JP2015196805A - 粘着シートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】被着体に貼付した際に、生じ得る空気溜まりを容易に除去することができる優れたエア抜け性を有すると共に、耐ブリスター性、及び粘着特性も良好である粘着シートを製造し得る、粘着シートの製造方法を提供する。
【解決手段】基材又は剥離材上に、主成分として樹脂を含む樹脂部分(X)と、微粒子からなる粒子部分(Y)とを含む樹脂層を有し、少なくとも前記基材又は剥離材が設けられた側とは反対側の前記樹脂層の表面(1)が粘着性を有する粘着シートを製造する方法であって、前記樹脂層を下記工程(1)及び(2)を経て形成する、粘着シートの製造方法。
工程(1):主成分として樹脂を含む組成物(x)からなる塗膜(x’)、及び前記微粒子を含む組成物(y)からなる塗膜(y’)を形成する工程
工程(2):工程(1)で形成した塗膜(x’)及び塗膜(y’)を、乾燥温度35〜200℃にて同時に乾燥させる工程
【選択図】なし

Description

本発明は粘着シートの製造方法に関する。
一般的な粘着シートは、基材と、該基材上に形成された粘着剤層と、必要に応じて該粘着剤層上に設けられた剥離材から構成されており、使用に際しては、剥離材が設けられている場合には、その剥離材を剥がし、粘着剤層を被着体に当接させて貼付する。
ところで、例えば、識別・装飾用、塗装マスキング用、金属板等の表面保護用等に使用する、貼付面積が大きい粘着シートは、被着体に貼付する際に、粘着剤層と被着体との間に空気溜まりが発生しやすく、その部分が「ふくれ」となって、粘着シートを被着体にきれいに貼付できにくいという問題がある。
このような問題を解決するために、例えば、特許文献1には、粘着剤層の表面に、微細なエンボスパターンを有する剥離材を接触させて、粘着剤層の表面に、特定形状の溝を、所定パターンで人工的に配置させてなる粘着シートが開示されている。
このような粘着シートを用いることで、被着体との貼付時に発生した「空気溜まり」は、粘着剤層の表面に人工的に形成された溝を介して、外部へ逃すことができるとされている。
特表2001−507732号公報
しかしながら、特許文献1等に記載されたような、特定形状の溝が所定パターンで配置された粘着剤層を有する粘着シートは、溝の幅が狭いと空気が抜けにくく、溝の幅が広いと表面基材が凹んで外観が劣るだけでなく、粘着力が低下するという問題がある。
また、当該粘着シートは、溝が所定パターンで配置されているため、溝が配置された箇所の粘着力は局所的に劣り、当該粘着シートを被着体に貼付した際、当該箇所から剥がれが発生する可能性がある。
一方、当該粘着シートを被着体に貼付後に再剥離する際、当該粘着シートの粘着特性が局所的に異なるため、粘着シートの剥がす方向によっては、被着体に糊残りが生じる恐れがある。例えば、格子状に溝が配置された粘着剤層を有する粘着シートの場合、斜め方向に剥離すると、被着体に糊残りが生じる可能性がある。
さらに、当該粘着シートに対して打ち抜き加工を行う場合、溝の配置パターンと打ち抜き加工のパターンとが重なる恐れがある。その場合、切り込み深さにバラつきが生じ、適切に粘着シートに切り込みを形成できない等の問題がある。
また、一般的に、粘着シートに設けられた剥離材を剥がしやすくするために、剥離材にのみ切り込みを施し、剥離のきっかけを設ける工程(いわゆる背割れ加工)を行うことがある。当該工程を行う場合、粘着シートから剥離材を一旦剥がして、剥離材に切り込みを施した後、再度剥離材と粘着シートの粘着剤層とをラミネートすることが一般的である。
しかし、特許文献1に記載の粘着シートでは、エンボスライナーを剥離材として用いているため、再度剥離材と接着剤層(粘着剤層)とをラミネートする際に、剥離材のエンボスパターンに追従しにくいため、エンボス加工が施されていない別の剥離材を用意する必要が生じる。
さらに、特許文献1では、接着剤層に微細構造を形成するために、一度エンボスライナーに接着剤を塗布し接着剤層を形成してから、当該接着剤層と基材とをラミネートする方法(いわゆる転写塗布法)を採用している。しかしながら、上記基材として、ポリオレフィン系基材等の低極性表面を有する基材を用いると、当該方法では、基材と接着剤層との界面に十分な密着性が得られない。
その上、紙からなる剥離材と異なり、樹脂フィルムからなる剥離材では、接着剤層に対して、微細なエンボスパターンの形成が難しい。
本発明は、被着体に貼付した際に、生じ得る空気溜まりを容易に除去することができる優れたエア抜け性を有すると共に、耐ブリスター性、及び粘着特性も良好である粘着シートを製造し得る、粘着シートの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、粘着シートが有する樹脂層の形成過程において、主成分として樹脂を含む組成物からなる塗膜と、微粒子を含む組成物からなる塗膜とを形成後、これらの塗膜を所定の乾燥温度で同時に乾燥させる工程を有する粘着シートの製造方法が、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[8]を提供するものである。
[1]基材又は剥離材上に、主成分として樹脂を含む樹脂部分(X)と、微粒子からなる粒子部分(Y)とを含む樹脂層を有し、少なくとも前記基材又は剥離材が設けられた側とは反対側の前記樹脂層の表面(1)が粘着性を有する粘着シートを製造する方法であって、
前記樹脂層を下記工程(1)及び(2)を経て形成する、粘着シートの製造方法。
工程(1):主成分として樹脂を含む組成物(x)からなる塗膜(x’)、及び前記微粒子を含む組成物(y)からなる塗膜(y’)を形成する工程
工程(2):工程(1)で形成した塗膜(x’)及び塗膜(y’)を、乾燥温度35〜200℃にて同時に乾燥させる工程
[2]前記工程(1)及び(2)が、それぞれ下記工程(1A)及び(2A)である、上記[1]に記載の粘着シートの製造方法。
工程(1A):基材又は剥離材上に、主成分として樹脂を含む組成物(x1)からなる塗膜(x1’)、前記微粒子を含む組成物(y)からなる塗膜(y’)、及び主成分として樹脂を含む組成物(x2)からなる塗膜(x2’)をこの順で形成する工程
工程(2A):工程(1A)で形成した塗膜(x1’)、 塗膜(y’)、及び塗膜(x2’)を、乾燥温度35〜200℃にて同時に乾燥させる工程
[3]前記工程(1)及び(2)が、それぞれ下記工程(1B)及び(2B)である、上記[1]に記載の粘着シートの製造方法。
工程(1B):基材又は剥離材上に設けられた、主に樹脂部分(X)を含む層(X1)上に、前記微粒子を含む組成物(y)からなる塗膜(y’)、及び主成分として樹脂を含む組成物(x2)からなる塗膜(x2’)をこの順で形成する工程
工程(2B):工程(1B)で形成した塗膜(y’)及び塗膜(x2’)を、乾燥温度35〜200℃にて同時に乾燥させる工程
[4]工程(1)において形成された塗膜が、ダイコーターを用いて、同時に形成された塗膜である、上記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の粘着シートの製造方法。
[5]樹脂部分(X)に含まれる前記樹脂が、粘着性樹脂を含む、上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の粘着シートの製造方法。
[6]前記微粒子が、シリカ粒子である、上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の粘着シートの製造方法。
[7]前記基材又は剥離材が設けられた側の前記樹脂層の表面(2)が粘着性を有する、上記[1]〜[6]のいずれか一項に記載の粘着シートの製造方法。
[8]前記樹脂層が、さらに連続する空隙部分(Z)を有する、上記[1]〜[7]のいずれか一項に記載の粘着シートの製造方法。
本発明の製造方法により得られる粘着シートは、被着体に貼付した際に、生じ得る空気溜まりを容易に除去することができる優れたエア抜け性を有すると共に、耐ブリスター性、及び粘着特性も良好である。
本発明において、例えば、「主成分としてXX成分を含む」や「主にXX成分からなる」との記載は、XX成分の含有量が50質量%以上であることを意味するが、当該XX成分の含有量としては、好ましくは65〜100質量%、より好ましくは75〜100質量%、更に好ましくは85〜100質量%である。
また、本発明において、例えば、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」と「メタクリル酸」の双方を示し、他の類似用語も同様である。
〔本発明の粘着シートの製造方法〕
本発明の粘着シートの製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」ともいう)は、基材又は剥離材上に、主成分として樹脂を含む樹脂部分(X)と、微粒子からなる粒子部分(Y)とを含む樹脂層を有し、少なくとも前記基材又は剥離材が設けられた側とは反対側の前記樹脂層の表面(1)(以下、単に「表面(1)」ともいう)が粘着性を有する粘着シートを製造する方法に関する。
なお、本発明の製造方法により得られる粘着シートにおいて、基材又は剥離材が設けられた側の樹脂層の表面(2)(以下、単に「表面(2)」ともいう)も粘着性を有していてもよい。樹脂層の表面(2)も粘着性を有する粘着シートとすれば、両面に粘着性を有する粘着シートとすることができる。
本発明の製造方法では、前記樹脂層を下記工程(1)及び(2)を経て形成する。
工程(1):主成分として樹脂を含む組成物(x)からなる塗膜(x’)、及び前記微粒子を含む組成物(y)からなる塗膜(y’)を形成する工程
工程(2):工程(1)で形成した塗膜(x’)及び塗膜(y’)を、乾燥温度35〜200℃にて同時に乾燥させる工程
本発明の製造方法の上記工程(1)及び(2)を経て形成された樹脂層の表面(1)上には、凹部が複数形成される。この複数形成された凹部は、本発明の製造方法で得られる粘着シートを被着体に貼付する際に生じる「空気溜まり」を外部へ逃すための空気排出通路としての役割を効果的に果たし得る適当な形状(特定の深さ、幅、及び長さ)を有しており、エア抜け性の向上に寄与する。
なお、当該凹部は、上記工程(1)で形成した主成分として樹脂を含む組成物(x)からなる塗膜(x’)及び前記微粒子を含む組成物(y)からなる塗膜(y’)を、工程(2)において、特定の温度で同時に乾燥させることで形成される。
また、形成された複数の凹部は、例えば、上記特許文献1に記載されたような、エンボスパターンが施された剥離材等によって形成された、同一の形状が所定パターンで配置された溝とは異なり、不規則な形状を有し、且つ、不規則に存在するものである。
従来から知られている特定形状の溝が所定パターンで配置された粘着剤層を有する粘着シートは、溝の形状や溝の配置により、エア抜け性、外観、粘着特性、抜き加工性等から選ばれる1つの特性を向上させようとしても、それ以外の特性が低下してしまう場合が多い。
一方、本発明の製造方法により得られる粘着シートの樹脂層の表面(1)上には、それぞれ互いに異なる形状の凹部を複数有するため、エア抜け性、外観、粘着特性、及び抜き加工性等の向上に寄与する形状を有する凹部がそれぞれ満遍なく存在しており、それによりこれらの特性をバランス良く向上させることができる。
以下、本発明の製造方法が有する工程(1)及び(2)について、説明する。
<工程(1)>
工程(1)は、主成分として樹脂を含む組成物(x)からなる塗膜(x’)、及び前記微粒子を含む組成物(y)からなる塗膜(y’)を形成する工程である。
組成物(x)は、樹脂部分(X)の形成材料であり、樹脂と共に、架橋剤や汎用添加剤を含有することが好ましい。
また、組成物(y)は、粒子部分(Y)の形成材料であるが、さらに樹脂や架橋剤、汎用添加剤を含んでもよく、これらが含まれている場合には、樹脂部分(X)の形成材料ともなる。
はじめに、組成物(x)及び組成物(y)について説明する。
(組成物(x))
組成物(x)は、主成分として樹脂を含むが、樹脂以外にも、架橋剤を含むことが好ましく、さらに汎用添加剤等を含んでもよい。
組成物(x)中の樹脂の含有量は、組成物(x)の全量(希釈溶媒を除く、100質量%)に対して、下限としては、通常50質量%以上、好ましくは65質量%以上、より好ましくは75質量%以上、更に好ましくは85質量%以上であり、また、上限としては、好ましくは100質量%以下、より好ましくは95質量%以下である。
なお、組成物(x)中に含まれる樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂部分(X)に含まれる樹脂としては、形成される樹脂層の表面(1)に粘着性を発現させる観点から、粘着性樹脂を含むことが好ましい。
そのため、樹脂部分(X)の形成材料となる組成物(x)中に含まれる樹脂としても、粘着性樹脂を含むことが好ましい。
当該粘着性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、粘着特性及び耐候性が良好であり、樹脂層の表面(1)に複数の凹部の形成のしやすさの観点から、アクリル系樹脂が好ましい。
また、上記と同様の観点から、樹脂部分(X)が、官能基を有する樹脂を含むことが好ましく、官能基を有するアクリル系樹脂を含むことがより好ましい。
そのため、樹脂部分(X)の形成材料となる組成物(x)中に含まれる樹脂としても、官能基を有する樹脂を含むことが好ましく、官能基を有するアクリル系樹脂を含むことがより好ましい。
当該官能基は、架橋剤との架橋起点となる基であって、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、エポキシ基、アミノ基、シアノ基、ケト基、アルコキシシリル基等が挙げられるが、カルボキシ基が好ましい。
なお、組成物(x)中に前記官能基を有する樹脂を含有する場合、組成物(x)には、さらに架橋剤を含有することが好ましい。
当該架橋剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアルデヒド類、メチロールポリマー、アジリジン系化合物、金属アルコキシド、金属塩等が挙げられるが、ポリイソシアネート化合物が好ましく用いられる。
ここでポリイソシアネート化合物の例としては、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート等、及びそれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体等を挙げることができる。
なお、これらの架橋剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
組成物(x)中の架橋剤の含有量は、官能基を有する樹脂100質量部に対して、好ましくは0〜30質量部、より好ましくは0.01〜15質量部、更に好ましくは0.5〜10質量部、より更に好ましくは2〜7質量部である。
また、組成物(x)には、本発明の効果を損なわない範囲において、汎用添加剤を含有してもよい。
汎用添加剤としては、例えば、粘着付与剤、酸化防止剤、軟化剤(可塑剤)、防錆剤、顔料、染料、遅延剤、反応促進剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
なお、これらの汎用添加剤は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
組成物(x)中にこれらの汎用添加剤を含有する場合、組成物(x)中のそれぞれの汎用添加剤の含有量は、組成物(x)中の樹脂100質量部に対して、好ましくは0.0001〜60質量部、より好ましくは0.001〜50質量部である。
本発明において、組成物(x)が、官能基を有するアクリル系樹脂(A)を含むアクリル系粘着剤であることが好ましく、官能基を有するアクリル系樹脂(A)及び架橋剤を含むアクリル系粘着剤であることが更に好ましい。
当該アクリル系粘着剤は、溶媒型、エマルション型のいずれであってもよい。
また、組成物(x)として好適な当該アクリル系粘着剤に含まれる架橋剤としては、上記のものが挙げられ、当該架橋剤の含有量も上記のとおりである。
組成物(x)として好適な当該アクリル系粘着剤中に含まれるアクリル系樹脂(A)としては、例えば、直鎖、分岐鎖のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位を有する重合体、環状構造を有する(メタ)アクリレート由来の構成単位を有する重合体等が挙げられる。
アクリル系樹脂(A)の質量平均分子量(Mw)としては、好ましくは5万〜150万、より好ましくは15万〜130万、更に好ましくは25万〜110万、より更に好ましくは35万〜90万である。
アクリル系樹脂(A)としては、炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a1’)(以下、「モノマー(a1’)」ともいう)由来の構成単位(a1)、及び官能基含有モノマー(a2’)(以下、「モノマー(a2’)」ともいう)由来の構成単位(a2)を有するアクリル系共重合体(A1)であることがより好ましい。
なお、アクリル系共重合体(A1)の共重合の形態は、特に限定されず、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。
モノマー(a1’)が有するアルキル基の炭素数としては、粘着特性の向上の観点から、より好ましくは4〜12、更に好ましくは4〜8、より更に好ましくは4〜6である。
モノマー(a1’)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましく、ブチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
構成単位(a1)の含有量は、アクリル系共重合体(A1)の全構成単位(100質量%)に対して、好ましくは50〜99.5質量%、より好ましくは60〜99質量%、更に好ましくは70〜95質量%、より更に好ましくは80〜93質量%である。
モノマー(a2’)としては、例えば、ヒドロキシ基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、アミノ基含有物モノマー、シアノ基含有モノマー、ケト基含有モノマー、アルコキシシリル基含有モノマー等が挙げられる。
これらの中でも、カルボキシ基含有モノマーがより好ましい。
カルボキシ基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられる。これら中でも、(メタ)アクリル酸が好ましい。
構成単位(a2)の含有量は、アクリル系共重合体(A1)の全構成単位(100質量%)に対して、好ましくは0.5〜50質量%、より好ましくは1〜40質量%、更に好ましくは5〜30質量%、より更に好ましくは7〜20質量%である。
なお、アクリル系共重合体(A1)は、上記モノマー(a1’)(a2’)以外のその他のモノマー(a3’)由来の構成単位(a3)を有していてもよい。
その他のモノマー(a3’)としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート等の環状構造を有する(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等が挙げられる。
構成単位(a3)の含有量は、アクリル系共重合体(A1)の全構成単位(100質量%)に対して、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、更に好ましくは0〜10質量%、より更に好ましくは0〜5質量%である。
なお、上述のモノマー(a1’)〜(a3’)は、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
アクリル系共重合体(A1)成分の合成方法については、特に限定されるものではなく、例えば、原料モノマーを溶媒中に溶解して、重合開始剤、連鎖移動剤等の存在下で溶液重合する方法や、乳化剤、重合開始剤、連鎖移動剤、分散剤等の存在下で、原料モノマーを用いて水系でエマルション重合する方法にて製造される。
(組成物(y))
組成物(y)は、粒子部分(Y)の形成材料であり、少なくとも微粒子を含むが、微粒子の分散性の観点から、微粒子と共に、樹脂を含有することが好ましく、さらに当該樹脂と共に架橋剤を含有することがより好ましい。また、組成物(y)は、汎用添加剤を含んでもよい。
なお、これらの樹脂、架橋剤、及び汎用添加剤は、樹脂部分(X)の形成材料となる。
組成物(y)中の微粒子の含有量は、組成物(y)の全量(希釈溶媒を除く、100質量%)に対して、通常10〜100質量%、好ましくは20〜100質量%、より好ましくは25〜90質量%、更に好ましくは30〜85質量%、より更に好ましくは35〜80質量%である。
組成物(y)中に含まれる微粒子の平均粒径としては、粘着シートの耐ブリスター性の向上の観点、並びに、形成される樹脂層の表面(1)に複数の凹部を形成しやすくする観点から、好ましくは0.01〜100μm、より好ましくは0.05〜25μm、更に好ましくは0.1〜10μmである。
組成物(y)中に含まれる微粒子としては、特に制限はなく、シリカ粒子、酸化金属粒子、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ガラスビーズ、スメクタイト等の無機粒子や、アクリルビーズ等の有機粒子等が挙げられる。
これらの微粒子の中でも、シリカ粒子が好ましい。
組成物(y)中に含まれるシリカ粒子は、乾式シリカ、湿式シリカ及び有機修飾シリカのいずれであってもよく、これらの2種以上からなる混合物であってもよい。
シリカ粒子中におけるシリカの質量濃度は、シリカ粒子の全量(100質量%)に対して、好ましくは70〜100質量%、より好ましくは85〜100質量%、更に好ましくは90〜100質量%である。
また、組成物(y)中に含まれるシリカ粒子の体積平均二次粒子径は、粘着シートの耐ブリスター性の向上の観点、並びに、形成される樹脂層の表面(1)に複数の凹部を形成しやすくする観点から、好ましくは0.5〜10μm、より好ましくは1〜8μm、更に好ましくは1.5〜5μmである。
なお、本発明において、シリカ粒子の体積平均二次粒子径の値は、マルチサイザー・スリー機等を用いて、コールターカウンター法による粒度分布の測定を行うことにより求めた値である。
組成物(y)中に含まれる樹脂としては、上述の組成物(x)に含まれる樹脂と同じものが挙げられ、組成物(x)と同じ樹脂を含むことが好ましい。なお、これらの樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、組成物(y)中に含まれるより具体的な樹脂としては、アクリル系樹脂が好ましく、官能基を有するアクリル系樹脂がより好ましく、組成物(x)として好適なアクリル系粘着剤に含まれる官能基を有するアクリル系樹脂(A)が更に好ましく、上述のアクリル系共重合体(A1)がより更に好ましい。
組成物(y)中の樹脂の含有量は、組成物(y)の全量(希釈溶媒を除く、100質量%)に対して、通常1〜90質量%、好ましくは5〜80質量%、より好ましくは10〜75質量%、更に好ましくは20〜70質量%、より更に好ましくは25〜65質量%である。
組成物(y)中に含まれる架橋剤としては、上述の組成物(x)に含まれる架橋剤と同じものが挙げられる。これらの架橋剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、組成物(y)中の架橋剤の含有量は、組成物(y)中に含有する樹脂100質量部に対して、好ましくは0〜30質量部、より好ましくは0.01〜15質量部、更に好ましくは0.5〜10質量部、より更に好ましくは2〜7質量部配合することができる
また、組成物(y)中に含まれる汎用添加剤としては、上述の組成物(x)に含まれる架橋剤と同じものが挙げられる。これらの汎用添加剤は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
組成物(y)中にこれらの汎用添加剤を含有する場合、組成物(y)中のそれぞれの汎用添加剤の含有量は、組成物(y)中に含有する樹脂100質量部に対して、好ましくは0.0001〜60質量部、より好ましくは0.001〜50質量部である。
(塗膜(x’)、(y’)の形成方法)
なお、塗膜を形成する際に、塗膜を形成しやすくするため、組成物(x)及び(y)に、有機溶媒を配合し、組成物の溶液の形態とすることが好ましい。
このような有機溶媒としては、例えば、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、アセチルアセトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。なお、これらの有機溶媒は、単独で又は2種以上を併用してもよい。
本工程で形成される塗膜(x’)及び(y’)の積層する順序は特に限定されないが、塗膜(y’)上に塗膜(x’)が積層するように形成されることが好ましい。
塗膜(x’)及び(y’)の形成方法としては、塗膜(y’)を形成した後、塗膜(y’)上に、塗膜(x’)を逐次形成する方法でもよく、また、生産性の観点から、塗膜(y’)及び塗膜(x’)を多層コーターで同時塗布し形成する方法でもよい。もしくは、塗膜(x’)、塗膜(y’)及び塗膜(x’)と、塗膜(y’)が塗膜(x’)の間に来るように、逐次形成もしくは多層コーターで同時塗布して形成してもよい。
逐次形成する際に用いるコーターとしては、例えば、スピンコーター、スプレーコーター、バーコーター、ナイフコーター、ロールコーター、ナイフロールコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、ダイコーター等が挙げられる。
多層コーターで同時塗布する際に用いるコーターとしては、例えば、カーテンコーター、ダイコーター等が挙げられるが、これらの中でも操作性の観点から、ダイコーターが好ましい。
なお、本工程(1)において、塗膜(x’)及び塗膜(y’)の少なくとも一方の形成後に、工程(2)に移る前に、当該塗膜の硬化反応が進行しない程度のプレ乾燥処理を施してもよい。
本工程(1)における、当該プレ乾燥処理を行う際の乾燥温度としては、通常は、形成した塗膜の硬化が進行しない程度の温度範囲に適宜設定されるが、好ましくは工程(2)での乾燥温度未満であり、より好ましくは10〜30℃、更に好ましくは15〜30℃である。
<工程(2)>
工程(2)は、工程(1)で形成した塗膜(x’)及び塗膜(y’)を、乾燥温度35〜200℃にて同時に乾燥させる工程である。
本工程にて、形成した塗膜(x’)及び塗膜(y’)を同時に乾燥させることで、樹脂部分(X)と粒子部分(Y)とを含む樹脂層が形成されると共に、当該樹脂層の表面(1)には、複数の凹部が形成される。そして、本発明では、上記乾燥温度で乾燥させることで、形成される複数の凹部の形状が、「空気溜まり」を外部へ逃すための空気排出通路としての役割を効果的に果たす適当な形状(特定の深さ、幅、及び長さ)であり、エア抜け性に優れる粘着シートとなり得る。
なお、上記乾燥温度が35℃未満であると、形成される凹部の深さは大きくなるが、形成される凹部の数が少なくなり、得られる粘着シートのエア抜け性が十分に向上しない。一方、上記乾燥温度が200℃を超えると、基材や剥離材が高温により収縮する等の不具合が生じやすくなる。
上記乾燥温度としては、「空気溜まり」を外部へ逃すための空気排出通路としての役割を効果的に果たす適当な形状(特定の深さ、幅、及び長さ)の凹部を形成し、エア抜け性に優れる粘着シートを得る観点から、好ましくは60〜180℃、より好ましくは70〜160℃、更に好ましくは80〜140℃である。
なお、本発明の粘着シートの製造方法としては、以下に示す第1及び第2の態様の製造方法が好ましい。以下、本発明の製造方法に好適な、第1及び第2の態様の製造方法について説明する。
なお、以下の第1及び第2の態様の製造方法の記載において、「主成分として樹脂を含む組成物(x1)又は(x2)」は、上述の組成物(x)と同じであり、組成物(x1)又は(x2)中に含まれる各成分の詳細(成分の種類、好適な成分、成分の含有量等)も同じである。また、「微粒子を含む組成物(y)」も、上述のとおりである。
〔本発明の製造方法の第1の態様〕
本発明の製造方法の第1の態様としては、前記工程(1)及び(2)が、それぞれ下記工程(1A)及び(2A)である、粘着シートの製造方法が挙げられる。
工程(1A):基材又は剥離材上に、主成分として樹脂を含む組成物(x1)からなる塗膜(x1’)、前記微粒子を含む組成物(y)からなる塗膜(y’)、及び主成分として樹脂を含む組成物(x2)からなる塗膜(x2’)をこの順で形成する工程
工程(2A):工程(1A)で形成した塗膜(x1’)、塗膜(y’)、及び塗膜(x2’)を、乾燥温度35〜200℃にて同時に乾燥させる工程
工程(1A)においても、組成物(x1)、組成物(y)、及び組成物(x2)には、上述の有機溶媒を配合し、組成物の溶液の形態とした後、塗布することが好ましい。
塗膜(x1’)、塗膜(y’)、及び塗膜(x2’)の形成方法としては、基材又は剥離材上に、塗膜(x1’)を形成した後、塗膜(x1’)上に塗膜(y’)を形成し、さらに塗膜(y’)上に塗膜(x2’)を形成するというように、上述のコーターを用いて逐次形成する方法でもよく、塗膜(x1’)、塗膜(y’)及び塗膜(x2’)を、上述の多層コーターを用いて同時塗布し形成する方法でもよい。
なお、本工程(1A)において、塗膜(x1’)、塗膜(y’)、及び塗膜(x2’)から選ばれる1つ以上を形成後に、工程(2A)に移る前に、当該塗膜の硬化反応が進行しない程度のプレ乾燥処理を施してもよい。
例えば、塗膜(x1’)、塗膜(y’)、及び塗膜(x2’)のそれぞれの塗膜の形成後に、その都度上記のプレ乾燥処理を行ってもよく、塗膜(x1’)及び塗膜(y’)の形成後に、まとめて上記のプレ乾燥処理を行った後、塗膜(x2’)を形成してもよい。
本工程(1A)における、当該プレ乾燥処理を行う際の乾燥温度としては、通常は、形成した塗膜の硬化が進行しない程度の温度範囲で適宜設定されるが、好ましくは工程(2A)での乾燥温度未満であり、より好ましくは10〜30℃、更に好ましくは15〜30℃である。
工程(2A)は、工程(1A)で形成した塗膜(x1’)、塗膜(y’)、及び塗膜(x2’)を、乾燥温度35〜200℃にて同時に乾燥させる工程であるが、当該乾燥温度の好適範囲は、上述の工程(2)と同じである。本工程により、樹脂部分(X)及び粒子部分(Y)を形成する。
〔本発明の製造方法の第2の態様〕
本発明の製造方法の第2の態様としては、前記工程(1)及び(2)が、それぞれ下記工程(1B)及び(2B)である、粘着シートの製造方法が挙げられる。
工程(1B):基材又は剥離材上に設けられた、主に樹脂部分(X)を含む層(X1)上に、前記微粒子を含む組成物(y)からなる塗膜(y’)、及び主成分として樹脂を含む組成物(x2)からなる塗膜(x2’)をこの順で形成する工程
工程(2B):工程(1B)で形成した塗膜(y’)及び塗膜(x2’)を、乾燥温度35〜200℃にて同時に乾燥させる工程
工程(1B)において、「主に樹脂部分(X)を含む層(X1)」は、上述の主成分として樹脂を含む組成物(x1)からなる塗膜(x1’)を乾燥させて形成することができる。
層(X1)が組成物(x1)から形成されるため、層(X1)には、樹脂以外にも、架橋剤や汎用添加剤等が含有していてもよい。層(X1)中の樹脂部分(X)の含有量としては、上述のとおりである。
層(X1)の形成方法としては、基材又は剥離材上に、主成分として樹脂を含む組成物(x1)からなる塗膜(x1’)を形成し、該塗膜(x1’)を乾燥させて形成することができる。
このときの乾燥温度としては、特に制限はなく、好ましくは35〜200℃、より好ましくは60〜180℃、更に好ましくは70〜160℃、より更に好ましくは80〜140℃である。
なお、本態様においては、塗膜(x1’)上ではなく、乾燥後に得られた層(X1)上に、塗膜(y’)及び塗膜(x2’)をこの順で形成する点で、上述の第1の態様とは異なる。
工程(1B)においても、組成物(y)及び組成物(x2)には、上述の有機溶媒を配合し、組成物の溶液の形態とした後、塗布することが好ましい。
塗膜(y’)及び塗膜(x2’)の形成方法としては、層(X1)上に、塗膜(y’)を形成した後、塗膜(y’)上に塗膜(x2’)を形成するというように、上述のコーターを用いて逐次形成する方法でもよく、塗膜(y’)及び塗膜(x2’)を、上述の多層コーターを用いて同時塗布し形成する方法でもよい。
なお、本工程(1B)において、塗膜(y’)の形成後、もしくは塗膜(y’)及び塗膜(x2’)の形成後に、工程(2B)に移る前に、当該塗膜の硬化反応が進行しない程度のプレ乾燥処理を施してもよい。
本工程(1B)における、当該プレ乾燥処理を行う際の乾燥温度としては、通常は、形成した塗膜の硬化が進行しない程度の温度範囲に適宜設定されるが、好ましくは工程(2B)での乾燥温度未満であり、より好ましくは10〜30℃、更に好ましくは15〜30℃である。
工程(2B)は、工程(1B)で形成した塗膜(y’)及び塗膜(x2’)を、乾燥温度35〜200℃にて同時に乾燥させる工程であるが、当該乾燥温度の好適範囲は、上述の工程(2)と同じである。本工程により、樹脂部分(X)及び粒子部分(Y)を形成する。
〔本発明の製造方法により得られる粘着シートの構成〕
本発明の製造方法により得られる粘着シートは、基材又は剥離材上に、主成分として樹脂を含む樹脂部分(X)と、微粒子からなる粒子部分(Y)とを含む樹脂層を有するものであり、上述の工程(1)及び(2)を経ることで、樹脂層の表面(1)上には複数の凹部が形成されている。
本発明の製造方法により得られる粘着シートの具体的な構成として、基材上に樹脂層を有する粘着シートや、剥離材上に樹脂層を有する粘着シートが挙げられる。
また、本発明の製造方法により得られる粘着シートは、少なくとも基材又は剥離材が設けられた側とは反対側の樹脂層の表面(1)は粘着性を有する。
そのため、本発明の製造方法により得られる粘着シートは、取扱性の観点から、樹脂層の表面(1)上には、さらに剥離材を設けた構成としてもよい。
<基材>
本発明で用いる基材としては、特に制限はなく、例えば、紙基材、樹脂フィルム又はシート、紙基材を樹脂でラミネートした基材等が挙げられ、粘着シートの用途に応じて適宜選択することができる。
紙基材を構成する紙としては、例えば、薄葉紙、中質紙、上質紙、含浸紙、コート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙等が挙げられる。
樹脂フィルム又はシートを構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリスチレン;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体;三酢酸セルロース;ポリカーボネート;ポリウレタン、アクリル変性ポリウレタン等のウレタン樹脂;ポリメチルペンテン;ポリスルホン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルスルホン;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルイミド、ポリイミド等のポリイミド系樹脂;ポリアミド系樹脂;アクリル樹脂;フッ素系樹脂等が挙げられる。
紙基材を樹脂でラミネートした基材としては、上記の紙基材を、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂でラミネートしたラミネート紙等が挙げられる。
これらの基材の中でも、樹脂フィルム又はシートが好ましく、ポリエステル系樹脂からなるフィルム又はシートがより好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)から構成されるフィルム又はシートが更に好ましい。
また、本発明の製造方法で製造する粘着シートを耐熱性が要求される用途に使用する場合には、ポリエチレンナフタレート及びポリイミド系樹脂から選ばれる樹脂から構成されるフィルム又はシートが好ましく、耐候性が要求される用途に使用する場合には、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル樹脂、及びフッ素樹脂から選ばれる樹脂から構成されるフィルム又はシートが好ましい。
基材の厚さは、粘着シートの用途に応じて適宜設定されるが、取扱性及び経済性の観点から、好ましくは5〜1000μm、より好ましくは10〜500μm、更に好ましくは12〜250μm、より更に好ましくは15〜150μmである。
なお、基材には、さらに紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、着色剤等の各種添加剤を含有していてもよい。
また、本発明で用いる基材は、得られる粘着シートの耐ブリスター性向上の観点から、非通気性基材であることが好ましく、具体的には、上述の樹脂フィルム又はシートの表面上に金属層を有する基材が好ましい。
当該金属層の形成する金属としては、例えば、アルミニウム、スズ、クロム、チタン等の金属光沢を有する金属が挙げられる。
当該金属層の形成方法としては、例えば、上記金属を真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等のPVD法により蒸着する方法、又は、上記金属からなる金属箔を一般的な粘着剤を用いて貼付する方法等が挙げられ、上記金属をPVD法により蒸着する方法が好ましい。
さらに、基材として樹脂フィルム又はシートを用いる場合、これらの樹脂フィルム又はシート上に積層する樹脂層との密着性を向上させる観点から、樹脂フィルム又はシートの表面に対して、酸化法や凹凸化法等による表面処理、あるいはプライマー処理を施してもよい。
酸化法としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、クロム酸処理(湿式)、熱風処理、オゾン、及び紫外線照射処理等が挙げられ、凹凸化法としては、例えば、サンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。
<剥離材>
本発明で用いる剥離材としては、両面剥離処理をされた剥離シートや、片面剥離処理された剥離シート等が用いられ、剥離材用の基材上に剥離剤を塗布したもの等が挙げられる。
剥離材用の基材としては、例えば、粘着シートが有する基材として用いられる上述の紙基材、樹脂フィルム又はシート、紙基材を樹脂でラミネートした基材等が挙げられる。
剥離剤としては、例えば、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂、イソプレン系樹脂、ブタジエン系樹脂等のゴム系エラストマー、長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
剥離材の厚さは、特に制限ないが、好ましくは10〜200μm、より好ましくは25〜150μmである。
<樹脂層>
本発明の製造方法により形成される樹脂層は、主として樹脂を含む樹脂部分(X)と、微粒子からなる粒子部分(Y)とを含む。本発明の製造方法により得られる粘着シートは、微粒子からなる粒子部分(Y)を含む樹脂層を有する、耐ブリスター性に優れた粘着シートとなり得る。
なお、樹脂部分(X)は、主成分として樹脂を含むが、樹脂以外にも、架橋剤、粘着付与剤、酸化防止剤、軟化剤(可塑剤)、防錆剤、顔料、染料、遅延剤、反応促進剤、紫外線吸収剤等の汎用添加剤も含む。
つまり、樹脂部分(X)は、樹脂層中に含まれる微粒子以外の成分を含む部分を指し、その点で粒子部分(Y)とは区別される。
樹脂部分(X)中の樹脂の含有量は、樹脂部分(X)の全量(100質量%)に対して、下限としては、通常50質量%以上、好ましくは65質量%以上、より好ましくは75質量%以上、更に好ましくは85質量%以上であり、また、上限としては、好ましくは100質量%以下、より好ましくは95質量%以下である。
なお、本発明において、樹脂部分(X)の形成材料となる組成物中の樹脂の含有量の値を、上記「樹脂部分(X)中の樹脂の含有量」とみなす。
樹脂層中の樹脂部分(X)と粒子部分(Y)との分布の構成としては、樹脂部分(X)と粒子部分(Y)とがほぼ均等に分布した構成であってもよく、局所的に主に樹脂部分(X)からなる箇所と、主に粒子部分(Y)からなる箇所と、分けられるような構成であってもよい。
また、樹脂層のうち、上方に凹部が形成されている箇所においては、粒子部分(Y)が占める割合が他に比べて少なくなるような分布であってもよい。
粒子部分(Y)の分布がこのようになる理由としては、以下のように考えられる。
まず、乾燥前の塗膜の段階で均一に存在していた微粒子が、工程(2)の乾燥工程によって、塗膜内部に収縮応力が発生して樹脂の結合力が弱い部分で塗膜の割断が進行する。次に、割断部分の周辺の樹脂が、割断されて空いた空間に流入して、表面に凹部が形成される。その結果、当該箇所の粒子部分(Y)が占める割合が他に比べて少なくなるものと考えられる。
樹脂層としては、主に樹脂部分(X)を含む層(X1)、粒子部分(Y)を含む層(Y1)、及び主に樹脂部分(X)を含む層(X2)をこの順で積層した多層構造を形成してなる層の構成が挙げられる。
なお、上記の多層構造体の構成は、層(X1)と層(Y1)、並びに層(Y1)と層(X2)との境界が判別できずに、混層した構成であってもよい。
層(X1)及び層(X2)は、主に樹脂部分(X)を含む層であるが、粒子部分(Y)を含んでいてもよい。
層(X1)又は層(X2)中の樹脂部分(X)の含有量としては、通常50〜100質量%、好ましくは65〜100質量%、より好ましくは75〜100質量%、更に好ましくは85〜100質量%である。
なお、本発明において、当該層(X1)又は(X2)の形成材料となる組成物中の樹脂部分(X)を構成する成分(樹脂、架橋剤、汎用添加剤等)の合計含有量の値を、上記「層(X1)又は層(X2)中の樹脂部分(X)の含有量」とみなす。
また、上記層(X1)、層(X2)は、上述の主成分として樹脂を含む組成物(x1)、(x2)からなる層であることが好ましい。
粒子部分(Y)を含む層(Y1)は、粒子部分(Y)のみからなる層であってもよく、粒子部分(Y)と共に樹脂部分(X)を含む層であってもよい。
層(Y1)中の粒子部分(Y)の含有量としては、通常10〜100質量%、好ましくは20〜100質量%、より好ましくは25〜90質量%、更に好ましくは30〜85質量%、より更に好ましくは35〜80質量%である。
なお、本発明において、当該層(Y1)の形成材料となる組成物中の微粒子の含有量の値を、上記「層(Y1)中の粒子部分(Y)の含有量」とみなす。
また、上記層(Y1)は、上述の微粒子を含む組成物(y)からなる層であることが好ましい。
本発明の製造方法により得られる粘着シートが有する樹脂層は、樹脂部分(X)及び粒子部分(Y)以外に、さらに連続する空隙部分(Z)を有することが好ましい。上述の工程(2)の後に形成される前記樹脂層中に、微粒子を含む組成物(y)からなる塗膜(y’)から形成される粒子部分(Y)の周辺において、連続する空隙部分(Z)を形成することができる。
このような空隙部分(Z)を形成しやすい微粒子としては、シリカ粒子、酸化金属粒子、スメクタイト等が挙げられる。樹脂層中に連続する空隙部分(Z)が含まれていることで、粘着シートの耐ブリスター性を向上させることができる。
なお、この空隙部分(Z)は、前記微粒子同士の間に存在する空隙や、前記微粒子が二次粒子である場合、当該二次粒子内に存在する空隙等も含まれる。
また、樹脂層の100℃における剪断貯蔵弾性率は、粘着シートの耐ブリスター性の向上の観点から、好ましくは9.0×103Pa以上、より好ましくは1.0×104Pa以上、更に好ましくは2.0×104Pa以上である。
なお、本発明において、樹脂層の100℃における剪断貯蔵弾性率は、粘弾性測定装置(例えば、Rheometrics社製、装置名「DYNAMIC ANALYZER RDA II」)を用いて、周波数1Hzで測定することにより測定した値を意味する。
樹脂層の厚さは、好ましくは1〜300μm、より好ましくは5〜150μm、更に好ましくは10〜75μmである。
本発明の製造方法により得られる粘着シートの粘着力としては、好ましくは2.0N/25mm以上、より好ましくは3.0N/25mm以上、更に好ましくは4.0N/25mm以上、より更に好ましくは7.0N/25mm以上である。
なお、当該粘着力の値は、実施例に記載の方法により測定された値を意味する。
本発明について、以下の実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の製造例及び実施例における物性値は、以下の方法により測定した値である。
<樹脂の質量平均分子量(Mw)>
ゲル浸透クロマトグラフ装置(東ソー株式会社製、製品名「HLC−8020」)を用いて、下記の条件下で測定し、標準ポリスチレン換算にて測定した値を用いた。
(測定条件)
・カラム:「TSK guard column HXL−L」「TSK gel G2500HXL」「TSK gel G2000HXL」「TSK gel G1000HXL」(いずれも東ソー株式会社製)
・カラム温度:40℃
・展開溶媒:テトラヒドロフラン
・流速:1.0mL/min
<シリカ粒子の体積平均二次粒子径の測定>
シリカ粒子の体積平均二次粒子径は、マルチサイザー・スリー機(ベックマン・コールター社製)を用いて、コールターカウンター法による粒度分布の測定を行うことにより求めた。
<塗膜の膜厚及び樹脂層の厚みの測定>
塗膜の膜厚及び樹脂層の厚みは、JIS K 7130に準じて、定圧厚さ測定器(テクロック社製、製品名「PG−02」)を用いて測定した。
製造例1
(樹脂組成物の溶液(x−1)の調製)
アクリル系樹脂の溶液(ブチルアクリレート(BA)及びアクリル酸(AA)からなるアクリル系共重合体(BA/AA=90/10(質量%))、Mw:47万、固形分濃度:33.6質量%、トルエンと酢酸エチルの混合溶媒)100質量部(固形分:33.6質量部)に対して、イソシアネート系架橋剤(製品名「コロネートL」、日本ポリウレタン工業社製、固形分濃度:75質量%)を1質量部(アクリル系共重合体の固形分総量100質量部に対して、固形分2.23質量部)添加し、トルエンを添加し、固形分濃度28質量%の樹脂組成物の溶液(x−1)を調製した。
製造例2
(塗膜(y’)形成用塗布液(y−1)の調製)
(1)微粒子分散溶液(y−0)の調製
アクリル系樹脂の溶液(ブチルアクリレート(BA)及びアクリル酸(AA)からなるアクリル系共重合体(BA/AA=90/10(質量%))、Mw:47万、固形分濃度:33.6質量%、トルエンと酢酸エチルの混合溶媒)100質量部(固形分:33.6質量部)に対して、微粒子として、シリカ粒子(製品名「ニップシール E−200A」、東ソー・シリカ社製、体積平均二次粒子径:3μm)を50.4質量部添加し、さらにトルエンを添加し、固形分濃度30質量%の微粒子分散溶液(y−0)を調製した。
(2)塗膜(y’)形成用塗布液(y−1)の調製
アクリル系樹脂の溶液(ブチルアクリレート(BA)及びアクリル酸(AA)からなるアクリル系共重合体(BA/AA=90/10(質量%)、Mw:47万、固形分濃度:33.6質量%、トルエンと酢酸エチルの混合溶媒)100質量部(固形分:33.6質量部)に対して、上述の微粒子分散溶液(y−0)を354.5質量部(固形分:106.35質量部)、架橋剤として、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製、製品名「コロネートL」、固形分濃度:75質量%)を2.27質量部(アクリル系共重合体の固形分総量100質量部に対して、固形分2.23質量部)、及びトルエンを添加して、固形分濃度27質量%の塗膜(y’)形成用塗布液(y−1)を調製した。
製造例3
(樹脂組成物の溶液(x−2)の調製)
アクリル系樹脂の溶液(ブチルアクリレート(BA)及びアクリル酸(AA)からなるアクリル系共重合体(BA/AA=90/10(質量%))、Mw:47万、固形分濃度:33.6質量%、トルエンと酢酸エチルの混合溶媒)、及び希釈溶媒であるトルエンを添加して固形分濃度28質量%の樹脂組成物の溶液(x−2)を調製した。
実施例1
(1)塗膜の形成
片面にアルミ蒸着層を設けたPETフィルム(リンテック社製、製品名「FNSケシN50」、厚み50μm)を基材として用いた。
上記PETフィルムのアルミ蒸着層上に、アプリケーターを用いて、製造例1で調製した樹脂組成物の溶液(x−1)を、塗布後の厚み(非乾燥状態の厚み)が25μmとなるように塗布して、塗膜(x1’)を形成した。
次に、得られた塗膜(x1’)上に、アプリケーターを用いて、製造例2で調製した塗膜(y’)形成用塗布液(y−1)を、重ね塗りした後の塗膜(x1’)と塗膜(y’)の2層合計の厚み(非乾燥状態)が75μmとなるように塗布して、塗膜(y’)を形成した。
そして、得られた塗膜(y’)上に、アプリケーターを用いて、製造例1で調製した樹脂組成物の溶液(x−1)を、重ね塗りした後の塗膜(x1’)、塗膜(y’)及び塗膜(x2’)の3層合計の厚み(非乾燥状態)が100μmとなるように塗布して、塗膜(x2’)を形成した。
(2)乾燥処理
その後、3層の塗膜(x1’)、(y’)、(x2’)を、乾燥温度100℃にて2分間、同時に乾燥させて、樹脂部分(X)と粒子部分(Y)とを含む、厚さ35μmの樹脂層を有する粘着シートを作製した。なお、当該粘着シートの樹脂層の表面(1)には、複数の凹部の形成が見られた。
実施例2
3層の塗膜(x1’)、(y’)、(x2’)を、乾燥温度60℃にて2分間、同時に乾燥させた以外は、実施例1と同様にして、厚さ35μmの樹脂層を有する粘着シートを作製した。なお、当該粘着シートの樹脂層の表面(1)には、複数の凹部の形成が見られた。
実施例3
3層の塗膜(x1’)、(y’)、(x2’)を、乾燥温度140℃にて2分間、同時に乾燥させた以外は、実施例1と同様にして、厚さ35μmの樹脂層を有する粘着シートを作製した。なお、当該粘着シートの樹脂層の表面(1)には、複数の凹部の形成が見られた。
実施例4
片面にアルミ蒸着層を設けたPETフィルム(リンテック社製、製品名「FNSケシN50」、厚み50μm)を基材として用いた。
当該PETフィルムのアルミ蒸着層上に、ナイフコーターを用いて、製造例3で調製した樹脂組成物の溶液(x−2)を塗布後の厚み(非乾燥状態)が25μmとなるように塗布して塗膜(x1’)を形成した後、乾燥温度100℃にて2分間、乾燥させて、主に樹脂部分(X)を含む層(X1)を形成した。その後、層(X1)上に、剥離フィルム(リンテック社製、製品名「SP−PET381031」、片面にシリコーン系剥離剤層を設けたPETフィルム、厚み38μm)をラミネートした。
そして、上記剥離フィルムを剥離後、製造例2で調製した塗膜(y’)形成用塗布液(y−1)及び製造例1で調製した樹脂組成物の溶液(x−1)を多層ダイコーターで同時に塗布し、塗膜(y’)及び塗膜(x2’)を同時に形成した。この際、塗膜(x1’)と塗膜(y’)の2層合計の厚み(非乾燥状態)が75μmとなるように、並びに、塗膜(x1’)、塗膜(y’)及び塗膜(x2’)の3層合計の厚み(非乾燥状態)が100μmとなるように塗布した。、
そして、2層の塗膜(y’)及び(x2’)を、表1に示す乾燥温度にて2分間、同時に乾燥させて、樹脂部分(X)と粒子部分(Y)とを含む、厚さ35μmの樹脂層を有する粘着シートを作製した。なお、当該粘着シートの樹脂層の表面(1)には、複数の凹部の形成が見られた。
実施例5
塗膜(x1’)及び塗膜(y’)の形成後に23℃にて1時間プレ乾燥処理をし、塗膜(y’)上に塗膜(x2’)を形成した後、再度、3層の塗膜(x1’)、(y’)、(x2’)を、乾燥温度100℃にて2分間、同時に乾燥させた以外は、実施例1と同様にして、厚さ35μmの樹脂層を有する粘着シートを作製した。なお、当該粘着シートの樹脂層の表面(1)には、複数の凹部の形成が見られた。
比較例1
実施例1において、塗膜(y’)及び塗膜(x2’)を形成せず、基材として用いるPETフィルムのアルミ蒸着層上に、ナイフコーターを用いて、製造例1で調製した樹脂組成物の溶液(x−1)を乾燥後の厚さが35μmとなるように塗布して、塗膜(x1’)を形成した以外は、実施例1と同様にして、樹脂部分(X)のみからなる樹脂層を有する粘着シートを作製した。なお、当該粘着シートの樹脂層の表面(1)には、凹部の形成は確認できなかった。
比較例2
片面にアルミ蒸着層を設けたPETフィルム(リンテック社製、製品名「FNSケシN50」、厚み50μm)を基材として用いた。
当該PETフィルムのアルミ蒸着層上に、アプリケーターを用いて、製造例1で調製した樹脂組成物の溶液(x−1)を塗布し、乾燥後の膜厚が7μmとなるように塗膜(x1’)を形成し、100℃で2分間乾燥し、基材上に、主に樹脂部分(X)を含む層(X1)からなる積層体(1)を作製した。
上記とは別に、剥離フィルム(リンテック社製、製品名「SP−PET381031」、片面にシリコーン系剥離剤層を設けたPETフィルム、厚み38μm)上に、アプリケーターを用いて、製造例3で調製した塗膜(y’)形成用塗布液(y−1)を塗布し、乾燥後の膜厚が21μmとなるように塗膜(y’)を形成し、100℃で2分間乾燥して、粒子部分(Y)を含む層(Y1)を形成した。そして、当該層(Y1)上に、上記の積層体(1)の層(X1)側と接するようにラミネートし、基材、層(X1)、及び層(Y1)からなる積層体(2)を作製した。
さらに上記とは別に、剥離フィルム(リンテック社製、製品名「SP−PET381031」、片面にシリコーン系剥離剤層を設けたPETフィルム、厚み38μm)上に、アプリケーターを用いて、製造例1で調製した樹脂組成物の溶液(x−1)を塗布し、乾燥後の膜厚が7μmとなるように塗膜(x2’)を形成し、100℃で2分間乾燥して、主に樹脂部分(X)を含む層(X2)を形成した。そして、当該層(X2)上に、上記の積層体(2)の層(Y1)側と接するようにラミネートし、基材上に、層(X1)、層(Y1)、及び層(Y2)をこの順で積層してなり、樹脂部分(X)と粒子部分(Y)とを含む、厚さ35μmの樹脂層を有する粘着シートを作製した。なお、当該粘着シートの樹脂層の表面(1)には、凹部の形成は確認できなかった。
比較例3
3層の塗膜(x1’)、(y’)、(x2’)を、乾燥温度23℃にて1時間、同時に乾燥させた以外は、厚さ35μmの樹脂層を有する粘着シートを作製した。なお、当該粘着シートの樹脂層の表面(1)には、若干の凹部の形成が見られたが、形成された凹部の数は、実施例1の粘着シートに比べて非常に少なかった。
実施例及び比較例で作製した粘着シートについて、以下の方法に基づき、「エア抜け性」及び「粘着力」を測定又は評価した。これらの結果を表1に示す。
<エア抜け性>
縦50mm×横50mmの大きさの粘着シートを、空気溜まりが生じるように、被着体であるメラミン塗装板に貼付した。そして、スキージを用いて圧着した後の空気溜まりの有無を観察し、以下の基準により、粘着シートのエア抜け性を評価した。
A:空気溜まりを除去する際に抵抗なく空気溜まりが消失する、もしくは抵抗があっても消失する。
B:ごく僅かに空気溜まりが残っているが、再度スキージを用いて圧着すれば、その空気溜まりも消失する。
C:空気溜まりが残っており、エア抜け性が劣る。
<耐ブリスター性>
縦50mm×横50mmの大きさの粘着シートを、縦70mm×横150mm×厚さ2mmのポリメチルメタクリレート板(三菱レイヨン社製、製品名「アクリライトL001」)に貼付し、スキージーを用いて圧着し、試験サンプルを作製した。
この試験サンプルを、23℃で12時間静置した後、80℃の熱風乾燥機内に1.5時間静置し、さらに90℃の熱風乾燥機内に1.5時間静置して、加熱促進後のブリスターの発生状態を目視により観察し、以下の基準により、粘着シートの耐ブリスター性を評価した。
A:ブリスターが全く確認されなかった。
B:部分的にブリスターが確認された。
C:全面にブリスターが確認された。
<粘着力>
実施例及び比較例で作製した粘着シートを縦25mm×横300mmの大きさに切断した後、当該粘着シートの樹脂層の表面(1)上に、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、ステンレス板(SUS304、360番研磨)に貼付し、同じ環境下で24時間放置し、貼付後24時間後に、JIS Z0237:2000に基づき、180°引き剥がし法により、引っ張り速度300mm/分にて、粘着シートの粘着力を測定した。
Figure 2015196805
表1により、実施例1〜5で作製した粘着シートは、エア抜け性に優れ、粘着力も良好であった。特に、実施例1、4、5で作製した粘着シートはエア抜け性が非常に優れる結果となった。
一方、比較例1〜3で作製した粘着シートは、エア抜け性が劣る結果となった。
本発明の製造方法により得られる粘着シートは、識別・装飾用、塗装マスキング用、金属板等の表面保護用等に使用する、貼付面積が大きい粘着シートとして有用である。

Claims (8)

  1. 基材又は剥離材上に、主成分として樹脂を含む樹脂部分(X)と、微粒子からなる粒子部分(Y)とを含む樹脂層を有し、少なくとも前記基材又は剥離材が設けられた側とは反対側の前記樹脂層の表面(1)が粘着性を有する粘着シートを製造する方法であって、
    前記樹脂層を下記工程(1)及び(2)を経て形成する、粘着シートの製造方法。
    工程(1):主成分として樹脂を含む組成物(x)からなる塗膜(x’)、及び前記微粒子を含む組成物(y)からなる塗膜(y’)を形成する工程
    工程(2):工程(1)で形成した塗膜(x’)及び塗膜(y’)を、乾燥温度35〜200℃にて同時に乾燥させる工程
  2. 前記工程(1)及び(2)が、それぞれ下記工程(1A)及び(2A)である、請求項1に記載の粘着シートの製造方法。
    工程(1A):基材又は剥離材上に、主成分として樹脂を含む組成物(x1)からなる塗膜(x1’)、前記微粒子を含む組成物(y)からなる塗膜(y’)、及び主成分として樹脂を含む組成物(x2)からなる塗膜(x2’)をこの順で形成する工程
    工程(2A):工程(1A)で形成した塗膜(x1’)、塗膜(y’)、及び塗膜(x2’)を、乾燥温度35〜200℃にて同時に乾燥させる工程
  3. 前記工程(1)及び(2)が、それぞれ下記工程(1B)及び(2B)である、請求項1に記載の粘着シートの製造方法。
    工程(1B):基材又は剥離材上に設けられた、主に樹脂部分(X)を含む層(X1)上に、前記微粒子を含む組成物(y)からなる塗膜(y’)、及び主成分として樹脂を含む組成物(x2)からなる塗膜(x2’)をこの順で形成する工程
    工程(2B):工程(1B)で形成した塗膜(y’)及び塗膜(x2’)を、乾燥温度35〜200℃にて同時に乾燥させる工程
  4. 工程(1)において形成された塗膜が、ダイコーターを用いて、同時に形成された塗膜である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着シートの製造方法。
  5. 樹脂部分(X)に含まれる前記樹脂が、粘着性樹脂を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘着シートの製造方法。
  6. 前記微粒子が、シリカ粒子である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の粘着シートの製造方法。
  7. 前記基材又は剥離材が設けられた側の前記樹脂層の表面(2)が粘着性を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の粘着シートの製造方法。
  8. 前記樹脂層が、さらに連続する空隙部分(Z)を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の粘着シートの製造方法。
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