なくとも一方を満たすことが好ましく、層(Y1)が下記要件(III−1)及び(III−2)の双方を満たすことがより好ましい。
・要件(III−2):ラマン分光法により測定して得られた、層(Y1)のラマンスペクトルにおいて、前記式(1)から算出される、層(Xα)の強度比I(Xα)に対する、層(Y1)の強度比I(Y1)の比率〔I(Y1)/I(Xα)〕が、0〜0.90である。
上記要件(III−1)及び(III−2)は、粘着剤層の表面(α)及び表面(β)を含まない中間層である層(Y1)の規定である。
また、層(Y1)の強度比I(Y1)が、層(Xβ)の強度比I(Xβ)より大きいことが好ましく、層(Y1)の強度比I(Y1)が、層(Xβ)の強度比I(Xβ)より大きく、且つ、層(Xα)の強度比I(Xα)より小さいことがより好ましい。
当該観点から、要件(III−1)で規定する層(Y1)の強度比I(Y1)としては、好ましくは0〜15.0であるが、より好ましくは0〜10.0、より好ましくは0〜8.0、更に好ましくは0〜5.0、より更に好ましくは0〜3.0、特に好ましくは0〜1.5である。
当該観点から、要件(III−2)で規定する、層(Xα)の強度比I(Xα)に対する、層(Y1)の強度比I(Y1)の比率〔I(Y1)/I(Xα)〕としては、好ましくは0〜0.90であるが、より好ましくは0〜0.85、更に好ましくは0〜0.80、より更に好ましくは0〜0.70である。
以下、各層の形成材料である組成物に含まれる成分の種類及び含有量について説明すると共に、「各層の強度比I」の調整例について説明する。
本発明の一態様において、層(Xα)の強度比I(Xα)を調整し、要件(I)及び(II)を満たす層(Xα)を形成し易くする観点から、層(Xα)の形成材料である組成物(xα)が、粘着性樹脂を100質量部と、粘着付与剤を1質量部以上とを含む組成物であることが好ましい。
上記観点から、組成物(xα)中の粘着付与剤の含有量としては、組成物(xα)中の粘着性樹脂100質量部に対して、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上、より更に好ましくは15質量部以上である。
また、組成物(xα)は、上述の微粒子を含有してもよい。
ただし、組成物(xα)中の微粒子の含有量は、組成物(xα)の有効成分全量(100質量%)に対して、通常15質量%未満、好ましくは0〜13質量%、より好ましくは0〜10質量%、更に好ましくは0〜5質量%、より更に好ましくは0質量%である。
また、上述のとおり、当該アクリル系樹脂は、紫外線非硬化型のアクリル系樹脂であることが好ましい。
このアクリル系樹脂は、溶媒型、エマルション型のいずれであってもよい。
アクリル系樹脂の含有量は、組成物(xα)に含まれる粘着性樹脂の全量(100質量%)に対して、好ましくは25〜100質量%、より好ましくは50〜100質量%、更に好ましくは70〜100質量%、更に好ましくは80〜100質量%、より更に好ましくは100質量%である。
当該架橋剤としては、上述のものが挙げられるが、金属キレート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、及びアジリジン系架橋剤から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
架橋剤の含有量は、組成物(xα)に含まれる粘着性樹脂(もしくは官能基を有するアクリル系樹脂、又は後述のアクリル系共重合体(P))100質量部に対して、好ましくは0.01〜15質量部、より好ましくは0.1〜10質量部、更に好ましくは0.3〜7.0質量部である。
アクリル系樹脂の質量平均分子量(Mw)としては、好ましくは5万〜150万、より好ましくは15万〜130万、更に好ましくは25万〜110万、より更に好ましくは35万〜90万である。
以下、アクリル系樹脂の中でも好適な「アクリル系共重合体(P)」について説明する。
アクリル系共重合体(P)の共重合の形態は、特に限定されず、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。
ただし、上述のとおり、アクリル系共重合体(P)は、紫外線非硬化型であることが好ましい。
アクリル系共重合体(P)の合成方法については、特に限定されるものではなく、例えば、原料モノマーを溶媒中に溶解して、重合開始剤、連鎖移動剤等の存在下で溶液重合する方法や、乳化剤、重合開始剤、連鎖移動剤、分散剤等の存在下で、原料モノマーを用いて水系でエマルション重合する方法にて製造される。
モノマー(p1’)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましく、ブチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
これらの中でも、カルボキシ基含有モノマーがより好ましい。
カルボキシ基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられ、(メタ)アクリル酸が好ましい。
その他のモノマー(p3’)としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート等の環状構造を有する(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等が挙げられる。
なお、上述のモノマー(p1’)〜(p3’)は、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明の一態様において、層(Xβ)の形成材料である組成物(xβ)が、前記粘着性樹脂を含み、前記粘着付与剤を実質的に含有しない組成物であることが好ましい。
各層の形成材料である組成物中の粘着付与剤の含有量は、対象となる層の強度比Iを上昇させる一つの要因となる。つまり、層(Xβ)を、粘着付与剤を実質的に含有しない組成物(xβ)から形成された層とすることで、層(Xβ)の強度比I(Xβ)の値は低くなり、上述の好適範囲に調整し易くなると共に、要件(II)を満たす層(Xβ)を形成し易くなる。
また、組成物(xβ)は、上述の微粒子を含有してもよい。
ただし、組成物(xβ)中の微粒子の含有量は、組成物(xβ)の有効成分全量(100質量%)に対して、通常15質量%未満、好ましくは0〜13質量%、より好ましくは0〜10質量%、更に好ましくは0〜5質量%、より更に好ましくは0質量%である。
この点を考慮すると、例えば、層(Xα)にテルペン系粘着付与剤が含まれている場合、組成物(xβ)中の粘着性樹脂としては、アクリル系樹脂を含むことが好ましい。
つまり、層(Xα)に含まれている粘着付与剤の種類に応じて、層(Xβ)の形成材料である組成物(xβ)中に含まれる粘着性樹脂を適宜選択することで、層(Xα)からの粘着付与剤の移行を抑制し、層(Xβ)の強度比I(Xβ)の値を低く調整することができる。
「アクリル系樹脂」、「官能基を有するアクリル系樹脂」及び「アクリル系共重合体(P)」についての詳細は、上述のとおりである。
当該架橋剤としては、上述のものが挙げられるが、金属キレート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、及びアジリジン系架橋剤から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
架橋剤の含有量は、組成物(xβ)に含まれる官能基を有するアクリル系樹脂(もしくはアクリル系共重合体(P))100質量部に対して、好ましくは0.01〜15質量部、より好ましくは0.1〜10質量部、更に好ましくは0.3〜7.0質量部である。
本発明の一態様において、層(Y1)の形成材料である組成物(y1)は、組成物(xα)及び(xβ)と異なるものであればよいが、上述の要件(III−1)及び(III−2)を満たすように、各成分の種類や含有量を適宜調整した組成物であることが好ましい。
例えば、層(Xα)にテルペン系粘着付与剤が含まれている場合、組成物(y1)は、粘着性樹脂として、アクリル系樹脂を含むことが好ましく、官能基を有するアクリル系樹脂を含むことがより好ましく、アクリル系共重合体(P)を含むことが更に好ましい。
なお、上記の「アクリル系樹脂」、「官能基を有するアクリル系樹脂」及び「アクリル系共重合体(P)」についての詳細は、上述のとおりである。
当該架橋剤としては、上述のものが挙げられるが、金属キレート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、及びアジリジン系架橋剤から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
架橋剤の含有量は、組成物(y1)に含まれる官能基を有するアクリル系樹脂(もしくはアクリル系共重合体(P))100質量部に対して、好ましくは0.01〜15質量部、より好ましくは0.1〜10質量部、更に好ましくは0.3〜7.0質量部である。
組成物(y1)は、粘着性樹脂及び粘着付与剤を含まず、微粒子のみを含む組成物であってもよいが、微粒子と粘着性樹脂とを含む組成物であることが好ましい。
なお、微粒子の含有量が100質量%である組成物(y1)においては、粘着性樹脂及び粘着付与剤の含有量は共に0質量%であり、任意で添加される汎用添加剤の含有量も0質量%である。
当該組成物(y1)中の粘着付与剤の含有量が上記範囲であれば、要件(III−1)及び(III−2)を満たす層(Y1)を形成し易い。また、層(Xβ)の強度比I(Xβ)を上述の好適範囲に調整し易く、要件(II)を満たす層(Xβ)を含む粘着剤層を形成することができる。
本発明で用いる基材としては、特に制限はなく、例えば、紙基材、樹脂フィルム又はシート、紙基材を樹脂でラミネートした基材等が挙げられ、本発明の一態様の粘着シートの用途に応じて適宜選択することができる。
紙基材を構成する紙としては、例えば、薄葉紙、中質紙、上質紙、含浸紙、コート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙等が挙げられる。
樹脂フィルム又はシートを構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリスチレン;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体;三酢酸セルロース;ポリカーボネート;ポリウレタン、アクリル変性ポリウレタン等のウレタン樹脂;ポリメチルペンテン;ポリスルホン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルスルホン;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルイミド、ポリイミド等のポリイミド系樹脂;ポリアミド系樹脂;アクリル樹脂;フッ素系樹脂等が挙げられる。
紙基材を樹脂でラミネートした基材としては、上記の紙基材を、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂でラミネートしたラミネート紙等が挙げられる。
また、本発明の粘着シートを耐熱性が要求される用途に使用する場合には、ポリエチレンナフタレート及びポリイミド系樹脂から選ばれる樹脂から構成されるフィルム又はシートが好ましく、耐候性が要求される用途に使用する場合には、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル樹脂、及びフッ素樹脂から選ばれる樹脂から構成されるフィルム又はシートが好ましい。
なお、基材には、さらに紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、着色剤等の各種添加剤を含有していてもよい。
当該金属層に含まれる金属としては、例えば、アルミニウム、スズ、クロム、チタン等の金属光沢を有する金属等が挙げられる。
当該金属層の形成方法としては、例えば、上記金属を真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等のPVD法により蒸着する方法、又は、上記金属からなる金属箔を一般的な粘着剤を用いて貼付する方法等が挙げられるが、上記金属をPVD法により蒸着する方法が好ましい。
酸化法としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、クロム酸処理(湿式)、熱風処理、オゾン、及び紫外線照射処理等が挙げられ、凹凸化法としては、例えば、サンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。
本発明で用いる剥離材としては、両面剥離処理をされた剥離シートや、片面剥離処理された剥離シート等が用いられ、剥離材用の基材上に剥離剤を塗布したもの等が挙げられる。
なお、当該剥離処理面は、凹凸形状が形成されておらず、平坦である剥離材(例えば、エンボスパターンが施されていない剥離材)が好ましい。
剥離材用の基材としては、例えば、本発明の一態様の粘着シートが有する基材として用いられる上述の紙基材、樹脂フィルム又はシート、紙基材を樹脂でラミネートした基材等が挙げられる。
剥離剤としては、例えば、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂、イソプレン系樹脂、ブタジエン系樹脂等のゴム系エラストマー、長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
剥離材の厚さは、特に制限ないが、好ましくは10〜200μm、より好ましくは25〜170μm、更に好ましくは35〜80μmである。
本発明の一態様の粘着シートとしては、図3に示すような、多層構造体である粘着剤層12が有する層(Xα)の表面(α)に凹部13及び平坦面14が存在する、易貼付性粘着シート2としてもよい。
表面(α)に存在する凹部13は、表面(α)を被着体に貼付する際に生じる「空気溜まり」を外部へ逃すための空気排出通路としての役割を担うことができる。そのため、表面(α)に凹部13が存在する易貼付性粘着シート2は、エア抜け性に優れたものとなり得る。
また、表面(α)に存在する平坦面14は、被着体との貼り合わせ時に、被着体と直接接触して密着する面であり、易貼付性粘着シート2の粘着力に影響を及ぼす箇所である。
本発明の一態様の易貼付性粘着シートにおいて、エア抜け性に優れた粘着シートとする観点から、図4に示すように、表面(α)に存在する凹部13が、不定形の凹部であることが好ましく、目視により不定形と認識できる凹部であることがより好ましい。
表面(α)に不定形の凹部が存在することで、一定方向からの圧力を加えても全ての凹部13が潰れてエア抜けの経路が消失することを防ぐことが出来る。
なお、ここでいう、不定形の形状から除外している「多角形」とは、その内部に(外部にはみ出さずに)対角線を作図可能な図形であって、内角の和が180×n(度)(nは自然数)の直線で囲まれた図形を指す。当該多角形は、その角部がアール状の湾曲形状であるものも含まれる。
ただし、表面(α)上の任意に選択された縦8mm×横10mmの領域(D)を1〜10領域選択し、選択した各領域(D)内に存在する凹部又は平坦面の形状を表面(α)側から目視又はデジタル顕微鏡(倍率:30〜100倍)で観察して判断してもよい。つまり、選択したいずれの領域においても、不定形の凹部又は平坦面が存在していれば、「表面(α)に、不定形の凹部又は平坦面が存在する」とみなすこともできる。
なお、デジタル顕微鏡の代わりに、例えば、ラインセンサカメラを用いて、インラインで「凹部及び平坦面が不定形か否か」の判断を行ってもよい。インラインで測定を行うことにより量産時における製品の検品も兼ねることが出来る。
また、表面(α)上の任意に選択された縦8mm×横10mmの領域(D)を1〜10領域選択し、デジタル顕微鏡(倍率:30〜100倍)を用いて、当該領域の画像を取得し、当該画像から各領域の「平坦面が占める面積割合」の値を算出し、選択した1〜10領域の当該値の平均を、対象となる粘着シートの粘着剤層の表面(α)に存在する「平坦面が占める面積割合」とみなすこともできる。
なお、デジタル顕微鏡の代わりに、例えば、ラインセンサカメラを用いて、インラインで「平坦面が占める面積割合」を測定してもよい。
具体的には、表面(α)に存在する凹部及び平坦面は、粘着剤層の自己形成化により形成されたものであることが好ましい。つまり、当該凹部及び平坦面は、粘着剤層の自己形成化の過程において、粘着剤層が形成される際の副産物として形成されるものであることが好ましい。
なお、粘着剤層の自己形成化により形成される凹部及び平坦面は、目視により不定形と認識できる凹部又は平坦面となり易い。
粘着剤層の自己形成化によって形成された各層の厚さが不均一な粘着剤層及び凹部の形成過程は、以下のように考えられる。
まず、相違した構成成分である少なくとも2層の粘着剤層の形成過程において、互いに異なる組成物から形成された複数の塗膜を乾燥させる工程にて、塗膜内部に収縮応力が発生して、樹脂の結合力が弱くなった部分で、複数の塗膜内での構成成分の移動と、更には表面(α)上に割れが生じる。そして、構成成分の移動した部分への更なる周辺に存在していた構成成分の移動によって、各層の厚さが不均一となり、また、当該割れ部分の周辺に存在していた樹脂が、割れにより一時的に生じた空間に流入することで、粘着剤層の表面(α)上に凹部とが形成されると考えられる。
つまり、凹部の形成と同時に大規模な樹脂の移動が起こることから、より各層の厚さが不均一となり、上述の要件を満たす層(Xα)、層(Y1)及び層(Xβ)が形成され易い。
樹脂の構成成分が異なる2層の塗膜を形成した後、当該2層の塗膜を同時に乾燥させることで、乾燥する際に塗膜内部に収縮応力差が発生し、各層の厚さが不均一となると共に、表面(α)上に割れを生じ易くなると考えられる。
・塗膜の形成材料である組成物中に含まれる樹脂の種類、構成モノマー、分子量、含有量。
・塗膜の形成材料である組成物中に含まれる架橋剤の種類、溶媒の種類。
・塗膜の形成材料である組成物の粘度、固形分濃度。
・形成する塗膜の厚さ。(複層の場合は、各塗膜の厚さ)
・形成した塗膜の乾燥温度、乾燥時間。
例えば、組成物中に微粒子を含む場合、微粒子を多く含む組成物からなる塗膜の粘度を適度な範囲に調整することで、塗膜中での微粒子の所定の流動性を維持しつつも、他の塗膜(樹脂を多く含む塗膜)との入り混じりを適度に抑制することができる。このように調整することで、樹脂を多く含む塗膜において、水平方向に割れが生じ、凹部が形成され易くなり、上述の要件を満たす層(Xα)、層(Y1)及び層(Xβ)が形成される傾向にある。
つまり、塗膜の硬さ(樹脂の粘弾性、塗布液の粘度等の因子で決まる硬さ)を適度に硬くすることで、樹脂部分の収縮応力が強くなり、凹部が形成し易くなり、上述の要件を満たす層(Xα)、層(Y1)及び層(Xβ)が形成される。
当該塗膜の硬さが硬いほど収縮応力が強くなり、凹部が発生しやすくなるが、硬すぎると塗布適性が低下する。また、樹脂の弾性を上げ過ぎると、塗膜から形成される粘着剤層の粘着力が低下する傾向にある。その点を考慮して、樹脂の粘弾性を適度に調整することが好ましい。
また、組成物や塗膜中に微粒子を含む場合、微粒子の分散状態を適切化することで、微粒子による粘着剤層の厚さの膨れ上がりの程度や、凹部の自己形成力を調節し、結果的に表面(α)上に凹部を形成し易く調整し、上述の要件を満たす層(Xα)、層(Y1)及び層(Xβ)が形成されると考えられる。
つまり、塗膜の架橋速度が速すぎる場合には、凹部が形成される前に、塗膜が硬化してしまう恐れがある。また、塗膜の割れの大きさにも影響を及ぼす。
塗膜の架橋速度は、形成材料である組成物中の架橋剤の種類及び溶媒の種類や、塗膜の乾燥時間及び乾燥温度を適宜設定することで調整可能である。
より具体的な処方としては、以下の事項を満たすような組成物(xα)、(y1)、及び(xβ)を用いることで、粘着剤層の自己形成化の過程において、表面(α)に不定形の凹部が形成され易くなる。
組成物(xα)、(y1)、及び(xβ)が、粘着性樹脂として、アクリル系樹脂又はゴム系樹脂を含有することが好ましく、アクリル系樹脂を含有することがより好ましい。
当該アクリル系樹脂としては、上述の官能基を有するアクリル系樹脂を含むことが好ましく、上述のアクリル系共重合体(P)を含むことがより好ましい。なお、アクリル系樹脂、官能基を有するアクリル系樹脂、及びアクリル系共重合体(P)の詳細は上述のとおりである。
組成物(xα)、(y1)、及び(xβ)が、官能基を有するアクリル系樹脂(もしくはアクリル系共重合体(P))と共に、架橋剤を含有することが好ましい。
組成物(xα)、(y1)、及び(xβ)中に含まれる当該架橋剤としては、粘着剤層の表面(α)に不定形の凹部及び平坦面を形成しやすくする観点から、金属キレート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、及びアジリジン系架橋剤から選ばれる1種以上を含むことが好ましく、金属キレート系架橋剤を含むことがより好ましく、アルミニウムキレート系架橋剤を含むことが更に好ましい。
金属キレート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤を共に含む場合、組成物(xα)中の金属キレート系架橋剤とエポキシ系架橋剤との含有比[金属キレート系架橋剤/エポキシ系架橋剤]としては、質量比で、好ましくは10/90〜99.5/0.5、より好ましくは50/50〜99.0/1.0、更に好ましくは65/35〜98.5/1.5、より更に好ましくは75/25〜98.0/2.0である。
粘着剤層の表面(α)に不定形の凹部を形成しやすくする観点から、組成物(y1)は、微粒子として、シリカ粒子を含有することが好ましい。
組成物(y1)中のシリカ粒子の含有量としては、組成物(y1)の有効成分全量(100質量)に対して、好ましくは15〜100質量%、より好ましくは20〜95質量%、より好ましくは25〜90質量%、更に好ましくは30〜85質量%、より更に好ましくは35〜80質量%である。
なお、本発明において、シリカ粒子の体積平均二次粒子径の値は、マルチサイザー・スリー機等を用いて、コールターカウンター法による粒度分布の測定を行うことにより求めた値である。
この空隙部分は、前記微粒子同士の間に存在する空隙や、前記微粒子が二次粒子である場合、当該二次粒子内に存在する空隙等も含まれる。
なお、多層構造体である粘着剤層の形成過程や形成直後において、空隙部分が存在していたとしても、空隙部分に粘着性樹脂等が流入して、空隙が消失し、空隙部分が無い粘着剤層となることもある。
しかしながら、このように粘着剤層中に一時期存在していた空隙部分が消失した場合であっても、本発明の一態様である易貼付性粘着シートは、粘着剤層の表面(α)に凹部が存在するため、エア抜け性は良好であり、粘着剤層中に微粒子が存在していれば、耐ブリスター性にも優れる。
本発明の一態様の易貼付性粘着シートが有する粘着剤層を800℃で30分間加熱した後の質量保持率が3〜90質量%(より好ましくは5〜80質量%、更に好ましくは7〜70質量%、より更に好ましくは9〜60質量%)であることが好ましい。
当該質量保持率が3質量%以上であれば、エア抜け性及び耐ブリスター性に優れた粘着シートとなり得る。また、本発明の粘着シートの製造時において、粘着剤層の表面(α)に凹部が形成されやすくなる。一方、当該質量保持率が90質量%以下であれば、粘着剤層の膜強度が高く、耐水性や耐薬品性が優れ、粘着剤層の表面(α)に平坦面が形成されやすくなる。
なお、当該質量保持率は、粘着剤層中に含まれる微粒子の含有量(質量%)を示すとみなすことができ、各組成物に含まれる微粒子の含有量を変更することで調整可能である。
本発明の一態様の易貼付性粘着シートにおいて、粘着剤層の自己形成化により形成された凹部を有する粘着剤層では、図3に示すように、表面(α)上に凹部13が存在する箇所での微粒子15が存在する割合は、表面(α)上に平坦面14が存在する箇所での微粒子15が存在する割合に比べて、少なくなるような分布となる傾向がある。
これは、粘着剤層の自己形成化の過程において、粘着剤層の表面(α)に凹部が形成される際に、凹部が形成された位置に存在していた微粒子が移動することで、このような分布になったものと考えられる。
そのため、当該凹部13の形状は、不定形となり易く、また、表面(α)に不定形の凹部が形成されることで、平坦面14の形状も不定形となる。
本発明の粘着シートの製造方法としては、特に制限はなく、基材上に、多層構造体である粘着剤層の形成材料である各組成物からなる塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥させて、各層を形成することで製造することができる。
なお、上記の製造方法では、基材11上に、組成物(xβ)からなる塗膜(xβ’)と組成物(xα)からなる塗膜(xα’)とを形成した後、これらの塗膜を同時に乾燥させて、層(Xβ)及び層(Xα)を同時に形成してもよい。
また、図1(a)に示す粘着シート1aは、基材11上に、組成物(xβ)を用いて形成した層(Xβ)と、別に用意した、剥離材上に組成物(xα)を用いて形成した層(Xα)とを貼付することでも製造することができる。
上記の粘着シート1bの製造方法においても、基材11上に、組成物(xβ)からなる塗膜(xβ’)、組成物(y1)からなる塗膜(y1’)、及び組成物(xα)からなる塗膜(xα’)とを形成した後、これらの塗膜を同時に乾燥させて、層(Xβ)、層(y1)及び層(Xα)を同時に形成してもよい。
さらに、層(Xβ)、層(y1)及び層(Xα)を別々に形成した上で、順にそれらを貼付して製造することもできる。
このような溶媒としては、水や有機溶媒等が挙げられる。
当該有機溶媒としては、例えば、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブタノール、s−ブタノール、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。なお、これらの溶媒は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、複数の塗膜の形成方法としては、一つの塗膜を形成した後、形成した塗膜上に、別の戸膜を形成するといった逐次形成する方法でもよく、多層コーターで複数の塗膜を同時塗布し形成する方法でもよい。
逐次形成する際に用いるコーターとしては、例えば、スピンコーター、スプレーコーター、バーコーター、ナイフコーター、ロールコーター、ナイフロールコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、ダイコーター等が挙げられる。
多層コーターで同時塗布する際に用いるコーターとしては、例えば、カーテンコーター、ダイコーター等が挙げられるが、これらの中でも、操作性の観点から、ダイコーターが好ましい。
本発明の一態様の易貼付性粘着シートの製造方法としては、特に制限はないが、生産性の観点、並びに、粘着剤層の表面(α)に、粘着剤層の自己形成化により形成される凹部及び平坦面をより形成し易くする観点から、少なくとも下記工程(1A)及び(2A)を有する第1の態様の製造方法、もしくは、少なくとも下記工程(1B)及び(2B)を有する第2の態様の製造方法が好ましい。
・工程(1A):基材上に、組成物(xβ)からなる塗膜(xβ’)、前記微粒子を15質量%以上含む組成物(y1)からなる塗膜(y1’)、及び組成物(xα)からなる塗膜(xα’)をこの順で積層して形成する工程
・工程(2A):工程(1A)で形成した塗膜(xβ’)、塗膜(y1’)、及び塗膜(xα’)を同時に乾燥させる工程
・工程(1B):基材上に設けられた組成物(xβ)を用いて形成した層(Xβ)上に、前記微粒子を15質量%以上含む組成物(y1)からなる塗膜(y1’)、及び組成物(xα)からなる塗膜(xα’)をこの順で積層して形成する工程
・工程(2B):工程(1B)で形成した塗膜(y1’)及び塗膜(xα’)を同時に乾燥させる工程
このような溶媒としては、水や有機溶媒等が挙げられ、使用し得る有機溶媒は上述のとおりである。
逐次形成する際に用いるコーター、及び、多層コーターで同時塗布する際に用いるコーターは、上述のとおりである。
工程(1A)では、組成物(xβ)、組成物(y1)、及び組成物(xα)には、上述の溶媒を配合し、組成物の溶液の形態とした後、塗布することが好ましい。
塗膜(xβ’)、塗膜(y1’)、及び塗膜(xα’)の形成方法としては、基材上に、塗膜(xβ’)を形成した後、塗膜(xβ’)上に塗膜(y1’)を形成し、さらに塗膜(y1’)上に塗膜(xα’)を形成するというように、上述のコーターを用いて逐次形成する方法でもよく、塗膜(xβ’)、塗膜(y1’)及び塗膜(xα’)を、上述の多層コーターを用いて同時塗布し形成する方法でもよい。
例えば、塗膜(xβ’)、塗膜(y1’)、及び塗膜(xα’)のそれぞれの塗膜の形成後に、その都度上記のプレ乾燥処理を行ってもよく、塗膜(xβ’)及び塗膜(y1’)の形成後に、まとめて上記のプレ乾燥処理を行った後、塗膜(xα’)を形成してもよい。
本工程(1A)における、当該プレ乾燥処理を行う際の乾燥温度としては、通常は、形成した塗膜の硬化が進行しない程度の温度範囲で適宜設定されるが、好ましくは工程(2A)での乾燥温度未満である。「工程(2A)での乾燥温度未満」との規定が示す具体的な乾燥温度としては、好ましくは10〜45℃、より好ましくは10〜34℃、更に好ましくは15〜30℃である。
本工程における乾燥温度としては、粘着剤層の表面(α)に凹部及び平坦面を形成しやすくする観点から、好ましくは35〜200℃、より好ましくは60〜180℃、更に好ましくは70〜160℃、より更に好ましくは80〜140℃である。
層(Xβ)の形成方法としては、基材上に、組成物(xβ)からなる塗膜(xβ’)を形成し、該塗膜(xβ’)を乾燥させて形成することができる。
このときの乾燥温度としては、特に制限はなく、好ましくは35〜200℃、より好ましくは60〜180℃、更に好ましくは70〜160℃、より更に好ましくは80〜140℃である。
工程(1B)においても、組成物(y1)及び組成物(xα)には、上述の溶媒を配合し、組成物の溶液の形態とした後、塗布することが好ましい。
塗膜(y1’)及び塗膜(xα’)の形成方法としては、層(Xβ)上に、塗膜(y’)を形成した後、塗膜(y1’)上に塗膜(xα’)を形成するというように、上述のコーターを用いて逐次形成する方法でもよく、塗膜(y1’)及び塗膜(xα’)を、上述の多層コーターを用いて同時塗布し形成する方法でもよい。
本工程(1B)における、当該プレ乾燥処理を行う際の乾燥温度としては、通常は、形成した塗膜の硬化が進行しない程度の温度範囲に適宜設定されるが、好ましくは工程(2B)での乾燥温度未満である。「工程(2B)での乾燥温度未満」との規定が示す具体的な乾燥温度としては、好ましくは10〜45℃、より好ましくは10〜34℃、更に好ましくは15〜30℃である。
本工程における乾燥温度としては、粘着剤層の表面(α)に凹部及び平坦面を形成しやすくする観点から、好ましくは35〜200℃、より好ましくは60〜180℃、更に好ましくは70〜160℃、より更に好ましくは80〜140℃である。
ゲル浸透クロマトグラフ装置(東ソー株式会社製、製品名「HLC−8020」)を用いて、下記の条件下で測定し、標準ポリスチレン換算にて測定した値を用いた。
(測定条件)
・カラム:「TSK guard column HXL−L」「TSK gel G2500HXL」「TSK gel G2000HXL」「TSK gel G1000HXL」(いずれも東ソー株式会社製)を順次連結したもの
・カラム温度:40℃
・展開溶媒:テトラヒドロフラン
・流速:1.0mL/min
シリカ粒子の体積平均二次粒子径は、マルチサイザー・スリー機(ベックマン・コールター社製)を用いて、コールターカウンター法による粒度分布の測定を行うことにより求めた。
株式会社テクロック製の定圧厚さ測定器(型番:「PG−02J」、標準規格:JIS K6783、Z1702、Z1709に準拠)を用いて測定した。
具体的には、測定対象の粘着シートの総厚を測定した上で、予め測定した基材もしくは剥離シートの厚さを差し引いた値を「粘着剤層の厚さ」とした。
(樹脂組成物の溶液(xβ−1)〜(xβ−3)及び(xα−1)〜(xα−2)の調製)
表1に記載の種類及び固形分量の粘着性樹脂であるアクリル系樹脂の溶液に対して、表1に記載の種類及び配合量の架橋剤、及び粘着付与剤を添加した。そして、更に表1に記載の希釈溶媒を用いて希釈し、表1に記載の固形分濃度を有する樹脂組成物の溶液(xβ−1)〜(xβ―3)及び(xα−1)〜(xα−2)をそれぞれ調製した。
<アクリル系樹脂の溶液>
・溶液(i):アクリル系樹脂(x−i)(BA/AA=90/10(質量%)からなる原料モノマーに由来の構成単位を有するアクリル系共重合体、Mw:47万)を含有する固形分濃度37.0質量%のトルエンと酢酸エチルとの混合溶液。
・溶液(ii):アクリル系樹脂(x−ii)(2EHA/VAc/AA=75/23/2(質量%)からなる原料モノマーに由来の構成単位を有するアクリル系共重合体、Mw:66万)を含有する固形分濃度37.0質量%のトルエンと酢酸エチルとの混合溶液。
・溶液(iii):アクリル系樹脂(x−iii)(2EHA/BA/VAc/AA=70/20/5/5(質量%)からなる原料モノマーに由来の構成単位を有するアクリル系共重合体、Mw:63万)を含有する固形分濃度33.5質量%のトルエンと酢酸エチルとの混合溶液。
・溶液(iv):アクリル系樹脂(x−iv)(BA/AA/HEA=94/3/3(質量%)からなる原料モノマーに由来の構成単位を有するアクリル系共重合体、Mw:100万)を含有する固形分濃度37.0質量%のトルエンと酢酸エチルとの混合溶液。
なお、上記のアクリル系共重合体の構成する原料モノマーの略称は、以下のとおりである。
・BA:n−ブチルアクリレート
・2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
・AA:アクリル酸
・VAc:酢酸ビニル
・HEA:ヒドロキシエチルアクリレート
・Al系架橋剤:製品名「M−5A」、総研化学株式会社製、アルミニウムキレート系架橋剤、固形分濃度=4.95質量%。
・エポキシ系架橋剤:「TETRAD−C」(製品名、三菱ガス化学株式会社製)をトルエンで希釈し、固形分濃度5質量%としたエポキシ系架橋剤の溶液。
・ロジンエステル系TF:ロジンエステル系粘着付与剤、Mw:1万未満、軟化点:135℃。
・スチレン系TF:スチレン系粘着付与剤、Mw:1万未満、軟化点:95℃
・テルペン系TF:芳香族変性テルペン系粘着付与剤、Mw:1万未満、軟化点:115℃。
・水素化テルペン系TF:芳香族変性テルペン系粘着付与剤の水素化物、Mw:1万未満、軟化点:100℃。
・混合溶媒(1):トルエン/イソプロピルアルコール(IPA)=35/65(質量比)で混合してなる混合溶媒。
・混合溶媒(2):酢酸エチル/IPA=86/14(質量比)で混合してなる混合溶媒。
・混合溶媒(3):トルエン/IPA=40/60(質量比)で混合してなる混合溶媒。
(微粒子分散液(f−1)の調製)
上述のアクリル系樹脂(x−i)を含む溶液(i)(BA/AA=90/10(質量%)からなる原料モノマーに由来の構成単位を有するアクリル系共重合体(Mw:47万)を含有する固形分濃度37.0質量%のトルエンと酢酸エチルとの混合溶液)を使用した。
当該溶液(i)100質量部(固形分:37.0質量部)に対して、微粒子として、シリカ粒子(製品名「ニップシール E−200A」、東ソー・シリカ株式会社製、体積平均二次粒子径:3μm)を55.5質量部(固形分:55.5質量部)及びトルエンを添加して、微粒子を分散させて、アクリル系樹脂(x−i)及びシリカ粒子を含む固形分濃度30質量%の微粒子分散液(f−1)を調製した。
(塗膜(y1’)形成用塗布液(y−1)〜(y−3)の調製)
表2に記載の種類及び配合量の微粒子分散液、アクリル系樹脂の溶液、架橋剤、粘着付与剤及び希釈溶媒を添加して、表2に記載の固形分濃度の塗膜(y1’)形成用の組成物の塗布液(y−1)〜(y−3)をそれぞれを調製した。
の詳細は以下のとおりである。
<微粒子分散液>
・分散液(f−1):製造例f−1で調製した、アクリル系樹脂(x−i)及びシリカ粒子を含む固形分濃度30質量%の微粒子分散液(f−1)。
<アクリル系樹脂の溶液>
・溶液(i):アクリル系樹脂(x−i)(BA/AA=90/10(質量%)からなる原料モノマーに由来の構成単位を有するアクリル系共重合体、Mw:47万)を含有する固形分濃度37.0質量%のトルエンと酢酸エチルとの混合溶液。
<架橋剤>
・Al系架橋剤:製品名「M−5A」、総研化学株式会社製、アルミニウムキレート系架橋剤、固形分濃度=4.95質量%。
<粘着付与剤>
・ロジンエステル系TF:ロジンエステル系粘着付与剤、Mw:1万未満、軟化点:135℃。
・テルペン系TF:芳香族変性テルペン系粘着付与剤、Mw:1万未満、軟化点:115℃。
・水素化テルペン系TF:芳香族変性テルペン系粘着付与剤の水素化物、Mw:1万未満、軟化点:100℃。
・スチレン系TF:スチレン系粘着付与剤、Mw:1万未満、軟化点:95℃
<希釈溶媒>
・混合溶媒(4):IPA/CHN:イソプロピルアルコール(IPA)及びシクロヘキサノン(CHN)からなる混合溶媒(IPA/CHN=95/5(質量比))。
(1)塗膜の形成
片面にアルミ蒸着層を設けたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(リンテック株式会社製、製品名「FNSケシN50」、厚さ50μm)を基材として用いた。
当該PETフィルムのアルミ蒸着層上に、表3に記載の製造例x−1〜x−3で調製した樹脂組成物の溶液(xβ−1)〜(xβ―3)のいずれかと、表3に記載の製造例y−1〜y−3で調製した塗膜(y1’)形成用の組成物の塗布液(y−1)〜(y−3)のいずれかと、表3に記載の製造例x−4〜x−5で調製した樹脂組成物の溶液(xα−1)〜(xα−2)のいずれかを、この順で、多層ダイコーター(幅:250mm)を用いて、表3に記載の塗布速度にて同時に塗布し、塗膜(xβ’)、塗膜(y1’)及び塗膜(xα’)を同時に形成した。
なお、塗膜(xβ’)、塗膜(y1’)及び塗膜(xα’)を形成するための各溶液(塗布液)の塗布量は、表3に記載のとおりである。
形成した3層の塗膜(xβ’)、塗膜(y1’)及び塗膜(xα’)を、乾燥温度100℃にて2分間、同時に乾燥させて、層(Xβ)、層(Y1)及び層(Xα)をこの順で積層してなる多層構造体である粘着剤層を形成した。なお、形成した当該粘着剤層の厚さは、表3に示すとおりである。
そして、形成した粘着剤層の表面(α)に、剥離材である剥離フィルム(リンテック株式会社製、製品名「SP−PET381031」)の剥離処理面と貼合するようにラミネートし、基材付き粘着シートを作製した。
以下の手順により、粘着剤層を構成する各層の強度比Iを算出した。
(i)ラマンスペクトル(Ra)の測定
実施例及び比較例で作製した基材付き粘着シートを、23℃、相対湿度50%の環境下で、7日間静置した後、図2に示す粘着シート1と同様に設置した。
そして、当該基材付き粘着シートにおける粘着剤層(以下、「粘着剤層(a)」という)の断面121に対して、図2に示すように、表面(β)12b側から、表面(α)12a側に向かい、方向Pに沿って、0.5〜1μmの範囲から選ばれる一定の間隔ごとに測定位置をずらしながら、レーザー照射装置50から垂直方向に励起レーザー51を照射し、各測定位置における当該粘着剤層(a)のラマンスペクトル(Ra)を測定した。
なお、各測定位置は、レーザー照射装置に内蔵された光学顕微鏡を用いて、粘着剤層12の断面121を観察して取得した光学顕微鏡像を基に設定した。
また、当該粘着剤層(a)を構成する層(Xβ)、層(Y1)、及び層(Xα)の隣接する2つの層の境界は、測定位置を指定する際に用いた、粘着剤層12の断面121の光学顕微鏡像、及び、得られたラマンスペクトル(Ra)から特定した。
・レーザー照射装置:サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製、製品名「Nicolet Almega XR」
・レーザー波長:532nm
・アパーチャー:25μmピンホール
・レンズ倍率:50倍
・出力:100%
・露光時間:2秒
・露光回数:4回
各実施例及び比較例において、粘着付与剤を除いた以外は、粘着剤層(a)の形成方法と同様にして、粘着付与剤を含まない粘着剤層(b)を有する粘着シートを作製した。
そして、粘着剤層(b)の断面の任意の位置に対して、ラマン分光法により前述の測定条件にて粘着剤層(b)のラマンスペクトル(Rb)を測定した。
ラマンスペクトル(Ra)及び(Rb)について、ラマンシフト毎に、ラマン散乱強度を対比した。
具体的には、ラマンスペクトル(Ra)の特定のラマンシフト(r)でのピーク(pa)のラマン散乱強度が、ラマンスペクトル(Rb)の同じラマンシフト(r)でのピークのラマン散乱強度の10倍超となる場合、ラマンスペクトル(Ra)の当該ピーク(pa)を「粘着付与剤に由来するピーク」と判断した。また、当該ピーク(pa)において算出したピーク高さを「粘着付与剤に由来するピークのピーク高さ」とした。
なお、該当するピークが複数存在する場合には、ラマンスペクトル(Ra)において、該当するピークのうち、ラマン散乱強度が最も強いピークを選択した。
ラマンスペクトル(Ra)において、上記(iii)で「粘着付与剤に由来するピーク」と判断されなかった他のピークを、「粘着付与剤以外の成分に由来するピーク」とし、当該ピークにおいて算出したピーク高さを「粘着付与剤以外の成分に由来するピークのピーク高さ」とした。
なお、該当するピークが複数存在する場合には、ラマンスペクトル(Rb)において、該当するピークのうち、粘着付与剤の存在の有無によるラマン散乱強度への影響が少なく、ラマン散乱強度がより強いピークを一つ選択した。
上記(i)〜(iv)を経て得られた「粘着付与剤に由来するピークのピーク高さ」及び「粘着付与剤以外の成分に由来するピークのピーク高さ」の値を基に、前記式(1)より、粘着剤層の断面121中の測定位置のそれぞれにおける「強度比I」を算出した。
図5は、実施例1で作製した粘着シートが有する粘着剤層において、測定位置(表面(β)からの距離)と、当該測定位置における強度比Iとの関係を示すグラフである。
なお、実施例1においては、ラマンシフトが1000cm−1であるピークを「粘着付与剤に由来するピーク」とし、ラマンシフトが1730cm−1であるピークを「粘着付与剤以外の成分に由来するピーク」とした。
そして、層(Xβ)に含まれるすべての測定位置の強度比Iの平均値を「層(Xβ)の強度比I」とし算出した。同様に、層(Y1)に含まれるすべての測定位置の強度比Iの平均値を「層(Y1)の強度比I」とし、層(Xα)に含まれるすべての測定位置の強度比Iの平均値を「層(Xα)の強度比I」とし、算出した。
実施例及び比較例で作製した粘着シートが有する粘着剤層における、「層(Xβ)の強度比I(Xβ)」、「層(Y1)の強度比I(Y1)」、及び「層(Xα)の強度比I(Xα)」を表4に示す。
また、「層(Xα)の強度比I(Xα)に対する、層(Xβ)の強度比I(Xβ)の比率〔I(Xβ)/I(Xα)〕」及び「層(Xα)の強度比I(Xα)に対する、層(Y1)の強度比I(Y1)の比率〔I(Y1)/I(Xα)〕」も算出し、これらも表4に示す。
実施例及び比較例で作製した粘着シートの粘着剤層の表面(α)上において縦8mm×横10mmの長方形で囲まれた領域(D)を任意に4領域選択し、各領域(D)内をデジタル顕微鏡(キーエンス株式会社製、製品名「デジタルマイクロスコープVHX−1000」、倍率:50倍)で表面(α)側から平面視(必要に応じて立体視)して観察及び撮影した。
また、当該撮影に際し、より具体的には、図3の方向Aから目視にて平坦面だと判断した部位の上方から順に焦点を移動し、初めに焦点があった部分を平坦面として撮影した。
さらに、デジタル顕微鏡(倍率50倍)を用いて、表面(α)上の任意に選択した互いに隣り合わせの範囲を、デジタル顕微鏡の画像連結機能により連結した連結画像を取得し、得られた連結画像において、縦8mm×横10mmの長方形で囲まれた領域を任意に選択し、これを「領域(D)の画像」とした。
また、画像の目視にて、平坦面であるかどうかを判断出来ない場合は、粘着剤層の表面(α)に平滑面を有する透光性被着体を可能な限り荷重をかけないようにスキージ−にて手貼りし、図3の方向Aから、透光性被着体の平滑面と粘着剤層12の表面(α)12aとの界面を撮影し、貼付した部分は平坦面であると判断した。平滑面を有する透光性被着体は、無アルカリガラス(製品名「イーグルXG」、コーニング株式会社製)を使用した。
得られた領域(D)の画像を観察し、凹部の存在の有無、凹部の形状、及び平坦面の形状を観察した。結果を表4に示す。
上記の「粘着剤層の表面(α)の状態の観察」の項目にて取得した「領域(D)の画像」を基に、上記と同じデジタル顕微鏡を用いて、自動面積計測を行ない、領域(D)に存在する各平坦面の面積をそれぞれ得た。測定結果を表4に示す。
なお、自動面積計測は、領域(D)に存在する平坦面を、デジタル顕微鏡及び必要に応じて目視による画像処理にて2値化した後、得られた2値化画像の数値(面積)の計測を行ない、各平坦面の面積をそれぞれ測定した。平坦面がそれぞれ複数存在する場合には、それぞれの平坦面の面積の計測を行った。得られた各平坦面の面積の合計の領域(D)の全面積に対する割合である、「平坦面が占める面積割合(%)」を算出した。
自動面積計測の条件は、以下のとおりである。
(自動面積計測条件)
・抽出モード:輝度(ノイズ除去弱)
・抽出領域:数値指定(矩形)にて縦8mm×横10mmの長方形を抽出
・抽出領域の整形:粒除去(面積100μm2以下除去)
実施例及び比較例で作製した基材付き粘着シートから粘着剤層のみを得た後、加熱前の粘着剤層の質量を測定した。そして、当該粘着剤層をマッフル炉(デンケン株式会社製、製品名「KDF−P90」)内に投入し、800℃にて30分間加熱した。
そして、加熱後の粘着剤層の質量を測定し、下記式により、粘着剤層の質量保持率を算出した。算出した質量保持率の値を表4に示す。
粘着剤層の質量保持率(%)=[加熱後の粘着剤層の質量]/[加熱前の粘着剤層の質量]×100
実施例及び比較例で作製した基材付き粘着シートを23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で7日間静置し、被着体であるポリカーボネート板(三菱ガス化学株式会社製、製品名「ユーピロンシート NF−2000VU」)に貼付した。貼付後、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で24時間静置し、貼付した基材付き粘着シートを手でゆっくり剥がした際、下記の基準によって基材と粘着剤層との層間密着性を評価した。評価結果を表4に示す。
A:被着体と粘着剤層との界面で剥離され、基材と粘着剤層との間での剥離は見られず、層間密着性に優れている。
F:基材と粘着剤層との界面で剥離されてしまい、層間密着性が劣る。
実施例及び比較例で作製した基材付き粘着シートを23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で7日間静置し、縦25mm×横300mmの大きさに切断した後、当該粘着シートの粘着剤層の表面(α)を、同じ環境下で、ステンレス板(SUS304、360番研磨)に貼付して粘着力測定用サンプルを作成し、同じ環境下で24時間静置した。
静置後、JIS Z0237:2000に基づき、180°引き剥がし法により、引っ張り速度300mm/分にて、各基材付き粘着シートの粘着力を測定した。粘着力の測定結果を表4に示す。
実施例及び比較例で作製した基材付き粘着シートを、縦50mm×横50mmの大きさとした後、空気溜まりが生じるように、被着体であるメラミン塗装板に貼付した。そして、スキージを用いて圧着した後の空気溜まりの有無を観察し、以下の基準により、各粘着シートのエア抜け性を評価した。評価結果を表4に示す。
A:空気溜まりが消失しており、エア抜け性に優れる。
F:空気溜まりが残っており、エア抜け性が劣る。
実施例及び比較例で作製した基材付き粘着シートを、縦50mm×横50mmの大きさとした後、縦70mm×横150mm×厚さ2mmのポリメチルメタクリレート板(三菱レイヨン株式会社製、製品名「アクリライトL001」)に貼付し、スキージーを用いて強く圧着し、試験サンプルを作製した。
この試験サンプルを、23℃で12時間静置した後、80℃の熱風乾燥機内に1.5時間静置し、さらに90℃の熱風乾燥機内に1.5時間静置して、加熱促進後のブリスターの発生状態を目視により観察し、以下の基準により、各粘着シートの耐ブリスター性を評価した。評価結果を表4に示す。
A:ブリスターが全く確認されなかった。
B:部分的にブリスターが確認された。
C:全面にブリスターが確認された。
図6〜8からも明らかなとおり、実施例1〜3で作製した粘着シートが粘着剤層の表面(α)には、不定形の凹部及び平坦面が複数存在することが確認された。そのため、これらの粘着シートのエア抜け性は良好であった。
また、実施例1〜3で作製した粘着シートは、耐ブリスター性も良好であった。
2 易貼付性粘着シート
11 基材
12 粘着剤層
12a 表面(α)
12b 表面(β)
121 断面
13 凹部
14 平坦面
15 微粒子
50 レーザー照射装置
51 励起レーザー
52 ラマン散乱光
Claims (13)
- 基材上に、粘着性樹脂及び粘着付与剤を含む粘着剤層が直接積層した粘着シートであって、
前記粘着剤層が、粘着性を有する表面(α)を含む層(Xα)と、前記基材と直接積層する表面(β)を含む層(Xβ)とを少なくとも有する多層構造体からなり、
層(Xα)及び層(Xβ)が下記要件(I)及び(II)を満たす、粘着シート。
・要件(I):ラマン分光法により測定して得られた、層(Xα)のラマンスペクトルにおいて、下記式(1)から算出される、層(Xα)の強度比I(Xα)が0.30〜20.00である。
・要件(II):ラマン分光法により測定して得られた、層(Xβ)のラマンスペクトルにおいて、下記式(1)から算出される、層(Xβ)の強度比I(Xβ)が、層(Xα)の強度比I(Xα)よりも小さい。
式(1):強度比I=[前記粘着付与剤に由来するピークのピーク高さ]/[前記粘着付与剤以外の成分に由来するピークのピーク高さ] - 層(Xβ)の強度比I(Xβ)が、0〜15.0である、請求項1に記載の粘着シート。
- 層(Xα)の強度比I(Xα)に対する、層(Xβ)の強度比I(Xβ)の比率〔I(Xβ)/I(Xα)〕が、0〜0.90である、請求項1又は2に記載の粘着シート。
- 層(Xβ)の形成材料である組成物(xβ)が、前記粘着性樹脂を含み、前記粘着付与剤を実質的に含有しない、請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着シート。
- 層(Xα)の形成材料である組成物(xα)が、前記粘着性樹脂を100質量部と、前記粘着付与剤を1質量部以上とを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘着シート。
- 前記粘着剤層が、少なくとも層(Xβ)、層(Y1)、及び層(Xα)をこの順で積層してなる多層構造体である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の粘着シート。
- ラマン分光法により測定して得られた、層(Y1)のラマンスペクトルにおいて、前記式(1)から算出される、層(Y1)の強度比I(Y1)が0〜15.0である、請求項6に記載の粘着シート。
- ラマン分光法により測定して得られた、層(Y1)のラマンスペクトルにおいて、前記式(1)から算出される、層(Xα)の強度比I(Xα)に対する、層(Y1)の強度比I(Y1)の比率〔I(Y1)/I(Xα)〕が、0〜0.90である、請求項6又は7に記載の粘着シート。
- 層(Y1)が、微粒子を含む層である、請求項6〜8のいずれか一項に記載の粘着シート。
- 層(Y1)の形成材料である組成物(y1)が、前記微粒子を15〜100質量%含む、請求項9に記載の粘着シート。
- 層(Xα)の表面(α)に、不定形の凹部を有する、請求項9又は10に記載の粘着シート。
- 層(Xα)の表面(α)に、少なくとも、層(Xα)の形成材料である組成物(xα)からなる塗膜(xα’)と、層(Y1)の形成材料である組成物(y1)からなる塗膜(y1’)とを同時に乾燥して、粘着剤層の自律的な形成過程において自然に無秩序な形状を作り出す自己形成化によって形成された凹部が存在する、請求項9〜11のいずれか一項に記載の粘着シート。
- 前記粘着付与剤が、ロジン系粘着付与剤、テルペン系粘着付与剤、スチレン系粘着付与剤、及び石油由来の粘着付与剤から選ばれる1種以上を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の粘着シート。
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